説明

外枠

【課題】パチンコ機の前枠セットなどの回動部の底面と、外枠を構成する幕板の上面との間の隙間からワイヤなどを挿入して不正行為を行うことができず、かつ、前枠セットなどの回動部の底面と幕板の上面とが接触するおそれのない外枠を実現する。
【解決手段】幕板25の上面25aには、案内部材35,36が楔形の先端を前方に向けて配置されているため、前枠セット2を閉成する際に前枠セット2の底面が幕板25の上面25aに接触するおそれがない。また、上面25aには、前枠セット2の底面と幕板25の上面25aとの間に形成される隙間を閉塞する閉塞部材25cを備えるため、隙間からワイヤなどを挿入して不正行為を行うことができない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ機をパチンコホールの所定個所に設置するための外枠に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のパチンコ機1の正面図であり、図6は、図5に示すパチンコ機1を斜め前方から見た斜視図であり、図7は、図5に示すパチンコ機1を斜め後方から見た斜視図である。
従来のパチンコ機1は、パチンコ機1をパチンコホールの島設備に取付けるための外枠8を備える。外枠8は、枠状に構成されており、上部に配置された天板8aと、底部に配置された底板8bと、天板8aおよび底板8bの各右端間を連結する右側板8cと、天板8aおよび底板8bの各左端間を連結する左側板8dと、右側板8cおよび左側板8dの各前面下端間を連結する幕板8eとを備える。天板8a、底板8b、右側板8c、左側板8dおよび幕板8eは、それぞれ木製で板状に形成されている。
【0003】
外枠8の左上角であって天板8aの左端と左側板8dの上端との連結部には、金属製の上蝶番15が取付けられており、幕板8eの左端の上端には、金属製の下蝶番17が取付けられている。前枠セット2(回動部)の左端の上端はヒンジ軸16を介して上蝶番15に軸支されており、左端の下端は図示しないヒンジ軸を介して下蝶番17に軸支されている。つまり、前枠セット2は、左端を回動軸にして外枠8に回動可能に軸支されている。前枠セット2には遊技盤5が設けられており、遊技盤5は、前枠セット2の開口部に設けられたガラス3によって覆われている。遊技盤5には、図示しない入賞口、始動口、普通電動役物および変動入賞装置などが設けられており、盤面には遊技球の流下経路を変化させる多数の遊技釘が打ち込まれている。
【0004】
前枠セット2の右下には、遊技球を遊技盤5へ発射する発射装置を操作するための発射ハンドル4が設けられており、発射ハンドル4には、発射装置の発射強度を調節するための発射レバー4aが回動可能に設けられている。ガラス3の下方の前枠セット2には、排出口6bから排出される賞球および貸球を貯留する上受け皿6が設けられている。上受け皿6には、上受け皿6に貯留されている遊技球を下受け皿7へ排出させるために操作する球抜きレバー6aと、貸球の払出しを行わせるために操作する貸出ボタン6cと、パチンコ機1に併設されたプリペイド記録媒体読取装置(図示せず)に挿入されているプリペイド記録媒体を返却させるために操作する返却ボタン6dと、プリペイド記録媒体に記録されている残り度数(残高)を表示する度数表示部6eとが設けられている。
【0005】
上受け皿6の下方には、上受け皿6から流下した遊技球を貯留する下受け皿7が設けられている。下受け皿7の底部には遊技球を排出するための球抜き孔7bが開閉可能に形成されており、下受け皿7の前端には、球抜き孔7bを開閉させる球抜きレバー7aがスライド可能に設けられている。また、前枠セット2には、払出すべき遊技球が無いことを報知する球切れLED13と、遊技球の払出しの異常を報知する払出異常LED14と、効果音を発生する右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが設けられている。
【0006】
図9に示すように、パチンコ機1の裏面には裏セット40が設けられている。裏セット40の上部には、パチンコ機1が設置された島設備から供給される遊技球を貯留するための球タンク41が設けられている。球タンク41の下方にはカバー42が設けられており、そのカバー42の内部には、主制御基板が収容された主制御基板ケース(図示せず)などが設けられている。主制御基板には、入賞の検出、大当りかハズレかの判定などを行うマイクロコンピュータが搭載されている。
【0007】
カバー42の右方には、賞球を払出す賞球払出装置45が設けられている。カバー42の下方には、発射装置を制御する発射制御基板が収容された発射制御基板ケース(図示せず)43と、賞球払出装置45を制御する払出制御基板が収容された払出制御基板ケース44とが設けられている。また、裏セット40には、パチンコ機1にAC24Vを供給するための電源プラグ46が接続されている。前枠セット2および裏セット40は、外枠8に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−043639号公報(第32〜34段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8(a)は図5に示すパチンコ機1の前枠セット2と幕板8eとの間に形成される隙間Sの部分説明図であり、(b)は図5に示すパチンコ機1の前枠セット2の底面が幕板8eの上面に接触した状態を示す部分説明図である。
従来のパチンコ機1は、図8(a)に示すように、前枠セット2の底面と幕板8eの上面との間には下蝶番17が介在されているため、前枠セット2の底面と幕板8eの上面との間に隙間Sが形成されるので、その隙間Sからワイヤーを挿入して強制的に賞球を払出させる不正行為が起きるおそれがある。たとえば、大当りの発生時に開閉作動する変動入賞装置の開閉部材を、挿入したワイヤーによって開放させ、大入賞口を強制的に開口させるという不正行為が起きるおそれがある。
【0010】
さらに、従来のパチンコ機1は、図6および図7に示したように、左端を回動軸にして外枠8に軸支される構造であるため、右端が下がり易い。このため、図8(b)において符号Cによって示すように、前枠セット2の底面と幕板8eの上面とが接触し、前枠セット2を滑らかに開閉することができなくなるおそれがある。特に、最近のパチンコ機は、役物を動かす装置が複雑になり、前枠セットの重量が増加する傾向にあるため、前枠セットが下がり易いので、上記の問題が発生し易い。
【0011】
そこで、この発明は、上記の諸問題を解決するために創作されたものであり、パチンコ機の前枠セットなどの回動部の底面と、外枠を構成する幕板の上面との間の隙間からワイヤなどを挿入して不正行為を行うことができず、かつ、前枠セットなどの回動部の底面と幕板の上面とが接触するおそれのない外枠を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、この出願の請求項1に係る発明では、パチンコ機(1)をパチンコホールの所定個所に設置するための枠状の外枠(20)において、両側に配置された右側板(21)および左側板(22)の各下端間に連結されており、板面を前面に向けて配置された幕板(25)と、楔形の先端を前方に向けて前記幕板の上面(25a)に配置されており、当該外枠の一方の側端を回動軸にして開放されたパチンコ機の回動部(2)を開放前の位置に戻す際に前記回動部の底面を前記幕板の上面に案内する案内部材(35,36)と、前記案内部材により案内され、前記案内部材の上に位置する前記回動部の底面と前記幕板の上面との間に形成される隙間(S)を閉塞する閉塞部材(25c)と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の外枠(20)において、前記幕板の上面が前方に下り勾配である
という技術的手段を用いる。
【0014】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1に係る発明の効果)
請求項1に係る発明の外枠は、楔形の先端を前方に向けて幕板の上面に配置されており、当該外枠の一方の側端を回動軸にして開放されたパチンコ機の回動部を開放前の位置に戻す際に回動部の底面を幕板の上面に案内する案内部材を備える。
したがって、請求項1に係る発明を実施すれば、パチンコ機の回動部を閉成する際に回動部の底面と幕板の上面とが接触するおそれがないため、回動部を滑らかに開閉することができる。
【0016】
しかも、請求項1に係る発明の外枠は、上記の案内部材により案内され、案内部材の上に位置するパチンコ機の回動部の底面と幕板の上面との間に形成される隙間を閉塞する閉塞部材を備える。
したがって、請求項1に係る発明を実施すれば、パチンコ機の回動部の底面と、外枠を構成する幕板の上面との間からワイヤなどを挿入して不正行為を行うことができない。
【0017】
(請求項2に係る発明の効果)
請求項2に係る発明の外枠は、幕板の上面が前方に下り勾配であるため、幕板の上面に遊技球が乗った状態になることがない。
したがって、請求項2に係る発明を実施すれば、パチンコ機の回動部を開閉する際に、幕板の上面に乗った遊技球が、回動部の底面と幕板の上面との間に挟み込まれ、回動部が開閉することができなくなってしまうおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施形態に係る外枠20の正面図である。
【図2】図1に示す外枠20の下部の斜視図である。
【図3】図2に示す外枠20のA−A矢視断面図の一部を拡大して示す説明図である。
【図4】図2に示す外枠20を構成する幕板25の上面25aに乗った遊技球Pが前方へ転がる様子を示す説明図である。
【図5】従来のパチンコ機1の正面図である。
【図6】図5に示すパチンコ機1を斜め前方から見た斜視図である。
【図7】図5に示すパチンコ機1を斜め後方から見た斜視図である。
【図8】(a)は図5に示すパチンコ機1の前枠セット2と幕板8eとの間に形成される隙間Sの部分説明図であり、(b)は図5に示すパチンコ機1の前枠セット2の底面が幕板8eの上面に接触した状態を示す部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
この発明の実施形態に係る外枠について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係る外枠20の正面図である。図2は図1に示す外枠20の下部の斜視図である。図3は図2に示す外枠20のA−A矢視断面図の一部を拡大して示す説明図である。図4は図2に示す外枠20を構成する幕板25の上面25aに乗った遊技球Pが前方へ転がる様子を示す説明図である。なお、この実施形態に係る外枠に取付けるパチンコ機は、前述した従来のパチンコ機1と同じであるため、同じ符号を用いる。
【0020】
図1に示すように、この実施形態に係る外枠20は枠状に構成されており、上部に配置された天板23と、底部に配置された底板24と、天板23および底板24の各右端間を連結する右側板21と、天板23および底板24の各左端間を連結する左側板22と、右側板21および左側板22の各前面の下端間を連結する幕板25とを備える。さらに、外枠20は、図3に示すように、幕板25の裏面に配置された幕板37を備える。幕板25,37はそれぞれ板状に形成されており、幕板25は板面を前方に向けて配置されている。幕板37の前面の板面と、幕板25の裏面の板面とが密着している。天板23および底板24は、それぞれ板状に形成されている。
【0021】
幕板25の上面25aには、外枠20の左端を回動軸にして開放された前枠セット2を閉成する際に、前枠セット2の底面を幕板25の上に案内するための案内部材(スベリとも呼ばれる)35,36が間隔を置いて設けられている。案内部材35,36は、それぞれ楔形の先端を前方に向けて幕板25の上面25aに設けられている。案内部材35の先端には、前方に下り勾配の傾斜面35aが形成されている。傾斜面35aは、前枠セット2の底面を滑らせて幕板25の上に案内するための傾斜面である。案内部材36の先端にも同様の傾斜面が形成されている。
このように、幕板25の上面25aには案内部材35,36が設けられているため、パチンコ機1の前枠セット2を閉成する際に前枠セット2の底面と幕板25の上面25aとが接触するおそれがないため、前枠セット2を滑らかに開閉することができる。
【0022】
幕板25の上面25aの後端には、閉塞部材25cが上面25aの右端から左端に亘って形成されている。閉塞部材25cは上面25aから立設した壁状に形成されている。閉塞部材25cの後端からは、平坦部25dが後方に向けて形成されており、その平坦部25dは幕板37の上面と当接している。閉塞部材25cは、案内部材35,36の上に乗った前枠セット2と幕板25の上面25aとの間に形成される隙間を閉塞する。
このように、案内部材35,36の上に乗った前枠セット2と幕板25の上面25aとの間に形成される隙間を閉塞する閉塞部材25cが上面25aに設けられているため、前枠セット2と幕板25の上面25aとの間に形成される隙間からワイヤーなどを挿入する不正行為を防止することができる。
【0023】
また、閉塞部材25cの上端からは鍔状の返し25bが前方に向けて形成されている。このように返し25bが形成されているため、前枠セット2の底面と閉塞部材25cの上端との間からワイヤーなどを挿入しようとしても、その挿入を阻むことができるため、不正行為の防止に万全を期すことができる。
【0024】
ところで、遊技盤5において球詰まりが生じた場合は、パチンコホールのスタッフが前枠セット2を開放し、詰まった遊技球を取り除くが、その際に取り除いた遊技球が幕板25の上面25aに落下し、その上面25aに乗った状態になることがある。そして、その状態を知らないで前枠セット2を閉成すると、前枠セット2の底面と幕板25の上面25aとの間に遊技球を挟み込み、前枠セット2を開閉することが困難になることがある。
【0025】
しかし、この実施形態の外枠20を構成する幕板25の上面25aは、前方に下り勾配に形成されているため、図4に示すように、上面25aに遊技球Pが乗った場合でも、その遊技球Pを上面25aから前方(矢印F1で示す方向)へ転がして落下させることができる。
したがって、前枠セット2を矢印F2で示す方向に閉成する際に、前枠セット2の底面と幕板25の上面25aとの間に遊技球Pを挾み込み、前枠セット2を開閉することができなくなってしまうおそれがない。
【0026】
この実施形態では、幕板25、閉塞部材25cおよび返し25bは合成樹脂により一体形成されている。天板23、底板24および幕板37はそれぞれ木製であり、右側板21および左側板22はアルミニウムまたは合成樹脂により形成されている。案内部材35,36は、金属または合成樹脂により形成されている。
【0027】
〈他の実施形態〉
閉塞部材25cおよび返し25bを幕板25とは別体にすることもできる。また、幕板37の部分を幕板25と一体化したものを幕板として用いることもできる。さらに、案内部材35,36を合成樹脂により形成する場合は、案内部材35,36を幕板25と一体形成することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1・・パチンコ機、2・・前枠セット(回動部)、5・・遊技盤、20・・外枠、
21・・右側板、22・・左側板、23・・天板、24・・底板、
25,37・・幕板、25a・・上面、25b・・返し、25c・・閉塞部材、
35,36・・案内部材、S・・隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機をパチンコホールの所定箇所に設置するための枠状の外枠において、
両側に配置された右側板および左側板の各下端間に連結されており、板面を前面に向けて配置された幕板と、
楔形の先端を前方に向けて前記幕板の上面に配置されており、当該外枠の一方の側端を回動軸にして開放されたパチンコ機の回動部を開放前の位置に戻す際に前記回動部の底面を前記幕板の上面に案内する案内部材と、
前記案内部材により案内され、前記案内部材の上に位置する前記回動部の底面と前記幕板の上面との間に形成される隙間を閉塞する閉塞部材と、を備えることを特徴とする外枠。
【請求項2】
前記幕板の上面が前方に下り勾配であることを特徴とする請求項1に記載の外枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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