説明

外装体及び複合容器

【課題】容器と外装体との間の熱が、外装体外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを低減し得る、断熱効果の高い外装体を提供すること。
【解決手段】本発明では、側壁と、底部と、開口部と、を少なくとも有する容器の側面に装着される外装体であって、筒状の外装体本体と、該外装体本体の前記開口部側の端縁より所定の距離だけ前記底部側に、前記容器の側面から外部へ前記外装体本体を貫通するように設けられた熱放散部と、が備えられた外装体を提供する。本発明に係る外装体は、熱放散部を有するため、従来の外装体に比べて高い断熱効果を発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器側面に装着される外装体に関する。より詳しくは、容器側面に装着された場合において、断熱効果が高い外装体、および該外装体が容器側面に装着されてなる複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
底部及び側壁を有する樹脂製または紙製の容器が、食品や飲料用の収容をはじめとする様々な用途に広く用いられている。
【0003】
さらに、保温性・強度向上などの機能性の付与、意匠性の付与などを目的として、複数の樹脂材料、若しくは樹脂材料と紙とを接着させて成る複合容器などが開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、断熱性に富んだ発泡ポリスチレン樹脂層と遮蔽性と断熱性に富んだ発泡ポリプロピレン樹脂層とを積層した発泡樹脂から成る食品容器であって、発泡ポリスチレン層と発泡ポリプロピレン層とを押出し成形した両層間に接着層を押し出しして積層せしめた複合発泡シートからなり、外側の発泡ポリスチレン層の内側に発泡ポリプロピレン層を積層した構造の容器壁に形成されてなることを特徴とする発泡ポリプロピレン積層容器が開示されている。
【0005】
特許文献2には、フィラー入り樹脂の成型品であるカップ状の容器本体と、この容器本体の胴部外側に嵌挿された板紙製の外筒とから成る断熱容器であって、容器本体の胴部上部に形成された周状の膨出部の外周に外筒の上部が接着されていると共に、容器本体における胴部下部の外周に外筒の下部が接着されていることを特徴とする断熱容器が開示されている。
【0006】
一方、昨今の環境問題に対する意識の高まりから、各種材料の廃棄物の減容化やリサイクルに対する取り組みが積極的に行われているが、かかる複合容器は再生可能材料の分離回収が困難であるという問題がある。現に、このような複合容器の場合、紙と樹脂の割合に応じて、燃えるゴミ又は燃えないゴミに分類されて、リサイクルには回らないのが実情である。
【0007】
これに対して、樹脂製の容器に紙製の外装体が着脱可能に装着された複合容器が提案されている。例えば、特許文献3には、開口部から底部に向かって次第に縮径する側壁部を有するカップ状のプラスチック容器であって、側壁部に外装体を着脱自在に配置固定するために外装体の底部側壁部を支持するための係止手段が、側壁部の底部側に設けられているプラスチック容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−190939号公報
【特許文献2】特開平5−16977号公報
【特許文献3】特開2004−284683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、近年の複合容器は、リサイクルできるように容器と外装体が脱着可能に構成されている場合が多い。この外装体は、主に装着する容器内の飲食物の熱を容器の側面から外側へ伝導させないためや、容器外の熱を容器の側面から内側へ伝導させないための断熱目的で用いられる。
【0010】
しかしながら、通常の外装体では、時間の経過とともに、容器内の熱が容器の側面から外装体を通して外装体の側面から外側へ伝導されてしまったり、外装体外の熱が外装体の側面から容器を通して容器内側へ伝導されてしまったりする問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明は、容器と外装体との間の熱が、外装体外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを低減し得る、断熱効果の高い外装体および該外装体が容器側面に装着されてなる複合容器を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を解決するために、本願発明者が鋭意研究を行った結果、容器と外装体との間の熱の伝導方向に着目することにより、断熱効果の高い外装体の形態を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明では、まず、側壁と、底部と、開口部と、を少なくとも有する容器の側面に装着される外装体であって、
筒状の外装体本体と、
該外装体本体の前記開口部側の端縁より所定の距離だけ前記底部側に、前記容器の側面から外部へ前記外装体本体を貫通するように設けられた熱放散部と、
が備えられた外装体を提供する。
本発明に係る外装体に備える熱放散部は、装着する容器内から伝導される熱を放散することができれば、その配置方法は特に限定されないが、例えば、装着される容器の前記開口部と平行に所定の間隔で複数周設することができる。
また、熱放散部の配置箇所も特に限定されない。本発明においては、前記開口部側の端縁に近い箇所に設けられていることが好ましいが、前記開口部側の端縁を欠損させることで熱放散部を形成することも可能である。
【0014】
以上説明した本発明に係る外装体は、容器の側面に装着することにより複合容器として好適に用いることが可能である。
本発明に係る複合容器に用いる容器の形態は特に限定されないが、本発明においては、容器の側壁に、前記底部側から開口部側へと延びる複数本の溝を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る外装体および該外装体が容器側面に装着されてなる複合容器は、従来の物に比べて高い断熱効果を有するため、容器と外装体との間の熱が、外装体外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る外装体1の第1実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図2】本発明に係る外装体1の第2実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図3】本発明に係る外装体1の第3実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図4】本発明に係る外装体1の第4実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図5】本発明に係る外装体1の第5実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図6】本発明に係る外装体1の第5実施形態の第1破断線12と第2破断線13を破断して、外装体1を展開した状態を模式的に示す展開模式図である。
【図7】本発明に係る外装体1の第6実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図8】本発明に係る外装体1の第7実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図9】図(I)は、本発明に係る外装体1の第8実施形態を展開した状態を模式的に示す展開模式図であり、図(II)は、本発明に係る外装体1の第8実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図10】図(I)は、本発明に係る外装体1の第9実施形態を展開した状態を模式的に示す展開模式図であり、図(II)は、本発明に係る外装体1の第9実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図11】図9に示す第8実施形態のA−A方向から視たA−A矢視断面模式図である。
【図12】本発明に係る外装体1の第10実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図13】図(I)は、本発明に係る複合容器10の第1実施形態を側面から視た断面を模式的に示す断面模式図であり、図(II)は、本発明に係る複合容器10の第1実施形態を側面から模式的に示す側面模式図である。
【図14】本発明に係る複合容器10に用いる容器20の一例を模式的に示す斜視模式図である。
【図15】図(I)は、本発明に係る複合容器10の第2実施形態を模式的に示す斜視模式図であり、図(II)は、本発明に係る複合容器10の第2実施形態のB−B方向から視たB−B矢視断面模式図である。
【図16】本発明に係る複合容器10に用いる容器20の図14とは異なる一例を模式的に示す側面模式図である。
【図17】本発明に係る複合容器10に用いる容器20の図14、図16とは異なる一例を模式的に示す底面模式図である。
【図18】実施例1に係る複合容器の図面代用写真である。
【図19】比較例1に係る複合容器の図面代用写真である。
【図20】比較例2に係る容器の図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照としながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0018】
<外装体>
図1は、本発明に係る外装体1の第1実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本発明に係る外装体1は、大別して、外装体本体11と、熱放散部Dと、を少なくとも備える。また、必要に応じて、第1破断線12と、第2破断線13、破断防止ガイド部14、重なり部15、一重層部16、指掛け部17を備えることも可能である。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0019】
(1)外装体本体11
本発明に係る外装体1の本体11は、筒状の形態を呈する。本発明に係る外装体1の本体11は、少なくとも筒状で、外装体本体内壁面111が、装着する容器の外壁に着接すれば、その他の形態は特に限定されず、用いる容器の形態に合わせて自由に設計することができる。例えば、図1に示す第1実施形態のように、底部側の端縁112から開口部側の端縁113へ向かって広がるテーパー状に形成することに限らず、図示しないが、底部側の端縁112と開口部側の端縁113が同一径で形成した単なる円筒形状とすることも可能である。
【0020】
また、外装体本体11の断面形状も特に限定されず、用いる容器の形態に合わせて自由に設計することができる。例えば、図1に示す第1実施形態のように、断面形状を円形とすることに限らず、図示しないが、楕円、四角形、三角形、五角形以上の多角形、星型、ひょうたん型など、自由に設計することができる。
【0021】
本発明に係る外装体1の本体11は、用いる容器の材質、形態、または装着する目的などに応じて、材質、強度等を適宜設計することが可能である。材質の一例としては、紙、ユポ(登録商標)等の合成紙、樹脂材料等を用いることができる。
【0022】
例えば、外装体本体11の材質を紙とすることにより、外装体1を安価に製造することができる。また、外装体本体11への印刷等の加工、点字加工などを容易に行うことができる。さらに、紙の厚さ等を設計したり、ハニカム構造(ダンボール加工、片側ダンボール加工)に設計したりすることにより、容器に装着して得られる複合容器の強度を調整することもできる。加えて、本発明に係る外装体1は、用いる容器から容易に分離することができるため、前記印刷等の加工は、外装体1の外壁面に限らず、内壁面111にも行い、分離した時のみにユーザーが確認できるように工夫することも可能である。
【0023】
また、例えば、外装体本体11の材質を樹脂材料とすることにより、得られる複合容器に、耐熱性、耐候性等の様々な機能を付与することができる。本発明に係る外装体1の本体11に用いることができる樹脂材料は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、目的、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレンなどの樹脂材料を用いることができる。また、外装体本体11は、単一の樹脂材料からなるものでもよく、複数の樹脂材料からなるものでもよい。
【0024】
外装体本体11には、印刷や打ち抜き等の各種加工を施すことができる。外装体本体11への印刷方法は、凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等の従来公知の方法を用いることができる。また、外装体1外表面に凹凸等の模様を付することもできる。
【0025】
本発明に係る外装体1において、外装体本体11は、予め筒状に形成することに限らず、後述するように、シート部材Sの両側端S1、S2を重ね合わせることにより、筒状に形成することも可能である(後述の図9参照)。また、この場合、一のシート部材Sからなるものに限定されず、例えば、複数のシート部材Sを連結して筒状に形成することも可能である。
【0026】
(2)熱放散部D
容器と外装体1との間に伝導された熱を、外装体の外部へ放散する機能を有する。熱放散部Dは、容器と外装体1との間に伝導された熱を、外装体1から外部へ放散するために、容器の側面から外部へ外装体本体11を貫通するように設ける。
【0027】
従来の外装体1の構造では、容器と外装体1との間に伝導された熱を放散することができなかったため、容器の側面から容器と外装体1との間に伝導された熱が、外装体1の側面を通して外装体1の外部へ伝導してしまったり、外装体1の側面から外装体1と容器との間に伝導された熱が、容器の側面と通して容器の内部へ伝導してしまったりすることにより、結果として外装体1の側面の断熱効果を低減させる原因になっていた。しかし、本発明に係る外装体1は、この熱放散部Dを備えることにより、容器と外装体1との間の熱が、外装体1外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを低減することに成功した。
【0028】
そのため、例えば、冷たいものを収容した容器を本発明に係る外装体1で装着した場合、外装体1の側面側の外部から容器へ向かって伝導される熱を、熱放散部Dから外装体1の外部へ放散することができるため、容器内の飲食物等の温度上昇を防止することができる。また、逆に、温かいものを収容した容器を本発明に係る外装体1で装着した場合、容器の側面側から外装体1へ向かって伝導される熱を、熱放散部Dから外装体1の外部へ放散することができるため、外装体1の外壁面の温度上昇を防止することができ、例えば、手持ちした場合に、手に感じられる熱さを軽減することができる。
【0029】
また、本発明に係る外装体1を用いれば、例えば、容器や外装体1を形成する素材を薄くすることが可能となり、製造コストの低減を達成することも可能である。
【0030】
本発明に係る外装体1に備える熱放散部Dは、装着する容器内から伝導される熱を放散することができれば、その配置方法、個数などは特に限定されず、目的に応じた個数を自由に設置することができる。図1に示す第1実施形態の例に限らず、例えば、図2に示す第2実施形態のように、装着される容器の前記開口部と平行に所定の間隔に、熱放散部Dを複数周設することができる。
【0031】
熱放散部Dの配置箇所は、装着する容器内から伝導される熱を放散することができれば、特に限定されず、外装体本体11の前記開口部側の端縁113より所定の距離だけ前記底部側に、自由に配置することができる。
【0032】
ただし、容器の側面から容器外へ伝導された容器内の熱や、外装体1の側面から容器へ向かって伝導された熱により温められた容器と外装体との間の空気は、熱により膨張して上昇する。そのため、本発明において、熱放散部Dの配置箇所は、図1に示す第1実施形態や図2に示す第2実施形態のように、前記開口部側の端縁113に近い箇所に設けることが好ましい。また、例えば、図3に示す第3実施形態のように、前記開口部側の端縁113を欠損させることで熱放散部Dを形成することも可能である。
【0033】
(3)第1破断線12
図4は、本発明に係る外装体1の第4実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本発明に係る外装体1には、この第4実施形態のように、用いる容器と外装体1とを分離し易くするために、第1破断線12を設けることができる。第1破断線12は、外装体本体11の開口部側の端縁113から、底部側方向へ延びるように形成する。この第1破断線12は、用いる容器と外装体1とを分離し易くすることができれば、その形成方法は特に限定されないが、例えば、第4実施形態のように、開口部側の端縁113を始点121とし、底部側の端縁112より所定の距離だけ開口部側に終点122を設けることができる。
【0034】
このように、本発明に係る外装体1において、第1破断線12を敢えて底部側の端縁112まで設けないことで、例えば、底部側の端縁112まで設けられた後述する第2破断線を備える場合であっても(後述する図5参照)、用いる容器から分離した際、外装体1が2つ以上に分離されるのを防止することができる。外装体1が2つ以上に分離されなければ、リサイクルに回すための作業も簡便に行うことが可能である。
【0035】
このように第1破断線12を底部側の端縁112まで設けない場合、第1破断線12の終点122の位置は、外装体本体11の底部側の端縁112部分まで破断されなければ特に限定されず、底部側の端縁112より離れた自由な位置に設けることができる。
【0036】
第1破断線12の形態は、破断を行うことが可能であれば、図4に示す形態に限らず、単なるミシン目形状に設計することも可能である。また、図4に示す第4実施形態のように、開口部側の端縁113から底部側方向へ垂直に設けることに限らず、開口部側の端縁113から底部側方向へ延びるように形成されていれば、図示しないが、らせん状に設けることも可能である。
【0037】
(4)第2破断線13
図5は、本発明に係る外装体1の第5実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本実施形態では、第2破断線13を設けている。本発明では、この第2破断線13を、用いる容器と外装体1との分離をより容易にするために設けることができる。また、本発明では、第2破断線13を、前記第1破断線12と平行に、所定の間隔を空けて設けることができる。
【0038】
第2破断線13の終点132の位置は特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図5に示す第5実施形態のように、底部側の端縁112に設けることに限らず、図示しないが、第1破断線12と同様に、底部側の端縁112より所定の距離だけ開口部側に終点132を設けることも可能である。
【0039】
本発明に係る外装体1は、図5に示す第5実施形態のように、第2破断線13を、開口部側の端縁113から底部側の端縁112まで縦断するように設けた場合であっても、第1破断線12を底部側の端縁112まで設けなければ、破断時において、外装体1が2つ以上に分離されることを防止することができる(図6参照)。
【0040】
もし、第1破断線12を底部側の端縁112まで設ける場合、第1破断線12と第2破断線13で囲まれたジッパー部Z(図6参照)が、外装体本体11と分離してしまい、リサイクルに回すための作業が煩雑になるという問題が生じる。しかしながら、第1破断線12の終点122の位置を図5に示す第5実施形態のように工夫すれば、第1破断線12と第2破断線13を破断した際、ジッパー部Zが外装体本体11と分離することを防止し(図6参照)、リサイクルに回すための作業の簡便化が実現できる。
【0041】
(4)破断防止ガイド部14
図7は、本発明に係る外装体1の第6実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本実施形態では、第1破断線12の終点122に、破断防止ガイド部14を設けている。
【0042】
図4から7に示す第4から6実施形態においては、第1破断線12は、底部側の端縁112まで設けていないため、破断時においても、前記の通り、外装体1が2つ以上に分離されることはない。しかしながら、第1破断線12や第2破断線13を破断する際、予想外の力や勢いが加わると、まれに、第1破断線12の終点122を越えて、底部側の端縁112まで破断されてしまう可能性がある。また、第1破断線12の終点122の位置を、底部側の端縁112の近傍に設定した場合にも、破断の勢いによって、第1破断線12の終点122を越えて、底部側の端縁112まで破断されてしまう可能性がある。
【0043】
そこで、本発明に係る外装体1の第1破断線12の終点122に、破断防止ガイド部14を設けることで、破断時に、第1破断線12の終点122を越えて、底部側の端縁112まで破断されるのをより確実に防止することが可能である。
【0044】
破断防止ガイド部14の形態は、第1破断線12の終点122を越えて、底部側の端縁112まで破断されるのを防止することが可能であれば特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図7に示す第6実施形態では、第1破断線12の終点122から開口部側へ向かって湾曲させた切込みを入れているが、これに限らず例えば図8に示す第7実施形態のように、第1破断線12の終点122に、円形などの孔を設けて、第1破断線12の終点122を越えて、底部側の端縁112まで破断されるのを防止することも可能である。
【0045】
(5)重なり部15
図9(I)は、本発明に係る外装体1の第8実施形態を展開した状態を模式的に示す展開模式図であり、図9(II)は、本発明に係る外装体1の第8実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本実施形態では、重なり部15と、後述する一重層部16を設けている。
【0046】
前述した通り、本発明に係る外装体1において、外装体本体11は、予め筒状に形成することに限らず、図9に示す第8実施形態のように、シート部材Sの両側端S1、S2同士を重ね合わせることにより、筒状に形成することも可能である。この時、シート部材Sが重ね合わされた部分が、本発明における重なり部15となる。
【0047】
重なり部15は、図9に示す第8実施形態のように、外装体本体11に一箇所設けることに限らず、例えば、図示しないが、外装体本体11を複数のシート部材Sを連結して筒状に形成する場合には、各シート部材Sの連結部が複数できるため、重なり部15も複数設けられることとなる。
【0048】
本発明に係る外装体1においては、外装体本体11を筒状に形成するために側端S1、S2同士が接着できれば、重なり部15の大きさや形状は特に限定されず、適宜設計することができる。例えば、図9に示す形態に限らず、図10に示す第9実施形態のように、大きく形成することで、接着面積を確保することができ、外装体本体11の強度を向上させることができる。
【0049】
(6)一重層部16
第8実施形態または第9実施形態において、内側方向に重ね合わされたシート部材側端S1の前記底部側の端縁112が欠損した部分が一重層部16である。この一重層部16を設けることで、第1破断線を底部側の端縁112までは設けなくても、外装体1を容器からより容易に分離することができる。理由は以下の通りである。
【0050】
図9に示す第8実施形態または図10に示す第9実施形態のように、シート部材Sの両側端S1、S2同士を重ね合わせることにより筒状に形成する場合、前記重なり部12ではシート部材が二重に重ね合わされているため、肉厚になる(図11参照)。
【0051】
従来の外装体では、外装体の前記重なり部が肉厚であると、用いる容器の側壁と外装体の前記重なり部との摩擦が大きくなり、外装体と容器との装着・分離が困難となることがあった。特に、用いる容器の底部側の側壁に、外装体を係止する手段が設けられている場合には(後述する図13参照)、重なり部15の底部側端縁が、容器側壁に設けられた係止手段に引っ掛かり、外装体1と容器との装着・分離が困難となることが多かった。また、外装体1と容器との装着・分離の際、外装体1の破損等が生じやすいという問題もあった。
【0052】
これに対して、第8実施形態および第9実施形態に係る外装体1は、前記重なり部15において、内側方向に重ね合わされたシート部材側端S1の前記底部側の端縁が欠損してなる一重層部16を有するため、前記重なり部15における底部側の端縁が一重となり、肉厚の部分がなくなる。そのため、用いる容器の側壁に設けられた係止手段と外装体1の前記重なり部15との摩擦が小さくなり、外装体1と容器との装着・分離が容易となる。また、外装体1の底部側の端縁112が、容器側壁に設けられた係止手段に引っ掛かることがなく、外装体1と容器との装着・分離が容易となるうえ、外装体1の破損等が生じにくくなる。
【0053】
一重層部16の大きさや形状は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、用いる容器の形態、係止手段の大きさや形状などに応じて自由に設計することができる。例えば、重なり部15において重ね合わされた側端S1、S2が接着される場合には、接着面積を確保するため、一重層部16の高さ方向の長さは、外装体1の側端S1、S2の長さの50%以下の長さとするのが好適である。
【0054】
また、例えば、一重層部16の外装体高さ方向の長さLは、容器側壁に設けられた係止手段の容器高さ方向の幅Wより大きくするのが好適である(後述する図13参照)。かかる構成とすることにより、外装体1を容器に装着する際には、係止手段と重なり部12との摩擦がより小さくなり、外装体1と容器を分離する際には一重層部16が係止手段に容易に乗り上げ、外装体1と容器とを容易に装着・分離することができる。
【0055】
(7)指掛け部17
図12は、本発明に係る外装体1の第10実施形態を模式的に示す斜視模式図である。本実施形態では、外装体本体11の開口部側の端縁113に、指掛け部17を設けている。本実施形態では、この指掛け部17として、外装体本体11の開口部側の端縁113の一部を欠損させることにより形成している。
【0056】
本発明に係る外装体1に、この指掛け部17を設けることにより、用いる容器と外装体1とを分離する場合には、指掛け部17に指を掛けて容器底面方向に力を加えることにより、外装体1を容器から容易に分離することができる。
【0057】
指掛け部17の大きさや形状は特に限定されず、用いる容器の形態などに応じて、自由に設計することができる。また、指掛け部17を設ける位置も、外装体本体11の開口部側の端縁113に近い位置であれば特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図12のように、シート部材Sの両側端S1、S2同士を重ね合わせて筒状にすることにより外装体本体11を形成する場合、重なり部15の上部に設けることが好ましい。重なり部15の下部には、一重層部16を設けているため、用いる容器と外装体1とを分離する際、指掛け部17に指を掛けて容器底面方向に力を加えることにより、一重層部16にも容器底面方向に力が加わる。その結果、一重層部16が容器の係止手段に容易に乗り上げ、外装体1を容器から容易に分離することができる。
【0058】
また、指掛け部17を設ける個数も特に限定されず、目的に合わせて自由に設定することができる。例えば、図示しないが、外装体本体11の開口部側の端縁113を、波状形状に形成することにより、複数の指掛け部17を設けることも可能である。
【0059】
なお、本発明においては、本実施形態のように、前述した熱放散部Dを指掛け部17として機能させることも可能である。
【0060】
<複合容器>
図13(I)は、本発明に係る複合容器10の第1実施形態を側面から視た断面を模式的に示す断面模式図であり、図13(II)は、本発明に係る複合容器10の第1実施形態を側面から模式的に示す側面模式図である。本発明に係る複合容器10は、前述した本発明に係る外装体1を、容器20の側面に装着されてなる複合容器である。以下、各構成について、詳細に説明する。本実施形態に係る複合容器10には、前述した第5実施形態に係る外装体1を用いているが、これに限定されず、第1から第10実施形態に係る外装体1のいずれを用いることも自由である。なお、外装体1の詳細については、前述と同様のため、ここでは説明を割愛する。
【0061】
(1)容器20
本発明に係る複合容器10に用いる容器20は、少なくとも、側壁21、底部22、開口部23を備える。容器20は、収容する内容物の種類などに応じて、その材質、強度等を適宜設計することが可能である。材質の一例としては、樹脂材料等を用いることができる。
【0062】
例えば、容器20の材質を樹脂材料とすることにより、耐熱性、耐候性等の様々な機能を付与することができる。本発明に係る複合容器10の容器20に用いることができる樹脂材料は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、目的、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレンなどの樹脂材料を用いることができる。また、容器20は、単一の樹脂材料からなるものでもよく、複数の樹脂材料からなるものでもよい。
【0063】
このように、本発明に係る複合容器10に用いる容器20は、材料や構成を工夫することで、強度などを調節することが可能であるが、容器20の側壁21には外装体1を装着するため、前述のように外装体1の強度を調整することで、容器20自体の強度を下げることができ、容器20の原料を削減することも可能である。
【0064】
また、本発明に係る複合容器10には、熱放散部Dを備える外装体1を用いているため、例えば、容器20に収容する内容物の種類、温度などに関わらず、容器20を形成する素材を薄くすることが可能となり、製造コストの低減を達成することも可能である。
【0065】
容器20の形態も、少なくとも、側壁21、底部22、開口部23を備えていれば特に限定されず、目的に合わせて自由に設計することができる。例えば、図13に示す実施形態のように、底部22から開口部23に向かって側壁21をテーパー状に形成することに限らず、図示しないが、底部22と開口部23を同一の径に形成することも可能である。
【0066】
容器20の側壁21の底部22側の端縁には、外装体1を係止するために、例えば、容器20の外側へ膨出する係止手段211を設けることも可能である。係止手段211を設ける場合、その形態も特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図14に示すように、複数の膨出する係止手段211を設けることができる。このように、容器側壁21の底部21側の端縁を全体的に膨出させて係止手段211としないことで、外装体1を容器20から分離する際の抵抗が軽減され、外装体1を容器20からより容易に分離することができる。
【0067】
また、容器20の側壁21の開口部23側の端縁には、図13および図14に示すように、フランジ部212を設けることも可能である。このフランジ部212も、外装体1が開口部23側へ抜けてしまうのを防止する役割を果たす。
【0068】
更に、容器20の側壁21には、図14に示すように、複数本の溝213を形成することも可能である。容器20の側壁21の外側は、外装体1を装着するため、側壁21に溝213を設けることで、容器20の側壁21と外装体1との間に、空気層Oが形成される(図15に示す第2実施形態の断面図(II)参照)。この空気層Oが、容器20と外装体1との間の熱の抜け道として機能することにより、容器と外装体1との間の熱が、外装体1外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを飛躍的に低減することができる。
【0069】
また、この空気層Oは、断熱材としても機能させることができるため、容器に収容する内容物の温度を一定に保つことが可能である。そのため、例えば、本発明に係る複合容器10を冷たいものを収容する目的で使用する場合、結露し難く、逆に、温かいものを収容する目的で仕様する場合、冷め難いといったメリットがある。
【0070】
容器20の底部22の構造も、特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、図示しないが底上げ形状としたり、凹凸構造にしたり、また図16に示すように、複数の突起部221を設けたりすることも可能である。このように複数の突起部221を設ければ、容器内部の保温効果を向上させることができる。
【0071】
複数の突起部221を設ける場合、その配置は特に限定されないが、例えば、図17の底面図に示すように、底部22の外周に対し斜めに配置することができる。このように配置すると、図17のように、底部22に指を掛けて持つ場合に、指と突起部221の接触面積が小さくなるため、内容物の温度が指へ伝わるのを小さくすることができる。
【0072】
以上説明した本発明に係る複合容器10は、前述した外装体1を用いているため、容器と外装体1との間の熱が、外装体1外部若しくは容器内部へ経時的に伝導されるのを飛躍的に低減することができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0074】
<実験例1>
実験例1では、本発明に係る外装体の断熱効果を調べた。具体的には、容器にコーヒーを入れ、容器内のコーヒーの温度と外装体の外表面の温度との差を求め、比較した。
【0075】
88本の溝を有するポリスチレン樹脂製の容器(容器高さ102mm、図14参照)を用意し、開口部側の端縁に熱放散部(幅40mm、高さ10mm)を4個有する外装体(厚み1.1mm、秤量270g/m2)を装着して実施例1に係る複合容器を作製した(図18参照、実施例1)。比較例として、同一のポリスチレン樹脂製容器に熱放散部を有さない外装体を装着した複合容器(図19参照、比較例1)と、表面にエンボス加工が施された紙製の容器を用意した(図20参照、比較例2)。
【0076】
実施例1、比較例1および2の容器に、90℃のコーヒーを入れ、容器内の温度と外装体の外側表面(比較例2は容器の外側表面)の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
表1に示す通り、比較例1および2に比べ、実施例1に係る複合容器では、容器内の温度と外側表面の温度との差が大きいことが分かる。また、実施例1と比較例1とを比較すると、外装体外側表面の温度はほぼ同一であるが、容器内の温度が比較例1の方が下がっていることが分かる。これは、比較例1の方が実施例1に比べ、容器内の熱が外装体外部へ逃げてしまい、容器内のコーヒーの温度が降下したためであると考えられる。
【0079】
実験例1の結果から、外装体に熱放散部を設けることにより、断熱効果が上昇することが分かった。
【0080】
<実験例2>
実施例2では、本発明に係る外装体の断熱効果について、実際の官能評価を行った。具体的には、容器にコーヒーを入れた時の外装体外側の熱さについて、官能評価を行った。
【0081】
実験例1で作製した実施例1および比較例1の複合容器に、90℃のコーヒーを入れ、専門パネラー5名が素手で持った時の熱さについて、下記表2に示す基準に基づいて評価した。評価結果を表3に示す。
【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
表3に示す通り、実施例1の複合容器を用いた場合、パネラー全員、持てない熱さではないという評価であった。これに対し、比較例1の複合容器を用いた場合、経時的に容器内の熱が外装体の外側表面に達してしまうことが分かった。実験例2の結果から、外装体に熱放散部を設けることにより、断熱効果が上昇することが官能的にも確認できた。
【0085】
<実験例3>
実施例3では、本発明に係る外装体の断熱効果について、補助的に赤外線サーモグラフィーによる評価を行った。
【0086】
まず、実験例1で作製した実施例1、比較例1、2に係る複合容器、および88本の溝を有するポリスチレン樹脂製の容器(容器高さ102mm、図14参照)に、開口部側の端縁に熱放散部(幅40mm、高さ5mm)を4個有する外装体(厚み1.1mm、秤量270g/m2)を装着した複合容器(実施例2)を用意した。温度レンジを、最高75℃、最低を55℃とし、これらの複合容器それぞれに90℃の熱湯を入れ、直後、1分後、2分後、3分後
4分後、5分後の容器側面の赤外線の放出状況を、赤外線サーモグラフィーFLIR SC660(フリアーシステムズジャパン株式会社製)を用いて測定した。
【0087】
赤外線サーモグラフィーを用いて評価した結果、断熱効果は、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の順に高いことが分かった。特に、お湯を入れた直後、1分後、3分後に耐熱効果の大きな差が見られた。
【符号の説明】
【0088】
1 外装体
11 外装体本体
D 熱放散部
111 外装体本体の内壁面
112 外装体底部側の端縁
113 外装体開口部側の端縁
114 外装体本体の外壁面
12 第1破断線
121 第1破断線の始点
122 第1破断線の終点
13 第2破断線
131 第2破断線の始点
132 第2破断線の終点
14 破断防止ガイド部
15 重なり部
16 一重層部
S シート部材
S1、S2 シート部材の側端
17 指掛け部
10 複合容器
20 容器
21 側壁
22 底部
23 開口部
211 係止手段
212 フランジ部
213 溝
221 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と、底部と、開口部と、を少なくとも有する容器の側面に装着される外装体であって、
筒状の外装体本体と、
該外装体本体の前記開口部側の端縁より所定の距離だけ前記底部側に、前記容器の側面から外部へ前記外装体本体を貫通するように設けられた熱放散部と、
が備えられた外装体。
【請求項2】
前記熱放散部は、前記開口部と平行に所定の間隔で複数周設された請求項1記載の外装体。
【請求項3】
前記熱放散部は、前記開口部側の端縁が欠損してなる請求項1または2に記載の外装体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装体が、容器の側面に装着されてなる複合容器。
【請求項5】
前記容器の側壁には、前記底部側から開口部側へと延びる複数本の溝が形成された請求項4記載の複合容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−152945(P2011−152945A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16031(P2010−16031)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(596151906)東名化学工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】