説明

外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材、取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置する方法、及び外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造

【課題】外壁材を建物の躯体に取り付けることが容易な、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る取り付け部材10は、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材であって、建物の躯体40に取り付けられる第1部材本体11、及び、第1部材本体11の端部11aに接続され且つ外壁材31の嵌合凹部31bに嵌合する第1嵌合凸部12、を有する第1部材10aと、第1部材本体11と重ね合わされ且つ建物の躯体40に取り付けられる第2部材本体13、及び、第1部材本体13の端部13aと対向する第2部材本体13の端部13aに接続され、第1嵌合凸部12と対向し、第1嵌合凸部12の向きと反対の向きに突出し、且つ外壁材32の嵌合凹部32bに嵌合する第2嵌合凸部14、を有する第2部材10bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材、取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置する方法、及び外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材が用いられている。この種の取り付け部材は、建物の躯体を形成した後に、外壁材を建物の躯体に固定配置するために用いられる部材である。
【0003】
通常、建物では、複数の外壁材が、建物の躯体に水平方向又は垂直方向に連設して配置される。そして、取り付け部材は、その一方の端部が隣り合う外壁材の連設部分に接合され、他方の端部が建物の躯体に取り付けられて、外壁材を建物の躯体に配置している。
【0004】
例えば、特許文献1には、外壁材を建物の躯体に配置する際に、建物の躯体に対する外壁材の位置を調整可能な取り付け部材が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−230970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている取り付け部材は、隣り合う外壁材同士を連接するのと同時に、外壁材の当接部分に接合される。
【0007】
しかしながら、外壁材は、寸法が大きく、重量が大きいので、隣り合う外壁材同士を連接する作業と共に、取り付け部材を外壁材の当接部分に接合する作業は、困難な場合がある。
【0008】
特に、外壁材の寸法が著しく長尺である場合、又は高所において外壁材を建物の躯体に配置する場合において、上記作業は危険なものとなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材、取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置する方法、及び外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、外壁材を建物の躯体に配置することが容易な、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材、取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置する方法、及び外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る取り付け部材は、外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材であって、建物の躯体に取り付けられる第1部材本体、及び、上記第1部材本体の端部に接続され且つ外壁材の嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部、を有する第1部材と、上記第1部材本体と重ね合わされ且つ建物の躯体に取り付けられる第2部材本体、及び、上記第1部材本体の端部と対向する上記第2部材本体の端部に接続され、上記第1嵌合凸部と対向し、上記第1嵌合凸部の向きと反対の向きに突出し、且つ外壁材の嵌合凹部に嵌合する第2嵌合凸部、を有する第2部材と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る方法は、上記取り付け部材を用いて、外壁材を建物の躯体に配置する方法であって、一対の外壁材を用意し、上記一対の外壁材における一方の側部と、他方の外壁材の一方の側部とを接合して、上記一対の外壁材を連設し、上記取り付け部材における上記第1部材の上記第1嵌合凸部を、上記一方の外壁材における一方の側部に設けられた第1嵌合凹部に嵌合し、上記取り付け部材における上記第2部材の上記第2嵌合凸部を、上記他方の外壁材における一方の側部に設けられた第2嵌合凹部に嵌合し、連設した上記一対の外壁材に嵌合した取り付け部材を、建物の躯体に配置する、段階を有することを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するために、本発明に係る取り付け構造は、外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造であって、第1側部に設けられた第1嵌合凹部を有する第1外壁材と、上記第1外壁材の第1側部と当接する第2側部、及び上記第2側部に設けられた第2嵌合凹部、を有する第2外壁材と、建物の躯体に取り付けられる第1部材本体及び上記第1部材本体の端部に接続された第1嵌合凸部を有する第1部材、上記第1部材本体と重ね合わされ且つ建物の躯体に取り付けられる第2部材本体及び上記第1部材本体の端部と対向する上記第2部材本体の端部に接続され、上記第1嵌合凸部と対向し且つ上記第1嵌合凸部の向きと反対の向きに突出している第2嵌合凸部、を有する第2部材を備えた取り付け部材と、を有し、上記第1嵌合凹部に上記第1嵌合凸部が嵌合され、上記第2嵌合凹部に上記第2嵌合凸部が嵌合されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る取り付け部材、方法及び取り付け構造によれば、外壁材を建物の躯体に配置することが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る取り付け部材の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は、本発明に係る取り付け部材の第1実施形態を示す斜視図である。図2(a)は図1の上面図であり、図2(b)は図1の正面図である。
【0017】
取り付け部材10は、図1に示すように、第1部材10aと、該第1部材10aとは別部材である第2部材10bとから構成されている。図1では、第1部材10aと第2部材10bとが別部材であることを説明するために、両部材の間を離間させて示しているが、図2(a)では、両部材を隙間なく重ねた状態を示している。実際に、取り付け部材10を用いて外壁材を建物の躯体に取り付ける際には、取り付け部材10は、図2(a)に示すような状態で用いられる。
【0018】
第1部材10aは、図1及び図2に示すように、建物の躯体40に取り付けられる第1部材本体11、及び、第1部材本体11の端部11aに垂設して接続されている第1嵌合凸部12、を有している。
【0019】
また、第2部材10bは、図2(a)に示すように、第1部材本体11と重ね合わされており、建物の躯体40に取り付けられる第2部材本体13、及び、第1部材本体11の端部11aと対向する第2部材本体13の端部13aに垂設して接続され、第1嵌合凸部12と対向し且つ第1嵌合凸部12の向きと反対の向きに突出している第2嵌合凸部14、を有している。
【0020】
取り付け部材10は、図2(a)に示すように、横長であり、その長手方向の一方の端部10cに、外壁材の嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部12及び第2嵌合凸部14が設けられている。取り付け部材10は、図2(a)に示すように、第1部材本体11と第2部材本体13とが、重なった状態で長手方向の他方の端部10dに向かって延びている。
【0021】
第1部材10a及び第2部材10bは、それぞれ、図2(a)に示すように、Lの字状の形状を有している。第1部材本体11と第2部材本体13とが重ね合わされており、取り付け部材10は、全体として横長で、T字状の形状を有している。
【0022】
第1部材10aを構成する第1部材本体11は、図1及び図2(b)に示すように、横長の矩形形状の板から形成されている。また、第1嵌合凸部12は、縦長の矩形形状の板から形成されている。第1部材本体11の長手方向と直交する幅方向の長さは、第1嵌合凸部12の長手方向の長さと一致している。第1部材本体11の長手方向の一方の端部に、第1嵌合凸部12の長手方向における一方の側部が接続されている。
【0023】
第1嵌合凸部12は、図2(a)に示すように、第1部材本体11の端部11aに接続された部分とは反対側に第1自由端部12aを有している。端部11aから第1自由端部12aまでの長さが、第1嵌合凸部12の突出量である。また、第2嵌合凸部14は、第2部材本体13の端部13aに接続された部分とは反対側に第2自由端部14aを有している。端部13aから第2自由端部14aまでの長さが、第2嵌合凸部14の突出量である。
【0024】
図2(a)に示すように、第1嵌合凸部12の第1自由端部12aと第2嵌合凸部14の第2自由端部14aとの間の長さL1は、取り付け部材10の長手方向の一方の端部10aにおける幅である。
【0025】
第1部材10aと第2部材10bとは、第1部材本体11と第2部材本体13とが接している面に対して、対称な形状を有している。従って、第1部材10a又は第2部材10bの何れか一方に対する説明は、適宜、他方に適用される。
【0026】
また、取り付け部材10は、図1及び図2(b)に示すように、重ね合わされた第1部材本体11及び第2部材本体13を貫通する固定孔部15aを有している。この固定孔部15aは、詳しくは後述するが、第1部材10aと第2部材10bとを固定する固定手段15を構成する。
【0027】
取り付け部材10の形成材料としては、アルミニウム、伸銅、ステンレス、鋼等の金属、メッキ鋼板、塩化ビニル等の合成樹脂、又は、上記材料の組合せを用いることができる。
【0028】
具体的には、取り付け部材10では、第1部材本体11及び第1嵌合凸部12は、アルミニウムの板から形成されている。第1部材10aは、例えば、横長の矩形形状のアルミニウムの板を、その長手方向と直交する折曲線で90度に折曲させて形成することができる。
【0029】
次に、上述した取り付け部材10を用いて、外壁材が建物の躯体に配置される取り付け構造を以下に説明する。
【0030】
図3は、図1の取り付け部材10を複数用いて、外壁材31〜33を建物の躯体40に配置した取り付け構造50を示す正面図である。図4は、図3のX−X線断面図である。図5は、図4の丸で囲まれた部分の拡大図である。
【0031】
取り付け構造50は、建物の躯体40と、外壁材31〜33と、複数の取り付け部材10を有している。
【0032】
図3及び図4に示すように、複数の取り付け部材10を用いて、3つの外壁材31〜33が、建物の躯体40に連設して配置されている。具体的には、取り付け部材10は、図4に示すように、連設した一対の外壁材31,32を建物の躯体40に配置している。同様に、取り付け部材10は、連設した一対の外壁材32,33を建物の躯体40に配置している。
【0033】
各外壁材31〜33は、図3に示すように、縦長の矩形形状を有しており、幅方向に並べて配置されている。ここで、外壁材の幅方向とは、外壁材の長手方向と直交する方向を意味する。
【0034】
建物の躯体40は、建物の骨組みであり、鉄骨等により形成されている。3つの外壁材31〜33それぞれは、図3に示すように、その長手方向と直行し、互いに離間した2つの躯体40に取り付けられている。
【0035】
外壁材31〜33は、図4に示すように、その断面構造が、2つの面材、及びこれらの面材を連結する複数のリブとから構成されている。外壁材31〜33は、2つの上記面材と上記リブとで囲まれた多数の中空部を有しており、軽量であると共に、高い剛性及び断熱性を有している。
【0036】
外壁材31〜33を形成する材料としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及びこれらの樹脂にガラス繊維を含有させた強化樹脂等の光透過性の合成樹脂を用いることができる。また、外壁材31〜33を形成する材料としては、セメント、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、セラミックス等の無機材料及びこれらの無機材料に鉄筋、ガラス繊維又はアラミド繊維を含有させた材料を用いることもできる。
【0037】
図3及び図4に示すように、一対の外壁材31、32それぞれは、その長手方向における一方の側部を当接して配置されている。外壁材31における長手方向の一方の側部31aには、図5に示すように、他の外壁材と嵌合する連設凹部31cが設けられている。また、外壁材32における長手方向の一方の側部32aには、他の外壁材と嵌合する連設凸部32cが設けられている。そして、外壁材31と外壁材32とは、連設凹部31cと連設凸部32cとが嵌合して接合されている。
【0038】
取り付け構造50では、外壁材31と外壁材32とは、同じ形状を有している。従って、外壁材31の長手方向における他方の側部31bには、図4に示すように、外壁材32と同様に、他の外壁材と嵌合する連設凸部が設けられている。外壁材32の長手方向における他方の側部32bには、外壁材31と同様に、他の外壁材と嵌合する連設凹部が設けられている。また、外壁材33も、外壁材31及び外壁材32と同じ形状を有しており、外壁材32及び外壁材33も、図4に示すように、外壁材31及び外壁材32と同様に接合されている。
【0039】
図5に示すように、一方の外壁材31における他方の外壁材32と当接している側部31aには、第1嵌合凸部12と嵌合する嵌合凹部31bが設けられている。また、他方の外壁材32における一方の外壁材31と当接している側部32aには、第2嵌合凸部14と嵌合する嵌合凹部32b設けられている。
【0040】
外壁材31の嵌合凹部31bの一部分は、図5に示すように、側部31aから外方に向かって延出する延出部31dによって形成されている。同様に、外壁材32の嵌合凹部32bの一部分は、側部32aから外方に向かって延出する延出部32dによって形成されている。延出部31dと延出部32dとは、対向し離間して配置されている。取り付け部材10は、延出部31dと延出部32dとの間の隙間に挿通している。
【0041】
第1嵌合凸部12の第1自由端部12aと第2嵌合凸部14の第2自由端部14aとの間の長さL1は、一方の外壁材31の嵌合凹部31bにおける第1嵌合凸部12が嵌合される入り口の幅と、他方の外壁材32の嵌合凹部32bにおける第2嵌合凸部14が嵌合される入り口の幅とを合わせた長さL2よりも大きい。上記長さL2は、延出部31dと延出部32dとの間の上記隙間の長さ、即ち、嵌合凹部31bと嵌合凹部32bの入り口の長さである。
【0042】
第1部材10aの第1嵌合凸部12は、図5に示すように、一方の外壁材31の側部31aに設けられた嵌合凹部31bに嵌合している。また、第2部材10bの第2嵌合凸部14は、他方の外壁材32の側部32aに設けられた嵌合凹部32bに嵌合している。このように、取り付け部材10は、その長手方向の一方の端部10c側の部分が、一対の外壁材31,32に嵌合して接合されている。
【0043】
また、取り付け部材10は、重ね合わされた第1部材本体11及び第2部材本体13が、図4及び図5に示すように、一対の補助部材20a、20bを介して、建物の躯体40に取り付けられている。
【0044】
補助部材20aは、図6(a)及び(b)に示すように、躯体40に取り付けられる補助部材本体21aと、この補助部材本体21aにおける長手方向の一方の側部に垂設され、取り付け部材10が固定される立ち上がり部22aとから構成されている。補助部材本体21a及び立ち上がり部22aそれぞれは、縦長矩形に形成されている。
【0045】
補助部材本体21aには、補助部材20aを建物の躯体40にボルトで固定するための孔23aが複数設けられている。また、立ち上がり部22aには、取り付け部材10を補助部材20aにボルトで固定するための孔24aが設けられている。
【0046】
他方の補助部材20bは、図5に示すように、立ち上がり部22aの面に対して、上記補助部材20aと対称に形成されており、補助部材本体21bと立ち上がり部22bとから構成されている。
【0047】
取り付け部材10は、図5に示すように、固定孔部15aに挿通するボルト15bと、このボルト15bに螺合するナット15cとによって、第1部材10aと第2部材10bとが固定されている。即ち、取り付け部材10では、固定孔部15a、ボルト15b及びナット15cにより、第1部材11と第2部材13とを固定する固定手段15が構成されている。
【0048】
また、重ね合わされた第1部材本体11及び第2部材本体13は、一対の補助部材20a、20bに挟持されて固定されている。上記ボルト15bは、立ち上がり部22a、22bに設けられた孔24a、24bに挿通すると共に、固定孔部15aに挿通している。
【0049】
また、補助部材20aの補助部材本体21aは、図5に示すように、ボルト25aにより、建物の躯体40に固定されている。補助部材20bの補助部材本体21bも、同様に、ボルト25bにより、建物の躯体40に固定されている。なお、図5には、建物の躯体40は示していない。
【0050】
図3に示す連設した一対の外壁材32,33も、一対の外壁材31,32と同様に、取り付け部材10及び補助部材20a、20bによって、建物の躯体40に取り付けられている。
【0051】
図3に示す例では、外壁材31〜33は、その幅方向に連設されて建物の躯体40に取り付けられているが、外壁材31〜33は、複数の取り付け部材10を用いて、長手方向に連設されて建物の躯体40に取り付けられていても良い。
【0052】
次に、上述した本発明に係る取り付け部材10を用いて、連設した一対の外壁材を建物の躯体に取り付ける方法の一例を、図面を用いて下記に説明する。
【0053】
図7(a)及び(b)は、図1の取り付け部材10を用いて、外壁材を建物の躯体に取り付ける方法の一例を説明する図である。図8(a)及び(b)は、図7に続く段階を説明する図である。
【0054】
まず、図7(a)に示すように、一対の外壁材31、32を用意する。
【0055】
次に、図7(b)に示すように、外壁材31の一方の側部31aに設けられた連設凹部31cと、外壁材32の一方の側部32aに設けられた連設凸部32cとを嵌合し、外壁材31と外壁材32とを接合して、一対の外壁材31,32を連設する。
【0056】
次に、図8(a)に示すように、取り付け部材10の第1部材10aを用意して、この第1部材10aの第1嵌合凸部12を、外壁材31の嵌合凹部31bに嵌合する。この際、第1部材10aは、延出部31dと延出部32dとの間の上記隙間に、第1嵌合凸部12を斜めに差し込んで、嵌合凹部31bに嵌合することができる。
【0057】
次に、図8(b)に示すように、取り付け部材10の第2部材10bを用意して、この第2部材10bの第2嵌合凸部14を、外壁材32の嵌合凹部32bに嵌合する。この際、第2部材10bは、延出部31dと延出部32dとの間の上記隙間に、第2嵌合凸部14を斜めから差し込んで、嵌合凹部32bに嵌合することができる。ここで、延出部31dと延出部32dとの間の上記隙間、嵌合凹部32b及び嵌合凹部31bの寸法は、第1部材10aが嵌合凹部31bに嵌合した状態で、第2部材10bを嵌合凹部32bに嵌合できる寸法であることが好ましい。
【0058】
そして、連設した一対の外壁材31,32に嵌合により接合した取り付け部材10を、建物の躯体40に配置して、図3に示すように、連設した一対の外壁材31,32が建物の躯体40に配置された取り付け構造を得る。ここで、一対の外壁材31,32に一方の端部10cが嵌合された取り付け部材10を、上記固定手段15、一対の補助部材20a、20b及びボルト25a、25bを用いて、建物の躯体40に取り付けることが好ましい。
【0059】
なお、図3では、一対の外壁材31,32は、複数の取り付け部材10を用いて、建物の躯体40に取り付けられているが、複数の取り付け部材10それぞれは、上述した方法を用いて建物の躯体40に取り付けられている。また、図3における一対の外壁材32,33も、一対の外壁材31,32と同様にして、取り付け部材10を用いて、建物の躯体40に配置される。
【0060】
上述した取り付け部材10を用いて外壁材を建物の躯体に取り付ける方法では、第1嵌合凸部12を外壁材31の嵌合凹部31bに嵌合した後に、第2嵌合凸部14を外壁材32の嵌合凹部32bに嵌合していたが、第2嵌合凸部14を外壁材32の嵌合凹部32bに嵌合した後に、第1嵌合凸部12を外壁材31の嵌合凹部31bに嵌合しても良い。
【0061】
上述したように、取り付け部材10は、第1部材10aと、該第1部材10aとは別部材である第2部材10bとにより構成されているので、本実施形態の取り付け部材10によれば、連設した外壁材を建物の躯体に配置することが容易である。
【0062】
また、取り付け部材10は、第1嵌合凸部12を有する第1部材10aと、第2嵌合凸部14を有し第1部材10aと別部材である第2部材10bとにより構成されているので、連設した後の一対の外壁材の接合部分に嵌合により接合し、連設後の外壁材を建物の躯体に取り付けることができる。
【0063】
更に、取り付け部材10は、第1部材10aと第2部材10bとを固定する固定手段15を有しているので、連設した一対の外壁材31,32に風圧等が加えられて、第1部材10aと第2部材10bが離間するような外力が取り付け部材10に加えられても、第1部材10aと第2部材10bとは離間することなく固定された状態が維持される。従って、連設した一対の外壁材31,32が、建物の躯体40に配置された状態が維持できる。
【0064】
また、上述したように、第1部材10aと該第1部材10aとは別部材である第2部材10bとにより構成されている取り付け部材10を備えているので、本実施形態の取り付け構造50によれば、連設した外壁材を建物の躯体に配置することが容易である。
【0065】
更に、上述したように、第1部材10aと該第1部材10aとは別部材である第2部材10bとにより構成されている取り付け部材10を用いているので、取り付け部材10を用いて外壁材を建物の躯体に配置する上記方法によれば、連設した外壁材を建物の躯体に配置することが容易である。
【0066】
また、上記方法によれば、第1嵌合凸部12を嵌合凹部31bに嵌合した後に、第2嵌合凸部14を嵌合凹部32bに嵌合するので、第1嵌合凸部12の突出量と第2嵌合凸部14の突出量との和L1が、嵌合凹部31bと嵌合凹部32bの入り口の長さL2よりも大きくても、取り付け部材10を連設した一対の外壁材31,32に容易に嵌合することができる。
【0067】
次に、上述した第1実施形態の変形例1〜5の取り付け部材を、図9〜図13を参照しながら以下に説明する。変形例について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0068】
図9に、第1実施形態の変形例1の取り付け部材の上面図を示す。
【0069】
変形例1の取り付け部材101は、図9に示すように、固定孔部15aを有する固定手段15に加えて、第2の固定手段16を有している。第2の固定手段16は、第1部材本体11に設けられた係止凹部11bと、該係止凹部11bに係止される第2部材本体13に設けられた係止凸部13bとにより構成されている。なお、図9では、上記固定手段15を構成するボルト15b及びナット15cは示されていない。
【0070】
この第2の固定手段16は、固定孔部15aと、取り付け部材101の他方の端部10dとの間の位置に設けられている。
【0071】
係止凸部13bは、図9に示すように、カギ状の形状を有しており、係止凹部11bは、カギ状の係止凸部13bが係止される形状を有している。
【0072】
取り付け部材101は、図9に示すように、第1部材本体11と第2部材本体13とが重ね合わされた状態で、係止凸部13bが係止凹部11bに係止されている。
【0073】
上述したように、取り付け部材101は第2の固定手段16を有しているので、変形例1の取り付け部材101によれば、第1部材10aと第2部材10bとが離間するような外力が取り付け部材10に加えられても、第1部材10aと第2部材10bとを離間することなく固定する機能が一層高められている。
【0074】
また、変形例1の取り付け部材101は、上述した取り付け部材10と同様の効果を奏する。
【0075】
図10に、第1実施形態の変形例2の取り付け部材の上面図を示す。
【0076】
図10に示す変形例2の取り付け部材102を、図9に示した変形例1の取り付け部材101との相違点を用いて以下に説明する。
【0077】
図9に示す変形例1の取り付け部材101では、第2の固定手段16が、固定孔部15aと、取り付け部材101の他方の端部10dとの間の位置に設けられていたが、図10に示す変形例2の取り付け部材102では、第2の固定手段16が、他方の端部10dに設けられている。
【0078】
取り付け部材102では、他方の端部10dに設けられた第2の固定手段16において、係止凸部13bを係止凹部11bに容易に係止する上で、第1部材本体11又は第2部材本体12の少なくとも一方の部材が、可撓性を有していることが好ましい。
【0079】
その他の構成は、上述した変形例1と同様である。
【0080】
上述した変形例2の取り付け部材102によれば、変形例1の取り付け部材101と同様の効果が奏される。
【0081】
図11に、第1実施形態の変形例3の取り付け部材の上面図を示す。
【0082】
変形例3の取り付け部材103は、図11に示すように、固定孔部15aを有する上記固定手段15に加えて、第2の固定手段16を有している。第2の固定手段16は、第1部材本体11に設けられた固定嵌合凹部11cと、該固定嵌合凹部11cに嵌合される第2部材本体13に設けられた固定嵌合凸部13cとにより構成されている。なお、図11では、上記固定手段15を構成するボルト15b及びナット15cは示されていない。
【0083】
この第2の固定手段16は、固定孔部15aと、取り付け部材103の他方の端部10dとの間の位置に設けられている。
【0084】
第2部材本体13の固定嵌合凸部13cは、図11に示すように、重ね合わされた第1部材本体11に向かって突出しており、固定嵌合凹部11cは、突出した固定嵌合凸部13cが嵌合される形状を有している。
【0085】
取り付け部材103は、図11に示すように、第1部材本体11と第2部材本体13とが重ね合わされた状態で、固定嵌合凸部13cが固定嵌合凹部11cに嵌合されている。
【0086】
上述したように、取り付け部材103は第2の固定手段16を有しているので、変形例3の取り付け部材103によれば、上述した変形例1の取り付け部材101と同様の効果が奏される。
【0087】
図12に、第1実施形態の変形例4の取り付け部材の上面図を示す。
【0088】
変形例4の取り付け部材104は、図12に示すように、固定孔部15aを有する上記固定手段15に加えて、第2の固定手段16を有している。第2の固定手段16は、第1部材本体11に設けられた固定嵌合凹部11cと、該固定嵌合凹部11cに嵌合される第2部材本体13に設けられた固定嵌合凸部13cとにより構成されている。なお、図12では、上記固定手段15を構成するボルト15b及びナット15cは示されていない。
【0089】
この第2の固定手段16は、取り付け部材104の他方の端部10dに設けられている。
【0090】
第2部材本体13の固定嵌合凸部13cは、図12に示すように、第2部材本体13における端部10d側の部分が、端部10cに向かって、第2嵌合凸部14側に折り返されて形成されている。また、第1部材本体11の固定嵌合凹部11cは、第1部材本体11における端部10d側の部分が、固定嵌合凸部13cの外側から、第2嵌合凸部14に向かって折り返されて形成されている。
【0091】
取り付け部材104は、図12に示すように、第1部材本体11と第2部材本体13とが重ね合わされた状態で、固定嵌合凸部13cが固定嵌合凹部11cに嵌合されている。
【0092】
上述したように、取り付け部材104は第2の固定手段16を有しているので、変形例4の取り付け部材104によれば、上述した変形例3の取り付け部材103と同様の効果が奏される。
【0093】
図13に、第1実施形態の変形例5の取り付け部材の上面図を示す。
【0094】
図13に示す変形例5の取り付け部材105を、図12に示す変形例4の取り付け部材104との相違点を用いて以下に説明する。
【0095】
図12に示す変形例4の取り付け部材104では、第2の固定手段16を構成する固定嵌合凸部13cは、第2部材本体13における端部10d側の部分が折り返されて形成されていたが、図13に示す変形例5の取り付け部材105では、固定嵌合凸部13cは第2部材本体13における端部10d側の部分が折り返されることなく、真っ直ぐな形状を有している。
【0096】
取り付け部材105では、他方の端部10dに設けられた第2の固定手段16において、固定嵌合凸部13cを固定嵌合凹部11cに容易に係止する上で、固定嵌合凸部13c又は固定嵌合凹部11cの少なくとも一方の部材が、可撓性を有していることが好ましい。
【0097】
その他の構成は、上述した変形例4と同様である。
【0098】
上述した変形例5の取り付け部材105によれば、変形例4の取り付け部材104と同様の効果が奏される。
【0099】
本発明では、上述した変形例の取り付け部材は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、上述した変形例1及び2において、上記係止凹部が第2部材本体13に設けられていて、上記係止凸部が第1部材本体11に設けられていても良い。
【0100】
また、上述した変形例3〜5において、上記嵌合凹部が第2部材本体13に設けられていて、上記嵌合凸部が第1部材本体11に設けられていても良い。
【0101】
更に、上述した変形例1〜5において、第2の固定手段16は取り付け部材における幅方向の全体に亘って設けられているが、第2の固定手段16は、取り付け部材における幅方向の一部分に設けられていても良い。ここで、取り付け部材の幅方向は、取り付け部材の長手方向と直交する方向である。
【0102】
次に、本発明に係る他の実施形態の取り付け部材について、図面を参照して以下に説明する。
【0103】
図14は、本発明に係る取り付け部材の第2実施形態を示す斜視図である。図15(a)は図14の上面図であり、図15(b)は図14の正面図であり、図15(c)は図15(a)のY−Y線断面図である。
【0104】
取り付け部材110は、図14及び図15に示すように、図1に示す第1実施形態と同様に、第1部材110aと、該第1部材110aとは別部材である第2部材110bとから構成されている。
【0105】
第1部材110aは、図14及び図15に示すように、建物の躯体に取り付けられる第1部材本体111、及び、第1部材本体111における長手方向の一方の端部111aに垂設して接続される第1嵌合凸部112、を有している。同様に、第2部材110bは、建物の躯体に取り付けられる第2部材本体113、及び、第2部材本体113における長手方向の一方の端部113aに垂設して接続される第2嵌合凸部114、を有している。
【0106】
取り付け部材110は、図15(a)に示すように、横長であり、その長手方向の一方の端部110cに、外壁材の嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部112及び第2嵌合凸部114が設けられている。
【0107】
取り付け部材110は、図15(a)に示すように、第1部材本体111と第2部材本体113とが、重なった状態で長手方向の一方の端部110cから他方の端部110dに向かって延びている。
【0108】
以下、第2実施形態の取り付け部材110について、上述した第1実施形態の取り付け部材10との相違点を中心に説明する。
【0109】
取り付け部材110は、図15(a)に示すように、幅方向の寸法が、長手方向の一方の端部110cから他方の端部110dに向かって、一定の値を示した後、漸増し、その後略一定となっている。
【0110】
取り付け部材110は、図15(b)に示すように、高さ方向の寸法が、長手方向の一方の端部110cから他方の端部110dに向かって、一定の値を示した後、漸減し、階段状に減少した後略一定となっている。
【0111】
第1部材本体111は、図15(b)に示すように、横長の形状を有している。第1部材本体111は、その長手方向の一方の端部111aにおいて第1嵌合凸部112に垂設して接続されており、取り付け部材110の正面側の壁部を構成する第1立設部111dと、図15(c)に示すように、第1立設部111dの下側の端部に垂設して接続されており、取り付け部材110の底部を構成する第1水平部111eとを有している。第1立設部111dは、第1部材本体111のおよそ半分の長さを有している。
【0112】
第1立設部111dは、図15(a)に示すように、取り付け部材10における一方の端部110cから他方の端部110dに向かって延びている。第1立設部111dは、上記端部110cにおいて第1嵌合凸部112に垂設されている第1立設部基部111daと、この第1立設部基部111daにおける端部110d側の端から、端部110dに向かって取り付け部材10の外方に斜めに延びている第1立設部中間部111dbと、第1立設部中間部111dbにおける端部110d側の端から、端部110dに向かって第1立設部基部111daと平行に延びている第1立設部端部111dcと、を有している。
【0113】
第1立設部基部111da及び第1立設部中間部111dbは、図15(b)に示すように、高さが一定である。第1立設部端部111dcは、その高さが、取り付け部材10における長手方向の一方の端部110c側から他方の端部110d側に向かって漸減している。
【0114】
上記第1水平部111eは、第1立設部端部111dcの下側の端部に垂設されている。このように、第1水平部111eは90度の角度で第1立設部111dに接続されていたが、第1水平部111eは他の角度で第1立設部111dに接続されていても良い。後述する第2水平部113eについても同様である。
【0115】
第2部材本体113も、第1部材本体111と同様に、横長の形状を有している。第2部材本体113は、その長手方向の一方の端部113aにおいて第2嵌合凸部113に垂設して接続されており、取り付け部材110の背面側の壁部を構成する第2立設部113dと、図15(c)に示すように、第2立設部113dの下側の端部に垂設して接続されており、上記第1水平部111eの上に重ね合わされて配置されている第2水平部113eとを有している。第2立設部113dは、第2部材本体113のおよそ半分の長さを有している。
【0116】
第2立設部113dは、図15(a)に示すように、取り付け部材10における一方の端部110cから他方の端部110dに向かって延びている。第2立設部113dは、上記端部110cにおいて第2嵌合凸部114に垂設されている第2立設部基部113daと、この第2立設部基部113daにおける端部110d側の端から、端部110dに向かって取り付け部材10の外方に斜めに延びている第2立設部中間部113dbと、第2立設部中間部113dbにおける端部110d側の端から、端部110dに向かって第2立設部基部113daと平行に延びている第2立設部端部113dcと、を有している。
【0117】
第2立設部基部113da及び第2立設部中間部113dbは、図14に示すように、高さが一定である。第2立設部端部113dcは、高さが、取り付け部材10における長手方向の一方の端部110c側から他方の端部110d側に向かって漸減している。
【0118】
上記第2水平部113eは、第2立設部端部113dcの下側の端部に垂設されている。
【0119】
第1部材本体111は、図15(c)に示すように、第1立設部111d及び第1水平部111eから構成されるL字状の断面を有している。また、第2部材本体113も、第2立設部113d及び第3水平部113eから構成されるL字状の断面を有している。
【0120】
第1水平部111eの自由端部の一部は、図15(c)に示すように、第2立設部113dの外側を覆うように上方に延出しており、第1部材本体111と第2部材本体113とが幅方向にずれないようになっている。
【0121】
取り付け部材110は、図14に示すように、重ね合わされた第1水平部111e及び第2水平部113e、第1立設部111d及び第2立設部113dに挟まれた部分は、上方が開放された空間を形成している。
【0122】
また、取り付け部材110は、重ね合わされた第1水平部111e及び第2水平部113eを貫通して、複数の固定孔部115aが形成されている。これらの固定孔部115aと、該固定孔部115aに挿通するボルトと、このボルトに螺合するナットとにより第1部材110aと第2部材110bとを固定する固定手段が構成される。取り付け部材110は、上記固定手段を用いて、建物の躯体に直接取り付けられても良い。
【0123】
上述したように、取り付け部材110は、断面がL字状の形状を有する第1部材本体111及び第2部材本体113が重ね合わされた構成を有しているので、本実施形態の取り付け部材110によれば、剛性が高く、外壁材を建物の躯体に確実に取り付けて固定できる。
【0124】
また、重ね合わされた第1水平部111e及び第2水平部113eを貫通して、複数の固定孔部115aが形成されているので、各固定孔部115aにボルトに挿通し、このボルトにナットを螺合して上記固定手段を構成することにより、取り付け部材110は、第1部材本体111及び第2部材本体113が一層確実に固定される。
【0125】
更に、本実施形態の取り付け部材110は、上述した第1実施形態の取り付け部材10と同様の効果を奏する。
【0126】
また、上述した第2実施形態の取り付け部材110は、上記第1実施形態の変形例1〜5に示したように、係止凹部及び係止凸部、又は、嵌合凹部及び嵌合凸部により構成される第2の固定手段を有していても良い。
【0127】
次に、本発明に係る第3実施形態の取り付け部材について、図面を参照して以下に説明する。
【0128】
図16は、本発明に係る取り付け部材の第3実施形態を示す斜視図である。図17(a)は図16に示す取り付け部材の第1部材の上面図であり、図17(b)は第1部材の正面図であり、図17(c)は第1部材の左側面図である。
【0129】
取り付け部材120は、図16に示すように、図1に示す第1実施形態と同様に、第1部材120aと、該第1部材120aとは別部材である第2部材120bとから構成されている。
【0130】
第1部材120aは、図16及び図17に示すように、建物の躯体に取り付けられる第1部材本体121、及び、第1部材本体121における長手方向の一方の端部121aに垂設して接続される第1嵌合凸部122、を有している。同様に、第2部材120bは、建物の躯体に取り付けられる第2部材本体123、及び、第2部材本体123における長手方向の一方の端部123aに垂設して接続される第2嵌合凸部124、を有している。
【0131】
図16では、第1部材120aと第2部材120bとが別部材であることを説明するために、両部材の間を離間させて示しているが、実際に、取り付け部材120を用いて外壁材を建物の躯体に取り付ける際には、取り付け部材120は、後述する図18(a)に示すように、第1部材120aと第2部材120bとが重ね合わされた状態で用いられる。
【0132】
取り付け部材120は、図16に示すように、横長であり、その長手方向の一方の端部120cに、外壁材の嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部122及び第2嵌合凸部124が設けられている。
【0133】
取り付け部材120は、第1部材本体121と第2部材本体123とが、重なった状態で長手方向の一方の端部120cから他方の端部120dに向かって延びている。
【0134】
第1部材120aと第2部材120bとは、第1部材本体121と第2部材本体123とが接する面に対して、対称な形状を有している。従って、第1部材120a又は第2部材120bの何れか一方に対する説明は、適宜、他方に適用される。
【0135】
以下、第3実施形態の取り付け部材120について、上述した第1実施形態の取り付け部材10との相違点を中心に説明する。
【0136】
取り付け部材120の第1部材120aは、図17(a)に示すように、長手方向の一方の端部120cから他方の端部120dに向かって、その幅が、階段状に減少し、一定の値を示し、階段状に増加した後略一定となっている。
【0137】
第1部材120aは、図17(b)に示すように、その高さが、長手方向の一方の端部120cから他方の端部120dに向かって、一定の値を示した後、上下の幅が階段状に減少した後略一定となっている。
【0138】
第1部材本体121は、図17(b)に示すように、横長の形状を有している。第1部材本体121は、その長手方向の一方の端部121aにおいて第1嵌合凸部122に垂設して接続されている第1部材本体基部121bと、第1部材本体基部121bの中央部から、他方の端部120dに向かって延出する第1部材本体延出部121cとを有している。
【0139】
第1部材本体基部121bは、図17(b)に示すように、縦長矩形の形状を有している。第1嵌合凸部122は、図16に示すように、第1部材本体基部121bの長手方向の全体に亘って垂設されている。
【0140】
第1部材本体延出部121cは、図16及び図17(c)に示すように、第1延出部本体121cbと、この第1延出部本体121cbの上側の端部に垂設された第1延出部上側水平部121caと、第1延出部本体121cbの下側の端部に垂設された第1延出部下側水平部121ccとを有している。
【0141】
このように、第1部材本体121の第1部材本体延出部121cは、その一方の端部に接続された第1の延出部としての第1延出部上側水平部121caと、その他方の端部に接続された第2の延出部としての第1延出部下側水平部121ccとを有している。
【0142】
そして、第1部材本体延出部121cは、図17(c)に示すように、第1延出部上側水平部121ca、第1延出部本体121cb及び第1延出部下側水平部121ccから構成される概ねC字状の断面を有しており、剛性が高められており、外力による捩れ等の変形が低減される。
【0143】
第1延出部本体121cbは、図17(b)に示すように、横長矩形の形状を有している。第1部材本体基部121bの長手方向の寸法は、第1延出部本体121cbの幅方向の寸法よりも大きい。ここで、第1延出部本体121cbの幅方向は、第1延出部本体121cbの長手方向と直交する方向である。
【0144】
第1延出部本体121cbは、図16及び図17(b)に示すように、貫通孔121fを有している。第2部材120bも、同様に、貫通孔123fを有している。重ね合わされた第1部材本体121cb及び第2部材本体123cbを貫通する固定孔部125a(図18(a)参照)は、貫通孔121f及び貫通孔123fにより構成される。
【0145】
第1延出部下側水平部121ccは、図16及び図17(a)に示すように、略横長矩形の形状を有している。第1延出部下側水平部121ccには、第1部材120aを建物の躯体にボルトで固定するための孔121dが複数設けられている。このように、取り付け部材120は、取り付け部材120を躯体に接合するために、孔121dが設けられた第1延出部下側水平部121cc及びボルトにより構成される接合手段を有している。
【0146】
第1延出部上側水平部121caは、図16及び図17(a)に示すように、略横長矩形の形状を有している。第1延出部上側水平部121caの幅方向の寸法は、第1延出部下側水平部121ccよりも小さい。ここで、第1延出部上側水平部121caの幅方向は、第1延出部上側水平部121caの長手方向と直交する方向である。なお、第1延出部上側水平部121caは90度の角度で第1部材本体121cbに接続されているが、第1延出部上側水平部121caは他の角度で第1部材本体121cbに接続されていても良い。
【0147】
第2部材120bの第2部材本体123は、図16に示すように、第1部材120aと同様に、第2部材本体基部123bと、第2部材本体延出部123cとを有している。第2部材本体延出部123cは、第2延出部本体123cbと、この第2延出部本体123cbの上側の端部に垂設された第2延出部上側水平部123caと、第2延出部本体123cbの下側の端部に垂設された第2延出部下側水平部123ccとを有している。
【0148】
このように、第2部材本体123の第2部材本体延出部123cは、その一方の端部に接続された第1の延出部としての第2延出部上側水平部123caと、その他方の端部に接続された第2の延出部としての第2延出部下側水平部123ccとを有している。
【0149】
取り付け部材120は、図18(a)に示すように、第1部材本体基部121bと第2部材本体基部123bとが重ね合わされており、また第1延出部本体121cbと第2延出部本体123cbとが重ね合わされている。
【0150】
また、取り付け部材120は、第1延出部上側水平部121caと第2延出部上側水平部123caとが互いに反対の向きに延出しており、また第1延出部下側水平部121cc第2延出部下側水平部123ccとが互いに反対の向きに延出している。
【0151】
次に、上述した取り付け部材120を用いて、外壁材が建物の躯体に配置される取り付け構造を以下に説明する。
【0152】
図18(a)は、図16の取り付け部材120を用いて外壁材を建物の躯体に配置した取り付け構造の要部の上面図であり、図18(b)は(a)の正面図である。
【0153】
取り付け構造250は、建物の躯体240と、外壁材231及び232と、取り付け部材120を有している。外壁材231及び232は、上述した取り付け構造50を構成する外壁材と同じ構造を有している。
【0154】
図18(a)及び(b)に示すように、取り付け部材120を用いて、一対の外壁材231、232が、建物の躯体240に連設して配置されている。
【0155】
図18(a)及び(b)に示すように、一対の外壁材231、232それぞれは、その長手方向における一方の側部を当接して配置されている。外壁材231における長手方向の一方の側部231aには、図18(a)に示すように、他の外壁材と嵌合する連設凹部231cが設けられている。また、外壁材232における長手方向の一方の側部232aには、他の外壁材と嵌合する連設凸部232cが設けられている。そして、外壁材231と外壁材232とは、連設凹部231cと連設凸部232cとが嵌合して接合されている。
【0156】
第1部材120aの第1嵌合凸部122は、図18(a)に示すように、一方の外壁材231の側部231aに設けられた嵌合凹部231bに嵌合している。また、第2部材120bの第2嵌合凸部124は、他方の外壁材232の側部232aに設けられた嵌合凹部232bに嵌合している。このように、取り付け部材120は、その長手方向の一方の端部120c側の部分が、一対の外壁材231,232に嵌合して接合されている。
【0157】
また、取り付け部材120は、図18(a)及び(b)に示すように、第1部材本体121及び第2部材本体123が重ね合わされた状態で、ボルト126を用いて、建物の躯体240に直接取り付けられている。具体的には、第1延出部下側水平部121ccは、孔121dにボルト126が螺合して躯体240に接合されている。同様に、第2延出部下側水平部123ccは、孔123dにボルト126が螺合して躯体240に接合されている。
【0158】
取り付け部材120は、図18(a)に示すように、固定孔部125aに挿通するボルト125bと、このボルト125bに螺合するナット125cとによって、第1部材120aと第2部材120bとが固定されている。即ち、取り付け部材120では、固定孔部125a、ボルト125b及びナット125cにより、第1部材121と第2部材123とを固定する固定手段125が構成されている。
【0159】
上述したように、取り付け部材120は、断面が概ねC字状の形状を有する第1部材本体延出部121c及び第2部材本体延出部123cが重ね合わされた構成を有しているので、本実施形態の取り付け部材120によれば、剛性が高く、外壁材を建物の躯体に取り付けた状態を確実に維持できる。
【0160】
また、取り付け部材120は、ボルトを用いて、建物の躯体に直接配置することができる。
【0161】
また、取り付け部材120は、第1嵌合凸部122及び第2嵌合凸部124の長手方向の寸法が、第1部材本体121及び第2部材本体123の幅方向の寸法よりも大きく、これらの第1嵌合凸部122及び第2嵌合凸部124を外壁材に嵌合させるので、外壁材とより確実に嵌合することができる。
【0162】
更に、本実施形態の取り付け部材110は、上述した第1実施形態の取り付け部材10と同様の効果を奏する。
【0163】
また、上述した第3実施形態の取り付け部材120は、上記第1実施形態の変形例1〜5に示したように、係止凹部及び係止凸部、又は、嵌合凹部及び嵌合凸部により構成される第2の固定手段を有していても良い。
【0164】
本発明の取り付け部材、取り付け構造及び方法は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、連設した一対の外壁材それぞれは、連設している側部の全体に亘って嵌合凹部が設けられており、上記第1嵌合凸部及び上記第2嵌合凸部それぞれは、外壁材の嵌合凹部の全体に亘る寸法を有していても良い。具体的に図3に示す例で説明すると、第1嵌合凸部12及び第2嵌合凸部14それぞれが、外壁材31、32の長手方向の全体に亘って形成されており、連設した一対の外壁材31、32の長手方向の全体に亘って、外壁材の接合部分に嵌合した状態である。このような構成を取り付け構造が有することにより、連設した一対の外壁材31、32を離間することなく建物の躯体に確実に固定することができる。
【0165】
また、上述した実施形態又は実施例では、第1嵌合凸部が第1部材本体の端部に垂設されており、第1嵌合凸部は90度の角度で第1部材本体に接続されていたが、第1嵌合凸部は他の角度で第1部材本体に接続されていても良い。第2嵌合凸部についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明に係る取り付け部材の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の上面図であり、(b)は正面図である。
【図3】図1の取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置した取り付け構造を示す正面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】図4の要部の拡大図である。
【図6】(a)は図3の取り付け構造に用いられている補助部材の上面図であり、(b)は(a)の正面図である。
【図7】図1の取り付け部材を用いて、外壁材を建物の躯体に取り付ける方法の一例を説明する図である。
【図8】図7に続く段階を説明する図である。
【図9】第1実施形態の変形例1を示す上面図である。
【図10】第1実施形態の変形例2を示す上面図である。
【図11】第1実施形態の変形例3を示す上面図である。
【図12】第1実施形態の変形例4を示す上面図である。
【図13】第1実施形態の変形例5を示す上面図である。
【図14】本発明に係る取り付け部材の第2実施形態を示す斜視図である。
【図15】(a)は図14の上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(a)のY−Y線断面図である。
【図16】本発明に係る取り付け部材の第3実施形態を示す斜視図である。
【図17】(a)は図16に示す取り付け部材の第1部材の上面図であり、(b)は第1部材の正面図であり、(c)は第1部材の左側面図である。
【図18】(a)は、図16の取り付け部材を用いて外壁材を建物の躯体に配置した取り付け構造の要部の上面図であり、(b)は(a)の正面図である。
【符号の説明】
【0167】
10 取り付け部材
10a 第1部材
10b 第2部材
11 第1部材本体
11a 端部
11b 係止凹部
11c 固定嵌合凹部
12 第1嵌合凸部
13 第2部材本体
13a 端部
13b 係止凸部
13c 固定嵌合凸部
14 第2嵌合凸部
15 固定手段
15a 固定孔部
15b ボルト
15c ナット
16 第2の固定手段
20a、20b 補助部材
31、32、33 外壁材
31a 側部
31b 嵌合凹部(第1嵌合凹部)
31c 連設凹部
32a 側部
32b 嵌合凹部(第2嵌合凹部)
32c 連設凸部
40 建物の躯体
50 取り付け構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁材を建物の躯体に配置するための取り付け部材であって、
建物の躯体に取り付けられる第1部材本体、及び、前記第1部材本体の端部に接続され且つ外壁材の嵌合凹部に嵌合する第1嵌合凸部、を有する第1部材と、
前記第1部材本体と重ね合わされ且つ建物の躯体に取り付けられる第2部材本体、及び、前記第1部材本体の端部と対向する前記第2部材本体の端部に接続され、前記第1嵌合凸部と対向し、前記第1嵌合凸部の向きと反対の向きに突出し、且つ外壁材の嵌合凹部に嵌合する第2嵌合凸部、を有する第2部材と、
を備えていることを特徴とする取り付け部材。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とを固定する固定手段を有する請求項1に記載の取り付け部材。
【請求項3】
前記固定手段は、重ね合わされた前記第1部材本体及び前記第2部材本体を貫通する固定孔部と、該固定孔部に挿通するボルトと、このボルトに螺合するナットとにより構成されている請求項2に記載の取り付け部材。
【請求項4】
前記固定手段は、前記第1部材本体に設けられた係止凹部と、前記係止凹部に係止される前記第2部材本体に設けられた係止凸部とにより構成されている請求項2に記載の取り付け部材。
【請求項5】
前記固定手段は、前記第1部材本体に設けられた嵌合凹部と、前記嵌合凹部に嵌合される前記第2部材本体に設けられた嵌合凸部とにより構成されている請求項2に記載の取り付け部材。
【請求項6】
前記第1部材本体は、前記第1嵌合凸部に接続されている第1立設部と、この第1立設部に接続されており、前記取り付け部材の底部を構成する第1水平部とを有し、
前記第2部材本体は、前記第2嵌合凸部に接続されている第2立設部と、この第2立設部に接続されており、前記第1水平部の上に重ね合わされて配置されている第2水平部とを有している請求項1〜5の何れか一項に記載の取り付け部材。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の取り付け部材を用いて、外壁材を建物の躯体に配置する方法であって、
一対の外壁材を用意し、
前記一対の外壁材における一方の側部と、他方の外壁材の一方の側部とを接合して、前記一対の外壁材を連設し、
前記取り付け部材における前記第1部材の前記第1嵌合凸部を、前記一方の外壁材における一方の側部に設けられた第1嵌合凹部に嵌合し、
前記取り付け部材における前記第2部材の前記第2嵌合凸部を、前記他方の外壁材における一方の側部に設けられた第2嵌合凹部に嵌合し、
連設した前記一対の外壁材に嵌合した取り付け部材を、建物の躯体に配置する、
段階を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
外壁材を建物の躯体に配置する取り付け構造であって、
第1側部に設けられた第1嵌合凹部を有する第1外壁材と、
前記第1外壁材の第1側部と当接する第2側部、及び前記第2側部に設けられた第2嵌合凹部、を有する第2外壁材と、
建物の躯体に取り付けられる第1部材本体及び前記第1部材本体の端部に接続された第1嵌合凸部を有する第1部材、前記第1部材本体と重ね合わされ且つ建物の躯体に取り付けられる第2部材本体及び前記第1部材本体の端部と対向する前記第2部材本体の端部に接続され、前記第1嵌合凸部と対向し且つ前記第1嵌合凸部の向きと反対の向きに突出している第2嵌合凸部、を有する第2部材を備えた取り付け部材と、を有し、
前記第1嵌合凹部に前記第1嵌合凸部が嵌合され、
前記第2嵌合凹部に前記第2嵌合凸部が嵌合されている、
ことを特徴とする取り付け構造。
【請求項9】
前記第1嵌合凸部の突出量と前記第2嵌合凸部の突出量との和は、前記第1嵌合凹部と前記第2嵌合凹部の入り口の長さよりも大きい、請求項8に記載の取り付け構造。
【請求項10】
前記第1及び第2外壁材それぞれは、当接している前記第1及び第2側部の全体に亘って前記第1及び第2嵌合凹部が設けられており、前記第1及び前記第2嵌合凸部それぞれは、前記第1及び第2嵌合凹部の全体に亘る寸法を有している請求項8又は9に記載の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−293194(P2009−293194A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144857(P2008−144857)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】