説明

多機能性擬似毛髪材

【課題】セルローズ系繊維と、光触媒含有抗菌性レーヨンを組み合わせ、頭部毛髪に調和するように染色できると共に、稀有元素類鉱物等を添加した多機能性擬似毛髪材である。
【解決手段】セルローズ系繊維と、光触媒抗菌性レーヨン繊維の組み合わせとし、水分率の引下げ処理及び該レーヨン繊維40〜50重量%粉砕混合により分散性の改善を図る。また、頭部毛髪に調和する質感、艶感に染色でき、薄毛部分を自然に隠蔽し得ると共に、稀有元素類鉱物等を添加した多機能性擬似毛髪材の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能性擬似毛髪材に関し、さらに詳しくは、その構成ではセルローズ系繊維を主軸成分とし、これと二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨとの組み合わせたセルローズ系繊維に集約した構成であって、かつ製造工程並び使用時での分散性の向上を図り得ると共に、着色では人の頭部毛髪に調和する色彩及び艶を有するように染色することができ、かつ頭部の薄毛部分の隠蔽性に優れる。また、所望の機能付与では、組み合わせとした二酸化チタン光触媒含有抗菌性レーヨンの抗菌性と併せ、マイナスイオン放出及び遠赤外線放射による抗菌並びに消臭作用、さらに必要により光触媒機能性材料を添加混合して抗菌並びに消臭作用を増加させると共に、血行促進やリラックス効果をも発揮し得る多機能性を備えたハイブリッド擬似毛髪材に関する。
【背景技術】
【0002】
局所的に頭部頭髪の薄くなった部分を隠蔽する方法として、頭部毛髪と同じ色の粉状物や繊維状物を、その薄毛部分に被着させる方法が知られているが、まず、仕上がり後の外観視認では、従来の擬似毛髪は自然の艶感や質感の点等において周囲の地毛との調和性に劣るもの場合が多い。そして通常、化粧品で使われる酸性染料や酸化染料で着色した擬似毛髪は褪色する虞れがあった。また、頭髪の色彩などには個人差がある為、或る人の頭部毛髪と調和する毛髪であっても、他の人の頭髪とは調和しない場合が多い。さらに、頭部頭髪の薄くなった部分を隠蔽の為擬似毛髪を被着する場合、ふけの発生や頭皮分泌物、整髪剤付着で細菌増殖や汚れ等の臭気で非衛生は避けられない問題があった。 また、従来のセルローズ系繊維でのレーヨン短繊維を使用する場合、短繊維相互間の分散性の低下が障害となっており、製造工程並びに使用時での相互分散性の向上或いは改善を図ることのできる対応が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
頭部頭髪の薄くなった部分を隠蔽する擬似毛髪や擬似増毛材として、各種繊維素材の種々の加工と共に、それに機能性を付与する提案がみられるようになっている。例えば、特開平5−71003号公報では、頭髪にふりかけたり、スプレーによって吹き付けたりなどして頭髪に固着させる化粧用の微髪毛で、分離性向上剤が付与されている。また、特開平6−57505号公報では、ポリエステル等の熱溶融短繊維を素材とする残存に簡潔に固着できて脱落なき保持を頭髪の簡易擬毛材が提案されている。
さらに、繊維素材の切断又は粉砕に関しては、特開平9−119063号公報には、繊維軸方向に太細変化を有し異なった断面積の分布を有する繊維を切断又は粉砕してなる立毛用短繊維フロック及びそのフロックを用いた立毛構造体、特開2002−285462号公報には、繊維の混合フィブリル化法、特開2004−332147号公報には、長さが一定でなく不規則に曲がった第1短繊維を混合し、バルキー性が高く少量でボリューム感が得られ、第2短繊維に抗菌性糸を用いる人工毛髪繊維および人工毛髪繊維の製造方法が記載されている。
また、近年の日用品用途での抗菌消臭の拡がりと共に、擬似毛髪にも機能性を付与する提案がみられるようになっている。特許第3035279号には、静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物及びトルマリン若しくは遠赤外線放射セラミックスのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に、遠赤外線を放射する樹脂組成物が提案されており、非特許文献には光触媒機能材料についての記載がある。また、特開平9−119063号公報には、キトサンを含有する湿式紡糸法により製造される抗菌性微髪毛、さらに特開2003−119608号公報には、放射性希土類元素を含む天然鉱石を微粉化し、人工毛髪用原料中に混合して微細フィラメント化し分断した短繊維と噴霧用接着剤との組合わせよりなる増毛材が提案されている。
上記の如き提案には、分離性向上剤が付与されている化粧用の微髪毛、また熱溶融短繊維ポリエステル等を簡潔に固着でき保持を頭髪の簡易擬毛材がある。さらに繊維素材の切断又は粉砕に関しては、立毛用短繊維フロック及びその立毛構造体の提案として、ポリエステル捲縮加工糸の記載があるが、レーヨンは製品重く湿摩擦染色堅牢度が低く、熱安定性に劣るとの記載もあり、用途展開には限界があると記載されている。また、長さが一定で直線形の第2繊維に長さが一定でなく不規則に曲がった第1短繊維を混合した人工毛髪繊維では、その組合わせ形態から憶測しても率爾に高いバルキー性、少量でボリューム感が得られると迄はいえない。さらに、抗菌性についても保管中での雑菌の繁殖防止に限られた記載がされているが、擬似毛髪を頭髪薄毛部分に使用時でも、後のシャンプーのし易さと併せ、洗い流す前迄のふけの発生や頭皮分泌物、整髪剤付着で細菌増殖、汚れ等の臭気で非衛生の為持続的な抗菌消臭機能の発揮が望まれる。また、その機能性は抗菌消臭の如き機能を付与できる範囲に止まらず、頭部薄毛部分での清淨感ムードとしてもマイナスイオン放出や遠赤外線放射等の雰囲気及び環境要因を含めその機能性を更に付与、発揮できる領域も取り組まねばならない希求の課題として残されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、上記の如き課題を解決しようとするものであって、まず(1)本発明では、従前より擬似毛髪材として使用されてきているセルローズ系繊維の持つ、繊維中の水溶性物質が少量で、吸湿・吸水に優れた特性を有効に活用する。例えば汎用の熱溶融合成繊維ポリエステルについてみても、繊維軸方向の屈折率並びに直交する方向での屈折率がいずれも高いため光の反射が強く光沢の面で不十分な外観になる難点があり、天然繊維の属性を発揮し得るものの中から選ばれたセルローズ系繊維の範疇内の組み合わせを選択した構成である。本発明では、該セルローズ系繊維を人の頭部毛髪に調和する色彩及び艶を有する様に染色することができ、光線の透過によって白髪に見えることなく、人の頭部毛髪(特に日本人の黒髪)に自然な艶感をもって調和し、特に頭部の薄毛部分の隠蔽用に適する擬似毛髪材を簡易且つ効果的に製造することができる。(2)次の解決課題は、製造工程並びに製品使用時まで一貫して不離追随する阻害要因である分散性の向上並びに改善である。これら繊維を取り扱う場合、容器や梱包物に収納すると繊維同志の絡みや毛玉が発生し、各目的での使用時に容器詰まり等が阻害要因として発生していた。そして、繊維径が細くなるほど繊維は互いに絡み易く、そこから玉状塊を形成するまでに大きくなることも少なくない。このような玉状になる現象や、さばけずにくっつき合う現象は容器から噴出時のノズル詰まりや、最後まで使い切れないということで問題があった。また、製造工程でも、分散性の向上並びに改善は、染色時の攪拌性をアップし染色のむら染め防止の効果がある。さらに、乾燥時に用いる気流乾燥機では、塊り難くさばけ易いので乾燥ムラの防止等の利点がある。
【発明の効果】
【0005】
本発明の擬似毛髪材によれば、互いに吸湿吸水性に優れたセルローズ系繊維の属性を生かした繊維同士の組み合わせとし、他方繊維には二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨンを用い抗菌性付与と併せ、分散性の向上を図った構成である。また、繊維を人の頭部毛髪に調和する色彩および艶感を有するように染色することができ、頭部の薄毛部分を自然に隠蔽性し得る擬似毛髪材として適している。さらに、前記抗菌性と共に、スプレーによってマイナスイオン放出と遠赤外線放射による抗菌・消臭性、並びにこれらの無機鉱物粉体の粉体配合は傷んだ薄毛部分の毛髪に重質感を与え、艶をよりきめ細かに調整できる別途の効果を奏し、さらに血行促進やリラックス効果と併せ、頭髪薄毛部分での育毛又は養毛に有利に働く等のこれら多機能を有効、かつ簡易に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
また、次の解決課題は、人の頭部はふけの発生や頭皮分泌物、整髪剤の付着で細菌増殖や汚れ等の臭気で非衛生になり易く、また保管中の雑菌の繁殖防止の為の抗菌性及び消臭性の機能付与と共に、更に頭部薄毛箇所にスプレー又はふりかけにより、その還元作用に因んで頭皮での育毛又は養毛促進に有利な血行促進が図られ、健康に望ましく頭皮箇所でのマイナスイオン放出環境及び/又は光触媒抗菌消臭作用の更なる励起現象をも奏するといわれる遠赤外線放射作用の相乗効果によって、頭部での雰囲気環境を良好としリラックスせしめる薄毛部分の隠蔽用に適するハイブリッド擬似毛髪材を得ることができる。本発明に係る多機能性擬似毛髪材は、上記の目的を達成する為に、以下に述べる技術的手段を講じたものである。
本発明の構成では、まずセルローズ系繊維を主軸成分とし、これに少なくとも同系のレーヨン繊維を混合して得られる擬似毛髪材組成物からなり、かつこれら繊維の組み合わせにおいて、主軸成分と組み合わせる他方のレーヨン繊維には光触媒含有抗菌・消臭機能を付与せしめた同系のセルローズ系繊維の範疇に属するものを限定的に選択した構成である。因みに、植毛部材からみても、従来よりセルローズ系繊維は主流として使用されてきており、その製品では比較的透明度が高く染色していても光線の透過によって擬似髪材が白髪に見え易く頭髪と質的に相違し、その製品は重く湿摩擦染色堅牢度が低く熱安定性に劣る等の難点がある。しかし本発明においては、頭部毛髪に調和する色彩及び艶を有する様に染色することができ、人の頭部毛髪に自然な艶感をもって調和し、特に頭部の薄毛部分の隠蔽用に適する擬似毛髪材を簡易且つ効果的に製造することができる。
次に、本発明の構成では、上記の如くこれら繊維はすべてセルローズ系繊維の範疇に限定し集約したものであって、繊維主軸はセルローズ系繊維から選ばれたレーヨン繊維とし擬似毛髪材として優れたその属性を発揮し、これと組み合わせる機能付与には同系レーヨン繊維であって、抗菌・消臭機能を付与する為の二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維とし、両者は等しくセルローズ系繊維の範疇であって、しかもその両者はその含有成分においても、主軸繊維のレーヨンが酸化チタン系含有に対し、抗菌・消臭機能を付与するために組み合わせる光触媒含有抗菌性レーヨン繊維も二酸化チタン系光触媒成分を含有し、即ち前者の主軸繊維のレギュラーレーヨンに対し、後者も等しく抗菌・消臭機能付与のレーヨンであって繊維素材でのチタン系機能材料でも共通し、両者では含有物においても同属系統で親和性も期待され、即ち、繊維素材では共にセルローズ系繊維、また含有成分においても前者が酸化チタン系含有、後者が二酸化チタン系光触媒含有成分で共通し、これら繊維素材及び含有成分で共通するものを選択的に採択した形態である。
上記のとおり、本発明においては、機能性付与の為、(1)一方の切断粉砕側のレーヨン繊維にも光触媒含有抗菌性レーヨンの組み合わせとした構成である。さらに(2)稀有元素類を含む鉱物並びにトルマリン又は遠赤外線セラミックスのいずれか一方を含む混合物を添加混合し、マイナスイオン放出と遠赤外線放射による抗菌・消臭性並びに血行促進やリラックス効果と併せ頭髪薄毛部分での育毛又は養毛に有利に働く。また、本発明では、次の如きさらなる効果が期待される。(3)人の頭髪は、個人差があるとはいえ特に薄毛部分での頭髪に調和した質感や艶感が望まれる。まず、本発明は、主軸繊維と双方共にセルローズ系繊維に集約した、調和する質感や艶感を求める擬似毛髪の染色加工でも有利といえる構成である。さらに、上記稀有元素類を含む鉱物(無機鉱物)及び遠赤外線放射物質(セラミック)の添加混合は微量で所望の効果が得られ質感や物性を損なうレペルではなく、また、調和した質感や艶感を求める染色工程でも、阻害要因とはならない。一方、本発明では、上記稀有元素類を含む鉱物、及び遠赤外線放射物質、即ち前者の無機鉱物粉末、及び後者のセラミックスは共に、無機微粒子であって、これを分散配合した擬似毛髪増毛材組成物では、傷んだ毛髪薄毛部分での毛髪に重質感を与え、かつ艶をよりきめ細か調整できる。一般にレーヨンやポリアミド繊維は比較的透明度が高く染色していても光線の透過によって、スプレーやふりかけ後の頭髪が白髪に見え易く、かつ頭髪と質的な違和感が少なくない難点がある。また、直射日光下での光沢感でもより自然毛に近いものとなること、さらに、頭髪をふんわりとより豊かに見せたいとの希求は常に変らない。この点からも、本発明で、稀有元素類を含む鉱物(無機鉱物)、及び遠赤外線放射物質(セラミック)の添加混合は、マイナスイオン放出と遠赤外線放射の効果に止まらず、擬似毛髪増毛材の解決課題からみても、無機鉱物粉体を分散配合したことによる重質感、艶感をより細かく調整できる一石二鳥の別途の作用効果を奏する構成として特長を有する。ここで、稀有元素類を含む鉱物の安全性については、微弱な放射線を放射し人体等に悪影響を及ぼさないとされる1.0ミューSv/hr以下の領域を使用し、本願発明での擬似毛髪増毛材の使用は放射能発生レペルからみても問題はなく安全である。
本発明において、稀有元素類を含む鉱物として、フェルグソン石、モナズ石、ゼノタイム、コルンブ石、ベタホ石、サマルスキー石、ユークセン石、タンタル石、閃ウラン鉱、方トリウム石、ゴム石、カルノー石、ガドリン石等がある。これらの鉱石のうち、極微弱な放射線を放射し、人体に悪影響を及ぼさないとされているもの、及びマイナスイオン放出を励起している鉱物として、最も好ましくはモナズ石を使用することができる。上記天然鉱石の粒径として、0.1ミクロンから1mmに粉砕したものを使用することができる。最も好ましくは平均粒径が10ミクロン以下に粉砕したもの粉末の方が、混合及び塗布仕上げが良く有益である。上記配合部数として、遠赤外線放射物質に対し、50:50重量部が、マイナスイオンをより放出するかえで有益である。
本発明において、トルマリンとして、ショールトルマリン、リチウムトルマリン、ドラバイトトルマリン、ルベライトトルマリン、ピンクトルマリン、インデコライト、バライバトルマリン、ウォーターメロン等を使用することができる。上記トルマリンの粒径として、0.1ミクロンから1mmに粉砕したものを使用することができる。最も好ましくは平均粒径10ミクロン以下である。配合部数としては、稀有元素類鉱物に対し、50:50重量部が、遠赤外線を放射するうえで有益である。
本発明において、遠赤外線セラミックとして、2〜50ミクロンの波長をもつ遠赤外線を放射率50%以上放射している遠赤外線セラミックを使用することができる。遠赤外線セラミックの成分として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄等を2種以上含む混合物を使用することができる。前記市販品として、商品名セラジット、OKトレーディング製があり、マイナスイオンを増幅し遠赤外線を高放射するうえで適当である。上記の配合部数としては、稀有元素類鉱物に対し、50:50重量部が、遠赤外線を放射するうえで有益である。
本発明において、光触媒機能材料として、アナターゼ型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタン、アパタイト被覆酸化チタン、無機セラミック包含二酸化チタン等をいずれも使用することができる。アナターゼ型二酸化チタン及びブルッカイト型二酸化チタンの粒径として、5〜200nmに粉砕されたものを使用することができる。最も好ましくは、6〜30nmの方が電子を励起するうえで有益である。
アパタイト被覆二酸化チタンとして、上記二酸化チタンをアパタイト、すなわちリン酸カルシウムで被覆したものを使用することができる。市販品として、例えば、商品名アパタイト被覆酸化チタンNSP−100ナノウェーブ製を使用することができる。無機セラミック包含二酸化チタンとして、無機セラミックの成分が、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、ジルコニア、酸化イットリウム等の1種の合成セラミック或いは2種以上含む合成セラミックであり、また上記成分を含む天然鉱物である。上記の粒径として、平均30ミクロン以下のものを使用することができる。市販品として、例えば商品名ライオナイト ライオン製を使用することができる。前記配合部数として、上記稀有元素類鉱物並びに遠赤外線法主物質に対し、30重量部数以下がマイナスイオンの生成を減少させないうえで有益である。
そこで、本発明では、薄毛部分での頭髪に調和した質感や艶感を与え、傷んだ毛髪薄毛部分での毛髪に重質感を与え、かつ艶をよりきめ細かに調整する為に寄与することから、上記稀有元素類を含む鉱物(無機鉱物)及び遠赤外線放射物質(セラミック)の他に、次のような無機微粒子を1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%を混合した擬似毛髪増毛材組成物とすることができる。このような無機微粒子としては、従来擬似毛髪で艶消し微粒子としても使用を含め、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、亜鉛華、珪素酸化物、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、シリカ、酸化チタン、マグネシゥム、硫酸バリウム等より選ばれた1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
本発明では、主軸繊維にビスコースレーヨンに代表されるセルローズ系繊維を使用する構成であるが、該繊維は植毛メーカーでの取扱い主流てあって永年に亘る技術ノウハウ蓄積があり、これらの同系繊維の組み合わせでは配合物質の僅かの差異があっても、頭髪の調和する艶感や質感、薄毛部分の隠蔽性を目的とした染色処理においてその技術ノウハウの活用発揮に適している。また、頭皮被着でも植物性の為肌に優しく、さらに近年のエコロジー観点からも同系繊維で共通し、かつ親和性ある含有物の製品で使用後の分別処理を要せず、また、シャンプー洗い落としでも同系統物質の場合好適に働くものと推定される。即ち本発明では、上記の如く繊維主軸はセルローズ系繊維から選ばれたレーヨン繊維で、それと組み合わせる機能性付与の為の光触媒含有抗菌性レーヨン繊維も同じくレーヨン繊維であって、しかも前者に含有する酸化チタン系成分と、選択的に後者には数多い光触媒のうち、酸化チタン系とレギュラーレーヨンに含有の酸化チタン系物質混合物で共通する組合わせとした構成である。
本発明において、その構成は、まず、セルローズ系繊維を主軸成分とする繊維で、その属性のうち擬似毛髪材として好適な性能を発揮させる点、次にそれとの組み合わせでも同種繊維の選択と共に、この同種繊維に課題解決の為の諸機能を発揮させるべく構成したものである。即ち、本発明は主軸成分のセルローズ系繊維と、同種繊維を組み合わせた擬似毛髪材組成物であり、1)一方がセルローズ系繊維と、他方が二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維であって、実質的に均等な繊維長さに切断した光触媒含有抗菌性レーヨン短繊維フロックを組み合わせた構成に対し、2)セルローズ系レーヨン短繊維フロックに対し、他方の二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維を少なくとも略60%以下に分断又は粉砕した該光触媒短繊維フロックを含む配合とした構成である。
ここで、従来品のセルローズ系レーヨン短繊維に対し、切断粉砕した短繊維フロックを混合した構成について、それぞれ分散率と嵩高性について比較検討を行った。なお、従来の分散試験においては、25メッシュ網の通過量で表していたが、3デニール×0.5mmに至っては略99%くらいで細かい誤差の比較ができなかった。そこで今回は段階選別法により、3デニール×0.5mmと、これに粉砕フロックを加えたものの比較を行った。粉砕量は全重量の60%とする。
段階選別法は、下から80、60、40メッシュの篩を重ねて、一定時間、機械的振動を加えた後の各メッシュの通過又は対象物の量を百分率で表す。比較対象として、1)3デニール×0.5mm レギュラー品(カット100%)、70メッシュ選別仕上げ、2)3デニール×0.5mm、実施品(60%配合)、70メッシュ選別仕上げ、3)同上の実施品を作業効率の点より40メッシュ選別仕上げにつき、対比した結果は表1に示すとおりである。
【0007】
【表1】

上記表1の示すとおり、粉砕配合したものが,1レギュラー品(カット100%)品に比べて分散性が良くなっていることが判る。
次に、嵩高性をみる為の簡易的な比重テストを行った。
【0008】
【表2】

この結果より、粉砕配合したものは,レギュラー品(カット100%)品に比べ、嵩高性が低くなっていることが判る。
【0009】
分散率については、円柱形の側面が金網でできている筒に試料を投入し、回転装置にセットする。該円柱の底面の円を中心とする回転運動が加わり、筒の中の試料が回転運動と共に、網の目より外部へ放出される。放出された試料の割合を百分率で表したものを分散率とする。本発明で分散試験機は、西独製のMaag Flockmaschinen GmbHhを使用している。
【0010】

まず、分散率試験として、従来品(3デニール×0.5mm)と、そこへ粉砕物を加えることでの分散率と嵩高性の比較を行ったところ、粉砕物の割合が多くなるにつれて分散率は低くなっている。また、嵩高性についても、粉砕物の割合が多くなるにつれて、嵩高性は高くなっていることが判った。このように、粉砕した短繊維フロックを混合したものでは、分散率は良くなる傾向であるが50%位迄で、70%までになると、分散率は同長、同径にカットしたものの組み合わせ100%のものより悪くなる。そこで、分散率の適正範囲としては、75%以上と考えられる。よって、粉砕物を混合する有効利用範囲は50%迄と判断される。そこで、分散率性の向上並びに改善を図るため、例えば3デニール×0,3mmと0.3mmとを1:1の割合で混合したものと、切断粉砕物との比較検討を行った結果、切断粉砕した短繊維フロックを多く混合したものでは。分散率は良くなる傾向であるが、50%程度迄で、70%程度迄になると、分散率は切断粉砕短繊維フロックを混合しないものより悪くなり、分散率の望ましい範囲は70%以上であり、よって切断粉砕短繊維フロックの適当な混合割合は50%迄とみられる。
なお、汎用レーヨン繊維の切断粉砕50%と、二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維の切断粉砕短繊維フロック50%の数値はほぼ同等との予測であるが、後者では該光触媒含有から分散性がやや劣るともみられた。このことはカット長さのぶれ、粉砕物の乱れも関係ないといえず、後者の分散率が劣ると迄はいえない。また、嵩高性については、切断粉砕短繊維フロックの混合品は、混合しないカット100%に比べ、一様に嵩高性は低く、該粉砕短繊維フロックを混合したことによる嵩高性ガ高まる効果は期待できない。次に、本発明における染色では、セルローズ系繊維を、反応性染料、直接染料、建染染料および硫化染料から選ばれる染料を含む染料組成物で、該セルローズ系繊維100重量部に対し該染料が0.01〜45重量部となるように染色してなる擬似毛髪材により、従来の擬似毛髪が、自然の艶感や質感の点などににおいて、周囲の地毛との調和性に劣るものが多く、また、通常、化粧品で使われる酸性染料や酸化染料で着色した擬似毛髪は、褪色する虞があり、また、衣服等に色移りする場合がある等の難点を改善しようとするものであり、色の堅牢性に優れ、人の黒髪、茶毛、ブロンド毛等に自然の艶感や質感により良好に調和する、頭部の薄毛部分の隠蔽用に適した擬似毛髪を提供するものである。本願発明は、色の堅牢性に優れ、人の頭皮に自然な艶感や質感により良好に調和する、頭部の薄毛部分の隠蔽様に適した擬似毛髪材の目的を達成したものである。
本発明の擬似毛髪材は、主軸セルローズ系レーヨン繊維と、光触媒含有抗菌性レーヨン繊維との組み合わせとからなる擬似毛髪材組成物において、セルローズ系繊維を特定の染料組成物で染色して得られ、セルローズ系繊維としては、特に頭髪に調和する自然な質感を得る観点から、ビスコースレーヨン等のレーヨン繊維が好ましく、また、上記のごとく本発明では選択的に主軸セルローズ系繊維と、これに光触媒含有抗菌性付与の為のセルローズ系繊維は共に、レーヨン繊維に特定し、かつ混合成分でも後者では、銀や銅、第4級アンモニウム塩のごとき汎用抗菌剤から選ばれたものを選択せず、主軸セルローズ系レーヨン繊維の一部含有成分でもある酸化チタンと同属系統の二酸化チタン光触媒含有抗菌性レーヨンとの組み合わせを選択した構成であり、このことは元来レーヨンは植物系繊維であって、頭髪に調和する質感、艶感を顕現する擬似毛髪の染色でも永年の取扱ノウハウを発揮でき、かつ近年の環境資源、分別回収を標榜するエコの潮流からも、元来植物系であるレーヨンであって、その親和性のある同系素材での組み合わせは、例えばシャンプーでの洗い落としでもなじみ易く、異素材との組み合わせより有利に働くものと推測される。本発明では、前記擬似毛髪材組成物中のセルローズ系繊維を、反応性染料、直接染料、建染染料及び硫化染料から選ばれる染料を含む染料組成物で、該セルローズ系繊維100重量部に対し、該染料0.01〜45重量部となるように染色してなる色相の異なる二種以上のセルローズ系着色繊維フロックを混合してなる擬似毛髪材である。また、前記染料組成物が、黒系染料及び赤系染料を含み、両染料の配合割合が前記セルローズ系繊維100重量部に対し、該黒系染料5〜40重量部、該赤系染料1〜20重量部、さらに染料組成物が黒系染料、赤系染料及び黄系染料を含み、これらの染料の配合割合が、前記セルローズ系繊維100重量部に対して、該黒系染料5〜40重量部、該赤系染料1〜20重量部、該黄系染料1〜20重量部である擬似毛髪材を提供する。
本発明の擬似毛髪材では、主軸セルローズ系レーヨン繊維と、銅、第4級アンモニウム塩のごとき汎用抗菌剤から選ばれたものを選択せず、該主軸レーヨンの一部含有成分でもある酸化チタンと同属系統の二酸化チタン光触媒含有抗菌性レーヨンとの組み合わせとした構成を、特定の染料組成物で染色して得られる。また、セルローズ系繊維は、頭髪に調和する、優れた質感や艶感を得る観点から、その繊維長が、0.1〜5mmその繊維径が0,5〜30デニールであることが好ましい。
染料組成物としては、反応性染料、直接染料、建染染料及び硫化染料は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらの染料を用いることにより、褪色や色移りの生じ難い擬似毛髪材を得ることができる。ここで、反応性染料とは、繊維と化学的に結合して堅牢な染色を与える染料をいう。
反応性染料としては、従来公知の各種の反応性染料を一種単独又は複数組み合わせて用いることができるが、ビニルスルフォニル系又はトリアジン系の染料が好ましく用いられ、特にビニルスルフォニル系の染料が好ましく、他にもキノキザリン系、ピリミジン系の染料等を用いることができる。ビニルスルフォニル系又はトリアジン系の染料を用いると、特に色彩艶が人の頭髪に似た擬似毛髪材を得ることができ、また、褪色や色移りの特に生じ難い擬似毛髪材が得られる。以下に反応性染料の例を示す。
【0011】
・スミフィックス ブラック B (Sumifix Black B,黒系染料)
・スミフィックス レッド 3BF(Sumifix Red 3BF,赤系染料)
・スミフィックス イエロー3RF(Sumifix Yellow 3RF,黄系染料)
・スミフィックス ブルー BRF(Sumifix Blue BRF,青系染料)
・スミフィックス ブラウンRNF(Sumifix Brown RNF,茶系染料)
直接染料としては、従来公知の各種の直接染料を一種単独又は複数を組み合わせて用いることができ、例えば以下の直接染料を用いることができる。
【0012】
・エバーダイレクト ブラックB(Everdirect Black B,黒系染料)
・カヤルス レッド F5B(Kayarus Red F5B,赤系染料)
・カヤセロン イエローC−2RL(Kayacelon Yello C−2RL,黄系染料)
・カヤルス スープラ ブルー4BL(Kayarus Supra Blue4BL,青系染料)
・カヤルス スープラ ブラウンGTL(Kayarus Supra Brown GTL,茶系染料)
建染染料(インダンスレン系染料を含む)としては、従来公知の各種の建染染料を一種単独又は複数を組み用いることができ、例えば以下の建染染料を用いることができる。
【0013】
・ミケスレン レッド FBB(Mikethren Red FBB,赤系染料)
・ミケスレン ブルー BC(Mikethren Blue BC,青系染料)
・ミケスレン イエローGCN(Mikethren Yellow GCN,黄系染料)
硫化染料としては、従来公知の各種の硫化染料を一種単独又は複数を組み用いることができ、例えば以下の硫化染料を用いることができる。
【0014】
・カヤク サルファーブルーRC(Kayaku Sulphur Blue RC,青系染料)
・カヤク サルファーブラック 3B(Kayaku Sulphur Black 3B,黒系染料)
・アサシオ レッドブラウン 3B(Asathio Red Brown 3B,茶系染料)
本発明での主軸セルローズ系繊維及び光触媒抗菌性レーヨンの染色は、これら繊維100重量部に対し、上記染料が0.01〜45重量部、好ましくは1〜40重量部となるようにして行う。即ち、染色浴中の染料組成物の及び染料の濃度、該染色浴に浸漬される繊維の量等を調節して、染色の際のセルローズ系繊維と染料との割合が上記範囲内となるような条件の下に染色を行う。染料の配合割合が、セルローズ系繊維100重量部に対して0.01重量部未満であると、染色の程度が不十分となり易く、頭髪に近い色彩を得るのが困難となり、45重量部超であると、染色は十分行われるが、反応浴に余剰の染料が残留し製造コストが増大する
特に黒髪用の擬似毛髪材を得る場合、黒系染料及び赤系染料を含む染料組成物を用いて染色することが好ましく、両染料の配合割合は、前記セルローズ系繊維100重量部に対して、該黒系染料5〜40重量部、該赤系染料1〜20重量部であることが好ましい。黒系及び赤系の染料を上記の割合で用いることにより、色彩の点で特に黒髪に調和する擬似毛髪材を得ることができる。また同様の観点から黒系染料と赤系染料の配合割合は、重量比[黒系/赤系]で、1/0.8〜1/0.1、特に1/0.7〜1/0.2が好ましい。また、上記の黒系染料と赤系染料に加え、更に、黄系染料を含む染料組成物を用いることが好ましい。この場合、黄系染料の配合割合は、前記セルローズ系繊維100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましい。黒系、赤系及び黄系の染料を含む繊維組成物を用いることにより、日本人等の黒髪に特に調和し薄毛部分をより自然に隠蔽し得る擬似毛髪が得られる。この場合、染料組成物中における黒系の反応性染料と、黄系の反応性染料の重量比は、1/0.5〜1/0.01、特に1/0.3〜1/0.1が好ましい。染料組成物は、各染料および所望により配合される他の添加剤などを、通常公知の方法によって、溶媒を溶解させることにより得られる。溶媒としては、通常水が用いられ、溶媒への溶解は、加熱装置付きの攪拌装置など、通常公知の各種の装置や手段を用いて行うことができる。ビニルスルフェニル系染料を用いる場合には、染料組成物に、NaCO等の反応促進剤を、セルローズ系繊維100重量部に対し100〜1000重量部含有させることが好ましい。
本発明の擬似毛髪材は、上述した染料組成物を用いて、セルローズ系繊維を染色することにより得られるが、染色の方法としては、繊維の染色方法として公知の各種の方法を特に制限なく用いることができるが、好ましくは次の方法により染色する。即ち本発明の擬似毛髪材では、セルローズ系繊維を、温度40〜100℃の条件下で、上述した染料組成物中に10〜100分間浸漬処理して染色する。処理温度を40〜100℃とするのは、染料を十分に浸透させる為であり、かかる観点から、より好ましい処理温度は50〜70℃である。また、処理時間を10〜100分間とするのは十分に染料を浸透させると共に、セルローズ系繊維との反応を十分行わせる為であり、より好ましい処理時間は20〜80分間である。
なお、本発明の擬似毛髪材においては、セルローズ系繊維を最終的な擬似毛髪材の長さに切断した後に染色しても良いし、染色後に適当な長さに切断して擬似毛髪としても良いが、染色工程の簡略化等の観点から所定の長さに切断した後に染色することが好ましい。また、繊維の染色は、連続的に行ってもバッチ式で行っても良い。また、必要にて応じて、染色後、ソーピング、分散処理等の処理を行う。
本発明の擬似毛髪材は、従来公知の各種の方法によって、頭部の所望の部位に被着させて使用することができる。被着させる方法としては、擬似毛髪を頭部に振りかけても良いが、噴射器により噴射剤と共に噴射させ、薄毛部位等の所望の部位に吹き付けるようにすることが好ましい。本発明の擬似毛髪材は、噴射器により噴射させる際に、良好に噴射させ得るという点においても優れたものとなっている。
次に、本発明においては、機能性付与について、まず、前記擬似毛髪材組成物に、稀有元素類を含む鉱物、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックの少なくともいずれか一方を含む樹脂組成物を粉体混合または噴霧或いは塗布、含浸のいずれかにより実質的に展着担持されてなる擬似毛髪材の構成とした。
更に、本発明において、上記希有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質トルマリン粉体並びに希有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質セラジットAL−F9に対し、それそれに光触媒機能性材料二酸化チタンを混合添加した擬似毛髪材を得た。本発明において、光触媒機能材料として、アナターゼ型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタン、アパタイト被覆二酸化チタン、無機セラミック含包二酸化チタン等をいずれも使用することができる。アナターゼ型二酸化チタン、及びブルッカイト型二酸化チタンの粒径として、5〜200nmに粉砕されたものを使用することかできる。最も好ましくは、6〜30nmの方が電子を励起するうえで有益である。
アパタイト被覆二酸化チタンとして、上記二酸化チタンをアパタイト、すなわちリン酸カルシウムで被覆したものを使用することができる。市販品として、例えば、商品名アパタイト被覆二酸化チタンNSPー001ナノウエーブ製を使用することができる。無機セラミック含包二酸化チタンとして、無機セラミックの成分が、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、ジルコニア、酸化イットリウム等の1種の合成セラミック或いは2種以上含む合成セラミックであり、また、上記成分を含む天然鉱物である。上記の粒径として、平均粒径30ミクロン以下のものを使用することができる。市販品として、例えば商品名ライオナイト.ライオン製を使用することができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例について説明する。
【実施例1】
セルローズ系繊維(ビスコースレーヨン、オーミケンシ社製)を、繊維径3デニール×繊維長0.5mmに切断破砕した主軸セルローズ系繊維と、該繊維と同じ繊維径3デニール×繊維長さ0.5mmの光触媒含有抗菌性レーヨン糸(ダイワボウレーヨン社製、商標「パナケイア」)を、前記セルローズ系繊維と同様に切断破砕した光触媒含有レーヨン繊維100重量部に対し、50%重量部となるように配合し擬似毛髪材組成物を得た。分散率は95%であった。
なお、実施例1では、主軸繊維のセルローズ系繊維と、これと組み合せる同じ長さで同じ繊維径の光触媒含有抗菌性レーヨンは、同様に0.5mm×3デニールである円柱状の形態で共通し、繊維径が細くなるほど、またカット長が短くなるほど、カット刃の応力や摩擦により短繊維同士が融着、或いはカット断面の変形現象等、繊維同士が絡みつき易く分散性の阻害要因であった。そこで、この阻害要因に対し繊維相互の滑り効果付与の為の滑剤付着処理や冷却剤処理等の融着防止の方法も採用できるが、本発明では、組み合わせとして互いにセルローズ系繊維にのみ限定の構成から、セルローズ系両繊維での水分率に着目し、簡易低コストかつ品質管理上も妨げない手段として、切断破砕を経て染色後での熱風乾燥機による熱風の吹付けにより、両繊維レーヨンの公定水分率は、11%であるところ、このままでは分散率は80%前後に止まるが、上記熱風吹付け後処理を施すことによって水分率を8%近傍迄に下げることができ、擬似毛髪材組成物の分散率を95%に迄上げて分散性の向上を図ることができた。
【実施例2】
セルローズ系繊維(ビスコースレーヨン、ダイワボウレーヨン社製)の繊維径3デニール×繊維長0.5mmに対し、一方の光触媒含有抗菌性レヨン糸(ダイワボウレーヨン社製、商標「パナケイア」)を、同じ繊維径3デニールで、繊維長を0.3mm以下に切断、粉砕し微細フィラメント化した繊維を50重量%混合し、擬似毛髪材組成物を得た。分散率は98%であった。
次に、実施例1と同様に、両繊維での交錯絡み並びに製品使用時でのノズル詰まり等の阻害要因であるところ、その分散性の改善を図るため、熱風乾燥機による循環熱風の吹付け処理によって、セルローズ系繊維と光触媒含有抗菌性レーヨンの公定水分率11%のところ、これを8%近傍に迄引き下げる処理を施すことによって、分散率を98%迄に改善することができた。
【実施例3】
黒系の反応性染料及び赤系の反応性染料を含む染料組成物を収容した繊維染浴中に、上記セルローズ系繊維及び光触媒含有抗菌性レーヨンの擬似毛髪材組成物100重量部に対する、黒系の反応性染料の配合割合が10重量部となり、赤系の反応性染料の配合割合が4重量部となるように浸漬させ、温度60℃の下に20分間染色処理した。そして、通常の染色方法と同様の乾燥などの後処理を行い、擬似毛髪材を得た。
【実施例4】
染料組成物に、更に黄系反応性染料を含有させ、該擬似毛髪材組成物100重量部に対し黄系の反応性染料が2重量部となるようにした以外は、上記実施例3と同様にして擬似毛髪材を得た。
【実施例5】
黒系の反応性染料のみを上記実施例3と同じ割合で含む染料組成物を用いて染色した以外は、上記実施例3と同様にして擬似毛髪材を得た。
(比較例1)非反応性染料を含む染料組成物を収容した繊維染浴中に。レーヨン繊維を、該レーヨン繊維100重量部に対する黒5部、紫5部、橙1部の配合量で浸漬させて染色処理した以外は実施例3と同様にして擬似毛髪材を得た。
(艶感の評価)得られた各擬似毛髪材について、艶感の観点、頭髪との調和性について評価した。艶感は下記の方法及び基準により評価しその結果を表1に示した。・艶感の評価方法:黒髪の被験者1名のつむじ部に各擬似毛髪材を吹き付け、擬似太陽光(キセノンランプ)下で第三者(エキスパート)に目視観察させた。
・艶感の評価基準:艶感の点で頭髪との調和性が大変良い場合◎、良い場合○、あまり良くない場合を△とした。
(堅牢性の評価)得られた各擬似毛髪材それぞれについて、色の堅牢度を下記の方法及び基準により評価し、その結果を表1に示した。
・堅牢性の評価方法:綿布に所定量の擬似毛髪材を吹きつけ、その上一定量の水を滴下し、30分放置綿布への色移りの程度を目視観察した。
・堅牢性評価基準:色移りが全くない場合◎、殆どない場合○、少しある場合△とした。
(黒髪に対する隠蔽性の評価)
実施例にて得られた擬似毛髪材について、黒髪に対する自然な隠蔽を下記の方法及び基準により評価し、その結果を表1に示した。
・隠蔽性の評価方法;黒髪の被験者5名のつむじ部に、擬似毛髪材を吹き付け、各被験者に自己の黒髪との調和性を目視観察させた。そして、黒髪と擬似毛髪材とが色及び質感の点で違和感なく調和しているか否かを回答させた。
・隠蔽性の評価基準:周囲の黒髪と擬似毛髪材とが色や質感の点において利用高二調和していると回答した被験種が5名全員の場合を◎、3名又は4名の場合を○、1又は2名の場合を△、0名の場合を×とした。
【0016】
【表3】

表3に示す結果から、本発明に係る擬似毛髪材は、及び堅牢性に優れており。人の頭部毛髪頭部の薄毛部分の隠蔽用に適していることが判る。これに対して、比較例の擬似毛髪は、色の堅牢性や頭部毛髪への調和性に劣っており、頭部の薄毛部分の隠蔽用には適さないものであることが判る。なお、染色方法3の擬似毛髪材は、青味を帯びており、黒髪に対する調和性にやや劣るものであった。
【実施例6】
次に、本発明における更なる抗菌・消臭性付加については、上記実施例2での擬似毛髪材組成物に(1)稀有元素類を含む天然鉱物(マイナスイオン放出物質)10ミュー・モナズ石粉体と、遠赤外線放射物質10ミュー・トルマリン粉体を、50;50、(2)前記10ミュー・モナズ石粉体と、遠赤外線放射物質 セラジットAL−F9を50;50とした混合物を使用し、上記実施例2での繊維主軸セルローズ系繊維と光触媒含有抗菌性レーヨン繊維との組み合わせとからなる擬似毛髪材組成物に対し、3重量%を粉体混合し擬似毛髪材を得た。上記遠赤外セラミックスとして、セラジットAL−F9 OKトレーディング製を使用した。光触媒として、PC−101 チタン工業製のものを使用した。また、実施例6では、上記の無機鉱物粉体は、いずれも10ミュー単位の稀有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質の配合による更なる抗菌・消臭性機能の付加と共に、該擬似毛髪材組成物の構成には上記の無機鉱物粉体が分散配合されており、その無機鉱物粉体は、別途の作用として薄毛部分での頭髪に調和した質感や艶感を与え、傷んだ毛髪薄毛部分での毛髪に重質感を与え、かつ艶をよりきめ細かに調整する為に寄与し、従来擬似毛髪で艶消し微粒子としても使用される、例えば亜鉛華、珪素酸化物等と同等の作用があり、傷んだ毛髪薄毛部分での毛髪に重質感を与え、かつ艶をよりきめ細か調整でき、頭髪と質的な違和感が少なく、直射日光下での光沢感でもより自然毛に近いものとなる重複した作用効果を奏する。
【実施例7】
さらに、本発明において、実施例6での(1)希有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質10ミュー・トルマリン粉体を50;50に対し、光触媒二酸化チタン50配合、次に、(2)希有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質セラジットAL−F9、50;50に対し、光触媒二酸化チタン50配合のそれぞれに、光触媒機能性材料を混合添加した擬似毛髪材を得た。
【0017】
上記実施例6での稀有元素類を含む天然鉱物、遠赤外線放射物質に加え、光触媒機能性材料の何れも無機微粒子が添加配合された擬似頭髪増毛材組成物では、ぞ構成中には無機微粒子として、従来擬似毛髪で艶消し微粒子としても使用される、例えば、亜鉛華、珪素酸化物等と同等の作用を発揮し、実施例6と同様に、傷んだ毛髪薄毛部分での毛髪に重質感を与え、かつ艶をよりきめ細かく調整でき、頭髪と質的な違和感が少なく、直射日光下での光沢感でもより自然毛に近いものとなる重複した作用効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルローズ系繊維を主軸繊維とし、他方が同系繊維から選ばれた二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維との組み合わせとして得られる擬似毛髪材組成物からなり、前記主軸繊維が繊維長0.1〜5mm、繊維径0.5〜30デニールの範囲内で所望の繊維長及び繊維径に切断破砕したセルローズ系レーヨン繊維であって、他方の繊維が繊維径で同一又は相違するも繊維長では該主軸繊維とは実質的に均等な所望の繊維長に切断破砕してなる二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨン繊維であって、該繊維を少なくとも50重量%以上含む構成としてなり、かつ該擬似毛髪材組成物の含有水分率を3%引き下げ処理することにより分散性の向上を図ったことを特徴とする多機能性擬似毛髪材。
【請求項2】
前記セルローズ系繊維の主軸繊維に対し、他方の二酸化チタン系光触媒含有抗菌性レーヨンが主軸繊維と繊維径では同一又は相違するも、繊維長ではその繊維軸方向の繊維長0.1〜5mmのいずれも60%を超えない範囲内で所望の長さに切断破砕した該光触媒短繊維フロックを、少なくとも40〜50重量%を含む配合として混合することにより、製造工程並びに使用時ての分散性の改善を図り得る構成としてなる請求項1記載の多機能性擬似毛髪材。
【請求項3】
前記擬似毛髪材組成物が、反応性染料、直接染料、建染染料及び硫化染料から選ばれる染料を含む染料組成物で、該セルローズ系繊維100重量部に対し、該染料0.01〜45重量部となるように染色してなる色相の異なる二種以上のセルローズ系着色繊維フロックを混合してなる請求項1〜2の何れか記載の多機能性擬似毛髪材。
【請求項4】
前記染料組成物が、黒系染料及び赤系染料を含み、両染料の配合割合が前記セルローズ系繊維100重量部に対し、該黒系染料5〜40重量部、該赤系染料1〜20重量部である請求項3記載の多機能性擬似毛髪材。
【請求項5】
前記染料組成物が、黒系染料、赤系染料及び黄系染料を含み、これらの染料の配合割合が、前記セルローズ系繊維100重量部に対し、該黒系染料5〜40重量部、該赤系染料1〜20重量部、該黄系染料1〜20重量部である請求項3記載の多機能性擬似毛髪材。
【請求項6】
前記擬似毛髪材組成物に、稀有元素類を含む鉱物、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックの少なくともいずれか一方を含む混合物を少なくとも3重量%以上粉体混合または噴霧或いは塗布、含浸のいずれかにより実質的に展着担持されてなる構成からなる請求項1〜5の何れか記載の多機能性擬似毛髪材。
【請求項7】
前記擬似毛髪材組成物に、稀有元素類を含む鉱物、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックの少なくともいずれか一方を含む混合物に、さらに光触媒機能材料を添加混合し、抗菌作用及び消臭作用を増加させてなる請求項1〜6の何れか記載の多機能性擬似毛髪材。

【公開番号】特開2012−25722(P2012−25722A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178057(P2010−178057)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【特許番号】特許第4822086号(P4822086)
【特許公報発行日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(503324047)株式会社クイックレスポンス (2)
【出願人】(591096026)京都パイル繊維工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】