説明

壁パネルユニット、およびこの壁パネルユニットで作られる壁構造

本発明は耐火材で作られた壁パネルユニット(1)およびそのユニットで形成される壁構造に関するものである。この壁パネルユニット(1)は2枚の主に四角形の板状壁パネル部材(2,3)を含み、壁パネルユニットの両長側縁は壁パネル部材の縁部で形成された折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)を備え、前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)により互いに連結されて両面式の少なくとも主に閉じた壁構造部分を形成するように構成されている。対向する壁パネル部材(2,3)の前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)は壁パネル部材の面(2a,3a)に直角なガイド部分および支持部分(2d,2e,3d,3e)を含み、ガイド部分および支持部分は相互に協働して壁パネル部材(2,3)がその面(2a,3a)に主として直角に互いに取付けることができるとともに、特別な固定手段がなくても互いに接触状態に保たれる。折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)は壁パネル部材の面(2a,3a)の方向に沿って重ね合わせ部分(2f,2g,3f,3g)を含むように付加的に設計され、改良された剛性および壁パネル部材(2,3)の相互支持を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の耐火材で作られた壁パネルユニットであって、2枚の主に四角形の板状壁パネル部材を含み、壁パネルユニットの両長側縁は壁パネル部材の縁部で形成された折曲げ縁部分を備え、前記折曲げ縁部分により互いに連結されて両面式の少なくとも主に閉じた壁構造部分を形成するように構成されている壁パネルユニットに関するものである。本発明は前記壁パネルユニットを使用した請求項11の前文に記載の壁構造にも関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】FI20055614号明細書
【特許文献2】PCT/FI/2006/050455号明細書
【特許文献3】米国特許第3596424号明細書
【背景技術】
【0003】
PCT/FI/2006/050455号に対応するフィンランド国特許出願FI20055614号は、公知の壁パネルユニットを開示している。この解決策は片面式のパネルユニットを含んで構成され、パネルユニットの両長側縁は折曲げ縁部分を含み、この折曲げ縁部分によって隣接する壁パネルユニットが1つの壁構造として互いに取付けられる。折曲げ縁部分は互いに重ね合わされるので、この解決策はできるだけ一体化した耐火構造とするようにパネルユニットに絶縁材の取付けを可能にする。この解決策は、特に船舶や他の水上乗物の船室区画への使用に好適である。何故なら、隣接する客室ユニットにおいてパネルユニットのそれ自体開放されている後部を互いに向き合わせて配置することで、材料の節約および構造体の重量軽減を図ることができるからである。この構造は、船室通路の側壁が別途作られる場合にはその側壁にも使用できる。
【0004】
船室区画もまた、両面式のカセット状壁パネルユニットおよびそれによって組立てられる壁構造を使用することのできる、また、使用することが好ましい場所を有する。公知の両面式壁構造は米国特許第3596424号に開示されている。この解決策もまた、カセット状の主に閉じた構造を形成するために折曲げ縁部分を使用している。しかしながら、壁パネルユニットの壁パネル部材は長側縁の方向において一方の部材が他方の部材の内側に配置され、隣接するパネルユニットの両縁部も長手方向においてその一方が他方の内側に配置されるので、この解決策である壁パネルユニットの組立ては困難となる。これにより壁の組立ては垂直方向に実施されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、船舶や同様の水上の乗物におけるさまざまな応用例、例えば衛生設備や他の設備の間に使用することが適当な構造体として特に好適な改良された多機能な両面式の壁パネルユニット、および従来技術の欠点を解消したこの壁パネルユニットによって形成される壁構造を提供することである。本発明の目的はまた、取付けが容易で有利な製造上の特徴を有する簡単で薄く軽量な構造の壁構造ユニットおよび壁構造を形成することである。この壁構造は、現在の防火安全性に係わる要求条件も満たさなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の記載、また他の請求項の詳細な開示にしたがって達成される。
【0007】
本発明によれば、対面する壁パネル部材の前記折曲げ縁部分は壁パネル部材の面に直角なガイド部分および支持部分を含み、ガイド部分および支持部分は相互に協働することで壁パネル部材をその面に主に直角な方向に関して互いに取付けることができるように構成されており、別個の固定手段を備えなくても互いに接触状態に保持される。この部材の製造および組立ては容易である。何故なら、取付けおよび相互支持に必要な折曲げ縁部分は実際の壁パネル部材と一体化された部分であり、これにより部材を互いに直接に接触させて取付けることができ、別個の固定手段は必要ないからである。
【0008】
壁パネル部材の方向に沿って重ね合わされる部分を含むように前記折曲げ縁部分を設計することにより、良好な防火安全性を有する構造および剛性的で頑丈な構造が形成される。
【0009】
前記ガイド部分および支持部分は、1つの壁パネル部材の前記両部分が他の壁パネル部材の対応する両部分の間に少なくとも部分的に位置するように配置されることが好ましい。したがって、壁パネル部材は組立て状態を保持し、また、搬送および据付場所での取付けを容易に行うことができる。
【0010】
前記直角なガイド部分および支持部分は、壁パネルユニットの長側縁の方向に沿って壁パネル部材を相互に位置決めするために互いに或る間隔距離内に位置された多数の整合用凹部を備えることが好ましい。これは壁パネルユニットの組立てを助成し、また、部材の互いの固定を支援することになる。
【0011】
実際に、壁パネルユニットの全体の深さ寸法を本質的に定めるように第2の壁パネルユニットの折曲げ縁部分を配置することで十分である。
【0012】
実際の解決策においては、前記折曲げ縁部は付加的に1つの縁部に隆起部を、また、対向する縁部にそれと組合う溝を含むように設計される。前記隆起部および溝はさらに相対的に寸法決めされ、隣接する壁パネルユニットがその面の方向に沿って隆起部および溝を介して互いに重なり合って取付けることができるように設計される。この方法により、同じ折曲げ縁部が、壁パネルユニットの個別の部材を相互固定することと、隣接する壁パネルユニットを一体壁構造として互いに取付けることの両方に使用することができる。
【0013】
完全に閉じた構造を形成することが意図される場合には、壁パネル部材の両短側縁は壁パネルユニットの端部を閉じる折曲げ縁部を備えており、その折曲げ縁部はさらに壁パネル部材の面の方向に沿って伸長して、壁パネルユニットをその取付け場所に固定できる延長部を形成している。
【0014】
この壁パネルユニットを厚さ10mm未満の鋼板で作り、片面にPVCを被覆する場合に、有利な防火安全性、有用性および見栄えを有する構造が形成される。壁パネルユニットの直角方向の厚さは最大50mmであることが好ましい。防火安全性は鉱物ウールやガラスウールのような耐火材料を両壁パネル部材の間に配置することでさらに向上できる。前記壁パネル部材が取付けられる前に耐火材料で作られた部材を好ましいことに他方すなわち内側の壁パネルユニットの折曲げ部分の内側に取付けることができ、これによりその部材は他方の壁パネル部材と接触状態に保持されて小型の壁パネルユニットを形成できる。
【0015】
本発明はまた、少なくとも2枚の上述した主に四角形の板状の壁パネルユニットを含み、それらの壁パネルユニットがその長側縁の折曲げ縁部分で互いに取付けられるように配置されている耐火材料で作られた壁構造にも関するものである。この場合、前記折曲げ縁部は、両壁パネルユニットがその短側縁の方向に沿って互いの内側に取付けることができ、一旦取付けられたならば互いに部分的に重なり合わされて別途の固定手段が無くても壁構造の面に直角な方向に固定されるように、配置される。前記折曲げ縁部は、壁構造の面の方向に沿って隣接する壁パネルユニットが両面で一体化した壁構造を形成するように付加的に設計され寸法決めされる。これは、両面の見栄えのよい、また素早く簡単に取付けられる壁構造を形成する。
【0016】
相互に協働する折曲げ縁部分のガイド面および支持面は両壁パネルユニットの両壁パネル部材の部分を含むことが好ましい。これは十分に剛性的で頑丈な構造を形成する。
【0017】
以下に本発明は添付した概略図を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】不等角投影図で本発明による1つの壁パネルユニットを示している。
【図2】互いに関連する壁パネルユニットの対向パネルの位置決めを示している。
【図3】隣接する壁パネルユニットの互いの取付けを示している。
【図4】不等角投影図で壁パネルユニット全体を示している。
【図5】図4の拡大部分Aを示している。
【図6】図4の拡大部分Bを示している。
【実施例1】
【0019】
図面の図1を参照すれば、壁パネルユニット1は両側縁に折曲げ縁部分2b,2cを形成された面2aを有する第1の壁パネル部材2と、両側縁に折曲げ縁部分3b,3cを形成された面3aを有する第2の壁パネル部材3とを含む。折曲げ縁部分2b,2c,3b,3cは四角形の壁パネルユニット1の両側縁に配置されている。壁パネル部材2,3は、折曲げ縁部分の面2a,3aに直角なガイド部分および支持部分2dおよび2e、およびこれと対応する3dおよび3eによって互いに接触された状態で取付けられる。折曲げ縁部分の適当な設計により、したがって適当な製造公差および摩擦により、パネル部材2,3は別途の固定手段が無くても互いに接触状態に保たれて、壁パネルユニット1の全体が必要に応じて移動させることができる。
【0020】
図1に見られるように、折曲げ縁部分2b,2c,3b,3cは結合部の剛性を加える重ね合わせ部分2f,2g,3f,3gを含むように付加的に設計される。折曲げ縁部分2b,2c,3b,3cは一緒になって壁パネルユニット1の一方の面に隆起部を、また他方の面に溝を形成するように付加的に構成され、これによりガイド部分および支持部分2d,3dが隆起部頂点を、またガイド部分および支持部分2e,3eが対応する溝底を形成する。折曲げ縁部分の前記隆起部および溝および重ね合わせ部分は、隆起部および溝が互いに組合うように寸法決めされて、隣接する壁パネルユニット1,1’が図3に示すように一体化したレベル面を含む壁構造を形成するように両面の隆起部および溝により互いに取付けられるようになされる。したがって、同じガイド部分および支持部分2d,3dおよび対応するガイド部分および支持部分2e,3eは2つの異なる目的を果たし、一方では対向する壁パネル部材2,3を互いに取付け、また他方では対向する壁パネルユニット1,1’を互いに取付けるために使用される。
【0021】
図2は、壁パネルユニット2,3の折曲げ縁部分2b,2cおよび(または)3cに適当な整合凹部2h,3hを備えた状態を示しており、幾つかの凹部は、壁パネルユニット1の長側縁の方向に沿って壁パネル部材2,3を相対的に位置決めするために、壁パネル部材2,3の長側縁に配置することができる。
【0022】
図4、図5および図6は壁パネル部材2,3の短側縁の形状を示している。壁パネルユニット1の端部を閉じることのできる折曲げ部分5が壁パネル部材3の短側縁に配置される。同様に、第2の壁パネル部材2の短側縁は壁パネル部材の面の方向に沿って伸長する延長部6を備えており、この延長部により壁パネルユニット1は各々の取付け場所の支持構造体に対して固定することができる。
【0023】
壁パネル部材の材料は、好ましくは例えばPVCを被覆された鋼板とすることができ、これにより壁構造の面は見栄えがよいので、そのままで取付け場所の簡易な壁構造を形成することができる。必要ならば、壁パネルユニット1は内部に絶縁材を備えることができる。小型の壁パネルユニット1を形成するために、壁パネル部材が第2の壁パネル部材2に接触させて取付けられる前に、第2すなわち内側の壁パネル部材3の折曲げ部分の内側に絶縁材を取付けることが好ましい。壁パネルユニットの厚さは50mmまたは50mm未満であることが好ましい。別途の絶縁材が使用されないのであるならば、この厚さは約30mmと本質的に小さくされることが好ましい。延長部によって壁パネルユニットの長側縁は長さが約2200mmとされ、短側縁は折曲げ縁部分を含めて約1120mmとされる。隣接する壁パネル部材の相互の重ね合わせは約20mmであることが好ましい。
【0024】
本発明は開示した実施例に限定されることはなく、幾つかの変更例が特許請求の範囲の請求項に記載の範囲内で考えることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 壁パネルユニット
2,3 壁パネル部材
2a,3a 面
2b,2c,3b,3c 折曲げ縁部分
2d,2e,3d,3e ガイド部分および支持部分
2f,2g,3f,3g 重ね合わせ部分
2h,3h 整合凹部
5 折曲げ部分
6 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火材で作られた壁パネルユニットであり、2枚の主に四角形の板状壁パネル部材(2,3)を含み、壁パネルユニットの両長側縁は壁パネル部材の縁部で形成された折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)を備え、前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)により互いに連結されて両面式の少なくとも主に閉じた壁構造部分を形成するように構成されており、対向する壁パネル部材(2,3)の前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)は壁パネル部材の面(2a,3a)に直角なガイド部分および支持部分(2d,2e,3d,3e)を含み、ガイド部分および支持部分は相互に協働して壁パネル部材(2,3)がその面(2a,3a)に主として直角に互いに取付けることができるとともに、特別な固定手段がなくても互いに連結状態に保たれる壁パネルユニット(1)であって、前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)は壁パネル部材の面(2a,3a)の方向に沿って重ね合わせ部分(2f,2g,3f,3g)を含むように付加的に設計され、改良された剛性および壁パネル部材(2,3)の相互支持を達成することを特徴とする壁パネルユニット(1)。
【請求項2】
前記ガイド部分および支持部分(2d,2e,3d,3e)は、第2の壁パネル部材(2)の部分(2d,2e)が他の壁パネル部材(3)の対応する部分(3d,3e)の間に少なくとも部分的に位置するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の壁パネルユニット。
【請求項3】
前記直角なガイド部分および支持部分(2d,2e,3d,3e)は多数の整合凹部(2h,3h)を備えており、整合凹部は互いに或る間隔距離を隔てて配置され、壁パネルユニット(1)の長側縁の方向に沿って壁パネル部材(2,3)を相互に位置決めできるようにする請求項2に記載の壁パネルユニット。
【請求項4】
壁パネル部材の折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)が壁パネルユニット(1)全深さを本質的に定めるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の壁パネルユニット。
【請求項5】
前記折曲げ縁部分(2b,2c,3b,3c)が1方の縁部に隆起部を、また対向する縁部に溝を含むように設計され、また、前記隆起部および溝はさらに相対的に寸法決めされ、隣接する壁パネルユニット(1,1’)がその面(2a,3a)の方向に沿って互いに重なり合って取付けることができるように設計されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の壁パネルユニット。
【請求項6】
壁パネルユニット(1)の端部を閉じることのできる折曲げ部分(5,6)が壁パネル部材(2,3)の短側縁に配置され、さらにまた、壁パネルユニットの面(2a,3a)の方向に沿って伸長して、壁パネルユニット(1)をそれぞれの取付け場所に固定できる延長部(6)を形成していることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の壁パネルユニット。
【請求項7】
壁パネルユニット(2,3)がPVCを一方の面に被覆した鋼板であり、その鋼板の厚さが10mm未満であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の壁パネルユニット。
【請求項8】
壁パネルユニット(2,3)の直角方向の壁パネルユニット(1)の厚さが最大50mmであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の壁パネルユニット。
【請求項9】
鉱物ウールまたはガラスウール等の耐火材料がパネル部材(2,3)の間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁パネルユニット。
【請求項10】
小型の壁パネルユニット(1)を形成するために、第2の壁パネル部材(3)を他方の壁パネル部材(2)に接触させて取付ける前に、第2すなわち内側の壁パネル部材(3)の折曲げ部分の内側に耐火材料が取付けられることを特徴とする請求項9に記載の壁パネルユニット。
【請求項11】
耐火材で作られた壁構造であり、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の少なくとも2枚の主に四角形の板状壁パネルユニット(1,1’)を含み、前記ユニットはその長側縁の折曲げ縁部分(2c,3c,2’b,3’b)により互いに取付けられるように配置された壁構造であって、前記折曲げ縁部分(2c,3c,2’b,3’b)は壁パネルユニット(1,1’)がその短側縁の方向に沿って互いの内側に取付けられるように配置され、これにより一旦取付けられたならば互いに部分的に重なり合わされて別途の固定手段が無くても壁構造の面(2a,3a,2’a,3’a)に直角な方向に固定される、また、前記折曲げ縁部分(2c,3c,2’b,3’b)は、壁構造の面(2a,2’a,3a,3’a)の方向に沿って隣接する壁パネルユニット(1,1’)が両面で一体化した壁構造を形成するように付加的に設計され寸法決めされていることを特徴とする壁構造。
【請求項12】
折曲げ縁部分(2a,2’a,3a,3’a)の相互に協働するガイド面および支持面は両壁パネルユニット(1,1’)の両壁パネル部材の部分を含むことを特徴とする請求項11に記載の壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−6】
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【公表番号】特表2010−522288(P2010−522288A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554051(P2009−554051)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050116
【国際公開番号】WO2008/113886
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504359156)
【Fターム(参考)】