説明

多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒及びその作製方法

【課題】本発明は、触媒活性を低下させることなく、高い機械的、熱的安定性をもち、なおかつ被触媒物質をサイズ選択的に変換しうるナノ触媒、及びその作製方法を提供することにある。
【解決手段】上記目的を達成するため、多孔性炭素支持体の出発物質である有機化合物とナノ触媒粒子の出発物質である金属イオンとを含む溶液に光触媒粒子を混合し、この光触媒粒子に励起光を照射して、光触媒作用によりその光触媒粒子の表面に有機高分子層を形成するとともに、当該有機高分子層に埋設された状態でナノ触媒粒子を形成する。そして、当該有機高分子層を炭化して、多孔質からなる炭素支持体を形成し、さらに溶剤に浸漬することにより、光触媒粒子を溶解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化エネルギーを低下させ反応を促進しうるナノ粒子触媒、及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、粒子を数ナノオーダーまで超微粒子化することにより、バルク状態とは全く異なる化学的、電気的、光学的、磁気的又は機械的特性を発現しうることが明らかになってきている。そのため、粒子をナノオーダーまで超微粒子化して様々な特性を発現させることが試みられている。触媒粒子においても、その直径を数ナノオーダーに近づけると、このような特性の変化や表面活性点の増大により、高い触媒活性を示すことが明らかになっている。しかし、粒子を数ナノオーダーまで超微粒子化すると、表面エネルギーが非常に大きくなる。そうすると当該粒子は分散不安定となり凝集し、当該特性を消失してしまう。
【0003】
そのため、特許文献1においては、中空多孔質シリカのマイクロカプセルに1次粒子径が5〜9nmである光触媒粒子を内包させている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−096399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクロカプセルの中空状部分に内包される光触媒粒子は、マイクロカプセルにより分散安定であり、被触媒物質に接触しうるが、マイクロカプセルは構造的に強度が低いシリカからなるため、マイクロカプセルは破れやすく、一旦マイクロカプセルの一部が破れると、分散不安定となり凝集し、その結果、表面の活性サイトは減少して触媒活性が低下してしまうという問題を有している。また、シリカからなるマイクロカプセルは、親水性であり、被触媒物質である有機化合物との親和性が低い。高い触媒活性を実現するには、被触媒物質をナノ触媒粒子の表面近傍に吸着あるいは濃縮しうる構造が必要である。さらに、シリカのゲル化を利用して形成された多孔質においては、細孔が大きく、当該多孔質はあらゆる大きさの被触媒物質を透過してしまう。そのため、サイズ選択的に被触媒物質を変換することができない。
【0005】
したがって、本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、触媒活性を低下させることなく、高い機械的、熱的安定性をもち、なおかつ被触媒物質をサイズ選択的に変換しうるナノ触媒、及びその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、叙上に鑑み鋭意研究を行った結果、ナノ触媒粒子の出発物質である金属イオンと微細孔を有する多孔性炭素支持体の出発物質である有機化合物とを含む溶液中に光触媒粒子を分散させ、所定の条件で光触媒粒子に励起光を照射することにより、酸化還元反応を介して、2nm以下の超微細な細孔構造を有し、被触媒物質をサイズ選択的に透過する多孔性炭素支持体に金属ナノ粒子が埋設された触媒を作製しうることを見出した。当該励起光照射により、光触媒粒子には電子と正孔とが生成され、当該電子は溶液中に含まれる金属イオンを還元しナノ触媒粒子が生成される。それと同時に、前記正孔は有機化合物を酸化して、そのラジカルが生成される。当該ラジカルは、その連鎖反応により有機高分子層が形成され、これについて所定の処理を行うことにより2nm以下の超微細なミクロ孔構造を有する網目状炭素支持体を形成しうる。当該炭素支持体はラジカル反応により形成される祖な有機高分子層を介して形成されているため、極めて大きな表面積が得られる。そのため、ナノ触媒粒子表面の活性サイトは殆ど減少せず触媒活性の低下を招かない。また、ナノ触媒粒子は、触媒作用を受けるべき被触媒物質と接触可能な状態で被触媒物質との親和性が高い炭素からなる多孔性支持体に埋設されており、そのため、被触媒物質をナノ触媒粒子の表面近傍に吸着あるいは濃縮して高い触媒活性を実現することができる。さらにはナノ触媒粒子の凝集を防止することができるため長時間使用したとしても触媒活性が低下しない。また、炭素支持体の微細孔が被触媒物質をサイズ選択的に透過する分子ふるい効果を有するため、ナノ触媒粒子上ではサイズ選択的な触媒反応が進行しうる。本発明者らは上記知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0007】
したがって、本発明に係る触媒は、微細孔を有する支持体と触媒粒子とを含む触媒であって、前記支持体は、炭素を含み、前記触媒粒子のうちの少なくとも一部分は、前記支持体に埋没していることを特徴とする。触媒粒子の表面に、複数の微細孔が繋がっており、各細孔を介して多孔性支持体の外部に連通しているため、被触媒物質が滲入可能であり、滲入した被触媒物質はナノ触媒粒子と接触可能である。また、当該ナノ触媒粒子は機械的強度が高い多孔性炭素支持体に分散して埋設されているため、ナノ触媒粒子の凝集が防止され、長期間触媒機能を非常に高い状態で維持することができる。また、炭素膜の微細孔が被触媒物質をサイズ選択的に透過する分子ふるい効果を有するため、ナノ触媒粒子上ではサイズ選択的な触媒反応が進行する。
【0008】
また、本発明に係る触媒は、前記支持体が中空体であり、前記触媒粒子は、前記支持体の中空側に埋没していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る触媒において、微細孔の径が、10nm以下であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る触媒において、前記触媒粒子の径が、0.5nm〜10nmであることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る触媒において、前記多孔性支持体の形状が中空球状であって、その直径が、20nm〜2μmであることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る触媒において、前記触媒粒子が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)、及び銀(Ag)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る触媒作製方法は、微細孔を有する支持体と触媒粒子とを含む触媒を製造する触媒製造方法であって、前記支持体は、炭素を含み、前記触媒粒子のうちの少なくとも一部分を前記支持体に埋める埋没工程を包含することを特徴とする。前記埋没工程は、有機化合物と金属イオンと光触媒粒子とを含む水溶液を提供する工程と、前記有機化合物から有機高分子層を生成し、金属イオンから前記触媒粒子を生成するために、前記光触媒粒子に励起光を照射する照射工程と、前記有機高分子層を炭化する炭化工程と、を包含することを特徴とする。本発明に係る方法によれば、多孔性炭素支持体の形成とナノ触媒粒子の形成とを同時に行うことができるため工程を簡略化することができる。
【0014】
本発明に係る触媒作製方法は、前記埋没工程が、前記光触媒粒子を溶解する溶解工程を包含することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る触媒作製方法においては、前記光触媒粒子が、酸化チタン(TiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、ビスマスバナジウム酸塩(BiVO)、アルカリ金属チタン酸塩、及びアルカリ金属ニオブ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る触媒作製方法において、前記有機化合物が、フェノール、ジヒドロキシルベンゼン、ヒドロキシルベンゼンカルボン酸、ジカルボキシルベンゼン、フタル酸塩、クレゾール、ナフトール、ジヒドロキシルナフタレン、及びビフェノールからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係る触媒作製方法において、前記金属イオンが、Pt4+、Pt2+、Pd2+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Cu2+、及びAgからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る触媒作製方法において、前記の有機高分子層を炭化する際の温度が、500℃〜1000℃であることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明に係る触媒作製方法において、前記光触媒粒子を溶解しうる溶剤が、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る別の触媒作製方法は、前記埋没工程が、基材と前記基材の表面に形成された多孔質無機酸化層とを含む構造体を提供する工程と、前記多孔質無機酸化層の下層部に第1有機高分子層を形成する第1形成工程と、前記多孔質無機酸化層の細孔内の少なくとも一部に前記触媒粒子を挿入する挿入工程と、前記第1有機高分子層の上層部に第2有機高分子層を形成する第2形成工程と、前記支持体を生成するために、前記第1有機高分子層と前記第2有機高分子層とを炭化する炭化工程と、を包含することを特徴とする。当該方法では、ゲル化による多孔質無機酸化物を雛形としているため、比較的細孔径の大きい孔が得られるが、有機高分子層を炭化しているため、超微細なマイクロ孔をも得ることができる。
【0021】
また、本発明に係る別の触媒作製方法は、前記埋没工程が、前記基材と前記多孔質無機酸化層とを溶解する溶解工程を包含することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、含浸法、化学蒸着法、若しくは水熱処理法により上記多孔質無機酸化層に有機化合物が充填されることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る別の触媒作製方法の前記多孔質層形成工程において、前記多孔質無機酸化物層を、金属アルコキシド、アルカリ金属ケイ酸塩、金属アセチルアセテート、金属硝酸塩、若しくは金属塩酸塩の加水分解・脱水縮合により形成することが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る別の触媒作製方法の前記多孔質層形成工程において、前記多孔質無機酸化物層を、アルコキシシラン、アルキル基を含むシリコンアルコキシド、ケイ酸ソーダ、チタンアルコキシド、塩化チタン、アルミニウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ランタンアルコキシド、硝酸ランタン、セリウムアルコキシド、及び硝酸セリウムからなる群から選択される少なくとも1つをゲル化し、熱処理することにより形成することが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、前記基材が、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン及び酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物を含むことが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、前記多孔質無機酸化物層が、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン及び酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物を含むことが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、前記炭素含有有機化合物が、グルコース、スクロース、フルフリルアルコール、ピロール、メソフェーズピッチ、エチレンガス、及び芳香族有機化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、前記第1及び第2の有機高分子層を炭化する際の温度が、500〜1000℃であることが好ましい。
【0029】
また、本発明に係る別の触媒作製方法において、前記溶媒が、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明に係るさらに別の触媒作製方法は、前記埋没工程が、基材と前記基材の表面に形成された第1有機高分子層とを含む構造体を提供する工程と、前記第1有機高分子層上に前記触媒粒子を設ける工程と、前記第1有機高分子層と前記触媒粒子との上に、第2有機高分子層を形成する第2形成工程と、前記支持体を生成するために、前記第1有機高分子層と前記第2有機高分子層とを炭化する炭化工程と、を包含することを特徴とする。当該方法でも、有機高分子層を炭化しているため、超微細なマイクロ孔をも得ることができる。
【0031】
本発明に係るさらに別の触媒作製方法は、前記埋没工程が、前記基材を溶解する溶解工程を包含することを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係るさらに別の触媒作製方法において、前記基材が、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン及び酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係るさらに別の触媒作製方法において、前記炭素含有有機化合物が、グルコース、スクロース、フルフリルアルコール、ピロール、メソフェーズピッチ、エチレンガス、及び芳香族有機化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
また、本発明に係るさらに別の触媒作製方法において、前記ナノ触媒粒子が、Pt、Pd、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Au、Cu、及びAgからなる群から選択される少なくとも1種を含んで成ることが好ましい。
【0035】
また、本発明に係るさらに別の触媒作製方法において、前記溶媒が、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る触媒の作製方法では、光触媒作用によるラジカルの連鎖反応により発達した微細孔を有する網目状の多孔性炭素支持体を形成しうる。そのため、被触媒物質が多孔性支持体に滲入可能であり、滲入した被触媒物質はナノ触媒粒子と接触可能である。したがって、ナノ触媒粒子の活性サイトは減少せず触媒活性の低下を招かない。また、当該ナノ触媒粒子は多孔性支持体に分散して埋設されているため、ナノ触媒粒子の凝集が防止され、長期間触媒機能を非常に高い状態で維持することができる。したがって、本発明によれば、触媒活性を低下させることなく、高い機械的、熱的安定性をもち、なおかつ被触媒物質をサイズ選択的に変換しうる触媒作製方法を提供することができる。
また、本発明に係るナノ粒子系触媒では、上述のように発達した微細孔を有する網目状の多孔性炭素支持体にナノ触媒粒子が分散しているため、ナノ触媒粒子の活性サイトは減少せず触媒活性は低下しない。また、ナノ触媒粒子の凝集を防止することができる。そのため長時間使用したとしても触媒活性を高い状態に保つことができる。さらに、多孔性支持体の細孔サイズにより被触媒物質をサイズ選択的に多孔性支持体に滲入させる分子ふるい効果をもたせることができるため、ナノ触媒粒子上でサイズ選択的な触媒反応を進行させることができる。また、触媒粒子のうちの少なくとも一部分は、支持体に埋設しているため、触媒粒子のうち埋没している部分の活性サイトは減少しない。したがって、本発明によれば、触媒活性を低下させることなく、高い機械的、熱的安定性をもち、なおかつ被触媒物質をサイズ選択的に変換しうるナノ触媒を提供することができる。
【0037】
また、第2の方法でも、ナノ触媒粒子を炭素から成る多孔性支持体内に離間した状態で分散させることができるため、凝集による活性低下を防止することができる。さらに、多孔性支持体の細孔サイズにより被触媒物質をサイズ選択的に多孔性支持体に滲入させる分子ふるい効果をもたせることができるため、ナノ触媒粒子上でサイズ選択的な触媒反応を進行させることができる。
さらに、第3の方法でも、前記同様ナノ触媒粒子を炭素から成る多孔性支持体内に離間した状態で分散させることができるため、凝集による活性低下を防止することができる。さらに、多孔性支持体の細孔サイズにより被触媒物質をサイズ選択的に多孔性支持体に滲入させる分子ふるい効果をもたせることができるため、ナノ触媒粒子上でサイズ選択的な触媒反応を進行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態のナノ粒子触媒に関して説明する。ここでは、炭素から成る多孔性支持体が略球状の中空体である場合について説明する。しかしながら、以下に示すものは本発明の例示であって、これらに限定されるものではない。ここで、本明細書を通して、同一部材は同一の参照番号を付している。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る触媒(多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒)は、図1に示すように、ナノ触媒粒子と、当該ナノ触媒粒子を埋設して成る多孔性炭素支持体とから構成される。以下、ナノ粒子触媒の各構成について詳細に説明する。
【0040】
(多孔性炭素支持体)
本発明に係る多孔性炭素支持体1は、発達した微細孔を有する網目状の支持体であり、当該微細孔を介して支持体中通じている。当該多孔性炭素支持体1には、ナノ触媒粒子2が分散され、触媒作用を受けうる被触媒物質は網目構造から滲入し、微細孔(マイクロ孔)を介して当該前記ナノ触媒粒子2と接触する。当該多孔性炭素支持体1の表面積は、300m/g〜2000m/gであることが好ましく、1000m/g〜2000m/gであることがさらに好ましい。表面積をこのような範囲とすると、多孔性炭素支持体は非常に粗な状態となり、被触媒物質が当該支持体を容易に透過可能となる。そのため、ナノ触媒粒子が多孔性炭素支持体に接する状態で埋設されているにも拘わらず、その触媒活性は低下しない。
また、多孔性炭素支持体は、10nm以下、より好ましくは1nm以下の径を有する微細孔を含んでいることが必要である。このような開口部を無数含むことにより、被触媒物質が光触媒粒子に滲入し接触可能となる。そのため、触媒活性が低下しない。
また、当該多孔性炭素支持体は、触媒作用に影響を及ぼさない限り如何なる形状を有していてもよい。当該形状を例示すれば円柱状、球状、円錐状、板状、中空円柱状、中空球状、中空円錐状、及び棒状が挙げられる。製造上の観点からすると、当該多孔性炭素支持体の形状は中空球状であるが好ましい。
また、多孔性炭素支持体の膜厚は、2nm〜200nmであることが好ましく、更に好ましくは2nm〜50nmである。多孔性炭素支持体の膜厚がこのような範囲にあれば、十分な機械的耐性の確保と、多孔性炭素支持体内に埋没したナノ触媒粒子への被触媒物質の効率のよい拡散を両立することができる。
本発明に係る多孔性炭素支持体は、如何なる材料から構成されていてもよいが、炭素から構成されていることが好ましい。炭素は疎水的で有機物との親和性が高い。そのため、被触媒物質を吸着、濃縮しやすく被触媒物質がナノ触媒粒子に効果的に供給される。また、炭素は一般に電子過剰であるため、多孔性炭素支持体中の金属ナノ粒子の酸化が抑えられる。
【0041】
(ナノ触媒粒子)
本発明に係るナノ触媒粒子は、触媒作用を受けうる被触媒物質について反応を促進するものである。したがって、ナノ触媒粒子としては前記触媒作用を発揮しうる限り如何なるものを使用してもよい。ナノ触媒粒子の材料を例示すれば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)、若しくは銀(Ag)が挙げられる。また、これらの金属の中の2種以上が含まれていてもよい。また、ナノ触媒粒子としては、単体、合金、あるいは無機塩等の各種形態であってよい。
【0042】
また、ナノ触媒粒子の直径は、触媒作用を発揮しうる大きさに設定されるが、好ましくは0.5nm〜20nm、さらに好ましくは0.5nm〜5nmである。
【0043】
(実施の形態2)
続いて、本実施の形態2に係る触媒作製方法に関して説明する。本発明に係る触媒作製方法は、多孔性炭素支持体と該多孔性炭素支持体の表面又は内部に分散して埋設されたナノ触媒粒子とを含んでなる触媒を作製する方法であって、前記多孔性炭素支持体の出発物質である有機化合物と前記ナノ触媒粒子の出発物質である金属イオンとを含む水溶液に光触媒粒子を混合する工程と、前記光触媒粒子に励起光を照射して、光触媒作用により、光触媒粒子の少なくとも一部に有機高分子層を形成するとともに、当該有機高分子層に分散して埋設された状態でナノ触媒粒子を形成する工程と、当該有機高分子層を炭化して、炭素からなる多孔性支持体を形成する工程と、光触媒粒子を溶解しうる溶剤に当該ナノ触媒を浸漬することにより、前記光触媒粒子を溶解する工程と、を備えることを特徴とする。上述の如く、当該方法は、ナノ触媒粒子の出発物質である金属イオンと多孔性炭素支持体の出発物質である有機化合物とを含む溶液中に光触媒粒子を分散させ、所定の条件で光触媒粒子に励起光を照射することにより、酸化還元反応を介して、多孔性炭素支持体にナノ触媒粒子が離間して分散した複合体を作製しうる。図4は、当該作製方法の工程図である。当該工程図に従って、本実施の形態2に係るナノ触媒作製方法を詳細に説明する。
【0044】
1)光触媒粒子の準備
まず、光触媒を含む粒子を準備する。バルク状のものを超微細化してもよいし析出沈殿法等により作製してもよい。光触媒粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは20nm〜2μm、さらに好ましくは20nm〜500mである。
【0045】
2)有機化合物と金属イオンとの混合溶液の調製
続いて、ナノ触媒粒子となる金属(例えばPt、Pd、Rh、Ir、Au、Cu、Ag等)の出発物質である金属イオンMn+、及び多孔性炭素支持体を構成することになる有機化合物を溶液に混合し十分攪拌し、これらの混合溶液を調製する。金属イオンMn+としては、Pt4+、Pt2+、Pd2+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Cu2+、又はAgが挙げられる。当該多孔性炭素支持体を構成することになる有機化合物として、例えばフェノール、ジヒドロキシルベンゼン(ジヒドロキシベンゼンとしては、例えば、カテコール、レゾシノール、ヒドロキノン等が挙げられる。)、ヒドロキシルベンゼンカルボン酸(ヒドロキシベンゼンカルボン酸としては、サリチル酸、4-ヒドロキシルベンゼンカルボン酸等が挙げられる。)、ジカルボキシルベンゼン(ジカルボキシルベンゼンとしては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。)、フタル酸塩、クレゾール、ナフトール、ジヒドロキシルナフタレン、若しくはビフェノールを使用する。
【0046】
3)混合
続いて、2)において作製された混合溶液に、1)において作製した光触媒粒子を投入し攪拌する。
【0047】
4)励起光照射
続いて、混合溶液に分散された光触媒粒子を励起するため、励起光をこれに照射する(図4(a))。これにより、光触媒粒子中に電子eと正孔hとが生成する。当該電子は、2)において作製された溶液中に含まれる金属イオンMn+を還元し光触媒粒子表面にナノ触媒粒子が生成される。また、前記正孔hは、当該溶液に含まれる有機化合物Oを酸化し、無数のラジカルを生成する。特定のラジカルが有機化合物若しくは他のラジカルと無限連鎖的に反応して、光触媒粒子の表面に炭素を含む有機高分子層が形成される(図4)。例えば、当該有機化合物としてフェノールを使用する場合、具体的には、図5に示すように、フェノール分子がhにより酸化されたラジカル種が別のフェノール分子と連鎖的に反応して、架橋構造が形成されていく。当該架橋構造は、最終的に形成される多孔性炭素支持体中の2nm以下の微細孔の発現に寄与しているものと考えられる。
金属イオンの還元反応、及び有機化合物の酸化反応の両反応がある程度進むと、触媒粒子は有機高分子層に埋設され、これらの反応は進まなくなり、あるところで停止する。
上記ナノ触媒粒子は、光触媒粒子の表面付近で生成され、それと同時にナノ触媒粒子を覆うように有機高分子層が成長していく。そのため、ナノ触媒粒子は、有機高分子層内部の内壁側に比較的集中して形成されることとなる(図4(b))。このような構成であれば、最終的に得られる多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒のナノ触媒粒子が多孔性炭素支持体によって外部と隔てられるため、多孔性炭素支持体の細孔サイズによる分子ふるい効果によってサイズ選択的な触媒反応を進行できるため好ましい。
【0048】
5)炭化処理
前記のようにして得られた粒子を500℃〜1000℃、好ましくは600℃〜900℃で炭化処理する。これにより、有機高分子層が炭化され網目状の多孔質炭素シェル(多孔性炭素支持体)が形成される(図4(c))。
【0049】
6)光触媒粒子の溶解除去
続いて、光触媒粒子を溶解しうる無機系若しくは有機系溶液で光触媒粒子を溶解、除去し、多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(p−C/ナノ触媒粒子/C)とする(図4(d))。このような光触媒粒子を溶解しうる溶液としては、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素を含む溶液が挙げられる。当該光触媒粒子は必ずしも溶解して排出する必要はなく、光触媒粒子を多孔性炭素支持体内に残したままでもよいが、被触媒物質を効率よく拡散させるためには、光触媒粒子を全てあるいは一部を排出することがより好ましい。光触媒としては、例えば、酸化チタン(TiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、ビスマスバナジウム酸塩(BiVO)、アルカリ金属チタン酸塩、及びアルカリ金属ニオブ酸塩等が挙げられる。また、これらのうち少なくとも1種以上を組み合わせてもよい。本発明においては、光触媒としては、酸化チタン(TiO)あるいは酸化亜鉛(ZnO)を使用することが好ましい。ここで、酸化チタン(TiO)は、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型等のうちいずれのタイプであってもよく、また、これらの混晶タイプのものであってもよいが、微粒子が容易に得られることなどから、アナターゼ型がより好ましい。
【0050】
(実施の形態3)
続いて、本実施の形態3に係る多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒の作製方法に関して説明する。実施の形態3に係る多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒の作製方法では光触媒作用を利用しないで作製するが、実施の形態2に係る作製方法では光触媒作用を利用して作製する点で本実施の形態3は実施の形態2と異なる。図6は、当該作製方法の工程図である。
【0051】
無機酸化物粒子の準備
まず、基材である無機酸化物粒子を準備する。無機酸化物粒子はバルク状のものを超微細化してもよいし析出沈殿法等により作製してもよい。粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは20nm〜2μm、さらに好ましくは20nm〜500mである。ここで、無機酸化物粒子がシリカの場合には、テトラエトキシシラン(TEOS)などのアルコキシシランをさまざまな条件で加水分解、脱水縮合させることで、サイズの異なる球状シリカ粒子が作製できる。アルコキシシランとしては、TEOSのほかテトラメトキシシラン(TMOS)やテトラブトキシシラン(TBOS)等が挙げられる。また、アルコキシシランの代わりに珪酸ソーダを原料としてもよい。シリカ以外の基材としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン及び酸化セリウムが挙げられる。
【0052】
2)基材(コア)/多孔質無機酸化物層(シェル)の調製
1)で準備した基材粒子の表面を多孔質無機酸化物層で被覆したコア/シェル粒子を用意する。基材粒子とアルキルアンモニウム塩(アルキルアンモニウム塩としては、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。)やトリブロックコポリマー(トリブロックコポリマーとしては、例えばエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドが挙げられる。)などの界面活性剤を含む溶液中で上記アルコキシシランや、珪酸ソーダ、チタンアルコキシド、塩化チタン、アルミニウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ランタンアルコキシド、硝酸ランタン、セリウムアルコキシド、及び硝酸セリウムをゲル化し、熱処理することで作製される。
【0053】
ここで、基材(コア)がシリカ粒子、多孔質無機酸化物層(シェル)がシリカである場合には、基材であるシリカ粒子を、例えば、TEOS等のアルコキシシランとオクタデシルトリメトキシシラン(ODTS)等のアルキル基を1つ以上含むシリコンアルコキシドを含む溶液中に懸濁させて、これらシリコンアルコキシドを加水分解および脱水縮合反応をさせて、アルキル基を含有するシリカ層でシリカ粒子基材を被覆した後、これを熱処理してアルキル基を分解除去することでも、シリカ粒子(コア)/多孔質シリカ層(シェル)が得られる。
【0054】
ここで、シリコンアルコキシドに含まれるアルキル基は、分子内に2つ以上あっても良く、直鎖状であってもまたは分岐状であっても良い。またアルキル基の末端や中間に官能基等を含むものでも良い。直鎖または分岐状のアルキル基の代表例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、オクタデシルチル基等が挙げられ、含まれる官能基の代表例として、フェニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、フルオロ基、チオール基等が挙げられる。
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)等が挙げられる。
【0055】
アルキル基等の官能基を含むシリコンアルコキシドを用いた場合、官能基が残ったまま加水分解反応及び脱水縮合反応が進行する。以下にODTS(オクタデシルトリメトキシシラン、Si(OCH(C1837))の加水分解反応及び脱水縮合反応の一例を示す。
1.加水分解反応
Si(OCH(C1837)+3HO→Si(OH)(C1837)+3CHOH
2.脱水縮合反応
Si(OH)(C1837)+Si(OH)(C1837)→(C1837)(OH)Si−O−Si(OH)(C1837)+H
前記反応で形成されるオクタデシル基(C1837−)を含むSiOは、加熱によりオクタデシル基の部分が分解除去され、この部分が多孔質層の細孔となる。これにより多孔質シリカ層が形成される(図6(c))。
【0056】
3)有機高分子層の充填
上述の基材コア粒子の外側に多孔質無機酸化物層を備える粒子の多孔質部分に有機高分子層を充填する。充填の方法には、炭素含有有機化合物溶液中に多孔質無機酸化物層を備える粒子を加え、蒸発乾固させる含浸法、炭素含有有機化合物の蒸気を沈着させる化学蒸着法、及び炭素含有有機化合物水溶液中で水熱処理をして充填させる水熱処理法がある。ここで、炭素含有有機化合物としては、グルコース、スクロース、フルフリルアルコール、ピロール、メソフェーズピッチ、エチレンガス、及び芳香族有機化合物が挙げられる。以下に、シリカ粒子の外側に多孔質シリカ層を備える粒子の多孔質部分に水熱処理法によって有機高分子層を形成させる方法を示す。
【0057】
上述のシリカ粒子の外側に多孔質シリカ層を備える粒子をアミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン(AEAP)を含むメタノール中で室温攪拌させた後、溶液部分を除去し、真空乾燥させてA−SiO@m−SiOを作製する(図6(d))。ここで、A−SiO@m−SiOとは、シリカ粒子の外側に多孔質シリカ層を備える粒子の多孔質シリカ層の表面にアミノ基を修飾した粒子を意味する。
A−SiO@m−SiOを例えばグルコース等の炭素含有有機化合物の水溶液中で水熱処理する。前記炭素含有有機化合物の溶液は、多孔質シリカ層の細孔に入り、多孔質シリカ層の下層において、第1有機高分子層が形成される(図6(e))。
【0058】
4)多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(m−C/ナノ触媒粒子/C)の調製
得られた第1有機高分子層を充填させた基材(コア)/多孔質無機酸化物層(シェル)粒子をナノ触媒粒子の出発物質を含む溶液、例えば塩化白金酸(HPtCl)水溶液に分散させた後、蒸発乾固する。必要によっては、さらにこの粉末を水素気流下で熱処理する。これにより、前記の多孔質無機酸化物層の下層に形成された第1有機高分子層の上にナノ触媒粒子の前駆体酸化物あるいはナノ触媒粒子を配することができる(図6(f))。このようなナノ触媒粒子出発物質として、塩化白金酸(HPtCl)、塩化テトラアンミン白金([Pt(NH]Cl)、塩化パラジウム(PdCl)、硝酸パラジウム(Pd(NO)、塩化パラジウムナトリウム(PdCl・2NaCl)、酢酸パラジウム((CHCOO)Pd)、塩化鉄(FeCl)、硝酸鉄(Fe(NO)、塩化ルテニウム(RuCl)、ドデカカルボニルルテニウム(Ru(CO)12)、塩化コバルト(CoCl)、硝酸コバルト(Co(NO)、クエン酸コバルト(Co(C)、塩化ロジウム(RhCl)、硝酸ロジウム(Rh(NO)、ドデカカルボニルロジウム(Rh(CO)12)、塩化イリジウム(IrCl)、ドデカカルボニルイリジウム(Ir(CO)12)、塩化ニッケル(NiCl)、硝酸ニッケル(Ni(NO)、酢酸ニッケル((CHCOO)Ni)、塩化金酸(HAuCl)、硫酸銅(CuSO)、硝酸銅(Cu(NO)、酢酸銅((CHCOO)Cu)、硝酸銀(AgNO)、硫酸銀(AgSO)が挙げられる。このようにして得られた粉末を前記と同様の有機高分子層の充填処理、例えばグルコース水溶液中で再度水熱処理し、前記多孔質無機酸化物層の上層に第2有機高分子層を形成させる(図6(g))。これを500〜1000℃、真空中あるいは不活性ガス(窒素、アルゴンなど)中で熱処理することにより炭化した後、中心に位置する基材粒子及びその外側に形成された多孔質無機酸化物層を溶解除去する。基材および多孔質無機酸化物層を形成する材質によって異なるが、溶剤としては、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素のいずれかを含むものが挙げられる。上記のシリカ基材(コア)/多孔質シリカ(シェル)の場合であれば、フッ化水素酸水溶液、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ水溶液で除去できる。必要によっては、処理後の試料を水素下、100〜500℃で加熱処理することにより埋設させた金属類を還元させてナノ触媒粒子とする。これにより、多孔性炭素支持体シェルにナノ触媒粒子が分散された多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(m−C/ナノ触媒粒子/C)を作製することができる(図6(h))。
本実施の形態3に係る発明によれば、図2に示すような、微細孔を有する多孔性炭素支持体と、前記多孔性炭素支持体の表面又は内部に分散して埋設されたナノ触媒粒子とを含んでなる触媒を作製することができる。
【0059】
(実施の形態4)
続いて、本実施の形態4に係る触媒の作製方法に関して説明する。図7は、当該作製方法の工程図である。
【0060】
無機酸化物粒子の準備
まず、基材である無機酸化物粒子を準備する。無機酸化物粒子はバルク状のものを超微細化してもよいし析出沈殿法等により作製してもよい。粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは20nm〜2μm、さらに好ましくは20nm〜500mである。ここで、無機酸化物粒子がシリカの場合には、テトラエトキシシラン(TEOS)などのアルコキシシランをさまざまな条件で加水分解、脱水縮合させることで、サイズの異なる球状シリカ粒子が作製できる。アルコキシシランとしては、TEOSのほかテトラメトキシシラン(TMOS)やテトラブトキシシラン(TBOS)等が挙げられる。また、アルコキシシランの代わりに珪酸ソーダを原料としてもよい。シリカ以外の基材としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン及び酸化セリウムが挙げられる。
【0061】
2)有機高分子層による被覆
上述の基材粒子の外側に有機高分子層を被覆する。被覆の方法には、炭素含有有機化合物溶液中に基材粒子を加え、蒸発乾固させる含浸法、炭素含有有機化合物の蒸気を沈着させる化学蒸着法、及び炭素含有有機化合物水溶液中で水熱処理をして充填させる水熱処理法がある。ここで、炭素含有有機化合物としては、グルコース、スクロース、フルフリルアルコール、ピロール、メソフェーズピッチ、エチレンガス、及び芳香族有機化合物が挙げられる。以下に、シリカ粒子に水熱処理法によって有機高分子層を被覆させる方法を示す。
【0062】
基材であるシリカ粒子をアミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン(AEAP)を含むメタノール中で室温攪拌させた後、溶液部分を除去し、真空乾燥させてA−SiOを作製する(図7(b))。ここで、A−SiOとは、シリカ粒子の表面にアミノ基を修飾した粒子を意味する。
A−SiOをグルコース水溶液中で水熱処理する。前記炭素含有有機化合物の溶液は、シリカ表面において第1有機高分子層を形成する(図7(c))。
【0063】
3)多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(C/ナノ触媒粒子/C)の調製
得られた第1有機高分子層を被覆させた基材粒子をナノ触媒粒子の出発物質を含む溶液、例えばHPtCl水溶液に分散させた後、蒸発乾固する。必要によっては、さらにこの粉末を水素気流下で熱処理する。これにより、前記の多孔質無機酸化物層の下層に形成された第1有機高分子層の上にナノ触媒粒子の前駆体酸化物あるいはナノ触媒粒子を配することができる(図7(d))。このようなナノ触媒粒子出発物質として、前記同様、塩化白金酸(HPtCl)、塩化テトラアンミン白金([Pt(NH]Cl)、塩化パラジウム(PdCl)、硝酸パラジウム(Pd(NO)、塩化パラジウムナトリウム(PdCl・2NaCl)、酢酸パラジウム((CHCOO)Pd)、塩化鉄(FeCl)、硝酸鉄(Fe(NO)、塩化ルテニウム(RuCl)、ドデカカルボニルルテニウム(Ru(CO)12)、塩化コバルト(CoCl)、硝酸コバルト(Co(NO)、クエン酸コバルト(Co(C)、塩化ロジウム(RhCl)、硝酸ロジウム(Rh(NO)、ドデカカルボニルロジウム(Rh(CO)12)、塩化イリジウム(IrCl)、ドデカカルボニルイリジウム(Ir(CO)12)、塩化ニッケル(NiCl)、硝酸ニッケル(Ni(NO)、酢酸ニッケル((CHCOO)Ni)、塩化金酸(HAuCl)、硫酸銅(CuSO)、硝酸銅(Cu(NO)、酢酸銅((CHCOO)Cu)、硝酸銀(AgNO)、硫酸銀(AgSO)が挙げられる。このようにして得られた粉末を前記と同様の有機高分子層の充填処理、例えばグルコース水溶液中で再度水熱処理し、前記第1有機高分子層の上層に第2有機高分子層を形成させる(図7(e))。これを500〜1000℃、真空中あるいは不活性ガス(窒素、アルゴンなど)中で熱処理することにより炭化した後、中心に位置する基材粒子を溶解除去する。基材および多孔質無機酸化物層を形成する材質によって異なるが、溶剤としては、前記同様、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及び過酸化水素のいずれかを含むものが上げられる。上記のシリカ基材(コア)/多孔質シリカ(シェル)の場合であれば、フッ化水素酸水溶液、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ水溶液で除去できる。必要によっては、処理後の試料を水素下、100〜500℃で加熱処理することにより埋設させた金属類を還元させてナノ触媒粒子とする。これにより、多孔性炭素支持体シェルにナノ触媒粒子が分散された多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(C/金属ナノ粒子/C)を作製することができる(図7(f))。
本実施の形態3に係る発明によれば、図3に示すような、微細孔を有する多孔性炭素支持体と、前記多孔性炭素支持体の表面又は内部に分散して埋設されたナノ触媒粒子とを含んでなる触媒を作製することができる。
【0064】
(分離・回収方法)
本発明に係る多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒は、触媒反応終了後に、ろ紙等でろ過することにより、容易に反応溶液と分離できる。また、遠心分離によって沈降させて反応溶液と分離してもよい。その後、乾燥させて回収させた触媒はそのまま再使用するか、必要に応じて活性化処理を施すことで、再使用できる。また、触媒の廃棄に際して、ナノ触媒粒子が高価又は希少な元素を使用している場合でも、炭素分は熱処理によって分解。除去できるため、ナノ触媒粒子の元素が容易に回収できる。
【実施例1】
【0065】
本請求項4に係る埋没工程を利用して触媒を作製した。
I)多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(p−C/ナノ触媒粒子/C)の作製
1.混合溶液の調製
まず、TiO(石原産業ST21または石原産業ST41)あるいはZnO500mgを、HPtCl2.6―26μmol(0.1―1.0wt%)、フェノール200mg(2.1mmol)及び水400cmからなる混合溶液に分散させた。
【0066】
2.励起光照射
アルゴン雰囲気下で水銀ランプを当該混合溶液に照射(照射光波長290nm以上)し、TiO表面にフェノール樹脂を形成するとともに、当該フェノール樹脂内にPtナノ触媒粒子(PtNCP)を分散させた。
【0067】
3.ポリマーの炭化
前記粒子を回収し、真空中あるいは不活性ガス(窒素、アルゴンなど)中で700℃で6時間焼成した。これにより、フェノール樹脂からなる層を炭化し、多孔質の炭素層を形成させた。
【0068】
4.光触媒粒子の除去
上述の粒子の中心に存在する光触媒粒子を薬液に浸漬させることで除去した。ここで、中心に存在する粒子がTiOのときは、50%フッ化水素酸水溶液、ZnOのときは濃塩酸(35%)を薬液として用いた。これにより、多孔性炭素支持体にPtNCPを埋設させたナノ粒子系触媒(p−C/PtNcP/C)を作製することができた。図8は、当該触媒のTEM図であり、図9は当該触媒の断面図である。PtNCPが、多孔性炭素層のみに含まれており、また、炭素層の内壁側に比較的集中して存在していることが分かる。
【0069】
また、上記工程においてHPtClに変えてRhClを金属ナノ粒子の原料に用いると、図10のTEM図に示すように多孔性炭素支持体にロジウムナノ触媒粒子(RhNCP)を埋設させたナノ粒子系触媒(p−C/RhNCP/C)を作製することができた。
【0070】
II)構造と触媒機能の評価
続いて、上述のようにして得られたp−C/ナノ触媒粒子/Cに対して、以下の実験を行った。
1.窒素吸着測定
【0071】
TiO(石原産業ST21)を光触媒粒子、HPtClを金属ナノ粒子源として用いたときに得られた直径20nmのp−C/PtNCP/Cについて吸着特性を調べた。図11に、窒素吸着等温線とそのαプロットを示す。等温線には、相対圧(p/p)が0.9付近に0.05以下吸着量の急激な増大がみられた。前者は、p−C/PtNCP/Cの中空部分の直径に相当する20nmの細孔の存在を示し、後者は、炭素支持体部分により微細な細孔が存在することを示唆する。この微細孔をαプロットにより解析した結果、炭素支持体には2nm以下の微細孔が存在することが確認された(表1)。ここで、αプロットとは、無孔性の試料を基準に微細孔の解析を行うプロットであり、測定試料に細孔がない場合、プロットは直線となり、微細孔を含む場合には、その細孔のサイズに応じてあるαの値でプロットが直線から上にずれる。図11中に示すように、p−C/PtNCP/Cではα値が0.5以下と0.5−1.0の部分でFSおよびCSと示した直線からのずれが見られ、それぞれ1nm以下と1−2nmの微細孔が存在することを表している。
また、等温線から表面積を算出すると1400m−1となり、p−C/PtNCP/Cがきわめて高い表面積を有することが確認された。
【0072】
2.触媒活性試験
続いて、上述のp−C/PtNCP/Cについて1−ヘキセン、2−ヘキセン、及びシクロヘキセンの液相での水素反応を用いて触媒活性を評価した。活性評価には、TiO(石原産業ST21)を光触媒粒子として用いて得られたPt1.4wt%のp−C/PtNCP/Cを、1.4mg(Pt0.1μmol)使用し、同様のPt量を含む活性炭(AC)の多孔表面にPt粒子を担持させた一般的な触媒(Pt/AC)と比較した。結果を表1に示す。いずれの被触媒物質でもp−C/PtNCP/Cがきわめて高い転化率を示ことが確認された。また、反応後の試料を遠心分離により分離、回収して再使用しても活性の低下がまったく見られず、良好な再使用性を有することが確認された。以上より、p−C/PtNCP/Cが優れた固体触媒としての機能を有することが明らかになった。
【表1】

【実施例2】
【0073】
続いて、請求項6に係る埋没工程を利用して触媒を作製した。
I)多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(m−C/ナノ触媒粒子/C)の作製
1.シリカ粒子基材の調製
500mlの三角フラスコにエタノール180.662ml、水64.818ml、アンモニア水溶液(28%)4.520ml、テトラエトキシシラン(TEOS)14.56gを加えた後、27℃、110rpmで2時間振とうさせた。この溶液を遠心分離して上澄み液を除去、得られた白色沈殿をエタノールで洗浄後、110℃で3時間真空乾燥させ、基材となるシリカ粒子を作製した。
【0074】
2.シリカ(コア)/多孔質シリカ(シェル)粒子の調製
100mlの三角フラスコに、1.で調製したシリカ粒子500mgと、エタノール37ml、及び水5mlを加えた後、ホモジェナイザーで超音波を照射してシリカを分散させた。この溶液に、アンモニア水溶液(28%)1.125ml、TEOS3.215g、ODTS1.149gを加え、27℃、120rpmで2時間振とうさせた。この溶液を遠心分離して上澄み液を除去し、エタノールで洗浄した後、110℃で3時間真空乾燥させた。得られた白色粉末を550℃で6時間焼成することでシリカ粒子の外側に細孔を持つ多孔質シリカ層を形成した。
【0075】
3.m−C/PtNCP/Cの調製
上述のシリカ粒子の外側に細孔を持つ多孔質シリカ層を備える粒子1.5gをメタノール24ml、AEAP568mgに分散させた後、1時間攪拌させた。この溶液を遠心分離して上澄み液を除去し、エタノールで洗浄した後、110℃で3時間真空乾燥させ、アミノ基修飾粒子(A−SiO@m−SiO)を作製した。
得られたA−SiO@m−SiO200mgを0.36Mのグルコース水溶液中で水熱処理し、得られた粉末200mgをHPtCl水溶液に加え、20分間超音波を照射した。この溶液を蒸発皿に移して蒸発乾固させた後、真空乾燥させた。この粉末を0.41Mのグルコース水溶液中で再度水熱処理した後、900℃で1.5時間真空焼成し、10vol%フッ酸水溶液で処理した。処理後の資料を水素下、300℃で2時間加熱して、Ptを還元させた。
【0076】
II)構造と触媒機能の評価
1.TEM観察
図12に得られた上述の工程で得られた試料のTEM図、図13にはこの試料を900℃真空中で熱処理した後のTEM図を示す。PtNCPが炭素高分散した中空状の炭素粒子が存在しており、熱処理を施してもPtNCPのサイズや分布にまったく変化がないことがわかる。これより、得られたm−C/PtNCP/CはPtNCPが炭素支持体に埋設された構造であり、これがきわめて高い熱安定性を有していることが確認できた。
【0077】
2.窒素吸着測定
窒素吸着測定により、m−C/PtNCP/C中の炭素支持体の細孔構造を調べた結果、炭素支持体に、0.4−1.0nmの微細孔と3.0nmの比較的サイズの大きい細孔が発達した多孔体であることが確かめられた。また、BET法により表面積を算出すると1600m−1となり、m−C/PtNCP/Cがきわめて高い表面積を有することが確認された。
【0078】
3.触媒活性試験
続いて、得られたm−C/PtNCP/Cについて1−ヘキセン、4−フェニル−1−ブテン、及びtrans−スチルベンの液相での水素反応を用いて触媒活性を評価した。活性評価には、Pt5wt%のものを、1mg(Pt0.26μmol)使用し、同様のPt量を含む中空上の炭素粒子の炭素粒子の上にPt微粒子を担持させただけの試料(Pt/C)と比較した。結果を表2に示す。被触媒物質が1−ヘキセンの場合、m−C/PtNCP/CはPt/Cと同程度の高い転化率を示した。一方、4−フェニル−1−ブテンやtrans−スチルベンの水素化反応では、m−C/PtNCP/Cの活性はPt/Cに比べ大きく低下し、とくにtrans−スチルベンで顕著な活性低下がみられた。これは、m−C/PtNCP/Cでは、ナノ触媒粒子であるPtNCPが多孔性炭素支持体に埋設されているため、炭素支持体の分子ふるい効果によって、trans−スチルベンのような比較的嵩高い被触媒物質の反応が抑制する分子サイズ選択性を示したことを示す。以上より、m−C/PtNCP/Cが選択的反応を誘起する優れた固体触媒としての機能をもつことが明らかになった。
【表2】

【実施例3】
【0079】
続いて、請求項8に係る埋没工程を利用して触媒を作製した。
I)多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒(C/ナノ触媒粒子/C)の作製
1.シリカ粒子の調製
500mlの三角フラスコにエタノール180.662ml、水64.818ml、アンモニア水溶液(28%)4.520ml、テトラエトキシシラン(TEOS)14.56gを加えた後、27℃、110rpmで2時間振とうさせた。この溶液を遠心分離して上澄み液を除去、得られた白色沈殿をエタノールで洗浄後、110℃で3時間真空乾燥させ、基材となるシリカ粒子を作製した。
【0080】
2.C/PtNCP/CおよびC/PdNCP/Cの調製
上述のシリカ粒子の外側に細孔を持つ多孔質シリカ層を備える粒子1.5gをメタノール24ml、AEAP568mgに分散させた後、1時間攪拌させた。この溶液を遠心分離して上澄み液を除去し、エタノールで洗浄した後、110℃で3時間真空乾燥させ、アミノ基修飾粒子(A−SiO@m−SiO)を作製した。
得られたA−SiO@m−SiO200mgを0.36Mのグルコース水溶液中で水熱処理し、得られた粉末200mgをHPtCl水溶液、あるいは(CHCOO)Pdのアセトン−エタノール(1:1)溶液に加え、20分間超音波を照射した。この溶液を蒸発皿に移して蒸発乾固させた後、真空乾燥させた。この粉末を0.41Mのグルコース水溶液中で再度水熱処理した後、900℃で1.5時間真空焼成し、10vol%フッ酸水溶液で処理した。処理後の資料を水素下、300℃で2時間加熱して、PtあるいはPdを還元させた。
【0081】
II)構造と触媒機能の評価
1.TEM観察および窒素吸着測定
図14にHPtClを金属ナノ粒子源として得られた試料(C/PtNCP/C)、図15には(CHCOO)Pdを金属ナノ粒子源として得られた試料(C/PdNCP/C)のTEM図を示す。いずれも金属ナノ粒子が炭素高分散した中空状の炭素粒子が存在しており、これらが金属ナノ粒子が炭素支持体に埋設された構造であることが確認できた。
また、C/PtNCP/Cについて窒素吸着測定を行った結果、炭素支持体には、0.4−1.0nm前後の微細孔が存在し、350m−1の表面積をもつことがわかった。これにより、多孔性炭素支持体に埋設させたナノ粒子系触媒が作製できたことが確認された。
【0082】
2.触媒活性試験
続いて、得られたC/ナノ触媒粒子/Cについて1−ヘキセン、4−フェニル−1−ブテン、及びtrans−スチルベンの液相での水素反応を用いて触媒活性を評価した。活性評価には、Ptの場合、Pt5wt%のものを、1mg(Pt0.26μmol)使用し、Pdの場合には、Pd15wt%のものを、3mg(Pd1.4μmol)使用した。また、同様のPtおよびPd量を含む中空上の炭素粒子の炭素粒子の上にPtあるいはPd微粒子を担持させただけの試料(Pt/CあるいはPd/C)を作製し、比較試料とした。表3に示すように、上述のp−C/PtNCP/Cやm−C/PtNCP/Cに比べ微細孔の発達が十分でないため、いずれの被触媒物質でも活性はPt/Cよりも低下したが、嵩高い被触媒物質の反応を抑制する分子サイズ選択性に非常に優れていた。同様の高い分子サイズ選択性は、C/PdNCP/Cによるオレフィン類の水素化反応でも見られた(表4)。これらより、C/ナノ触媒粒子/Cが高選択的反応を誘起する固体触媒であることが明らかになった。
【表3】

【表4】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係るナノ触媒及びその作製方法は、水添反応プロセス、ファインケミカル合成プロセス、又は燃料電池の分野で好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る多孔性支持体−ナノ粒子系触媒の断面図である。
【図2】本発明に係る別の形態の多孔性支持体−ナノ粒子系触媒の断面図である。
【図3】本発明に係るさらに別の形態の多孔性支持体−ナノ粒子系触媒の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る製造方法の製造工程を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る製造方法で利用される有機高分子層の形成反応の一例である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る製造方法の製造工程を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る製造方法の製造工程を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る製造方法により作製されたPtナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒のTEM図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る製造方法により作製された多孔性支持体−ナノ粒子系触媒の断面図である
【図10】本発明の実施の形態2に係る製造方法により作製されたRhナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒のTEM図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る製造方法により作製された多孔性支持体−ナノ粒子系触媒の窒素吸着等温線とそのαプロットによる解析を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る製造方法により作製されたPtナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒のTEM図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る製造方法により作製されたPtナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒を900℃で真空加熱した後の試料のTEM図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る製造方法により作製されたPtナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒のTEM図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る製造方法により作製されたPdナノ触媒粒子を含む多孔性支持体−ナノ粒子系触媒のTEM図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細孔を有する支持体と触媒粒子とを含む触媒であって、
前記支持体は、炭素を含み、
前記触媒粒子のうちの少なくとも一部分は、前記支持体に埋没している、触媒。
【請求項2】
前記支持体は、中空体であり、
前記触媒粒子は、前記支持体の中空側に埋没している、
請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
微細孔を有する支持体と触媒粒子とを含む触媒を製造する触媒製造方法であって、
前記支持体は、炭素を含み、
前記触媒粒子のうちの少なくとも一部分を前記支持体に埋める埋没工程を包含する触媒製造方法。
【請求項4】
前記埋没工程は、
有機化合物と金属イオンと光触媒粒子とを含む水溶液を提供する工程と、
前記有機化合物から有機高分子層を生成し、金属イオンから前記触媒粒子を生成するために、前記光触媒粒子に励起光を照射する照射工程と、
前記有機高分子層を炭化する炭化工程と、
を包含する、請求項3に記載の触媒製造方法。
【請求項5】
前記埋没工程は、前記光触媒粒子を溶解する溶解工程を包含する、請求項4に記載の触媒製造方法。
【請求項6】
前記埋没工程は、
基材と前記基材の表面に形成された多孔質無機酸化層とを含む構造体を提供する工程と、
前記多孔質無機酸化層の下層部に第1有機高分子層を形成する第1形成工程と、
前記多孔質無機酸化層の細孔内の少なくとも一部に前記触媒粒子を挿入する挿入工程と、
前記第1有機高分子層の上層部に第2有機高分子層を形成する第2形成工程と、
前記支持体を生成するために、前記第1有機高分子層と前記第2有機高分子層とを炭化する炭化工程と、
を包含する、請求項3に記載の触媒製造方法。
【請求項7】
前記埋没工程は、前記基材と前記多孔質無機酸化層とを溶解する溶解工程を包含する、請求項6に記載の触媒製造方法。
【請求項8】
前記埋没工程は、
基材と前記基材の表面に形成された第1有機高分子層とを含む構造体を提供する工程と、
前記第1有機高分子層上に前記触媒粒子を設ける工程と、
前記第1有機高分子層と前記触媒粒子との上に、第2有機高分子層を形成する第2形成工程と、
前記支持体を生成するために、前記第1有機高分子層と前記第2有機高分子層とを炭化する炭化工程と
を包含する、請求項3に記載の触媒製造方法。
【請求項9】
前記埋没工程は、前記基材を溶解する溶解工程を包含する、請求項8に記載の触媒製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−207072(P2008−207072A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44286(P2007−44286)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年 1月30日 大阪大学太陽エネルギー化学研究センター発行の「第5回太陽エネルギー化学研究センターシンポジウム「光触媒におけるイノベーションを目指して」」に発表 平成18年 8月25日 大阪大学発行の「第8回 自然共生化学に関する インターナショナル21世紀COEシンポジウム COEIEC 8」に発表 平成18年12月 9日 日本MRS主催の「第17回 日本MRSアカデミックシンポジウム」において文書をもって発表 2007年 1月25日インターサイエンス(http://www3.interscience.wiley.com/cgi−bin/abstract/114096017/)に電気通信回線を通じて発表 2006年12月 8日 日本MRS事務局発行の「第17回 日本MRSアカデミックシンポジウム−先端材料の研究がイノベーションへの道を切り開く− プログラム及びアブストラクト」 平成18年 9月14日 社団法人 電気化学会発行の「2006年電気化学会秋季大会 講演要旨集」に発表 平成18年 9月14日 社団法人 電気化学会主催の「2006年電気化学会秋季大会」において文書をもって発表
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】