説明

多方向入力装置及び電子機器

【課題】押圧操作に対して安定して傾動することで操作感を向上させることが可能な多方向入力装置及び当該多方向入力装置を搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】十字キー1は、第1乃至第4の押圧部11a〜11dを有するキートップ3と、第3及び第4の押圧部11c及び11dへの押圧操作に対して、Y方向の軸上に両端部に存在する2つの支柱部16を支点として傾動可能な第1の傾動部材4と、第1及び第2の押圧部11a及び11bへの押圧操作に対して、X方向の軸上に存在する2つの支柱部18を支点として傾動可能な第2の傾動部材5とを有する。また、第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5は、それぞれ傾動状態から中立位置へ復帰するための復帰ばね力を有する延在部17及び19を各支柱部16及び18と一体的に有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばAV(Audio/Visual)機器やゲーム機器等の電子機器に搭載される多方向入力装置及び当該多方向入力装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下左右に押圧操作部を有するいわゆる十字キーにおいては、各押圧部に囲まれた中央の一点に支点を設けて、上下左右の押圧操作に対して当該支点を中心に傾動する構造となっている。例えば、下記特許文献1に記載の多方向入力装置においては、キートップを4分割する十字状の溝の交差部の下面から基材側に突出する棒状の凸部を形成し、この凸部を支点としてキートップを揺動可能としている。
【特許文献1】特開2003−151409号公報(図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載のように、1つの支点を中心にキートップを揺動させると、キートップが安定しないため、押圧操作に対するキートップの傾動角度や傾動ストロークにばらつきが生じてしまう。そこで、このばらつきを補正するためにコイルばねやウレタンクッション等の緩衝材を設けることが考えられるが、そうするとその緩衝材により押圧力が吸収されてしまい、操作感が悪くなる。特に、多方向入力装置が大型化する程このばらつきは大きくなるため、操作感の悪化も顕著になる。また、緩衝材を設けることで部品点数も増加するため、製造上におけるばらつきも多くなり、歩留まりが悪化することにもなる。
【0004】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、押圧操作に対して安定して傾動することで操作感を向上させることが可能な多方向入力装置及び当該多方向入力装置を搭載した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明の主たる観点に係る多方向入力装置は、表面と、前記表面上の第1の軸上に設けられた第1の押圧部及び第2の押圧部と、前記表面上であって、前記第1の軸に直交し前記第1及び第2の押圧部の間を通る第2の軸上に設けられた第3の押圧部及び第4の押圧部とを有する押圧操作部材と、前記押圧操作部材の前記押圧方向に接続され、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により、前記第1の軸に平行な第3の軸上の2点を第1の支点及び第2の支点として第1の中立位置から傾動可能な第1の傾動部材と、前記第1の傾動部材の前記押圧方向に接続され、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により、前記第2の軸に平行な第4の軸上の2点を第3の支点及び第4の支点として第2の中立位置から傾動可能な第2の傾動部材とを具備する。
【0006】
ここで、多方向入力装置とは、上下左右方向への押圧操作が可能ないわゆる十字キーであり、上記第1及び第2の押圧部が例えば上下(左右)キー、上記第3及び第4の押圧部が例えば左右(上下)キーとしての役割を担う。
【0007】
この構成により、押圧操作部材の4つの押圧部への各押圧操作のうち、第1及び第2の押圧部に対する各押圧操作より傾動する第2の傾動部材と、第3及び第4の押圧部の押圧部に対する各押圧操作により傾動する第1の傾動部材とを別個に設け、各傾動部材にそれぞれ2つの支点を持たせることで、各押圧操作に対して各傾動部材がそれぞれ2つの支点により安定して支持されながら傾動することとなる。したがって、各押圧操作に対する傾動角度及び傾動ストロークにばらつきが生じることがなくなり、押圧操作時の操作感を格段に向上させることができる。
【0008】
上記多方向入力装置は、前記第2の傾動部材を支持する支持部材を更に具備し、前記第1の傾動部材は、前記押圧操作部材と接続される第1の基台部と、前記第1の基台部の、前記第3の軸上の両端部にそれぞれ一体的に設けられ、前記第1及び第2の支点となるよう前記第2の傾動部材と接続される第1の接続部及び第2の接続部とを有し、前記第2の傾動部材は、前記第1及び第2の接続部とそれぞれ接続する第3及び第4の接続部とを、前記第4の軸に直交する軸上に有する第2の基台部と、前記第2の基台部の、前記第4の軸上の両端部にそれぞれ一体的に設けられ、前記第3及び第4の支点となるよう前記支持部材と接続される第5の接続部及び第6の接続部とを有していてもよい。
【0009】
これにより、第1の傾動部材の上記第1及び第2の接続部と、第2の傾動部材の上記第3及び第4の接続部とにより第1の傾動部材と第2の傾動部材とが確実に接続されており、また第2の傾動部材の第5及び第6の接続部により第2の傾動部材と支持部材とが確実に接続されているため、第1及び第2の押圧部への押圧操作用と、第3及び第4の押圧部への押圧操作用とで部材を別個に設けても安定した傾動動作及び押圧操作が可能となる。また、第1及び第2の接続部と、第5及び第6の接続部とは、それぞれ第1の基台部と第2の基台部とに一体的に設けられているため、接続のための部品を別途設ける必要が無く、部品点数の増加を抑えることもできる。
【0010】
上記多方向入力装置において、前記第1の傾動部材は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力に抗して前記第1の中立位置へ復帰するための第1の復帰ばね力を有し、前記第2の傾動部材は、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力に抗して前記第2の中立位置へ復帰するための第2の復帰ばね力を有していてもよい。
【0011】
これにより、第1及び第2の傾動部材がそれぞれ復帰ばね力を有しているため、例えばコイルばねやウレタンクッション等の復帰用の緩衝部材を別途設ける場合に比べて、部品点数を増加することなく、ユーザに安定した快適な押圧操作感(押圧操作のフィードバック感)を与えることができる。またこれにより、製造時のばらつきを抑えて歩留まりを向上させることができる。
【0012】
上記多方向入力装置において、前記第1及び第2の接続部、または、前記第3及び第4の接続部は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により蓄積される第1の捻り力を前記第1の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなり、前記第5及び第6の接続部は、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により蓄積される第2の捻り力を前記第2の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなっていても構わない。
【0013】
これにより、上記第1及び第2の接続部または第3及び第4の接続部と、第5及び第6の接続部とがそれぞれ上記第3及び第4の押圧部への押圧操作と、第1及び第2の押圧部への押圧操作とにより所定方向に捻られることで上記第1及び第2のばね復帰力を蓄積することが可能な材料からなるため、傾動のための特別な機構を設けることなく、快適な押圧操作感を容易な構成で提供することができる。
【0014】
また上記多方向入力装置は、前記表面に平行な第1の面と、当該第1の面の内面となる第2の面と、前記第1の面と第2の面とを連通し前記押圧操作部材を露出させる開口とを有する筐体を有する電子機器に搭載可能であり、前記第1及び第3の接続部、並びに前記第2及び第4の接続部は、それぞれ前記第3の軸を中心に回動することで前記第1の傾動部材を傾動させることが可能なヒンジ機構をなし、前記第1の基台部は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧に伴ってそれぞれ前記第2の面に当接可能であり、かつ、前記ヒンジ機構の回動時に当該前記各当接力に抗する各付勢力を前記第1の復帰ばね力とすることが可能な第1の付勢部及び第2の付勢部を一体的に有し、前記第5及び第6の接続部は、前記第1及び第2の押圧力による捻り力を前記第2の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなっていても構わない。
【0015】
これにより、上記第1の傾動部材の上記第1及び第2の接続部をヒンジ構造とすることで、上記第3の軸方向における多方向入力装置の幅をコンパクトに収めて省スペース化を実現しながら、上記第1及び第2の付勢部を上記第2の面に当接させることで上記第1の復帰ばね力も持たせることができる。また第2の傾動部材の第5及び第6の接続部については、上記捻り力を第2のばね復帰力として蓄積可能な材質とすることで、傾動のための特別な機構を設けることなく快適な押圧操作感を提供することができる。なお、ここで上記支持部材が上記筐体の一部となっていても構わない。
【0016】
上記多方向入力装置において、前記押圧操作部材は、前記第1乃至第4の押圧部により囲まれるように、前記表面の中心に形成された第1の開口部を有し、前記第1の傾動部材は、前記第1の支点と第2の支点との間に形成された第2の開口部を有し、前記第2の傾動部材は、前記第3の支点と第4の支点との間に形成された第3の開口部を有し、当該多方向入力装置は、前記表面から露出し、前記第1乃至第3の開口部を貫通するように設けられた第5の押圧部を更に具備していてもよい。
【0017】
これにより、上記押圧操作部材の中心に傾動軸が設けられていないため、上記第1乃至第3の開口部を設けるだけで、押圧操作部材の中心に第5の押圧部を他の部材に干渉させることなく容易に設けることができ、利便性を向上させることができる。
【0018】
本発明の他の観点に係る電子機器は、表面と、前記表面上の第1の軸上に設けられた第1の押圧部及び第2の押圧部と、前記表面上であって、前記第1の軸に直交し前記第1及び第2の押圧部の間を通る第2の軸上に設けられた第3の押圧部及び第4の押圧部とを有する押圧操作部材と、前記押圧操作部材の前記押圧方向に接続され、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により、前記第1の軸に平行な第3の軸上の2点を第1の支点及び第2の支点として第1の中立位置から傾動可能な第1の傾動部材と、前記第1の傾動部材の前記押圧方向に接続され、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により、前記第2の軸に平行な第4の軸上の2点を第3の支点及び第4の支点として第2の中立位置から傾動可能な第2の傾動部材とを有する多方向入力装置と、前記多方向入力装置を収容する筐体と、前記第1乃至第4の押圧部に対する押圧力によりそれぞれ所定の操作信号を入力可能な第1乃至第4のスイッチとを具備する。
【0019】
ここで電子機器とは、例えばAV機器やゲーム機器(ゲーム機器用コントローラを含む)、PC(Personal Computer)、各種電子機器のリモートコントローラ等、操作部を必要とするあらゆる電子機器をいう。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、押圧操作に対して安定して傾動することで操作感を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る十字キーを搭載した据置型のオーディオ装置の外観を示した図である。このオーディオ装置100は、図示しないスピーカと接続されており、例えばCD(Compact Disc)やMD(Mini Disc)等の記録媒体に記録された音楽ファイルを、当該スピーカを介して再生可能となっている。
【0023】
同図に示すように、このオーディオ装置100の筐体2の前面2aには、例えば楽曲を選択したり、再生、再生停止、早送り、巻き戻し等の各種操作を行ったりするための十字キー1が設けられている。当該前面2aは、十字キー1以外にも各種操作部やディスクトレイ(ディスクスロット)、表示部等が設けられているが、これらの説明は省略する。
【0024】
図2は、本実施形態における十字キー1の分解斜視図であり、図3は、当該十字キー1を前記前面2a方向から捉えた平面図である。また図4は、図3に示した十字キー1のA−A’方向の略式断面図であり、図5は、図3に示した十字キー1のB−B’方向の略式断面図である。
【0025】
これらの図に示すように、十字キー1は、キートップ3と、第1の傾動部材4と、第2の傾動部材5とが図中Z方向に接続されて構成される。キートップ3、第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5は何れも樹脂製である。また、図2に示すように、この十字キー1は、支持部材6により支持され、さらに基板7と接続されている。
【0026】
キートップ3は、円筒形状を有し、その表面に、上キー、下キー、左キー及び右キーとして機能する第1の押圧部11a〜第4の押圧部11dを有する。この表面内において、第1の押圧部11a及び11bは図中Y方向の軸上に位置し、第3の押圧部11c及び第4の押圧部11dは図中X方向の軸上に位置する。また、キートップ3の中央には、上記支持部材6に設けられた決定キー9を上記Z方向に貫通させて表面から露出させるための開口12が設けられている。なお、各押圧部11a〜11dには、それぞれの押圧場所を示す矢印が刻印またはプリントされている。また、図2に示すように、筐体2の前面2aには、上記キートップ3を貫通させて上記各押圧部11を前面2aから露出させる開口20が設けられている。
【0027】
第1の傾動部材4は、上記キートップ3が接続される基台部13を有し、当該基台部の、図中Y方向の両端部には、図中Z方向に突出するようにボス14a及び14bが設けられている。各ボス14には、それぞれ図中Z方向に貫通する孔が形成されている。また、図2、図4及び図5に示すように、基台部13には、上記キートップ3の開口12と連通する開口13aが形成されている。
【0028】
第2の傾動部材5は、リング状の基台部15を有し、当該基台部15の、図中Y方向の両端部には、上記第1の傾動部材4のボス14a及び14bの各孔とそれぞれ係合可能なように、図中Z方向へ向かう支柱部16a及び16bが設けられている。この各ボス14と各支柱部16との係合により、第1の傾動部材4と第2の傾動部材5とが接続され、第1の傾動部材4が、各ボス14及び各支柱部16を2つの支点として第2の傾動部材5に支持されることになる。
【0029】
また、図2、図3及び図5に示すように、各支柱部16a及び16bと、基台部15との間には、基台部15から図中Y方向に延在する延在部17a及び17bが一体的に形成されている。この各延在部17は可撓性を有している。この可撓性により、キートップ3の第3の押圧部11c及び第4の押圧部11dに対する押圧操作(左右キー押圧操作)があった場合には、各押圧力により各延在部17が図中Y方向の軸を中心に捻られることで、第1の傾動部材4が上記2つのボス14及び支柱部16を支点として中立位置(図3〜図5に示す位置)から傾動可能となっている。
【0030】
そして、各延在部17は、第1の傾動部材4の傾動により捻られた場合に、その捻り力を、第1の傾動部材4を上記中立位置へ復帰させる復帰ばね力として蓄積することが可能となっている。
【0031】
また、図2、図4及び図5に示すように、基台部15には、上記キートップ3の開口12及び第1の傾動部材4の開口13aと連通する開口15aが形成されている。
【0032】
図2〜図4に示すように、基台部15の、図中X方向の両端部には、上記各延在部17と同様の延在部19a及び19bと、図中Z方向に向かう支柱部18a及び18bとが一体的に形成されている。また、支持部材6には、この支柱部18a及び18bとそれぞれ係合可能な係合孔を有する係合部21a及び21bが設けられている。この各支柱部18と係合部21との係合により、第2の傾動部材5と支持部材6とが接続され、第2の傾動部材5が、各支柱部18を2つの支点として支持部材6に支持されることとなる。
【0033】
また、各延在部19は、上記各延在部17と同様に可撓性を有している。キートップ3の第1の押圧部11a及び第2の押圧部11bに対する押圧操作(上下キー押圧操作)があった場合には、各押圧力により各延在部19が図中X方向の軸を中心に捻られることで、第2の傾動部材5が上記2つの支柱部18を支点として上記中立位置から傾動可能となっている。
【0034】
そして、各延在部19は、上記各延在部17と同様、第2の傾動部材5の傾動により捻られた場合に、その捻り力を、第2の傾動部材5を上記中立位置へ復帰させる復帰ばね力として蓄積することが可能となっている。
【0035】
図2及び図4に示すように、第1の傾動部材4の裏面の、上記第3の押圧部11c及び第4の押圧部11dに対応する位置には、図中Z方向に向かう円柱状のスイッチ押し部22c及び22dが設けられている。また図2及び図5に示すように、第2の傾動部材5の裏面の、上記第1の押圧部11a及び第2の押圧部11bに対応する位置には、上記スイッチ押し部22c及び22dと同様、図中Z方向に向かう円柱状のスイッチ押し部22a及び22bが設けられている。なお、第2の傾動部材5の基台部15には、第1の傾動部材4の各スイッチ押し部22c及び22dをそれぞれ貫通させるための開口15b及び15cが設けられている。
【0036】
一方、図2〜図5に示すように、基板7には、上記各スイッチ押し部22a〜22dに対応するようにスイッチ8a〜8dが設けられており、また基板7は、オーディオ装置100内の図示しないCPU(Central Processing Unit)等の回路基板に接続されている。上記第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5の傾動により各スイッチ押し部22が各スイッチ8を押圧することで、各押圧操作に対応した各種信号がCPUに入力され、各種信号に対応した処理(例えば楽曲再生/停止、早送り/巻き戻しや、表示部における選択項目の移動等)が行われるようになっている。
【0037】
また上述したように、支持部材6には、図中Z方向に向かう円筒状の決定キー9が設けられており、この決定キー9は、キートップ3の開口12、第1の傾動部材4の開口13a及び第2の傾動部材5の開口15aを貫通して、キートップ3の表面から各押圧部11に囲まれるように露出し、第5の押圧部として機能する。また図4及び図5に示すように、決定キー9の内部には、上記各スイッチ押し部22a〜22dと同様に図中Z方向に向かうスイッチ押し部22eが設けられており、基板7には、各スイッチ8a〜8dに囲まれるようにスイッチ8eが設けられている。この決定キー9の押圧によりスイッチ8eが押圧されることで、CPUにより例えば選択項目の決定等の処理が行われる。
【0038】
次に、以上のように構成された十字キー1の動作について説明する。図6は、第3の押圧部11cまたは第4の押圧部11dへの押圧操作(左右キー押圧操作)があった場合の十字キー1の動作を上記Y方向から示した図であり、図7は、第1の押圧部11a及び第2の押圧部11bへの押圧操作(上下キー押圧操作)があった場合の十字キー1の動作を上記X方向から示した図である。
【0039】
図6(a)に示す中立位置から、例えばキートップ3の第4の押圧部11dに対して、ユーザにより同図矢印P方向から押圧操作があった場合には、同図(b)に示すように、第2の傾動部材5の延在部17a及び17bが、同図Y方向の軸を中心に捻られることで、第1の傾動部材4が、第1の傾動部材4のボス14a及び14bと、第2の傾動部材5の支柱部16a及び16bとを支点として傾動する。この傾動に伴い、スイッチ押し部22dによりスイッチ8dが押圧されることで、この押圧操作に対応する操作信号が入力される。
【0040】
また、上記延在部17a及び17bが、この傾動による捻り力を復帰ばね力として蓄積するため、押圧が解除された場合(ユーザの指が第4の押圧部11dから離れた場合)には、第1の傾動部材4は、この復帰ばね力により同図(a)に示すような中立位置に復帰する。
【0041】
なお、図示しないが、第3の押圧部11cに対して押圧操作があった場合にも、第1の傾動部材4は、第1の傾動部材4のボス14a及び14bと、第2の傾動部材5の支柱部16a及び16bとを支点として同図(b)に示した傾動方向とは逆方向に傾動し、押圧が解除された場合には、延在部17a及び17bに蓄積された復帰ばね力により同図(a)に示す中立位置に復帰する。
【0042】
一方、図7(a)に示す中立位置から、例えばキートップ3の押圧部11aに対して、ユーザにより同図矢印P方向から押圧操作があった場合には、同図(b)に示すように、第2の傾動部材5の延在部19a及び19bが、同図X方向の軸を中心に捻られることで、第2の傾動部材5が、支柱部18a及び18bを支点として、第1の傾動部材4とともに傾動する。この傾動に伴い、スイッチ押し部22aによりスイッチ8aが押圧されることで、この押圧操作に対応する操作信号が入力される。
【0043】
また、上記延在部19a及び19bが、この傾動による捻り力を復帰ばね力として蓄積するため、押圧が解除された場合には、第2の傾動部材5は、この復帰ばね力により、第1の傾動部材4とともに同図(a)に示す中立位置に復帰する。
【0044】
なお、図示しないが、第2の押圧部11bに対して押圧操作があった場合にも、第2の傾動部材5は、支柱部18a及び18bを支点として、同図(b)に示した傾動方向とは逆方向に傾動し、押圧が解除された場合には、延在部19a及び19bに蓄積された復帰ばね力により同図(a)に示す中立位置に復帰する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、キートップ3の4つの押圧部への各押圧操作のうち、第3の押圧部11c及び第4の押圧部11dへの各押圧操作に対しては、第1の傾動部材4が、Y方向の軸上の2点を支点として傾動し、一方、第1の押圧部11a及び第2の押圧部11bへの各押圧操作に対しては、第2の傾動部材5が、X方向の軸上の2点を支点として傾動することとなる。すなわち、各押圧操作に対して各傾動部材がそれぞれ2つの支点により安定して支持されながら傾動することとなるため、各押圧操作に対する傾動角度及び傾動ストロークにばらつきが生じることがなくなり、押圧操作時の操作感を格段に向上させることができる。
【0046】
また、第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5は、第2の傾動部材5に一体的に形成された上記延在部17及び19が蓄積する復帰ばね力を利用して中立位置に復帰することとしたため、例えばコイルばねやクッション等の復帰用の緩衝部材を別途設ける場合に比べて、部品点数を増加することなく、ユーザに安定した快適な押圧操作感(押圧操作のフィードバック感)を与えることができる。またこれにより、製造時のばらつきを抑えて歩留まりを向上させることができる。
【0047】
さらに、上記十字キー1は、第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5の各両端に傾動支点を有しているため、従来のようにキートップ中央に位置するZ方向の1つの支点により十字キーを傾動させる場合に比べて、中央にスペースを設けることができる。したがって、当該スペースを利用して上記決定キー9のような他の押圧部を、他の部材に干渉させることなく容易に設けることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する箇所については、説明を簡略化または省略する。
【0049】
図8は、本実施形態に係る十字キーを搭載したオーディオ装置の外観を示した図である。このオーディオ装置200は、上記第1の実施形態におけるオーディオ装置100と同様にCDやMD等の記録媒体に記録された音楽ファイルを図示しないスピーカを介して再生可能であるほか、HDD(Hard Disk Drive)を内蔵し、当該HDDに記憶した音楽ファイルも再生可能となっている。
【0050】
同図に示すように、このオーディオ装置200の筐体52の前面52aには、上記第1の実施形態における十字キー1と同様、例えば楽曲を選択したり、再生、再生停止、早送り、巻き戻し等の各種操作を行ったりするための十字キー51が設けられている。なお、当該前面52aは、十字キー51以外にも各種操作部やディスクトレイ(ディスクスロット)、表示部等が設けられているが、これらの説明は省略する。
【0051】
図9は、本実施形態に係る十字キー51の分解斜視図であり、図10は、この十字キー51を前面52aの方向から捉えた平面図である。また図11は、図10に示した十字キー51のC−C’方向の略式断面図であり、図12は、図10に示した十字キー51のD−D’方向の略式断面図である。
【0052】
これらの図に示すように、上記第1の実施形態における十字キー1と同様、十字キー51は、キートップ53と、第1の傾動部材54と、第2の傾動部材55とが図中Z方向に接続されて構成される。またこの十字キー51は、上記第1の実施形態における基板7と同様に5つのスイッチ58a〜58eを有する基板57に接続される。
【0053】
キートップ53、第1の傾動部材54及び第2の傾動部材55の基本的な構成は上記第1の実施形態におけるキートップ3、第1の傾動部材4及び第2の傾動部材5の構成と略同様であるが、本実施形態においては、第1の傾動部材4と第2の傾動部材5とが、ボス及び支柱部ではなく、ヒンジ機構により接続されている点で異なる。
【0054】
具体的には、図9、図10及び図12に示すように、第2の傾動部材55の基台部65の、図中Y方向の両端部には、当該Y方向に突出するように回動軸66a及び66bが一体的に形成されている。一方、第1の傾動部材54の基台部63の、図中Y方向の両端部には、上記回動軸66a及び66bにそれぞれ係合可能な係合部64a及び64bが一体的に形成されている。この各回動軸66と係合部64とが係合してヒンジ機構を構成することで、第1の傾動部材54と第2の傾動部材55とが接続され、また第1の傾動部材54は、この各回動軸66を支点として回動することで傾動可能となっている。
【0055】
ところで、このようにヒンジ構造としたことで、第2の傾動部材55は、その支点部分には、上記第1の実施形態における延在部17のようなばね復帰力を有さないこととなる。そこで、本実施形態においては、図9〜図11に示すように、第1の傾動部材54の基台部63には、図中Y方向の両端部近傍から図中X方向の両端部近傍へ、基台部63の円周方向に沿って、それぞれ2本のアーム状の片持ちばねとして機能する付勢部73a及び73bを形成している。この両付勢部73は、図11に示すように、筐体52の前面52aの内面から図中Z方向に突出するように形成された凸部74a及び74bと当接している。この付勢部73の動作については後述する。
【0056】
また、上記第1の実施形態においては、十字キー1は支持部材6により支持されていたのに対し、本実施形態においては、十字キー51が、筐体2の前面52aにより支持されている点で相違する。
【0057】
具体的には、図9〜図11に示すように、筐体52の前面52aの内面には、第2の傾動部材55の基台部65に設けられた支柱部68a及び68bと係合可能な円筒状の係合部71a及び71bが設けられており、この支柱部68と係合部71が係合することで、十字キー51が前面52aに支持される。
【0058】
十字キー51のその他の部分の構成及び機能については、上記第1の実施形態における十字キー1と同様である。すなわち、第2の傾動部材55は、基台部65の、同図X方向の両端部に、上記支柱部68a及び68bと一体的に形成された延在部69a及び69bを有している。そして、第2の傾動部材55は、第1の押圧部61a及び第2の押圧部61bへ押圧操作があった場合には、この各延在部69が図中X方向の軸を中心に捻られることで傾動し、またこの各延在部69が蓄積する復帰ばね力により中立位置へ復帰可能となっている。また、図10〜図12に示すように、十字キー51の中央部には、第5の押圧部として機能する決定キー59が設けられている(図9においては図示せず)。
【0059】
次に、以上のように構成された十字キー51の動作について説明する。図13は、第3の押圧部61cまたは第4の押圧部61dへの押圧操作(左右キー押圧操作)があった場合の十字キー51の動作を上記Y方向から示した図であり、図14は、第1の押圧部61a及び第2の押圧部61bへの押圧操作(上下キー押圧操作)があった場合の十字キー51の動作を上記X方向から示した図である。
【0060】
図13(a)に示す中立位置から、例えばキートップ53の第4の押圧部61dに対して、ユーザにより同図矢印P方向から押圧操作があった場合には、同図(b)に示すように、第1の傾動部材54が、係合部64a及び64bにより第2の傾動部材55の回動軸66a及び66bと係合しながら、同図時計回り方向へ回動することで傾動する。この傾動に伴い、スイッチ押し部72dによりスイッチ58dが押圧されることで、この押圧操作に対応する操作信号が入力される。
【0061】
また、第2の傾動部材55の付勢部73aが、その付勢力により、前面52aの内面に設けられた凸部74aの当接力に抗して湾曲するため、押圧が解除された場合には、第1の傾動部材54は、この付勢力を復帰ばね力として蓄積し、この復帰ばね力により同図(a)に示すような中立位置に復帰する。
【0062】
なお、図示しないが、第3の押圧部61cに対して押圧操作があった場合にも、第1の傾動部材54は、上記回動軸66a及び66bにより同図(b)に示した傾動方向とは逆方向に傾動し、押圧が解除された場合には、付勢部73bが凸部74bと当接しながら湾曲することで蓄積された付勢力を復帰ばね力により同図(a)に示すような中立位置に復帰する。
【0063】
一方、図14(a)に示す中立位置から、例えばキートップ53の押圧部61aに対して、ユーザにより同図矢印P方向から押圧操作があった場合には、同図(b)に示すように、第2の傾動部材55の延在部69a及び69bが、同図X方向の軸を中心に捻られることで、第2の傾動部材55が、支柱部68a及び68bを支点として、第1の傾動部材54とともに傾動する。この傾動に伴い、スイッチ押し部72aによりスイッチ58aが押圧されることで、この押圧操作に対応する操作信号が入力される。
【0064】
また、上記延在部69a及び69bが、この傾動による捻り力を復帰ばね力として蓄積するため、押圧が解除された場合には、第2の傾動部材55は、この復帰ばね力により、第1の傾動部材54とともに同図(a)に示す中立位置に復帰する。
【0065】
なお、図示しないが、第2の押圧部61bに対して押圧操作があった場合にも、第2の傾動部材55は、支柱部68a及び68bを支点として、同図(b)に示した傾動方向とは逆方向に傾動し、押圧が解除された場合には、延在部69a及び69bに蓄積された復帰ばね力により同図(a)に示す中立位置に復帰する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によっても、各傾動部材をそれぞれ2つの支点により安定して支持させながら傾動させることができるため、各押圧操作に対する傾動角度及び傾動ストロークのばらつきを無くして、押圧操作時の操作感を格段に向上させることができる。
【0067】
また、第1の傾動部材54をヒンジ機構により回動させて傾動させることで、上記第1の実施形態と比較して上記Y方向における十字キー51の大きさを小さくすることができる。これにより、同図Y方向において、筐体52に十字キー51以外の部品を設けるスペースを確保することができるため、設置スペースが限られた筐体においても、操作感に優れた十字キーを搭載することが可能となる。
【0068】
また、第1の傾動部材54をヒンジ機構により回動させる場合でも、上記付勢部73を設けることで、部品点数を増加することなく、押圧力に対する復帰ばね力を持たせることができる。
【0069】
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上述の第1の実施形態においては、第1の傾動部材4のボス14と、第2の傾動部材5の支柱部16及び延在部17とで第1の傾動部材4と第2の傾動部材5とを接続していたが、この構成とは逆に、第1の傾動部材4に支柱部及び延在部を設け、第2の傾動部材5にボスを設けて両者を接続して第1の傾動部材4を傾動させるようにしても構わない。
【0071】
上記第1の実施形態における十字キー1は、支持部材6により支持されていたが、第2の実施形態における十字キー51のように筐体に直接支持されるようにしても構わない。また逆に、第2の実施形態における十字キー51は、筐体52ではなく、第1の実施形態における十字キー1と同様に筐体とは別個の支持部材により支持されるようにしても構わない。
【0072】
上述の各実施形態においては、支柱部及び延在部や、ヒンジ機構等により各傾動部材を傾動させていたが、第1及び第2の押圧部(上下キー)と、第3及び第4の押圧部(左右キー)とにそれぞれ対応する傾動部材を別個に設け、それぞれ2つの支点により支持されながら傾動する構成でありさえすれば、他のどのような機構により傾動させるようにしても構わない。
【0073】
上述の実施形態においては、第1の傾動部材に左右キーを対応させ、第2の傾動部材に上下キーを対応させていたが、第1の傾動部材に上下キーを対応させ、第2の傾動部材に左右キーを対応させるようにしても勿論構わない。
【0074】
上記各実施形態においては、十字キーをオーディオ装置に搭載していたが、本発明の十字キーは、例えばテレビジョン等のその他のAV機器やゲーム機器(ゲーム機器用コントローラを含む)、PC、カーナビゲーション機器等の電子機器や、各種電子機器のリモートコントローラ等、操作部を必要とするあらゆる電子機器に搭載可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る十字キーを搭載したオーディオ装置の外観を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る十字キーの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る十字キーを前面方向から捉えた平面図である。
【図4】図3における十字キーのA−A’方向の略式断面図である。
【図5】図3における十字キーのB−B’方向の略式断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、第3または第4の押圧部への押圧操作(左右キー押圧操作)があった場合の十字キーの動作を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態において、第1または第2の押圧部への押圧操作(上下キー押圧操作)があった場合の十字キーの動作を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る十字キーを搭載したオーディオ装置の外観を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る十字キーの分解斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る十字キーを前面方向から捉えた平面図である。
【図11】図10における十字キーのC−C’方向の略式断面図である。
【図12】図3における十字キーのD−D’方向の略式断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態において、第3または第4の押圧部への押圧操作(左右キー押圧操作)があった場合の十字キーの動作を示した図である。
【図14】本発明の第2の実施形態において、第1または第2の押圧部への押圧操作(上下キー押圧操作)があった場合の十字キーの動作を示した図である。
【符号の説明】
【0076】
1、51…十字キー
2、52…筐体
2a、52a…前面
3、53…キートップ
4、54…第1の傾動部材
5、55…第2の傾動部材
6…支持部材
7、57…基板
8a〜8d、58a〜58d…スイッチ
9、59…決定キー
11a、61a…第1の押圧部
11b、61b…第2の押圧部
11c、61c…第3の押圧部
11d、61d…第4の押圧部
12、13a、15a〜15c、20、62、63a、65a〜65c、70…開口
13、15、63、65…基台部
14a、14b…ボス
16a、16b、18a、18b、68a、68b…支柱部
17a、17b、19a、19b、69a、69b…延在部
21a、21b、64a、64b、71a、71b…係合部
66a、66b…回動軸
73a、73b…付勢部
74a、74b…凸部
100、200…オーディオ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、前記表面上の第1の軸上に設けられた第1の押圧部及び第2の押圧部と、前記表面上であって、前記第1の軸に直交し前記第1及び第2の押圧部の間を通る第2の軸上に設けられた第3の押圧部及び第4の押圧部とを有する押圧操作部材と、
前記押圧操作部材の前記押圧方向に接続され、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により、前記第1の軸に平行な第3の軸上の2点を第1の支点及び第2の支点として第1の中立位置から傾動可能な第1の傾動部材と、
前記第1の傾動部材の前記押圧方向に接続され、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により、前記第2の軸に平行な第4の軸上の2点を第3の支点及び第4の支点として第2の中立位置から傾動可能な第2の傾動部材と
を具備することを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多方向入力装置であって、
前記第2の傾動部材を支持する支持部材を更に具備し、
前記第1の傾動部材は、
前記押圧操作部材と接続される第1の基台部と、
前記第1の基台部の、前記第3の軸上の両端部にそれぞれ一体的に設けられ、前記第1及び第2の支点となるよう前記第2の傾動部材と接続される第1の接続部及び第2の接続部とを有し、
前記第2の傾動部材は、
前記第1及び第2の接続部とそれぞれ接続する第3及び第4の接続部とを、前記第4の軸に直交する軸上に有する第2の基台部と、
前記第2の基台部の、前記第4の軸上の両端部にそれぞれ一体的に設けられ、前記第3及び第4の支点となるよう前記支持部材と接続される第5の接続部及び第6の接続部とを有する
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の多方向入力装置であって、
前記第1の傾動部材は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力に抗して前記第1の中立位置へ復帰するための第1の復帰ばね力を有し、
前記第2の傾動部材は、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力に抗して前記第2の中立位置へ復帰するための第2の復帰ばね力を有する
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の多方向入力装置であって、
前記第1及び第2の接続部、または、前記第3及び第4の接続部は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により蓄積される第1の捻り力を前記第1の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなり、
前記第5及び第6の接続部は、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により蓄積される第2の捻り力を前記第2の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなる
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項5】
請求項3に記載の多方向入力装置であって、
当該多方向入力装置は、前記表面に平行な第1の面と、当該第1の面の内面となる第2の面と、前記第1の面と第2の面とを連通し前記押圧操作部材を露出させる開口とを有する筐体を有する電子機器に搭載可能であり、
前記第1及び第3の接続部、並びに前記第2及び第4の接続部は、それぞれ前記第3の軸を中心に回動することで前記第1の傾動部材を傾動させることが可能なヒンジ機構をなし、
前記第1の基台部は、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧に伴ってそれぞれ前記第2の面に当接可能であり、かつ、前記ヒンジ機構の回動時に当該前記各当接力に抗する各付勢力を前記第1の復帰ばね力とすることが可能な第1の付勢部及び第2の付勢部を一体的に有し、
前記第5及び第6の接続部は、前記第1及び第2の押圧力による捻り力を前記第2の復帰ばね力とすることが可能な可撓性材料からなる
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項6】
請求項1に記載の多方向入力装置であって、
前記押圧操作部材は、前記第1乃至第4の押圧部により囲まれるように、前記表面の中心に形成された第1の開口部を有し、
前記第1の傾動部材は、前記第1の支点と第2の支点との間に形成された第2の開口部を有し、
前記第2の傾動部材は、前記第3の支点と第4の支点との間に形成された第3の開口部を有し、
当該多方向入力装置は、前記表面から露出し、前記第1乃至第3の開口部を貫通するように設けられた第5の押圧部を更に具備する
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項7】
表面と、前記表面上の第1の軸上に設けられた第1の押圧部及び第2の押圧部と、前記表面上であって、前記第1の軸に直交し前記第1及び第2の押圧部の間を通る第2の軸上に設けられた第3の押圧部及び第4の押圧部とを有する押圧操作部材と、前記押圧操作部材の前記押圧方向に接続され、前記第3及び第4の押圧部に対する押圧力により、前記第1の軸に平行な第3の軸上の2点を第1の支点及び第2の支点として第1の中立位置から傾動可能な第1の傾動部材と、前記第1の傾動部材の前記押圧方向に接続され、前記第1及び第2の押圧部に対する押圧力により、前記第2の軸に平行な第4の軸上の2点を第3の支点及び第4の支点として第2の中立位置から傾動可能な第2の傾動部材とを有する多方向入力装置と、
前記多方向入力装置を収容する筐体と、
前記第1乃至第4の押圧部に対する押圧力によりそれぞれ所定の操作信号を入力可能な第1乃至第4のスイッチと
を具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−251476(P2008−251476A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94431(P2007−94431)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】