説明

外科手術器具のためのラッチ機構

【課題】外科手術器具のためのラッチ機構を提供すること。
【解決手段】上記ラッチ機構は、外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーであって、このレバーの移動は、外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリを第1の状態から第2の状態まで動かす、レバーと、レバーから延びているピンと、外科手術器具の固定端において、外科手術器具のハウジングに動作可能に係合されている片持ちばねと、片持ちばねの自由端において片持ちばねに動作可能に係合されているピントラック部材であって、ピントラック部材は、ピントラック部材に沿ったピンの第1の位置と第2の位置との間の並進を可能にするように構成され、第1の位置は、レバーの初期位置に対応し、第2の位置はレバーの作動位置に対応する、ラッチ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科手術器具に関する。より具体的には、本開示は、外科手術器具と共に使用する解放可能なラッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術器具(例えば、鉗子)は、機械的クランプ留め作用および電気エネルギーの両方を利用して、組織および血管を加熱することによって止血をもたらして、組織を凝結し、焼灼し、そして/または密封する。開放性外科手術手順と共に用いる開放鉗子の代替として、現代の多くの外科医は、より小さな穿刺様切開または自然発生オリフィスを通して遠隔から器官にアクセスする内視鏡器具または腹腔鏡器具を用いる。このことの直接的な結果として、患者は、より少ない傷跡および治癒時間の低減から利益を受ける傾向にある。
【0003】
多くの内視鏡外科手術手順は、血管または脈管組織を切断または結紮することを必要とする。外科手術の空洞の本質的な空間的な事情に起因して、外科医はしばしば、脈管を縫合すること、または、他の伝統的な出血制御方法(例えば、離断された血管のクランプ留めおよび/または結束すること)を行うことが困難である。内視鏡電気外科手術鉗子を利用することによって、外科医は、顎部材を介して組織に適用される電気外科手術エネルギーの強度、頻度および持続時間を制御することによって、焼灼、凝結/乾燥、および/または単純に出血を低減するか、もしくは遅くすることのいずれかが可能になり得る。大抵の小血管(すなわち、直径2ミリメートル未満の範囲の血管)は、しばしば、標準的な電気外科手術器具および技法を用いて閉鎖され得る。しかしながら、より大きな脈管が離断された場合、外科医は内視鏡手順を開放外科手術手順に変更して、その結果、内視鏡外科手術の利益を放棄する必要があり得る。代替的に、外科医は、より大きな脈管または組織を密封し得る。典型的には、脈管または組織が密封された後に、外科医は、互いに対向する顎部材の間に配置された密封された組織を切るためにナイフを前進させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、外科手術器具と共に使用するラッチ機構に関する。このラッチ機構は、外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーを含み、このレバーの移動により、外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリを第1の状態から第2の状態まで動かす。ピンは、レバーから延びており、片持ちばねは、片持ちばねの固定端において、外科手術器具のハウジングに動作可能に係合されている。ピントラック部材は、片持ちばねの自由端において片持ちばねに動作可能に係合されている。このピントラック部材は、ピントラック部材に沿った第1の位置と第2の位置との間のピンの並進を可能にするように構成され、第1の位置は、レバーの初期位置に対応し、第2の位置はレバーの作動位置に対応している。ピンは、第1の経路に沿って第1の位置から第2の位置まで並進し、第1の経路とは異なる第2の経路に沿って第2の位置から第1の位置まで戻るように並進するように構成されている。ピンは、第1の経路に沿って第1の位置から第2の位置まで並進すると、第2の位置において解放可能に保持されるようにさらに構成されている。
【0005】
一実施形態において、この片持ちばねは、片持ちばね内に規定される中立軸と整列する方向に向けて付勢されている。片持ちばねは、第1の経路および第2の経路に沿ったピンの並進を可能にするように、中立軸に対して正の方向および負の方向の各々に撓むことが可能である。
【0006】
別の実施形態において、片持ちばねは、第1の経路に沿った第1の位置から第2の位置までのピンの並進を可能にするように、中立軸に対して負の方向に偏向するように構成されている。一方で、片持ちばねは、第2の経路に沿った第2の位置から第1の位置に戻るピンの並進を可能にするように、中立軸に対して正の方向に偏向するように構成され得る。
【0007】
さらに別の実施形態において、片持ちばねは、ピンが第1の位置に配置されたときに、中立軸と実質的に整列される。ピンが第2の位置に配置されたときに、片持ちばねは、中立軸に対して負の方向に付勢され得る。
【0008】
なお別の実施形態において、ピントラック部材は、ピントラック部材内に規定され、中立軸に対して位置付けられるサドル部分を含み、その結果、第2の位置において、ピンは、中立軸に戻る方向への片持ちばねの付勢の下で、ピントラック部材のサドル部分内に保持される。
【0009】
なおさらに別の実施形態において、ピンは、第1の経路に沿って、第1の位置から、レバーの作動位置の近位の位置に対応する第3の位置へ、そして、第2の位置に戻るように並進して、レバーを作動位置に保持するように構成されている。
【0010】
別の実施形態において、ピンは、第2の経路に沿って、第2の位置から、第3の位置へ、そして、第1の位置に戻るように並進して、レバーを初期位置に戻すように構成されている。
【0011】
外科手術器具と共に使用するように構成されたラッチ機構の別の実施形態が提供される。このラッチ機構は、外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーを含み、このレバーの移動により、外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリを第1の状態から第2の状態まで動かす。片持ちばねは、その固定端においてレバーに係合され、ピンは、片持ちばねの自由端において片持ちばねに係合される。ピントラック部材は、外科手術器具のハウジングに動作可能に係合される。ピントラック部材は、ピントラック部材に沿った第1の位置と第2の位置との間のピンの並進を可能にするように構成され、第1の位置は、レバーの初期位置に対応し、第2の位置はレバーの該作動位置に対応している。ピンは、第1の経路に沿って第1の位置から第2の位置まで並進し、第1の経路とは異なる第2の経路に沿って第2の位置から第1の位置まで戻るように並進するように構成されている。ピンは、第1の経路に沿って第1の位置から第2の位置まで並進すると、第2の位置において解放可能に保持されるようにさらに構成されている。
【0012】
一実施形態において、片持ちばねは、片持ちばね内に規定される中立軸と整列する方向に向けて付勢されている。このような実施形態において、片持ちばねは、第1の経路および第2の経路に沿ったピンの並進を可能にするように、中立軸に対して正の方向および負の方向の各々に撓むことが可能である。
【0013】
別の実施形態において、片持ちばねは、第1の経路に沿った第1の位置から第2の位置までのピンの並進を可能にするように、中立軸に対して負の方向に偏向するように構成されている。一方で、片持ちばねは、第2の経路に沿った第2の位置から第1の位置に戻るピンの並進を可能にするように、中立軸に対して正の方向に偏向するように構成されている。
【0014】
さらに別の実施形態において、片持ちばねは、ピンが第1の位置に配置されたときに、中立軸と実質的に整列されるように構成されている。ピンが第2の位置に配置されたときに、片持ちばねは、中立軸に対して負の方向に付勢されるように構成され得る。
【0015】
さらに別の実施形態において、ピントラック部材は、ピントラック部材内に規定され、中立軸に対して位置付けされるサドル部分を含み、その結果、第2の位置において、ピンは、中立軸に戻る方向への片持ちばねの付勢の下で、ピントラック部材のサドル部分内に保持される。
【0016】
なお別の実施形態において、ピンは、第1の経路に沿って、第1の位置から、レバーの作動位置の近位の位置に対応する第3の位置へ、そして、第2の位置に戻るように並進して、レバーを作動位置に保持するように構成されている。
【0017】
別の実施形態において、ピンは、第2の経路に沿って、第2の位置から、第3の位置へ、そして、第1の位置に戻るように並進して、レバーを初期位置に戻すように構成されている。
【0018】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術器具のためのラッチ機構であって、
該外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーであって、該レバーの移動により、該外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリが第1の状態から第2の状態まで動く、レバーと、
該レバーから延びているピンと、
片持ちばねであって、該片持ちばねは、該片持ちばねの固定端において、該外科手術器具の該ハウジングに動作可能に係合されている、片持ちばねと、
該片持ちばねの自由端において該片持ちばねに動作可能に係合されているピントラック部材であって、該ピントラック部材は、該ピントラック部材に沿った該ピンの第1の位置と第2の位置との間の並進を可能にするように構成され、該第1の位置は、該レバーの該初期位置に対応し、該第2の位置は該レバーの該作動位置に対応し、該ピンは、第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進し、該第1の経路とは異なる第2の経路に沿って該第2の位置から該第1の位置まで戻るように並進するように構成され、該ピンは、該第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進すると、該第2の位置において解放可能に保持されるように構成されている、ラッチ機構。
(項目2)
上記片持ちばねは、該片持ちばね内に規定される中立軸と整列する方向に向けて付勢され、該片持ちばねは、上記第1の経路および第2の経路に沿った上記ピンの並進を可能にするように、該中立軸に対して正の方向および負の方向の各々に撓むことが可能である、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目3)
上記片持ちばねは、上記第1の経路に沿った上記第1の位置から上記第2の位置までの上記ピンの並進を可能にするように、上記中立軸に対して上記負の方向に偏向するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目4)
上記片持ちばねは、上記第2の経路に沿った上記第2の位置から上記第1の位置に戻る上記ピンの並進を可能にするように、上記中立軸に対して上記正の方向に偏向するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目5)
上記片持ちばねは、上記ピンが上記第1の位置に配置されたときに、上記中立軸と実質的に整列される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目6)
上記片持ちばねは、上記ピンが上記第2の位置に配置されたときに、上記中立軸に対して負の方向に付勢される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目7)
上記ピントラック部材は、該ピントラック部材内に規定され、上記中立軸に対して位置付けられるサドル部分を含み、その結果、上記第2の位置において、上記ピンは、該中立軸に戻る方向への上記片持ちばねの付勢の下で、該ピントラック部材の該サドル部分内に保持される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目8)
上記ピンは、上記第1の経路に沿って、上記第1の位置から、上記レバーの上記作動位置の近位の位置に対応する第3の位置へ、そして、上記第2の位置に戻るように並進して、該レバーを該作動位置に保持するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目9)
上記ピンは、上記第2の経路に沿って、上記第2の位置から、上記第3の位置へ、そして、上記第1の位置に戻るように並進して、上記レバーを上記初期位置に戻すように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目10)
外科手術器具のためのラッチ機構であって、
該外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーであって、該レバーの移動により、該外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリが第1の状態から第2の状態まで動く、レバーと、
片持ちばねであって、該片持ちばねは、該片持ちばねの固定端において、該レバーに係合されている、片持ちばねと、
該片持ちばねの自由端において該片持ちばねに係合されているピンと、
該外科手術器具の該ハウジングに動作可能に係合されているピントラック部材であって、該ピントラック部材は、該ピントラック部材に沿った第1の位置と第2の位置との間の該ピンの並進を可能にするように構成され、該第1の位置は、該レバーの該初期位置に対応し、該第2の位置は該レバーの該作動位置に対応し、該ピンは、第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進し、該第1の経路とは異なる第2の経路に沿って該第2の位置から該第1の位置まで戻るように並進するように構成され、該ピンは、該第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進すると、該第2の位置において解放可能に保持されるように構成されている、ラッチ機構。
(項目11)
上記片持ちばねは、該片持ちばね内に規定される中立軸と整列する方向に向けて付勢され、該片持ちばねは、上記第1の経路および第2の経路に沿った上記ピンの並進を可能にするように、該中立軸に対して正の方向および負の方向の各々に撓むことが可能である、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目12)
上記片持ちばねは、上記第1の経路に沿った上記第1の位置から上記第2の位置までの上記ピンの並進を可能にするように、上記中立軸に対して上記負の方向に偏向するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目13)
上記片持ちばねは、上記第2の経路に沿った上記第2の位置から上記第1の位置に戻る上記ピンの並進を可能にするように、上記中立軸に対して上記正の方向に偏向するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目14)
上記片持ちばねは、上記ピンが上記第1の位置に配置されたときに、上記中立軸と実質的に整列される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目15)
上記片持ちばねは、上記ピンが上記第2の位置に配置されたときに、上記中立軸に対して負の方向に付勢される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目16)
上記ピントラック部材は、該ピントラック部材内に規定され、上記中立軸に対して位置付けられるサドル部分を含み、その結果、上記第2の位置において、上記ピンは、該中立軸に戻る方向への上記片持ちばねの付勢の下で、該ピントラック部材の該サドル部分内に保持される、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目17)
上記ピンは、上記第1の経路に沿って、上記第1の位置から、上記レバーの上記作動位置の近位の位置に対応する第3の位置へ、そして、上記第2の位置に戻るように並進して、該レバーを該作動位置に保持するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
(項目18)
上記ピンは、上記第2の経路に沿って、上記第2の位置から、上記第3の位置へ、そして、上記第1の位置に戻るように並進して、上記レバーを上記初期位置に戻すように構成されている、上記項目のいずれかに記載のラッチ機構。
【0019】
摘要
外科手術器具のためのラッチ機構はレバーを含み、このレバーは、初期位置から作動位置まで移動可能であり、このレバーの移動によって、エンドエフェクタアセンブリは第1の状態から第2の状態まで移動する。ピンは、レバーから延びる。片持ちばねは、器具のハウジングに動作可能に係合される。ピントラック部材が、片持ちばねの自由端において片持ちばねに動作可能に係合される。ピントラック部材は、ピントラック部材に沿った、第1の位置と第2の位置との間のピンの並進を可能にするように構成され、第1の位置はレバーの初期位置に対応し、第2の位置はレバーの作動位置に対応する。ピンは、第1の経路に沿って、第1の位置から第2の位置まで並進し、第2の経路に沿って、第2の位置から第1の位置に戻るように並進するように構成され、第2の位置において解放可能に保持されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示のラッチ機構の様々な実施形態が図面を参照して記載される。
【図1A】図1Aは、本開示の実施形態に従うエンドエフェクタアセンブリを含む鉗子の斜視図であり、エンドエフェクタアセンブリの顎部材は、離間位置に配置されている。
【図1B】図1Bは、図1Aの鉗子の斜視図であり、エンドエフェクタアセンブリの顎部材は、接近位置に配置されている。
【図2】図2は、図1Aの鉗子のハンドルアセンブリの斜視図であり、ハウジングの一部分は、その内部のコンポーネントを示すために除去されており、ハンドルアセンブリは、初期位置に配置されたラッチ機構を含む。
【図3】図3は、図1Aの鉗子のハンドルアセンブリの斜視図であり、ハウジングの一部分は、その内部のコンポーネントを示すために除去されており、ラッチ機構は、作動位置に配置されている。
【図4】図4は、図2、3のラッチ機構のレバーの分離された斜視図である。
【図5】図5は、図2、3のラッチ機構のピントラック部材および片持ちばねの分離された斜視図である。
【図6】図6は、図2、3のラッチ機構の使用の概略図である。
【図7】図7は、図1Aの鉗子のハンドルアセンブリの斜視図であり、ハウジングの一部分は、その内部のコンポーネントを示すために除去されており、ハンドルアセンブリは、作動位置に配置されたラッチ機構の別の実施形態を含んでいる。
【図8】図8は、図7のラッチ機構のピントラック部材および片持ちばねの分離された斜視図である。
【図9】図9は、図7のラッチ機構のレバーの分離された斜視図である。
【図10】図10は、図9のレバーの横断断面図である。
【図11】図11は、図7のラッチ機構の使用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態は、図面を参照して詳細に記載され、同じ参照番号は、同じ要素を識別する。本明細書において用いられる場合、用語「遠位」は、ユーザから離れているとして記載される部分を意味し、他方で用語「近位」は、ユーザに近いとして記載される部分を意味する。
【0022】
ここで、図1A、1Bを参照すると、鉗子10は、本開示の実施形態において用いるための器具の一例である。鉗子10は、ハウジング20、ハンドルアセンブリ30、レバーラッチアセンブリ40、トリガアセンブリ80、回転アセンブリ85、エンドエフェクタアセンブリ100を含む。鉗子10は、エンドエフェクタアセンブリ100と機械的に係合するように構成された遠位端14と、ハウジング20と機械的に係合する近位端16とを有するシャフト12をさらに含む。あるいは、エンドエフェクタアセンブリの1つ以上の機能を制御するように動作可能なレバーラッチアセンブリを有する任意の外科手術器具が提供され得る。
【0023】
図1A、1Bを引き続き参照すると、エンドエフェクタアセンブリ100は、一対の対向する顎部材110、120を含む。エンドエフェクタアセンブリ100は、片側(unilateral)アセブリとして設計されている。すなわち、顎部材120は、シャフト12に対して固定されており、顎部材110は、顎部材120に対して旋回軸103のまわりを移動可能である。しかしながら、顎部材110、120のいずれかまたはこれらの顎部材の両方は、他方の顎部材に対して移動可能であり得る。いずれかの実施形態において、顎部材110、120は、それらの間に組織を把持するために、図1Aに示されている離間位置から、図1Bに示されている接近位置まで移動可能である。さらに、顎部材110、120のうちの一方または両方は、導電性組織密封表面112、122のそれぞれを含み得る。密封表面112、122は、互いに対して対向した関係に配置されており、その結果、接近位置にある顎部材110、120は、それらの間に組織を把持し、電気的エネルギーが顎部材110、120の密封表面112、122のうちの一方または両方に供給されることにより、顎部材の間に把持された組織を密封し得る。
【0024】
また、顎部材110、120のうちの一方または両方は、長手方向に延びるブレードチャネル130を含み得、顎部材の間に把持された組織を分割するために、該チャネルを通したブレード(図示せず)の往復運動を可能にする。トリガアセンブリ80は、ブレード(図示せず)に動作可能に結合されており、それにより、トリガ82が作動した際に、ブレード(図示せず)は、後退位置から延長位置まで並進し、ブレード(図示せず)は、顎部材110、120の間で進行して、それらの間に把持された組織を切断する。さらに、トリガ82は、非作動位置に向けて付勢され得、トリガ82が解放されると、ブレード(図示せず)は、後退位置に戻り得る。
【0025】
回転アセンブリ85は、ハウジング20に一体的に関連付けられており、長手方向軸「X−X」のまわりでいずれかの方向に回転することにより、顎部材110、120を長手方向軸「X−X」のまわりでハウジング20に対して回転させることが可能である。
【0026】
ハンドルアセンブリは、ハウジング20から下向きに延びており、ハウジング20と解放可能に係合する。ハンドルアセンブリ30は、ハウジング20と係合されたときに、外科医がハンドルアセンブリ30を把持し、レバーラッチアセンブリ40、トリガアセンブリ80、および/または、回転アセブリ85を片手で操作し得るように、人間工学的に構成されている。ハンドルアセンブリ30は、バッテリハウジング32内に配置されたバッテリパック(図示せず)をさらに含む。ハンドルアセンブリ30のバッテリパック(図示せず)は、例えば顎部材110、120の密封表面112、122のそれぞれを活性化するために、鉗子10に電力を提供する。より具体的には、バッテリパック(図示せず)は、ハウジング20内に配置されたジェネレータ(図示せず)に電気的に結合されることにより、該ジェネレータ(図示せず)に電力を供給するように構成される。そして、ジェネレータ(図示せず)は、エンドエフェクタアセンブリ100の顎部材110、120の密封表面112、122のそれぞれに所望のエネルギーを供給する。あるいは、鉗子10は、例えば電気外科ケーブル(図示せず)を介して、外部電力供給(図示せず)および/またはジェネレータ(図示せず)に結合されるように構成され得る。
【0027】
図1A、1Bに従う図2、3を参照すると、ハンドルアセンブリ30のバッテリハウジング32は、ハウジング20に関連付けられた機械的キーイング特徴と相補的であるように構成された機械的キーイング特徴(図示せず)を含み、その結果、ハンドルアセンブリ30は、ハウジング20と機械的に係合するようにしっかりとロックされ得る。バッテリパック(図示せず)は、ジェネレータ(図示せず)に電気的に結合され、たとえばバッテリパック(図示せず)を交換または再充電するために、ハウジング20から解放され得る。
【0028】
図2、3を引き続き参照すると、レバーラッチアセンブリ40の一実施形態が示されており、該レバーラッチアセンブリは、ハウジング20に旋回可能に結合され、かつ、そこから下向きに延びているレバー41を含んでいる。レバー41は、ドライブアセンブリ90に最終的に連結されており、該ドライブアセンブは、一緒になって機械的に協働することにより、離間位置(図1A)と接近位置(図1B)との間で顎部材110、120の移動を与える。上述したように、ハウジング20内の空間的制約は、レバー41の位置付けを制限し、その結果、例えばジェネレータ(明示的に図示せず)およびその他の制御回路(明示的に図示せず)は、ハウジング20内でドライブセンブリ90の上方に配置され得る。さらに、以下から明らかになるように、レバーラッチアセンブリ40の動作コンポーネントの全ては、互いに対して比較的接近して配置され、これにより、ジェネレータ(図示せず)のために、および、バッテリパック(図示せず)の係合のために、ハウジング20内により大きな面積を提供する。
【0029】
図2、3を引き続き参照すると、レバー41は、レバー41がハンドルアセンブリ30から離間されている初期位置(図2)から、レバー41がハンドルアセンブリ30に隣接して位置付けられる作動位置(図3)へと選択的に移動することにより、顎部材110、120を離間位置(図1A)から接近位置(図1B)に移動させることが可能である。以下に記載されるように、レバーラッチアセンブリ40は、初期位置(図2)と作動位置(図3)との間でのレバー41の移動を可能にし、そして、作動位置においてレバー41を解放可能にロックするように構成される。従って、レバーラッチアセンブリ40は、離間位置と接近位置との間で顎部材110、120(図1A、1B)を選択的に移動させ、そして、接近位置において顎部材110、120(図1A、1B)を解放可能にロックするように構成される。さらに、レバー41は、初期位置(図2)に向けて付勢され得、その結果、顎部材110、120は、離間位置(図1A)に向けて付勢され得る。
【0030】
ここで、図2〜3に関連して図4を参照すると、レバーラッチアセンブリ40のレバー41は、近位延在タブ43を含んでいる。タブ43は、例えばハウジング内に画定されたスロット(図示せず)を通って、少なくとも部分的にハウジング20内に延びている。より具体的には、レバー41が初期位置(図2)にある場合に、タブ43の近位先端44は、ハウジング20内に延びているが、レバー41が作動位置(図3)に移動された場合に、タブ43の全体(またはタブの大部分)は、ハウジング20内に延びている。図2、3に最もよく示されているように、タブ43は、ハンドルアセンブリ30の上方でハウジング20内に延びており、その結果、バッテリパック(図示せず)がハウジング20に係合された場合に、タブ43は、初期位置(図2)から作動位置(図3)へのレバー41の移動の際に、なおもハウジング内を進行させられ得る。
【0031】
ピン45は、レバー41のタブ43と一体的に形成されるか、または、該タブにしっかりと係合され、そこから近位に延びている。ピン45は、金属またはその他のリジッド材料から形成され得る。タブ43が、初期位置から作動位置へとレバー41が移動する際にハウジング20内を進行させられるときに、ピン45は、同様に、ピントラック部材46(図5)に向けてハウジング20内を進行させられる。換言すると、ピン45は、初期位置と作動位置との間でのレバー41の移動の際に、弧に沿って並進させられる。しかしながら、ピン45はレバー41内にしっかりと係合されているので、そして、レバー41はハウジング20に旋回可能に係合されているので、ハウジング20に対するピン45の横方向の位置は固定される。より具体的には、ピン45は、初期位置と作動位置との間でのレバー41の移動の間中、片持ちばね47によって画定される中立軸「N−N」(図6)と横方向に整列させられる。
【0032】
図5に最もよく見ることができるように、ピントラック部材46は、ピンがそれに沿って移動することを可能にするように構成されたトラック50を画定する。ピントラック部材46は、例えば、片持ちばね47の第1の端部48において片持ちばね47と係合されるか、または、一体的に形成(例えば、挿入成形)される。片持ちばね47は、例えば突起−開口摩擦ばめ(protrusion−aperture friction fitting)またはその他の適切な係合を介して、片持ちばねの第2の端部49においてハウジング20に結合されている。換言すると、片持ちばね47は、その第2の端部49においてハウジング20にしっかりと結合されているが、ピントラック部材46がその上に配置された片持ちばね47の第1の端部48は自由である。静止時に、片持ちばね47は、中立軸「N−N」(図6)を画定する整列位置に向けて付勢される。しかしながら、片持ちばね47は、正方向「+」(図6)および負方向「−」(図6)の両方に中立軸「N−N」(図6)から撓むことが可能である。このように、ピントラック部材46を移動させ、ひいては、片持ちばね47の固定された第2の端部49に対して、いずれかの方向に、片持ちばね47の自由な第1の端部48を移動させた際に、片持ちばね47は、中立軸「N−N」(図6)から撓み、その結果、ピントラック部材46は、中立軸「N−N」(図6)に対して往復運動する。中立軸「N−N」(図6)に対する整列位置に向けた片持ちばね47の付勢のもとで、ピントラック部材46は、同様に中立軸「N−N」(図6)に対する整列位置に向けて付勢される。
【0033】
ここで、図2〜3に関連して図6を参照し、レバーラッチアセンブリ40の動作が記載される。最初に、レバー41が初期位置に配置された(そして、顎部材110、120が離間位置(図1A)に配置された)状態で、ピン45は、ハウジング20内に最小限に延び、ピントラック部材46から離間されている。図6に示されているように、この位置は、位置Pに対応する。例えば顎部材の間に組織を把持するために、顎部材110、120(図1A)を閉じることが所望される場合、外科医は、ハンドルアセンブリ30およびレバー41を把持し、レバー41をハンドルアセンブリ30に向けて近位に(すなわち、作動位置に向けて)引っ張る。レバー41が初期位置から作動位置に向けて移動させられるときに、ドライブアセンブリ90は、離間位置から接近位置への顎部材110、120の移動を与える。同時に、レバー41が近位に引っ張られるときに、タブ43は、ハウジング20内を近位に進行させられ、その結果、ピン45は、ピントラック部材46に向けて、位置Pへと、中立軸「N−N」と横方向に整列して、並進させられる。しかしながら、この時点では、ピントラック部材46は、片持ちばね47の付勢のもとで、中立軸「N−N」での整列を維持する。
【0034】
作動位置に向けたレバー41のさらなる移動の際に、ピン45は、ハウジング20内にさらに近位に進行させられ、最終的には、ピントラック部材46の外表面51と接触する。ピン45は中立軸「N−N」に対して横方向に固定されているので、ピン45が位置Pに並進させられるときに、ピン45は、片持ちばね47を撓ませ、そして、ピントラック部材46を中立軸「N−N」から負方向「−」に移動させる。より具体的には、ピントラック部材46の外表面51は、中立軸「N−N」に対して角度をなしており、その結果、レバー41がさらに作動位置に向けて引っ張られたときに、ピン45は、ピントラック部材46の外表面51に沿って近位にスライドさせられ、ピントラック部材46を中立軸「N−N」から移動させる。
【0035】
一旦、レバー41が、エンドエフェクタアセンブリ100の顎部材110、120のそれぞれの接近位置(図1B)に対応する作動位置に移動させられると、ピン45は、ピントラック部材46のトラックチャネル52の第1の端部53に隣接する位置Pへと、ピントラック部材46の角度をなした外表面51を過ぎて近位にスライドさせられる。この位置Pにおいて、ピン45はピントラック部材46の外表面51とはもはや接触していないので、ピン45は、ピントラック部材46を中立軸「N−N」からもはや移動させない。このようにして、片持ちばね47は、整列位置に向けて戻るように撓まされ、これにより、ピントラック部材46を中立軸「N−N」との整列に向けて戻るように移動させる。
【0036】
レバー41の作動位置が達成され、その結果、顎部材110、120(図1B)がそれらの間に組織を把持するために接近位置に配置させられたときに、レバー41は、作動位置に自動的にロックされることにより、顎部材110、120(図1B)を接近位置に固定する。より具体的には、一旦、ピン45がトラックチャネル52の第1の端部53に隣接して配置されると、片持ちばね47は、中立軸「N−N」に向けてピントラック部材46を戻るように付勢し、その結果、ピン45は、トラックチャネル52の第1の端部53における位置Pから、トラックチャネル52のサドル部分54における位置Pへと、トラックチャネル52に沿って並進させられる。たとえレバー41がこの時点で解放された場合であっても、ピン45は、ピントラック部材46のトラックチャネル52のサドル部分54内の位置に保持される。具体的には、ピントラック部材46は、ピン45ひいてはレバー41の遠位の並進を抑制し、これにより、顎部材110、120(図1B)を接近位置に維持する。さらに、ピン45が位置Pに配置されている状態で(すなわち、ピン45がピントラック部材46のトラックチャネル52のサドル部分54内に配置された状態で)、ピントラック部材46は、中立軸「N−N」との整列に戻されることを抑制される。
【0037】
ピントラック部材46は、レバー41が作動位置まで並進されたことを外科医に通知する触覚性フィードバックおよび/または可聴性フィードバックを提供するための1つ以上のフィードバック特徴(図示せず)を含み得る。例えば、サドル部分54は、ピン45がサドル部分54まで並進されたときに(例えば、ピン45が位置Pまで並進されたときに)、可聴性フィードバックおよび/または触覚性フィードバックを提供するように構成され得る。このような特徴は、レバーラッチアセンブリ40がロック位置にあること、および、レバー41が接近位置において顎部材110、120をロックするために解放され得ることを外科医に示す。
【0038】
レバーラッチアセンブリ40がレバー41を作動位置に維持し、従って、顎部材110、120(図1B)を接近位置に維持して、それらの間に組織を把持した状態で、電気外科エネルギーが、顎部材110、120のそれぞれの密封表面112、122に供給されて、組織密封を実行し得る(図1B)。その後、トリガ82が作動されて、顎部材110、120の間でブレード(図示せず)を進行させることにより、既に形成された組織密封に沿って組織を切断し得る。最後に、以下にさらに詳細に記載されるように、鉗子10が外科部位から除去され得るように、組織を解放するために、レバーラッチアセンブリ40は、ラッチが外されることにより、レバー41が初期位置に戻ることを可能にし、そして、顎部材110、120(図1A、1B)が離間位置に戻ることを可能にする。
【0039】
レバーラッチアセンブリ40のロックを外すために、レバー41は、ピントラック部材46のトラックチャネル52のサドル部分54からピン45を取り除く(dislodge)ために十分な距離だけ、作動位置からさらに近位に移動させられる。換言するとレバー41は、ピン45がもはやサドル部分54内に保持されないように、近位に移動させられる。トラックチャネル52は、一旦ピン45がサドル部分54から除去されると、ピン45がトラックチャネル52の開いた第2の端部55に入るように構成されている。一旦ピン45がトラックチャネル52の開いた第2の端部55内に移動させられると(例えば、一旦ピン45が位置Pに移動させられると)、ピン45は、ピントラック部材46が片持ちばね47の付勢のもとで中立軸「N−N」に対する整列位置に戻ることをもはや抑制しない。このように、片持ちばね47は、静止位置に戻され、これにより、ピントラック部材46を中立軸「N−N」との整列に戻す。
【0040】
この時点において、ピン45が位置Pにある状態で、外科医は、レバー41を解放し得る。上述したのと同様に、ピントラック部材46は、顎部材110、120(図1A、1B)が離間位置に戻ることを可能にする、ピン45がトラックチャネル52のサドル部分54から除去されたこと、従って、レバー41が解放され得ることを外科医に示す触覚性フィードバックまたは可聴性フィードバック提供するためのフィードバック特徴(図示せず)を含み得る。
【0041】
外科医によってレバー41が解放されると、レバー41は、初期位置に戻される。このように、ピン45は、ピントラック部材46およびハウジング20に対して遠位に並進させられる。より具体的には、ピン45は、ピントラック部材46の内表面56に沿って位置Pに遠位に並進させられる。ピントラック部材46の内表面56は、ピン45がそれに沿って位置Pまで並進させられたときに、片持ちばね47が撓まされて、ピントラック部材46が中立軸「N−N」から正方向「+」に再配置されるように、角度をなしている。位置Pへのピン45のさらなる遠位の並進の際に、ピン45は、ピントラック部材46のトラックチャネル52の第2の端部55を出て、トラック部材46が片持ちばね47の付勢のもとで中立軸「N−N」と整列するように戻ることを可能にする。その後、レバーは、例えば付勢のもとで、ピン45の位置Pに対応し、そして、エンドエフェクタアセンブリ100の顎部材110、120の離間位置(図1A、1B)に対応する、初期位置に戻る。
【0042】
ここで、図7〜9を参照すると、例えば鉗子10等の外科器具とともに用いるように構成された、レバーラッチアセンブリ60の別の実施形態が示されている。上述したレバーラッチアセンブリ40(図2〜6参照)と同様に、レバーラッチアセンブリ60は、ハウジング20に旋回可能に結合され、かつ、そこから下向きに延びているレバー61を含んでいる。レバー61は、ドライブアセンブリ90に最終的に連結されており、該ドライブアセンブリは、一緒になって機械的に協働することにより、離間位置(図1A)と接近位置(図1B)との間で顎部材110、120の移動を与える。より具体的には、レバー61は、レバー61がハンドルアセンブリ30から離間されている初期位置から、レバー61がハンドルアセンブリ30に隣接して位置付けられている作動位置へと選択的に移動することにより、顎部材110、120を離間位置(図1A)から接近位置(図1B)に移動させることが可能である。
【0043】
図7〜9を引き続き参照すると、レバーラッチアセンブリ60は、該レバーラッチアセンブリ60が、初期位置と作動位置との間でのレバー61の移動を可能にし、かつ、レバー61を作動位置において解放可能にロックすることを可能にするように構成されているという点で、レバーラッチアセンブリ40に類似している。従って、レバーラッチアセンブリ60は、離間位置(図1A)と接近位置(図1B)との間で顎部材110、120を選択的に移動させ、そして、接近位置(図1B)において顎部材110、120を解放可能にロックするように構成されている。さらに、レバー61は、初期位置に向けて付勢され得、その結果、顎部材110、120は、離間位置(図1A)に向けて付勢され得る。
【0044】
図9に最もよく見ることができるように、レバーラッチアセンブリ60のレバー61は、そこから上向きに延びている一対のフランジ63を含んでいる。フランジ63は、レバー61をハウジング20に結合するために、ハウジング20内に延びている。クロスバー64が、フランジ63に対して略垂直の向きに、フランジ63の間を延びている。片持ちばね65は、その第1の端部67においてクロスバー64にしっかりと係合しており、ピン66を含んでおり、該ピンは、片持ちばね65の自由な第2の端部68と一体的に形成されるか、または、該端部と係合される。片持ちばね65は、レバー61のフランジ63のクロスバー64から下向きに近位に延びており、それにより、ピン66は、ほぼハウジング20に向けて延びている。より具体的には、レバー61が初期位置に配置されているときに、ピン66は、ハウジング20から離間している。他方、レバー61が作動位置に移動させられたときには、ピン66は、ハウジング20に隣接して位置付けられる。さらに、片持ちばね65は、クロスバー64の中心から外れて配置されている(すなわち、片持ちばね65は、レバー61のフランジ63の間に非対称的に配置されている)。静止時に、片持ちばね65は、中立軸「N−N」を画定する整列位置に向けて付勢さていれる(図10、11)。しかしながら、片持ちばね65と同様に、片持ちばね65は、正方向「+」および負方向「−」の両方に中立軸「N−N」(図10、11)から撓むことが可能であり、これにより、中立軸「N−N」(図10、11)からのピン66の再配置を可能にする。
【0045】
図7〜11を参照すると、レバーラッチアセンブリ60は、また、ピントラック部材69を含み、ピントラック部材69は、ピントラック部材に沿ったピン66の並進を可能にするように構成されたトラック70を規定する。ピントラック部材69は、一般的には遠位を向く方向で、ハウジング20に係合されるか、または、ハウジング20と一体的に形成され、中立軸「N−N」と少なくとも部分的に交差するように位置付けられる。結果として、初期位置から作動位置までレバー61が移動すると、ピン66は、弧に沿ってハウジング20に向かって、そして結果として、ピントラック部材69に向かって並進し、結局、ピントラック部材69に係合する。以下でさらに詳細に説明されるように、ハウジング20にしっかりと係合されたピントラック部材69および片持ちばね65を介してレバー61に係合されたピン66によって、初期位置と作動位置との間のレバー61の移動は、ピントラック部材69を、片持ちばね65の自由な第2の端部68を中立軸「N−N」から外れるように移動させ、その結果、ピン66は、中立軸「N−N」に対して再位置付けされて、作動位置においてレバー61を解放可能にロックする。
【0046】
レバーラッチアセンブリ60の動作がここで説明される。最初に、初期位置に配置されたレバー61によって(従って、離間位置に配置された(図1A)顎部材110、120によって)、ピン66は、ピントラック部材69から間隔を空けられ、結果として、片持ちばね65は、中立軸「N−N」に対して整列される。図6に示されるように、この位置は、位置P’に対応する。例えば、顎部材間で組織を把持するために、顎部材110、120(図1A〜1B)を閉鎖することが所望される場合には、外科医は、ハンドルアセンブリ30およびレバー61を把持し、レバー61をハンドルアセンブリ30の方に向けて(すなわち作動位置に向けて)近位に引く。レバー61が初期位置から作動位置まで移動するとき、ドライブアセンブリ90は、顎部材110、120を、離間位置から接近位置(図1B)まで動かす。同時に、レバー61が近位に引かれるので、ピン66は、ハウジング20に向かって近位に前進して、その結果、ピン66は、ピントラック部材69に向けて並進させられる(位置P’によって表される)。しかし、この時点で、ピン66は、ピントラック部材69からまだ間隔を空けられており、結果として、片持ちばね65の付勢下で中立軸「N−N」に対して整列されたままである。
【0047】
作動位置に向けてレバー61がさらに移動すると、ピン66は、ハウジング20に向けてさらに近位に前進し、最終的にピントラック部材69の外側表面71に接触する。中立軸「N−N」に対するピントラック部材69の外側表面71の角度を付けた構成に起因して、中立軸「N−N」に対して横方向に固定されたピントラック部材69によって、片持ちばね65は撓まされ、ピン66は、ピン66が位置P’を通り、外側表面71に沿って並進するときに、負の方向「−」に中立軸「N−N」を移動する。
【0048】
一旦レバー61が、エンドエフェクタアセンブリ100(図1Aおよび1B)の顎部材110、112の接近位置に対応する作動位置に移動を完了すると、ピン66は、ピントラック部材69の角度を付けた外側表面71を越えて、ピントラック部材69のトラックチャネル74の第1の端72に隣接する位置P’まで近位にスライドされる。この位置P’において、ピン66は、もはや、ピントラック部材69の外側表面71に接触していないので、ピントラック部材69は、もはや、ピン66が中立軸「N−N」から外れるようには移動させない。結果として、片持ちばね65は整列した位置に向けて戻るように撓まされることにより、ピン66を中立軸「N−N」と整列する方向に向けて戻るように動かす。
【0049】
レバーが作動位置に移動し、続いて解放されるとき、レバーラッチアセンブリ60は、作動位置においてレバー61を解放可能にロックして、顎部材110、120を接近位置に固定する(図1B参照)。より詳細には、一旦ピン66がトラックチャネル74の第1の端部72に隣接して位置付けられると、片持ちばね65は、ピン66を中立軸「N−N」に向けて戻るように付勢し、その結果、ピン66は、トラックチャネル74に沿って、トラックチャネル74の第1の端部72にある位置P’から、トラックチャネル74のサドル部分75にある位置P’まで並進する。この位置において、ピントラック部材69は、ピン66および結果としてレバー61の遠位への並進を抑制し、それにより、接近位置に顎部材110、120を維持する。前の実施形態と同様に、ピン66および/またはピントラック部材69は、1つ以上のフィードバック特徴(図示せず)を含み得、この1つ以上のフィードバック特徴は、外科医にレバー61が作動位置に並進したことを通知する触覚性および/または可聴性フィードバックを提供する。
【0050】
レバーラッチアセンブリ60がレバー61を作動位置に維持し、結果として、顎部材間に組織を把持して接近位置に顎部材110、120(図1B)を維持しているので、電気外科手術エネルギーは、顎部材110、120の密封表面112、122に供給されて、組織密封を行い得る(図1B参照)。その後、トリガ82は、顎部材110、120(図1B)間にブレード(図示せず)を前進するように作動されて、以前に形成された組織密封に沿って組織を切断し得る。最終的に、レバーラッチアセンブリ60は、以下にさらに詳細に説明されるようにラッチを外されて、初期位置に戻り得、顎部材110、120(図1Aおよび1B)が、離間位置に戻って、組織を解放することを可能にして、その結果、鉗子10が外科手術部位から取り除かれ得る。
【0051】
レバーラッチアセンブリ60のロックを外すために、レバー61は、ピントラック部材69のトラックチャネル74のサドル位置75からピン66を外すために十分な距離だけ、作動位置からさらに近位に移動される。言い換えれば、レバー61が近位に移動され、その結果、ピン66はもはやサドル部分75内に保持されない。トラックチャネル74は、一旦ピン66がサドル部分75から取り除かれると、ピン66がトラックチャネル74の開いた第2の端部73内に移動するように構成される。一旦ピン66がトラックチャネル74の開いた第2の端部73内に移動すると(例えば、一旦ピン66が位置P’に移動すると)、ピントラック部材69は、もはや、片持ちばね65の付勢下で、ピン66が中立軸「N−N」に対して角度を付けた位置に戻ることを抑制しない。結果として、片持ちばね65は、静止位置に戻り、その結果、ピン66を中立軸「N−N」と整列した状態に戻す。この時点で、ピン66は位置P’にあるので、外科医は、レバー61を解放し得、顎部材110、120が、離間位置(図1A参照)に戻ることを可能にする。外科医によってレバー61が解放されると、レバー61は、初期位置に戻る。結果として、ピン66は、ピントラック部材69およびハウジング20に対して遠位に並進する。より詳細には、ピン66は、位置P’から、ピントラック部材69の内部表面76に沿って遠位に並進する。ピントラック部材69の内部表面76は角度を付けられ、その結果、ピン66がピントラック部材69に沿って位置P’まで並進するとき、片持ちばね65は撓まされて、ピン66が正の方向「+」に中立軸「N−N」から外れて再位置付けされることを可能にする。ピン66の位置P’へのさらなる遠位の並進の際に、ピン66は、ピントラック部材69のトラックチャネル74の第2の端部73から出て、ピン66が、片持ちばね65の付勢下で、中立軸「N−N」との整列状態に戻ることを可能にする。その後、レバー61は、例えば、付勢下で、ピン66の位置P’およびエンドエフェクタアセンブリ100の顎部材110、120の離間位置に対応する初期位置にさらに戻る(図1A)。
【0052】
上述から、そして、様々な図面を参照して、当業者は、特定の改変がまた、本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に対してなされ得ることを認識する。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されてきたが、本開示は、当該分野が許容する限り広い範囲であり、本明細書も同様に読まれることが意図されているので、本開示がこれらに限定されることを意図していない。従って、上述の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示であるように解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および精神内で他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0053】
10 鉗子
12 シャフト
20 ハウジング
30 ハンドルアセンブリ
40 レバーラッチアセンブリ
41 レバー
80 トリガアセンブリ
85 回転アセンブリ
90 ドライブアセンブリ
100 エンドエフェクタアセンブリ
110、120 顎部材
X−X 長手方向軸
N−N 中立軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術器具のためのラッチ機構であって、
該外科手術器具のハウジングに対して初期位置から作動位置まで移動可能なレバーであって、該レバーの移動により、該外科手術器具のエンドエフェクタアセンブリが第1の状態から第2の状態まで動く、レバーと、
該レバーから延びているピンと、
片持ちばねであって、該片持ちばねは、該片持ちばねの固定端において、該外科手術器具の該ハウジングに動作可能に係合されている、片持ちばねと、
該片持ちばねの自由端において該片持ちばねに動作可能に係合されているピントラック部材であって、該ピントラック部材は、該ピントラック部材に沿った該ピンの第1の位置と第2の位置との間の並進を可能にするように構成され、該第1の位置は、該レバーの該初期位置に対応し、該第2の位置は該レバーの該作動位置に対応し、該ピンは、第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進し、該第1の経路とは異なる第2の経路に沿って該第2の位置から該第1の位置まで戻るように並進するように構成され、該ピンは、該第1の経路に沿って該第1の位置から該第2の位置まで並進すると、該第2の位置において解放可能に保持されるように構成されている、ラッチ機構。
【請求項2】
前記片持ちばねは、該片持ちばね内に規定される中立軸と整列する方向に向けて付勢され、該片持ちばねは、前記第1の経路および第2の経路に沿った前記ピンの並進を可能にするように、該中立軸に対して正の方向および負の方向の各々に撓むことが可能である、請求項1に記載のラッチ機構。
【請求項3】
前記片持ちばねは、前記第1の経路に沿った前記第1の位置から前記第2の位置までの前記ピンの並進を可能にするように、前記中立軸に対して前記負の方向に偏向するように構成されている、請求項2に記載のラッチ機構。
【請求項4】
前記片持ちばねは、前記第2の経路に沿った前記第2の位置から前記第1の位置に戻る前記ピンの並進を可能にするように、前記中立軸に対して前記正の方向に偏向するように構成されている、請求項2に記載のラッチ機構。
【請求項5】
前記片持ちばねは、前記ピンが前記第1の位置に配置されたときに、前記中立軸と実質的に整列される、請求項2に記載のラッチ機構。
【請求項6】
前記片持ちばねは、前記ピンが前記第2の位置に配置されたときに、前記中立軸に対して負の方向に付勢される、請求項2に記載のラッチ機構。
【請求項7】
前記ピントラック部材は、該ピントラック部材内に規定され、前記中立軸に対して位置付けられるサドル部分を含み、その結果、前記第2の位置において、前記ピンは、該中立軸に戻る方向への前記片持ちばねの付勢の下で、該ピントラック部材の該サドル部分内に保持される、請求項6に記載のラッチ機構。
【請求項8】
前記ピンは、前記第1の経路に沿って、前記第1の位置から、前記レバーの前記作動位置の近位の位置に対応する第3の位置へ、そして、前記第2の位置に戻るように並進して、該レバーを該作動位置に保持するように構成されている、請求項1に記載のラッチ機構。
【請求項9】
前記ピンは、前記第2の経路に沿って、前記第2の位置から、前記第3の位置へ、そして、前記第1の位置に戻るように並進して、前記レバーを前記初期位置に戻すように構成されている、請求項8に記載のラッチ機構。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−148074(P2012−148074A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5022(P2012−5022)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】