説明

多分析物アッセイ

本発明は、サンプルから多数の分析物を検出するための組成物、システムおよび方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/915,051号(2007年4月30日に出願され、全体が本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。本出願は、2007年2月21日に出願された米国特許出願第11/677,559号(その全体が参照により本明細書に援用される)に関する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、Center of Disease Controlによる契約番号200−2007−19345に基づく米国政府支援によってなされた。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
感染性疾患の診断に使用されるものなどの分析物検出デバイスおよびアッセイが当該技術分野において公知である一方、それらには、単一のアッセイデバイスを使用して多数の分析物を検出するのに十分な感度および特異性が欠如している。多数の分析物の迅速な検出を目的とする多分析物アッセイデバイスを新たに作製するには、改善された感度および特異性が必要である。従って、複数の分析物を効果的に検出するため(偽陽性および偽陰性の結果を最小限にすることが可能である)、ならびにしばしば、サンプルに存在する標的および非標的分析物の混合されたプールを含有するサンプルをスクリーニングするためのデバイスおよび方法の開発が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の様々な態様では、サンプルに存在する多数の分析物の検出のためのシステム、デバイスおよび方法を提供する。本発明の一態様では、サンプルにおいて複数の異なる分析物を検出するための向上された感度および特異性を提供するためのデバイスおよびプロセスが提供される。
【0005】
本発明の一態様では、サンプルに存在する1つ以上の分析物を検出するための向上された感度および特異性を提供するように構成されたサンプル回収デバイス(SCD)および試験デバイス(TD)を含むキットが提供される。そのようなサンプルは、非標的および標的分析物の混合されたプールを含有することができる。
【0006】
本発明の別の態様では、サンプルを処理するのに必要な工程を最小限にし、結果を読み取るためのプロセスを簡略化する、サンプルに存在する1つ以上の分析物を検出するためのシステムが提供される。さらに加えて、システムは、操作者が処理し、結果を読み取るのに必要な訓練のレベルを低減する。一実施形態では、システムは、SCD、TDおよび読み取り装置を含む。
【0007】
さらに別の態様では、向上された検出感度および特異性を提供するように構成される本発明のデバイスおよびシステムにサンプルを投与する工程を含む、サンプルに存在する1つ以上の分析物を検出するための方法が提供される。様々な実施形態では、スクリーニングされるサンプルは任意の供給源由来であり、検出される1つ以上の分析物は分析物に結合する検出可能な実体を使用して検出可能である任意の実体である。分析物として、ウイルスまたはウイルス成分、細菌または細菌成分、哺乳動物細胞または哺乳動物細胞成分、および非哺乳動物細胞または非哺乳動物細胞成分が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、A型およびB型インフルエンザならびにA型のサブタイプ、H1およびH3およびH5の検出を提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様では、同じサンプルに存在する場合、多数の分析物の特異性および検出のための感度を向上させる本明細書に記載の試薬、緩衝液およびイムノアッセイ成分が提供される。そのような試薬、緩衝液およびイムノアッセイ成分として、検出プローブ、捕捉プローブ、抽出緩衝液、抗体および部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
文献の援用
本明細書において言及するすべての刊行物および特許出願は、個々の各刊行物または特許出願が、あたかも具体的かつ個別に参照により組み入れられて示されているが如く、同程度に参照により本明細書に援用される。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明の新規の特徴については、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および以下の添付の図面を参照して、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】サンプル回収デバイス(SCD)の実施形態を例示する。
【図2】バーコード適合性であり、サンプル回収デバイス(「SCD」)をTDに直接取り付けることによって、標本のエアロゾルを形成する可能性を低減するかなくす、使用し易く設計された試験デバイス(「TD」)を例示する。
【図3】光学式読み取り装置を例示する。
【図4】より高い感度(先行技術より−2logの改善)および特異性を伴う分析物の検出の一例を例示する。
【図5】(図5A)試験デバイスの一実施形態を示し、試験デバイスの構成要素を示す。(図5B)試験デバイスの一実施形態を示し、試験デバイスにおけるpRNAの役割を示す。
【図6】分析物の検出の一実施形態を例示する。
【図7】(図7A)検出システムを使用してサンプルを処理するためのワークフローの一実施形態を例示する。(図7B)検出システムを使用してサンプルを処理するためのワークフローの一実施形態を例示する。(図7C)検出システムを使用してサンプルを処理するためのワークフローの一実施形態を例示する。
【図8】インフルエンザの検出のためのストリップ/ディップスティックの例を例示する。
【図9】NT−プロBNP標準曲線を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明の好適な実施形態を本明細書において示し、説明してきたが、そのような実施形態は、あくまで例示として提供されることが、当業者には明らかであろう。ここで、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および代替例が想到されるであろう。本発明の実施において、本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替物を用い得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の組成物、方法またはシステムについてのさらなる実施形態については、関連の米国特許出願第11/677,559号に開示されている。
【0013】
本発明のシステム、デバイスおよび方法の一態様は、高い感度および特異性で生物学的サンプル中の多数の分析物を検出するための迅速、高感度のプロセスを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、高い感度、および従来のアッセイより少ない偽陽性を有するアッセイが提供される。さらなる実施形態は、生物学的サンプルに存在する低いレベルの分析物の検出のための装置またはシステムを提供することである。さらに別の実施形態では、最小数の手順工程に関与し、訓練を受けていない人が使用した場合であっても信頼し得る結果が生じるアッセイシステムが提供される。
【0014】
一実施形態では、複数の分析物の存在についてサンプルを試験するためのシステムが提供される。さらに加えて、検出は、数分間で行われる。さらなる実施形態では、結果を得るのに必要な反応の完了後、1〜数時間で結果を読み取ることができるにもかかわらず、本発明は、1つ以上の標的分析物に対して特異的かつ高感度である結果を提供する。
【0015】
本明細書において使用する用語「分析物」は、少なくとも1つのエピトープもしくは結合部位を有する検出もしくは測定すべき化合物または組成物を指す。分析物は、任意の物質であり得、それらに対し、天然に存在する分析物特異的結合メンバーが存在するか、またはそれらに対し、分析物特異的結合メンバー、例えば、炭水化物およびレクチン、ホルモンおよび受容体、相補的核酸などを調製することができる。さらに、可能な分析物は、事実上、任意の化合物、組成物、凝集物、または免疫学的に検出され得る他の物質を含む。即ち、分析物、またはその部分は、抗原性もしくはハプテン性であり、少なくとも1つの決定部位を有するか、または天然に存在する結合対のメンバーである。他の実施形態では、検出される1つ以上の分析物は、サンプル(例えば、尿、口腔液、血液、血漿または血清サンプル)中の抗体(例えば、IgG、IgM)であって、ここで、抗体は、ウイルスまたはウイルス成分、細菌または細菌成分、癌細胞または腫瘍抗原に特異的である。例えば、1つ以上の抗体を検出することによって、アッセイは、患者が、感染因子に以前に感染していたか、または抗体が関連する潜在的疾病を患っていることを示す。さらなる実施形態では、アレルギー検出試験は、特定のアレルゲンに対する被験体の口腔液、全血、尿、血漿または血清中の特異的IgG、IgMおよび/またはIgE Abの存在を検出することを含む。
【0016】
分析物として、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、細菌、ウイルス、アミノ酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的のために投与されるもの、ならびに禁制目的のために投与されるものを含む)、汚染物質、農薬、および上記の物質のいずれかの代謝物またはそれらに対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。分析物という用語はまた、任意の抗原性物質、ハプテン、抗体、高分子、およびこれらの組み合わせを含む。例示的分析物の非限定的な例については、米国特許第4,366,241号、第19欄の第7行目〜第26欄の第42行目;米国特許第4,299,916号;同第4,275,149号;および同第4,806,311号に記載されている。従って、様々な実施形態において、1つ以上の分析物が、被験体から得られるサンプルから検出される。
【0017】
サンプル
サンプルは、分析物の存在および/または濃度について試験すべき任意の材料である。一般に、生物学的サンプルは、被験体、例えば、非ヒト動物またはヒトから採取され、試験デバイスにおいて利用される任意のサンプルであり得る。例えば、生物学的サンプルは、任意の体液サンプル、細胞、または生検由来の組織サンプルであり得る。体液サンプルとして、血液、尿、喀痰、精液、糞便、唾液、胆汁、脳脊髄液、鼻腔拭い液、泌尿生殖器拭い液、鼻腔吸引液、脊髄液などを挙げることができるが、これらに限定されない。生物学的サンプルはまた、被験体、例えば、ヒトから直接採取されるサンプルに由来する任意のサンプルを含むことができる。例えば、生物学的サンプルは、血液サンプルの血漿画分、血清、タンパク質または回収した細胞もしくは組織の核酸抽出であり得るか、あるいは標本の検出可能性を改善するための方法、例えば、鼻部標本における粘液を分解し、標本の粘度を有意に減少する粘液溶解剤、およびウイルスを溶解し、それによって抗原を放出させ、それらをアッセイによる検出に利用可能にするための界面活性剤を含有する溶解緩衝液において処置されている標本由来であり得る。サンプルは、ヒト、トリ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ネコ、イヌまたはヒツジを含むがこれらに限定されない任意の被験動物由来であり得る。
【0018】
例えば、サンプルは、血液、血清、血漿、唾液または口腔液、喀痰、水晶体液(ocular lens fluid)、鼻汁、鼻咽頭または鼻咽頭部の拭い液もしくは吸引液、汗、尿、乳汁、腹水、粘液、関節液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引、脳脊髄液、精液、頚管粘液、膣または尿道分泌物、羊水などを含む生理液などの任意の供給源から由来することができる。本明細書において、例えば、毛、皮膚および爪垢および肉抽出物などの細胞組織の流体ホモジネートも体液とみなされる。前処置は、血液から血漿を調製すること、粘性の流体を希釈または処置することなどを含み得る。処置の方法は、ろ過、蒸留、分離、濃縮、干渉する成分の不活化、および試薬の添加を含むことができる。生理液の他に、産業、環境、または食品製造アッセイならびに診断アッセイの実施のための水、食品、土壌抽出物などの他のサンプルを使用することができる。加えて、一旦、分析物を含有する疑いのある固体材料を改変して、液体培地を形成するか、または分析物を放出させたら、それを試験サンプルとして使用することができる。試験前の生物学的、産業、および環境サンプルの選択および前処置については当該技術分野において周知であって、さらに記載する必要はない。
【0019】
他の該当分野として、獣医学的疾患の診断、細菌混入についての肉、家禽、魚の分析、食用植物、食用穀物、果物、乳製品(加工もしくは非加工)、レストラン、病院および他の公的施設の検査、海岸、海洋、湖またはスイミングプールの汚染についての水を含む環境サンプルの分析が挙げられる。これらの試験によって検出される分析物として、ウイルスおよび細菌抗原ならびに例えば、鉛、農薬、ホルモン、薬物およびそれらの代謝物、炭化水素およびすべての種類の有機または無機化合物を含む化学物質が挙げられる。
【0020】
本発明の一態様では、サンプルチューブ10;サンプル回収器13;ドロッパーキャップ14;抽出緩衝液を含むコンパートメントを含むサンプル回収デバイス(図7(A));ならびに1つ以上の異なる分析物の検出のために構成された1つ以上のアドレス指定可能な領域を含む試験デバイス19(図7B)を含む、1つ以上の分析物の検出のためのキットが提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、SCDは、緩衝化溶液中に約0.75〜約1.125Mの塩を含む抽出緩衝液を含む。一実施形態では、緩衝化溶液中の塩は、約0.75M、1M、1.1Mまたは1.125Mである。さらなる実施形態では、抽出緩衝液は、約1.0%〜約1.5%のサポニンを含有する。さらに他の実施形態では、サポニンは、約0.75%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%または2.0%の濃度である。さらなる実施形態では、1つ以上の分析物の抽出を向上するために、両性イオン剤(例えば、Zwittergent 3/12)が提供される。例えば、抽出緩衝液において、約0.1%〜約1.5%で両性イオン剤が提供される。さらに他の実施形態では、Zwittergent剤は、約0.1%、0.15%、0.175%、0.2%、0.225%、0.25%、0.275%、0.3%、0.325%、0.350%、0.375%、0.4%、0.425%、0.450%、0.475%、0.5%、0.525%、0.550%、0.575%、0.6%、0.7%、0.75%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%または2.0%の濃度である。両性イオン剤の例として、Zwittergent 3/12;生理学的pHで、Goodの緩衝液において緩衝剤として使用されるほとんどのアミノ酸、アミノスルホン酸に基づくMES、MOPS、HEPES、PIPESまたはCAPS;アミノカルボン酸(アミノ酸)に基づくグリシン、その誘導体ビシンおよびトリシン、ならびにアラニン;CHAPSO;アルカロイド、シロシビンおよびリゼルグ酸などの天然産物;ベタイン;キノイド両性イオン;フェキソフェナジン(Allegra)およびセファロリジンなどの薬物;2−(Nモルホリノ)エタンスルホン酸、(3−[N−モルホリノ])プロパンスルホン酸、2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2アミノエタンスルホン酸、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−[(1,1−ジメチルl−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(hydroxypropanesulfonic, acid)、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
例えば、本発明の抽出剤は、ヘマグルチニンを含むが、これに限定されない膜抗原の抽出を向上させる。ヘマグルチニンは、スフィンゴ脂質/コレステロール富化膜ドメイン(即ち、ラフト;界面活性剤−不溶性糖脂質−富化複合体(DIG);または界面活性剤耐性膜(DRM))と会合することが周知である膜糖タンパク質である。一実施形態では、両性イオン界面活性剤(例えば、Zwittergent 3-12)とサポニン(20〜35%サポゲニンを含有する)との組み合わせは、H1、H3およびH5インフルエンザヘマグルチニンの迅速な可溶化を仲介する。これらの剤による可溶化は、同じアッセイにおけるA型インフルエンザまたはB型インフルエンザ由来の核タンパク質の検出を妨害することなく、ヘマグルチニン抗原に対するアッセイ感度を向上させる。
【0023】
一実施形態では、抽出試薬(緩衝液)は、SCDのハンドルの球部に含有され、粘液溶解剤は、それが抽出試薬に暴露される場合、粘液溶解試薬が放出され、拭い液においてもしくは液体標本中に見出されるサンプルを抽出するのに役立つような方法で、乾燥または凍結乾燥状態でSCDの遠位端部に設置される。
【0024】
本発明のいくつかの態様では、検出される1つ以上の分析物として、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分、1つ以上の細菌または細菌成分、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分、心臓障害、心疾患または心臓病に関連する1つ以上の分析物、脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、検出される1つ以上のウイルスまたはウイルス成分は、A型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザである。さらなる実施形態では、A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む。一実施形態では、A型インフルエンザはH5N1である。
【0025】
一実施形態では、ドロッパーキャップ14は、複数の検出プローブおよび複数の捕捉プローブを含む。さらなる実施形態では、ドロッパーは、さらなる試薬または緩衝液(例えば、粘液溶解試薬、塩、界面活性剤など)を含むことができる。本明細書において使用する「捕捉プローブ」は、捕捉部分に連結される結合因子を指し、「検出プローブ」または「標識プローブ」は、標識、検出可能な部分またはシグナル生成部分に連結される結合因子を指し、ここで、捕捉プローブおよび検出プローブの各々は、標的分析物に特異的に結合することが可能である。さらに加えて、明瞭にするために、試験デバイス(以下に説明する)に関する「捕捉部分パートナー」は、捕捉プローブ上に含まれる捕捉部分に特異的に結合する相補体、同系(cognate)またはパートナー分子を指す。様々な実施形態において、本発明のデバイスおよび方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の異なる標的分析物を検出するように構成される。
【0026】
本発明の一態様では、本発明のデバイス、システムおよび方法は、約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の感度および/または特異性で1つ以上の分析物を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、本発明のデバイス、システムおよび方法は、少なくとも約97%の分析物の検出のための感度および特異性の限界を提供するように構成される。
【0027】
さらに別の実施形態では、本発明のデバイス、システムおよび方法は、存在する1つ以上の分析物を検出するように構成され、ここで、検出は、約(pg/mLで)0.010、0.020、0.030、0.040、0.050、0.060、0.070、0.080、0.090、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0.11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、45.0、50.0、60.0、70.0、80.0、90.0、100、150、200、250、300、400もしくは500pg/mlの感度である。一実施形態では、感度は、少なくとも約0.010〜約0.10pg/mLである。一実施形態では、感度は、少なくとも約0.030pg/mLである。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の分析物の検出は、約0.25、0.50、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.5、3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90または約100アトモル(attamoles)の感度である。一実施形態では、1つ以上の分析物の各々の検出のための感度は、少なくとも約1.5アトモルである。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイス、システムおよび方法は、およそのTCID50が1mLあたり1、5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または約1000である、50%組織培養感染量(TCID50)によって測定した際の前記異なる分析物の各々の検出のための感度の限界を提供するように構成される。一実施形態では、分析物の検出のための感度は、サンプルの1mLあたり約10〜約200TCID50である。一実施形態では、感度は約10TCID50である。
【0030】
本発明の別の態様では、サンプルをアッセイして1つ以上の分析物を検出するための方法であって、サンプルを、各々が分析物に特異的に結合することが可能である少なくとも一対の検出プローブおよび捕捉プローブならびに前記サンプルから前記分析物を抽出するための緩衝液を含むサンプル回収デバイス(SCD)に投与する工程と、前記SCD由来のサンプルを前記1つ以上の分析物を検出するように構成された試験デバイス(TD)に投与し、それによって前記サンプルをアッセイして前記1つ以上の分析物を検出する工程(ここで、前記TDは、前記SCDを収容するための開口部を含み、前記TDは、前記1つ以上の分析物に特異的に結合することが可能な可動性実体を含まず、前記捕捉プローブの成分に特異的に結合することが可能な少なくとも1つの固定された捕捉部分を含む)とを含む方法が提供される。
【0031】
様々な実施形態において、本方法は、サンプルと、本明細書において開示する濃度で緩衝化溶液中に塩を含有する抽出緩衝液とを接触させる工程を含む。さらなる実施形態では、抽出緩衝液は、本明細書において開示する濃度(例えば、上掲)でサポニンを含有する。
【0032】
さらなる実施形態では、検出される1つ以上の分析物は、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分、1つ以上の細菌または細菌成分、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分、心臓障害、心疾患または心臓病に関連する1つ以上の分析物、あるいは脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物である。
【0033】
一実施形態では、検出される1つ以上の分析物は、A型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザあるいはそれらの成分を含む。さらなる実施形態では、A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む。一実施形態では、A型インフルエンザはH5N1を含む。
【0034】
本発明の別の態様では、1つ以上の異なる分析物を検出するように構成される検出プローブおよび捕捉プローブの1つ以上の対、サンプル採取器を含むサンプル回収デバイス;前記1つ以上の捕捉プローブに特異的に結合することが可能な1つ以上の固定された捕捉部分を含み、但し、前記1つ以上の異なる分析物に特異的に結合することが可能な可動性結合因子を含まない試験デバイスを含む、システムが提供される。
【0035】
さらなる実施形態では、システムは、本明細書において開示する濃度で緩衝化溶液中に塩を含有する緩衝液を含む。さらなる実施形態では、緩衝液は、本明細書において提供される濃度でサポニンを含む。サンプルの抽出のための試薬は、本発明のSCDに含まれ得るか、またはサンプルと混合されて、その後、本発明のSCDに添加される溶液を形成し得る。
【0036】
様々な実施形態において、システムは、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分、1つ以上の細菌または細菌成分、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分、心臓障害、疾患または疾病に関連する1つ以上の分析物、あるいは脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物を含むが、これらに限定されない1つ以上の分析物の検出のために構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、システムは、A型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザウイルスあるいはそれらの成分を含む1つ以上の分析物を検出するように構成される。さらなる実施形態では、A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む。一実施形態では、A型インフルエンザはH5N1を含む。
【0038】
様々な実施形態では、システムは、本明細書において開示する感度および特異性での1つ以上の分析物の検出を提供するように構成される。例えば、一実施形態では、感度および/または特異性は少なくとも約97%である。
【0039】
別の実施形態では、本発明のシステムは、少なくとも約0.030pg/mlの感度で1つ以上の分析物の検出を提供するように構成される。別の実施形態では、システムは、少なくとも約1.5アトモルの前記異なる分析物の各々の検出のための感度の限界を提供するように構成される。さらに別の実施形態では、システムは、50%組織培養感染量(TCID50)によって測定した際に、分析物の検出のために1mLあたり少なくとも約10〜約200TCID50の感度を提供するように構成される。一実施形態では、感度は、少なくとも約10TCID50である。
【0040】
本発明の別の態様では、サンプルを試験デバイスに投与する工程を含む1つ以上の分析物を検出するための方法が提供され、ここで、デバイスは、少なくとも約0.30pg/mlまたは1.7アトモル(10−18)、および非標的分析物と比べて少なくとも約97%の感度で前記1つ以上のペプチドの各々を検出するように構成される。さらなる実施形態では、脳疾病、脳障害または脳疾患、心臓病、心臓障害または心疾患、癌または新生物疾病または疾患、肝臓病、肝臓障害または肝臓疾患、腎臓病、腎臓障害または腎臓疾患、あるいはそれらの組み合わせからなる群から選択される疾病に関連する1つ以上の分析物(例えば、ポリペプチド、ペプチド、核酸)が検出される。いくつかの実施形態では、検出される1つ以上の分析物は、BNP、NT−プロBNP、プロBNP、CNP、およびANPである。
【0041】
別の実施形態では、サンプルを、SCDおよびTDを含むシステムに投与する工程を含むサンプル中の少なくとも2つ以上のウイルスの検出のための方法が提供され、ここで、前記システムは、少なくとも約97%の感度および特異性で前記2つ以上のウイルスの各々を検出するように構成される。
【0042】
一実施形態では、BNP、NT−プロBNP、プロBNP、CNP、およびANPを含む1つ以上の分析物の検出のための方法が提供され、ここで、前記方法は、約5〜10pg/mLの感度で1つ以上の分析物を検出するように構成されたデバイスにサンプルを投与する工程を含む。
【0043】
様々な実施形態では、SCD(例えば、図1、10)は、被験体からサンプル21を回収するための手段を提供するサンプル採取器を含み、ここで、サンプル採取器は、サンプル採取器ホルダーを介して上部チャンバと流体連通する。サンプル採取器は、軸の遠位端部に配置され、この軸は中実、中空または半透過性であり得る。いくつかの実施形態では、サンプル採取器は、綿棒、櫛、ブラシ、スパーテル、棒、発泡体、綿状基体または繊維状基体である。他の実施形態では、サンプルをSCD10に添加することができ、ここで、サンプルは、貯蔵されたまたは以前に入手したサンプル(例えば、保管された血液サンプル)である。従って、一実施形態では、SCDはまた、サンプル回収器21を必要とすることなく、利用し得る。
【0044】
様々な実施形態において、SCDは、1つ以上の密封された上部チャンバを含み、ここで、シールは、SCDの上部チャンバと下部チャンバとの間の流体連通を制御するためのバルブとして機能する。いくつかの実施形態では、バルブは、破断バルブ、フラッパーバルブ、捻り、螺子、裂断可能な、穿刺可能なまたは破壊可能なバルブであり得る。他の実施形態では、上部チャンバは、内部の任意の内容物を放出するように圧力をかけて、アンプルを裂断、穿刺、または破壊しない限り、内部に含有する溶液が下部チャンバに流動することを防止する1つ以上のアンプルを含有することができる。
【0045】
本発明の一態様は、プランジャー器具の上流のサンプルリザーバ、1つ以上の溶液の送達のための複数の封止可能な開口部、サンプルリザーバに投与されるサンプルから1つ以上の化合物をろ過するための基体、および前記サンプル中の少なくとも1つの分析物に特異的に結合することが可能な試薬を含むSCDに関する。
【0046】
本発明の別の態様では、1つ以上の分析物の検出のための試験デバイスが提供され、ここで、デバイスは、本体内のラテラルフロー膜、流体または溶液を含有するラテラルフロー膜の上流のチャンバを含み、ここで、前記チャンバと前記ラテラルフロー膜との間に間隙が配置され、それ故、チャンバとラテラルフロー膜と間の流体連通を阻止する。一実施形態では、チャンバにかけられる圧力は、間隙の付近を押し、それ故、チャンバとラテラルフロー膜との間に流体連通を形成する。一実施形態では、SCDの遠位端部が嵌め込まれる開放部は、間隙の下流であるが、ラテラルフロー膜の上流に配置される芯入りパッドの上部に直接配置される。
【0047】
一実施形態では、試験デバイスチャンバは、同じまたは異なる溶液を含有する1つ以上のサブチャンバを含む。他の実施形態では、サブチャンバのチャンバは、破壊可能、穿刺可能もしくは破断可能な1つ以上のアンプルまたはパケットを含む。それ故、圧力がそのようなアンプルまたはパケットにかけられる場合、内容物が制御可能に放出される。本明細書に記載のように、試験デバイスは、チャンバからラテラルフロー膜への流体連通を中断するための間隙手段を含んでも、または含まなくてもよい。試験デバイスギャップは、0〜3.0、0.5〜3.5、1.0〜2.5、1.0〜3.0、または2.0〜4.0mmであり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、試験デバイスは、ラテラルフロー膜を収納する本体を含むことができ、ここで、本体は、ラテラルフロー膜が目視可能である1つもしくは複数の窓を提供する。本明細書に記載の様々な実施形態において、試験デバイスは、前記ラテラルフロー膜上に配置される試験区域の上流または下流の芯入り基体および吸収性基体を含むラテラルフロー膜を含む。いくつかの実施形態では、保管するために小容積のサンプルを回収するための基体が、SCDまたは試験デバイスに提供される。一実施形態では、そのような保管手段を提供する基体は、小容積のサンプルを回収するフィルター、膜または紙であり、続いて、前記基体はデバイスから取り出される。
【0049】
様々な実施形態では、SCDおよび/または試験デバイスは、1つのデバイスから取り出し、別のデバイスに設置することができる1つ以上の同一の同定可能なタグを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、試験デバイスは、上流のチャンバが押し下げられた場合、(専用のアダプター形状)のみが読み取り装置の収容部に嵌め込まれ、それ故、内部に含有する洗浄用緩衝液または展開用緩衝液がラテラルフロー膜を介して放出されたことを示すように形成される。そのような実施形態では、試験デバイスおよび読み取り装置専用のアダプターは、試験デバイスの上流のチャンバの展開用緩衝液または溶液が放出され、それ故、ラテラルフロー膜を介して、ラテラルフロー膜の上流に存在する任意のサンプルを洗浄したことを確認するための手段を提供する。それによって、専用のアダプターは、処理されていないサンプルの読み取りを防止するための「安全手段」を提供する。
【0051】
本発明の別の態様では、処理されたサンプルは、試験デバイスのラテラルフロー膜に通されるが、30分間〜数時間、別の場所に置くこともできる。様々な実施形態では、複数のサンプルは、試験デバイスに通すことができるが、一貫したかつ正確なシグナルにより0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間後に読み取ることができる。
【0052】
本発明の所定の態様では、本明細書において開示するデバイスは、サンプルに存在し得る1つ以上の分析物の検出のための方法に利用される。いくつかの実施形態では、方法は、感染因子の1つ以上の株を検出することに関する。一実施形態では、1つ以上のインフルエンザウイルスおよびそれらのサブタイプを検出するための方法が提供される。例えば、単一のサンプルに存在し得るインフルエンザウイルスAおよびB、ならびにA型インフルエンザのサブタイプの検出のための方法が提供される。
【0053】
本発明の所定の態様では、サンプルに存在し得る1つ以上の標的抗原または分析物の検出のためのサンプル回収デバイス(SCD)が提供される。サンプル回収デバイスは、試験デバイスと共に利用することができる(例えば、図1)。一態様では、本明細書においてさらに記載のように、SCD、試験デバイスおよび読み取り装置を含む1つ以上の分析物の検出のためのシステムが提供される(例えば、図7)。
【0054】
様々な実施形態において、SCDは、同じまたは異なる溶液を含有することができる1つ以上の上部の密封されたチャンバを含む。一実施形態では、上部の密封されたチャンバは、少なくとも2つのコンパートメントあるいはサブチャンバを含み、各々、同じもしくは異なる試薬および/または緩衝液を含む。他の実施形態では、上部チャンバは、穿刺可能な、破壊可能なまたは裂断可能なアンプルを含むことができる。いくつかの実施形態では、SCDは、サンプルに存在し得る1つ以上の異なる標的抗原と複合体を形成するのに必要な試薬を提供し、ここで、複合体は、捕捉部分および検出可能な標識を含み、試験デバイスは、そのようにして形成される1つ以上の複合体をアドレス指定可能に補足するのに必要な手段、およびアドレス指定可能に捕捉された複合体由来の1つ以上のシグナルを検出するための手段を提供する読み取り装置を提供する。
【0055】
様々な実施形態では、上部の密封されたチャンバは、抽出緩衝液および/または試薬、サンプル回収器、サンプル回収器ホルダー10および複数の試薬を含み、ここで、試薬は、複数の特異的結合対を含み、ここで、各対は、第1の特異的結合因子52、53にコンジュゲートした標識51(「検出プローブ」もしくは「標識プローブ」)および第2の特異的結合因子60にコンジュゲートした捕捉部分56、57(「捕捉プローブ」)を含み、ここで、第1および第2の特異的結合因子は、標的抗原に特異的に結合して、複合体を形成する。捕捉部分は、捕捉部分特異的結合因子コンジュゲートに結合する基体に固定されたパートナーの捕捉部分58、59に「捕捉」され得る。様々な実施形態では、特異的結合因子は抗体であり、それ故、特異的結合対は、抗体−標識コンジュゲート(「標識プローブ」もしくは「検出プローブ」)または抗体−捕捉部分(「捕捉プローブ」)を含む。そのような実施形態では、「パートナー捕捉部分」は、試験デバイスに配置される試験膜上に含まれ、このパートナーは、特異的捕捉プローブに結合し、例えば、pRNAパートナーは、捕捉プローブ(即ち、標的抗原に特異的な抗体)上に含有されるpRNA(即ち、捕捉部分)に特異的に結合する。
【0056】
様々な実施形態では、複数の特異的結合因子は、特異的結合対の多くの群を含み、ここで、各群は、1つの標的抗原に特異的に結合する結合因子、および第2の異なる抗原に特異的に結合する結合対の第2の群を含む。それ故、SCDに含まれる複数の特異的結合対は、複数の異なる標的分析物を検出することが可能である。
【0057】
様々な実施形態において、捕捉部分は、オリゴヌクレオチド、アビジン、ストレプトアビジン、ピラノシルRNA(pRNA)、アプタマー、またはそれらの組み合わせである。様々な実施形態において、標識は、金属、フルオロフォア、発色団またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、SCDに含まれる複数の特異的結合対は、1つのタイプの捕捉部分を含有することができるが、但し、異なる捕捉部分パートナーを伴い(例えば、pRNAにコンジュゲートした各特異的結合因子)、ここで、異なる抗原に特異的な各群は、異なるpRNAを含む。他の実施形態では、複数の特異的結合対は、1つ以上の異なる捕捉部分を含む(例えば、特異的結合対の1つの群についてpRNAであるのに対し、別のものについてはストレプトアビジンであるか、または異なるタイプの捕捉部分の組み合わせである)。
【0058】
いくつかの実施形態では、SCDに含まれる複数の特異的結合対は、1つのタイプの標識(例えば、特異的結合対であって、ここで、各群は、同じ波長シグナルを有するフルオロフォアまたは異なる波長シグナルを有するフルオロフォアにコンジュゲートされる)を含む。他の実施形態では、特異的結合対は、異なるタイプの標識の組み合わせ(例えば、金属およびフルオロフォアの組み合わせ)を含む。一実施形態では、捕捉部分はpRNAであり、標識はユウロピウムである。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明のシステム、デバイスおよび方法は、感染因子由来である異なる分析物(即ち、標的分析物;例えば、図5A、55および54)を検出するように構成される。感染因子の例として、酵母、真菌、細菌、ウイルス、および寄生生物体が挙げられるが、これらに限定されない。検出しようとする標的分析物に依存して、特定の標的分析物に特異的な抗体または他の特異的結合因子(例えば、抗体、アプタマー)が利用されることが理解されるべきである。例えば、どのような標的分析物に対しても抗体を惹起させ、本発明のシステム、デバイスおよび方法に組み入れることができる。
【0060】
他の実施形態では、標的分析物は、感染因子またはそれらの成分であって、ウイルスもしくはウイルス成分、細菌もしくは細菌成分、酵母もしくは酵母成分、真菌もしくは真菌成分、寄生体もしくは寄生体成分、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、標的分析物は、ウイルスまたはウイルスの成分である。さらなる実施形態では、異なる標的分析物は、インフルエンザウイルスおよびインフルエンザウイルスのサブタイプ由来である。例えば、検出することができるインフルエンザウイルスは、A型およびB型インフルエンザウイルスならびにインフルエンザウイルスのサブタイプである。一実施形態では、アッセイデバイスは、A型およびB型インフルエンザウイルス株ならびに式HxNy(式中、xは1〜16であり得、かつyは1〜9であり得るか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプの検出のために構成される。
【0062】
一実施形態では、被験体が、ワクチンが利用可能であるインフルエンザウイルスのパンデミック、非パンデミックまたは株に感染しているかどうかを決定するための方法が提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、試験デバイスは、標的分析物に特異的に結合することが可能なあらゆる試薬または結合因子を排除する。言い換えれば、TDは、標的分析物に特異的に結合する実体を含まない。
【0064】
一態様では、ニトロセルロースを介する液体のラテラルフローに基づく一方、バックグランドを減少するための技術を用いてアッセイの感度および特異性を改善するポイント・オブ・ケア(「POC」)アッセイが提供される。検出技術は、フルオロフォアを使用する蛍光検出システムを用いる。フルオロフォアは、多数のモノクローナル試薬の特異的な分析物への均質な結合を可能にし、特定の試験ラインにおける複合体を捕捉する新たな捕捉システムと組み合わせられる。これについては、関連の米国特許出願第11,677,559号により詳細に記載されている。
【0065】
本発明の一態様では、50%組織培養感染量(TCID50)に匹敵する感度で1つ以上の分析物を検出することが可能なアッセイが提供され、ここで、感度は、約1:100、約1:1000、約1:10,000、約1:100,000〜約1:1,000,000の希釈で測定可能である。いくつかの実施形態では、本発明のアッセイは、約0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、0.0075、0.008、0.0085、0.009、0.0095、0.010、0.0105、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、1.25、1.50、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75、5.0、5.25、5.50、5.75、6.0、6.25、6.50、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、9.0、9.25、9.5、9.75または約10.0でのTCID50から測定される感度を提供する。さらなる実施形態では、TCID50は、1mLあたり約25、50、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575〜約600である。
【0066】
一実施形態では、A型およびB型の分析物は、分析物感度において先行技術POCインフルエンザアッセイより少なくとも2logの改善を示す。
【0067】
本発明の別の態様では、エンドユーザーとのインターフェースを再開発し、完全に組み込まれたサンプル回収デバイス(SCD)をもたらした。これらの改善は、分析物の広範なスペクトルの高感度の多分析物検出を可能にする。一実施形態では、単一の診断アッセイは、A型およびB型インフルエンザの主要なサブタイプ、またさらに季節性のサブタイプ(I−IINIおよびH3N2)、ならびにパンデミックのH5N1サブタイプを同時かつ個別に検出する。これは、臨床医および公衆衛生局にインフルエンザ感染率に関する重要な実時間のまたは実時間に近い情報を提供する。
【0068】
一実施形態では、POC設備を使用し易くするために、読み取り装置が設計され、使用が簡単なアイコン操作によるインターフェースを組み入れた。これにより、アッセイが確実に記録され、作業員はアッセイの解釈の作業をしなくて済む。この第3世代のPOCアッセイは、POC試験を単純化する一方、より信頼できる結果に近づけることを目的とする。さらなる実施形態が、関連の米国特許出願第11/677,559号に開示されている。
【0069】
サンプル回収デバイス(SCD)
本発明の一態様では、サンプルを処理して、1つ以上の分析物の検出を可能にするためのSCDが利用される。例えば、SCDは、固体試薬成分(例えば、捕捉および検出プローブ)を組み入れることができる。固体試薬成分は、粉末、丸剤、ビーズ、凍結乾燥ペレット、加圧された凍結乾燥粉末を含み、固相支持体(例えば、ガラス/プラスチックビーズ)上で乾燥されるか、固相支持体上でまたは固相支持体と会合して凍結乾燥されるか、あるいは混合もしくは下部チャンバにおいて直接乾燥される。そのような試薬は、当該技術分野において公知であり、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY (Coligan, John E. et. al., eds. 1999)において開示されている。
【0070】
本発明の一実施形態では、SCDは次のものを含有する:サンプル回収デバイスの「ハンドル」内の2つの個別のリザーバにおける標本抽出試薬の組。捕捉および検出試薬の両方を含有する凍結乾燥された単回使用の試薬またはコンジュゲートビーズ。各分析物のための捕捉MAbは、配列特異的pRNA捕捉分子、および蛍光マイクロビーズにコンジュゲートされる検出MAbにコンジュゲートされる。
【0071】
一実施形態では、SCDは、次の3つの成分を含む:(1)鼻咽頭、鼻部または咽喉標本を回収するための綿棒の組;(2)アッセイの適切な工程において試薬を放出するためのバルブ機構(例えば、スナップバルブまたは穿刺可能なシール)を伴う抽出試薬の含有を伴うハンドル;および(3)綿棒および凍結乾燥された試薬ビーズ、ならびにSCDの試験デバイス(TD)への直接接続を可能にするためのドロッパーの先端(キャップで覆われている)を含有するプラスチックチューブ。
【0072】
別の実施形態では、SCDの遠位端部は開いており、それによって、上部の密封されたチャンバからの溶液の放出の前に、SCDは、(例えば、摩擦嵌合によって)試験デバイスの収容部に係合される。そのような実施形態では、SCDの遠位端部から試験デバイスへの液体流動は、ルアーまたはバルブ構造によって調節されない。
【0073】
別の実施形態では、SCDの遠位端部は、バルブを利用しないが、むしろ開いている。SCDは、上部チャンバからの緩衝液の放出の前に、試験デバイスに取り付けてもよい。上部チャンバからの溶液の放出時、サンプルは、溶液によって回収器から放出および/または抽出され、下部チャンバに局在する試薬と混合される。次いで、混合物は、1つ以上の分析物の存在の分析のために試験デバイスに流動する。混合物のSCDから試験デバイス上への流動を遅らせるために、下部チャンバ内に水溶性の膜を含むことも可能である。そのような膜は従来からあり、試薬およびサンプル分析物の混合および反応を可能にするのに十分な異なる期間の混合物の保持を許容するように設計することができる。例えば、そのような膜は、タンパク質、多糖またはフィルム形成剤から調製することができる。
【0074】
別の実施形態では、SCDの遠位端部は、(例えば、SCDの球部構造を介してか、または収納部を押し下げることができる場合、収納部自体に圧力をかけることによって)デバイスに圧力をかけて、流体を遠位端部から押し出さない限り、およびその時まで、流体の流動を防止する極めて狭い開放部を含む。言い換えれば、SCDの遠位端部に配置されるいずれの種類のバルブも存在しない。
【0075】
いくつかの実施形態では、プラスチックチューブの上部は、2つの着脱可能なバーコード(試験デバイスに設置されなければならないもの、および患者の記録上に設置され得るもの)を組み入れる標識フラグを取り付けている。さらなる実施形態が、関連の米国特許出願第11,677,559号に開示されている。
【0076】
一実施形態では、図1に示されるように、SCDは次のものを含有する:キャップ23を伴うサンプルチューブ10、アジ化ナトリウムなどの防腐剤12を伴う液体を含有するアンプル11、サンプル採取器13およびドロッパーキャップ14。コニカルチューブは、生物学的サンプルの抽出に役立つ液体22を含有してもよい。さらなる実施形態では、ドロッパーキャップは、サンプルチューブ上に嵌め込まれる。ドロッパーキャップは、出口17およびキャップ栓18を伴って構成され、それらを介して、サンプルチューブの内容物を、試験デバイス19のサンプル収容部分に分配することができる。さらなる実施形態では、凍結乾燥された免疫試薬を抽出混合物22に添加するか、またはSCD10の開放端部に近位の試薬チャンバに提供することができるか、またはドロッパーキャップ14に提供することができる。一実施形態では、ドロッパーキャップは、ドロッパーキャップ14の内部に凍結乾燥された試薬(例えば、1つ以上の異なる標的分析物に対する捕捉および検出プローブ、15、16)を含有する。さらなる実施形態では、スクリーン(例えば、メッシュまたはろ紙)が、ドロッパーキャップに定置される20。例えば、凍結乾燥された試薬は、スクリーンメッシュ20によってドロッパーキャップ内に保持され、および/またはスクリーンは、抽出混合物22のサイズに基づくかもしくは親和性に基づくフィルターとして機能することができる。
【0077】
一実施形態では、SCDは、試薬(例えば、抽出緩衝液、ならびに/または捕捉および検出プローブ)を含有するコンパートメント(例えば、アンプルまたは放出可能なコンパートメント)11を伴って構成される。例えば、サンプル回収中、コンパートメント11の内容物を、サンプルチューブ10に分配することができる。さらに加えて、細胞、組織、体液または他のサンプルを得るためのサンプル採取器21(例えば、綿棒、ワタ先端、針)が使用される。サンプル採取器は、コンパートメント11の内容物に供され、この内容物は、デバイスの操作者によって放出させることができる。
【0078】
一実施形態では、サンプルチューブにドロッパーキャップ14を付し、反転して、膜20を介するろ過を提供し、および/またはドロッパーキャップ14に提供されるさらなる試薬15、16との混合を可能にする。サンプルは、出口部17を介して試験デバイス19に分配される。
【0079】
本発明のSCDにおいて利用される試薬として、1つ以上の塩、キレート剤、抗凝固剤、界面活性剤、安定剤、希釈剤、緩衝化剤、酵素、補因子、特異的結合メンバー、標識、粘液溶解剤などを挙げることができる。1つ以上の試薬は、サンプルの分析を容易にする化合物であり得る。さらに加えて、そのような試薬は、本発明の試験デバイスに使用するために容易に適応することができる。様々な実施形態において、そのような試薬は、操作者によってサンプルチューブ10に添加され得るか、またはコンパートメント11の内容物の放出前に、サンプルチューブ10と螺子型または摩擦嵌合を形成するように構成されるコンパートメント11に含有され得る。あるいは、試薬22は、サンプル器具を使用して、サンプル採取器22上に存在するサンプルと内容物22を接触させることができるように、穿刺可能なシールを伴うサンプルチューブ10に存在することができる。
【0080】
一実施形態では、抽出緩衝液は、(1.5倍緩衝液):0.075MのTris−Cl、pH8.5、1.125MのNaCl、1.5%ウシ血清アルブミン、0.75%消化カゼイン、1.5%サポニン、0.375%のzwittergent 3/12、50μg/ml硫酸ゲンタマイシン、0.095%アジ化ナトリウム、0.025mg/mlマウスIgG、0.004%のFD&C blue 1、0.015%シリコーン消泡剤を含む。抽出緩衝液は、標的分析物(例えば、感染因子由来のタンパク質またはペプチド)の向上された抽出を提供する。さらなる実施形態では、抽出緩衝液の組成物は、Tris−ClなどのpH平衡化剤、ならびに塩、血清、界面活性剤、抗生物質、カゼインなどのタンパク質基質および防腐剤など、分析物からの標的部分の完全な抽出に役立つ他の剤からなる。さらに他の実施形態では、抽出緩衝液は、0.5MのNaCl、0.6MのNaCl、0.7MのNaCl、0.8MのNaCl、0.9MのNaCl、1.0MのNaCl、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5Mを含むが、これらに限定されない0.5M〜1.5M;または0.85MのNaCl、0.95MのNaCl、1.05MのNaCl、1.1MのNaCl、1.2MのNaCl、1.3MのNaCl、1.4MのNaCl、および1.5MのNaClを含むが、これらに限定されない0.8M〜1.5Mの範囲で塩を含む。
【0081】
他の実施形態では、抽出緩衝液は、さらに、約0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.25%、1.3%、1.4%、1.5%を含むが、これらに限定されない0.25%〜1.5%、または0.03%〜0.08%、例えば、0.0375%、0.045%、0.0475%、0.05%、0.055%、0.0575%、0.06%、0.065%、0.0675%、0.07%、0.075%、0.08%の範囲の量でサポニンを含む。一実施形態では、サポニンは、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%〜約2.0%を含むが、これらに限定されない約1%〜2%である。
【0082】
試験デバイス(TD)
試験デバイス(例えば、図1、19;図2)に関して本明細書において使用する用語「アキシャルフロー膜」、「ラテラルフロー膜」、「試験膜」、「試験ストリップ」または「マトリックス」は、同義的に使用され、毛管作用を用いて、試験流体を移動もしくは輸送するか、あるいは毛管作用とは別の流体の移動を用い、この時、ここで、流体は、気体圧、水圧の蓄積によって圧送される(アッセイ流体に対するピストンまたは回転、ベローもしくは他のタイプのポンプを使用する直接的圧送、電場による静電的移動、重力など)。
【0083】
本発明の別の態様は、SCDが容易に取り付けられるポート、残余結果を走査するための読み取り装置のための窓、およびSCDを取り出した後に操作者が押すボタンを伴うプラスチック収納部を含むTD(図2)に関する。一実施形態では、TDは、次のものを含む:(I)抽出された標本/試薬混合物に吸着する芯入り膜を伴うラテラルフロー試験ストリップ;(2)多数のラインを伴うニトロセルロースストリップ。ニトロセルロース試験ストリップ上の各試験ラインは、付着する特異的捕捉因子(例えば、抗体)60とのその相同結合対を捕捉する独特なpRNA(例えば、図5A:56、57、58、59)と共に長矩形に切り取られる;(3)吸着パッド50は、膜を介する流体の流動の支持を提供する;あるいは、試験デバイス(図2)は、(4)洗浄緩衝液がニトロセルロースパッドを横切って標本の後にもたらされ、バックグランドの減少を補助し、アッセイを停止することを可能にするボタンを押す際に破断される緩衝液パケットを含む。さらなる実施形態が、関連の米国特許出願第11,677,559号に開示されている。
【0084】
一態様では、読み取り装置によって得られるシグナルは、各試験ラインについて陽性もしくは陰性結果のいずれかを与えるために、任意に、訓練されたニューラルネットワークと組み合わせてデータ削減およびカーブフィッティングアルゴリズムを用いるデータ処理ソフトウェアを使用するか、または疾患もしくは異常の存在のリスクを示唆する結果と相関するサンプル中の各分析物の濃度の定量的決定を使用して、処理される。この結果を、任意に、決定支援システムに入力し、処理して、出力結果として医学的状態のリスクの向上された評価を提供することができる。一実施形態では、全体的手順は、自動化および/またはコンピュータ制御され得る。
【0085】
一実施形態では、試験ストリップに沿った液体輸送は毛管作用に基づく。さらなる実施形態では、マトリックスに沿った液体輸送は、非吸収性のラテラルフローに基づき、ここで、例えば、化学的、物理的、イオン的またはそれ以外で1つ以上の成分と相互作用する材料において生じ得る1つ以上の成分の優先的保持とは対照的に、実質的に等しい速度でかつマトリックスを介する比較的弱められていない側方からの流動で、液体サンプルの溶解もしくは分散されたすべての成分が運ばれる。例えば、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第4,943,522号を参照のこと。
【0086】
任意の適切な材料を使用して、本明細書において開示するデバイスを作製することができ、そのような材料として、ガラス、セラミックス、金属、プラスチック、ポリマー、もしくはコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせなどの剛性または半剛性の非水透過性材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、SCDあるいは試験デバイスのいずれか一方は、ポリプロピレン、ポリアロマー、ポリカーボネートまたはシクロオレフィンもしくはシクロオレフィンコポリマーなどの破壊に対して耐性であるようなプラスチック、ポリマーまたはコポリマーを含む。さらに加えて、本発明のデバイスは、限定されないが、射出成形、ブロー成形、機械加工またはプレス成形などの適切な製造方法によって作製することができる。
【0087】
本明細書において使用されるように、試験ストリップ基体は、当該技術分野における従来の方法を使用して、捕捉部分が連結される材料を指す。目的の分子の結合のための支持体として作用することができる任意の材料を含む多様な材料を、基体として使用することができる。そのような材料は当業者に公知であり、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、他のセルロース誘導体、デキストラン、デキストラン誘導体およびデキストランコポリマー、他の多糖、ガラス、シリカゲル、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、レーヨン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリスチレンおよびポリスチレンコポリマー、ジビニルベンゼンなどによって架橋されるポリスチレン、アクリル樹脂、アクリレートおよびアクリル酸、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドブレンド、ビニルおよびアクリルアミドのコポリマー、メタクリレート、メタクリレート誘導体およびコポリマー、様々な官能基、ラテックス、ブチルゴムおよび他の合成ゴム、ケイ素、ガラス、紙、天然海綿、不溶性タンパク質、界面活性剤、赤血球、金属、メタロイド、磁気材料、もしくは他の市販の媒体を伴う他のポリマーおよびコポリマー、あるいはストリップ基体の親水性特性を改善する材料、例えば、ポリスチレン、Mylar、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、アルミニウム、銅、スズまたはデキストラン、界面活性剤、塩、PVPで被覆された金属の混合物などの金属で被覆された、および/または表面に電荷を付加し、それ故、表面に親水性特性を付与するために静電またはプラズマ放電で処置された固体または半固体基体からなる複合体材料を含むが、これらに限定されない有機または無機ポリマー、天然および合成ポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0088】
一実施形態では、ラテラルフロー膜は、Porex Technologies Corp. of Fairburn, Ga., USAによって製造される高密度ポリエチレンシート材料などの多孔性材料を含む。シート材料は、40%空隙容量で0.57gm/ccの典型的な密度および1〜250マイクロメートルの平均孔径(平均は、一般的に、3〜100マイクロメートルである)を伴う開放孔構造を有する。別の実施形態では、標識区域は、(サンプル収容区域に類似の)不織スパンレースアクリル繊維、例えば、New MergeまたはHDK材料などの多孔性材料を含む。しばしば、多孔性材料は、一般的な遮水層、例えば、Mylarによって裏打ちされるか、またはそれに対して積層され得る。用いる場合、裏打ちは、一般的に、粘着剤(例えば、3M 444表面粘着テープ)によってマトリックスに固着される。典型的に、遮水裏打ちは、低厚の膜に対して用いられる。広範なポリマーを使用し得るが、但し、それらは、アッセイ成分に非特異的に結合せず、流体サンプルの流動を妨害しない。例示的ポリマーとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。場合により、マトリックスは自己支持型であってもよい。また、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルと塩化ビニルとのコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの非吸収性のフローに適合する他の膜を使用することができる。さらに別の実施形態では、ラテラルフロー膜は、処置されていない紙、セルロースブレンド、ニトロセルロース、ポリエステル、アクリロニトリルコポリマーなどの材料を含む。標識区域は、吸収性または非吸収性フローのいずれかを提供するように構築され得、多くの場合、流動のタイプは、サンプル収容区域の少なくとも一部において提供されるものに類似または同一である。多くの実施形態において、標識区域は、Rayonまたはガラス繊維などの不織布を含む。本発明による使用に適切な他の標識区域材料として、参照により本明細書に援用される米国特許第5,075,078号において開示されるそれらのクロマトグラフィー材料が挙げられる。
【0089】
多くの実施形態において、試験ストリップ基体は、材料ブロッキングおよび標識安定化剤を含む溶液で処置される。ブロッキング剤として、ウシ血清アルブミン(BSA)、メチル化BSA、カゼイン、酸もしくは塩基加水分解カゼイン、無脂肪乾燥乳、魚ゼラチン、または類似物が挙げられる。安定化剤は、容易に入手可能であり、当該技術分野において周知であり、例えば、標識された試薬を安定化するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、溶液を含有する上流のコンパートメントは、選択的に穿刺または破壊して、それらの内容物を放出させることができる多数のアンプルを含むことができる。従って、一実施形態では、ブロッキング試薬は、試験ストリップ(即ち、ラテラルフロー膜)を前処置(例えば、「ブロック」)するために利用される1つのアンプルに含有される一方、さらなるアンプルが、試験ストリップを介してサンプルを洗浄するために保存される。
【0090】
読み取り装置によって得られるシグナルは、各試験ラインについて陽性もしくは陰性結果のいずれかを与えるために、任意に、訓練されたニューラルネットワークと組み合わせてデータ削減およびカーブフィッティングアルゴリズムを用いるデータ処理ソフトウェアを使用するか、または疾患もしくは異常の存在のリスクを示唆する結果と相関するサンプル中の各分析物の濃度の定量的決定を使用して、処理される。この結果を、任意に、決定支援システムに入力し、処理して、出力結果として医学的状態のリスクの向上された評価を提供することができる。一実施形態では、全体的手順は、自動化および/またはコンピュータ制御され得る。
【0091】
本明細書において使用されるように、試験ストリップ基体は、当該技術分野における従来の方法を使用して、捕捉部分が連結される材料を指す。目的の分子の結合のための支持体として作用することができる任意の材料を含む多様な材料を、基体として使用することができる。そのような材料は当業者に公知であり、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、他のセルロース誘導体、デキストラン、デキストラン誘導体およびデキストランコポリマー、他の多糖、ガラス、シリカゲル、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、レーヨン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリスチレンおよびポリスチレンコポリマー、ジビニルベンゼンなどによって架橋されるポリスチレン、アクリル樹脂、アクリレートおよびアクリル酸、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドブレンド、ビニルおよびアクリルアミドのコポリマー、メタクリレート、メタクリレート誘導体およびコポリマー、様々な官能基、ラテックス、ブチルゴムおよび他の合成ゴム、ケイ素、ガラス、紙、天然海綿、不溶性タンパク質、界面活性剤、赤血球、金属、メタロイド、磁気材料、もしくは他の市販の媒体を伴う他のポリマーおよびコポリマー、あるいはストリップ基体の親水性特性を改善する材料、例えば、ポリスチレン、Mylar、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、アルミニウム、銅、スズもしくはデキストラン、界面活性剤、塩、PVPで被覆された金属の混合物などの金属で被覆された、および/または表面に電荷を付加し、それ故、表面に親水性特性を付与するために静電またはプラズマ放電で処置された固体または半固体基体からなる複合体材料を含むが、これらに限定されない有機または無機ポリマー、天然および合成ポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0092】
一実施形態では、試験ストリップ基体は、材料ブロッキングおよび標識安定化剤を含む溶液で処置される。ブロッキング剤として、ウシ血清アルブミン(BSA)、メチル化BSA、カゼイン、酸もしくは塩基加水分解カゼイン、無脂肪乾燥乳、魚ゼラチン、または類似物が挙げられる。安定化剤は、容易に入手可能であり、当該技術分野において周知であり、例えば、標識された試薬を安定化するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、溶液を含有する上流のコンパートメントは、選択的に穿刺または破壊して、それらの内容物を放出させることができる多数のアンプルを含むことができる。従って、一実施形態では、ブロッキング試薬は、試験ストリップ(即ち、ラテラルフロー膜)を前処置(例えば、「ブロック」)するために利用される1つのアンプルに含有される一方、さらなるアンプルが、試験ストリップを介してサンプルを洗浄するために保存される。
【0093】
読み取り装置によって得られるシグナルは、各試験ラインについて陽性もしくは陰性結果のいずれかを与えるために、任意に、訓練されたニューラルネットワークと組み合わせてデータ削減およびカーブフィッティングアルゴリズムを用いるデータ処理ソフトウェアを使用するか、または疾患もしくは異常の存在のリスクを示唆する結果と相関するサンプル中の各分析物の濃度の定量的決定を使用して、処理される。この結果を、任意に、決定支援システムに入力し、処理して、出力結果として医学的状態のリスクの向上された評価を提供することができる。一実施形態では、全体的手順は、自動化および/またはコンピュータ制御され得る。
【0094】
多くの実施形態において、試験ストリップ基体は、材料ブロッキングおよび標識安定化剤を含む溶液で処置される。ブロッキング剤として、ウシ血清アルブミン(BSA)、メチル化BSA、カゼイン、酸もしくは塩基加水分解カゼイン、無脂肪乾燥乳、魚ゼラチン、または類似物が挙げられる。安定化剤は、容易に入手可能であり、当該技術分野において周知であり、例えば、標識された試薬を安定化するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、溶液を含有する上流のコンパートメントは、選択的に穿刺または破壊して、それらの内容物を放出させることができる多数のアンプルを含むことができる。従って、一実施形態では、ブロッキング試薬は、試験ストリップ(即ち、ラテラルフロー膜)を前処置(例えば、「ブロック」)するために利用される1つのアンプルに含有される一方、さらなるアンプルが、試験ストリップを介してサンプルを洗浄するために保存される。
【0095】
標識されたコントロール試薬および区域の例示的機能として、例えば、サンプルの液体流動が、1つ以上の所定の試験区域において捕捉されるSCD由来の標識された試薬を効果的に溶解および移動させたことの確認が挙げられる。さらに加えて、コントロールは、十分量の捕捉部分が、(即ち、抗原特異的結合因子を介して)特異的分析物に対して複合体を形成する対応する特異的捕捉プローブと反応し得るように、十分量の液体が、試験ストリップ試験およびコントロール区域を介して正確に移動したことを確認することができる。さらに、コントロール試薬は、標識された分析物の蓄積が試験区域において陽性試験結果の場合、目視可能あるいは読み取り可能なシグナルを生成するような量で、免疫複合体(例えば、分析物−分析物特異的結合因子)が、試験およびコントロール区域を含む試験領域上を移動し、試験区域を横切ることを確認する。さらに、コントロール区域のさらなる機能は、ユーザーが、読み取り可能区域として表示される試験結果を同定することを可能にする参照区域として作用すべきであり得る。
【0096】
本発明のデバイスは、1つ以上のコントロール区域を組み入れ得るため、好ましくは、流体サンプルをデバイスに接触させた後、目的の1つ以上の分析物の有無にかかわらず、各コントロール区域がすべてのコントロール区域について所望される強度で可視化するように、標識されたコントロール試薬および対応するコントロール区域が発色される。
【0097】
一実施形態では、単一の標識されたコントロール試薬は、試験ストリップ上のコントロール区域の各々によって捕捉される。しばしば、多数のコントロール区域が存在する場合、そのような標識されたコントロール試薬は、合わせたコントロール区域の全結合能の能力を超える量で、標識区域上または内に付着される。従って、1つ以上のコントロール区域における所望されるシグナル強度の発生を可能にし、コントロール区域の各々が、標識されたコントロール試薬の所望される量を抑制することを可能にする量で、コントロール標識に特異的な捕捉試薬の量を付着させることができる。アッセイの完了時に、コントロール区域の各々は、好ましくは、(強度および形態において)所望されるおよび/または予め設計されたシグナルを提供する。考えられる予め設計されたシグナルの例として、各コントロール区域における均等な強度のシグナル、またはコントロール区域において増加するか、減少するかもしくは他のシグナル強度の所望されるパターンに従うシグナルが挙げられる。
【0098】
別の実施形態では、各コントロール区域は、独特なコントロール試薬に特異的である。この実施形態では、標識区域は、多数および異なる標識されたコントロール試薬を含んでもよく、アッセイ、または関連する変形におけるコントロール区域の数に等しい。ここで、標識されたコントロール試薬の各々は、1つ以上の所定の特異的コントロール区域において抑制され得る。これらの標識されたコントロール試薬は、コントロール区域における蓄積時に同じ検出可能なシグナル(例えば、同じ色である)を提供するか、または識別できる検出可能なシグナル(例えば、異なる着色標識もしくは他の検出システムを有する)を提供することができる。
【0099】
さらに別の実施形態では、コントロール区域は、先の2つの実施形態に記載の2つのタイプのコントロール区域の組み合わせを含んでもよく、具体的には、1つ以上のコントロール区域は、標識されたコントロール試薬の単一のタイプを抑制するか、またはそれに結合することが可能であり、同じ試験ストリップ上の他方のコントロール区域は、1つもしくはいくつかの他の特異的に標識されたコントロール試薬に結合することが可能である。
【0100】
一実施形態では、標識されたコントロール試薬は、特異的結合対のメンバーに結合した検出可能な部分を含む。典型的に、試験区域において目的の分析物を抑制することが可能な手段によって認識される試薬とは異なる標識されたコントロール試薬が、選択される。さらに、標識されたコントロール試薬は、一般的に、分析物に特異的ではない。多くの実施形態において、標識されたコントロール試薬は、コントロール区域上もしくは内に固定される特異的結合対またはコントロール捕捉パートナーの対応するメンバーに結合することが可能である。それ故、標識されたコントロール試薬は、コントロール区域において直接抑制される。
【0101】
別の実施形態では、標識されたコントロール試薬の標識成分を形成する検出可能な部分は、目的の分析物で標識された試験試薬の標識成分として利用される部分と同じ検出可能な部分である。多くの実施形態において、標識されたコントロール試薬の標識成分は、アッセイの結果が容易に決定されるように、標識された試験試薬の標識成分とは異なる。別の多くの実施形態では、コントロール標識および試験標識は、着色されたビーズ、例えば、着色されたラテックスを含む。また、しばしば、コントロールおよび試験ラテックスビーズは、異なる色を含む。
【0102】
さらなる実施形態では、標識されたコントロール試薬として、ストレプトアビジン、アビジンまたはビオチンが挙げられ、コントロール捕捉パートナーとして、容易かつ特異的に相互に結合するそのような特異的結合対の対応するメンバーが挙げられる。一例では、標識されたコントロール試薬はビオチンを含み、コントロール捕捉パートナーはストレプトアビジンを含む。当業者であれば、例えば、分析物に関連しない抗原/抗体反応を含む特異的結合対の他のメンバーを代替的に使用することができることを理解するであろう。さらに他の実施形態では、捕捉パートナーは、本明細書において開示する結合部分のいずれかを含むことができる。
【0103】
コントロール区域の使用は、コントロール区域におけるシグナルの出現が、陰性の結果についてであっても試験結果を読み取ることができる時間を示すのに役立つ。それ故、予想されるシグナルがコントロールのラインで出現する場合、試験区域においてシグナルの有無を認めることができる。
【0104】
さらに他の実施形態では、試験領域が湿潤状態である場合、試験領域で目視可能になるマークを含むコントロール区域が利用される。このタイプのコントロール区域については、現在係属中の2001年9月10日に出願された米国特許出願第09/950,366号に記載されており、米国特許出願公開第20030049167号、および現在係属中の2002年9月10日に出願された米国特許出願第10/241,822号として公開されており、米国特許出願公開第20030157699号として公開されている。
【0105】
いくつかの実施形態では、このタイプの1つ以上のコントロール区域が利用される。別の実施形態では、標識されたコントロール試薬およびコントロール区域を利用するタイプと、湿潤状態にある場合、コントロール区域を表示するタイプとのコントロール区域の組み合わせを使用することができる。これは、コントロール区域を処方する簡単な方法を可能にする一方、試薬に基づくコントロール区域を使用して、SCD処理したサンプルにおける試薬の再可溶化および流動化が有効であること、ならびに特異的反応が予想通りに生じたことを、定義された試験デバイス、芯、試験ストリップおよび吸収性パッドのすべての経路にわたって、確かめることを可能にする。本実施形態は、試験ストリップの遠位または下流端部のコントロール区域を除いて、試験領域がアッセイのコントロール区域の各々について湿潤状態にある場合、目視可能になる1つ以上のコントロール区域の使用を含む。
【0106】
本明細書は、環境モニタリング、医学の多くの分野、特に、感染性疾患の分野において必要とされる迅速な多分析物アッセイを構築するための手段をさらに提供する。例えば、考えられるデバイスとして、異なる処置を生じ得るFlu AもしくはFlu B、およびそれらのサブタイプ(例えば、Flu A、H5N1)の鑑別診断、または1工程でのFlu A、Flu B、および/またはRSVの鑑別診断に有用なデバイスが挙げられる。そのようなデバイスは、多数の分析物を一度にアッセイするための単一のサンプルの使用を許容し、医師、またはユーザー一般の利益のための診断プロセスの作業時間および期間のかなりの減少を有益に可能にする。従って、複数の免疫試薬を、本発明のSCDにおいて利用することができ、ここで、前記複数は、各々標識および捕捉部分にコンジュゲートされた対を含む特異的結合因子の集団を含み、それによって、前記複数は、多数の集団を含み、他の任意の集団と比較して、各々が異なる分析物に特異的である。例えば、複数の免疫試薬は、1つの病原体または異なる病原体のいくつかのタイプに特異的であり得る。
【0107】
本開示のデバイスおよび方法を利用して、多様な分析物をアッセイし得る。サンプルにおける目的の1つ以上の分析物をアッセイするのに有用な特定のデバイスにおいて、目的の分析物のコレクションをパネルと称し得る。例えば、パネルは、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、A型インフルエンザサブタイプ、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、および異なる型のパラインフルエンザウイルス(例えば1、2、3型など)の任意の組み合わせ(それらのすべて)を含み得る。別のパネルは、例えば、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)および/またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)を含む上気道感染の1つ以上の選択のための試験を含み得る。さらに別のパネルは、例えば、クラミジア(Chlamydia)、トリコモナス(Trichomonas)および/または淋病(Gonorrhea)を含む性感染症の診断のために考案することができる。各場合において、分析物の特定のシリーズのための試験デバイスに対してシグナルを提供するように考案された特定のパネルが、本明細書に記載のSCDにおける検出および捕捉プローブの異なる組を組み入れることによって容易に得られ、従って、特定のSCDは、目的の分析物に特異的でない検出試薬を有する試験ストリップを用いる試験デバイスを使用する場合に検出される特定のパネルの分析物を検出するのに必要なすべての試薬を提供する。他の実施形態では、広範な試験デバイスが、関連するまたは異なる病原体由来の分析物のいくつかのシリーズ、例えば、HIVおよびHCV抗原;HIVならびに結核、A、B型インフルエンザ、およびA型のサブタイプ、細菌およびウイルス感染の検出のための非特異的捕捉部分を含むことができる。それ故、単一の試験デバイスは、異なるパネルの分析物のための免疫試薬を含み、向上された効率および費用効果を提供するSCDと共に使用することができる。
【0108】
例えば、パネルは、任意に、SARS関連コロナウイルス、A型インフルエンザ;B型肝炎表面AgもしくはAb、B型肝炎コアAb、A型肝炎ウイルスAb、およびC型肝炎ウイルスの選択を含む肝炎パネル;抗カルジオリピンAb(IgG、IgA、およびIgMアイソタイプ)の選択を含むリン脂質パネル;リウマトイド因子、抗核抗体、および尿酸の選択を含む関節炎パネル;エプスタイン・バー核内Ag、エプスタイン・バー・ウイルス・カプシドAg、およびエプスタイン・バー・ウイルス、早期抗原の選択を含むエプスタイン・バーパネルを含む目的の他の多様な分析物を含んでもよく;他のパネルは、HIVパネル、狼瘡パネル、H.ピロリ(H. Pylori)パネル、トキソプラズマパネル、ヘルペスパネル、ボレリア菌(Borrelia)パネル、風疹パネル、サイトメガロウイルスパネル、ミオグロビンおよび/またはCKMBを伴うトロポニンのアイソタイプを含む分析物による亜急性心筋梗塞を試験するパネルなどを含む。当業者であれば、多様なパネルを、本明細書に記載のデバイスを利用するイムノアッセイを介して、アッセイし得ることを理解するであろう。イムノアッセイ方法は、当該技術分野において公知である。例えば、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY (Coligan, John E. et. al., eds. 1999)を参照のこと。
【0109】
当業者に公知の多くの分析デバイスを、本発明に従って、多数の分析物を検出するために適応し得る。例えば、ディップスティック、ラテラルフローおよびフロースルーデバイス、特に、イムノアッセイであるものを、多数の分析物を検出および識別するために、本明細書に従って改変してもよい。例示的なラテラルフローデバイスとして、米国特許第4,818,677号、同第4,943,522号、同第5,096,837号(米国再発行特許RE第35,306号)、同第5,096,837号、同第5,118,428号、同第5,118,630号、同第5,221,616号、同第5,223,220号、同第5,225,328号、同第5,415,994号、同第5,434,057号、同第5,521,102号、同第5,536,646号、同第5,541,069号、同第5,686,315号、同第5,763,262号、同第5,766,961号、同第5,770,460号、同第5,773,234号、同第5,786,220号、同第5,804,452号、同第5,814,455号、同第5,939,331号、同第6,306,642号に記載のものが挙げられる。流体サンプルにおける多数の分析物の識別可能な検出における使用のために改変され得る他のラテラルフローデバイスとして、米国特許第4,703,017号、同第6,187,598号、同第6,352,862号、同第6,485,982号、同第6,534,320号および同第6,767,714号が挙げられる。例示的なディップスティックデバイスとして、米国特許第4,235,601号、同第5,559,041号、同第5,712,172号および同第6,790,611号に記載のものが挙げられる。当業者であれば、上記の特許が2つ以上のアッセイの形状構成を開示し得、およびそれらを頻回に開示し、そのようなさらなる開示内容について本明細書において同様に参照されていることを理解するであろう。有利なことに、記載の改善は、様々なアッセイ、特に、イムノアッセイ、形状構成に適用可能である。
【0110】
読み取り装置
本発明のさらに他の態様では、読み取り装置は、有効な検出を提供する。一実施形態では、アイコン操作による蛍光読み取り装置(図3)は、TD上のバーコード情報を読み取る必要があり、成分がデータ内にあり、各分析物ラインの結果を戻すことを確実にする。さらなる実施形態が、関連の米国特許出願第11,677,559号に開示されている。
【0111】
多分析物
本発明の一態様では、1つ以上の分析物は、本発明の方法、システムおよびデバイスを使用して、検出される。本明細書において開示するように、サンプルは、任意の供給源由来であり得、本発明は、分析物を検出するための向上された感度および特異性を提供するように構成される一方、複数の異なる分析物を検出する能力を提供する。検出することができる分析物のタイプについては、本明細書において記載する。
【0112】
迅速なインフルエンザ試験は、数年間の間、市場で販売されている。これらの試験のほとんどは、可視化剤として、金またはラテックスのいずれかを使用するラテラルフローイムノアッセイ試験である。新たな迅速なイムノアッセイのほとんどは、A型インフルエンザとB型インフルエンザとを区別することが可能であるが、1つのストリップにおいてA型およびB型について両方の試験ラインを有するものは、それらのうち極僅かでしかない。しかし、これらの試験のうち、A型インフルエンザのサブタイプを区別するために設計されているものはない。従って、これらの試験は、トリインフルエンザを検出することが可能であり得るが、それらのうち、患者が季節性インフルエンザA型ウイルスに感染しているのか、またはトリインフルエンザ(もしくはA型インフルエンザの現在潜在的なパンデミックサブタイプ)と呼ばれるH5N1などのより重度のA型サブタイプに感染しているのかを見分けることができるものはない。本発明は、適用する場合、改善された再現性で高い感度のアッセイを生じるべきであり、A型、B型を検出することが可能であり、H5N1サブタイプと季節性インフルエンザ(H1およびH3サブタイプ)とを区別し、使用が簡単であるという概念に基づいて設計されている。サンプルとコンジュゲートとの予備混合、バックグランドを減少するための展開用もしくは洗浄緩衝液の使用のような新たなデバイスデザインを伴う多数の新たな技術を適用する取組み、高感度における多数の分析物検出を可能にする独特な包括的捕捉試薬pRNA、高い感度である蛍光標識などを用いる取組みが行われてきた。これらのアプローチの組み合わせは、極めてより高感度である新規かつ高い有効性のインフルエンザ迅速試験を可能にし、低費用生産、簡便な操作を提供し、季節性インフルエンザとパンデミックトリインフルエンザH5N1とを区別する能力を有する。
【0113】
一実施形態では、本明細書に記載の特徴の組み合わせは、試験ストリップの試験部位における試験サンプルからリガンドを濃縮する役割を果たす新規のシステムを使用するために、本発明に従って構築されたアッセイの優れた感度および再現性、ならびにアッセイを完了するのに必要な最小時間を超える1〜数時間の期間にわたって蛍光の持続的な目視観察を許容するマーカーシステムとしての金属ゾルまたは他の着色粒子の使用を担う。過度/非結合の標識を洗浄除去するように機能する制御可能に放出された緩衝液を試験器具に導入することによって、優れた感度を維持しながら、バックグランドノイズを減少させる。さらに加えて、色が、試験部位と比較される1つ以上のコントロール部位。いくつかの実施形態では、ろ過手段は、ろ過手段が、粗または非処理生物学的サンプルからの汚染物質の試験部位への導入を制限するサンプル器具または試験器具に含まれる。
【0114】
アッセイ方法
一実施形態では、アッセイ方法は、サンプル採取器を被験体または被験体の生物学的サンプルに適用して、サンプルを回収する(例えば、鼻、口、咽喉、耳の内部を拭い、サンプル採取エレメントを、被験体から得た生物学的サンプルに適用する)工程、回収器をサンプル回収デバイス収納チャンバに挿入する工程、上部チャンバを絞って、スナップバルブを破壊して開放する工程、ならびに緩衝液をサンプル採取器に通し、それ故、そこに配置された生物学的サンプルを浸漬し、緩衝液およびサンプルの混合物を反応チャンバ(例えば、下部チャンバ)に通し、ここで、複数の捕捉および検出プローブは、それらの特異的標的分析物に結合する工程を含む。続いて、または同時に、混合物は、SCDの遠位端部から、捕捉プローブに連結された相補的な捕捉部分を介して分析物および検出/捕捉プローブの複合体を捕捉するように設計された固定された捕捉部分を含む試験デバイスに放出される。それ故、特定の捕捉プローブは、1つの特定の分析物について固定された捕捉部分に相補的であるように設計される。さらに加えて、本明細書において開示するように、捕捉部分は、異なる位置/パターンでラテラルフロー膜に配置され、ここで、単一のラインまたはスポットは、シグナル放射標識を介して検出される場合、特定の分析物の定量的および/または定性的検出を可能にする。従って、本明細書において開示するように、ラテラルフロー膜上の特定の捕捉プローブをパターン化することによって、アッセイ方法は、同じもしくは関連する感染因子、またはなお関連しない感染因子のパネルを検出することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、サンドイッチイムノアッセイ形式が利用されるが、競合アッセイを含む任意の従来の形式を使用してもよい。典型的に、形成される免疫複合体の間接的捕捉は、サンドイッチ形式において利用される。サンプル中の1つ以上の分析物を、検出プローブおよび捕捉プローブの1つ以上の対と接触させる。各対は、標識、および分析物に特異的に結合することが可能な特異的結合因子(SBA)を含むコンジュゲートである検出プローブ、ならびに検出部分、および同じ分析物に特異的に結合することが可能な別のSBAを含むコンジュゲートである捕捉プローブを含有する。特異的結合因子の例として、抗体、アプタマーが挙げられる。一実施形態では、2つのSBAの各々は、各々が同じ標的抗原または分析物に結合する特異的結合パートナーである。
【0116】
SBAの例は当該技術分野において公知であり、抗体、アプタマーまたはオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。サンドイッチアッセイでは、分析物に、検出プローブおよび捕捉プローブの両方が同時に結合する。検出部分は特異的結合対の部分であり、対の他方のパートナーは、試験デバイスに固定されて、免疫複合体が試験デバイスを通って流動する時に、それを捕捉する。各異なる分析物の異なる捕捉部分対の使用は、単一のサンプルおよび反応シーケンス由来の1つの試験デバイス由来の多数の分析物の検出を許容する。ほとんどの場合、各分析物の標識は異なる。しかし、各分析物について異なる捕捉部分対を伴う捕捉区域として、各分析物に特定の位置を有することによって、分析物のすべてに同じ標識を利用することが可能である。
【0117】
結合試薬
本発明の一態様は、SCDに配置された結合試薬に関する。例えば、いくつかのイムノアッセイでは、抗体対が利用され、ここで、対の各メンバーは、同じ標的分析物に特異的に結合することができ、ここで、一方の抗体は捕捉抗体であり、他方は検出抗体である。捕捉抗体は、固相支持体(例えば、ニトロセルロース膜)上に配置される同系の固定された捕捉部分によって「捕捉」される捕捉部分に、直接または間接的に連結される。さらに加えて、検出抗体(即ち、検出プローブ)は、検出可能な標識に連結される。検出抗体は、好ましくは、物理的に検出可能な標識へのコンジュゲーションによって標識され、標的分析物を含有するサンプルとの接触時に、複合体を形成する。次いで、捕捉部分を介して、抗体−分析物複合体を、固相支持体上に固定することができる。固相支持体上に固定された、得られる複合体は、標識によって検出可能である。
【0118】
一実施形態では、SCD試薬溶液または固体基体は、複数の異なる検出プローブを含み、各検出プローブは異なる標的に結合することが可能であり、各標的の存在が、その標的に対する試験区域における(即ち、試験デバイスにおける)シグナルの形成によって示されるように、各検出プローブが標識されるか、または検出シグナルの形成を可能にする;ここで、捕捉部分の少なくとも2つに対する標的は、感染因子または疾患を引き起こす微生物、あるいはサンプル溶液が由来する宿主の疾患、異常、もしくは疾病の存在を示すマーカーであり、ここで、捕捉部分の少なくとも2つは、それらの捕捉部分の標的として、同じ感染因子または疾患を引き起こす微生物の異なる成分もしくはマーカー、あるいは感染因子もしくは疾患を引き起こす微生物によって生じない同じ疾患、異常、または疾病の異なるマーカーに結合することが可能である。さらに加えて、SCDはまた、各々が検出プローブと対を形成する複数の異なる捕捉プローブを含み、ここで、該対形成は特定の標的分析物に結合する能力によって定義される。
【0119】
本明細書において使用する用語「特異的に結合する」は、特異的結合対の結合特異性を指す。「特異的結合対メンバー」は、2つの異なる分子を意味する特異的結合対(「sbp」)のメンバーを指し、ここで、分子のうちの1つは、化学的または物理的手段を介して第2の分子に特異的に結合する。例えば、pRNAの対もしくはアプタマー/標的抗原対、またはストレプトアビジン−ビオチンは、例示的な特異的結合対メンバーまたはsbpを提供する。2つの分子は、それらが、それらの結合パートナーと、類似の特徴を有する他のアッセイ構成要素とを区別することが可能であるようにそれらが相互に結合するという意味で、関連する。特定の結合対のメンバーは、リガンドおよび受容体(抗リガンド)、sbpメンバーおよびsbpパートナーなどと称される。分子はまた、分子の凝集のためのsbpメンバー、例えば、第二抗体の免疫複合体に対して惹起される抗体であってもよく、その対応する抗原は、免疫複合体のsbpメンバーとみなされ得る。
【0120】
抗原および抗体特異的結合対メンバーに加えて、他の特異的結合対として、例えば、ビオチンおよびアビジン、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、相補的ペプチド配列、エフェクターおよび受容体分子、酵素補因子および酵素、酵素インヒビターおよび酵素、ペプチド配列または化学部分(例えば、ジゴキシン/抗ジゴキシン)および配列、化学的部分またはタンパク質全体に特異的な抗体、ポリマー酸および塩基、染料およびタンパク質バインダー、ペプチドおよび特異的タンパク質バインダー(例えば、リボヌクレアーゼ、S−ペプチドおよびリボヌクレアーゼS−タンパク質)、金属およびそれらのキレート剤などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに加えて、特異的結合対として、本来の特異的結合メンバーのアナログであるメンバー、例えば、組み換え技術もしくは分子エンジニアリングによって作製される分析物アナログまたは特異的結合メンバーを挙げることができる。
【0121】
sbpメンバーは、それらが、両方とも、別の同一な相補的sbpメンバーに結合することが可能である場合、別のsbpメンバーに類似する。そのようなsbpメンバーは、例えば、標識されたリガンドまたは標識された受容体を提供するための基による少なくとも1つの水素原子の置換によって、改変されているリガンドまたは受容体のいずれかなどであり得る。sbpメンバーは、分析物または分析物に相補的であるsbpメンバーに類似もしくは相補的であり得る。特異的結合メンバーが免疫反応物質(immunoreactant)である場合、それは、例えば、抗体、抗原、ハプテン、またはそれらの複合体であり得る。抗体が使用される場合、それは、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、組み換えタンパク質または抗体、キメラ抗体、混合物またはそのフラグメント、ならびに抗体および他の特異的結合メンバーの混合物であり得る。検出分子に組み入れることができる結合対の他の例については、米国特許第6,946,546号、同第6,967,250号、同第6,984,491号、同第7,022,492号、同第7,026,120号、同第7,022,529号、同第7,026,135号、同第7,033,781号、同第7,052,854号、同第7,052,916号および同第7,056,679号に開示されている。
【0122】
「抗体」は、1つまたは複数の免疫グロブリン遺伝子、またはそのフラグメントによって実質的にコードされるポリペプチドを指し、特異的抗原に結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性もしくは二重特異性抗体を含む任意の免疫グロブリンを含む。完全抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。各重鎖は、可変領域ならびに第1、第2、および第3の定常領域からなる一方、各軽鎖は、可変領域および定常領域からなる。抗体は、「Y」字形を有し、Yの幹部は、ジスルフィド結合を介して共に結合する2つの重鎖の第2および第3の定常領域からなる。Yの各アームは、単一軽鎖の可変および定常領域に結合した単一重鎖の可変領域および第1の定常領域からなる。軽鎖および重鎖の可変領域は、抗原結合性を担う。両方の鎖における可変領域は、一般的に、相補性決定領域(CDR)(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽(L)鎖CDR、HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重(H)鎖CDR)と呼ばれる3つの高度可変ループを含有する(Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition (1991), vols. 1-3, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md.により定義されている)。3つのCDRは、CDRより高度に保存され、足場を形成して、超可変ループを支持するフレームワーク領域(FR)として公知であるフランキングストレッチの間に挿入されている。重鎖および軽鎖の定常領域は抗原結合性には関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεに分類され、次いで、免疫グロブリンクラスを定義し、サブクラスは、各々IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgA1、またはIgA2、IgD、およびIgEを含む。典型的に、抗体は、その表面上または空腔内において特異的に結合し、それによって別の分子の特定の空間的および極性の編成により相補的と定義される領域を有する免疫グロブリンである。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。抗体は、完全な免疫グロブリンまたはそのフラグメントを含んでもよい。そのフラグメントは、Fab、FvおよびF(ab’)2、Fab’などを含んでもよい。抗体はまた、組み換え方法によって作製されるキメラ抗体またはそのフラグメントを含んでもよい。本明細書において使用する用語「抗体」、抗体は、それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づくクラスに割り当てられる。抗体の主要なクラスは、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMであり、これらのクラスのいくつかは、次のようなサブクラスに分類される。
【0123】
無傷(intact)な免疫グロブリンに加えて、本明細書において使用する用語「抗体」は、さらに、1つ以上のCDRを含む免疫グロブリン分子の任意のフラグメントから形成されるFab、Fab’、F(ab’)、Fvフラグメント、単一鎖抗体分子、多重特異性抗体のようなその免疫グロブリンフラグメント(即ち、免疫グロブリン分子の少なくとも1つの免疫学的に活性な部分)を指す。加えて、本明細書において使用される抗体は、1つ以上の異なるヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域にグラフト化された特定のヒト免疫グロブリン由来の1つ以上のCDRを含んでもよい。
【0124】
抗体に関して「Fab」は、ジスルフィド結合によって単一重鎖の可変領域および第1の定常領域に結合した単一軽鎖(可変領域および定常領域の両方)からなる、抗体の部分を指す。
【0125】
「Fab’」は、ヒンジ領域の部分を含むFabフラグメントを指す。
【0126】
「F(ab’)」は、Fab’の二量体を指す。
【0127】
抗体に関して「Fc」は、ジスルフィド結合を介して第2の重鎖の第2および第3の定常領域に結合した第1の重鎖の第2および第3の定常領域からなる、抗体の部分を指す。抗体のFc部分は、様々なエフェクター機能を担うが、抗原結合において機能しない。
【0128】
抗体に関して「Fv」は、完全な抗原結合部位を所有する抗体の最も小さなフラグメントを指す。Fvフラグメントは、単一重鎖の可変領域に結合した単一軽鎖の可変領域からなる。
【0129】
「単一鎖Fv抗体」または「scFv」は、直接的にまたはペプチドリンカー配列を介して相互に接続された軽鎖可変領域および重鎖可変領域からなる操作された抗体を指す(Houston 1988)。
【0130】
「単一鎖Fv−Fc抗体」または「scFv−Fc」は、抗体のFc領域に接続されたscFvからなる操作された抗体を指す。
【0131】
本明細書において使用する用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原分子上の原子および/またはアミノ酸の群を指す。
【0132】
本明細書に記載の用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体またはそのフラグメントを指し、即ち、集団を含む個々の抗体は、少量存在し得る天然に存在する可能な変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、抗原上の単一のエピトープに対して指向されている。モノクローナル抗体は、典型的に異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的に、抗原上の異なるエピトープに対して指向されている。モノクローナル抗体は、従来、ハイブリドーマに由来するが、本発明のモノクローナル抗体は、産生方法によって制限されない。例えば、本発明のモノクローナル抗体は、Kohler et al , Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製してもよく、または組み換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製してもよい。
【0133】
本明細書において使用する用語「キメラ抗体」は、抗体(ここで、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列に同一もしくは相同である一方、重鎖および/または軽鎖の残りの部分は、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列に同一もしくは相同である)、ならびに(そのようなフラグメントが所望される抗原結合活性を示す限り)そのような抗体のフラグメントを指す(米国特許第4,816,567号(Cabilly et al.);Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851 6855 (1984))。
【0134】
本明細書において使用する用語「ヒト化抗体」は、レシピエントのCDRの一部もしくはすべて由来の残基が、所望される特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置き換わるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である抗体あるいはそのフラグメントを指す。任意に、ヒト免疫グロブリンのFR残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはインポートされたCDRまたはフレームワーク配列のいずれにも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改質し、最適化するために作製される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および典型的に2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリンFc領域の少なくとも部分、典型的に、ヒト免疫グロブリンの部分を含む。より詳細については、Jones et al., Nature, 321:522 525 (1986);Reichmann et al., Nature, 332:323 329 (1988);Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593 596 (1992);およびClark, Immunol. Today 21: 397 402 (2000)を参照のこと。
【0135】
様々な実施形態では、本発明のデバイスは、米国特許出願第11/677,559号において開示されるように、マウスハイブリドーマ細胞株によって産生される抗H5モノクローナル抗体による使用のために構成される。抗体は、トリインフルエンザウイルスH5サブタイプのヘマグルチニンに特異的に結合するように設計される。例えば、マウスハイブリドーマ細胞株8H5、3C8、10F7、4D1、3G4、および2F2が、CCTCC−C200607(ハイブリドーマ細胞株8H5)、CCTCC−C200605(ハイブリドーマ細胞株3C8)、CCTCC−C200608(ハイブリドーマ細胞株10F7)、CCTCC−C200606(ハイブリドーマ細胞株4D1)、CCTCC−C200604(ハイブリドーマ細胞株3G4)およびCCTCC−C200424(ハイブリドーマ細胞株2F2)の寄託番号で2006年1月17日にChina Center for Typical Culture Collection(CCTCC, Wuhan University, Wuhan, China)に寄託された。
【0136】
本発明はまた、モノクローナル抗体8H5、3C8、10F7、4D1、3G4、または2F2のトリインフルエンザウイルスH5サブタイプのヘマグルチニンへの結合を阻止するモノクローナル抗体を提供する。そのようなブロッキングモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体8H5、3C8、10F7、4D1、3G4、または2F2によって認識されるヘマグルチニン上の同じエピトープに結合してもよい。あるいは、それらのブロッキングモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体8H5、3C8、10F7、4D1、3G4、または2F2によって認識されるエピトープと立体的に重複するエピトープに結合してもよい。これらのブロッキングモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体8H5、3C8、10F7、4D1、3G4、または2F2のトリインフルエンザウイルスH5サブタイプのヘマグルチニンへの結合を、少なくとも約50%減少することができる。あるいは、それらは、結合を、少なくとも約60%、好ましくは、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約85%、さらにより好ましくは、少なくとも約90%、さらにより好ましくは、少なくとも約95%、最も好ましくは、少なくとも約99%減少し得る。
【0137】
試験モノクローナル抗体が既知のモノクローナル抗体のH5ヘマグルチニンへの結合を減少する能力は、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載のような日常的な競合アッセイによって測定され得る。例えば、そのようなアッセイは、マイクロタイタープレートを抗原で予め被覆し、予め被覆されたプレートを、選択された濃度の標識された既知の抗体と混合した非標識試験抗体の系列希釈と共にインキュベートし、インキュベーション混合物を洗浄し、様々な希釈の試験抗体においてプレートに結合された既知の抗体の量を検出および測定することによって、達成し得る。試験抗体が、抗原への結合について、より強度に既知の抗体と競合するほど、既知の抗体の抗原への結合は、さらに減少する。通常、抗原は、96ウェルプレート上で予め被覆され、非標識抗体が、標識された抗体の結合を阻止する能力は、放射性標識または酵素標識を使用して、測定される。
【0138】
モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって、産生してもよい。ハイブリドーマ方法では、マウスまたは他の適切な宿主動物は、免疫化剤、および所望であれば、アジュバントの1つ以上の注入によって、免疫される。典型的に、免疫化剤および/またはアジュバントは、多数の皮下または腹腔内注入によって、宿主動物に注入される。血清アルブミン、またはダイズトリプシンインヒビターなどの免疫される宿主動物において免疫原性であることが公知のタンパク質に、免疫化剤をコンジュゲートさせることも有用であり得る。用い得るアジュバントの例として、フロイント完全アジュバントおよびMPL−TDMが挙げられる。免疫後、宿主動物は、免疫に使用した抗原に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することが可能であるリンパ球を作製する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して、所望されるリンパ球を、骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59 103, Academic Press, 1996)。
【0139】
そのようにして調製したハイブリドーマ細胞を、播種し、好ましくは、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する適切な培養培地において、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む(HAT培地)(この物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨害する)。
【0140】
好適な骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を支持し、HAT培地などの培地に対して感受性である細胞である。これらのうち、好適な骨髄腫細胞系統は、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif. USAから入手可能なMOP−21およびMC−11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection, Rockville, Md. USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞に由来するようなマウス骨髄腫系統である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒト異種骨髄腫細胞系統も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63, Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)。
【0141】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素免疫測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定する。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107: 220 (1980)のScatchard分析によって決定することができる。
【0142】
所望される特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、細胞を、限界希釈手順によってサブクローニングし、標準的な方法(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103, Academic Press, 1996)によって増殖させてもよい。この目的のための適切な培養培地として、例えば、DMEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させてもよい。
【0143】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体を、例えば、プロテインA−セファロース、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、または血清から適切に分離する。
【0144】
本発明のモノクローナル抗体はまた、従来の遺伝子操作方法によって作製してもよい。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNA分子は、例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用するPCRを介して、ハイブリドーマ細胞から単離してもよい。次いで、DNA分子を発現ベクターに挿入する。発現ベクターは、大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされる。宿主細胞は、抗体の発現に適切な条件下で培養される。
【0145】
使用する抗体は、高い特異性および親和性でH5ヘマグルチニンに結合する。抗体は、ヘマグルチニンの他のサブタイプと低い交差反応性を有するべきであり、好ましくは、ヘマグルチニンの他のサブタイプと交差反応性を有するべきでない。一態様では、本発明は、1×10−5M未満のK値でH5ヘマグルチニンに結合する抗体を提供する。好ましくは、K値は1×10−6M未満である。より好ましくは、K値は1×10−7M未満である。最も好ましくは、K値は1×10−8M未満である。
【0146】
本発明の抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む従来の「Y」字形構造を含有してもよい。加えて、抗体はまた、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメントもしくはFvフラグメント、またはヘマグルチニンの結合親和性を維持する従来の「Y」字形構造の別の部分的片であってもよい。フラグメントのヘマグルチニンへの結合親和性は、従来の「Y」字形抗体のそれより高くてもは低くてもよい。
【0147】
抗体フラグメントは、無傷(intact)な抗体のタンパク質分解消化を介して、作製してもよい(例えば、Morimoto et al., J. Biochem. Biophys. Methods, 24: 107-117, (1992)およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照のこと)。さらに、これらのフラグメントはまた、組み換え宿主細胞によって直接産生させることができる(Hudson, Curr. Opin. Immunol., 11: 548-557 (1999);Little et al., Immunol. Today, 21: 364-370 (2000)において概説されている)。例えば、Fab’フラグメントを大腸菌(E. coli)から直接回収し、化学的に結合させて、F(ab’)フラグメントを形成させることができる(Carter et al., Bio/Technology, 10:163 167 (1992))。別の実施形態では、ロイシンジッパーGCN4を使用し、F(ab’)分子の集成を促進させて、F(ab’)を形成する。別のアプローチに従って、Fv、FabまたはF(ab’)フラグメントを、組み換え宿主細胞培養物から直接単離することもできる。抗体フラグメントの産生のための他の技術については、当業者に明らかであろう。
【0148】
本発明は、H5ヘマグルチニンに特異的に結合する抗体またはそれらのフラグメントをコードする単離された核酸分子を提供する。抗体をコードする核酸分子をハイブリドーマ細胞から単離することもできる。分子の核酸配列は、当業者に公知の日常的技術を使用して、決定することができる。本発明の核酸分子はまた、従来の遺伝子操作技術ならびに化学合成を使用して、調製することができる。一態様では、本発明は、抗H5(HA)抗体の重鎖の可変領域をコードする単離された核酸分子または核酸分子の一部を提供する。別の態様では、本発明は、抗H5(HA)抗体の軽鎖の可変領域をコードする単離された核酸分子または核酸分子の一部を提供する。別の態様では、本発明は、抗体重鎖または軽鎖可変領域のCDRをコードする単離された核酸分子を提供する。
【0149】
標識された試薬
「標識された試薬」は、特異的結合メンバーが結合された検出可能な標識を含む物質(例えば、検出プローブ)を指す。結合は、共有結合であってもは非共有結合であってもよいが、結合の方法は本発明にそれほど重要ではない。標識は、標識試薬が流体サンプル中の分析物の存在に関連する検出可能なシグナルを生じることを可能にする。標識試薬の特異的結合メンバー成分は、分析物に直接結合させるか、または以下により詳細に説明する補助的特異的結合メンバーによって分析物に間接的に結合させるために、選択される。標識試薬は、捕捉区域より上流の部位において試験デバイスに組み入れることができるか、それを、流体サンプルと組み合わせて、流体溶液を形成させることができるか、それを、試験サンプルとは個別に試験デバイスに添加することができるか、またはそれを、捕捉区域に予め付着させるか、もしくは可逆的に固定することができる。加えて、適切な結合方法によるアッセイの実施前または実施中に、特異的結合メンバーを標識してもよい。
【0150】
「標識」は、目視または器具手段によって検出可能であるシグナルを生じることが可能な任意の物質を指す。本発明に使用するために適切な様々な標識として、化学的または物理的手段のいずれかを介してシグナルを生じる標識が挙げられる。そのような標識として、酵素および基質、色素原、触媒、蛍光もしくは蛍光様化合物および/または粒子、磁気化合物および/または粒子化学発光化合物およびまたは粒子、ならびに放射性標識を挙げることができる。他の適切な標識として、微粒子標識、例えば、コロイド金属粒子、例えば、金、コロイド非金属粒子、例えば、セレンまたはテルル、染めたまたは着色された粒子、例えば、染めたプラスチックまたは染色された微生物、有機ポリマーラテックス粒子およびリポソーム、着色されたビーズ、高分子マイクロカプセル、嚢(sac)、赤血球、赤血球ゴースト、または他の直接目視可能な物質を含有するビヒクルなどが挙げられる。典型的に、目視検出可能な標識は、標識試薬の標識成分として使用され、それによって、検出部位におけるさらなるシグナル生成成分を必要とすることなく、試験サンプルにおける分析物の存在または量の直接的目視もしくは器具での読み取りを提供する。
【0151】
本発明の実施に利用することができるさらなる標識として、発色団、電気化学部分、酵素、放射性部分、燐光基、蛍光部分、化学発光部分、もしくは量子ドット、またはより詳細には、放射性標識、フルオロフォア−標識、量子ドット−標識、発色団−標識、酵素−標識、親和性リガンド−標識、電磁スピン標識、重原子標識、ナノ粒子光散乱標識もしくは他のナノ粒子で標識されたプローブ、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、TRITC、ローダミン、テトラメチルローダミン、R−フィコエリスリン、Cy−3、Cy−5、Cy−7、Texas Red、Phar-Red、アロフィコシアニン(APC)、エピトープタグ、例えば、FLAGもしくはHAエピトープ、および酵素タグ、例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、I−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、もしくはアセチルコリンエステラーゼおよびハプテンコンジュゲート、例えば、ジゴキシゲニンもしくはジニトロフェニル、または複合体を形成することが可能な結合対のメンバー、例えば、ストレプトアビジン/ビオチン、アビジン/ビオチンもしくは例えば、ウサギIgGおよび抗ウサギIgGを含む抗原/抗体複合体;フルオロフォア、例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、蛍光性ランタニド錯体、例えば、ユウロピウムおよびテルビウムを含むもの、Cy3、Cy5、分子ビーコンおよびその蛍光誘導体、発光材料、例えば、ルミノール;光散乱もしくはプラズモン共鳴材料、例えば、金もしくは銀粒子または量子ドット;あるいは14C、123I、124I、125I、131I、Tc99m、35SもしくはHを含む放射性材料;あるいは当業者に公知の他の任意のシグナル発生標識で標識された球状シェル、およびプローブが挙げられる。例えば、検出可能な分子として、フルオロフォア、ならびに 例えば、Principles of Fluorescence Spectroscopy, Joseph R. Lakowicz (Editor), Plenum Pub Corp, 2nd edition (July 1999)および6th Edition of the Molecular Probes Handbook by Richard P. Hoaglandに記載のような当該技術分野において公知の他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
多くのシグナル生成システムを用いて、本発明の目的を達成してもよい。シグナル生成システムは、サンプル中の分析物(即ち、標的分子)の存在に関連するシグナルを発生する。シグナル生成システムはまた、測定可能なシグナルを生成するのに必要なすべての試薬を含んでもよい。シグナル生成システムの他の成分は、現像液に含まれてもよく、基質、エンハンサー、アクチベーター、化学発光化合物、補因子、インヒビター、スカベンジャー、金属イオン、シグナル発生物質の結合に必要な特異的結合物質などを含むことができる。シグナル生成システムの他の成分は、補酵素、酵素生成物、他の酵素および触媒などと反応する物質であってもよい。いくつかの実施形態では、シグナル生成システムは、外部手段、電磁放射の使用、望ましくは、目視検査によって検出可能なシグナルを提供する。例示的なシグナル生成システムについては、米国特許第5,508,178号に記載されている。
【0153】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、検出プローブ(例えば、抗体連結オリゴヌクレオチド)に連結させることができ、それによって、核酸は、核酸標識を利用することによって、標識として機能する。例えば、SCDに含まれる試薬溶液または基質は、検出可能なシグナルを提供するために機能する複数のオリゴヌクレオチドを含む検出試薬(複数の検出および捕捉特異的結合因子(「SBA」))を含むことができ、それによって、(特定の分析物に特異的な)SBAの所与のサブ集団について、コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドが、配列非依存的様式で核酸分子に結合する核酸染色である(異なる分析物に特異的な)抗体の別のサブ集団と比較して、異なる染色で予め染色される。例として、インターカレーション染料、例えば、フェナントリジンおよびアクリジン(例えば、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1および−2、エチジウムモノアジド、およびACMA);いくつかの小溝バインダー、例えば、インドールおよびイミダゾール(例えば、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580およびDAPI);ならびに種々の核酸染色剤、例えば、アクリジンオレンジ(インターカレートすることも可能)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751、およびヒドロキシスチルバミジンが挙げられる。上記のすべての核酸染色剤は、Molecular Probes, Inc.などの供給者から市販されている。核酸染色剤のさらに他の例として、Molecular Probes製の次の染料が挙げられる:シアニン染料、例えば、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO− PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO− PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO−40、−41、−42、−43、−44、−45(青)、SYTO−13、−16、−24、−21、−23、−12、−11、−20、−22、−15、−14、−25(緑)、SYTO−81、−80、−82、−83、−84、−85 (橙)、SYTO−64、−17、−59、−61、−62、−60、−63(赤)。他の検出マーカーとして、化学発光および色素原分子、光学または電子密度マーカーなどが挙げられる。
【0154】
上記のように、所定の実施形態では、標識は、米国特許第6,207,392号に記載の量子ドット(即ち、Qdot)などの半導体ナノ結晶を含む。Qdotは、Quantum Dot Corporationから市販されている。本発明の実施に有用な半導体ナノ結晶として、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、およびHgTeならびにそれらの混合された組成物などのII〜VI族半導体のナノ結晶;ならびにGaAs、InGaAs、InP、およびInAsおよびそれらの混合された組成物などのIII〜V族半導体のナノ結晶が挙げられる。ゲルマニウムもしくはケイ素などのIV族半導体の使用、または有機半導体の使用も、所定の条件下で可能であり得る。半導体ナノ結晶はまた、上記のIII〜V族化合物、II〜VI族化合物、IV族元素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2つ以上の半導体を含む合金を含んでもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、蛍光エネルギー受容体が、標識として検出プローブに連結される。一実施形態では、蛍光エネルギー受容体は、一重項酸素と反応して、蛍光化合物、または補助化合物と反応し得、その際、蛍光化合物に変換される化合物を形成する化合物の結果として形成される。そのような補助化合物は、SCDおよび/または試験デバイスに含有される緩衝液に含まれ得る。他の実施形態では、蛍光エネルギー受容体は、化学発光物質(chemiluminescer)も含む化合物の部分として組み入れられ得る。例えば、蛍光エネルギー受容体は、例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルルなどの希土類金属の金属キレートを含んでもよい。これらの材料は、発光のそれらの鮮明なバンドのため、特に魅力がある。さらに加えて、ユウロピウム(III)などのランタニド標識は、有効かつ長期のシグナル放射を提供し、光退色に耐性であり、そのため、必要であれば、処理された/反応したサンプルを含有する試験デバイスを、長期間、取り外しておくことが可能である。
【0156】
長寿命の蛍光性ユウロピウム(III)キレートナノ粒子は、様々なヘテロジニアスおよびホモジニアスイムノアッセイにおいて標識として適用可能であることが示されている。例えば、Huhtinen et al. Clin. Chem. 2004 Oct; 50(10): 1935-6を参照のこと。これらの本質的に標識されたナノ粒子を、時間分解蛍光検出と組み合わせて使用する場合、アッセイの性能を改善することができる。ヘテロジニアスアッセイでは、低濃度でのアッセイのダイナミックレンジを拡張することができる(1〜3)。さらに加えて、従来的に標識された検出抗体の代わりに、検出抗体で被覆された高特異的活性ナノ粒子標識の使用によって、アッセイの速度論的特性を改善することができる(4)。ホモジニアスアッセイでは、ユウロピウム(III)ナノ粒子は、蛍光共鳴エネルギー移動において効率的なドナーであることが示されており、簡単かつ迅速なハイスループットスクリーニングを可能にする(5)。ヘテロジニアスおよびホモジニアスなナノ粒子標識に基づくアッセイは、様々なサンプルマトリックス、例えば、血清(3)、ヘパリン血漿(3)、および粘液と共に稼動させることができる(S. Huopalahti, A. Valanne, T. Soukka, R. Vainionpaa, T. Lovgren, and H. Harma, University of Turku、非公開データ)。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示する標識(例えば、蛍光標識)は、生体分子とコンジュゲートされるナノ粒子標識として含まれる。言い換えれば、ナノ粒子は、検出または捕捉プローブと共に利用することができる。例えば、サンプル中の特定の分析物を検出するためにモノクローナル抗体またはストレプトアビジン(SA)に連結されたユウロピウム(III)標識ナノ粒子は、本発明の実施(例えば、ナノ粒子に基づくイムノアッセイ)において利用することができる。ナノ粒子は、分析物および検出(即ち、標識)または捕捉部分のいずれかに対する特異的結合因子に付着する基体として役割を果たす。
【0158】
一実施形態では、試験デバイスは、特異的分析物に基づいて各々パターン化された、異なるpRNAを含み、相補的SCDは、試験デバイスに固定されたものに対する同系のpRNAに連結された複数の捕捉抗体を含み、ここで、前記複数は、異なる分析物に特異的な抗体の異なるサブ集団を含む。さらに加えて、SCD試薬溶液または基質(例えば、凍結乾燥された固体基質)は、検出プローブ、または異なる分析物に特異的な抗体の同じサブ集団からなる複数のユウロピウム(III)標識抗体を含む。本発明において実施することができるさらなるランタニド標識は、当該技術分野において公知であり、米国特許第7,101,667号に開示されている。また、例えば、Richardson F.S., "Terbium(III) and Europium(III) Ions as Luminescent probes and Stains for Biomolecular Systems," Chem. Rev., 82:541-552 (1982)を参照のこと。
【0159】
従って、標識の選択に依存して、いくつかの実施形態では、肉眼でシグナルが認められる一方、他の実施形態では、本発明の実施において読み取り装置器具が利用される。
【0160】
捕捉部分
いくつかの実施形態では、相補的捕捉部分の対の一方のメンバーは、分析物−特異的結合因子に結合され、他方のメンバーが、各々、ラインまたはスポットに固定される。本明細書において言及する用語「捕捉部分」は、パートナーまたは相補的捕捉部分に特異的な結合部分(例えば、相補的pRNAに特異的なpRNA、またはアビジン/ストレプトアビジン−ビオイン(bioin))を意味する。
【0161】
いくつかの実施形態では、単一のサンプルから多数の分析物を検出するためのアッセイシステムまたは方法において、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体にコンジュゲートされた合成オリゴヌクレオチドの系列として、ピラノシルRNA(pRNA)が提供される。pRNAは、RNAのフラグメンテーションノースとは対照的に、ピラノース型のD−リボースを含有する。さらに加えて、C−4’およびC−2’ホスホジエステル結合は、剛性の糖−リン酸骨格を作製し、高度に安定なpRNA二重鎖の迅速な形成をもたらす。迅速な二重鎖形成は、非特異的なクロスハイブリダイゼーションに寄与する。さらなる実施形態では、さらなる塩基、インドールが導入されて、非特異的pRNA二重鎖を不安定にする。
【0162】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの系列におけるピラノシルRNA(pRNA)がモノクローナル抗体にコンジュゲートした。相補的pRNA鎖が、ニトロセルロース膜に結合されて、試験ラインにおいて適切なモノクローナル抗体−分析物複合体を捕捉する。さらなる実施形態が、関連の米国特許出願第11/677,559号に開示されている。
【0163】
多重化(即ち、多分析物)検出を所望する場合、複数の捕捉部分が利用され、1つの分析物に特異的な抗体は、相補的捕捉部分の1つの特異的対のメンバーを含み、第2の分析物および異なる分析物に特異的に結合する抗体は、相補的捕捉部分の第2および異なる特異的対のメンバーを含む、などである。それ故、一実施形態では、複数の異なる分析物を検出することができ、ここで、捕捉部分の対の同系のメンバーが、試験器具に含まれる試験膜上の個別の位置に固定される。
【0164】
様々な実施形態において、捕捉部分は、オリゴヌクレオチド、アビジン、ストレプトアビジン、ピラノシルRNA(pRNA)、高い親和性について選択された抗原−抗体結合対、アプタマーまたはそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドはDNAまたはRNAである。さらに、いくつかの実施形態では、異なる捕捉部分の組み合わせが、本発明の同じ検出システムにおいて利用される。例えば、1つの特異的分析物の捕捉部分対は、オリゴヌクレオチド対を含む一方、異なる分析物の捕捉対は、pRNA、またはアビジンもしくはストレプトアビジンなどを含む捕捉部分対を含む。一実施形態では、すべての捕捉部分は、pRNAであり、pRNA捕捉部分およびpRNAパートナー捕捉部分の多数の対を伴う(例えば、1つは特異的結合因子にコンジュゲートされ、同系のpRNAがラテラルフロー膜上に固定される)。
【0165】
いくつかの実施形態では、pRNA捕捉部分/捕捉部分パートナーは、限定されないが、以下のpRNAから選択される:
【0166】
【表1】

【0167】
他の実施形態では、捕捉部分の異なるタイプの組み合わせが、本発明のデバイスおよびアッセイにおいて利用されて、多数の分析物を検出する(例えば、複数の捕捉プローブおよび検出プローブであって、それらによって、捕捉プローブおよび検出プローブの各集団は、単一のタイプの標的分析物に特異的である。捕捉プローブは、アプタマー、pRNAまたはストレプトアビジンなどの1つ以上の異なる捕捉部分を伴って構成することができる)。
【0168】
一実施形態では、複数の異なる標的分析物(例えば、1、2、3、4、5もしくは6種の異なるウイルス抗原)を検出するために、pRNA捕捉部分を利用する捕捉プローブの組み合わせが利用される。例えば、図4において例示されるように、より高い感度でウイルスを検出するために、本発明のデバイスが使用される。
【0169】
いくつかの実施形態では、多数の分析物(例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれ以上)を含有するサンプル、図5Aを捕捉および検出プローブに接触させる(例えば、図5A)。捕捉抗体60は、異なる標的分析物54、55に指向され、特定の標的に特異的なすべての捕捉抗体60は、固定された捕捉部分58、59に特異的に結合することが可能なpRNA捕捉部分56、57を有する。従って、検出プローブ(例えば、検出可能な標識を伴う抗体)が特異的標的分析物に結合し、捕捉プローブが特異的標的分析物に結合する場合、捕捉部分56、57は、標的−検出プローブ−捕捉プローブ複合体に結合する手段を、試験デバイス50上の特定のアドレス指定可能なラインに提供する。この方法で、複数の異なる標的分析物(例えば、異なる病原体、感染因子、または同じ感染因子の型/サブタイプ)を検出することができる。
【0170】
本発明のデバイスおよび方法は、複数の異なる標的分析物に対して向上した特異性および感度を提供するように構成される。
【0171】
他の実施形態では、標的分析物は、被験体および非感染因子に関連するポリペプチドまたはペプチドであり得る。さらに他の実施形態では、標的分析物は、癌、腫瘍または新生物に関連し得る。図6において例示されるように、標的分析物は、向上された感度で検出することができる(図6は、10pg/ml(レーン2)、100pg/ml(レーン3)、1000pg/ml(レーン4)のNT−プロBNPペプチドを検出するためのpRNA捕捉部分対を利用して検出されたペプチド、NT−プロBNPペプチドを例示する)。任意のペプチドを含有せず(レーン1)何ら検出可能なシグナルを生成しないコントロールレーン。NT−プロBNPペプチドを使用する制限希釈アッセイでは、図6に示されるように、検出限界は0.36pg/mlのペプチドであったが、これは、1.7アトモル(10−18)のペプチドに翻訳される。
【0172】
従って、複数の捕捉プローブ(例えば、pRNAに連結した抗体)では、各捕捉プローブは、同系の捕捉プローブが試験デバイスに含まれる試験ストリップ上の所定の位置に固定される捕捉部分に連結される。例えば、SCDにおける複数の抗体は、異なるインフルエンザウイルス株および/またはサブタイプを標的にする抗体を含み、ここで、前記抗体は、検出抗体−捕捉抗体の対を含み、ここで、捕捉抗体は、特異的捕捉部分を有する。さらに、複数の抗体における抗体の各集団は、抗体が結合する特定の標的分析物によって定義される。それ故、1つの特異的標的分析物に対して指向されたすべての捕捉抗体は、同系/相補的捕捉部分が試験デバイスに配置される同じ捕捉部分を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、捕捉部分は、捕捉プローブと同義的に利用することができるか、または試験デバイスアキシャルフロー膜に含まれる固定された捕捉部分としてのアプタマー分子である。アプタマーは、核酸の候補混合物から同定される核酸を含む。好適な実施形態では、アプタマーは、SELEX方法によって単離される核酸リガンドに実質的に相同である核酸配列を含む。実質的に相同とは、70%を超える、最も好ましくは、80%を超える一次配列相同性の程度を意味する。本明細書において使用する「SELEX」方法論は、所望される作用で標的分析物と相互作用する(例えば、それらの選択された核酸の増幅を伴ってタンパク質に結合する)選択された核酸リガンドの組み合わせに関与する。選択/増幅工程の任意の反復サイクルは、極めて多量の核酸を含有するプール由来の標的抗原/バイオマーカーと最も強力に相互作用する1つもしくは少数の核酸の選択を可能にする。選択/増幅手順のサイクルは、選択した目標が達成されるまで継続する。SELEX方法論については、次の米国特許および特許出願に記載されている:米国特許出願第07/536,428号および米国特許第5,475,096号および同第5,270,163号。
【0174】
分析物
本発明の一態様では、1つ以上の分析物は、本発明のデバイス、システムおよび方法を使用して、検出される。様々な実施形態において、1つ以上の分析物として、1つ以上の哺乳動物細胞、ウイルス、細菌、酵母、真菌、寄生体、上記のものの成分、核酸、ポリペプチド、ペプチド、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
様々な実施形態において、検出される分析物は感染因子に関連する。感染因子は、細菌、酵母、真菌、ウイルス、真核生物の寄生体などを含むがそれらに限定されない任意の病原体であり得る。いくつかの実施形態では、感染因子は、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、A型、B型、C型、D型、E型肝炎ウイルスなど、HIV、エンテロウイルス、パピローマウイルス、コクサッキーウイルス、単純ヘルペスウイルス、またはエプスタイン・バール(Epstein-Barr)ウイルスである。他の実施形態では、感染因子は、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、連鎖球菌(Streptococcus)、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)、スタフィロココッカス(Staphylcococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、または大腸菌(E. coli)である。感染因子のタイプまたはサブタイプに特異的である結合因子(例えば、抗体)の異なるパネルを使用することによって、本発明の組成物および方法が、異なる感染因子に容易に適応可能であることは、当業者に明らかであろう。
【0176】
通常、感染因子の一般型は、感染因子の属の型、あるいは感染因子の任意の一次もしくは第1の段階での型分類または同定であり得る。感染因子のサブタイプは、感染因子の種または株型、または感染因子の任意の二次もしくはその後の型分類であり得る。本発明に従えば、感染因子の一般型またはサブタイプの同定は、様々な適切な試験設定を介して行うことができる。例えば、感染因子の一般型の同定は、1)感染因子の特定の一般型、2)感染因子の所定の所望されるまたは選択される一般型、または3)感染因子のすべてもしくは実質的にすべての関連する一般型、あるいはそれらの組み合わせについての1つ以上のスクリーニング試験を含むことができる。同様に、感染因子のサブタイプの同定は、1)感染因子の1つ以上の特定のサブタイプ、2)感染因子の特定の一般型の1つ以上の特定のサブタイプ、3)試験を受ける被験体に関連するさらなる情報、例えば、特定の集団もしくは地理的位置について1つ以上の疑わしいもしくは予想されるサブタイプに基づいて選択される感染因子の1つ以上の特定のサブタイプ、または4)一般型について試験する感染因子に同一もしくは関連する感染因子の1つ以上の潜在的パンデミックまたは流行性サブタイプ、あるいはそれらの組み合わせについての1つ以上のスクリーニング試験を含むことができる。
【0177】
特に、インフルエンザウイルスの一般型は、核タンパク質およびマトリックスタンパク質抗原、例えば、A型、B型、またはC型インフルエンザウイルスの抗原特性に基づいて設計された任意の型であり得るが、一方、サブタイプは、抗原、例えば、ヘマグルチニン(H)またはノイラミニダーゼ(N)などの表面抗原によって特徴付けられるインフルエンザA型もしくはB型ウイルスの1つ以上のサブタイプに基づいて、インフルエンザウイルスの1つ以上の細分された型であり得る。
【0178】
一実施形態では、インフルエンザウイルスの一般型の同定は、A型、B型、および/またはC型インフルエンザウイルスについてスクリーニングすることを含むが、一方インフルエンザウイルス、例えば、A型ウイルスのサブタイプの同定は、A型の1つ以上の予想されるサブタイプ、例えば、試験時の集団において存在が予想されるサブタイプ、および任意に、1つ以上の疑わしいサブタイプ、例えば、流行性もしくはパンデミックのアウトブレイクなどのアウトブレイクのサーベイランス下でのサブタイプについてスクリーニングすることを含む。別の実施形態では、インフルエンザウイルスの一般型の同定は、A型およびB型インフルエンザウイルスについてスクリーニングすることを含むが、一方、インフルエンザウイルス、例えば、A型ウイルスのサブタイプの同定は、インフルエンザワクチンの生産に使用される1つ以上のサブタイプ、例えば、次期のインフルエンザシーズン中に流布することが予想されるサブタイプおよび/または株を含む試験シーズンについて現行のワクチンサブタイプまたは株をスクリーニングすることを含む。さらに別の実施形態では、インフルエンザウイルスの一般型の同定は、A型およびB型インフルエンザウイルスについてスクリーニングすることを含むが、一方、インフルエンザウイルス、例えば、A型のサブタイプの同定は、インフルエンザワクチンの生産に使用される1つ以上のサブタイプもしくは株、およびパンデミックのアウトブレイクの原因であることが疑わしい1つ以上のサブタイプまたは株、例えば、H5N1もしくはその誘導体などの1つ以上のトリのサブタイプもしくは株をスクリーニングすることを含む。
【0179】
一実施形態では、本発明の方法および組成物は、他の腸もしくは感染株の存在下で大腸菌(E. coli)0157(極めて危険であり、しばしば致死性の感染株)を検出するためのアッセイにおいて、利用することができる。別の例は、インフルエンザ感染について患者を試験することにあり、ここで、サブタイプ内の株の変異または変動が生じることが公知であり、インフルエンザのいくつかの形態は、他よりはるかに病原性である。さらなる例は、HIVの異なる型、例えば、HIV−1およびHIV−2の検出である。
【0180】
一実施形態では、A型インフルエンザサブタイプおよび/またはB型インフルエンザを検出または同定するための本発明の方法および装置を利用する。
【0181】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)のオルトミクソウイルス属に属する。螺旋対称を伴うssRNAエンベロープウイルス。エンベロープ粒子の直径80〜120nm。RNAは、核タンパク質(NP)と緊密に関連して、螺旋構造を形成する。ゲノムは、セグメント化され、8つのRNAフラグメント(C型インフルエンザでは7つ)を伴う。4種の主要抗原、ヘマグルチニン(H)、ノイラミニダーゼ(N)、核タンパク質(NP)、およびマトリックス(M)タンパク質が存在する。
【0182】
NPは、ヒトおよび非ヒトインフルエンザウイルスの分類の基礎を提供する3つの形態、A、BおよびCにおいて生じる型特異的抗原である。マトリックスタンパク質(Mタンパク質)はヌクレオカプシドを囲み、粒子質量の35〜45%を構成する。さらに加えて、2つの表面糖タンパク質が、棒形突起として表面上に認められる。ヘマグルチニン(H)は2つのサブユニットH1およびH2から構成される。ヘマグルチニンは、ウイルスの細胞受容体への付着を仲介する。ノイラミニダーゼ分子は、エンベロープにおいてより少ない量で存在する。A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼ抗原の抗原性の差異は、それらのサブタイプへの分類の基礎を提供し、例えば、A/Hong Kong/1/68(H3N2)は、1968年に患者から単離されたH3N2サブタイプのA型インフルエンザウイルスを意味する。
【0183】
様々な実施形態において、本発明の方法および装置は、HxNy(式中、xは1〜9であり、かつyは1〜16であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)によって定義されるA型インフルエンザウイルスを検出または同定することに関する。例えば、一実施形態では、A型インフルエンザH1N5サブタイプを検出するための本発明の方法および装置が利用される。それ故、インフルエンザウイルスの異なるサブタイプを標的にする複数の検出プローブおよび捕捉プローブが、本発明のSCDに配置される。一実施形態では、A型インフルエンザ(H1/H3サブタイプ、およびパンデミックH5サブタイプを伴う)ならびにB型インフルエンザを検出するためのアッセイが利用される。
【0184】
様々な実施形態において、本発明の方法および装置は、1つ以上の異なる感染因子を検出することができる。例えば、サンプル採取器は、複数の異なる抗体を含むことができ、ここで、抗体の多数のサブタイプが存在し、それによって、抗体の各サブタイプは異なる感染因子に特異的に結合する。例えば、複数の抗体は、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10種のサブタイプを含むことができ、ここで、複数の抗体における抗体の各サブタイプは、異なる感染因子に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本発明の方法および装置は、パンデミックおよび非パンデミック感染因子を検出する。一実施形態では、パンデミックおよび非パンデミック感染因子は、インフルエンザウイルスである。
【0185】
流行性インフルエンザの爆発的性質およびこの疾患の特定の臨床的特徴により、19世紀のはじめから、この感染症の所定の信頼できる疫学的記録が認められている。19世紀中にいくらかの流行が記録されたが、1889〜92年まで最初のパンデミックは、正確には記録されなかった。2回目のパンデミックは、おそらく欧州を起源とし、1918〜19年に発生したが、これはスペイン風邪として公知であり、主に初期成人における2千万〜2千5百万人の死亡の原因であった。
【0186】
パンデミックは、スペイン風邪後、1932〜33年、1947〜48年、1957年および1968年に継続して定期的に発生した。その次のパンデミックは、時期が過ぎたと考えられる。これらの後者のパンデミックは、1890年のパンデミックに類似し、数百万人の人が軽度のURTIを患い、少数の死亡例が認められた。H1N1(ブタ)ウイルスは、おそらく1918年に出現し、1957年まで継続的に広まったが、この時、それらに代わってH2N2(アジア)ウイルスが出現した。H2N2ウイルスは、H3N2(香港)株が出現した1968年まで流行した。H1N1ウイルスは1977年に再出現し、H3N2サブタイプとは入れ代わらず、両方のサブタイプが継続して同時に広まった。従って、個体がどの株および/またはサブタイプに感染しているかを決定するための有効かつ正確な様式で被験体をスクリーニングすることが重要である。さらに加えて、状況によっては、そのようなサンプル回収および処理は、必然的に、ポイント・オブ・ケア設備において(例えば、サンプルおよびプロセスに対して多くの被験体を伴わない、およびそのようなサンプル採取を行うための人的資源が限られた分野において)生じる。
【0187】
従って、一実施形態では、ポイント・オブ・ケア設備で多数のサンプルを処理する本発明の方法および装置が利用され、ここで、試験完了のある期間後、試験結果は、可視化(即ち、読み取り)され得る。例えば、試験の期間は、30分間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、または5時間であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書において開示する試薬と共に、方法および装置は、高感度および特異性を提供し、ここで、蛍光の結果は、長期間、極めて類似の結果を伴って読み取ることができる。それ故、いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、回収および処理した後、かなりの期間後に読み取りを行うために、取り外しておくことができるが、これは、ポイント・オブ・ケア設備において、またはさらにサンプルを処理するための人的資源および時間が限られた状態で多量のサンプルが回収される場合、かなり有利である。
【0188】
様々な実施形態において、検出される分析物は、疾患、疾病または疾患もしくは疾病の素因を示唆する1つ以上のバイオマーカーである。そのような分析物の例として、腫瘍抗原、脳卒中を示唆するペプチド、心不全を示唆するペプチド、子癇前症(pre-clampsia)、子癇、肝臓障害もしくは肝臓疾患、腎臓障害もしくは腎臓疾患、心臓障害もしくは心疾患、脳障害もしくは脳疾患、またはそれらの任意の組み合わせを示唆するペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
様々な実施形態において、マーカー(さらに、バイオマーカー)の検出は、処置の前、処置中または処置の後であるべきであり得、従って、1つ以上のマーカーの検出を使用して、処置レジメンの効力または処置レジメンに対する被験体の応答が評価される。
【0190】
様々な実施形態において、本発明のデバイスおよび方法は、任意の疾病または疾患に関連する1つ以上のマーカー(例えば、ペプチドもしくは抗原)を検出するように構成される。例えば、癌もしくは腫瘍、心臓病、心臓障害もしくは心疾患、脳疾病、肝臓病、肝臓障害もしくは肝臓疾患、腎臓病、腎臓障害もしくは腎臓疾患、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない任意の疾患あるいは疾病に関連する1つ以上のマーカーを検出することができる。さらなる実施形態では、1つ以上のマーカーの検出は、治療剤による被験体の処置の前、処置中または処置の後である。それ故、被験体または被験体の集団に対する処置レジメンを評価して、治療レジメンの効力を決定することができる。さらに他の実施形態では、1つ以上の有害またはネガティブな効果に関連するマーカーを検出して、有害作用の発生または重症度を決定することができる。さらに他の実施形態では、疾患または疾病を診断するための1つ以上のマーカーが検出される。
【0191】
検出マーカーの例は、癌に関連する腫瘍抗原であり得る。そのような腫瘍細胞成分の例として、上皮成長因子受容体(EGFR、ErbB−1、HER1)、ErbB−2(HER2/neu)、ErbB−3/HER3、ErbB−4/HER4、EGFRリガンドファミリー、インスリン様増殖因子受容体(IGFR)ファミリー、IGF−結合タンパク質(IGFBP)、IGFRリガンドファミリー、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)ファミリー、PDGFRリガンドファミリー、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリー、FGFRリガンドファミリー、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー、VEGFファミリー、HGF受容体ファミリー、TRK受容体ファミリー、エフリン(EPH)受容体ファミリー、AXL受容体ファミリー、白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー、TIE受容体ファミリー、アンジオポエチン1,2、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)受容体ファミリー、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー、RET受容体ファミリー、KLG受容体ファミリー、RYK受容体ファミリー、MuSK受容体ファミリー、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、例えば、TGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3と呼ばれる3つのアイソフォーム、サイトカイン受容体、クラスI(ヘマトポエチンファミリー)およびクラスII(インターフェロン/IL−10ファミリー)受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)、デス受容体ファミリー(Apo2L/TRAIL−受容体、CD95/Fas)、癌−精巣(CT)抗原、系統特異的抗原、分化抗原、α−アクチニン−4、ARTC1、切断点クラスター領域−Abelson(Bcr−abl)融合産物、B−RAF、カスパーゼ−5(CASP−5)、カスパーゼ−8(CASP−8)、β−カテニン(CTNNB1)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、CDKN2A、COA−1、dek−can融合タンパク質、EFTUD−2、伸長因子2(ELF2)、Ets変異体遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6−AML1)融合タンパク質、フィブロネクチン(FN)、GPNMB、低密度脂質受容体/GDP−Lフコース:β−Dガラクトース2−α−Lフコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)融合タンパク質、HLA−A2遺伝子におけるα2−ドメインのα−ヘリックスの残基170におけるHLA−A2アルギニンからイソロイシンへの交換(HLA−A201−R170I)、HLA−A11、熱ショックタンパク質70−2変異(HSP70−2M)、KIAA0205、MART2、黒色腫偏在性変異1,2,3(MUM−1,2,3)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、neo−PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS−9、pml−RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K−ras(KRAS2)、N−ras(NRAS)、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SYT−SSX1もしくは−SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGE−1、BAGE−2,3,4,5、GAGE−1,2,3,4,5,6,7,8、GnT−V(異常型N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、MGAT5)、HERV−K−MEL、KK−LC、KM−HN−1、LAGE、LAGE−1、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、MAGE−A1(MAGE−1)、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−3、MAGE−B1、MAGE−B2、MAGE−B5、MAGE−B6、MAGE−C1、MAGE−C2、ムチン1(MUC1)、MART−1/メラン−A(MLANA)、gp100、gp100/Pmel17(SILV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP−1、HAGE、NA−88、NY−ESO−1、NY−ESO−1/LAGE−2、SAGE、Spl7、SSX−1,2,3,4、TRP2−INT2、癌胎児抗原(CEA)、カリクレイン4、マンマグロビン−A、OA1、前立腺特異的抗原(PSA)、TRP−1/gp75、TRP−2、アジポフィリン、黒色腫に存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM−2)、BING−4、CPSF、サイクリンD1、上皮細胞接着分子(Ep−CAM)、EphA3、繊維芽細胞増殖因子−5(FGF−5)、糖タンパク質250(gp250)、EGFR(ERBB1)、HER−2/neu(ERBB2)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL13Rα2)、IL−6受容体、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、α−フェトプロテイン(AFP)、M−CSF、mdm−2、MUC1、p53(TP53)、PBF、PRAME、PSMA、RAGE−1、RNF43、RU2AS、SOX10、STEAP1、スルビビン(BIRC5)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、テロメラーゼ、Wilms腫瘍遺伝子(WT1)、SYCP1、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE−5、LIP1、CTAGE−1、CSAGE、MMA1、CAGE、BORIS、HOM−TES−85、AF15ql4、HCA661、LDHC、MORC、SGY−1、SPO11、TPX1、NY−SAR−35、FTHL17、NXF2、TDRD1、TEX15、FATE、TPTE、免疫グロブリンイディオタイプ、Bence-Jonesタンパク質、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、癌抗原72−4(CA72−4)、癌抗原15−3(CA15−3)、癌抗原27−29(CA27−29)、癌抗原125(CA125)、癌抗原19−9(CA19−9)、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン、β−2ミクログロブリン、扁平上皮細胞癌抗原、神経特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA−4、707アラニンプロリン(707−AP)、T細胞によって認識される腺癌抗原4(ART−4)、癌胎児抗原ペプチド−1(CAP−1)、カルシウム活性化塩素チャンネル−2(CLCA2)、シクロフィリンB(Cyp−B)、ヒト印環腫瘍−2(HST−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質(HPV−E6、HPV−E7、大もしくは小カプシド抗原など)、エプスタイン・バール(Epstein-Barr)ウイルス(EBV)タンパク質(EBV潜伏膜タンパク質−LMPl、LMP2など)、B型もしくはC型肝炎またはウイルスタンパク質、ならびにHIVタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
他の実施形態では、マーカーペプチドまたは細胞成分の検出は、疾患、疾病、または器官障害に関連した。そのようなマーカーの例は、限定されないが、米国特許第7,361,473号において開示されたもの、例えば、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、NT−プロBNP、プロBNP、CNP、およびANP、心筋トロポニン、C反応性タンパク質、リポリポタンパク質(lipolipoprotein)A、NCA50/90、36P6D5、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP1(GSTP1)、コレステロールに関連するリポタンパク質、HLLRCR−1、KIR4.1、脳関連ヒトグルタミンシンテターゼまたはマトリックス金属タンパク質、およびそれらの変異体を含み、限定されないが、米国特許第5,605,894号、同第6,709,818号、同第6,028,055号、同第7,223,542号、同第7,332,569号、同第7,348,149号、同第7,262,290号、もしくは同第7,070,945号および国際公開第2005/072055号パンフレットにおいて開示されたマーカーを含む。
【0193】
ワークフロー:
一般に、サンプルは、図7に例示するように、TDへの適用のためにサンプルを調製する本発明のSCDを使用し、読み取り装置を介して結果を読み取って、処理される。例えば、いくつかの実施形態では、サンプルを入手するか、またはSCD(図7(A))に添加し、1つ以上の分析物を、SCDに存在する試薬(例えば、検出および捕捉プローブ、ならびに/または抽出試薬)と接触させる。次いで、図7(B)において例示されるようにSCDからTDへサンプルを処置し、光学式読み取り装置(図7(C))において読み取る。例えば、被験体由来の細胞、組織または液体サンプルを拭うために、サンプル採取器を使用することができ(図7(A))、ここで、抽出緩衝液(上掲)が放出される。次いで、図7(B)に例示するように、SCDをTDに設置し、SCD上の球部を絞って、液体をSCDからTDへ移す。あるいは、一旦、TD上のスナップボタン(図2)が押されると、TDに存在する緩衝液(例えば、さらなる試薬、染料、標識を伴うかもしくは伴わない洗浄またはランニング緩衝液)が放出される。続いてまたはそれからかなりの時間の後、TDを光学式読み取り装置に挿入して、TDの1つ以上の定義されたラインにおける検出可能なシグナルの存在を検出する。いくつかの実施形態では、TDは、約5、10、15、20、30、40、50もしくは60分間で読み取られる。しかし、必要であれば(例えば、操作者が処理するために多数のTDを有する)、TDは、サンプルを通してから数時間後(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間)からまたは数日間(例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日間)後に正確な読み取りを提供するように構成される。において考察するように、
【0194】
一実施形態では、医療従事者が標本を回収した後、サンプル採取器(例えば、綿棒)を、プラスチックチューブに途中まで挿入し、綿棒のハンドルを折って取り出し、廃棄する。抽出試薬を伴うSCDのハンドルをチューブに取り付け、バルブを破壊し、球部を絞って、流体を綿棒の先に移動させる(例えば、図7A)。
【0195】
一実施形態では、サンプルは、サンプル採取器を介して被験体から回収し、SCDデバイスのシリンダー収納部に戻して設置する(例えば、図7)。SCDは、最初に試験デバイスに挿入することができ、または試験デバイスへの挿入の前に、SCDの上部の密封されたチャンバに含有される溶液を放出させ、サンプルおよび溶液を混合物として、下方の反応チャンバ方向へ洗浄を行う。反応チャンバには、本明細書において開示するように、1つ以上の異なる分析物を標的にする検出および捕捉プローブを含む液体または固体試薬のいずれかが配置され、それによって、検出および捕捉プローブに結合した分析物の複合体が形成される。次いで、サンプルは、外部環境からSCDと試験デバイスとの間の接続部を密封する(例えば、任意の流出、エアゾルまたは汚染を防止する)開口部を介してSCDから試験デバイスへ放出される。サンプル混合物は、重力、またはSCD(例えば、上部の密封されたチャンバ)を絞ることによって生じる気圧の力の結果として、試験デバイスの方へ流動することができる。サンプルは、毛管力によって、および/または試験デバイスに含まれる洗浄緩衝液によって、任意の分析物−プローブ複合体が、試験デバイスに含有されるラテラルフロー膜を通過することができるように、付勢される。捕捉プローブおよび相補的な固定された捕捉部分は、ラテラルフロー膜上の所定のラインもしくはスポットにおいて相互に結合またはハイブリダイズし、それによって、検出プローブは、(それらに含有されるコンジュゲート標識を介して)検出可能なシグナルを提供し、続いてそれは、処理したサンプルにどの分析物が存在したかを決定するために、読み取ることができる。
【0196】
一実施形態では、処理されたサンプルを伴う試験デバイスを、結果を読み取る前の約1、2、3、4、5、6もしくは8時間の期間、取り外しておくことができ、なお、処理後の15もしくは20分間後であるが如く、正確に結果を提供することができる。それ故、試験が実際に実施された後のかなりの期間後でも結果の読み取りが行われ得るように、生成したシグナルは、長期間安定である。現場の条件において、人的資源および時間の資源がしばしば制限され、試験施設に容易または迅速にアクセスできない遠方地域に存在し得るポイント・オブ・ケア診断にとってかなりの改善である。
【0197】
例えば、キャップを取り出し、SCDをTDに付着させる。球部を再度絞る。抽出されたサンプルは試薬ビーズを溶解し、混合物は、TDの芯入りパッドに移される。TD上のボタンを押して、洗浄緩衝液の流動を開始する。
【0198】
TDは、読み取り装置に設置される。操作者は、自分のIDを読み取り装置に入力し、「開始」ボタンを押す。読み取り装置からTDを取り出すこと以外に、操作者の読み取り装置との相互作用は不要である。読み取り装置は、結果を自動的に表示および印刷し、連絡接続能力の追加によって、システムは、結果をダウンロードすることができるようになる。
【実施例】
【0199】
実施例
実施例1.異なるインフルエンザ型/サブタイプの検出
アッセイを、Center for Disease Controlによって設定された指針に従い、次のインフルエンザ株;ニューカレドニア/20/99A型インフルエンザH1N1、ハワイ/15/01A型インフルエンザH1N1、ニューヨーク/55/04A型インフルエンザH3N2、ウィスコンシン/67/05/A型インフルエンザH3N2、フロリダ/07/06B型インフルエンザ、オハイオ/15/01B型インフルエンザ、A型インフルエンザH5、およびV型インフルエンザH5に対して行った。各株を、アッセイシステムの試験感度に対し1:100、1:750、1:1000、1:7,500、または1:10,000に希釈した。様々なインフルエンザ株の試験結果を示す正規化された試験結果を表1に示したが、これは、アッセイが、A型と、B型と、Hl/H3(共に検出される)と、H5との間を明確に区別することができることを実証する。
【0200】
【表2】

【0201】
実施例2.アッセイ特異性
POCアッセイシステムが、非インフルエンザ細菌およびウイルスを含むサンプルにおいてインフルエンザ株を厳格に同定することができるかどうかを試験するために、次の微生物を、偽陽性シグナルを生じる可能性について試験した;K.オキシトカ(K. oxytoca)、P.アエルギノサ(P. aeruginosa)、P.ミラビリス(P. mirabilis)、S.アウレウス(S. aureus)、S.アウレウス(S. aureus)-303802、S.マルトフィリア(S.maltophilia)、S.マルセッセンス(S. marcescens)、S.シムランス(S. simulans)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)培養液、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)培養液、エプスチンBウイルス(Epstine B virus)培養液、パラインフルエンザ(Parainfluenza)培養物、コクサッキーウイルス(Coxsackievirus)培養物、エコーウイルス(Echovirus)培養物、コロナウイルス(Coronavirus)培養物、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)培養物、およびアデノウイルス(Adenovirus)培養物。正規化された結果を表2に示したが、これは、非インフルエンザ細菌およびウイルスとの交差反応に関するアッセイ特異性を実証する。
【0202】
【表3】

【0203】
実施例3.薬物干渉
POCアッセイシステムがインフルエンザ感染に対して一般に服用される薬物を含有するサンプルからインフルエンザウイルスを同定することができるかどうかを試験するために、次の薬物を、次の指定された用量で、A型インフルエンザH1N1を含有するサンプルに添加した;10mg/mlのTylenol、10mg/mlのBayer Aspirin、10mg/mlのAdvil、5mg/mlのBromphen、5mg/mlのChlor Trimeton、2.5mg/mlのSymmetrel、1mg/mlのVentolin、10mg/mlのTussin、10mg/mlのEchinacea、5mg/mlのGalphimia G、5mg/mlのHistamine HC、5mg/mlのOscillococcinum、10mg/mlのSucrets Menthol。インフルエンザ感染中に服用され得る一般的薬物との干渉についてのアッセイシステムの試験結果を示す正規化された試験結果を表3に示したが、これは、試験サンプル中のインフルエンザ薬物の存在下において妨害されていないアッセイの実施を実証する。
【0204】
【表4】

【0205】
実施例4.インフルエンザ感度および特異性
POCアッセイシステムが患者から回収した生(live)インフルエンザウイルスを正確に型分類することができるかどうかを試験するために、生の香港(Hong Kong)インフルエンザウイルスサンプルを試験した。表4は、生の香港(Hong Kong)インフルエンザH5株に対するアッセイシステムの試験結果を示し、検出能において先行技術を超える容易性および顕著な改善を実証している。また、表5は、アッセイシステムが、A型インフルエンザの検出において、先行技術の製品よりはるかに高感度であることを示す。
【0206】
【表5】

【0207】
【表6】

【0208】
【表7】

【0209】
実施例5.インフルエンザ特異性
アッセイ特異性を試験するために、40の既知のインフルエンザ陰性サンプルを試験した。表6は、この特定の研究の結果を示す。92%および97.4%の検出特異性が観察された。
【0210】
【表8】

【0211】
実施例6.NT−プロBNP検出
サンプルは、ウマ血清中に組み換えペプチドを含んだ(40μlサンプル+10μl試薬)。試薬は、ユウロピウム−コンジュゲートmAb−pRNA6a6を含んだ。BSA−pRNA(6b6、上掲)を、ニトロセルロース膜ディップスティック試験デバイス上にストライプ状に配置した(例えば、図6)。図6において、レーン1〜4は、pg/mLでの0、10、100、1000ペプチドに対応し;参照番号5(図6A)は、10、100および1000pg/mLの検出可能なNT−プロBNPに対応する。図6は、図9に示す標準曲線において例示されるように、pg/mLの適合された濃度を得るために2つの標準物/レベルを使用してキャリブレーションを行った標準曲線を使用して、感度を実証している。キャリブレーションデータに基づくと、検出限界は、1.7アトモル(10−18)または0.36pg/mLのNT−プロBNPであった。さらに加えて、定量限界は、約5.8アトモルまたは1.23pg/mLのNT−プロBNPであった。従って、また、本発明のシステムを使用して、分析物を定量することができ、それはかなり高感度である。2つの標準/レベル;アルゴリズム=5PL秤量を使用して、アッセイをキャリブレーションした。
【0212】
【表9】

【0213】
結論
上記の実施例およびデータは、SCDおよび試験デバイスアッセイシステムが、効率的かつ効果的にA型およびB型インフルエンザ株を同定し、H1、H3、およびH5サブタイプを正確に同定することが可能であることを実証する。アッセイシステムは、インフルエンザ検出特異性および感度について測定した際に、先行技術の製品と比べて、より優れた性能を実証した。表2に示されるように、インフルエンザウイルスに対するシステムの特異性は、非インフルエンザウイルスまたは細菌サンプルに対する偽陽性のシグナルが認められないことから、明白に実証された。加えて、表5に示されるように、インフルエンザ検出に対する特異性は、97.4%であった。検出感度に関して、表1および表4に示す試験結果は、既知の先行技術システムの能力を超えて希釈された濃度範囲における検出能を実証する。例えば、H3N2 A/ニューヨーク/55/2004 A型インフルエンザは、核タンパク質抗原(A)について、1:100希釈で組織培養感染量(TCID)50力価3.5を有する(例えば、TCID50 3.5は、5×10感染性ウイルス粒子/mL)。検出感度は、1:10,000希釈において認められたが、ここで、シグナル対カットオフは、核タンパク質抗原(A)に対する約10 TCID50単位/mLのTCID50力価に対して1.88であることが示された。類似のエンドポイント力価は、核タンパク質抗原(B)についてB/オハイオ/15/2001で認められた。さらに加えて、本発明のシステムは、表1において実証されるように、約TCID5010〜約700の間のウイルス濃度を検出することが可能であった。加えて、表6における試験に使用したウイルスは、TCID6.7〜9.1の範囲であったが、これらのウイルスの検出感度は、0.0067〜0.0097の範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
i)サンプルチューブ;
ii)サンプル回収器;
iii)ドロッパーキャップ;
iv)抽出試薬を含むコンパートメント
を含むサンプル回収デバイスと;
b)1つ以上の分析物の検出のために構成された1つ以上のアドレス指定可能な領域を含む試験デバイスと
を含むキット。
【請求項2】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約0.75〜約1.125Mの塩を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約1.0%〜約1.5%のサポニンを含む、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約0.25%〜約0.5%の両性イオン剤を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記両性イオン剤はzwittergen 3/17である、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の細菌または細菌成分を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記1つ以上の分析物は、心臓障害、心疾患または心臓病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
前記1つ以上の分析物は、脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
前記ウイルスはA型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザである、請求項6に記載のキット。
【請求項12】
前記ドロッパーキャップは、検出および捕捉プローブの複数の対を含む、請求項6に記載のキット。
【請求項13】
前記A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む、請求項11に記載のキット。
【請求項14】
前記A型インフルエンザはH5N1である、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
少なくとも約97%の前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度および特異性の限界を提供するように構成された、請求項1に記載のキット。
【請求項16】
少なくとも約0.030pg/mlの前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項1に記載のキット。
【請求項17】
少なくとも約1.5アトモルの前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項1に記載のキット。
【請求項18】
50%組織培養感染量(TCID50)によって測定した際に、1mLあたり少なくとも約10TCID50の前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項6に記載のキット。
【請求項19】
サンプルをアッセイして1つ以上の分析物を検出する方法であって、
a)
i)各々が分析物に特異的に結合することが可能である検出プローブおよび捕捉プローブを含む少なくとも1対のプローブ;および
ii)抽出試薬
を含むサンプル回収デバイス(SCD)にサンプルを提供する工程と;
b)前記SCD由来のサンプルを、前記1つ以上の分析物を検出するように構成された試験デバイス(TD)に投与し、それによって前記サンプルをアッセイして前記1つ以上の分析物を検出する工程と(ここで、前記TDは、
i)前記SCDを収容するための開口部であって、前記TDが、前記1つ以上の分析物に特異的に結合することが可能な可動性実体を含まない開口部、
ii)前記捕捉プローブの成分に特異的に結合することが可能な少なくとも1つの固定された捕捉部分
を含む)
を含む、方法
【請求項20】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約0.75M〜約1.125Mの塩を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約1.0%〜約1.5%のサポニンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出試薬は、緩衝化溶液中に約0.25%〜約0.5%の両性イオン剤を含有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記両性イオン剤はzwittergen 3/17である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の細菌または細菌成分を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ以上の分析物は、心臓障害、心疾患または心臓病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上の分析物は、脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスはA型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記ドロッパーキャップは、検出および捕捉プローブの複数の対を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記A型インフルエンザはH5N1である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも約97%の前記1つ以上の分析物の検出のための感度および特異性の限界を提供するように構成された、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも約0.030pg/mlの前記1つ以上の分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも約1.5アトモルの前記1つ以上の分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
50%組織培養感染量(TCID50)によって測定した際に、1mLあたり少なくとも約10TCID50の前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
a)
i)検出プローブおよび捕捉プローブを含む1対以上のプローブであって、1つ以上の異なる分析物を検出するように構成される前記1対以上のプローブ、
ii)サンプル採取器;
を含むサンプル回収デバイスと;
b)前記1つ以上の捕捉プローブに特異的に結合することが可能な1つ以上の固定された捕捉部分を含み、但し、前記1つ以上の異なる分析物に特異的に結合することが可能な可動性の結合因子を含まない試験デバイスと
を含むシステム。
【請求項38】
抽出試薬をさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記緩衝液は、緩衝化溶液中に約1.0〜約1.125Mの塩を含有する、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記試薬は、緩衝化溶液中に約1.0%〜約1.5%のサポニンを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項41】
前記試薬は、緩衝化溶液中に約0.25%〜約0.5%の両性イオン剤を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項42】
前記両性イオン剤はzwittergen 3/17である、請求項37に記載のシステム。
【請求項43】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上のウイルスまたはウイルス成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項44】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の細菌または細菌成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項45】
前記1つ以上の分析物は、1つ以上の癌細胞または癌細胞成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項46】
前記1つ以上の分析物は、心臓障害、心疾患または心臓病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項47】
前記1つ以上の分析物は、脳障害、脳疾患または脳疾病に関連する1つ以上の分析物を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項48】
前記ウイルスはA型インフルエンザおよび/またはB型インフルエンザである、請求項43に記載のシステム。
【請求項49】
前記ドロッパーキャップは、検出および捕捉プローブの複数の対を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項50】
前記A型インフルエンザは、式HxNy(式中、xは1〜16であり、かつyは1〜9であるか、またはそれらのxyの任意の組み合わせ)のサブタイプを含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記A型インフルエンザはH5N1である、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
少なくとも約97%の前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度および特異性の限界を提供するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項53】
少なくとも約0.030pg/mlの前記1つ以上の異なる分析物の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項54】
少なくとも約1.5アトモルの前記1つ以上の異なる分析物の各々の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項55】
50%組織培養感染量(TCID50)によって測定した際に、1mLあたり少なくとも約10TCID50の前記異なる分析物の各々の検出のための感度の限界を提供するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項56】
サンプルを試験デバイスに投与する工程を含む1つ以上のペプチドを検出する方法であって、前記デバイスは、少なくとも約0.30pg/mlまたは1.7アトモル(10−18)、および非標的分析物と比べて少なくとも約97%の感度で前記1つ以上のペプチドの各々を検出するように構成される、方法。
【請求項57】
前記1つ以上のペプチドは、脳疾病、脳障害または脳疾患、心臓病、心臓障害または心疾患、癌もしくは新生物疾病または疾患、肝臓病、肝臓障害または肝臓疾患、腎臓病、腎臓障害または腎臓疾患、あるいはそれらの組み合わせからなる群から選択される疾病に関連する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
サンプルを、SCDおよびTDを含むシステムに投与する工程を含むサンプル中の少なくとも2つ以上のウイルスを検出する方法であって、前記システムは、少なくとも約97%の感度および特異性で前記2つ以上のウイルスの各々を検出するように構成される、方法。
【請求項59】
前記1つ以上の分析物は、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、NT−プロBNP、プロBNP、CNP、ANPまたはそれらの変種を含む、請求項56または請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記投与は、前記サンプルを1つ以上の抽出剤で処置することをさらに含む、請求項56または請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記抽出剤は、サポニン、両性イオン剤または両方を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記サポニンは、緩衝化溶液中約0.75%〜約1.5%の量である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記両性イオン剤は、緩衝化溶液中約0.25%〜約0.5%の量である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記両性イオン剤はzwittergen 3/17である、請求項61に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−526297(P2010−526297A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506616(P2010−506616)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/062088
【国際公開番号】WO2009/014787
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(399030381)ナノゲン・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】NANOGEN,INC.
【Fターム(参考)】