説明

多官能オキセタニル基含有紫外線硬化性樹脂組成物

【課題】本発明が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、かつ柔軟性に優れた硬化物を形成できるカチオン重合性の紫外線硬化性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)で示される構造を有するウレタンプレポリマー(A)、及び光カチオン重合開始剤(B)を含有することを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物に関する。(下記式中のR及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤分野をはじめとする様々な分野に適用可能な紫外線硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化性樹脂組成物は、一般に加熱工程を経ることなく、紫外線を照射することによって硬化物を形成することができる。そのため、紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば加熱により損傷を受けやすい、プラスチック基材や電子部材等用の接着剤、及び表面コーティング剤等の用途に展開可能な材料として、近年注目されている。
【0003】
前記紫外線硬化性樹脂組成物は、主としてラジカル重合性のものとイオン重合性のものとに大別される。
【0004】
ラジカル重合性の紫外線硬化性樹脂組成物としては、例えば重合性不飽和二重結合を有する化合物とラジカル重合開始剤とを含有するものが従来より知られている。
【0005】
しかし、前記紫外線硬化性樹脂組成物のラジカル重合は、ラジカル間の停止反応や、大気中の酸素の影響によるラジカルの失活により、該組成物の硬化が十分に進行する前に停止する場合があった。
【0006】
一方で、イオン重合性の紫外線硬化性樹脂組成物としては、重合の活性種がカチオンであるカチオン重合性のものと、活性種がアニオンであるアニオン重合性のものとが知られている。
【0007】
前記イオン重合は、ラジカルに起因した硬化反応でないため、前記したようなラジカル間の停止反応やラジカルの失活を引き起こさず、また、該組成物への紫外線照射を重合途中で中止した場合であっても引き続き進行する。
したがって、前記イオン重合性紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば不透明な基材の貼り合せに使用可能な接着剤等をはじめ、重合がほぼ完全に進行するまで紫外線を照射し続けることの困難な用途への展開が可能な材料として期待されている。
【0008】
前記イオン重合性紫外線硬化性樹脂組成物としては、ウレタン樹脂と光重合開始剤とを含有するものが検討されている。ウレタン樹脂は、その組成によって程度は異なるものの、例えばそれを接着剤として使用した場合に、接着された基材の湾曲等の変形に対して、ある程度追随可能なレベルの柔軟性を有していることが多い。
したがって、ウレタン樹脂をイオン重合によって硬化させることが可能となれば、とりわけ、柔軟性等に優れた硬化物を、加熱工程を経ることなく形成可能であるという高付加価値を有する接着剤や塗料等を、提供することが可能となる。
【0009】
前記ウレタン樹脂含有のイオン重合性紫外線硬化性樹脂組成物としては、例えば末端にオキセタニル基を有するポリウレタン樹脂と、側鎖に水酸基と脂環式エポキシ基を有するアクリル樹脂と、オキセタニル基含有化合物と、脂環式エポキシ樹脂と、カチオン重合開始剤とを含有する光カチオン重合性の樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
しかし、前記樹脂組成物は、硬化に際し一般的に十分な量の紫外線が照射された場合であってもカチオン重合を十分に進行することができない場合があるという点で、実用上十分なレベルの硬化性をしているとは言い難い。カチオン重合が十分に進行していない硬化物は、例えば有機溶剤等の侵食を受けやすい等の問題を有している。
【0011】
以上のように、紫外線照射によってカチオン重合を十分に進行可能であり、更には各種基材の湾曲等の変形に対して追随可能なレベルの優れた柔軟性を有する硬化物を形成可能なウレタン樹脂含有の紫外線硬化性樹脂組成物は、未だ見出されていない。
【0012】
【特許文献1】特開2001−246706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、かつ柔軟性に優れた硬化物を形成できるカチオン重合性の紫外線硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0014】
本発明者等は、優れた硬化性の発現には、カチオン重合を十分に進行させることが重要であるから、カチオン重合に直接関与する、ウレタンプレポリマー中のカチオン重合性基の導入量を増加させることによって、前記課題を解決できるのではないかと考えた。
【0015】
具体的には、3個以上のイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂と、代表的なオキセタン化合物の一つである3−エチル−3ヒドロキシメチルオキセタンとを反応させて得られる、カチオン重合性基として3個以上のオキセタニル基を有するポリウレタン樹脂、及び光カチオン重合開始剤を含有する組成物を検討した。しかし、前記組成物であっても、依然として十分なレベルの硬化性を発現できず、また、オキセタニル基の数が増加するにしたがって、前記組成物の粘度が増加し、塗工作業性が低下する傾向が見られた。
【0016】
そこで、カチオン重合性基を有する脂環式エポキシ化合物等の各種反応性希釈剤を、前記ポリウレタン樹脂及びカチオン重合開始剤と併用することによって、塗工作業性を低下させることなくカチオン重合が促進され、その結果、前記組成物の硬化性が向上するのではないかと考え、検討進めた。
しかし、前記反応性希釈剤を併用する方法によっても、該組成物の硬化性を実用上十分なレベルにまで向上させることは、依然として困難であった。
【0017】
本発明者等は、様々な構造を有するウレタンプレポリマーと光カチオン重合開始剤との組み合わせの検討を更に進めた結果、後述するような特定のオキセタニル基含有構造を有するウレタンプレポリマーと光カチオン重合開始剤とを含む樹脂組成物であれば、塗工作業性をコントロールする事も可能でありつつ、硬化性を飛躍的に向上でき、更には、優れた柔軟性を有する硬化物を形成可能であることを見い出した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
即ち本発明は、下記一般式(1)で示される構造を有するウレタンプレポリマー(A)、及び光カチオン重合開始剤(B)を含有することを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物に関する。
【0019】
【化1】

(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【発明の効果】
【0020】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、硬化性に優れ、かつ基材の湾曲等の変形に対して追随可能なレベルの優れた柔軟性を有する硬化物を形成することが可能であり、更には基材に対する良好な密着性を有する。これらのことから、例えば光学部品用接着剤等の各種接着剤及び粘着剤や、液晶シール剤等の各種シーリング剤や、液状プリント配線板レジスト及びドライフィルムレジスト等の各種レジストや、剥離紙用コーティング剤、光ディスク用コート剤、缶コーティング剤、人工皮革・合成皮革用表面コート剤等の各種コーティング剤や、平版インキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、グラビアインキ及びジェットインキ等の各種インキ用ビヒクル等の広範な分野において使用することが可能であり、実用上、極めて利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の合成例1で得られた1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールをC−NMRで評価した図である。
【図2】本発明の合成例1で得られた1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールをH−NMRで評価した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、一般式(1)で示される構造を有するウレタンプレポリマー(A)、及び光カチオン重合開始剤(B)を主成分として含有し、その他に必要に応じて各種添加剤等を含有する紫外線硬化性樹脂組成物である。
【0023】
【化2】

(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【0024】
はじめに、本発明で使用する前記一般式(1)で示される構造を有するウレタンプレポリマー(A)について説明する。
【0025】
本発明で使用するウレタンプレポリマー(A)は、分子中に前記一般式(1)で示される構造を有する。ウレタンプレポリマー(A)は、単にカチオン重合性基として既に知られているオキセタニル基を有していればよい、というものではない。前記一般式(1)によって示された特定のオキセタニル基含有の構造を有していることが、優れた硬化性を有し、かつ柔軟性に優れた硬化物を形成可能な本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を得るうえで重要である。
【0026】
例えば、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンとを反応させて得られる、上記構造を含まないオキセタニル基含有ウレタンプレポリマー及び光カチオン開始剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物は、紫外線を十分に照射しても、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に匹敵するレベルの硬化性を発現できない。
【0027】
前記ウレタンプレポリマー(A)としては、前記一般式(1)で示される構造を分子中のいずれの位置に有するものも使用でき、含まれる構造の数も制限されない。なかでも、前記一般式(1)で示される構造を分子両末端に有するウレタンプレポリマーを使用することが、優れた硬化性を有し、かつ柔軟性に優れた硬化物を形成可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得るうえでより好ましい。
【0028】
前記一般式(1)で示される構造は、1個の炭素原子に結合した2個のエーテル結合含有分子鎖上に、それぞれオキセタニル基を有する構造である。
【0029】
前記一般式(1)で示される構造中のaは0または1を表し、0であることが好ましい。
また、前記一般式(1)で示される構造中のb及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0030】
また、前記一般式(1)で示される構造中のR及びRは、それぞれ独立して、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基を表すが、なかでもメチレン基であることが好ましい。
また、前記一般式(1)で示される構造中のR、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基または水素原子を表す。前記アルキル基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等である。
また、前記一般式(1)で示される構造中のR及びRは、それぞれ独立して、2〜4個の炭素原子数を含むアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などである。
【0031】
前記一般式(1)で示される構造は、具体的には下記一般式(3)で示されるような、一般式(1)中のaが0であり、b及びcが0〜4の整数であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、R及びRがエチル基であり、かつR及びRがそれぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基である構造、であることが好ましい。
【0032】
【化3】

【0033】
(一般式(3)中のR及びRはそれぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表し、b’及びc’は、それぞれ独立して0〜4の整数を表す。)
【0034】
特に、一般式(1)で示される構造は、下記化学式(4)で示されるような、一般式(1)中のa、b及びcがいずれも0であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、かつR及びRがエチル基である構造、であることがより好ましい。化学式(4)で示される構造を有するウレタンプレポリマーは、その製造の際に凝集物を発生させにくく、また、該ウレタンプレポリマーを使用することによって優れた硬化性と柔軟性とを発現可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
【化4】

【0036】
また、前記ウレタンプレポリマー(A)中における前記一般式(1)で示される構造の存在量は、含まれる前記構造の数とポリマー分子量に基づき、250〜50000当量の範囲であることが好ましく、350〜35000であることがより好ましく、500〜25000当量の範囲であることがさらに好ましい。
【0037】
また、ウレタンプレポリマーといわれるものは、一般的に比較的低分子量のものが多いが、当業者においては、数万の数平均分子量を有するものもウレタンプレポリマーと称されており、本発明においても数万の数平均分子量を有するウレタンプレポリマーを使用することができる。本発明で使用するウレタンプレポリマー(A)のサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した数平均分子量は、500〜100000の範囲であることが好ましく、750〜75000の範囲であることがより好ましく、1000〜50000の範囲であることが更に好ましい。前記範囲内の数平均分子量を有するウレタンプレポリマー(A)を使用することによって、得られる紫外線硬化性樹脂組成物の粘度を比較的調整しやすい。このことから、例えば該組成物を基材上に塗工する際の作業性を向上できるだけでなく、例えば有機及び無機基材に対する良好な密着性と、該基材の湾曲等の変形に対して追随可能なレベルの柔軟性とを発現することができる。なお、本発明でいう数平均分子量とは、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、流量1ml/分の条件で、RI検出器(屈折法)にて、分子量既知のポリスチレン換算にて測定した値を表す。
【0038】
前記ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は特には制限されない。例えば、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを、前記ポリイソシアネート(a2)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(a1)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)を製造し、次いで前記ウレタンプレポリマー(a)の有するイソシアネート基と、下記一般式(2)で示される化合物(b)の有する水酸基とを反応させることによって製造することができる。
【0039】
【化5】

(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【0040】
前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に使用できる前記ポリオール(a1)としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、主鎖が炭素原子−炭素原子結合からなるポリオール等が挙げられる。これらは、単独で使用又は2種以上併用することができる。
【0041】
前記ポリオール(a1)に使用可能なポリエーテルポリオールとしては特に制限はないが、例えば分子中に活性水素含有基を2個以上有する反応開始剤と、アルキレンオキシドとの反応により得られる化合物等が挙げられる。
【0042】
前記反応開始剤としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、蔗糖、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、蔗糖アミン化合物、燐酸、酸性リン酸エステル等を使用することができ、これらを単独使用または2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記アルキレンオキシドとしては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を使用することができ、これらを単独使用または2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記分子中に活性水素含有基を2個以上有する反応開始剤とアルキレンオキシドとの反応により得られるポリエーテルポリオールの具体例としては、例えばポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール及びそれらの共重合体等が挙げられる。
【0045】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、前記したものの他にテトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコールや、ウレタン変性ポリエーテルポリオールや、ポリエーテルエステルコポリマーポリオールや、各種ポリオール中でアクリロニトリル及びスチレンモノマー等のビニル基含有モノマーをグラフト重合して得られるポリエーテルポリオール(一般に、ポリマーポリオールといわれる。)や、各種ポリエーテル中にポリウレアが安定分散したポリオール(一般にPHDポリオールといわれる。なお、PHDは、polyharnsstoff dispersionの略である。)を使用することもできる。これらを単独使用または2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記ポリオール(a1)に使用可能なポリエステルポリオールとしては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば低分子量ポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールや、環状エステル化合物を開環重合することによって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0047】
前記低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールへプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等を使用することができ、これら単独で使用又は2種以上併用することができる。
【0048】
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を使用することができ、これら単独で使用又は2種以上併用することができる。
【0049】
前記環状エステル化合物としては、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等を使用することができ、これら単独で使用又は2種以上併用することができる。
【0050】
前記ポリオール(a1)に使用可能なポリカーボネートポリオールとしては、例えば前記低分子量ポリオール及びアルキレンカーボネート等の縮合反応により得られるものが挙げられる。
【0051】
前記ポリオール(a1)に使用可能な主鎖が炭素原子−炭素原子結合からなるポリオールとしては、例えばポリブタジエンポリオールや、水添ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
【0052】
前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に使用できるポリイソシアネート(a2)としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、あるいはキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香環にアルキレン基を介してイソシアネート基が結合しているジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられ、これら単独で使用又は2種以上併用することができる。
【0053】
前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に使用できる前記一般式(2)で示される化合物(b)は、1個の炭素原子に結合した2個のエーテル結合含有分子鎖上にそれぞれオキセタニル基を有し、かつ前記ウレタンプレポリマー(a)の有するイソシアネート基と反応しうる水酸基、とを有する化合物である。
【0054】
【化6】

(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【0055】
前記一般式(2)で示される化合物(b)中のaは、0または1を表し、0であることが好ましい。
また、前記一般式(2)で示される化合物(b)中のb及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0056】
また、前記一般式(2)で示される化合物(b)中のR及びRは、それぞれ独立して、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基を表すが、なかでもメチレン基であることが好ましい。
また、前記一般式(2)で示される化合物(b)中のR、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基または水素原子を表す。前記アルキル基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等である。
また、前記一般式(2)で示される化合物(b)中のR及びRは、それぞれ独立して、2〜4個の炭素原子数を含むアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などである。
【0057】
前記一般式(2)で示される化合物(b)は、具体的には下記一般式(5)で示されるような、一般式(2)中のaが0であり、b及びcが0〜4の整数であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、R及びRがエチル基であり、かつR及びRがそれぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基であるものが好ましい。
【0058】
【化7】

(一般式(5)中のR及びRはそれぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表し、b’及びc’は、それぞれ独立して0〜4の整数を表す。)
【0059】
なかでも、一般式(2)で示される化合物(b)としては、下記化学式(6)で示される、一般式(2)中のa、b及びcがいずれも0であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、かつR及びRがエチル基である化合物[言い換えれば、一般式(5)中のb’及びc’がともに0である化合物。物質名 1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)プロパン−2−オール]、を使用することがより好ましい。化学式(6)で示される化合物は、その製造の際に発生した副生成物から、蒸留等の手段によって容易に精製することができる。精製された化学式(6)で示される化合物を使用することによって、前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に凝集物を発生させにくく、優れた硬化性と柔軟性とを発現可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0060】
【化8】

【0061】
前記一般式(2)で示される化合物(b)は、各種方法により製造することができるが、例えば前記化学式(6)で示される化合物であれば、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとを、水酸化ナトリウムの存在下で混合し反応させることによって製造することができる。
【0062】
前記化学式(6)で示される化合物は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとを、例えば5〜20℃のフラスコ内で、1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの1モルに対し、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを2〜10モルとなる割合で混合し、6〜12時間程度攪拌しながら反応させることによって製造することができる。
【0063】
前記3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの反応では、目的とする前記化学式(6)で示される化合物の他に、各種副生成物が製造されることが多い。したがって、前記反応終了後に、反応生成物を濾過や蒸留等の手段によって精製して副生成物を除いた前記化合物を使用することが、前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に凝集物の発生を抑制する観点からより好ましい。
【0064】
前記化学式(6)で示される化合物の蒸留は、例えば140℃以上、20mbar以下の条件にて行うのが好ましく、150℃以上、0.02mbar以下の条件にて行うのがより好ましい。
【0065】
また、前記一般(5)で示される化合物のうち、b及びcが1〜4である化合物は、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン及びエチレンカーボネートの反応物と、1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとを、水酸化ナトリウムの存在下で反応させることによって製造することができる。
【0066】
前記3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン及びエチレンカーボネートの反応物と、1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの反応では、目的とする前記化学式(5)で示される化合物の他に、各種副生成物が製造されることが多い。したがって、前記反応終了後に、反応生成物を濾過や蒸留等の手段によって精製して副生成物を除いた前記化合物を使用することが好ましい。
【0067】
前記前記3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン及びエチレンカーボネートの反応物と1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの反応生成物の蒸留は、例えば140℃以上、20mbar以下の条件にて行うのが好ましく、150℃以上、0.02mbar以下の条件にて行うのがより好ましい。
【0068】
前記ウレタンプレポリマー(A)を製造する際に使用可能な、前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)の製造方法は特に制限されず必要に応じて選択され得る。例えば、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを、例えば窒素置換された70〜100℃のフラスコ内で、前記ポリオール(a1)が有する水酸基の当量に対し前記ポリイソシアネート(a2)の有するイソシアネート基の当量が過剰となる割合で混合し、2〜15時間程度攪拌しながら反応させることによって製造することができる。
【0069】
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応は、前記ポリオール(a1)が有する水酸基1当量に対して前記ポリイソシアネート(a2)の有するイソシアネート基の当量割合が1.1〜5.0となる範囲で行うことが好ましく、1.4〜4.0の範囲で行うことがより好ましく、1.3〜3.0の範囲で行うことがさらに好ましい。前記範囲内の当量割合で反応させて得られたウレタンプレポリマーを使用することにより、硬化性に優れ、かつ優れた柔軟性を有する硬化物を形成可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0070】
また、前記ウレタンプレポリマー(a)を製造する際には、前記ポリオール(a1)や前記ポリイソシアネート(a2)の他に、必要に応じて、イソシアネート基と反応しうる活性水素を有する化合物を使用することができる。
【0071】
前記活性水素を有する化合物としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば低分子量ポリオール、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン等の、一般的に鎖伸長剤として知られているものを使用することができる。
【0072】
前記低分子量ポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示した低分子量ポリオールと同様のものを使用することができる。
【0073】
前記ウレタンプレポリマー(A)は、前記製造方法で得られたウレタンプレポリマー(a)と前記一般式(2)で示される化合物(b)とを、例えば窒素雰囲気下、70〜100℃の範囲で2〜15時間程度それらを攪拌し、前記ウレタンプレポリマー(a)の有するイソシアネート基と前記化合物(b)の有する水酸基とを反応させることによって製造することができる。
【0074】
前記ウレタンプレポリマー(a)と、前記化合物(b)とは、前記化合物(b)が有する水酸基1当量に対して、前記ウレタンプレポリマー(a)のイソシアネート基の当量割合が、0.5〜1.5の範囲で反応させることが好ましく、0.5〜1.2の範囲で反応させることが好ましく、0.8〜1.2の範囲で反応させることがより好ましい。前記範囲内の当量割合で反応させて得られるウレタンプレポリマーを使用することにより、硬化性及び塗工作業性に優れ、かつ優れた柔軟性を有する硬化物を形成可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0075】
次に、本発明で使用する光カチオン重合開始剤(B)について説明する。
【0076】
本発明において光カチオン重合開始剤とは、紫外線照射によってカチオン重合を開始させる酸成分を発生させることのできる化合物を意味する。本発明で使用する光カチオン重合開始剤は、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線が照射された際に酸成分を発生させ、前記ウレタンプレポリマー(A)のカチオン重合を開始させる。
【0077】
前記光カチオン重合開始剤としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば、カチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チオキサントニウム、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄カチオン、及びチアンスレニウムであって、アニオン部分が、BF、PF、SbF、[BX(但し、Xは、フェニル基の有する水素原子の2個以上が、フッ素原子またはトリフルオロメチル基によって置換された官能基を示す。)で構成される、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩、チオキサントニウム塩、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩、等を単独で使用または2種以上を併用することができる。
【0078】
前記芳香族スルホニウム塩としては、例えばビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
【0079】
また、前記芳香族ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
【0080】
また、前記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えばフェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
【0081】
また、前記芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
【0082】
また、前記チオキサントニウム塩としては、S−ビフェニル 2−イソプロピル チオキサントニウム ヘキサフルオロホスフェート等を使用することができる。
【0083】
また、前記(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
【0084】
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、CPI−100P、CPI−101A(以上、サンアプロ(株)製)、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6990、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6992、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6976(以上、ダウ・ケミカル日本(株)製)、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172(以上、旭電化工業(株)製)、CI−5102、CI−2855(以上、日本曹達(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160、サンエイドSI−180(以上、三新化学工業(株)製)、エサキュア1064、エサキュア1187(以上、ランベルティ社製)、オムニキャット432、オムニキャット440、オムニキャット445、オムニキャット550、オムニキャット650、オムニキャットBL−550(アイジーエム レジン社製)、イルガキュア250(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、ロードシル フォトイニシエーター2074(RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローディア・ジャパン(株)製)等が市販されている。
【0085】
また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、前記ウレタンプレポリマー(A)及び光カチオン重合開始剤(B)の他に、ウレタンプレポリマー(A)以外のカチオン重合性化合物(C)を併用することが、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の塗工作業性を向上させることができるため好ましい。
【0086】
紫外線硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、塗工作業性を向上させる方法としては、一般に有機溶剤を併用する方法が知られている。
しかし、有機溶剤含有の紫外線硬化性樹脂組成物を使用した場合には、該組成物を基材上に塗布した後、該塗布層中に含まれる有機溶剤を揮発し除去する工程が必要となる問題があり、塗工作業の効率化及び地球環境負荷低減の観点から好ましくない。
そこで、有機溶剤の代わりに、その皮膜形成過程において前記ウレタンプレポリマー(A)等と共重合し硬化皮膜を形成しうる前記その他のカチオン重合性化合物(C)を反応性希釈剤として使用すれば、その塗工作業効率を低下させることなく、また地球環境負荷を増加させることなく、紫外線硬化性樹脂組成物の塗工作業性を向上することが可能となるため好ましい。
【0087】
前記カチオン重合性化合物(C)としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば下記構造式(7)で示されるオキセタン環構造を分子中に有するオキセタン化合物をはじめ、脂環式エポキシ化合物や、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、及び脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル化合物、等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物等を単独で使用又は2種以上併用することができる。前記オキセタン化合物を使用することが好ましい。
【0088】
【化9】

【0089】
前記オキセタン化合物としては、オキセタン環構造を複数個、好ましくは2〜4個有するものを使用することができる。
【0090】
前記2〜4個のオキセタン環構造を有するオキセタン化合物としては、例えば下記一般式(8)、及び(9)で示される化合物等を単独で使用又は2種以上を併用することができる。
【0091】
【化10】

【0092】
【化11】

【0093】
上記一般式(8)、及び(9)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、フリル基又はチエニル基を表し、Rは2価の有機残基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0094】
前記Rが示す炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−もしくはi−プロピル基、n−、i−もしくはt−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等であり、また、アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、トリル、キシリル基等であり、また、アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル基等である。
【0095】
また、前記一般式(8)中、Rが表す2価の有機残基としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基、4〜30個の炭素原子を有するポリオキシアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基、下記一般式(10)及び(11)で示される構造がある。
【0096】
前記Rを構成する直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基は、メチレン基、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素原子数1〜15のアルキレン基であることが好ましい。また、4〜30個の炭素原子を有するポリオキシアルキレン基は、4〜8個の炭素原子を有するものが好ましく、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基であることが好ましい。
【0097】
【化12】

【0098】
前記一般式(10)中、R10は酸素原子、硫黄原子、CH2、NH、SO、SO2、C(CF3)又はC(CH3)を表す。
【0099】
【化13】

【0100】
前記一般式(11)中、R11は1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基、アリーレン基、及び下記一般式(12)で示される官能基を示す。
【0101】
【化14】

【0102】
前記一般式(12)中、dは1〜6の整数を表し、eは1〜15の整数を示す。
【0103】
前記一般式(12)としては、eが1〜3の整数であることが好ましい。
【0104】
前記2〜4個のオキセタン環構造を有するオキセタン化合物としては、例えば、アロンオキセタンOXT−221、アロンオキセタンOXT−121(以上、東亞合成(株)製)、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP(以上、宇部興産(株)製)等が市販されている。
【0105】
また、前記脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を複数個、好ましくは2〜4個有するものを使用することができる。
脂環式エポキシ基を2個有する脂環式エポキシ化合物としては、例えば、下記一般式(13)で示される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(式(13)中、fが0の化合物。)や、そのカプロラクトン変性物(式(13)中、fが1の化合物。)、そのトリメチルカプロラクトン変性物(構造式(14)及び構造式(15))、及びそのバレロラクトン変性物(構造式(16)及び構造式(17))や、構造式(18)で示される化合物を使用することができる。
【0106】
【化15】

【0107】
前記一般式(13)中、fは0又は1を表す。
【0108】
【化16】

【0109】
【化17】

【0110】
【化18】

【0111】
【化19】

【0112】
【化20】

【0113】
前記一般式(13)で示される、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびそのカプロラクトン変性物としては、例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085(以上、ダイセル化学工業(株)製)、サイラキュアUVR−6105、サイラキュアUVR−6107、サイラキュアUVR−6110(以上、ダウ・ケミカル日本(株)製)等が市販されている。
【0114】
また、前記一般式(18)で示されるアジピン酸エステル系の脂環式エポキシ化合物としては、例えばサイラキュアUVR−6128(以上、ダウ・ケミカル日本(株)製)等が市販されている。
【0115】
脂環式エポキシ基を3個有する脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(19)で示される化合物を使用することができる。
【0116】
【化21】

【0117】
一般式(19)中、g及びhは、それぞれ独立して0又は1であり、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0118】
一般式(19)で示される脂環式エポキシ化合物としては、例えばエポリードGT301、エポリードGT302(以上、ダイセル化学工業(株)製)等が市販されている。
【0119】
脂環式エポキシ基を4個有する脂環式エポキシ化合物としては、例えば下記一般式(20)で示される化合物を使用することができる。
【0120】
【化22】

【0121】
前記一般式(20)中、i〜lは、それぞれ独立して0又は1を示し、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
前記一般式(20)で示される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、エポリードGT401、エポリードGT403(以上、ダイセル化学工業(株)製)等が市販されている。
【0123】
また、前記ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、エピクロン840、エピクロン840−S、エピクロン850、エピクロン850−S、エピクロン850−CRP、エピクロン850−LC(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、jER827、jER828、jER828EL、jER828XA、jER834(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、リカレジンBPO−20E、リカレジンBEO−60E(以上、新日本理化(株)製)等が市販されている。
【0124】
前記水添ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、デナコールEX−252(以上、ナガセケムテックス(株)製)、SR−HBA(以上、阪元薬品工業(株)製)、jERYX8000、jERYX8034(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、リカレジンHBE−100(以上、新日本理化(株)製)等が市販されている。
【0125】
前記ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えば、エピクロン830、エピクロン830−S、エピクロン830−LVP、エピクロン835、エピクロン835−LV(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、jER806、jER806L、jER807(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等が市販されている。
【0126】
また、前記脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を使用することができる。
【0127】
前記脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル化合物としては、前記したなかでも2〜4個のエポキシ基を有する脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル化合物を使用することが好ましい。
【0128】
前記2〜4個のエポキシ基を有する脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、エピクロン703、エピクロン705、エピクロン707、エピクロン720、エピクロン725、エピクロン726(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−614B、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−212L、デナコールEX−214L、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−850L、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(以上、ナガセケムテックス(株)製)、SR−NPG、SR−16H、SR−16HL、SR−TMP、SR−PG、SR−TPG、SR−4PG、SR−2EG、SR−8EG、SR−8EGS、SR−GLG、SR−DGE、SR−DGE、SR−4GL、SR−4GLS、SR−SEP(以上、阪元薬品工業(株)製)、YED205、YED216、YED216M(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等が市販されている。
【0129】
前記カチオン重合性化合物(C)としては、オキセタン環構造を有するオキセタン化合物を使用することが好ましく、2〜4個のオキセタン環構造を有するオキセタン化合物を使用することがより好ましい。前記オキセタン環構造を有するオキセタン化合物を使用することによって、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の塗工作業性を向上できるだけでなく、該組成物の硬化性をより一層向上させることができる。
【0130】
次に、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば密閉型プラネタリーミキサー等を用いて前記ウレタンプレポリマー(A)と、必要に応じて前記カチオン重合性化合物(C)とを均一になるまで混合、攪拌し、次いで、前記で得られた混合物と前記光カチオン重合開始剤(B)とを混合、攪拌することによって製造することができる。
【0131】
前記光カチオン重合開始剤(B)は、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の全量に対して0.5〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、0.7〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。前記範囲の光カチオン重合開始剤(B)を含む紫外線硬化性樹脂組成物は、良好な硬化性を有し、また、光カチオン重合開始剤(B)が発生させる酸の、硬化物中における残存量を低減させることができるため、酸による金属基材の劣化を抑制することができる。
【0132】
また、前記カチオン重合性化合物(C)を併用する場合には、前記ウレタンプレポリマー(A)と前記カチオン重合性化合物(C)との質量割合[(A)/(C)]が、90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、80/20〜20/80の範囲であることがより好ましい。
【0133】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0134】
前記添加剤としては、例えばシランカップリング剤、有機溶剤、充填剤、チキソ付与剤、増感剤、前記した各種ポリオール及びそれ以外のその他のポリオール、レベリング剤、酸化防止剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、有機顔料、無機顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、中空発泡体、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤等のほか、有機及び無機水溶性化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等のその他の樹脂を併用することができる。
【0135】
前記添加剤のうち、代表的なものとしては、下記のシランカップリング剤や、有機溶剤、充填剤、チキソ付与剤が挙げられる。
【0136】
前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランまたはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等を使用することができる。
【0137】
また、前記添加剤としては、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の粘度を調整し、その塗工作業性等を改善する観点から、有機溶剤を併用することができ、かかる有機溶剤としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、二塩基酸ジエステル、テトラクロルエチレン等を使用することができる。但し、有機溶剤含有の紫外線硬化性樹脂組成物を使用した場合には、該組成物を基材上等に塗布した後、該塗布層中に含まれる有機溶剤を揮発し除去する工程が必要となるという問題があり、塗工作業の効率化及び地球環境負荷低減の観点から、できるだけ使用しないことが好ましい。
【0138】
また、前記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、カーボンブラック、アルミナ、酸化マグネシウム、無機或いは有機バルーン、リチアトルマリン、活性炭等を使用することができる。
【0139】
前記チキソ付与剤としては、例えば、表面処理炭酸カルシウム、微粉末シリカ、ベントナイト、ゼオライト等を使用することができる。
【0140】
前記添加剤は、例えば密閉型プラネタリーミキサー等を用いて前記ウレタンプレポリマー(A)及び必要に応じて前記カチオン重合性化合物(C)を混合、攪拌する際に、併せて混合することができる。
【0141】
前記方法で得られた本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、例えばその一部に紫外線を照射することによって、該組成物のカチオン重合を進行させることができる。
紫外線の照射量としては特に制限なく必要に応じて選択できるが、例えば50〜5000mJ/cmが好ましく、100〜3000mJ/cmがより好ましく、100〜1000mJ/cmが特に好ましい。本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、比較的低レベルの紫外線照射量、目安として概ね100〜1000mJ/cmの照射量であっても、十分に硬化するため、紫外線の多量の照射による基材の損傷を抑制することができる。尚、上記の紫外線照射量は、UVチェッカーUVR−N1(日本電池(株)製)を用いて300〜390nmの波長域において測定した値に基づく。
【0142】
前記紫外線を照射する際には、例えばキセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプなどの公知のランプを使用することができる。
【0143】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、例えばコーティング剤や接着剤、成形材料等に使用することができる。
【0144】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物をコーティング剤として使用する場合には、該組成物を各種基材上に、例えばナイフコーター等を用いて2〜50μmの厚さに塗布した後、該塗布面に紫外線を照射する方法によって、皮膜を形成することができる。
【0145】
また、前記紫外線硬化性樹脂組成物を接着剤として使用する場合には、該組成物を各種基材上に、例えばロールコーター等を用いて10〜100μmの厚さに塗布した後、該塗布面に紫外線を照射し、次いで基材を貼り合せる方法がある。
また、使用する基材が透明または半透明の場合には、該組成物を基材上に、例えばロールコーター等を用いて10〜100μmの厚さに塗布し、該塗布面に別の基材を貼り合せた後に、透明または半透明の基材上から紫外線を照射することによって、該組成物からなる接着剤層を硬化させ複数の基材を接着することができる。
【実施例】
【0146】
以下、本発明を実施例、及び比較例により、一層具体的に説明する。
【0147】
[合成例1]1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オール(化学式6)の調製
清浄なフラスコに3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン818質量部と水酸化ナトリウム90質量部とを仕込み、次いでそのフラスコ内を5℃に冷却し、それらを攪拌し混合した。
攪拌中の前記フラスコ内に、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン182質量部を2時間かけて滴下し、前記3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと前記1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとを18時間反応させることによって、下記化学式(6)で示される構造を有する1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールを含む混合物を得た。なお、前記1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールの合成は、下記化学反応式にしたがって進行する。
次に、前記混合物を140℃、20mbarの条件にて蒸留することで、前記1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールを前記混合物から単離した。また、前記1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールの同定は、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、EX−270)を用いてC−NMR及びH−NMRを測定し、上記化合物が製造、単離されていることを確認した。図1及び2に、得られた1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールのC−NMR及びH−NMRによる測定結果を示す。
【0148】
【化23】

【0149】
【化24】

【0150】
[合成例2](ウレタンプレポリマー(I)の合成例)
清浄なフラスコにポリプロピレングリコール(水酸基当量=1000)496質量部を仕込み、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート186質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=3.00)、窒素雰囲気下で攪拌しながら、それらを90℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調製した。
【0151】
次いで、前記フラスコ内に、合成例1で調製した1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールの318質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=0.90)、窒素雰囲気下で攪拌しながら前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールとを90℃で10時間反応させることによって、ウレタンプレポリマー(I)を調製した。得られたウレタンプレポリマー(I)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した数平均分子量は、2000であった。また、得られたウレタンプレポリマー(I)は、分子の両末端に、前記一般式(1)で示される構造のうち、a、b及びcが0であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、かつR及びRがエチル基である構造、を有していた。
【0152】
[合成例3](ウレタンプレポリマー(II)の合成例)
清浄なフラスコにポリカプロラクトンポリオール(水酸基当量=1000)496質量部を仕込み、次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート186質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=3.00)、窒素雰囲気下で攪拌しながらそれらを90℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調製した。
【0153】
次いで、前記フラスコ内に、合成例1で調製した1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールの318質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=0.90)、窒素雰囲気下で攪拌しながら前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと1,3−ビス(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−プロパン−2−オールとを90℃で10時間反応させることによって、ウレタンプレポリマー (II)を調製した。得られたウレタンプレポリマー(II)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した数平均分子量は、2000であった。また、得られたウレタンプレポリマー(II)は、分子の両末端に、前記一般式(1)で示される構造のうち、a、b及びcが0であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、かつR及びRがエチル基である構造、を有していた。
【0154】
[合成例4](ウレタンプレポリマー(III)の合成例)
清浄なフラスコにポリプロピレングリコール(水酸基当量=1000)649質量部を仕込み、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート244質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=3.00)、窒素雰囲気下で攪拌しながらそれらを90℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調製した。
【0155】
次いで、下記構造式(21)の化合物(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)107質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=0.90)、窒素雰囲気下で攪拌しながら前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと下記構造式(21)の化合物とを90℃で3時間反応させることによって、ウレタンプレポリマー(III)を調製した。得られたウレタンプレポリマー(III)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した数平均分子量は、2000であった。
【0156】
【化25】

【0157】
[合成例5](ウレタンプレポリマー(IV)の合成例)
清浄なフラスコにポリプロピレングリコール(水酸基当量=1000)648質量部を仕込み、次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート244質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=3.00)、窒素雰囲気下で攪拌しながらそれらを90℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調製した。
【0158】
次いで、グリシドール108質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=0.90)、窒素雰囲気下で攪拌しながら分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとグリシドールとを90℃で4時間反応させることによって、ウレタンプレポリマー(IV)を調製した。得られたウレタンプレポリマー(IV)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した数平均分子量は、2000であった。
【0159】
[合成例6](ウレタンプレポリマー(V)の合成例)
清浄なフラスコにポリプロピレングリコール(水酸基当量=1000)601質量部を仕込み、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート227質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=3.00)、窒素雰囲気下で攪拌しながらそれらを90℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調製した。
【0160】
次いで、下記構造式(22)で示される化合物(3,4−エポキシテトラヒドロベンジルアルコール)172質量部を仕込み(イソシアネート基当量/水酸基当量=0.90)、窒素雰囲気下で攪拌しながら分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと下記構造式(22)で示される化合物とを90℃で3時間反応させることによって、ウレタンプレポリマー(V)を調製した。得られたウレタンプレポリマー(V)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した数平均分子量は、2000であった。
【0161】
【化26】

【0162】
[実施例1]
密閉型プラネタリーミキサー中に、100質量部の前記ウレタンプレポリマー(I)、40質量部のアセトンを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100P(ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートのプロピレンカーボネート50質量%溶液、サンアプロ(株)製)を混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0163】
[実施例2]
密閉型プラネタリーミキサー中に、100質量部の前記ウレタンプレポリマー(II)、40質量部のアセトンを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0164】
[実施例3]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(I)、50質量部のデナコールEX−214L(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0165】
[実施例4]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(I)、50質量部のサイラキュアUVR−6110(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ダウ・ケミカル日本(株)製)を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0166】
[実施例5]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(I)、50質量部のアロンオキセタンOXT−221(ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、東亜合成(株)製)を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0167】
[比較例1]
密閉型プラネタリーミキサー中に、100質量部の前記ウレタンプレポリマー(III)、40質量部のアセトンを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0168】
[比較例2]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(III)、50質量部のサイラキュアUVR−6110を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0169】
[比較例3]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(III)、50質量部のデナコールEX−214Lを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0170】
[比較例4]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(III)、50質量部のアロンオキセタンOXT−221を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0171】
[比較例5]
密閉型プラネタリーミキサー中に、100質量部の前記ウレタンプレポリマー(IV)、40質量部のアセトンを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0172】
[比較例6]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(IV)、50質量部のサイラキュアUVR−6110を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0173】
[比較例7]
密閉型プラネタリーミキサー中に、100質量部の前記ウレタンプレポリマー(V)、40質量部のアセトンを仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0174】
[比較例8]
密閉型プラネタリーミキサー中に、50質量部の前記ウレタンプレポリマー(V)、50質量部のサイラキュアUVR−6110を仕込み、均一になるまで混合、攪拌した。
次に、5質量部のCPI−100Pを混合、攪拌することで、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0175】
実施例1〜5及び比較例1〜8の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化性、柔軟性を、以下に記した方法により評価した。
【0176】
[硬化性の評価方法]
実施例1、実施例2、比較例1、比較例5及び比較例7に記載の紫外線硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてポリプロピレン板上に100μmの厚さで塗布した後、23℃の環境下に5分間放置することで、該組成物中に含まれるアセトンを揮発させた。
次いで、コンベアタイプの紫外線照射装置CSOT―40(日本電池(株)製、高圧水銀ランプ使用、強度120W/cm)を用いて、紫外線照射量が700〜800mJ/cmとなる様に、前記紫外線硬化性樹脂組成物への紫外線照射を行った。その後、温度23℃及び湿度50%RH雰囲気下で7日間養生しフィルムを作製した。
尚、上記の紫外線照射量は、UVチェッカーUVR−N1(日本電池(株)製)を用いて300〜390nmの波長域において測定した値に基づく。
【0177】
次に、前記フィルムの約1g分を切り取り、その初期質量(g)を精密電子天秤を用いて測定した。
【0178】
次に、前記初期質量の測定後のフィルムを、50℃の条件下で24時間、酢酸エチル100g中に浸漬にした。浸漬後、酢酸エチル中のフィルムを、107℃の条件下で1時間乾燥させ、次いで精密電子天秤で測定することによって、該フィルムの浸漬後の質量(g)を求めた。
前記フィルムの初期質量と浸漬後の質量と下記式に基づいて、ゲル分率(質量%)を算出した。
【0179】
ゲル分率(質量%)=[浸漬後の質量(g)/初期質量(g)]×100
【0180】
また、実施例3〜5、比較例2〜4、比較例6、及び比較例8に記載の紫外線硬化性樹脂組成物については、アプリケーターを用いてポリプロピレン板上に100μmの厚さに塗布した後、コンベアタイプの紫外線照射装置CSOT―40(日本電池(株)製、高圧水銀ランプ使用、強度120W/cm)を用いて、紫外線照射量が700〜800mJ/cmとなる様に、前記紫外線硬化性樹脂組成物への紫外線照射を行った。その後、温度23℃及び湿度50%RH雰囲気下で7日間養生しフィルムを作製した。
【0181】
次に、前記フィルムの約1g分を切り取り、その初期質量(g)を精密電子天秤を用いて測定した。
【0182】
次に、前記初期質量の測定後のフィルムを、50℃の条件下で24時間、酢酸エチル100g中に浸漬にした。浸漬後、酢酸エチル中のフィルムを、107℃の条件下で1時間乾燥させ、次いで精密電子天秤で測定することによって、該フィルムの浸漬後の質量(g)を求めた。
前記フィルムの初期質量と浸漬後の質量と上記式に基づいて、ゲル分率(質量%)を算出した。
【0183】
[硬化性の評価基準]
前記方法で算出したゲル分率が90質量%以上である紫外線硬化性樹脂組成物は、硬化性に優れるといえ、実用上好ましい。
【0184】
[柔軟性の評価方法]
前記「硬化性の評価方法」の欄で記載した方法と同様の方法で、各紫外線硬化性樹脂組成物からなるフィルムを作製し、該フィルムを両手で1〜100°の範囲で折り曲げた際の各フィルムの割れの有無を、下記基準で評価した。
【0185】
(判定基準)
○・・・90°以上に折り曲げても割れが発生しない。
×・・・1以上90°未満の範囲で折り曲げると割れが発生する。
*・・・硬化が十分に進行せずフィルムを作製することができなかったため、評価できなかった。
【0186】
【表1】

【0187】
【表2】

【0188】
【表3】

【0189】
(表1〜3中に示す略号の説明。)
「EX−214L」:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商標:デナコール、エポキシ基当量重量=120g)
「UVR−6110」:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本(株)製、商標:サイラキュア、エポキシ基当量重量=137g)。
「OXT−221」:ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(東亜合成(株)製、商標:アロンオキセタン、オキセタニル基当量重量=107.2g)。
「CPI−100P」:ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートのプロピレンカーボネートの50質量%溶液(サンアプロ(株)製)。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、優れた硬化性を示し、優れた柔軟性を有する硬化物を形成することが可能であり、さらに、基材に対し良好な密着性を有する。よって様々な分野に応用可能であり、例えば接着剤及び粘着剤、シーリング剤、レジスト、コーティング剤、インキ、インキ用ビヒクルなどに適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造を有するウレタンプレポリマー(A)、及び光カチオン重合開始剤(B)を含有することを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
【化1】


(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【請求項2】
前記ウレタンプレポリマー(A)が、前記一般式(1)で示される構造を、分子の両末端に有するものである、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタンプレポリマー(A)が、前記一般式(1)中のaが0であり、b及びcがそれぞれ独立して0〜4の整数であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、R及びRがエチル基であり、かつR及びRがそれぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基である構造を有する、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ウレタンプレポリマー(A)が、前記一般式(1)中のa、b及びcがいずれも0であり、R及びRがメチレン基であり、Rが水素原子であり、かつR及びRがエチル基である構造を有する、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ウレタンプレポリマー(A)が、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)、及び下記一般式(2)で示される化合物(b)を反応させて得られるものである、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【化2】


(R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基または水素原子を表す。R及びRは、それぞれ独立して2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。aは、0または1を表す。b及びcは、それぞれ独立して0〜10の整数を表す。)
【請求項6】
更に、前記ウレタンプレポリマー(A)以外のその他のカチオン重合性化合物(C)を含有してなる、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記その他のカチオン重合性化合物(C)が、2〜4個のオキセタン環構造を有するオキセタン化合物である、請求項6に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の紫外線硬化性樹脂組成物からなる接着剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−291358(P2007−291358A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76673(P2007−76673)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】