説明

多孔質の金属有機骨格材料としてのマグネシウムブチルイソフタレート

本発明は、配位5−第三ブチルイソフタレートイオンに骨格構造の形成下に結合されている、Mg2+イオンから形成された多孔質の金属有機骨格材料に関する。更に、本発明は、前記金属有機骨格材料の製造法および例えば物質、例えばガスまたはガス混合物を貯蔵するか、分離するか、または制御しながら放出する時の前記金属有機骨格材料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質の金属有機骨格材料、その製造ならびに使用に関する。
【0002】
多孔質の金属有機骨格材料は、技術水準から公知である。この多孔質の金属有機骨格材料は、殊に該材料の多孔性を示し、比較可能な使用、例えば無機ゼオライトに供給可能である。
【0003】
金属有機骨格材料は、通常、金属イオンに配位結合した、少なくとも二座の有機化合物を含み、この有機化合物は、金属イオンと一緒になって金属有機骨格材料の骨格を形成する。
【0004】
金属および/または有機化合物の適当な選択は、望ましい使用分野への最適化を可能にする。この場合、例えば有機化合物の選択は、細孔分布に影響を及ぼす。更に、金属は、吸着プロセスに貢献しうる。
【0005】
即ち、金属ならびに有機化合物の選択に帰因しうる殊に際立った性質を有する特殊な金属有機骨格材料を提供することは、絶えず望まれていることである。
【0006】
1つの重要な金属としては、マグネシウムを挙げることができる。それというのも、強い配位結合のために、比較的狭い細孔の骨格材料から出発することができ、およびマグネシウムは、他と比較すれば生理学的および生態学的に認容性の金属であるからである。
【0007】
M. Dinca et al., J. Am. Chem. Soc. 127 (2005), 9376 - 9377には、マグネシウム−2,6−ナフタリンジカルボキシレートがミクロ多孔質の配位構造を有する固体として記載されている。この骨格材料は、相応する亜鉛を基礎とする金属有機骨格材料に類似した構造を示す。前記刊行物の著者らは、この骨格材料が水素吸着エンタルピーならびに窒素または一酸化炭素に対して水素または酸素の選択的な吸収を有することを確認した。
【0008】
WO−A 2005/049892には、多孔質の金属有機骨格材料としてのマレイン酸ジエチルエステルの存在下でのマグネシウムテレフタレートの電気化学的製造が記載されている。こうして得られた骨格材料は、該骨格材料の構造に関連して同様に相応する亜鉛を基礎とする金属有機骨格材料と比較可能である。
【0009】
公知技術水準で公知のマグネシウムを基礎とする金属有機骨格材料の成果を期待する結果にも拘わらず、依然として、金属および有機化合物の適当な選択によって達成されうる、他の選択可能な方法による骨格材料が望まれている。
【0010】
従って、本発明の課題は、このようなマグネシウムを基礎とする金属有機骨格材料を提供することである。
【0011】
この課題は、Mg2+イオンに配位5−第三ブチルイソフタレートイオンが骨格構造の形成下に結合されている、Mg2+イオンから形成された多孔質の金属有機骨格材料によって解決される。
【0012】
即ち、意外なことに、本発明による骨格材料は、類似のマグネシウムイソフタレートと比較して驚異的に大きな比表面積を有し、殊にガス状の水を含有していてよいガスの分離に適していることが見出された。
【0013】
本発明による骨格材料は、Mg2+イオンおよび5−第三ブチルイソフタル酸(5−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸)またはその陰イオン形から形成される。
【0014】
本発明による金属有機骨格材料は、粉末状で存在していてもよいし、凝集物として存在していてもよい。
【0015】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料は、それ自体粉末状で使用されてもよいし、成形体に変換されてもよい。それに応じて、本発明の他の視点は、本発明による多孔質の金属有機骨格材料が成形体の部材として存在することである。
【0016】
金属有機骨格材料からの成形体の製造は、例えばWO−A 03/102000中に記載されている。
【0017】
この場合、成形体を製造するための好ましい方法は、ストランド化(Verstrangung)またはタブレット化である。成形体製造の際に、骨格材料は、製造の間に添加される別の材料、例えば結合剤、滑剤または別の添加剤を有していてよい。同じように、骨格材料が別の成分、例えば吸収剤、例えば活性炭等を有することが考えられる。
【0018】
これらの成形体の可能な幾何学的形状に関して、本質的に制限は存在しない。例えば、とりわけペレット、例えばディスク状ペレット、ピル、球、グラニュール、押出物、例えばビレット、ハニカム、格子または中空体を挙げることができる。
【0019】
前記の成形体を製造するために、原則的に全ての適した方法が可能である。殊に、次の方法実施が好ましい:
・骨格材料を、単独でかまたは少なくとも1つの結合剤および/または少なくとも1つのペースト化剤(Anteigungsmittel)および/または少なくとも1つのテンプレート化合物と共に混練/エッジミル粉砕(Kollern)して、混合物を得;得られた混合物を少なくとも1つの適した方法、例えば押出しにより変形し;場合によっては押出物を洗浄および/または乾燥および/またはか焼し;場合によっては調製する。
・少なくとも1つの結合剤および/または別の助剤と共にタブレット化する。
・骨格材料を、少なくとも1つの場合により多孔質の担持材料上に施与する。次に、得られた材料は、前記方法により成形体に後加工されうる。
・骨格材料を、少なくとも1つの場合により多孔質の基体上に施与する。
【0020】
混練/エッジミル粉砕および成形は、それぞれ適した方法により、例えばUllmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie、第4版、第2巻、p.313以降(1972)に記載されているように、行なわれることができる。
【0021】
例えば、混練/エッジミル粉砕および/または変形は、ピストンプレス、少なくとも1つの結合剤材料の存在または不在でのロールプレス、コンパウンディング、ペレット化、タブレット化、押出し、同時押出し、発泡、回転塗布、コーティング、造粒、好ましくは噴霧造粒、噴霧、噴霧乾燥またはこれらの方法の2つまたはそれ以上からなる組合せを用いて、行なわれることができる。
【0022】
ペレットおよび/またはタブレットが極めて特に有利に製造される。
【0023】
混練および/または変形は、高められた温度、例えば室温から300℃までの範囲内でおよび/または高められた圧力、例えば常圧から数百barの範囲内でおよび/または保護ガス雰囲気中、例えば、少なくとも1つの希ガス、窒素またはそれらの2つまたはそれ以上からなる混合物の存在で行なわれることができる。
【0024】
混練および/または変形は、別の一実施態様によれば、少なくとも1つの結合剤の添加下に実施され、その際に結合剤として原則的に、混練すべきおよび/または変形すべき材料の混練および/または変形のために望ましい粘度を保証するそれぞれの化合物が使用されることができる。それに応じて、結合剤は、本発明の範囲内で、粘度を高める化合物ならびに粘度を低下させる化合物であってよい。
【0025】
例えば、とりわけ好ましい結合剤として、例えば国際公開(WO)第94/29408号に記載されているような酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムを含有する結合剤、例えば欧州特許出願公開(EP-A1)第0 592 050号明細書に記載されているような二酸化ケイ素、例えば国際公開(WO)第94/13584号に記載されているような二酸化ケイ素および酸化アルミニウムからなる混合物、例えば特開平(JP-A)第03-037156号公報に記載されているような粘土鉱物類、例えばモンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライトおよびアナウキサイト(Anauxit)、例えば欧州特許(EP-B1)第0 102 544号明細書に記載されているようなアルコキシシラン、例えばテトラアルコキシシラン、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、または例えばトリアルコキシシラン、例えばトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシラン、アルコキシチタネート、例えばテトラアルコキシチタネート、例えばテトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、または例えばトリアルコキシチタネート、例えばトリメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、トリプロポキシチタネート、トリブトキシチタネート、アルコキシジルコネート、例えばテトラアルコキシジルコネート、例えばテトラメトキシジルコネート、テトラエトキシジルコネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート、または例えばトリアルコキシジルコネート、例えばトリメトキシジルコネート、トリエトキシジルコネート、トリプロポキシジルコネート、トリブトキシジルコネート、シリカゾル、両親媒性物質および/またはグラファイトを挙げることができる。
【0026】
粘度を増大させる化合物として、例えば、場合により前記の化合物に加えて、有機化合物および/または親水性ポリマー、例えばセルロースまたはセルロース誘導体、例えばメチルセルロースおよび/またはポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレートおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルピロリドンおよび/またはポリイソブテンおよび/またはポリテトラヒドロフランおよび/またはポリエチレンオキシドが使用されることもできる。
【0027】
ペースト化剤として、とりわけ好ましくは、水または少なくとも1つのアルコール、例えば、炭素原子1〜4個を有するモノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールまたは2−メチル−2−プロパノールまたは水と少なくとも1つの前記のアルコールとからなる混合物または多価アルコール、例えばグリコール、好ましくは単独でかまたは水および/または少なくとも1つの前記の一価アルコールとの混合物としての水混和性の多価アルコールが使用されることができる。
【0028】
混練および/または変形に使用されることができる別の添加剤は、とりわけ、アミンまたはアミン誘導体、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物またはアミノアルコールおよび炭酸塩を含有する化合物、例えば炭酸カルシウムである。このような別の添加剤は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 389 041号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 200 260号明細書または国際公開(WO)第95/19222号に記載されている。
【0029】
テンプレート化合物、結合剤、ペースト化剤、変形および混練の際に粘度を増大させる物質のような添加剤の順序は、原則的に重要でない。
【0030】
もう1つの好ましい実施態様によれば、混練および/または変形により得られた成形体は、一般に25〜500℃の範囲内、好ましくは50〜500℃の範囲内、特に好ましくは100〜350℃の範囲内の温度で実施される少なくとも1つの乾燥に掛けられる。同じように、真空中で乾燥させるかまたは保護ガス雰囲気下に乾燥させるかまたは噴霧乾燥により乾燥させることが可能である。
【0031】
1つの特に好ましい実施態様によれば、この乾燥工程の範囲内で、添加剤として添加された少なくとも1つの化合物は、少なくとも部分的に成形体から除去される。
【0032】
本発明による金属有機骨格材料は、細孔、殊にミクロ孔および/またはメソ孔を含む。ミクロ孔は、2nmまたはそれ未満の直径を有する細孔として定義されており、メソ孔は、2〜50nmの範囲内の直径によって定義されている。ミクロ孔および/またはメソ孔の存在は、収着測定を用いて調べることができ、その際にこれらの測定は、DIN 66131および/またはDIN 66134により77ケルビンで窒素についての金属有機骨格材料の吸収容量を決定する。
【0033】
好ましくは、ラングミュアモデル(DIN 66131、66134)により算出される比表面積は、粉末形のMOFについては、5m2/g超、より好ましくは10m2/g超、より好ましくは50m2/g超、さらにより好ましくは100m2/g超、さらにより好ましくは200m2/g超、特に好ましくは300m2/g超である。
【0034】
金属有機骨格材料からなる成形体は、より低い比表面積を有していてよく;しかしながら好ましくは10m2/gを上廻り、より好ましくは100m2/gを上廻り、殊に200m2/gを上廻る。
【0035】
好ましくは、本発明による金属有機骨格材料の孔径は、0.2nm〜30nmであり、特に好ましくは、この孔径は、結晶質材料を基準として、0.3nm〜3nmの範囲内である。
【0036】
しかし、本発明による金属有機骨格材料の成形体中では、より大きな細孔も生じ、この細孔の粒度分布は、変動しうる。しかしながら、好ましくは、全細孔容積の50%超、特に75%超が、1000nmまでの孔径を有する細孔によって形成される。しかしながら、好ましくは、細孔容積の大部分は、2つの直径範囲からなる細孔によって形成される。従って、全細孔容積の25%超、特に全細孔容積の50%超が、100nm〜800nmの直径範囲内である細孔によって形成される場合および全細孔容積の15%超、特に全細孔容積の25%超が、10nmまでの直径範囲内である細孔によって形成される場合がさらに好ましい。細孔分布は、水銀ポロシメトリーを用いて決定されることができる。
【0037】
更に、本発明の対象は、
マグネシウム化合物と5−第三ブチルイソフタル酸またはその塩との反応を含む工程を有する、本発明による多孔質の金属有機骨格材料の製造法である。
【0038】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料の有機成分としては、マグネシウム化合物と反応しうる5−第三ブチルイソフタル酸が使用される。同様に、5−第三ブチルイソフタル酸の誘導体を使用することも可能である。例えば、5−第三ブチルイソフタル酸をその塩の形で使用することが考えられる。5−第三ブチルイソフタル酸が完全または部分的に脱プロトン化された陰イオン性として存在する塩は、任意の適当な陽イオンを有することができる。このような陽イオンは、1価または2価の金属イオンであることができる。このための例は、殊にナトリウム塩およびカリウム塩である。同様に、アンモニウム化合物の陽イオンも使用可能である。この場合には、殊にアンモニウムそれ自体ならびにアルキルアンモニウム陽イオンを挙げることができる。
【0039】
マグネシウム化合物は、金属マグネシウムの陽極酸化によって製造されることができる。このような場合には、本発明による多孔質の金属有機骨格材料は、電気化学的方法で製造される。多孔質の金属有機骨格材料を電気化学的に製造するための方法は、WO−A 2005/049892中に記載されている。また、本発明による多孔質の金属有機骨格材料は、前記方法で製造されうる。
【0040】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料を電気化学的に製造する場合、マグネシウムイオンのカソード再析出が、次の方法の少なくとも1つによって少なくとも部分的に阻止されることは、好ましい:
(i)水素のカソード形成を促進する電解液の使用;
(ii)カソード減極をもたらす少なくとも1つの化合物の添加;
(iii)適した水素過電圧を有するカソードの使用。
【0041】
本方法は、分割されていない電解セル中で実施されることができる。特に適したセルは、分解セルまたは板状スタックセル(Plattenstapelzell)である。前記セルは、双極接続されていてよい。反応媒体としては、例えばメタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドまたはこれらの溶剤の2つ以上からなる混合物が適している。
【0042】
更に、反応媒体中には、1つの導電性塩または複数の導電性塩が存在していてよい。この場合、この導電性塩は、第四級アンモニウムをカチオン成分としておよびアルコキシスルフェートをアニオン成分として有することができる。全ての固体含量は、0.5質量%以上の範囲内にある。
【0043】
本発明による金属有機骨格材料を製造するための本発明による方法における反応は、古典的方法で行なうこともできる。この場合、マグネシウム化合物は、典型的にはマグネシウム塩である。
【0044】
マグネシウム塩は、アルコラート、アセトネート、ハロゲン化物、亜硫酸塩の形で有機または無機の酸素含有酸の塩またはその混合物として存在することができる。
【0045】
アルコラートは、例えばメタノラート、エタノラート、n−プロパノラート、イソプロパノラート、n−ブタノラート、イソブタノラート、t−ブタノラートまたはフェノラートである。
【0046】
アセトネートは、例えばアセチルアセトネートである。
【0047】
ハロゲン化物は、例えば塩化物、臭化物または沃化物である。
【0048】
有機の酸素含有酸は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸または別のアルキルモノカルボン酸である。
【0049】
無機の酸素含有酸は、例えば硫酸、亜硫酸、燐酸または硝酸である。
【0050】
この場合、マグネシウムは、Mg2+カチオンとして登場する。
【0051】
更に、好ましいマグネシウム化合物は、無機マグネシウム塩、例えば塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、燐酸二水素マグネシウム、燐酸一水素マグネシウム、硝酸マグネシウムである。
【0052】
マグネシウム化合物は、場合によっては水和物水を有することができる。
【0053】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料を製造するための本発明による方法における反応は、水性媒体中で行なうことができる。この場合には、ハイドロサーマル条件(Hydrothermalbedingung)または一般的なソルボサーマル条件(solvothermalbedingung)を使用することができる。"サーマル"の概念は、本発明の範囲内で、圧力容器中での本発明による多孔質の金属有機骨格材料への反応を、この圧力容器が反応中に閉鎖されており、高められた温度が掛けられ、したがって存在する溶剤の蒸気圧力のために圧力容器中で反応媒体内に圧力が形成されるように実施することである。
【0054】
しかし、有利には、この反応は、水性媒体中で行なわれず、また、ソルボサーマル条件下で行なわれない。
【0055】
本発明による方法における反応は、特に非水性溶剤の存在下に行なわれる。
【0056】
この反応は、特に最大2bar(絶対)の圧力で行なわれる。しかしながら好ましくは、圧力は高くとも1230mbar(絶対)である。特に好ましくは、反応は大気圧で行なわれる。しかし、この場合には、装置に応じて簡単に過圧または低圧を生じうる。従って、本発明の範囲内で、"大気圧"の概念は、実際に存在する大気圧±150mbarからもたらされる圧力範囲である。
【0057】
反応は、室温で実施されることができる。しかしながら好ましくは、この反応は室温を上廻る温度で行なわれる。特に、この温度は、100℃を上廻る。更に、有利に温度は、最大180℃、よりいっそう好ましくは最大150℃である。
【0058】
典型的には、前記の金属有機骨格材料は、溶剤としての水中で、別の塩基の添加下に実施される。これは、少なくとも二座の有機化合物としての多塩基カルボン酸の使用の際にこの化合物が水中で易溶性であるようにするために特に役立つ。非水性有機溶剤の好ましい使用により、このような塩基を使用することは不要である。それにも拘わらず、本発明による方法のための溶剤は、これがそれ自体として塩基性で反応するように選択されることができるが、しかしながらこのことは、本発明による方法の実施のために強制的に必要な訳ではない。
【0059】
同じように、塩基が使用されることができる。しかしながら、付加的な塩基が使用されないことは、好ましい。
【0060】
更に、反応を撹拌下に行なうことができることは、好ましく、このことは、スケールアップの際にも好ましい。
【0061】
非水性有機溶剤は、特にC1-6−アルカノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン(MEK)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルエステル、場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカン、スルホラン、グリコール、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノール、ケトン、例えばアセトンまたはアセチルアセトン、シクロケトン、例えばシクロヘキサノン、スルホレンまたはこれらの混合物である。
【0062】
1-6−アルカノールは、炭素原子1〜6個を有するアルコールを意味する。このための例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールならびにこれらの混合物である。
【0063】
場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカンは、炭素原子1〜200個を有するアルカンを意味し、この場合には、水素原子の1つまたは複数から全てまでが、ハロゲン、特に塩素または弗素、特に塩素により、置換されていてよい。このための例は、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンならびにこれらの混合物である。
【0064】
好ましい溶剤は、DMF、DEFおよびNMPである。DMFが特に好ましい。
【0065】
"非水性"という概念は、好ましくは、溶剤の全質量を基準として、10質量%、より好ましくは5質量%、さらにより好ましくは1質量%、さらに好ましくは0.1質量%、特に好ましくは0.01質量%の最高含水量を上廻らない溶剤を指す。
【0066】
好ましくは、反応の間の最高含水量は、10質量%、より好ましくは5質量%およびさらにより好ましくは1質量%である。
【0067】
"溶剤"という概念は、純粋な溶剤ならびに多様な溶剤の混合物に該当する。
【0068】
更に、好ましくは、少なくとも1つの金属化合物と少なくとも1つの二座の有機化合物との反応の処理工程には、か焼工程が続く。この際に調節される温度は、典型的には250℃を上廻り、好ましくは300〜400℃である。
【0069】
か焼工程に基づき、細孔中に存在している少なくとも二座の有機化合物は除去されることができる。
【0070】
これに補充してまたは選択的に、多孔質の金属有機骨格材料の細孔からの少なくとも二座の有機化合物(配位子)の除去は、形成された骨格材料を非水性溶剤で処理することにより行なわれることができる。この場合に、"抽出法"の遣り方で配位子は除去され、かつ場合により骨格材料中で溶剤分子により置換される。この注意深い方法は、配位子が高沸点化合物である場合に殊に適している。
【0071】
前記処理は、好ましくは少なくとも30分間行なわれ、かつ典型的には2日間まで実施されることができる。これは、室温または高められた温度で行なわれることができる。特に、これは、高められた温度、例えば少なくとも40℃、有利に60℃で行なわれる。さらに好ましくは、抽出は、使用される溶剤の沸騰温度で行なわれる(還流下)。
【0072】
前記処理は、簡単な釜中で、骨格材料のスラリー化および撹拌により行なわれることができる。抽出装置、例えばソックスレー装置、特に工業用抽出装置も使用されることができる。
【0073】
非水性有機溶剤としては、上記の溶剤、即ちC1-6−アルカノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド(DEF)、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン(MEK)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルエステル、場合によりハロゲン化されたC1-200−アルカン、スルホラン、グリコール、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノール、ケトン、例えばアセトンまたはアセチルアセトン、シクロケトン、例えばシクロヘキサノン、スルホレンまたはこれらの混合物を使用することができる。
【0074】
メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、MEKおよびこれらの混合物が好ましい。
【0075】
極めて特に好ましい抽出溶剤は、メタノールである。
【0076】
抽出に使用される溶剤は、少なくとも1つの金属化合物と少なくとも二座の少なくとも1つの有機化合物との反応のための溶剤と同じかまたは異なっていてよい。特に、"抽出"の際に溶剤が水不含であることが、必ずしも必要であるという訳ではないが、しかし好ましい。
本発明のもう1つの対象は、少なくとも1つの物質をその貯蔵、分離、制御された放出または化学反応の時に吸収するための本発明による多孔質の金属有機骨格材料の使用である。
【0077】
特に、少なくとも1つの物質は、ガスまたはガス混合物であり、この場合このガスまたはガス混合物は、特にガス状の水を含有する。
【0078】
それによって、殊に、ガスまたはガス混合物の分離は、水の存在下で可能であり、この場合には、水は、分離を全く損なうことがなく、この水は、ガスまたはガス混合物の代わりに分離される。
【0079】
更に、本発明の対象は、相応する金属酸化物(MgO)を製造するための担体または前駆体材料としての本発明による多孔質の金属有機骨格材料の使用である。
【0080】
金属有機骨格材料を用いて貯蔵するための方法は、一般にWO−A 2005/003622、WO−A 2003/064030、WO−A 2005/049484ならびにWO−A 2006/089908およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102005012087号明細書中に記載されている。前記刊行物中に記載の方法は、本発明による金属有機骨格材料に使用されてもよい。
【0081】
金属有機骨格材料を用いて分離または清浄化するための方法は、一般に欧州特許第1674555号明細書ならびにドイツ連邦共和国特許出願公開第102005000938号明細書中に記載されている。前記刊行物中に記載の方法は、本発明による金属有機骨格材料に使用されてもよい。
【0082】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料が貯蔵に使用される場合は、これは特に−200℃〜+80℃の温度範囲内で行なわれる。よりいっそう好ましいのは、−40℃〜+80℃の温度範囲である。
【0083】
少なくとも1つの前記物質は、ガスまたは液体であってよい。好ましくは前記物質は、ガスである。
【0084】
本発明の範囲内で、簡易化して"ガス"および"液体"という概念が使用されるが、しかしながらその際に本明細書中では、同じようにガス混合物ならびに液体混合物、または液状溶液は、"ガス"または"液体"の概念であると理解されるべきである。
【0085】
好ましいガスは、水素、天然ガス、都市ガス、炭化水素、殊にメタン、エタン、エチン、アセチレン、プロパン、n−ブタンならびにイソブタン、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、酸素、硫黄酸化物、ハロゲン、ハロゲン化された炭化水素、NF3、SF6、アンモニア、ボラン、ホスファン、硫化水素、アミン、ホルムアルデヒド、希ガス、殊にヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンならびにキセノンである。
【0086】
しかしながら、少なくとも1つの前記物質は、液体であってもよい。このような液体の例は、消毒剤、無機溶剤または有機溶剤、燃料 − 殊に、ガソリンまたはディーゼル −、作動液、冷却器液、ブレーキ液または油、殊に機械油である。更に、液体は、ハロゲン化された脂肪族または芳香族の、環状または非環状の炭化水素またはこれらの混合物であってよい。殊に、前記液体は、アセトン、アセトニトリル、アニリン、アニソール、ベンゼン、ベンゾニトリル、ブロモベンゼン、ブタノール、t−ブタノール、キノリン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、氷酢酸、無水酢酸、酢酸エチルエステル、エタノール、エチレンカーボネート、二塩化エチレン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ホルムアミド、ヘキサン、イソプロパノール、メタノール、メトキシプロパノール、3−メチル−1−ブタノール、塩化メチレン、メチルエチルケトン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピペリジン、プロパノール、プロピレンカーボネート、ピリジン、二硫化炭素、スルホラン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、トルエン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコール、トリグリメ(Triglyme)、水またはこれらの混合物であってよい。
【0087】
さらに、少なくとも1つの前記物質は、臭気物質であってよい。
【0088】
好ましくは、臭気物質は、窒素、燐、酸素、硫黄、弗素、塩素、臭素または沃素の少なくとも1つの元素を含有する揮発性の有機または無機の化合物、または不飽和または芳香族の炭化水素、または飽和または不飽和のアルデヒド、またはケトンである。より好ましい元素は、窒素、酸素、燐、硫黄、塩素、臭素であり;窒素、酸素、燐および硫黄が特に好ましい。
【0089】
殊に、臭気物質は、アンモニア、硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、オゾン、環状または非環状のアミン、チオール、チオエーテルならびにアルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酸またはアルコールである。
【0090】
特に好ましいのは、アンモニア、硫化水素、有機酸(好ましくは酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、ヘプチル酸、ラウリン酸、ペラルゴン酸)ならびに窒素または硫黄を有する環状または非環状の炭化水素ならびに飽和または不飽和のアルデヒド、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、オクテナールまたはノネナールおよび殊に揮発性のアルデヒド、例えばブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドおよびさらに燃料、例えばガソリン、ディーゼル(成分)である。
【0091】
前記臭気物質は、例えば香水の製造に使用される香料であってもよい。例示的に、香料またはこのような香料を放出する油として、次のものを挙げることができる:精油、バジル油、ゼラニウム油、ミント油、カナンガ油、カルダモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、マスカット油、カミツレ油、ユーカリ油、ローズマリー油、レモン油、ライム油、オレンジ油、ベルガモット油、マスカテルセージ油、コリアンダー油、サイプレス油、1,1−ジメトキシ−2−フェリルエタン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、1,2−ジエトキシ−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン、フェニルアセトアルデヒド、ローズオキシド(Rosenoxid)、エチル−2−メチルペンタノエート、1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、エチルバニリン、2,6−ジメチル−2−オクテノール、3,7−ジメチル−2−オクテノール、t−ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸アニシル類、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、エチルリナロール、オイゲノール、クマリン、アセト酢酸エチル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、4−メチレン−3,5,6,6−テトラメチル−2−ヘプタノン、エチルテトラヒドロサフラネート、ゲラニルニトリル、シス−3−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルメチルカーボネート類、2,6−ジメチル−5−ヘプテン−1−アール、4−(トリシクロ[5.2.1.0]デシリデン)−8−ブタナール、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナムアルデヒド、エチル[5.2.1.0]トリシクロデカンカルボキシレート、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、リナロール、酢酸リナリル、イオノン類、フェニルエタノールまたはこれらの混合物。
【0092】
本発明の範囲内で、揮発性の臭気物質は、特に300℃未満の沸点または沸点範囲を有する。より好ましくは、前記臭気物質は、易揮発性の化合物または混合物である。殊に好ましくは、前記臭気物質は、250℃未満、より好ましくは230℃未満、殊に好ましくは200℃未満の沸点または沸点範囲を有する。
【0093】
同様に、高い揮発性を有するにおい物質が好ましい。揮発性の尺度として、蒸気圧が採用されることができる。本発明の範囲内で、揮発性の臭気物質は、特に0.001kPa(20℃)を上廻る蒸気圧を有する。より好ましくは、臭気物質は、易揮発性の化合物または混合物である。殊に好ましくは、臭気物質は、0.01kPa(20℃)を上廻る蒸気圧、より好ましくは0.05kPa(20℃)を上廻る蒸気圧を有する。特に好ましくは、複数の臭気物質は、0.1kPa(20℃)を上廻る蒸気圧を有する。
【0094】
更に、本発明による多孔質の金属有機骨格材料が酸化マグネシウムを製造するために使用されうることは、有利であることが証明された。この場合、本発明による金属有機骨格材料は、その完全な分解温度を上廻り加熱される。
【0095】
加熱は、当業者に公知の方法によって行なうことができる。典型的には、この加熱は、そのために適した炉、例えばマッフル炉中で行なわれる。更に、炉を使用する場合、加熱を適当な雰囲気の存在下で実施しうる可能性が存在することは、目的達成に役立つ。これに加えて相応して、多孔質の金属有機骨格材料を含む炉空間を相応するガスまたはガス混合物で充満させうるために、相応するガスまたはガス混合物のための供給管を炉内または炉に取り付けることができる。
【0096】
多孔質の金属有機骨格材料は、如何にして金属有機骨格材料を相応する金属酸化物に変換する必要があるかに応じて加熱される。従って、この場合には、金属有機骨格材料の完全な分解温度を上廻り加熱される。
【0097】
本発明の範囲内で、"完全な分解温度"とは、多孔質の金属有機骨格材料が相応する金属酸化物に変換され始める温度であると理解すべきである。しかし、同様に金属有機骨格材料を中間段階を経て金属酸化物に変換することも可能である。例えば、金属酸化物の形成前に1つのカーボネートは、形成されていてよい。このような場合、"完全な分解温度"とは、それぞれ最後の中間段階を金属酸化物に変換する必要がある温度であると理解すべきである。
【0098】
完全な分解温度の決定は、当業者によって公知の方法につき実施されることができる。例えば、熱重量測定法によって、前記温度は、測定されることができ、この場合付随する分析法によって、同様に相応する金属酸化物の形成の検出を管理することができる。
多孔質の金属有機骨格材料から相応する金属酸化物を製造するのに必要とされる完全な分解温度は、典型的には250℃〜1000℃の範囲内にある。更に、好ましくは、完全な分解温度は、350℃〜800℃の範囲内にある。殊に有利には、完全な分解温度は、450℃〜650℃の範囲内にある。
【0099】
従って、多孔質の金属有機骨格材料の加熱は、酸素を供給する成分を有する酸化性雰囲気の存在下で行なわれる。これによって、相応する金属酸化物への多孔質の金属有機骨格材料の変換には、十分な酸素を使用することが保証される。これは、殊に上記の中間段階が"突出する"ためにも貢献しうる。このような酸化性雰囲気は、相応する酸素を供給するガスまたはガス混合物によって得ることができる。この場合、最も簡単で最も好ましいガス混合物としては、空気を挙げることができ、これは、通常、分子状酸素の十分に高い含量を有する。場合によっては、空気は、他の酸素で含量が増大されて使用されてよい。勿論、最終的には、同様に、純粋な酸素を酸化性雰囲気として使用することが可能である。更に、例えば分子状酸素で含量が増大されている別のガスまたはガス混合物が使用されてもよい。この場合には、殊に不活性ガスが好ましい。即ち、酸化性雰囲気の形成に適したガス混合物は、多孔質の金属有機骨格材料の加熱の際にヘリウム、アルゴン、窒素またはこれらの混合物をそれぞれ酸素で含量を増大させて使用することができる。
【0100】
本発明による多孔質の金属有機骨格材料は、加熱中に雰囲気が変化しないように酸化性雰囲気に晒されていてよい。従って、多孔質の金属有機骨格材料を包囲するガスまたはガス混合物は、交換されず、したがって酸素を供給する、雰囲気の成分は、加熱中に減少する。
【0101】
更に、雰囲気を加熱中に、酸素を供給する成分に関連して少なくとも前記成分の後供給によってほぼ一定に維持することが可能である。
【0102】
しかし、好ましいのは、酸素を供給する成分を加熱中に増大させることである。これは、例えば雰囲気を、ガス、または酸素を供給する成分の高い割合を有するガス混合物によって交換することにより行なうことができる。これは、殊に、最終的に純粋な酸素雰囲気が存在するまで、雰囲気に加熱の開始後に酸素を供給するようにして行なうことができる。この増大は、段階的または連続的に行なうことができる。
【0103】
化学反応を本発明による金属有機骨格材料の存在下で行なうことができる例は、モノオールならびにポリオールのアルコキシル化である。このようなアルコキシル化の実施は、WO−A 03/035717ならびにWO−A 2005/03069に記載されている。同様に、本発明による多孔質の金属有機骨格材料は、エポキシ化のため、ならびにポリアルキレンカーボネートおよび過酸化水素の製造のために使用されることができる。このような反応は、WO−A 03/101975、WO−A 2004/037895ならびに米国特許第2004/081611号明細書中に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】属するX線回折図(XRD)を示す線図。
【図2】313KでCO2およびCOのための実施例1からの骨格材料の吸収等温線を示す線図。
【実施例】
【0105】
実施例1
硝酸マグネシウム六水和物9.5g、5−t−ブチルイソフタル酸2.78gおよびジエチルホルムアミド283g(DEF)の混合物を500mlのフラスコ中でN2雰囲気下で130℃で24時間、攪拌する。その後に、この混合物を室温へ冷却し、沈殿する生成物を濾別し、4回アセトン50mlずつで洗浄し、引続き2日間、フリットを有する洗浄瓶中でN2により乾式吹き込みを行なう。
【0106】
2.60gの乾燥した骨格材料がもたらされる。
【0107】
図1は、属するX線回折図(XRD)を示し、この場合Iは、回折強度(Lin(カウント))を示し、2Θは、2Θ角度を示す。
【0108】
ラングミュアによる比表面積は、326m2/gの値をもたらす。熱分解は、約470℃で行なわれる。
【0109】
比較例2
硝酸マグネシウム六水和物11.0g、1,3−ベンゼンジカルボル酸5.00gおよびジエチルホルムアミド(DEF)の混合物をテフロン内部被覆を有する200mlの鋼製オートクレーブ中で130℃で24時間、攪拌する。その後に、この混合物を室温へ冷却し、沈殿する生成物を濾別し、N,N−ジメチルホルムアミド(2×30ml)およびクロロホルム(2×30ml)で洗浄し、引続き空気で乾燥する。
【0110】
7.80gの乾燥した骨格材料がもたらされる。
【0111】
ラングミュアによる比表面積は、測定することができなかった。
【0112】
実施例3
図2は、313KでCO2およびCOのための実施例1からの骨格材料の吸収等温線を示す。上方の曲線は、CO2を表わし、下方の曲線は、COを表わす。これらの曲線は、CO/CO2分離が可能であることを証明する。
【符号の説明】
【0113】
I 回折強度(Lin(カウント))、 2Θ 2Θ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配位5−第三ブチルイソフタレートイオンがMg2+イオンに骨格構造の形成下に結合されている、Mg2+イオンから形成された多孔質の金属有機骨格材料。
【請求項2】
前記骨格材料が成形体の一部分として存在する、請求項1記載の骨格材料。
【請求項3】
請求項1または2記載の金属有機骨格材料の製造法において、
マグネシウム化合物と5−第三ブチルイソフタル酸またはその塩との反応
を含む工程を有することを特徴とする、請求項1または2記載の金属有機骨格材料の製造法。
【請求項4】
マグネシウム化合物を金属マグネシウムの陽極酸化によって形成させる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
マグネシウム化合物は、マグネシウム塩である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの物質をその貯蔵、分離、制御された放出または化学反応の時に吸収するための請求項1または2記載の金属有機骨格材料の使用。
【請求項7】
物質は、ガスまたはガス混合物である、請求項6記載の使用。
【請求項8】
ガスまたはガス混合物は、ガス状の水を含有する、請求項7記載の使用。
【請求項9】
担体としての請求項1または2記載の金属有機骨格材料の使用。
【請求項10】
酸化マグネシウムを製造するための前駆体材料としての請求項1または2記載の金属有機骨格材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−509270(P2010−509270A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535697(P2009−535697)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061863
【国際公開番号】WO2008/055862
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】