外骨格のアクチュエータを制御するシステム
【課題】制御信号源としてEMGを必要としない、能動挙動から生ずる多用途な支援を提供する外骨格制御方法を提供する。
【解決手段】外骨格に能動インピーダンスを表示させることが可能な制御装置付の外骨格を使用することによってユーザを支援するシステム及び方法を提供する。外骨格は、ユーザが下肢を動かすために必要とする筋負担を減少することによって、ユーザを支援する。ある実施形態においては、単一自由度(1−DOF)の外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用する単一関節動作によってユーザを支援する。他の実施形態においては、複数自由度(multi−DOF)外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用する複数関節動作によってユーザを支援する。
【解決手段】外骨格に能動インピーダンスを表示させることが可能な制御装置付の外骨格を使用することによってユーザを支援するシステム及び方法を提供する。外骨格は、ユーザが下肢を動かすために必要とする筋負担を減少することによって、ユーザを支援する。ある実施形態においては、単一自由度(1−DOF)の外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用する単一関節動作によってユーザを支援する。他の実施形態においては、複数自由度(multi−DOF)外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用する複数関節動作によってユーザを支援する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの動作を支援する力を供給する外骨格の制御に関する。この力は、歩行する、階段を登る、腰掛ける及び立ち上がる、のような下肢の日常的な動作に必要な筋肉負担を軽減するために使用される。当該力は、ユーザの動作の敏捷性を向上させることもできる。より具体的には、本発明は、ユーザの下肢の機械的特性を仮想的に変化させることに基づく外骨格制御の革新的形状に関する。
【背景技術】
【0002】
現在実施されている支援外骨格の多くは、依然として研究及び開発段階にある。外骨格は、多くのグループによって研究対象とされてはいるが、市場で入手可能なものは未だ存在しない。現存する設計は、研究環境中にあってのみ機能するものであって、専門家による大規模な調整を要する。
【0003】
外骨格の構造は、その支援能力に応じて受動制御外骨格又は能動制御外骨格のいずれかに分類され得る。受動制御外骨格とは、環境から事前に引き出した以上のエネルギーを環境に対して供給し得ない装置をいう。ばねは、単純な機械的受動装置の一例である。したがって、受動的な挙動を表す外骨格は、限定された支援能力を有する。具体的には、受動制御外骨格は、ユーザが自らの筋力をより効果的に用いるのを補助するが、ユーザに対して実際にエネルギーを供給することはない。(実際、受動制御外骨格は、ユーザからある量のエネルギーを常時奪っている。)
【0004】
外骨格を用いた受動支援の一例として、ユーザの体重の一部を外骨格が支持する、受動重力支持がある。しかしながら、この外骨格は、例えば椅子から立ち上がるときユーザの重心を上げるために貢献することはできない。重力支持の特別な場合として、例えば重いリュックサックのようなユーザが運搬する荷重の一部を外骨格が支持する荷重運搬支援がある。他の受動支援として、外骨格がばねのような受動装置を使用し、健常な関節(腰部のような)からある条件に起因して相対的に弱い他の関節(下垂足患者の足首のような)への力を打ち消している、力相殺支援がある。共振を用いた支援においては、外骨格は、手足の動きを修正し、手足をその共振周波数のより近くで動かし、ユーザが自らの筋力をより効果的に使用することを支援する。
【0005】
他方、能動制御外骨格は、エネルギー源として作用する。したがって、能動制御外骨格は連続的にエネルギーをユーザに対し供給する能力を有する。このことは重要である。なぜならば、外骨格が全目的支援装置となるためには、外骨格は能動挙動が可能であるべきであるからである。人間の動作は、身体の重心がある位置に上昇することを伴う。能動制御外骨格のみが、この種の動作を反復的に支援し得る。さらに、人間の動作は、無視できない量の筋組織のエネルギー消耗を伴う。能動制御外骨格であれば、人体が消耗するエネルギーの一部を補うことができる。
【0006】
外骨格装置の制御は、困難な問題である。能動制御外骨格の場合、一般的なパラダイムは、筋電制御である。この制御スキームは、筋肉の筋電図(EMG)活動を用いて筋力を評価し、評価された筋力にある増幅率を乗ずることからなる。したがって、外骨格は、筋力増幅器として機能する。このタイプの制御は、人間が試みるあらゆる動作を支援するのに原則的に役立つという利点を有する。他方、このタイプの制御は、主としてEMG信号の性質に起因するいくつかの現実的な限界も有する。EMGからトルクを正確に評価することは、複数の筋肉の特徴と、さらにEMG信号に影響を及ぼす外部要素を分離することを要求する困難なタスクである。さらに、EMGは、時間の経過につれて及び被験者に応じて、相当なばらつきを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御信号源としてEMGを必要としない、能動挙動から生ずる多用途な支援を提供する外骨格制御方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要約)
外骨格に能動インピーダンスを表示させ得る制御装置付の外骨格によりユーザを支援するシステム及び方法が紹介される。外骨格は、ユーザが体肢を動かすために要求される筋肉負担を削減することによってユーザを支援する。
【0009】
ある実施形態においては、単一自由度(1-DOF)外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用してユーザの単一関節動作を支援する。他の実施形態においては、複数自由度(multi-DOF)外骨格が、能動インピーダンス制御装置を使用してユーザの複数関節動作を支援する。
【0010】
本発明は、別添する図面において図示されるが、これらの図面は例示であって本発明を限定するものではない。同様の番号は、同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施形態に係る機械的インピーダンスを示す図である。
【図2】ある実施形態に係る膝関節向けの単一自由度支援外骨格を示す図である。
【図3】ある実施形態に係る単一自由度外骨格の線形モデルを示す図である。
【図4】ある実施形態に係る、インピーダンス制御による外骨格内での仮想インピーダンスパラメータ生成を示す図である。
【図5】ある実施形態に係る人間手足セグメントの線形モデルを示す図である。
【図6】ある実施形態に係る、外骨格に装着された人間手足セグメントを含むシステムの線形モデルを示す図である。
【図7】ある実施形態に係る人間手足セグメントのスケーリングのための能動外骨格インピーダンスの適用を示す図である。
【図8】ある実施形態に係る人間手足セグメントに対する純粋に負の減衰の効果を示す図である。
【図9A】ある実施形態に係る能動アドミッタンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装を示す図である。
【図9B】ある実施形態に係る能動インピーダンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装を示す図である。
【図10】ある実施形態に係る複数自由度の外骨格構造を示す図である。
【図11】ある実施形態に係る人間脚インピーダンスパラメータを示す図である。
【図12】ある実施形態に係る外骨格支援による人間脚力学系の仮想修正を示す図である。
【図13】ある実施形態に係る複数自由度外骨格の制御構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。同様の参照番号は同一の又は機能的に同様の要素を示している。また、各参照番号の最も左の数字は、その番号が最初に用いられた図の番号に対応している。
【0013】
本明細書において、“ある実施形態”又は“1つの実施形態”と言う場合は、本発明の少なくともある実施形態に、その実施形態に関連して記述される1つの特徴又は構造が含まれていることを意味する。本明細書のあちこちに“ある実施形態では”という語が出現しても、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。
【0014】
後記する詳細説明のいくつかの部分は、アルゴリズム用語や、コンピュータメモリ内のデータビット操作を示す象徴的な表現による。これらのアルゴリズム的な説明や表現は、情報処理分野の当業者が、自らの業績の要旨を、同分野の他の当業者に最も効率的に伝えるために用いる手段である。アルゴリズムとは、ここでは、そして一般的にも、ある所望の結果に至る複数のステップ(命令)の首尾一貫したシーケンスのことを言う。ステップとは、物理量に対する物理的操作を要求するステップのことである。通常、必ずしも必要条件ではないが、それらの数値は、記憶され、転送され、合成され、比較されかつ操作され得る、電子的、磁気的又は光学的信号の形を取る。これらの信号のことを、ビット、値、要素、シンボル、文字、語又は番号等と呼ぶことが主として用語の共通化の理由から便宜である。さらに、物理量に対する物理的操作を要求するステップの配列のうちいくつかのものは、一般性を失うことなく、モジュール又はコードデバイスと呼ぶことが便宜である。
【0015】
しかし、このような用語の全ては適当な物理量と関連付けられており、これらの物理量に付された単なる便宜的なラベルに過ぎない。後記において特段の説明がない限り、明細書本文全体を通じて、“処理”、“コンピューティング”、“計算”、“決定”又は“表示”等の用語を用いた説明は、(電子的な)物理量としてのデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ又は他の情報ストレージのなかで操作しかつ変形するコンピュータシステムや同様の電子的コンピューティングデバイスの動作や処理のことを言う。
【0016】
本発明のいくつかの側面は、アルゴリズムの形になったプロセスステップや命令を含む。本発明のプロセスステップや命令は、ソフトウエア、ファームウエア又はハードウエアによって実施され、ソフトウエアで実施される場合は、ダウンロードされることが可能であり、多様なオペレーティングシステムが用いる別のプラットフォームから操作されることも可能である。
【0017】
本発明は、操作を実行する装置にも関する。この装置は、所与の目的を達成する専用装置であってもよいし、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって動作する汎用コンピュータであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータが読取り可能な媒体に記憶され得る。その媒体とは、コンピュータシステムバスに接続可能な、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、電磁光学的ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、電磁的又は光学的カード、ASIC又は電子的命令を記憶し得るあらゆる媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、本明細書で言うコンピュータは、単体のプロセッサを含んでもよいし、コンピュータ能力を増加させるために複数のプロセッサを用いた装置であってもよい。
【0018】
ここでいうアルゴリズムやディスプレイは、もともと特定のコンピュータや他の装置に関係している訳ではない。ここで教示される内容に従って、プログラムとともに多様な一般目的システムが使用され得る。又は、必要とされる方法ステップを実行するためにさらに特化した装置を作成することも便宜である。これらのシステムのそれぞれについてどのような構成が必要となるかは、後記する明細書本文から明らかになる。さらには、本発明は特定のプログラム言語を参照して記載されるものではない。本発明の教示を実装するために、多様なプログラム言語が使用され得る。後記において特定の言語に言及した場合、それは本発明の実施可能性及びベストモードを開示するためである。
【0019】
さらに、本明細書で使用される言語は、主として読み易さ及び教育目的から選択されているのであって、本発明の主旨を限定するために選択されているのではない。従って、本発明の開示は、特許請求の範囲にて記述されている本発明の範囲を例示するものであるが限定するものではない。
(1.能動インピーダンス)
【0020】
機械的インピーダンスとは、機械的システムに作用する正味の力とシステムが生ずる速度との間の関係であり、回転動作の場合は、正味のトルクと角速度との間の関係である。
【0021】
システムが線形かつ時不変である場合、システムのインピーダンスは、図1に示されるように、速度v(s)を正味の力f(s)に関係付ける変換関数Z(s)として、ラプラス領域における単純な型式で表現され得る。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、項m、b及びkは、それぞれ、システムの質量、減衰及び剛性(ばね定数)を表す。
【0024】
ある期間Δtに亘って、身体システムから奪われ得るエネルギーの量ΔEoutが、身体システムの初期エネルギーEOと期間Δtにおいて身体システムに入ったエネルギーの量ΔEinとの合計以下であれば、その身体システムは受動的であると言われる。
【0025】
【数2】
【0026】
受動インピーダンス関数Z(s)は、複素平面の右半分において極を有さない。さらに、Z(s)の任意の虚極は単純であり、正の留数を有する。また、全てのωについて、Re{Z(jω)}≧0である。反対に、能動システムは、前記条件の対象とはならない。したがって、能動システムは、継続的エネルギー源として機能し得るシステムである。
【0027】
受動又は能動挙動とエネルギー移転との関係は、位相の観点から理解され得る。図1に示されるシステムへの入力速度が正弦曲線であると仮定する。すなわち、ここで、v(t)=Vsinωtであり、Vは定数であるとする。出力される力は、v(t)に対する位相のずれφを示すことになり、したがって、f(t)=Fsin(ωt +φ)であり、Fは定数である。システムと環境との間で交換される力の平均値は、P=(FV/2)cosφによって与えられる。受動システムは、Z(s)によって導かれる位相角φが−90度と+90度との間の値を有するシステムである。この場合、出力される力の平均値は正であり、このことは、システムが環境からエネルギーを奪うことを意味する。位相が−90度より小さい又は+90度より大きい場合、システムは能動的になる。この場合、出力される力の平均値は負であり、このことは、システムが環境に対してエネルギーを付与することを意味する。
【0028】
この位相角条件があるために、受動システムは、正のインピーダンス項m、b及びkを有することになる。これに対して、能動システムは、負のインピーダンス項のある組合せを有することとなる。負の質量、減衰又はばね定数は、自然界では、通常は発生しない。したがって、能動インピーダンスは、通常の機械的成分からは生成され得ないが、エネルギープラス制御を必要とする。
【0029】
制御戦略は、外骨格が受動挙動から能動挙動へ遷移することを可能にすることに集中している。能動挙動の間、外骨格は、エネルギーをユーザの手足に移動する。外骨格の挙動が受動的であるとき、外骨格は、ユーザからエネルギーを奪う。
(2.能動インピーダンスに基づく支援制御:単一自由度の場合)
【0030】
インピーダンス制御を通じての支援の主たるコンセプトは、単純化された外骨格の単一自由度モデルを使用して説明される。ある実施形態においては、このモデルは、膝関節のような1つの脚の関節の動作を支援するために設計された外骨格を表現するために使用される。望まれる支援効果は、所与の因子によって関節における筋肉トルクを減少させるということである。膝関節が例として使用されるが、ここで記述される外骨格及び制御戦略は、脚の足首、膝若しくは腰関節、又は腕の手首、肘、若しくは肩関節のような体肢のあらゆる関節を支援するために使用され得る。また、ユーザは、人間又は動物であり得る。さらに、説明の単純化のために。“手足”という語は、手足の関節に取り付けられている(すね又は上腕のような)手足セグメントを記述するために使用され得る。
【0031】
図2は、ある実施形態に係る膝関節用の単一自由度支援外骨格を示す。図示された外骨格は、アクチュエータ及び腕を有し、足首に結合している。ある実施形態に係るインピーダンスパラメータ付の単一自由度外骨格の線形モデルが図3に示されている。外骨格のインピーダンスパラメータは、慣性モーメントIe(外骨格の腕に関する)、減衰be及び剛性keを含む。下添字“e”は、“外骨格(exoskelton)”のことを言う。座標θは、外骨格のアクチュエータの角度位置を表す。
【0032】
項Ie、項be及び項keは、外骨格の実際の機械的特性を表す。これらの特性は、受動的であり、定数でもあるので、着用者に対する有用性は限定されている。外骨格の制御及びアクチュエーションは、外骨格の動的挙動を人間を支援し得る仮想インピーダンスパラメータIed、bed及びkedのセットに置き換えて修正する。上添字“d”は、“所望の(desired)”を意味する。この制御形態はインピーダンス制御と言われ、運動学的状態フィードバック及び/又は力フィードバックを通じて実施され得る。ある実施形態に係るコンセプトが図4に示されている。
【0033】
図4(a)において、外骨格の相互作用ポートpにトルクτpを及ぼしているユーザが感じるインピーダンスは、外骨格の自然インピーダンスであるZe(s)=Ies+be+(ke/s)である。下添字“p”は、ユーザと外骨格との間の接触点(例えば、図2に示される足首連結器)である“相互作用ポートp”を意味する。相互作用トルクτp及び相互作用力FPも図2に示されている。図4(b)において、外骨格は、ユーザのトルクτpに加えてアクチュエータトルクτaの影響を受ける。下添字“a”は、“アクチュエータ(actuator)”を意味する。トルクτaは、図2に示されるアクチュエータが及ぼす。トルクτaを調整する制御法則は、ユーザは今、別の仮想インピーダンスZed(s)=Ieds+bed+(ked/s)を感じているということである。この仮想インピーダンスは、図4(c)に示されている。ユーザの観点からは、図4(b)及び図4(c)のシステムは、完全に同じ挙動を有する。
【0034】
外骨格と人間ユーザとの間の相互作用は、外骨格にユーザを支援させる適当な外骨格仮想インピーダンスパラメータを選択するために、モデル化され得る。図5は、ある実施形態に係る人間手足セグメントの線形モデルを示している。手足の機械的インピーダンスは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有する。下添字“h”は、“人間(human)”を意味する。人間手足のインピーダンスは、Zh(s)=Ihs+bh+(kh/s)と記述される。外骨格が人間の手足から外されたとき、所望の反応速度ωhを生み出すために、式(3)の、ある筋肉トルクτhが必要になる。
【0035】
【数3】
【0036】
外骨格は、1より大きいある因子Gによってこの必要な筋肉トルクを減少させるように設計されている。言い換えれば、手足を支援する外骨格を着用すると、同じ速度ωhを達成するために、ユーザが供給することが必要な筋肉トルクは、τh*=τh/Gだけである。必要なトルクの残り分は、外骨格によって供給される。したがって、外骨格の仮想インピーダンスZed(s)は、能動インピーダンスであることが要求される。例えば、Zh(s)又はGが時間経過につれて変化する場合、仮想インピーダンスZed(s)は時間経過につれて変化し得る。
【0037】
図6は、ある実施形態に係る、外骨格の仮想力学系及び人間手足セグメントによって形成される連結システムの線形モデルを示す。τpは、相互作用ポートpにおいて外骨格が人間に及ぼすトルクを表す。外骨格と人間との間の剛体結合を仮定すると、外骨格及び人間の動作を支配する式は、以下の式(4)(5)の通りである。
【0038】
【数4】
【0039】
τh*=τh/Gによって必要な筋肉トルクを見積もって、前記した制御目標を得るために、我々は、式(3)の両辺をGで除することから始める。
【0040】
【数5】
【0041】
仮想インピーダンスパラメータは、式(4)、(5)及び(7)を合成することによって求められ得る。このようにして、パラメータが式(8)、(9)及び(10)によって与えられる。
【0042】
【数6】
【0043】
人間インピーダンス項は、最小二乗近似法に基づくシステム識別のような適当な方法によって推定され得る。以上のように、筋肉トルクを見積もるためには、外骨格の仮想インピーダンス項は、負でなければならない。この条件が与えられたとき、受動条件Re{Z(jω)}≧0は満たされない。したがって、Zed(s)は能動インピーダンスである。
【0044】
厳密に180度だけ位相がずれている仮想外骨格インピーダンスZed(s)を人間手足のインピーダンスに加算することによって、外骨格は人間手足のインピーダンスを縮小する。修正された人間手足インピーダンスは、Zhd(s)によって与えられる。
【0045】
【数7】
【0046】
式(11)のインピーダンスの合計は、図7に示されている。ここで、インピーダンスは複素平面のベクトルとして表される。
【0047】
このように、外骨格の支援効果は、もとの人間手足インピーダンスZh(s)=Ihs+bh+(kh/s)を“所望の”人間手足インピーダンスZhd(s)=Ihds+bhd+(khd/s)に置き換えることとして記述され得る。ここで、個々のインピーダンス項は、式(12)、(13)及び(14)によって与えられる。
【0048】
【数8】
【0049】
前記したトルクスケーリング方法は、単に、支援目的で能動インピーダンスを適用し得る方法であるだけではない。一般的に、外骨格が人間の仮想インピーダンスを人間の自然インピーダンスより小さくする場合は、外骨格は、筋肉トルクの平均値を下げるという意味で支援的となる。手足の動作が、振動数ωの正弦曲線(周期的に変動する)である場合、外骨格の動きは、式(15)の関係が保たれれば支援的となる。
【0050】
【数9】
【0051】
前記したことの例として、図8は、純粋な負の外骨格減衰(Zed=bed,bed<0)が、人間の手足に接続されている場合を示す。この外骨格は、筋組織の受動減衰に起因して手足の中で発生する通常のエネルギー放散が起きないようにする効果を有する。図8が示すように、修正された人間手足インピーダンスの大きさZhdは、自然の手足インピーダンスの大きさZhよりも小さくなる。
(3.能動インピーダンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装)
【0052】
能動インピーダンス制御装置の実装は、多くの方法で行われ得る。ある実施形態においては、制御装置は、アドミッタンスベースの軌道命令生成器、及び、外骨格とユーザ間のフィードバックループ内の力/トルクセンサ(アクチュエータのモータを制御する成分を含む)を有する。この制御装置の構造は図9Aに示されている。
【0053】
計測された相互作用トルク又は相互作用力τp,mは、ネゲート(無効化)され、能動インピーダンス要素に対する入力として使用される。この入力は、1/Zed(s)(仮想アドミッタンスとして知られている)という形の外骨格の仮想インピーダンスパラメータを含む。
命令された角速度は、場合によっては、その積分値及び/又は微分値と合成され、外骨格の命令された運動学的軌跡qc(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)を生成する。参照軌跡が外骨格のモータに命令されることから、下添字“c”は、“命令(command)”を意味する。命令された運動学的軌跡及び相互作用トルク若しくは力τpは、場合によっては比例積分微分制御(PID)又は他の制御メカニズムを通じて、外骨格のモータを制御するために使用される。外骨格のモータが命令を実行する結果として、外骨格のアクチュエータは、軌跡q(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)に従って作動し、人間ユーザと相互作用し、相互作用トルク又は力τpを発生する。この相互作用トルク又は力τpは、トルク/力センサによって計測されて、前記したτp,mを発生する。
【0054】
他の実施形態においては、能動インピーダンス制御装置は、インピーダンスベースのトルク命令発生器、及び、外骨格とユーザとの間のフィードバックループ内の速度センサ(アクチュエータのモータを制御する成分を含む)を有する。この制御装置の構造は、図9Bに示されている。
【0055】
この入力は、Zed(s)という形の外骨格の仮想インピーダンスパラメータを含む。能動インピーダンス要素は、命令されたアクチュエータトルク又は力τcを発生する。命令されたアクチュエータトルク若しくは力τc及び人間ユーザ関節の実際の運動学的軌跡q(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)は、場合によっては比例積分微分制御(PID)又は他の制御メカニズムを通じて、外骨格のモータを制御するために使用される。外骨格のモータが命令を実行する結果として、外骨格は、相互作用トルク又は相互作用力τpをユーザに及ぼし、ユーザの関節は、運動学的軌跡qに従って動作する。
【0056】
能動インピーダンス制御装置は、エネルギーをユーザ外骨格システムに(平均的に)入力することが可能である。外骨格が及ぼす力は、外骨格角速度(qの速度成分)と相互作用トルク(τp)との積である。この力の積分は、外骨格がシステムに対し入力したエネルギーであり、平均して正である。
【0057】
能動インピーダンス制御装置は、ハードウエア、ソフトウエア又は両者として実装される。制御装置内の信号は、デジタル、アナログ又は両者であり得る。図9A及び9Bに示されたモジュールは、1つに纏められてもよいし、他のモジュールにさらに分散されてもよい。インピーダンス制御装置は、外骨格の一部として、外骨格のアクチュエータの一部として又は外骨格から分離されて、実装され得る。
(4. 能動インピーダンスに基づく支援制御:複数自由度の場合)
【0058】
図10は、ある実施形態に係る複数自由度の外骨格設計を示す。外骨格は、アクチュエータ付の可動関節によって接続されている剛体リンクからなる。このような装置は、歩行する、階段を登る、腰掛ける、のような日常生活に関連付けられたより複雑な下肢動作をユーザが行うのを支援するために使用される。図10に示されている外骨格は、アクチュエータのトルクである複数の入力τ1,τ2及びτ3、及び、リンクの反応速度である複数の出力を有する非線形システムである。前記の制御方法が、複数自由度外骨格に拡張され得る。
【0059】
図11は、ある実施形態に係る人間手足のインピーダンス特性を示す。脚が、各リンクの質量mh,i(慣性モーメントもそれに従属する)によって特徴付けられる複数リンクメカニズムとして表されている。リンクの質量は、質量ベクトルmh内に配列される。各関節は、減衰係数bh,iによって特徴付けられる。減衰係数は、減衰行列Bh内に配列される。(明確さのために、関節剛性は除外されている。)外骨格は、手足のインピーダンスパラメータを仮想修正し、手足を動かすために必要な筋肉負担を減らす。修正されたインピーダンスは、仮想質量mhd及び減衰係数Bhdのセットとして表される。支援は、仮想質量のそれぞれmhdをmh内の仮想質量の実部より小さくすることによって行われ得る。ユーザは、手足が軽くなり手足の慣性が小さくなるのを感じるはずである。同様に、関節の減衰を仮想的に減少させてもユーザに対する支援効果を期待できる。
【0060】
図12は、複数自由度外骨格用の制御装置が人間の手足の特性の仮想修正を発生させる方法を図示している。人間の手足の自然の力学系は、式(16)により表される。
【0061】
【数10】
【0062】
式(16)において、ベクトルqは、関節空間における手足の形状を表すn個の一般化された座標(典型的には関節角度)のセットである。
Bhは手足の減衰行列であり、ベクトルτhは手足の関節に及ぶ正味の筋肉トルクを表す。外骨格の効果は、手足の自然の力学系を、図12のブロック(a)内の上添字“d”が示す仮想ダイナミック項のセットによって置き換えることである。
【0063】
【数11】
【0064】
手足の仮想インピーダンスを発生させる一つの方法は、外骨格と人間の手足との間の相互作用力Fp(直交座標空間内)を通る。これらの力が、図12のブロック(b)に示されるように、式(16)を修正する。
【0065】
【数12】
【0066】
式(21)において、JhTは人間の手足のヤコビアン行列である。
式(21)の最後の項は、関節空間における等価トルクのベクトルτpによって置き換えられてもよい。
【0067】
【数13】
【0068】
これらのトルクは、例えば、関節にトルクセンサをインストールすることによって直接計測され得る。式(17)、(21)及び(22)を合成すると、式(23)ができる(明確化のため、いくつかの質量及び状態項は削除した)。
【0069】
【数14】
【0070】
この式(23)は、式(24)を定義することによりコンパクトな形に表され得る。
【0071】
【数15】
【0072】
我々は、前記項を外骨格の仮想力学系と呼ぶ。すなわち、
【0073】
【数16】
【0074】
予想通り、外骨格の仮想力学系は、能動システムの力学系である。定数項から構成される仮想減衰行列Bedの特別な場合として、Bedが負の定符号であることが証明されれば、外骨格の仮想力学系は能動的となる。
【0075】
図12のブロック(d)においても示されている式(25)は、外骨格の基礎制御法則を表す。単一自由度外骨格の場合のように、この制御法則のある実施形態は、インピーダンス制御装置である。
【0076】
式(25)は、外骨格の実際の力学系を表していない。実際の力学系は、図12のブロック(c)内の式によって表される。
【0077】
【数17】
【0078】
Beは外骨格の減衰行列であり、ベクトルτeはアクチュエータのトルクを表す。制御装置のタスクは、実際の力学系を式(25)で表される力学系に置き換えることである。この置き換えにより、通常、状態及び/又は力のフィードバックの使用が必要になる。
(5.能動インピーダンスに基づく複数自由度支援制御装置の実装)
【0079】
複数自由度外骨格用の制御アーキテクチャを実装する場合に考慮すべきことは、外骨格プラントの線形化、つまり、外骨格の動的特性を、システムへの入力とは無関係にすることである。後記するように、線形化は、身体外骨格の力学系のモデルを使用することを通じて行われ得る。
【0080】
図13は、ある実施形態における、複数自由度外骨格用の制御アーキテクチャの図である。外骨格の制御は、それぞれが固有のフィードバックループを有する3つの主段階を含む。第1の段階は、仮想外骨格インピーダンスに基づく能動インピーダンス要素である。この要素は、外骨格の所望の動的挙動を表す。能動インピーダンス要素の出力は、外骨格のアクチュエータ毎の参照運動学的軌跡(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)である。第2の段階は、軌跡追跡制御である。この要素は、アクチュエータが参照軌跡をたどるのに必要な基礎制御命令を発行する機能を有する。この制御ブロックは、比例(P)又は比例微分(PD)制御装置を含む。第3の段階は、(モデルベースの)線形化制御装置である。複数自由度の外骨格の場合は、重力及びリンク間の結合が、軌跡追跡制御を不充分とする非線形力学系の原因である。この問題は、外骨格を線形プラントとして効果的に挙動させる線形化制御を加えることによって解決される。この制御段階は、外骨格の真の力学系のモデルを身体外骨格からの運動学的フィードバック(典型的には位置及び速度)と結びつける。
【0081】
図13に示される制御装置は、図12において概要を説明したタスクを実行するために設計されている。ある実施形態においては、第1の制御段階は、式(25)に基づくインピーダンス要素を有する。
【0082】
第2の段階は、軌跡追跡制御装置(外側ループ制御)であり、例えば式(27)の制御法則を適用するPD制御装置である。
【0083】
【数18】
【0084】
KD及びKPは、スカラ利得行列である。
【0085】
第3の段階は、アクチュエータ毎に、命令加速度をトルク命令τeに変換する、モデルを用いた制御装置である。外骨格の線形化もこの段階で行われる。
式(26)を基礎として、第3の段階の制御法則が式(28)として与えられる。
【0086】
【数19】
【0087】
モデル項が充分正確である場合は、制御装置の第3の段階は、式(26)の非線形項を消去する。結果的に身体外骨格の挙動は、式(29)によって与えられる。
【0088】
【数20】
【0089】
【0090】
いくつかの実施形態を参照しつつ本発明を相当詳細に説明したが、当業者には理解されるように、他の実施形態も可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの動作を支援する力を供給する外骨格の制御に関する。この力は、歩行する、階段を登る、腰掛ける及び立ち上がる、のような下肢の日常的な動作に必要な筋肉負担を軽減するために使用される。当該力は、ユーザの動作の敏捷性を向上させることもできる。より具体的には、本発明は、ユーザの下肢の機械的特性を仮想的に変化させることに基づく外骨格制御の革新的形状に関する。
【背景技術】
【0002】
現在実施されている支援外骨格の多くは、依然として研究及び開発段階にある。外骨格は、多くのグループによって研究対象とされてはいるが、市場で入手可能なものは未だ存在しない。現存する設計は、研究環境中にあってのみ機能するものであって、専門家による大規模な調整を要する。
【0003】
外骨格の構造は、その支援能力に応じて受動制御外骨格又は能動制御外骨格のいずれかに分類され得る。受動制御外骨格とは、環境から事前に引き出した以上のエネルギーを環境に対して供給し得ない装置をいう。ばねは、単純な機械的受動装置の一例である。したがって、受動的な挙動を表す外骨格は、限定された支援能力を有する。具体的には、受動制御外骨格は、ユーザが自らの筋力をより効果的に用いるのを補助するが、ユーザに対して実際にエネルギーを供給することはない。(実際、受動制御外骨格は、ユーザからある量のエネルギーを常時奪っている。)
【0004】
外骨格を用いた受動支援の一例として、ユーザの体重の一部を外骨格が支持する、受動重力支持がある。しかしながら、この外骨格は、例えば椅子から立ち上がるときユーザの重心を上げるために貢献することはできない。重力支持の特別な場合として、例えば重いリュックサックのようなユーザが運搬する荷重の一部を外骨格が支持する荷重運搬支援がある。他の受動支援として、外骨格がばねのような受動装置を使用し、健常な関節(腰部のような)からある条件に起因して相対的に弱い他の関節(下垂足患者の足首のような)への力を打ち消している、力相殺支援がある。共振を用いた支援においては、外骨格は、手足の動きを修正し、手足をその共振周波数のより近くで動かし、ユーザが自らの筋力をより効果的に使用することを支援する。
【0005】
他方、能動制御外骨格は、エネルギー源として作用する。したがって、能動制御外骨格は連続的にエネルギーをユーザに対し供給する能力を有する。このことは重要である。なぜならば、外骨格が全目的支援装置となるためには、外骨格は能動挙動が可能であるべきであるからである。人間の動作は、身体の重心がある位置に上昇することを伴う。能動制御外骨格のみが、この種の動作を反復的に支援し得る。さらに、人間の動作は、無視できない量の筋組織のエネルギー消耗を伴う。能動制御外骨格であれば、人体が消耗するエネルギーの一部を補うことができる。
【0006】
外骨格装置の制御は、困難な問題である。能動制御外骨格の場合、一般的なパラダイムは、筋電制御である。この制御スキームは、筋肉の筋電図(EMG)活動を用いて筋力を評価し、評価された筋力にある増幅率を乗ずることからなる。したがって、外骨格は、筋力増幅器として機能する。このタイプの制御は、人間が試みるあらゆる動作を支援するのに原則的に役立つという利点を有する。他方、このタイプの制御は、主としてEMG信号の性質に起因するいくつかの現実的な限界も有する。EMGからトルクを正確に評価することは、複数の筋肉の特徴と、さらにEMG信号に影響を及ぼす外部要素を分離することを要求する困難なタスクである。さらに、EMGは、時間の経過につれて及び被験者に応じて、相当なばらつきを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御信号源としてEMGを必要としない、能動挙動から生ずる多用途な支援を提供する外骨格制御方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要約)
外骨格に能動インピーダンスを表示させ得る制御装置付の外骨格によりユーザを支援するシステム及び方法が紹介される。外骨格は、ユーザが体肢を動かすために要求される筋肉負担を削減することによってユーザを支援する。
【0009】
ある実施形態においては、単一自由度(1-DOF)外骨格は、能動インピーダンス制御装置を使用してユーザの単一関節動作を支援する。他の実施形態においては、複数自由度(multi-DOF)外骨格が、能動インピーダンス制御装置を使用してユーザの複数関節動作を支援する。
【0010】
本発明は、別添する図面において図示されるが、これらの図面は例示であって本発明を限定するものではない。同様の番号は、同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施形態に係る機械的インピーダンスを示す図である。
【図2】ある実施形態に係る膝関節向けの単一自由度支援外骨格を示す図である。
【図3】ある実施形態に係る単一自由度外骨格の線形モデルを示す図である。
【図4】ある実施形態に係る、インピーダンス制御による外骨格内での仮想インピーダンスパラメータ生成を示す図である。
【図5】ある実施形態に係る人間手足セグメントの線形モデルを示す図である。
【図6】ある実施形態に係る、外骨格に装着された人間手足セグメントを含むシステムの線形モデルを示す図である。
【図7】ある実施形態に係る人間手足セグメントのスケーリングのための能動外骨格インピーダンスの適用を示す図である。
【図8】ある実施形態に係る人間手足セグメントに対する純粋に負の減衰の効果を示す図である。
【図9A】ある実施形態に係る能動アドミッタンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装を示す図である。
【図9B】ある実施形態に係る能動インピーダンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装を示す図である。
【図10】ある実施形態に係る複数自由度の外骨格構造を示す図である。
【図11】ある実施形態に係る人間脚インピーダンスパラメータを示す図である。
【図12】ある実施形態に係る外骨格支援による人間脚力学系の仮想修正を示す図である。
【図13】ある実施形態に係る複数自由度外骨格の制御構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。同様の参照番号は同一の又は機能的に同様の要素を示している。また、各参照番号の最も左の数字は、その番号が最初に用いられた図の番号に対応している。
【0013】
本明細書において、“ある実施形態”又は“1つの実施形態”と言う場合は、本発明の少なくともある実施形態に、その実施形態に関連して記述される1つの特徴又は構造が含まれていることを意味する。本明細書のあちこちに“ある実施形態では”という語が出現しても、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。
【0014】
後記する詳細説明のいくつかの部分は、アルゴリズム用語や、コンピュータメモリ内のデータビット操作を示す象徴的な表現による。これらのアルゴリズム的な説明や表現は、情報処理分野の当業者が、自らの業績の要旨を、同分野の他の当業者に最も効率的に伝えるために用いる手段である。アルゴリズムとは、ここでは、そして一般的にも、ある所望の結果に至る複数のステップ(命令)の首尾一貫したシーケンスのことを言う。ステップとは、物理量に対する物理的操作を要求するステップのことである。通常、必ずしも必要条件ではないが、それらの数値は、記憶され、転送され、合成され、比較されかつ操作され得る、電子的、磁気的又は光学的信号の形を取る。これらの信号のことを、ビット、値、要素、シンボル、文字、語又は番号等と呼ぶことが主として用語の共通化の理由から便宜である。さらに、物理量に対する物理的操作を要求するステップの配列のうちいくつかのものは、一般性を失うことなく、モジュール又はコードデバイスと呼ぶことが便宜である。
【0015】
しかし、このような用語の全ては適当な物理量と関連付けられており、これらの物理量に付された単なる便宜的なラベルに過ぎない。後記において特段の説明がない限り、明細書本文全体を通じて、“処理”、“コンピューティング”、“計算”、“決定”又は“表示”等の用語を用いた説明は、(電子的な)物理量としてのデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ又は他の情報ストレージのなかで操作しかつ変形するコンピュータシステムや同様の電子的コンピューティングデバイスの動作や処理のことを言う。
【0016】
本発明のいくつかの側面は、アルゴリズムの形になったプロセスステップや命令を含む。本発明のプロセスステップや命令は、ソフトウエア、ファームウエア又はハードウエアによって実施され、ソフトウエアで実施される場合は、ダウンロードされることが可能であり、多様なオペレーティングシステムが用いる別のプラットフォームから操作されることも可能である。
【0017】
本発明は、操作を実行する装置にも関する。この装置は、所与の目的を達成する専用装置であってもよいし、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって動作する汎用コンピュータであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータが読取り可能な媒体に記憶され得る。その媒体とは、コンピュータシステムバスに接続可能な、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、電磁光学的ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、電磁的又は光学的カード、ASIC又は電子的命令を記憶し得るあらゆる媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、本明細書で言うコンピュータは、単体のプロセッサを含んでもよいし、コンピュータ能力を増加させるために複数のプロセッサを用いた装置であってもよい。
【0018】
ここでいうアルゴリズムやディスプレイは、もともと特定のコンピュータや他の装置に関係している訳ではない。ここで教示される内容に従って、プログラムとともに多様な一般目的システムが使用され得る。又は、必要とされる方法ステップを実行するためにさらに特化した装置を作成することも便宜である。これらのシステムのそれぞれについてどのような構成が必要となるかは、後記する明細書本文から明らかになる。さらには、本発明は特定のプログラム言語を参照して記載されるものではない。本発明の教示を実装するために、多様なプログラム言語が使用され得る。後記において特定の言語に言及した場合、それは本発明の実施可能性及びベストモードを開示するためである。
【0019】
さらに、本明細書で使用される言語は、主として読み易さ及び教育目的から選択されているのであって、本発明の主旨を限定するために選択されているのではない。従って、本発明の開示は、特許請求の範囲にて記述されている本発明の範囲を例示するものであるが限定するものではない。
(1.能動インピーダンス)
【0020】
機械的インピーダンスとは、機械的システムに作用する正味の力とシステムが生ずる速度との間の関係であり、回転動作の場合は、正味のトルクと角速度との間の関係である。
【0021】
システムが線形かつ時不変である場合、システムのインピーダンスは、図1に示されるように、速度v(s)を正味の力f(s)に関係付ける変換関数Z(s)として、ラプラス領域における単純な型式で表現され得る。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、項m、b及びkは、それぞれ、システムの質量、減衰及び剛性(ばね定数)を表す。
【0024】
ある期間Δtに亘って、身体システムから奪われ得るエネルギーの量ΔEoutが、身体システムの初期エネルギーEOと期間Δtにおいて身体システムに入ったエネルギーの量ΔEinとの合計以下であれば、その身体システムは受動的であると言われる。
【0025】
【数2】
【0026】
受動インピーダンス関数Z(s)は、複素平面の右半分において極を有さない。さらに、Z(s)の任意の虚極は単純であり、正の留数を有する。また、全てのωについて、Re{Z(jω)}≧0である。反対に、能動システムは、前記条件の対象とはならない。したがって、能動システムは、継続的エネルギー源として機能し得るシステムである。
【0027】
受動又は能動挙動とエネルギー移転との関係は、位相の観点から理解され得る。図1に示されるシステムへの入力速度が正弦曲線であると仮定する。すなわち、ここで、v(t)=Vsinωtであり、Vは定数であるとする。出力される力は、v(t)に対する位相のずれφを示すことになり、したがって、f(t)=Fsin(ωt +φ)であり、Fは定数である。システムと環境との間で交換される力の平均値は、P=(FV/2)cosφによって与えられる。受動システムは、Z(s)によって導かれる位相角φが−90度と+90度との間の値を有するシステムである。この場合、出力される力の平均値は正であり、このことは、システムが環境からエネルギーを奪うことを意味する。位相が−90度より小さい又は+90度より大きい場合、システムは能動的になる。この場合、出力される力の平均値は負であり、このことは、システムが環境に対してエネルギーを付与することを意味する。
【0028】
この位相角条件があるために、受動システムは、正のインピーダンス項m、b及びkを有することになる。これに対して、能動システムは、負のインピーダンス項のある組合せを有することとなる。負の質量、減衰又はばね定数は、自然界では、通常は発生しない。したがって、能動インピーダンスは、通常の機械的成分からは生成され得ないが、エネルギープラス制御を必要とする。
【0029】
制御戦略は、外骨格が受動挙動から能動挙動へ遷移することを可能にすることに集中している。能動挙動の間、外骨格は、エネルギーをユーザの手足に移動する。外骨格の挙動が受動的であるとき、外骨格は、ユーザからエネルギーを奪う。
(2.能動インピーダンスに基づく支援制御:単一自由度の場合)
【0030】
インピーダンス制御を通じての支援の主たるコンセプトは、単純化された外骨格の単一自由度モデルを使用して説明される。ある実施形態においては、このモデルは、膝関節のような1つの脚の関節の動作を支援するために設計された外骨格を表現するために使用される。望まれる支援効果は、所与の因子によって関節における筋肉トルクを減少させるということである。膝関節が例として使用されるが、ここで記述される外骨格及び制御戦略は、脚の足首、膝若しくは腰関節、又は腕の手首、肘、若しくは肩関節のような体肢のあらゆる関節を支援するために使用され得る。また、ユーザは、人間又は動物であり得る。さらに、説明の単純化のために。“手足”という語は、手足の関節に取り付けられている(すね又は上腕のような)手足セグメントを記述するために使用され得る。
【0031】
図2は、ある実施形態に係る膝関節用の単一自由度支援外骨格を示す。図示された外骨格は、アクチュエータ及び腕を有し、足首に結合している。ある実施形態に係るインピーダンスパラメータ付の単一自由度外骨格の線形モデルが図3に示されている。外骨格のインピーダンスパラメータは、慣性モーメントIe(外骨格の腕に関する)、減衰be及び剛性keを含む。下添字“e”は、“外骨格(exoskelton)”のことを言う。座標θは、外骨格のアクチュエータの角度位置を表す。
【0032】
項Ie、項be及び項keは、外骨格の実際の機械的特性を表す。これらの特性は、受動的であり、定数でもあるので、着用者に対する有用性は限定されている。外骨格の制御及びアクチュエーションは、外骨格の動的挙動を人間を支援し得る仮想インピーダンスパラメータIed、bed及びkedのセットに置き換えて修正する。上添字“d”は、“所望の(desired)”を意味する。この制御形態はインピーダンス制御と言われ、運動学的状態フィードバック及び/又は力フィードバックを通じて実施され得る。ある実施形態に係るコンセプトが図4に示されている。
【0033】
図4(a)において、外骨格の相互作用ポートpにトルクτpを及ぼしているユーザが感じるインピーダンスは、外骨格の自然インピーダンスであるZe(s)=Ies+be+(ke/s)である。下添字“p”は、ユーザと外骨格との間の接触点(例えば、図2に示される足首連結器)である“相互作用ポートp”を意味する。相互作用トルクτp及び相互作用力FPも図2に示されている。図4(b)において、外骨格は、ユーザのトルクτpに加えてアクチュエータトルクτaの影響を受ける。下添字“a”は、“アクチュエータ(actuator)”を意味する。トルクτaは、図2に示されるアクチュエータが及ぼす。トルクτaを調整する制御法則は、ユーザは今、別の仮想インピーダンスZed(s)=Ieds+bed+(ked/s)を感じているということである。この仮想インピーダンスは、図4(c)に示されている。ユーザの観点からは、図4(b)及び図4(c)のシステムは、完全に同じ挙動を有する。
【0034】
外骨格と人間ユーザとの間の相互作用は、外骨格にユーザを支援させる適当な外骨格仮想インピーダンスパラメータを選択するために、モデル化され得る。図5は、ある実施形態に係る人間手足セグメントの線形モデルを示している。手足の機械的インピーダンスは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有する。下添字“h”は、“人間(human)”を意味する。人間手足のインピーダンスは、Zh(s)=Ihs+bh+(kh/s)と記述される。外骨格が人間の手足から外されたとき、所望の反応速度ωhを生み出すために、式(3)の、ある筋肉トルクτhが必要になる。
【0035】
【数3】
【0036】
外骨格は、1より大きいある因子Gによってこの必要な筋肉トルクを減少させるように設計されている。言い換えれば、手足を支援する外骨格を着用すると、同じ速度ωhを達成するために、ユーザが供給することが必要な筋肉トルクは、τh*=τh/Gだけである。必要なトルクの残り分は、外骨格によって供給される。したがって、外骨格の仮想インピーダンスZed(s)は、能動インピーダンスであることが要求される。例えば、Zh(s)又はGが時間経過につれて変化する場合、仮想インピーダンスZed(s)は時間経過につれて変化し得る。
【0037】
図6は、ある実施形態に係る、外骨格の仮想力学系及び人間手足セグメントによって形成される連結システムの線形モデルを示す。τpは、相互作用ポートpにおいて外骨格が人間に及ぼすトルクを表す。外骨格と人間との間の剛体結合を仮定すると、外骨格及び人間の動作を支配する式は、以下の式(4)(5)の通りである。
【0038】
【数4】
【0039】
τh*=τh/Gによって必要な筋肉トルクを見積もって、前記した制御目標を得るために、我々は、式(3)の両辺をGで除することから始める。
【0040】
【数5】
【0041】
仮想インピーダンスパラメータは、式(4)、(5)及び(7)を合成することによって求められ得る。このようにして、パラメータが式(8)、(9)及び(10)によって与えられる。
【0042】
【数6】
【0043】
人間インピーダンス項は、最小二乗近似法に基づくシステム識別のような適当な方法によって推定され得る。以上のように、筋肉トルクを見積もるためには、外骨格の仮想インピーダンス項は、負でなければならない。この条件が与えられたとき、受動条件Re{Z(jω)}≧0は満たされない。したがって、Zed(s)は能動インピーダンスである。
【0044】
厳密に180度だけ位相がずれている仮想外骨格インピーダンスZed(s)を人間手足のインピーダンスに加算することによって、外骨格は人間手足のインピーダンスを縮小する。修正された人間手足インピーダンスは、Zhd(s)によって与えられる。
【0045】
【数7】
【0046】
式(11)のインピーダンスの合計は、図7に示されている。ここで、インピーダンスは複素平面のベクトルとして表される。
【0047】
このように、外骨格の支援効果は、もとの人間手足インピーダンスZh(s)=Ihs+bh+(kh/s)を“所望の”人間手足インピーダンスZhd(s)=Ihds+bhd+(khd/s)に置き換えることとして記述され得る。ここで、個々のインピーダンス項は、式(12)、(13)及び(14)によって与えられる。
【0048】
【数8】
【0049】
前記したトルクスケーリング方法は、単に、支援目的で能動インピーダンスを適用し得る方法であるだけではない。一般的に、外骨格が人間の仮想インピーダンスを人間の自然インピーダンスより小さくする場合は、外骨格は、筋肉トルクの平均値を下げるという意味で支援的となる。手足の動作が、振動数ωの正弦曲線(周期的に変動する)である場合、外骨格の動きは、式(15)の関係が保たれれば支援的となる。
【0050】
【数9】
【0051】
前記したことの例として、図8は、純粋な負の外骨格減衰(Zed=bed,bed<0)が、人間の手足に接続されている場合を示す。この外骨格は、筋組織の受動減衰に起因して手足の中で発生する通常のエネルギー放散が起きないようにする効果を有する。図8が示すように、修正された人間手足インピーダンスの大きさZhdは、自然の手足インピーダンスの大きさZhよりも小さくなる。
(3.能動インピーダンスに基づく単一自由度支援制御装置の実装)
【0052】
能動インピーダンス制御装置の実装は、多くの方法で行われ得る。ある実施形態においては、制御装置は、アドミッタンスベースの軌道命令生成器、及び、外骨格とユーザ間のフィードバックループ内の力/トルクセンサ(アクチュエータのモータを制御する成分を含む)を有する。この制御装置の構造は図9Aに示されている。
【0053】
計測された相互作用トルク又は相互作用力τp,mは、ネゲート(無効化)され、能動インピーダンス要素に対する入力として使用される。この入力は、1/Zed(s)(仮想アドミッタンスとして知られている)という形の外骨格の仮想インピーダンスパラメータを含む。
命令された角速度は、場合によっては、その積分値及び/又は微分値と合成され、外骨格の命令された運動学的軌跡qc(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)を生成する。参照軌跡が外骨格のモータに命令されることから、下添字“c”は、“命令(command)”を意味する。命令された運動学的軌跡及び相互作用トルク若しくは力τpは、場合によっては比例積分微分制御(PID)又は他の制御メカニズムを通じて、外骨格のモータを制御するために使用される。外骨格のモータが命令を実行する結果として、外骨格のアクチュエータは、軌跡q(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)に従って作動し、人間ユーザと相互作用し、相互作用トルク又は力τpを発生する。この相互作用トルク又は力τpは、トルク/力センサによって計測されて、前記したτp,mを発生する。
【0054】
他の実施形態においては、能動インピーダンス制御装置は、インピーダンスベースのトルク命令発生器、及び、外骨格とユーザとの間のフィードバックループ内の速度センサ(アクチュエータのモータを制御する成分を含む)を有する。この制御装置の構造は、図9Bに示されている。
【0055】
この入力は、Zed(s)という形の外骨格の仮想インピーダンスパラメータを含む。能動インピーダンス要素は、命令されたアクチュエータトルク又は力τcを発生する。命令されたアクチュエータトルク若しくは力τc及び人間ユーザ関節の実際の運動学的軌跡q(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)は、場合によっては比例積分微分制御(PID)又は他の制御メカニズムを通じて、外骨格のモータを制御するために使用される。外骨格のモータが命令を実行する結果として、外骨格は、相互作用トルク又は相互作用力τpをユーザに及ぼし、ユーザの関節は、運動学的軌跡qに従って動作する。
【0056】
能動インピーダンス制御装置は、エネルギーをユーザ外骨格システムに(平均的に)入力することが可能である。外骨格が及ぼす力は、外骨格角速度(qの速度成分)と相互作用トルク(τp)との積である。この力の積分は、外骨格がシステムに対し入力したエネルギーであり、平均して正である。
【0057】
能動インピーダンス制御装置は、ハードウエア、ソフトウエア又は両者として実装される。制御装置内の信号は、デジタル、アナログ又は両者であり得る。図9A及び9Bに示されたモジュールは、1つに纏められてもよいし、他のモジュールにさらに分散されてもよい。インピーダンス制御装置は、外骨格の一部として、外骨格のアクチュエータの一部として又は外骨格から分離されて、実装され得る。
(4. 能動インピーダンスに基づく支援制御:複数自由度の場合)
【0058】
図10は、ある実施形態に係る複数自由度の外骨格設計を示す。外骨格は、アクチュエータ付の可動関節によって接続されている剛体リンクからなる。このような装置は、歩行する、階段を登る、腰掛ける、のような日常生活に関連付けられたより複雑な下肢動作をユーザが行うのを支援するために使用される。図10に示されている外骨格は、アクチュエータのトルクである複数の入力τ1,τ2及びτ3、及び、リンクの反応速度である複数の出力を有する非線形システムである。前記の制御方法が、複数自由度外骨格に拡張され得る。
【0059】
図11は、ある実施形態に係る人間手足のインピーダンス特性を示す。脚が、各リンクの質量mh,i(慣性モーメントもそれに従属する)によって特徴付けられる複数リンクメカニズムとして表されている。リンクの質量は、質量ベクトルmh内に配列される。各関節は、減衰係数bh,iによって特徴付けられる。減衰係数は、減衰行列Bh内に配列される。(明確さのために、関節剛性は除外されている。)外骨格は、手足のインピーダンスパラメータを仮想修正し、手足を動かすために必要な筋肉負担を減らす。修正されたインピーダンスは、仮想質量mhd及び減衰係数Bhdのセットとして表される。支援は、仮想質量のそれぞれmhdをmh内の仮想質量の実部より小さくすることによって行われ得る。ユーザは、手足が軽くなり手足の慣性が小さくなるのを感じるはずである。同様に、関節の減衰を仮想的に減少させてもユーザに対する支援効果を期待できる。
【0060】
図12は、複数自由度外骨格用の制御装置が人間の手足の特性の仮想修正を発生させる方法を図示している。人間の手足の自然の力学系は、式(16)により表される。
【0061】
【数10】
【0062】
式(16)において、ベクトルqは、関節空間における手足の形状を表すn個の一般化された座標(典型的には関節角度)のセットである。
Bhは手足の減衰行列であり、ベクトルτhは手足の関節に及ぶ正味の筋肉トルクを表す。外骨格の効果は、手足の自然の力学系を、図12のブロック(a)内の上添字“d”が示す仮想ダイナミック項のセットによって置き換えることである。
【0063】
【数11】
【0064】
手足の仮想インピーダンスを発生させる一つの方法は、外骨格と人間の手足との間の相互作用力Fp(直交座標空間内)を通る。これらの力が、図12のブロック(b)に示されるように、式(16)を修正する。
【0065】
【数12】
【0066】
式(21)において、JhTは人間の手足のヤコビアン行列である。
式(21)の最後の項は、関節空間における等価トルクのベクトルτpによって置き換えられてもよい。
【0067】
【数13】
【0068】
これらのトルクは、例えば、関節にトルクセンサをインストールすることによって直接計測され得る。式(17)、(21)及び(22)を合成すると、式(23)ができる(明確化のため、いくつかの質量及び状態項は削除した)。
【0069】
【数14】
【0070】
この式(23)は、式(24)を定義することによりコンパクトな形に表され得る。
【0071】
【数15】
【0072】
我々は、前記項を外骨格の仮想力学系と呼ぶ。すなわち、
【0073】
【数16】
【0074】
予想通り、外骨格の仮想力学系は、能動システムの力学系である。定数項から構成される仮想減衰行列Bedの特別な場合として、Bedが負の定符号であることが証明されれば、外骨格の仮想力学系は能動的となる。
【0075】
図12のブロック(d)においても示されている式(25)は、外骨格の基礎制御法則を表す。単一自由度外骨格の場合のように、この制御法則のある実施形態は、インピーダンス制御装置である。
【0076】
式(25)は、外骨格の実際の力学系を表していない。実際の力学系は、図12のブロック(c)内の式によって表される。
【0077】
【数17】
【0078】
Beは外骨格の減衰行列であり、ベクトルτeはアクチュエータのトルクを表す。制御装置のタスクは、実際の力学系を式(25)で表される力学系に置き換えることである。この置き換えにより、通常、状態及び/又は力のフィードバックの使用が必要になる。
(5.能動インピーダンスに基づく複数自由度支援制御装置の実装)
【0079】
複数自由度外骨格用の制御アーキテクチャを実装する場合に考慮すべきことは、外骨格プラントの線形化、つまり、外骨格の動的特性を、システムへの入力とは無関係にすることである。後記するように、線形化は、身体外骨格の力学系のモデルを使用することを通じて行われ得る。
【0080】
図13は、ある実施形態における、複数自由度外骨格用の制御アーキテクチャの図である。外骨格の制御は、それぞれが固有のフィードバックループを有する3つの主段階を含む。第1の段階は、仮想外骨格インピーダンスに基づく能動インピーダンス要素である。この要素は、外骨格の所望の動的挙動を表す。能動インピーダンス要素の出力は、外骨格のアクチュエータ毎の参照運動学的軌跡(角位置、角速度及び/又は角加速度を有する)である。第2の段階は、軌跡追跡制御である。この要素は、アクチュエータが参照軌跡をたどるのに必要な基礎制御命令を発行する機能を有する。この制御ブロックは、比例(P)又は比例微分(PD)制御装置を含む。第3の段階は、(モデルベースの)線形化制御装置である。複数自由度の外骨格の場合は、重力及びリンク間の結合が、軌跡追跡制御を不充分とする非線形力学系の原因である。この問題は、外骨格を線形プラントとして効果的に挙動させる線形化制御を加えることによって解決される。この制御段階は、外骨格の真の力学系のモデルを身体外骨格からの運動学的フィードバック(典型的には位置及び速度)と結びつける。
【0081】
図13に示される制御装置は、図12において概要を説明したタスクを実行するために設計されている。ある実施形態においては、第1の制御段階は、式(25)に基づくインピーダンス要素を有する。
【0082】
第2の段階は、軌跡追跡制御装置(外側ループ制御)であり、例えば式(27)の制御法則を適用するPD制御装置である。
【0083】
【数18】
【0084】
KD及びKPは、スカラ利得行列である。
【0085】
第3の段階は、アクチュエータ毎に、命令加速度をトルク命令τeに変換する、モデルを用いた制御装置である。外骨格の線形化もこの段階で行われる。
式(26)を基礎として、第3の段階の制御法則が式(28)として与えられる。
【0086】
【数19】
【0087】
モデル項が充分正確である場合は、制御装置の第3の段階は、式(26)の非線形項を消去する。結果的に身体外骨格の挙動は、式(29)によって与えられる。
【0088】
【数20】
【0089】
【0090】
いくつかの実施形態を参照しつつ本発明を相当詳細に説明したが、当業者には理解されるように、他の実施形態も可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外骨格のアクチュエータを制御するシステムであって、
前記システムは、
測定された相互作用トルク又は力に基づいて前記アクチュエータに対して運動学的軌跡命令を出力するように構成された能動インピーダンス要素を有し、
前記測定された相互作用トルク又は力は、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表していること、
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの自然インピーダンスの大きさを減少させること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1つの能動インピーダンスを表すZed(jω)に等しいインピーダンスを有していること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの1又は複数の自然機械的インピーダンスパラメータを減少させるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1又は複数の仮想インピーダンスパラメータが負であるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIed、減衰bed及び剛性kedを有すること、
を特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援し、
前記必要な筋トルクは、
1よりも大きいGの因子によって減少され、
前記外骨格の前記仮想インピーダンスパラメータは、
Ied=Ih(1−G)/G、bed=bh(1−G)/Gかつked = kh(1−G)/Gであるように選択されること、
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、
前記外骨格によって示される軌跡誤差を減少させるフィードバックループを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記軌跡誤差は、
前記軌跡命令と前記外骨格によって示される軌跡との差であること、
を特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
外骨格のアクチュエータを制御するシステムであって、
前記システムは、
前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントの測定された角速度に基づいてアクチュエータに対してトルク又は力を出力するように構成された能動インピーダンス要素を有すること、
を特徴とするシステム。
【請求項11】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの自然インピーダンスの大きさを減少させること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1つの能動インピーダンスを表すZed(jω)に等しいインピーダンスを有していること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの1又は複数の自然機械的インピーダンスパラメータを減少させるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1又は複数の仮想インピーダンスパラメータが負であるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIed、減衰bed及び剛性kedを有すること、
を特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援し、
前記必要な筋トルクは、
1よりも大きいGの因子によって減少され、
前記外骨格の前記仮想インピーダンスパラメータは、
Ied=Ih(1−G)/G、bed=bh(1−G)/Gかつked = kh(1−G)/Gであるように選択されること、
を特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、
トルク誤差又は力誤差を減少させるフィードバックループを有すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記トルク誤差又は前記力誤差は、
トルク命令又は力命令と、測定された相互作用トルク又は力との間の差であって、
前記測定された相互作用トルク又は力は、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表すこと、
を特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
外骨格アクチュエータの制御システムであって、
前記制御システムは、
ユーザの体肢セグメント及び前記外骨格を有するシステムに対してエネルギーを平均的に入力することが可能な能動インピーダンス要素を有し、
前記能動インピーダンス要素は、
相互作用トルク又は力を前記体肢セグメントに及ぼすことによって、前記アクチュエータから前記体肢セグメントへエネルギーを平均的に与え、
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格との間に相互作用トルク又は力を発生させる前記体肢セグメントの動きに反応する場合に限り前記体肢セグメントにエネルギーを与えること、
を特徴とする制御システム。
【請求項20】
複数の外骨格のアクチュエータの制御システムであって、
前記制御システムは、
測定された相互作用トルク又は力ベクトルに基づいて、運動学的軌跡命令のセットを、1つの命令をそれぞれのアクチュエータに対応させて出力するように構成された能動インピーダンス要素を有し、
前記測定された相互作用トルク又は力ベクトルは、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表すこと、
を特徴とする制御システム。
【請求項21】
前記制御システムは、
前記アクチュエータ毎に、加速度を含む制御命令の第1のセットを出力し、参照運動学的軌跡を追跡する軌跡追跡制御装置と、
前記外骨格が線形プラントとして挙動することを可能にし、前記アクチュエータ毎とトルク命令を含む制御命令の第2のセットを出力する線形化制御装置と、
前記外骨格及び前記体肢セグメントを有するシステムを含む外骨格プラントと、
を有し、
前記外骨格プラントは、
前記能動インピーダンス要素に対して、力フィードバック又はトルクフィードバックのうちのいずれかを出力し、
前記軌跡追跡装置及び線形化制御装置に対して、運動学的状態フィードバックを出力し、
前記運動学的状態フィードバックは、
位置、速度及び加速度を含む群のうちの1つの選択肢を有すること、
を特徴とする請求項20に記載の制御システム。
【請求項1】
外骨格のアクチュエータを制御するシステムであって、
前記システムは、
測定された相互作用トルク又は力に基づいて前記アクチュエータに対して運動学的軌跡命令を出力するように構成された能動インピーダンス要素を有し、
前記測定された相互作用トルク又は力は、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表していること、
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの自然インピーダンスの大きさを減少させること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1つの能動インピーダンスを表すZed(jω)に等しいインピーダンスを有していること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの1又は複数の自然機械的インピーダンスパラメータを減少させるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1又は複数の仮想インピーダンスパラメータが負であるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIed、減衰bed及び剛性kedを有すること、
を特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援し、
前記必要な筋トルクは、
1よりも大きいGの因子によって減少され、
前記外骨格の前記仮想インピーダンスパラメータは、
Ied=Ih(1−G)/G、bed=bh(1−G)/Gかつked = kh(1−G)/Gであるように選択されること、
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、
前記外骨格によって示される軌跡誤差を減少させるフィードバックループを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記軌跡誤差は、
前記軌跡命令と前記外骨格によって示される軌跡との差であること、
を特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
外骨格のアクチュエータを制御するシステムであって、
前記システムは、
前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントの測定された角速度に基づいてアクチュエータに対してトルク又は力を出力するように構成された能動インピーダンス要素を有すること、
を特徴とするシステム。
【請求項11】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの自然インピーダンスの大きさを減少させること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1つの能動インピーダンスを表すZed(jω)に等しいインピーダンスを有していること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格が前記体肢セグメントに接続されたとき、前記体肢セグメントの1又は複数の自然機械的インピーダンスパラメータを減少させるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIh、減衰bh及び剛性khを有すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格の1又は複数の仮想インピーダンスパラメータが負であるように構成されており、
前記パラメータは、慣性モーメントIed、減衰bed及び剛性kedを有すること、
を特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記能動インピーダンス要素は、
所定の角速度で前記体肢セグメントを動かすために必要な筋トルクを減少させることによって、前記外骨格を着用するユーザを支援し、
前記必要な筋トルクは、
1よりも大きいGの因子によって減少され、
前記外骨格の前記仮想インピーダンスパラメータは、
Ied=Ih(1−G)/G、bed=bh(1−G)/Gかつked = kh(1−G)/Gであるように選択されること、
を特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、
トルク誤差又は力誤差を減少させるフィードバックループを有すること、
を特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記トルク誤差又は前記力誤差は、
トルク命令又は力命令と、測定された相互作用トルク又は力との間の差であって、
前記測定された相互作用トルク又は力は、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表すこと、
を特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
外骨格アクチュエータの制御システムであって、
前記制御システムは、
ユーザの体肢セグメント及び前記外骨格を有するシステムに対してエネルギーを平均的に入力することが可能な能動インピーダンス要素を有し、
前記能動インピーダンス要素は、
相互作用トルク又は力を前記体肢セグメントに及ぼすことによって、前記アクチュエータから前記体肢セグメントへエネルギーを平均的に与え、
前記能動インピーダンス要素は、
前記外骨格との間に相互作用トルク又は力を発生させる前記体肢セグメントの動きに反応する場合に限り前記体肢セグメントにエネルギーを与えること、
を特徴とする制御システム。
【請求項20】
複数の外骨格のアクチュエータの制御システムであって、
前記制御システムは、
測定された相互作用トルク又は力ベクトルに基づいて、運動学的軌跡命令のセットを、1つの命令をそれぞれのアクチュエータに対応させて出力するように構成された能動インピーダンス要素を有し、
前記測定された相互作用トルク又は力ベクトルは、
前記外骨格と、前記外骨格を着用するユーザの体肢セグメントとの間の相互作用を表すこと、
を特徴とする制御システム。
【請求項21】
前記制御システムは、
前記アクチュエータ毎に、加速度を含む制御命令の第1のセットを出力し、参照運動学的軌跡を追跡する軌跡追跡制御装置と、
前記外骨格が線形プラントとして挙動することを可能にし、前記アクチュエータ毎とトルク命令を含む制御命令の第2のセットを出力する線形化制御装置と、
前記外骨格及び前記体肢セグメントを有するシステムを含む外骨格プラントと、
を有し、
前記外骨格プラントは、
前記能動インピーダンス要素に対して、力フィードバック又はトルクフィードバックのうちのいずれかを出力し、
前記軌跡追跡装置及び線形化制御装置に対して、運動学的状態フィードバックを出力し、
前記運動学的状態フィードバックは、
位置、速度及び加速度を含む群のうちの1つの選択肢を有すること、
を特徴とする請求項20に記載の制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−517616(P2010−517616A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548236(P2009−548236)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/073093
【国際公開番号】WO2008/097336
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/073093
【国際公開番号】WO2008/097336
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】
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