説明

外観検査装置、外観検査方法

【課題】エッジ画像に含まれるエッジの位置関係を用いてエッジを連結することにより、クラックに相当するエッジをノイズから精度よく分離する。
【解決手段】エッジ抽出手段11は、検査対象物Wを撮像した濃淡画像からエッジを抽出し、候補領域抽出手段12は、エッジ抽出手段11により抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出する。クラック候補領域が複数抽出された場合には、ラベリング手段13が、各クラック候補領域にそれぞれラベルを付与し、クラスタリング手段14が、着目する各一対のクラック候補領域の位置関係に基づいて両クラック候補領域が1つのクラックに属すると判断すると両クラック候補領域を連結する。判定手段15は、連結されたクラック候補領域の長さ寸法が規定の基準値よりも大きいときに検査対象物にクラックが生じていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を撮像した画像を用いることにより検査対象物に生じたクラックを検出する外観検査装置、外観検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、検査対象物を撮像した画像を用いた外観検査により検査対象物に生じたクラックを検出する技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、検査対象物の表面の傷やクラックのうち、直線状の傷やクラックを検出する技術が示されている。特許文献1に記載の技術では、検査対象物の濃淡画像を用いてエッジを強調したエッジ画像を生成し、エッジ画像に含まれるエッジにラベリングを行った後、エッジの接線方向(実際にはエッジ上の画素の濃度勾配の方向)が所定角度範囲内である画素群を抽出し、この画素群を通る傷候補直線を設定している。傷候補直線は角度範囲毎に求められ、ラベルが付与されたエッジ上の画素から各傷候補直線までの距離を求めるとともに、評価値を用いてエッジが直線状か否かが判定される。
【0004】
また、特許文献2には、クラックの発生場所とクラックの延長方向との関係に着目することにより、クラックをごみのような異物と識別して抽出する技術が記載されている。特許文献2に記載の技術では、検査対象物を撮像した濃淡画像からエッジ画像を生成し、クラックが生じる可能性のある検査スタートポイントを設定するとともに、検査スタートポイントに合わせて幅の狭い検出エリアを設定し、検査スタートポイントの周りで検出エリアを回転走査している。また、検出エリアの走査の間に、検出エリアに含まれるエッジ上の画素から得られる欠陥候補点の総数などが評価され、クラックと異物とが識別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58253号公報
【特許文献2】特開2007−147407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1、2に記載の技術は、いずれも検査対象物の濃淡画像からエッジ画像を生成し、エッジ画像に含まれる画素を規定の規則で評価することによって、クラックを識別している。
【0007】
ところで、エッジ画像を生成するにあたっては、図8に示すように、濃淡画像を適宜の閾値で二値化した二値画像からエッジを抽出する技術と、図9に示すように、濃淡画像を微分した微分画像に対して適宜の閾値を適用して微分画像を二値化する技術とが多く採用されている。図8と図9とは同一の検査対象物から得られた画像を示している。
【0008】
しかしながら、成形品では背景とクラックとの濃度差が小さい場合があるから(たとえば、256階調の濃淡画像において濃度差が20以下)、このような低コントラストの検査対象物について、二値画像を用いてエッジを抽出する技術では濃淡画像に対する閾値の選択が難しくなる。とくに検査対象物の濃度むらが大きい場合には、クラックと濃度むらとを識別するように閾値を設定することは困難である。
【0009】
一方、微分画像を用いてエッジを抽出する技術であっても、低コントラストであることにより、エッジ画像において1つのクラックに対応する画素群が不連続になる可能性が高くなる。1つのクラックに属するエッジが分断されるのを防止するには、微分値に対する閾値を小さくすることが考えられるが、閾値を小さくするとクラック以外のノイズ成分が増加し、クラックの評価が困難になる。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、エッジ画像に含まれるエッジの位置関係を用いてエッジを連結することにより、クラックに相当するエッジをノイズから精度よく分離することを可能にした外観検査装置、外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、検査対象物を撮像した濃淡画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出する候補領域抽出手段と、クラック候補領域が複数抽出された場合に各クラック候補領域にそれぞれラベルを付与するラベリング手段と、着目する各一対のクラック候補領域について重心間の距離が規定した第1の閾値以下であり、かつ互いに近いほうの端点間の距離が規定した第2の閾値以下であるという規則が満たされたときに両クラック候補領域を連結するクラスタリング手段と、連結されたクラック候補領域の長さ寸法を規定の基準値と比較し長さ寸法が基準値よりも大きいときに検査対象物にクラックが生じていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
この場合、濃淡画像において一方の座標軸をクラックの伸びる方向に規定した直交座標系を設定し、クラスタリング手段において、他方の座標軸の方向において重心が隣接する各一対のクラック候補領域に着目し、両クラック候補領域が前記規則を満たすときに両クラック候補領域を連結する構成を採用することができる。
【0013】
さらに、クラスタリング手段は、前記他方の座標軸の方向において重心が隣接する一対のクラック候補領域について互いに近いほうの端点間の距離が前記第2の閾値を超えているときには、前記一対のクラック候補領域のうち重心が原点に近いほうのクラック候補領域に対する重心間の距離が前記第1の閾値以下である他のクラック候補領域を重心間の距離が小さいほうから順に選択し、重心が原点に近いほうのクラック候補領域と選択したクラック候補領域とが前記規則を満たすときに両クラック候補領域を連結する構成を採用するのが望ましい。
【0014】
また、クラスタリング手段は、一対のクラック候補領域を連結する際に、重心が原点から遠いほうのクラック候補領域の主軸の延長線上に、重心が原点から近いほうのクラック候補領域を投影することにより両クラック候補領域を結合し、結合後のクラック候補領域には重心から原点が遠いほうのクラック候補領域のラベルを付与して1個のクラック候補領域として扱うのが望ましい。
【0015】
さらにまた、クラスタリング手段は、着目する各一対のクラック候補領域について前記他方の座標軸の方向における重心間の距離が前記第1の閾値以下である場合に、前記一方の座標軸の方向における両クラック候補領域の端点の座標を用いて前記一方の座標軸の方向における両クラック候補領域の重複の有無を判別し、さらに、重複していない場合は、前記一方の座標軸の方向における互いに近いほうの端点間の距離が前記第2の閾値以下であれば両クラック候補領域を連結し、重複している場合は、重複していない部位があれば両クラック候補領域を連結するのが望ましい。
【0016】
候補領域抽出手段は、エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素に関して着目する測度を計測し、計測値が規定の範囲であることを前記条件としてクラック候補領域を抽出するのが望ましい。
【0017】
本発明では、外観検査の手順としては、検査対象物を撮像した濃淡画像からエッジを抽出した後、エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出し、クラック候補領域が複数抽出された場合には、各クラック候補領域にそれぞれラベルを付与し、さらに、着目する各一対のクラック候補領域について重心間の距離が規定した第1の閾値以下であり、かつ互いに近いほうの端点間の距離が規定した第2の閾値以下であるときに両クラック候補領域を連結し、連結されたクラック候補領域の長さ寸法を規定の基準値と比較し長さ寸法が基準値よりも大きいときに検査対象物にクラックが生じていると判定する方法を採用している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、濃淡画像から抽出したエッジのうちクラック候補領域として抽出した画素群について、複数個のクラック候補領域が抽出された場合には、着目する各一対のクラック候補領域の位置関係が規定の規則を満たすときに連結し、連結後のクラック候補領域の長さ寸法の評価によりクラックか否かを判定するから、濃淡画像に含まれるクラックの部位が低コントラストであって、1つのクラックに対応すると考えられるクラック候補領域が分断されている場合でも、クラック候補領域の位置関係を用いることによって1つのクラックに属するか否かを判定することができる。その結果、クラック候補領域を抽出する際にノイズを排除できる割合が高くなって、クラックに相当するエッジをノイズから精度よく分離することが可能になる。すなわち、クラックと背景との濃淡差が少ない低コントラストの濃淡画像であってもクラックの有無を精度よく判定することが可能になる。
【0019】
座標軸の方向において重心が隣接する各一対のクラック候補領域について規則の成立をもって両クラック候補領域を連結する構成では、各クラック候補領域の重心位置を整列させ、整列順で隣接している各一対のクラック候補領域の位置関係を評価すればよいから、手順が単純であり処理負荷の増加を抑制することができる。
【0020】
座標軸の方向において重心が隣接するクラック候補領域が連結できない場合に、他のクラック候補領域について連結の可能性を判定する構成を採用すると、連結可能なクラック候補領域の個数が増加し、1つのクラックに属するクラック候補領域であるにもかかわらず分断されたままで残されるクラック候補領域の発生を抑制することができる。
【0021】
さらに、クラック候補領域を連結する際に、重心が原点に近いほうのクラック候補領域を重心が原点から遠いほうのクラック候補領域に連結する構成を採用すれば、連結後のクラック候補領域よりも重心が原点に近いクラック候補領域であっても連結後のクラック候補領域に結合される可能性があり、結果的に1つのクラックに属するクラック候補領域を漏れなく連結することが可能になる。
【0022】
さらにまた、着目する一対のクラック候補領域の連結の条件として、一方の座標軸の方向(クラック候補領域の長手方向)における重複の有無を判別する構成では、クラック候補領域の位置関係から1つのクラックに属する関係ではないと判断されるときに、クラック候補領域を接続しないから、さらに正確にクラック候補領域を連結することが可能になる。
【0023】
クラック候補領域を抽出するにあたって、各エッジ上の画素について着目する測度の計測値を評価すれば、クラック候補領域ではないノイズを排除できる可能性が高くなり、連結可能か否かを評価するために着目するクラック候補領域の個数を低減させることができるから、それだけ処理負荷が軽減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の処理手順を示す動作説明図である。
【図3】同上に用いる正方領域を説明する図である。
【図4】同上の動作例を説明する図である。
【図5】同上におけるクラック候補領域を説明する図である。
【図6】同上の要部の動作説明図である。
【図7】同上の要部の処理手順を示す動作説明図である。
【図8】二値画像の例を示す図である。
【図9】微分画像を二値化した画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、TVカメラ(撮像装置)2により撮像した検査対象物Wの濃淡画像に基づいて検査対象物Wにおけるクラックの有無を検出する装置であり、検査対象物Wとしては合成樹脂成形品を想定している。とくに、電子部品のパッケージのように、端子となる金属板と同時一体に成形した合成樹脂成形品では、クラックが生じる部位が特定部位(合成樹脂成形品における金属板との接触部位)であり、またクラックが延長される方向も特定方向(合成樹脂成形品から金属板が突出している方向)になる可能性が高くなる。
【0026】
照明条件は適宜に設定すればよいが、クラックを検出するには、検査対象物Wの正面に撮像装置2を配置し、斜方照明を用いてクラックの部位に影が生じるようにするのが望ましい。
【0027】
本発明では、検査対象物Wに形成されるクラックの上記特性に着目することにより、撮像装置2で撮像した検査対象物Wの濃淡画像に対して画像処理装置1により画像処理を施し、検査対象物Wにおけるクラックの有無を検出する。撮像装置2は、検査対象物Wの細部を拡大して撮像するように図示しない光学系を備えている。
【0028】
画像処理装置1は、コンピュータを用いて構成され以下に説明する処理を実現する。すなわち、画像処理装置1は、クラックの有無を検出するために、図2に示すように、撮像装置2により撮像した濃淡画像からエッジを抽出し(S1)、抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出する(S2)。さらに、抽出したクラック候補領域にラベルを付与するラベリングを行い(S3)、ラベルを付与したクラック候補領域について規定の規則を用いてクラスタリング(グループ分け)を行う(S4)。その後、クラスタリングにより分けられたグループごとにクラック候補領域についてクラックか否かを定量的に判断するのである(S5)。
【0029】
画像処理装置1は、エッジの抽出を行うエッジ抽出手段11を備える。エッジ抽出手段11では、濃淡画像の微分処理またはエッジ強調処理を用いて周知のエッジ抽出処理を行う。本実施形態では、図3に示す3×3画素の正方領域ごとの画素値(濃度値)P1〜P8を用いて正方領域の中心画素(符号P0の位置の画素)の微分値および方向値を求める微分処理を行い、微分値が閾値を超える領域を細線化するものとする。細線化は、領域の中心線が1画素幅で表されるように領域内の一部の画素を除去することを意味する。
【0030】
本実施形態では、濃淡画像において左上隅を原点とし、水平方向の右側をx方向の正の向き、垂直方向の下向きをy方向の正の向きに定めた直交座標系を規定している。また、微分値Dおよび方向値θは次式により規定している。
D=(ΔH+ΔV1/2
θ=tan−1(ΔV/ΔH)+90°
ただし、ΔH=(P4+P5+P6)−(P2+P1+P8)、ΔV=(P2+P3+P4)−(P6+P7+P8)である。
方向値θは、濃度勾配に直交する方向を表し、エッジの接線方向に相当する。方向値θは扱いやすくなるように、45°刻みで1〜8の値を持つ方向コードに置き換える。具体的には、方向値θが−22.5°以上22.5°未満であるときに方向コードを1、方向値θが22.5°以上45°未満であるときに方向コードを2とするようにして、方向値θに対応付けて1〜8の方向コードを付与する。
【0031】
エッジ抽出手段11は、細線化された画素列(エッジ断片)に他のエッジ断片の接続を試みるエッジ延長処理を行う。エッジ延長処理では、エッジ断片の端点の方向値θ0と、当該端点に隣接する画素Pj(j=1,2,…,8)の微分値Djおよび方向値θjとを用い、微分値Diが規定の下限値以上であり、かつ下式で表される評価関数Fjが最大となる画素Piが存在すれば、当該画素Piをエッジ断片に接続する。
Fj=Dj・cos(θj−θ0)・cos{(j−1)4/π−θ0}
この評価値Fjは、微分値Djが大きく、かつ、エッジ断片の端点と当該端点に隣接する画素Pjとの方向値の差(=θj−θ0)が小さく、しかも当該端点から隣接する画素Pjを結ぶ方向と当該端点の方向値θ0の方向との差(=(j−1)4/π−θ0)が小さいほど大きくなる。したがって、エッジ断片の端点に隣接する画素Pjについて、評価値Fjが最大になる画素Pjはエッジ上の画素とみなすことができる。
【0032】
上述したエッジ延長処理は、エッジ断片の端点に隣接する画素Pjの微分値Djが規定の下限値未満になるか、他のエッジ断片に連結されるまで継続される。したがって、微分値Dが閾値を超える領域を抽出したときに途切れた部分を再抽出し、連続したエッジを抽出することが可能になる。
【0033】
なお、エッジ延長処理は、上述の評価関数Fjを用いるほか、同種の他の評価関数を規定してもよく、また評価関数を用いずに微分値が下限値以上、かつ方向コードが規定の関係を満たすという条件でエッジ断片を延長してもよい。要するに、エッジ断片の端点と当該端点に隣接する画素とについてエッジの性質に関する類似度を評価し、類似度が高いときには当該画素をエッジ断片に結合するのである。
【0034】
上述のようにエッジ延長処理を行うことにより抽出したエッジがクラックに対応していれば、当該エッジはクラックを略全周に亘って囲んでいると考えられる。すなわち、クラックに対応するエッジは閉曲線を形成する。また、クラックは細長形状であるから、エッジで囲まれた領域について着目する測度として、長手方向の軸線(主軸という)の方向、当該領域に含まれる画素数(面積という)、当該領域を各座標軸に投影した幅(射影幅という)を計測すれば、計測値が規定の範囲であることを条件として、エッジで囲まれた領域がクラックに対応する領域であると判断することができる。
【0035】
エッジで囲まれた領域がクラックに対応するか否かを判断するために、画像処理装置1には、候補領域抽出手段12が設けられる。候補領域抽出手段12は、エッジ抽出手段11により抽出したエッジ上の画素が、上述のような条件を満たすときに、当該画素群をクラック候補領域として抽出する。すなわち、候補領域抽出手段12は、エッジに囲まれた領域について上述した測度を計測し、計測値が規定の範囲であるときに、当該領域をクラック候補領域と判断する。
【0036】
上述したように、クラックの延長方向は特定方向であるから、以下では、クラックの延長方向が撮像装置2から出力される濃淡画像の垂直方向に沿うように、検査対象物Wと撮像装置2との位置関係を定めているものとする。この場合、候補領域抽出手段12においてクラック候補領域を抽出する規則として、主軸がy方向に対してなす角度が比較的小さいこと、面積が比較的大きいこと、x軸に対する射影幅が比較的小さいこと、y軸に対する射影幅が比較的大きいことのうちの少なくとも1条件を用いることができる。もちろん、条件を多くするほど、クラック候補領域とノイズとの分離精度が高くなる。
【0037】
ここでは、候補領域抽出手段12において、着目するエッジについて、主軸の方向がy軸に対して比較的小さい所定の角度範囲であり、面積が規定した閾値以上であり、x軸に対する射影幅が第1の規定幅以下かつy軸に対する射影幅が第2の規定幅以上であるときに、当該エッジをクラックの候補とみなす。クラック候補領域は、クラックの候補として抽出されたエッジに囲まれる領域になる。また、候補領域抽出手段12において上述した規則を用いていることにより、抽出されたエッジからノイズの多くを分離することが可能になる。
【0038】
上述のように候補領域抽出手段12においてクラック候補領域を抽出すると、通常は、複数個のクラック候補領域が抽出される。とくに、濃淡画像において、クラックと背景とが低コントラストであるときには、微分を用いてエッジを抽出しても1つのクラックが複数に分断される可能性が高くなるから、クラックが1つであっても複数個のクラック候補領域が抽出されることが多い。
【0039】
そこで、各クラック候補領域を区別するために、ラベリング手段13により各クラック候補領域にそれぞれ異なるラベルを付与する。各クラック候補領域にラベルを付与した後には、クラスタリング手段14において、各クラック候補領域が同一のクラックに属するか否かを規定の規則を用いて判断することにより、クラック候補領域のクラスタリングを行う。
【0040】
クラスタリング手段14において用いる規則は、複数個のクラック候補領域が同一のクラックに属している場合は、各クラック候補領域の重心のx座標の差分が小さく、しかも各クラック候補領域の長手方向の端点間の距離が小さいという関係が成立するという知見に基づいている。したがって、クラスタリング手段14は、着目する各一対のクラック候補領域について重心のx座標の差分(x軸方向の重心間の距離)が規定した第1の閾値以下であり、かつ互いに近いほうの端点のy座標の差分(y軸方向の端点間の距離)が規定した第2の閾値以下である場合に、両クラック候補領域が1つのクラックに属するための必要条件が成立したと判断して両者を連結する。
【0041】
したがって、クラック候補領域のクラスタリングを行うに際しては、各クラック候補領域について、重心の座標と長手方向の各端点の座標とを求める。クラスタリング手段14では、各クラック候補領域を重心のx座標が小さい順に並べ、重心のx座標が小さいほうから順に、隣接する各一対のクラック候補領域が上述した必要条件を満たすか否かの判定を行う。
【0042】
以下に図4を用いて実例で説明する。図4には6個のクラック候補領域E1〜E6を示してあり、各クラック候補領域E1〜E6の重心のx座標は、E1,E2,E3,E4,E5,E6の順に並んでいる。したがって、まず、クラック候補領域E1とクラック候補領域E2とに着目し、両クラック候補領域E1,E2について互いに近いほうの端点間のy座標の差分を求めると、両クラック候補領域E1,E2は1つのクラックに属すると判断することができる。
【0043】
次に、クラック候補領域E2とクラック候補領域E3とに着目すると、両クラック候補領域E2,E3は、重心のx座標の差分が第1の閾値を超えているので、1つのクラックに属さないと判断される。この場合、端点のy座標については考慮しない。
【0044】
同様にして、クラック候補領域E3とクラック候補領域E4とに着目した場合には、互いに近いほうの端点のy座標の差分が第2の閾値を超えているので、1つのクラックに属さないと判断される。さらに、クラック候補領域E4とクラック候補領域E5とに着目した場合には、両クラック候補領域E4,E5は1つのクラックに属すると判断され、クラック候補領域E5とクラック候補領域E6とに着目した場合には、重心のx座標の差分が第1の閾値を超えているから1つのクラックに属さないと判断される。
【0045】
以上の結果をまとめると、クラック候補領域E1,E2は1つのクラックに属し、クラック候補領域E4、E5は1つのクラックに属し、他のクラック候補領域E3,E6は1つのクラックに属さない独立したクラック候補領域E3,E6と判定されることになる。
【0046】
上述のようにして、クラスタリング手段14では、各クラック候補領域E1〜E6のグループ分けを行った後に、グループごとに、y方向においてもっとも離れた端点についてy座標の差分を求め、当該差分が規定の第3の閾値以上であれば、クラックとしての十分条件が満たされたと判断する。
【0047】
要するに、クラック候補領域E1〜E6を抽出した後に、連結可能なクラック候補領域E1〜E6は連結してグループ分けを行い、判定手段15において、各グループごとの長さ寸法を規定の基準値と比較し、判定手段15では、長さ寸法が基準値よりも大きいときにはクラックが生じていると判定する。各グループの長さ寸法としては、当該グループに含まれるクラック候補領域における端点のy座標の最小値と最大値との差分を用いる。
【0048】
ところで、各一対のクラック候補領域E1〜E6について1つのクラックに属するか否かの判定について、上述の例では両クラック候補領域E1〜E6の重心のx座標の差分が第1の閾値以下であり、かつ両クラック候補領域E1〜E6の互いに近いほうの端点のy座標の差分が第2の閾値以下であることを必要条件としているが、さらに以下のように条件を分けるのが望ましい。


すなわち、上述の動作例と同様に、クラック候補領域E1〜E6の重心のx座標の差分について第1の閾値と比較し、x座標の差分が第1の閾値以下である一対のクラック候補領域E1〜E6を抽出する。次に、両クラック候補領域E1〜E6がy方向に重複する部分を有しているか否かを判定する。すなわち、各クラック候補領域E1〜E6の長手方向の両端点についてy座標を求め、求めたy座標の大小を比較する。
【0049】
いま、図5に示すように、着目する2個のクラック候補領域Ea,Ebについて、重心の座標を(xga,yga)(xgb,ygb)とし、各クラック候補領域Ea,Ebの長手方向の端点の座標を、それぞれ(xsa,ysa)(xea,yea)、(xsb,ysb)(xeb,yeb)とする。ただし、xga<xgb、ysa<yea、ysb<yebとする。これらの関係から、各クラック候補領域Ea,Ebをy軸に投影した幅(射影幅という)をそれぞれwya,wybとすれば、ysa=yga−wya/2、yea=yga+wya/2、ysb=ygb−wyb/2、yeb=ygb+wyb/2が成立する。
【0050】
上述した関係を用いることにより、図6に示すように、各クラック候補領域Ea,Ebについてy方向について重複する領域の有無に応じて場合分けを行い、さらに、各場合ごとに1つのクラックに属するか否かを判定する。図6に示すクラック候補領域Ea,Ebの位置関係において、図6(a)(b)はy方向について重複する領域がない場合の例であり、図6(c)(d)はy方向について重複する領域がある場合の例である。
【0051】
重複の有無を定量的に判定するには、まず、クラック候補領域Eaのy方向の両端点のy座標と、クラック候補領域Ebのy方向の両端点のy座標とを比較し、クラック候補領域Eaの両端点のy座標の範囲とクラック候補領域Ebの両端点のy座標の範囲とに重複する範囲があるか否かを判定する。両クラック候補領域Ea,Ebに重複する範囲が存在する場合は、以下のいずれかの関係が成立する。
(1)ysb≦ysa≦yeb≦yea
(2)ysa≦ysb≦yea≦yeb
(3)ysa≦ysb、かつyeb≦yea
(4)ysb≦ysa、かつyea≦yeb
クラスタリング手段14は、(1)〜(4)のいずれの条件も成立しないときには、両クラック候補領域Ea,Ebは重複する範囲を有していないと判断して、互いに近いほうの端点のy座標の差分を第2の閾値と比較する。つまり、min(ysa−yeb,ysb−yea)を第2の閾値と比較する。ただし、min(a,b)はa<bならばa、a>bならばbを意味する。この場合は、min(ysa−yeb,ysb−yea)が第2の閾値以下であれば、両クラック候補領域Ea,Ebを1つのクラックに属するものとして扱う。したがって、図6(a)の位置関係では結合し、図6(b)の位置関係では結合しない。
【0052】
一方、(1)(2)の一方が成立する場合は、図6(c)の位置関係のように、両クラック候補領域Ea,Ebのどちらにも重複しない部位が存在するから、この場合には両クラック候補領域Ea,Ebを1つのクラックに属するものとして扱う。また、(3)(4)の一方が成立する場合は、図6(d)の位置関係のように、両クラック候補領域Ea,Ebのうちの短いほうのすべての部位が長いほうに重複するから、この場合には各クラック候補領域Ea,Ebを個別のクラックに属するものとして扱う。
【0053】
クラスタリング手段14における上述の処理手順を図7にまとめて記載する。クラスタリング手段14では、まずエッジ候補領域について重心と端点との座標を求め(S1)、重心のx座標の小さいほうから順に並べる(S2)。また、隣接するクラック候補領域の重心のx座標の差分を求める。
【0054】
隣接する各一対のクラック候補領域について重心のx座標の差分を第1の閾値と比較し(S3)、第1の閾値を超えている場合には(S3:no)、各クラック候補領域を異なるクラックに属するものとして扱う(S8)。一方、第1の閾値以下であれば(S3:yes)、両クラック候補領域の重複の有無を判定する(S4)。
【0055】
両クラック候補領域が重複していなければ(S4:no)、両クラック候補領域について互いに近いほうの端点のy座標の差分を第2の閾値と比較する(S5)。ステップS5において、差分が第2の閾値以下であれば(S5:yes)、両クラック候補領域は1つのクラックに属するものとして扱い(S7)、ステップS5において、差分が第2の閾値を超えていれば(S5:no)、両クラック候補領域は異なるクラックに属するものとして扱う(S8)。
【0056】
また、両クラック候補領域が重複していれば(S4:yes)、両クラック候補領域について上述した(1)〜(4)の条件のいずれが成立するかを判定する(S6)。ステップS6において、(1)(2)のいずれかの条件が成立するときには(S6:yes)、両クラック候補領域は1つのクラックに属するものとして扱い(S7)、ステップS6において、(3)(4)のいずれかの条件が成立するときには(S6:no)、両クラック候補領域は異なるクラックに属するものとして扱う(S8)。
【0057】
以上の処理を採用することにより、クラック候補領域Ea,Ebを1つのクラックに属するものとして扱うか否かを決めることができ、上述したように、1つのクラックに属するクラック候補領域の長さ寸法を規定の基準値と比較することにより、クラックか否かを判定するのである。
【0058】
(実施形態2)
実施形態1のクラスタリング手段14において、クラック候補領域のグループ分けを行う際に、重心のx座標が小さいほうから順に隣接する各一対のクラック候補領域について1つのクラックに属するか否かを判定している。この場合、図4を用いて説明した動作から明らかなように、クラック候補領域E3〜E5は1つのクラックに属すると判定するのが合理的と考えられるにもかかわらず、クラック候補領域E4,E5のみが1つのクラックに属すると判定され、クラック候補領域E3は別のクラックと判定されることになる。
【0059】
本実施形態では、クラック候補領域E3〜E5が1つのクラックに属すると判定されるように、以下の手順によってクラック候補領域のクラスタリングを行う。クラック候補領域を1つのクラックに属すると判定する条件として、一対のクラック候補領域の重心のx座標の差分が規定の第1の閾値以下であることは実施形態1と同様である。
【0060】
ただし、実施形態1では、重心のx座標の差分が第1の閾値以下でかつ最小である一対のクラック候補領域についてのみ端点のy座標の差分が第2の閾値以下か否かを判定しているが、本実施形態では、重心のx座標の差分が第1の閾値以下であるすべての一対のクラック候補領域の互いに近いほうの端点のy座標の差分が第2の閾値以下か否かを判定する点が相違する。また、1つのクラックに属すると判定された一対のクラック候補領域は連結して新たなクラック候補領域として扱う。
【0061】
クラスタリング手段14においてクラック候補領域を連結する手順について説明する。図4に示した例を用いるとすれば、本実施形態のクラスタリング手段14では、まず、重心のx座標が1番小さいクラック候補領域E1と2番目に小さいクラック候補領域E2とについて、互いに近いほうの端点のy座標の差分を求め、当該差分が第2の閾値以下であるので1つのクラックに属すると判断する。
【0062】
本実施形態では、クラスタリング手段14により1つのクラックに属すると判断された一対のクラック候補領域E1〜E6を互いに連結して新たなクラック候補領域として扱う点に特徴がある。また、クラック候補領域E1〜E6を連結するにあたっては、重心のx座標が大きいほうのクラック候補領域E1〜E6の情報を更新する。つまり、ラベリングが行われた2個のクラック候補領域E1〜E6のうち、重心のx座標が大きいほうのクラック候補領域E1〜E6について、重心の座標および長手方向の端点の座標を更新する。
【0063】
さらに、クラック候補領域E1〜E6の連結に際しては、重心のx座標が大きいほうのクラック候補領域E1〜E6の慣性主軸を延長し、さらに、延長された慣性主軸に重心のx座標が小さいほうのクラック候補領域E1〜E6を投影し、両クラック候補領域E1〜E6の重心の座標と端点の座標とを決定する。
【0064】
上述の例では、クラック候補領域E2の慣性主軸の延長線にクラック候補領域E1を投影し、重心の座標と各端点の座標とを求める。求めた重心の座標および端点の座標は、クラック候補領域E2の属性として画像処理装置1に設けた記憶部(図示せず)に格納される。
【0065】
次に、クラック候補領域E2とクラック候補領域E3とについて重心のx座標の差分を求める。ここでは、クラック候補領域E2とクラック候補領域E3との重心のx座標の差分は第1の閾値よりも大きいものとする。したがって、クラック候補領域E2,E3は結合しない。
【0066】
クラック候補領域E3とクラック候補領域E4とについては、実施形態1と同様に、x座標の差分が第1の閾値以下であるものの、互いに近いほうの端点のy座標が第2の閾値を超えているから連結しない。この段階で、実施形態1では、クラック候補領域E4とクラック候補領域E5とについて1つのクラックか否かの判定を行っているが、本実施形態では、クラック候補領域E3について、重心のx座標が第1の閾値以下である他のクラック候補領域E5があれば、当該クラック候補領域E5についても連結可能か否かを判定する。
【0067】
つまり、クラック候補領域E3とクラック候補領域E5との互いに近い端点のy座標の差分が第2の閾値以下か否かを判定する。図示例では、クラック候補領域E3,E5の端点のy座標の差分が第2の閾値以下であるものとする。この場合、上述した規則に従ってクラック候補領域E5の慣性主軸の延長線にクラック候補領域E3を投影し、投影した情報を用いてクラック候補領域E5の情報を更新する。つまり、新たなクラック候補領域E5について、重心の座標と両端点の座標とを求める。
【0068】
仮に、クラック候補領域E3にクラック候補領域E5が結合の条件を満たさない場合には、他のクラック候補領域の中に、重心のx座標がクラック候補領域E3の重心のx座標よりも大きく、かつ重心のx座標の差分が第1の閾値以下になるものが存在するか否かを探索し、探索したクラック候補領域に結合可能か否かを判定する。他のクラック候補領域について結合可能か否かを判定する処理には制限回数が設定される。また、制限回数に達する前に、結合可能であるクラック候補領域が得られた場合には、クラック候補領域を結合する。
【0069】
図示例では、クラック候補領域E3がクラック候補領域E5に結合されることにより、クラック候補領域E3の結合先となるクラック候補領域の探索を終了し、クラック候補領域E4を結合するクラック結合領域を探索する処理に以降する。ここで、クラック候補領域E3をクラック候補領域E5に結合したときに、クラック候補領域E5の重心および端点の座標を変更しているから、クラック候補領域E4に対して次に探索するクラック候補領域は、クラック候補領域E3が結合されたクラック候補領域E5になる。
【0070】
この場合、重心のx座標の差分は第1の閾値以下になり、互いに近いほうの端点のy座標の差分は第2の閾値以下になるから、クラック候補領域E3を結合したクラック候補領域E5にクラック候補領域E4が結合される。つまり、クラック候補領域E5には、クラック候補領域E3とクラック候補領域E4とが結合される。
【0071】
次に、新たなクラック候補領域E5について、クラック候補領域E6と結合可能か否かが判定される。図示例では、更新後のクラック候補領域E5とクラック候補領域E6の重心のx座標の差分は第1の閾値を超えている場合を示しており、クラック候補領域E6は結合されない。
【0072】
上述した動作からわかるように、本実施形態の処理により1つのクラックに属するクラック候補領域を抜けなく結合することが可能になる。すなわち、実施形態1の手順よりもさらに精度よくクラック候補領域のグループ分けを行うことが可能になる。しかも、同一のグループに属するクラック候補領域は互いに連結されて1つのラベルが付与されているから、ラベルが付与されたクラック候補領域ごとに長さ寸法を規定の基準値と比較することにより、クラックか否かの判定を行うことができる。
【0073】
上述の例では、一対のクラック候補領域を連結するか否かの判定に際して、重心のx座標の差分と、互いに近いほうの端点のy座標の差分とを用い、各クラック候補領域が占めるy座標の範囲の重複の程度を考慮していないが、実施形態1と同様に、図6に示した手順で一対のクラック候補領域を連結するか否かを判定してもよい。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像処理装置
2 撮像装置
11 エッジ抽出手段
12 候補領域抽出手段
13 ラベリング手段
14 クラスタリング手段
15 判定手段
W 検査対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像した濃淡画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出する候補領域抽出手段と、クラック候補領域が複数抽出された場合に各クラック候補領域にそれぞれラベルを付与するラベリング手段と、着目する各一対のクラック候補領域について重心間の距離が規定した第1の閾値以下であり、かつ互いに近いほうの端点間の距離が規定した第2の閾値以下であるという規則が満たされたときに両クラック候補領域を連結するクラスタリング手段と、連結されたクラック候補領域の長さ寸法を規定の基準値と比較し長さ寸法が基準値よりも大きいときに検査対象物にクラックが生じていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記濃淡画像において一方の座標軸をクラックの伸びる方向に規定した直交座標系を設定し、前記クラスタリング手段は、他方の座標軸の方向において重心が隣接する各一対のクラック候補領域に着目し、両クラック候補領域が前記規則を満たすときに両クラック候補領域を連結することを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記クラスタリング手段は、前記他方の座標軸の方向において重心が隣接する一対のクラック候補領域について互いに近いほうの端点間の距離が前記第2の閾値を超えているときには、前記一対のクラック候補領域のうち重心が原点に近いほうのクラック候補領域に対する重心間の距離が前記第1の閾値以下である他のクラック候補領域を重心間の距離が小さいほうから順に選択し、重心が原点に近いほうのクラック候補領域と選択したクラック候補領域とが前記規則を満たすときに両クラック候補領域を連結することを特徴とする請求項2記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記クラスタリング手段は、一対のクラック候補領域を連結する際には、重心が原点から遠いほうのクラック候補領域の主軸の延長線上に、重心が原点から近いほうのクラック候補領域を投影することにより両クラック候補領域を結合し、結合後のクラック候補領域には重心から原点が遠いほうのクラック候補領域のラベルを付与して1個のクラック候補領域として扱うことを特徴とする請求項2又は3記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記クラスタリング手段は、着目する各一対のクラック候補領域について前記他方の座標軸の方向における重心間の距離が前記第1の閾値以下である場合に、前記一方の座標軸の方向における両クラック候補領域の端点の座標を用いて前記一方の座標軸の方向における両クラック候補領域の重複の有無を判別し、さらに、重複していない場合は、前記一方の座標軸の方向における互いに近いほうの端点間の距離が前記第2の閾値以下であれば両クラック候補領域を連結し、重複している場合は、重複していない部位があれば両クラック候補領域を連結することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記候補領域抽出手段は、前記エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素に関して着目する測度を計測し、計測値が規定の範囲であることを前記条件としてクラック候補領域を抽出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
検査対象物を撮像した濃淡画像からエッジを抽出した後、エッジ抽出手段により抽出したエッジ上の画素のうち規定の条件を満たす画素群をクラック候補領域として抽出し、クラック候補領域が複数抽出された場合には、各クラック候補領域にそれぞれラベルを付与し、さらに、着目する各一対のクラック候補領域について重心間の距離が規定した第1の閾値以下であり、かつ互いに近いほうの端点間の距離が規定した第2の閾値以下であるときに両クラック候補領域を連結し、連結されたクラック候補領域の長さ寸法を規定の基準値と比較し長さ寸法が基準値よりも大きいときに検査対象物にクラックが生じていると判定することを特徴とする外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−58939(P2011−58939A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208433(P2009−208433)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】