説明

外国語学習装置及び対話システム

本発明は外国語学習装置及びその提供方法に関し、この装置は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、ユーザのレベル情報及び対話文脈情報を用いて発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、ユーザの発話意図及びユーザの発話状況に応じて互いに異なる表現を抽出するフィードバック処理器と、を含む。本発明によれば、学習者レベルが低くても学習者の発話意図を把握することができ、学習者に様々な状況に応じた適切な表現を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外国語学習装置及びその提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に外国語会話教育のもっとも効果的な方法はネイティブの教師と学生が一対一で自然な対話を行うことである。しかし、このような方法は費用が多くかかるため実際多くの学生がそのような機会に恵まれることは難しい。
【0003】
そのため、近年、ネイティブの教師の代わりを務められる人工知能自然言語処理技術を利用した音声ベースの自然言語対話装置に対する研究が活発に行われている。しかし、既存の音声認識器はそのほとんどが母国語話者を対象に開発されたものであるので、外国語学習者である非母国語話者の音声認識に用いられると極めて低い認識性能を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような音声認識の技術的制約により学習者の自由な発話入力が事実上不可能であるため、今までのほとんどの外国語学習のための対話システムは、シナリオベースの制限された形態で活用されることが一般的であった。しかし、実際の外国語習得理論によれば学習者は自らの発話に対する相手の反応を通して自らが持つ外国語知識をテストして習うと知られる。したがって、外国語学習のためにシナリオの形態で常に同じ応答をするほとんどの既存の対話システムの学習効果は微々たるものである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、学習者の外国語レベルが低くても学習者の発話意図を把握して発話意図に沿った応答を学習者に提供することができ、様々な状況に応じた適切な表現を学習者に提供できる外国語学習装置及びそのサービス提供方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するための本発明の一様態による外国語学習装置は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、前記ユーザのレベル情報及び対話文脈情報を用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じて互いに異なる表現を抽出するフィードバック処理器と、を含む。
【0007】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記ユーザの発話意図を抽出できる。
【0008】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定できる。
前記発話意図認識器は前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出できる。
【0009】
前記ユーザの発話意図及び前記対話文脈情報に応じて前記発話テキストに対する応答を生成する対話管理モジュールをさらに含むことができる。
【0010】
前記フィードバック処理器は予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合はデータベースからお勧め表現を抽出して前記ユーザに提供できる。
【0011】
前記フィードバック処理器は前記ユーザの発話が正しくない場合、データベースから正しい表現を抽出して前記ユーザに提供できる。
【0012】
前記フィードバック処理器は前記ユーザの発話が正しい場合、前記ユーザ発話と同一又は類似の意味を有する代替表現をデータベースから抽出して前記ユーザに提供できる。
【0013】
前記フィードバック処理器から抽出された表現を自然語発話に変換する自然語発話生成器と、前記自然語発話生成器で変換された自然語発話を音声で合成する音声合成器と、をさらに含むことができる。
【0014】
本発明の他の様態による外国語学習装置は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じてお勧め表現、正しい表現及び代替表現を抽出して前記ユーザに提供するフィードバック処理器と、を含む。
【0015】
前記フィードバック処理器は予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合は前記お勧め表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しくない場合は前記正しい表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しい場合は前記代替表現をデータベースから抽出できる。
【0016】
本発明の他の様態による対話システムは、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、を含む。
【0017】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定できる。
【0018】
前記発話意図認識器は前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出できる。
【0019】
本発明の他の様態による外国語学習の提供方法は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、前記ユーザのレベル情報及び対話文脈情報を用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じて互いに異なる表現を抽出するステップと、を含む。
【0020】
本発明の他の様態による外国語学習の提供方法は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じてお勧め表現、正しい表現及び代替表現を抽出して前記ユーザに提供するステップと、を含む。
【0021】
本発明の他の様態による対話の提供方法は、ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
このように本発明によれば、学習者のレベル毎の言語特性及び対話文脈に応じて学習者の発話意図を把握することによって、学習者のレベルが低くても学習者の発話意図を正確に把握することができ、したがって、発話意図に沿った応答を学習者に提供できる。さらに、学習者に様々な状況に応じた適切な表現を提供することによって学習者へのストレスを最小化しながら自然に学習を進めることができる。このように学習者は正確かつ多様なフィードバックを受け正しい表現を提供されて反復練習ができるので低廉な費用で外国語学習ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態による外国語学習装置のブロック図である。
【図2】図1の発話意図認識器で発話ベースモデルと対話文脈ベースモデルとを用いて発話意図を抽出する様子を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態による外国語学習の提供方法によって発話意図を抽出する過程を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態による外国語学習の提供方法によって学習者に応答する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0025】
では、添付図面を参照して本発明の実施形態に対して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
まずは図1及び図2を参照して本発明の実施形態による外国語学習装置に対して詳しく説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による外国語学習装置のブロック図であり、図2は、図1の発話意図認識器で発話ベースモデルと対話文脈ベースモデルとを用いて発話意図を抽出する様子を示す概念図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態による外国語学習装置100は音声認識器10、発話意図認識器20、フィードバック処理器30、対話管理モジュール40、音声合成器50、自然語発話生成器60、会員データベース65、発話データベース70、文脈データベース80及び表現データベース90を含む。
【0028】
音声認識器10はマイクを介して入力された学習者の音声を認識して認識された音声を発話テキストに変換し、変換された発話テキストを発話意図認識器20に伝達する。今後の説明の便宜のために、学習者は、例えば、韓国語を母国語とするユーザであり、音声認識器10は韓国語以外の言語、例えば、英語に基づく音声認識器であると仮定する。したがって、学習者は英語を駆使して外国語学習装置100と対話をして学習を進めるとする。無論、韓国語や英語は例に過ぎず、それ以外の言語、中国語、日本語、ドイツ語などである場合も同様に適用され得る。
【0029】
発話意図認識器20は音声認識器10から伝達された発話テキストを用いて学習者の発話意図を把握する。この時、発話意図認識器20は発話データベース70と文脈データベース80に保存されている情報に基づいてそれぞれ生成された発話ベースモデルと対話文脈ベースモデルとを用いて学習者の発話意図を抽出する。
【0030】
図2に示すように、発話データベース70には第1乃至第nレベルの発話データが保存されている。第1乃至第nレベルの発話データは学習者の発話に含まれた単語、形態素、構文情報などのような発話データを学習者のレベルに応じて第1乃至第nレベルに分類して同じレベルに該当する発話データ同士を集めたものである。
【0031】
文脈データベース80には該当学習者に対する以前の発話に対する情報、学習者と外国語学習装置100の間で交わした対話の目録、外国語学習装置100から提供されたお勧め表現、代替表現、正しい表現など学習者の学習内容に対する文脈情報などが保存されている。
【0032】
対話の先天的な特性上、学習者のレベルによって誤りや単語の使用などの差が発生するので発話ベースモデルは学習者レベル毎に、すなわち、第1乃至第nレベル発話ベースモデルに個別的にモデリングされる。各レベルの発話ベースモデルは発話データベース70の第1乃至第nレベルの発話データによる言語学的情報に基づいてそれぞれ構築される。しかし、対話文脈の流れはほとんど変化がないので文脈ベースモデルは1つのモデルに生成され、文脈データベース80の各種情報に基づいて構築される。
【0033】
発話ベースモデルと対話文脈ベースモデルは一般に事後確率を求めるための様々な統計及び規則モデルを適用できる。例えば、発話ベースモデルは発話を構成する単語のn−gram情報を資質に利用した分類器を介して作ることができ、対話文脈ベースモデルは前回のシステム発話意図、前回のユーザの発話意図、今回のユーザの発話意図、今回までユーザが知らせた情報などを資質に利用した分類器を介して作ることができる。このために、一般に多く使用される最大エントロピー(Maximum−entropy)、サポートベクターマシン(Support vector machine)のような様々な種類の分類器を利用できる。
【0034】
会員データベース65には学習者の身元情報、ID、パスワード、学習者レベルと共に学習者が学習した内容に対する情報が保存されている。学習者レベルは発話意図認識器20で学習者の発話意図を認識するためにどの発話ベースモデルを適用するかを選択する基準になる。すなわち、会員データベース65に現在の学習者の学習者レベルが第3レベルと保存されている場合、発話意図認識器20は第3レベルの発話ベースモデルを用いて発話意図を推定する。
【0035】
発話意図認識器20は予め入力された学習者レベルに応じた発話ベースモデルを選択し該当レベルの発話ベースモデルを用いて音声認識器10からの発話テキストに対する発話意図と信頼度を推定する。同時に、発話意図認識器20は対話文脈ベースモデルを用いて対話文脈情報に基づく発話意図と信頼度を推定する。対話文脈情報は学習者と外国語学習装置100の間で交わした対話情報であり、対話の開始から今回まで進んできた対話情報又はその一部の対話情報を意味する。
【0036】
発話意図認識器20は発話ベースモデルに基づいた発話意図及び信頼度と対話文脈ベースモデルに基づいた発話意図及び信頼度を統計的に合成して最も高い確率を持つものを最終的な学習者の発話意図として抽出する。このように学習者レベル毎の特性と対話文脈情報をともに考慮することによって誤りが含まれるか、学習者の発話音声が未熟であるにもかかわらず、なるべく正確に学習者の発話意図を予測できる。
【0037】
この時、発話意図認識器20は発話ベースモデルと対話文脈ベースモデルを結合するために相互情報量尺度(mutual information measure)などのモデル結合のために一般に使用される様々な統計的方法論を使用することができる。
【0038】
対話管理モジュール40は、1)発話意図認識器20からの学習者の発話意図と発話テキストに基づいて学習者の発話が正しいか否か、2)予め設定された時間内に学習者からの発話が入力されたか否か、3)学習者が明示的に助けを求めたか否かを判断する。
【0039】
1)対話管理モジュール40は学習者の発話が正しいと判断した場合は、学習者の発話意図と現在の対話文脈を考慮して学習者の発話テキストに対する適切な応答を生成し、生成された応答を自然語発話生成器60に伝達する。例えば、学習者が「What kind of music do you listen to?」 と正しく発話した場合、対話管理モジュール40は「I usually listen to country music。」のような応答を生成できる。
【0040】
2)対話管理モジュール40は予め設定された時間内に学習者の発話入力がない場合、フィードバック処理器30で学習者の発話テキストと発話意図を伝達する。
【0041】
3)対話管理モジュール40は学習者が学習画面に表示された「Help me」ボタンを押すか、直接「Help me」、「I don’t know」、「I don’t know what to say」などを発話するとフィードバック処理器30にフィードバックを要求する。
【0042】
フィードバック処理器30は予め設定された条件に符合すると学習者に様々な表現をフィードバックする。すなわち、フィードバック処理器30は、i)予め決められた時間内に学習者の発話入力がなかった場合、又は学習者によって明示的に助けを求められた場合、ii)学習者の発話が正しくないと判断された場合、iii)学習者の発話は正しいが、類似表現の学習が必要な場合にそれぞれお勧め表現、正しい表現、代替表現を提供する。
【0043】
一方、表現データベース90は発話意図毎に、又は対話文脈による主題又はテーマ毎にお勧め表現、正しい表現、代替表現などを保存しており、フィードバック処理器30からの要求に応じて対応する表現を提供する。
【0044】
i)応答時間の超過又は明示的に助けを求められた時
学習者が対話中にどのようにしゃべれば良いのかが全くわからず対話の文章を続けることができない場合、学習者は所定時間以上発話ができないことがある。この場合、対話管理モジュール40で応答時間が経過したことをフィードバック処理器30に知らせ、学習者との対話内容をフィードバック処理器30に伝達する。すると、フィードバック処理器30では現在の対話文脈情報を考慮して学習者の対話文脈に応じて主題又はテーマを選択し、最終の対話文章に続けて対話を持続して行ける文章をお勧め表現として表現データベース90から抽出する。
【0045】
ii)学習者の発話が正しくない場合
学習者の発話が正しくないと判断された場合、フィードバック処理器30は対話文脈を考慮して表現データベース90から学習者の発話意図に最も沿った文章を選択して正しい表現として抽出する。
【0046】
iii)学習者の発話が正しい場合
学習者の発話が正しいと判断された場合、フィードバック処理器30は表現データベース90から学習者の発話と同一又は類似の内容の異なる表現を選択して代替表現として抽出する。
【0047】
自然語発話生成器60は対話管理モジュール40やフィードバック処理器30で生成された概念的応答を自然語発話に変換する。別途に図示していないが、自然語発話生成器60は自然語発話をテキスト形態に表示画面に出力することもできる。
【0048】
音声合成器50は自然語発話生成器60で生成された自然語発話に基づいてネイティブによる発音からなる音声を合成し、合成された音声をスピーカ、ヘッドフォン又はイヤホンなどの装置を介して出力する。
【0049】
このように本発明の実施形態による外国語学習装置100によれば、学習者レベル毎に発話ベースモデルを構築しておいて対話文脈ベースモデルとともに学習者の発話意図を抽出することによって誤りが含まれるか、学習者の発話が未熟であるにもかかわらず学習者の発話意図を的確に抽出することができる。また、学習者に様々な状況に適合したフィードバックを提供することによって学習者が自分で自らの誤りを把握し類似した表現を学びながら対話を進めて行くことができる。
【0050】
本発明の実施形態による外国語学習装置100は、独立したサーバ形態に具現されることができ、学習者はコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、有線又は無線電話などのユーザ端末を用いて外国語学習装置100と対話をすることができ、この場合、ユーザ端末と外国語学習装置100は有無線通信ネットワークを介して連結される。これに対して、外国語学習装置100は独立した1つの装置に具現されることもでき、この場合、学習者が外国語学習装置100を携帯して使用するか、外国語学習装置100と対面して使用することができる。
【0051】
また、外国語学習装置100は全体としてだけでなくその機能の一部が、ユーザ端末又は知能ロボットなどに具現されることもでき、単に外国語を学習するための装置だけでなく、例えばショッピング、ビジネスなどのように様々なコンテンツと結合して使われることもでき、ユーザに特定のサービスを提供するためにユーザと対話をすることができる対話システム又は自然語処理人工知能エージェントに適用されることもできる。
【0052】
会員データベース65、発話データベース70、文脈データベース80及び表現データベース90は1つのデータベースに具現されることもできる。また、以上では外国語学習装置100が会員データベース65、発話データベース70及び文脈データベース80を含むと説明したが、これらが必ず外国語学習装置100に含まれる必要はなく、これらのうち少なくとも1つは外国語学習装置100と別途に外部に具現されることもでき、省略され得る。
【0053】
では、本発明の実施形態による外国語学習の提供方法に対して図3及び図4を参照して詳しく説明する。
【0054】
図3は、本発明の実施形態による外国語学習の提供方法によって発話意図を抽出する過程を示すフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による外国語学習の提供方法によって学習者に応答する過程を示すフローチャートである。
【0055】
まず、図3に示すように、学習者からの発話が入力されると(S300)、音声認識器10は学習者の音声を認識して認識された音声を発話テキストに変換して発話意図認識器20に伝達する(S310)。発話意図認識器20は対話文脈ベースモデルを用いて対話文脈情報に基づいた発話意図と信頼度を推定する(S325)。同時に、発話意図認識器20は第1乃至第nレベルの発話ベースモデルのうち学習者レベルに応じた発話ベースモデルを選択し該当レベルの発話ベースモデルを用いて学習者の発話テキストに基づいた発話意図と信頼度を推定する(S320)。その後、発話意図認識器20は発話ベースモデルによる発話意図及び信頼度と対話文脈ベースモデルによる発話意図及び信頼度を合成して最終学習者の発話意図を抽出する(S330)。発話意図認識器20は抽出された学習者の発話意図を対話管理モジュール40に伝達する(S340)。
【0056】
図4に示すように、対話管理モジュール40は学習者から予め決められた時間内に発話が入力されたかを判断する(S400)。予め決められた時間内に発話が入力された場合(S400−Y)、入力された発話が明示的に助けを求める発話であるかを判断する(S410)。ステップ410は学習者の発話によらず学習者が助けを求めるボタンなどを入力することによって判断することもできる。
【0057】
対話管理モジュール40は入力された発話が明示的に助けを求める発話でないと判断した場合は(S410−N)学習者の発話が正しい発話であるかを判断し(S420)、判断の結果、正しい発話であると判断した場合は(S420−Y)発話意図認識器20からの学習者の発話意図と対話文脈を考慮して学習者発話に対する適切な応答を生成し(S430)、正しい発話でないと判断した場合は(S420−N)制御権をフィードバック処理器30に渡してフィードバック処理器30は学習者の発話意図と対話文脈を考慮して表現データベース90から正しい表現を抽出する(S460)。
【0058】
予め決められた時間内に発話が入力されなかったか(S400−N)、入力された発話が明示的に助けを求める発話である場合(S410−Y)、対話管理モジュール40はフィードバック処理器30に制御権を渡してフィードバック処理器30は対話文脈情報に基づいて表現データベース90からお勧め表現を抽出する(S450)。
【0059】
一方、フィードバック処理器30は学習者の発話が正しい場合(S420−Y)、学習者の発話と同一又は類似の意味の代替表現を表現データベース90から抽出する(S440)。
【0060】
自然語発話生成器60は対話管理モジュール40及びフィードバック処理器30で生成された応答を自然語発話に変換する(S470)。その後、音声合成器50は変換された自然語発話に基づいてネイティブの発音による音声で合成する(S480)。
【0061】
外国語学習装置100は合成された音声をスピーカなどを介して出力し、また必要に応じて音声出力と別途に自然語発話をテキスト形態で表示画面に出力できる。
【0062】
学習者は対話文章を続けることができない場合や明示的に助けを求めた場合は外国語学習装置100からお勧め表現を提供されることによって続けて対話を進めて行くことができ、正しくない発話をした場合は正しい表現を提供されることによって誤りを修正することができ自らの不足した部分が対話を介して自然に分かるので少ないストレスで外国語学習ができる。また、学習者は正しい発話をした場合にも同じ意味の異なる表現を提供されることによって外国語の表現の範囲を広めることができる。
【0063】
以上で、本発明の好ましい実施形態に対して詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、以下の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、
前記ユーザのレベル情報及び対話文脈情報を用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、
前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じて互いに異なる表現を抽出するフィードバック処理器と、
を含む外国語学習装置。
【請求項2】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記ユーザの発話意図を抽出する請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項3】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定する請求項2に記載の外国語学習装置。
【請求項4】
前記発話意図認識器は前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出する請求項3に記載の外国語学習装置。
【請求項5】
前記ユーザの発話意図及び前記対話文脈情報に応じて前記発話テキストに対する応答を生成する対話管理モジュールをさらに含む請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項6】
前記フィードバック処理器は予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合はデータベースからお勧め表現を抽出して前記ユーザに提供する請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項7】
前記フィードバック処理器は前記ユーザの発話が正しくない場合はデータベースから正しい表現を抽出して前記ユーザに提供する請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項8】
前記フィードバック処理器は前記ユーザの発話が正しい場合は前記ユーザ発話と同一又は類似の意味を有する代替表現をデータベースから抽出して前記ユーザに提供する請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項9】
前記フィードバック処理器から抽出された表現を自然語発話に変換する自然語発話生成器と、
前記自然語発話生成器で変換された自然語発話を音声で合成する音声合成器と、
をさらに含む請求項1に記載の外国語学習装置。
【請求項10】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、
前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、
前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じてお勧め表現、正しい表現及び代替表現を抽出して前記ユーザに提供するフィードバック処理器と、
を含む外国語学習装置。
【請求項11】
前記フィードバック処理器は予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合は前記お勧め表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しくない場合は前記正しい表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しい場合は前記代替表現をデータベースから抽出する請求項10に記載の外国語学習装置。
【請求項12】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換する音声認識器と、
前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出する発話意図認識器と、
を含む対話システム。
【請求項13】
前記発話意図認識器は前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定する請求項12に記載の対話システム。
【請求項14】
前記発話意図認識器は前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出する請求項13に記載の対話システム。
【請求項15】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、
前記ユーザのレベル情報及び対話文脈情報を用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、
前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じて互いに異なる表現を抽出するステップと、
を含む外国語学習の提供方法。
【請求項16】
前記発話意図抽出ステップは、前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記ユーザの発話意図を抽出するステップを含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項17】
前記発話意図抽出ステップは、前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定するステップを含む請求項16に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項18】
前記発話意図抽出ステップは、前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出するステップを含む請求項17に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項19】
前記ユーザの発話意図及び前記対話文脈情報に応じて前記発話テキストに対する応答を生成するステップをさらに含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項20】
前記表現抽出ステップは予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合はデータベースからお勧め表現を抽出して前記ユーザに提供するステップを含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項21】
前記表現抽出ステップは前記ユーザの発話が正しくない場合はデータベースから正しい表現を抽出して前記ユーザに提供するステップを含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項22】
前記表現抽出ステップは前記ユーザの発話が正しい場合は前記ユーザ発話と同一又は類似の意味を有する代替表現をデータベースから抽出して前記ユーザに提供するステップを含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項23】
前記抽出された表現を自然語発話に変換するステップと、
前記変換された自然語発話を音声で合成するステップと、
をさらに含む請求項15に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項24】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、
前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、
前記ユーザの発話意図及び前記ユーザの発話状況に応じてお勧め表現、正しい表現及び代替表現を抽出して前記ユーザに提供するステップと、
を含む外国語学習の提供方法。
【請求項25】
前記提供ステップは予め決められた時間内に前記ユーザの発話が入力されなかったか、または前記ユーザから助けを求められた場合は前記お勧め表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しくない場合は前記正しい表現を抽出し、前記ユーザの発話が正しい場合は前記代替表現をデータベースから抽出するステップを含む請求項24に記載の外国語学習の提供方法。
【請求項26】
ユーザが発話した音声を認識して発話テキストに変換するステップと、
前記ユーザのレベル毎に個別的に生成された複数の発話ベースモデルと対話文脈を考慮して生成された対話文脈ベースモデルとを用いて前記発話テキストに対するユーザの発話意図を抽出するステップと、
を含む対話の提供方法。
【請求項27】
前記発話意図抽出ステップは前記ユーザのレベル情報に応じた発話ベースモデルを選択し、前記選択された発話ベースモデルを用いて前記発話テキストに対する発話意図を推定し、前記対話文脈ベースモデルを用いて前記対話文脈情報に基づく発話意図を推定するステップを含む請求項26に記載の対話の提供方法。
【請求項28】
前記発話意図抽出ステップは前記発話ベースモデルによる発話意図と前記対話文脈ベースモデルによる発話意図を統計的に合成して前記ユーザの発話意図を抽出するステップを含む請求項27に記載の対話の提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512461(P2013−512461A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541000(P2012−541000)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007073
【国際公開番号】WO2011/074771
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508355493)浦項工科大學校 産學協力團 (14)
【氏名又は名称原語表記】POSTECH ACADEMY−INDUSTRY FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San 31,Hyoja−dong,Nam−gu,Pohang−si Gyeongsangbuk−do 790−784 Republic of Korea
【Fターム(参考)】