多心光ファイバケーブル
【課題】本発明の課題は、光ファイバ同士を密に収容することで高密度に集合させ、光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めた細径・軽量かつ光損失の少ない多心光ファイバケーブルを提供することにある。
【解決手段】本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を集合した多心光ファイバケーブルであって、単心被覆光ファイバ11を複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープ12を巻き、更に識別用糸またはテープ12を巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被13を施すことを特徴とするものである。
【解決手段】本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を集合した多心光ファイバケーブルであって、単心被覆光ファイバ11を複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープ12を巻き、更に識別用糸またはテープ12を巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被13を施すことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバ等の曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、多様で広帯域なマルチメディアサービスを提供するため、通信網に低損失・広帯域という特徴を持つ光ファイバが導入されている。光ファイバを通信網に用いる際には、光ファイバを束ねて、外被を施して光ファイバケーブルとして使用される。これまで、光ファイバケーブルの構造設計を行う際には、ケーブル製造時・敷設時および長期使用時に光ファイバに加わる張力や曲げなどの外力に対して、(1)光ファイバの損失を増加させず、かつ、(2)長期信頼性を確保することが重要であった。すなわち、光ファイバに張力・曲げなどの外力が可能な限り加わらない構造の選定が重要な課題であった。特に、光ファイバの曲がりによる光損失増加を生じさせないような設計は重要となる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
図9は現在広く使用されている4心光ファイバテープを実装した100心光ファイバケーブルの例を示す断面図である。図9に示すように、プラスチックロッド91の外周に溝(スロット)92を設け、1つのスロット92内に空隙部分を設けつつ、単心、4心または8心光ファイバテープ93を複数実装し、外被94を施した構造である。95は抗張力体である。前記プラスチックロッド91や抗張力体95によって外力から光ファイバを保護し、極力光ファイバには大きな力が加わらないようにしている。なお、光ファイバテープとは複数本の光ファイバを直線状に並べ、一括被覆を施したものである。通常、4本または8本の光ファイバが一括被覆された4心光ファイバテープまたは8心光ファイバテープが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような光ファイバケーブルを用いて通信網を構築するが、光ファイバの需要の増大に伴い、地下の管路やビル内の配管等が不足し、1つの管路や配管等に複数本の光ファイバケーブルを布設することもある。この場合、先に布設された光ファイバケーブル径によっては、管路や配管等の空隙が小さく所望の光ファイバケーブルが布設できないことが生じ、管路や配管を増設し、コストアップとなるため、より一層細径・高密度な光ファイバケーブルが望まれている。
【0005】
一方、近年、光ファイバに関する研究開発も大幅に進展し、大容量のデータを高速に伝送するため、種々の光ファイバ構造および光ファイバシステムの提案が行われている。
【0006】
図17(a)は従来型光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図であり、図17(b),(c)は低曲げ損失光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図である。図17(a)では光ファイバの外周(クラッド)より中心部(コア)の屈折率がΔ1高くなっている。一方、図17(b)に示すように、光ファイバ中心部(コア)の屈折率Δ2(Δ2>Δ1)を更に高める、あるいは、図17(c)に示すように、光ファイバ中心部(コア)より外周(クラッド)の屈折率Δ3を下げることによって、光ファイバ中心部(コア)に光を閉じ込め導波させる光ファイバが提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0007】
図10(a),(b)はフォトニック結晶ファイバを示す断面概略図である。図10(a),(b)に示すように、ガラスよりなる光ファイバの中心部付近に多数個の空孔を設け、等価的に光ファイバ中心部よりも屈折率を下げることで中心部に光を閉じ込め導波させる、フォトニック結晶ファイバや空孔アシストファイバと呼ばれる光ファイバが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。これらの光ファイバは、光ファイバを曲げたときの光損失増加を大幅に抑制でき、これまでの光ファイバと異なった大きな特徴を有している。
【0008】
図11は従来型光ファイバとフォトニック結晶ファイバの曲げによる光損失増加特性比較を示す特性図である。図11に示すように、従来型光ファイバと光ファイバ中心部に6個の空孔を設けたフォトニック結晶光ファイバの曲げによる光損失増加特性を比較したものである。これにより、光ファイバ中心部に空孔を設けることで光を閉じこめる効果が増大し、光ファイバを曲げ半径45mmまで曲げても光損失が増加しないことがわかる。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−204214号公報
【非特許文献1】[online]、平成17年6月1日検索、インターネット<URL:http://www.corningcablesystems.com/web/library/litindex.nsf/$ALL/EVO-188-EN/$FILE/EVO-188-EN.pdf>
【非特許文献2】周 健 他著 「フォトニック結晶ファイバの宅内、ビル内配線への適用に関する検討」社団法人 電子情報通信学会 信学技報 2003年1月 p.41−46
【非特許文献3】[online]、平成18年4月27日検索、インターネット<URL:http://www.sei.co.jp/tr/t_technical_pdf/sei10358.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
1つの管路や配管内に複数本の光ファイバケーブルを布設できるようにするために、できるだけ細い光ファイバケーブルが望まれている。特に、既に光ファイバケーブル等が布設されている管路や配管内に新たに光ファイバケーブルを布設しようとする場合などには、空隙がなく、所望の光ファイバケーブルが布設できないという問題が生じている。このため、一層細径・高密度な光ファイバケーブルが必要となる。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いることにより、光ファイバケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等の介在物を除去し、光ファイバ同士を密に収容することで高密度に集合させ、光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めた細径・軽量かつ光損失の少ない多心光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0012】
尚、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバ、例えば半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを得るためには、ホーリーファイバ等のフォトニック結晶ファイバを用いることと、GeO等のドーパントを光ファイバに添加したり、コア径を小さくすること、の二種類の方法がある。この二種類の方法は同時に行うこともできる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記切り裂き紐の埋め込み部の外被の厚さは、切り裂き紐の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、ドーパントの添加もしくはコア径を制御した光ファイバを用いることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記抗張力体の埋め込み部の外被の厚さは、抗張力体の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とするものである。
【0020】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルにおいて、ケーブルコア外周に抗張力繊維を配置したことを特徴とするものである。
【0021】
本発明は、前記低曲げ損失光ファイバおよびフォトニック結晶ファイバが曲げに対して光損失が増加しないという特徴を生かし、密に光ファイバを実装することにより細径・高密度・軽量な光ファイバケーブルが実現する。具体的には、長期信頼性の確保を考慮した設計のみで十分であり、従来、ケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等を除き、光ファイバ同士を問題をなくして密に収容することで従来の光ファイバケーブルと比較して高密度に集合させ、光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めたことを特徴とする光ファイバケーブルである。この構造により心線密度を例えば2.5心/mm2以上とすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の多心光ファイバケーブルにより、プラスチックロッドや抗張力体の省略が可能であり、細径・高密度・軽量かつ光損失の少ない、特に光損失増加を極めて少なくする設計が容易な光ファイバケーブルが実現し、既存管路の収容スペースの有効利用が可能となり、新規光回線布設時に、土木設備投資にかかるコストを大幅に削減するとともに布設工事期間の大幅な短縮ができる。また、既存光ファイバケーブルよりも細径であることから、ケーブル取り回し性が向上し、ケーブル布設作業者の負担を軽減し、より迅速なケーブル布設が可能となることが期待できる。なお、心線を高密度に収容することによって分岐時にファイバは外力を受けることになるが、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いていることから、低損失で分岐することができる。また、支障移転工事などの場合、サービス中の光ファイバ心線に与える影響も軽減することができる。また、電柱間を架渉する際には、ケーブルが細径・軽量であるために、ケーブル自重による張力が軽減され、ケーブルの長期信頼性が向上するとともに、架空距離の延長も可能である。本発明の多心光ファイバケーブルにより、心線密度を例えば2.5心/mm2以上とすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図、図2は本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ撚り合わせ方法を説明するための摸式図、図3は本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。図1に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて光ファイバ束を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた光ファイバ束を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル10を構成する。図2は光ファイバ撚り合わせ方法を示し、フォトニック結晶ファイバに被覆を施した単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸12を巻いて光ファイバ束を形成する。図3は光ファイバ束撚り合わせ方法を示し、単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した光ファイバ束を7本撚り合わせて密に集合したものである。また、外被13内の光ファイバの外周にはヤーンや樹脂などの緩衝層14を設けることも可能であり、側圧を軽減することができる。また、外被13内には、2本の抗張力体15が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐16が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように外被13の内側近傍に埋め込まれている。前記切り裂き紐16の埋め込み部の外被17の厚さは、切り裂き紐16の埋め込み部以外の部分の外被13の厚さより厚くなっている。このような構造とすることで、外部より切り裂き紐16の位置がわかり、カッタ等を用いて外被17を除去することができる。また、厚くなった部分を除去し、次に、浅い切れ目を形成させることで、切り裂き紐16を容易に取り出し、外被17を引き裂けるため、分岐性にも優れている。
【0024】
図4は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図1に示すように、7本の光ファイバ束を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の単心被覆光ファイバ11を撚り合わせた1本のファイバ束を、図4に示すように、抗張力体18と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。
【0025】
図4に示すようにケーブルコア中に抗張力体18を配置してある場合またはケーブルコア外周に抗張力繊維を配置する場合は外被13中に抗張力体15を必要としない構造も考えられる。また、抗張力体15,18を配置する代わりに、緩衝層14で示される部分に抗張力繊維を用いてもよい。
【0026】
図5は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。すなわち、図1の多心光ファイバケーブルの上部に支持線19を一体に設けた構造の多心光ファイバケーブルも考えられ、ケーブルコア中の抗張力体18または外被13内の抗張力体15を省略することも可能である。なお、本実施形態例における多心光ファイバケーブルにおいて、一切の抗張力体を配置しない構造も考えられる。
【0027】
図6は本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図、図7は本発明の第2の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。図6に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて第1の光ファイバ束21を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた第1の光ファイバ束21を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ22を巻いて第2の光ファイバ束23を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ22を巻いた第2の光ファイバ束23を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に緩衝層14を介在して押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル25を構成する。図7は第2の光ファイバ束撚り合わせ方法を示し、単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した第1の光ファイバ束21を4本撚り合わせて密に集合した第2の光ファイバ束23を形成し、更に、前記第2の光ファイバ束23を7本撚り合わせて密に集合したものである。前記緩衝層14については省略することも可能である。
【0028】
図8は本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図6に示すように、7本の第2の光ファイバ束23を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の第1の光ファイバ束21を撚り合わせた1本の第2のファイバ束23を、図8に示すように、抗張力体24と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。また、外被13内の抗張力体15、抗張力繊維または緩衝層14、切り裂き紐16および支持線19については、第1の実施形態例と同様に配置もしくは省略することが可能である。
【0029】
図12は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。図12に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて光ファイバ束を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた光ファイバ束を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル10を構成する。尚、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバ、例えば半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを得るためには、ホーリーファイバ等のフォトニック結晶ファイバを用いることと、GeO等のドーパントを光ファイバに添加したり、コア径を小さくすること、の二種類の方法がある。この二種類の方法は同時に行うこともできる。また、外被13内の光ファイバの外周にはヤーンや樹脂などの緩衝層14を設けることも可能であり、側圧を軽減することができる。また、外被13内には、2本の抗張力体15が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐16が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように外被13の内側近傍に埋め込まれている。前記抗張力体15の埋め込み部の外被17の厚さは、抗張力体15の埋め込み部以外の部分の外被13の厚さより厚くなっている。このような構造とすることで、外部より切り裂き紐16の位置がわかり、カッタ等を用いて外被13に浅い切れ目を形成させることで、切り裂き紐16を容易に取り出し、外被13を引き裂けるため、分岐性にも優れている。
【0030】
図13は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図12に示すように、7本の光ファイバ束を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の単心被覆光ファイバ11を撚り合わせた1本のファイバ束を、図13に示すように、抗張力体18と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。
【0031】
図13に示すようにケーブルコア中に抗張力体18を配置してある場合またはケーブルコア外周に抗張力繊維を配置する場合は外被13中に抗張力体15を必要としない構造も考えられる。また、抗張力体15,18を配置する代わりに、緩衝層14で示される部分に抗張力繊維を用いてもよい。
【0032】
図14は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。すなわち、図12の多心光ファイバケーブルの上部に支持線19を一体に設けた構造の多心光ファイバケーブルも考えられ、ケーブルコア中の抗張力体18または外被13内の抗張力体15を省略することも可能である。なお、本実施形態例における多心光ファイバケーブルにおいて、一切の抗張力体を配置しない構造も考えられる。
【0033】
図15は本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。図15に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて第1の光ファイバ束21を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた第1の光ファイバ束21を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ22を巻いて第2の光ファイバ束23を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ22を巻いた第2の光ファイバ束23を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に緩衝層14を介在して押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル25を構成する。前記緩衝層14については省略することも可能である。
【0034】
図16は本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図15に示すように、7本の第2の光ファイバ束23を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の第1の光ファイバ束21を撚り合わせた1本の第2のファイバ束23を、図16に示すように、抗張力体24と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。また、外被13内の抗張力体15、抗張力繊維または緩衝層14、切り裂き紐16および支持線19については、第3の実施形態例と同様に配置もしくは省略することが可能である。
【0035】
以上のように本実施形態例によれば、前記低曲げ損失光ファイバおよび中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバが曲げに対して光損失が増加しないという特徴を生かし、密に光ファイバを実装することにより細径・高密度・軽量な多心光ファイバケーブルが実現する。具体的には、長期信頼性の確保を考慮した設計のみで十分であり、従来、ケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等を除き、光ファイバ同士を問題をなくして密に収容することで従来の光ファイバケーブルと比較して高密度に集合させ、多心光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めたことを特徴とする多心光ファイバケーブルである。この構造により心線密度を例えば2.5心/mm2以上の高密度とすることが可能である。
【0036】
また、本実施形態例の多心光ファイバケーブルにより、プラスチックロッドや抗張力体の省略が可能であり、細径・高密度・軽量かつ設計が容易な光ファイバケーブルが実現し、既存管路の収容スペースの有効利用が可能となり、新規光回線布設時に、土木設備投資にかかるコストを大幅に削減するとともに布設工事期間の大幅な短縮ができる。また、既存光ファイバケーブルよりも細径であることから、ケーブル取り回し性が向上し、ケーブル布設作業者の負担を軽減し、より迅速なケーブル布設が可能となることが期待できる。なお、心線を高密度に収容することによって中間後分岐時にファイバは外力を受けることになるが、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いていることから、低損失で分岐することができる。また、支障移転工事などの場合、サービス中の光ファイバ心線に与える影響も軽減することができる。また、電柱間を架渉する際には、ケーブルが細径・軽量であるために、ケーブル自重による張力が軽減され、ケーブルの長期信頼性が向上するとともに、架空距離の延長も可能である。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図9】現在広く使用されている4心光ファイバテープを実装した100心光ファイバケーブルの例を示す断面図である。
【図10】フォトニック結晶ファイバを示す断面概略図である。
【図11】従来型光ファイバとフォトニック結晶ファイバの曲げによる光損失増加特性比較を示す特性図である。
【図12】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図17】従来型光ファイバおよび低曲げ損失光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0039】
11…単心被覆光ファイバ、12…識別用糸または識別用テープ、13…押え巻き・外被、14…緩衝層、15…抗張力体、16…切り裂き紐。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバ等の曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、多様で広帯域なマルチメディアサービスを提供するため、通信網に低損失・広帯域という特徴を持つ光ファイバが導入されている。光ファイバを通信網に用いる際には、光ファイバを束ねて、外被を施して光ファイバケーブルとして使用される。これまで、光ファイバケーブルの構造設計を行う際には、ケーブル製造時・敷設時および長期使用時に光ファイバに加わる張力や曲げなどの外力に対して、(1)光ファイバの損失を増加させず、かつ、(2)長期信頼性を確保することが重要であった。すなわち、光ファイバに張力・曲げなどの外力が可能な限り加わらない構造の選定が重要な課題であった。特に、光ファイバの曲がりによる光損失増加を生じさせないような設計は重要となる(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
図9は現在広く使用されている4心光ファイバテープを実装した100心光ファイバケーブルの例を示す断面図である。図9に示すように、プラスチックロッド91の外周に溝(スロット)92を設け、1つのスロット92内に空隙部分を設けつつ、単心、4心または8心光ファイバテープ93を複数実装し、外被94を施した構造である。95は抗張力体である。前記プラスチックロッド91や抗張力体95によって外力から光ファイバを保護し、極力光ファイバには大きな力が加わらないようにしている。なお、光ファイバテープとは複数本の光ファイバを直線状に並べ、一括被覆を施したものである。通常、4本または8本の光ファイバが一括被覆された4心光ファイバテープまたは8心光ファイバテープが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような光ファイバケーブルを用いて通信網を構築するが、光ファイバの需要の増大に伴い、地下の管路やビル内の配管等が不足し、1つの管路や配管等に複数本の光ファイバケーブルを布設することもある。この場合、先に布設された光ファイバケーブル径によっては、管路や配管等の空隙が小さく所望の光ファイバケーブルが布設できないことが生じ、管路や配管を増設し、コストアップとなるため、より一層細径・高密度な光ファイバケーブルが望まれている。
【0005】
一方、近年、光ファイバに関する研究開発も大幅に進展し、大容量のデータを高速に伝送するため、種々の光ファイバ構造および光ファイバシステムの提案が行われている。
【0006】
図17(a)は従来型光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図であり、図17(b),(c)は低曲げ損失光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図である。図17(a)では光ファイバの外周(クラッド)より中心部(コア)の屈折率がΔ1高くなっている。一方、図17(b)に示すように、光ファイバ中心部(コア)の屈折率Δ2(Δ2>Δ1)を更に高める、あるいは、図17(c)に示すように、光ファイバ中心部(コア)より外周(クラッド)の屈折率Δ3を下げることによって、光ファイバ中心部(コア)に光を閉じ込め導波させる光ファイバが提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0007】
図10(a),(b)はフォトニック結晶ファイバを示す断面概略図である。図10(a),(b)に示すように、ガラスよりなる光ファイバの中心部付近に多数個の空孔を設け、等価的に光ファイバ中心部よりも屈折率を下げることで中心部に光を閉じ込め導波させる、フォトニック結晶ファイバや空孔アシストファイバと呼ばれる光ファイバが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。これらの光ファイバは、光ファイバを曲げたときの光損失増加を大幅に抑制でき、これまでの光ファイバと異なった大きな特徴を有している。
【0008】
図11は従来型光ファイバとフォトニック結晶ファイバの曲げによる光損失増加特性比較を示す特性図である。図11に示すように、従来型光ファイバと光ファイバ中心部に6個の空孔を設けたフォトニック結晶光ファイバの曲げによる光損失増加特性を比較したものである。これにより、光ファイバ中心部に空孔を設けることで光を閉じこめる効果が増大し、光ファイバを曲げ半径45mmまで曲げても光損失が増加しないことがわかる。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−204214号公報
【非特許文献1】[online]、平成17年6月1日検索、インターネット<URL:http://www.corningcablesystems.com/web/library/litindex.nsf/$ALL/EVO-188-EN/$FILE/EVO-188-EN.pdf>
【非特許文献2】周 健 他著 「フォトニック結晶ファイバの宅内、ビル内配線への適用に関する検討」社団法人 電子情報通信学会 信学技報 2003年1月 p.41−46
【非特許文献3】[online]、平成18年4月27日検索、インターネット<URL:http://www.sei.co.jp/tr/t_technical_pdf/sei10358.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
1つの管路や配管内に複数本の光ファイバケーブルを布設できるようにするために、できるだけ細い光ファイバケーブルが望まれている。特に、既に光ファイバケーブル等が布設されている管路や配管内に新たに光ファイバケーブルを布設しようとする場合などには、空隙がなく、所望の光ファイバケーブルが布設できないという問題が生じている。このため、一層細径・高密度な光ファイバケーブルが必要となる。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いることにより、光ファイバケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等の介在物を除去し、光ファイバ同士を密に収容することで高密度に集合させ、光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めた細径・軽量かつ光損失の少ない多心光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0012】
尚、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバ、例えば半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを得るためには、ホーリーファイバ等のフォトニック結晶ファイバを用いることと、GeO等のドーパントを光ファイバに添加したり、コア径を小さくすること、の二種類の方法がある。この二種類の方法は同時に行うこともできる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記切り裂き紐の埋め込み部の外被の厚さは、切り裂き紐の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、ドーパントの添加もしくはコア径を制御した光ファイバを用いることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記抗張力体の埋め込み部の外被の厚さは、抗張力体の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とするものである。
【0020】
また本発明は、前記多心光ファイバケーブルにおいて、ケーブルコア外周に抗張力繊維を配置したことを特徴とするものである。
【0021】
本発明は、前記低曲げ損失光ファイバおよびフォトニック結晶ファイバが曲げに対して光損失が増加しないという特徴を生かし、密に光ファイバを実装することにより細径・高密度・軽量な光ファイバケーブルが実現する。具体的には、長期信頼性の確保を考慮した設計のみで十分であり、従来、ケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等を除き、光ファイバ同士を問題をなくして密に収容することで従来の光ファイバケーブルと比較して高密度に集合させ、光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めたことを特徴とする光ファイバケーブルである。この構造により心線密度を例えば2.5心/mm2以上とすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の多心光ファイバケーブルにより、プラスチックロッドや抗張力体の省略が可能であり、細径・高密度・軽量かつ光損失の少ない、特に光損失増加を極めて少なくする設計が容易な光ファイバケーブルが実現し、既存管路の収容スペースの有効利用が可能となり、新規光回線布設時に、土木設備投資にかかるコストを大幅に削減するとともに布設工事期間の大幅な短縮ができる。また、既存光ファイバケーブルよりも細径であることから、ケーブル取り回し性が向上し、ケーブル布設作業者の負担を軽減し、より迅速なケーブル布設が可能となることが期待できる。なお、心線を高密度に収容することによって分岐時にファイバは外力を受けることになるが、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いていることから、低損失で分岐することができる。また、支障移転工事などの場合、サービス中の光ファイバ心線に与える影響も軽減することができる。また、電柱間を架渉する際には、ケーブルが細径・軽量であるために、ケーブル自重による張力が軽減され、ケーブルの長期信頼性が向上するとともに、架空距離の延長も可能である。本発明の多心光ファイバケーブルにより、心線密度を例えば2.5心/mm2以上とすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図、図2は本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ撚り合わせ方法を説明するための摸式図、図3は本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。図1に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて光ファイバ束を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた光ファイバ束を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル10を構成する。図2は光ファイバ撚り合わせ方法を示し、フォトニック結晶ファイバに被覆を施した単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸12を巻いて光ファイバ束を形成する。図3は光ファイバ束撚り合わせ方法を示し、単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した光ファイバ束を7本撚り合わせて密に集合したものである。また、外被13内の光ファイバの外周にはヤーンや樹脂などの緩衝層14を設けることも可能であり、側圧を軽減することができる。また、外被13内には、2本の抗張力体15が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐16が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように外被13の内側近傍に埋め込まれている。前記切り裂き紐16の埋め込み部の外被17の厚さは、切り裂き紐16の埋め込み部以外の部分の外被13の厚さより厚くなっている。このような構造とすることで、外部より切り裂き紐16の位置がわかり、カッタ等を用いて外被17を除去することができる。また、厚くなった部分を除去し、次に、浅い切れ目を形成させることで、切り裂き紐16を容易に取り出し、外被17を引き裂けるため、分岐性にも優れている。
【0024】
図4は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図1に示すように、7本の光ファイバ束を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の単心被覆光ファイバ11を撚り合わせた1本のファイバ束を、図4に示すように、抗張力体18と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。
【0025】
図4に示すようにケーブルコア中に抗張力体18を配置してある場合またはケーブルコア外周に抗張力繊維を配置する場合は外被13中に抗張力体15を必要としない構造も考えられる。また、抗張力体15,18を配置する代わりに、緩衝層14で示される部分に抗張力繊維を用いてもよい。
【0026】
図5は本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。すなわち、図1の多心光ファイバケーブルの上部に支持線19を一体に設けた構造の多心光ファイバケーブルも考えられ、ケーブルコア中の抗張力体18または外被13内の抗張力体15を省略することも可能である。なお、本実施形態例における多心光ファイバケーブルにおいて、一切の抗張力体を配置しない構造も考えられる。
【0027】
図6は本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図、図7は本発明の第2の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。図6に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて第1の光ファイバ束21を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた第1の光ファイバ束21を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ22を巻いて第2の光ファイバ束23を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ22を巻いた第2の光ファイバ束23を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に緩衝層14を介在して押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル25を構成する。図7は第2の光ファイバ束撚り合わせ方法を示し、単心被覆光ファイバ11を4本撚り合わせて密に集合した第1の光ファイバ束21を4本撚り合わせて密に集合した第2の光ファイバ束23を形成し、更に、前記第2の光ファイバ束23を7本撚り合わせて密に集合したものである。前記緩衝層14については省略することも可能である。
【0028】
図8は本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図6に示すように、7本の第2の光ファイバ束23を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の第1の光ファイバ束21を撚り合わせた1本の第2のファイバ束23を、図8に示すように、抗張力体24と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。また、外被13内の抗張力体15、抗張力繊維または緩衝層14、切り裂き紐16および支持線19については、第1の実施形態例と同様に配置もしくは省略することが可能である。
【0029】
図12は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。図12に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて光ファイバ束を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた光ファイバ束を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル10を構成する。尚、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバ、例えば半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを得るためには、ホーリーファイバ等のフォトニック結晶ファイバを用いることと、GeO等のドーパントを光ファイバに添加したり、コア径を小さくすること、の二種類の方法がある。この二種類の方法は同時に行うこともできる。また、外被13内の光ファイバの外周にはヤーンや樹脂などの緩衝層14を設けることも可能であり、側圧を軽減することができる。また、外被13内には、2本の抗張力体15が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐16が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように外被13の内側近傍に埋め込まれている。前記抗張力体15の埋め込み部の外被17の厚さは、抗張力体15の埋め込み部以外の部分の外被13の厚さより厚くなっている。このような構造とすることで、外部より切り裂き紐16の位置がわかり、カッタ等を用いて外被13に浅い切れ目を形成させることで、切り裂き紐16を容易に取り出し、外被13を引き裂けるため、分岐性にも優れている。
【0030】
図13は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図12に示すように、7本の光ファイバ束を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の単心被覆光ファイバ11を撚り合わせた1本のファイバ束を、図13に示すように、抗張力体18と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。
【0031】
図13に示すようにケーブルコア中に抗張力体18を配置してある場合またはケーブルコア外周に抗張力繊維を配置する場合は外被13中に抗張力体15を必要としない構造も考えられる。また、抗張力体15,18を配置する代わりに、緩衝層14で示される部分に抗張力繊維を用いてもよい。
【0032】
図14は本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。すなわち、図12の多心光ファイバケーブルの上部に支持線19を一体に設けた構造の多心光ファイバケーブルも考えられ、ケーブルコア中の抗張力体18または外被13内の抗張力体15を省略することも可能である。なお、本実施形態例における多心光ファイバケーブルにおいて、一切の抗張力体を配置しない構造も考えられる。
【0033】
図15は本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。図15に示すように、中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバの外周に同心円状に被覆を施した単心被覆光ファイバ11を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ12を巻いて第1の光ファイバ束21を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ12を巻いた第1の光ファイバ束21を複数本例えば4本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に識別用糸または識別用テープ22を巻いて第2の光ファイバ束23を形成し、更に前記識別用糸または識別用テープ22を巻いた第2の光ファイバ束23を複数本例えば7本ストレートまたは撚り合わせて密に集合した外周に緩衝層14を介在して押え巻き・外被13を施して多心光ファイバケーブル25を構成する。前記緩衝層14については省略することも可能である。
【0034】
図16は本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。図15に示すように、7本の第2の光ファイバ束23を撚り合わせて多心光ファイバケーブル構成した場合に中心に配置される4本の第1の光ファイバ束21を撚り合わせた1本の第2のファイバ束23を、図16に示すように、抗張力体24と置き換えることで、機械的特性を向上させることも可能である。また、外被13内の抗張力体15、抗張力繊維または緩衝層14、切り裂き紐16および支持線19については、第3の実施形態例と同様に配置もしくは省略することが可能である。
【0035】
以上のように本実施形態例によれば、前記低曲げ損失光ファイバおよび中心部付近に多数個の空孔を設けたフォトニック結晶ファイバが曲げに対して光損失が増加しないという特徴を生かし、密に光ファイバを実装することにより細径・高密度・軽量な多心光ファイバケーブルが実現する。具体的には、長期信頼性の確保を考慮した設計のみで十分であり、従来、ケーブルに加わる外力などによって生じる光損失を軽減するためなどに用いられてきたプラスチックロッド、抗張力体等を除き、光ファイバ同士を問題をなくして密に収容することで従来の光ファイバケーブルと比較して高密度に集合させ、多心光ファイバケーブル内における光ファイバ心線密度を可能な限り高めたことを特徴とする多心光ファイバケーブルである。この構造により心線密度を例えば2.5心/mm2以上の高密度とすることが可能である。
【0036】
また、本実施形態例の多心光ファイバケーブルにより、プラスチックロッドや抗張力体の省略が可能であり、細径・高密度・軽量かつ設計が容易な光ファイバケーブルが実現し、既存管路の収容スペースの有効利用が可能となり、新規光回線布設時に、土木設備投資にかかるコストを大幅に削減するとともに布設工事期間の大幅な短縮ができる。また、既存光ファイバケーブルよりも細径であることから、ケーブル取り回し性が向上し、ケーブル布設作業者の負担を軽減し、より迅速なケーブル布設が可能となることが期待できる。なお、心線を高密度に収容することによって中間後分岐時にファイバは外力を受けることになるが、曲げに対して光損失が増加しない特性を有する光ファイバを用いていることから、低損失で分岐することができる。また、支障移転工事などの場合、サービス中の光ファイバ心線に与える影響も軽減することができる。また、電柱間を架渉する際には、ケーブルが細径・軽量であるために、ケーブル自重による張力が軽減され、ケーブルの長期信頼性が向上するとともに、架空距離の延長も可能である。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態例に係る光ファイバ束撚り合わせ方法を説明するための摸式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図9】現在広く使用されている4心光ファイバテープを実装した100心光ファイバケーブルの例を示す断面図である。
【図10】フォトニック結晶ファイバを示す断面概略図である。
【図11】従来型光ファイバとフォトニック結晶ファイバの曲げによる光損失増加特性比較を示す特性図である。
【図12】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの更に他の例を示す断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態例に係る多心光ファイバケーブルの他の例を示す断面図である。
【図17】従来型光ファイバおよび低曲げ損失光ファイバの屈折率プロファイルの例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0039】
11…単心被覆光ファイバ、12…識別用糸または識別用テープ、13…押え巻き・外被、14…緩衝層、15…抗張力体、16…切り裂き紐。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項2】
フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記切り裂き紐の埋め込み部の外被の厚さは、切り裂き紐の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項4】
光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項5】
光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、ドーパントの添加もしくはコア径を制御した光ファイバを用いることを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを用いることを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記抗張力体の埋め込み部の外被の厚さは、抗張力体の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルにおいて、ケーブルコア外周に抗張力繊維を配置したことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項1】
フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項2】
フォトニック結晶ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記切り裂き紐の埋め込み部の外被の厚さは、切り裂き紐の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項4】
光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に識別用糸またはテープを巻き、更に前記識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項5】
光ファイバの外周に被覆を施した単心被覆光ファイバを集合した多心光ファイバケーブルであって、前記単心被覆光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第1の識別用糸またはテープを巻き、前記第1の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に第2の識別用糸またはテープを巻き、更に第2の識別用糸またはテープを巻いた光ファイバを複数本ストレートまたは撚り合わせて集合した外周に外被を施すことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、ドーパントの添加もしくはコア径を制御した光ファイバを用いることを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルであって、光ファイバとして、半径15mmで曲げても光損失増加が0.2dB/10turn以下となる光ファイバを用いることを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルであって、2本の抗張力体が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、かつ、2本の切り裂き紐が多心光ファイバケーブル中心に対して互いに対称の位置になるように前記外被に埋め込まれ、前記抗張力体の埋め込み部の外被の厚さは、抗張力体の埋め込み部以外の部分の外被の厚さよりも厚いことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の多心光ファイバケーブルにおいて、ケーブルコア外周に抗張力繊維を配置したことを特徴とする多心光ファイバケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−41568(P2007−41568A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178559(P2006−178559)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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