説明

外側容器により包囲されかつ低温液体の収容に役立つ内側容器

外側容器(1)により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる扁平構造の内側容器(3)特に路面車両用の内側タンクは、
縦に延びる一体の母体(4)が、同様に縦に延びる側壁(7)に結合される天井壁(5)及び底壁(6)を持ち、かつ縦に延びて底壁(6)を天井壁(5)に結合する少なくとも2つの実質的にまっすぐな橋絡片(9)を持ち、こられの橋絡片(9)が、その間に設けられて縦に延びる少なくとも1つの室(10)を形成するため、母体(4)の全長にわたってそれぞれ底壁(6)から天井壁(5)へ延び、橋絡片の間で縦に延びる室が所定の幅を持ち、
少なくとも2つの蓋(11)が、母体(4)の2つの開いた端部をそれぞれ周囲で密封して閉鎖し、
天井壁及び/又は底壁が、それぞれ平らな基準天井壁及び/又は基準底壁に対して、橋絡片の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁との間で測って室の幅の30%より小さい間隔を持つ突出湾曲部を持っている
ことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側容器により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる扁平構造の内側容器特に路面車両用の内側タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において使用するために、通常は二重壁鋼容器として構成される円筒状即ちたる状容器にある低温燃料が使用される。しかしこれにより、悪い空間利用しか行われない。即ちこのような鋼容器は自動車の荷物室全体を必要とする。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10163029号明細書はこのようなたる状高圧水素タンクを示しており、内側のポリエチレン被覆は、突出湾曲効果を阻止する外側巻線で包囲されている。
【0003】
低温燃料容器の扁平な直方体状構造は、特に自動車において使用するために望ましい。しかし容器の充分な強さ又は安定性特に膨らみ強度を得るという問題が生じる。
【0004】
平らな大きい面を持つ容器のための普通の補強手段は、大抵の場合非常に頑丈である。厚い板厚は、低温技術において多く使用されるウエブ板又は隔壁板により、費用のかかる製造技術及び継ぎ合わせ技術を必要とする。その結果重量が大きくなる。
【0005】
最初に述べた種類の扁平構造の容器は、例えば欧州特許出願公開第1067300号明細書から公知である。容器はプラスチックから成る上部殻及び下部殻を持ち、これらの殻は多数の管状引張り支柱により互いに結合されて、内圧による容器の膨らみを防止している。これにより特に容器を利用可能な荷物室にあわせることができるので、有利な空間利用が可能であるけれども、各形式の自動車のために適当なタンク容器を開発せねばならず、それによりいずれにせよ常に新しい型及び工具を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に伴う欠点及び困難を回避することを目的とし、最初に述べた種類の容器特に冷却された液体水素を貯蔵する低温タンクを提供し、この容器が簡単かつ経済的に製造可能であり、製造の際自動車の所定の直方体状構造空間に適合可能であり、更に最大に収容可能な液体の重量と自重との有利な比を持ち、例えば充填及び取出しのため穴を設けることによる後の工程なしですませることができるという課題が与えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は請求項1に記載の内側容器によって解決される。天井壁及び/又は底壁の突出湾曲を決定するため、平らな基準天井壁及び/又は基準底壁が規定され、この基準天井壁及び/又は基準底壁は、それぞれ橋絡片の底側又は天井側のまっすぐな端部の平らな結合面として決定されている。
【0008】
本発明の実施形態によれば、天井壁及び/又は底壁は、内側容器の予想される内部圧力にほぼ関係する湾曲を持っている。本発明によれば、所定の僅かな湾曲により、底壁及び/又は天井壁の湾曲した表面の間に生じる切欠き応力が小さく保たれ、他方内側容器と外側容器の間に生じる切欠き応力が小さく保たれ、他方内側容器と外側容器の間の有効むだ空間が小さく保たれる。本発明による湾曲より大きい湾曲は構造空間効率を著しく悪くする。なぜならば、従来技術によれば、内側容器の周りに多層絶縁を設けねばならないからである。本発明によれば、通常間隔が間隔とみなされる。特別な実施形態によれば、1つの橋絡片がほぼまっすぐな側壁と一致する。特に2つの室を持つ内側容器の構造が考慮され、その際2つの室の間にただ1つの橋絡片が設けられるが、少なくとも1つの側壁はほぼまっすぐに構成されている。特に底壁及び/又は天井壁の湾曲を決定するために、側壁が第2の橋絡片とみなされる。天井壁及び/又は底壁は少なくとも部分的に外から見て凹な湾曲を持っている。
【0009】
本発明の実施形態によれば、容器は次の特徴を持っている。即ち縦に延びる一体の母体が、同様に縦に延びる側壁に結合されるほぼ平らな天井壁及び平らな底壁を持ち、かつ少なくとも2つの並んで縦に延びる少なくとも2つの室を形成するため、縦に延びて底壁を天井壁と結合する少なくとも1つの橋絡片を持ち、これらの室が母体の全長にわたってそれぞれ底壁から天井壁へ延びており、母体の2つの開いた端部をそれぞれ周囲で密に閉鎖かつ室の両端をそれぞれ覆う蓋が、室を接続する自由空間を形成している。
【0010】
特別な実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が母体に直接突き合わさっている。
【0011】
本発明の実施形態によれば、天井壁及び/又は底壁が、それぞれ平らな基準天井壁及び/又は基準底壁に対して、橋絡片の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁との間で測って室の幅の25%なるべく20%特になるべく15%より小さい間隔を持つ突出湾曲部を持っている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、底壁及び/又は天井壁が実質的に平らに構成されている。
【0013】
本発明の実施形態によれば、底壁及び/又は天井壁が、それぞれ平らな基準天井壁及び/又は基準底壁に対して、橋絡片の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁で測って室の幅の3%以上の間隔特に5%〜15%なるべく5%〜10%の範囲にある間隔を持つ突出湾曲部を持っている。
【0014】
本発明の実施形態によれば、蓋が室の端部をそれぞれ覆っている。その際別の実施形態によれば、母体の1つの端部で母体の室を別々に閉鎖する個々の蓋、又は複数の室を覆ってこれらを一緒に閉鎖する1つの蓋が設けられている。
【0015】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が室を結合する自由空間を形成している。この自由空間により、母体の室の間の連絡が可能であり、こうして母体の室の間でガス又は液体の交換又は平衡が行われる。
【0016】
その代わりに、ガス又は液体のこの交換を、母体の範囲内で橋絡片にある適当な開口を介して行うこともできる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が実質的に平らに形成されている。このような蓋の製造は特に簡単にかつ安価に実現可能である。本発明の別の実施形態によれば、複数の蓋が実質的に平らに形成され、少なくとも1つの蓋が平らでないかさばった形状を持ち、この蓋が充填導管及び/又は取出し導管のため及び/又は例えば内側容器内の液体レベルを検出するセンサ装置の受入れのために設けられている。
【0018】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの橋絡片が、少なくとも1つの蓋を底壁及び/又は天井壁に取付ける範囲に切欠きを持っている。好ましい実施形態によれば、すべての橋絡片が少なくとも1つの切欠きを、特に各端部にそれぞれ切欠気を持っている。その際特に縁の引込みが切欠きと解される。従来技術に従ってなるべく溶接方法又はろう付け方法のような熱的方法により形成される取付け部の範囲にある切欠きによって、取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目又はろう付け継ぎ目の形成の際、橋絡片を介して熱の過度の放出が防止される。こうして蓋と母体との間の均一な取付け継ぎ目を保証することができる。別の局面によれば、切欠きは母体の室の間の一層良好な連通に寄与することができ、その際切欠きにより、内側容器の室の間の適当なガス交換又は液体交換を行うことができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの蓋がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体に取付けられ、橋絡片がなるべく取巻く取巻き継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠きを持っている。
【0020】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が特定数の凹所を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片の自由端がこれらの凹所へ入り込んでいる。この実施形態によれば、内側容器及び/又は母体を閉鎖する蓋の安定性を著しく高めることができる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、蓋の凹所の範囲で橋絡片が、溶接継ぎ目を介して蓋に取付けられている。
【0022】
強さに関して好ましくかつ製造に関して好都合な実施形態は、橋絡片が、母体の底壁及びこれに対して平行に延びる天井壁に対して直角に向けられていることを特徴としている。
【0023】
内側容器が、縦範囲に対して直角に長方形の輪郭を持ち、側壁を底壁及び天井壁に結合する縦稜が丸められて形成されているのがよい。
【0024】
母体が一体の押出し異形材として形成され、なるべくすべての壁の壁厚がほぼ同じ大きさであるか、又は橋絡片の壁厚が底壁、天井壁及び側壁の壁厚より小さいと、母体の特に有利な製造方法が与えられる。
【0025】
すべての壁の壁厚がほぼ同じ大きさであるか、又は橋絡片の壁厚が底壁、天井壁及び側壁の壁厚より小さいと、母体の特に有利な製造方法が与えられる。
【0026】
応力ピークを回避するため、内側容器は、橋絡片と底壁又は天井壁との間の移行部が、橋絡片の壁厚又は底壁あるいは天井壁の壁厚より大きいか又はこれに等しい半径で丸めて形成されていることを特徴としている。
【0027】
構造的に得られる大きい強さのため、母体及び蓋を軽金属特にアルミニウム合金から形成することが可能である。
【0028】
蓋が深絞りされるか鍛造されるか又は鋳造され、特にダイカスト法で鋳造されているのがよく、その際好都合に蓋が母体に取巻く溶接継ぎ目により結合されている。
【0029】
蓋が母体に取巻く溶接継ぎ目により結合されているのがよい。
【0030】
蓋を母体に結合するため、互いに接する縁が前処理を受け、なるべく部材の重なりを形成するため1つの縁がさねはぎを設けられているのがよい。このようなさねはぎは、特に溶接方法の使用にとって有利である。
【0031】
溶接継ぎ目を形成するための溶接方法として、摩擦運動溶接が特によいことがわかった。さらにいわゆる多軌道摩擦溶接(回転摩擦溶接又は直線摩擦溶接)又はいわゆる摩擦かき回し溶接も、溶接継ぎ目の形成に使用できる。
【0032】
好ましい実施形態によれば、圧力及び/又は温度及び/又は充填レベル用センサのような不時のタンク組込み物、及びそのために必要な導線が、蓋の内部に設けられ、場合によっては蓋の接続管に統合されている。
【0033】
充填開口及び/又は取出し開口が蓋に設けられているのがよい。
【0034】
外側容器内における内側容器の位置を確保するため、蓋に、内側容器を外側容器に支持する支持素子が設けられているのがよい。
【0035】
支持素子が、なるべくアルミニウム合金から成る支持ブシュとして、蓋の局部的凹所に設けられ、プラスチック部材なるべく繊維複合部材がこの凹所へ挿入可能であり、外側容器に設けられる支持ブシュへこのプラスチック部材がはまっているのがよい。
【0036】
さらに外側容器に対して内側容器の位置確保のため、更に間隔片が蓋に取付けられるか又は蓋と一体に形成されている。
【0037】
内側容器の外側に沿って天井壁に充填−取外し導管が導かれているのがよい。
【0038】
本発明によれば、外側容器により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる請求項28に記載の扁平構造の内側容器が設けられている。
【0039】
実施形態によれば、少なくとも1つの蓋がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体に取付けられ、橋絡片がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠きを持っている。
【0040】
実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が特定数の凹所を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片の自由端がこれらの凹所へ入り込んでいる。
【0041】
実施形態によれば、蓋の凹所の範囲で橋絡片が、溶接継ぎ目を介して蓋に取付けられている。
【0042】
本発明によれば、外側容器により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる請求項32に記載の内側容器が設けられている。
【0043】
実施形態によれば、橋絡片が、すくなくとも1つの蓋を底壁及び/又は天井壁に取付ける範囲に切欠きを持っている。
【0044】
実施形態によれば、少なくとも1つの蓋がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体に取付けられ、橋絡片がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠きを持っている。
【0045】
実施形態によれば、少なくとも1つの蓋が特定数の凹所を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片の自由端がこれらの凹所へ入り込んでいる。
【0046】
実施形態によれば蓋の凹所の範囲で橋絡片が、溶接継ぎ目を介して蓋に取付けられている。
【0047】
図面に示されているがこれに限定されない実施例により、本発明が以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
丸み付け部を除いて扁平な直方体の形状を持つ扁平な外側容器1内に、同様に扁平な直方体として形成される内側容器3が挿入されて、低温液体特に低温燃料の収容に用いられる。内側容器3と外側容器1との間に充分な絶縁を行うことができるようするため、内側容器3と外側容器1との間に、内側容器3全体を包囲する空所が設けられている。
【0049】
内側容器3は、図5に詳細を示す3つの部分、しかも一体に形成されて平らな平滑面の天井壁5及び底壁6を持つ母体4により形成され、天井壁5及び底壁6は、母体4に沿って延びる側壁7に、丸み付け部8を介して結合されている。側壁7の間に、これに対して平行に同様に縦に延びる橋絡片9が設けられて、同様に天井壁5を底壁6に結合し、これらの橋絡片9により縦に延びる室10が形成されて、母体4の全長にわたって延びている。
【0050】
母体4はなるべく軽金属特にアルミニウム合金から形成され、押出し法で好都合にかつ安価に製造される。母体のすべての壁5,6,7,9の壁厚はほぼ同じ厚さであり、橋絡片9と底壁6及び天井壁5との間の移行部は、応力ピークを避けるため、橋絡片9の壁厚または底壁6あるいは天井壁の壁厚に等しいか又はそれより大きい半径で丸められて形成されている。強度が許す限り、橋絡片9の壁厚を底壁6、天井壁5及び側壁7の壁厚より小さく設計することも当然可能である。
【0051】
母体4の開いた端部に取付けることができる蓋11は、なるべく溶接継ぎ目12を介して母体4と密に結合可能である。これらの蓋11はすべての室10の端部を覆って、室10を接続する自由空間10′を形成するので、室10は比較的大きい断面で互いに接続されている。蓋11は深絞り、鍛造又はなるべくダイカスト法で鋳造されている。
【0052】
蓋11を母体4に結合するため、互いに接する縁13,14が前処理を受け、適切な実施例が図6及び図7に示されている。即ち重なりを形成するため、縁13,14の少なくとも一方にさねはぎ15が加工されている。蓋11を母体4に結合するための溶接方法として、摩擦運動溶接が特によいことがわかった。
【0053】
外側容器1内における内側容器3の位置確保のため、蓋11に設けられている支持素子18が用いられる。好ましい実施例が図8に示されている。この図によれば、内側容器3の凹所17に、なるべく同様にアルミニウム合金から成る支持ブシュ18が設けられている。この支持ブシュ18へ、なるべく繊維複合プラスチック管として金属被覆を持つプラスチック体19が差込み可能である。このプラスチック体19は、外側容器1の膨出部20に同様に設けられてなるべく同様にアルミニウム合金から成る支持ブシュ21へはまっている。支持ブシュ18,21は、外側容器1及び内側容器3に接着されるか、溶接されるか又はこれに一体に形成されている。プラスチック体19は、支持ブシュ18,21に接着されるか、又は例えばスリーブナットによりねじ止め可能である。
【0054】
外側容器1内における内側容器3の別の位置確保は、蓋11に設けられ(又はこれと一体に形成され)て外側容器3に当たる間隔片22によって行うことができる。天井壁5の外側に設けられている取出し兼充填導管23も同様に、外側容器1内における内側容器3の位置の安定化に寄与する。
【0055】
圧力及び温度及び/又は充填レベル用センサのような不時のタンク組込み物及びそのために必要な導管及び取出し又は充填導管23は、1つの蓋11及び両方の蓋11の内部に設けられ、外方へ通じる接続管は蓋11に一体化されている。
【0056】
高負荷可能な母体4は、湾曲した殻として形成される蓋11と共に、前面を同じに高負荷可能な圧力容器を生じる。母体4は短い製造時間で安価に製造でき、異なる大きさのタンクのためにこの母体4を押出し異形材の異なる長さに切離しさえすればよい。
【0057】
母体4に存在する室10の数は変化でき、いずれにせよ内側容器3の所望の内部容積に関係している。
【0058】
内側容器3の製造は、例えばたる状内部容器の製造より著しく速く確実に安価に行うことができる。2つの溶接継ぎ目12、即ち蓋11を母体4に結合する溶接継ぎ目12しか必要でない。
【0059】
図9には、本発明による内側容器24の別の可能な実施例が示されている。図からわかるように、橋絡片25が母体の底壁26を天井壁27に結合して、母体内にガス及び/又は液体を蓄える室を形成している。橋絡片25の間に室29が設けられている。図9の母体28は、平らな底壁26及び天井壁27を持っている。図9〜11からわかるように、橋絡片25は底壁26及び天井壁27の範囲にそれぞれ切欠き30を持っている。これらの切欠き30は、蓋31と母体28との接触範囲、特に蓋31と母体の底壁26及び天井壁27との接触半に設けられている。蓋31と母体28との溶接が行われると、溶接過程において過度に多くの溶接熱が橋絡片25を経て溶接個所32から放出されるのを防止される。図11からわかるように、蓋31は、突合わせで特に突合わせ継ぎ目として母体に続いている。このような突合わせ継ぎ目は、例えば摩擦運動溶接により形成することができる。こうして均一な溶接継ぎ目が保証される。切欠き30により、母体28の室29を互いに連絡することができる。こうして例えばただ1つの室のみを閉鎖しかつ複数の室29を覆わない湾曲した蓋31を設けることが可能である。この場合蓋31が底壁26及び天井壁27に、かつ室29の両側を区画する橋絡片25に、特に溶接及び/又はろう付けにより取付けられる。しかし他の実施例によれば、複数の室を覆って例えば母体28の底壁26、天井壁27及び側壁において母体を密閉し、こうして内側容器24の側方を区画する蓋を設けることが可能である。
【0060】
図12〜14による別の可能な実施例は、既に述べた実施例とは次の点で相違している。即ち底壁33及び天井壁34はそれぞれ少し湾曲しており、特に少なくとも外方へ凸に湾曲している。FEM計算及び実験中に、少しの湾曲が一方では内側容器の安定性を著しく改善し、他方では内側容器の効果的な場所利用及び良好な絶縁性を保証することがわかった。湾曲を決定するために、平らな基準面35から始まって、底壁33又は天井壁34の範囲において、室37の橋絡片36の間の中間(中心線M)で、基準面35と底壁33又は天井壁34の内側輪郭との標準間隔Dが測定される。この実施例では、間隔Dは(基準面の範囲で計って)室Bの幅の約8%である。平らな基準面35は、底壁側及び天井壁側のまっすぐな端部の結合面(底壁又は天井壁への移行部にいずれにせよ設けられる丸みなし又は丸みの前)として決定される。図からわかるように、この実施形態においても橋絡片に切欠きが設けられている。
【0061】
別の実施例が図15に示されている。ここでは母体40の室を閉鎖する平らな蓋38が設けられている。図15からわかるように、橋絡片41が底壁及び天井壁に隣接する範囲で、橋絡片41に同様に切欠き42が設けられている。蓋38が外縁43に沿って溶接継ぎ目又はろう付け継ぎ目により母体40に取付けられると、均一な溶接継ぎ目又はろう付け継ぎ目が保証される。さらに母体40が蓋38により閉鎖される際、凹所又は切欠き42を介して室39の間にガス及び/又は液体の平衡を行うことができる。図15から更にわかるように、蓋38が縦長の凹所43を持っている。これらの縦長の凹所の寸法は橋絡片41の端部44の寸法にほぼ一致している。母体40が蓋38により閉鎖されると、橋絡片41の端部44が対応する凹所43へはまる。本発明による好ましい実施例によれば、橋絡片41の端部44が蓋38の対応する凹所を貫通して、蓋38の室38とは反対の側で、この蓋から突出する。特別な実施形態によれば、橋絡片51の端部44は、凹所43の範囲で蓋38に例えば気密溶接又はろう付けにより取付けられる。この付加的な取付けにより、内側容器の安定性を更に改善し、内側容器の特にこじんまりした構造を実現することができる。溶接又はろう付けの変わりに、接着、それに適した方法も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】 低温液体を収容するため内側容器を中に設けられる外側容器の側面図を示す。
【図2】 外側容器の正面図を示す。
【図3】 図1のIII−III線による外側容器の断面図を示す。
【図4】 図3のIV−IV線による外側容器の断面図を示す。
【図5】 内側容器の組立て前の分解図を示す。
【図6】 内側容器用溶接継ぎ目の構成を示す。
【図7】 溶接継ぎ目の異なる構成を示す。
【図8】 外側容器への内側容器の懸架を詳細に示す。
【図9】 側方で開いた内側容器を縦方向に見た図を示す。
【図10】 母体の斜視図を示す。
【図11】 内側容器の1つの橋絡片及び蓋に沿う断面図を示す。
【図12】 別の実施例の斜視図を示す。
【図13】 側方で開いた内側容器を縦方向に見た図を示す。
【図14】 図3の一部の拡大図を示す。
【図15】 内側容器の一部を斜視図で示し、わかり易くするため蓋と母体が分離されて示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側容器(1)により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる扁平構造の内側容器(3)特に路面車両用の内側タンクであって、
縦に延びる一体の母体(4)が、同様に縦に延びる側壁(7)に結合される天井壁(5)及び底壁(6)を持ち、かつ縦に延びて底壁(6)を天井壁(5)に結合する少なくとも2つの実質的にまっすぐな橋絡片(9)を持ち、こられの橋絡片(9)が、その間に設けられて縦に延びる少なくとも1つの室(10)を形成するため、母体(4)の全長にわたってそれぞれ底壁(6)から天井壁(5)へ延び、橋絡片の間で縦に延びる室が所定の幅を持ち、
少なくとも2つの蓋(11)が、母体(4)の2つの開いた端部をそれぞれ周囲で密封して閉鎖し、
天井壁及び/又は底壁が、それぞれ平らな基準天井壁及び/又は基準底壁に対して、橋絡片の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁との間で測って室の幅の30%より小さい間隔を持つ突出湾曲部を持っている
ことを特徴とする、内側容器(3)。
【請求項2】
天井壁(33)及び/又は底壁(34)が、それぞれ平らな基準天井壁(35)及び/又は基準底壁に対して、橋絡片(3)の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁との間で測って室の幅の20%特になるべく15%より小さい間隔を持つ突出湾曲部を持っていることを特徴とする、請求項1に記載の内側容器(3)。
【請求項3】
底壁(6)及び/又は天井壁(5)が実質的に平らに構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内側容器(3)。
【請求項4】
底壁(6)及び/又は天井壁(5)が、それぞれ平らな基準天井壁(35)及び/又は基準底壁に対して、橋絡片の間の中央で天井壁及び/又は底壁の内側輪郭と平らな基準天井壁及び/又は基準底壁で測って室の幅の3%以上の間隔特に5%〜15%の範囲にある間隔を持つ突出湾曲部を持っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内側容器(3)。
【請求項5】
蓋(11)が室の端部(10)をそれぞれ覆っていることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項6】
少なくとも1つの蓋(11)が室(19)を結合する自由空間(10′)を形成していることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項7】
少なくとも1つの蓋(11)が実質的に平らに形成されていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項8】
少なくとも1つの橋絡片が、少なくとも1つの蓋(31)を底壁及び/又は天井壁に取付ける範囲に切欠き(30)を持っていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項9】
少なくとも1つの蓋がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体に取付けられ、橋絡片がなるべく取巻く取巻き継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠き(30)を持っていることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項10】
少なくとも1つの蓋(38)が特定数の凹所(43)を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片(41)の自由端(44)がこれらの凹所へ入り込んでいることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項11】
蓋(38)の凹所(43)の範囲で橋絡片が、取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目を介して蓋(38)に取付けられていることを特徴とする、請求項10に記載の内側容器(3)。
【請求項12】
橋絡片(9)が、母体(4)の底壁(6)及びこれに対して平行に延びる天井壁(5)に対して直角に向けられていることを特徴とする、請求項1〜11の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項13】
母体が、縦範囲に対して直角に長方形の輪郭を持ち、側壁(7)を底壁(6)及び天井壁(5)に結合する縦稜が丸み付け部(8)として形成されていることを特徴とする、請求項1〜12の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項14】
母体(4)が一体の押出し異形材として形成されていることを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項15】
すべての壁(5,6,7,9)の壁厚がほぼ同じ大きさであるか、又は橋絡片(9)の壁厚が底壁(6)、天井壁(5)及び側壁(7)の壁厚より小さいことを特徴とする、請求項1〜14の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項16】
橋絡片(9)と底壁(6)又は天井壁(5)との間の移行部が、橋絡片(9)の壁厚又は底壁(6)あるいは天井壁(5)の壁厚より大きいか又はこれに等しい半径で丸めて形成されていることを特徴とする、請求項1〜15の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項17】
母体(4)及び蓋(11)が軽金属特にアルミニウム合金から形成されていることを特徴とする、請求項1〜16の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項18】
蓋(11)が深絞りされるか鍛造されるか又は鋳造され、特にダイカスト法で鋳造されていることを特徴とする、請求項1〜17の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項19】
蓋(11)が母体(4)に取巻く溶接継ぎ目(12)により結合されていることを特徴とする、請求項1〜18の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項20】
蓋(11)を母体(4)に結合するため、互いに接する縁(13,14)が前処理を受け、なるべく部材(4,11)の重なりを形成するため1つの縁(13,14)がさねはぎ(15)を設けられていることを特徴とする、請求項1〜19の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項21】
溶接継ぎ目(12)が摩擦運動溶接により形成されていることを特徴とする、請求項19又は20に記載の内側容器(3)。
【請求項22】
圧力及び/又は温度及び/又は充填レベル用センサのような不時のタンク組込み物、及びそのために必要な導線(23)が、蓋(11)の内部に設けられ、場合によっては蓋(11)の接続管に統合されていることを特徴とする、請求項1〜21の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項23】
充填開口及び/又は取出し開口が蓋(11)に設けられていることを特徴とする、請求項1〜22の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項24】
蓋(11)に、内側容器を外側容器に支持する支持素子(18)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜23の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項25】
支持素子(18)が、なるべくアルミニウム合金から成る支持ブシュとして、蓋(11)の局部的凹所(17)に設けられ、プラスチック部材(19)なるべく繊維複合部材がこの凹所へ挿入可能であり、外側容器(1)に設けられる支持ブシュ(21)へこのプラスチック部材(19)がはまっていることを特徴とする、請求項24に記載の内側容器(3)。
【請求項26】
支持素子(18)に加えて間隔片(22)が蓋(11)に取付けられるか又は蓋(11)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項24又は25に記載の内側容器(3)。
【請求項27】
内側容器(3)の外側に沿って天井壁(5)に充填−取外し導管(23)が導かれていることを特徴とする、請求項1〜26の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項28】
外側容器(1)により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる扁平構造の内側容器(3)特に路面車両用の内側タンクであって、
縦に延び母体(28)が、同様に縦に延びる側壁に結合される天井壁(27)及び底壁(26)を持ち、かつ縦に延びて底壁(26)を天井壁(27)に結合する少なくとも2つの実質的にまっすぐな橋絡片(25)を持ち、こられの橋絡片(25)が、橋絡片の両側に設けられて縦に延びる2つの室(29)を形成するため、母体(28)の全長にわたってそれぞれ底壁(26)から天井壁(27)へ延び、
少なくとも2つの蓋(31)が、母体(28)の2つの開いた端部をそれぞれ周囲で密封して閉鎖し、
少なくとも1つの蓋(31)を底壁(26)及び/又は天井壁(27)に取付ける範囲に、橋絡片(25)が切欠き(30)を持っている
ことを特徴とする、内側容器(3)。
【請求項29】
少なくとも1つの蓋(31)がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体(28)に取付けられ、橋絡片(25)がなるべく取巻く取巻き継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠き(30)を持っていることを特徴とする、請求項28に記載の内側容器(3)。
【請求項30】
少なくとも1つの蓋(38)が特定数の凹所(43)を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片(41)の自由端(44)がこれらの凹所へ入り込んでいることを特徴とする、請求項28又は29に記載の内側容器(3)。
【請求項31】
蓋(38)の凹所(43)の範囲で橋絡片(41)が、溶接継ぎ目を介して蓋(38)に取付けられていることを特徴とする、請求項30に記載の内側容器(3)。
【請求項32】
外側容器(1)により包囲されて低温液体特に燃料を収容するために用いられる扁平構造の内側容器(3)特に路面車両用の内側タンクであって、
縦に延びる一体の母体(4)が、同様に縦に延びる側壁(7)に結合される天井壁(5)及び底壁(6)を持ち、かつ縦に延びて底壁(6)を天井壁(5)に結合する少なくとも2つの実質的にまっすぐな橋絡片(9)を持ち、これらの橋絡片(9)が、橋絡片の両側に設けられて縦に延びる2つの室(10)を形成するため、母体(4)の全長にわたってそれぞれ底壁(6)から天井壁(5)へ延び、
少なくとも2つの蓋(11)が、母体(4)の2つの開いた端部をそれぞれ周囲で密封して閉鎖し、
少なくとも1つの蓋(11)が実質的に平らに形成されている
ことを特徴とする内側容器(3)。
【請求項33】
橋絡片が、少なくとも1つの蓋(11)を底壁及び/又は天井壁に取付ける範囲に切欠き(30)を持っていることを特徴とする、請求項33に記載の内側容器(3)。
【請求項34】
少なくとも1つの蓋がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目により母体に取付けられ、橋絡片がなるべく取巻く取付け継ぎ目特に溶接継ぎ目の範囲に切欠き(30)を持っていることを特徴とする、請求項32又は33に記載の内側容器(3)。
【請求項35】
少なくとも1つの蓋が特定数の凹所を持ち、母体の縦方向に向く少なくとも1つの橋絡片の自由端がこれらの凹所へ入り込んでいることを特徴とする、請求項32〜34の1つに記載の内側容器(3)。
【請求項36】
蓋の凹所の範囲で橋絡片が、溶接継ぎ目を介して蓋に取付けられていることを特徴とする、請求項35に記載の内側容器(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−534256(P2009−534256A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510308(P2009−510308)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003545
【国際公開番号】WO2007/121969
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(503211264)マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (18)
【Fターム(参考)】