説明

外観検査装置の基板排出機構

【課題】大型の基板でもステージへの投入と外部への排出を容易且つ安全に行える。
【解決手段】基板2を製造ラインの搬送台5からロボット10によって外観検査装置1の基板検査用のステージ3に移動させ、検査終了後に搬送台に戻す。ステージ3の溝部12に伸縮支持アーム15を設けて、検査で欠陥を発見した一部の基板2をステージから基台6に排出する。伸縮支持アーム15は検査時に溝部内に降下して基板2をステージの真空吸着部13に支持させ、排出時に上昇して基板を受け取る。伸縮支持アーム15は固定アーム15aから第一伸縮アーム15bと第二伸縮アーム15cを延ばし、第二伸縮アーム15cを基台6上に位置させる。各アームにはコロを設け、基板2を押してコロ上を滑らせて移動させ、作業者が基台6に移し替える。試作品用の基板2Aは基台6から伸縮支持アーム15でステージに供給し、検査終了後に基台に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板や半導体基板等の各種の基板、好ましくは大型基板を検査する外観検査装置における基板排出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)といったフラットパネルディスプレイの分野では、フラットパネルディスプレイ製造工程において、ガラス基板を製造し、欠陥検査が行われている。欠陥検査手法として基板上のゴミ等の異物やキズ等の欠陥を目視で検査するマクロ検査と高倍率の撮像カメラで撮像してモニターで拡大観察するミクロ検査とがある。
例えば、特許文献1では、板状基板検査装置(外観検査装置)において大型基板をステージ台上で支持して水平移動させたり水平軸回転や垂直軸回転させて目視検査即ちマクロ検査するようになっている。そして目視検査で確認した欠陥や基板上の任意の位置を顕微鏡付きの撮像カメラでミクロ検査するようにしている。
【0003】
一般に、検査用の大型基板は製造工程で製造された後、搬送台に載置された状態で搬送ライン(製造ラインともいう)を搬送されて基板検査装置の位置で停止させられ、ロボット等を用いて基板検査装置のステージに移送され、マクロ検査やミクロ検査等の外観検査に供される。そして外観検査で異常のなかった基板はロボット等によって搬送台に戻されて次工程に送られる。
基板検査装置において欠陥が検出された基板や破損した基板は、搬送ラインの搬送台に戻すことなくオペレータが手作業で取り出し、廃棄したり再処理している。
また、量産される基板を検査する通常の外観検査モードとは別に、例えば試作品として製造した基板を外観検査装置におけるステージに載置して外観検査を行うことがあり、これは手置きモードと呼ばれている。基板の厚さの薄肉化と外形の大型化が進んだために、手置きモードにおいて、試作品基板を作業者が搬送ラインに投入して外観検査装置で検査し、更に排出することが困難である。そのため、搬送ラインの製品製造工程内に試作品基板の検査工程を組み込んで外観検査を行う必要がある。手置きモードでは、基台に載置してステージの横に搬送した試作品の基板を操作者が手動でステージ上に移送し、外観検査終了後においても手動によってステージから基台に移送していた。
なお、製造工程の搬送ラインで、外観検査装置において基板が破損等した場合、ロボットによる排出作業ができない。この場合には、作業者による手動の排出作業が行われており、これも手置きモードという。
【特許文献1】特開2003−14649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、ガラス基板等が大型化して一辺が2mを越えるような大型サイズのものが出現している。このような大型基板は薄型であるため、手置きモードの場合、基台上の大型基板を手動でステージ上に移送したり、ステージ上から基台に手動で移送するのは破損等のおそれがあり、困難であった。特に検査終了後のステージ上の大型基板を基台に移送する場合には、数名の作業者がステージのフレーム内に入り御輿をかつぐように持ち上げて排出移動させるため大変な手間になっていた。
また外観検査装置に試作品検査工程を追加してロボットによって試作品基板を投入・排出を行うとすると、本来の製造工程による検査や処理に支障を来すという欠点がある。
また通常の外観検査モードにおいても、検査中に破損したり不良と判定された大型基板を外部に排出する場合には搬送ライン上の搬送台に戻さずに排除する必要があるため、ロボット等を使用できず、手作業で行わざるを得なかった。特に破損した大型基板について、作業者の手作業によってステージから排出させるのは大きな手間がかかり煩雑であった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みて、基板が大型化しても搬送ライン外への基板の排出と製造ライン外からの基板の投入とを容易且つ安全に行えるようにした外観検査装置の基板排出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による外観検査装置の基板排出機構は、基板を支持する搬送部からロボットによって基板を検査用のステージに移動させ、該ステージ上で基板を検査して前記搬送部に戻すようにした外観検査装置において、ステージに設けられていて検査された一部の基板または他の基板をステージから排出させるアーム部と、該アーム部で排出された一部の基板または他の基板を受け取る排出用基台とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、製造工程におけるステージでの検査で例えば欠陥が発見された一部の基板や例えば試作品用等の他の基板をアーム部を介して製造ライン上の搬送部とは異なる排出用の基台に移載することができ、また試作品用等の他の基板は排出用基台で提供され、アーム部を介してステージに移動させて外観検査に供することができる。従って、ステージから欠陥のある一部の基板や試作品用等の他の基板を基台に排出する際に、ステージ内に作業者が入って手作業で排出作業を行う必要がなく、大型基板でも簡単且つ容易に排出でき、安全性が高い。
【0007】
また本発明による外観検査装置の基板排出機構は、基板を支持する搬送部からロボットによって基板を検査用のステージに移動させ、該ステージ上で基板を検査して搬送部に戻すようにした外観検査装置において、排出用基台に設けられていて検査された一部の基板または他の基板をステージから排出させるアーム部と、アーム部で排出された一部の基板または他の基台を受け取る排出用基台とを備えていることを特徴とする。
本発明においても、ステージでの検査で例えば欠陥が発見された一部の基板や例えば試作品用等の他の基板をアーム部を介して排出用の基台に移載することができ、また試作品用等の他の基板は排出用基台から提供され、アーム部を介してステージに移動させて外観検査に供することができる。
【0008】
また、他の基板は排出用基台から供給されてステージで検査される例えば試作品用等の基板であってもよい。
また、アーム部は伸縮可能な棒状部材であり、伸張したアーム部の一端部はステージに配設され、他端部は排出用基台に配設されていて、アーム部は一端部と他端部のいずれかで固定状態に取付けられており、アーム部には一部の基板または他の基板を移動させるためのローラが所定間隔で備えられていることが好ましい。
上述した基板は自転するローラ上を滑りながらステージと排出用基台との間を簡単且つ安全に移動させられ、作業者が手動で持ち上げてステージから移動するよりも作業が容易である。
【0009】
また、アーム部はステージ及び排出用基台の一方から他方に向けて回動可能なガイドアームからなり、ステージまたは排出用基台には補助アームが備えられており、アーム部と補助アームには一部の基板または他の基板を移動させるためのローラが所定間隔で備えられていてもよい。
ガイドアームと補助アームとの間で受け渡すことにより、一部の基板または他の基板をステージと排出用基台との間でローラ上を滑らせながら移動できる。
また、アーム部は移動可能なレールを備えており、該レールに設けた昇降部材によって支持された一部の基板または他の基板をステージと排出用基台の一方から他方に移動させる際に、一部の基板または他の基板はステージに取付けられた部品よりも高い位置に支持させることができる。
レールと昇降部材によって基板または他の基板を移動させる際、ステージの部品より高い位置を移動させることで干渉を防いでスムーズに移動できる。
【0010】
また、アーム部はステージまたは排出用基台に設けた溝部に収容されており、該溝部から昇降可能とされていてもよい。
特に溝部を複数組設けておき、排出や検査する基板または他の基板の外形寸法の大きさに応じて大小間隔の異なるいずれかの組の溝部を選択することで、アーム部を好適な間隔に設定できる。
また、排出用基台に排出する一部の基板は製造ラインで外観検査装置に搬送された基板のうちの欠陥を有するものであり、他の基板は別ルートの排出用基台で外観検査装置に移送されてきた試作品の基板である。
これらの基板や他の基板は製造ラインの搬送部に送り出すことなく、ステージの外部に排出するために排出用基台に排出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の外観検査装置の基板排出機構によれば、ステージでの検査で例えば欠陥が発見された一部の基板や例えば試作品用等の他の基板をアーム部を介して製造ライン上の搬送部とは異なる排出用の基台に移載することができるから、ステージから例えば欠陥のある一部の基板や試作品用等の他の基板を基台に排出する際に、ステージ内に作業者が入って手作業で排出作業を行う必要がなく、大型基板でも簡単且つ容易に排出できて作業労力が小さく、安全性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第一実施形態による外観検査装置を図1乃至図5により説明する。
図1は本発明の第一実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図、図2は同じく正面図、図3は外観検査装置の平面図、図4はステージから基台に基板を移送した状態を示す平面図、図5は図4におけるアーム部を示す側面図である。
図1に示す外観検査装置1は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等に用いるガラス基板等の薄型の基板2をステージ3に載置させて外観検査するものである。ステージ3は保持台4上に設けられており、ステージ3には図示しない基板保持機構が設けられている。基板保持機構は上述した従来技術の外観検査装置と同様にステージ3上に基板2を載置させた状態で、ステージ3と基板2を、マクロ検査では任意角度に揺動と回転を行い、ミクロ検査ではX−Y方向に水平移動を行うことになる。
基板2は例えば2m×2mまたはそれ以上の略正方形または長方形の板状に形成され、その上方には基板2の検査部位を照明するための図示しない照明部と検査部位を撮像してモニター画面を通して観察するための撮像部が配設されている。
【0013】
ステージ3の一方の側部には、製造工程で製造された基板2を載置して搬送するための搬送部である搬送台5が搬送ライン(製造ラインともいう)上を間欠搬送するように設けられ、ステージ3に並列する位置で一時停止するようになっている。ステージ3に対して搬送台5と反対側には基台6が配設されている。基台6は外観検査で不良と判定された基板2を搬送ラインの搬送台5に戻すことなく排出するためのものであり、また手置きモードに使用して例えば試作品として製作した基板2Aを搬送ラインの外観検査装置1のステージ3で検査するための載置台である。
搬送ライン上の搬送台5上には一対のアーム8、8と一対のアーム8、8を連結支持する支持部9を基板2の搬送ライン方向に略直交する方向に進退可能に保持するロボット10が設けられている。ロボット10は、アーム8,8によって搬送台5上の基板2を持ち上げてステージ3上に移送し、またステージ3上から検査終了後の基板2を搬送台5に戻すことができる。
【0014】
ステージ3は四角形、例えば正方形のフレーム状に形成され、その内部空間を形成する窓部3a内から基板2を支えるための複数のリフトピン11が進退可能とされている。図3及び図4において、ステージ3の窓部3a側端部には基板2の四辺のエッジを吸着するための真空吸着部13が所定間隔で複数配設されている。ステージ3の窓部3aでは載置された基板2のたわみを抑制するために棒状の保持部材14が1本または複数本所定間隔でステージ3に取付けられている。保持部材14にも真空吸着部13が設けられている。
そして、図1乃至図4において、ステージ3の窓部3aにおける搬送台5の搬送ライン方向に対向する両端縁部には溝部12、12が形成され、各溝部12、12には伸縮支持アーム部15、15がそれぞれ嵌め込まれている。伸縮支持アーム部15はステージ3に固定保持された固定アーム部15a、固定アーム15aから伸縮可能な第一伸縮アーム15b、第一伸縮アーム15bから伸縮可能な第二伸縮アーム15cとで構成されている。各アーム15a、15b、15cは伸縮状態に関わらず上面がほぼ同一高さに保持されていて、それぞれ回転自在なコロ16が所定間隔で支持されている。
そして、伸縮支持アーム部15は収縮状態でステージ3の溝部12に保持されており、伸張状態で基台6上に第二伸縮アーム15cが延びるようになっている。そのため、伸縮支持アーム部15に載置された基板2はステージ3と基台6との間でコロ16上を移動可能とされている。伸縮支持アーム部15は固定アーム15aにおいてステージ3に対して上下動可能とされている。
なお、伸縮支持アーム部15及び基台6は基板排出機構18を構成する。
【0015】
本実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18は上述の構成を備えており、次に作用を説明する。
先ず最初に製造工程における外観検査モードについて説明する。
製造工程で製造された基板2を搬送ライン上の図示しないガス浮上ステージに移載し、基板2の端部を図示しない基板搬送部で吸着保持する等して搬送台5と共に基板2を検査部における外観検査装置1に対向する位置に搬送する。検査部において、基板2は図1及び図2に示すように搬送台5の上方に保持された状態で、基板2の下側にロボット10が移動して浮上することで基板搬送部から基板2を受け取り下方から支持することになる。
そして、図1及び図2に示すように、ロボット10を外観検査装置1のステージ3上に水平移動させる。この状態でステージ3の窓部3a内に配設されたリフトピン11が上昇することで基板2をロボット10から受け取り、ロボット10は元の位置に後退する。次に基板2はリフトピン11が降下することでステージ3上に載置され、窓部3a側の四辺側縁に設けられた真空吸着部13で吸着されて保持される。この状態で基板2はマクロ検査やミクロ検査等の外観検査に供される。
外観検査終了後に良品と判定されたものはロボット10によって搬送台5上に戻され、基板搬送部によって次工程に搬送される。
【0016】
しかし、外観検査で欠陥が検出され、不良品と判定された基板2は搬送ラインの外に排出される。この場合、基板2を受け取るための基台6を外観検査装置1のステージ3に対して搬送台5の反対側に配設しておく。そして、ステージ3の溝部12、12から伸縮支持アーム15、15が上昇して基板2を真空吸着部13から受け取り、下方から支持する。この場合、基板2は伸縮支持アーム15の固定アーム15aに設けたコロ16によって
支持されている。
次に、伸縮支持アーム15を伸張させて固定アーム15aから第一伸縮アーム15b及び第二伸縮アーム15cを伸ばすと、第二伸縮アーム15cは基台6上に延びる(図1、図4、図5参照)。この状態で基板2を作業者が回転自在なコロ16に沿って滑らせて押しながら固定アーム15aから第一伸縮アーム15b、第二伸縮アーム15cまで移動させる(図4参照)。そして、第二伸縮アーム15c上の基板2を作業者が持ち上げ、第二伸縮アーム15cを収縮させて第一伸縮アーム15b内に移動させ基台6上に基板2を載置させる。
そして第二伸縮アーム15cを固定アーム15aに収納させて溝12,12に降下させ、収容する。
【0017】
次に手置きモードによる外観検査について説明する。手置きモードでは、検査対象となる試作品による基板2は、上述の製造工程で製造されて検査される基板2と区別するために符号2Aを用いる。
この場合、製造工程における搬送ラインの外観検査部から外観検査装置1を予め設定した試作品検査部まで移動させて設置してもよいし、或いは搬送ラインの外観検査部における外観検査装置1に隣接する位置に基板2Aを載置した基台6を移送し、製造工程の搬送ラインを一時停止させて検査してもよい。図1及び図2は後者の形態を示す。
この場合でも、外観検査装置1と基台6の構成は上述の構成と同一である。
試作品からなる基板2Aの検査に際して、外観検査装置1においてステージ3の溝部12、12から伸縮支持アーム15、15を上昇させ、固定アーム15aに対して第一伸縮アーム15bを外観検査装置1外に突出させ、更に第二伸縮アーム15cを伸張させて基台6上に延ばす。そして、作業者が基板2Aを手で持ち、第二伸縮アーム15cに載置させる。基板2Aを第二伸縮アーム15c、第一伸縮アーム15bそして固定アーム15aの各コロ16上を滑らせて固定アーム15a上に位置させる。
【0018】
そして、第二伸縮アーム15c及び第一伸縮アーム15bを固定アーム15aに収納させる。基板2Aを載置した伸縮支持アーム15、15を降下させてステージ3の溝部12、12に収容させ、基板2Aの四辺側縁部をステージ3の真空吸着部13で吸着保持する。
この状態で、ステージ3及び基板2Aを傾斜させたりX−Y移動させたりしてマクロ検査とミクロ検査を行う。
【0019】
そして、外観検査終了後、伸縮支持アーム15、15を上昇させて真空吸着部13から基板2Aを受け取り、更に伸縮支持アーム15、15の固定アーム15aから第一伸縮アーム15b、第二伸縮アーム15cを基台6上に延ばす。そして、基板2Aをコロ16上を滑らしながら固定アーム15aから第二伸縮アーム15cまで移送する。次いで、作業者によって基板2Aを第二伸縮アーム15cから持ち上げ、伸縮支持アーム15、15を収縮させると共に、基板2Aを基台6に載置する。
なお、上述の説明では、基台6と第二伸縮アーム15c、15cとの間で基板2または2Aを移載する場合に作業者が手作業で持ち上げて移動させるようにしたが、このような構成に限定されない。例えば基台6に昇降可能な複数のリフトピン11やリフト部材等を配設し、基台6と第二伸縮アーム15c、15cとの間で基板2、2Aの受け渡しを行うようにしてもよい。
【0020】
上述のように本実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18によれば、2m×2mまたはそれ以上の辺長をなす薄型で大型の欠陥のある基板2や試作品の基板2A等であっても、外観検査装置1のステージ3から製造工程の搬送ライン外に配置した基台6に排出する場合や、基台6からステージ3に試作品基板2Aを移載する場合でも、伸縮支持アーム15、15上を滑らせながら排出・投入させることができる。そのため、欠陥や破損のある基板2や試作品の基板2Aを簡単且つ破損のおそれなくステージ3と排出用の基台6との間で受け渡しができ、特にステージ3上で基板2、2Aを伸縮支持アーム15と受け渡す際における作業の安全性が高い。
【0021】
次に本発明の他の実施形態について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部材、部品には同一の符号を用いて説明を省略する。また、以下では手置きモードについて説明する。
図6は本発明の第二実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。図6において、外観検査装置1の基板排出機構18として、伸縮支持アーム15をステージ3に着脱式に設けている。外観検査装置1のステージ3において、窓部3aの側縁の対向する二辺に沿って第一溝部20a、20aが形成され、更にその内側には第二溝部20b、20bが形成されている。各溝部20a、20bには選択的に伸縮支持アーム15が着脱可能に装着され、装着状態で固定アーム15aに対して第一伸縮アーム15b、第二伸縮アーム15cが伸縮可能とされている。なお、各アーム15a、15b、15cには所定間隔でコロ16が設けられている。
【0022】
そのため、試作品の基板2Aまたは製造工程で製造された基板2が大型の外形寸法を有する場合には、第一溝部20a、20aに伸縮アーム15、15を装着してステージ3と基台6との間で基板2Aまたは基板2の受け渡しや移送を行うことができる。また基板2Aまたは基板2が比較的小型の外形寸法を有する場合には、第二溝部20b、20bに伸縮アーム15、15を装着してステージ3と基台6との間で基板2Aまたは基板2の受け渡しや移送を行うことができる。
なお、第一溝部20a、第二溝部20bは基台6に設けて伸縮支持アーム15をステージ3に延ばすようにしてもよい。
また、溝部は2組に限定されることなく3組以上設けてもよい。
【0023】
従って本実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18によれば、試作品の基板2Aや基板2の大きさに応じて適切な位置を支持できるため、基板2Aや基板2の破損のおそれが一層小さく外観検査や移送の安全性が高い。
【0024】
図7は本発明の第三実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18を示す要部平面図である。図7において、外観検査装置1の基板排出機構18として、伸縮支持アーム15を、ステージ3に代えて試作品の基板2Aまたは欠陥のある基板2を排出するための基台6に設けている。
この場合、試作品の基板2Aの外観検査を行うためには、基台6に取付けた一対の伸縮支持アーム15,15に試作品の基板2Aを載置し、この状態で伸縮支持アーム15の固定アーム15aに対して第一伸縮アーム15b、第二伸縮アーム15cを延ばして第二伸縮アーム15cをステージ3上に位置させる。そして基板2Aを各アーム15a、15b、15c上のコロ16で滑らせて移動させ、第二伸縮アーム15c上に持ちきたす。
次に窓部3a内の複数のリフトピン11を上昇させて基板2Aを第二伸縮アーム15cから受け渡す。第二伸縮アーム15c、第一伸縮アーム15bを収縮させた後にリフトピン11を降下させて窓部側縁の真空吸着部13で基板2Aを吸着させる。この状態で外観検査を行う。
【0025】
次にステージ3上に載置した試作品の基板2Aまたは基板2を基台6に排出するには、複数のリフトピン11で基板2A、2を持ち上げた状態で、伸縮支持アーム15の第一伸縮アーム15b、第二伸縮アーム15cを延ばす。次いで、リフトピン11を降下させて基板2A、2を第二伸縮アーム15cに受け渡し、コロ16に沿って基台6の固定アーム15a上に移動させる。そして、第一、第二伸縮アーム15c、15bを収縮させて固定アーム15aに収納する。
本実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18においても上述した第一実施形態によるものと同様の効果を奏することができる。
【0026】
図8は本発明の第四実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18を示す部分縦断面図である。図8に示す外観検査装置1の基板排出機構18において、ステージ3の窓部3a近傍には、平面視略四角形の各角部を形成する両辺にそれぞれ軸23a回りに回転可能な落下防止部材23が取付けられている。基板2Aをステージ3の所定位置に載置して真空吸着部13で吸着した際に、各落下防止部材23が基板2Aの各角部近傍を押さえつけて基板2の位置ずれやステージ3からの落下等を防止する。
また、ステージ3の窓部3aの対向する二側面の下部内側には空間を広げる段差部3bが形成されている。段差部3bには基板2Aを支持してステージ3と基台6との間で往復移送させる移動機構24が配設されている。
移動機構24では、固定部材25が段差部3bの角部に固定されている。固定部材25に固定されたコ字状ガイド溝26にはレール27がステージ3と基台6との間を往復移動可能に配設され、レール27はガイド溝26に沿って摺動するようになっている。レール27には昇降ユニット28が固定され、昇降ユニット28には上下動可能な昇降部材29が取付けられている。昇降部材29はシリンダやモータ等で昇降ユニット28に沿って昇降する機構であり、その先端側のピン部29aで基板2を支持するようになっている。
なお、対向する外観検査装置1の側面と基台6の側面には移動機構24が水平移動するのを許す切り欠け部(図示せず)が形成され、各切り欠け部にはアタッチメントを着脱可能に取付けた構造を有している。
【0027】
そのため、例えば、基台6から基板2を外観検査装置1のステージ3上に移送する場合、移動機構24に設けたレール27を昇降ユニット28及び昇降部材29と共に基台6内に移動させ、昇降部材29を上昇させてピン部29aで基板2Aを支持してステージ3に持ちきたす。このとき、上昇位置にある昇降部材29で支持された基板2Aは図8に示す退避状態の起立した落下防止部材23の上方を移動するように構成されている。
そして、移動機構24によって基板2Aをステージ3上の所定位置に移動させた状態で昇降部材29を降下させて基板2Aをステージ3上に載置させ、真空吸着部13で吸着保持する。更に落下防止部材23を軸23a回りに回動させて基板2の上端を押さえつけることになる。基板2を基台6に戻すには上述した動作と逆の動作を行えばよい。
本実施形態によれば、基板2Aまたは基板2をステージ3と基台6との間で移動させる際に、移動機構24の昇降部材29で落下防止部材23の上方を移動させることができるため、干渉するおそれがない。
なお、移動機構24を基台6に設けてステージ3との間でレール27及び昇降ユニット28等を移動させて基板2Aまたは基板2を移動させるようにしてもよい。
【0028】
図9は本発明の第五実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。図9において、第五実施形態による外観検査装置1の基板排出機構18は基板2、2Aを基台6との間で移送するための伸縮アーム15は備えられていない。本実施形態による基板排出機構18では、平面視略L字形状の一対のガイドアーム32、32がステージ3の対向する二辺の角部から二辺に沿って配設されている。なお、各ガイドアーム32はステージ3及び基台6よりも高い位置に保持されている。
各ガイドアーム32は各辺に沿う長辺部32aとステージ3の角部で屈曲する短片部32bとで構成され、長辺部32aには所定間隔で回転自在の複数のコロ16が配設されている。短片部32bの自由端部にはガイドアーム32を回転可能に支持する支軸33が設けられている。そのため、各ガイドアーム32がステージ3の対向する二辺とその角部に当接した状態(実線図示)を待機状態とし、各ガイドアーム32を支軸33回りに略180度回転させて基台6上に略平行に延ばした状態(一点鎖線図示)を移送状態とする。
また、ステージ3の窓部3a内には待機状態の対向するガイドアーム32、32と略平行な位置に補助アーム34、34が設けられている。各補助アーム34はステージ3の真空吸着部13近傍即ち窓部3aの端縁に設けられ、窓部3a内に昇降可能とされている。
【0029】
本実施形態による基板排出機構18は上述の構成を備えているから、試作品用の基板2Aを基台6から外観検査装置1のステージ3に移送するには、一対のガイドアーム32、32を待機状態から基台6上に回動して移送状態に保持し、作業者が基板2Aを保持してガイドアーム32,32上に載置させ、コロ16上を滑らせて基板2Aをステージ3へ移送する。
基板2Aをガイドアーム32,32からステージ3上に移載する際、ステージ3の窓部3a内に位置する補助アーム34、34をガイドアーム32と同一高さまで上昇させ、基板2Aをガイドアーム32,32から補助アーム34、34に移し替える。そして、補助アーム34、34を降下させてステージ3の真空吸着部13に吸着させた状態に保持して外観検査を行う。
また、外観検査終了後、試作品の基板2Aまたは量産品で欠陥のある基板2を基台6に排出するには上述の動作と逆の手順で動作を行えばよい。
【0030】
なお、上述の第二実施形態において、ステージ3に複数種類の溝部20a、20bを設けて基板2、2Aの外形の大きさに応じて2種の溝部20a、20bの一方に選択的に伸縮支持アーム15を装着するようにしたが、これに代えて排出用の基台6に同様な複数種類の溝部を設けて選択的に伸縮支持アーム15を取付けてステージ3まで延ばすようにしてもよい。
また第五実施形態において、一対のガイドアーム32、32を排出用基台6の両側面に回転可能に設けて移送状態でガイドアーム32、32をステージ3上に延ばすようにしてもよい。この場合、補助アーム34を基台6上に設けて基板2Aを移送する。
なお、アーム部として、伸縮支持アーム15、レール27及び昇降ユニット28及び昇降部材29,ガイドアーム32及び補助アーム34が含まれる。また、基台6は排出用基台を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。
【図2】図1に示す外観検査装置の基板排出機構を示す要部側面図である。
【図3】伸縮支持アームを有する外観検査装置のステージの平面図である。
【図4】図4はステージから基台に基板を移送した状態を示す平面図である。
【図5】伸縮支持アームを伸張させた状態を示す側面図である。
【図6】第二実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。
【図7】第三実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。
【図8】第四実施形態による外観検査装置の基板排出機構における移動機構を示す要部受断面図である。
【図9】第五実施形態による外観検査装置の基板排出機構を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 外観検査装置
2 基板
2A 試作品の基板(他の基板)
3 ステージ
5 搬送台(搬送部)
6 基台
10 ロボット
11 リフトピン
14 保持部材
15 伸縮支持アーム(アーム部)
15a 固定アーム
15b 第一伸縮アーム
15c 第二伸縮アーム
16 コロ(ローラ)
18 排出機構
23 落下防止部材(部品)
24 移動機構
27 レール
29 昇降部材
29a ピン部
32 ガイドアーム(アーム部)
33 支軸(アーム部)
34 補助アーム(アーム部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する搬送部からロボットによって基板を検査用のステージに移動させ、該ステージ上で基板を検査して前記搬送部に戻すようにした外観検査装置において、
前記ステージに設けられていて検査された一部の前記基板または他の基板をステージから排出させるアーム部と、
該アームで排出された前記一部の基板または他の基板を受け取る排出用基台と、
を備えていることを特徴とする外観検査装置の基板排出機構。
【請求項2】
基板を支持する搬送部からロボットによって基板を検査用のステージに移動させ、該ステージ上で基板を検査して前記搬送部に戻すようにした外観検査装置において、
排出用基台に設けられていて検査された一部の前記基板または他の基板を前記ステージから排出させるアーム部と、
該アーム部で排出された前記一部の基板または他の基台を受け取る前記排出用基台と、
を備えていることを特徴とする外観検査装置の基板排出機構。
【請求項3】
前記他の基板は排出用基台から供給されてステージで検査される基板である請求項1または2に記載の基板排出機構。
【請求項4】
前記アーム部は伸縮可能な棒状部材であり、伸張したアーム部の一端部はステージに配設され、他端部は排出用基台に配設されていて、前記アーム部は一端部と他端部のいずれかで固定状態に取付けられており、前記アーム部には前記一部の基板または他の基板を移動させるためのローラが所定間隔で備えられている請求項1乃至3のいずれかに記載の基板排出機構。
【請求項5】
前記アーム部はステージ及び排出用基台の一方から他方に向けて回動可能なガイドアームからなり、前記ステージまたは排出用基台には補助アームが備えられており、前記アーム部と補助アームには基板または他の基板を移動させるためのローラが所定間隔で備えられている請求項1乃至3のいずれかに記載の基板排出機構。
【請求項6】
前記アーム部は移動可能なレールを備えており、該レールに設けた昇降部材によって支持された前記一部の基板または他の基板を前記ステージと排出用基台の一方から他方に移動させる際に、前記基板または他の基板はステージに取付けられた部品よりも高い位置に支持されるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の基板排出機構。
【請求項7】
前記アーム部はステージまたは排出用基台に設けた溝部に収容されており、該溝部から昇降可能とされた請求項1乃至4のいずれかに記載の基板排出機構。
【請求項8】
前記一部の基板は製造ラインで外観検査装置に搬送されてきた基板のうちの欠陥を有するものであり、前記他の基板は排出用基台で外観検査装置に移送されてきた試作品の基板である請求項1乃至7のいずれかに記載の基板排出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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