説明

多機能型振動発生装置

【課題】共振点の事後調整機能を備える単体のもとで音響と体感振動との両機能を兼備させた多機能型振動発生装置の提供。
【解決手段】磁気ギャップGを有する磁気回路ユニット13を少なくとも備える共振振動アクチュエーター12と、円筒コイル24を磁気ギャップG内に位置させて配置されるダイアフラム振動体22と、円筒コイル24から引き出されたリード線75,76が接続されるリード端子77,78を位置固定させる円筒部33を備える固定板32と、複数の弾性腕部46を有し、かつ、円筒部33に挿通配置される固定板32と共振振動アクチュエーター12とを弾性的に支持して一体化する弾性板42と、弾性腕部46の別に弾性板42を保持しながら共振振動アクチュエーター12の共振点の検知が可能な共振点調整体52とを備え、該共振点調整体52による共振点位置の事後調整を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラム振動体による音響振動を発生させることができるほか、共振振動アクチュエーターの固有振動数との関係で見出される共振点を利用して携帯電話器を含む小型モバイルツールが必要とする低周波数の体感振動をも確実に発生させることができる多機能型振動発生装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
携帯電話器を含む各種の小型モバイルツールは、着信などのメッセージを持ち運ぶ者に振動として報知するマナーモード機能を備えている。該マナーモード機能は、通常、モータの回転軸に偏心重りを取り付けてその回転時に振動を発生させることができる振動モータにより得られるようになっている例が多い。
【0003】
しかし、上記振動モータによる場合には、実用性のある振動を得るために偏心重りの重量を重くする必要があることから、それだけ大型化やコストアップを招いてしまうという問題があった。
【0004】
一方、このような振動モータを用いずに振動を発生させるものとしては、共振振動アクチュエータ(スピーカ)にバイブレーション機能である機械的振動による信号伝達機能をも付加したものもある。この手法による場合には、消費電力の低減だけでなく、実装部品点数を削減することもできることになる。
【0005】
そして、このようなバイブレーション機能付きの共振振動アクチュエータ(スピーカ)を駆動する方法としては、共振振動アクチュエータ(スピーカ)自体が持つ最低共振周波数(100〜200Hz)を利用して共振振動アクチュエータ(スピーカ)を支持する筐体自体を駆動する手法がある。
【0006】
しかし、共振振動アクチュエータ(スピーカ)の持つ最低共振周波数は、共振振動アクチュエータ(スピーカ)自体の製造バラツキ、共振振動アクチュエータ(スピーカ)自体の温度変化によるバラツキ、共振振動アクチュエータ(スピーカ)自体の経時変化によるバラツキ、筐体自体のバラツキ、筐体自体の温度変化によるバラツキ、筐体の経時変化によるバラツキなどにより、設定した中心周波数から10Hz前後の範囲内で変動してしまって共振が得られなくなるなどして体感振動が小さくなってしまう場合が多い。
【0007】
一方、下記特許文献1には、このような共振振動アクチュエータ(スピーカ)と筐体とによる最低共振周波数の製造バラツキ、温度変化ばらつき、経時変化等によるバラツキの影響を最小限に抑え、低コスト、省スペース、低消費電力で安定した機械的振動をもたらす「多機能振動アクチュエータ」が開示されている。
【特許文献1】特開2001−70880号公報
【0008】
そして、上記「多機能振動アクチュエータ」による場合には、揺動アクチュエータの共振周波数を検出する周波数検出回路と、該周波数検出回路により検出された周波数を電圧に変換する周波数電圧変換回路と、該周波数電圧変換回路で得られた電圧値に応じて発信周波数を変化させる電圧制御発信回路と、該電圧制御発信回路の出力を増幅して振動アクチュエータに供給する正相増幅器および逆相増幅器による増幅器とから構成される駆動回路によって駆動周波数を振動アクチュエータの共振周波数に調整しながら振動アクチュエータを駆動できるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1に開示されている「多機能振動アクチュエータ」による場合には、周波数検出回路と周波数電圧変換回路と電圧制御発信回路と増幅器となら構成される駆動回路が必要になり、該駆動回路によらなければ駆動周波数を振動アクチュエータの共振周波数に調整することができず、その回路構成が複雑化するという不都合があった。
【0010】
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、ダイアフラム振動体による高周波数の音響振動を発生させることができるほか、共振振動アクチュエーターの固有振動数との関係で見出される共振点を利用して携帯電話器を含む小型モバイルツールが必要とする低周波数での体感振動をも確実に発生させることができる多機能型振動発生装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、振動板の下面側に円筒コイルを取り付けてなるダイアフラム振動体と、ヨークおよび厚さ方向に着磁された永久磁石を少なくとも備える磁気回路ユニットに前記円筒コイルが配置される磁気ギャップを設けてなる共振振動アクチュエーターと、前記円筒コイル側に一端部を各別に接続した一対のリード線の他端部が各別に接続された一対の引出し端子を位置固定させて外部にその端部側が引き出される円筒部を中央部に備える固定板と、同一半径の同心円状の位置関係のもとでつなぎ部を介して連結された複数固の弾性腕部を有して前記共振振動アクチュエーターを浮かせた状態のもとで下支えしつつ前記円筒部に遊挿配置され、かつ、その周縁部を介して前記固定板上に載置される弾性板と、前記弾性腕部の別に前記弾性板側と前記固定板側とを保持しつつ前記共振振動アクチュエーター側の固有振動数との関係で定まる共振点の検知を可能に周方向への回動を可能に配置される共振点調整体とで少なくとも構成され、該共振点調整体を除く構成各部を本体カバーで一体化して共振点位置の事後調整を可能に形成したこと
【0012】
また、前記共振振動アクチュエーターは、その外周面に側面重りを具備させておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、共振振動アクチュエーターの固有振動数との関係で定まる共振点は、共振振動アクチュエーター側を弾性支持する弾性板の弾性腕部に沿わせつつ共振点調整体を回動させることで検知することができるので、事後的に共振点調整体を単に回動調整することで、個々の製品毎に最も好ましい共振振動を簡単に得ることができる振動発生装置を提供することができる。また、共振振動アクチュエーターの外周面に側面重りを具備させてある場合には、より強い体感振動を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の部材構成例を分解して示す斜視図であり、図2は、組み立てた後の部材相互の配置関係を示す端面図である。これらの図によれば、多機能型振動発生装置11は、共振振動アクチュエーター12、ダイアフラム振動体22、固定板32、弾性板42および共振点調整体52を少なくとも備え、共振振動アクチュエーター12を浮かせた状態で下支えしながらそれぞれの外周縁部32a,48を介して重なり合う弾性板42および固定板32と、振動板23との間にスペーサ62を介在させてその全体を本体カバー72で一体化することで形成されている。
【0015】
これらのうち、共振振動アクチュエーター12は、一方の極が上側部に、他方の極が下側に位置するようにその厚さ方向に着磁されたリング状の永久磁石14と、鉄などの磁性材からなるヨーク15とで形成される磁気回路ユニット13と、該磁気回路ユニット13の外周面18に固着させた側面重り20とで構成されている。
【0016】
この場合、ヨーク15は、永久磁石14の外径と同径でその上面と対面合致するように磁着される上側ヨーク部16と、永久磁石14の下面側からやや庇状に突出させた水平面部17aの外縁側から起立面部17bを直立させてその上面に開口部19を有する断面略L字状を呈する下側ヨーク部17とで構成されている。
【0017】
すなわち、磁気回路ユニット13は、永久磁石14と上側ヨーク部16との連続外周面と、下側ヨーク部17の開口部19の内径が永久磁石14の外径より大径に形成されている下側ヨーク部17における起立面部17bの内側面との間に磁気ギャップGを設けて形成されている。そして、共振振動アクチュエーター12は、下側ヨーク部17における起立片部17bの外側面(外周面18)に例えば鉄や銅などの比較的比重の重い適宜の金属からなる側面重り20を固着させたその全体で形成されることになる。なお、磁気回路ユニット13は、永久磁石14と上側ヨーク部16と下側ヨーク部17とに設けた同一径の円孔からなる遊挿孔13aをその軸中心部位に備えている。
【0018】
ダイアフラム振動体22は、薄い樹脂フィルムなどからなる振動板23と、該振動板23にボイスコイルとして取り付けられる円筒コイル24とで構成されている。この場合、該円筒コイル24は、磁気回路ユニット13の磁気ギャップG内に配置できる位置関係のもとで振動板23の下面側に取り付けられている。
【0019】
真鍮や洋白などの適宜の金属からなる固定板32は、弾性板42を位置固定させるために配置されるものであり、その外径が磁気回路ユニット13の遊挿孔13aよりも小径にして立設された円筒部33を中央部に備えて形成されている。
【0020】
また、固定板32の水平面部34の周縁寄りには、等間隔をおいて同一半径の同心円状の位置関係のもとで配置された3個の部分切欠部35を備えており、該部分切欠部35は、その一端側に備える導入孔35aと、該導入孔35aと連通させて他端方向に設けられたガイド溝孔35bとでそれぞれが形成されている。
【0021】
しかも、固定板32は、段部36を介して立ち上げられた水平庇部37をその外周縁部32aに備えて形成されている。
【0022】
また、固定板32の円筒部33内には、一端部75a,76aを各別に接続した一対のリード線75,76の他端部75b,76bが各別に接続された一対のリード端子77,78を外部にその端部77a,78a側がバネ性接触部79として突出するように配置して位置固定されている。
【0023】
この場合、一対のリード端子77,78は、円筒部33内に絶縁樹脂材などの絶縁性充填材80を充填して位置固定したり、予め絶縁性充填材80で位置固定して形成しておき、円筒部33内に事後的に圧入するなどして配置されることになる。
【0024】
リン青銅などの適宜の金属からなる弾性板42は、共振振動アクチュエーター12側を弾性的に下支えしつつ、固定板32とともに本体カバー72側に一体的に位置固定できるようにして形成されている。
【0025】
これを図示例に即して詳しく説明すれば、固定板32と略対面合致する面サイズを有する弾性板42は、図2に示されているように固定板32の部分切欠部35の位置と略対面する同一半径の同心円状の位置関係のもとで形成された3個の弾性腕部46を備えて形成されている。
【0026】
この場合、各弾性腕部46は、その両端側につなぎ部44を残して本体部43との間に形成された挿入孔47付きの狭幅切欠部45を介することで仕切られてそれぞれが形成されている。なお、各挿入孔47は、固定板32の各導入孔35aと各別に対面合致する位置関係のもとで弾性板42に形成されている。また、弾性板42は、その軸心中心部位に磁気回路ユニット13の遊挿孔13aと略同径の挿通孔42aを備えている。
【0027】
一方、例えばアルミニウムなどの金属やポリカーボネートなどの合成樹脂からなる共振点調整体52は、固定板32を介して弾性腕部46の別に弾性板42を保持しながら共振振動アクチュエーター12の固有振動数との関係で共振点の検知を可能に周方向への回動を可能に配置されている。
【0028】
すなわち、共振点調整体52は、その中央部に磁気回路ユニット13の遊挿孔13aの内径よりも大径な開口部53を有し、かつ、共振振動アクチュエーター12側の最大径よりもやや大径な外径を有するリング状に形成されている。
【0029】
しかも、共振点調整体52における固定板32の各導入孔35aおよび弾性板42の各挿入孔47と対面する位置には、これら導入孔35aおよび挿入孔47を介して挿通させることができる支持用突起部54が各別に突設されている。
【0030】
各支持用突起部54は、部分切欠部35におけるガイド溝孔35bを画成している水平面部34の一側開放縁部34aと他側開放縁部34bとを、径方向での前後位置にて各別に保持する一側溝部55と他側溝部56とをその基部54aに備えている。
【0031】
また、各支持用突起部54における一側溝部55と他側溝部56との上方に位置する上側部54bには、その導入開口57aを径方向での外側に向けた受け溝部57が、弾性板42が備える弾性腕部46を挟み込むようにして支持するために形成されている。なお、固定板32の部分切欠部35と弾性板42の弾性腕部46と共振点調整体52の支持用突起部54とは、その数と位置とを対応させて形成される関係にあり、図示例では各3個が示されているが、所望により各2個であったり各4個以上であってもよい。
【0032】
一方、適宜の合成樹脂や比較的軽量な金属などからなるスペーサ62は、共振振動アクチュエーター12側の最大外径よりも大径な開口部63を有するリング状に形成されている。しかも、スペーサ62は、共振振動アクチュエーター12側の上下方向での可動域を確保し得る厚さを備えて、ダイアフラム振動体22を構成している振動板23の周縁部23aと、共振振動アクチュエーター12を浮かせた状態のもおとで下支えしながら外周縁部32a,48を介して重なり合っている弾性板42および固定板32との間に介在配置されている。
【0033】
適宜の合成樹脂や金属からなる本体カバー72は、スペーサ62を介して配置されているダイアフラム振動体22と、弾性板42および固定板32とを含む構成部材を、共振点調整体52を下面開口72a側から表出させた状態のもとで包み込むことで、その全体を一体化している。
【0034】
すなわち、本体カバー72は、ダイアフラム振動体22上を覆う音通孔73a付きの天板部73と、該天板部73の外周縁側から垂設された周壁部74とで構成されている。そして、本体カバー72は、周壁部74の下端部に櫛歯状に形成されている裾部74aを内側に折り返してなる折返し部74bを固定板32の水平庇部37の下面側に圧接させることで共振点調整体52を除く構成部材の全体を一体化している。
【0035】
このため、共振点調整体52は、弾性板42と固定板32とに対し回動が可能となるように本体カバー72から表出させて配置される結果、これを適宜回動させながら共振振動アクチュエーター12の固有振動数との関係で定まる共振点を事後的に検知することができることになる。
【0036】
このような構成からなる多機能型振動発生装置11は、次の手順を経ることでその全体が組み立てられる。すなわち、固定板32の円筒部33内には、一対のリード端子77,78を有する絶縁性充填材80が位置固定される。
【0037】
また、共振振動アクチュエーター12は、永久磁石13とヨーク15とを一体的に磁着して磁気ギャップGを備える磁気回路ユニット13を形成し、該磁気回路ユニット13の外周面18に側面重り19を固定することで組み立てられる。
【0038】
これを具体的に説明すれば、永久磁石13の上面には、外径を同じくする上側ヨーク部16を、永久磁石13の下面には、下側ヨーク部17における水平面部17aを、それぞれの軸中心位置を一致させてそれぞれ磁着する。このとき、永久磁石の外径は、下側ヨーク部17の開口部の内径よりも小径であることから、永久磁石13と上側ヨーク部16との連続外周面と下側ヨーク部17の起立面部17bの内周面との間に磁気ギャップGが形成されることになる。
【0039】
また、側面重り19は、磁気回路ユニット13の外周面18を構成している下側ヨーク部17の起立面部17bの外側面に固着されることになるが、その重量は必要に応じて増減調整することができる。
【0040】
また、固定板32と、該固定板32の円筒部33に挿通孔42aを介して送り込まれた弾性板42とは、各導入孔35aと各挿入孔47とが対面合致する位置関係のもとで固定板32の水平庇部37(外周縁部32a)上に弾性板42の外周縁部48を載置することで組み合わされる。
【0041】
共振点調整体52は、各支持用突起部54を固定板32の下面側から対応関係にある各導入孔35aと弾性板42の各挿入孔47とに挿入することで配置される。
【0042】
そして、共振点調整体52は、固定板32が備える部分切欠部35のガイド溝孔35b方向に沿わせてやや回動させることで、支持用突起部54が備える一側溝部55には部分切欠部35を仕切っている一側開放縁部34aを、他側溝部56には他側開放縁部34bをそれぞれ導入して組み合わせることができる。
【0043】
このように共振点調整体52をやや回動させた際には、同時に支持用突起部54が備える各受け溝部57内に弾性板42の対応する位置関係にある弾性腕部46を各別に導入して組み合わせることもできる。
【0044】
一方、円筒コイル24側に一対のリード線75,76の一端部75a,76aが接続されているダイアフラム振動体22は、リード線75,76の他端部75b,76bを一対のリード端子77,78に接続した上で用意される。
【0045】
そして、ダイアフラム振動体22における振動板23は、その周縁部23aを本体カバー72における天板部73の内側周縁位置に配置した上で、本体カバー72における周壁部74の内側面に沿わせて配置されるスペーサ62で押さえ付けるようにして接着される。
【0046】
また、組み合わせ後の固定板32と弾性板42と共振点調整体52とは、弾性板42上に共振振動アクチュエーター12側を載置した上で、本体カバー72内に送り込まれる。
【0047】
このとき、ダイアフラム振動体22が備える円筒コイル24は、磁気ギャップG内に導入される。また、弾性板42の周縁部42aは、固定板32の周縁部32aに形成されている水平庇部37上に載置された状態のもとでスペーサ62の下面側に配置される。
【0048】
このような位置関係でそれぞれが配置された後は、本体カバー72の周壁部74の裾部74aをかしめるようにして内側に折り返すことで、固定板32の周縁部32a側を押圧するようにして下支えする折返し部74bが形成され、その全体が一体的に組み合わされた多機能型振動発生装置11が得ることができる。なお、一対のリード端子77,78は、最終的に図2に示すように端部77a,78a側が交差方向に折曲されてバネ性接触部80となる。
【0049】
次に、このようにして組み立てられた多機能型振動発生装置11の作用・効果を説明すれば、振動発生装置11は、一対のリード端子77,78のバネ性接触部80を介して給電される150Hz〜数十KHzの適宜の音響周波数でダイアフラム振動板22を振動させることで、音声的振動を得ることができる。
【0050】
また、携携帯電話器を含む小型モバイルツールに着信などのメッセージを持ち運ぶ者に機械的振動として報知するマナーモード機能を付与するために振動発生装置11を用いる場合には、一対のリード端子77,78のバネ性接触部80を介して10〜150Hzの低周波数、例えば140Hzの振動周波数で共振振動アクチュエーター12を振動させながら本体カバー72から表出されている共振点調整体52を人為的に回動させることで、完全な共振振動を得ることができ、体感振動も最大となる。
【0051】
このように該共振点調整体52は、図3および図4からも明らかなように、各支持用突起部54の受け溝部57を介して弾性板42の弾性腕部46を支持しているので、その支持位置を変化させながら弾性板42が弾性的に支持している共振振動アクチュエーター12の共振点の弾性腕部46の腕長さを事後的に検知することができる。
【0052】
しかも、共振振動アクチュエーター12は、上側ヨーク部16と永久磁石14と下側ヨーク部17とからなる磁気回路ユニット13と、該磁気回路ユニット13の外周面18に固着されている側面重り19とで構成されていることから、その重量も他の構成部材よりも比較的重くすることができ、その共振時にそれだけ強く振動させることができることになる。
【0053】
つまり、共振点調整体52は、種々の要因により共振振動アクチュエーター12側の固有振動数が若干変動しても、その変動の程度に合致するように共振振動アクチュエーター12側の共振点を事後的に検知し、これを位置固定するなどしてその状態を維持させることでマナーモード機能に最適な体感振動を常に発生させることができる。
【0054】
しかも、振動発生装置11は、従来からある偏心重りを有する振動モータに比較して軽量化することができるほか、その全体を薄く小型化して形成することもできるので、携帯電話器を含む小型モバイルツールに好適に組み込むことができる。
【0055】
したがって、本発明によれば、共振点の事後調整機能を備える単体のもとで、音響と体感振動との両方の機能を兼備させた多機能型振動発生装置を提供することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の部材構成例を分解して示す斜視図。
【図2】組み立てた後の部材相互の配置関係を示す端面図。
【図3】固定板のガイド溝部と弾性板の弾性腕部と共振点調整体の支持用突起部との配置関係を示す部分斜視図。
【図4】図3の要部拡大図。
【符号の説明】
【0057】
11 多機能型振動発生装置
12 共振振動アクチュエーター
13 磁気回路ユニット
13a 遊挿孔
14 永久磁石
15 ヨーク
16 上側ヨーク部
17 下側ヨーク部
17a 水平面部
17b 起立面部
18 外周面
19 開口部
20 側面重り
22 ダイアフラム振動体
23 振動板
23a 周縁部
24 円筒コイル
32 固定板
32a 外周縁部
33 円筒部
34 水平面部
34a 一側開放縁部
34b 他側開放縁部
35 部分切欠部
35a 導入孔
35b ガイド溝孔
36 段部
37 水平庇部
42 弾性板
42a 挿通孔
43 本体部
44 つなぎ部
45 狭幅切欠部
46 弾性腕部
47 挿入孔
48 外周縁部
52 共振点調整体
53 開口部
54 支持用突起部
54a 基部
54b 上側部
55 一側溝部
56 他側溝部
57 受け溝部
57a 導入開口
62 スペーサ
63 開口部
72 本体カバー
72a 下面開口
73 天板部
73a 音通孔
74 周壁部
74a 裾部
74b 折返し部
75,76 リード線
75a,76a 一端部
75b,76b 他端部
77,78 リード端子
77a,78a 端部
79 バネ性接触部
80 絶縁性充填材
G 磁気ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板の下面側に円筒コイルを取り付けてなるダイアフラム振動体と、
ヨークおよび厚さ方向に着磁された永久磁石を少なくとも備える磁気回路ユニットに前記円筒コイルが配置される磁気ギャップを設けてなる共振振動アクチュエーターと、
前記円筒コイル側に一端部を各別に接続した一対のリード線の他端部が各別に接続された一対の引出し端子を位置固定させて外部にその端部側が引き出される円筒部を中央部に備える固定板と、
同一半径の同心円状の位置関係のもとでつなぎ部を介して連結された複数固の弾性腕部を有して前記共振振動アクチュエーターを浮かせた状態のもとで下支えしつつ前記円筒部に遊挿配置され、かつ、その周縁部を介して前記固定板上に載置される弾性板と、
前記弾性腕部の別に前記弾性板側と前記固定板側とを保持しつつ前記共振振動アクチュエーター側の固有振動数との関係で定まる共振点の検知を可能に周方向への回動を可能に配置される共振点調整体とで少なくとも構成され、
該共振点調整体を除く構成各部を本体カバーで一体化して共振点位置の事後調整を可能に形成したことを特徴とする多機能型振動発生装置。
【請求項2】
前記共振振動アクチュエーターは、その外周面に側面重りを備える請求項1に記載の多機能型振動発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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