説明

多次元構造を有する構造化された材料ウエブ及びこの材料ウエブを製造するための方法

本発明は、多次元構造を有する、構造化された材料ウエブ特に金属薄板材料ウエブに関する。本発明によれば、前記多次元構造が、隆起部又は折り目、並びに互いに相並んで配置され、かつそれぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された面区分内に形成された複数の構造部を有しており、これらの構造部がそれぞれ、孔を備えた特徴付けられた箇所を有していて、前記面区分がそれぞれ、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所でそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かう傾斜部を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元構造を有する構造化された材料ウエブ及びこの材料ウエブを製造するための方法に関する。
【0002】
背景技術
工業分野及び家庭分野において、ガス又は液体等の流動媒体から固形粒子を分離する必要がしばしば生じる。このために、例えば遠心分離ドラム、例えば洗浄された洗濯物から水を分離するための洗濯機ドラムがある。他に例えば、流動媒体例えば水又はオイル或いはガス状媒体例えば排煙、空調された空気、汚染された工業用ガス又は圧縮空気から、固形流離を取り除くための、フィルタスクリーン、フィルタプレート又はフィルタドラム用の、フィルタ手段及び濾過壁がある。この場合、液状媒体又はガス状媒体から固体を分離する分離率をできるだけ大きくする必要がある。高い分離効率を得るために、液状媒体又はガス状媒体を、有利な形式で、透過性の、例えば孔開け又は穿孔又は微小網目構造の(例えばフィルタ支持体又はフィルタ手段として構成された)仕切壁によって押し付ける圧力又は加速力が必要とされる。このような圧力若しくは加速力は、媒体を加速させるために、流体と固体粒子と壁部との間の摩擦力を克服するために、及び流体を仕切壁(この仕切壁に固体粒子がフィルタケーキとして堆積する)を通って流通させるために必要とされている。流体から固体を分離する分離率が同じである場合、必要な圧力若しくは加速力の大きさは、仕切壁の孔の配置及び壁部の幾何学的な形状によって決定される。
【0003】
この場合、前記のような高い加速力及び圧力は、透過性の壁部(例えばフィルタ支持体及びフィルタ手段)を機械的に負荷し、さらに高いエネルギー消費によって生ぜしめる必要がある点が、特に不都合である。
【0004】
さらに、特に化学工業、薬学工業及びガラス工業において、流体を分配若しくは調量する必要がある。これはできるだけ簡単な手段によって行う必要がある。
【0005】
また、反応技術的又は方法技術的な理由により、装置内における流体の滞在時間をできるだけ一様にする必要がある。従って、死水領域(よどみ水領域)及び、流体の場所的な滞留はできるだけ避けなければならない。
【0006】
このような複雑な相互関係は、洗濯機ドラム及びフィルタの分離壁の実施例において詳しく説明されている。
【0007】
高い圧力及び加速力に基づく欠点は、洗濯機ドラムにおいて特に、洗濯物が脱水時にドラム周壁の孔内に押し付けられる、という点にある。従って、脱水された洗濯物に窪みのような不都合な傷みが形成され、さらに小さい繊維粒子が発生し、これらの繊維粒子が前記孔を通ってあく液(洗浄済み液)容器に達し、ここから濾過壁に達する。これは特に、繊細な繊維より成る洗濯物の場合に不都合である。従って、洗濯物を強く負荷しないようにするために、技術的に可能である限り、脱水時に洗浄された洗濯物からあく液が取り除かれないようになっている。一般的に、脱水された洗濯物の残りの湿気は、次いで行われる乾燥によって後から取り除かれる。しかしながらこのような乾燥は非常に高いエネルギー消費を必要とする。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許公開第102005026175号明細書によれば、ドラム内部に向いている楕円形の凹みが設けられている、洗濯物処理機のためのドラムが公知である。このような凹みの楕円形又は円形の形状によって、平らな壁面又は円筒形の周壁面が幾何学的に完全に満たされることはないので、構造化されていない最初の平らな壁部若しくは円筒形の周壁の領域が常に残り、この領域は、楕円形又は円形の凹みによって考慮されないことになる。このような、ドラムの、構造化されていない領域(ドラム軸線から半径方向で最も大きく離れている)に、あく液排出用の孔(以下では溢流孔と称呼されている)が配置されている。このような形式で、溢流孔の領域内に、ドラムの脱水機回転数は同じで、洗濯ドラムからあく液を取り除くための最大遠心力が発生する。しかしながらこの場合、溢流孔も配置されている、ドラム周壁の構造化されていない領域内におけるあく液の流れは、ドラム周壁に対して垂直方向の傾斜を有していないという欠点がある。従って、溢流孔に向かって加速される、あく液の排出流を生ぜしめるような幾何学的な下降傾斜は存在しない。幾何学的な半径方向の下降傾斜は、凹みが存在する壁部領域内にだけ存在し、溢流孔も配置されている外側のドラム周壁の領域内には存在していない。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許公開第19954027号明細書によれば、6角形のハニカム構造を備えた、洗濯機ドラムの周壁を製造するための装置が公知である。
【0010】
ハニカム状(蜂の巣状)の表面によって、ドラム周壁に沿って流れる洗濯液は、湾曲されたハニカム構造に沿って緩やかに往復変向運動せしめられる。このような形式で、流れの渦流が発生する。ハニカム構造は、アーチ構造(EP0693008)の輪郭形状を有しており、この場合、ドラムの内側に向いた窪みは、それぞれ折り目によって囲まれていて、それによってドラムの周面は完全に満たされている。この場合、溢流孔は、6角形の折り目の中立点に配置されている。これによって、前記ドイツ連邦共和国特許公開第102005026175号明細書のものに対して改善が得られている。何故ならば、ドイツ連邦共和国特許公開第19954027号明細書による溢流孔は、滑らかで一体的な円筒形面に配置されているのではなく、折り目のほぼ線状の狭い面に配置されているだけだからである。これによって、ドイツ連邦共和国特許公開第19954027号明細書によるドラムは、あく液の流出に関して、前記ドイツ連邦共和国特許公開第102005026175号明細書のものに対して改善されている。しかしながら、ドイツ連邦共和国特許公開第19954027号明細書による折り目及び溢流孔の幾何学的な配置はまだ十分なものではない。何故ならば、脱水時に取り除こうとする洗浄あく液のために折り目の領域に、折り目から溢流孔への流れのための半径方向の下降傾斜が存在しないからである。このように、洗浄あく液は、洗濯物から最前に分離することができないので、洗濯物の残りの湿気は、一般的に、高いエネルギー消費を必要とする洗濯乾燥機で熱によって乾燥することによって取り除かなければならない。
【0011】
流動媒体例えば水又はオイル或いはガス状媒体例えば排煙、空調された空気、汚染された工業用ガス又は圧縮空気から、固形流離を取り除くための、フィルタスクリーン、フィルタプレート又はフィルタドラム用の、並びに遠心分離用の分離壁においては、例えば濾過壁が、濾過の際に必要な圧力を吸収する必要がある。濾過のための分離壁は、フィルタ支持体とフィルタ手段とから成っている。このフィルタ手段は、特に密な網目状材料、混合繊維、合成繊維、ガラス繊維、発泡スチロールである。フィルタ支持体は、一般的に柔軟で微細なフィルタ手段を受容し、圧力を吸収するという課題を有している。この圧力は特に、固形粒子から分離しようとする流体を、フィルタ手段及び、このフィルタ手段より形成されたフィルタケーキを通過させなければならない。この圧力を補助するために、濾過壁若しくはフィルタ支持体に少数の孔が設けられている。この場合、孔が設けられていない濾過壁の領域内に、分離しようとする流体が堆積し、従って、流体は濾過壁若しくはフィルタ支持体の孔に通じる延長された流れ経路に沿ってガイドされることになる。これによって、流体から固体粒子を分離するために、より高い圧力が必要となる。
【0012】
国際公開第98/40910号パンフレット及び米国特許出願第2005/0252182号明細書には、リブが設けられているか又は波形のフィルタ手段について記載されており、このフィルタ手段は確かに補強されてはいるが、補強は、異形成形された方向でしか有効ではない。異形成形された方向に対して垂直な方向では、リブが設けられているか又は波形のフィルタ手段は曲がりやすくなっている。これは、例えばフィルタスクリーン又はフィルタプレート、並びに円筒形又は円錐形の巻体モジュール等の、モジュールの軸方向で異形成形されている、特に波形に形成されているか又はリブを有している巻体モジュールの剛性のために不都合である。国際公開第2005/082484号パンフレットには、フィルタ支持体としての粗い網目状のシリンダとフィルタ手段とを有するフィルタエレメントについて記載されている。費用を節約するために、フィルタ手段が同時にフィルタ支持体としての機能も有するように、フィルタ手段を補強することが望まれている。
【0013】
μm範囲(粗い粒子のためには約40μm、小さい粒子のためには約数μmの)までの篩幅(screen width)を有する微細な金属製織品若しくはプラスチック製織品は既に公知であるが、これは、(付加的なフィルタ支持体なしで)圧力を吸収するための十分な剛性を提供できない。従って巻体モジュールはしばしば、フィルタ手段及びフィルタ支持体より成る高価な構造を必要とする(M. Zogg: Einfuehrung in die mechanische Vefahrenstechnik; ISBN: 3-51906319-0; Abscnitt 4.1.2: Querstromfiltration, Seite 123-128「M.Zogg著:機械的な方法技術入門;ISBN:3−51906319−0;第4.1.2段:横方向流濾過、第123頁−128頁」)。
【0014】
フィルタ手段の取り外し若しくは交換を行うことなしに、フィルタユニットを洗浄するために、洗浄は、圧力衝撃例えば袋濾過器(M. Stiess: Mechanische Verfahrenstechnik 2; Springer Verlag, 1997; Abschnitt 7.3.2.3: Bauarten von Abreinigungsfiltern, Seite 27「Mシュティース著:機械的な方法技術2;シュプリンガー書店;1997年;第7.3.2.3章:洗浄フィルタの構造、第27頁」)によって行われる。この場合、圧力衝撃は、収集されたフィルタケーキを振り落とすために、通常の流れ方向に抗する方向に生ぜしめられる。この場合、フィルタ手段例えばチューブフィルタを受容するために、付加的な支持ケージが必要とされる、という欠点がある。この場合さらに、濾過運転中に既にフィルタ手段に集まる固体粒子を減少させるように、改善されたハイドロダイナミック(流体力学的)な洗浄効果が必要とされる。このような形式で、フィルタ手段を使用するための時間間隔(回分操作;batch operation)を、交換又は洗浄まで延長することができる。これらはすべて、できるだけ安価な装置的費用で実現しなければならない。
【0015】
発明の開示
本発明の課題は、様々な使用目的のために、固体から流体の、改善された分離を行うことができるような、高い強度を有する構造化された材料ウエブ、並びにこのような材料ウエブを製造するための方法を提供することである。
【0016】
さらに本発明の課題は、特に洗濯機処理機のドラムのための、又は濾過壁、フィルタ支持体又はフィルタ手段のための、又は分配ユニット又は調量ユニットのための、流動媒体によって貫流される構造化された壁部を提供し、しかもこの場合、この構造化された壁部は、少ない材料使用量で、しかも高い強度を有しているだけではなく、特に孔の数が少ないにも拘わらず、固体から流体をより良好に分離することができ、それと同時に固体例えば洗濯物を保護することができるような構造化された壁部を提供することである。
【0017】
さらに本発明の課題は、例えばフィルタエレメントの回分操作における時間的な間隔を、ハイドロダイナミック及び/又は機械的な洗浄処置によって延長することである。最後に本発明の課題は、流動媒体の分配又は調量を、特に装置内における流動媒体の滞在時間ができるだけ一様になるように、改善することである。これらすべての改善は、安価な構造費用によって実現されなければならない。
【0018】
本発明の課題は、請求項1に記載した構造化された(struktierten;パターン形成された)材料ウエブによって、及び請求項27に記載した構造化された材料ウエブを製造するための方法によって解決された。本発明の有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明によれば、多次元構造を有する、構造化された材料ウエブ特に金属薄板材料ウエブにおいて、前記多次元構造が、隆起部又は折り目、並びに互いに相並んで配置され、かつそれぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された面区分内に形成された複数の構造部を有しており、これらの構造部がそれぞれ、孔を備えた特徴付けられた箇所を有していて、前記面区分がそれぞれ、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所でそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かう傾斜部を有して構成されていることを特徴としている。
【0020】
1実施態様によれば、材料ウエブ特に金属薄板材料ウエブ又は網目状材料としての材料ウエブは、生ぜしめられた壁部に隆起した補強部が形成され、それと同時に材料ウエブのすべての箇所に、流動媒体のための、壁部に対して傾斜した流れの下降傾斜面が形成されることによって、多次元構造を備えている。付加的に、本発明によれば、多次元構造によって、構造化されたフィルタ手段又は構造化された濾過壁から堆積した固体粒子を取り除くための改善された洗浄効果が得られる。これは、流体力学的な洗浄効果によって又は多次元壁部構造の機械的な往復振動運動によって得られる。最後に、本発明によれば、多次元構造によって、流動媒体を規定し、一様に分配し、かつ調量することもでき、この場合、滞在時間は、構造化された材料ウエブのすべての箇所における下降する流れの傾斜によってほぼ一様にされる。
【0021】
本発明の別の実施態様によれば、構造化された材料ウエブをウエブ材料から製造するための方法において、隆起部又は折り目並びに互いに相並んで配置され、かつそれぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された面区分内に形成された複数の構造部を備えた多次元構造を有する帯状材料を製造し、前記構造部の特徴付けられた箇所にそれぞれ1つの孔を設け、前記面区分の、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所にそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かう傾斜部を設け、前記特徴付けられた箇所において、流体の流れ方向が、平均的な材料ウエブ平面に対して常に傾斜してか又は垂直に延在するようにした。
【0022】
1実施態様による構造化された材料ウエブ特に金属薄板材料ウエブ又は網目状材料としての材料ウエブを製造するための方法において、材料ウエブに隆起した補強部を形成し、それと同時に構造化された材料ウエブのすべての領域に、構造化された壁面の、初期の平らな(つまりまだ構造化されていない)壁面に対して、構造化された壁面の幾何学的な傾斜が常に形成されるように、材料ウエブに多次元構造及び孔が設けられる。
【0023】
固体粒子から流体を分離させるために、すべての領域において、壁部の溢流孔に向かう流体のための常に下降する流れの傾斜が常に得られる多次元構造化された材料ウエブが使用される。これは、構造化された材料ウエブがそのそれぞれの構造部において常に、溢流孔が配置されている、最も深い1つだけの箇所を有することによって得られる。これは特に有利な形式で、3次元切子面構造又は3次元波形構造又はアーチ構造の材料ウエブを使用し、この場合、多次元構造の最も深い一にそれぞれ1つの溢流孔が配置されていることによって得られる。
【0024】
「3次元切子面構造」又は「3次元波形構造」又は「アーチ構造」の材料ウエブとは、特に、数ミリメートル又は数センチメートルの構造部寸法を有する、多次元的に補強された構造部を備えた(構造化された)金属又はプラスチック材料若しくは繊維複合材料より成る帯材又はパネルのことである。このような構造部は、様々な実施例において、構造化された材料ウエブの表面拡大部を備えていないか、又は表面拡大部を僅かに備えている同じ長さの成形部のことである。
【0025】
このような多次元構造部は、有利な形式で特に材料を傷めないように凹凸法を用いて行われる。この場合、薄壁状の材料ウエブは湾曲された形状でその内側が、特に線状若しくは直線状(linienfoermig)のエレメントによって支持され、外部から圧力で負荷される。この場合、制御された自己組織化システムに基づいて又は技術的に変更された形式に基づいて、非常に僅かなエネルギー消費で、「プロップ効果」(Plopp-Effekt;落下効果)に従って規則的に配置された、4角形又は6角形の凹凸構造若しくはアーチ構造(EP0693008、EP0900131)又はワッペン形の凹凸構造若しくはアーチ構造(EP0888208)又は3次元の波形構造(DE102005041516)又は3次元の切子面構造(DE10200041555)が得られる。このような制御された自己組織化システムに基づいて形成された凹凸構造は、いわゆる「散逸構造"dissipativen Struktur"」(Prigonine et al.: "Dialog mit der Natur", Pieper Verlag; F.Mirtsch at al.:"Corrugated Sheet Metal on the Basis of Self Organization", First International Industrial conference Bionic 2004, Hannover Messe, Germany, in: Fortschritt−Berichte VDI Rehe 15, S.299−313「プリゴニエその他著:自然との対話、ピーパー書店;エフ.ミルチュその他著:自己組織化システムに基づく波形金属薄板、ファーストインターナショナルインダストリーコンフェレンスバイオニック 2004,ハノーバーメッセ、ドイツ、継続−レポートVDI第15列、第299頁−313頁参照」)に分類される。このような形式で構造化された材料ウエブは、その湾曲された形状から平らな形状に変化する(DE19856236)。
【0026】
凹凸構造若しくはアーチ構造では折り目が狭い曲率半径を有しているのに対して、3次元波形構造の隆起部は、著しく大きい曲率半径を有している。これは以下によって明らかである。凹凸構造若しくはアーチ構造は、打撃作用によって、湾曲された材料ウエブの不安定点を克服することによって生じ、これによって、薄い壁部を自然に折り曲げる際に発生するような狭い折り目が、動的な打撃エネルギーによって生ぜしめられる。3次元波形構造は、同様に打撃作用によって安定性点を克服する際に得られ、しかしながらこの場合、動的な打撃エネルギーは、構造化プロセス中に既に大部分が弾性的な中間層によって緩衝される。この場合に生じた隆起部は折り目と比較して大きい曲率半径を備えているので、閉じられた球面と共にほぼ多次元の波形構造が得られるが、隆起部の半波長は、隆起部によって閉じられた球面の半波長よりも小さい。従って、「3次元波形構造」とも称呼される。このような3次元波形構造を製造するための方法において、構造化された材料ウエブと支持エレメントとの間にガイドされる付加的な弾性的な材料層を用いて、このような緩やかに丸味を付けられた隆起部が形成される。このような隆起部によって包囲された、材料ウエブの面区分は、少なくともほぼ球面の区分を表す球面を形成する。これとは異なり、凹凸構造若しくはアーチ構造においては、折り目によって包囲された窪み(通常は、前記のようなやや球状に丸味を付けられた球面を有していない)が生じる。隆起部の緩やかな丸味部によって、材料ウエブの素材は、構造化において非常にわずかに負荷されるだけである(DE102005041516)。
【0027】
3次元切子面構造は、凹凸構造若しくはアーチ構造又は3次元波形構造の材料ウエブの、それぞれ有利な形式で6角形の窪み若しくは球面は、その凹状側が、1つの中立点に集合する有利には3つの支持エレメントに押し付けられることによって、二次的な構造化プロセスを用いて形成される。この場合、前記1つの中立点に集合する支持エレメントは、一平面内に配置されているのではなく、凹凸状若しくはアーチ状又は3次元波形構造の窪み若しくは球面を支持するように、ほぼ錐体状に集合する尖端上に配置されている。材料ウエブの窪み若しくは球面が外部から、つまりその凹状の側から、圧力負荷されると、窪み若しくは球面は、前記支持エレメント間に押し付けられる。このような形式で、3次元的(立体的)に配置された平らな又はやや湾曲された、複数の折り目によって包囲されている切子面を有する3次元切子面構造(DE10200041555)が得られる。平らな切子面は、有利には、高い降伏点を有する高強度の材料、例えば"Firma Amac"(アマック社)によるアルミニウム合金「Titanal」(降伏点約580N/mm;引張強さ約640N/mm)において得られる。切子面は、一次構造化プロセス(3次元波形構造)においても、また二次構造化プロセスにおいても、それぞれ弾性的な材料ウエブが付加的に、構造化しようとする材料ウエブと支持エレメントとの間にガイドされることによって、隆起部によって包囲される。
【0028】
形成された切子面の形状は、特に一次構造化された、有利には6角形(六辺形)の錐体尖端の位置決めを選択することによって規定される。左右対称の星形に1つの中立点に集合する3つの支持エレメントによって形成される、材料ウエブの錐体尖端が、錐体の複数の折り目がそれぞれ6角形のそれぞれ1つの頂点に合流するように、6角形の中央に配置されている場合、シンメトリー(対称性)に基づいて3次元的に配置された合同の3つの切子面が形成される。本発明によれば、錐体尖端は、6角形の頂点と比較して確実に、より高く構成される。ケースa:錐体尖端が6角形の中央から外れて配置さている場合、一般的に非合同の切子面が形成される。錐体尖端が6角形の中央から出発して、6角形の1つの頂点に向かってずらされ、この場合、同時に錐体の唯一の折り目が、6角形の唯一の頂点と重なり合うと、3次元的に配置された合同のそれぞれ2つの平行四辺形(切子面としての)並びに、4つの同一の一方の折り目と2つの同一の他方の折り目とから成る(この場合一方の折り目が他方の折り目よりも長い)、特に6角形の切子面が得られる。ケースb:錐体尖端の高さをより高くすることは、支持エレメントが1つの中立点に集合し、それによって形成された錐体尖端がより高い高さを有するようにすることによっても、得られる。
【0029】
本発明によれば、流動媒体が貫流する材料ウエブは、互いに接して並べられた多次元構造を備えており、構造部は、折り目又は隆起部によって包囲される面区分より成っていて、また各構造部に、材料ウエブに孔を備えた特徴付けられた箇所を有しているので、この構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所にそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かう傾斜部を有している。これによって、流動媒体のための、材料ウエブの各箇所から材料ウエブの前記特徴付けられた箇所に向かって常に下降する、溢流孔を備えた傾斜面が形成される。
【0030】
本発明の実施態様によれば、3次元切子面状の構造化された材料ウエブが、有利には立体的に配置された3つの切子面によって形成される、それぞれ1つの錐体尖端にそれぞれ1つの孔が配置されている。
【0031】
本発明の別の実施例によれば、凹凸状若しくはアーチ状に構造化された、又は3次元波形に構造化された材料ウエブが、各構造部の窪み若しくは球面のそれぞれ最も深い位置に溢流孔が設けられるように、使用される。このような形式で、流体は例えば分離プロセの際に、各構造部の窪み若しくは球面の内側に沿って流れ、窪み若しくは球面の最も深い位置に存在する位置する溢流孔を貫流するようになっている。
【0032】
本発明の別の実施態様によれば、錐体尖端に溢流孔を備えた3次元切子面状に構造化された材料ウエブ、及び3次元波形に構造化された若しくはアーチ状に構造化された、窪み若しくは球面内に複数の溢流孔を備えた材料ウエブが使用され、この場合、錐体尖端若しくは、窪み又は球面の最も深い位置がそれぞれ、洗濯機ドラムの外周面に配置されている。このような形式で、脱水時に洗濯あく液が、常に半径方向のドラム方向に作用する分力を有し、それと同時に最大の遠心分離力が作用するようになっている。これによって、脱水機回転数又は溢流孔の数を増大する必要なしに、洗濯物の脱水効率を高めることができる。またこれによって、洗濯物を傷めることがなく、しかもドラムの壁厚を増大することなしに洗濯ドラムの剛性を高めることができる。
【0033】
本発明の別の実施態様によれば、錐体尖端に複数の孔をソナタ3次元切子面状に構造化された材料ウエブと、窪み若しくは球面に複数の孔を備えた3次元波形構造の若しくはアーチ構造の材料ウエブが、濾過壁、濾過ドラム又はフィルタ支持体として使用される。これによって、特に固体からの流体の分離が改善される。何故ならば、構造化された材料ウエブのそれぞれの箇所に、構造化されていない壁部の平面に対して垂直な又は傾斜した流れが存在するからである。材料ウエブは、平らな形状を有していてよいが、湾曲されていてもよく、有利には、内側から外側に向かって流体が乾留する円筒形又は円錐形のドラムとして構成されていてもよい。
【0034】
本発明の別の実施態様によれば、最初の材料としての既に複数の孔が一様に穿孔されている材料ウエブに、3次元切子面構造又は3次元波形構造又は凹凸若しくはアーチ構造が設けられ、この最初の材料としての材料ウエブが、特に濾過壁、濾過ドラム又はフィルタ支持体として使用される。構造化されていない(平らな)材料ウエブは、孔開けされているために剛性が不足しているが、この剛性の不足は、3次元切子面構造又は3次元波形構造又は凹凸構造若しくはアーチ構造の補強作用によって、少なくとも補償される。
【0035】
本発明によれば、フィルタ材料は、3次元切子面構造又は3次元波形構造又は凹凸構造若しくはアーチ構造を備えており、これによって、フィルタ支持体が必要ない程度に、剛性が高められる。フィルタ材料として、有利には金属、混合繊維又は合成繊維及びガラス繊維(例えば樹脂によって安定化された)より成る、特に狭い網目状材料が使用される。このような多次元構造のフィルタ材料は、例えばフィルタプレート、フィルタスクリーン又はフィルタドラムに使用される。
【0036】
本発明の別の実施態様によれば、3次元切子面状に又は3次元波形に又は凹凸若しくはアーチ状に構造化されたフィルタ手段から、層モジュール又は巻体モジュールが形成され、この層モジュール又は巻体モジュールに、フィルタ手段としての多次元構造化された材料ウエブが、例えば互いに上下に積層されて1つの平らなプレートパケットが形成されるか、又は円筒形又は円錐形のモジュールに巻き付けられる。本発明の利点は特に、個別のフィルタ手段層を間隔を保って保持すると同時に安定化させる付加的なスペーサエレメントを省くことができる、という点にある。
【0037】
本発明の別の実施態様によれば、濾過運転中に、時間の経過に伴ってフィルタケーキが堆積する、3次元切子面状又は3次元波形又は凹凸若しくはアーチ状に構造化されたフィルタ手段に使用され、この場合、フィルタ手段は取り外す必要なしに、洗浄することができる。これは、次の3つの異なる方法によって行われる。
【0038】
1. 窪み若しくは球面の凹状側に対して、又はフィルタ手段の構造部の錐体状の膨出部に対して空圧又は液圧式の衝撃を加えることによって、窪み若しくは球面又はこの錐体状の膨出部が変形し、この際に少なくともやや平らになる。窪み若しくは球面又はこの錐体状の膨出部は、衝撃が強くなると、窪み若しくは球面がダイナミックに打撃されて変形し、これによって、付着したフィルタケーキがまさに投げ飛ばされる。衝撃が完全に終了すると、強い打撃を受けた窪み若しくは球面又は錐体状の膨出部は、構造化されたフィルタ手段の有利には弾性的な材料特性によって、少なくともほぼその初期の形状に再び戻り変形し、それによって洗浄プロセスがほぼ可逆的に繰り返される。この場合、3次元波形構造及び3次元切子面構造の隆起部は、有利な形式でアーチ構造の折り目(折り目の小さい曲率半径を有する)として振る舞う。その結果、洗浄運転中にダイナミックな負荷若しくは振動負荷にさらされる、構造化されたフィルタ手段において高い疲れ強さが得られる。
【0039】
2. 構造化されたフィルタ手段に付着したフィルタケーキを取り除くことは、構造化されたフィルタ手段がそのダイヤフラム方向で変形することによっても行われる。これは、静的な引張負荷又は圧縮負荷によっても、また周期的な引張負荷又は圧縮負荷によっても行われる。この場合、3次元切子面状の又は3次元波形の、又は凹凸状若しくはアーチに構造されたフィルタ手段は、各構造部折り目若しくは各構造部隆起部、及び窪み若しくは球面が、あたかもアコーデオンのように往復運動を行う(この際にその構造部が失われることがない)、という補償特性を有している。これによって、構造化された材料ウエブは、引張負荷時に引きちぎられ易く、圧縮負荷時に不安定になり、折れ曲がり、かつ故障し易くなる平らな材料ウエブとは基本的に異なっている。本発明の材料ウエブは、有利には、軸方向で静的な負荷又は周期的な負荷を受けて変形せしめられる円筒形又は円錐形のフィルタカートリッジに使用される。このような形式で、運転中におけるフィルタカートリッジの交換間隔は延長される。
【0040】
3. フィルタ材料又はフィルタ支持体又は濾過壁への固体粒子の付着を減少させることは、本発明に従って、3次元切子面状又は3次元波形又は凹凸状に構造化された材料ウエブを流動媒体が溢流する際に洗浄効果が生じることによっても得られる。これは、アーチ構造の壁部におけるサーモハイドロリック(thermohydraulic)的な実験的な調査によって証明されており、この場合、流れ境界層が、壁部の構造部を溢流する際にまず局部的に剥離し、次いで再び壁部にぶつかるようになっている。このような形式で、局所的な乱流ゾーンが発生する(F. Mirtsch, W. Roetzel: " Measurement Local Heat Transfer Coefficients on Profiled Walls of Heat Exchangers ", ICHMT International Sympopsium on New Developments in Heat Exchengers, Lisbon, Portugal 6-9, 1993[エフ.ミルチュ、ダブリュー.レッチェル著:「熱交換器の異形成形された壁部における局所的な熱伝達係数の測定」、新開発熱交換器におけるICHMT国際シンポジウム、リスボン、ポルトガル 6−9、1993年])。このような乱流ゾーンは、本発明によれば、多次元構造化された壁部における固体粒子の付着を減少させるための洗浄効果の作用を有している。この場合、緩やかな丸味部を有する隆起部が、狭い曲率半径を有する折り目よりも、さらに有利に作用する。何故ならば、狭い折り目の領域におけるいわゆるデッドウォーターゾーンが避けられるか、又は少なくとも減少されるからである。
【0041】
本発明の別の実施態様によれば、球面又は窪みの最も深い位置若しくは錐体尖端に孔が配置されている、3次元切子面状又は3次元波形構造の又は凹凸構造若しくはアーチ構造の材料ウエブが、流動媒体を均一に分配させるために、又は流動媒体を調量するために使用される。流動媒体の均一な分配は、例えば容器内で行われ、この容器の水平な底部に3次元切子面構造又は3次元波形構造又は凹凸構造若しくはアーチ構造が設けられていて、この構造化された底部の最も深い位置に同じ大きさの複数の孔が配置されている。これによって、それぞれすべての構造部に、同じ流れの傾斜が得られ、ひいてはそれぞれの孔貫流する同じ貫流量が得られる。
【0042】
さらにまた、構造化された、かつ複数の孔を備えた底部によって、流動媒体の量を一様に調量することが、次のようにして実現される。まず複数の孔を、例えば下方(凹状の側)から閉鎖する。次いで、構造化された底部を、構造部が完全に満たされるまで、上方から流動媒体で満たし、この場合、液レベルを、折り目若しくは隆起部の上縁部にできるだけ正確に一致させる。これは、折り目若しくは窪みの上縁部を越える余剰の流動媒体が、有利な形式で、ラバーリップとして構成されたワイパーを用いて取り除かれることによって、行われる。複数の孔を開放してから、流動媒体は複数の孔を通って流出せしめられる。
【0043】
流動媒体が流出する際に、少量が特に液滴の形で、構造化された底部に付着するのを避けるために、材料ウエブは有利な形式で、付着防止コーティングを備えている。水媒体の場合、例えばテフロンコーティングが施される。本発明によれば、実験的な調査により明らかなように、ロータス効果(Lotus-Effekt)を備えた表面を用いてもよい。
【0044】
この場合、3次元波形構造又は凹凸若しくはアーチ構造の主要な利点は、このような構造が、構造化の際に窪み若しくは球面の凹状の側の表面を硬い成形工具によって接触することなしに、及びひいては損傷することなしに、生ぜしめられる、という点にある。3次元切子面構造においては、平らな又はやや湾曲された切子面が損傷を受けることはない。何故ならば、この場合、やはり面状の成形工具は必要ないからである。錐体尖端に向かって集合する折り目の領域内において、材料ウエブの表面が、線状の硬い支持エレメントによって干渉されるだけである。切子面構造が、折り目の代わりに隆起部を備えている場合、表面のどの箇所も、硬い支持エレメント又は硬い成形工具と接触することはない。従って、本発明によれば、付着防止コーティング又は付着防止表面(自己洗浄作用を有するロータス効果による表面を含む)を備えた材料ウエブを使用することができ、この場合、材料ウエブは、多次元構造部の前でも後ろでも、前記のような表面特性を備えることができる。その他の利点は、一般的な運転時に、撥水作用を有する表面の考えられる損傷は、例えば折り目又は隆起部の上縁部に沿ってワイパが移動する時に、もっぱら折り目又は隆起部の上縁部の領域に発生する、という点にある。
【0045】
本発明の実施態様によれば、隆起部又は折り目が、3角形、4角形、特に長方形、正方形、菱形、平行四辺形、5角形、6角形(六辺形)及び8角形の幾何学的な基本形状のグループから成る複数の基本形状の1つ又は組み合わせにより形成されている。
【0046】
本発明の有利な実施態様によれば、構造部が、自己組織化された構造部である。この場合、窪み若しくは球面並びに折り目若しくは隆起部は、特に材料が保護されている。
【0047】
多次元構造の形成は、本発明によれば、有利には幾何学的に適した支持エレメントを用いても、例えば連続運転されるローラ又はロール上における、父型と母型、又は型押し機と作用媒体、特にエラストマー又は流動媒体等の幾何学的に適した成形工具を用いても行うことができる。
【0048】
本発明の有利な実施態様によれば、構造化された材料ウエブは、材料又は次のグループより成る材料若しくは素材の組み合わせである。つまり、「チタン」等のアルミニウム合金又は硬質鋼合金を含むすべての種類の金属、プラスチック、繊維材料、特に紙及び厚紙、繊維組織及び編み地のグループより成る材料若しくは素材の組み合わせである。
【0049】
流動媒体を貫流させるための補強された材料ウエブを製造するための、本発明の実施態様によれば、材料ウエブ例えば帯状金属薄板の、後で3次元切子面構造の材料ウエブの錐体尖端が形成されるすべての箇所に、それぞれ1つの孔を、打ち抜き成形工具によって又はレーザによって設ける。次いで、複数の孔を備えた材料ウエブを、有利な形式で弾性的な加圧ロールによって支持エレメントロールに押し付け、このような形式で凹凸構造若しくはアーチ構造を形成する。選択的に、かつ付加的に、構造化しようとする材料ウエブと支持エレメントロールとの間に弾性的な中間層を導入し、それによって隆起部を有する3次元波形構造を形成する。この場合、有利な形式で、支持エレメントは支持エレメントロール上に、自己組織化に基づく多次元構造が形成されるように、配置される。しかしながら支持エレメントは、それとはやや異なる形状を有していてよい。次いで、凹凸状若しくはアーチ状又は3次元波形状に構造化され、かつ複数の孔を備えた材料ウエブ(以下:一次的に構造化され、かつ穿孔された材料ウエブ)が、二次的な構造化法で次のように、3次元切子面状に構造化され、かつ複数の孔を備えた材料ウエブに成形される。有利な形式で別の弾性的な加圧ロールが窪みの凸状側若しくは折り目が存在する、材料ウエブの対抗側に押し付けられることによって、一次的に構造化され、かつ穿孔された材料ウエブの、窪みの凹状側若しくは球面が存在する側が、別の支持エレメントロールに押し付けられる。このような形式で、構造部の窪み若しくは球面(それぞれ孔も存在している)にそれぞれ、有利な形式で3つの切子面より構成された錐体尖端が形成される。
【0050】
特に洗濯機ドラムのための補強された材料ウエブを製造するための、本発明の別の実施態様によれば、複数の孔及び3次元切子面構造を備えた材料ウエブが、錐体尖端が半径方向でドラムの外側に向けられるように、ドラムに対して湾曲される。錐体尖端をこのように配向することは、3次元切子面構造において、有利な形式で、二次的な構造化プロセス中に、二次的な支持エレメントロールの押圧力が、3次元切子面構造を有する材料ウエブが二次的な弾性的な加圧ロールに押し込まれる程度に強く選定されることによって行われる。それによって、ドラムの曲率に相当する曲率が得られる。しかしながら、このような形式で、まだ完全に材料ウエブの曲率に達していない、3次切子面構造を有する材料ウエブの曲率を得ることもできる。この場合、3次元切子面構造を有する材料ウエブは、次いで例えばロール曲げ加工によってドラムの所望の曲率が得られるように成形される。
【0051】
特に洗濯機ドラムのための、補強された材料ウエブを製造するための別の実施態様によれば、複数の孔及び3次元波形構造を備えた材料ウエブは、球面の最も深い位置が半径方向でドラムの外側に向くように、ドラムに向かって湾曲される。これは次のようにして行われる。材料ウエブの3次元波形構造化後に、球面の最も深い位置は、湾曲された材料ウエブの内側に配置されている。次いでロール曲げ加工によって、3次元波形構造を有する材料ウエブは対抗曲率側に移行せしめられ、それによって球面の最も深い位置は、3次元波形構造の材料ウエブの外側にもたらされる。このような「対抗曲げ成形」の可能性は、本願の特徴である。何故ならば、凹凸構造若しくはアーチ構造の材料ウエブの「対抗曲げ成形」(「対抗曲げ成形」とは、アーチ構造の最初の曲率から平らな形状へ、次いで対抗曲率側へと、強く矯正することを意味する)におけるこれまでの実験的な調査によれば、「対抗曲げ成形」の際に凹凸構造若しくはアーチ構造の折り目が不安定になり、折れ曲がり易くなることが示されているからである。この場合、3次元波形構造の隆起部が、「対抗曲げ成形」の際に、凹凸構造若しくはアーチ構造の折り目よりも加工し易いことが分かった。その理由は、「対抗曲げ成形」の際に発生する材料応力は、折り目(曲率半径が小さい)におけるよりも隆起部(曲率半径が大きい)内において、より均一に分布するからである。
【0052】
それどころか、本発明の別の観点によれば、凹凸構造若しくはアーチ構造の材料ウエブの「対抗曲げ成形」は、材料の厚さに対する構造化深さの比が小さい場合にのみ、成功することが分かった。この場合、特に6角形において、構造部の6角形の対抗する2辺間の幅によって特徴付けられる構造的な大きさが小さくても、構造化深さは小さい。
【0053】
この関係について、例として次に3つの実験的な調査によって説明する。
【0054】
ケースa:材料ウエブが、対抗する2辺間の幅が50mmで、約4mmの構造深さを有する、6角形の凹凸構造若しくはアーチ構造を備えた、厚さ0.6mmの延性薄鋼板より成っている場合、凹凸構造若しくはアーチ構造の折り目は、約200mmの曲率半径を有する「対抗曲率側」から折折れ曲がりが始まる。これに対して、同じ材料から成り、同じ厚さ、同じ構造深さ及び同じ2辺間の幅を有する、3次元波形構造の材料ウエブは、約150mmの曲率半径を有する、曲がりが大きい「対抗曲率側」において初めて折れ曲がりが始まる。
【0055】
ケースb:材料ウエブが、照明器具工業の従来の反射材料より成るアルミニウム薄板より成っていて、厚さが0.4mm、2辺間の幅が16mmである6角形の凹凸構造若しくはアーチ構造である場合、このように構造化された材料ウエブは、約30mmの曲率半径を有する「対抗曲率側」から、折れ曲がりが始まる。
【0056】
このような多次元構造化された材料ウエブを製造するための方法は、本発明によれば、自己組織化に基づいて実施され、この場合、材料ウエブの材料は特に保護される。支持エレメントの形状が自己組織化によって得られないか、自己組織化が用いられない場合、本発明に従って、自己組織化によって得られる支持エレメントの形状とは異っていてもよい。
【0057】
材料ウエブの材料が十分な可塑化貯蔵物質を有している場合、流動媒体を貫流させる多次元構造化された材料ウエブを製造するための本発明の方法によれば、材料ウエブは、機械的な成形ロール若しくは成形母型及び弾性的な若しくは流体状の活性媒質によって、又は選択的に成形父型及び母型によって、多次元構造部が備えられる。この多次元構造部は、流体が構造化された壁部に対して常に傾斜しているか又は垂直に流れるように、構成されている。
【0058】
特にフィルタ手段のための、多次元構造化された材料ウエブを製造するための別の実施態様によれば、材料ウエブが網目状材料、有利には特殊鋼より成っていて、相応の製造方法により3次元切子面状又は3次元波形状又は凹凸状若しくはアーチ状に構造化された構造部を備えており、この場合、孔開け工程は省かれる。特にフィルタ材料のための多次元構造を有する、網目状材料より成る材料ウエブを製造するための別の実施態様によれば、材料ウエブに、3次元切子面状又は3次元波形又は凹凸状若しくはアーチ状に構造化された構造部を備え、次いで材料ウエブを、例えば窪み、球面又は錐体尖端が半径方向で内方に向くような、回転体に曲げ加工する。これによって、回転体は、特に外部から流体によって貫流され、それによって圧力負荷される時に、高い剛性を有している。回転体に曲げ加工される材料ウエブの窪み、球面又は錐体尖端は、半径方向で内方に向いていてもよい。
【0059】
実施例の説明
本発明を以下に図示の実施例を用いて具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】材料ウエブの錐体尖端にそれぞれ1つの孔が配置されている、三次元切子面状に構造化された材料ウエブを製造するための装置の概略図である。
【図2】上側の2つの図面に示した6角形アーチ状に構造化された壁部区分から、下側の2つの図面に示した3次元切子面状に構造化された壁部区分までの概略的な展開図である。
【図3】錐体尖端に孔を備えた3次元切子面状に構造化された材料ウエブの概略的な平面図である。
【図4】上の図面は、外方に向けられた錐体尖端を有し、該錐体尖端内に溢流孔が配置されている、特に洗濯機用の3次元切子面状に構造化されたドラムの概略的な軸方向に対して直交する方向の横断面図、下の図面はドラムの部分的な平面図である。
【図5】上の図面は、外方に向けられた窪み若しくは球面を有し、該窪み若しくは球面の中央にそれぞれ1つの溢流孔が配置されている、特に洗濯機用の、アーチ状に構造化された又は3次元波形に構造化されたドラムの概略的な軸方向に対して直交する方向の横断面図、下の図面はドラムの部分的な平面図である。
【図6】上の図面は、各構造部にそれぞれ複数の孔が配置されている、3次元切子面状に構造化された壁部区分の概略的な平面図、下の図面は各構造部にそれぞれ複数の孔が配置されている、アーチ状に構造化された又は3次元波形に構造化された壁部区分の平面図である。
【図7】上の図面は、アーチ状に構造化された又は3次元波形に構造化された、特に外から半径方向に貫流され、それによって圧力で負荷されるフィルタ手段より成るシリンダの概略的な横断面図、下左の図面は、内側から半径方向に低い圧力で負荷されるシリンダの、また下右の図面は、内側から半径方向に高い圧力で負荷されるシリンダの概略的な横断面図である。
【図8】アーチ状に構造化された又は3次元波形に構造化された、特に外から半径方向に貫流され、それによって圧力で負荷されるフィルタ手段より成るシリンダの概略的な横断面図であって、上の図面は、シリンダの両端面に軸方向で力が作用していない状態、また下の図面は、シリンダの両端面に軸方向に力が加えられていて、シリンダが軸方向に圧縮されている状態を示している。
【図9】上の図面は、3次元切子面状に構造化された分配器底部の区分の概略的な平面図、下の図面は、流体の流れ方向を均一に分配するためのアーチ状に構造化された分配器底部を有する装置の横断面図である。
【0061】
図1は、3次元切子面状(dreidimensional facettenfoermig)に構造化(パターン形成)された材料ウエブ1を製造するための装置の概略図である。材料ウエブ1の錐体尖端4にそれぞれ1つの孔3が配置されている。平らな材料ウエブ1特に金属薄板材料ウエブの所定の箇所(つまり次に錐体尖端4が形成される箇所)に、まず孔開け装置2(例えばマンドレルと孔開けパンチとからなっている)によって孔3が開けられる。次いで、弾性的な加圧ロール5によって、6角形の支持エレメント7が配置されている支持エレメントロール6に材料ウエブ1が押し付けられ、それによって、窪み8と、材料ウエブ1の走行方向に対して直交する横方向の延びる折り目9と、材料ウエブ1の走行方向に延びる折り目10とから成る6角形のアーチ構造が形成される。図面では、材料ウエブ1の走行方向に延びる、6角形の折り目10は、側縁部としてのみ見えている。
【0062】
複数の孔3は、窪み11の最も深い位置にある。次いで6角形に構成された材料ウエブは、弾性的な加圧ロール12によって支持エレメントロール13に押し付けられる。この支持エレメントロール13においてそれぞれ3つの支持エレメント14が1つの中立点(図2に詳しく示されている)に集合している。図1には、それぞれ全部で3つの支持エレメントのそれぞれ1つの支持エレメント14だけが見えている。このような形式で、錐体尖端に複数の孔3が設けられた3次元切子面状の構造が得られる。図1には、それぞれの切子面状の構造のうちの2つの部分面15だけが見えている。
【0063】
選択的に、アーチ構造からではなく、3次元波形構造から3次元切子面構造を形成することもできる(図1には詳しく示されていない)。この場合、3次元波形構造は、同様の形式で、弾性的な加圧ロール5と構造化しようとする材料ウエブ1との間に追加的に弾性的な中間層(図1には詳しく示されていない)が導入され、それによって6角形に配置された隆起部22(折り目9及び10の代わりに)及び球面21(窪み8の代わりに)が形成されることによって、3次元波形構造が得られる。付加的な弾性的な中間層が導入されることによって、隆起部22は、小さい曲率半径を有する折り目9及び10よりも緩やかな丸味部(大きい曲率半径に応じて)を有している。この場合、窪み8の代わりに球面21が形成される。この球面21は、窪み8よりも球区分に相当する。
【0064】
図2の概略図により、6角形のアーチ構造からどのようにして3次元切子状に構造化された材料ウエブが形成されるかについて説明されている。図2の上図には、アーチ構造の窪み8及び折り目9及び10が示されており、この場合、窪み8はその凹状側がそれぞれ、1つの中立点に集合する3つの支持エレメント14によって支持される。
【0065】
図2の上のA−A線に沿った断面図には、圧力負荷部(P=0)の前に配置された支持エレメント14(窪み8の下)が示されている。図2の下のA−A線に沿った断面図には、圧力負荷部(P>0)の後に配置された支持エレメント(窪み8の下)が示されており、この場合、支持エレメント15と、3次元切子状に構造化された材料ウエブの形成された面15とは、互いに接触している。この場合、垂直矢印は、弾性的な加圧ロール12(図1)に基づく圧力方向を示す。これによって、切子面状の構造の折り目17及び18が形成される。図2の下には、平らな又は緩やかに湾曲された切子面15及び16を有する、3次元切子状の構造化が完成された材料ウエブが示されている。切子面16は、1つの共通の平面上に位置しており、これに対して切子面15は、2つの異なる平面上に位置している。
【0066】
図2によれば、3つの集合した支持エレメント14によって生ぜしめられる中立点が、3次元切子構造の錐体尖端4を形成している。この中立点は、6角形構造の中央に配置されている。しかしながら中立点は、3角形、4角形、長方形、正方形、菱形、平行四辺形、5角形、6角形、8角形又はワッペン形の構造の中央又は外側に位置していて、該構造内に支持エレメント14が相応に配置されていてもよい。ワッペン形構造とは、真っ直ぐな支持エレメント7若しくは14の代わりに、弓形の支持エレメントを使用し、それによって弓形の折り目が形成される、という意味である。これによって、切子面の幾何学形状は相応に変化する。3次元切子面状の構造は、折り目と窪みとから成る6角形のアーチ構造の代わりに、隆起部又は球面より成る3次元波形構造を使用することによって、形成することができる。これによって、緩やかに形成された輪郭形状を有する3次元切子面構造が得られる。これは図2に明示されている。
【0067】
図3には、3次元切子面状に構造化された、複数の孔3を備えた材料ウエブの平面図が概略的に示されている。A−A線に沿った断面図には、互いに空間的に傾斜した切子面15が示されている。B−B線に沿った断面図は、錐体尖端4に配置された孔3を備えた切子面構造の折り目17の製造方向(大きい矢印)で示している。B−B線に沿った断面図の小さい矢印は、錐体尖端に向かう流れ方向を概略的に示す。各切子面構造には常に、錐体尖端に形成された孔へ向かって下降する流れの傾斜が存在する。
【0068】
図4で上の図面には、例えば洗濯機用の、3次元切子面状に構造化されたドラム19の軸方向に対して直交する方向の横断面が示されている。複数の孔3は、錐体尖端4に配置されており、該錐体尖端は、ドラム周壁の外側の曲率半径に配置されている。これによって、回転するドラム内の流体は、孔の箇所で、所定のドラム回転数における最大遠心加速度を得るだけではなく、同時にドラム内周壁のそれぞれの箇所において常に半径方向で外方に向けられた流れ成分を得る。これによって、固体からの流体の分離効果が改善される。下の図面には、3次元切子面状に構造化されたドラム周壁の、展開した平面図が示されている。
【0069】
図5では、上の図面に例えば洗濯機用の、3次元波形構造のドラム20の軸方向に対して直交する方向の横断面が概略的に示されている。複数の孔3は、ドラム周壁の外側曲率半径にある球面21の最も深い位置に位置している。3次元波形構造のドラムの隆起部22は、凹凸構造若しくは隆起部構造とは異なり、緩やかな丸味部を有していて、従ってドラム20の形状に緩やかに曲げられており、この場合、球面21は外方に向いていて、隆起部22は内方に向いている。これによって流体は、回転するドラム20内で孔3の位置において、所定のドラム回転数における最大遠心加速度だけではなく、同時にドラム内壁のどの位置でも常に半径方向で外方に向けられた流れ成分を得るようになっている。
【0070】
図6には、上の図面に、3次元切子面状に構造化された材料ウエブの壁部区分の平面図が示されており、この壁部区分内において、孔3は錐体尖端4に配置されているだけではなく、切子面15及び16にも孔3が配置されている。下の図面に、概略的に、アーチ状に構造化された材料ウエブの壁部区分の平面図が示されており、この場合、窪み11の最も深い位置に配置された孔3に対して付加的に、窪みのその他の複数の箇所にも複数の孔3が配置されている。これらの複数の孔3の配置は、1例として示されているだけである。切子面及び窪みのその他の箇所に別の複数の孔3を設けてもよい。3次元切子面状の構造の折り目17及び18の代わりに、隆起部22を用いるか、又は同様の形式で隆起部構造の窪み8及び折り目9及び10の代わりに、隆起部22及び球面21を使用しても、孔3の同様に配置が得られる。このような配置は図6に明示されている。
【0071】
図7には3つの図面で、アーチ状に構造化された円筒形のフィルタ手段23の横断面が示されている。図面中、矢印は、流体の流れ方向を示し、有効圧力の方向も示している。上の図面には、フィルタ手段23の通常の運転状態が示されており、この場合、濾過しようとする流動媒体は、外方から内方へ、例えば網目(メッシュ)状のステンレス鋼より成るフィルタ手段23を貫流し、それによってフィルタ手段23はその外側が圧力で負荷される。アーチ状に構造化された円筒形のフィルタ手段23は、特に頑丈である。何故ならば、負荷方向は、凹凸構造化プロセス若しくはアーチ状構造化プロセスが初期設定され、かつ実施される圧力負荷と同じだからである。凹凸構造化プロセス若しくはアーチ状構造化プロセスの支持エレメントはもはや存在する必要がないにも拘わらず、既に存在する折り目9及び10は、外側の圧力負荷に対してほぼ自己補強作用を有している。下の2つの図面は、流れの逆転によって(矢印参照)、圧力負荷が内部から行われ、その結果、フィルタ手段23の外側に堆積した固体又はフィルタケーキ(図7には明確に示されていない)が取り除かれる。下の左側の図面では、内側の圧力負荷はまだ低いので、凹凸構造若しくはアーチ構造の窪み8は、ややフラットにされるだけである。下の右側の図面では、内側の圧力負荷は、凹凸構造若しくはアーチ構造の窪み8が内方から外方に向かって衝撃を受ける程度に大きいので、その結果、外側に堆積した固体又はフィルタケーキの落下が促進される。通常の運転状態を回復させるために、上の図面と同様に、流れを新たに逆転させる際に、フィルタ手段23は、その完全な又は少なくともほぼ完全な最初の形状をほぼ再び占める。選択的に、図7には、凹凸構造若しくはアーチ構造の代わりに、3次元波形構造を使用してもよい。このような、緩やかな丸味をつけられた隆起部22を備えた3次元波形構造(図7には明確に示されていない)は、特に、右下の図面に示した配置に従って球面21にダイナミックな衝撃が加えられる場合に、有利であり、この場合フィルタ手段の材料は、小さい負荷を受けるだけである。このような形式で、構造化されたフィルタ手段の疲れ強さ(SN曲線)が著しく改善される。図7に同様に詳しく示されていない別の実施例によれば、凹凸構造若しくはアーチ状構造又は3次元波形構造を有する、フィルタ手段23の材料ウエブを生ぜしめるために使用される支持エレメント7を、フィルタ支持体としてフィルタ手段23内に残しておくことができる。このような形式で、高い流れ速度によって及び/又は厚いフィルタケーキに基づいて、外側の圧力負荷が著しく高められる。このような形式で、2つの洗浄過程の間の時間間隔が延長され、かつ/またはフィルタ手段壁部の厚さが減少される。従って、強度の低い繊維又は無機繊維織物等の材料より成る網目状材料又は織物を使用することができる。同様に図7に詳しく示されていない別の実施例によれば、凹凸構造若しくは波形構造又は3次元波形構造又は3次元切子面構造を有する濾過壁及びフィルタ支持体が設けられている。
【0072】
図8の2つの図面には、凹凸構造若しくはアーチ構造を有する円筒形のフィルタ手段23の横断面が示されている。これら2つの図面中の水平な矢印は、例えば通常のフィルタ運転中における流体の均一な流れ方向が示されており、この場合、有効圧力の方向は変化しない。上の図面にはフィルタ手段の通常の運転状が示されており、この場合、濾過された粒状媒体は、外部から内部に向かって、有利にはステンレス鋼製の弾性的な網目状材料より成るフィルタ手段23を貫流し、この場合、フィルタ手段23の外側に、フィルタケーキの形の固形粒子が堆積する。これは図8には詳しく示されていない。
【0073】
凹凸構造若しくはアーチ構造のフィルタ手段23は、軸方向で変形するが、この場合、折れ曲がることはない。何故ならば、このフィルタ手段23は、ずらされた多次元の凹凸構造若しくはアーチ構造に基づいて、補償作用を有しているからである。軸方向の負荷(F>0)を加えることによって、凹凸構造若しくはアーチ構造のフィルタ手段23は、その両端部が長さの差ΔLだけ短縮され、軸方向の負荷が作用しなくなると再び完全に又は少なくともほぼ完全に戻り変形する。それとは異なり、構造化されていないフィルタ手段は軸方向に変形させることによって簡単に不安定になり、折り曲げられる。このような軸方向の不安定性は、特に網目状材料又は織物より成る凹凸構造若しくはアーチ構造の円筒形のフィルタ手段23においては発生しない。何故ならば、凹凸構造若しくはアーチ構造の材料ウエブはその構造に基づいて、その壁部方向で補償特性を有していて、さらにまた網目状材料及び織物においては、繊維が互いに交差し合う性質に基づいて、前記補償特性がさらに高められる。この場合、円筒形又は円錐形又はその他の有利には回転対称的に湾曲された、凹凸構造若しくはアーチ構造のフィルタ手段の高い強度が不都合な影響を受けることはない。
【0074】
凹凸構造若しくはアーチ構造のフィルタ手段23の軸方向の変形は、断続的な負荷又は振動負荷(F>0)を加えることによって実現されるが、これは、この場合に本来のフィルタ運転を中断することなく、行うことができる。選択的に、凹凸構造若しくはアーチ状のフィルタ手段23の代わりに、3次元波形構造のフィルタ手段を、特に使用された材料の高い疲れ強さが必要な時に、使用することができる。図8に詳しく示されていない別の実施例によれば、折り目又は隆起部を備えることができる3次元切子面構造のフィルタ手段を使用してもよい。何故ならば、このようなフィルタ手段は同様に補償特性を有しているからである。
【0075】
さらにまた、3次元切子面構造の壁部が流れによって過剰な負荷を受けた場合、壁部近傍の流れが、強い往復変位運動を行う。これによって、洗浄効果が高められる。同様に図8に詳しく示されていない別の実施例によれば、濾過壁及びフィルタ支持部が、凹凸構造若しくはアーチ構造又は3次元波形又は3次元切子面構造を有している。
【0076】
図9には、上の図面が、3次元切子面構造の分配器底部24の区分の平面図を示し、下の図面が、流動媒体流を均一に分配するための、3次元切子面構造の分配器底部24を備えたエレメント25の横断面が示されている。下の図面の垂直な矢印は、分配された流動媒体流(詳しく図示していない)の流れ方向を示す。詳しく図示していない別の実施例によれば、図9に示したエレメントは変更されている。まず、下の図面に示した複数の孔が閉鎖され、流動媒体の表面が切子面状に構造化された材料ウエブの折り目若しくは隆起部の表面と丁度一致するまで、構造化された底部に上方から流動媒体で満たされる。これは有利な形式で、構造化された分配器底部24の複数の孔が開放される前に、過剰な流動媒体がスクレーパによって取り除かれることによって、行われる。
【0077】
以上の説明、請求項及び図面に開示した本願発明の特徴は、それぞれ単独でも、また任意の組み合わせでも、本発明の種々異なる実施例を実現するために重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元構造を有する、構造化された材料ウエブ殊に金属薄板材料ウエブにおいて、前記多次元構造が、隆起部又は折り目、並びに互いに相並んで配置され、かつそれぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された面区分内に形成された複数の構造部を有しており、これらの構造部がそれぞれ、孔を備えた特徴付けられた箇所を有していて、前記面区分がそれぞれ、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所でそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かって傾斜する傾斜部を有して構成されていることを特徴とする、構造化された材料ウエブ。
【請求項2】
前記面区分がそれぞれ、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは異なる箇所から、前記特徴付けられた箇所へ向かって常に下降する、流動媒体のための傾斜部を有して構成されている、請求項1記載の材料ウエブ。
【請求項3】
前記孔が前記構造部のそれぞれ最も深い位置に配置されている、請求項1又は2記載の材料ウエブ。
【請求項4】
前記多次元構造が、アーチ構造として構成されていて、該アーチ構造において前記折り目によって窪みが包囲されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項5】
前記多次元構造が、3次元波形構造として構成されており、該3次元波形構造において前記隆起部によって球面が包囲されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項6】
前記多次元構造が3次元切子面構造として構成されており、該3次元切子面構造は、それぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された構造部内に平らな又はやや湾曲された部分面を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項7】
前記構造部が錐体状に配置された複数の部分を備えて構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項8】
前記孔に向いた錐体尖端を有している、請求項7記載の材料ウエブ。
【請求項9】
前記窪み又は球面の領域内に別の複数の孔が形成されている、請求項4から6までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項10】
金属薄板、紙、厚紙、プラスチック、繊維複合体及び複合材料の材料グループから選択された材料より形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項11】
網目状材料、織物又は繊維より形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項12】
金属繊維、合成繊維、天然繊維、炭素繊維及びガラス繊維の材料グループから選択された材料より形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項13】
前記多次元構造が、流動媒体が溢流する際に、洗浄効果を生ぜしめるように形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項14】
圧力負荷又は振動励起が、垂直方向で又は材料ウエブに対して傾斜した方向で加えられると、堆積した固形粒子又はフィルタケーキが材料ウエブから少なくとも部分的に分離されるようになっている、請求項1から13までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項15】
材料ウエブをその薄膜方向で変形させることによって、堆積した固形粒子又はフィルタケーキを材料ウエブから少なくとも部分的に分離させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項16】
前記折り目又は隆起部が、3角形、4角形、長方形、正方形、菱形、平行四辺形、5角形、6角形(六辺形)及び8角形の幾何学的な基本形状のグループから選択された幾何学形状に従った面を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項17】
表面に付着防止コーティングが施されているか、又は特にロータス効果による付着防止表面を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項18】
3次元切子面構造を有する材料ウエブの錐体尖端が増大されている、請求項8又は請求項10から17までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項19】
有利には6角形として構成された3次元切子面構造の錐体尖端が、3次元切子面構造の中心に又は外側に配置されている、請求項18記載の材料ウエブ。
【請求項20】
前記多次元構造が、自己組織化によって、自己組織化された構造部として構成されている、請求項1から19までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項21】
前記多次元構造が、例えば機械的な成形工具、弾性的又は流動性の作用媒体又は成形工具及び母型を使用して、機械的に型打ち成形又は圧延によって形成されている、請求項1から19までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブの使用法において、該材料ウエブを洗濯機ドラムの壁部として使用することを特徴とする、構造化された材料ウエブの使用法。
【請求項23】
請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブの使用法において、該材料ウエブを例えば紙製造及び厚紙製造のための平らな又は湾曲された濾過壁として、又はフィルタ支持体として使用することを特徴とする、構造化された材料ウエブの使用法。
【請求項24】
請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブの使用法において、該材料ウエブを平らな又は湾曲されたフィルタ手段として使用することを特徴とする、構造化された材料ウエブの使用法。
【請求項25】
請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブの使用法において、該材料ウエブを、殊にガラス繊維製造のための分配部材のために使用することを特徴とする、構造化された材料ウエブの使用法。
【請求項26】
請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブの使用法において、該材料ウエブを、殊に流動媒体用の調量装置のために使用することを特徴とする、構造化された材料ウエブの使用法。
【請求項27】
帯状材料より成る構造化された材料ウエブ、特に請求項1から21までのいずれか1項記載の構造化された材料ウエブを製造するための方法において、
隆起部又は折り目並びに互いに相並んで配置され、かつそれぞれ前記隆起部又は折り目によって包囲された面区分内に形成された複数の構造部を備えた多次元構造を有する帯状材料を製造し、前記構造部の特徴付けられた箇所にそれぞれ1つの孔を設け、前記面区分の、前記構造部の前記特徴付けられた箇所とは別の箇所にそれぞれ、前記特徴付けられた箇所に向かう傾斜部を設け、前記特徴付けられた箇所において、流体の流れ方向が、平均的な材料ウエブ平面に対して常に傾斜してか又は垂直に延在するようにすることを特徴とする、構造化された材料ウエブを製造するための方法。
【請求項28】
a)前記材料ウエブの複数の所定の箇所に孔を設け、
b)前記材料ウエブに、第1の支持エレメントロール及び第1の弾性的な加圧ロールを押し付けることによって凹凸構造若しくはアーチ構造を設け、前記複数の孔を、前記凹凸構造若しくはアーチ構造の最も深い位置に配置し、
c)有利な形式で前記第1の支持エレメントロールとは別の支持エレメントロールに配置された、星形に集合する3つの支持エレメントを、前記凹凸構造若しくはアーチ構造の材料ウエブの窪みに押し付け、星形に集合する3つの支持エレメントの集合点によって形成された中立点の箇所と、前記窪みに存在する孔の位置とを合致させ、前記材料ウエブの、前記凹凸構造若しくはアーチ構造が設けられる側とは反対側を、別の弾性的な加圧ロール又は流動媒体によって圧力で負荷し、これによって、平らな又は僅かに湾曲された複数の切子面より成る錐体状の形状を形成する、
ステップで行う、請求項27記載の方法。
【請求項29】
i) 材料ウエブに、複数の孔を備えた複数の所定箇所を設け、
ii) 前記材料ウエブに、第1の支持エレメントロール及び第1の弾性的な加圧ロールを押し付け、この際に、構造化された材料ウエブと支持エレメントロールとの間に弾性的な中間層を追加的に導入し、この際に、互いに並んで配置された複数の球面とこれらの球面を包囲する複数の隆起部とから3次元波形構造を形成し、前記複数の孔を前記球面の最も深い位置に配置し、
iii) 有利な形式で前記第1の支持エレメントロールとは別の支持エレメントロールに配置された、星形に集合する3つの支持エレメントを、前記球面に押し付け、星形に集合する3つの支持エレメントの集合点によって形成された中立点の箇所と、前記球面に存在する孔の位置とを合致させ、前記材料ウエブの、前記球面及びこれらの球面を包囲する隆起部が設けられる側とは反対側を、別の弾性的な加圧ロール又は流動媒体によって圧力で負荷し、これによって、平らな又は僅かに湾曲された複数の切子面より成る錐体状の形状を形成する、
段階で行う、請求項27又は28記載の方法。
【請求項30】
殊に1つのロール上に星形に配置された前記支持エレメントと前記材料ウエブとを、前記弾性的な加圧ロールに押し付け、湾曲部殊にドラム形状を形成し、前記湾曲部の曲率半径殊に少なくともほぼ前記ドラムの直径を、前記支持エレメント若しくは材料ウエブが前記弾性的な加圧ロールに作用する圧力作用によって形成する、請求項28又は29記載の方法。
【請求項31】
凹状、球面状又は切子面状にそれぞれ複数の孔を設ける、請求項27から30までのいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
3次元切子面構造又は3次元波形構造又はアーチ構造の材料ウエブを、殊にドラム状の形状に湾曲させ、この際に、錐体尖端若しくは球面又は窪みの最も深い位置に、ドラム状の形状の外側曲率半径又は内側曲率半径部に相応の複数の孔を配置する、請求項27から31までのいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
凹凸構造若しくはアーチ構造又は3次元切子面構造の折り目、或いは3次元波形構造又は3次元切子面構造の隆起部が、圧延等によって湾曲された形状に成形する際に、折れ曲がらないようにする、請求項27から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
材料ウエブを、網目状材料又は織物若しくは繊維より製造する、請求項27までのいずれか1項記載の33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
材料ウエブを、金属、合成繊維、天然繊維、炭素繊維及びガラス繊維の材料グループから選択された材料より形成する、請求項27から34までのいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
孔付けプロセスの前又は後に、或いは多次元構造化の前又は後に、材料ウエブの表面に、付着防止コーティングを施すか、又は殊にロータス効果による付着防止表面を設ける、請求項27から35までのいずれか1項記載の材料ウエブ。
【請求項37】
高さが増大された錐体尖端を形成する中立点に、3次元切子面構造のための複数の支持エレメントを集合させる、請求項27から36までのいずれか1項記載の材料ウエブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−513070(P2010−513070A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541762(P2009−541762)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/DE2007/002311
【国際公開番号】WO2008/077394
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509175894)ドクトル ミルチュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Mirtsch GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreuzritterstrasse 31, D−13465 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】