説明

外用貼付剤

【課題】 膏体層中に酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤における薬物の溶解性、放出性および薬物含量の低下を改善することが可能な外用貼付剤を提供すること。
【解決手段】 支持体、膏体層および剥離ライナーからなり、該膏体層中に有効成分として酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤において、該膏体層の基剤成分としてゴム系エラストマーと、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルとを含有せしめたことを特徴とする外用貼付剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系エラストマーを主基剤成分として含む膏体層中に酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤に関し、さらに詳しくは、膏体層への薬物の溶解性および膏体層からの薬物の放出性に優れ、かつ、膏体層中における薬物の含量低下がない外用貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
外用貼付剤は、経口剤として服用した場合に問題となる薬物の副作用の発現や、生物学的利用率の低下等がなく、かつ薬物を持続的に投与できる点で非常に優れた投与形態の一つである。このため、例えば、薬物としてインドメタシンなどの消炎鎮痛薬、ニトログリセリンなどの狭心症/心不全治療薬、エストラジオールなどの更年期障害/骨粗鬆症治療薬、ツロブテロールなどの気管支拡張作用薬等を含有した外用貼付剤が開発され、市販されている。
【0003】
上記のうち、インドメタシンなどの消炎鎮痛薬を含有する貼付剤は、多種多様な技術が開発され、その技術は市販貼付剤等で利用されている。例えば、消炎鎮痛薬を貼付剤基剤へ溶解させるために、有機酸(特許文献1)、クロタミトン(特許文献2、特許文献3)などの溶解剤を含有させた貼付剤や、ロジンエステル誘導体とl−メントールとを併用(特許文献4)した貼付剤が開発されている。また、貼付剤を患部皮膚へ貼付した際の、貼付剤膏体層からの薬物の放出性を向上させるために炭酸プロピレン(特許文献5)や種々の吸収促進剤を含有させた貼付剤が開発されている。また、貼付剤膏体中における薬物の含有量低下を抑制するために脂肪酸金属塩(特許文献6)、金属酸化物(特許文献7)、金属水酸化物(特許文献8)などを含有させた貼付剤が開発されている。さらには、上記の問題を解決するために非極性粘着性高分子(特許文献9)、高分子ポリイソブチレンと低分子ポリイソブチレン(特許文献10)などの特定の高分子化合物を配合させた貼付剤等も開発されている。しかしながら、消炎鎮痛剤の物理化学的性質は、化合物により大きく異なるため、その化合物に適した技術を選択または新たに開発する必要がある。
【0004】
消炎鎮痛剤の中でプロピオン酸系消炎鎮痛剤は、鎮痛・抗炎症作用が強く、また物性的にも安定であるなどの特徴があり、臨床上の有用性が確認されている。一方、該プロピオン酸系消炎鎮痛剤は一般的に使用されている貼付剤の基剤への溶解性が悪く、結晶析出の発生や経皮吸収性の低下等の問題があり、貼付剤とすることが困難であった。
【0005】
そのプロピオン酸系消炎鎮痛剤の中でも、ロキソプロフェンナトリウムは優れた抗炎症鎮痛作用を有し、水系貼付剤基剤へ配合させた水系貼付剤(パップ剤)が市販されている。しかしながら、水系貼付剤基剤からのロキソプロフェンナトリウムの放出性は比較的低く、生物学的利用率が良くない欠点があった。それに対し、ロキソプロフェンナトリウムをゴム系エラストマーなどの非水系貼付剤基剤へ配合させた場合、ロキソプロフェンナトリウムの放出性が良好で、十分な生物学的利用率を有する外用貼付剤を得ることが可能であるが、該ロキソプロフェンナトリウムの非水系貼付剤基剤への溶解性は非常に悪く、さらに一般の溶解剤等を用いて非水系貼付剤基剤に溶解させた場合、ロキソプロフェンナトリウムの経時的な含量低下が発生する等の新たな問題が認められていた。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−126119号公報
【特許文献2】特開平4−321624号公報
【特許文献3】特開平10−120560号公報
【特許文献4】WO93/04677号公報
【特許文献5】特開2002−87954号公報
【特許文献6】WO96/08245号公報
【特許文献7】特開2002−226366号公報
【特許文献8】特開2005−314328号公報
【特許文献9】特開平10−95729号公報
【特許文献10】WO01/78690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するものであり、ゴム系エラストマーを含む膏体層中に酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤において、この薬物の溶解性、放出性および薬物含量の低下を改善することが可能な外用貼付剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、支持体、主基剤成分としてゴム系エラストマーを含む膏体層および剥離ライナーからなる外用貼付剤において、該膏体層中に有効成分として酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有せしめ、また、膏体層の基剤成分としてさらにテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルを含有せしめた外用貼付剤とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、支持体、膏体層および剥離ライナーからなり、該膏体層中に有効成分として酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤において、該膏体層中の基剤成分としてゴム系エラストマーと、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルとを含有せしめたことを特徴とする外用貼付剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の外用貼付剤は、有効成分である酸性薬物またはそのアルカリ塩の溶解性および放出性に優れるとともに、薬物の経時的な含量低下を改善できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の外用貼付剤の有効成分である酸性薬物またはそのアルカリ塩は、膏体層中に含有されるものである。ここで、酸性薬物のアルカリ塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。含有される酸性薬物またはそのアルカリ塩には特に制限はないが、例えば、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム等のプロピオン酸系医薬成分や、ジクロフェナクナトリウム等のフェニル酢酸系医薬成分等が例示できる。その中でも鎮痛・抗炎症作用が強く、また物性的にも安定などの点でプロピオン酸系消炎鎮痛剤が好ましく、さらにロキソプロフェンナトリウムが特に好ましい。
【0012】
また本発明の外用貼付剤の膏体層は、基剤成分として、製造時のコストや、物性および品質等のコントロール、すなわち製剤設計が容易であるなどの点を考慮して、ゴム系エラストマーが用いられる。該ゴム系エラストマーとしては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブチルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等が挙げられるが、中でもスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブチルゴム、イソプレンゴムが好ましく用いられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせ使用することができる。
【0013】
本発明の外用貼付剤の膏体層には、さらに別の基剤成分としてテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルが用いられる。該テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルは、一般に粘着付与剤として使用されるものであるが、ゴム系エラストマーとの相溶性があり、酸性薬物またはアルカリ塩の溶解性および基剤からの放出性を向上させ、さらに酸性薬物またはアルカリ塩の経時的な含量低下を改善するという作用を奏するものである。一般的な粘着付与剤として他に脂環族系飽和炭化水素樹脂などがあるが、該脂環族系飽和炭化水素樹脂を使用した場合、酸性薬物またはアルカリ塩の経時的な含量低下が発生するため、好ましくない。
【0014】
本発明の外用貼付剤の膏体層に使用するゴム系エラストマーと、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルとの含有量は、特に制限はないが、膏体層の組成全体の質量に対して、ゴム系エラストマーを15〜50質量%、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルを10〜40質量%含有させることが好ましい。ここで、該ゴム系エラストマーの含有量が15質量%未満では膏体が軟らかくなるため、凝集力(貼付剤の粘着剤が内部破壊に耐える力)が不足し、糸引き(貼付剤の粘着剤が糸状に引かれる状態)を起こす等の問題が、50質量%を超える含有量では膏体が硬くなりすぎるために粘着力が低下する等の問題があり、いずれも好ましくない。一方、該テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量が10質量%未満では適当な粘着力が得られない等の問題が、40質量%を超える含有量では膏体の粘着力が強くなりすぎる、凝集力が弱くなり糊残りする等の問題があり、いずれも好ましくない。
【0015】
また、本発明の外用貼付剤において膏体層中での酸性薬物またはそのアルカリ塩の含有量は特に制限はないが、膏体層の組成全体に対して、0.5〜10質量%であることが好ましく、特に、5〜10質量%であることが好ましい。該酸性薬物またはアルカリ塩の含有量が0.5質量%未満では、十分な薬理作用が得られない等の問題が、10質量%を超える含有量では、それ以上配合しても薬理作用の向上は得られず、薬物の生物学的利用率が低くなる等の問題があり、好ましくない。
【0016】
本発明の外用貼付剤の膏体層には、酸性薬物またはアルカリ塩の溶解性や経皮吸収性を改善する等の目的で、さらに有機酸を配合することが好ましい。該有機酸には特に制約はないが、膏体層に用いられる他の成分との相溶性があり、酸性薬物またはアルカリ塩の含量低下がないなどの点で炭素数2〜18のカルボン酸が好ましく、さらに該炭素数2〜18のカルボン酸の中でも酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸、安息香酸およびサリチル酸が特に好ましい。該有機酸は1種を単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0017】
該有機酸の含有量としては、前記酸性薬物またはそのアルカリ塩の含有量の0.1〜10質量倍、特に、0.3〜5質量倍であることが好ましい。該有機酸の含有量が酸性薬物またはそのアルカリ塩の含有量の0.1質量倍未満では酸性薬物またはアルカリ塩の溶解性や経皮吸収性を改善する効果が低い等の問題が、10質量倍を超える含有量では有機酸に由来する皮膚刺激が発生する等の問題があり、好ましくない。
【0018】
本発明の好ましい態様における、外用貼付剤の膏体層でのテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルと有機酸の含有量は、膏体層組成全体の質量に対して、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量が10〜40質量%であり、かつ、有機酸の含有量がテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量の1/40質量倍〜1/2質量倍である。該テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量が10質量%未満では適当な粘着力が得られない等の問題が、40質量%を超える含有量では膏体の粘着力が強くなりすぎる、凝集力が弱くなり糊残りする等の問題があり、好ましくない。一方、該有機酸の含有量がテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量の1/40質量倍未満では酸性薬物またはアルカリ塩の溶解性や経皮吸収性を改善する効果が低い等の問題が、1/2質量倍を超える含有量では有機酸に由来する皮膚刺激が発生する等の問題があり、好ましくない。
【0019】
本発明の外用貼付剤の膏体層には、必要に応じて、さらに溶解剤を配合してもよい。該溶解剤に特に制限はないが、酸性または中性の溶解剤が好ましく、さらに該酸性または中性の溶解剤の中でもエタノール、オクチルドデカノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、濃グリセリン、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールや、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等のエステル体またはエーテル体が特に好ましい。該溶解剤は1種を単独であるいは2種以上を併用することができる。該溶解剤を含有することにより、酸性薬物またはそのアルカリ塩の膏体層への溶解性や、経皮吸収性を改善する等の効果があり好ましい。
【0020】
本発明の外用貼付剤の膏体層には、上に記載の成分に加え、公知の任意成分を加えることができる。このような任意成分としては、例えば、流動パラフィン、ひまし油、ラノリン、l−メントール等の軟化剤、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤などが挙げられる。
【0021】
また本発明の外用貼付剤における支持体には、薬物不透過性で伸縮性または非伸縮性の支持体を使用することができる。このような支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂フィルムまたはシートあるいはこれらの積層体、多孔質体、発泡体、紙、織布および不織布などが挙げられる。
【0022】
さらに本発明の外用貼付剤における剥離ライナーには、薬物不透過性の剥離ライナーを使用することができる。このような剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子材料で作られたフィルムや、フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、紙の上にシリコーンオイル等を塗付したものなどが挙げられるが、酸性薬物またはそのアルカリ塩の透過がなく、加工性や低コストなどの点でポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。さらに、該剥離ライナーは、複数の材料を貼り合わせたラミネートフィルム等を使用しても良い。
【0023】
本発明の外用貼付剤の製造は、特に制限はなく、公知の製造方法に従って行うことができる。本発明の外用貼付剤の好ましい公知の製造方法としては、例えば、酸性薬物またはそのアルカリ塩および基剤成分等膏体層に含ませるべき成分を酢酸エチル、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒に溶解させ、この溶解物を剥離ライナーまたは支持体上に展延し、該溶解物中の溶媒を蒸発させ膏体層を形成した後、支持体または剥離ライナーを貼り合わせることによって外用貼付剤を得る方法(溶剤法)や、酸性薬物またはそのアルカリ塩および基剤成分等膏体層に含ませるべき成分を加熱溶融させ、この溶融物を剥離ライナーまたは支持体上に展延し、膏体層を形成した後、支持体または剥離ライナーを貼り合わせることによって外用貼付剤を得る方法(ホットメルト法)などが挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0026】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)イソプレンゴム 15部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(4)流動パラフィン 28部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 23部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)イソステアリン酸 3部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(7)ミリスチン酸イソプロピル 5部
(商品名:IPM−EX、日光ケミカルズ)
(8)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0027】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびミリスチン酸イソプロピルの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品1)を得た。
【0028】
実施例2
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0029】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 24部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)流動パラフィン 38部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)テルペン樹脂 20部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(5)イソステアリン酸 5部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(6)セバシン酸ジイソプロピル 5部
(商品名:DIS、日光ケミカルズ)
(7)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0030】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を加熱溶融し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびセバシン酸ジイソプロピルを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品2)を得た。
【0031】
比較例1
下記組成および製法により、比較外用貼付剤を製造した。
【0032】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)イソプレンゴム 20部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(4)流動パラフィン 35部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 20部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学)
【0033】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム、流動パラフィンおよび脂環族飽和炭化水素樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムを加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(比較品1)を得た。
【0034】
比較例2
下記組成および製法により、比較外用貼付剤を製造した。
【0035】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)イソプレンゴム 18部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(4)流動パラフィン 32部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 20部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学)
(6)トリエタノールアミン 4部
(商品名:トリエタノールアミン、長瀬産業)
(7)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0036】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム、流動パラフィンおよび脂環族飽和炭化水素樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよびトリエタノールアミンの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(比較品2)を得た。
【0037】
比較例3
下記組成および製法により、比較外用貼付剤を製造した。
【0038】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 20部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 28部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 19部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学)
(6)イソステアリン酸 3部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(7)クロタミトン 5部
(商品名:クロタミトン、金剛化学)
【0039】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよび脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびクロタミトンを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(比較品3)を得た。
【0040】
試験例1
安定性試験:
本発明品1〜2および比較品1〜3の外用貼付剤を60℃で2週間または4週間保存し、2週間または4週間後のロキソプロフェンナトリウム含有量をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から明らかなように、保存開始時の含有量を100%とした場合の本発明品1および2(いずれもテルペン樹脂配合)の、60℃、4週間保存後のロキソプロフェンナトリウム含有量は、98.4〜99.4%であり、ほとんど変化が認められなかったのに対し、同条件における比較品1、2および3(いずれも脂環族飽和炭化水素樹脂配合)の含有量は87.7〜95.4%であり、含有量の減少が認められた。本結果から、本発明の外用貼付剤は膏体層中における薬物の含有量の低下がなく、薬物の安定性に優れる貼付剤であることが確認された。
【0043】
実施例3
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0044】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンKX−401、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)ブチルゴム 3部
(商品名:Butyl 065、エクソンモービル)
(5)ポリブテン 5部
(商品名:HV−300、新日本石油)
(6)テルペン樹脂 10部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(7)イソステアリン酸 2部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(8)セバシン酸ジイソプロピル 5部
(商品名:NIKKOL PMS−SE、日光ケミカルズ)
(9)l−メントール 5部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0045】
(製法)
スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、ブチルゴム、ポリブテン、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびセバシン酸ジイソプロピルを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延して膏体層を形成した。その後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせ、これを、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品3)を得た。
【0046】
実施例4
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0047】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)流動パラフィン 34部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)ポリブテン 10部
(商品名:HV−300、新日本石油)
(5)テルペン樹脂 12部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)イソステアリン酸 5部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(7)セバシン酸ジイソプロピル 1部
(商品名:NIKKOL PMS−SE、日光ケミカルズ)
(8)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0048】
(製法)
スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、ブチルゴム、ポリブテン、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびセバシン酸ジイソプロピルを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延して膏体層を形成した。その後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせ、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品4)を得た。
【0049】
試験例2
放出試験:
本発明品1〜4および比較品1〜2の外用貼付剤を横型拡散セルに装着し、レセプター液に酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を使用して、2、4、6および8時間後における各外用貼付剤からのロキソプロフェンナトリウム放出量を下記分析条件にしがって測定し、ロキソプロフェンナトリウムの累積放出率を確認した。結果を図1に示す。
【0050】
分析条件:
液体クロマトグラフ:島津LC10(島津製作所製)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225nm)
移動相:メタノール:水:酢酸 600:400:1
カラム:Mightysil RP−18GP(関東化学製)
カラム温度:40℃
流量:0.8mL/min
【0051】
図1から明らかなように、本発明品1〜4(いずれもテルペン樹脂配合)はいずれも良好なロキソプロフェンナトリウム放出性を示したのに対して、比較品1および2(いずれも脂環族飽和炭化水素樹脂配合)の放出性は低く、8時間後においてもそれら比較品の累積放出率は20%未満であった。この結果より、本発明の外用貼付剤は、薬物の放出性に優れる貼付剤であることが確認された。
実施例5
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0052】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 17.5部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 17.5部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 32部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 18部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)イソステアリン酸 5部
(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業)
(7)プロピレングリコール 5部
(商品名:プロピレングリコール、旭硝子)
【0053】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、イソステアリン酸およびプロピレングリコールの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品5)を得た。
【0054】
実施例6
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0055】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 1部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)流動パラフィン 42部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)水添ロジンエステル 23部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(5)乳酸 2部
(商品名:乳酸、昭和化工)
(6)プロピレングリコール 2部
(商品名:プロピレングリコール、旭硝子)
【0056】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィンおよび水添ロジンエステルを加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、乳酸およびプロピレングリコールを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延して膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品6)を得た。
【0057】
実施例7
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0058】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 10部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)流動パラフィン 38部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)テルペン樹脂 25部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(5)リン酸 2部
(商品名:リン酸、純正化学)
(6)ステアリン酸プロピレングリコール 2部
(商品名:NIKKOL PMS−SE、日光ケミカルズ)
(7)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0059】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、リン酸およびステアリン酸プロピレングリコールの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品7)を得た。
【0060】
実施例8
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0061】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 1部
(2)天然ゴム 30部
(3)流動パラフィン 13部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(4)水添ロジンエステル 55部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(5)ポリエチレングリコール 1部
(商品名:マクロゴール400、三洋化成工業)
【0062】
(製法)
天然ゴム、流動パラフィンおよび水添ロジンエステルを溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよびポリエチレングリコールの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し膏体層を形成した。溶媒留去後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品8)を得た。
【0063】
実施例9
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0064】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)ポリイソブチレン 20部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(3)ブチルゴム 10部
(商品名:Butyl 065、エクソンモービル)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 25部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)プロピレングリコール 17部
(商品名:プロピレングリコール、旭硝子)
(7)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0065】
(製法)
ポリイソブチレン、ブチルゴム、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を加熱溶融し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよびプロピレングリコールを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品9)を得た。
【0066】
実施例10
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0067】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 3部
(2)イソプレンゴム 20部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(3)ポリイソブチレン 11部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 21部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)水添ロジンエステル 25部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 20部
(商品名:DL−リンゴ酸、昭和化工)
【0068】
(製法)
イソプレンゴム、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよび水添ロジンエステルを溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよびリンゴ酸の混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品10)を得た。
【0069】
実施例11
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0070】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 1部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 20部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)ブチルゴム 10部
(商品名:Butyl 065、エクソンモービル)
(5)流動パラフィン 32部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(6)テルペン樹脂 13部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(7)安息香酸 1部
(商品名:安息香酸、三菱化成)
(8)ブチレングリコール 3部
(商品名:1,3−ブチレングリコール、ダイセル化学)
【0071】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ブチルゴム、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、安息香酸およびブチレングリコールを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延して膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品11)を得た。
【0072】
実施例12
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0073】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 3部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体 10部
(商品名:クレイトンD−1101、JSRクレイトン
エラストマー)
(4)流動パラフィン 35部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 13部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)水添ロジンエステル 20部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(7)酢酸 2部
(商品名:酢酸、昭和電工)
(8)イソプロパノール 2部
(商品名:イソプロピルアルコール、日本石油化学)
【0074】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィン、テルペン樹脂および水添ロジンエステルを加熱溶融し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、酢酸およびイソプロパノールを加え、均一な溶融物とした。次に、この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延して膏体層を形成した。その後、膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品12)を得た。
【0075】
実施例13
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0076】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 2部
(2)天然ゴム 31部
(3)ポリイソブチレン 5部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 10部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 30部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)サリチル酸 2部
(商品名:サリチル酸、エーピーアイコーポレーション)
(7)ポリエチレングリコール 20部
(商品名:マクロゴール400、三洋化成工業)
【0077】
(製法)
天然ゴム、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、サリチル酸およびポリエチレングリコールの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品13)を得た。
【0078】
実施例14
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0079】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 8部
(2)イソプレンゴム 27部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(3)ポリイソブチレン 5部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 22部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 9部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)水添ロジンエステル 24部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(7)アジピン酸 3部
(商品名:アジピン酸、旭化成ケミカルズ)
(8)濃グリセリン 2部
(商品名:濃グリセリン、日本油脂)
【0080】
(製法)
イソプレンゴム、ポリイソブチレン、流動パラフィン、テルペン樹脂および水添ロジンエステルを溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウム、アジピン酸および濃グリセリンの混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品14)を得た。
【0081】
実施例15
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0082】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)天然ゴム 30部
(3)ポリイソブチレン 5部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 19部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)水添ロジンエステル 40部
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(6)酒石酸 1部
(商品名:L−酒石酸、昭和化工)
【0083】
(製法)
天然ゴム、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよび水添ロジンエステルを溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよび酒石酸の混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品15)を得た。
【0084】
実施例16
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0085】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 3部
(2)イソプレンゴム 28部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(3)ポリイソブチレン 4部
(商品名:オパノールB100、BASF)
(4)流動パラフィン 21部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 40部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)クエン酸 1部
(商品名:クエン酸、昭和化工)
(7)l−メントール 3部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0086】
(製法)
イソプレンゴム、ポリイソブチレン、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムおよびクエン酸の混合物を加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品16)を得た。
【0087】
実施例17
下記組成および製法により、外用貼付剤を製造した。
【0088】
(組成) 重量部
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1107cp、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)イソプレンゴム 20部
(商品名:IR−2200、日本ゼオン)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 20部
(商品名:YSレジンPX1150N、ヤスハラケミカル)
(6)l−メントール 5部
(商品名:l−メントール、小城製薬)
【0089】
(製法)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム、流動パラフィンおよびテルペン樹脂を溶媒(トルエン/ヘキサン)に溶解し、l−メントールを加え、均一な状態にした後、ロキソプロフェンナトリウムを加え、均一な溶解物とした。次に、この溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し、溶媒留去して膏体層を形成した後、該膏体層を伸縮性の不織布に貼り合わせた。それから、所望の大きさに裁断して外用貼付剤(本発明品17)を得た。
【0090】
本発明品5ないし17はいずれも、ロキソプロフェンナトリウムの溶解性、放出性に優れるとともに、その含有量の低下が少なく安定性にも優れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
上述したように、支持体、膏体層および剥離ライナーからなり、該膏体層中に有効成分として酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有し、かつ膏体層の基剤成分としてゴム系エラストマーとテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルを含有させた外用貼付剤は、膏体層への薬物の溶解性、膏体層からの薬物の放出性および膏体層中における薬物含量の低下が改善されたものであった。したがって、本発明の外用貼付剤は、従来の水系外用貼付剤よりもロキソプロフェンナトリウムの放出性が良好で、十分な生物学的利用率を得られる非水系外用貼付剤であり、酸性薬物またはそのアルカリ塩を有効成分とする貼付剤として、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】試験例2の放出試験における本発明品1〜4および比較品1〜2の外用貼付剤からのロキソプロフェンナトリウム累積放出率の時間推移挙動を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、膏体層および剥離ライナーからなり、該膏体層中に有効成分として酸性薬物またはそのアルカリ塩を含有する外用貼付剤において、該膏体層の基剤成分としてゴム系エラストマーと、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルとを含有せしめたことを特徴とする外用貼付剤。
【請求項2】
酸性薬物またはそのアルカリ塩がプロピオン酸系消炎鎮痛剤であることを特徴とする請求項第1項に記載の外用貼付剤。
【請求項3】
プロピオン酸系消炎鎮痛剤がロキソプロフェンナトリウムであることを特徴とする請求項第2項に記載の外用貼付剤。
【請求項4】
ゴム系エラストマーが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブチルゴム、天然ゴムおよびイソプレンゴムから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項第1項ないし第3項の何れかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項5】
膏体層中のゴム系エラストマーの含有量が15〜50質量%であり、テルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする請求項第1項ないし第4項に記載の外用貼付剤。
【請求項6】
膏体層中に、更に基剤成分として有機酸を含有することを特徴とする請求項第1項ないし第5項の何れかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項7】
膏体層中の酸性薬物またはそのアルカリ塩の含有量が0.5〜10質量%であり、かつ、有機酸の含有量が酸性薬物またはそのアルカリ塩の含有量の0.1質量倍〜10質量倍であることを特徴とする請求項第6項に記載の外用貼付剤。
【請求項8】
膏体層中のテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量が10質量%〜40質量%であり、かつ、有機酸の含有量がテルペン系樹脂および/または水添ロジンエステルの含有量の1/40質量倍〜1/2質量倍であることを特徴とする請求項第6項または第7項に記載の外用貼付剤。
【請求項9】
有機酸が、炭素数2〜18のカルボン酸であることを特徴とする請求項第6項ないし第8項の何れかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項10】
炭素数2〜18のカルボン酸が、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸、安息香酸およびサリチル酸から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項第9項に記載の外用貼付剤。
【請求項11】
膏体層中に、更に基剤成分として溶解剤を含有することを特徴とする請求項第1項ないし第10項の何れかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項12】
溶解剤が、酸性または中性のものであることを特徴とする請求項第11項に記載の外用貼付剤。
【請求項13】
酸性または中性の溶解剤が、エタノール、オクチルドデカノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、濃グリセリン、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらのエステル体またはエーテル体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項第12項に記載の外用貼付剤。
【請求項14】
酸性または中性の溶解剤のエステル体が、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項13項に記載の外用貼付剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−214337(P2008−214337A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24788(P2008−24788)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(390000929)祐徳薬品工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】