説明

外部記憶装置、起動プログラム切替方法および起動プログラム切替プログラム

【課題】複数の起動プログラムを格納し、仕様状況による起動プログラムの選択が可能である外付記憶装置を提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置2との接続が認識されると、情報処理装置2において所定のプログラムを起動させる自動実行スクリプトを記憶部に複数格納している外付記憶装置1であって、複数の自動実行スクリプトから、1つの自動実行スクリプトを選択するための切替スイッチ部111と、所定のタイミングにおいて、格納されている複数の自動実行スクリプトから切替スイッチ部で選択されている自動実行スクリプトを取得する自動実行対象切替制御部と、自動実行対処切替制御部が取得した自動実行スクリプトを情報処理装置2へ送信する通信制御部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶装置、起動プログラム切替方法および起動プログラム切替プログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PC(Personal Computer)に接続するUSB(Universal Serial Bus)メモリや、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)などの外付けの記憶装置(外部記憶装置:以下、外付記憶装置と記載する)にAutorun.infなどの自動実行スクリプト(起動プログラム)を格納する技術が一般的に知られている。このような技術では、外付記憶装置がPCと接続すると、PCが外付記憶装置の自動実行スクリプトを読み込み、読み込んだ自動実行スクリプトに従ってプログラムを起動していく。
【0003】
また、ホスト装置に認識される外部記録媒体(外付記憶装置)毎に自動実行処理のON/OFFの切り替えが可能な自動実行制御装置および外部記録装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−213427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、外付記憶装置に格納される自動実行スクリプトは、一般的に1つであるため、使用するユーザによって、用途別に読み込んで実行する自動実行スクリプトを変えたい場合、各自動実行スクリプトを格納した外付記憶装置を複数用意する必要があった。
【0005】
また、特許文献1にも、複数の自動実行スクリプトが格納される外付記憶装置について記載されていない。
【0006】
前記問題に鑑みて、本発明は、複数の起動プログラムを格納し、使用状況に対応する起動プログラムの選択を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題に鑑みて、本発明は、情報処理装置との接続が認識されると、前記情報処理装置において所定のプログラムを起動させる起動プログラムを記憶部に格納している外部記憶装置であって、前記起動プログラムを前記記憶部に複数格納しており、ユーザにより操作され、前記複数の起動プログラムから、1つの起動プログラムを選択するための切替スイッチ部と、所定のタイミングにおいて、切替スイッチ部における選択位置に対応する起動プログラムを、前記記憶部に格納されている前記複数の起動プログラムから選択する起動プログラム選択部と、前記起動プログラム選択部が取得した起動プログラムを前記情報処理装置へ送信する通信制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成とすることで、複数の起動プログラムを格納し、使用状況に対応する起動プログラムの選択が可能となる。
【0009】
本発明のその他の手段については、実施形態中に適宜記述する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の起動プログラムを格納し、使用状況による起動プログラムの選択が可能である外付記憶装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態(本実施形態)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
情報処理システム3は、PCなどの情報処理装置2と、USBメモリなどの外付記憶装置1とを有している。なお、本実施形態では、外付記憶装置1の例としてUSBメモリを用いて説明するが、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394デバイスや、外付けのCD−ROMドライブや、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブなどの光学記録ドライブや、外付ハードディスクなどの記憶装置であってもよい。また、本実施形態では、外付記憶装置1と、情報処理装置2との接続は、USBに基づいて行われているが、これに限らず、例えばSCSI(Small Computer System Interface)や、SATA(Serial AT Attachment)などに基づいて行われてもよい。
【0013】
外付記憶装置1は、本体10と、USBコネクタなどの外部通信インタフェース部12とを有しており、外部通信インタフェース部12が、情報処理装置2の外部通信インタフェース部22と接続されることにより、外付記憶装置1と、情報処理装置2との通信が可能となる。また、本体10には、外付記憶装置1に格納されている自動実行対象ファイル141(図2で後記)を選択するための切替スイッチ部111が設けられている。図1の例において、切替スイッチ部111は、ユーザがスイッチをスライドさせることによって手動で自動実行対象ファイル「A」、「B」および「C」(図2で後記)を切替えることができる。また、本体10には、切替スイッチ部111が選択している自動実行対象ファイル141を表示するための表示部112が設けられている。表示部112は、例えば、LED(Light Emission Diode)や、液晶ディスプレイなどである。図1の例では、表示部112はLEDで構成されており、切替スイッチ部111において、「A」が選択されているため、「A」に相当する表示部112(LED)が点灯している。なお、図1に示す例では、切替スイッチ部111によって「A」〜「C」の3つが選択可能となっているが、これに限らず、いくつ選択可能であってもよい。
なお、本実施形態では、切替スイッチ部111はスライド式のスイッチを想定しているが、例えば押しボタン式のスイッチであるなど、ユーザが自動実行対象ファイル「A]〜「C」を切り替えることができるスイッチであるならば、スライド式に限らないことは当然である。
【0014】
図2は、外付記憶装置および情報処理装置の構成例を示す図である。
外付記憶装置1は、情報処理装置2と接続し、情報の送受信を行う外部通信インタフェース部12と、外付記憶装置1の各部を制御する制御部13と、ユーザとの間の情報を仲介するユーザインタフェース部11と、情報を記憶する記憶部14とを有する。
制御部13は、再接続制御部131と、通信制御部132と、特殊コマンド制御部133と、自動実行対象切替制御部134(起動プログラム選択部)と、論理ユニット管理部135(起動プログラム選択部)とを有する。
再接続制御部131は、接続された状態における外付記憶装置1と、情報処理装置2との接続を遮断したり、再接続したりする機能を有する(詳細は図5で後記)。通信制御部132は、情報処理装置2との通信を制御する機能を有する。特殊コマンド制御部133は、ベンダコマンドなど、OS(Operating System)が標準でサポートしていない特殊コマンドを制御し、自動実行対象領域140への書き込みや、切替スイッチ部111を用いない、特殊コマンドによる自動実行スクリプト142の切り替えなどを制御する。
【0015】
自動実行対象切替制御部134は、切替スイッチ部111の状態に従って情報処理装置2へ送信する自動実行対象ファイル141を選択し、取得する機能を有する。論理ユニット管理部135は、記憶部14における各論理ユニット(論理的に分割されている記憶領域)で保持する情報を管理する機能を有する。
【0016】
記憶部14は、複数の論理ユニット(論理ユニット「0」、「1」、「2」、「3」・・・)に分けられている。ここで、論理ユニット「0」は、OSによる標準コマンドで書き込みできない記憶領域、例えば論理ユニット管理部135によって仮想的にCD−ROMやライトプロテクトされたストレージデバイス(つまり、自動実行専用のデータ領域)である自動実行対象領域140として割当てられている。自動実行対象領域140には、自動実行スクリプト142や、プログラム群143を含む複数の自動実行対象ファイル141(自動実行対象ファイル「A」〜「C」)が格納されている。各自動実行対象ファイル「A」〜「C」には、それぞれ自動実行スクリプト「A」〜「C」およびプログラム群A〜Cが格納されている。ここで、プログラム群143とは、例えば1つのアプリケーションを動作させるのに必要な複数のプログラム231である。
なお、本実施形態では、自動実行対象ファイル141を3つ保持しているが、保持する自動実行対象ファイル141は3つに限らないことは当然である。
【0017】
図2に示す図において、論理ユニット「1」、「2」、「3」・・・には、OSによる標準コマンドによる書き込みや、読み込みが可能な記憶領域であるユーザ領域144(ユーザ領域「X1」、「X2」,「X3」・・・)が割り当てられている。自動実行対象領域140と、ユーザ領域144との区別は、OSの標準コマンドで書き込みや、読込ができるか否かや、OSの認識が可能であるか否かなどによってなされる。
なお、ユーザインタフェース部11における切替スイッチ部111および表示部112は、図1で説明したとおりであるため、ここでの説明を省略する。
【0018】
なお、外付記憶装置1における制御部13や、各部131〜135は、図示しないROM(Read Only Memory)や、書き換え可能なフラッシュメモリ(Flash Memory)などに格納された自動実行切替プログラム(起動プログラム切替プログラム)が、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されることによって具現化する。
【0019】
情報処理装置2は、外付記憶装置1と接続し、情報の送受信を行う外部通信インタフェース部22と、情報の処理を行う処理部21と、情報を記憶する記憶部23を有する。
処理部21には、外付記憶装置1の接続を検知する接続検知部211と、外付記憶装置1の自動実行スクリプト142を読み込んで、読み込んだ自動実行スクリプト142を実行するスクリプト処理部212と、スクリプト処理部212が実行している自動実行スクリプト142に従ってプログラム群143や、プログラム231を実行するプログラム処理部213とを有してなる。一般的に、このような情報処理装置2の機能はPCとOSとの組み合わせにより、例えばオートラン機能などを実現している。
そして、記憶部23には、例えばアプリケーションを実行するためのプログラム231(プログラム「Y1」、「Y2」、「Y3」・・・)などが格納されている。
【0020】
なお、情報処理装置2における処理部21や、各部211〜213は、図示しないROMや、HDに格納された自動実行切替プログラム(起動プログラム切替プログラム)が、図示しないRAMに展開され、図示しないCPUによって実行されることによって具現化する。
【0021】
次に、図2を参照しつつ、図3に沿って本実施形態に係る自動実行対象ファイル切替処理を説明する。
図3は、第1実施形態に係る外付記憶装置および情報処理装置における処理の流れを示す図である。
なお、外付記憶装置1と、情報処理装置2との間の情報の送受信は、外部通信インタフェース部12,22を介して行われるが、図4および図5ではこの処理の記載を省略する。
まず、ユーザが外付記憶装置1の外部通信インタフェース部12を、情報処理装置2の外部通信インタフェース部22に接続する(S101)。外付記憶装置1がUSBデバイスであった場合、接続に伴い情報処理装置2から外部通信インタフェース12,22を通じて、外付記憶装置1に対して電力が供給される。この供給された電力により、外付記憶装置1の制御部13の各部131〜135が起動する。さらに、制御部13は、供給された電力を用いてLEDの点灯や、液晶ディスプレイにおける自動実行スクリプト142の名称の表示など表示部112に現在選択されている(切替スイッチ部111の選択位置に対応する)自動実行スクリプト142の情報を表示させる。そして、起動した自動実行対象切替制御部134が、ユーザインタフェース部11の切替スイッチ部111の状態を読み取り(選択位置を監視し)、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行対象ファイル141を選択する(S102)。
【0022】
自動実行対象ファイル141の選択は、例えば、自動実行対象ファイル141毎にID(Identification)を予め付しておいて、自動実行対象切替制御部134が、切替スイッチ部111で選択されている自動実行対象ファイル141のIDを取得して、それを図示しない制御部13内の図示しない一時記憶領域などに記憶してもよいし、記憶部14における所定の箇所に該IDを格納してもよい。
また、選択した自動実行対象ファイル141に関しては制御部13が情報処理装置2に対して認識可能とし、それ以外の自動実行対象ファイル141に関しては情報処理装置2に対して存在しない様に見せかけてもよい(認識不可能とする)
次に、通信制御部132は、情報処理装置2へ接続通知を送信する(S103)。
【0023】
情報処理装置2の接続検知部211が、接続通知を受信することによって接続を検知すると(S104)、スクリプト処理部212が、外付記憶装置1に自動実行スクリプト142が存在するか否かを検索する(S105)。ステップS105の結果、外付記憶装置1から自動実行スクリプト142が検出されなかった場合、処理部21は、以降の処理を行わない。
ステップS105の結果、外付記憶装置1から自動実行スクリプト142を検出した場合、スクリプト処理部212は、外付記憶装置1に自動実行スクリプト142を要求する(S106)。
【0024】
自動実行スクリプト142の要求を受信した自動実行対象切替制御部134は、ステップS102で選択している自動実行対象ファイル141を取得し(S107)、通信制御部132が情報処理装置2に送信することにより、自動実行対象ファイル141に含まれる自動実行スクリプト142を情報処理装置2へ送信する(S108)。このとき、自動実行対象切替制御部134は、例えばステップS103で取得しておいたIDを基に、選択した自動実行対象ファイル141を読み込んだり、情報処理装置2に対して認識可能な状態に設定された自動実行対象ファイル141を読み込むなどする。
情報処理装置2のスクリプト処理部212は、受信することによって読み込んだ自動実行スクリプト142を実行し(S109)、自動実行スクリプト142に従ってプログラム処理部213が各プログラム231や、受信した自動実行対象ファイル141に含まれるプログラム群143などを実行する(S110)。
【0025】
次に、図2を参照しつつ、図4に沿って、外付記憶装置1が情報処理装置2に接続された状態で切替スイッチ部111が操作されたときの自動実行対象ファイル切替処理を説明する。
図4は、外付記憶装置が情報処理装置に接続された状態で切替スイッチ部が操作されたときの処理の流れを示す図である。
まず、情報処理装置2に外付記憶装置1が接続された状態で、ユーザが切替スイッチ部111を操作することにより、スイッチ切替操作が行われる(S201)。
切替スイッチ部111が操作されたことを検知した再接続制御部131は、情報処理装置2との通信を遮断することによって、通信的な接続を遮断する(S202)。この処理は、外付記憶装置1がUSBメモリであれば、USBの信号線D+のプルアップの停止、IEEE1394デバイスであれば、バスリセット、または、外付記憶装置1の自動実行対象ファイル141に割り当てられている自動実行対象領域140が、CD−ROMドライブや、DVDドライブなどにエミュレートされている場合、この処理は、メディアの出し入れをエミュレートする処理となる。
【0026】
次に、自動実行対象切替制御部134が、自動実行対象ファイル141選択処理を行う(S203)。ステップS203は、図3のステップS102と同様の処理であるため説明を省略する。
そして、再接続制御部131は、USB信号線D+のプルアップを再開するなどして、情報処理装置2との再接続処理を行う(S204)。
情報処理装置2との再接続処理が完了すると、通信制御部132が接続通知を情報処理装置2へ送信し(S205)、情報処理装置2の接続検知部211が外付記憶装置1の接続を検知する(S206)。
以降の処理は、図3のステップS105〜S109と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
自動実行対象ファイル141の格納方法は、図2に示すような例に限らず、図5〜図8に示すような形式で格納してもよい。
図5〜図8は、第1実施形態における外付記憶装置の別の構成例を示す図である。なお、図5〜図8において、情報処理装置2については図2と同様の構成であるので、図示することを省略し、また、外付記憶装置1a〜1dについても図2と同様の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
まず、図5に示す外付記憶装置1aを説明する。
外付記憶装置1aでは、論理ユニット管理部135によって自動実行ファイル「A」〜「C」をそれぞれ1つずつ持つ論理ユニットを自動実行対象領域として形成し、かつ、論理ユニット管理部135によって切替スイッチ部111で選択されている自動実行対象ファイル141を持つ論理ユニットを情報処理装置2(図2)に対して認識可能状態とし、それ以外の自動実行対象領域に割り当てられる論理ユニットを情報処理装置2に対して存在しない物として見せかける。つまり、自動実行対象ファイル141の選択前において、記憶部14aにおける複数の自動実行対象ファイル141は、どの論理ユニットにも属していない状態で保存されている。そして、図3のステップS102や、図4のステップS203における自動実行対象ファイル選択処理において、論理ユニット管理部135が、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行対象ファイル141に対して論理ユニット「0」を割り当てる。そして、論理ユニット管理部135は、論理ユニット「0」に割当てられた自動実行対象ファイル141以外の自動実行対象ファイル141を情報処理装置2からは存在しないものとして見せかけるよう処理する(認識不可能な状態とする)。
【0029】
次に、図6に示す外付記憶装置1bを説明する。
外付記憶装置1bでは、自動実行対象ファイル「A」〜「C」を制御部13b内の記憶領域136に予め記憶しておき、自動実行対象切替制御部134が、切替スイッチ部111で選択されている自動実行対象ファイル141を自動実行対象領域140b(この例では論理ユニット「0」)に、コピーする構成としてもよい。つまり、自動実行対象ファイル141の選択前において、制御部13b内の記憶領域136に複数の自動実行対象ファイル141が予め記憶されており、記憶部14bの論理ユニット「0」(自動実行対象領域140b)には何も格納されていない状態となっている。そして、図3のステップS102や、図4のステップS203における自動実行対象ファイル選択処理において、自動実行対象切替制御部134が、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行対象ファイル141を、記憶部14bの論理ユニット「0」へコピーする。
なお、プログラム群143は自動実行対象領域140bに予め存在するものとし、図3のステップS102や、図4のステップS203における自動実行対象ファイル選択処理において、自動実行対象切替制御部134が、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行スクリプト142を自動実行対象領域140bへコピーしてもよい。
【0030】
次に、図7における外付記憶装置1cについて説明する。
外付記憶装置1cにおいて、図2と異なる点は、記憶部14cにおける自動実行対象領域140cの自動実行対象ファイル141cに自動実行スクリプト142cが格納されているが、プログラム群143c(プログラム群「Z1」、「Z2」、「Z3」)が自動実行対象ファイル141cとは別に格納されている点である。
なお、図7では、ユーザ領域144cにおいて、プログラム群の格納されている場合があり、例えばユーザ領域「X1」にプログラム群「X1」が格納され、ユーザ領域「X3」にプログラム群「X3」が格納されている。ユーザ領域144cは、一般的な外付記憶装置のように、ユーザが自由に書き込んだり、読み込んだりできる領域である。
【0031】
次に、図8における外付記憶装置1dについて説明する。
外付記憶装置1dは、例えば、ISO9660に準拠するファイルシステムを有している。つまり、外付記憶装置1dは、CD−ROMファイルシステムをエミュレートしており、情報処理装置2は、外付記憶装置1dを読取専用の記憶装置として認識することとなる。
外付記憶装置1dの記憶部14dには、リンク情報ファイル151や、自動実行スクリプトを有しているファイル本体142dや、アプリケーションを実行するためのプログラム群143が格納されている。リンク情報ファイル151は、ディレクトリ情報領域150にまとめて格納されている。
【0032】
リンク情報ファイル151は、ファイル本体142dへのリンク情報を格納している。また、リンク情報ファイル151は、1つのautorun.infファイルと、ダミーファイルを含む。ここで、autorun.infファイルとは、ファイルの名称が「autorun.inf」であり、情報処理装置2によって実行される自動実行対象であるファイルのことである。そして、autorun.infファイルは、切替スイッチ部111の選択位置に対応する自動実行スクリプトを格納しているファイル本体にリンクしている。図8の例では、autorun.infファイルは、自動実行スクリプト「A」を格納しているファイル本体「A」にリンクしている。また、autorun.infファイル以外のリンク情報ファイル151は、ダミーファイルとなる。図8の例において、ダミー「1」ファイルは、自動実行スクリプト「B」を格納しているファイル本体「B」にリンクしており、ダミー「2」ファイルは、自動実行スクリプト「C」を格納しているファイル本体「C」にリンクしている。なお、ダミーファイルは、ファイルシステムを正常に構成するために便宜的に設けられるファイルである。さらに、ファイル本体142dは、図2などにおける自動実行対象ファイル141に相当するものである。
【0033】
このように、リンク情報を固定的に有することができるのは、外付記憶装置1dの自動実行対象領域140dがCD−ROMやライトプロテクトされたストレージデバイスのように、読み取り専用としてエミュレートされているため、各ファイルの位置が固定されており、また、書込処理が行われないため、フラグメンテーションも生じることがないので、制御部13による各ファイルの位置の把握が可能であることによる。
なお、外付記憶装置1、1a〜1cのように、外付記憶装置1dの記憶部14dに自動実行対象領域140d以外のユーザ領域144を複数持つことも当然可能である。
【0034】
図8に示すような外付記憶装置1dの場合、図3のステップS102や、図4のステップS203における自動実行対象ファイル選択処理において自動実行対象切替制御部134は、切替スイッチ部111の状態を読み取る(選択位置を監視する)。そして、自動実行対象切替制御部134は、リンク情報ファイル151に含まれるリンク情報を、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行スクリプトを含んでいるファイル本体142dを指し示すように変更する。具体的には、自動実行対象切替制御部134は、切替スイッチ部111の状態(選択位置)に対応する自動実行スクリプトを含んでいるファイル本体142dにリンクしているリンク情報ファイル151の名称を「autorun.inf」に変更し、その他のファイルをダミーファイルとする。
図3のステップS107などの自動実行対象ファイル取得処理において、自動実行対象切替制御部134は、このリンク情報に対応するファイル本体142dから自動実行スクリプトを取得する。
【0035】
図8に示すような外付記憶装置1dによれば、ファイル本体142dの位置を特定する情報が、基本的に先頭のセクタ番号と、ファイルサイズだけでよいので、自動実行対象切替制御部134におけるファイル本体142へのリンク情報ファイルの変更処理を簡素化できる。つまり、自動実行対象ファイル選択処理が、自動実行対象切替制御部134によるファイル名の変更だけであるので、処理の簡素化が可能となる。
もちろん、リンク情報ファイル151のファイル名の変更ではなく、自動実行対象切替制御部134が、リンク先情報を変更してもよい。このような場合、自動実行対象切替制御部134が、リンク情報ファイル151(autorun.inf)に格納されているリンク情報を該当するファイル本体へのリンク情報に変更してもよい。
なお、図8では、ISO9660に準拠するファイルシステム(CD−ROMファイルシステム)を外付記憶装置1dに適用しているが、これに限らず、DVD−ROMや、その他のファイルシステムを適用してもよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に、図9および図10を参照しつつ本発明における第2実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態に係る外付記憶装置の外観図を示す図である。
外付記憶装置1eが、図1の外付記憶装置1と異なる点は、本体10eに、ジョグダイヤルである切替スイッチ部111e、および液晶ディスプレイなど画像や文字の表示が可能な表示部112eを有している点である。ユーザは、ジョグダイヤルを回転させることによって、所望の自動実行スクリプトを選択し、ジョグダイヤルを押下することで自動実行スクリプトを決定する。
なお、外部通信インタフェース部12は、図1と同様であるため説明を省略する。また、外付記憶装置1eの内部構成は、図2および図5〜図8のいずれかに記載の内容と同様であるため説明を省略する。
【0037】
次に、図2および図9を参照しつつ、図10に沿って第2実施形態に係る処理を説明する。
図10は、第2実施形態に係る外付記憶装置および情報処理装置における処理の流れを示す図である。
なお、図10において、図3と同様の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
まず、ステップS101における接続の後、USBの電源ラインなどを通じて電力を供給された外付記憶装置1eの制御部13は、表示部112e(液晶ディスプレイなど)に現在選択されている自動実行スクリプトに関する名称などの情報を表示する(S301)。自動実行スクリプトの名称は、例えば、予め自動実行スクリプトと対応した情報として、記憶部14dなどに格納されている。
次に、ユーザが、ジョグダイヤルなどの切替スイッチ部111eを回転させて、所望の自動実行スクリプトに変更する(S302)。このとき、制御部13は、切替スイッチ部111eの回転に合わせて、ジョグダイヤルの選択位置に対応する自動実行スクリプトに関する名称などの情報を、表示部112eに表示させる。ユーザは、表示部112eに表示される情報を確認しながら、所望の自動実行スクリプトを選択する。
【0038】
そして、ユーザが、ジョグダイヤルに一体化された押しボタンなどを押下することにより、決定ボタンが押下され、「自動実行スクリプト142」が決定される(S303)。
この後、自動実行対象切替制御部134による自動実行対象ファイル選択処理が行われるが(S304)、この処理は、図2のステップS102と同様であるので、説明を省略する。
ステップS303で、決定ボタンが操作されると(ジョグダイヤルに一体化された押しボタンなどが押下されると)、この操作を契機として、通信制御部132が、情報処理装置2へ接続通知を送信する(S305)。なお、ジョグダイヤルに一体化された押しボタンなどが押下されるまで、通信制御部132は、接続通知を情報処理装置2へ送信しない。
以降の処理は、図3と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
なお、図4についても、ステップS201が、図10のステップS301〜S303に置換され、図4のステップS204が、ジョグダイヤルに一体化された押しボタンなどを押下することにより、決定ボタンが押下されると、再接続処理を行う処理となる。
【0040】
本実施形態では、切替スイッチ部111をユーザが操作することによって、自動実行スクリプト142を選択しているが、これに限らず、情報処理装置2から送られる特殊コマンドを基に、自動実行対象切替制御部134が自動実行対象ファイル141を選択してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、外付記憶装置1,1a〜1eを情報処理装置2に接続することにより、例えば、USBの電源線を介して情報処理装置2から電力を供給されてから、自動実行スクリプト142(自動実行対象ファイル141)の選択を行っているが、これに限らず、外付記憶装置1,1a〜1eに電力が供給されていない状態で、ユーザが、自動実行スクリプト142(自動実行対象ファイル141)の選択を行ってもよい。この場合、ユーザは、スライドスイッチや、ジョグダイヤルなどの状態から現在選択されている自動実行スクリプト142(自動実行対象ファイル141)を推測してもよい。また、外付記憶装置1,1a〜1eにUSBとは異なる外部電源装置が接続されている場合、制御部13は、この外部電源装置から供給される電力を用いて表示部112,112eに選択されている自動実行スクリプト142の情報を表示させてもよい。
【0042】
本実施形態によれば、複数の自動実行スクリプト142を有し、ユーザの使用状況に応じて自動実行スクリプト142を切り替えることが可能な外付記憶装置1を提供することができる。
例えば、外付記憶装置1を情報処理装置2に接続すると、自動的にインタネットへ情報処理装置2を接続させ、情報処理装置2の表示画面(図示せず)に所定のWeb画面を自動的に表示させる外付記憶装置1の場合、ユーザの使用条件に合わせて異なるURL(Uniform Resource Locator)のWeb画面を表示させることが可能となる。これにより、例えば、外付記憶装置1を情報処理装置2に接続したときに、所定のユーザ認識を行うキー入力を行うWeb画面を目的毎に自動的に立ち上げるなどが可能となる。
また、自動実行対象ファイル141によっては、「アプリケーションソフトウェアを起動しない」、「メールソフトウェアを起動する」、「ブラウザを起動する」などの処理を外付記憶装置1(1a〜1c)を情報処理装置2に接続すると同時に実施することができる。
さらに、自動実行対象ファイル141によっては、外付記憶装置1を情報処理装置2に接続したまま切替スイッチ部111を切り替えた場合に、外付記憶装置1内のアプリケーションソフトを自由に起動したり、終了したりすることも可能となる。
これら目的別の自動実行スクリプト142やプログラム群143を、情報処理装置2にインストールされたプログラムからユーザが自由に追加変更可能とすれば、よりユーザの利便性が増すことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】外付記憶装置および情報処理装置の構成例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る外付記憶装置および情報処理装置における処理の流れを示す図である。
【図4】外付記憶装置が情報処理装置に接続された状態で切替スイッチ部が操作されたときの処理の流れを示す図である。
【図5】第1実施形態における外付記憶装置の別の構成例を示す図である(その1)。
【図6】第1実施形態における外付記憶装置の別の構成例を示す図である(その2)。
【図7】第1実施形態における外付記憶装置の別の構成例を示す図である(その3)。
【図8】第1実施形態における外付記憶装置の別の構成例を示す図である(その4)。
【図9】第2実施形態における外付記憶装置の外観図を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る外付記憶装置および情報処理装置における処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1,1a〜1e 外付記憶装置(外部記憶装置)
2 情報処理装置
3 情報処理システム
10 本体
11 ユーザインタフェース部
12 外部通信インタフェース部(外付記憶装置)
13 制御部
14,14a〜14e 記憶部(外付記憶装置)
21 処理部
22 外部通信インタフェース部(情報処理装置)
23 記憶部(情報処理装置)
111 切替スイッチ部
112 表示部
131 再接続制御部
132 通信制御部
133 特殊コマンド制御部
134 自動実行対象切替制御部(起動プログラム選択部)
135 論理ユニット管理部(起動プログラム選択部)
136 記憶領域
140,140b,140c 自動実行対象領域
141,141c 自動実行対象ファイル
142,142c 自動実行スクリプト(起動プログラム)
142d ファイル本体
143,143c プログラム群
144,144c ユーザ領域
150 ディレクトリ情報領域
151 リンク情報ファイル
211 接続検知部
212 スクリプト処理部
213 プログラム処理部
231 プログラム





【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置との接続が認識されると、前記情報処理装置において所定のプログラムを起動させる起動プログラムを記憶部に格納している外部記憶装置であって、
前記起動プログラムを前記記憶部に複数格納しており、
ユーザにより操作され、前記複数の起動プログラムから、1つの起動プログラムを選択するための切替スイッチ部と、
所定のタイミングにおいて、切替スイッチ部における選択位置に対応する起動プログラムを、前記記憶部に格納されている前記複数の起動プログラムから選択する起動プログラム選択部と、
前記起動プログラム選択部が取得した起動プログラムを前記情報処理装置へ送信する通信制御部と、
を有することを特徴とする外部記憶装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングとは、前記外部記憶装置が、前記情報処理装置と接続したタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項3】
前記所定のタイミングとは、
前記外部記憶装置が、前記情報処理装置に接続した状態で、前記切替スイッチ部が操作されたタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項4】
前記情報処理装置に接続した状態で、前記切替スイッチ部が操作された場合、前記外部記憶装置と、前記情報処理装置との通信を遮断し、前記起動プログラム選択部による起動プログラムの選択が終了すると、前記外部記憶装置と、前記情報処理装置との通信を再開する再接続制御部をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の外部記憶装置。
【請求項5】
前記起動プログラムの選択は、前記起動プログラム選択部が、格納されている複数の起動プログラムのうち、前記切替スイッチ部における選択位置に対応する前記起動プログラムを前記情報処理装置から認識可能な状態とし、前記切替スイッチ部によって選択されている起動プログラム以外の起動プログラムを前記情報処理装置から認識不可能な状態とすることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項6】
前記起動プログラムの選択は、前記起動プログラム選択部が、所定の論理ユニットに格納されている複数の起動プログラムから、前記切替スイッチ部における選択位置に対応する前記起動プログラムに関する情報を取得することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項7】
前記起動プログラムの選択は、前記起動プログラム選択部が、格納されている複数の起動プログラムのうち、前記切替スイッチ部における選択位置に対応する前記起動プログラムに、前記記憶部に設定されている所定の論理ユニットを割り当てることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項8】
前記起動プログラムの選択は、前記起動プログラム選択部が、格納されている複数の起動プログラムのうち、前記切替スイッチ部における選択位置に対応する前記起動プログラムを、前記記憶部に設定されている所定の論理ユニットへコピーすることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項9】
前記外部記憶装置は、CD−ROMファイルシステムをエミュレートしており、
前記記憶部は、前記各起動プログラムへのリンク情報を格納しているファイルを有しており、
起動プログラム選択部は、前記リンク情報が、前記切替スイッチ部における選択位置に対応する前記起動プログラムへのリンクを示すよう変更することを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項10】
前記切替スイッチ部は、スライド式のスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項11】
前記切替スイッチ部は、ジョグダイヤルであり、
前記ユーザによって、前記ジョグダイヤルが回転され、押下されると、前記起動プログラム選択部が、前記記憶部に格納されている前記複数の起動プログラムから、前記ジョグダイヤルの選択位置に対応する起動プログラムを選択することを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項12】
前記外部記憶装置は、USBメモリ、IEEE1394デバイス、外付けのハードディスクまたは外付けの光学記録ドライブのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項13】
前記外部記憶装置は、選択されている前記起動プログラムの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする請求項1に記載の外部記憶装置。
【請求項14】
前記表示部は、各起動プログラムに対応するLEDからなり、選択されている前記起動プログラムに対応するLEDが点灯することを特徴とする請求項13に記載の外部記憶装置。
【請求項15】
前記表示部は、液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項13に記載の外部記憶装置。
【請求項16】
情報処理装置との接続が認識されると、前記情報処理装置において所定のプログラムを起動させる起動プログラムを複数格納している記憶部と、ユーザにより操作され、前記複数の起動プログラムから、1つの起動プログラムを選択するための切替スイッチ部とを有する外部記憶装置による起動プログラム切替方法であって、
前記外部記憶装置は、
前記切替スイッチ部における選択位置を監視し、
前記選択位置に対応する起動プログラムを前記記憶部から選択し、
前記選択した起動プログラムを前記情報処理装置へ送信する
ことを特徴とする起動プログラム切替方法。
【請求項17】
請求項16に記載の起動プログラム切替方法をコンピュータに実行させることを特徴とする起動プログラム切替プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−26730(P2010−26730A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186459(P2008−186459)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【Fターム(参考)】