多層保護織物スリーブおよび製造方法
多層織物スリーブおよびその構成方法が提供される。スリーブは、スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸と、長さ方向をほぼ横切って延在する横糸とから少なくとも部分的に構成される外側層を有する。スリーブはさらに、長さ方向に沿って延在する第2の縦糸と、長さ方向をほぼ横切って延在する横糸とから少なくとも部分的に構成される内側層を含み、第2の縦糸は、第1の縦糸とは異なる種類の糸である。外側層および内側層は、外側層の横糸を内側層の第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ内側層の横糸を外側層の第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、互いに接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2008年1月7日に提出され、米国仮出願番号第61/019,458号の利益を主張し、その全体を引用によってここに援用する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は概して保護織物スリーブに関し、特に多層織物スリーブおよびそれらの製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2.関連技術
まず織物材料の個々の層を製造し、次いで二次的な動作で個々の層を互いに付着させて、単一片多層材料を構成することが知られている。たとえば、構成される所望の多層材料が、内側層が低摩擦などのある種の特性をもたらし、外側層が絶縁および/または耐摩耗性などの別の種類の特性をもたらすことを必要とする場合は、第1の動作で1つの織物材料片を構成することができ、第2の動作で第2の材料片を構成することができ、次いで第1および第2の材料片を第3の動作で結合させて単一片多層材料をもたらすことができる。所望の特性を有する最終生成物が生成されるが、特に多くの動作によって製造非効率が蓄積した場合には、コスト高となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
少なくとも部分的に一種類の糸から構成される第1の層と、第1の層が少なくとも部分的に重複する第2の層とを有する多層織物材料が提供される。第2の層は、第1の層を構成するのに用いられる糸とは異なる第2の種類の糸から少なくとも部分的に構成される。第1および第2の層は、第1および第2の層を構成するのに用いられる処理で、互いに一体に接続される。
【0005】
本発明の一局面によれば、第1の層の横糸は第2の層の縦糸を留め、第2の層の横糸は第1の層の縦糸を留め、第1および第2の層を互いに噛み合わせる。
【0006】
本発明の別の局面によれば、第1および/または第2の層の少なくとも一部の縦糸は、物理的特性が異なる。
【0007】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、第1および第2の層が少なくとも部分的に重複する第3の層を有し、第3の層は、第1および第2の層とともに単一の処理で構成される。
【0008】
本発明の別の局面によれば、第3の層の少なくとも一部の縦糸は、第1および/または第2の層とは物理的特性が異なる。
【0009】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、保護筒状スリーブに形成される。
本発明の別の局面によれば、第1、第2または第3の層の少なくとも1つは、周方向に連続した導電性層を筒状スリーブに与える。
【0010】
本発明の別の局面によれば、第1および第2または第2および第3の層は、連続した筒状壁として形成され、残りの層は筒状壁から自由端へと外側に延在する。
【0011】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、第1、第2および第3の層が少なくとも部分的に重複する第4の層を有し、第4の層は、第1、第2および第3の層とともに単一の処理で構成される。
【0012】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の層は、第1の連続した筒状壁として形成され、第3および第4の層は、第2の連続した筒状壁として形成され、第1および第2の筒状壁は、単一の処理で構成される。
【0013】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の筒状壁は、二層壁を有する筒状スリーブをもたらす。
【0014】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の筒状壁は、四層壁を有する筒状スリーブをもたらす。
【0015】
本発明の別の局面によれば、多層織物スリーブを構成する方法が提供される。当該方法は、スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する外側層を織るステップと、スリーブの長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する内側層を織り、第1の縦糸とは異なる種類の第2の縦糸を設けるステップと、外側層の横糸を内側層の第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ内側層の横糸を外側層の第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、外側層および内側層を互いに接続するステップとを含む。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明に従って構成される多層スリーブのこれらおよび他の局面、特徴および利点は、現在好ましい実施例およびベストモードの以下の詳細な説明、添付の請求項ならびに図面を参照して考慮すると、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の一実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図1B】保護スリーブに形成された図1Aの材料の概略端面図である。
【図2A】本発明の別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図2B】保護スリーブに形成された図2Aの材料の概略端面図である。
【図3A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図3B】保護スリーブに形成された図3Aの材料の概略端面図である。
【図4A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図4B】保護スリーブに形成された図4Aの材料の概略端面図である。
【図5A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図5B】保護スリーブに形成された図5Aの材料の概略端面図である。
【図6A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図6B】保護スリーブに形成された図6Aの材料の概略端面図である。
【図7A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図7B】保護スリーブに形成された図7Aの材料の概略端面図である。
【図8A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図8B】保護スリーブに形成された図8Aの材料の概略端面図である。
【図9A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図9B】保護スリーブに形成された図9Aの材料の概略端面図である。
【図10A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図10B】保護スリーブに形成された図10Aの材料の概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
現在好ましい実施例の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1Aから図10Aは、本発明の異なる実施例に従って構成されるさまざまな織物材料10を概略的に示し、図1Bから図10Bは、保護スリーブ12に形成されたそれぞれの材料10を示す。織物材料10の各々は、重複する糸の層を有して構成され、層のうちの1つの少なくとも一部分は、重複される層とは異なる種類の糸で構成される。本明細書を通じて、かつ図面に例示するように、異なる種類の糸は、「X」および「O」によって表わされる。意図する使用用途に応じて、材料10およびそれによって形成されるスリーブ12に所望の特性を与えるように、材料層の各々について糸が選択される。異なる糸は、連続した単一の紡織処理で互いに織込まれるなどして相互連結され、重複する層を互いに結合するための二次的な動作が不要となる。材料10を構成するためにここで検討される1つの紡織処理はデュアルピック挿入処理であるが、単一の処理で同様の材料を供給する他の紡織処理がここで検討される。
【0019】
図1Aにおいて、材料10は、互いに重複する長さがおおむね等しい2つの層を有して構成され、一方の層は内側層14であり、他方は外側層16である。層14および16は、材料10の長さに沿って延在する線15に沿ったそれぞれの接続端17および19におおむね沿って、互いに直接付着される。層14および16を互いに付着させる仕組みは、層を織る連続した紡織処理でもたらされ、それにより層14および16を互いに付着させるための二次的な動作の必要性がなくなる。層14および16の各々は、スリーブ12の長さに沿って延在する、縦方向に延在する糸18(図1から図10が示されるページに垂直である)を有し、スリーブ12の幅に沿って延在し、したがってスリーブ12の長さをほぼ横切る横方向のすなわち横糸20を有する。
【0020】
層14および16の各々は、単一フィラメントかマルチフィラメントかにかかわらず、異なる種類の縦糸18で構成されるものとしてここでは表わされ、一方の層は内側層14を構成し、他方の層は外側層16を構成する。内側層14の縦糸18(「X」で示され、1種類の糸を表わす)は、スリーブ12の空洞のワイヤまたは他の細長い部材に絶縁性を与えるように摩耗防止の滑らかな絶縁性糸として設けられ、細長い部材に損傷を引起こすことなく細長い部材を空洞内に容易に設置することも可能となる。一方、外側層16の縦糸18(「O」で示され、種類「X」の糸とは異なる別の種類の糸を表わす)は、外観上の目的からいずれかの好適な色を有し、かつスリーブ12の空洞内の細長い部材を保護するために高い耐摩耗性および絶縁特性を有するように設けられる。
【0021】
横糸20は、所望のとおりに、層14および16の各々においていずれかの所望の特性を有するように設けることができる。材料10を自然に丸まる筒状スリーブに熱成形することを容易にするために、横糸20は、たとえばPETなどのいずれかの熱硬化性単一フィラメントで設けることができる。内側層14の横フィラメント20の少なくとも一部は、外側層16の縦糸18の少なくとも一部と噛合うかまたは相互連結し、外側層16の横糸20の少なくとも一部は、内側層14の縦糸18の少なくとも一部と噛合うかまたは相互連結し、接続端17および19を互いに噛合わせ、単一の製造処理で材料10を一体の単一片部材として供給する。
【0022】
好ましくは熱成形可能な横糸20を有する材料10は、所望のほぼ閉じた筒状のスリーブ形状に熱硬化処理で熱成形または硬化させることができ、内側層14は、好ましくはいわゆる「煙草の巻紙」形態で外側層16と重複し、スリーブ12の空洞内の細長い部材を周方向に包囲する。スリーブ12は最終的にはほぼ閉じられるが、スリーブ12は開いた種類のスリーブであると認識されるべきであり、これは、スリーブ12は周方向に閉じた壁を有して構成されるのではなく、むしろスリーブ12の長さに沿って延在する重複する自由端29を有することを意味し、自由端29は、互いに離れる方に偏向させて、スリーブの空洞への進入を可能にする開形状にすることができる。もちろん、材料を筒状のスリーブ形状に熱硬化させるのではなく、たとえば面ファスナーなどの締結具をスリーブの長手方向の継ぎ目に沿って設けることができ、それにより、使用時に手作業で材料を巻き、長細い部材の周りに締結させることが可能となる。
【0023】
図2Aおよび図2Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層22および外側層24を有し、それぞれの層22および24の各々は、縦方向に延在する糸26および横方向のすなわち横糸28を有する。内側層22の縦糸26(「X」で示され、1種類の糸を表わす)は導電性糸として設けられ、スリーブ12の空洞内の細長い部材にEMI保護を与え、外側層24の縦糸26(「O」で示され、「X」で示される糸とは異なる別の種類の糸を表わす)の少なくとも一部は異なる種類の糸として設けられる。外側層24の自由端29に隣接する縦糸26(「X」で示す)は導電性糸として設けることができ、内側層22で使用されているのと同じ種類であり得る。外側層24の残りの縦糸26(「O」で示す)は、外観上の目的からいずれかの好適な色を有し、かつスリーブ12の空洞内の細長い部材を保護するために高い耐摩耗性および絶縁特性を有するように設けられる。
【0024】
図2Bに示すように、材料10が煙草状に巻かれると、自由端29に隣接する外側層24の導電性縦糸26(「X」)が内側層22の導電性縦糸26(「X」)と係合し、スリーブ12の空洞内の細長い部材の周りに、完全な周方向の導電性層または内壁をもたらす。外側層24の残りの非導電性縦糸26(「O」)は、スリーブ12の外側表面の周りに完全に周方向に延在し、耐摩耗性および絶縁特性を有する外壁をスリーブ12に与える。
【0025】
図3Aおよび図3Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層30および外側層32を有し、それぞれの層30および32の各々は、縦方向に延在する糸34および横方向のすなわち横糸36を有する。内側層30および外側層32は、内側層14および外側層16に関連して上記したのと同様に構成されるが、内側層30は、外側層32に関してスリーブ12の長さを横切る方向に沿って延在する幅が増大するように構成される。上記の実施例のように、内側層30の縦糸34は、金属でコーティングされているにせよワイヤフィラメント形態であるにせよ、導電性糸(「X」)として設けられ、外側層32の縦糸34は、非導電性縦糸(「O」)として設けられる。したがって、煙草状に巻かれると、内側層30は完全に周方向に延在して自身と電気的に連通し、スリーブ12内の細長い部材の周りに周方向に完全なEMI保護を与える。外側層32は、好ましくは内側導電性糸(「X」)の周りを完全に周方向に延在し、内側導電性糸とスリーブ12内の保護されている細長い部材とに、耐摩耗性および絶縁特性を与える。
【0026】
図4Aおよび図4Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層38および外側層40を有し、それぞれの層38および40の各々は、縦方向に延在する糸42および横方向のすなわち横糸44を有する。内側層38および外側層40の両方は、筒状の形状に織られる。筒状の内側層38は、横糸44によって筒状の外側層40に付着され、内側層38および外側層40の各々は、内側層および外側層の長さに沿って延在するそれぞれの縦糸42の周りに留められるか、または連結される。筒状の内側層38は、導電性縦糸42(「X」)によって織られるものとして表され、筒状の外側層は、上記のように、耐摩耗性の絶縁性縦糸42(「O」)によって織られる。
【0027】
図4Bに示すように、煙草状に巻かれると、内側層38および外側層40は4つの分離した層を有する壁をもたらす。スリーブ壁の層のうち2つは内側層38によって構成され、層のうち2つは外側層40によって構成される。
【0028】
図5Aおよび図5Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層46および外側層48を有し、それぞれの層46および48の各々は、縦方向に延在する糸50および横方向のすなわち横糸52を有する。内側層46および外側層48は、図4Aおよび図4Bに関連して上記したのと同様に形成されるが、両方の層46および48の少なくとも一方または両方は、種類が異なるそれぞれの縦糸50で形成される。たとえば、筒状の内側層46の最も内側の層47は、摩耗防止の導電性糸で形成することができ、内側層46の最も外側の層49は、所望のとおり、異なる導電性糸(「−−」)または他の方法で形成することができる。筒状の外側層48は、所望のとおり、摩耗防止の導電性糸(「X」)からなる最も内側の層51または他の方法で形成することができ、外側層48の最も外側の層53は、上記のように、耐摩耗性の色付きの絶縁性糸(「O」)で形成することができる。
【0029】
図6Aおよび図6Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層54および外側層56を有し、それぞれの層54および56の各々は、縦方向に延在する糸58および横方向のすなわち横糸60を有する。内側層54は、2つの別個の筒状部分61および63の最も内側の部分によって形成され、外側層56は、筒状部分61および63の最も外側の部分によって形成される。筒状の部分61および63は、上記のように、縦糸58に巻き付く横糸60によって正反対の側で結合される。
【0030】
図6Bに示すように、筒状部分61および63は互いから外側に移動して、スリーブ12の内側空洞を形成する。筒状部分61は、耐摩耗性の絶縁性糸(「X」)などの1種類の縦糸で形成されるものとして示され、他方の筒状部分63は、たとえば摩耗防止の滑らかな絶縁性糸(「O」)などの他の種類の縦糸で形成されるものとして示される。したがって内側層56は、耐摩耗性の絶縁性縦糸(「X」)および摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸(「O」)の両方によって設けられる。
【0031】
図7Aおよび図7Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層64および外側層66を有し、それぞれの層64および66の各々は、縦方向に延在する糸68および横方向のすなわち横糸70を有する。図6Aおよび図6Bに関連して説明した実施例のように、内側層64は、2つの別個の筒状部分71および73の最も内側の部分によって形成され、外側層66は、筒状部分71および73の最も外側の部分によって形成される。筒状の部分71および73は、上記のように、縦糸68の周りに巻き付く選択された横糸70によって正反対の側で結合される。
【0032】
図7Bに示すように、筒状部分71および73は互いから外側に移動して、スリーブ12の内側空洞を形成する。筒状部分71および73の各々は、たとえば、耐摩耗性の絶縁性糸(「O」)および摩耗防止の滑らかな絶縁性糸(「X」)などの2種類の縦糸で形成されるものとして示される。別個の筒状部分71および73内の異なる種類の縦糸68の構造によって、内側層64は、摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸(「X」)によって全体的に設けられ、外側層66は、耐摩耗性の絶縁性縦糸(「O」)によって設けられる。
【0033】
図8Aおよび図8Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層74および外側層76を有し、それぞれの層74および76の各々は、縦方向に延在する糸78および横方向のすなわち横糸80を有する。内側層74は単一層として形成され、外側層76は2つの対向する層を有する筒状部分として形成される。上記と同様に、内側層74および外側層76は、他方のそれぞれの層74および76から縦糸78の周りに巻き付く各層74および76からの横糸80によって、単一の紡織処理で互いに一体に構成される。図示のように、内側層74および外側層76の相互接続は、材料10の細長い端縁81を形成する。
【0034】
図8Bに示すように、材料10は、内側層74が内側に面して内側空洞を形成し、外側層76が外側に面する状態で、煙草状に巻かれる。内側層74は、好ましくは摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸78(「X」)によって形成され、外側層76は、耐摩耗性の絶縁性縦糸78(「O」)によって設けられる。したがって、他の実施例に関連して上述したように、内側層は、損傷を引起こすことなく細長い部材を空洞内に容易に設置することを可能とし、外側層76は、摩耗および熱的条件に対抗して必要な保護をもたらす。
【0035】
図9Aおよび図9Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、図8Aおよび図8Bに示した材料と同様であり、単一プライ内側層92および筒状の二層外側層94を有する。しかし、外側層94は、全体的に同じ縦糸によって形成されるのではなく、最も内側の層95は導電性糸(「X」)などの1種類の縦糸96で形成され、最も外側の層97は、色付きの耐摩耗性の絶縁性糸(「O」)などの異なる種類の縦糸98で形成される。この点以外は、材料およびそれから形成されるスリーブは、図8Aおよび図8Bに関連して記載し、示したものと同様である。
【0036】
図10Aおよび図10Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、図9Aおよび図9Bに示した材料と同様であり、単一プライ内側層および筒状の二層外側層を有する。しかし、筒状の層は内側層100をもたらし、単一プライ層は外側層102を構成する。筒状の内側層100は、摩耗防止の滑らかなまたは潤滑性糸(「O」)などの1種類の縦糸106でほぼ形成される最も内側の層103によって形成される。しかし、最も内側の層103の少なくとも一部分は、その端部の一方に隣接する導電性縦糸107(「X」)によって構成される。内側層100はさらに、導電性縦糸(「X」)でほぼ形成される最も外側の層105を含む。単一プライ外側層102は、さまざまな実施例において上記したように、横糸と縦糸とを噛合わせることによって、一端において筒状の層100に付着され、少なくとも部分的に内側層の縦糸とは異なる縦糸によって形成され、外側層の縦糸は、色付きの耐摩耗性の絶縁性糸であり得る。しかし、外側層100は、内側層100の最も内側の層103の導電性糸107と連動して電気的に係合するように構成された自由端に隣接する導電性縦糸109を有する。したがって、煙草状に巻かれた重複する様式で材料10を巻くと、最も内側層103の導電性縦糸107と、外側層102の導電性縦糸109と、最も外側の層105の導電性縦糸との間に確立される電気的連通によって、完全に周方向に導電性を有するブランケットがスリーブ12の空洞内の細長い部材の周りに形成される。
【0037】
明らかに、上記の教示に照らし、本発明の多くの修正および変更が可能である。したがって、本開示に由来するいずれかの請求項の範囲において、明記した以外の方法で本発明を実施し得ることが理解される。
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2008年1月7日に提出され、米国仮出願番号第61/019,458号の利益を主張し、その全体を引用によってここに援用する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は概して保護織物スリーブに関し、特に多層織物スリーブおよびそれらの製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2.関連技術
まず織物材料の個々の層を製造し、次いで二次的な動作で個々の層を互いに付着させて、単一片多層材料を構成することが知られている。たとえば、構成される所望の多層材料が、内側層が低摩擦などのある種の特性をもたらし、外側層が絶縁および/または耐摩耗性などの別の種類の特性をもたらすことを必要とする場合は、第1の動作で1つの織物材料片を構成することができ、第2の動作で第2の材料片を構成することができ、次いで第1および第2の材料片を第3の動作で結合させて単一片多層材料をもたらすことができる。所望の特性を有する最終生成物が生成されるが、特に多くの動作によって製造非効率が蓄積した場合には、コスト高となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
少なくとも部分的に一種類の糸から構成される第1の層と、第1の層が少なくとも部分的に重複する第2の層とを有する多層織物材料が提供される。第2の層は、第1の層を構成するのに用いられる糸とは異なる第2の種類の糸から少なくとも部分的に構成される。第1および第2の層は、第1および第2の層を構成するのに用いられる処理で、互いに一体に接続される。
【0005】
本発明の一局面によれば、第1の層の横糸は第2の層の縦糸を留め、第2の層の横糸は第1の層の縦糸を留め、第1および第2の層を互いに噛み合わせる。
【0006】
本発明の別の局面によれば、第1および/または第2の層の少なくとも一部の縦糸は、物理的特性が異なる。
【0007】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、第1および第2の層が少なくとも部分的に重複する第3の層を有し、第3の層は、第1および第2の層とともに単一の処理で構成される。
【0008】
本発明の別の局面によれば、第3の層の少なくとも一部の縦糸は、第1および/または第2の層とは物理的特性が異なる。
【0009】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、保護筒状スリーブに形成される。
本発明の別の局面によれば、第1、第2または第3の層の少なくとも1つは、周方向に連続した導電性層を筒状スリーブに与える。
【0010】
本発明の別の局面によれば、第1および第2または第2および第3の層は、連続した筒状壁として形成され、残りの層は筒状壁から自由端へと外側に延在する。
【0011】
本発明の別の局面によれば、多層材料は、第1、第2および第3の層が少なくとも部分的に重複する第4の層を有し、第4の層は、第1、第2および第3の層とともに単一の処理で構成される。
【0012】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の層は、第1の連続した筒状壁として形成され、第3および第4の層は、第2の連続した筒状壁として形成され、第1および第2の筒状壁は、単一の処理で構成される。
【0013】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の筒状壁は、二層壁を有する筒状スリーブをもたらす。
【0014】
本発明の別の局面によれば、第1および第2の筒状壁は、四層壁を有する筒状スリーブをもたらす。
【0015】
本発明の別の局面によれば、多層織物スリーブを構成する方法が提供される。当該方法は、スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する外側層を織るステップと、スリーブの長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する内側層を織り、第1の縦糸とは異なる種類の第2の縦糸を設けるステップと、外側層の横糸を内側層の第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ内側層の横糸を外側層の第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、外側層および内側層を互いに接続するステップとを含む。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明に従って構成される多層スリーブのこれらおよび他の局面、特徴および利点は、現在好ましい実施例およびベストモードの以下の詳細な説明、添付の請求項ならびに図面を参照して考慮すると、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の一実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図1B】保護スリーブに形成された図1Aの材料の概略端面図である。
【図2A】本発明の別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図2B】保護スリーブに形成された図2Aの材料の概略端面図である。
【図3A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図3B】保護スリーブに形成された図3Aの材料の概略端面図である。
【図4A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図4B】保護スリーブに形成された図4Aの材料の概略端面図である。
【図5A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図5B】保護スリーブに形成された図5Aの材料の概略端面図である。
【図6A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図6B】保護スリーブに形成された図6Aの材料の概略端面図である。
【図7A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図7B】保護スリーブに形成された図7Aの材料の概略端面図である。
【図8A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図8B】保護スリーブに形成された図8Aの材料の概略端面図である。
【図9A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図9B】保護スリーブに形成された図9Aの材料の概略端面図である。
【図10A】本発明のさらに別の実施例に従って構成される多層材料の概略端面図である。
【図10B】保護スリーブに形成された図10Aの材料の概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
現在好ましい実施例の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1Aから図10Aは、本発明の異なる実施例に従って構成されるさまざまな織物材料10を概略的に示し、図1Bから図10Bは、保護スリーブ12に形成されたそれぞれの材料10を示す。織物材料10の各々は、重複する糸の層を有して構成され、層のうちの1つの少なくとも一部分は、重複される層とは異なる種類の糸で構成される。本明細書を通じて、かつ図面に例示するように、異なる種類の糸は、「X」および「O」によって表わされる。意図する使用用途に応じて、材料10およびそれによって形成されるスリーブ12に所望の特性を与えるように、材料層の各々について糸が選択される。異なる糸は、連続した単一の紡織処理で互いに織込まれるなどして相互連結され、重複する層を互いに結合するための二次的な動作が不要となる。材料10を構成するためにここで検討される1つの紡織処理はデュアルピック挿入処理であるが、単一の処理で同様の材料を供給する他の紡織処理がここで検討される。
【0019】
図1Aにおいて、材料10は、互いに重複する長さがおおむね等しい2つの層を有して構成され、一方の層は内側層14であり、他方は外側層16である。層14および16は、材料10の長さに沿って延在する線15に沿ったそれぞれの接続端17および19におおむね沿って、互いに直接付着される。層14および16を互いに付着させる仕組みは、層を織る連続した紡織処理でもたらされ、それにより層14および16を互いに付着させるための二次的な動作の必要性がなくなる。層14および16の各々は、スリーブ12の長さに沿って延在する、縦方向に延在する糸18(図1から図10が示されるページに垂直である)を有し、スリーブ12の幅に沿って延在し、したがってスリーブ12の長さをほぼ横切る横方向のすなわち横糸20を有する。
【0020】
層14および16の各々は、単一フィラメントかマルチフィラメントかにかかわらず、異なる種類の縦糸18で構成されるものとしてここでは表わされ、一方の層は内側層14を構成し、他方の層は外側層16を構成する。内側層14の縦糸18(「X」で示され、1種類の糸を表わす)は、スリーブ12の空洞のワイヤまたは他の細長い部材に絶縁性を与えるように摩耗防止の滑らかな絶縁性糸として設けられ、細長い部材に損傷を引起こすことなく細長い部材を空洞内に容易に設置することも可能となる。一方、外側層16の縦糸18(「O」で示され、種類「X」の糸とは異なる別の種類の糸を表わす)は、外観上の目的からいずれかの好適な色を有し、かつスリーブ12の空洞内の細長い部材を保護するために高い耐摩耗性および絶縁特性を有するように設けられる。
【0021】
横糸20は、所望のとおりに、層14および16の各々においていずれかの所望の特性を有するように設けることができる。材料10を自然に丸まる筒状スリーブに熱成形することを容易にするために、横糸20は、たとえばPETなどのいずれかの熱硬化性単一フィラメントで設けることができる。内側層14の横フィラメント20の少なくとも一部は、外側層16の縦糸18の少なくとも一部と噛合うかまたは相互連結し、外側層16の横糸20の少なくとも一部は、内側層14の縦糸18の少なくとも一部と噛合うかまたは相互連結し、接続端17および19を互いに噛合わせ、単一の製造処理で材料10を一体の単一片部材として供給する。
【0022】
好ましくは熱成形可能な横糸20を有する材料10は、所望のほぼ閉じた筒状のスリーブ形状に熱硬化処理で熱成形または硬化させることができ、内側層14は、好ましくはいわゆる「煙草の巻紙」形態で外側層16と重複し、スリーブ12の空洞内の細長い部材を周方向に包囲する。スリーブ12は最終的にはほぼ閉じられるが、スリーブ12は開いた種類のスリーブであると認識されるべきであり、これは、スリーブ12は周方向に閉じた壁を有して構成されるのではなく、むしろスリーブ12の長さに沿って延在する重複する自由端29を有することを意味し、自由端29は、互いに離れる方に偏向させて、スリーブの空洞への進入を可能にする開形状にすることができる。もちろん、材料を筒状のスリーブ形状に熱硬化させるのではなく、たとえば面ファスナーなどの締結具をスリーブの長手方向の継ぎ目に沿って設けることができ、それにより、使用時に手作業で材料を巻き、長細い部材の周りに締結させることが可能となる。
【0023】
図2Aおよび図2Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層22および外側層24を有し、それぞれの層22および24の各々は、縦方向に延在する糸26および横方向のすなわち横糸28を有する。内側層22の縦糸26(「X」で示され、1種類の糸を表わす)は導電性糸として設けられ、スリーブ12の空洞内の細長い部材にEMI保護を与え、外側層24の縦糸26(「O」で示され、「X」で示される糸とは異なる別の種類の糸を表わす)の少なくとも一部は異なる種類の糸として設けられる。外側層24の自由端29に隣接する縦糸26(「X」で示す)は導電性糸として設けることができ、内側層22で使用されているのと同じ種類であり得る。外側層24の残りの縦糸26(「O」で示す)は、外観上の目的からいずれかの好適な色を有し、かつスリーブ12の空洞内の細長い部材を保護するために高い耐摩耗性および絶縁特性を有するように設けられる。
【0024】
図2Bに示すように、材料10が煙草状に巻かれると、自由端29に隣接する外側層24の導電性縦糸26(「X」)が内側層22の導電性縦糸26(「X」)と係合し、スリーブ12の空洞内の細長い部材の周りに、完全な周方向の導電性層または内壁をもたらす。外側層24の残りの非導電性縦糸26(「O」)は、スリーブ12の外側表面の周りに完全に周方向に延在し、耐摩耗性および絶縁特性を有する外壁をスリーブ12に与える。
【0025】
図3Aおよび図3Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層30および外側層32を有し、それぞれの層30および32の各々は、縦方向に延在する糸34および横方向のすなわち横糸36を有する。内側層30および外側層32は、内側層14および外側層16に関連して上記したのと同様に構成されるが、内側層30は、外側層32に関してスリーブ12の長さを横切る方向に沿って延在する幅が増大するように構成される。上記の実施例のように、内側層30の縦糸34は、金属でコーティングされているにせよワイヤフィラメント形態であるにせよ、導電性糸(「X」)として設けられ、外側層32の縦糸34は、非導電性縦糸(「O」)として設けられる。したがって、煙草状に巻かれると、内側層30は完全に周方向に延在して自身と電気的に連通し、スリーブ12内の細長い部材の周りに周方向に完全なEMI保護を与える。外側層32は、好ましくは内側導電性糸(「X」)の周りを完全に周方向に延在し、内側導電性糸とスリーブ12内の保護されている細長い部材とに、耐摩耗性および絶縁特性を与える。
【0026】
図4Aおよび図4Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層38および外側層40を有し、それぞれの層38および40の各々は、縦方向に延在する糸42および横方向のすなわち横糸44を有する。内側層38および外側層40の両方は、筒状の形状に織られる。筒状の内側層38は、横糸44によって筒状の外側層40に付着され、内側層38および外側層40の各々は、内側層および外側層の長さに沿って延在するそれぞれの縦糸42の周りに留められるか、または連結される。筒状の内側層38は、導電性縦糸42(「X」)によって織られるものとして表され、筒状の外側層は、上記のように、耐摩耗性の絶縁性縦糸42(「O」)によって織られる。
【0027】
図4Bに示すように、煙草状に巻かれると、内側層38および外側層40は4つの分離した層を有する壁をもたらす。スリーブ壁の層のうち2つは内側層38によって構成され、層のうち2つは外側層40によって構成される。
【0028】
図5Aおよび図5Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層46および外側層48を有し、それぞれの層46および48の各々は、縦方向に延在する糸50および横方向のすなわち横糸52を有する。内側層46および外側層48は、図4Aおよび図4Bに関連して上記したのと同様に形成されるが、両方の層46および48の少なくとも一方または両方は、種類が異なるそれぞれの縦糸50で形成される。たとえば、筒状の内側層46の最も内側の層47は、摩耗防止の導電性糸で形成することができ、内側層46の最も外側の層49は、所望のとおり、異なる導電性糸(「−−」)または他の方法で形成することができる。筒状の外側層48は、所望のとおり、摩耗防止の導電性糸(「X」)からなる最も内側の層51または他の方法で形成することができ、外側層48の最も外側の層53は、上記のように、耐摩耗性の色付きの絶縁性糸(「O」)で形成することができる。
【0029】
図6Aおよび図6Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層54および外側層56を有し、それぞれの層54および56の各々は、縦方向に延在する糸58および横方向のすなわち横糸60を有する。内側層54は、2つの別個の筒状部分61および63の最も内側の部分によって形成され、外側層56は、筒状部分61および63の最も外側の部分によって形成される。筒状の部分61および63は、上記のように、縦糸58に巻き付く横糸60によって正反対の側で結合される。
【0030】
図6Bに示すように、筒状部分61および63は互いから外側に移動して、スリーブ12の内側空洞を形成する。筒状部分61は、耐摩耗性の絶縁性糸(「X」)などの1種類の縦糸で形成されるものとして示され、他方の筒状部分63は、たとえば摩耗防止の滑らかな絶縁性糸(「O」)などの他の種類の縦糸で形成されるものとして示される。したがって内側層56は、耐摩耗性の絶縁性縦糸(「X」)および摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸(「O」)の両方によって設けられる。
【0031】
図7Aおよび図7Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層64および外側層66を有し、それぞれの層64および66の各々は、縦方向に延在する糸68および横方向のすなわち横糸70を有する。図6Aおよび図6Bに関連して説明した実施例のように、内側層64は、2つの別個の筒状部分71および73の最も内側の部分によって形成され、外側層66は、筒状部分71および73の最も外側の部分によって形成される。筒状の部分71および73は、上記のように、縦糸68の周りに巻き付く選択された横糸70によって正反対の側で結合される。
【0032】
図7Bに示すように、筒状部分71および73は互いから外側に移動して、スリーブ12の内側空洞を形成する。筒状部分71および73の各々は、たとえば、耐摩耗性の絶縁性糸(「O」)および摩耗防止の滑らかな絶縁性糸(「X」)などの2種類の縦糸で形成されるものとして示される。別個の筒状部分71および73内の異なる種類の縦糸68の構造によって、内側層64は、摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸(「X」)によって全体的に設けられ、外側層66は、耐摩耗性の絶縁性縦糸(「O」)によって設けられる。
【0033】
図8Aおよび図8Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、内側層74および外側層76を有し、それぞれの層74および76の各々は、縦方向に延在する糸78および横方向のすなわち横糸80を有する。内側層74は単一層として形成され、外側層76は2つの対向する層を有する筒状部分として形成される。上記と同様に、内側層74および外側層76は、他方のそれぞれの層74および76から縦糸78の周りに巻き付く各層74および76からの横糸80によって、単一の紡織処理で互いに一体に構成される。図示のように、内側層74および外側層76の相互接続は、材料10の細長い端縁81を形成する。
【0034】
図8Bに示すように、材料10は、内側層74が内側に面して内側空洞を形成し、外側層76が外側に面する状態で、煙草状に巻かれる。内側層74は、好ましくは摩耗防止の滑らかな絶縁性縦糸78(「X」)によって形成され、外側層76は、耐摩耗性の絶縁性縦糸78(「O」)によって設けられる。したがって、他の実施例に関連して上述したように、内側層は、損傷を引起こすことなく細長い部材を空洞内に容易に設置することを可能とし、外側層76は、摩耗および熱的条件に対抗して必要な保護をもたらす。
【0035】
図9Aおよび図9Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、図8Aおよび図8Bに示した材料と同様であり、単一プライ内側層92および筒状の二層外側層94を有する。しかし、外側層94は、全体的に同じ縦糸によって形成されるのではなく、最も内側の層95は導電性糸(「X」)などの1種類の縦糸96で形成され、最も外側の層97は、色付きの耐摩耗性の絶縁性糸(「O」)などの異なる種類の縦糸98で形成される。この点以外は、材料およびそれから形成されるスリーブは、図8Aおよび図8Bに関連して記載し、示したものと同様である。
【0036】
図10Aおよび図10Bに示すように、本発明の別の実施例に従って構成される別の材料10およびスリーブ12が示される。材料10は、図9Aおよび図9Bに示した材料と同様であり、単一プライ内側層および筒状の二層外側層を有する。しかし、筒状の層は内側層100をもたらし、単一プライ層は外側層102を構成する。筒状の内側層100は、摩耗防止の滑らかなまたは潤滑性糸(「O」)などの1種類の縦糸106でほぼ形成される最も内側の層103によって形成される。しかし、最も内側の層103の少なくとも一部分は、その端部の一方に隣接する導電性縦糸107(「X」)によって構成される。内側層100はさらに、導電性縦糸(「X」)でほぼ形成される最も外側の層105を含む。単一プライ外側層102は、さまざまな実施例において上記したように、横糸と縦糸とを噛合わせることによって、一端において筒状の層100に付着され、少なくとも部分的に内側層の縦糸とは異なる縦糸によって形成され、外側層の縦糸は、色付きの耐摩耗性の絶縁性糸であり得る。しかし、外側層100は、内側層100の最も内側の層103の導電性糸107と連動して電気的に係合するように構成された自由端に隣接する導電性縦糸109を有する。したがって、煙草状に巻かれた重複する様式で材料10を巻くと、最も内側層103の導電性縦糸107と、外側層102の導電性縦糸109と、最も外側の層105の導電性縦糸との間に確立される電気的連通によって、完全に周方向に導電性を有するブランケットがスリーブ12の空洞内の細長い部材の周りに形成される。
【0037】
明らかに、上記の教示に照らし、本発明の多くの修正および変更が可能である。したがって、本開示に由来するいずれかの請求項の範囲において、明記した以外の方法で本発明を実施し得ることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層織物スリーブであって、
前記スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸で少なくとも部分的に構成される外側層と、
前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸で少なくとも部分的に構成される内側層とを備え、前記第2の縦糸は、前記第1の縦糸とは異なる種類の糸であり、
前記外側層および前記内側層は、前記外側層の前記横糸を前記内側層の前記第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ前記内側層の前記横糸を前記外側層の前記第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、互いに接続される、多層織物スリーブ。
【請求項2】
前記スリーブは周方向に開いたスリーブであり、前記内側層および前記外側層の各々は、前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する自由端と、前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する、対向する接続端とを有し、前記接続端は、前記内側層および前記外側層の前記横糸によって互いに付着される、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項3】
前記横糸の少なくとも一部は熱硬化して、前記内側層および前記外側層を、自然に丸められた煙草形状に偏向させる、請求項2に記載の多層織物スリーブ。
【請求項4】
前記第2の縦糸は導電性糸であり、前記第1の縦糸の少なくとも一部は非導電性の絶縁性糸である、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項5】
前記第1の縦糸の少なくとも一部は導電性糸である、請求項4に記載の多層織物スリーブ。
【請求項6】
前記外側層の前記導電性糸は、前記内側層の前記導電性糸と電気的に連通するように配置され、周方向に連続した導電性壁を前記スリーブに与える、請求項5に記載の多層織物スリーブ。
【請求項7】
前記内側層は2つの層を有し、前記外側層は2つの層を有し、前記内側層および前記外側層は4つの層からなる壁を前記スリーブに与える、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項8】
前記内側層の前記2つの層は、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成される、請求項7に記載の多層織物スリーブ。
【請求項9】
前記外側層の前記2つの層は、異なる種類の縦糸で構成される、請求項8に記載の多層織物スリーブ。
【請求項10】
前記内側層の幅は前記外側層よりも大きい、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項11】
前記スリーブは、前記長さ方向に沿って延在する1対の筒状部分を有し、前記外側層および内側層は、各筒状部分の別個の部分から形成される、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項12】
前記内側層は、周方向に連続した導電性層として形成される、請求項11に記載の多層織物スリーブ。
【請求項13】
前記外側層は、周方向に連続した非導電性の絶縁層として形成される、請求項12に記載の多層織物スリーブ。
【請求項14】
多層織物スリーブを構成する方法であって、
前記スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する外側層を織るステップと、
前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する内側層を織り、前記第1の縦糸とは異なる種類の第2の縦糸を設けるステップと、
前記外側層の前記横糸を前記内側層の前記第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ前記内側層の前記横糸を前記外側層の前記第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、前記外側層および前記内側層を互いに接続するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記内側層および前記外側層の各々が前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する自由端と、前記長さ方向に沿って延在する、対向する接続端とを有する周方向に開いたスリーブとして前記スリーブを構成するステップと、前記接続端を前記内側層および前記外側層の前記横糸によって互いに付着させるステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記横糸の少なくとも一部を熱硬化するステップと、前記内側層および前記外側層を、自然に丸められた煙草形状に偏向させるステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の縦糸を導電性糸として設けるステップと、前記第1の縦糸の少なくとも一部を非導電性の絶縁性糸として設けるステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の縦糸の少なくとも一部を導電性糸として設けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外側層の前記導電性糸を、前記内側層の前記導電性糸と電気的に連通するように構成して、周方向に連続した導電性壁を前記スリーブに与えるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
2つの重複する層を有する前記内側層を構成するステップと、2つの重複する層を有する前記外側層を構成するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記内側層の前記2つの層を、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記外側層の前記2つの層を、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記外側層よりも幅が大きい前記内側層を構成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記長さ方向に沿って延在する1対の筒状部分を有する前記スリーブを構成するステップと、前記外側層および内側層を、各筒状部分の別個の部分から形成するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記内側層を、周方向に連続した導電性層として構成するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記外側層を、周方向に連続した非導電性の絶縁層として構成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項1】
多層織物スリーブであって、
前記スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸で少なくとも部分的に構成される外側層と、
前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸で少なくとも部分的に構成される内側層とを備え、前記第2の縦糸は、前記第1の縦糸とは異なる種類の糸であり、
前記外側層および前記内側層は、前記外側層の前記横糸を前記内側層の前記第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ前記内側層の前記横糸を前記外側層の前記第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、互いに接続される、多層織物スリーブ。
【請求項2】
前記スリーブは周方向に開いたスリーブであり、前記内側層および前記外側層の各々は、前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する自由端と、前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する、対向する接続端とを有し、前記接続端は、前記内側層および前記外側層の前記横糸によって互いに付着される、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項3】
前記横糸の少なくとも一部は熱硬化して、前記内側層および前記外側層を、自然に丸められた煙草形状に偏向させる、請求項2に記載の多層織物スリーブ。
【請求項4】
前記第2の縦糸は導電性糸であり、前記第1の縦糸の少なくとも一部は非導電性の絶縁性糸である、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項5】
前記第1の縦糸の少なくとも一部は導電性糸である、請求項4に記載の多層織物スリーブ。
【請求項6】
前記外側層の前記導電性糸は、前記内側層の前記導電性糸と電気的に連通するように配置され、周方向に連続した導電性壁を前記スリーブに与える、請求項5に記載の多層織物スリーブ。
【請求項7】
前記内側層は2つの層を有し、前記外側層は2つの層を有し、前記内側層および前記外側層は4つの層からなる壁を前記スリーブに与える、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項8】
前記内側層の前記2つの層は、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成される、請求項7に記載の多層織物スリーブ。
【請求項9】
前記外側層の前記2つの層は、異なる種類の縦糸で構成される、請求項8に記載の多層織物スリーブ。
【請求項10】
前記内側層の幅は前記外側層よりも大きい、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項11】
前記スリーブは、前記長さ方向に沿って延在する1対の筒状部分を有し、前記外側層および内側層は、各筒状部分の別個の部分から形成される、請求項1に記載の多層織物スリーブ。
【請求項12】
前記内側層は、周方向に連続した導電性層として形成される、請求項11に記載の多層織物スリーブ。
【請求項13】
前記外側層は、周方向に連続した非導電性の絶縁層として形成される、請求項12に記載の多層織物スリーブ。
【請求項14】
多層織物スリーブを構成する方法であって、
前記スリーブの長さ方向に沿って延在する第1の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する外側層を織るステップと、
前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する第2の縦糸、および前記長さ方向をほぼ横切って延在する横糸を有する内側層を織り、前記第1の縦糸とは異なる種類の第2の縦糸を設けるステップと、
前記外側層の前記横糸を前記内側層の前記第2の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、かつ前記内側層の前記横糸を前記外側層の前記第1の縦糸の少なくとも一部に相互連結させることによって、前記外側層および前記内側層を互いに接続するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記内側層および前記外側層の各々が前記スリーブの前記長さ方向に沿って延在する自由端と、前記長さ方向に沿って延在する、対向する接続端とを有する周方向に開いたスリーブとして前記スリーブを構成するステップと、前記接続端を前記内側層および前記外側層の前記横糸によって互いに付着させるステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記横糸の少なくとも一部を熱硬化するステップと、前記内側層および前記外側層を、自然に丸められた煙草形状に偏向させるステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の縦糸を導電性糸として設けるステップと、前記第1の縦糸の少なくとも一部を非導電性の絶縁性糸として設けるステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の縦糸の少なくとも一部を導電性糸として設けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外側層の前記導電性糸を、前記内側層の前記導電性糸と電気的に連通するように構成して、周方向に連続した導電性壁を前記スリーブに与えるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
2つの重複する層を有する前記内側層を構成するステップと、2つの重複する層を有する前記外側層を構成するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記内側層の前記2つの層を、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記外側層の前記2つの層を、異なる種類の縦糸で少なくとも部分的に構成するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記外側層よりも幅が大きい前記内側層を構成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記長さ方向に沿って延在する1対の筒状部分を有する前記スリーブを構成するステップと、前記外側層および内側層を、各筒状部分の別個の部分から形成するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記内側層を、周方向に連続した導電性層として構成するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記外側層を、周方向に連続した非導電性の絶縁層として構成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2011−509355(P2011−509355A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541590(P2010−541590)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030257
【国際公開番号】WO2009/089238
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030257
【国際公開番号】WO2009/089238
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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