変速操作装置
【課題】ステーブル機能とモーメンタリ機能とを有する変速操作装置の小型化を図る。
【解決手段】シフトレバー2の操作位置を検出するレバー位置検出部5と、検出されたレバー位置に応じてステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換える切換機構6と、を設ける。これにより、ステーブル機構3とモーメンタリ機構4との切り換えをシフトレバー2をシフトする1列で行うことができるようになるため、シフトレバー2の操作面を小型化することができ、変速操作装置1のレイアウトがより容易になる。
【解決手段】シフトレバー2の操作位置を検出するレバー位置検出部5と、検出されたレバー位置に応じてステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換える切換機構6と、を設ける。これにより、ステーブル機構3とモーメンタリ機構4との切り換えをシフトレバー2をシフトする1列で行うことができるようになるため、シフトレバー2の操作面を小型化することができ、変速操作装置1のレイアウトがより容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステーブル機能とモーメンタリ機能とを備えた変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車等の車両の変速操作装置として、シフトレバーを所定位置で保持するステーブル機能による変速と、シフトレバーの変速入力後に中立位置に復帰させるモーメンタリ機能による変速と、を両方行えるようにした変速操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−8545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の変速操作装置では、ステーブル変速用の第1のシフト路と、モーメンタリ変速用の第2のシフト路とを、所定間隔をあけて平行に二列設け、シフトレバーを、第1のシフト路と第2のシフト路との間で移動させるように構成されている。このため、シフトレバーの操作面が必然的に大型化してしまう。
【0004】
そこで、本発明は、ステーブル機能とモーメンタリ機能とを有する変速操作装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、変速操作装置に、レバー位置検出部で検出されたレバー位置に応じて、ステーブル機構とモーメンタリ機構とを選択的に切り換える切換機構を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レバー位置に応じて、ステーブル機構による変速操作とモーメンタリ機構による変速操作とを、同列で切り換えることができるようになり、変速操作装置をより小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる変速操作装置の分解斜視図、図2は、変速操作装置の背面図、図3は、図2中III−III線に沿った断面図、図4は、図3中IV部を取り出して作動状態を示す断面図、図5は、図4中V部の拡大断面図、図6は、図3中VI−VI線に沿った拡大断面図、図7は、本実施形態にかかる変速操作装置のシステム概念図である。
【0009】
図1〜図3に示すように、本実施形態にかかる変速操作装置1は、変速操作を行うシフトレバー2と、このシフトレバー2のシフト方向に配置した複数の変速段(図示省略)の選択時にシフトレバー2をその選択した位置に停止しておくステーブル機構3と、シフトレバー2の入力操作で変速して所定位置にシフトレバー2を自動復帰させるモーメンタリ機構4と、を備えている。
【0010】
ここで、ステーブル機構3とは、シフトレバー2のステーブル機能を達成する構造部分であり、ステーブル機能とは、シフトレバー2をシフトした位置で保持して停止させておくことができる機能である。また、モーメンタリ機構4とは、シフトレバー2のモーメンタリ機能を達成する構造部分であり、モーメンタリ機能とは、シフトレバー2の入力操作(変速操作)後シフトレバー2を予め設定した復帰位置(例えば中立位置)に自動的に復帰させる機能である。
【0011】
シフトレバー2は、挿通穴22aに嵌着した支軸21を中心に図示省略した車体側に回動可能に取り付けたレバー基部22と、このレバー基部22から棒状に突出するレバー本体部23と、を備えて構成してある。
【0012】
ここで、本実施形態では、シフトレバー2の操作位置を検出するレバー位置検出部5と、検出されたレバー位置に応じてステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換える切換機構6と、を設けてある。
【0013】
ステーブル機構3は、シフトレバー2に節度感をもって作動させるための第1の操作力を与える第1のチェック機構31を備える一方、モーメンタリ機構4は、シフトレバー2を復帰位置に自動的に復帰させる第2の操作力を与える第2のチェック機構41を備えている。そして、本実施形態では、第1のチェック機構31による第1の操作力を、第2のチェック機構41による第2の操作力より大きくしてある。
【0014】
すなわち、第1のチェック機構31は、シフトレバー2の複数の変速段に対応した回転位置に対応して、外周に複数の凹部32aを等間隔をもってギア歯状に形成した円板状の第1チェック32と、一端部33aを車体側に固定して先端部33bを第1チェック32の外周に付勢力をもって圧接する板ばね状の第1チェックスプリング33と、を備えて構成されている。そして、第1チェックスプリング33によって第1のチェック機構31に第1の操作力を付与するようになっている。また、第1チェック32は、その中心部に形成した挿通穴32cに上述した支軸21を回転自在に嵌合してある。
【0015】
第2のチェック機構41は、レバー基部22の上面に設けた第2チェック42と、この第2チェック42に対向して車体側に固定される第2チェックブロック43と、を備えて構成されている。そして、第2チェック42と第2チェックブロック43との間には、シフトレバー2を所定の復帰位置(本実施形態では中立位置)に付勢力をもって自動的に復帰させる図示省略したスプリングを設けてある。そして、そのスプリングの付勢力によって第2のチェック機構41に第2の操作力を付与するようになっている。
【0016】
また、切換機構6は、シフトレバー2と第1のチェック機構31との接続/遮断を切り換えて断続可能に同期させる同期部材61と、この同期部材61を駆動する駆動手段としてのソレノイド62と、を備えている。
【0017】
同期部材61は、レバー基部22に設けたガイド穴22bに摺動自在に嵌合するスライド軸61aと、第1チェック32に設けた溝穴32bに係脱可能な係合ピン61bと、を備えている。
【0018】
ガイド穴22bおよびスライド軸61aはそれぞれ所定間隔をもって一対設けてあり、一対のスライド軸61a間にソレノイド62を配置してある。また、係合ピン61bも一対設けてあり、溝穴32bは一対の係合ピン61bの間隔をもって第1チェック32の周方向に等間隔に複数形成されている。
【0019】
ソレノイド62は、図1に示すように、レバー基部22に形成した矩形状の取付穴22cに嵌着するとともに、図3に示すように、第1チェック32方向に突出した出没ロッド62aを同期部材61の挿通穴61cに挿通してある。そして、出没ロッド62aを挿通穴61c内部でピン62bを介して同期部材61に連結してある。
【0020】
レバー位置検出部5はセンサアセンブリ51に内蔵してある。センサアセンブリ51は車体側に固定してあり、その取付穴52にレバー基部22から支軸21と同軸上に突出するセンサ連結軸24を受容してある。なお、図1では、便宜上、支軸21とセンサ連結軸24とを分離して示してあるが、実際は図2に示すように一体として形成されている。
【0021】
そして、センサ連結軸24を介してシフトレバー2を操作した時の回転角を、センサアセンブリ51の内部に設けたレバー位置検出部5に伝達して、変速段位置を検出するようになっている。
【0022】
レバー位置検出部5によって検出した変速段位置は、図7に示すように、コントローラ7に出力するようになっている。このとき、コントローラ7には、トランスミッションの現在のギア位置の信号が入力されるとともに、トランスミッションが変速できる状態を検知するイグニッション信号が入力される。そして、ソレノイド62には、コントローラ7から出力されるオン・オフの指令信号を入力するようになっている。
【0023】
したがって、本実施形態にかかる変速操作装置1では、ソレノイド62はピン62bにて同期部材61と連結して回動する。特に、本実施形態では、図5に示すように、挿通穴61cの内周にピン62b位置に対応して球形突起61dを設けることにより、ソレノイド62と同期部材61とをストレス無く回動可能となっている。
【0024】
同期部材61は、図4中破線に示すように、ソレノイド62の動きに追随し、シフトレバー2のガイド穴22bに嵌合したスライド軸61aを介して直動する。ソレノイド62がコントローラ7の指示に従い、押し出し方向に作動するとき、同期部材61の係合ピン61bは第1チェック32の溝穴32bに進入し、シフトレバー2と第1チェック32は係合する。
【0025】
このとき、シフトレバー2に設けられている第2チェック42〜第2チェックブロック43により生成される第2の操作力は、第1チェック32〜第1チェックスプリング33により生成される第1の操作力よりも小さい。すなわち、シフトレバー2と第1チェック32が係合した状態においては、(第1チェック32〜第1チェックスプリング33の第1の操作力)>(第2チェック42〜第2チェックブロック43の第2の操作力)となる。
【0026】
第1チェック32〜第1チェックスプリング33によるシフトレバー2の動きは、シフトレバー2を所定の位置で停止させるステーブルの機能をなし、第2チェック42〜第2チェックブロック43によるレバーの動きは、そのレンジの中間へ自動復帰させようとするモーメンタリの機能をなす。
【0027】
第1の操作力が第2の操作力となる状態においては、レバーの動きはステーブルとなり、シフトレバー2は所定のレンジで停止する。また、ソレノイド62がコントローラ7の指示に従い、出没ロッド62aが引き込み方向に作動するとき(ソレノイド62に供給される電流が断たれることにより、自身に設置したスプリング等による装置で引き込むことも含む)、同期部材61はシフトレバー2側にソレノイド62と共に直動し、シフトレバー2と第1チェック32は独立の位置関係になる。
【0028】
このとき、シフトレバー2は第2チェック42〜第2チェックブロック43の作用のみにより動くことから、シフトレバー2はモーメンタリの動きとなり、シフトレバー2は所定の復帰位置(本実施形態では中立位置)へ自動的に復帰する。
【0029】
また、ソレノイド62と同期部材61は回動可能であることから、シフトレバー2〜第1チェック32が係合する際に生じる反力をピン62b部分でのモーメントとする。かつ、ソレノイド62は第1チェック32と直接係合せず、その反力はシフトレバー2と同期部材61で分担することから、ソレノイド62にこじり入力等の付加が無く、所定の機能を果たすことができる。
【0030】
ここで、仮に、ソレノイド62が反力を受ける場合、ソレノイド62とピン62bの根元部分で破壊することが容易に考え得る。また、シフトレバー2と同期部材61の摺動部は、フリクションによる固着が考え得るため、図6に示すように、シフトレバー2のガイド穴22bにV字型のレール22dを設けて線接触として面圧変化を抑制するとともに、同期部材61のスライド軸61aの断面形状を略楕円形状とすることで上下接触時の面圧変化を抑制している。
【0031】
以上の構成により、本実施形態の変速操作装置1によれば、レバー位置検出部5によって検出したシフトレバー2の操作位置に応じて、切換機構6によってステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換えるようにしたので、ステーブル機構3とモーメンタリ機構4との切り換えをシフトレバー2をシフトする1列で行うことができるようになる。したがって、シフトレバー2の操作面を小型化することができ、ひいては、変速操作装置1のレイアウトがより容易になる。
【0032】
また、本実施形態では、ステーブル機構3に設けた第1のチェック機構31の第1の操作力を、モーメンタリ機構4に設けた第2のチェック機構41の第2の操作力より大きくしたので、シフトレバー2から第1のチェック機構31に至る操作力伝達経路を遮断するのみで、比較的容易にステーブル機構3からモーメンタリ機構4に切り換えることができる。
【0033】
さらに、切換機構6は、シフトレバー2と第1のチェック機構31との操作力伝達経路を断・続する同期部材61と、この同期部材61を断・続作動するソレノイド62と、を備えて構成したので、ソレノイド62によって同期部材61を作動することで、シフトレバー2と第1のチェック機構31との操作力伝達経路の接続/遮断を切り換えて、比較的簡素な構成によってステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換えることができるようになる。
【0034】
(第2実施形態)図8は、本実施形態にかかる変速操作装置の操作面を(a)、(b)のステーブル機能と(c)のモーメンタリ機能で示す説明図、図9は、変速操作装置のシフトレバー位置を(a)のステーブル機能と(b)のモーメンタリ機能で示す説明図、図10は、変速操作装置の回路図、図11は、シフトレバーの位置検出を行うロジックを示す説明図、図12は、レバー位置検出部の取付状態を示す断面図、図13は、図10中XIII部の拡大断面図、図14は、シフトロジック変更時のフローチャート、図15は、シフトロジックがステーブル機能時のトランスミッション変速可能条件を検出するフローチャート、図16は、トランスミッションの駐車位置移行条件を検出するフローチャートである。
【0035】
図8、図9に示すように、本実施形態にかかる変速操作装置1Aは、基本的に第1実施形態の変速操作装置1と同様の構成を備えている。ただし、図8に示すように、前進(D)と後退(R)の2レンジで構成した点が、上記第1実施形態と相違している。
【0036】
すなわち、本実施形態の変速操作装置1Aでは、図8(a)、(b)および図9(a)に示すように、図示省略したトランスミッションを変速可能な状況下において、前進(D)と後退(R)のステーブル機能の2レンジで構成してある。そして、トランスミッションが変速不可の状況下においては、図8(c)および図9(b)に示すように、それらの間の中立位置(復帰位置)へシフトレバー2を自動的に復帰させるようになっている(すなわちモーメンタリ機能)。
【0037】
また、この動作を実現するために、図10に示す回路を構成し、そして、図11に示すロジックをもってシフトレバー2の位置を検出するようになっている。なお、この場合は、ONとOFFが反転する例も含むものとする。
【0038】
このようにしてシフトレバー2の検出ロジックを構成して擬似的に二重系を構築できるため、センサが1個故障した場合、若しくは電源が1系統に障害が生じた場合にも正しくシフトレバー2の位置を判定することができるとともに、前進と後退の逆転防止、また、走行段でのエンジン始動禁止を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態ではシフトレバー2の位置を精度良く検出するために、図12、図13に示すように、レバー位置検出部5は、レバー本体部22に設けた係合凹部25と、センサ本体部5aに設けて係合凹部25にほぼ密接して嵌合する球体係合部5bと、を備え、係合凹部25と球体係合部5bとを介してレバー位置をセンサ本体部5aに伝達するようにしてある。
【0040】
すなわち、シフトレバー2の位置を正しくセンサ本体部5aに伝達するために、レバー本体部22に設けた係合凹部25に、レバー位置検出部5に設けた球体係合部5bを嵌める構造を採用している。
【0041】
また、球体係合部5bの支持部、つまり、球体係合部5bがセンサ本体部5aに繋がる部分に、所定値以上の異常荷重が入力したした際に破壊される脆弱部としての剛性急変部5cを設けてある。
【0042】
剛性急変部5cは、球体係合部5bをセンサ本体部5aに繋げる連結部5dをセンサ本体部5aよりも小径に形成して、その連結部5dをセンサ本体部5aに角部Kを形成して連結することにより構成してある。そして、異常荷重の入力により角部Kに応力集中が発生して、剛性急変部5cが破壊されるようになっている。このとき、連結部5dには、モーメンタリ機能によって中立に自動復帰させるスプリング(図示省略)を設置して、その付勢力を作用させてある。
【0043】
また、本実施形態にあってもイグニッションの状況に応じてシフトレバー2をステーブル機能とモーメンタリ機能とを切り換えることができ、その時の切り換えロジックのフローチャートを図14によって説明する。
【0044】
まず、ステップS1でイグニッションロック(IGN LOCK)、つまり、トランスミッションが駐車位置に設定した後、ステップS2でイグニッション(IGN)のON状態を検出(YES)し、ステップS3でパーキングブレーキ(PKB)のON状態を検出(YES)し、ステップS4でブレーキスイッチ(BRAKE)のON状態(制動状態)を検出(YES)し、ステップS5でエンジン(ENG)の始動(start)を検出(YES)した場合に、ステップS6でトランスミッションをニュートラル位置に移行させる。次に、ステップS7で車速の0Km/h(すなわち停車状態)を検出(YES)し、ステップS8でブレーキのON状態を検出(YES)した場合、ステップS9で走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)へのシフトを許可し、この場合はステーブル状態となる。
【0045】
一方、ステップS2〜S5でNOを検出した場合はステップS1にリターンするとともに、ステップS7、S8でNOを検出した場合はステップS6にリターンし、これらの場合はいずれもモーメンタリ状態となる。
【0046】
また、シフトロジックがステーブル状態の時のトランスミッション変速可能条件は図15に示すフローチャートによって設定できる。
【0047】
このトランスミッション変速可能条件は、ステップS10でDレンジにシフトした際に、ステップS11でブレーキのON状態を検出し、ステップS12で車速の0Km/hを検出した場合、ステップS13によってRレンジへの移行を許可する。なお、このフローチャートではRレンジからDレンジへの変速時も同様となる。さらに、トランスミッションが駐車位置への移行条件は図16に示すフローチャートによって設定できる。
【0048】
このトランスミッション駐車位置移行条件は、まず、ステップS20でDレンジにシフトした時に、ステップS21でブレーキのON状態を検出し、ステップS22で車速の0Km/hを検出し、ステップS23でパーキングブレーキのON状態を検出した場合、ステップS24によってイグニッションをロック状態に設定する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、ステーブル機能およびモーメンタリ機能を備えた変速操作装置1Aについて、シフトレバーの前進位置(D)および後退位置(R)を設定してそれら各位置でのステーブル機能を与えるとともに、当該前進位置(D)および後退位置(R)とそれらの間の中立位置(復帰位置)との間でモーメンタリ機能を与えるようにした。このため、小型で操作の容易な変速操作装置1Aを得ることができる。
【0050】
また、本実施形態にかかる変速操作装置1Aによれば、レバー位置検出部5は、レバー本体部22に設けた係合凹部25と、センサ本体部5aに設けて係合凹部25にほぼ密接して嵌合する球体係合部5bと、を介してレバー位置をセンサ本体部5aに伝達するようにしてある。これにより、レバー本体部22に対して被同期部材となるレバー位置検出部5側の係合部5bを球体とすることで、組み付ける際に発生するセンサ本体部5aの傾きなどを抑制することが可能となり、また、点接触となるため係合部分の摩耗が小さくなり、さらには、管理寸法のバラ付きを吸収することができる。
【0051】
また、球体係合部5bの支持部に、所定値以上の異常荷重が入力した際に破壊される脆弱部としての剛性急変部5cを設けてある。これにより、異常荷重がシフトレバー2とレバー位置検出部5との間に発生した際、剛性急変部5cを基点に破壊を起こして、連結部5dとセンサ本体部5aとの間を速やかに破断させることにより安全に車両を停止できる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々に変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置の背面図である。
【図3】図2中III−III線に沿った断面図である。
【図4】図3中IV部を取り出して作動状態を示す断面図である。
【図5】図4中V部の拡大断面図である。
【図6】図3中VI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置のシステム概念図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置の操作面を(a)、(b)のステーブル機能と(c)のモーメンタリ機能で示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置のシフトレバー位置を(a)のステーブル機能と(b)のモーメンタリ機能で示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置の回路図である。
【図11】本発明の第2実施形態にかかるシフトレバーの位置検出を行うロジックを示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかるレバー位置検出部の取付状態を示す断面図である。
【図13】図10中XIII部の拡大断面図である。
【図14】シフトロジック変更時のフローチャートである。
【図15】シフトロジックがステーブル機能時のトランスミッション変速可能条件を検出するフローチャートである。
【図16】トランスミッションの駐車位置移行条件を検出するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1,1A 変速操作装置
2 シフトレバー
22 レバー本体部
25 係合凹部
3 ステーブル機構
31 第1のチェック機構
4 モーメンタリ機構
41 第2のチェック機構
5 レバー位置検出部
5a センサ本体部
5b 球体係合部
5c 剛性急変部
6 切換機構
61 同期部材
62 ソレノイド(駆動手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステーブル機能とモーメンタリ機能とを備えた変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車等の車両の変速操作装置として、シフトレバーを所定位置で保持するステーブル機能による変速と、シフトレバーの変速入力後に中立位置に復帰させるモーメンタリ機能による変速と、を両方行えるようにした変速操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−8545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の変速操作装置では、ステーブル変速用の第1のシフト路と、モーメンタリ変速用の第2のシフト路とを、所定間隔をあけて平行に二列設け、シフトレバーを、第1のシフト路と第2のシフト路との間で移動させるように構成されている。このため、シフトレバーの操作面が必然的に大型化してしまう。
【0004】
そこで、本発明は、ステーブル機能とモーメンタリ機能とを有する変速操作装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、変速操作装置に、レバー位置検出部で検出されたレバー位置に応じて、ステーブル機構とモーメンタリ機構とを選択的に切り換える切換機構を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レバー位置に応じて、ステーブル機構による変速操作とモーメンタリ機構による変速操作とを、同列で切り換えることができるようになり、変速操作装置をより小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる変速操作装置の分解斜視図、図2は、変速操作装置の背面図、図3は、図2中III−III線に沿った断面図、図4は、図3中IV部を取り出して作動状態を示す断面図、図5は、図4中V部の拡大断面図、図6は、図3中VI−VI線に沿った拡大断面図、図7は、本実施形態にかかる変速操作装置のシステム概念図である。
【0009】
図1〜図3に示すように、本実施形態にかかる変速操作装置1は、変速操作を行うシフトレバー2と、このシフトレバー2のシフト方向に配置した複数の変速段(図示省略)の選択時にシフトレバー2をその選択した位置に停止しておくステーブル機構3と、シフトレバー2の入力操作で変速して所定位置にシフトレバー2を自動復帰させるモーメンタリ機構4と、を備えている。
【0010】
ここで、ステーブル機構3とは、シフトレバー2のステーブル機能を達成する構造部分であり、ステーブル機能とは、シフトレバー2をシフトした位置で保持して停止させておくことができる機能である。また、モーメンタリ機構4とは、シフトレバー2のモーメンタリ機能を達成する構造部分であり、モーメンタリ機能とは、シフトレバー2の入力操作(変速操作)後シフトレバー2を予め設定した復帰位置(例えば中立位置)に自動的に復帰させる機能である。
【0011】
シフトレバー2は、挿通穴22aに嵌着した支軸21を中心に図示省略した車体側に回動可能に取り付けたレバー基部22と、このレバー基部22から棒状に突出するレバー本体部23と、を備えて構成してある。
【0012】
ここで、本実施形態では、シフトレバー2の操作位置を検出するレバー位置検出部5と、検出されたレバー位置に応じてステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換える切換機構6と、を設けてある。
【0013】
ステーブル機構3は、シフトレバー2に節度感をもって作動させるための第1の操作力を与える第1のチェック機構31を備える一方、モーメンタリ機構4は、シフトレバー2を復帰位置に自動的に復帰させる第2の操作力を与える第2のチェック機構41を備えている。そして、本実施形態では、第1のチェック機構31による第1の操作力を、第2のチェック機構41による第2の操作力より大きくしてある。
【0014】
すなわち、第1のチェック機構31は、シフトレバー2の複数の変速段に対応した回転位置に対応して、外周に複数の凹部32aを等間隔をもってギア歯状に形成した円板状の第1チェック32と、一端部33aを車体側に固定して先端部33bを第1チェック32の外周に付勢力をもって圧接する板ばね状の第1チェックスプリング33と、を備えて構成されている。そして、第1チェックスプリング33によって第1のチェック機構31に第1の操作力を付与するようになっている。また、第1チェック32は、その中心部に形成した挿通穴32cに上述した支軸21を回転自在に嵌合してある。
【0015】
第2のチェック機構41は、レバー基部22の上面に設けた第2チェック42と、この第2チェック42に対向して車体側に固定される第2チェックブロック43と、を備えて構成されている。そして、第2チェック42と第2チェックブロック43との間には、シフトレバー2を所定の復帰位置(本実施形態では中立位置)に付勢力をもって自動的に復帰させる図示省略したスプリングを設けてある。そして、そのスプリングの付勢力によって第2のチェック機構41に第2の操作力を付与するようになっている。
【0016】
また、切換機構6は、シフトレバー2と第1のチェック機構31との接続/遮断を切り換えて断続可能に同期させる同期部材61と、この同期部材61を駆動する駆動手段としてのソレノイド62と、を備えている。
【0017】
同期部材61は、レバー基部22に設けたガイド穴22bに摺動自在に嵌合するスライド軸61aと、第1チェック32に設けた溝穴32bに係脱可能な係合ピン61bと、を備えている。
【0018】
ガイド穴22bおよびスライド軸61aはそれぞれ所定間隔をもって一対設けてあり、一対のスライド軸61a間にソレノイド62を配置してある。また、係合ピン61bも一対設けてあり、溝穴32bは一対の係合ピン61bの間隔をもって第1チェック32の周方向に等間隔に複数形成されている。
【0019】
ソレノイド62は、図1に示すように、レバー基部22に形成した矩形状の取付穴22cに嵌着するとともに、図3に示すように、第1チェック32方向に突出した出没ロッド62aを同期部材61の挿通穴61cに挿通してある。そして、出没ロッド62aを挿通穴61c内部でピン62bを介して同期部材61に連結してある。
【0020】
レバー位置検出部5はセンサアセンブリ51に内蔵してある。センサアセンブリ51は車体側に固定してあり、その取付穴52にレバー基部22から支軸21と同軸上に突出するセンサ連結軸24を受容してある。なお、図1では、便宜上、支軸21とセンサ連結軸24とを分離して示してあるが、実際は図2に示すように一体として形成されている。
【0021】
そして、センサ連結軸24を介してシフトレバー2を操作した時の回転角を、センサアセンブリ51の内部に設けたレバー位置検出部5に伝達して、変速段位置を検出するようになっている。
【0022】
レバー位置検出部5によって検出した変速段位置は、図7に示すように、コントローラ7に出力するようになっている。このとき、コントローラ7には、トランスミッションの現在のギア位置の信号が入力されるとともに、トランスミッションが変速できる状態を検知するイグニッション信号が入力される。そして、ソレノイド62には、コントローラ7から出力されるオン・オフの指令信号を入力するようになっている。
【0023】
したがって、本実施形態にかかる変速操作装置1では、ソレノイド62はピン62bにて同期部材61と連結して回動する。特に、本実施形態では、図5に示すように、挿通穴61cの内周にピン62b位置に対応して球形突起61dを設けることにより、ソレノイド62と同期部材61とをストレス無く回動可能となっている。
【0024】
同期部材61は、図4中破線に示すように、ソレノイド62の動きに追随し、シフトレバー2のガイド穴22bに嵌合したスライド軸61aを介して直動する。ソレノイド62がコントローラ7の指示に従い、押し出し方向に作動するとき、同期部材61の係合ピン61bは第1チェック32の溝穴32bに進入し、シフトレバー2と第1チェック32は係合する。
【0025】
このとき、シフトレバー2に設けられている第2チェック42〜第2チェックブロック43により生成される第2の操作力は、第1チェック32〜第1チェックスプリング33により生成される第1の操作力よりも小さい。すなわち、シフトレバー2と第1チェック32が係合した状態においては、(第1チェック32〜第1チェックスプリング33の第1の操作力)>(第2チェック42〜第2チェックブロック43の第2の操作力)となる。
【0026】
第1チェック32〜第1チェックスプリング33によるシフトレバー2の動きは、シフトレバー2を所定の位置で停止させるステーブルの機能をなし、第2チェック42〜第2チェックブロック43によるレバーの動きは、そのレンジの中間へ自動復帰させようとするモーメンタリの機能をなす。
【0027】
第1の操作力が第2の操作力となる状態においては、レバーの動きはステーブルとなり、シフトレバー2は所定のレンジで停止する。また、ソレノイド62がコントローラ7の指示に従い、出没ロッド62aが引き込み方向に作動するとき(ソレノイド62に供給される電流が断たれることにより、自身に設置したスプリング等による装置で引き込むことも含む)、同期部材61はシフトレバー2側にソレノイド62と共に直動し、シフトレバー2と第1チェック32は独立の位置関係になる。
【0028】
このとき、シフトレバー2は第2チェック42〜第2チェックブロック43の作用のみにより動くことから、シフトレバー2はモーメンタリの動きとなり、シフトレバー2は所定の復帰位置(本実施形態では中立位置)へ自動的に復帰する。
【0029】
また、ソレノイド62と同期部材61は回動可能であることから、シフトレバー2〜第1チェック32が係合する際に生じる反力をピン62b部分でのモーメントとする。かつ、ソレノイド62は第1チェック32と直接係合せず、その反力はシフトレバー2と同期部材61で分担することから、ソレノイド62にこじり入力等の付加が無く、所定の機能を果たすことができる。
【0030】
ここで、仮に、ソレノイド62が反力を受ける場合、ソレノイド62とピン62bの根元部分で破壊することが容易に考え得る。また、シフトレバー2と同期部材61の摺動部は、フリクションによる固着が考え得るため、図6に示すように、シフトレバー2のガイド穴22bにV字型のレール22dを設けて線接触として面圧変化を抑制するとともに、同期部材61のスライド軸61aの断面形状を略楕円形状とすることで上下接触時の面圧変化を抑制している。
【0031】
以上の構成により、本実施形態の変速操作装置1によれば、レバー位置検出部5によって検出したシフトレバー2の操作位置に応じて、切換機構6によってステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換えるようにしたので、ステーブル機構3とモーメンタリ機構4との切り換えをシフトレバー2をシフトする1列で行うことができるようになる。したがって、シフトレバー2の操作面を小型化することができ、ひいては、変速操作装置1のレイアウトがより容易になる。
【0032】
また、本実施形態では、ステーブル機構3に設けた第1のチェック機構31の第1の操作力を、モーメンタリ機構4に設けた第2のチェック機構41の第2の操作力より大きくしたので、シフトレバー2から第1のチェック機構31に至る操作力伝達経路を遮断するのみで、比較的容易にステーブル機構3からモーメンタリ機構4に切り換えることができる。
【0033】
さらに、切換機構6は、シフトレバー2と第1のチェック機構31との操作力伝達経路を断・続する同期部材61と、この同期部材61を断・続作動するソレノイド62と、を備えて構成したので、ソレノイド62によって同期部材61を作動することで、シフトレバー2と第1のチェック機構31との操作力伝達経路の接続/遮断を切り換えて、比較的簡素な構成によってステーブル機構3とモーメンタリ機構4とを切り換えることができるようになる。
【0034】
(第2実施形態)図8は、本実施形態にかかる変速操作装置の操作面を(a)、(b)のステーブル機能と(c)のモーメンタリ機能で示す説明図、図9は、変速操作装置のシフトレバー位置を(a)のステーブル機能と(b)のモーメンタリ機能で示す説明図、図10は、変速操作装置の回路図、図11は、シフトレバーの位置検出を行うロジックを示す説明図、図12は、レバー位置検出部の取付状態を示す断面図、図13は、図10中XIII部の拡大断面図、図14は、シフトロジック変更時のフローチャート、図15は、シフトロジックがステーブル機能時のトランスミッション変速可能条件を検出するフローチャート、図16は、トランスミッションの駐車位置移行条件を検出するフローチャートである。
【0035】
図8、図9に示すように、本実施形態にかかる変速操作装置1Aは、基本的に第1実施形態の変速操作装置1と同様の構成を備えている。ただし、図8に示すように、前進(D)と後退(R)の2レンジで構成した点が、上記第1実施形態と相違している。
【0036】
すなわち、本実施形態の変速操作装置1Aでは、図8(a)、(b)および図9(a)に示すように、図示省略したトランスミッションを変速可能な状況下において、前進(D)と後退(R)のステーブル機能の2レンジで構成してある。そして、トランスミッションが変速不可の状況下においては、図8(c)および図9(b)に示すように、それらの間の中立位置(復帰位置)へシフトレバー2を自動的に復帰させるようになっている(すなわちモーメンタリ機能)。
【0037】
また、この動作を実現するために、図10に示す回路を構成し、そして、図11に示すロジックをもってシフトレバー2の位置を検出するようになっている。なお、この場合は、ONとOFFが反転する例も含むものとする。
【0038】
このようにしてシフトレバー2の検出ロジックを構成して擬似的に二重系を構築できるため、センサが1個故障した場合、若しくは電源が1系統に障害が生じた場合にも正しくシフトレバー2の位置を判定することができるとともに、前進と後退の逆転防止、また、走行段でのエンジン始動禁止を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態ではシフトレバー2の位置を精度良く検出するために、図12、図13に示すように、レバー位置検出部5は、レバー本体部22に設けた係合凹部25と、センサ本体部5aに設けて係合凹部25にほぼ密接して嵌合する球体係合部5bと、を備え、係合凹部25と球体係合部5bとを介してレバー位置をセンサ本体部5aに伝達するようにしてある。
【0040】
すなわち、シフトレバー2の位置を正しくセンサ本体部5aに伝達するために、レバー本体部22に設けた係合凹部25に、レバー位置検出部5に設けた球体係合部5bを嵌める構造を採用している。
【0041】
また、球体係合部5bの支持部、つまり、球体係合部5bがセンサ本体部5aに繋がる部分に、所定値以上の異常荷重が入力したした際に破壊される脆弱部としての剛性急変部5cを設けてある。
【0042】
剛性急変部5cは、球体係合部5bをセンサ本体部5aに繋げる連結部5dをセンサ本体部5aよりも小径に形成して、その連結部5dをセンサ本体部5aに角部Kを形成して連結することにより構成してある。そして、異常荷重の入力により角部Kに応力集中が発生して、剛性急変部5cが破壊されるようになっている。このとき、連結部5dには、モーメンタリ機能によって中立に自動復帰させるスプリング(図示省略)を設置して、その付勢力を作用させてある。
【0043】
また、本実施形態にあってもイグニッションの状況に応じてシフトレバー2をステーブル機能とモーメンタリ機能とを切り換えることができ、その時の切り換えロジックのフローチャートを図14によって説明する。
【0044】
まず、ステップS1でイグニッションロック(IGN LOCK)、つまり、トランスミッションが駐車位置に設定した後、ステップS2でイグニッション(IGN)のON状態を検出(YES)し、ステップS3でパーキングブレーキ(PKB)のON状態を検出(YES)し、ステップS4でブレーキスイッチ(BRAKE)のON状態(制動状態)を検出(YES)し、ステップS5でエンジン(ENG)の始動(start)を検出(YES)した場合に、ステップS6でトランスミッションをニュートラル位置に移行させる。次に、ステップS7で車速の0Km/h(すなわち停車状態)を検出(YES)し、ステップS8でブレーキのON状態を検出(YES)した場合、ステップS9で走行レンジ(DレンジまたはRレンジ)へのシフトを許可し、この場合はステーブル状態となる。
【0045】
一方、ステップS2〜S5でNOを検出した場合はステップS1にリターンするとともに、ステップS7、S8でNOを検出した場合はステップS6にリターンし、これらの場合はいずれもモーメンタリ状態となる。
【0046】
また、シフトロジックがステーブル状態の時のトランスミッション変速可能条件は図15に示すフローチャートによって設定できる。
【0047】
このトランスミッション変速可能条件は、ステップS10でDレンジにシフトした際に、ステップS11でブレーキのON状態を検出し、ステップS12で車速の0Km/hを検出した場合、ステップS13によってRレンジへの移行を許可する。なお、このフローチャートではRレンジからDレンジへの変速時も同様となる。さらに、トランスミッションが駐車位置への移行条件は図16に示すフローチャートによって設定できる。
【0048】
このトランスミッション駐車位置移行条件は、まず、ステップS20でDレンジにシフトした時に、ステップS21でブレーキのON状態を検出し、ステップS22で車速の0Km/hを検出し、ステップS23でパーキングブレーキのON状態を検出した場合、ステップS24によってイグニッションをロック状態に設定する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、ステーブル機能およびモーメンタリ機能を備えた変速操作装置1Aについて、シフトレバーの前進位置(D)および後退位置(R)を設定してそれら各位置でのステーブル機能を与えるとともに、当該前進位置(D)および後退位置(R)とそれらの間の中立位置(復帰位置)との間でモーメンタリ機能を与えるようにした。このため、小型で操作の容易な変速操作装置1Aを得ることができる。
【0050】
また、本実施形態にかかる変速操作装置1Aによれば、レバー位置検出部5は、レバー本体部22に設けた係合凹部25と、センサ本体部5aに設けて係合凹部25にほぼ密接して嵌合する球体係合部5bと、を介してレバー位置をセンサ本体部5aに伝達するようにしてある。これにより、レバー本体部22に対して被同期部材となるレバー位置検出部5側の係合部5bを球体とすることで、組み付ける際に発生するセンサ本体部5aの傾きなどを抑制することが可能となり、また、点接触となるため係合部分の摩耗が小さくなり、さらには、管理寸法のバラ付きを吸収することができる。
【0051】
また、球体係合部5bの支持部に、所定値以上の異常荷重が入力した際に破壊される脆弱部としての剛性急変部5cを設けてある。これにより、異常荷重がシフトレバー2とレバー位置検出部5との間に発生した際、剛性急変部5cを基点に破壊を起こして、連結部5dとセンサ本体部5aとの間を速やかに破断させることにより安全に車両を停止できる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々に変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置の背面図である。
【図3】図2中III−III線に沿った断面図である。
【図4】図3中IV部を取り出して作動状態を示す断面図である。
【図5】図4中V部の拡大断面図である。
【図6】図3中VI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる変速操作装置のシステム概念図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置の操作面を(a)、(b)のステーブル機能と(c)のモーメンタリ機能で示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置のシフトレバー位置を(a)のステーブル機能と(b)のモーメンタリ機能で示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態にかかる変速操作装置の回路図である。
【図11】本発明の第2実施形態にかかるシフトレバーの位置検出を行うロジックを示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかるレバー位置検出部の取付状態を示す断面図である。
【図13】図10中XIII部の拡大断面図である。
【図14】シフトロジック変更時のフローチャートである。
【図15】シフトロジックがステーブル機能時のトランスミッション変速可能条件を検出するフローチャートである。
【図16】トランスミッションの駐車位置移行条件を検出するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1,1A 変速操作装置
2 シフトレバー
22 レバー本体部
25 係合凹部
3 ステーブル機構
31 第1のチェック機構
4 モーメンタリ機構
41 第2のチェック機構
5 レバー位置検出部
5a センサ本体部
5b 球体係合部
5c 剛性急変部
6 切換機構
61 同期部材
62 ソレノイド(駆動手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速操作を行うシフトレバーと、前記シフトレバーの保持位置に応じて変速させるステーブル機構と、前記シフトレバーの復帰位置からの入力操作で変速させるモーメンタリ機構と、を備えた変速操作装置において、
シフトレバーの操作位置を検出するレバー位置検出部と、
前記レバー位置検出部で検出されたレバー位置に応じて、ステーブル機構とモーメンタリ機構とを選択的に切り換える切換機構と、を備えたことを特徴とする変速操作装置。
【請求項2】
前記ステーブル機構は、シフトレバーに節度感をもって作動させるための第1の操作力を与える第1のチェック機構を有するとともに、前記モーメンタリ機構は、シフトレバーに復帰位置に自動的に復帰させる第2の操作力を与える第2のチェック機構を有し、
前記第1の操作力を前記第2の操作力より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の変速操作装置。
【請求項3】
前記切換機構は、シフトレバーと前記第1のチェック機構とを断続可能に同期させる同期部材と、前記同期部材を駆動する駆動手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の変速操作装置。
【請求項4】
前記シフトレバーに前進位置および後退位置を設定してステーブル機能を与え、それら前進位置および後退位置とそれらの間の復帰位置との間でモーメンタリ機能を与えるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の変速操作装置。
【請求項5】
前記レバー位置検出部は、レバー本体部に設けた係合凹部と、センサ本体部に設けて前記係合凹部にほぼ密接して嵌合する球体係合部と、を備え、係合凹部と球体係合部とを介してレバー位置をセンサ本体部に伝達することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の変速操作装置。
【請求項6】
前記球体係合部の支持部に脆弱部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の変速操作装置。
【請求項1】
変速操作を行うシフトレバーと、前記シフトレバーの保持位置に応じて変速させるステーブル機構と、前記シフトレバーの復帰位置からの入力操作で変速させるモーメンタリ機構と、を備えた変速操作装置において、
シフトレバーの操作位置を検出するレバー位置検出部と、
前記レバー位置検出部で検出されたレバー位置に応じて、ステーブル機構とモーメンタリ機構とを選択的に切り換える切換機構と、を備えたことを特徴とする変速操作装置。
【請求項2】
前記ステーブル機構は、シフトレバーに節度感をもって作動させるための第1の操作力を与える第1のチェック機構を有するとともに、前記モーメンタリ機構は、シフトレバーに復帰位置に自動的に復帰させる第2の操作力を与える第2のチェック機構を有し、
前記第1の操作力を前記第2の操作力より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の変速操作装置。
【請求項3】
前記切換機構は、シフトレバーと前記第1のチェック機構とを断続可能に同期させる同期部材と、前記同期部材を駆動する駆動手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の変速操作装置。
【請求項4】
前記シフトレバーに前進位置および後退位置を設定してステーブル機能を与え、それら前進位置および後退位置とそれらの間の復帰位置との間でモーメンタリ機能を与えるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の変速操作装置。
【請求項5】
前記レバー位置検出部は、レバー本体部に設けた係合凹部と、センサ本体部に設けて前記係合凹部にほぼ密接して嵌合する球体係合部と、を備え、係合凹部と球体係合部とを介してレバー位置をセンサ本体部に伝達することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の変速操作装置。
【請求項6】
前記球体係合部の支持部に脆弱部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の変速操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−255714(P2009−255714A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106632(P2008−106632)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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