多層複合材物品の製造方法
【課題】単一物品の製造に異なる特性をもつ2種類の材料を用いることは、成形、溶接および/または機械加工の点で困難であるが、この問題を解決できる多層複合材コンポーネンツの製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の製造方法は、非鋳造材料から第一層を形成しかつ鋳造材料から第二層を形成する段階を有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料から作られる。一実施形態では、第一層は鍛造合金であり、第二層は第一層上に鋳造される。
【解決手段】本発明の製造方法は、非鋳造材料から第一層を形成しかつ鋳造材料から第二層を形成する段階を有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料から作られる。一実施形態では、第一層は鍛造合金であり、第二層は第一層上に鋳造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは物品の製造方法に関し、より詳しくは、少なくとも1つの層が鋳造される多層複合材物品の製造方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2006年3月30日付米国仮特許出願第60/787,419号の優先権を主張する。尚、この米国仮特許出願は本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
金属、プラスチック、セラミック等から作られるコンポーネンツおよび/または物品は、種々の工業的方法を用いて製造される。例えば、鍛造合金から作られるコンポーネンツは、熱間圧延、冷間圧延、スタンピング、スピニング、引抜き加工、穿孔加工等を用いて製造されまたは組立てられる。これに対し、キャビティ内に溶融金属を注ぐことによって鋳造材物品を作ることができる。一般に、鋳造物品は、鍛造材から製造された物品とは異なり、技術者およびデザイナは、所望のデザインおよび/または性能条件に基いて、物品を作る材料および物品の製造に使用する方法を選択できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品において異なる特性または特性の組合せが必要とされおよび/または有効である場合には、2種類以上の材料を用いて物品を製造することが望まれる。しかしながら、異なる材料から物品を製造することは複雑でありかつ費用が嵩む。例えば、単一物品の製造に異なる特性をもつ2種類の材料を用いることは、成形、溶接および/または機械加工の点で困難が生じる。このため、多層複合材コンポーネンツを製造する方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、多層複合材物品の製造方法を開示する。本発明は、非鋳造材料から第一層を形成しかつ鋳造材料から第二層を形成する段階を有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料からなる。一実施形態では、第一層は鍛造合金でありかつ第二層は第一層上に鋳造される。第一層は、例えばスタンピング、引抜き加工、圧延、スピン成形等の鍛造合金成形方法により形成される。
他の実施形態では、第一層は鋼から作られ、かつ第二層を第一層に接合する補助をする孔を有している。第二層は、第一層より20%以上異なる物理的特性、化学的特性および機械的特性のうちの少なくとも1つの特性を有している。第二層は、物品に、スペーサ、ソケットおよび/または他の機能的コンポーネントを形成できる。また、第二層は、第一層と比較して優れた表面仕上げがなされた表面および/または第三層との優れた接合性を有する表面を形成できる。また第二層は、第一層と比較して、優れた溶接性および/または機械加工性を有する材料を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、多層複合材物品を製造する方法に関し、従って本発明は、種々の材料の特性および特徴を呈する物品、および/または特性および特徴の組合せを呈する物品の製造方法として有用である。本発明の方法は、第一層(スケルトン層としても知られている)が鍛造合金または燒結セラミック等の非鋳造材料から作られる製造方法である。ひとたび第一層が所望形状に成形されたならば、第二層が第一層上におよび/または第一層の全体に亘って鋳造される。このようにして、非鋳造層および第二鋳造層から得られる特性を有する単一物品が形成される。
【0007】
ここで図1を参照すると、本発明の方法に使用される第一層100の一例が示されている。第一層100は、第一表面110および第二表面120を有している。任意であるが、第一層100には、第一表面110および第二表面120に隣接する少なくとも1つの孔130を設けることができる。一実施形態では、第一層100は、鋼、ステンレス鋼、ニッケルベース合金、コバルトベース合金および/または他の金属材料等の鍛造合金から作られる。本発明の目的から、「鍛造合金(wrought alloy)」とは、材料の再結晶が生じるように機械的、熱的および/または熱−機械的に加工された合金として定義される。或いは、第一層100は、セラミック材料および/または耐火材料から製造できる。
【0008】
図2には、本発明の方法を用いて製造された第一実施形態の物品10の断面が示されている。鋳造された第二層200が、第一層100上および孔130の少なくとも一部を通って設けられている。用語「鋳造」、「鋳造材料」、「鋳造層」および/または「キャスティング」とは、液体の凝固により形成されかつ再結晶が生じる態様で加工されていない固体の材料、層、物品等として定義される。第二層200は、第一層100の孔130を少なくとも部分的に充満する領域210を有している。また、第一層100の外面から突出して延びる第二層200の領域220を設けることができる。図3には、第一実施形態10の斜視図が示されている。第二層200は鋳造層でありかつ第一層100の融点より低い融点を有する材料からなる。本発明の目的から、「融点」とは熱特性として定義され、かつ材料の融点より低い温度から加熱したときに、材料が固体状態から液体状態への変態を開始する温度を表す。
【0009】
一実施形態では、第二層200は、第一層100より低い融点であることに加え、第一層の同じ特性より20%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。異なる実施形態では、第二層は、第一層の同じ特性より40%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。また、異なる実施形態では、第二層は、第一層の同じ特性より50%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。
【0010】
第一層100が鍛造材料から作られる場合には、第一層100は、鍛造合金を成形するための当業者に知られた任意の方法、例えば熱間圧延、冷間圧延、スタンピング、引抜き加工、スピン成形、ピルガーリング(pilgering)、スウェージング加工、シヤーリング、押出し加工およびこれらの組合せを含む方法を用いて所望の形状に成形される。図1に示された第一層100はチューブの形状を有するが、これは本発明の方法を実施する上で必須の形状ではない。例えば、第一層100はプレート、シート、ロッドおよび/またはワイヤおよびこれらから作られる任意のコンポーネントの形状にすることができる。
【0011】
図1〜図3に示す第一実施形態10は、図2に仮想線で示すように、ボールジョイントのソケットAがコンポーネント内に圧嵌めされるように構成されている。第二層200は、所望の物理的、化学的および/または機械的特性に適合できる材料で形成される。いかなる意味においても本発明の範囲を制限することなく、例えば第一層100は、所望の強度が得られるがアルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金と比較して機械加工が困難な鋼合金から作ることができる。しかしながら、アルミニウム、マグネシウムまたは亜鉛合金は、物品がボールジョイントのソケットAとして機能するのに望まれる強度を有していない。従って、鋼から作られた第一層100を設けかつ該第一層100上にアルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金から作られた第二層200を鋳造することにより、鋼の特性と、アルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金の特性との組合せが余裕を与える。この態様では、多層複合材から作られた物品に優れた特性が付与される。このような物品は製造コストを低減させることもできる。
【0012】
図4には、本発明の方法の異なる実施形態から作られた物品20が示されている。この実施形態では、第二層200が第一層100上に鋳造されるが、外面120を越えて延びている領域220が領域222により置換されている。領域220および/または領域222は、コンポーネント10および/またはコンポーネント20に対するスペーサの機能を与える。また、第一実施形態10および第二実施形態20は、第一層100の内面110上への第二層200の鋳造を示しているが、第二層200は、外面120上、または内面110および外面120の両面上に鋳造することもできる。
図5には、異なる形状をもつ第一層100が示されている。第一層100は孔130を有していないが、1つ以上の上記鍛造合金成形方法を用いて形成される領域140を有している。孔130と同様に、領域140は、第一層100と第二層200との間に優れた接合力を付与できる。
【0013】
図7〜図10には、本発明の方法の異なる実施形態を用いて製造された物品40がる示されている。図7は、コンポーネンツ152、154、156から作られた、組立てられていない第一層150を示す分解図である。これらのコンポーネンツは、例えば図に位置153で示すような溶接を含む、当業者に知られた任意の方法で、および/または接着剤、ファスナ等を用いて組立てられる。コンポーネンツ154には孔155が示されているが、これらの孔155は必須のものではない。
【0014】
図9には、射出キャスティングダイA内に配置された、組立てられた第一層150が示されている。第一層150がダイA内に置かれた後に、第一層150上にかつ第一層150の全体に亘って第二層を射出鋳造できる。第二層230は、コンポーネント156の外面、およびコンポーネント152の少なくとも一部および外面を覆っているところが示されている。図10には、物品40の斜視図が示されている。孔155は第二層230により充満され、第一層150の外面は第二層230により覆われている。任意であるが、第二層230の一部としてフランジ234、236を形成できる。第二層230を備えたコンポーネント152は、図示のようにボールジョイントのとしてソケットとして使用でき、第二層230を備えたコンポーネンツ156は、例えばサスペンションシステムに取付けるのに使用できる。この実施形態は、比較的複雑な形状の物品を製造する本発明の方法の多用性を示すものである。
【0015】
図11には、ブラケット162等の機能的コンポーネントを備えた第一層160が示されている。本発明の方法の一実施形態は、図12に示すように、第一層上に第二層240を設けるのに使用できる。第二層240は、コンポーネント160の内面164および外面166の少なくとも一部に設けられかつ孔168を少なくとも部分的に充満している。第二層240により孔168を充満することにより、第一層100を形成する材料とは異なる特性を有する材料で孔168を埋めることができる。例えば例示のみを目的とするが、第二層240の材料はねじ山付ねじでセルフタッピングするか、ねじ山のような改善された機械特性を低コストで得ることができる。
【0016】
図13〜図15には、本発明の一実施形態を用いて作られた物品の一例が示されている。この実施形態では、第一層170が使用され、該第一層170上に第二層250、252が鋳造される。第一層170から形成ブラケットのような機能的コンポーネントとは異なり、ブラケット252は第二層250を用いて形成される。
これらの図面および実施形態に示されているように、本発明の方法は、種々の多層複合材物品を提供すなわち製造するのに使用される。第二層は金属材料にする必要はなく、プラスチック材料にすることができることに留意することは重要である。
【0017】
上記図面、ディスカッションおよび説明は、本発明の特定実施形態の例示であり、本発明の実施時の制限を意味するものではない。本明細書で説明した教示から、当業者には本発明の方法を種々変更することは容易に明らかであろう。本発明の範囲は、全ての均等物を含む特許請求の範囲の記載により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の方法の一実施形態を用いて製造された物品を示す断面図である。
【図3】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す斜視図である。
【図4】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す斜視図である。
【図5】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す断面図である。
【図7】本発明の方法の一実施形態に使用される、未だ組立てられていない第一層の一例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の方法の一実施形態に使用される、組立てられた第一層の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の方法の一実施形態を用いて作られたダイキャストモールド内の物品を示す断面図である。
【図10】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す斜視図である。
【図11】本発明の方法に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す断面図である。
【図13】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す斜視図である。
【図15】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 物品
100 第一層
130 孔
200 第二層
210 孔を充満する領域
220 第一層から突出した第二層の領域
234、236 フランジ
252 ブラケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは物品の製造方法に関し、より詳しくは、少なくとも1つの層が鋳造される多層複合材物品の製造方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2006年3月30日付米国仮特許出願第60/787,419号の優先権を主張する。尚、この米国仮特許出願は本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
金属、プラスチック、セラミック等から作られるコンポーネンツおよび/または物品は、種々の工業的方法を用いて製造される。例えば、鍛造合金から作られるコンポーネンツは、熱間圧延、冷間圧延、スタンピング、スピニング、引抜き加工、穿孔加工等を用いて製造されまたは組立てられる。これに対し、キャビティ内に溶融金属を注ぐことによって鋳造材物品を作ることができる。一般に、鋳造物品は、鍛造材から製造された物品とは異なり、技術者およびデザイナは、所望のデザインおよび/または性能条件に基いて、物品を作る材料および物品の製造に使用する方法を選択できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品において異なる特性または特性の組合せが必要とされおよび/または有効である場合には、2種類以上の材料を用いて物品を製造することが望まれる。しかしながら、異なる材料から物品を製造することは複雑でありかつ費用が嵩む。例えば、単一物品の製造に異なる特性をもつ2種類の材料を用いることは、成形、溶接および/または機械加工の点で困難が生じる。このため、多層複合材コンポーネンツを製造する方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、多層複合材物品の製造方法を開示する。本発明は、非鋳造材料から第一層を形成しかつ鋳造材料から第二層を形成する段階を有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料からなる。一実施形態では、第一層は鍛造合金でありかつ第二層は第一層上に鋳造される。第一層は、例えばスタンピング、引抜き加工、圧延、スピン成形等の鍛造合金成形方法により形成される。
他の実施形態では、第一層は鋼から作られ、かつ第二層を第一層に接合する補助をする孔を有している。第二層は、第一層より20%以上異なる物理的特性、化学的特性および機械的特性のうちの少なくとも1つの特性を有している。第二層は、物品に、スペーサ、ソケットおよび/または他の機能的コンポーネントを形成できる。また、第二層は、第一層と比較して優れた表面仕上げがなされた表面および/または第三層との優れた接合性を有する表面を形成できる。また第二層は、第一層と比較して、優れた溶接性および/または機械加工性を有する材料を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、多層複合材物品を製造する方法に関し、従って本発明は、種々の材料の特性および特徴を呈する物品、および/または特性および特徴の組合せを呈する物品の製造方法として有用である。本発明の方法は、第一層(スケルトン層としても知られている)が鍛造合金または燒結セラミック等の非鋳造材料から作られる製造方法である。ひとたび第一層が所望形状に成形されたならば、第二層が第一層上におよび/または第一層の全体に亘って鋳造される。このようにして、非鋳造層および第二鋳造層から得られる特性を有する単一物品が形成される。
【0007】
ここで図1を参照すると、本発明の方法に使用される第一層100の一例が示されている。第一層100は、第一表面110および第二表面120を有している。任意であるが、第一層100には、第一表面110および第二表面120に隣接する少なくとも1つの孔130を設けることができる。一実施形態では、第一層100は、鋼、ステンレス鋼、ニッケルベース合金、コバルトベース合金および/または他の金属材料等の鍛造合金から作られる。本発明の目的から、「鍛造合金(wrought alloy)」とは、材料の再結晶が生じるように機械的、熱的および/または熱−機械的に加工された合金として定義される。或いは、第一層100は、セラミック材料および/または耐火材料から製造できる。
【0008】
図2には、本発明の方法を用いて製造された第一実施形態の物品10の断面が示されている。鋳造された第二層200が、第一層100上および孔130の少なくとも一部を通って設けられている。用語「鋳造」、「鋳造材料」、「鋳造層」および/または「キャスティング」とは、液体の凝固により形成されかつ再結晶が生じる態様で加工されていない固体の材料、層、物品等として定義される。第二層200は、第一層100の孔130を少なくとも部分的に充満する領域210を有している。また、第一層100の外面から突出して延びる第二層200の領域220を設けることができる。図3には、第一実施形態10の斜視図が示されている。第二層200は鋳造層でありかつ第一層100の融点より低い融点を有する材料からなる。本発明の目的から、「融点」とは熱特性として定義され、かつ材料の融点より低い温度から加熱したときに、材料が固体状態から液体状態への変態を開始する温度を表す。
【0009】
一実施形態では、第二層200は、第一層100より低い融点であることに加え、第一層の同じ特性より20%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。異なる実施形態では、第二層は、第一層の同じ特性より40%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。また、異なる実施形態では、第二層は、第一層の同じ特性より50%以上小さいかまたは大きい物理的特性、化学的特性および/または機械的特性のうちの少なくとも1つを有する。
【0010】
第一層100が鍛造材料から作られる場合には、第一層100は、鍛造合金を成形するための当業者に知られた任意の方法、例えば熱間圧延、冷間圧延、スタンピング、引抜き加工、スピン成形、ピルガーリング(pilgering)、スウェージング加工、シヤーリング、押出し加工およびこれらの組合せを含む方法を用いて所望の形状に成形される。図1に示された第一層100はチューブの形状を有するが、これは本発明の方法を実施する上で必須の形状ではない。例えば、第一層100はプレート、シート、ロッドおよび/またはワイヤおよびこれらから作られる任意のコンポーネントの形状にすることができる。
【0011】
図1〜図3に示す第一実施形態10は、図2に仮想線で示すように、ボールジョイントのソケットAがコンポーネント内に圧嵌めされるように構成されている。第二層200は、所望の物理的、化学的および/または機械的特性に適合できる材料で形成される。いかなる意味においても本発明の範囲を制限することなく、例えば第一層100は、所望の強度が得られるがアルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金と比較して機械加工が困難な鋼合金から作ることができる。しかしながら、アルミニウム、マグネシウムまたは亜鉛合金は、物品がボールジョイントのソケットAとして機能するのに望まれる強度を有していない。従って、鋼から作られた第一層100を設けかつ該第一層100上にアルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金から作られた第二層200を鋳造することにより、鋼の特性と、アルミニウム、マグネシウムおよび/または亜鉛合金の特性との組合せが余裕を与える。この態様では、多層複合材から作られた物品に優れた特性が付与される。このような物品は製造コストを低減させることもできる。
【0012】
図4には、本発明の方法の異なる実施形態から作られた物品20が示されている。この実施形態では、第二層200が第一層100上に鋳造されるが、外面120を越えて延びている領域220が領域222により置換されている。領域220および/または領域222は、コンポーネント10および/またはコンポーネント20に対するスペーサの機能を与える。また、第一実施形態10および第二実施形態20は、第一層100の内面110上への第二層200の鋳造を示しているが、第二層200は、外面120上、または内面110および外面120の両面上に鋳造することもできる。
図5には、異なる形状をもつ第一層100が示されている。第一層100は孔130を有していないが、1つ以上の上記鍛造合金成形方法を用いて形成される領域140を有している。孔130と同様に、領域140は、第一層100と第二層200との間に優れた接合力を付与できる。
【0013】
図7〜図10には、本発明の方法の異なる実施形態を用いて製造された物品40がる示されている。図7は、コンポーネンツ152、154、156から作られた、組立てられていない第一層150を示す分解図である。これらのコンポーネンツは、例えば図に位置153で示すような溶接を含む、当業者に知られた任意の方法で、および/または接着剤、ファスナ等を用いて組立てられる。コンポーネンツ154には孔155が示されているが、これらの孔155は必須のものではない。
【0014】
図9には、射出キャスティングダイA内に配置された、組立てられた第一層150が示されている。第一層150がダイA内に置かれた後に、第一層150上にかつ第一層150の全体に亘って第二層を射出鋳造できる。第二層230は、コンポーネント156の外面、およびコンポーネント152の少なくとも一部および外面を覆っているところが示されている。図10には、物品40の斜視図が示されている。孔155は第二層230により充満され、第一層150の外面は第二層230により覆われている。任意であるが、第二層230の一部としてフランジ234、236を形成できる。第二層230を備えたコンポーネント152は、図示のようにボールジョイントのとしてソケットとして使用でき、第二層230を備えたコンポーネンツ156は、例えばサスペンションシステムに取付けるのに使用できる。この実施形態は、比較的複雑な形状の物品を製造する本発明の方法の多用性を示すものである。
【0015】
図11には、ブラケット162等の機能的コンポーネントを備えた第一層160が示されている。本発明の方法の一実施形態は、図12に示すように、第一層上に第二層240を設けるのに使用できる。第二層240は、コンポーネント160の内面164および外面166の少なくとも一部に設けられかつ孔168を少なくとも部分的に充満している。第二層240により孔168を充満することにより、第一層100を形成する材料とは異なる特性を有する材料で孔168を埋めることができる。例えば例示のみを目的とするが、第二層240の材料はねじ山付ねじでセルフタッピングするか、ねじ山のような改善された機械特性を低コストで得ることができる。
【0016】
図13〜図15には、本発明の一実施形態を用いて作られた物品の一例が示されている。この実施形態では、第一層170が使用され、該第一層170上に第二層250、252が鋳造される。第一層170から形成ブラケットのような機能的コンポーネントとは異なり、ブラケット252は第二層250を用いて形成される。
これらの図面および実施形態に示されているように、本発明の方法は、種々の多層複合材物品を提供すなわち製造するのに使用される。第二層は金属材料にする必要はなく、プラスチック材料にすることができることに留意することは重要である。
【0017】
上記図面、ディスカッションおよび説明は、本発明の特定実施形態の例示であり、本発明の実施時の制限を意味するものではない。本明細書で説明した教示から、当業者には本発明の方法を種々変更することは容易に明らかであろう。本発明の範囲は、全ての均等物を含む特許請求の範囲の記載により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の方法の一実施形態を用いて製造された物品を示す断面図である。
【図3】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す斜視図である。
【図4】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す斜視図である。
【図5】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の方法の一実施形態を用いて物品された物品を示す断面図である。
【図7】本発明の方法の一実施形態に使用される、未だ組立てられていない第一層の一例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の方法の一実施形態に使用される、組立てられた第一層の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の方法の一実施形態を用いて作られたダイキャストモールド内の物品を示す断面図である。
【図10】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す斜視図である。
【図11】本発明の方法に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す断面図である。
【図13】本発明の方法の一実施形態に使用される第一層の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す斜視図である。
【図15】本発明の方法の一実施形態を用いて作られた物品を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 物品
100 第一層
130 孔
200 第二層
210 孔を充満する領域
220 第一層から突出した第二層の領域
234、236 フランジ
252 ブラケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鋳造材料から第一層を形成する段階と、
第一層上に第二層を鋳造する段階とを有し、第二層は、多層複合材物品を製造する目的から、第一層より低い融点を有する材料からなることを特徴とする多層複合材物品の製造方法。
【請求項2】
第一層は鍛造合金であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
第一層は鋼から作られることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
第一層と第二層との接合を改善する目的から、第一層は孔を有していることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
第二層は、第一層の同じ特性より20%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
第二層は、第一層の同じ特性より40%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
第二層は、第一層の同じ特性より50%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
第二層は物品のスペーサを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
第二層は物品のソケットを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
第二層は、第一層とは異なる表面外観を物品に付与することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
第二層は第三層に接合する表面を物品に付与することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
第二層は溶接のための材料を形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
第二層は機械加工のための材料を形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
第二層は第一層から延びているブラケットを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項15】
第二層はサンドキャスティングにより形成されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項16】
第二層は射出ダイキャスティングにより形成されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項17】
第二層は合金であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項18】
第二層はプラスチックであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項19】
鍛造鋼合金から第一層を形成する段階と、
第一層上に第二層を射出ダイキャスティングする段階とを有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料から作られかつ第一層の同じ特性より20%以上小さいか、または大きい少なくとも1つの特性を有し、
第二層の材料は、多層複合材物品を製造する目的から、合金およびプラスチックからなる群から選択されることを特徴とする多層複合材物品の製造方法。
【請求項1】
非鋳造材料から第一層を形成する段階と、
第一層上に第二層を鋳造する段階とを有し、第二層は、多層複合材物品を製造する目的から、第一層より低い融点を有する材料からなることを特徴とする多層複合材物品の製造方法。
【請求項2】
第一層は鍛造合金であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
第一層は鋼から作られることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
第一層と第二層との接合を改善する目的から、第一層は孔を有していることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
第二層は、第一層の同じ特性より20%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
第二層は、第一層の同じ特性より40%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
第二層は、第一層の同じ特性より50%以上小さいかまたは大きい少なくとも1つの特性を有し、特性は、物理的特性、化学的特性および機械的特性からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
第二層は物品のスペーサを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
第二層は物品のソケットを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
第二層は、第一層とは異なる表面外観を物品に付与することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
第二層は第三層に接合する表面を物品に付与することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
第二層は溶接のための材料を形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
第二層は機械加工のための材料を形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
第二層は第一層から延びているブラケットを形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項15】
第二層はサンドキャスティングにより形成されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項16】
第二層は射出ダイキャスティングにより形成されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項17】
第二層は合金であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項18】
第二層はプラスチックであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項19】
鍛造鋼合金から第一層を形成する段階と、
第一層上に第二層を射出ダイキャスティングする段階とを有し、第二層は、第一層より低い融点を有する材料から作られかつ第一層の同じ特性より20%以上小さいか、または大きい少なくとも1つの特性を有し、
第二層の材料は、多層複合材物品を製造する目的から、合金およびプラスチックからなる群から選択されることを特徴とする多層複合材物品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−532208(P2009−532208A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503302(P2009−503302)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/065618
【国際公開番号】WO2007/115155
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508293771)ゼットエフ グループ ノース アメリカン オペレイションズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/065618
【国際公開番号】WO2007/115155
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508293771)ゼットエフ グループ ノース アメリカン オペレイションズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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