説明

多孔質構造体の製造方法および多孔質構造体並びに多孔質構造体からなる細胞培養用足場基材

【課題】本発明は、多層の多孔質構造を形成する生分解性ポリマーからなる多層多孔質構造体の製造方法並びに得られる多孔質構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】生分解性ポリマーと該生分解性ポリマーに対する非相溶性材料とを混合して塗工液を調製し、調製した塗工液から、生分解性ポリマーと非相溶性材料とが相分離した相分離構造を有する塗膜を形成させ、相分離構造を有する塗膜から非相溶性材料を抽出することによる。また、前記製造方法により製造された多孔質構造体による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性ポリマーと非相溶性材料から形成されるミクロ相分離構造を基にして形成される多孔構造体の製造方法および多孔質構造体に関する。より詳細には、細胞の培養や、細胞から三次元組織体を形成するときの足場基材として好適に使用することができる多孔質構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
組織工学の分野では、インビトロ法で細胞を培養してから生体内へ移植する一手段として、生物医学的足場を利用した組織の修復および再構築に傾注されてきた。再生医療においては、細胞が増殖分化して三次元的な生体組織様の構造物を構築できるように、組織または器官の再生の足場となる基材を患者に移植することが行われている。このような基材としては、例えば特許文献1に、コラーゲン単糸からなる移植用基材が開示されている。再生医療における細胞の培養に利用される足場は、体内の所望の部位に細胞を誘導し、作製される組織のための潜在的空間を規定し、かつ組織の発生過程を案内するために利用される。
【0003】
細胞培養の足場基材としては、多孔質構造のものが利用されている。多孔質構造体を得る一般的な方法としては、乾式法や湿式法などが知られ、乾式法では物理的方法によるものと化学的方法によるものとが挙げられる。物理的な方法としては、クロロフルオロカーボン類または炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)をポリマーに分散させ、次に加熱し発泡剤を揮発させることにより気泡を形成させる方法などが公知である。また化学的方法としては、ポリマーベースに添加された化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得る方法などが公知である。
【0004】
例えば特許文献2では、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタンなどを発泡剤として用い、発泡ポリエーテルイミドを成形する方法が開示されているが、このような手法による発泡技術は、発泡剤として用いる物質の有害性やオゾン層の破壊など各種の環境への問題が存在し、微細かつ均一なセル径(孔径)を有する発泡体を得ることは難しい。
【0005】
また、ブロックコポリマーあるいはグラフトコポリマーのミクロ相分離を利用した多孔質構造を形成する方法もある。この場合、各ポリマー鎖は相互に化学結合しているので、特定の一相を選択的に除去するためには、その相を構成するポリマー鎖の主鎖を切断および/または分解することが必要である。切断および/または分解したポリマー鎖は、加熱によって揮発させたり、有機溶剤や水によって溶出させたりして除去する。
【0006】
加熱操作は、ポリマーを分解して揮発させるために高温で操作する必要があり、そのためにポリマーが劣化してしまう問題がある。また、有機溶剤による溶出は多量の有機溶剤を必要とすることや、有機溶剤によるポリマーの変形などが問題となる。
【0007】
細胞培養の足場基材として利用される多孔質構造体は、構造体そのものを体内に移植することがあるので、体内に吸収可能な材料であれば体内への負担も小さくなる。このような体内吸収可能な材料は、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、これらのコポリマーおよび混合物などが挙げられる。
一般にこれらの体内吸収可能な材料は、ガラス転移温度が低いことや柔らかいという特徴があり、従来の多孔質体形成方法では、微細な構造を形成できない、あるいは構造が変形しやすいといった問題が発生しやすくなる。
【0008】
一方、変形を伴わない多孔質構造形成方法に関し、二相系での非混合溶媒系などにおける微細パターン製造方法について開示がある(特許文献3)。上記方法は、高分子溶液を固体基板あるいは水面に展開し、高湿度気流下で有機溶媒を徐々に蒸散させると同時に該展開した表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させることで自己組織化によりハニカム構造を形成させることによる。
しかしながら、この方法ではフィルム状の表面でのみハニカム構造が得られるが、三次元方向の細胞培養の足場として利用する場合は、積層する工程が必要となる。
【特許文献1】特開2003-193328号公報
【特許文献2】米国特許No.4532263号公報
【特許文献3】特開2001-157574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、マイクロメートルオーダー、ナノメートルオーダーの微細孔を変形させず、かつ多層の多孔質構造を形成する生分解性ポリマーからなる多層多孔質構造体の製造方法並びに多孔質構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、生分解性ポリマーと該ポリマーに対する非相溶性材料とを混合して塗工液を調製し、調製した塗工液から生分解性ポリマーと非相溶性材料とが相分離した相分離構造を有する塗膜を形成させ、相分離構造を有する塗膜から非相溶性材料を抽出することで、上記課題が解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.以下の工程を含む、多孔質構造体の製造方法:
1)生分解性ポリマーと該生分解性ポリマーに対する非相溶性材料とを混合して塗工液を調製する工程;
2)調製した塗工液を塗工用基材に塗布する工程;
3)塗布した塗工液中のポリマーと非相溶性材料とが相分離した相分離構造を有する塗膜を形成する工程;および、
4)相分離構造を有する塗膜から非相溶性材料を抽出する工程。
2.非相溶性材料の抽出が、前記ポリマーのガラス転移点以上融点以下の温度で行われる前項1に記載の製造方法。
3.非相溶性材料の抽出が、亜臨界または超臨界二酸化炭素を用いることによる前項1又は2に記載の製造方法。
4.前項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造され、孔径が0.1〜100μmの孔を有する多孔質構造体。
5.前項4に記載の多孔質構造体からなる細胞培養用足場基材。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多孔質構造体の製造方法により、生分解性ポリマーのようにガラス転移点が低く柔らかい材料であっても、微細孔の構造変化を起こすことなく多孔質構造体を形成することができ、同時に多層にセル(孔)をもつ構造体を形成することができる。本発明の多孔質構造体は、細胞培養の足場基材として利用することができ、さらに細胞から三次元組織体を形成するときの足場基材としても好適に利用することができる。また、生分解性ポリマーを材料とするため、生体内に移植することも可能であり、再生医療などの分野においても利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において「生分解性ポリマー」とは、生体内に吸収可能なポリマーをいい、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンカーボネートなどが挙げられる。中でもポリブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネートなどが有機溶媒への溶解性の観点から好適である。中でも、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンが入手の容易さ、価格などの観点から好ましい。
【0014】
本発明において「非相溶性材料」とは、前記生分解性ポリマーと混合しても相溶せず、混合攪拌しても放置すると相分離してしまう材料を意味する。このような非相溶性材料としては、該ポリマーと混合した場合に相分離し、かつ相分離構造を形成した後、溶媒抽出などの方法により除去できるものであればよい。該非相溶性材料は、無機材料または有機材料の何れも使用できるが、有機材料の方が好ましい。
【0015】
本発明における非相溶性材料は、使用する生分解性ポリマーに応じて適宜選択される。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;前記ポリアルキレングリコールの片末端若しくは両末端メチル封鎖物、または片末端若しくは両末端(メタ)アクリレート封鎖物;ウレタンプレポリマー;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物などを挙げられる。また、これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0016】
本発明における非相溶性材料の分子量は、特に制限されないが、後の除去操作が容易になることから重量平均分子量として10,000以下(例えば100〜10,000)であることが好ましい。
【0017】
上記の生分解性ポリマーおよび非相溶性材料を混合して、塗工用基材に塗工するための塗工液を調製する。塗工液を調製するための非相溶性材料の混合量は、相転換がおこらない程度であればよく、特に限定されない。例えば、生分解性ポリマー100重量部に対して、非相溶性材料は10〜100重量部の配合であれば相転換することなく塗工可能である。
【0018】
上記の生分解性ポリマーと非相溶性材料を混合し、塗工液を調製する工程において、混合性を高めるために有機溶媒を用いて溶解することができる。有機溶媒は、使用するポリマーおよび非相溶性材料に応じて適宜選択することができ、例えば該ポリマーおよび該非相溶性材料の少なくとも一方のみを溶解するものであってもよいし、双方を溶解するものであってもよい。双方を溶解する有機溶媒の場合は、該有機溶媒を除去すればポリマーと非相溶性材料が相分離するものであればよい。
このような有機溶媒として、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類などを挙げることができる。有機溶媒としては、特にキシレンやトルエンなどの芳香族炭化水素が好ましい。
【0019】
有機溶媒を用いて生分解性ポリマーと非相溶性材料を混合し、溶解する場合の該有機溶媒の混合量は、生分解性ポリマー100重量部に対して、通常10〜1,000重量部であり、好ましくは30〜700重量部である。有機溶媒の混合量が、1,000重量部を超えると、塗工液の粘度が低くなるため塗膜が薄くなりすぎて、得られるシートが極端に薄くなるなどの問題を有する。また、有機溶媒の混合量が、10重量部未満であれば、粘度が高くなり塗工ムラが生じやすくなるなどの問題を有する。
【0020】
上記のようにして得られた塗工液を例えば塗工用基材に塗布して、生分解性ポリマーと非相溶性材とからなる相分離構造を有する塗膜を形成する。塗工用基材上への塗膜の形成方法としては、例えば、ファンテン、ファンテンメタリング、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、グラビア法などの自体公知の方法を適宜用いることができる。
【0021】
本発明において使用可能な塗工用基材として、平滑な表面を有するものを利用することができ、透明であっても不透明であってもよい。透明基材としては、ガラスや各種透明プラスチック材料からなるフィルムを挙げることができる。また、不透明基材としては、ステンレスなどの金属板などを挙げることができる。
【0022】
上記塗膜から有機溶媒を除去する条件は、上記の生分解性ポリマーに対して非相溶性材料が揮発しない条件であれば、特に限定されるものではない。
【0023】
次に有機溶媒が除去された塗膜より上記非相溶性材料を除去する。塗膜から非相溶性材料を抽出溶媒中に抽出(溶解)して除去することにより、塗膜中の相分離構造において非相溶性材料が占めていた部分が除かれて多くの孔(セル)を含む多孔質構造体が形成される。多孔質構造体はミクロ相分離によって形成されるため、孔径1〜100μmの微細な径の孔であり、かつ厚み方向にも孔が存在する微細多層多孔質構造を形成できる。
【0024】
塗膜から非相溶性材料を除去するための抽出溶媒は、非相溶性材料に対して良溶媒であって、かつ前記ポリマーを溶解しないものであればよく、特に限定されるものではない。
このような性質を有するものであれば、一般的な有機溶媒の中から適宜選択して用いることができる。特に除去効率、無害性およびポリマー変形への影響が低いという観点から、好適には液化二酸化炭素(亜臨界二酸化炭素)や超臨界状態にある二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)が用いられる。
【0025】
前記塗膜中の非相溶性材料を抽出溶媒により除去するための装置は、自体公知のものを利用することができ、例えば加圧下で抽出除去可能な容器を利用することができる。例えばバッチ式の圧力容器、シート繰り出し巻き取り装置を有する圧力容器などであれば何れであってもよい。
【0026】
抽出溶媒の例として、液化二酸化炭素や超臨界状態にある二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)を使用する場合の具体的な方法について説明する。塗膜を圧力容器に入れて二酸化炭素を注入し、該塗膜に液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を浸透させる。前記二酸化炭素を十分に浸透させた後、二酸化炭素の排気と注入を連続的或いは断続的に繰り返し、塗膜中の非相溶性材料を液化二酸化炭素または超臨界状態にある二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)に抽出(溶解)させて、非相溶性材料を除去する。
【0027】
抽出は、上記ポリマーのガラス転移点以上融点以下の温度で行うことが好ましい。融点以上で抽出すると、ポリマーが変形し、多孔質構造が壊れてしまうからである。また、ガラス転移点以下で行うと、非相溶性材料の拡散係数が小さくなってしまい、抽出の効率が悪くなってしまうからである。
【0028】
本発明は、上記の方法により調製された多孔質構造体にも及ぶ。本発明の製造方法により得られる多孔質構造体に認められる孔の孔径は、0.1〜100μmであり、特に0.1〜50μmであり、さらには0.1〜15μmである。本発明は、該多孔質構造体からなる細胞培養用足場基材にも及ぶ。本発明の多孔質構造体は厚み方向にも孔が存在するため、細胞の三次元組織体を形成するときの足場基材として好適に使用することができる。また、本発明の多孔質構造体は、生分解性ポリマーを材料とするため、生体内に移植することも可能であり、再生医療などの医療の分野においても利用することができる。
【実施例】
【0029】
以下実施例を示して説明するが、本実施例は発明の内容をより理解するためのものであって、本発明は本実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0030】
(実施例1)
ポリ乳酸(平均分子量:43,000、ガラス転移点:50℃、融点:なし)100重量部に対して、ポリプロピレングリコールを50重量部、溶媒として酢酸エチルを200重量部を混合し、塗工液を調製した。この塗工液を、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)(50μm)からなる塗工用基材にアプリケーターで乾燥厚みが20μmになるように塗工し、25℃で溶媒を乾燥させた。
その後、この塗工フィルムを50mm×50mmに切断し、300ccのエタノールに浸漬し、25℃の雰囲気温度でポリプロピレングリコールを抽出する操作を15分間行った。得られた多孔質構造体の孔径は3〜5μmであった。(図1参照)
【0031】
(実施例2)
ポリε−カプロラクトン(重量平均分子量:70,000〜100,000、ガラス転移点:−60℃、融点:57℃)100重量部に対して、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」という。)100重量部、溶媒としてトルエン500重量部を混合し、塗工液を調製した。この塗工液を、PET(50μm)からなる塗工用基材にアプリケーターで乾燥厚みが48μmになるように塗工し、25℃で溶媒を乾燥させた。
その後、この塗工フィルムを20mm×50mmの短冊状に切断し、500ccの耐圧容器に入れ、15℃の雰囲気中、25Mpaに加圧した後、圧力を保ったままガス量にして約5リットル/分の流量でCOを注入、排気して添加物を抽出する操作を2時間行った。得られた多孔質構造体の孔径は12.1μmであった。(図2参照)
【0032】
(実施例3)
PEGの代わりにポリプロピレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔質構造体の孔径は2μmであった。(図3参照)
【0033】
(実施例4)
PEGの代わりにポリエチレングリコールジメチルエーテルを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔質構造体の孔径は0.5〜1μmであった。(図4参照)
【0034】
(実施例5)
PEGの代わりにジエチレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔質構造体の孔径は2〜15μmであった。(図5参照)
【0035】
(比較例)
ポリε−カプロラクトン(重量平均分子量:70,000〜100,000、ガラス転移点:−60℃、融点:57℃)100重量部に対して、トルエン500重量部を混合し、塗工液を調製した。この塗工液を、この塗工液をPET(50μm)からなる塗工用基材にアプリケーターで乾燥厚みが35μmになるように塗工し、25℃で溶媒を乾燥させた。
その後、この塗工フィルムを20mm×50mmの短冊状に切断し、500ccの耐圧容器に入れ、15℃の雰囲気中、25Mpaに加圧した後、圧力を保ったままガス量にして約5リットル/分の流量でCOを注入、排気して添加物を抽出する操作を2時間行った。得られたフィルムには孔の存在が確認できなかった。(図6参照)
【0036】
(実験例)細胞培養
実施例2で調製した多孔質構造体を20mm×50mmの短冊状に切断し、あらかじめサイドガスにて滅菌しておいた。滅菌した上記多孔質構造体を、Ф15mmのシャーレ内に置き、L6細胞(ラット骨格筋芽細胞株化細胞、ATCCより入手)を40cells/mmとなるように各基材上に播種した(各n=4)。培養液はDMEM(1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10%ウシ胎児血清)を用いた。各シャーレに蓋をして、COインキュベータ内で培養し、4日後の細胞数を計数した。その結果を図7に示した。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本発明の多孔質構造体の製造方法により、ガラス転移点が低く柔らかい材料であっても、構造変化を起こすことなく多孔質構造体を形成することができ、同時に多層に孔(セル)をもつ構造体を形成することができる。
本発明の製造方法により得られた多孔質構造体は、細胞培養の足場基材として利用することができ、さらに細胞から三次元組織体を形成するときの足場基材としても好適に利用することができる。また、生分解性ポリマーを材料とするため、生体内に移植することも可能であり、再生医療など医療の分野においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1の多孔質構造体の断面を示す図である。
【図2】実施例2の多孔質構造体の断面を示す図である。
【図3】実施例3の多孔質構造体の断面を示す図である。
【図4】実施例4の多孔質構造体の断面を示す図である。
【図5】実施例5の多孔質構造体の断面を示す図である。
【図6】比較例のフィルムの断面を示す図である。
【図7】実施例2の多孔質構造体を細胞培養用足場基材として用いたときの細胞増殖結果を示す図である。(実験例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、多孔質構造体の製造方法:
1)生分解性ポリマーと該生分解性ポリマーに対する非相溶性材料とを混合して塗工液を調製する工程;
2)調製した塗工液を塗工用基材に塗布する工程;
3)塗布した塗工液中のポリマーと非相溶性材料とが相分離した相分離構造を有する塗膜を形成する工程;および、
4)相分離構造を有する塗膜から非相溶性材料を抽出する工程。
【請求項2】
非相溶性材料の抽出が、前記ポリマーのガラス転移点以上融点以下の温度で行われる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
非相溶性材料の抽出が、亜臨界または超臨界二酸化炭素を用いることによる請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造され、孔径が0.1〜100μmの孔を有する多孔質構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の多孔質構造体からなる細胞培養用足場基材。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−191564(P2007−191564A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10335(P2006−10335)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】