説明

多成分食品用の食用接着コーティング

本発明は、多成分食品用の食用接着コーティング、食用接着コーティングの作製方法、これらの食品接着コーティングを含む食品、および食用接着コーティングを含む多成分食品の製造方法に関し、特に、食用接着コーティングの働きの1つが、穀物やグラノーラ片などの粒子成分と食品ベースの中心部などのベース成分との接着を促進させることである、多成分食品用の食用接着コーティング、食用接着コーティングの作製方法、これらの食用接着コーティングを含む食品、および食用接着コーティングを含む多成分食品の製造方法に関する。本発明は、一実施形態において、食用脂肪源、吸湿性食物粉末、および任意選択により乳化剤を含む食用接着コーティングを提供する。特定の実施形態では、吸湿性食物粉末がポリデキストロースなどの食物繊維であり、乳化剤がレシチンである。食用脂肪源は、コンパウンドコーティングおよびチョコレートコーティングを含む、任意の典型的な供給源であることができる。本発明の他の実施形態は、食用接着コーティングを作製する方法、食用接着コーティングを使用する食品の製造方法、および食用接着コーティングを含む食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分食品用の食用接着コーティング、食用接着コーティングの作製方法、これらの食品接着コーティングを含む食品、および食用接着コーティングを含む多成分食品の製造方法に関し、特に、食用接着コーティングの働きの1つが穀物またはグラノーラ片などの粒子成分と食品ベースの中心部などのベース成分との接着を促進させることである、多成分食品用の食用接着コーティング、食用接着コーティングの作製方法、これらの食用接着コーティングを含む食品、および食用接着コーティングを含む多成分食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な消費者の必要性および欲求を満足させる食品を速やかに市場に出すために、企業は広範な食品設計を効率的に開発して実現する柔軟性を有する必要がある。食べ易いスナックなどの簡便な製品は、今日のペースの速い環境では非常に需要がある。さらに消費者は、簡便な製品に求めるものが様々に異なっている。例えば、一部の消費者は風味が効いた製品を好み、別の消費者は甘味製品を好み、別のものは栄養のある製品を求め、別のものは性能が強化された製品を望む。今日の消費者の絶えず進化し続ける要求を満たすために、風味、食感、形状、サイズ、および栄養面の膨大な組合せが考慮すべき多様な事項の一部にすぎない今日の競争環境において、食品開発者および技術者は様々な製品を製造するのに有用な共通の技術的土台を見出そうと試みている。
【0003】
広範な食品を設計するのに有用な1つの土台は、追加の食物成分に付着されたまたは該食品成分と組み合わされた脂肪ベースのコーティングの使用である。そのような脂肪ベースのコーティングは、他の食物片または成分を一緒に保持するように働くことができる。典型的には、脂肪ベースのコーティングを液体または半液体になる温度に加熱する。次いで、コーティングを、膨化した(puffed)または押出した中心部などのベース食物片に付着させる。次いで、コーティングを付着させた後、粒子成分(例えば、穀物またはグラノーラ)などの追加の成分を付け足すことができる。言い換えれば、コーティングは、他の食物片または成分を保持する接着媒体として働くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在利用可能な脂肪ベースのコーティングの欠点は、コーティングがより固形化して粘稠度(consistency)がより濃密になる時点まで最初に冷却された後にだけ、接着媒体として働くことである。したがって、この現在利用可能なタイプの脂肪ベースのコーティングを使用する食物製造プロセスは、コーティングが付着された後であるが粒子またはその他の成分が付け足される前に冷却工程を組み込まなければならない。あるいは、他の現在利用可能なコーティングは、冷却がなくても、付着時に比較的濃密な粘稠度を有するように設計される。これらの後者のコーティングは、通常、コーティングの脂肪および他の成分がローラー精製装置を通して処理される精製プロセスで製造される。付着時に粘稠度が濃密なそのようなコーティングは、不規則な形状の食物片の隅および角に適正に流入できず、覆うことができない。どちらの場合にも、これらの先のコーティングが接着媒体として働く能力は、濃密な粘稠度を有するコーティングに左右される。濃密な粘稠度は、不規則な形状の食物片の隅をコーティングして覆い、該食物片の角に浸入することがコーティングに求められるときに欠点となる。さらに上述のように、伝統的な脂肪ベースのコーティングの製造は、コーティングを製造するときに精製工程を必要とする。
【0005】
したがって、製造および付着するのに好都合な接着コーティングが求められている。コーティングが比較的希薄な粘稠度を有する場合であっても接着媒体として働くことができ、不規則な形状の食物片で好都合に使用することのできる、接着コーティングも求められている。コーティング製造のために精製を必要としないあるいは接着媒体として機能させるために冷却工程を必要としない、接着コーティングも求められている。最後に、脂肪ベースのコーティングは脂肪を高い割合で含有するので、そのようなコーティングがなんらかの栄養上の利益をもたらすことがさらに要求される。
【0006】
したがって、本発明の目的は、製造および使用に好都合な食用接着コーティングを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、コーティングが比較的希薄な粘稠度であっても、粒子または他の食物成分を一緒に保持するのに効果的な食用接着コーティングを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、接着媒体として機能させるための冷却を必要としない食用接着コーティングを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、不規則な形状の食物片または成分上に好都合に付着させることができる食用接着コーティングを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、食物繊維を含有する食用接着コーティングを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、多成分食品の設計において共通の土台として働くことができる食用接着コーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらおよびその他の目的に照らして、本発明は、多成分食品の設計において他の食物成分または食物片と一緒に使用することができる食用接着コーティングを提供する。一実施形態において、本発明は、食用脂肪源、吸湿性食物粉末、および任意選択により乳化剤を含む食用接着コーティングを提供する。特定の実施形態では、食用脂肪源はコンパウンドコーティング(compound coating)である。追加の実施形態では、食用脂肪源はチョコレートコーティングである。これらは、本発明の食用接着コーティングを製造するのに使用することができる食用脂肪源の2つの例にすぎない。
【0013】
別の実施形態において、食用接着コーティングの吸湿性食物粉末は食物繊維である。より具体的な実施形態では、食物繊維はポリデキストロースである。さらに、食用接着コーティングの実施形態は、乳化剤を含むことができる。乳化剤がレシチンである特定の実施形態が提供される。
【0014】
さらなる実施形態は、食用脂肪源を約10%から約90%、食物繊維を約10%から約20%、および乳化剤を約1%から約5%含む、食用接着コーティングを提供する。
【0015】
本発明の別の実施形態は、脂肪、吸湿性粉末、および任意選択の乳化剤のブレンド混合物を精製する必要がない、食用接着コーティングを製造する方法を提供する。
【0016】
本発明の追加の実施形態は、食用接着コーティングで食物片を少なくとも部分的にコーティングして少なくとも部分的にコーティングされた食物片を製造する工程を含む、多成分食品を製造する方法である。多成分食品を製造する方法に関する別の実施形態は、前記少なくとも部分的にコーティングされた食物片に粒子成分を付け足す工程をさらに含む。
【0017】
本発明の別の実施形態は、上述のプロセスおよび配合物から製造された多成分食品を包含する。
【0018】
本発明の追加の実施形態は、本発明の食用接着コーティングで製造された凝塊食品(agglomerated food product)について教示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の態様、特徴、および利点は、添付図面を参照しつつ、以下の説明により、より理解されよう。以下に記載される事項は、本発明の好ましい実施形態である。これらの実施形態は単なる例示であって限定するものではなく、単なる例として提示されることは、当業者には明らかであるべきである。この説明に開示される全ての特徴は、他に特に述べない限り、同じ目的および均等物または類似する目的に適う代替の特徴に置き換えることができる。したがって、それらの改変のその他多数の実施形態は、本明細書で定義される本発明の範囲およびその均等物の範囲内であると考えられる。
【0020】
本発明は、食用接着コーティング、そのようなコーティングを製造する方法、多成分食品を製造するためのそのようなコーティングの使用、および食用接着コーティングを含有する多成分食品に関する。図1aは、本発明の態様を例示する典型的な多成分またはマルチピース食品を示す。図1aは、中心部1、食用接着コーティング2、および外側粒子成分3を有する3成分食品を示す。図1aは、本発明により製造することができる多成分食品のタイプを単に例示しており、食品分野の当業者なら、本発明の教示を使用して達成することができる広範な製品設計を理解することができる。図1bは、本発明の食用接着コーティングを用いて作製することができる特殊な形状の中心部を有する多成分食品を示す。図1bは、本発明により製造することができる多成分食品のタイプの単なる例示である。図1bは、コーティングされた成分が特殊なまたは不規則な形状を有する多成分食品を製造するのに使用することができるという本発明の食用接着コーティングの利点も示す。ここでも、図1aおよび1bは、中心部1または4、食用接着コーティング2、および粒子成分3を有する3成分系を示す一方、教示する食用接着コーティングを用いて多くの可能な設計を得ることができる。例えば、追加の非限定的な製品設計は凝塊(agglomerate)であり、ある量の食物片が本発明の食用接着コーティングでコーティングされ、次いで製品に圧縮され(compacted)または形成される。そのような設計では、食物片を全て同じタイプの食物片(例えば、全て膨化米(puffed rice))にすることができ、あるいは食物片を異なるタイプの食物片の混合物(例えば、グラノーラタイプの混合物)にすることができる。さらなる非限定的な製品設計は、穀物ベースのフレークなどの食物片を本発明の食用接着コーティングでコーティングしたものである。ここでも、これらの設計は、可能な多くの製品設計の単なる例示である。さらに、任意の設計のためのコーティングの程度または量は、食物片をコーティングで全体的に覆うあるいはコーティングで部分的に覆うことができるように変化させることができる。
【0021】
したがって、食品分野の当業者ならばより容易に理解されるように、コーティングの接着性が所望するものである任意の製品設計は、本発明の食用接着コーティングを組み込むことができる。製品設計は、中心部など、食用接着コーティングでコーティングされる(または部分的にコーティングされる)任意のタイプの食物片を組み込むことができる。食品設計は、粒子状食物片の追加の層(または部分層)などの追加の成分を組み込むことができる。追加の成分が組み込まれる場合、食用接着コーティングは、全ての成分を一緒に保持するように働く(例えば、粒子を中心部に保持する)。
【0022】
製品設計が中心成分を含む場合、広範な中心成分を使用することができる。中心成分は、軟らかくする、硬くする、または中間の硬さにすることができる。中心成分は、球状にすることができ、あるいは他の規則的なもしくは不規則な形状にすることができる。中心成分の非限定的な例には、果物片(例えば、乾燥したまたは半軟質の果物片)、押出したまたは焼いたも(baked)しくは膨らんだ(expanded)穀物ベース中心部、穀物ベースフレーク、菓子片、ナッツ、ゲル、ガム、および他の甘味または風味のある食物片が含まれる。
【0023】
製品設計が粒子成分を含む場合、多くの異なるタイプ、サイズ、および形状の粒子成分を使用することができる。粒子成分の非限定的な例には、果物片、押出したまたは焼いたもしくは膨らんだ穀物ベース片、菓子片、ナッツ、ゲル、ガム、および他の甘くまたは風味の効いた食物片が含まれる。一般的な粒子成分には、グラノーラタイプの混合物を含むがこれに限定されない、穀物または穀物の混合物が含まれる。
【0024】
製品設計が食物片の凝塊である場合、多くの異なるタイプ、サイズ、および形状の粒子を使用することができる。粒子の非限定的な例には、果物片、押出したまたは焼いたもしくは膨らんだ穀物ベース片、菓子片、ナッツ、ゲル、ガム、および他の甘味または風味のある食物片が含まれる。一般的な粒子には、グラノーラタイプの混合物を含むがこれに限定されない、穀物または穀物の混合物が含まれる。
【0025】
本発明の食用接着コーティングは、食用脂肪源と吸湿性粉末および任意選択により乳化剤とを組み合わせることによって製造される脂肪ベースのコーティングである。広範な植物性および動物性脂肪源を含む任意のタイプの食用脂肪源を使用することができる。食用脂肪源は、他の成分を含有しないか比較的少しか含有しない比較的純粋な状態の脂肪であることができる。あるいは食用脂肪源は、脂肪および他の成分(例えば、コンパウンドコーティング、チョコレートコーティング、または脂肪を含有する他の成分ブレンド)の先立って製造されたブレンドであることができる。脂肪および食用脂肪源の具体例には、植物硬化油および植物非硬化油(hydorogenated and unhydroeanated vegetable oils)、パーム核脂肪、ココアバター、エステル交換脂肪、分留脂肪(fractionated fats)、および固体または半固体動物性脂肪が含まれるが、これらに限定するものではない。推奨される脂肪には、ココアバター、ココアバター代替物、ココアバター均等物、大豆硬化油、綿実硬化油、およびこれらのブレンドが含まれる。脂肪源の他の非限定的な例には、コンパウンドコーティング(ラウリン酸および非ラウリン酸コンパウンドコーティングを含む)、チョコレートコーティング(例えば、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、セミスイート、またはダークチョコレートベースのコーティング)、超コンパウンドコーティング(super compound coatings)、チョコレートまたはコンパウンドコーティングに硬い脂肪(hard fat)を付け足すことによって作製されたコーティング、または脂肪もしくは脂肪ベースのブレンドの他の一般的な供給源が含まれる。本発明の食用接着コーティングの脂肪含量は、一般に約10%から約90%で変動することができる。より好ましくは、本発明の食用接着コーティングの含量は、約15%から約30%の脂肪含量を有する。
【0026】
本発明の食用接着コーティングのための吸湿性粉末には、広範な食物粉末が含まれる。好ましい実施形態は、食物繊維を含む。食物繊維は、本発明の食用接着コーティングで製造された製品に栄養的な価値を付加し、そのようなコーティングの接着性にも寄与する。特定の実施形態は、食物繊維としてポリデキストロースを含有する。Danisco社による製品Litesse(登録商標)は、ポリデキストロースの好ましい形態である。食物繊維の他の非限定的な例には、難消化性デンプン(resistant starch)、オリゴフルクトース、オートブラン、β−グルカン、およびイヌリンが含まれる。本発明の食用接着コーティングの繊維含量は、一般に約5%から約20%で変動することができる。より好ましくは、本発明の食用接着コーティングの繊維含量は、一般に約10%から約15%で変動する。
【0027】
あるいは、本発明の高接着コーティングの接着性は、食物繊維に加えてあるいは食物繊維の代わりに、他の吸湿性粉末を付け足すことによって達成することができる。そのような粉末には、マルトデキストリン、改質および非改質デンプン、乳製品粉末、タンパク質濃縮物(乳製品、大豆、またはその他)、粉末ラクトース、コーンシロップ固形分、および他の糖類、炭水化物、またはタンパク質ベースの粉末が含まれるが、これらに限定するものではない。粉末は、予め精製された粉末、顆粒であることができ、あるいは他の典型的な粉末形態で使用することができる。
【0028】
食用接着コーティングは、乳化剤の付け足しによって作製することもできる。乳化剤は必ずしも必要ではないが、乳化剤を使用することによって、対象の製品およびプロセスに最も有利な性質の組合せを有するコーティングの設計および配合(formulation)が可能になる。例えば、吸湿性粉末と一緒に乳化剤を使用することにより、好適なレベルの接着を所望のコーティングの粘稠度で特定の温度において達成することができる。乳化剤が食用接着コーティングに含まれる場合、乳化剤は、食用脂肪源および吸湿性粉末が一緒に混合された後、最後に付け足される。本発明の食用接着コーティングに有用な乳化剤の非限定的な例には、全てのタイプのレシチン(種々のヒドロキシル化物を含み、ホスファチジルコリンに限定されない)、PGRP、蒸留されたモノグリセリドおよびジグリセリド、およびこれらの混合物、アセチル化グリセリド、大豆タンパク質、ならびにステアレートが含まれる。
【0029】
乳化剤を使用しない場合、食用接着コーティング配合物は、脂肪を少なくとも30%含有しなければならない。また、乳化剤を使用しない場合、配合物中の脂肪は室温で半固体でなければならない。98Fよりも低い融点を有する脂肪が好ましい。一般に、脂肪は、ブルーム(Bloom)および特異化(specification)が回避されるように選択すべきである。
【0030】
食用脂肪源、吸湿性粉末、および乳化剤に加えて、他の成分をコーティング配合物に任意選択により付け足すことができる。一般的な追加の成分には、着香成分(液体または粉末形態)、着色剤、糖、ココアリカー、非吸湿性食物粉末、および播種剤(seeding agents)が含まれる。
【0031】
本発明の食用接着コーティングを作製するために、食用脂肪源を概ね液体または半液体になる時点まで加熱する。次いで、粉末または乾燥成分を添加し、液体または半液体脂肪と一緒に混合する。食用接着コーティングが乳化剤を含む場合、乳化剤は最後に混合する。このプロセスは、一般的な処理ケトル内で全て行うことができる。温度制御がなされるケトルが有用であるが、必ずしも必要ではない。本発明の食用接着コーティングを製造する際の重要な特徴は、コーティング配合物(即ち、コーティングブレンド)を精製する必要がないことである。実際に、従前のコーティングに勝る本発明の食用接着コーティングの利点とは、同様の目的で使用される従前のコーティングが典型的にはローラー精製装置で精製されるのに対し、本発明のコーティングは、コーティングブレンドを精製する必要なく作製されることである。本発明の食用接着コーティングを作製するのに精製工程を回避することにより、コーティングを比較的希薄な粘稠度での接着媒体としてより効果的にすることが可能になる。
【0032】
食用接着コーティングを作製したら、該コーティングを使用する食品を製造することができる。食用接着コーティングを組み込む典型的な食品設計は、中心部、食用接着コーティング、および食物粒子片成分などのいくつかの成分(または食物片)を含有してよい。図2は、食用接着コーティングを使用して多成分食品を製造するための例示的なタンブルドラムプロセスを示す。この例示的なタンブルドラムプロセスでは、ある量の中心成分片をコア供給装置5に貯蔵する。コア供給装置5は、中心成分片(中心部)をコンベヤシステム6上に落下させ、エンローバ7を通して中心部を運ぶ。コンベヤシステムは、製造ラインのプロセスおよびレイアウトに応じて、いくつかの異なる搬送セクションを有するように設計することができる。また、搬送セクションは、固体のベルト、ワイヤ製のベルト、金属、ゴム、またはポリマー材料製のベルト、ベルトのギャップまたはスロットを通してコーティングまたは粒子の排出を可能とするベルト、材料を上方に運ぶための区分けされた壁を有するベルト、異なる速度で移動するベルト、または他の特徴も有することができる。
【0033】
エンローバ7は、食用接着コーティングを加熱状態、液体状態、または半液体状態で貯蔵し、食用接着コーティングを中心部に付着させる。コーティングおよびエンローバの温度は、食用接着コーティングに使用される脂肪源に応じて変わる。製品設計によれば、中心部を食用接着コーティングで完全に覆うことができ、あるいは部分的にのみ覆うことができる。例えば、エンローバは、最上面を化粧掛けし(enrobe)、最上面および側面を化粧掛けし、底面を化粧掛けし、または完全に化粧掛けするように設定することができる。食品分野の当業者なら、エンローバは様々な用途に合わせて設定できることが理解されよう。あるいは、エンローバは、コーティングを付着させるためのいくつかの他のタイプの装置に換えることができる。異なるコーティング付着システムの非限定的な例は、コーティングを中心部上に振りかけるまたは噴霧するものである。さらに、エンローバは、コーティングされまたは部分的にコーティングされた中心部から過剰なコーティングを除去するために、空気の吹き込み(blowing air)などのメカニズムを備えることができる。
【0034】
コーティングされた中心部がエンローバ7から出ると、それらはタンブルドラム8に搬送され、ここで、コーティングされた中心部は粒子成分と一緒に混合される。図2において、粒子成分が供給装置9に貯蔵され、該供給装置は、粒子成分(例えばグラノーラ)を化粧掛けした中心部上に落下させる。粒子は、化粧掛けした中心部上に即座に接着することができ、あるいはコンベヤ上に落下する。次いで、粒子(ばらばらの粒子および接着した粒子の両方)およびコーティングされた中心部は、タンブルドラム8に一緒に入る。あるいは、他の可能な実施形態では、粒子成分およびコーティングされた中心部をタンブルドラム8に別々に移送することができる。タンブルドラム8は、装置の回転ピースであり、ここで、コーティングされた中心部および粒子が混合されて、粒子とコーティングされた中心部との接触が促進される。タンブルドラム8において、ばらばらの粒子は、粒子と化粧掛けした中心部との適正な接着をさらに確保し、かつ、粒子による所望の被覆度を達成するために、化粧掛けした中心部に接触する機会を有する。化粧掛けされ粒子で覆われた小片がタンブルドラム8から出ると、接着していない粒子が再循環システム10を介して再循環される一方、コーティングされ粒子で覆われた中心部は、1つ以上の冷却トンネル11内を通過してコーティングを凝固させ硬化させる。
【0035】
本発明の食用接着コーティングを使用することにより、粒子は、タンブルドラム8から離れたコーティングされた中心部上により効果的に保持され、したがって、落下し再循環させる必要のある粒子はより少なくなる。次いで、冷却によって、コーティングされた中心部上に既に接着している粒子片を硬化させる。したがって、図2において、冷却工程は、コーティングまたは混合工程から切り離され、粒子片がコーティングされた中心部上に既に接着した後となる。したがって、冷却工程は、粒子片とコーティング中心部上との初期の接着を確保するのにあまり重要ではない。本発明の範囲内の他のプロセスは、混合工程(例えば、タンブルドラム8)の際あるいは前に、より早期の冷却工程を適用することができ、したがって、接着は、本発明の新規な食用接着コーティングの接着性と冷却によって引き起こされる硬化作用との両方によって達成される。さらに本発明者等は、本出願と同時に出願される「Improved Tumbledrum Design And Method For Coating Objects」という名称の仮特許出願の教示を参照により取り入れる。
【0036】
図2のプロセスは、典型的な多成分食品を本発明の食用接着コーティングでどのように製造できるかを示す非限定的な例示的プロセスである。食品分野の当業者に理解されるように、食物片にコーティングを付着させるための任意のプロセスを使用することができる。接触を促進させる混合が必要か否かは、製品設計に左右される。図2において、タンブルドラムでの混合を使用して、コーティングされた中心部と粒子成分との間の接触を促進し、制御する。他のタイプの装置を使用して、コーティングされた食物片と食物片とを混合し、これらの間の接触を促進することができる。さらに、他のタイプの装置を使用して、接触を促進させるとともに異なる製品設計を行うことができる。例えば、図3は、ある量のコーティングされた食物片を圧縮して凝塊食品を製造するための型(mold)およびプランジャによるアプローチを示す。そのようなプロセスでは、ある量の既にコーティングされた食物片を成形システムに充填し、そのような型トレイ12は既にコーティングされた食物片を受容するためのキャビティ13を有し、次いで、既にコーティングされた小片をプランジャ14で圧縮して製品を形成する。製品の形状および官能(sensory)特性は、一部として、使用されるコーティング、使用される食物片、付着されるコーティングの量、使用される型の形状、および加えられる圧縮量に左右される。ここでも、図3は、接触プロセスの単なる例示であり、追加の製品設計を、本発明の食用接着コーティングを使用してどのように製造できるかという単なる例示でもある。
【0037】
下記の実施例は、本発明の単なる例示であり、本発明の範囲をどのようにも限定するものではないと見なすべきである。
【実施例1】
【0038】
チョコレートコンパウンドコーティング(約98Fから約126Fの温度範囲で付着される食用接着コーティングを製造するための脂肪源として使用される)。
パーム核部分硬化油 22〜32重量%
糖 54〜64重量%
ココアパウダー 12〜17重量%
脱脂粉乳 2〜7重量%
レシチン <2重量%
塩 <2重量%
人工調味料 <2重量%
【実施例2】
【0039】
食用接着コーティング配合物
コンパウンドコーティング 87重量%
ポリデキストロース 10重量%
レシチン 3重量%
【実施例3】
【0040】
食用接着コーティング配合物
コンパウンドコーティング 87重量%
マルトデキストリン 10重量%
レシチン 3重量%
【実施例4】
【0041】
食用接着コーティング配合物
コンパウンドコーティング 87〜95重量%
ポリデキストロース 5〜10重量%
パーム核油 0〜3重量%
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】本発明の態様を例示するための多成分食品を示す図である。
【図1b】本発明の食用接着コーティングで形成することができる特殊な形状の中心部を有する多成分食品を示す図である。
【図2】本発明により多成分食品を製造する方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明によってどのように凝塊食品を製造することができるのかを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用脂肪源を約10%から約90%、および食物繊維を約10%から約20%含む、食用接着コーティング。
【請求項2】
食用脂肪源を約15%から約30%、および食物繊維を約10%から約15%含む、請求項1に記載の食用接着コーティング。
【請求項3】
乳化剤を約1%から約5%さらに含む、請求項1に記載の食用接着コーティング。
【請求項4】
前記乳化剤がレシチンである、請求項3に記載の食用接着コーティング。
【請求項5】
前記食物繊維がポリデキストロースである、請求項1に記載の食用接着コーティング。
【請求項6】
前記食用脂肪源がコンパウンドコーティングである、請求項1に記載の食用接着コーティング。
【請求項7】
前記食用脂肪源がチョコレートコーティングである、請求項1に記載の食用接着コーティング。
【請求項8】
改善された接着特性を有する食物片上の食用コーティングを作製する方法であって、
a.最初に、食用脂肪源と吸湿性粉末とをブレンドしてコーティングブレンドを得る工程と、
b.次いで、前記コーティングブレンドを前記食物片に付着させる工程と
を含む方法。
【請求項9】
工程bを行う前に乳化剤を工程aのコーティングブレンドに混合する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記乳化剤がレシチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記食用脂肪源がコンパウンドコーティングである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記食用脂肪源がチョコレートコーティングである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記吸湿性粉末が食物繊維である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記吸湿性粉末がポリデキストロースである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
a.食用脂肪源を約10%から約90%、および食物繊維を約10%から約20%含む食用接着コーティングを提供する工程と、
b.食物片を提供する工程と、
c.工程aの食用接着コーティングで前記食物片を少なくとも部分的にコーティングして、少なくとも部分的にコーティングされた食物片を製造する工程と
を含む、多成分食品を製造する方法。
【請求項16】
前記食物片が中心部である、請求項15に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項17】
前記少なくとも部分的にコーティングされた食物片に粒子成分を付け足す工程をさらに含む、請求項15に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項18】
前記粒子成分がグラノーラである、請求項17に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項19】
前記粒子成分と少なくとも部分的にコーティングされた前記食物片とを混合して、少なくとも部分的にコーティングされ、かつ、覆われた食物片を製造する工程をさらに含む、請求項18に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項20】
少なくとも部分的にコーティングされ、かつ、覆われた前記食物片を冷却する工程をさらに含む、請求項19に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項21】
a.複数の少なくとも部分的にコーティングされた前記食物片を得る工程と、
b.前記少なくとも部分的にコーティングされた食物片を凝塊させる工程と
をさらに含む、請求項15に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項22】
前記凝塊工程が、
a.前記少なくとも部分的にコーティングされた食物片を成形する工程
を含む、請求項21に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項23】
凝塊工程が、
a.前記少なくとも部分的にコーティングされた食物片を圧縮する工程
を含む、請求項21に記載の多成分食品を製造する方法。
【請求項24】
食物片および請求項1に記載の食用接着コーティングを含む、多成分食品。
【請求項25】
粒子成分をさらに含む、請求項24に記載の多成分食品。
【請求項26】
前記食物片が中心部であり、前記粒子成分がグラノーラである、請求項25に記載の多成分食品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−531066(P2009−531066A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503095(P2009−503095)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/008580
【国際公開番号】WO2007/117601
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(507302807)ザ クエーカー オーツ コンパニー (1)
【Fターム(参考)】