説明

外装部材及び流体管の接続構造

【課題】保温材に収容される継手への流体管の接続箇所において、被覆管の軸方向の収縮等によって露出する流体管の端部を覆って保温保護する。
【解決手段】発泡樹脂により形成され内部に流体管21が挿通される被覆管22の先端と、流体管21が接続されたチーズ継手23が収容される保温材31との間の軸方向の隙間Sにより露出する流体管21を保温材31から被覆管22にかけて覆って保護する外装部材1であり、その外装部材1は、筒状体に形成し、保温材31に軸方向に移動不能に接合される連結用貼着テープ6を備え、被覆管22の先端の軸方向の移動を許容する状態で、内部に流体管21とともに被覆管22を収容するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管を覆う被覆管と流体管が接続された継手を収容する保温材との間の軸方向の隙間により露出する流体管の接続端部を覆って保温保護する外装部材及び流体管の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給水管、給湯管等の流体管は、保温、結露防止等のために、発泡樹脂により形成された被覆管の内部に収容されており、また、流体管が接続されたヘッダー等の継手は、保温、結露防止等のために、断熱材からなる保温材で覆われている。この種の保温材として、例えば、特許文献1に記載の継手用保温材が開示されている。この継手用保温材は、チーズ継手及び流体管の接続端部を覆う保温材であり、2分割体で構成され、流体管が接続されたチーズ継手を内部に収容する継手収容凹部と、流体管の接続端部を被覆管とともに収容する接続部収容凹部とを備え、2分割体を閉じることにより内部にチーズ継手及び流体管の接続端部を収容するようになっている。
【0003】
このような保温材に収容される継手に流体管を接続するには、継手への接続作業を行なうに必要な長さ即ち作業代分を被覆管の先端から流体管の端部を露出させる必要がある。そのため、被覆管の端部を所定長切除し、或いはその端部を強制的に軸方向に圧縮させて流体管の端部を露出させている。被覆管の端部を所定長切除して流体管の端部を露出させる場合は、流体管の端部を継手に接続した後、端部を切除した被覆管を軸方向に強制的に伸張させて継手まで引き上げ、その端部を保温材の内部に収容している。そして、その後、保温材を構成する一対の半分割体を閉じて被覆管の外面を両側から挟圧することにより、流体管の端部を被覆管の端部とともに保温材の接続部収容凹部内に収容し接続してこれらの接続端部を保温保護している。
【0004】
一方、切断することなく被覆管の端部を強制的に軸方向に圧縮させて流体管の端部を所定長露出させつつ継手に接続する場合は、接続後に、強制的な圧縮を開放することにより、被覆管の端部は元の長さに自然復帰して伸張し、その後は強制的に伸張させることなく、流体管の端部とともに保温材の接続部収容凹部内に収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−124955公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、流体管を継手に接続する際に、流体管の端部における被覆管の被覆を除去して作業代を確保すべく、まず、前述した、被覆管の端部を強制的に軸方向に圧縮させつつ流体管の端部を露出させて接続作業を行なう場合は、一方の手を圧縮のために使用しつつ接続する作業となり、かつ、相当大きな押付力で圧縮しなければならないから、非常に作業し難かった。
【0007】
そこで、次に、被覆管の端部を所定長切除して流体管の端部を露出させて流体管を継手に接続する作業を行なうことがある。ところが、この場合、流体管の接続作業は円滑に行なうことはできても、流体管を継手に接続した後被覆管を強制的に伸張して継手まで引き上げて、保温材を閉じて流体管及び被覆管の端部を挟圧し覆った後に、被覆管は復元力により時間の経過とともに徐々に元に戻ろうとして収縮する。ここで、被覆管の端部は、一対の半分割体を閉じて両側から挟圧することにより保温材に接続させている。このため、被覆管は復元力による収縮によって一対の半分割体の挟持力に打ち勝って移動し保温材から抜け出してしまう。その結果、被覆管の先端は保温材から軸方向に離間するため、流体管の端部は被覆管の離間長さ分だけ露出してその部分の保温効果、断熱効果が失われてしまう。また、流体管を継手に接続した後に、被覆管の端部を強制的に伸張して継手まで引き上げる際には相当大きな引上力を必要とする。更に、収縮によって被覆管の先端と保温材との間が離間することによってこの部分の見栄えが低下する。
【0008】
なお、発泡樹脂により形成された被覆管は、成形時のロールへの巻き上げ等において軸方向に引張力を受けるので、成形後は残留応力が生じており、ロールから巻き戻して継手に接続した後には、復元力により徐々に軸方向に収縮してくる。したがって、被覆管は継手への接続後にこの復元力によっても収縮する。
また、被覆管の収縮は、上述した復元力によるものの他、流体管の内部に湯水が通流することによる熱収縮によっても生じる。
【0009】
更には、保温材及び継手が壁面等に固定されていない状態にあると、流体管が熱によって線膨張することにより、保温材及び継手は流体管に押されて同方向に移動することがあり、その一方で、被覆管は熱収縮して逆方向に移動することになるので、被覆管は保温材から抜け出して離間することもある。
【0010】
なお、被覆管の端部がその復元力による収縮によって保温材から抜け出るのを防止すべく、接合テープを保温材と被覆管の端部とに跨って巻回し、或いは止めピンを保温材と被覆管の端部に跨って突き刺して被覆管と保温材とを強固に接合することも考えられるが、接合テープの巻回が面倒である上、この部分の見栄えを損ねることにもなり、更には、収縮による被覆管の端部の自由移動が妨げられて保温材との接続部に無理な引張力が生じ、被覆管の端部に亀裂やしわが寄ったりすることがあるので、好ましくない。
【0011】
また、継手に流体管を接続するときに、被覆管の端部の切除長さを短くすれば、被覆管を継手まで強制的に伸張させて引き上げる引上力は小さくなるとともに、保温材に保持された被覆管が収縮した後の流体管の露出量を小さくすることができる。しかし、被覆管の端部の切除長さを短くした分、被覆管の端部を強制的に軸方向に圧縮させなければならないので、前述した、一方の手で圧縮しながらの接続作業となって非常に作業しづらいという不具合が生じるし、流体管が露出する以上、その部分に何らかの保温措置が必要になることに変わりはない。
【0012】
そこで、本発明は、保温材に収容される継手への流体管の接続箇所において、被覆管の軸方向の収縮等によって露出する流体管の端部を覆って保温保護する外装部材及び流体管の接続構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、発泡樹脂により形成され内部に流体管が挿通される被覆管の先端と、該流体管が接続された継手が収容される保温材との間の軸方向の隙間により露出する該流体管を前記保温材から該被覆管にかけて覆って保護するものであって、筒状体に形成され、前記保温材に軸方向に移動不能に接合される接合部を備えている。そして、前記被覆管の先端の軸方向の移動を許容する状態で、内部に前記流体管とともに前記被覆管を収容するものである。つまり、外装部材は、保温材に対しては一定位置に保持される一方、その内部においては被覆管が軸方向に相対的に移動可能となっている。
【0014】
ここで、外装部材の保温材への接合部は、例えば、外装部材の外面と保温材の外面とに跨って貼着される連結用貼着テープで形成することができる。
【0015】
請求項2及び請求項8の発明は、外装部材が、被覆管の外径より大きい内径を有する筒状体に形成され、保温材と反対の端部側に、筒状体の内面と被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止する封止部が設けられている。これにより、外装部材の内面と被覆管の外面との隙間内の空気が外気と連通するのが防止される。
【0016】
請求項3及び請求項9の発明は、外装部材の封止部が、保温材と反対の端部側に向けて縮径し、前記流体管及び前記被覆管の管径に対応した位置で管軸と直交する方向に切断可能に形成されている。
【0017】
請求項4の外装部材は、筒状体からなる本体と、被覆管の端部に外嵌される補助部材とから成り、前記補助部材は、前記本体の内部に収容された前記被覆管の軸方向の移動と共に該本体の内部で移動可能に外嵌され、外面が前記本体の内面に当接して該本体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止するものである。ここで、外装部材の本体は、保温材に対して軸方向に移動不能に接合されている。つまり、補助部材は、本体に対しては相対的に移動可能となっていて、被覆管の先端が軸方向に移動すると、それに追随して軸方向に移動するようになっている。なお、補助部材は、外装部材の構成部材の一つであるが、後述する流体管の接続構造の構成部材である補助体として捉えることも可能であり、実質的には、この補助体と同一のものである。
【0018】
請求項5及び請求項11の発明は、径の異なる複数種類の被覆管に対応すべく、本体は、最大径の前記被覆管の外径より大きい内径を有し、補助部材は、外径が前記本体の内径以上となる巻回量に調整されて前記被覆管の端部の外面に巻回される巻回テープで形成されている。
【0019】
請求項6の外装部材は、径の異なる2種類の前記被覆管に対応すべく、本体は、内面が大径の被覆管の外面に当接し、補助部材は、小径の被覆管に外嵌された状態で外面が前記本体の内面に当接するよう形成されている。
【0020】
請求項7の流体管の接続構造は、発泡樹脂により形成された被覆管により覆われた流体管と、該流体管が接続される継手と、該継手を収容する保温材とを備えたものであって、前記継手に接続された前記流体管が前記保温材の引出口から引き出され、前記被覆管の先端と前記保温材との間の軸方向の隙間により露出する前記流体管を該保温材から該被覆管にかけて覆って保護する筒状の外装部材が設けられている。そして、前記外装部材は、前記保温材に対して軸方向に移動不能に該保温材に接合され、前記被覆管の先端の軸方向の移動を許容する状態で、内部に前記流体管とともに前記被覆管を収容するものである。
【0021】
請求項10の流体管の接続構造は、外装部材が、筒状体からなる本体を備え、被覆管の端部に補助体が外嵌されている。そして、前記補助体は、前記外装部材の本体の内部に収容された前記被覆管の軸方向の移動と共に該本体の内部で移動可能に外嵌され、外面が前記本体の内面に当接して該本体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止するものである。なお、補助体は、流体管の接続構造の構成部材の一つであるが、外装部材の構成部材である補助部材とすることも可能である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1及び請求項7の発明は、流体管を保温材から被覆管にかけて覆う外装部材が設けられているから、継手への流体管の接続において、十分な作業代を確保すべく被覆管の端部を切除し、流体管を継手に接続してから被覆管を継手まで引き上げてその端部を保温材に収容した後に、被覆管が軸方向に収縮することなどにより被覆管の先端と保温材との間に軸方向の隙間が形成され、或いは当初より隙間が形成されていて流体管の端部が露出しても、その露出部分は外装部材で覆われて保温保護される。
【0023】
そして、外装部材は、保温材に軸方向に移動不能に接続されている。その一方で、外装部材は、被覆管に対して軸方向の収縮による端部の移動を許容して設けられているから、被覆管の軸方向の収縮に引張られて同方向に移動することがない。したがって、外装部材は、保温材から離間することがなく、常に一定の外装位置に保持されるから、流体管の端部の露出部分を外装部材で確実に覆い保温保護することができる。一方、被覆管については、外装部材に対して相対的に自由移動できるから、その先端部が収縮による移動を阻止されることにより端部の特定箇所に応力が集中してその部分に亀裂や断裂が生じるのを防止できる。
【0024】
請求項2及び請求項8の発明は、封止部によって、外装部材の内面と被覆管の外面との隙間内の空気が外方に流出入するのが防止されるから、外装部材による保温効果、断熱効果の低下を防止できる。
【0025】
請求項3及び請求項9の発明は、外装部材における保温材と反対の端部側が、外方に向けて縮径し、外装部材の前記端部の所定位置で管軸と直交する方向に切断可能となっているから、流体管及び被覆管の管径に対応して簡単に外装部材の内面と被覆管の外面との隙間を封止することができる。
【0026】
請求項4及び請求項10の発明は、被覆管の端部に、外面が本体の内面に当接する補助体或いは補助部材が設けられているから、被覆管の外面と外装部材の内面との間の隙間が補助体或いは補助部材によって封止される。したがって、露出する流体管の端部の空間が被覆管と外装部材との前記隙間を介して外部空間と連通し外気が流出入することによって保温効果、断熱効果が低下するのを防止することができる。
【0027】
請求項5及び請求項11の発明は、補助体及び補助部材が巻回テープで形成されているので、外径が外装部材の内径以上となるよう巻回量を調整して被覆管の端部の外面に巻回することにより、簡易な構成で簡単に補助体及び補助部材の外面を外装部材の内面に当接させ、被覆管の外面と外装部材の内面との間の隙間を封止することができる。それにより、請求項4及び請求項10と同様に、露出する流体管の端部の空間が前記隙間を介して外部空間と連通することにより保温効果、断熱効果が低下するのを防止できる。また、外径が外装部材の内径以上となるよう巻回量を調整して補助体及び補助部材の外面を外装部材の内面と密接させることができるから、前記隙間の空気通路を簡単かつ確実に遮断できる。加えて、補助体及び補助部材は任意の径の被覆管に設けることができるから、径の異なる複数種類の被覆管に対応して前記隙間を封止することができる。
【0028】
請求項6の発明は、本体が、大径の被覆管の外面に当接する内面を備え、補助部材が、前記本体の内面に当接するよう形成されているから、大径の被覆管の場合には、外装部材の本体の内面が被覆管の外面に当接し、小径の被覆管の場合には、補助部材の内面が被覆管の外面に当接する。したがって、外装部材は径の異なる2種類の被覆管に対応して保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一実施形態の外装部材を示し、保温材に取付ける直前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1の外装部材及び保温材の水平断面図である。
【図3】(a)は図2の保温材を示し、(b)は継手及び保温材を示し、(c)は継手を保温材に収容した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の外装部材を示し、(a)及び(c)は斜視図、(b)は(a)のA−A切断線による断面図である。
【図5】図1の連結用貼着テープを保温材に貼着する直前の状態を示す断面図である。
【図6】図1の外装部材を保温材に取付けた後の状態を示す斜視図である。
【図7】図6の外装部材及び保温材の水平断面図である。
【図8】外装部材と継手との別の取付態様を示す断面図である。
【図9】第一実施形態の別の保温材を示し、(a)は継手を収容する直前の状態を示す平面図、(b)は外装部材を取付けた後の状態を示す水平断面図である。
【図10】図1の外装部材を、別の継手を収容する保温材に取付けた状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第二実施形態の外装部材を示す断面図である。
【図12】第二実施形態の外装部材の変形例を示す断面図である。
【図13】第二実施形態の外装部材の別の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の第三実施形態の外装部材を示す断面図である。
【図15】第三実施形態の外装部材の変形例を示し、(a)は断面図、(b)は(a)のB−B切断線による断面図である。
【図16】第三実施形態の外装部材の別の変形例を示し、(a)は断面図、(b)は外装部材における補助部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の流体管の接続構造及び外装部材を図1乃至図10に基づいて説明する。
図1乃至図4において、流体管21の配管経路において保温、結露防止のため、流体管21は被覆管22で覆われている。また、配管経路中に配設された継手は保温材31に収容され保護されている。更に、継手への流体管21の接続部には本発明の外装部材1が連結されるようになっている。これらの流体管21、被覆管22、継手、保温材31及び外装部材1は、流体管の接続構造を構成している。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0031】
まず、前記流体管21は、給水管、給湯管などとして用いられ、架橋ポリエチレン、ポリブテンなどの合成樹脂管が使用されている。流体管21はチーズ、エルボ、ヘッダー等の金属材等からなる継手を介して家庭の洗面、台所流し、トイレや給湯器などとの間に配管されている。流体管21は給湯管、給水管として使用されるものであり、保温或いは結露防止のため、外側を発泡樹脂で形成された被覆管22で覆われている。流体管21は配管経路中に設けられた継手に接続される。本実施形態では継手としてチーズ継手23を例示する。なお、流体管21は締付リング等の接続具等を介してチーズ継手23に接続される。
【0032】
チーズ継手23を収容する保温材を図3に示す。図3において、保温材31は、同図(a)及び(b)に示すように、対称形状の一対の半分割体32,33で形成されており、内部にチーズ継手23全体を収容可能な大きさに形成され、チーズ継手23に接続された流体管21が引出される引出口34を3箇所に備えている。そして、保温材31は、この引出口34を含んでチーズ継手23の軸方向に延びる連続した分割部35によって内部に前記継手23を収容可能とする開口36が形成されるようになっており、中央に設けられたヒンジ37を軸に一対の半分割体32,33が閉じられることにより、図3(c)に示すように、内部にチーズ継手23が収容されるようになっている。保温材31は所定厚さの断熱材で一体に形成されている。
【0033】
前記外装部材1は、内部に流体管21が挿通される被覆管22の先端と、流体管21が接続されたチーズ継手23が収容される保温材31との間に、被覆管22が軸方向に収縮するなどして軸方向の隙間Sが形成されることにより露出する流体管21の端部を保温材31から被覆管22にかけて覆うものである。この外装部材1は、その本体1aが所定厚さの断熱材で形成され、図4(a)に示すように、筒状体に形成されているとともに、軸方向に延びる連続した分割部2によって内部に前記流体管21及び被覆管22を収容可能とする開口3が形成されるようになっている。外装部材1の内径は、内面が被覆管22の外面に当接する大きさに形成されており、内部に流体管21及び被覆管22を収容できるようになっている。ここで、外装部材1の内面は被覆管22の外面に当接しているのみであり、それらの面間が密接状態とはなっても、この境界面に大きな摺動抵抗を生じるものではない。したがって、被覆管22が軸方向に収縮したときに、被覆管22の先端部は外装部材1の内部を軸方向に移動するのが許容される状態にある。なお、外装部材1は、被覆管22が軸方向に収縮することによって露出する流体管21の端部を十分に覆うことのできる長さを有している。
【0034】
筒状体の外装部材1の外面4には、開口3を閉じるための閉鎖用貼着テープ5が貼着されている。閉鎖用貼着テープ5は、図4に示すように、外装部材1の分割部2を境とした一方側の外面4の端部から一部が外方に延出しており、更に、その延出部分の貼着側の面には、剥離紙5aが設けられている。この閉鎖用貼着テープ5は、開口3を形成する分割部2の全長に至って貼着されている。
【0035】
そして、外装部材1は、筒状体の一端部である保温材31の引出口34側の端部の外面4に、保温材31に貼着される連結用貼着テープ6が貼着されている。更に、この連結用貼着テープ6において外装部材1の引出口34側の端部から外方に延出して保温材31に貼着される部分の貼着側の面には剥離紙6aが設けられている。更に、連結用貼着テープ6は、外方に延出する部分が、軸方向の線状の切込みによって複数の貼着片6bに形成されている、即ち短冊状に形成されている。そして、外装部材1は、連結用貼着テープ6を介して本体1aの一端部の端面7が保温材31の引出口34の端面34aと面接する状態で連結されるようになっている。これにより、外装部材1は保温材31に対して軸方向に移動不能に接合され、一定位置に保持される。
【0036】
更に、前記閉鎖用貼着テープ5及び連結用貼着テープ6は、両者全体として1枚の貼着シート材により構成されている。加えて、この貼着シート材は、外装部材1の外面4の略全体を覆うようにして貼着されている。
【0037】
次に、このように構成されたチーズ継手23に流体管21を接続し、チーズ継手23及び流体管21の接続端部を保温材31で保護する方法を説明する。
最初に、チーズ継手23に流体管21を接続するには、接続具として短円管状の締付リングを使用する場合、被覆管22の端部を切除するなどして流体管21の端部を被覆管22の先端から所定長露出させ、接続具24である締付リングを流体管21に外嵌し、これを流体管21の端部においてその先端より所定長奥側に離間した位置まで後退させておく。そこで、拡径工具等を使用して流体管21の先端部を拡径しつつチーズ継手23の接続管部の外面に嵌め込み、次いで、締付リングをスライダーなどの挟み工具等を使用して押し上げて流体管21の外面に圧入し、チーズ継手23の接続管部と締付リングとで流体管21の端部を内外面両側から挟圧する。これにより流体管21はチーズ継手23に接続される。
【0038】
流体管21をチーズ継手23に接続したら、チーズ継手23に保温材31の取付けを行なう。それにはまず、保温材31のヒンジ37を軸として一対の半分割体32,33を開き、分割部35によって形成された開口36から流体管21が接続されているチーズ継手23を収容する。その後、被覆管22を軸方向に強制的に伸張させ、その端部をチーズ継手23側に引き上げ引出口34内まで挿入し、露出している流体管21の端部を覆う。次いで、一対の半分割体32,33を閉じ、両側から挟圧することにより、引出口34に流体管21及び被覆管22の端部を保持する。これにより、チーズ継手23、接続具24、流体管21及び被覆管22の端部が保温材31によって一体に覆われ、保温、保護される。
【0039】
次に、外装部材1の取付けについて説明する。
外装部材1を取付けるのは、前述のように、被覆管22の先端とチーズ継手23の保温材31との間に図7等に示す軸方向の隙間Sが形成されることによって露出する該流体管21の端部を覆うためである。これについて付説すれば、被覆管22は、発泡樹脂により形成されているので、流体管21の内部に湯水が通流されるとその熱によって軸方向に収縮する。また、被覆管22は、チーズ継手23に流体管21を接続した後に、接続作業のために被覆管22の端部が切除されることにより露出する流体管21の端部を覆うため、軸方向に強制的に引張って伸張させ、端部を継手23側に引き上げているから、引張りによる残留応力を生じ、流体管21の接続後に時間の経過とともに復元力によって徐々に軸方向に収縮する。加えて、被覆管22は、その成形時のロールへの巻き上げ等において、軸方向に引張力を受け、成形後には残留応力が生じているので、ロールから巻き戻してチーズ継手23に接続すれば、同様に復元力により徐々に軸方向に収縮してくる。被覆管22は通常長距離に至って床上等に敷設されているので、先端部は相当長さに至って収縮することになる。
【0040】
一方、被覆管22の端部は、保温材31の引出口34において一対の半分割体32,33の分割部35における挟圧のみによって保持されているから、前述した軸方向の収縮があると、保温材31の引出口34の保持力に打ち勝って保温材31と反対方向に移動し、保温材31から抜け出てしまう。その結果、流体管21の端部は保温材31の引出口34から被覆管22の先端までの長さにおいて隙間が生じてしまう。また、被覆管の先端と継手の保温材との間の軸方向の隙間は、被覆管の配管設置時において生じていることもある。これらによる隙間によって被覆管22の覆いがなくなると、保温性が低下し、その部分の見栄えも損なわれることになる。このため、この流体管21の端部の露出部を外装部材1によって覆うようにしたのである。
【0041】
そこで、外装部材1を取付けるには、まず、軸方向に沿った分割部2においてその両側の外面4を周方向に拡開して開口3を形成し、その開口3から流体管21及び被覆管22を外装部材1の内部に収容する。次に、閉鎖用貼着テープ5の剥離紙5aを剥がし、開口3を閉じつつ、閉鎖用貼着テープ5の延出部分を対向する他側の外面4に分割部35の全長に至って貼着する。これにより、外装部材1は閉鎖された筒状体に形成される。ここで、閉鎖用貼着テープ5は、分割部35の全長に至って貼着されているから、開口の全体を隙間なく確実に閉鎖することができる。
【0042】
次に、図1及び図2の矢印で示すように、外装部材1を軸方向に沿って保温材31側に移動させて、連結用貼着テープ6の外方に延出している部分に設けられている剥離紙6aを剥がし、連結用貼着テープ6の複数の貼着片6bの先端部を放射状に拡げた状態で外装部材1の端面7を保温材31側の引出口34の端面34aに当接させる。このとき、外装部材1の内面は被覆管22の外面に当接してはいるものの、両者間は相対移動が規制されるようにはなっていないので、外装部材1は支障なく保温材31側に移動させることができる。ここで、外装部材1の端部の端面7と保温材31の端面34aとは面接する状態で接合されるから、両者を隙間なく連結することができ、露出した流体管21の端部を確実に覆うことができる。また、面接状態にあることから、両者を接合し易いとともに、安定した状態で接合できる。なお、剥離紙6aは外装部材1を保温材31側に移動させた後に剥離してもよい。
【0043】
次いで、連結用貼着テープ6を保温材31の引出口34の外面に貼着する。このとき、連結用貼着テープ6は外方に延出している部分が複数の貼着片6bに形成されているので、図5に示すように、各貼着片6bの先端部を外方に拡げた状態で外装部材1と保温材31の端面同士を当接させた後、各貼着片6bを保温材31の外面上に倒して貼着することができるから、保温材31の外面形状に追随して貼着片6bの全面を確実にかつ仕上がり良く貼着できるとともに、貼着作業を楽に行なうこともできる。
【0044】
これにより、外装部材1の保温材31への取付けが完了し、図6及び図7に外装部材1の取付け完了後の状態を示す。なお、連結用貼着テープ6の貼着においては、図6の右側接合部に代表して示したように、接合部周辺において、保温材31の外面に貼着されている連結用貼着テープ6の複数の貼着片6bの外側面に、更に重ねて別の化粧テープ8を周方向に巻回し貼着するのが望ましい。この場合、化粧テープ8は複数の貼着片6bに跨ってその外側面に重ねて貼着されるので、密封性が向上する。また、外装部材1と保温材31との接合力は更に増強される。更に、貼着部分は一層綺麗な仕上がりとなる。
【0045】
外装部材1の取付けが完了した後は、接続後に被覆管22の軸方向の収縮により露出した流体管21の端部は外装部材1によって一体に覆われて保温保護される。なお、図7において、連結用貼着テープ6は外装部材1と保温材31との間に段差を有して貼着されているが、後述する図10に示すように、外装部材1の外径が保温材31の引出口34の外径と同一である場合には、段差を生ぜず、面一状態で貼着されて、外装部材1と保温材31との間の密封性が向上する。また、見栄えが良くなるとともに、貼着作業をより円滑に行なうことができる。
【0046】
次に、第一実施形態の流体管の接続構造及び外装部材の作用を説明する。
外装部材1は、流体管21の端部を保温材31から被覆管22にかけて覆うようになっている。したがって、チーズ継手23への流体管21の接続において、十分な作業代を確保すべく被覆管22の端部を切除し、流体管21をチーズ継手23に接続してから被覆管22をチーズ継手23まで引き上げてその端部を保温材31に収容した後に、被覆管22の軸方向の収縮により被覆管22の先端と保温材31との間に軸方向の隙間Sが形成されて流体管21の端部が露出しても、その露出部分は外装部材1によって覆うことができるので、流体管21の端部は確実に保温保護される。
【0047】
そして、外装部材1は、保温材31に軸方向に移動不能に接続されている。その一方で、外装部材1は被覆管22に対して軸方向の収縮による端部の移動を許容して設けられているから、被覆管22の軸方向の収縮に引張られて同方向に移動することがない。したがって、外装部材1は、保温材31から離間することがなく、常に一定の外装位置に保持されるから、流体管21の端部の露出部分を外装部材1で確実に覆い保温保護することができる。一方、被覆管22については、外装部材1に対して相対的に自由移動できるから、端部が収縮による移動を阻止されることによって端部などの特定箇所に応力が集中してその部分に亀裂や断裂が生じるのが防止される。
【0048】
また、被覆管22が収縮して軸方向の隙間Sが生じても、その隙間Sは外装部材1に覆われて外部から視認されないので、この部分の見栄えが低下するのが防止される。
【0049】
ところで、上記実施形態においては、連結用貼着テープ6は、外装部材1の一端部の先端から外方に延出しているが、これに限られるものではなく、外装部材1の先端から軸方向に所定距離後退した位置から延出するものとしてもよい。この連結用貼着テープ6は、図8に示すように、外装部材1の端部が保温材31の引出口34の内部に挿入された状態で保温材31に取付けられる場合に適用される。この場合、剥離紙6aは、外装部材1の先端から軸方向に所定距離後退した位置から保温材31に向けて延出する部分の裏面側に貼着される。
【0050】
また、チーズ継手23が、図9(a)に示すように、流体管21の端部及び接続具24が露出した状態で保温材31に収容されるものである場合は、外装部材1は、図9(b)の中央の接続部に示すように、一端部の端面7が保温材31の引出口34の端面34aに当接した状態で取付けられ、接続具24を含めて流体管21の端部が外装部材1によって一体に覆われる。このとき、連結用貼着テープ6は保温材31の外面に直角に折曲した状態で貼着されるが、複数の貼着片6bで形成されているため、格別支障なく全面的に保温材31の外面に貼着させることができる。
【0051】
更に、上記実施形態では、保温材31で保温保護される継手としてチーズ継手23を例示したが、継手がエルボ継手である場合も同様にして外装部材1を取付けることができる。図10に、エルボ継手25を収容する保温材31に外装部材1を取付けた状態を示す。
【0052】
〈第二実施形態〉
次に、第二実施形態の流体管の接続構造及び外装部材を図11乃至図13に基づいて説明する。第一実施形態では、外装部材1の内面と被覆管22の外面とが当接する状態にあり、即ち外装部材1の内径と被覆管22の外径とが同一であるのに対し、第二実施形態では、外装部材1の内径は被覆管22の外径より大きいものを示す。
【0053】
図11において、外装部材1は、本体1aが被覆管22の外径より大きい内径を有する筒状体に形成されている。更に、外装部材1は、保温材31と反対の端部側に、本体1aの内面と被覆管22の外面との間の径方向の隙間Tを封止する封止部9が設けられている。封止部9は一定幅の環状板形状をなし、本体1aにおける保温材31と反対の端部側に内方に向けて一体に設けられている。封止部9の内径は被覆管22の外径と略同一に形成され、内面が被覆管22の外面と当接するようになっている。
【0054】
第二実施形態の外装部材1は、大小2種類の径の流体管21及び被覆管22に対応して取付けることができる。
即ち、まず、図11(a)に示すように、流体管21及び被覆管22が小径である場合は、外装部材1は封止部9の内面が被覆管22の外面と当接する。これにより、本体1aの内面と被覆管22の外面との間の径方向の隙間Tは、保温材31と反対の端部側において密閉され、この隙間T及び接続後に収縮によって生じる保温材31と被覆管22の先端との軸方向の隙間S内の空間は保温材31と反対の端部側において外部との連通が遮断され、隙間S及び隙間T内の空気が保温材31と反対の端部側の端部開口を通して外部に流出入するのが阻止される。その結果、露出する流体管21の端部は外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。このようなことから、封止部9は、前記隙間Tの端部開口を閉塞する一種の蓋部として機能するものであるとも言える。
【0055】
次に、図11(b)に示すように、被覆管22が大径であってその外径が外装部材1の内径と同一である場合は、図11(a)において、外装部材1を一点鎖線で示す切断線Cで中心軸即ち管軸と直交方向に切断し、封止部9を除去する。この封止部9の一部が切除された外装部材1を取付ければ、図11(b)に示すように、外装部材1の内面は被覆管22の外面と当接する。これにより、接続後に被覆管22の収縮により軸方向の隙間Sが生じることによって露出する流体管21の端部は、同様に、外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。
【0056】
このように、この外装部材1は、大小2種類の径の流体管21及び被覆管22に対応して取付けることができるので、部材コストを低減でき、運搬、保管管理も楽になる。
【0057】
次に、第二実施形態の変形例を示す。
図12(a)において、外装部材1は封止部9が段階的に保温材31と反対の端部側に向けて縮径し、流体管21及び被覆管22の管径に対応した位置で切断可能に形成されている。具体的には、外装部材1の内径は、大小4種類の径を有する被覆管22のうち、最大径の被覆管22の外径と同一に形成されている。また、封止部9のうち、最大の内径を有する第1封止部9aは2番目に大きい外径を有する被覆管22の外面と当接し、中間の内径を有する第2封止部9bは3番目に大きい外径を有する被覆管22の外面と当接し、最小の内径を有する第3封止部9cは最小の外径を有する被覆管22の外面と当接するように形成されている。
【0058】
したがって、外装部材1は4種類の外径を有する被覆管22に対応して取付けることができ、例えば、3番目に大きい外径を有する被覆管22の場合は、図12(a)において、外装部材1を一点鎖線で示す切断線Dで中心軸と直交方向に切断し、第3封止部9cを除去する。この外装部材1を取付ければ、図12(b)に示すように、第2封止部9bの内面は被覆管22の外面と当接する。これにより、接続後に軸方向の隙間Sが生じることによって露出する流体管21の端部は、同様に、外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。
【0059】
次に、第二実施形態の別の変形例を示す。
図13(a)において、外装部材1は封止部9が連続的に保温材31と反対の端部側に向けて先細りとなって縮径し、流体管21及び被覆管22の管径に対応した位置で切断可能に形成されている。具体的には、外装部材1における保温材31と反対の端部側は、中空の円錐台形状に形成された封止部10が一体に設けられており、封止部10の先端部は被覆管22が貫通する端部開口が形成されている。封止部10の端部開口における内面は最小径の被覆管22の外面に当接する大きさに形成されており、保温材31側に向かうに従って内面が拡径している。
【0060】
したがって、この外装部材1は異なる外径を有する被覆管22に無段階に対応して取付けることができる。例えば、図13(b)に示す中程度の外径を有する被覆管22の場合は、図13(a)において、外装部材1を一点鎖線で示す切断線Eで中心軸と直交方向に切断し、先端側部分を除去する。この外装部材1を取付ければ、図13(b)に示すように、封止部10の内面は被覆管22の外面と当接する。これにより、接続後に露出する流体管21の端部は、同様に、外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。
【0061】
なお、第二実施形態の封止部9、10は、外装部材1に一体に形成しているが、本体1aとは別個独立した環状板材などとして形成し、これを外装部材1の本体1aに接着、テープの貼着等の手段によって接合し一体化したものとしてもよい。この場合、別個の封止部9、10は、本体1aと同材質であってもよいし、別材質であってもよい。
【0062】
また、外装部材1の封止部9、10の内面が被覆管22の外面に強く圧接される場合は、両面間に大きな摩擦力、摺動抵抗が発生し、被覆管22の端部の移動の抵抗となるから、被覆管22が軸方向に収縮するときの移動長さは小さくなる。その結果、流体管21の端部における露出長さは短くなり、露出による保温性の低下は少し減少する。
【0063】
〈第三実施形態〉
次に、第三実施形態の流体管の接続構造及び外装部材を図14乃至図16に基づいて説明する。第三実施形態は、第二実施形態と同様に、外装部材1の内径が被覆管の外径より大きいものを示す。但し、第二実施形態では、封止部9、10が外装部材1の本体1aに一体化されているのに対し、第三実施形態では、ここで使用される補助部材が外装部材1の本体1aに対して分離し、本体1aに対して相対移動可能なものとなっている。
【0064】
図14において、外装部材1は、本体1aが被覆管22の外径より大きい内径を有する筒状体に形成されている。更に、被覆管22の端部に外嵌される補助部材11を備えている。この補助部材11は、本体1aとともに外装部材1を構成するものであり、断熱材からなり環状板形状に成形された一定厚さのリング板12で形成されている。リング板12は、被覆管22の先端から軸方向に沿ってその端部に外嵌される。そして、リング板12は、本体1aの内面と被覆管22の外面との間の径方向の隙間Tを封止する。補助部材11の内径は被覆管22の外径と同一または僅かに小さく形成され、内面は被覆管22の外面と当接するようになっている。そして、補助部材11の外径は本体1aの内径と同一に形成され、外面は本体1aの内面と当接するようになっている。
【0065】
但し、補助部材11は、被覆管22に対しては、その収縮移動と共に軸方向に移動可能となっており、保温材31に接合されている外装部材1の本体1aに対しては、相対的に軸方向への移動が許容されるものとなっている。ここで、被覆管22の収縮移動に追随する補助部材11の移動は、補助部材11の内径が被覆管22の外径と同一である場合は、補助部材11の内面を接着テープや接着剤を使用した接着等の手段によって被覆管22の外面に接合したりすることにより可能となる。また、補助部材11の内径が被覆管22の外径より僅かに小さい場合は、補助部材11の内面と被覆管22の外面との間に摩擦力、摺動抵抗が発生し、或いは補助部材11の内面が被覆管22の外面に強く押付けられて僅かに食い込んだりすることにより可能となる。なお、このように、補助部材11は被覆管22の収縮移動に追随して移動することから、第三実施形態においては、補助部材11は被覆管22の端部において先端寄りの位置に外嵌される。
【0066】
ここで、補助部材11が、その内面と被覆管22の外面との間に生じる摩擦力、摺動抵抗によって、被覆管22と共に移動する場合には、その摩擦力等は、補助部材11の内径や、材質、硬度、被覆管22の外面と当接する補助部材11の内面の面粗度などによって変化する。これは、補助部材11の外面と本体1aの内面との間に生じる摺動抵抗についても同様である。一方で、補助部材11の外面と本体1aとの間の摺動抵抗が大きく、補助部材11の内面と被覆管22の外面との間に生じる摩擦力、摺動抵抗が小さいと、収縮により被覆管22が保温材31と反対方向に移動しても、補助部材11が被覆管22と共に移動せず、補助部材11が被覆管11の先端から外れてしまうことがある。そこで、補助部材11は、その内径、面粗度、材質、硬度等を考慮して成形することが必要である。
【0067】
第三実施形態の外装部材1は、補助部材11を備えているので、大小2種類の径の流体管21及び被覆管22に対応して取付けることができる。
即ち、まず、図14に示すように、流体管21及び被覆管22が小径である場合は、外装部材1は補助部材11の内面が被覆管22の外面と当接し、外面が本体1aの内面に当接する。これにより、流体管21の接続後に被覆管22の収縮によって生じる保温材31と被覆管22の先端との軸方向の隙間S周辺の空間は補助部材11の外嵌箇所において、隙間Tを通した外部への連通が遮断され、隙間S周辺の空気が保温材31と反対の隙間開口を通して外部に流出入するのが阻止される。その結果、露出する流体管21の端部は外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。
【0068】
次に、被覆管22が大径であってその外径が外装部材1の本体1aの内径と同一である場合は、補助部材11を被覆管22に外嵌しない状態で、外装部材11を取付ければ、図11(b)で前述したように、外装部材1の本体1aの内面は被覆管22の外面と当接する。これにより、接続後に隙間Sが生じることによって露出する流体管21の端部は、同様に、外装部材1によって確実に覆われ、保温保護される。
【0069】
このように、この外装部材1は、本体1aに補助部材11を使用することにより、本体1aは同一のものを使用し、補助部材11は取付けを選択するのみで、大小2種類の径の流体管21及び被覆管22に対応して取付けることができるため、図11に示した第二実施形態の外装部材11と同様に、部材コストを低減でき、運搬、保管管理も楽になる。
【0070】
なお、補助部材11は、本体1aとともに外装部材1の構成部材の一であるが、流体管の接続構造においては、その構成部材である補助体として捉えることも可能であり、実質的には流体管の接続構造の補助体と同一のものである。
【0071】
ところで、この補助部材11は、被覆管22に外嵌することによって、外気が隙間Tを通して、露出している流体管21の端部に流出入して保温効果が低下するのを防止する他、連結用貼着テープ6による外装部材1と保温材31との接合状態をより安定して維持する効果も奏する。つまり、外装部材1を保温材31に接合する際或いは接合後に、流体管21の端部において外装部材1の外面4が外部から何らかの押圧力を受けたとき、外装部材1と被覆管22の外面との間に隙間Tが生じていると、外装部材1の外面4が隙間T内に沈み込んでしまうことがある。すると、外装部材1の外面4の沈み込みに引張られて連結用貼着テープ6が外装部材1の外面4から剥がれ易くなる。しかし、図14に示すように、隙間Tに補助部材11が介在していれば、何らかの外力が作用しても、それによる押圧力は補助部材11によって支持されるため、外装部材1の外面4が隙間T内に沈み込むのが防止される。したがって、上述のように、外装部材1と保温材31との接合状態をより安定して維持できるという効果が得られる。
加えて、補助部材11が設けられていると、連結用貼着テープ6を貼着する作業を行ない易いという効果も得られる。
【0072】
次に、第三実施形態の変形例を示す。
図15において、外装部材1の本体1aは、径の異なる複数種類の被覆管22のうち最大径のものより大きい内径を有している。一方、補助部材11は断熱効果を有する一定厚さの巻回テープ13で形成されている。巻回テープ13は、外装部材1の本体1aに対して保温材31と反対方向に移動可能となっているとともに、被覆管22の収縮移動と共に保温材31と反対方向に移動可能となっている。
【0073】
この補助部材11を使用して外装部材11を取付けるには、図15に示すように、補助部材11である巻回テープ13を被覆管22の端部の外面に巻回していき、巻回テープ13の最外径が本体1aの内径以上となったら巻回を停止し、巻回テープ13を切断する。即ち、巻回テープ13は、外径が本体1aの内径以上となる巻回量に調整して被覆管22の端部の外面に巻回する。その後、巻回テープ13の外方から本体1aを取付ける。巻回テープ13を取付けると、その内外面は被覆管22の外面及び外装部材1の本体1aの内面に圧接する。これにより、接続後に露出する流体管21の端部は、外装部材1によって覆われ、保温保護される。
【0074】
この外装部材1は、異なる外径を有する複数種類の被覆管22に無段階に対応して取付けることができる。
【0075】
次に、第三実施形態の別の変形例を示す。
図16(a)において、外装部材1の本体1aは、被覆管22より大きい内径を有している。一方、補助部材11は断熱効果を有する一対の半割円管体14,14で形成されている。半割円管体14は、図16(b)に示すように、半割円管状に形成された半割円管部14aの両端開口に、半割円管部14aの外面から直交する方向即ち管軸に向かう方向に折曲されたフランジ14bが半割円管部14aの外面の円弧に沿って突設されている。フランジ14bの先端は半円形状をなし、その先端面14cは被覆管22の外面に当接するようになっている。一対の半割円管体14,14は閉じられて半割面14d同士が当接し、円管状に形成される。円管状に形成された補助部材11の外径は外装部材1の本体1aの内径と同一に形成されている。また、フランジ14bの先端面14cの半径は被覆管22の半径と同一または僅かに小さく形成されている。
【0076】
この一対の半割円管体14,14からなる補助部材11を使用して外装部材11を取付けるには、図16(a)に示すように、被覆管22の端部の外面に両外方から一対の半割円管体14,14をあてがい被覆管22を挟持させる。これにより、今、半割円管体14のフランジ14bの先端面14cの半径が被覆管22の半径と同一である場合には、フランジ14bの先端面14cは被覆管22の外面と当接する。また、フランジ14bの先端面14cの半径が被覆管22の半径より僅かに小さい場合には、フランジ14bの先端面14cは被覆管22の外面に食い込んだり突き刺さり、或いは圧接して被覆管22が僅かに変形した状態で挟持されることになる。一方、半割円管体14の外面は外装部材1の本体1aの内面に当接する。なお、図16(a)はフランジ14bの先端面14cが被覆管22の外面に食い込んだ状態を示す。
【0077】
このようにして、一対の半割円管体14,14で被覆管22を挟持したら、半割円管体14の外面に巻回テープを巻回して保持する。その後、半割円管体14の外方から本体1aを取付ける。これにより、接続後に露出する流体管21の端部は、外装部材1によって覆われ、保温保護される。なお、外装部材1を取付けた後は、一対の半割円管体14,14の半割円管部14a,14aの各内面と被覆管22の外面との間の空間は空気断熱層を形成する。
【0078】
この外装部材1は、半割円管体14が一定の大きさであっても、フランジ14bの先端面14cが被覆管22の外面に突き刺さったりして一対の半割円管体14,14を組付けて円管状に形成することができることにより、径の異なる複数種類の被覆管22に対応して取付けることが可能である。
【0079】
〈その他〉
ところで、上記各実施形態の外装部材1の本体1aは、軸方向に延びる連続した分割部2によって開口3が形成され、閉鎖用貼着テープ5を使用してこれを閉じることによって筒状体に形成されるものとしているが、本発明を実施する場合には、本体1aはこれに限られるものではなく、例えば、図示しない巻回テープを使用してこれを外装部材1の外面4の周方向に巻回することにより開口3を閉じて筒状体に形成するようにしてもよい。また、分離している一対の半割円筒体を組付けて筒状体に形成するものとしてもよい。或いは、これらのテープを使用せず、自身の復帰力により開口3が閉じたり、係合により開口3が閉鎖される構成としてもよい。更には、分離等しておらず当初より筒状体に形成されているものであってもよい。当初より筒状体に形成されている外装部材1は流体管21及び被覆管22の先端側からこれらに外挿されて取付けられる。
【0080】
なお、外装部材1は、流体管21の接続作業のために被覆管22の端部を切除したり、被覆管22が残留応力等によって収縮したり、当初より無理に被覆管22を保温材31の引出口34内に収容させて挟圧保持させなかったりして、被覆管22の端部が保温材31の引出口34から外部に離間した状態にある場合に取付けるものであってもよく、また、被覆管22の端部が保温材31の引出口34の内部に収容された状態にある場合に取付けるものであってもよい。
【0081】
また、上記各実施形態において、外装部材1は、流体管21を継手に接続する際に取付けてもよく、或いは、流体管21を継手に接続後に被覆管22の先端が保温材31から離間して流体管21の端部が露出した後に取付けてもよく、外装部材1の取付時期は特に問わない。
【0082】
加えて、上記実施形態において、外装部材1は内面が被覆管22の外面に当接するものとなっている。ここで、外装部材1は被覆管22に、圧接するものや、外装部材1の内面或いは被覆管22の外面が凹む弾接するものであってもよい。前記「当接」には、これらの圧接、弾接が含まれる。
更に、前記補助部材11についても、外装部材1の内面への「当接」には、同様に、圧接、弾接も含まれる。
【0083】
次に、上記各実施形態の連結用貼着テープ6は、外方に延出する部分に、線状の切込みにより複数の貼着片6bが形成されているが、隣合う貼着片6bとの間に間隔をおいて並設されたものとしてもよい。このように間隔をおいて貼着片6bを並設するものとすれば、連結用貼着テープ6が保温材31の外面に貼着された状態で、貼着片6b間に保温材31の外面を臨ませ得る。したがって、前述のように、連結用貼着テープ6の複数の貼着片6bの外側面に跨って更に別の化粧テープ8を巻回し重ねて貼着することにより、化粧テープ8は、連結用貼着テープ6の外側面に貼着されるとともに、複数の貼着片6b間の隙間を通して保温材31の外面に直接貼着される。その結果、外装部材1と保温材31とを更に強固に連結し接合することができる。
【0084】
また、上記各実施形態の閉鎖用貼着テープ5は、1枚の貼着シート材で形成して外装部材1の外面4の略全体を覆っているので、一方側の外面4の分割部2の端部から延出している部分は分割部2を挟んで対向する他方側の外面4ではオーバーラップ状態で貼着されるが、分割部2の他方側の外面4において分割部2の端部から所定長さ周方向に離間している範囲においては閉鎖用貼着テープ5が貼着されていないものとすることもできる。この場合は、閉鎖用貼着テープ5の外方への延出部分は、外装部材1の他方側の外面4において予め貼着されている閉鎖用貼着テープ5に更にオーバーラップ状態で貼着されるのではなく、他方側の外面4に直接貼着される。したがって、閉鎖用貼着テープ5の接合強度が増し、閉鎖状態をより強化することができる。
【0085】
加えて、上記各実施形態の閉鎖用貼着テープ5と連結用貼着テープ6とは両者合わせて1枚の貼着シートで形成されているが、閉鎖用貼着テープ5と連結用貼着テープ6とは別個に形成してもよい。これにより、例えば、閉鎖用貼着テープ5の表面を被覆管22と同色とし、連結用貼着テープ6の表面を保温材31と同色とすることができる。このようにすれば、例えば、被覆管22が流体管21として給水管を覆うものであってそれに対応して青色素材で形成されていたり、被覆管22が流体管21として給湯管を覆うものであってそれに対応して赤色素材で形成されている場合に、被覆管22の端部が外装部材1やその他の部材で覆われていると、外側から被覆管22の素材色を目視で確認できないことがあるが、外装部材1の外面に貼着されている閉鎖用貼着テープ5の表面色を目視することにより、外側から視認できない被覆管22の素材色、ひいては被覆管22内に挿通されている流体管21の種別を直ちに確認することができる。
【0086】
そして、上記各実施形態の閉鎖用貼着テープ5及び連結用貼着テープ6は、一体となって外装部材1の外面4の略全体を覆って貼着されているが、図4(c)に示すように、外装部材1の外面4の一部のみに貼着してもよい。
【0087】
また、外装部材1と保温材31との連結部分における各端面は、一垂直面に形成されているが、段差状の面に形成し、互いに嵌合或いは係合して両部材が連結されるものとしてもよい。この場合は、より安定した連結状態が得られるとともに、両部材間の密接性を高めることができる。
【0088】
なお、第一実施形態においては、開口3を閉じて閉鎖用貼着テープ5を貼着して外装部材1を筒状体に形成してから連結用貼着テープ6を使用して外装部材1を保温材31に連結しているが、その逆に、先に連結用貼着テープ6で外装部材1を保温材31に連結してから閉鎖用貼着テープ5を使用して開口3を閉じてもよく、その手順は特に問わない。
【符号の説明】
【0089】
1 外装部材 21 流体管
1a 本体 22 被覆管
6 連結用貼着テープ 23 チーズ継手
9、10 封止部 25 エルボ継手
11 補助部材 31 保温材
12 リング板(補助部材) 34 引出口
13 巻回テープ(補助部材) S 軸方向の隙間
14 半割円管体(補助部材) T 径方向の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂により形成され内部に流体管が挿通される被覆管の先端と、該流体管が接続された継手が収容される保温材との間の軸方向の隙間により露出する該流体管を前記保温材から該被覆管にかけて覆って保護する外装部材であって、
筒状体に形成され、
前記保温材に軸方向に移動不能に接合される接合部を備え、
前記被覆管の先端の軸方向の移動を許容する状態で、内部に前記流体管とともに前記被覆管を収容することを特徴とする外装部材。
【請求項2】
前記被覆管の外径より大きい内径を有する筒状体に形成され、前記保温材と反対の端部側に、前記筒状体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止する封止部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の外装部材。
【請求項3】
前記封止部は、前記筒状体における前記保温材と反対の端部側に向けて縮径し、前記流体管及び前記被覆管の管径に対応した位置で管軸と直交する方向に切断可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の外装部材。
【請求項4】
前記筒状体からなる本体と、前記被覆管の端部に外嵌される補助部材とから成り、
前記補助部材は、前記本体の内部に収容された前記被覆管の軸方向の移動と共に該本体の内部で移動可能に外嵌され、外面が前記本体の内面に当接して該本体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止することを特徴とする請求項1に記載の外装部材。
【請求項5】
径の異なる複数種類の前記被覆管に対応すべく、
前記本体は、最大径の前記被覆管の外径より大きい内径を有し、
前記補助部材は、外径が前記本体の内径以上となる巻回量に調整されて前記被覆管の端部の外面に巻回される巻回テープで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の外装部材。
【請求項6】
径の異なる2種類の前記被覆管に対応すべく、
前記本体は、内面が大径の前記被覆管の外面に当接し、
前記補助部材は、小径の前記被覆管に外嵌された状態で外面が前記本体の内面に当接するよう形成されていることを特徴とする請求項4に記載の外装部材。
【請求項7】
発泡樹脂により形成された被覆管により覆われた流体管と、該流体管が接続される継手と、該継手を収容する保温材とを備えた流体管の接続構造であって、
前記継手に接続された前記流体管が前記保温材の引出口から引き出され、
前記被覆管の先端と前記保温材との間の軸方向の隙間により露出する前記流体管を該保温材から該被覆管にかけて覆って保護する筒状の外装部材が設けられ、
前記外装部材は、
前記保温材に対して軸方向に移動不能に該保温材に接合され、
前記被覆管の先端の軸方向の移動を許容する状態で、内部に前記流体管とともに前記被覆管を収容することを特徴とする流体管の接続構造。
【請求項8】
前記外装部材は、前記被覆管の外径より大きい内径を有する筒状体に形成され、前記保温材と反対の端部側に、前記筒状体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止する封止部が設けられたことを特徴とする請求項7に記載の流体管の接続構造。
【請求項9】
前記外装部材の封止部は、前記筒状体における前記保温材と反対の端部側に向けて縮径し、前記流体管及び前記被覆管の管径に対応した位置で管軸と直交する方向に切断可能に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の流体管の接続構造。
【請求項10】
前記外装部材は、筒状体からなる本体を備え、
前記被覆管の端部に補助体が外嵌され、
前記補助体は、前記外装部材の本体の内部に収容された前記被覆管の軸方向の移動と共に該本体の内部で移動可能に外嵌され、外面が前記本体の内面に当接して該本体の内面と前記被覆管の外面との間の径方向の隙間を封止することを特徴とする請求項7に記載の流体管の接続構造。
【請求項11】
径の異なる複数種類の前記被覆管に対応すべく、
前記外装部材の本体は、最大径の前記被覆管の外径より大きい内径を有し、
前記補助体は、外径が前記外装部材の本体の内径以上となる巻回量に調整されて前記被覆管の端部の外面に巻回される巻回テープで形成されていることを特徴とする請求項10に記載の流体管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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