説明

外観検査装置

【課題】電子部品の稜線部までも明瞭に撮像することできる外観検査装置を得る。
【解決手段】矢印a方向に間欠的に回転駆動される搬送テーブル20に形成された凹部21に直方体形状の電子部品120を1個ずつ収容し、該電子部品120の外観をCCDカメラ70で撮像する外観検査装置。凹部21は搬送テーブル20の上面及び外周面に開口しており、凹部21の側面21aとテーブル20の上面とからなる稜線部には傾斜面21bが形成されている。また、外周ガイド部材30の側面30aとテーブル20の上面とからなる稜線部には傾斜面30bが形成されている。この傾斜面21b,30bによって照明光yが電子部品120の稜線部にまで隈なく届くことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置、特に、コンデンサなどの電子部品の外観を撮像して検査し、良否を判別するための外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサやインダクタなどの電子部品は、製造工程の最終段階で、電気特性や外観を検査して良・不良を判別し、不良品を排除して良品のみをテーピングしている。外観検査は搬送テーブルの凹部に収容された電子部品に照明光を当てて撮像し、撮像された画像を観察して良否を判別していた。この種の外観検査装置としては特許文献1を挙げることができる。
【0003】
この種の外観検査装置にあっては、図6に示すように、矢印a方向に回転する円盤状の搬送テーブル100の外周縁部に形成した凹部101に電子部品120を収容し、かつ、ガイド部材110で外周部を封止した状態で、搬送テーブル100の主面側から照明光yを当てCCDカメラ(図示せず)で撮像していた。なお、電子部品120の上面には円形の方向識別マーク121が形成されている。また、105はベース、106はカバーガラスである。
【0004】
しかしながら、図6に示した外観検査装置にあっては、図示しない吸着保持手段によって図6(A)に示すように、凹部101の側面101a及びガイド部材110の側面110aに接触した状態で吸着保持されている。従って、照明光yを当てた場合、凹部101の稜線部101b及びガイド部材110の稜線部110aによって照明光yの一部が遮られ、電子部品120の稜線部に光が届かずに、CCDカメラの撮像画像による外観選別に支障が生じていた。具体的には、図7に×印を付した部分の画像が不鮮明になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−241596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、電子部品の稜線部までも明瞭に撮像することのできる外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一形態である外観検査装置は、
一方向に間欠的に回転駆動される搬送テーブルに形成された凹部に直方体形状の電子部品を1個ずつ収容し、該電子部品の外観を撮像して検査する外観検査装置において、
前記凹部は前記搬送テーブルの一主面及び外周面に開口しており、
前記凹部の前記一主面に対向する位置に撮像手段及び照明手段が配置され、
前記凹部の側面と前記一主面からなる切欠き状の稜線部に設けられた第1の傾斜面を有していること、
を特徴とする。
【0008】
前記外観検査装置において、搬送テーブルの凹部に収容された電子部品に対して照明手段から光が照射される。凹部の側面と一主面からなる稜線部には第1の傾斜面が設けられているため、照明光は稜線部に遮られることなく電子部品の角部にまで隈なく届き、電子部品の表面が鮮明に撮像される。これにて、電子部品の外観を支障なく検査することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品の稜線部までも明瞭に撮像することができ、外観選別の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】外観検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】第1実施例である外観検査装置の要部を示し、(A)は平面図、(B)は(A)のX1−X1断面図、(C)は(A)のX2−X2断面図である。
【図3】電子部品に対する照明状態の説明図であり、(A)は同軸落射照明を示し、(B)はリング照明を示す。
【図4】第2実施例である外観検査装置の要部を示し、(A)は平面図、(B)は(A)のX3−X3断面図、(C)は(A)のX4−X4断面図である。
【図5】第3実施例である外観検査装置の要部を示し、(A)は(B)のX5−X5断面図、(B)は裏面図、(C)は(B)のX6−X6断面図である。
【図6】従来の外観検査装置の要部を示し、(A)は平面図、(B)は(A)のX7−X7断面図、(C)は(A)のX8−X8断面図である。
【図7】従来の外観検査装置における照明光の影を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子部品の外観検査装置の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
(検査装置の概略構成、図1参照)
電子部品の特性を測定し、外観を検査する装置の一例につき、その概略を図1を参照して説明する。
【0013】
この検査装置1は、図1に示すように、チップ型電子部品(ここでは、積層セラミックコンデンサを対象としている)をパーツフィーダ10から、搬送テーブル20に供給し、搬送テーブル20が矢印a方向に間欠的に回転するに伴って、電子部品の電気特性を測定するとともに外観を検査し、不良品を取り除いた後、矢印b方向に間欠的に搬送されるテープ50の凹部51に良品を1個ずつ収容するようにしたものである。
【0014】
搬送テーブル20は、円盤状をなし、その外周縁部に電子部品を1個ずつ収容する凹部21を有し、該凹部21の配置ピッチごとに矢印a方向に間欠的に回転しつつ供給ステーション41で電子部品が収容される。搬送テーブル20の外周面に対向して凹部21の外周側を封止するための外周ガイド部材30が、図1に斜線を付して示すように、テープ50の搬送領域を除いて配置されている。
【0015】
凹部21に収容された電子部品はステーション42で容量特性を測定され、ステーション43で電圧特性を測定され、ステーション44で外観を検査される。それぞれのステーション42,43,44での測定/検査によって不良品と判別された電子部品は、外周ガイド部材30に形成した取出し部31から排除される。良品と判別された電子部品は、排出ステーション45において搬送テーブル20からテープ50に受け渡される。また、排出ステーション45を含めてテープ50の表面を覆うように図示しないカバー部材が設けられている。
【0016】
テープ50は、前記凹部21と同じピッチで電子部品を1個ずつ収容する凹部51が形成されており、供給リール52から繰り出されて矢印b方向に搬送され、良品と判別された電子部品が排出ステーション45にて凹部51に収容される。電子部品を収容されたテープ50の表面にはシールテープ53が貼り付けられ、ヒータ54で溶着された後、リール55に巻きとられる。
【0017】
なお、ステーション42,43での特性測定、検査や良否の判別手法などに関しては従来と同様であり、詳細な説明は省略し、以下に外観検査ステーション44の構成に関して説明する。
【0018】
(第1実施例、図2〜図3参照)
図2に示すように、搬送テーブル20の下面側にはベース60が配置され、上面側にはカバーガラス61が配置されている。カバーガラス61は、外観検査ステーション44に対応した位置に窓部61aが形成されている。搬送テーブル20の外周縁部に等ピッチで形成された凹部21は、搬送テーブル20の一主面(カバーガラス61側の主面)及び外周面に開口しており、底部はベース60によって塞がれ、外周面にはガイド部材30の側面30aが近接して対向している。
【0019】
また、ベース60と外周ガイド部材30の間には、電子部品120を凹部21に吸着保持するための真空吸着手段65が設置されている。この真空吸着手段65は、電子部品120を凹部21内において側面21a及び外周ガイド部材30の側面30aに接触させた状態で(図2(A)参照)吸着保持する。凹部21の側面21aと一主面からなる稜線部は切り欠かれた第1の斜面部21bとされている。さらに、外周ガイド部材30の側面30aと一主面からなる稜線部は切り欠かれた第2の傾斜面30bとされている。
【0020】
図2(C)に示すように、凹部21の一主面に対向する位置に撮像手段であるCCDカメラ70及びリング照明器75が配置されている。
【0021】
搬送テーブル20の凹部21に1個ずつ収容されて外観検査ステーション44に搬送された電子部品120は、搬送テーブル20の回転が一旦停止されている間に、リング照明器75からの照明光yを受けてCCDカメラ70にてその表面が撮像される。この画像は図示しないモニタ画面に映し出され、外観上の傷などの有無が判別される。このとき、電子部品120の稜線部であって側面21a,30aに対向する部分は側面21a,30aの稜線部が傾斜面21b,30bとされているために、照明光yは電子部品120の稜線部にまで隈なく届き、電子部品120の表面が鮮明に撮像されることになる。これにて、電子部品120の外観を支障なく検査することが可能になる。
【0022】
ところで、第1の傾斜面21bは、搬送テーブル20の回転方向aに対して下流側に形成されている。これは、電子部品120を凹部21内において回転方向aの下流側の側面21aに当てて搬送するほうが上流側の側面21cに当てて搬送するよりも搬送性が安定するからである。
【0023】
また、電子部品120の角部は断面円弧形状に面取りされている。前記傾斜面21b,30bの面積は、電子部品120の角部の面取り部分よりも広い面積であることが、照明光yを電子部品120の角部にまで効果的に照射することを保障するうえで好ましい。面積比でいえば、傾斜面21b,30bの面積は、電子部品120の角部の面取り部分の面積よりも10〜100%広いことが好ましい。
【0024】
図3(A)に示すように、電子部品120の真上から垂直な照明(同軸落射照明)を当てれば、傾斜面21b,30bが形成されていなくても撮像された画像に悪影響が出なくなるとも考えられる。しかし、電子部品120の角部は断面円弧状の面取り部120aとされているため、同軸落射照明では面取り部120aで光が正反射してしまい、結果的に電子部品120の角部の画像は不明瞭となる。
【0025】
しかし、照明器75によるリング照明やドーム照明は、図3(B)に示すように、様々な角度からの照明光yを放射するため、電子部品120の面取り部120aでも様々な角度に反射する。それゆえ、照明光としては、同軸落射照明よりもリング照明やドーム照明が好ましい。
【0026】
(第2実施例、図4参照)
第2実施例は、図4に示すように、電子部品120を凹部21内で吸着保持するための手段として静電吸着手段66を設けたものである。静電吸着手段66は、電子部品120を凹部21内において側面21a及び外周ガイド部材30の側面30aに接触させた状態で(図4(A)参照)吸着保持する。その他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、本第2実施例の作用効果は第1実施例と同様である。
【0027】
(第3実施例、図5参照)
第3実施例は、図5に示すように、凹部21を搬送テーブル20の下面側に開口するように形成したもので、ベース60に外観撮像のための窓部60aが形成されている。他の構成は前記第1実施例と同様である。従って、本第3実施例の作用効果は第1実施例と同様である。
【0028】
(他の実施例)
なお、本発明に係る外観検査装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。特に、被検査対象物である電子部品は前記コンデンサに限らず、インダクタやフィルタ、複合部品などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明は、電子部品の外観を撮像して検査する外観検査装置に有用であり、特に、電子部品の稜線部までも明瞭に撮像することができる点で優れている。
【符号の説明】
【0030】
20…搬送テーブル
21…凹部
21a…側面
21b…第1の傾斜面
30…外周ガイド部材
30a…側面
30b…第2の傾斜面
65…真空吸着手段
66…静電吸着手段
70…CCDカメラ
75…リング照明
120…電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に間欠的に回転駆動される搬送テーブルに形成された凹部に直方体形状の電子部品を1個ずつ収容し、該電子部品の外観を撮像して検査する外観検査装置において、
前記凹部は前記搬送テーブルの一主面及び外周面に開口しており、
前記凹部の前記一主面に対向する位置に撮像手段及び照明手段が配置され、
前記凹部の側面と前記一主面からなる切欠き状の稜線部に設けられた第1の傾斜面を有していること、
を特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記搬送テーブルは円盤状をなし、その外周縁部に前記凹部が所定ピッチで形成され
前記凹部の外周面に対向する位置に側面を有し、前記搬送テーブルの一主面と同じ平面の一主面を有するガイド部材が配置され、
前記ガイド部材の側面と一主面からなる切欠き状の稜線部に設けられた第2の傾斜面を有していること、
を特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記第1の傾斜面及び/又は前記第2の傾斜面は前記電子部品の角部の面取り部分よりも広い面積であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記第1の傾斜面及び/又は前記第2の傾斜面は前記電子部品の角部の面取り部分よりも10〜100%広い面積であること、を特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記第1の傾斜面は前記搬送テーブルの回転方向の下流側に形成されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記電子部品を前記凹部に吸着保持する吸着保持手段を備え、該吸着保持手段は前記電子部品を前記第1及び第2の傾斜面側に吸着保持すること、を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記吸着保持手段は真空吸着手段であること、を特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記吸着保持手段は静電吸着手段であること、を特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記照明手段はリング照明であること、を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−232040(P2011−232040A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99896(P2010−99896)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】