変圧器残存寿命推定システム
【課題】乾式またはモールド変圧器の複合劣化による絶縁の劣化度合いを定量的に評価し、且つ残存寿命を統計的に推定する変圧器残存寿命推定システムを提供する。
【解決手段】変圧器残存寿命推定システムは、気中使用の電気機器の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、変圧器のデータを入力するデータ入力手段と、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を用いて経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値に到達するまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、推定した残存寿命に基づいて所見文書を検索する所見文書検索手段と、を備える。
【解決手段】変圧器残存寿命推定システムは、気中使用の電気機器の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、変圧器のデータを入力するデータ入力手段と、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を用いて経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値に到達するまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、推定した残存寿命に基づいて所見文書を検索する所見文書検索手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾式変圧器またはモールド変圧器の残存寿命を推定する変圧器残存寿命推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なビルの地下電気室や超高層ビルの高圧サブ電気室などにおいては油入変圧器が多用されてきたが、不燃化を目的にして、25年位前から除々に乾式変圧器が採用され始め、近年ではモールド変圧器の適用率が高まってきている。
ところで、老朽化した変圧器を更新する目安は、油入変圧器の場合には、絶縁抵抗値または誘電体損失率と油温との関連図を用いてIEC規格などとして公表された良否判定図から、年次点検時の絶縁抵抗値や誘電体損失率に対応する値とし、絶縁劣化の評価を行っている。
しかし、乾式変圧器またはモールド変圧器については油入変圧器のような絶縁劣化判定の評価図が公表されていないので、ビルの設備管理者は年次点検データなどを踏まえて、変圧器メーカの意向も参考にして判断している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−274473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、年次点検は停電時に実施され、その時に入手した変圧器の絶縁抵抗値のみが唯一の判断材料となっているため、設備管理者の主観的な要素に依るところが多く、客観的な判断が下せないばかりか、余寿命の推定評価を実施するという発展的な技術展開の道も閉ざされた状態であった。
【0005】
この発明の目的は、乾式変圧器またはモールド変圧器の経年、環境、運転に関わる諸要因の複合劣化による絶縁の劣化度合いを定量的に評価し、且つ絶縁的な余寿命を統計的に推定する変圧器残存寿命推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る変圧器残存寿命推定システムは、既存の気中使用の電気機器の特性の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、残存寿命推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段と、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を経過年数での第1信頼度での値と見なし且つ上記入力された特性値に上記倍率を乗算して第2信頼度での値を求め、且つ上記第1信頼度での値および第2信頼度での値から上記傾きで延ばすことにより経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値を超えるまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、推定した残存寿命に基づいて上記所見文書を検索する所見文書検索手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る変圧器残存寿命推定システムの効果は、高圧回転機について得られている経過年数に対するMeg値またはtanδ値の実測データを重回帰分析して回帰曲線または回帰直線を求め、劣化の割合は片対数で表した回帰曲線または回帰直線の傾きで表され、推定対象の変圧器の実測値を信頼度50%と仮定することにより信頼度99%、95%、90%での値を推定できることを見出したので、推定対象の変圧器のMeg値またはtanδ値の劣化の度合いから残存寿命を推定できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、モールド変圧器を例にしてモールド変圧器の残存寿命を推定する。なお、乾式変圧器に対して適用しても同様に残存寿命を推定することができる。
モールド変圧器は、高圧コイルと低圧コイルとの間にエポキシ注型絶縁材を使用し、また鉄心とコイル間に所定の熱絶縁階級にふさわしい電気絶縁スペーサ材を使用して絶縁されている。
モールド変圧器の高圧コイルと低圧コイルとの間、また鉄心とコイルとの間の特性として、絶縁抵抗値(以下、Meg値と称す)と誘電体損失率(以下、tanδ値と称す)を用いる。
Meg値は、モールド変圧器の定格電圧の所定の倍数の直流電圧を印加してから1分経過した時点の漏れ電流値を印加した直流電圧で除算した値である。
tanδ値は、モールド変圧器に加わる商用電力近傍の周波数の交流電圧を印加しブリッジを平衡させてからtanδを求める。
【0009】
図1は、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、図1に示すように、特性毎且つ信頼度毎の傾き、特性毎且つ信頼度が50%のときの値に対する信頼度が90%、95%、99%のときの値の倍率、所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段1、メニューを表示しシステムを制御する表示制御手段2、推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段3、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力されたMeg値またはtanδ値を用いて経過年数以降での信頼度50%、90%、95%、99%のときのMeg値またはtanδ値の推移を推定する特性値推定手段4、信頼度毎のMeg値またはtanδ値が要注意レベル値および不良レベル値を超えるまでに要する要注意年数および残存年数を推定する残存寿命推定手段5、推定した要注意年数および残存年数に基づいて所見文書を検索する所見文書検索手段6、および、推定した結果および所見文書を出力する出力手段7を有する。
【0010】
そして、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路を有するコンピュータ、モニタ、キーボード、マウスなどから構成されている。
記憶手段1は、信頼度毎の傾きを記憶する傾き表11、経過年数毎に信頼度50%の値を1にしたとき信頼度90%、95%、99%の値の倍率を記憶する倍率表12、所見文書を記憶する所見文書庫13が格納されている。
傾き表11に記憶されているtanδ値に関する傾きは、電気学会技術報告II部第267号の記載されている運転経過年数をパラメータとしたtanδ値を重回帰分析することにより得た信頼度毎の回帰直線の傾きである。図2は、tanδ値に関する信頼度毎の傾きを列記した傾き表である。
傾き表11に記憶されているMeg値に関する傾きは、電気学会技術報告(II部)第267号に記載されている運転経過年数をパラメータとしたMeg値を重回帰分析することにより得た信頼度毎の指数関数の乗数である。図3は、Meg値に関する信頼度毎の傾きを列記した傾き表である。
【0011】
倍率表12は、運転経過年数毎に信頼度50%のMeg値またはtanδ値に対する信頼度90%、95%、99%のMeg値またはtanδ値の倍率を列記したものである。図4は、Meg値に関する経過年度をパラメータとして倍率を列記した倍率表である。図5は、tanδ値に関する経過年度をパラメータとして倍率を列記した倍率表である。
【0012】
所見文書庫13には、乾式変圧器のtanδ値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見1〜所見9、乾式変圧器のMeg値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見11〜所見19、モールド変圧器のtanδ値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見21〜所見29、モールド変圧器のMeg値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見31〜所見39が記憶されている。
【0013】
所見1は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見2は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見3は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見4は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見5は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見6は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見7は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見8は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見9は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0014】
所見11は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見12は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見13は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見14は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見15は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見16は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見17は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見18は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見19は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0015】
所見21は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見22は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見23は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見24は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見25は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見26は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見27は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見28は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見29は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0016】
所見31は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見32は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見33は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見34は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見35は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見36は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見37は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見38は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見39は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0017】
表示制御手段2は、変圧器残存寿命推定システムが起動されると図6に示すようなメインメニュー画面を表示し、メインメニュー画面でメインメニュー(1.診断データ入力、2.単独処理、3.報告書出力、4.終了)が選択されると対応する画面(図7に示すような診断データ入力画面、図8に示すような単独処理出力メニュー画面、図9に示すような報告書印刷画面)を表示し、単独処理出力メニュー画面で単独処理メニュー(残存寿命シミュレーショングラフ、残存寿命推定表出力、所見文書確認・編集、報告書プリント出力、ファイル(報告書データ)保存、終了)が選択されると対応する図示しない画面(残存寿命シミュレーショングラフ画面、残存寿命推定表出力画面、所見文書出力画面、報告書データ保存画面)を表示する。
データ入力手段3は、図7に示す診断データ入力画面の保存釦を押下すると診断データ入力画面の所定の空欄に入力された値をデータとして取り込み記憶する。
診断データ入力画面から入力されるデータは、データ名、建物名称、調査日時、調査者名、調査対象項目、製造年月、機材名、室温、湿度、設置環境、診断データ、判定レベル、シミュレーショングラフの表示範囲である。
診断データは、メインメニューでtanδ値が選択されたときにはtanδ値、Meg値が選択されたときにはMeg値が入力できるように設定されている。
判定レベルは、メインメニューでtanδ値が選択されたときにはtanδ値に関する不良レベルおよび要注意レベル、Meg値が選択されたときにはMeg値に関する不良レベルおよび要注意レベルが入力できるように設定されている。なお、要注意レベルが不要のときには空白のままにできる。
【0018】
特性値推定手段4は、単独処理出力メニューの中からシミュレーションが選択されたとき入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出する経過年数算出手段21、入力されたMeg値またはtanδ値を経過年数で信頼度が50%のときのMeg値またはtanδ値とし今後のMeg値またはtanδ値の推移を推定する信頼度50%推定手段22、および、入力されたMeg値またはtanδ値に信頼度毎の倍率を乗算して経過年数での信頼度毎のMeg値またはtanδ値とし、且つ今後のMeg値またはtanδ値の推移を推定する信頼度毎推定手段23を備える。
例えば、製造年月が1976年4月、調査年月が2007年2月とすると経過年月は30年10ヶ月となる。また、特性値はtanδ値とし、1.5%である。
信頼度が50%、90%、95%、99%のときのそれぞれの傾き(tanδ/年)は0.8063、0.8634、0.8796、0.9100である。
また、経過年数30年10ヶ月の時点の倍率は、経過年数30年と31年での倍数を補間すると、1.29、1.37、1.52となるので、30年10ヶ月の時点での信頼度90%、95%、99%のtanδ値は、それぞれ1.93%、2.05%、2.28%となる。
ゆえに、信頼度50%、90%、95%、99%での回帰直線は、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)で表される。なお、この式ではxは30年10ヶ月以上である。
【0019】
tanδ50(x)=0.8063x−23.36 (1)
tanδ90(x)=0.8634x−24.69 (2)
tanδ95(x)=0.8796x−25.07 (3)
tanδ99(x)=0.9100x−25.78 (4)
【0020】
なお、特性値がMeg値の場合には、信頼度50%、信90%、95%、99%での回帰曲線は、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で表される。なお、A50は、経過年数x年のときの実測したMeg値を式(5)に代入して求めた値である。また、A90、A95、A99は、経過年数x年のときの実測したMeg値に図4に示す倍率を乗じて得た値をそれぞれ式(6)、式(7)、式(8)に代入して求めた値である。
【0021】
Meg50(x)=A50×exp(−0.2231x) (5)
Meg90(x)=A90×exp(−0.1695x) (6)
Meg95(x)=A95×exp(−0.1543x) (7)
Meg99(x)=A99×exp(−0.1258x) (8)
【0022】
残存寿命推定手段5は、経過年数での信頼度50%、90%、95%、99%のtanδ50、tanδ90、tanδ95、tanδ99と要注意レベル、不良レベルとを用いて残存tanδ値を推定する。この例では要注意レベルが3%、不良レベルが6%に設定されている。
例えば、経過年数30年10ヶ月での信頼度50%、90%、95%、99%のtanδ50=1.5%、tanδ90=1.93%、tanδ95=2.05%、tanδ99=2.28%であれば、要注意レベル3%との差、すなわち残存tanδ値は、1.5%、1.07%、0.95%、0.72%となる。
また、不良レベル6%との差、すなわち残存tanδ値は、4.5%、4.07%、3.95%、3.72%となる。
【0023】
また、残存寿命推定手段5は、残存tanδ値を傾きで除算して要注意年数および残存寿命を推定する。
例えば、要注意年数は、信頼度50%、90%、95%、99%でそれぞれ1年10ヶ月、1年3ヶ月、1年1ヶ月、9ヶ月であり、残存寿命は、信頼度50%、90%、95%、99%でそれぞれ5年7ヶ月、4年9ヶ月、4年6ヶ月、4年1ヶ月となる。
【0024】
所見文書検索手段6は、「乾式またはモールド」、「tanδ値またはMeg値」、「要注意レベルが空白」、「経過年数」、「信頼度99%での残存年数」、「信頼度99%での要注意年数」、「信頼度50%での残存寿命」を用いて所見文書庫を検索して所見を選択する。
ここで、所見文書庫を検索する手順について図10から図13を参照して説明する。
ステップS1において、推定対象の変圧器が乾式かモールドか判断し、乾式のときステップS2に進み、モールドのときノード2を経由してステップS57に進む。
ステップS2において、推定に用いた特性値がtanδ値かMeg値か判断し、tanδ値のときステップS3に進み、Meg値のときノード1を経由してステップS30に進む。
ステップS3において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS4に進み、15年未満のときステップS23に進む。
ステップS4において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS5に進み、空白が設定されているときステップS17に進む。
ステップS5において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS6に進み、10年以上のときステップS13に進む。
ステップS6において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS7に進み、5年以上のときステップS10に進む。
ステップS7において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS8に進み、0.1年以上5年未満のときステップS11に進む。
ステップS8において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS9に進み、0年を上回るときステップS12に進む。
ステップS9において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS10において、所見5を選択して手順を終了する。
ステップS11において、所見6を選択して手順を終了する。
ステップS12において、所見7を選択して手順を終了する。
【0025】
ステップS13において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS14に進み、10年以上のときステップS15に進む。
ステップS14において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS9に進み、5年以上のときステップS16に進む。
ステップS15において、所見3を選択して手順を終了する。
ステップS16において、所見4を選択して手順を終了する。
【0026】
ステップS17において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS18に進み、10年以上のときステップS16に進む。
ステップS18において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS19に進み、5年以上のときステップS21に進む。
ステップS19において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS20に進み、0.1年以上5年未満のときステップS22に進む。
ステップS20において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS9に進み、0年を上回るときステップS12に進む。
ステップS21において、所見8を選択して手順を終了する。
ステップS22において、所見9を選択して手順を終了する。
ステップS23において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS24に進み、空白が設定されているときステップS29に進む。
ステップS24において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS9に進み、10年以上のときステップS25に進む。
ステップS25において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS26に進み、10年以上のときステップS27に進む。
ステップS26において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS9に進み、5年以上のときステップS28に進む。
ステップS27において、所見1を選択して手順を終了する。
ステップS28において、所見2を選択して手順を終了する。
ステップS29において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS9に進み、10年以上のときステップS28に進む。
【0027】
ステップS30において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS31に進み、15年未満のときステップS50に進む。
ステップS31において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS32に進み、空白が設定されているときステップS44に進む。
ステップS32において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS33に進み、10年以上のときステップS40に進む。
ステップS33において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS34に進み、5年以上のときステップS37に進む。
ステップS34において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS35に進み、0.1年以上5年未満のときステップS38に進む。
ステップS35において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS36に進み、0年を上回るときステップS39に進む。
ステップS36において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS37において、所見15を選択して手順を終了する。
ステップS38において、所見16を選択して手順を終了する。
ステップS39において、所見17を選択して手順を終了する。
【0028】
ステップS40において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS41に進み、10年以上のときステップS42に進む。
ステップS41において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS36に進み、5年以上のときステップS43に進む。
ステップS42において、所見13を選択して手順を終了する。
ステップS43において、所見14を選択して手順を終了する。
【0029】
ステップS44において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS45に進み、10年以上のときステップS43に進む。
ステップS45において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS46に進み、5年以上のときステップS49に進む。
ステップS46において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS47に進み、0.1年以上5年未満のときステップS49に進む。
ステップS47において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS36に進み、0年を上回るときステップS39に進む。
ステップS48において、所見18を選択して手順を終了する。
ステップS49において、所見19を選択して手順を終了する。
ステップS50において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS51に進み、空白が設定されているときステップS56に進む。
ステップS51において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS36に進み、10年以上のときステップS52に進む。
ステップS52において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS53に進み、10年以上のときステップS54に進む。
ステップS53において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS36に進み、5年以上のときステップS55に進む。
ステップS54において、所見11を選択して手順を終了する。
ステップS55において、所見12を選択して手順を終了する。
ステップS56において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS36に進み、10年以上のときステップS55に進む。
【0030】
ステップS57において、推定に用いた特性値がtanδ値かMeg値か判断し、tanδ値のときステップS58に進み、Meg値のときノード3を経由してステップS85に進む。
ステップS58において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS59に進み、15年未満のときステップS78に進む。
ステップS59において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS60に進み、空白が設定されているときステップS72に進む。
ステップS60において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS61に進み、10年以上のときステップS68に進む。
ステップS61において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS62に進み、5年以上のときステップS65に進む。
ステップS62において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS63に進み、0.1年以上5年未満のときステップS66に進む。
ステップS63において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS64に進み、0年を上回るときステップS67に進む。
ステップS64において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS65において、所見25を選択して手順を終了する。
ステップS66において、所見26を選択して手順を終了する。
ステップS67において、所見27を選択して手順を終了する。
【0031】
ステップS68において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS69に進み、10年以上のときステップS70に進む。
ステップS69において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS64に進み、5年以上のときステップS71に進む。
ステップS70において、所見23を選択して手順を終了する。
ステップS71において、所見24を選択して手順を終了する。
【0032】
ステップS72において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS73に進み、10年以上のときステップS71に進む。
ステップS73において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS74に進み、5年以上のときステップS76に進む。
ステップS74において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS75に進み、0.1年以上5年未満のときステップS77に進む。
ステップS75において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS64に進み、0年を上回るときステップS67に進む。
ステップS76において、所見28を選択して手順を終了する。
ステップS77において、所見29を選択して手順を終了する。
ステップS78において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS79に進み、空白が設定されているときステップS84に進む。
ステップS79において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS64に進み、10年以上のときステップS80に進む。
ステップS80において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS81に進み、10年以上のときステップS82に進む。
ステップS81において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS64に進み、5年以上のときステップS83に進む。
ステップS82において、所見21を選択して手順を終了する。
ステップS83において、所見22を選択して手順を終了する。
ステップS84において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS64に進み、10年以上のときステップS83に進む。
【0033】
ステップS85において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS86に進み、15年未満のときステップS105に進む。
ステップS86において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS87に進み、空白が設定されているときステップS99に進む。
ステップS87において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS88に進み、10年以上のときステップS95に進む。
ステップS88において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS89に進み、5年以上のときステップS92に進む。
ステップS89において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS90に進み、0.1年以上5年未満のときステップS93に進む。
ステップS90において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS91に進み、0年を上回るときステップS94に進む。
ステップS91において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS92において、所見35を選択して手順を終了する。
ステップS93において、所見36を選択して手順を終了する。
ステップS94において、所見37を選択して手順を終了する。
【0034】
ステップS95において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS96に進み、10年以上のときステップS97に進む。
ステップS96において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS91に進み、5年以上のときステップS98に進む。
ステップS97において、所見33を選択して手順を終了する。
ステップS98において、所見34を選択して手順を終了する。
【0035】
ステップS99において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS100に進み、10年以上のときステップS98に進む。
ステップS100において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS101に進み、5年以上のときステップS103に進む。
ステップS101において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS102に進み、0.1年以上5年未満のときステップS104に進む。
ステップS102において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS91に進み、0年を上回るときステップS94に進む。
ステップS103において、所見38を選択して手順を終了する。
ステップS104において、所見39を選択して手順を終了する。
ステップS105において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS106に進み、空白が設定されているときステップS111に進む。
ステップS106において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS91に進み、10年以上のときステップS107に進む。
ステップS107において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS108に進み、10年以上のときステップS109に進む。
ステップS108において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS91に進み、5年以上のときステップS110に進む。
ステップS109において、所見31を選択して手順を終了する。
ステップS110において、所見32を選択して手順を終了する。
ステップS111において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS91に進み、10年以上のときステップS110に進む。
【0036】
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、高圧回転機について得られている経過年数に対するMeg値またはtanδ値の実測データを重回帰分析して回帰曲線または回帰直線を求め、劣化の割合は片対数で表した回帰曲線または回帰直線の傾きで表され、推定対象の変圧器の実測値を信頼度50%と仮定することにより信頼度99%、95%、90%での値を推定できることを見出したので、推定対象の変圧器のMeg値またはtanδ値の劣化の度合いから残存寿命を推定できる。
【0037】
すなわち、乾式変圧器またはモールド変圧器のように気中使用の機器のうち、構造が近い高圧回転機のMeg値またはtanδ値に注目し、重回帰分析して得た回帰曲線または回帰直線の傾きが乾式変圧器またはモールド変圧器の経年変化の割合を示すことが分かったことと、各経過年度での分布は高圧回転機のMeg値またはtanδ値の分布と相似であることが分かったことである。そこで、実測した乾式変圧器またはモールド変圧器のMeg値またはtanδ値を信頼度50%の値と見なすと信頼度90%、95%、99%の値を求めることができ、信頼度毎の残存寿命を推定できる。
一方、気中使用の機器でも例えば高圧ケーブルのMeg値またはtanδ値を用いても、乾式変圧器またはモールド変圧器の寿命を推定し得る係数を求めることができなかった。
【0038】
なお、上述の所見は主に信頼度99%での残存寿命を用いているが、これに限るものではなく、信頼度95%、信頼度90%での残存寿命を用いて所見を作成しても良い。
【0039】
実施の形態2.
図14は、この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムは、図14に示すように、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムに残存BDV推定手段8を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
残存BDV推定手段8は、残存寿命推定手段5により推定された残存tanδ値または残存Meg値から残存放電開始電圧(BDV)を推定する。この推定方法は以下の通りである。この推定方法では事前に電気学会技術報告(II部)第267号に示されている高圧回転機に関する絶縁抵抗値の対数と放電開始電圧の相対値、およびtanδ値と放電開始電圧の相対値の実測データを絶縁抵抗値の対数またはtanδ値をパラメータにして重回帰分析することにより絶縁抵抗値の対数またはtanδ値に対する放電開始電圧の相対値の回帰曲線を求める。この回帰曲線を用いると残存Meg値の対数または残存tanδ値に対応する残存BDVを推定することができる。
そして、残存BDVが推定されると、実際に不具合が発生する前に更新したときに実際に放電破壊を起こすことにより、推定した残存寿命の確度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
【図2】tanδ値に関する信頼度毎の回帰直線の傾きである。
【図3】Meg値に関する信頼度毎の片対数座標に表したときの回帰曲線の傾きである。
【図4】tanδ値に関する信頼度50%での値を基準としたときの信頼度90%、95%、99%での値の倍率である。
【図5】Meg値に関する信頼度50%での値を基準としたときの信頼度90%、95%、99%での値の倍率である。
【図6】メインメニュー画面である。
【図7】診断データ入力画面である。
【図8】単独処理出力マニュー画面である。
【図9】報告書印刷画面である。
【図10】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその1である。
【図11】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその2である。
【図12】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその3である。
【図13】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその4である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 記憶手段、2 表示制御手段、3 データ入力手段、4 特性値推定手段、5 残存寿命推定手段、6 所見文書検索手段、7 出力手段、8 残存BDV推定手段、11 傾き表、12 倍率表、13 所見文書庫、21 経過年数算出手段、22 50%推定手段、23 信頼度毎推定手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾式変圧器またはモールド変圧器の残存寿命を推定する変圧器残存寿命推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なビルの地下電気室や超高層ビルの高圧サブ電気室などにおいては油入変圧器が多用されてきたが、不燃化を目的にして、25年位前から除々に乾式変圧器が採用され始め、近年ではモールド変圧器の適用率が高まってきている。
ところで、老朽化した変圧器を更新する目安は、油入変圧器の場合には、絶縁抵抗値または誘電体損失率と油温との関連図を用いてIEC規格などとして公表された良否判定図から、年次点検時の絶縁抵抗値や誘電体損失率に対応する値とし、絶縁劣化の評価を行っている。
しかし、乾式変圧器またはモールド変圧器については油入変圧器のような絶縁劣化判定の評価図が公表されていないので、ビルの設備管理者は年次点検データなどを踏まえて、変圧器メーカの意向も参考にして判断している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−274473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、年次点検は停電時に実施され、その時に入手した変圧器の絶縁抵抗値のみが唯一の判断材料となっているため、設備管理者の主観的な要素に依るところが多く、客観的な判断が下せないばかりか、余寿命の推定評価を実施するという発展的な技術展開の道も閉ざされた状態であった。
【0005】
この発明の目的は、乾式変圧器またはモールド変圧器の経年、環境、運転に関わる諸要因の複合劣化による絶縁の劣化度合いを定量的に評価し、且つ絶縁的な余寿命を統計的に推定する変圧器残存寿命推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る変圧器残存寿命推定システムは、既存の気中使用の電気機器の特性の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、残存寿命推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段と、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を経過年数での第1信頼度での値と見なし且つ上記入力された特性値に上記倍率を乗算して第2信頼度での値を求め、且つ上記第1信頼度での値および第2信頼度での値から上記傾きで延ばすことにより経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値を超えるまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、推定した残存寿命に基づいて上記所見文書を検索する所見文書検索手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る変圧器残存寿命推定システムの効果は、高圧回転機について得られている経過年数に対するMeg値またはtanδ値の実測データを重回帰分析して回帰曲線または回帰直線を求め、劣化の割合は片対数で表した回帰曲線または回帰直線の傾きで表され、推定対象の変圧器の実測値を信頼度50%と仮定することにより信頼度99%、95%、90%での値を推定できることを見出したので、推定対象の変圧器のMeg値またはtanδ値の劣化の度合いから残存寿命を推定できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、モールド変圧器を例にしてモールド変圧器の残存寿命を推定する。なお、乾式変圧器に対して適用しても同様に残存寿命を推定することができる。
モールド変圧器は、高圧コイルと低圧コイルとの間にエポキシ注型絶縁材を使用し、また鉄心とコイル間に所定の熱絶縁階級にふさわしい電気絶縁スペーサ材を使用して絶縁されている。
モールド変圧器の高圧コイルと低圧コイルとの間、また鉄心とコイルとの間の特性として、絶縁抵抗値(以下、Meg値と称す)と誘電体損失率(以下、tanδ値と称す)を用いる。
Meg値は、モールド変圧器の定格電圧の所定の倍数の直流電圧を印加してから1分経過した時点の漏れ電流値を印加した直流電圧で除算した値である。
tanδ値は、モールド変圧器に加わる商用電力近傍の周波数の交流電圧を印加しブリッジを平衡させてからtanδを求める。
【0009】
図1は、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、図1に示すように、特性毎且つ信頼度毎の傾き、特性毎且つ信頼度が50%のときの値に対する信頼度が90%、95%、99%のときの値の倍率、所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段1、メニューを表示しシステムを制御する表示制御手段2、推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段3、入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力されたMeg値またはtanδ値を用いて経過年数以降での信頼度50%、90%、95%、99%のときのMeg値またはtanδ値の推移を推定する特性値推定手段4、信頼度毎のMeg値またはtanδ値が要注意レベル値および不良レベル値を超えるまでに要する要注意年数および残存年数を推定する残存寿命推定手段5、推定した要注意年数および残存年数に基づいて所見文書を検索する所見文書検索手段6、および、推定した結果および所見文書を出力する出力手段7を有する。
【0010】
そして、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路を有するコンピュータ、モニタ、キーボード、マウスなどから構成されている。
記憶手段1は、信頼度毎の傾きを記憶する傾き表11、経過年数毎に信頼度50%の値を1にしたとき信頼度90%、95%、99%の値の倍率を記憶する倍率表12、所見文書を記憶する所見文書庫13が格納されている。
傾き表11に記憶されているtanδ値に関する傾きは、電気学会技術報告II部第267号の記載されている運転経過年数をパラメータとしたtanδ値を重回帰分析することにより得た信頼度毎の回帰直線の傾きである。図2は、tanδ値に関する信頼度毎の傾きを列記した傾き表である。
傾き表11に記憶されているMeg値に関する傾きは、電気学会技術報告(II部)第267号に記載されている運転経過年数をパラメータとしたMeg値を重回帰分析することにより得た信頼度毎の指数関数の乗数である。図3は、Meg値に関する信頼度毎の傾きを列記した傾き表である。
【0011】
倍率表12は、運転経過年数毎に信頼度50%のMeg値またはtanδ値に対する信頼度90%、95%、99%のMeg値またはtanδ値の倍率を列記したものである。図4は、Meg値に関する経過年度をパラメータとして倍率を列記した倍率表である。図5は、tanδ値に関する経過年度をパラメータとして倍率を列記した倍率表である。
【0012】
所見文書庫13には、乾式変圧器のtanδ値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見1〜所見9、乾式変圧器のMeg値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見11〜所見19、モールド変圧器のtanδ値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見21〜所見29、モールド変圧器のMeg値を用いて残存寿命を推定したときに係る所見31〜所見39が記憶されている。
【0013】
所見1は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見2は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見3は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見4は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見5は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見6は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見7は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見8は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見9は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0014】
所見11は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見12は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見13は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見14は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見15は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見16は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見17は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見18は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見19は、「貴ビルの乾式変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0015】
所見21は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見22は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見23は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見24は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見25は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見26は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見27は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見28は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見29は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したtanδ値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0016】
所見31は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。予防保全の見地から今後とも定期的な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見32は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行に伴う要注意レベルへの到達を勘案し、今後とも確実な定期的絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見33は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が考えられますので、毎年の絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見34は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命などは10年以上あり現状では絶縁上の問題はありません。但し、ある程度の絶縁劣化の進行もあり、かつ運転年数から考えて今後の急激な絶縁特性の悪化が懸念されますので、毎年の確実な絶縁診断をお勧めいたします。」である。
所見35は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、要注意年数が5年未満でもありますので、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見36は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、絶縁の状態は要注意レベルにあり且つ残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
所見37は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、高信頼度での残存寿命から考えて絶縁事故の発生する恐れがあります。早急に変圧器の更新を行う必要があります。」である。
所見38は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命は数年程度であり、現在での継続運転に絶縁上の支障はありません。但し、毎年の絶縁診断および中期的な変圧器更新のご計画をお勧めいたします。」である。
所見39は、「貴ビルのモールド変圧器について測定したMeg値を、電気学会で公表された気中使用の高圧機器の絶縁諸特性と比較しましたところ、残存寿命もわずか数年となっています。至近年度での変圧器更新のご計画が必要です。」である。
【0017】
表示制御手段2は、変圧器残存寿命推定システムが起動されると図6に示すようなメインメニュー画面を表示し、メインメニュー画面でメインメニュー(1.診断データ入力、2.単独処理、3.報告書出力、4.終了)が選択されると対応する画面(図7に示すような診断データ入力画面、図8に示すような単独処理出力メニュー画面、図9に示すような報告書印刷画面)を表示し、単独処理出力メニュー画面で単独処理メニュー(残存寿命シミュレーショングラフ、残存寿命推定表出力、所見文書確認・編集、報告書プリント出力、ファイル(報告書データ)保存、終了)が選択されると対応する図示しない画面(残存寿命シミュレーショングラフ画面、残存寿命推定表出力画面、所見文書出力画面、報告書データ保存画面)を表示する。
データ入力手段3は、図7に示す診断データ入力画面の保存釦を押下すると診断データ入力画面の所定の空欄に入力された値をデータとして取り込み記憶する。
診断データ入力画面から入力されるデータは、データ名、建物名称、調査日時、調査者名、調査対象項目、製造年月、機材名、室温、湿度、設置環境、診断データ、判定レベル、シミュレーショングラフの表示範囲である。
診断データは、メインメニューでtanδ値が選択されたときにはtanδ値、Meg値が選択されたときにはMeg値が入力できるように設定されている。
判定レベルは、メインメニューでtanδ値が選択されたときにはtanδ値に関する不良レベルおよび要注意レベル、Meg値が選択されたときにはMeg値に関する不良レベルおよび要注意レベルが入力できるように設定されている。なお、要注意レベルが不要のときには空白のままにできる。
【0018】
特性値推定手段4は、単独処理出力メニューの中からシミュレーションが選択されたとき入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出する経過年数算出手段21、入力されたMeg値またはtanδ値を経過年数で信頼度が50%のときのMeg値またはtanδ値とし今後のMeg値またはtanδ値の推移を推定する信頼度50%推定手段22、および、入力されたMeg値またはtanδ値に信頼度毎の倍率を乗算して経過年数での信頼度毎のMeg値またはtanδ値とし、且つ今後のMeg値またはtanδ値の推移を推定する信頼度毎推定手段23を備える。
例えば、製造年月が1976年4月、調査年月が2007年2月とすると経過年月は30年10ヶ月となる。また、特性値はtanδ値とし、1.5%である。
信頼度が50%、90%、95%、99%のときのそれぞれの傾き(tanδ/年)は0.8063、0.8634、0.8796、0.9100である。
また、経過年数30年10ヶ月の時点の倍率は、経過年数30年と31年での倍数を補間すると、1.29、1.37、1.52となるので、30年10ヶ月の時点での信頼度90%、95%、99%のtanδ値は、それぞれ1.93%、2.05%、2.28%となる。
ゆえに、信頼度50%、90%、95%、99%での回帰直線は、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)で表される。なお、この式ではxは30年10ヶ月以上である。
【0019】
tanδ50(x)=0.8063x−23.36 (1)
tanδ90(x)=0.8634x−24.69 (2)
tanδ95(x)=0.8796x−25.07 (3)
tanδ99(x)=0.9100x−25.78 (4)
【0020】
なお、特性値がMeg値の場合には、信頼度50%、信90%、95%、99%での回帰曲線は、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で表される。なお、A50は、経過年数x年のときの実測したMeg値を式(5)に代入して求めた値である。また、A90、A95、A99は、経過年数x年のときの実測したMeg値に図4に示す倍率を乗じて得た値をそれぞれ式(6)、式(7)、式(8)に代入して求めた値である。
【0021】
Meg50(x)=A50×exp(−0.2231x) (5)
Meg90(x)=A90×exp(−0.1695x) (6)
Meg95(x)=A95×exp(−0.1543x) (7)
Meg99(x)=A99×exp(−0.1258x) (8)
【0022】
残存寿命推定手段5は、経過年数での信頼度50%、90%、95%、99%のtanδ50、tanδ90、tanδ95、tanδ99と要注意レベル、不良レベルとを用いて残存tanδ値を推定する。この例では要注意レベルが3%、不良レベルが6%に設定されている。
例えば、経過年数30年10ヶ月での信頼度50%、90%、95%、99%のtanδ50=1.5%、tanδ90=1.93%、tanδ95=2.05%、tanδ99=2.28%であれば、要注意レベル3%との差、すなわち残存tanδ値は、1.5%、1.07%、0.95%、0.72%となる。
また、不良レベル6%との差、すなわち残存tanδ値は、4.5%、4.07%、3.95%、3.72%となる。
【0023】
また、残存寿命推定手段5は、残存tanδ値を傾きで除算して要注意年数および残存寿命を推定する。
例えば、要注意年数は、信頼度50%、90%、95%、99%でそれぞれ1年10ヶ月、1年3ヶ月、1年1ヶ月、9ヶ月であり、残存寿命は、信頼度50%、90%、95%、99%でそれぞれ5年7ヶ月、4年9ヶ月、4年6ヶ月、4年1ヶ月となる。
【0024】
所見文書検索手段6は、「乾式またはモールド」、「tanδ値またはMeg値」、「要注意レベルが空白」、「経過年数」、「信頼度99%での残存年数」、「信頼度99%での要注意年数」、「信頼度50%での残存寿命」を用いて所見文書庫を検索して所見を選択する。
ここで、所見文書庫を検索する手順について図10から図13を参照して説明する。
ステップS1において、推定対象の変圧器が乾式かモールドか判断し、乾式のときステップS2に進み、モールドのときノード2を経由してステップS57に進む。
ステップS2において、推定に用いた特性値がtanδ値かMeg値か判断し、tanδ値のときステップS3に進み、Meg値のときノード1を経由してステップS30に進む。
ステップS3において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS4に進み、15年未満のときステップS23に進む。
ステップS4において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS5に進み、空白が設定されているときステップS17に進む。
ステップS5において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS6に進み、10年以上のときステップS13に進む。
ステップS6において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS7に進み、5年以上のときステップS10に進む。
ステップS7において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS8に進み、0.1年以上5年未満のときステップS11に進む。
ステップS8において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS9に進み、0年を上回るときステップS12に進む。
ステップS9において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS10において、所見5を選択して手順を終了する。
ステップS11において、所見6を選択して手順を終了する。
ステップS12において、所見7を選択して手順を終了する。
【0025】
ステップS13において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS14に進み、10年以上のときステップS15に進む。
ステップS14において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS9に進み、5年以上のときステップS16に進む。
ステップS15において、所見3を選択して手順を終了する。
ステップS16において、所見4を選択して手順を終了する。
【0026】
ステップS17において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS18に進み、10年以上のときステップS16に進む。
ステップS18において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS19に進み、5年以上のときステップS21に進む。
ステップS19において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS20に進み、0.1年以上5年未満のときステップS22に進む。
ステップS20において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS9に進み、0年を上回るときステップS12に進む。
ステップS21において、所見8を選択して手順を終了する。
ステップS22において、所見9を選択して手順を終了する。
ステップS23において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS24に進み、空白が設定されているときステップS29に進む。
ステップS24において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS9に進み、10年以上のときステップS25に進む。
ステップS25において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS26に進み、10年以上のときステップS27に進む。
ステップS26において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS9に進み、5年以上のときステップS28に進む。
ステップS27において、所見1を選択して手順を終了する。
ステップS28において、所見2を選択して手順を終了する。
ステップS29において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS9に進み、10年以上のときステップS28に進む。
【0027】
ステップS30において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS31に進み、15年未満のときステップS50に進む。
ステップS31において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS32に進み、空白が設定されているときステップS44に進む。
ステップS32において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS33に進み、10年以上のときステップS40に進む。
ステップS33において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS34に進み、5年以上のときステップS37に進む。
ステップS34において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS35に進み、0.1年以上5年未満のときステップS38に進む。
ステップS35において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS36に進み、0年を上回るときステップS39に進む。
ステップS36において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS37において、所見15を選択して手順を終了する。
ステップS38において、所見16を選択して手順を終了する。
ステップS39において、所見17を選択して手順を終了する。
【0028】
ステップS40において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS41に進み、10年以上のときステップS42に進む。
ステップS41において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS36に進み、5年以上のときステップS43に進む。
ステップS42において、所見13を選択して手順を終了する。
ステップS43において、所見14を選択して手順を終了する。
【0029】
ステップS44において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS45に進み、10年以上のときステップS43に進む。
ステップS45において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS46に進み、5年以上のときステップS49に進む。
ステップS46において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS47に進み、0.1年以上5年未満のときステップS49に進む。
ステップS47において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS36に進み、0年を上回るときステップS39に進む。
ステップS48において、所見18を選択して手順を終了する。
ステップS49において、所見19を選択して手順を終了する。
ステップS50において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS51に進み、空白が設定されているときステップS56に進む。
ステップS51において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS36に進み、10年以上のときステップS52に進む。
ステップS52において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS53に進み、10年以上のときステップS54に進む。
ステップS53において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS36に進み、5年以上のときステップS55に進む。
ステップS54において、所見11を選択して手順を終了する。
ステップS55において、所見12を選択して手順を終了する。
ステップS56において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS36に進み、10年以上のときステップS55に進む。
【0030】
ステップS57において、推定に用いた特性値がtanδ値かMeg値か判断し、tanδ値のときステップS58に進み、Meg値のときノード3を経由してステップS85に進む。
ステップS58において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS59に進み、15年未満のときステップS78に進む。
ステップS59において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS60に進み、空白が設定されているときステップS72に進む。
ステップS60において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS61に進み、10年以上のときステップS68に進む。
ステップS61において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS62に進み、5年以上のときステップS65に進む。
ステップS62において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS63に進み、0.1年以上5年未満のときステップS66に進む。
ステップS63において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS64に進み、0年を上回るときステップS67に進む。
ステップS64において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS65において、所見25を選択して手順を終了する。
ステップS66において、所見26を選択して手順を終了する。
ステップS67において、所見27を選択して手順を終了する。
【0031】
ステップS68において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS69に進み、10年以上のときステップS70に進む。
ステップS69において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS64に進み、5年以上のときステップS71に進む。
ステップS70において、所見23を選択して手順を終了する。
ステップS71において、所見24を選択して手順を終了する。
【0032】
ステップS72において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS73に進み、10年以上のときステップS71に進む。
ステップS73において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS74に進み、5年以上のときステップS76に進む。
ステップS74において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS75に進み、0.1年以上5年未満のときステップS77に進む。
ステップS75において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS64に進み、0年を上回るときステップS67に進む。
ステップS76において、所見28を選択して手順を終了する。
ステップS77において、所見29を選択して手順を終了する。
ステップS78において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS79に進み、空白が設定されているときステップS84に進む。
ステップS79において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS64に進み、10年以上のときステップS80に進む。
ステップS80において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS81に進み、10年以上のときステップS82に進む。
ステップS81において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS64に進み、5年以上のときステップS83に進む。
ステップS82において、所見21を選択して手順を終了する。
ステップS83において、所見22を選択して手順を終了する。
ステップS84において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS64に進み、10年以上のときステップS83に進む。
【0033】
ステップS85において、経過年数が15年未満か否かを判断し、15年以上のときステップS86に進み、15年未満のときステップS105に進む。
ステップS86において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS87に進み、空白が設定されているときステップS99に進む。
ステップS87において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS88に進み、10年以上のときステップS95に進む。
ステップS88において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS89に進み、5年以上のときステップS92に進む。
ステップS89において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS90に進み、0.1年以上5年未満のときステップS93に進む。
ステップS90において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS91に進み、0年を上回るときステップS94に進む。
ステップS91において、手入力により所見を入力して手順を終了する。
ステップS92において、所見35を選択して手順を終了する。
ステップS93において、所見36を選択して手順を終了する。
ステップS94において、所見37を選択して手順を終了する。
【0034】
ステップS95において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS96に進み、10年以上のときステップS97に進む。
ステップS96において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS91に進み、5年以上のときステップS98に進む。
ステップS97において、所見33を選択して手順を終了する。
ステップS98において、所見34を選択して手順を終了する。
【0035】
ステップS99において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS100に進み、10年以上のときステップS98に進む。
ステップS100において、信頼度99%での残存寿命が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS101に進み、5年以上のときステップS103に進む。
ステップS101において、信頼度99%での残存寿命が0.1年以上5年未満か否かを判断し、0.1年未満のときステップS102に進み、0.1年以上5年未満のときステップS104に進む。
ステップS102において、信頼度50%での残存寿命が0年を上回るか否かを判断し、0年以下のときステップS91に進み、0年を上回るときステップS94に進む。
ステップS103において、所見38を選択して手順を終了する。
ステップS104において、所見39を選択して手順を終了する。
ステップS105において、要注意レベルに空白が設定されているか否かを判断し、空白が設定されていないときステップS106に進み、空白が設定されているときステップS111に進む。
ステップS106において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS91に進み、10年以上のときステップS107に進む。
ステップS107において、信頼度99%での要注意年数が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS108に進み、10年以上のときステップS109に進む。
ステップS108において、信頼度99%での要注意年数が5年以上か否かを判断し、5年未満のときステップS91に進み、5年以上のときステップS110に進む。
ステップS109において、所見31を選択して手順を終了する。
ステップS110において、所見32を選択して手順を終了する。
ステップS111において、信頼度99%での残存寿命が10年以上か否かを判断し、10年未満のときステップS91に進み、10年以上のときステップS110に進む。
【0036】
この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムは、高圧回転機について得られている経過年数に対するMeg値またはtanδ値の実測データを重回帰分析して回帰曲線または回帰直線を求め、劣化の割合は片対数で表した回帰曲線または回帰直線の傾きで表され、推定対象の変圧器の実測値を信頼度50%と仮定することにより信頼度99%、95%、90%での値を推定できることを見出したので、推定対象の変圧器のMeg値またはtanδ値の劣化の度合いから残存寿命を推定できる。
【0037】
すなわち、乾式変圧器またはモールド変圧器のように気中使用の機器のうち、構造が近い高圧回転機のMeg値またはtanδ値に注目し、重回帰分析して得た回帰曲線または回帰直線の傾きが乾式変圧器またはモールド変圧器の経年変化の割合を示すことが分かったことと、各経過年度での分布は高圧回転機のMeg値またはtanδ値の分布と相似であることが分かったことである。そこで、実測した乾式変圧器またはモールド変圧器のMeg値またはtanδ値を信頼度50%の値と見なすと信頼度90%、95%、99%の値を求めることができ、信頼度毎の残存寿命を推定できる。
一方、気中使用の機器でも例えば高圧ケーブルのMeg値またはtanδ値を用いても、乾式変圧器またはモールド変圧器の寿命を推定し得る係数を求めることができなかった。
【0038】
なお、上述の所見は主に信頼度99%での残存寿命を用いているが、これに限るものではなく、信頼度95%、信頼度90%での残存寿命を用いて所見を作成しても良い。
【0039】
実施の形態2.
図14は、この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムは、図14に示すように、この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムに残存BDV推定手段8を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
残存BDV推定手段8は、残存寿命推定手段5により推定された残存tanδ値または残存Meg値から残存放電開始電圧(BDV)を推定する。この推定方法は以下の通りである。この推定方法では事前に電気学会技術報告(II部)第267号に示されている高圧回転機に関する絶縁抵抗値の対数と放電開始電圧の相対値、およびtanδ値と放電開始電圧の相対値の実測データを絶縁抵抗値の対数またはtanδ値をパラメータにして重回帰分析することにより絶縁抵抗値の対数またはtanδ値に対する放電開始電圧の相対値の回帰曲線を求める。この回帰曲線を用いると残存Meg値の対数または残存tanδ値に対応する残存BDVを推定することができる。
そして、残存BDVが推定されると、実際に不具合が発生する前に更新したときに実際に放電破壊を起こすことにより、推定した残存寿命の確度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施の形態1に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
【図2】tanδ値に関する信頼度毎の回帰直線の傾きである。
【図3】Meg値に関する信頼度毎の片対数座標に表したときの回帰曲線の傾きである。
【図4】tanδ値に関する信頼度50%での値を基準としたときの信頼度90%、95%、99%での値の倍率である。
【図5】Meg値に関する信頼度50%での値を基準としたときの信頼度90%、95%、99%での値の倍率である。
【図6】メインメニュー画面である。
【図7】診断データ入力画面である。
【図8】単独処理出力マニュー画面である。
【図9】報告書印刷画面である。
【図10】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその1である。
【図11】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその2である。
【図12】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその3である。
【図13】所見文書庫を検索する手順を表すフローチャートのその4である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る変圧器残存寿命推定システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 記憶手段、2 表示制御手段、3 データ入力手段、4 特性値推定手段、5 残存寿命推定手段、6 所見文書検索手段、7 出力手段、8 残存BDV推定手段、11 傾き表、12 倍率表、13 所見文書庫、21 経過年数算出手段、22 50%推定手段、23 信頼度毎推定手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の気中使用の電気機器の特性の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、
残存寿命推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段と、
入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を経過年数での第1信頼度での値と見なし且つ上記入力された特性値に上記倍率を乗算して第2信頼度での値を求め、且つ上記第1信頼度での値および第2信頼度での値から上記傾きで延ばすことにより経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、
上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値を超えるまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、
推定した残存寿命に基づいて上記所見文書を検索する所見文書検索手段と、
を備えることを特徴とする変圧器残存寿命推定システム。
【請求項2】
上記残存寿命推定手段は、上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた要注意レベル値を超えるまでに要する要注意年数を推定することを特徴とする請求項1に記載の変圧器残存寿命推定システム。
【請求項3】
上記残存寿命推定手段により推定された残存特性値から残存放電開始電圧を推定する残存BDV推定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の変圧器残存寿命推定システム。
【請求項1】
既存の気中使用の電気機器の特性の経年データを回帰分析して得た特性毎且つ信頼度毎の傾きおよび特性毎且つ第1の信頼度のときの値に対する第2信頼度のときの値の倍率、且つ所見文書がそれぞれ記憶されている記憶手段と、
残存寿命推定対象の変圧器の残存寿命を推定するためのデータを入力するデータ入力手段と、
入力された製造年月と調査年月とから経過年数を算出し、入力された特性値を経過年数での第1信頼度での値と見なし且つ上記入力された特性値に上記倍率を乗算して第2信頼度での値を求め、且つ上記第1信頼度での値および第2信頼度での値から上記傾きで延ばすことにより経過年数以降での第1信頼度および第2信頼度での特性値の推移を推定する特性値推定手段と、
上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた不良レベル値を超えるまでに要する残存寿命を推定する残存寿命推定手段と、
推定した残存寿命に基づいて上記所見文書を検索する所見文書検索手段と、
を備えることを特徴とする変圧器残存寿命推定システム。
【請求項2】
上記残存寿命推定手段は、上記第1信頼度および第2信頼度でそれぞれ推定した特性値が予め定めた要注意レベル値を超えるまでに要する要注意年数を推定することを特徴とする請求項1に記載の変圧器残存寿命推定システム。
【請求項3】
上記残存寿命推定手段により推定された残存特性値から残存放電開始電圧を推定する残存BDV推定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の変圧器残存寿命推定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−64868(P2009−64868A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229906(P2007−229906)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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