説明

変色に対して安定なポリエーテルアロファネート

本発明は特定のポリオールを使用することによるアロファネート構造単位を含む変色安定性ポリイソシアネートプレポリマーの調製方法、このようにして得られる処理製品およびポリウレタンおよびポリウレアの調製へのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定のポリエーテルを使用することによるアロファネート構造単位を含む変色安定性ポリイソシアネートプレポリマーの調製方法、このようにして得られる処理製品およびポリウレタンおよびポリウレアの調製へのそれらの使用に関する。
【0002】
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは比較的低い粘度でその高いNCO含量のために特に重要である。それらは二成分ポリウレタン系の有用な架橋剤に相当し、ブロック化NCO基をもちいるとそれらは一成分ポリウレタン系でもまた使用され得る。この種類のポリウレタン系は一般的に被膜を製造するのに使用される。
【背景技術】
【0003】
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは原則として既知である。従ってEP-A 0 682 012は他のものの中でジイソシアネートおよび1〜4個のヒドロキシル基を含むポリエーテルに基づくプレポリマーを開示する。このジイソシアネートとポリエーテルをジイソシアネート過剰で錫(II)化合物を用いて反応させ、対応するアロファネートを与える。
【0004】
しかしながら、開示された方法によると、得られるポリイソシアネートプレポリマーはしばしば貯蔵時、特に高温で明確な変色を示す。さらに、上述の貯蔵中に、生成物のNCO含量の減少および相当な粘度の増加がしばしばおこる。アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは一般的に高温(例えば160℃)での薄膜蒸発によって過剰なジイソシアネートから解放されるので、言及された変化(色、NCO含量および粘度)が調製中であってもしばしば起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明の目的は著しく改善された貯蔵安定性をもち、特に改善された色安定性をもつアロファネート構造単位を含む新しいポリイソシアネートプレポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、少量の不飽和基をもつ特定のポリエーテルポリオールから製造されたアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは、前述の欠点をもたず、特にはるかに優れた色安定性を有することが発見された。
【0007】
本発明は従って
a) 一以上のポリイソシアネートを
b) ポリオール1グラムあたり0.02ミリグラム当量以下の不飽和末端基(測定方法: ASTM D2849-69)を含み、多分散度(PD = Mw/Mn)1.0〜1.5かつ/またはOH官能価1.9以上の一以上のポリエーテルポリオール
と反応させ、NCO官能ポリウレタンプレポリマーを与え、結果として生じたウレタン基を
c) a)のポリイソシアネートと異なってもよいポリイソシアネート、および
d) 触媒
との更なる反応で部分的にまたは完全にアロファネート化し、アロファネート化の前、間および/または後に
e) 酸性添加剤を任意に添加してもよい
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法を提供する。
【0008】
同様に、本発明の方法によって調製されたアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーが本発明により提供される。
【0009】
成分a)およびc)の好適なポリイソシアネートは分子あたり少なくとも二つのイソシアネート基を有し、それ自体当業者に知られている有機脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式ポリイソシアネート、および更にそれらの混合物である。
【0010】
好適な脂肪族および脂環式ポリイソシアネートの例はジ-またはトリイソシアネート(例えばブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN))または環系(例えば4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)および更にω,ω'-ジイソシアナト-1,3-ジメチルシクロヘキサン(H6XDI))である。
【0011】
使用されてもよい芳香族ポリイソシアネートは例えば1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン異性体(MDI)およびその高分子量誘導体、ジイソシアナトメチルベンゼン(2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート、TDI)、特に2,4-および2,6-異性体および二つの異性体の工業銘柄混合物、および1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)を含む。
【0012】
しかしながら、成分a)およびc)の構成要素として前述の種類の脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0013】
成分a)およびc)での使用にポリイソシアネートとしてヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および/または3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)が特に好ましい。特別に好ましいポリイソシアネートはHDIである。
【0014】
好ましくはa)およびc)で同じポリイソシアネートが使用される。
【0015】
成分b)のポリエーテルポリオールの数平均分子量Mnは300〜20000 g/mol、好ましくは1000〜12000 g/mol、より好ましくは1000〜4000 g/molである。
【0016】
加えて、成分b)のポリエーテルポリオールはポリオールのグラムあたり0.02ミリグラム当量(meq/g)以下、好ましくは0.015 meq/g以下、より好ましくは0.01 meq/g以下の不飽和末端基を含む(測定方法ASTM D2849-69)。
【0017】
更に、成分b)のポリエーテルポリオールは特に狭い分子量分布、すなわち多分散度(PD = Mw/Mn)1.0〜1.5および/またはOH官能価≧1.9を有する。好ましくは前述のポリエーテルポリオールの多分散度は1.0〜1.5およびOH官能価は1.9より大きく、より好ましくは1.95以上である。
【0018】
本発明による使用するポリエーテルのOH官能価は好ましくは6未満、より好ましくは4未満である。
【0019】
この種類のポリエーテルポリオールは好適な出発分子を、特にダブルメタルシアニド触媒(DMC触媒)を使用して、アルコキシル化することによる常套の方法で調製されてもよい。このことは例えばUS-A 5 158 922 (例えば実施例30)およびEP-A 0 654 302 (5頁26行〜6頁32行)に開示されている。
【0020】
このポリエーテルポリオールを調製するための好適な出発分子の例は低分子量の単純なポリオール、水、少なくとも二つのN-H結合を有する有機ポリアミンまたはそのような出発分子の所望する混合物を含む。アルコキシル化に好適なアルキレンオキサイドは、特に、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドである。それらはアルコキシル化に、どの順番で使用されてもよく、また混合物で使用されてもよい。
【0021】
好ましい出発分子は単純なポリオール(例えばエチレングリコール、プロピレン1,3-グリコールおよびブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール)およびまたそのようなポリオールとジカルボン酸の低分子量のヒドロキシルを含むエステルまたはこの種類の単純なポリオールの低分子量エトキシル化またはプロポキシル化生成物、またはヒドロキシル基を含むこの種類の化合物の所望される混合物である。
【0022】
イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーはa)からの過剰量のポリイソシアネートと成分b)のポリエーテルポリオールを反応させることによって調製される。この反応は、それ自体ポリウレタンケミストリーから知られている触媒(例えば錫石けん(tin soaps)(例えば錫(II)ビス(2-エチルヘキサノエート))、有機錫化合物(例えばジブチル錫ジラウレート)、または第三級アミン(例えばトリエチルアミンまたはジアザビシクロオクタン))の適切なところでの使用とともに、一般的に温度20〜140℃、好ましくは40〜100℃で行う。
【0023】
アロファネート化は、次にイソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーとポリイソシアネートc) (このポリイソシアネートc)は成分a)のポリイソシアネートと同じであっても異なっていてもよい)にアロファネート化に好適な触媒d)を添加した反応によって行う。典型的には安定化の目的のために成分e)の酸性添加剤の添加および生成物からの過剰のポリイソシアネートの除去(例えば薄膜蒸留または抽出による)が次に続く。
【0024】
成分b)の化合物のOH基対a)およびc)からのポリイソシアネートのNCO基のモル比は好ましくは1:1.5〜1:20、より好ましくは1:2〜1:15、非常に好ましくは1:5〜1:15である。
【0025】
アロファネート化に好適な触媒d)の例は亜鉛、錫およびジルコニウム化合物であり、亜鉛化合物および錫化合物が好ましい。特に好ましい錫および亜鉛化合物は錫(II)塩(例えばSn(II)ジハライド)、錫または亜鉛石けん(例えばSn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)、Sn(II)ビス(n-オクトエート)、Zn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)およびZn(II)ビス(n-オクトエート))、およびまた有機錫化合物である。非常に特に好ましいものはZn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)である。
【0026】
これらのアロファネート化触媒は典型的には全ての反応混合物に基づいて5重量%までの量で使用される。5〜500 ppmの触媒を添加することが好ましく、より好ましくは20〜200 ppmである。
【0027】
成分e)の酸性添加剤としてルイス酸(電子不足化合物)またはブレンシュテッド酸(プロトン酸)または水と反応してそのような酸を放出する化合物を使用してもよい。
【0028】
これらは例えば有機酸でも無機酸でももしくは中性化合物(例えば水と反応し対応する酸を形成する酸ハロゲン化物またはエステル)でもよい。特に塩酸、リン酸、リン酸エステル、塩化ベンゾイル、イソフタロイルジクロリド、p-トルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸、ジクロロ酢酸および2-クロロ-プロピオン酸が例示されてもよい。
【0029】
酸性添加剤がどこで使用されようとも、酸性添加剤は好ましくは有機酸(例えばカルボン酸)または酸ハロゲン化物(例えば塩化ベンゾイルまたはイソフタロイルジクロリド)である。
【0030】
酸性添加剤は一般的に少なくとも酸性添加剤の酸性中心(acidic centres)対触媒の触媒活性中心(catalytically active centres)が少なくとも1:1のモル比になるように添加される。しかしながら、好ましくは過剰の酸性添加剤が添加される。
【0031】
薄膜蒸留は過剰のジイソシアネートを分離する好ましい方法であり、一般的に温度100〜160℃、0.01〜3 mbarの圧力下で行われる。その後の残りのモノマー含量は好ましくは1重量%より少なく、より好ましくは0.5重量%より少ない(ジイソシアネート)。
【0032】
製造工程全体は任意に不活性溶媒の存在下で行われてもよい。本明細書中で不活性溶媒は与えられた反応条件下で反応物と反応しない溶媒である。不活性溶媒の例はエチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、芳香族、(環状)脂肪族炭化水素混合物またはそのような溶媒の所望の混合物である。しかしながら、好ましくは本発明による反応は無溶媒で行われる。
【0033】
イソシアネート基を含むプレポリマーの調製およびアロファネート化どちらにも関係する成分はどの順番で添加されてもよい。それにも拘わらずポリエーテルポリオールb)を成分a)およびc)のポリイソシアネートの最初の仕込みに添加し、最後にアロファネート化触媒d)を添加することが好ましい。
【0034】
本発明のある好ましい態様で、成分a)およびc)のポリイソシアネートを好適な反応器に仕込み、次にこの最初の仕込みを40〜100℃に加熱する(要すれば攪拌しながら)。所望する温度に到達した後、成分b)のポリヒドロキシ化合物を攪拌しながら添加し、攪拌をNCO含量がこのポリウレタンプレポリマーの選択化学量論によって予想される理論NCO含量か少し下回るまで攪拌を継続する。次にアロファネート化触媒d)を添加し、この反応混合物をNCO含量が所望されるNCO含量か少し下回るまで50および100℃に加熱する。次に、安定化の目的のために、成分e)の酸性添加剤を添加した後に反応混合物を冷却または薄膜蒸留に直接回す。その操作中、温度100〜160℃、0.01〜3 mbarの圧力下で過剰のポリイソシアネートを分離し、残りのモノマー含量を1%未満、好ましくは0.5%未満に下げる。薄膜蒸留に続いて、安定剤として任意に成分e)のさらなる酸性添加剤を添加してもよい。
【0035】
本発明の方法で形成されるアロファネートは典型的には一般式(I)
【化1】

(式中、
Q1およびQ2 は互いに独立して上述のタイプの直鎖状および/または環状の脂肪族ジイソシアネートの基、好ましくは-(CH2)6-であり、
R1およびR2 は互いに独立して水素またはC1-C4アルキル基であり、R1およびR2は好ましくは水素および/またはメチル基であり、
Y は官能価2〜6の上述のタイプの出発分子の基であり、それゆえに
n は2〜6の数(異なる出発分子の使用の結果として、もちろん整数である必要はない)であり、
m は好ましくはモノマー単位の数に一致し、この構造がベースとするポリエーテルの数平均分子量は300〜20000 g/molである。)
を有する。
【0036】
好ましくは得られるアロファネートは一般式(II)
【化2】

(式中、
Q は上述のタイプの直鎖状および/または環状の脂肪族ジイソシアネートの基、好ましくは-(CH2)6-であり、
R1およびR2 は互いに独立して水素またはC1-C4アルキル基であり、R1およびR2は好ましくは水素および/またはメチル基であり、
Y は上述の種類の二官能価出発分子の基であり、
m はモノマー単位の数に一致し、この構造がベースとするポリエーテルの数平均分子量は300〜20000 g/molである。)
を有するアロファネートである。
【0037】
本発明によって安定化されたアロファネートの数平均分子量は典型的には700〜50000 g/mol、好ましくは1500〜15000 g/mol、より好ましくは1500〜8000 g/molである。
【0038】
本発明によって安定化されたアロファネートの23℃における粘度は典型的には500〜100000 mPas、好ましくは500〜50000 mPas、より好ましくは1000〜7500 mPas、非常に好ましくは1000〜3500 mPasである。
【0039】
本発明によって安定化されたアロファネートはそれらをそれぞれ好適なポリオールまたはポリアミン、または両方の混合物と反応させることによって、例えばポリウレタン、ポリウレアまたはポリウレタン-ウレアの調製に使用されてもよい。この反応は室温以下で行ってもよいが、また高温(ベーキング)で行ってもよい。結果として得られるポリウレタンまたはポリウレアはそれ自体被膜として特に好適である。
【0040】
従って本発明はまた
A) 一以上の本発明のアロファネートおよび
B) 少なくとも一つのジオールまたはポリオールおよび/または
C) 少なくとも一つの直鎖状および/または環状の、脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジアミンまたはポリアミン
を含有する被覆組成物を提供する。
【0041】
本発明による方法によって調製されるアロファネートはその前述の成分B)およびC)との非常に高い相溶性が注目に値する。特に、A)およびC)の組み合わせが均質の(ポリウレア)被膜に導く。
【0042】
言及される被覆組成物は常套の技術(例えば噴霧、浸漬、流れ塗または流し込み)によって表面に適用されてもよい。蒸発分離し、存在する溶媒を除去した後、次にこの被膜を周囲の条件またはより高い温度(例えば40〜200℃)下で硬化する。
【0043】
上述の被覆組成物は例えば金属、プラスチック、セラミック、ガラスおよびまた天然物に適用されてもよく、上述の物質を必要な前処理を行ってもよい。
【0044】
実施例
そうでないと言及されない限り、全ての百分率は重量百分率であると理解されるべきである。
【0045】
NCO含量は過剰に添加されたジ-n-ブチルアミンの塩酸での逆滴定により決定した。
【0046】
粘度は23℃でHaakeからの回転式粘度計を使用して測定した。
【0047】
色数はDIN EN 1557(ハーゼン)に従って測定した。
【0048】
比較例1
1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gを最初に10%濃度のイソフタロイルジクロリドのn-ブチルアセテート溶液120 mgと混合し、次にこの混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。その後、約3時間かけて、塩基触媒プロピレンオキサイド重合によって得られたポリプロピレングリコール(分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2) 327.9 gを添加した。その後、この反応混合物をNCO含量が20.7%になるまで100℃で加熱した。NCO含量が20.7%になった時点で温度を90℃に下げ、この反応混合物を亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート) 50 mgの添加の後、NCO含量が18.4%になるまで攪拌した。イソフタロイルジクロリド50 mgの添加に続いて過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbarおよび140℃での薄膜蒸留によって除去した。
【0049】
これにより透明であるがハーゼン色数123をもち、5.07%のNCO含量および2180 mPasの粘度(23℃)を伴う著しい黄変を有する生成物を与えた。
【0050】
比較例2
1,6-ヘキサンジイソシアネート470.1 gを攪拌しながら100℃に加熱した。その後、約3時間かけて、塩基触媒プロピレンオキサイド重合によって得られたポリプロピレングリコール(分子量1000 g/mol、OH価112 mg KOH/g、理論官能価2) 279.8 gを添加した。その後、この反応混合物をNCO含量が28.2%になるまで100℃で加熱した。NCO含量が28.2%になった時点で温度を90℃に下げ、この反応混合物を亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート) 60 mgの添加の後、NCO含量が25.1%になるまで攪拌した。ジブチルホスフェート40 mgの添加に続いて過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbarおよび140℃での薄膜蒸留によって除去した。
【0051】
これによりかすかに濁った、ハーゼン色数32、NCO含量9.85%および粘度6570 mPas(23℃)を有する、黄みがかった生成物を与えた。
【0052】
実施例1
1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gを最初に10%濃度のイソフタロイルジクロリドのn-ブチルアセテート溶液120 mgと混合し、次にこの混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間かけて、DMC触媒(塩基フリー)によって調製されたポリプロピレングリコール(不飽和基の量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2) 324.3 gを添加した。その後、この反応混合物をNCO含量が20.7%になるまで100℃で加熱した。NCO含量が20.7%になった時点で温度を90℃に下げ、この反応混合物を亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート) 50 mgの添加の後、NCO含量が18.4%になるまで攪拌した。イソフタロイルジクロリド50 mgの添加に続いて過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを0.3 mbarおよび140℃での薄膜蒸留によって除去した。
【0053】
これによりハーゼン色数5、NCO含量5.15%および粘度2560 mPas (23℃)を有する透明の生成物を与えた。この色数は対応する比較例1によって得られた生成物の色数よりずっと低い。
【0054】
実施例2
1,6-ヘキサンジイソシアネート502.4 gを攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間かけて、DMC触媒によって得られたポリプロピレングリコール(分子量1000 g/mol、OH価112 mg KOH/g、理論官能価2)297.5 gを添加した。次に、この反応混合物をNCO含量が28.2%になるまで100℃で加熱した。NCO含量が28.2%になった時点で温度を90℃に下げ、この反応混合物を亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート) 70 mgの添加の後、NCO含量が25.1%になるまで攪拌した。ジブチルホスフェート40 mgの添加に続いて過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbarおよび140℃での薄膜蒸留によって除去した。
【0055】
これによりハーゼン色数0、NCO含量8.95%および粘度3500 mPas (23℃)を有する無色の生成物を与えた。この色数は対応する比較例2によって得られた生成物の色数よりずっと低い。
【0056】
実施例3:
1,6-ヘキサンジイソシアネート336.0 gを最初に10%濃度のイソフタロイルジクロリドのn-ブチルアセテート溶液120 mgと混合し、次にこの混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間かけて、DMC触媒(塩基フリー)によって調製されたポリプロピレングリコール(不飽和基の量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2)263.8 gを添加した。その後、この反応混合物をNCO含量が26.1%になるまで100℃で加熱した。NCO含量が26.1%になった時点で温度を90℃に下げ、この反応混合物を亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート) 50 mgの添加の後、NCO含量が24.3%になるまで攪拌した。イソフタロイルジクロリド50 mgの添加に続いて過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを0.6 mbarおよび140℃での薄膜蒸留によって除去した。
【0057】
これによりNCO含量6.45%および粘度2860 mPas (23℃)を有する無色、透明の生成物を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 一以上のポリイソシアネートを
b) ポリオール1グラムあたり0.02ミリグラム当量以下の不飽和末端基(測定方法:ASTM D2849-69)を含み、多分散度(PD = Mw/Mn)1.0〜1.5かつ/またはOH官能価1.9以上の一以上のポリエーテルポリオール
と反応させ、NCO官能ポリウレタンプレポリマーを与え、結果として生じるウレタン基を
c) a)のポリイソシアネートと異なってもよいポリイソシアネート、および
d) 触媒
との更なる反応で部分的にまたは完全にアロファネート化し、このアロファネート化の前、間および/または後に
e) 酸性添加剤を任意に添加してもよい
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項2】
成分a)およびc)で同じタイプのポリイソシアネートが使用されることを特徴とする、請求項1記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項3】
成分a)およびc)のポリイソシアネートが脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1または2記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法によって得られる、アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマー。
【請求項5】
被膜、接着層および/またはシールの製造のための請求項4記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの使用。
【請求項6】
A) 請求項4記載のアロファネート構造単位を含む一以上のポリイソシアネートプレポリマーおよび
B) 少なくとも一つのジオールまたはポリオールおよび/または
C) 少なくとも一つの直鎖状および/または環状の、脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジアミンまたはポリアミン
を含有する被覆組成物。
【請求項7】
請求項4記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーから得られる被膜で被覆された基材。

【公表番号】特表2007−530750(P2007−530750A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505436(P2007−505436)
【出願日】平成17年3月19日(2005.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002954
【国際公開番号】WO2005/095481
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】