説明

売上データ処理装置及びプログラム

【課題】登録待ちの顧客を撮影した画像内にその顧客に関する情報が含まれていてもその画像部分を容易に特定してその情報が視認されることを防止できるようにする。
【解決手段】CPU11は、クレジットキーCKの操作が行われなければ、客側カメラ20により撮影された顧客画像をSDカード22Aにそのまま保存対象として記憶させるが、クレジットキーCKの操作が行われたときには、顧客画像の中から当該操作の前後の画像を解析し、その顧客に関する情報が含まれている画像部分に対して顧客に関する情報が視認困難となるような画像加工を施してから保存対象としてSDカード22Aに記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、店舗においては、ECR(Electronic Cash Register)、POS(Point of sale)端末などの売上データ処理装置により登録処理された売上データを分析したり、その顧客(購入者)の属性(買物頻度、リピート率、性別、年齢層など)を分析したりするようにしている。例えば、顧客の買物頻度やリピート率、性別や年齢層などを分析する場合には、予め発行した会員カードから読み取ったカードデータに基づいてその顧客(会員ID)を特定して、購入履歴として記録して分析するようにしているが、会員カードを媒体とした顧客分析では、会員カードの発行やコスト、更には会員加入率に課題が残るほか、非会員にあっては顧客分析を行うことはできない。
また、従来では、顧客の顔を撮影するカメラを備え、このカメラによる撮影画像から顔の特徴を抽出して、顧客データベースの内容と照合するようにした技術として、例えば、特許文献1などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−325433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、例えば、クレジット決済が行われた取引では、顧客が財布からクレジットカードを取り出す様子やクレジットカードをオペレータに渡す様子も一緒に撮影されてしまうことが多く、その撮影画像からクレジットカードの会員番号や有効期限が第三者に視認されて不正使用されるおそれがあった。
このような場合に、クレジットカードが写っている画像部分に対してぼかし処理やマスキング処理を施すことも考えられるが、撮影画像内の一部分にクレジットカードが写っているか否かを検出することは、画像の個々を詳細に解析しながら精査しなければならず、このような精査を全ての画像に対して行うことは、その処理に大きな負担をかけてしまう。
【0005】
本発明の課題は、登録待ちの顧客を撮影した画像内にその顧客に関する情報が含まれていてもその画像部分を容易に特定してその情報が視認されることを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
所定の操作が行われたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する画像加工手段と、
前記画像加工手段により加工された画像データを保存対象として記憶させる第2の記憶制御手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
登録待ちの顧客を撮影する機能と、
所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる機能と、
前記所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する機能と、
前記特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する機能と、
前記加工された画像データを保存対象として記憶させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、登録待ちの顧客を撮影した画像内にその顧客に関する情報が含まれていてもその画像部分を容易に特定してその情報が視認されることを防ぐことができ、処理の簡素化と共に個人情報の保護の観点からも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】売上データ処理装置として適用したECR1を含む通信システムを示したブロック図。
【図2】ECR1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】ECR1をその前方斜め(顧客側)から見た状態の外観斜視図。
【図4】客側カメラ20によって撮影した登録待ち行列の顧客画像を例示した図。
【図5】モードスイッチMSが「登録(REG)」モードに切り換えられている場合に実行される登録処理を説明するためのフローチャート。
【図6】画像加工処理(図5のステップA10)を詳述するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、図1〜図6を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、売上データ処理装置として適用したECR(Electronic Cash Register)を含む通信システムを示したブロック図である。
この通信システムは、系列店舗毎に売上データ処理システムを有し、各売上データ処理システムは、複数台のECR1が管理装置(サーバ装置)2にLAN(構内専用回線)3を介して通信接続されているほか、管理装置(サーバ装置)2及びインターネット4を介してクレジット会社側のセンタ装置5に通信接続されている。
【0011】
ECR1は、売上データを取引毎に登録処理すると共に、一取引の登録の終了時に締め処理を実行するが、その締め処理時に顧客からクレジットカードによる支払いが要求されると、そのクレジットカードから顧客情報(カード情報)を読み取ってサーバ装置2に送信し、サーバ装置2は、ECR1から受信したカード情報をインターネット4を介してセンタ装置5に送信することによりオーソリゼーション(与信照会)を行うようにしている。センタ装置5は、受信したクレジットカードのカード情報に基づいて不正カードであるか否かを検査したり、顧客データベースCDを検索したりしてその信用状況を判定し、その結果、不正系(不正カード、期限切れなど)のエラーであれば、照会元のサーバ装置2に対してその旨の通知し、サーバ装置2は、この不正系のエラー通知をECR1に送信するようにしている。ECR1は、サーバ装置2を介して受信した判定結果が不正系(不正カード、期限切れなど)のエラー通知であれば、その顧客を撮影した画像を、ECR1側では保存せずに、サーバ装置2を介してセンタ装置5に送信することによりセンタ装置5側を保存先とするようにしている。
【0012】
図2は、ECR1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
このECR(売上データ処理装置)1は、その基本的な機能(標準機能)として、入力された一取引分の売上データを登録処理すると共に、一取引分の登録終了時に顧客から渡された金種に応じた種類の締め処理を行う売上データの登録機能などを備えているほか、登録待ち(精算待ち)の顧客を撮影するカメラ機能を備えている。CPU11は、各種プログラムにしたがってこのECR1の全体動作を制御する中央演算処理装置である。
【0013】
記憶部12は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体やその駆動系を有し、後述する図5及び図6に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどを記憶したり、データベース、文字フォントデータなどを記憶したりする。なお、上述の記憶媒体は固定的に設けた内蔵型の記憶媒体に限らず、着脱可能な可搬型の外部記憶媒体であってもよく、また、プログラム/データは、他の機器から有線伝送路あるいは無線伝送路を介して記憶媒体にインストールしたり、プログラム/データを記憶管理するサーバなどをアクセスして使用したりするようにしてもよい。メモリ13は、計時データ、フラグデータなど、このECR1が動作するために必要な各種のデータを一時的に記憶するワーク領域である。
【0014】
また、CPU11には、その入出力周辺デバイスである操作部14、スキャナ15、操作者用表示部16、客用表示部17、印字部18、ドロア駆動部19、客側カメラ20、カード読取部21、カードインターフェイス部22、LA通信部23などがバスラインを介して接続されており、入出力プログラムにしたがってCPU11はそれらの動作を制御する。操作部14は、押しボタン式の各種キーが配列されているキーボードを有し、このキーボード上には図示省略したが、テンキー、登録キー、小計キー、現金/預かり金キーなどのほか、クレジットキーCK、モードスイッチMSが配設されている。
【0015】
クレジットキーCKは、一取引の登録の終了時に締め処理を実行するが、その際、顧客からクレジットカード使用による支払い(信用売り取引)が要求された場合に操作される締めキーである。モードスイッチMSは、その切り換え位置に応じて「登録(REG)」、「戻し(RF)」、「精算(Z)」などの各種の動作モード(プログラム種)を切り換えるロータリー式のスイッチである。CPU11は、「登録(REG)」モードに切り換えられている状態において、入力された売上データを表示させたり、レシート印刷させたり、更には、売上合計を更新したりする登録処理を実行し、一取引の登録終了時に締めキーが押下されると、ドロアを開放させたり、レシートを発行させたりする。
【0016】
スキャナ15は、例えば、CCDやCMOSなどの画像センサ(イメージセンサ)を有し、商品の登録時のスキャニング動作時にその商品に添付されているバーコードや二次元コードを撮影することにより読み取るもので、CPU11は、スキャナ15により撮影された画像データを解析することによってバーコードなどのコードデータをデコードして商品を特定するようにしている。操作者用表示部16は、担当者(オペレータ)用として、金額や商品に関するデータ、メッセージなどを表示するもので、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどにより構成されている。
【0017】
客用表示部17は、登録待ち(精算待ち)の顧客用としてその画面を顧客側に対面させたもので、例えば、7セグメントLED(発光ダイオード)などにより構成され、商品単価、個数、小計金額、預かり金額などを数値表示する。印字部18は、例えば、熱転写やインクジェットなどのノンインパクトプリンタあるいはドットインパクトプリンタであり、レシート印字を行う。ドロア駆動部19は、キー操作に応じてドロア19Aの開閉を制御する。客側カメラ20は、客用表示部17に接近配設されたもので、登録待ちしている顧客の顔を中心として撮影する。なお、客側カメラ20の構成は、図示省略したが、レンズ部、撮像素子、A/D(アナログ/デジタル)変換部などを有し、動画像を撮影可能な構成で、レンズ部からの被写体像が撮像素子(CCD又はCMOS)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能な構成となっている。
【0018】
カード読取部21は、クレジットカード21Aからカード情報を読み取るもので、CPU11は、カード読取部21により読み取ったカード情報を、LAN通信部23を介してサーバ装置2に送信することにより、センタ装置5に対してオーソリゼーション(与信照会)を行うようにしている。カードインターフェイス部22は、記録媒体としてのSDカード22Aが挿入接続されるもので、このSDカード22Aには、客側カメラ20により撮影された画像(動画)が保存される。なお、カードインターフェイス部22に挿入接続されたSDカード22Aの盗難などを防ぐために錠前(図省略)が配設されており、例えば、責任者が所持する専用鍵を使用して、錠前を開いてSDカード22Aを取り出すようにしている。また、SDカード22Aに限らず、その他の外部記録媒体であってもよい。LAN通信部23は、管理装置(サーバ装置)2との間でデータの送受信を行うインターフェイス部である。
【0019】
図3は、上述のように構成されたECR1をその前方斜め(顧客側)から見た状態の外観斜視図である。
ECR1の上面部には、操作者用表示部16が配設されていると共に、操作部14を構成するキーボード及びモードスイッチMSが配設され、更に、印字部18が配設されている。また、ECR1の背面部には、客用表示部17の筐体1Aを支持するポール状の支持部材(支持ポール)1Bが垂直に固定されており、この支持ポール1Bは、客用表示部17の筐体1Aを支持するもので、その長さは調整可能な構造となっていると共に、客用表示部17の筐体1Aは、支持ポール1Bに対して回転可能となっている。つまり、筐体1Aの高さとその向きを調整可能となっており、それに応じて客用表示部17、客側カメラ20の高さとその向きも調整可能となっている。
【0020】
客側カメラ20は、図3に示すように筐体1Aの前面において客用表示部17の一端部(図中、左側端部)に接近配設され、その撮影方向は、登録待ちしている顧客方向で、その画角は、登録待ち行列の顧客を撮影可能な範囲となっている。この客側カメラ20により撮影された顧客の画像データ(動画)は、メモリ13に一時記憶される。なお、メモリ13には、例えば、一取引の最初の登録が行われてからその取引を終了させる締め操作が行われるまでの一連の撮影画像(一取引分の顧客画像)が一時記憶されるが、一取引の登録終了時(締め時)には、その取引の顧客画像がメモリ13から消去される。この場合、一取引の登録終了時(締め時)に限らず、次の取引における最初の登録時に、前回分の取引の画像をメモリ13から消去するようにしてもよい。
【0021】
一取引の終了時(締め時)において、所定の操作として、支払い用の可搬型記録媒体(クレジットカード)を使用した支払い(信用売り取引)を指示する操作が行われた際(クレジットキーCKが操作された際)にCPU11は、メモリ13に一時記憶されている一取引分の顧客画像(動画)の中から当該操作の前後の画像データを解析することにより、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定するようにしている。すなわち、一取引の登録終了時にメモリ13内の顧客画像を解析することにより、その画像内にその顧客が提示したクレジットカードが写っているか否かを判別し、クレジットカードが写っている場合にはその画像部分(クレジットカードの全体)を特定するようにしている。
【0022】
図4は、客側カメラ20によって撮影した顧客の画像データを例示した図である。なお、図示の例では、その顧客がクレジットカードを手に持ってオペレータに提示している様子を示している。
CPU11は、クレジットカードが写っている画像部分(クレジットカードの全体)を特定すると、この画像部分に対して顧客に関する情報(例えば、会員番号や有効期限)が視認困難となるような画像加工、例えば、画像劣化処理(例えば、ぼかし処理、モザイク処理)やマスキング処理(例えば、消去処理)を施した後、この加工後の画像をSDカード22Aに保存対象として記憶させるようにしている。
【0023】
すなわち、一取引の登録終了時において、現金取引であることを指示する現金/預かり金キーが操作されたときには、メモリ13に一時記憶されている一取引分の顧客画像(動画)をそのままSDカード22Aに保存対象として記憶させるが、クレジットキーCKが操作された場合に、顧客画像内にクレジットカードが写っていれば、その画像部分に画像加工を施した後、SDカード22Aに保存対象として記憶させるようにしている。なお、この実施形態においては、顧客に関する情報が含まれている画像部分としてクレジットカードの全体を特定し、その画像部分(クレジットカードの全体)に対して画像加工を施すようにしたが、顧客に関する情報である会員番号や有効期限の画像部分に対して画像加工を施すようにしてもよい。
【0024】
次に、本実施形態におけるECR1の動作概念を図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
なお、図5は、ECR1の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図5のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0025】
図5は、モードスイッチMSが「登録(REG)」モードに切り換えられている場合に実行される登録処理を説明するためのフローチャートである。
先ず、CPU11は、売上データを登録する登録操作が行われたかを調べたり(ステップA1)、一取引分の登録終了時においてクレジットキーCKが操作されたかを調べたり(ステップA8)、現金/預かり金キーが操作されたかを調べたり(ステップA11)、その他のキーが操作されたかを調べたりする(ステップA17)。
【0026】
いま、売上データを登録する登録操作が行われたときには、つまり、商品からバーコードなどを読み取るためにスキャナ15によるスキャニング動作が行われたか、金額データの値数入力後に商品キーなどが操作されたときには(ステップA1でYES)、次のステップA2に移り、客側カメラ20の撮影動作は停止中であるかを調べる。ここで、客側カメラ20が停止中であれば(ステップA2でYES)、一取引の最初の登録操作かを調べる(ステップA3)。いま、一取引の最初の登録操作が行われたときには(ステップA3でYES)、「動画ファイル名」を生成して当該「動画ファイル名」を設定させた後(ステップA4)、客側カメラ20を起動させてその撮影画像を逐次記録する録画動作を開始させる(ステップA5)。そして、商品登録処理を行った後(ステップA6)、一取引分の小計金額を更新して(ステップA7)、操作待ちのステップA1に戻る。以下、登録操作が行われる毎に(ステップA1でYES)、以下、上述の動作を繰り返す。
【0027】
一方、小計キーや訂正キーなど、その他のキーが操作されたときには(ステップA17でYES)、その操作キーに応じた処理を実行した後(ステップA18)、操作待ちのステップA1に戻る。例えば、小計キーの操作に応じて小計金額を操作者用表示部16及び客用表示部24に表示させたり、訂正キーの操作に応じて入力データを訂正したりする処理を行う。また、一取引分の登録終了時において現金/預かり金キーが操作されたときには(ステップA11でYES)、現金取引に関する締め処理として、現金取引の合計データを更新する処理を行ったり、ドロアを開放させたり、印字部17を駆動させて今回の一取引分の売上データ、預かり金、つり銭をレシート印字させてレシートを発行させたりする(ステップA12)。そして、ステップA15に移り、客側カメラ20により撮影されてメモリ13に一時記憶されている一取引分の顧客画像(動画)をSDカード22Aに転送して保存させる画像保存処理を実行して、客側カメラ20の動作を停止させた後(ステップA16)、図5のフローから抜ける。
【0028】
また、一取引分の登録終了時においてクレジットキーCKが操作されるほか、カード読取部21によりクレジットカード21Aからカード情報が読み取られたときには(ステップA8でYES)、信用売り取引に関する締め処理を行う(ステップA9)。すなわち、信用売り取引の合計データを更新する処理を行ったり、印字部17を駆動させて今回の一取引分の売上データをレシート印字させてレシートを発行させたり、クレジットカード21Aから読み取られたカード情報を、サーバ装置2を介してセンタ装置5に送信してオーソリゼーション(与信照会)を行ったりする。その後、顧客画像を加工する画像加工処理に移る(ステップA10)。
【0029】
図6は、画像加工処理(図5のステップA10)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU11は、客側カメラ20により撮影されてメモリ13に一時記憶されている今回取引分の顧客画像(動画)の中から最初の登録時点(一取引の最初の登録時の先頭画像位置)まで遡った後(ステップB1)、その最初の登録時点の画像を指定する(ステップB2)。そして、この指定画像を解析し(ステップB3)、その指定画像内に顧客が提示したクレジットカードが写っているか否かを判別する(ステップB4)。この場合、クレジットカードの形状、厚み、大きさ、色、模様、文字列などを総合的に判断してクレジットカードの有無を判別するようにしているが、この判別は、カメラなどの技術において一般的に用いられている顔認識技術と同様であり、本実施形態ではその周知技術を利用するようにしているため、その具体的な説明については省略するものとする。
【0030】
いま、指定画像内にクレジットカードが写っていなければ(ステップB4でNO)、次の画像を指定する(ステップB7)。この場合、次画像の指定は、1フレーム毎に限らず、例えば、10フレーム毎あるいは1秒間隔毎のように間隔を空けて指定するようにしてもよい。そして、一取引分の画像を指定し終わったかを調べ(ステップB8)、一取引の末尾まで指定し終わるまで上述のステップB3に戻り、クレジットカードの有無を判別する。これによって指定画像内にクレジットカードが含まれていることを判別したときには(ステップB4でYES)、そのクレジットカードの全体の画像部分を特定し(ステップB5)、その画像部分に対して、例えば、ぼかし処理(例えば、モザイク処理)やマスキング処理(例えば、消去処理)などの画像加工を施す(ステップB6)。なお、上述のように10フレーム毎あるいは1秒間隔毎のように間隔を空けて画像を指定した場合には、10フレーム前あるいは1秒前の画像まで遡ってクレジットカードの有無を判別し、クレジットカードが含まれていれば、クレジットカードが含まれている各画像に対して上述と同様の画像加工を施すようにしている。その後、一取引分の画像を指定し終わったときには(ステップB8でYES)、図6のフローから抜ける。
【0031】
このような画像加工処理(図5のステップA10)が終わると、ECR1側ではセンタ装置5から不正系(不正カード、期限切れなど)のエラー通知を受信したか否かを調べる(ステップA13)。なお、センタ装置5側では、ECR1から受信したカード情報に基づいて不正カードであるかを検査したり、顧客データベースCDを検索したりしてその信用状況を判定し、その結果、不正系(不正カード、期限切れなど)のエラーであれば、その旨をサーバ装置2を介してECR1に通知するようにしている。
【0032】
いま、センタ装置5から不正系のエラー通知をECR1が受信したときには(ステップB13でYES)、メモリ13内の一取引分の顧客画像(動画)をSDカード22Aに保存せずに、サーバ装置2を介してセンタ装置5に送信することによりその保存先をセンタ装置5側とする(ステップA14)。この場合、上述の画像加工処理の実行可否に関わらず、センタ装置5を顧客画像の保存先とするが、センタ装置5から不正系のエラー通知を受信しなければ、つまり、正常なクレジットカードであれば(ステップB13でNO)、メモリ13内の一取引分の顧客画像(動画)をセンタ装置5に送信せずに、SDカード22Aに転送して保存させる(ステップA15)。その後、客側カメラ20の動作を停止させた後(ステップA16)、図5のフローから抜ける。
【0033】
以上のように、本実施形態においてECR1は、所定の操作が行われなければ、客側カメラ20により撮影された顧客画像をSDカード22Aにそのまま保存対象として記憶するが、所定の操作が行われた場合には、顧客画像の中から当該操作の前後の画像を解析し、その顧客に関する情報が含まれている画像部分に対して顧客に関する情報が視認困難となるような画像加工を施した後、この画像後の画像を保存対象としてSDカード22Aに記憶するようにしたので、登録待ちの顧客を撮影した画像内にその顧客に関する情報が含まれていてもその画像部分を容易に特定してその情報が視認されることを防ぐことができる。すなわち、全ての取引の顧客画像を解析する必要はなく、所定の操作が行われた場合の取引の顧客画像に対してのみ画像解析を行えばよく、処理の簡素化が可能となり、しかも個人情報の保護の観点からも優れたものとなる。
【0034】
顧客に関する情報は、クレジットカードに記載されている会員番号や有効期限であるので、会員番号や有効期限の漏洩を防ぐことができる。
【0035】
所定の操作は、一取引の終了時(締め時)、支払い用の可搬型記録媒体(クレジットカード)を使用した支払いを指示する操作であるから、クレジットキーCKが操作されたか否かに応じて画像加工が必要か否かを判別することができ、これによって解析対象の絞り込みが可能となる。
【0036】
顧客に関する情報が含まれている画像部分に対してその部分を消去する加工処理あるいはその部分を劣化する加工処理を施すようにしたので、顧客に関する情報を容易に視認困難とすることができる。
【0037】
ECR1は、センタ装置5から不正系のエラー通知を受信すると、一取引分の顧客画像(動画)をSDカード22Aに保存せずに、サーバ装置2を介してセンタ装置5に送信することによりその保存先をセンタ装置5側とするようにしたので、ECR1が壊されたとしてもセンタ装置5側にその顧客画像を保持することができる。これによってECR1側には顧客画像が残っていないことを周知させることで店舗への襲来を予防することが可能となる。
【0038】
客側カメラ20は、登録待ち顧客が視認する客用表示部17に搭載されていると共に登録待ち顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されているので、顧客の顔を正面から撮影することができ顔認識を適切に行うことが可能となる。
【0039】
なお、上述した実施形態においては、顧客に関する情報として、クレジットカードに記載されている会員番号や有効期限としたが、これに限らず、名札に記載されている情報(名前や会社名など)、衣服や帽子に記載されている情報(会社ロゴなど)であってもよい。
【0040】
また、上述した実施形態においては、所定の操作としてクレジットキーCKを示したが、クレジットキーCKに限らず、例えば、オペレータが顧客の衣服や帽子などに記載されている会社ロゴなどを発見した場合に、画像の加工を指示する操作であてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態においては、所定の操作の前に遡って顧客画像を解析するようにしたが、所定の操作後における顧客画像を解析したり、所定の操作の前及び後における顧客画像を解析したりするようにしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0043】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
所定の操作が行われたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する画像加工手段と、
前記画像加工手段により加工された画像データを保存対象として記憶させる第2の記憶制御手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の売上データ処理装置において、
前記顧客に関する情報は、少なくとも、支払い用の可搬型記録媒体に記載されている情報、名札に記載されている情報、衣服や帽子に記載されている情報のいずれかである、
ことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の売上データ処理装置において、
前記所定の操作は、一取引の登録終了時に支払い用の可搬型記録媒体を使用した支払いを指示する操作である、
ことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の売上データ処理装置において、
前記画像加工手段は、前記特定手段により特定された画像部分に対してその部分を消去する加工処理あるいはその部分を劣化する加工処理を施す、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の売上データ処理装置において、
前記所定の操作は、一取引の登録終了時に支払い用の可搬型記録媒体を使用した支払いを指示する操作であり、
前記支払い用として使用された可搬型記録媒体が不正であることが前記センタ装置により検出された場合に、前記第1及び第2の記憶制御手段は、保存対象の画像データをネットワークを介してセンタ装置に転送することにより当該センタ装置側に保存先として記憶させる、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の売上データ処理装置において、
前記撮像手段は、登録待ち顧客が視認する客用表示部に搭載されていると共に登録待ち顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されている、
ことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
登録待ちの顧客を撮影する機能と、
所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる機能と、
前記所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する機能と、
前記特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する機能と、
前記加工された画像データを保存対象として記憶させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0044】
1 ECR
4 インターネット
5 センタ装置
11 CPU
12 記憶部
14 操作部
16 操作者用表示部
17 客用表示部
20 客側カメラ
21 カード読取部
21A クレジットカード
CK クレジットキー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
所定の操作が行われたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮像手段により撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する画像加工手段と、
前記画像加工手段により加工された画像データを保存対象として記憶させる第2の記憶制御手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
前記顧客に関する情報は、少なくとも、支払い用の可搬型記録媒体に記載されている情報、名札に記載されている情報、衣服や帽子に記載されている情報のいずれかである、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
前記所定の操作は、一取引の登録終了時に支払い用の可搬型記録媒体を使用した支払いを指示する操作である、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
前記画像加工手段は、前記特定手段により特定された画像部分に対してその部分を消去する加工処理あるいはその部分を劣化する加工処理を施す、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の売上データ処理装置。
【請求項5】
前記所定の操作は、一取引の登録終了時に支払い用の可搬型記録媒体を使用した支払いを指示する操作であり、
前記支払い用として使用された可搬型記録媒体が不正であることが前記センタ装置により検出された場合に、前記第1及び第2の記憶制御手段は、保存対象の画像データをネットワークを介してセンタ装置に転送することにより当該センタ装置側に保存先として記憶させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の売上データ処理装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、登録待ち顧客が視認する客用表示部に搭載されていると共に登録待ち顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の売上データ処理装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
登録待ちの顧客を撮影する機能と、
所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われなかったことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データを保存対象として記憶させる機能と、
前記所定の操作が行われたことが判別された場合に、前記撮影された顧客の画像データの中から当該操作の前後の画像データを解析して、その顧客に関する情報が含まれている画像部分を特定する機能と、
前記特定された画像部分に対して前記顧客に関する情報が視認困難となるように加工する機能と、
前記加工された画像データを保存対象として記憶させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−25602(P2013−25602A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160509(P2011−160509)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】