説明

多孔性粒子およびその製造方法

【課題】特性の異なる二種類の多孔性表面領域を有する粒子、及び粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】表面を有する支持体を提供する工程、支持体上で第1多孔性層を形成する工程、支持体上で1個以上の粒子をパターン形成する工程、支持体上で第1多孔性層より大きい多孔度を有する第2多孔性層を形成する工程、さらに、パターン形成された1個以上の粒子を、第2多孔性層の破壊を含む処理によって支持体から解放することにより、第1多孔性層の一部及び第2多孔性層の一部を表面に含む多孔性粒子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
[0001] 米国政府はこの発明において支払い済みのライセンス(paid−up license)ならびに、限られた状況において特許所有者に、国防総省により与えられる助成金番号W81XWH−04−2−0035およびNASAにより与えられる助成金番号SA23−06−017の条件により提供される正当な条件において他のものに許可を与えることを要求する権利を有する。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本出願は概してナノテクノロジーの分野に関し、特に、多孔性粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 多孔性粒子、例えば多孔性のケイ素粒子および多孔性のシリカ粒子は、薬物送達用のキャリヤーとして用いられることを含む多くの用途を有する。例えば、多孔性のケイ素粒子およびその製造方法が次の文書で開示されている:米国特許第6,355,270号および第6,107,102号;米国特許公開第2006/0251562号;Cohen et al., Biomedical Microdevices 5:3, 253-259, 2003; Meade et al., Advanced Materials, 2004, 16(20), 1811-1814; Thomas et al. Lab Chip, 2006, 6, 782-787; Meade
et al., phys. stat. sol. (RRL) 1(2), R71-R-73 (2007); Salonen et al. Journal of
Pharmaceutical Sciences 97(2), 2008, 632-653; Salonen et al. Journal of Controlled Release 2005, 108, 362-374。
【0004】
[0004] 新規のタイプの多孔性粒子およびそれらを作る新規の方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,355,270号
【特許文献2】米国特許第6,107,102号
【特許文献3】米国特許公開第2006/0251562号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Cohen et al., Biomedical Microdevices 5:3, 253-259, 2003
【非特許文献2】Meade et al., Advanced Materials, 2004, 16(20), 1811-1814
【非特許文献3】Thomas et al. Lab Chip, 2006, 6, 782-787
【非特許文献4】Meade et al., phys. stat. sol. (RRL) 1(2), R71-R-73 (2007)
【非特許文献5】Salonen et al. Journal of Pharmaceutical Sciences 97(2), 2008, 632-653
【非特許文献6】Salonen et al. Journal of Controlled Release 2005, 108, 362-374
【発明の概要】
【0007】
[0005] 1態様は外表面により定められる本体を含む粒子であり、ここで本体は第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それは小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる。
【0008】
[0006] 別の態様は複数の粒子を含む組成物であり、ここで複数の内のそれぞれの粒子は外表面により定められる本体を含み、ここで本体は第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それは小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる。
【0009】
[0007] さらに別の態様は外表面により定められる本体を含む粒子であり、ここで本体はウェットエッチングされた多孔性領域を含み、かつ粒子はウェットエッチングと関係する核形成層を含まない。
【0010】
[0008] さらに別の態様はそれぞれが外表面により定められる本体を有する複数の粒子を含む組成物であり、ここで本体はウェットエッチングされた多孔性領域を含み、かつ粒子はウェットエッチングと関係する核形成層を含まない。
【0011】
[0009] さらに別の態様は、多孔性粒子を作る方法であって、次のことを含む方法である:表面を有する支持体を提供する;支持体において第1多孔性層を形成する;支持体上で1個以上の粒子をパターン形成する(patterning);支持体において第1多孔性の多孔度よりも大きい多孔度を有する第2多孔性層を形成する;およびパターン形成された1個以上の粒子を支持体から解放する、ここで解放は第2多孔性層の破壊を含み、解放された1個以上の粒子は第1多孔性層の少なくとも一部を含む。さらに別の態様は、多孔性粒子を作る方法であって、次のことを含む方法である:表面を有する支持体を提供する;支持体において第1多孔性層をウェットエッチングにより形成する;ウェットエッチングと関係する核形成層を除去する;支持体の表面上で1個以上の粒子をパターン形成する;およびパターン形成された1個以上の粒子を支持体から解放する、ここで解放された1個以上の粒子は第1多孔性層の少なくとも一部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】[0010] 図1(A)は、電解研磨により支持体から粒子を解放することを含む、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図1B】図1(B)は、電解研磨により支持体から粒子を解放することを含む、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図2A】[0011] 図2(A)は、解放多孔性層(release porous layer)の形成により支持体から粒子を解放することを含む、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図2B】図2(B)は、解放多孔性層(release porous layer)の形成により支持体から粒子を解放することを含む、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図3】[0012] 図3は、支持体上の多孔性層の形成が粒子のパターン形成に先行する、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図4】[0013] 図4は、支持体上の多数の多孔性層の形成が粒子のパターン形成に先行する、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図5】[0014] 図5は、支持体上の粒子のパターン形成が多数の多孔性層の形成に先行する、多孔性粒子を製作する方法を概略的に図説する。
【図6】[0015] 図6は、裏側から見た1.2μmの多孔性ケイ素粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。差し込み図は接近して見た粒子の中央の領域における約30nmの小孔を示す。
【図7】[0016] 図7は、上から見た長円形の断面を有する3μmのケイ素粒子のSEM画像である。
【図8】[0017] 図8は、半球状の形状を有する3.1μmの粒子のSEM画像である。差し込み図は細部を見た10nm未満の小孔を有する粒子の1つの表面を示す。
【図9A】[0018] 図9Aは、核形成層を有する多孔性ケイ素フィルム(図9A〜B)および核形成層を有しない多孔性ケイ素フィルム(図9C)のSEM画像を示す。
【図9B】図9Bは、核形成層を有する多孔性ケイ素フィルム(図9A〜B)および核形成層を有しない多孔性ケイ素フィルム(図9C)のSEM画像を示す。
【図9C】図9Cは、核形成層を有する多孔性ケイ素フィルム(図9A〜B)および核形成層を有しない多孔性ケイ素フィルム(図9C)のSEM画像を示す。
【図10】[0019] 図10は、ケイ素RIEエッチングにより形成された500nmの溝(trench)を有する3.2ミクロンのケイ素粒子のSEM画像を示す。
【図11】[0020] 図11は、ケイ素エッチングにより形成された1.5μmの溝を有するケイ素粒子のSEM画像を示す。
【図12】[0021] 図12は、ケイ素粒子の2枚のSEM画像を示す:左の画像は核形成層を有する粒子を示し、一方右の画像はRIEによりその上で核形成層が除去された粒子を示す。
【図13】[0022] 図13は、縦方向に沿って2種類の異なる多孔性領域を有するケイ素粒子のSEM断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023] 下記の文書は本発明の理解に役立つ可能性があり、これら全てをそのまま本明細書に援用する:
1)2007年10月25日に公表されたPCT公開第WO2007/120248号;
2)米国特許出願公開第2003/0114366号;
3)2006年12月20日に出願された米国特許出願第11/641,970号;
4)2007年10月10日に出願された米国特許出願第11/870,777号;
5)2008年2月20日に出願された米国特許出願第12/034,259号;
6)Tasciotti et al., Nature Nanotechnology, vol. 3, 151-158, 2008。
【0014】
定義
[0024] 別途明記しない限り、”a”または”an”は1個以上を意味する。
[0025] ”ナノポーラス(Nanoporous)”または”ナノポア(nanopores)”は、1ミクロン未満の平均の大きさを有する小孔を指す。
【0015】
[0026] ”生分解性”は、生理的媒体中で溶解するもしくは分解することのできる材料、または生理的条件の下で生理的酵素により、および/または化学的条件の下で分解することのできる生体適合性ポリマー性材料を指す。
【0016】
[0027] ”生体適合性”は、それが生きた細胞にさらされた際に細胞内で望ましくない作用、例えば細胞の生命周期の変化;細胞の増殖速度の変化および細胞毒性作用を引き起こすことなく細胞の適切な細胞機能を維持するであろう材料を指す。
【0017】
[0028] ”微粒子”は、1マイクロメートルから1000マイクロメートルまで、または一部の態様においては明記されるように1ミクロンから100ミクロンまでの最大寸法を有する粒子を指す。”ナノ粒子”は、1ミクロン未満の最大寸法を有する粒子を指す。
【0018】
[0029] 本発明者らは、新規の多孔性粒子および新規の多孔性粒子を作る方法を開発した。第1態様によると、粒子は、本体が第1多孔性領域および第2多孔性領域を含み、それが少なくとも1種類の特性、例えば小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の修飾または小孔の方向性において第1領域と異なるような、外表面により定められる本体を含んでいてよい。
【0019】
[0030] 同時係属中の米国出願第11/836,004号において開示されるように、2種類の異なる多孔性領域を有する粒子を、例えば2種類の異なるより小さな粒子の集団を入れる(loading)ために用いてよく、それは少なくとも1種類の有効薬剤、例えば治療薬剤またはイメージング剤を含んでいてよい。
【0020】
[0031] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方は多孔性の酸化物材料または多孔性のエッチングされた材料からなっていてよい。特定の態様において、第1および第2多孔性領域の両方が多孔性の酸化物材料または多孔性のエッチングされた材料からなっていてよい。多孔性の酸化物材料の例には、多孔性ケイ素酸化物、多孔性アルミニウム酸化物、多孔性チタン酸化物および多孔性鉄酸化物が含まれるが、それに限定されない。用語”多孔性のエッチングされた材料”は、小孔がウェットエッチングの技法、例えば電気化学的エッチングにより導入される材料を指す。多孔性のエッチングされた材料の例には、多孔性の半導体材料、例えば多孔性のケイ素、多孔性のゲルマニウム、多孔性のGaA類、多孔性のInP、多孔性のSiC、多孔性のSiGe1−x、多孔性のGaP、多孔性のGaNが含まれる。
【0021】
[0032] 多くの態様において、第1および第2多孔性領域は多孔性のケイ素を含む。多くの態様において、粒子の少なくとも一部または全体は多孔性のケイ素からなる。
[0033] 粒子の本体は、少なくとも1つの断面において、または少なくとも1つの方向から例えばSEMのような顕微鏡的技法を用いて見た際に、規則的な、すなわちランダムでない形状を有していてよい。その規則的な形状の限定的でない例には、半球形、椀型、錐台、錐体、円盤が含まれる。
【0022】
[0034] 粒子の寸法は特に限定されておらず、粒子に関する用途に依存する。例えば、血管内投与のためには、粒子の最大の特徴的大きさは最も小さい毛細血管の半径よりも小さいことが可能であり、それはヒトにおいて約4〜5ミクロンである。
【0023】
[0035] 一部の態様において、粒子の最大の特徴的大きさは約100ミクロン未満、または約50ミクロン未満、または約20ミクロン未満、または約10ミクロン未満、または約5ミクロン未満、または約4ミクロン未満、または約3ミクロン未満、または約2ミクロン未満、または約1ミクロン未満であってよい。さらに、一部の態様において、粒子の最大の特徴的大きさは500nmから3ミクロンまで、または700nmから2ミクロンまでであってよい。さらに、一部の態様において、粒子の最大の特徴的大きさは約2ミクロンよりも大きくてよく、または約5ミクロンよりも大きくてよく、または約10ミクロンよりも大きくてよい。
【0024】
[0036] 一部の態様において、第1多孔性領域は小孔の大きさにおいて第2多孔性領域と異なっていてよく、すなわち、第1多孔性領域における小孔の小孔の大きさは第2領域における小孔の大きさよりも大きくてよく、またその逆も同じである。例えば、第1および第2多孔性領域の一方における小孔の大きさは少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または2から50倍まで、または5から50倍まで、または2から20倍まで、または5から20倍まで、第1および第2多孔性領域の他方における小孔の大きさよりも大きくてよい。
【0025】
[0037] 多くの態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方はナノポーラス領域であることができる。特定の態様において、第1および第2多孔性領域の両方がナノポーラス領域であることができる。
【0026】
[0038] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方における小孔の大きさは、約1nmから約1ミクロンまで、または約1nmから約800nmまで、または約1nmから約500nmまで、または約1nmから約300nmまで、または約1nmから約200nmまで、または約2nmから約100nmまでであってよい。
【0027】
[0039] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方は、1ミク
ロンよりも大きくない、または800nmよりも大きくない、または500nmよりも大きくない、または300nmよりも大きくない、または200nmよりも大きくない、または100nmよりも大きくない、または80nmよりも大きくない、または50nmよりも大きくない平均の小孔の大きさを有することができる。特定の態様において、第1および第2多孔性領域の両方は、1ミクロンよりも大きくない、または800nmよりも大きくない、または500nmよりも大きくない、または300nmよりも大きくない、または200nmよりも大きくない、または100nmよりも大きくない、または80nmよりも大きくない、または50nmよりも大きくないそれらのそれぞれの平均の小孔の大きさを有することができる。一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方は、約10から約60nmまで、または約20から約40nmまでの平均の小孔の大きさを有することができる。
【0028】
[0040] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方は、約1nmから約10nmまで、または約3nmから約10nmまで、または約3nmから約7nmまでの平均の小孔の大きさを有することができる。
【0029】
[0041] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の一方は、約10nmから約60nmまで、または約20nmから約40nmまでの平均の小孔の大きさを有することができ、一方で第1および第2多孔性領域の他方は、約1nmから約10nmまで、または約3nmから約10nmまで、または約3nmから約7nmまでの平均の小孔の大きさを有することができる。
【0030】
[0042] 一部の態様において、第1多孔性領域および第2多孔性領域の小孔は、同じまたは実質的に同じ方向性を有していてよいが異なる平均の大きさを有していてよい。
[0043] 一般に、小孔の大きさはN吸着/脱着および顕微鏡検査、例えば走査型電子顕微鏡検査を含む多くの技法を用いて測定してよい。
【0031】
[0044] 一部の態様において、第1多孔性領域および第2多孔性領域は異なる小孔の方向性を有していてよい。例えば、粒子の外表面は平らな内層面(subsurface)を含んでいてよく、第1多孔性領域の小孔は内層面に対して実質的に垂直であってよく、一方第2多孔性領域の小孔は垂直方向とは実質的に異なる方向、例えば内層面に平行な方向を向いていてよい。小孔の方向性は顕微鏡的技法、例えばSEMを用いて決定してよい。
【0032】
[0045] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方の小孔は線状の小孔であってよい。一部の態様において、第1および第2多孔性領域の両方の小孔が線状の小孔であってよい。
【0033】
[0046] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方の小孔はスポンジ様の小孔であってよい。一部の態様において、第1および第2多孔性領域の両方の小孔がスポンジ様の小孔であってよい。
【0034】
[0047] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の一方の小孔は線状の小孔であってよく、一方で第1および第2多孔性領域の他方の小孔はスポンジ様の小孔であってよい。
【0035】
[0048] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の小孔は異なる小孔表面電荷を有していてよい。例えば、第1多孔性領域の小孔表面は正電荷を帯びていてよく、一方で第2多孔性領域の小孔表面は中性または負電荷を帯びていてよい。
【0036】
[0049] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の小孔は異なる形状を有していてよい。例えば、第1および第2多孔性領域の一方の小孔は円筒形の小孔であってよく、一方で第1および第2多孔性領域の他方の小孔は非円筒形の小孔であってよい。小孔の形状は顕微鏡的技法、例えばSEMを用いて決定してよい。
【0037】
[0050] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の小孔は異なる表面の化学的性質を有していてよい。第1多孔性領域の小孔表面は第1表面基(surface group)で化学的に修飾されていてよく、一方で第2多孔性領域の小孔表面は修飾されていない、または第1表面基と異なる第2表面基で化学的に修飾されていてよい。例えば、第1多孔性領域の小孔表面はアミノシラン、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシランでシラン処理されていてよく、一方で第2多孔性領域の小孔表面はメルカプトシラン、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシランでシラン処理されていてよい。
【0038】
[0051] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の小孔は異なる小孔密度を有していてよい。例えば、第1多孔性領域はより高い小孔密度を有していてよく、その逆も同じである。
【0039】
[0052] 一部の態様において、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方は生分解性領域であってよい。一部の態様において、第1および第2多孔性領域の両方が生分解性であってよい。一部の態様において、粒子の本体全体が生分解性であってよい。
【0040】
[0053] 一般に、多孔性ケイ素はその多孔度および小孔の大きさに依存して生体不活性(bioinert)、生体活性(bioactive)または生分解性であってよい。また、多孔性ケイ素の生分解の速度(a rate or speed)は、その多孔度および小孔の大きさに依存していてよく、例えばCanham, Biomedical Applications of Silicon, in Canham LT, editor. Properties of porous silicon. EMIS datareview series No. 18. London: INSPEC. p. 371-376を参照。生分解速度は表面の修飾にも依存して
いてよい。従って、粒子は、第1多孔性領域が第1生分解速度を有しており、一方で第2多孔性領域が第1生分解速度と異なる第2生分解速度を有しているようなものであってよい。
【0041】
[0054] 一部の態様において、第1多孔性および第2の領域のそれぞれは、200nmよりも大きい、または250nmよりも大きい、または300nmよりも大きい厚さもしくは最も小さい特徴的寸法を有していてよい。
【0042】
[0055] 一部の態様において、粒子は核形成層が無い、または実質的に無くてよく、それは不規則な多孔性層であり、それは通常は電気化学的ウェットエッチングの初期の段階でエッチング溶液が支持体の中に浸透し始める時に形成される。核形成層の厚さは、エッチングされる支持体および電気化学的ウェットエッチングの方法のパラメーターに依存してよい。支持体およびエッチングの、ナノの大きさの小孔を生じさせるために用いることのできるパラメーターに関して、核形成層の厚さは1nmから約200nmまでであることができる。
【0043】
[0056] 一部の態様において、粒子の外表面は、第1および第2多孔性領域の少なくとも一方の表面の化学的性質と異なる表面の化学的性質を有していてよい。さらに、一部の態様において、粒子の外表面は、第1および第2多孔性領域の両方の表面の化学的性質と異なる表面の化学的性質を有していてよい。
【0044】
[0057] 粒子はトップダウン(top−down)で製作された粒子、すなわちトップダウンのマイクロ製作またはナノ製作技法、例えばフォトリソグラフィー、電子ビームリ
ソグラフィー、X線リソグラフィー、深紫外リソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィーまたは浸漬ペンナノリソグラフィーを利用して製造された粒子であってよい。その製作法は、寸法が均一、または実質的に同一である粒子のスケールアップ製造を可能とすることができる。
【0045】
[0058] このように、本発明は複数の粒子を含む組成物も提供し、ここで複数の内のそれぞれの粒子は外表面により定められる本体を含み、ここで本体は第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それは小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる。
【0046】
[0059] 第2態様によれば、粒子は外表面により定められる本体を含んでいてよく、ここで本体はウェットエッチングされた多孔性領域、すなわちウェットエッチングの技法、例えば電気化学的ウェットエッチングにより生じさせた多孔性領域を含み、かつ粒子はウェットエッチングと関係する核形成層を含まない。
【0047】
[0060] 第2態様の粒子は、上記で第1態様の粒子に関して論じたものと同じ寸法および形状を有していてよい。ウェットエッチングされた多孔性領域は、第1態様の粒子の第1または第2多孔性領域の特性と同じ特性を有していてよい。第2態様の粒子の外表面は、第2態様の粒子の外表面と同じ特性を有していてよい。第1態様の粒子のように、第2態様の粒子はトップダウンで製作された粒子であってよい。
【0048】
[0061] 第2態様の粒子は、寸法が均一であり実質的にその粒子と同一である複数の粒子を含む組成物の一部であってよい。第1および第2態様の粒子は、下記で詳しく述べる多孔性粒子を作る方法に従って製造されてよい。本発明の粒子は、薬物送達を含む様々な用途に用いられてよい。特定の場合では、有効薬剤、例えば治療薬剤またはイメージング剤を、粒子の小孔に直接入れてよい。さらに、ある場合では、今度は有効薬剤を含むより小さい大きさの粒子を、例えば米国出願第11/836,004号で開示されるようにして小孔に入れてよい。
【0049】
多孔性粒子を作る方法
[0062] 多孔性粒子を作る方法は、支持体を提供すること、支持体の表面上に多孔性層を形成すること、支持体上で1個以上の粒子をパターン形成すること、および個々の解放された粒子が多孔性層の一部を含むように粒子を支持体から解放することを含んでいてよい。多孔性層の形成およびパターン形成は、そのままの(direct)または逆の順序で実施されてよい。言い換えると、一部の場合には、多孔性層の形成はパターン形成に先行してよく、一方で、一部の他の態様では、多孔性層の形成はパターン形成の後であってよい。本発明の方法は、マイクロ/ナノ製作の技法を利用しており、それは次の利点を有する:1)それに限定するわけではないが、球形、正方形、長方形および楕円形を含む様々なあらかじめ決めた形状を有する粒子を作ることができること;2)非常に正確な寸法の制御;3)多孔度および小孔の断面形(profile)についての制御;4)複雑な表面の修飾が可能である。
【0050】
支持体
[0063] 支持体は多くの材料のいずれかからなることができる。好ましくは、支持体は少なくとも1個の平らな表面を有し、その上で1個以上の粒子をパターン形成することができる。好ましくは、支持体はウェットエッチングが可能な材料、すなわちウェットエッチングの技法、例えば電気化学的エッチングにより多孔を作る(porosified)ことができる材料を含む。
【0051】
[0064] 特定の態様において、支持体は結晶質の支持体、例えばウェファーであってよい。特定の態様において、支持体は半導体性の支持体、すなわち1種類以上の半導体性材料を含む支持体であってよい。半導体性材料の限定的でない例には、Ge、GaA類、InP、SiC、SiGe1−x、GaP、およびGaNが含まれる。多くの態様において、ケイ素を支持体の材料として利用することが好まれる可能性がある。支持体の特性、例えばドーピング(doping)のレベル、抵抗率および表面の結晶の配向は、望ましい小孔の特性が得られるように選択されてよい。
【0052】
多孔性層の形成
[0065] 多孔性層は、多くの技法を用いて支持体の上に形成されてよい。好ましくは、多孔性層はウェットエッチングの技法を用いて、すなわち支持体を少なくとも1種類のエッチング剤、例えば強酸を含むエッチング溶液にさらすことにより形成される。個別のエッチング剤は支持体の材料に依存してよい。例えば、ゲルマニウム支持体に関しては、そのエッチング剤は塩酸(HCl)であってよく、一方でケイ素支持体に関しては、エッチング剤はフッ化水素酸のエッチング剤であってよい。好ましくは、多孔性層の形成は電気化学的エッチング法を用いて実施され、その間にエッチング電流が支持体を通して流される。多孔性のケイ素層を形成するためのケイ素支持体の電気化学的エッチングは、例えばSalonen et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 2008, 97(2), 632で詳しく述べられている。ケイ素支持体の電気化学的エッチングに関して、エッチング溶液はHFに加えて水および/またはエタノールを含んでいてよい。
【0053】
[0066] 一部の態様において、電気化学的エッチング法の間に、支持体は電極の1つとして働いてよい。例えば、ケイ素の電気化学的エッチングの間に、ケイ素支持体は陽極として働いてよく、一方で陰極は不活性金属、例えばPtであってよい。その場合、多孔性層は、支持体の不活性金属の陰極と逆を向いた側に形成される。さらに、一部の他の態様において、電気化学的エッチングの間に、支持体は2個の電極の間に置かれてよく、それらはそれぞれが不活性金属を含んでいてよい。
【0054】
[0067] 電気化学的エッチング法は、エッチング剤に耐性のある反応器またはセルの中で実施されてよい。例えば、エッチング剤がHFである場合、電気化学的エッチング法はHFに耐性のある材料を含む反応器またはセルの中で実施されてよい。HFに耐性のある材料の例には、フッ素系ポリマー類、例えばポリテトラフルオロエチレン(polytetrapfruoroethylene)が含まれる。電気化学的エッチングは、電極の一方において電流を監視することにより、例えば陽極の電流(定電流で)または電圧(低電圧で)を監視することにより実施されてよい。一部の態様において、電気化学的エッチングを一定の電流密度で実施することが好ましい可能性があり、それは形成される多孔性層の特性のより良い制御および/または試料間でのより良い再現性を可能とすることができる。
【0055】
[0068] 一部の態様において、2種類の異なる安定な多孔性領域の形成が望まれるなら、2種類の異なる一定の電流が加えられてよい。例えば、第1電流密度が加えられて第1の安定な多孔性層が形成されてよく、次いで第2電流密度が加えられて第2の安定な多孔性層が形成されてよく、それは小孔の大きさおよび/または多孔度において第1の安定な多孔性層と異なっていてよい。
【0056】
[0069] 一部の態様において、形成される多孔性層のパラメーター、例えば小孔の大きさ、多孔度、厚さ、小孔の断面形および/または小孔の形状、ならびに従って製作される粒子のそれぞれのパラメーターは、電気化学的エッチング法のパラメーター、例えばエッチング溶液の濃度および組成、加えられる電流(および電圧)、エッチング時間、温度、攪拌条件、照明の有無(ならびに照明のパラメーター、例えば強度および波長)、さらに
エッチングされる支持体のパラメーター、例えば支持体の組成、支持体の抵抗率、支持体の結晶学的配向ならびに支持体のドーピングのレベルおよびタイプの選択により調整されてよい。
【0057】
[0070] 一部の態様において、形成された多孔性層における小孔に沿って、あらかじめ決められた縦方向の断面形を有していてよく、それは支持体の表面に対して垂直または実質的に垂直な断面形である。その縦方向の断面形は、電気化学的エッチングの間に電流密度に変化をつけることにより生成されてよい。多孔性層における縦方向の小孔に関して、多孔度および小孔の大きさの両方に変化をつけてよい。従って、一部の態様において、多孔性層における、および製作された多孔性粒子における小孔の断面形は、最上部において、すなわち支持体の表面においてより小さい大きさを、底部、すなわち支持体のより深い部分においてより大きい小孔を有していてよい。さらに、一部の態様において、多孔性層における、および製作された多孔性粒子における小孔の断面形は、最上部においてより大きい大きさを、底部において小さい大きさを有していてよい。一部の態様において、多孔性層における、および製作された粒子における小孔の断面形は、最上部においておよび底部において異なる多孔性を有していてもよい。
【0058】
[0071] 多くの態様において、電気化学的エッチングは核形成層の形成を防ぐ、または低減するために、より大きな電流の短時間のパルスで開始されてよい。核形成層は、多孔性層の形成の後に核形成層をエッチングすることにより除去されてもよい。そのエッチングは、ドライエッチングの技法、例えばRIEにより実施されてよい。下の領域を守るために適切な測定がなされてよい。例えば、フォトレジストを表面上に置いてよく、平面化(planation)をベーキングにより実施してよく、次いでプラズマエッチバックを適用してエッチングしなければならない支持体の表面の一部を露出させてよい。
【0059】
[0072] 電気化学的エッチングに関して、支持体の裏側、すなわち支持体の多孔性層が形成される側と反対の側は、電気的接触を確実にするために伝導性の層、例えば金属の層でコートされてよい。その伝導性の層は、熱蒸着およびスパッタリング(sputtering)を含む多くの技法を用いてコートされてよい。
【0060】
核形成層
[0073] 電気化学的エッチングの間に、エッチング溶液は核形成層の形成を通してその小孔の形成を開始することができ、それは支持体の表面の層であり、そこでは小孔は多孔性層の望まれる特性とは異なる特性を有する。核形成層はその小孔の特性の不規則性および関係する表面の粗さにより特徴づけられる可能性があり、それは小孔の大きさよりも大きなスケールにおいてである可能性がある。
【0061】
[0074] 多くの用途において、多孔性粒子の表面上の核形成層は望ましくない。例えば、ケイ素の多孔性粒子をそれらの内側により小さい大きさの粒子を入れるために用いる場合、より大きい方の表面上の核形成層は入れる効率を低減させる可能性がある。
【0062】
[0075] 一部の態様において、核形成層は除去される、または形成を妨げられる。一部の態様において、電気化学的エッチングの間に、電流を加えて多孔性層に望まれる小孔を生じさせる前に、より大きな電流を加えて核形成層の形成を妨げてよい。さらに、一部の態様において、多孔性層の形成の後に、核形成層をドライエッチング、例えばRIEにより除去してよい。
【0063】
パターン形成
[0076] 支持体の表面上での1個以上の粒子のパターン形成は、多くの技法のいずれかを用いて実施されてよい。多くの態様において、パターン形成はリソグラフィーの技法、
例えばフォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、深紫外リソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィーまたは浸漬ペンナノリソグラフィーを用いて実施されてよい。フォトリソグラフィーの技法は、例えば接触アライナーリソグラフィー(contact aligner lithography)、スキャナーリソグラフィー、またはイマージョンレンズリソグラフィー(immersion lens lithography)であることができる。異なるマスク(フォトリソグラフィーの場合)または型を用いることで、多くのあらかじめ決められた規則的な、すなわちランダムでない形状、例えば球形の形状、正方形、長方形、楕円形、円盤および半球形の形状を有する粒子を設計することができる可能性がある。パターン形成は粒子の横の形状および寸法、すなわち支持体の表面に対して平行な断面における粒子の形状および寸法を定めるのに用いられてよい。多孔性層の形成がパターン形成に先行する場合、製作される粒子の横の寸法はパターン形成される特徴の横の寸法と実質的に同じである。パターン形成が多孔性層の形成に先行する場合、製作される粒子の横の寸法はパターン形成される特徴の横の寸法よりも大きくてよい。パターン形成は、あらかじめ決められた規則的な、すなわちランダムでない横の形状を有する粒子を生じさせることを可能とする。例えば、フォトリソグラフィーでのパターン形成では、様々な形状のマスクを用いて望まれるあらかじめ決められた形状を生じさせることができ、一方ナノインプリントリソグラフィーでは、様々な形状の型または押し型(stamps)を同じ目的のために用いることができる。粒子についてのあらかじめ決められたランダムでない横の形状は、特に限定されない。例えば、粒子は円形、正方形、多角形または楕円形の形状を有していてよい。
【0064】
解放
[0077] 一部の態様において、粒子はパターン形成および多孔性層の形成の工程の後にウェファーから電解研磨により解放されてよく、それはウェファーに十分に大きな電流密度を加えることを含んでいてよい。さらに、一部の態様において、粒子のウェファーからの解放は既に形成された多孔性層よりも大きい多孔度を有する追加の多孔性層の形成を含んでいてよい。この多孔度のより高い層を解放層と呼ぶことにする。解放層は、望まれる時に例えば機械的な技法、例えば支持体を超音波エネルギーにさらすことを用いてそれを容易に壊すことが可能であるのに十分な大きさの多孔度を有することができる。同時に、解放層は先に形成された多孔性層を支持体と共に完全なまま保つのに十分なだけ強固であることができる。
【0065】
表面修飾(Surface Modification)
[0078] 多くの技法のいずれかを用いて粒子の表面の特性、すなわち粒子の外表面の表面特性、および/または粒子の小孔の表面特性を修飾してよい。多くの態様において、製作された粒子の表面の修飾は粒子がまだ支持体と共に完全なままである間に、粒子が解放される前になされてよい。粒子に関する表面の修正のタイプは、ポリマー修飾および酸化を含む化学修飾;プラズマ処理;金属または金属イオンコーティング;化学気相堆積(CVD)コーティング、原子層堆積;蒸着およびスパッタフィルム、およびイオン注入を含んでいてよいがそれらに限定されない。一部の態様において、表面処理は生物医学的なターゲッティングおよび制御された分解のための生物学的なものである。
【0066】
[0079] 粒子の表面の修飾は粒子が支持体から解放される前に実施されてよいため、非対称な表面修飾も可能である。非対称な表面修飾は、粒子の一方の側での表面修飾が粒子の他方の側でのそれと異なることを意味する。例えば、粒子の表面の一方の側を修飾してよく、一方で粒子の表面の他方の側を未修飾のままにしてよい。例えば、粒子の小孔を犠牲材料(sacrificial material)、例えば犠牲フォトレジストで完全に、または部分的に満たしてよい。こうして、粒子の外表面のみが表面修飾の間に処理される。犠牲材料の選択的な除去の後、粒子の外表面のみが修飾され、すなわち粒子の小孔表面は未修飾のままである。一部の態様において、外表面は例えばフォトリソグラフィ
ーによりパターン形成されてよく、その結果外表面のある部分はある修飾を有していてよく、一方で外表面の別の部分は別の修飾を有していてよい。典型的な表面修飾プロトコルを文中でさらに示す。本明細書において記述された態様を、それに限定するわけでは決してないが、下記の実際に行った実施例(working example)によりさらに図説する。
【実施例】
【0067】
実施例1:多孔性ケイ素粒子の製作。電解研磨による解放。
[0080] 図1Aおよび1Bに概略的に図説した方法において、粒子のパターン形成は多孔性層の形成に先行し、粒子の解放は電解研磨により実施される。製作は、ケイ素ウェファー101を得ることから始まってよい。ウェファー101の表面は場合により処理、例えばKOHへの浸漬または反応性イオンエッチング(RIE)により粗くされてよい。表面を粗くすることは、表面上の核形成層の除去またはその形成の防止に役立つ可能性がある。次いで、保護層102をウェファー101の少なくとも一方の表面の上に堆積させてウェファーをHFを基礎とする溶液中での電気化学的エッチングから保護してよい。保護層102はHF溶液中での電気化学的エッチングに耐性の物質であることができる。その物質の例には、窒化ケイ素またはフォトレジストが含まれる。
【0068】
[0081] 次いで、保護層102をパターン形成してよい。図1Aおよび1Bはリソグラフィーの技法による保護層のパターン形成を図説する。図1Acおよび1Bcのように、耐性物質103の層が保護層102の上に堆積する。耐性物質は、保護層が外れる条件の下で外れない物質であってよい。その物質の1つの例はフォトレジストである。ウェファーの前側表面の上の保護層102の望まれない領域は、ウェファーの後ろ側の上の保護層と同様に除去されてよい;図1Acおよび1Bcを参照。耐性物質103も同様に除去されてよい;図1Adを参照。保護層は、保護層のパターン形成された領域110の間のスペースが製作される粒子の形状および寸法を定めるようなやり方でパターン形成されてよい。
【0069】
[0082] 一部の場合では、図1Bdに図説するように、保護層のパターン形成された領域110の間のスペース104において溝が形成されてよい。溝は、例えばドライエッチングの技法、例えばRIEにより形成されてよい。溝の深さおよび形状は、支持体の表面に対して垂直な粒子の断面を、従って粒子の形状を定めるために用いられてよい。溝の深さおよび形状は、製作される粒子の力学的な、および/または小孔の特性を制御するためのものであってもよい。
【0070】
[0083] 多孔性層106は、保護層のパターン形成された領域110により保護されていないスペースの中および周辺に形成されてよい;図1Afおよび1Bfを参照。多孔性層106を形成するため、ウェファーをHFおよび場合により界面活性剤、例えばエタノールを含んでいてよい溶液にDC電流の下でさらしてよく、その数値は望まれる大きさの小孔を生じさせるように選択されてよい。もし核形成層105が望ましくないなら、望まれる小孔の大きさに対応するDC電流を加える前に、より大きなDC電流を加えてよい;図1Aeを参照。
【0071】
[0084] 形成された多孔性層106は、パターン形成された領域110により保護されていない領域において、および保護層領域110の下の支持体の領域において、2種類の異なる小孔の方向性を有していてよい。前者は支持体の表面に対して垂直または実質的に垂直な方向を向いた小孔を有していてよく、一方で後者は支持体の表面に対して平行な方向を向いた、または表面に対して実質的に90°と異なる角度で角度をつけられた小孔を有していてよい。
【0072】
[0085] 粒子108または109は電解研磨法により解放されてよく、それは多孔性層106の下に隙間107を形成してよい;図1Ag,hおよび1Bg,hを参照。次いで残った保護層を除去してよい。粒子は溶液中で、濾過を含む多くの技法により集められてよい。粒子109はそれらの中に形成された溝を有しており、それはそれらの形状およびそれらの力学的および小孔の特性を定めていてよい。例えば、粒子109の溝の下の部分は、粒子109の側面、すなわち粒子109の溝でない部分における小孔の大きさおよび多孔度と異なる小孔の大きさおよび多孔度を有していてよい。
【0073】
実施例2.多孔性ケイ素粒子の製作。第2多孔性層の形成による解放
[0086] 図2Aおよび2Bに概略的に図説した方法では、粒子のパターン形成が多孔性層の形成に先行し、粒子の解放は第2多孔性層の形成により実施される。製作方法は、ケイ素ウェファー201を得ることから始まってよい。前記のプロトコルにおけるように、ウェファー201の表面を例えばKOHへの浸漬またはRIEにより粗くしてよい。実施例1におけるように、次いで保護層202をウェファー上に堆積させてウェファーをHFを基礎とする溶液中での電気化学的エッチングから保護してよい;図2Aaを参照。実施例1におけるように、次いで保護フィルム202を、例えばリソグラフィーの技法を用いてパターン形成してよい;図2Ab,cおよび2Bb,cを参照。実施例1におけるように、パターン形成は耐性フィルム203の堆積を含んでいてよい;図2Bbおよび2Abを参照。ウェファーの前側の上の保護フィルムの望まれない領域は、ウェファー201の後ろ側の上の保護フィルムと同様に除去されてよい;図2Acおよび2Bcを参照。実施例1におけるように、保護層202は、パターン形成された領域210の間のスペースが製作される粒子の形状および寸法を定めるようなやり方でパターン形成されてよい。
【0074】
[0087] 一部の場合では、図2Bdに図説するように、保護層のパターン形成された領域210の間のスペースにおいて溝204が形成されてよい。溝はドライエッチング、例えばRIEにより形成されてよい。溝の深さおよび形状は、支持体の表面に対して垂直な粒子の断面を、従って粒子の形状を定めるために用いられてよい。溝の深さおよび形状は、形成される粒子の力学的な、および小孔の特性を制御するために用いられてもよい。
【0075】
[0088] 多孔性層206は、保護層のパターン形成された領域210により保護されていないスペースの中および周辺に形成されてよい;図2Ae,fおよび2Bfを参照。多孔性層206を形成するため、ウェファーをHFおよび場合により界面活性剤を含んでいてよい溶液にDC電流の下でさらしてよく、その数値は望まれる大きさの小孔を生じさせるように選択されてよい。もし核形成層が望ましくないなら、望まれる小孔の大きさに対応するDC電流を加える前に、より大きなDC電流を加えてよい。
【0076】
[0089] 形成された多孔性層206は、パターン形成された領域210により保護されていない領域において、および保護層領域210の下の支持体の領域において、2種類の異なる小孔の方向性を有していてよい。前者は支持体の表面に対して垂直または実質的に垂直な方向を向いた小孔を有していてよく、一方で後者は支持体の表面に対して平行な方向を向いた、または支持体の表面に対して実質的に90°と異なる角度で角度をつけられた小孔を有していてよい。
【0077】
[0090] 多孔性層206の形成の後、より大きな電流を加えて第1の層よりも大きな多孔度を有する第2多孔性層207を形成してよい;図2Bfおよび2Afを参照。このより大きな電流は、第2多孔性層207が力学的崩壊に十分なだけもろいが粒子をなおしかるべき場所に保持することができるように選択することができる。
【0078】
[0091] もし核形成層がより早期に除去されていない場合、それはこの段階でドライエッチングの技法、例えばRIEを用いることにより除去されてよい。次いで保護フィルム
のパターン形成された領域210を除去してよい;図2Agおよび2Bgを参照。ウェファー201中で第2多孔性層207により留められている粒子を、もし望まれるなら次いで化学的に修飾することができる。
【0079】
[0092] 粒子208または209は溶液中で第2多孔性層207を破壊することによりウェファー201から解放されてよく、それは例えば力学的手段、例えばウェファーを超音波振動にさらすことにより行うことができる;図2Ahおよび2Bhを参照。粒子209はそれらの中に形成された溝を有しており、それはそれらの形状およびそれらの力学的および小孔の特性を定めていてよい。例えば、粒子209の溝の下の部分は、粒子209の側面、すなわち粒子209の溝でない部分における小孔の大きさおよび多孔度と異なる小孔の大きさおよび多孔度を有していてよい。
【0080】
[0093] 実施例1および2で製作された粒子の形状は、エッチングの条件に依存して半球形、椀型、錐台等であってよい。例えば、椀型の形状に関して、椀の深さは電気化学的ウェットエッチングの前に粒子のパターンの中に形成される溝の深さに依存することができる。
【0081】
実施例3.多孔性ケイ素粒子の製作
[0094] 図3に概略的に図説した方法において、多孔性層の形成は粒子のパターン形成に先行する。方法は、ケイ素ウェファー301を得ることから始まってよい。多孔性層302を形成するため、次いでウェファーをHFおよび場合により界面活性剤を含んでいてよい溶液にDC電流の下でさらしてよく、その数値は層302において望まれる大きさの小孔を得られるように選択されてよい;図3aを参照。続いてより大きな電流を加えて第1多孔性層の下の支持体301中で第2多孔性層303を形成してよい。このより大きな電流は、第2多孔性層303が第1多孔性層302よりも大きな多孔度を有するように選択されてよい;図3bを参照。好ましくは、このより大きな電流は、多孔性層303が必要ならば力学的に崩壊するのに十分なだけもろいが同時に粒子をウェファー内のしかるべき場所に保持することができるように選択される。
【0082】
[0095] 第2多孔性層の形成の後、粒子をパターン形成してよい。例えば、フォトレジスト層を多孔性ケイ素フィルム301の上に堆積させることができる。次いでフォトレジスト層をパターン形成して粒子を定めてよい。例えば、図3において、フォトレジスト層のパターン形成された領域304(図3c)が粒子を定めている。多孔性ケイ素層302の望まれない領域、すなわちフォトレジスト層のパターン形成された領域304により覆われていない多孔性層302の領域は、例えばドライエッチング、例えばRIEにより除去されてよい;図3dを参照。次いでフォトレジストのパターン形成された領域304を除去してよい。
【0083】
[0096] 次いでウェファー301中に第2多孔性層303により留められた粒子(図3e参照)を、望まれるなら化学的に修飾してよい。粒子306は、溶液中で第2多孔性層302を破壊することによりウェファー301から解放されてよく、それは例えば力学的手段、例えばウェファーを超音波振動にさらすことにより行うことができる;図3fを参照。
【0084】
実施例4.多孔性ケイ素粒子の高収率製作I
[0097] 実施例3の方法は多層の方法に変形させてよく、それは製作される粒子の高い収率をもたらすことを可能にする可能性がある。方法はケイ素ウェファー401を得ることから始まってよい。次いでウェファー401をHF/界面活性剤溶液にさらしてよく、DC電流を特定の時間加えて第1多孔性ケイ素層402を形成してよい;図4aを参照。次いでより大きな電流を加えてより大きな多孔度を有する第2多孔性層403を解放層と
して形成してよい。このより大きな電流は、第2多孔性層403が力学的崩壊に十分なだけもろいが同時に粒子をウェファー401内に保持することができるように選択されてよい。
【0085】
[0098] 安定な多孔性層、例えば第1多孔性層402の形成、および破壊可能な解放多孔性層、例えば第2多孔性層403の形成の工程を繰り返して周期的な層構造を形成してよい。例えば、図4bはその周期的な構造を示し、そこでは安定な多孔性層402は破壊可能な解放層403により隔てられている。次いで粒子のパターン形成を実施してよい。
【0086】
[0099] 例えば、マスキング層、例えば金属フィルムは、一番上の第1多孔性層402の上に堆積させてよい。フォトレジスト層はマスキングフィルムの最上部の上に置いてよい。金属のマスキングフィルムを堆積させない場合、フォトレジストを一番上の第1多孔性層402に直接置いてよい。次いで、リソグラフィーの技法を適用してフォトレジスト層をパターン形成してよい。図4cに示すように、パターン形成されたフォトレジスト層はパターン形成されたフォトレジスト領域を含んでいてよく、それは製作される粒子の形状および寸法を定めてよい。次いで周期的な多孔性構造の望まれない領域、すなわち周期的構造のパターン形成されたフォトレジスト領域404により覆われていない領域を除去して、パターン形成されたフォトレジスト領域404により一番上を覆われた積み重ね(stack)406を形成してよい;図4dを参照。次いで、フォトレジストフィルムおよび/またはマスキングフィルムを積み重ね406の一番上から、例えばピラニア溶液(1体積のHおよび2体積のHSO)を用いることにより除去してよい;図4eを参照。望まれるなら、安定な多孔性層の一部から形成されて解放可能な多孔性層により積み重ね406の中に留められている粒子405を、次いで化学的に修飾してよい。粒子405の積み重ね406からの、溶液中への解放は、力学的手段、例えば積み重ね406を有するウェファー401を超音波振動にさらすことにより実施してよい;図4fを参照。
【0087】
実施例5.多孔性ケイ素粒子の高収率製作II
[0100] 本実施例は、多孔性ケイ素粒子の高収率製作のための別の方法を示す。ケイ素ウェファー501から開始し、ウェファーを異方性エッチング、例えば深堀りRIE(Deep RIE)から保護するために保護層をウェファー上に堆積させてよい。保護層は、例えば二酸化ケイ素フィルムまたはフォトレジストフィルムのようなものであってよい。保護フィルムはパターン形成されて保護層のパターン形成された領域502を形成してよく、それは製作される粒子の断面の形状および寸法を定めている;図5aを参照。この最初の保護層のパターン形成は、図1A(a)〜(d)に図説した保護層のパターン形成と同様に実施されてよい。
【0088】
[0101] 次いで異方性エッチングの技法をウェファーの保護されていない領域に適用して、保護フィルムのパターン形成された領域502の下の柱(pillars)503を形成してよい;図5bを参照。次いで柱503の最上部の保護フィルム502を除去してよい。次いで、第2の保護層504を柱503の上および柱503の間のエッチングされた領域508の中に堆積させてよい;図5cを参照。第2の保護層504は、それがウェファーをHFを基礎とする溶液中での電気化学的エッチングから保護することができるようなものであることができる。例えば、第2の保護層504は窒化ケイ素フィルムまたはフォトレジストフィルムであることができる。ついで、第2の保護層504の一部を、例えばエッチングまたは平面化により除去することにより、柱503の最上部を露出させてよい。好ましくは、その除去の後に、第2の保護層504はエッチングされた領域508の側面上で、および底部において完全なままである;図5dを参照。
【0089】
[0102] その後、パターン形成された柱を有するウェファーをHFを基礎とする溶液に
、加えられたDC電流の下でさらして第1多孔性層505を形成してよく、それはそれから粒子が形成されてよい安定な多孔性層である。加えられるDC電流は、粒子中に望まれる大きさを有する小孔を形成するように選択されてよい。その後、より大きな電流を加えて第2多孔性層506を形成してよく、それは第1多孔性層505よりも大きな多孔度を有する解放多孔性層である。このより大きな電流は、解放多孔性層が、片や力学的崩壊に十分なだけもろく、かつその一方でそれが解放の前に粒子をしかるべき場所に保持するのに十分なだけ強固であるように選択されてよい。安定な多孔性層、例えば層505の形成、および解放層、例えば層506の形成の工程を、望まれる回数繰り返して柱503における周期的な層構造を形成してよい。例えば、図5(e)は安定な多孔性層505および解放多孔性層506を交互に置くことにより形成された周期的な構造509を示す。周期的な層構造509が形成されたら、残った第2の保護層504は除去してよい;図5fを参照。
【0090】
[0103] 望まれるなら、安定な多孔性層505の一部から形成され、解放可能な多孔性層506により周期的な積み重ね構造509の中に留められている粒子507を、次いで化学的に修飾してよい。粒子507の積み重ね509から溶液中への解放は、力学的手段、例えば積み重ね509を有するウェファー501を超音波振動にさらすことにより実施してよい;図5gを参照。
【0091】
[0104] 上記の方法において、大きな多孔度の解放層の形成の工程は電解研磨で置き換えてよい。この場合、形成される周期的な構造は、交互に並ぶ安定な多孔性層および解放多孔性層の代わりの電解研磨により形成される隙間を含んでいてよい。安定な多孔性層は、残っている第2の保護層504によりウェファーに完全なまま保持されてよい。その場合、形成された粒子の安定な多孔性層からの解放は、残っている第2保護層を除去することにより実施されてよい。解放の前に、粒子がまだ完全なままでウェファーと共にある間に化学的に修飾されてよい。
【0092】
表面修飾のプロトコル
[0105] 下記に典型的なプロトコルを提供し、それは酸化、シラン処理およびターゲッティング部分、例えば抗体の結合によるケイ素粒子の表面修飾のために用いられてよい。
【0093】
ケイ素微粒子の酸化
[0106] IPA中のケイ素微粒子を、ホットプレート(80〜90℃)上に置いたガラスビーカーの中で乾燥させることができる。ケイ素粒子をピラニア(1体積のHおよび2体積のHSO)中で酸化することができる。H添加の後、粒子を超音波処理することができ、次いで酸を添加することができる。懸濁液を断続的に超音波処理しながら100〜110℃に2時間加熱して粒子を分散させることができる。次いで懸濁液をDI水中で懸濁液のpHが約5.5〜6になるまで洗浄することができる。次いで粒子を適切な緩衝液、IPA(イソプロピルアルコール)に移す、または水中で保管してさらに使用するまで冷蔵することができる。
【0094】
シラン処理
[0107] 酸化。シラン処理の過程の前に、酸化された粒子を1.5M HNO酸中でおおよそ1.5時間(室温で)ヒドロキシル化することができる。粒子をDI水中で3〜5回洗浄することができる(洗浄は水中での懸濁および遠心分離、それに続く上清の除去ならびに手順の繰り返しを含むことができる)。
【0095】
[0108] APTES処理。粒子を、それらをIPA中で2回洗浄することによりIPA(イソプロピルアルコール)に懸濁することができる。次いで粒子を0.5%(v/v)のAPTES(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を含むIPA溶液中で、室温で
45分間懸濁することができる。次いで粒子をIPAで4〜6回遠心分離により洗浄し、IPA中で冷蔵保管することができる。あるいは、粒子を一定分量ずつ分けて(aliquoted)乾燥させ、さらに使用するまで真空および乾燥剤の下で保管することができる。
【0096】
[0109] MPTMS処理。粒子を上記と同じ手順を用いてHNO3中でヒドロキシル化することができる。水およびIPAで洗浄した後、粒子をIPA中0.5% v/vおよび0.5% v/vのMPTMS(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)で4時間シラン処理することができる。次いで粒子をIPAで4〜6回洗浄し、次いでIPA中で冷蔵保管する、または一定分量ずつ分けて乾燥させ、真空および乾燥剤の下で保管することができる。
【0097】
[0110] 抗体の複合化(Conjugation)。微粒子を上記のようにAPTESおよび/またはMPTMSで修飾することができる。スクシンイミジル 4−N−マレイミドメチル シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)架橋剤の水溶性類似体であるスルホ−SMCCを用いて粒子と抗VEGFR2抗体を架橋することができる。APTESおよびMPTMS粒子の両方を抗VEGFR2と複合化させるのに用いられる粒子の総数は、約7.03×10であることができる。粒子を0.5% TritonX−100を含むリン酸緩衝液中で6回洗浄および遠心分離し、続いて何も加えていないリン酸緩衝液中で4回洗浄し、次いでプレートリーダー上で読み取ることができる。
【0098】
[0111] 抗体、例えばIgG、EGFR、VEGFRの、ナノポーラスケイ素粒子への、表面のシラン処理およびその後に続く、これらの抗体を共有結合により結合させることのできるすぐに入手できるタンパク質架橋剤を含むカップリング法による、化学的な足場(scaffold)を介した固定を、実験的に示した。
【0099】
APTESを用いた表面修飾
[0112] 典型的な表面修飾において、多孔性ケイ素粒子を1.5M HNO中で1時間ヒドロキシル化することができる。アミン基を表面上に、イソプロパノール(IPA)中で0.5% v/v 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を含む溶液を用いて室温において30分間シラン処理することにより導入する。チオール基を表面上にIPA中0.5% v/v 3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)および0.5% v/v HOを用いてコートすることができる。APTESでコートされた、およびMPTMSでコートされた粒子をリン酸緩衝生理食塩水(phosphate−buffered ssline)(PBS)中で懸濁し、架橋剤1mM N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート(SATA)、1mM スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)、1mM N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート(スルホ−SIAB)、または1mM スクシンイミジル 6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノエート(SPDP)と、室温で1時間反応させることができる。次いで、抗体を粒子の上に生物学的に複合化させる(bioconjugated)ことができる。
【0100】
実施例6:”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0113] 図6は下記のように製作した1.2μmのケイ素多孔性粒子の走査型電子顕微鏡画像を示す。0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされた(Heavily doped)p++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。窒化ケイ素の200nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナー(真空接触)を用いて1μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次い
で窒化ケイ素を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の上の窒化ケイ素をRIEにより除去した。300nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン中のケイ素の中にエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。ウェファーの裏側の上にアルミニウムフィルムをコートした。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。ナノポアをフッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(3:7v/v)中で、80mA/cmの電流密度を25秒間加えて形成した。解放高多孔度層を、400mA/cmの電流密度を6秒間加えることにより形成した。HFにより窒化物の層を除去した後、粒子をIPA中で超音波に1分間さらすことにより解放した。多孔性ケイ素粒子を含むIPAを集めて保管した。
【0101】
[0114] ケイ素粒子の形態を、LEO1530走査型電子顕微鏡を用いて測定した。IPA中の粒子をアルミニウムのSEM試料台の上に直接置いて乾燥させた。粒子を有するSEMの台をLEO1530の試料チャンバーの中に入れる。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。
【0102】
[0115] 図6のSEM画像は、裏側を見た、すなわち製作の間はウェファーの前側表面から離れていた側を見た、ウェファーの表面に平行な円形(直径1.2μm)の形状を有する粒子である。図6の粒子の全体の3次元の形状は半球状である。図6の画像は領域601および602を示しており、それらはそれぞれ、表面に対して平行な、または角度をなす小孔、および表面に対して垂直な小孔に対応する。粒子の中央における小孔の大きさは約30nmである。得られた粒子は元のパターンよりも大きく、これは多孔性層が電気化学的エッチングの間に支持体の保護された領域の下に、およびその中に入り込む可能性があるためである。
【0103】
実施例7.長円形の形状の”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0116] 図7は長円形の断面を有するケイ素粒子のSEM画像を示す。粒子は下記のように製作した。0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。窒化ケイ素の200nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナーを用いて2μmの長円形の形状の粒子をパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素をRIEにより除去した。600nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン中のケイ素の中にエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。エッチング溶液はフッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(3:7 v/v)であった。400mA/cm2の高密度電流を1秒間加えて核形成層を除去した。次いで80mA/cmの電流密度を25秒間加えてナノポアを形成した。高多孔度解放層を、400mA/cmの電流密度を6秒間加えることにより形成した。HFにより窒化物の層を除去した後、粒子をIPA中で1分間の超音波により解放した。多孔性ケイ素粒子を含むIPA溶液を集めて保管した。製作した粒子を含むIPA溶液1滴をアルミニウムのSEM試料台の上に直接置いて乾燥させた。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。図7のSEM画像は、得られた粒子を上から見たものを示す。粒子は、そこでは小孔が表面に対して平行である、または角度をなしている領域701、およびそこでは小孔が表面に対して垂直である領域702を有する。
【0104】
実施例8:”小さい小孔”のケイ素粒子の製作
[0117] 図8は半球状の形状を有する3.1μmの粒子を示すSEM画像である。粒子
は下記のように製作した。0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。窒化ケイ素の200〜350nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより支持体の上に堆積させた。フォトリソグラフィーを用いて、2μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素をRIEにより除去した。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。フッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(1:1 v/v)中で、6mA/cmの電流密度を1分45秒間加えてナノポアを形成した。高多孔度解放層を、320mA/cmのより高い電流密度をフッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(2:5 v/v)中で6秒間加えることにより形成した。HFにより窒化物の層を除去した後、支持体を超音波振動に1分間さらすことにより粒子を解放した。IPA中において粒子を含む1滴をアルミニウムのSEM試料台の上に直接置いて乾燥させた。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。図8のSEM画像は、製作された粒子を示す。差し込み図は10nm未満の小孔の大きさを有する製作された粒子を示す。
【0105】
実施例9:”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0118] 図10は500nmの溝を有する3.2μmのケイ素粒子のSEM画像を示す。粒子は下記のように製作した。0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。低応力(low stress)窒化ケイ素の100nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより支持体の上に堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナーを用いて2μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素をRIEにより除去した。500nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン上のケイ素の中にRIEによりエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。フッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(1:3 v/v)中で、16mA/cmの電流密度を105秒間加えてナノポアを形成した。より高い多孔度の解放層を、220mA/cmの電流密度を6秒間加えることにより形成した。HFにより窒化物の層を除去した後、粒子をIPA中でウェファーを超音波振動に1分間さらすことにより解放した。多孔性ケイ素粒子を含むIPA溶液を集めて保管した。
【0106】
[0119] IPA中において粒子を含む1滴をアルミニウムのSEM試料台の上に直接置いて乾燥させた。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであった;作動距離は約5mmである。図10のSEM画像は、得られた椀型の形状の粒子を示す。粒子は椀の底部の上に約30nmの小孔を、側面の上により小さい小孔を有する。
【0107】
実施例10:深い溝のエッチングによる”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0120] 図11はケイ素エッチングにより形成された約1.5μmの深い溝を有する製作されたケイ素粒子のSEM画像を示す。粒子は下記のように製作した。
【0108】
[0121] 0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。低応力窒化ケイ素の100nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより支持体の上に堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナーを用い
て2μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素をRIEにより除去した。1500nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン上のケイ素の中にエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。フッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(1:3 v/v)中で、16mA/cmの電流密度を105秒間加えてナノポアを形成した。高多孔度解放層を、220mA/cmの電流密度を6秒間加えることにより形成した。HFにより窒化物の層を除去した後、粒子をIPA中でウェファーを超音波振動に1分間さらすことにより解放した。多孔性ケイ素粒子を含むIPA溶液を集めて保管した。
【0109】
[0122] IPA中において粒子を含む1滴をアルミニウムのSEM試料台の上に直接置いて乾燥させた。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。図11のSEM画像は、得られた弾丸の形状の粒子を示す。弾丸の先端1101は約30nmの小孔を有しており、一方で弾丸の本体1102はより小さい小孔を有する。
【0110】
実施例11:RIEにより除去される核形成層を有する”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0123] 図12は500nmのケイ素の溝のエッチングを有する製作された3.2μmのケイ素粒子のSEM断面画像を示す:左:核形成層を有する;右:RIEにより除去された核形成層。粒子は下記のように製作した。0.005オーム−cmの抵抗率を有する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。低応力窒化ケイ素の100nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより支持体の上に堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナーを用いて2μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素もRIEにより除去した。500nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン上のケイ素の中にエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。フッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(1:3 v/v)中で、16mA/cmの電流密度を105秒間加えてナノポアを形成した。高多孔度解放層を、220mA/cmの電流密度を6秒間加えることにより形成した。次いで短時間のCF4 RIEを適用して核形成層を除去した。
【0111】
[0124] 断面の研究のため、粒子をウェファーから解放しなかった。その代わり、HFにより窒化物の層を除去した後、ウェファーを割り、45度のアルミニウムのSEM試料台の上に積み上げた(mounded)。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。図12のSEM画像は核形成層を有する得られた粒子および核形成層を除去した後の粒子の断面を比較する。核形成層を有する粒子は最上部の領域1201において10nm未満の小孔を有し、核形成層1202の下で約30nmの小孔を有し、一方核形成層の無い粒子は最上部の領域1203および最上部の下の領域1204の両方において約30nmの小孔を有する。
【0112】
実施例12:小孔の方向に沿って2種類の異なる多孔度を有する”大きい小孔”のケイ素粒子の製作
[0125] 図13は小孔の方向に沿って2種類の異なる多孔性領域を有する多孔性粒子のSEM画像を示す。粒子は下記のように製作した。0.005オーム−cmの抵抗率を有
する、高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest Inc)を支持体として用いた。低応力窒化ケイ素の100nmの層を低圧化学気相堆積(LPCVD)システムにより支持体の上に堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを用いて、EVG620アライナーを用いて2μmの円形の粒子パターンをパターン形成した。次いで窒化物を反応性イオンエッチング(RIE)により選択的に除去した。ウェファーの裏側の窒化ケイ素をRIEにより除去した。500nmのケイ素の溝を、露出した粒子パターン上のケイ素の中にエッチングした。フォトレジストをピラニア(体積によりHSO:H=3:1)を用いて除去した。次いでウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。フッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(1:3 v/v)中で、16mA/cmの電流密度を50秒間、および37mA/cmの電流密度を22秒間加えてナノポアを形成した。
【0113】
[0126] 断面の研究のため、粒子をウェファーから解放しなかった。その代わり、HFにより窒化物の層を除去した後、ウェファーを割り、45度のアルミニウムのSEM試料台の上に積み上げた(mounded)。LEO1530走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を測定した。電子ビームの加速電圧は10kVであり、作動距離は約5mmである。図13のSEM画像は、核形成層1303に加えて縦方向に沿って2種類の異なる多孔度の領域1301および1302を有する得られた粒子を示す。1301および1302の両方の領域における小孔は表面に対して垂直である。領域1301は領域1302よりも大きい多孔度を有する。
【0114】
実施例13:多孔性ケイ素フィルムの製作
[0127] 図9は2種類の多孔性ケイ素フィルムの画像を示し、一方は核形成層を有し(図9A〜B)、もう一方は核形成層を有しない(図9C)。フィルムは下記のように製作した:
[0128] 高ドープされたp++型(100)ウェファー(Silicon Quest
Inc)を支持体として用いた。ウェファーを電気化学的エッチングのために自家製のTeflon(登録商標)セルの中に置いた。エッチング溶液はフッ化水素酸(HF)およびエタノールの混合物(2:5 v/v)である。320mA/cmの高密度電流を1秒間加えて核形成層を除去した。80mA/cmの電流密度を25秒間加えてナノポアを形成した。前記で特定の好ましい態様に言及したが、本発明がそのように限定されるわけではないことは理解されるであろう。当業者は、開示された態様に様々な修正がなされてよく、かつその修正は本発明の範囲内に入ることが意図されることに気がつくであろう。
【0115】
[0129] 一部の特定の態様は次のものを含む。次のことを含む、ナノポーラスケイ素粒子を製作する方法:表面を含むケイ素の支持体を提供する;その表面の上に多孔性層を形成する;リソグラフィーにより複数の粒子をその支持体の上にパターン形成し、その粒子はその多孔性層を含む;およびパターン形成された多孔性粒子を含む得られた支持体からその粒子を解放する。一部の態様において、リソグラフィーによるパターン形成はその表面上でのその多孔性領域の形成よりも前に実施される。
【0116】
[0130] 一部の態様において、その粒子を解放することは、その粒子をリソグラフィーによりパターン形成された多孔性粒子から力学的に解放することを含む。一部の態様において、その多孔性層を形成することは第1多孔性層を形成することおよび第2多孔性層を形成することを含み、その第2層の多孔度は第1層のそれよりも大きい。一部の態様において、保護層がその支持体の上に適用される。特定の態様において、保護層は窒化ケイ素またはフォトレジストのフィルムを含む。一部の態様において、その支持体からその粒子を解放することは、その保護層の望ましくない領域を除去することを含む。
【0117】
[0131] 上記の方法の一部の態様に従うと、パターン形成は得られる粒子に関してあらかじめ決められた形状を定めることを含む。一部の態様において、そのあらかじめ決められた形状は球形、正方形、長方形、楕円形、円盤および半球形からなるグループから選択される。
【0118】
[0132] 一部の態様に従うと、その多孔性層を形成することは得られるケイ素粒子の特性を調整することを含む。特定の態様において、その特性はその得られたケイ素粒子の多孔度、小孔の大きさおよび小孔の断面形を含む。特定の態様において、その多孔性層のその形成は、その支持体を電気化学的に処理することを含む。特定の態様において、その支持体を電気化学的に処理することは、フッ化水素酸および界面活性剤を含む溶液を用いた処理を含む。特定の態様において、そのケイ素粒子の特性を調整することは、あらかじめ決められた特性を有するケイ素粒子を提供するためにその溶液の濃度を選択すること、電流を選択すること、エッチングの時間を選択すること、およびドープされたケイ素支持体を選択することを含む。
【0119】
[0133] 上記の方法の一部の態様に従うと、そのケイ素粒子は外表面および多孔性の内部を含み、その方法はさらにその粒子の少なくとも一部に機能を付与することを含む。特定の態様において、その機能付与はその粒子の少なくともその外表面を次のものからなるグループから選択される少なくとも1種類の処理の適用により修飾することを含む:化学物質、生化学物質、ポリマー類、酸化、プラズマ処理、金属または金属イオンコーティング、CVDフィルムコーティング、原子層堆積、蒸着フィルム、スパッタフィルムおよびイオン注入。特定の態様において、その機能付与の前の犠牲ポリマーのその粒子の多孔性内部への適用。特定の態様において、その機能付与はそのケイ素粒子のその解放の前に実施される。
【0120】
[0134] 本発明の態様に従って、上記の方法のいずれかの方法の生成物も提供される。特定の態様において、生成物は約1〜3ミクロンのケイ素を基礎としたナノポーラス粒子を含む。
【0121】
[0135] さらに推敲することなく、当業者は本明細書中の記述を用いて本発明をその最大限まで利用することができると信じる。本明細書において記述した態様は、説明的なものであり開示の残りの部分に何らかの制約を加えるものでは決して無いと解釈されるべきである。本発明の好ましい態様を示し、記述したが、当業者は本発明の精神および教えから逸脱すること無くそれの多くの変更および修正をすることが可能である。従って、保護の範囲は上記に述べた記述により限定されず、特許請求の範囲の主題の全ての均等物を含む特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書に引用した全ての特許、特許出願および刊行物の開示を、それらが本明細書で述べた詳細と調和する、およびそれらの補足となる手続き上のまたは他の詳細を提供する程度まで本明細書に援用する。
【符号の説明】
【0122】
101 ケイ素ウェファー
102 保護層
103 耐性物質
104 スペース
105 核形成層
106 多孔性層
107 隙間
108 粒子
109 粒子
110 パターン形成された領域
201 ケイ素ウェファー
202 保護層
203 耐性フィルム
204 溝
206 多孔性層
207 第2多孔性層
208 粒子
209 粒子
210 パターン形成された領域
301 ケイ素ウェファー
302 多孔性層
303 第2多孔性層
304 パターン形成された領域
306 粒子
401 ケイ素ウェファー
402 第1多孔性ケイ素層
403 第2多孔性層
404 パターン形成されたフォトレジスト領域
405 粒子
406 積み重ね
501 ケイ素ウェファー
502 パターン形成された領域
503 柱
504 第2の保護層
505 第1多孔性層
506 第2多孔性層
507 粒子
508 エッチングされた領域
509 周期的な構造
601 領域
602 領域
701 領域
702 領域
1101 先端
1102 本体
1201 最上部の領域
1202 核形成層
1203 最上部の領域
1204 最上部の下の領域
1301 領域
1302 領域
1303 核形成層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面により定められる本体を含む粒子であって、本体が第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それが小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる粒子。
【請求項2】
請求項1の粒子であって、第1領域の小孔の大きさが第2領域の小孔の大きさよりも大きい粒子。
【請求項3】
請求項1の粒子であって、第1領域および第2領域の少なくとも一方が生分解性領域である粒子。
【請求項4】
請求項1の粒子であって、第1多孔性領域および第2領域の少なくとも一方がナノポーラス領域である粒子。
【請求項5】
請求項4の粒子であって、第1多孔性領域および第2多孔性領域の両方がナノポーラス領域である粒子。
【請求項6】
請求項4の粒子であって、ナノポーラス領域が200nmより大きい厚さを有する粒子。
【請求項7】
請求項1の粒子であって、その第1多孔性領域および第2多孔性領域の少なくとも一方がエッチングされた多孔性領域である粒子。
【請求項8】
請求項7の粒子であって、そのエッチングされた多孔性領域が核形成層を含まない粒子。
【請求項9】
請求項1の粒子であって、第1多孔性領域および第2多孔性領域が多孔性のケイ素を含む粒子。
【請求項10】
請求項1の粒子であって、第1多孔性領域が本体の外側の領域であり第2多孔性領域が本体の内側の領域である粒子。
【請求項11】
微細製作された(microfabricated)粒子である、請求項1の粒子。
【請求項12】
請求項1の粒子であって、本体が半球状の形状、椀型の形状、錐台および錐体からなるグループから選択される形状を有する粒子。
【請求項13】
請求項1の粒子であって、粒子の外表面が第1表面および第2表面を含み、第1表面および第2表面の少なくとも一方が平らな表面である粒子。
【請求項14】
請求項13の粒子であって、その外表面がさらに、第1表面と共にその本体における溝を定めている第3表面を含む粒子。
【請求項15】
請求項14の粒子であって、第1表面の少なくとも一部が粒子の本体における第1多孔性領域を定め、第3表面の少なくとも一部が粒子の本体における第2多孔性領域を定めている粒子。
【請求項16】
請求項1の粒子であって、外表面の表面の化学的性質が第1および第2多孔性領域の小孔の表面の化学的性質と異なる粒子。
【請求項17】
請求項1の粒子であって、第1および第2多孔性領域がそれぞれ100nmより大きくない平均の小孔の大きさを有する粒子。
【請求項18】
複数の粒子を含む組成物であって、複数の内のそれぞれの粒子が外表面により定められる本体を含み、本体が第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それが小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる組成物。
【請求項19】
請求項18の組成物であって、その複数の粒子が複数の実質的に同一の粒子である組成物。
【請求項20】
外表面により定められる本体を含む粒子であって、本体がウェットエッチングされた多孔性領域を含み、かつ粒子がウェットエッチングと関係する核形成層を含まない粒子。
【請求項21】
複数の粒子を含む組成物であって、そのそれぞれが外表面により定められる本体を含み、本体がウェットエッチングされた多孔性領域を含み、かつ粒子がウェットエッチングと関係する核形成層を含まない組成物。
【請求項22】
請求項21の組成物であって、その複数の粒子が複数の実質的に同一の粒子である組成物。
【請求項23】
多孔性粒子を作る方法であって、次のことを含む方法:
表面を有する支持体を提供する;
支持体において第1多孔性層を形成する;
支持体上で1個以上の粒子をパターン形成する;
支持体において第1多孔性層の多孔度よりも大きい多孔度を有する第2多孔性層を形成する;および
パターン形成された1個以上の粒子を支持体から解放する、ここで解放は第2多孔性層の破壊を含み、解放された1個以上の粒子は第1多孔性層の少なくとも一部を含む。
【請求項24】
請求項23の方法であって、支持体が半導体性の支持体である方法。
【請求項25】
請求項23の方法であって、支持体がケイ素の支持体である方法。
【請求項26】
請求項23の方法であって、第1多孔性層がパターン形成の前に形成される方法。
【請求項27】
請求項23の方法であって、第1多孔性層がパターン形成の後に形成される方法。

【請求項28】
請求項23の方法であって、第1多孔性層の形成が支持体をウェットエッチングすることを含む方法。
【請求項29】
請求項28の方法であって、そのウェットエッチングが電気化学的に実施される方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、第2多孔性層の形成が支持体を電気化学的にウェットエッチングすることを含む方法。
【請求項31】
請求項29の方法であって、支持体がケイ素の支持体でありウェットエッチングが支持体をHFを含む溶液にさらすことを含む方法。
【請求項32】
請求項31の方法であって、溶液がさらに水またはエタノールの少なくとも一方を含む方法。
【請求項33】
請求項29の方法であって、さらにそのウェットエッチングと関係する核形成層の形成を妨げることを含む方法。
【請求項34】
請求項33の方法であって、妨げることが高密度電流を加えることを含む方法。
【請求項35】
請求項29の方法であって、さらにそのウェットエッチングと関係する核形成層を除去することを含む方法。
【請求項36】
請求項23の方法であって、その第1多孔性層の形成およびその第2多孔性層の形成が1回よりも多く実施される方法。
【請求項37】
請求項23の方法であって、そのパターン形成がリソグラフィーにより実施される方法。
【請求項38】
請求項23の方法であって、支持体の表面に対して平行である、1個以上の粒子の個々の粒子の最大寸法が、5ミクロンよりも大きくない方法。
【請求項39】
請求項23の方法であって、支持体の表面に対して垂直である、1個以上の粒子の個々の粒子の最大寸法が、5ミクロンよりも大きくない方法。
【請求項40】
請求項23の方法であって、支持体の表面に対して平行である、1個以上の粒子の個々の粒子の断面が、あらかじめ決められた規則的な形状を有する方法。
【請求項41】
請求項40の方法であって、そのあらかじめ決められた規則的な形状が長円形である方法。
【請求項42】
請求項23の方法であって、支持体の表面に対して垂直である、1個以上の粒子の個々の粒子の断面が、あらかじめ決められた規則的な形状を有する方法。
【請求項43】
請求項42の方法であって、そのあらかじめ決められた規則的な形状が半円形または半長円形である方法。
【請求項44】
請求項23の方法であって、さらに1個以上の粒子の個々の粒子において溝を形成することを含む方法。
【請求項45】
請求項44の方法であって、解放された個々の粒子が粒子の一部において第1多孔性領域を含み、そこで溝が形成され、かつ第2多孔性領域が粒子の一部であり、そこでは溝は形成されず、ここで第2多孔性領域が小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる方法。
【請求項46】
請求項23の方法であって、さらに1個以上の粒子の表面を化学的に修飾する方法。
【請求項47】
請求項46の方法であって、その化学的に修飾することがその解放の前に実施される方法。
【請求項48】
請求項47の方法であって、その化学的に修飾することが1個以上の粒子の個々の粒子の
表面を非対称に修飾する方法。
【請求項49】
請求項48の方法であって、その化学的に修飾することが第1多孔性層の小孔の少なくとも一部を犠牲材料で満たすことを含む方法。
【請求項50】
請求項48の方法であって、化学的に修飾することがシラン処理、酸化および抗体の複合化の少なくとも1種類を含む方法。
【請求項51】
請求項23の方法であって、第1多孔性層がナノポーラス層である方法。
【請求項52】
請求項23の方法であって、第1多孔性層における小孔の大きさが100nmよりも大きくない方法。
【請求項53】
請求項23の方法であって、1個以上の解放された粒子の個々の粒子が第1多孔性領域ならびに第2多孔性領域を含み、それが小孔の密度、小孔の大きさ、小孔の形状、小孔の電荷、小孔の表面の化学的性質、および小孔の方向性からなるグループから選択される少なくとも1種類の特性において第1領域と異なる方法。
【請求項54】
請求項23の方法であって、その第1多孔性層を形成することが、厚さ、小孔の大きさ、多孔度、小孔の方向性および小孔の形状から選択される第1多孔性層の少なくとも1個のパラメーターを調整することを含む方法。
【請求項55】
請求項54の方法であって、その調整が支持体の物質組成を選択すること、支持体の抵抗率を選択すること、支持体の結晶配向を選択すること、エッチング電流を選択すること、エッチング溶液の化学組成を選択すること、エッチングの濃度を選択すること、およびエッチング時間を選択することの少なくとも1種類を含む方法。
【請求項56】
請求項23の方法であって、その第1多孔性層を形成することが、その第1多孔性層においてあらかじめ決められた断面形の小孔を形成することを含む方法。
【請求項57】
請求項23の方法であって、その解放が支持体を超音波にさらすことを含む方法。
【請求項58】
請求項23の方法であって、さらに保護層を支持体の表面上に堆積させることを含む方法。
【請求項59】
多孔性粒子を作る方法であって、次のことを含む方法:
表面を有する支持体を提供する;
支持体において第1多孔性層を電気化学的ウェットエッチングにより形成する;
電気化学的ウェットエッチングと関係する核形成層を除去する;
支持体の表面上で1個以上の粒子をパターン形成する;および
パターン形成された1個以上の粒子を支持体から解放する、ここで解放された1個以上の粒子は第1多孔性層の少なくとも一部を含む。
【請求項60】
請求項59の方法であって、その除去が第1多孔性層の形成の前に核形成層の形成を妨げるために有効な大きな電流密度を加えることを含む方法。
【請求項61】
請求項59の方法であって、その除去が第1多孔性層の形成の後に核形成層をドライエッチングすることを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−34991(P2013−34991A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196070(P2012−196070)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2010−506558(P2010−506558)の分割
【原出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【出願人】(593172050)ジ・オハイオ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション (33)
【氏名又は名称原語表記】THE OHIO STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】