説明

多流路型マイクロリアクタ・デザイン

マイクロ流体デバイスは、壁により画成され、流路(52)を構成するように、またこれと並行して多流路基本デザインパターン(57)を構成するように流体連通して直列に配列された、混合および/または滞留時間を提供することのできる基本デザインパターン(34)の群を備えた少なくとも1つの並列多流路構造(50)を含む少なくとも1つの反応体通路(26)を備えており、並列多流路構造(50)は、2つの隣接する並列流路(52)の基本デザインパターン(34)の間に少なくとも1つの連通区域(54)を備えており、この連通区域(54)は、連通区域(54)が間に配置された基本デザインパターン(34)により画成された平面と同じ平面にあり、同じ流動方向を有する隣接する並列流路(52)の間の質量流量差を最小にするために、流体を通過させることができる。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、「多流路マイクロリアクタ・デザイン」と題する、2008年10月22日に出願された欧州特許出願第08305711.7号および2008年9月29日に出願された欧州特許出願第08305610.1号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、多流路型マイクロリアクタ・デザインに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ流体デバイスは、当たり前であるが、数マイクロメートルから数ミリメートルに及ぶ規模の流体デバイス、すなわち、最小寸法が数マイクロメートルから数ミリメートルの範囲にある、好ましくはマイクロメートルの十分のいくつかから約2マイクロメートルの範囲にある流体通路を有するデバイスを備えている。一部には、その特徴的な小さい総プロセス流体容積および特徴的な高い表面積対容積比のために、マイクロ流体デバイス、特にマイクロリアクタは、難しい、危険な、もしくはさらにはそうでなければ不可能な化学反応およびプロセスを、安全で、効率的かつ環境に優しい様式で実施するのに有用であり得る。そのような改善された化学処理は、しばしば「プロセス強化(process intensification)」と記載される。
【0004】
プロセス強化は、従来の化学処理を、より小さく、より安全かつよりエネルギー効率がよく、環境に優しいプロセスに転換させる潜在能力を有する、化学工学におけるパラダイムである。プロセス強化の主な目的は、リアクタのサイズを著しく減少させると同時に、物質移動効率と熱伝達効率を最大にする構成を使用した高効率の反応・処理システムを製造することにある。研究者がよりよい転化および/または選択性を得ることを可能にする方法を使用することによって、研究室から量産までの開発時間を短縮することも、プロセス強化研究の優先事項の内の1つである。プロセス強化は、生産量が年産数メートルトンより少ないことが多く、強化プロセスにおける研究室の結果が並行して比較的に容易に規模拡大される、精密化学および製薬の業界にとって特に好都合であろう。
【0005】
プロセス強化は、今日一般に使用されているものと比べて、製造および処理において非常に重要な改善をもたらし、設備のサイズを実質的に減少させる新たな装置の技法の開発から、実質的により小さく、より清浄であり、よりエネルギー効率の高い技術へとつながる技術開発までを含む。
【0006】
ここに開示された方法およびデバイスは、一版に、微細構造内での、混合、分離、抽出、結晶化、沈殿、または他の様式での流体(固体も含有する流体の多相混合物を含む流体または流体の混合物を含む)の多相混合物を含む。流体または流体の混合物の処理を含む任意のプロセスを行う上で一般に有用である。処理としては、物理プロセス、有機種、無機種、または有機種と無機種の両方の相互転化をもたらすプロセスと定義される化学反応、生化学プロセス、または任意の他の形態の処理が挙げられる。以下の非限定的な反応のリストが、開示された方法および/またはデバイスにより行われるであろう:酸化;還元;置換;脱離;付加;配位子交換;金属交換;およびイオン交換。より詳しくは、以下の非限定的なリストの内のいずれの反応も、開示された方法および/またはデバイスにより行われるであろう:重合;アルキル化;脱アルキル化;ニトロ化;過酸化;スルホ酸化;エポキシ化;アンモ酸化;水素化;脱水素化;有機金属反応;貴金属化学/均一系触媒反応;カルボニル化;チオカルボニル化;アルコキシル化;ハロゲン化;脱水素ハロゲン化;脱ハロゲン化;ヒドロホルミル化;カルボキシル化;脱カルボキシル化;アミノ化;アリール化;ペプチドカップリング;アルドール縮合;環化縮合;脱水素環化;エステル化;アミド化;複素環化合成;脱水;アルコール分解;加水分解;アンモニア分解;エーテル化;酵素的合成;ケタール化;鹸化;異性化;四級化(quaternization);ホルミル化;相間移動反応;シリル化;ニトリル合成;リン酸化;オゾン分解;アジド化学;メタセシス;ヒドロシリル化;カップリング反応;および酵素反応。
【0007】
本発明の発明者等および/またはその同僚は、以前、プロセス強化に有用な様々なマイクロ流体デバイスおよびそのようなデバイスの製造方法を開発した。これらの以前に開発されたデバイスには、従来技術の図1に示された一般形態の装置がある。図1は、一定の縮尺で示されていないが、ある種のマイクロ流体デバイスの一般的な層状構造を示す斜視図である。図示されたタイプのマイクロ流体デバイス10は、一般に、その中に、図に詳しく示されていない1つ以上の熱調節通路が配置されたまたは構築された少なくとも2つの容積12および14を含む。容積12は水平壁16と18により垂直方向に制限されているのに対し、容積14は水平壁20と22により垂直方向に制限されている。この文書に用いられる「水平」および「垂直」という用語は、一般の相対的な方向を示す単なる相対的な用語であり、必ずしも、直角精度を示すものではなく、図面に使用される方向を称するために便宜上使用されており、その方向は、慣習として使用され、図示されたデバイスの特徴を意図するものではない。ここに記載される本発明とその実施の形態は、任意の所望の方向に使用してよく、水平壁および垂直壁は、一般に、交差する壁であることしか必要なく、直角である必要はない。
【0008】
部分的な詳細が従来技術の図2に示されている反応体通路26が、2つの中央水平壁18と20の間の容積24内に配置されている。図2は、垂直壁構造28の横断面図を示しており、その内のいくつかが、容積24内の所定の断面レベルで反応体通路26を画成する。図2の反応体通路26は、その中に収容された流体を容易に視認できるように陰影がつけられており、蛇行の形態で、一定幅で二次元に曲がりくねった繰り返しの通路を形成し、容積24を画成する板の表面の最大面積を覆っている。図2に示された断面の平面から垂直に移動する、容積12および/または14内の異なる平面で、マイクロ流体デバイス10の他の部分と、図1の断面に示された曲がりくねった反応体通路26の入口30および出口32との間の流体接続が行われる。
【0009】
反応体通路26は、略平面の壁に直角な方向に一定の高さを有する。
【0010】
図1および2に示されたデバイスは、比較的調節された熱環境にある間に反応を完了できる容積を提供するように働く。
【0011】
図3に、反応体、特に、不混和性流体および気液混合物などの多相系を混合し、この分散体または混合物を幅広い流量に亘り維持する特別な目的のための、別の従来技術のデバイスが示されている。従来技術のこのデバイスにおいて、反応体通路26は一連のチャンバ34を含む。
【0012】
そのようなチャンバ34の各々は、反応体通路の少なくとも2つの副通路36への分割、および分割された副通路36の結合38、並びに副通路36の少なくとも1つにおける、直ぐ上流の通路方向に対して少なくとも90度の通路方向の変化を含む。図示された実施の形態において、両方の副通路36が、反応体通路26の直ぐ上流の通路方向に対して90度を超えて方向を変化させているのが図3から分かるであろう。
【0013】
また図3の実施の形態において、多数の連続したチャンバ34の各々は、そのチャンバの直ぐ後に続くものを有するチャンバについて、後に続くチャンバの対応する狭い入口42を形成する徐々に狭くなる出口40をさらに備えている。チャンバ34は、直ぐ上流の流動方向に対して交差するように向けられ、チャンバの入口42の直ぐ下流に配置された、分割し方向を変える壁44も備えている。この分割し方向を変える壁44の上流側には凹面46がある。あるチャンバから次のチャンバに狭くなる出口40は、約1mm幅であることが望ましい。通路は約800μmの高さを有することが望ましいであろう。
【0014】
このタイプのデバイスには、多くの場合で所定の反応について最新技術を超えさえする、良好な性能が得られてきたが、それでも、流体力学性能を改善することが望まれるようになってきた。特に、スループットを増加させながら、デバイスにより生じる圧力降下を減少させると同時に、調節されたバランスのとれた滞留時間を得ることが望ましい。
【0015】
特許文献1において、流体流に実質的に均しい滞留時間分布を提供できる微小規模の反応装置を提供する目的で、内部で並発する化学反応を行うために、「積層板のマイクロリアクタにおいて向上した流体流」の並列通路(図37参照)が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7241423号明細書(米国特許出願公開第2002/106311号明細書に対応)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、この文献では、流体流の調節された均一な分布に関する問題の全てが解決されているわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
マイクロ流体デバイスは、壁により画成され、少なくとも1つの並列の多数の流路構造を含む少なくとも1つの反応体通路(26)を備えており、この並列の多数の流路構造は、流路を構成すると同時に、並列の流路において多数の流路基本デザインパターンを構成するように、流体連通して連続して配置された流路の基本デザインパターンの群を含み、この基本デザインパターンは、混合および/または滞留時間を提供することができ、並列の多数の流路構造は、2つの隣接する並列流路の基本デザインパターンの間に少なくとも2つの連通区域を備え、連通区域は、その連通区域が間に配置された基本デザインパターンにより画成されたのと同じ平面にあり、同じ流動方向を有する隣接する並列な流路の間の質量流量差を最小にするために流体の通過(流体相互接続)を可能にする。
【0019】
ある場合には、並列の多数の流路構造の隣接する並列の流路の間の質量流量(および流体圧力)を等しくすることができる。
【0020】
さらに、この解決策により、連通区域のおかげで、各並列な多数の流路構造のいくつかの並列なマイクロ通路または流路内の滞留時間が均一になる。
【0021】
したがって、一定の滞留時間および水圧特性を得るために、各流路が同じ長さ、幅および高さのものであるという条件で、本発明による並列な多数の流路構造により、マイクロリアクタの化学生産スループットが増加する。
【0022】
本発明の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者には容易に明白となる、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、ここに記載された本発明を実施することによって、認識されるであろう。
【0023】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、本発明の実施の形態を提示し、特許請求の範囲に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概要または構成を提供することが意図されている。添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。その図面は、本発明の様々な実施の形態を示しており、説明と共に、本発明の原理および動作を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ある従来技術のマイクロ流体デバイスの一般の層状構造を示す斜視図
【図2】図1の容積24内の垂直壁構造の横断面図
【図3】別の従来技術のマイクロ流体デバイスによる図1の容積24内の垂直壁構造の横断面図
【図4】本発明の第1の実施の形態による並列な多数の流路構造を画成する第1のタイプの基本デザインパターンを有する垂直壁構造の横断面図
【図5】本発明の第1の実施の形態の変種による並列な多数の流路構造を画成する垂直壁構造の横断面図
【図6】図5の詳細VIの部分拡大図
【図7】並列な多数の流路構造内の連通区域の位置のいくつかの選択肢による第1のタイプの基本デザインパターンを有する垂直壁構造の部分横断面図
【図8】並列な多数の流路構造内の連通区域の位置のある選択肢による第1のタイプの基本デザインパターンを有する垂直壁構造の部分横断面図
【図9】並列な多数の流路構造内の連通区域の位置のある選択肢による第1のタイプの基本デザインパターンを有する垂直壁構造の部分横断面図
【図10】第1のタイプの代わりの基本デザインパターンを画成する多数の垂直壁構造の部分横断面図
【図11】第2のタイプの基本デザインパターンの横断面図
【図12】本発明のさらに別の代わりの実施の形態による並列な多数の流路構造の部分を画成するための、図11の第2のタイプの基本デザインパターンを使用した代わりの垂直壁構造の横断面図
【図13】本発明の第2の実施の形態による並列な多数の流路構造を画成する第2のタイプの基本デザインパターンを有する垂直壁構造の横断面図
【図14】第3のタイプの基本デザインパターンを有する代わりの垂直壁構造の横断面図
【図15】第3のタイプの基本デザインパターンを有する別の代わりの垂直壁構造の横断面図
【図16】並列な多数の流路構造の各々の上流に配置されるべき考えられるマニホールド構造の説明図
【図17】図4に対する代わりの構造を画成する垂直壁構造の横断面図
【図18】図13に対する代わりの構造を画成する垂直壁構造の横断面図
【図19】図4および5に示された並列な多数の流路構造を組み合わせた垂直壁構造の横断面図
【図20】本発明の2つの実施の形態を従来技術のデバイスと比較した、ミリリットル毎分で表された流量の関数としての、ミリバールで表されたマイクロ流体デバイスを横切る圧力降下のグラフ
【図21】本発明の2つの実施の形態を従来技術のデバイスと比較した、同じ圧力降下に関する流量とデザインとの間の相関性を示すグラフ(1バールの圧力降下について行ったシミュレーション)
【図22】本発明の実施の形態を従来技術のデバイスと比較した、秒で表された平均デカンテーション時間を示すグラフ(110g/分の溶媒流量、および10g/分のジオール流量を使用した、T=35℃での、120g/分の総量)
【図23】図8の垂直壁構造の構造体に関する断面を通るミリリットル毎分で表された質量流量を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、その実施例が添付の図面に示されている、本発明の現在好ましい実施の形態を詳しく参照する。できる限り、同じまたは同様の部品を参照するために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。
【0026】
制限なく、本発明のマイクロ流体デバイスにおいて、並列の多数の流路構造により構成された反応体通路およびその部分は、一般に、水平面に延在し、垂直壁により画成される。「幅」は、流動方向に対して直角であり、並列の多数の流路構造の水平面に平行な方向を称する。「高さ」は、流動方向に対して直角であり、並列の多数の流路構造の水平面に対して直角な方向を称する。「長さ」は、流動方向に対して平行であり、並列の多数の流路構造の水平面に対して平行な方向を称する。
【0027】
図4には、連続して配置された6つの並列の多数の流路構造50を有する、第1の実施の形態による反応体通路26を有するマイクロ流体デバイスが見える。各並列の多数の流路構造50は、隣接する様式で連続して配置された一連の9つのチャンバ34により形成された2つの並列な流路52を有する。各チャンバ34は、良好な混合特性を提供し、液液不混和性または気液分散体を維持できる、図3のものと同様の、第1のタイプの基本デザインパターンを形成する。
【0028】
2つの並列な流路52は互いに隣接している。また、2つの並列な流路52の隣接するチャンバ34は、一対のチャンバ34(より一般には、それらの間に連通区域54を有する多数の流路の基本デザインパターン57)を形成する。この連通区域54は、流体の流れが2つの並列な流路52内を並列に通過するときに、これらの連通区域54の位置で2つの並列な流路52の間で流体が通過する可能性があるように一対のチャンバ34の間の直接的な流体接続によって形成される。したがって、並列な流路52の隣接するチャンバ34の間に、アパーチャ/開口(連通区域54)を有する接点(壁の共通部分)がある。
【0029】
並列な流路の間のこの特別な潜在的な流体の通過または流動相互接続により、中でも、反応体通路26のデザイン(特にマニホールド・デザイン)および/または製造プロセスの許容差および/または流路の詰まりのためであり得る、任意の潜在的な流れの不釣り合いを補正することができる。
【0030】
したがって、流体の流量は、並列の多数の流路構造50の全ての流路52間で釣り合わせることができる。
【0031】
さらに、反応体通路26またはチャンバ34のものと同じ容積24内に連通区域54を有することにより、すなわち、並列な流路52のものと同じ平面に連通区域54を有することにより、いくつかの有意義な利点がもたらされる:そのような構造は、製造(同じ板)が単純であり、容積24の両側に配置された容積12および14の熱調節通路により熱伝達を最適化し、均一な滞留時間分布と安全性にとって有害である追加の圧力降下およびデッドゾーンが避けられる。
【0032】
したがって、本発明によれば、各並列の多数の流路構造50の上流に配置されたマニホールド56のデザインおよびチャンバ34と並列な流路52の厳密な類似性はそれほど重要ではない。
【0033】
2つの通路または流路52は、それらの間に開口(連通区域54)を有する縁で規則的に接触し、その開口は、並列な流路52の間で異なる圧力降下がある場合(例えば、製造許容差または詰まり)、流れの分配を変えるように調節され、その接点で流動パターンを著しく変えないように十分に小さいように調節される。
【0034】
連続チャンバ34は、図4に示されたマイクロ流体デバイスの実施の形態の反応体通路26の大部分を構成する。チャンバ34は、壁18および20に略直角な方向に、図1に示すように一定の高さHを有することが望ましく、その高さHは、壁18と20の間の距離にほぼ相当する。言い換えれば、チャンバ34を有する通路26の部分は、高さHの方向に可能な最大空間を占め、Hの方向における容積24の最大寸法と一致する。このことは、(1)所定の横方向サイズのマイクロ流体デバイスの容積が最大になり、より高いスループット率でより長い滞留時間が可能となるので、また(2)1つ以上の熱調節流体通路が収容される容積12と14および反応体通路26の間の距離と材料の量が最小になり、より多くの熱伝達が可能になるので、重要である。さらに、高さHは約800μmから数ミリメートルを超えるまでが望ましいであろうが、Hの方向における境界層の厚さは、一般に、分割し方向を変える壁44により生じた方向変化を反応体流体が通過することによって反応体通路内で誘発される二次流動により、また徐々に狭くなる出口40から連続したチャンバ34のより広い空間への繰り返しの通過により減少する。
【0035】
熱交換および滞留時間を最大にすべきデバイスについて、多数の連続したチャンバ34は、図4の実施の形態の場合のように、反応体通路26の総容積の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%以上に沿って延在することが望ましい。
【0036】
図4における本発明の実施の形態から分かるように、連続したチャンバ34が、上流と下流の方向において次のチャンバと壁を共有することが望ましい。このことは、最大数のチャンバ34が、所定の空間内に配置され、それゆえ、壁18,20間で利用できる総容積の比として反応体通路26の容積が最大になることを確実にするのに役立つ。特に、反応体通路26が、(1)開放容積、(2)水平壁18,20の間の反応体通路を画成し形成する壁構造28の容積、および(3)反応体通路26を画成し形成する壁構造28の間の空の容積48などの任意の他の容積からなる、総容積の少なくとも30%の開放容積を有することが望ましい。反応体通路が少なくとも40%の開放容積を有することがより望ましい。
【0037】
図5の変種において、反応体通路26は、入口30と出口32との間に連続して配置された4つの並列の多数の流路構造50を有する。各並列の多数の流路構造50は、それぞれが、隣接する様式で連続して配置された一連の18個のチャンバ34により形成された4つの並列の隣接した流路52を有する。
【0038】
この構成において、各々が異なる流路52の一部である、互いに流体連通した4つの隣接したチャンバ34は、一緒になって、流体が4つの並列な流路52内における同じレベルで流動する多数の流路の基本デザインパターン57を形成する。
【0039】
図6の部分拡大図から分かるように、4つの並列の多数の流路構造50の2つの隣接する基本デザインパターンの対の間、または多数の流路の基本デザインパターン57の全てのチャンバ34の間に、連通区域54が形成されている。
【0040】
本発明による多数の流路の手法の鍵となる利点は、所定の流量について圧力降下を著しく減少させることである。例として、図4から6に示されるようなチャンバ34により形成される基本デザインパターンについて、二重流(図4に示されるような並列の2つの通路)により、たった1つの通路を有するパターン(図3)と比べて、200ml/分で圧力降下を2.7分の1にすることができる。図5および6に示されるような4つの並列の流路を使用すると、さらに、2つの通路のパターと比べて2.5分の1、1つの通路と比べて6.8分の1に圧力降下がさらに減少する(図20参照)。
【0041】
この多数の流路の手法の鍵となる利点を強調する別の様式は、同じ圧力降下に対応する最大の作業流量を考察することである。図21のデータは、1バールの圧力降下に対応する最大の可能な流量が、それぞれ、たった1つの通路を有するパターン(図3)については120ml/分、図4に示された並列の2つの通路を有するパターンについては200ml/分、および図5と6に示された並列の4つの通路を有するパターンについては350ml/分であることを示している。
【0042】
したがって、本発明による多数の流路の構造により圧力降下を著しく減少させられるので、これは、流体をポンプで注入するためのエネルギー消費を増加させずに化学生産スループットを増加させ、圧力降下を設備の典型的デザインの圧力未満に維持しおよび/または外的の数の増加(numbering up)によるシステムの複雑さを維持する効率的な様式である。
【0043】
さらに、この高スループットデザインの手法の別の鍵となる利点は、圧力抵抗および混合/分散品質にどのような悪影響も与えずに、圧力降下を著しく減少させる(所定の流量で)ことである。そのため、特に以下に関して、妥協は必要ない:
圧力抵抗:一連の基本デザインパターン(例えば、図3から5のハート形のチャンバ34)により形成される並列の通路内で実施することによって、並列の多数の流路構造50が形成される。所定の圧力破壊(pressure rupture)に耐えることのできる基本デザインパターンを並列に配置することにより、総圧力破壊は減少せず、よって圧力抵抗は保持される。
【0044】
分散(または混合)品質:基礎となる基本デザインパターンが保持されるので、混合効率は、従来の1つの通路のデザインに匹敵する。エマルションの場合、エマルションの品質は、溶媒とジオールの非混和性液体系を使用して評価した。エマルションを微細構造内で形成し、その微細構造から流出した流体を収集した。デカンテーションに必要な時間を、微細構造内に形成されたエマルションの品質の尺度と解釈した(時間がかかるほど、品質がよい)。図22に報告されているように、図4に示された本発明による並列な2つの通路を有するデザイン(図22の左側)は、図3に示された従来技術による1つの流路を有するパターン(図22の右側)と同じ程度のよい結果を与えた。この試験において、1つの流路を有するデザインは、2つの流路を有するデザイン(1.1mm)よりも小さい内部通路高さ(1mm)を有する。通路の高さが低いほど、懸濁品質がよくなる。
【0045】
2つの流路52を有する並列の多数の流路構造50に関して図7に示されるように、並列の隣接するチャンバ34の間の連通区域54は、異なる分布または物理的配置を有して差し支えない:
図7aは、並列の多数の流路構造50の多数の流路の基本デザインパターン57の全ての2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)の対の間に連通区域34が形成されている構成であり、
図7bは、並列の多数の流路構造50の上流部分に位置する最初の2つの多数の流路の基本デザインパターン57の2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)の対の間のみに連通区域34が形成されている代替例を示しており、
図7cは、並列の多数の流路構造50の多数の流路の基本デザインパターン57の全ての2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)の1つおきの対の間のみに連通区域34が形成されている別の代替例を示している。
【0046】
図8および9は、4つの並列の流路52を有する並列の多数の流路構造50を部分的に示している:
図8では、並列の多数の流路構造50の多数の流路の基本デザインパターン57の全ての2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)の対の全ての間に連通区域34が形成されており、
図9は、2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)のいくつかの対の間のみに連通区域34が形成されている:より正確には、流れの相互接続を形成する連通区域54が千鳥配列で配置されている別の代替例を示している。
【0047】
図23を参照すると、2つの隣接する基本デザインパターン(チャンバ34)の対の全ての間に連通区域34を有する4つの並列の流路を備えた並列の多数の流路構造50(図8)の流路の断面を通るミリリットル毎分で表された質量流量のシミュレーションが示されている。より正確には、質量流量は、並列の多数の流路構造50の最初の4つのレベルの各チャンバ34の出口部分で表されており、これらの位置は参照番号fxyを有し、ここで、xは流路52に沿ったレベルの位置であり、yは横方向の位置である。図23に示されたシミュレーションは、4つの並列の流路に関する流れの相互接続の効率を証拠付けている:入口に存在する(最初のレベルの断面f11,f12,f13およびf14)流れの不釣り合いは、4つの流れの相互接続の後にほとんど完全になくなる(4番目のレベルの断面f41,f42,f43およびf44は、非常に近い流量を有する)。
【0048】
図10A〜10Gは、本発明のいくつかの代わりの実施の形態による反応通路の部分を画成する、詳しくは、連続したチャンバ34の代わりの形態を画成する、多数の代わりの壁構造の横断面図である。先の実施の形態に示されたチャンバは、ほぼ図10Fのチャンバに相当し、ここで、支柱58は、図10Aの実施の形態におけるようなより大きい開放区域または「自由範囲」を有するチャンバ34に対して、チャンバ34の圧力抵抗を増加させるように潜在的に働くであろう。他方で、支柱58のない実施の形態は、支柱58の上流に小さな死空間(流体の流れパターンにおいてゆっくりと動く地点)を有する傾向が少ないであろう。図10Gの実施の形態は、分割し方向を変える壁44の下流側に三角形の支持構造60を含むことにより、死空間の虞の全てが実質的に避けられ、したがって、死空間に集まって反応体通路を塞ぐ傾向にある、固体の懸濁または沈殿反応などの固体を取り扱うために特に推奨される。
【0049】
図10Bの実施の形態において、分割し方向を変える壁44は、4つの断片に分けられており、それゆえ、反応体通路を、分割し方向を変える壁44の周りに2つの主要な副通路と、壁44の断片の間で3つの補助副通路に分割する。補助副通路の小さなサイズは、微細なエマルションを維持するのに役立ち得る。
【0050】
図10Cの実施の形態において、分割し方向を変える壁44は、非対称であり、特別に強烈な補助流を提供するように、連続したチャンバ34において交互の側にずらされている。支柱58も、交互の様式でチャンバ34の中心からずれており、壁44により形成された2つの副通路の大きい部分に位置することによって、支柱58は追加の流動分割体として働く。
【0051】
図10Dおよび10Eの実施の形態は、以下の違いはあるが、それぞれ、図10Fおよび10Bのものに対応する:先に記載された実施の形態の徐々に狭くなる出口40は、チャンバ34に流入する流れを細かく分割するように配置された小さな補助流動分割体64が配設されたより広い出口62により置き換えられ、それによって、エマルションまたは他の不混和性混合物を形成し、維持するのを補助する。
【0052】
図11から13を参照すると、千鳥配列でいくつかの柱166が配置された、開放セル/空間134の形態にある、第2のタイプの基本デザインパターンが提案されている(図11および12には5つの柱166がある)。柱166は、反応体通路26の高さを有し、細長く、流体の流動方向(図11および12の矢印)に対して平行である。
【0053】
柱166は、流体の流路152に沿った乱流促進材またはスタティック・ミキサとして働く構造体である。これに関連して、柱は、乱流を促進するために、流体の流動方向に対して平行ではない部分を有するデザインを含む他のデザインを示しても差し支えない。
【0054】
開放セル134は、流路152を形成するように連続して配置され、また横方向の垂直壁構造28により制限されている多数の流路の基本デザインパターン157を形成するように並列に配置されている。
【0055】
多数の流路の基本デザインパターン157を形成するように並列に配置された2つ(以上)の開放セル134は、横方向に揃えられても(図13)、もしくは流体の流動方向に対して上流または下流に動かされても(図12)差し支えない。
【0056】
流路の基本デザインパターン134は、連続した真っ直ぐな通路または重要な真っ直ぐな部分を有する蛇行した通路(図13)である、並列の多数の流路構造150を形成するために連続して配置されている。
【0057】
柱166は、並列の多数の流路構造150の全ての横断面(全幅)において、少なくとも1つの柱166がある(図12および13)ように配列されている。
【0058】
2つの隣接する基本デザインパターンの間の連通区域154または開放セル134は、これら2つの隣接する基本デザインパターンまたは開放セル134の各々の少なくとも2つの柱166、特に揃えられた2つの柱166の間に画成された開口または通路である。
【0059】
本発明の第2の実施の形態を示す、図13の柱の交互に配置された千鳥配列において、流体の流動方向に対して直角の開放セル134の各断面は柱の少なくとも一部分を含んでいる。図13の並列の多数の流路構造150は、非常に単純な構造を有するマニホールド156の下流に配置された拡大された多数の流体流路を形成する。
【0060】
柱166を有する開放セル134の形態にある第2のタイプのこれらの基本デザインパターンについて、流路152の副通路は、横方向にずらされた、すなわち、流路152に沿って揃えられていない柱166の間に、柱166により画成される。
【0061】
第2のタイプの基本デザインパターン134は、特に、均一な流体の滞留時間のためのものである。
【0062】
図12および13において、並列の2つの流路152があり、第2のタイプの2つのデザインパターンまたは開放セル134を有する各多数の流路の基本デザインパターン157は並列に配置されているが、2つより多くの開放セル134が、横方向の垂直壁構造28の間に並列に配置されていても差し支えない。
【0063】
図14および15は、基本デザインパターンの別の考えられる形態を示している:これは、第3のタイプまたは波状チャンバ234の基本デザインパターンである。この波状チャンバ234は流路部分を画成する。また波状チャンバ234は、流動方向において次第に拡大し次いで減少する幅を有し、この減少した幅は、同じデザインを有するそれに続く下流の波状チャンバ234の入口を形成する。
【0064】
幅の変動により、壁構造の圧力抵抗をよくすることができる。さらに、そのような構造によって、より広い幅の位置での2つの並列の基本デザインパターンの間で接触が可能になり、このことは、共通壁とのこの接触位置に開口を形成することによるだけで、連通区域を形成する単純な方法である。
【0065】
波状チャンバ234は、流路252を形成するように連続して、また多数の流路の基本デザインパターン257を形成するように並列に配置されている。この流路の基本デザインパターン257は、並列の多数の流路構造250を形成するように連続して配置されている。
【0066】
図14において、2つの隣接する基本デザインパターンまたは波状チャンバ234の間の連通区域254は、幅広部分に沿って接触した2つの隣接した波状チャンバ234の間の開口により形成されている。
【0067】
図15の代わりの形態において、波状チャンバ234は、1つの波状壁228が、2つの隣接する並列の流路252を区切るように働くように、2つの隣接する並列の流路252の間で流動方向に千鳥状になっている。言い換えれば、2つの隣接する並列の流路252は、容積24内の反応体通路が占める空間を最適化する同じ1つの波状壁228の2つの反対の面により境界が定められている。
【0068】
その場合、2つの隣接する基本デザインパターンまたは波状チャンバ234の間の連通区域254は、1つの波状壁228における開口により形成される。
【0069】
図15に示されるように、第3のタイプの基本デザインパターンまたは波状チャンバ234は、分割し方向を変える壁244を収容しても差し支えない。
【0070】
多数の流路の基本デザインパターン257を形成するための並列に配置された2つ(以上)の波状チャンバ234は、横方向に揃えられても(図14)、もしくは流体の流動方向に対して上流方向または下流方向に動かされていても(図15)差し支えない。
【0071】
図14は、2つの並列の流路252の実施を示しており、図15は、8つの並列の流路252の実施を示しているが、各並列の多数の流路構造250において、並列の流路のいずれを実施しても差し支えない。
【0072】
先に示したように、第1のタイプの基本デザインパターンまたはチャンバ34、第2のタイプの基本デザインパターンまたは開放セル134および第3のタイプの基本デザインパターンまたは波状チャンバ234は、混合および/または滞留時間を提供し、流路の方向に沿って一定ではない幅を有し、同じタイプの隣接する流路の別の基本デザインパターンと流れが相互接続することができる。
【0073】
上述した並列の多数の流路構造による、混合および/または滞留時間を提供できる他の基本デザインパターン、特に、連続かつ並列に互いに隣接している基本デザインパターンを使用して差し支えない。
【0074】
連通区域が、前記多数の流路の基本デザインパターンの2つの隣接する基本デザインパターンの間の直接の流れの相互接続により形成されることが望ましい。
【0075】
各並列の多数の流路構造について、反応体通路26を、並列の多数の流路構造内にある多くの流路に分割または分岐させるために、マニホールド56,156,256が、並列の多数の流路構造の上流の反応体通路に沿って配置されている。
【0076】
並列の流路の間の流れの不釣り合いを補正することのできる、隣接する並列の流路の間の流れの相互接続のために、マニホールドのデザインは、単純であり得、限定された精度でしか流体の物理的性質を考慮する必要がない。図16は、マニホールド56,156,256の3つの考えられる単純なデザインを示している。
【0077】
これらの単純なマニホールドのデザインは、非化学反応依存性デザインであり、潜在的ないくつかの流れの相互接続が同様にマニホールド区域に入る(図16C)。したがって、これらの単純なマニホールドのデザインは、異なる流れの不釣り合いを適応させ、均一な並列流れを生成する重要な表面は必要ない。
【0078】
図17(それぞれ図18)は、図4(それぞれ図13)に似ており、任意の多数の流路構造50の上流に、反応体通路26に沿って、混合部分68が追加して配置されている。この混合部分68は一連のチャンバ34を含む。
【0079】
図19は、同じ数の並列の流路52を持たない、いくつかの並列の多数の流路構造50が連続して配置された、反応体通路26の別の考えられるデザインを示している。この例においては、いくつかの並列の多数の流路構造50は、2つの並列の流路52を有し、別の並列の多数の流路構造50は4つの並列の流路52を有する。
【0080】
本発明による他のデザイン、特に、1つの並列の多数の流路構造において他の数の並列の流路:例えば、3、5、6、8の並列の流路を有するデザインも可能である。
【0081】
連通区域54,154および254は、0.5から6mm、好ましくは1から5mm、より好ましくは1.5から3.5mmの及ぶ長さを有する。
【0082】
それぞれ、基本デザインパターン34,134,234と連通区域54,154および254の高さでもある、容積24と反応体通路26の高さは、0.8mmから3mmに及ぶことが好ましい。
【0083】
連通区域54,154および254は、0.1から6、好ましくは0.2から2に及ぶ高さ/長さ比を有する。
【0084】
流路に沿った基本デザインパターンの幅は、1から20mm、好ましくは3から15mmに及ぶ。
【0085】
連通区域54,154および254の位置での流路に沿った基本デザインパターンの幅と、連通区域の長さの間の比は、2から40、好ましくは2から14に及ぶ。
【0086】
本発明によれば、2つの隣接した並列の流路52,152,252を考える場合、並列の多数の流路構造50,150,250の入口と出口の間のどこかに少なくとも2つの連通区域54,154および254が配置されている。
【0087】
流路に沿った基本デザインパターン、並列な通路の数、利用できる表面への全体的な実施およびマニホールドのデザインに応じて、完全に均一な流動分布を得るために、異なる数の連通区域54,154,254が必要かもしれない。しかし、補正のほとんどは、通常、最初の2つの連通区域54,154,254内で行われる。
【0088】
本発明によるマイクロ流体デバイスは、1種類以上のガラス、ガラスセラミック、およびセラミックから製造されることが望ましい。垂直壁を形成する板の間に配置された、成形され固結されたフリットと共に、水平壁を形成するガラス板からそのようなデバイスを調製するプロセスが、例えば、「マイクロ流体デバイスおよびその製造」と題する米国特許第7007709号明細書に開示されているが、製造はこの方法に限られない。
【0089】
本発明のデバイスは、所望であれば、図示されたものに追加の層を備えてもよい。
【0090】
ここに用いたような「反応体」は、マイクロ流体デバイス内で使用することが望ましい考えられる任意の物質の省略表現である。それゆえ、「反応体」および「反応体通路」は、不活性材料およびそのために使用される通路を称する。
【符号の説明】
【0091】
10 マイクロ流体デバイス
26 反応体通路
34,134,234 基本デザインパターン(チャンバ、開放セル、波状チャンバ)
50,150,250 並列の多数の流路構造
52,152,252 並列の流路
54,154,254 連通区域
56,156,256 マニホールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁により画成され、少なくとも1つの並列の多数の流路構造(50;150)を含む少なくとも1つの反応体通路(26)を備えたマイクロ流体デバイス(10)であって、該並列の多数の流路構造(50;150)は、流路(52;152;252)を構成すると同時に、前記並列の流路(52;152;252)において多数の流路基本デザインパターン(57;157;257)を構成するように、流体連通して連続して配置された前記流路(52;152;252)の基本デザインパターン(34;134;234)の群を含み、該基本デザインパターンは、混合および/または滞留時間を提供することができ、前記並列の多数の流路構造(50;150)は、2つの隣接する並列流路(52;152;252)の基本デザインパターン(34;134;234)の間に少なくとも2つの連通区域(54;154;254)を備え、該連通区域(54;154;254)は、該連通区域(54;154;254)が間に配置された前記基本デザインパターン(34;134;234)により画成されたのと同じ平面にあり、同じ流動方向を有する前記隣接する並列な流路(52;152;252)の間の質量流量差を最小にするために流体の通過を可能にするものであるマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記反応体通路(26)を、前記並列の多数の流路構造(50;150)内にある多くの流路(52;152;252)に分割するために、該並列の多数の流路構造(50;150)の上流の該反応体通路(26)に沿って少なくとも1つのマニホールドが配置されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記基本デザインパターン(34;134;234)が、前記流路(52;152;252)の方向に沿って一定ではない幅を有することを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記連通区域(54;154;254)が、前記多数の流路基本デザインパターン(57;157;257)の2つの隣接する基本デザインパターン(34;134;234)の間に壁がない流路部分を介した流れの相互接続によって形成されることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記並列の多数の流路構造(50;150)の2つの隣接する並列の流路(52;152;252)の対の全ての間に少なくとも2つの連通区域(54;154;254)が形成されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記連通区域(54;154;254)が、前記並列の多数の流路構造(50;150)の2つの隣接する基本デザインパターン(34;134;234)の対の全ての間に形成されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記連通区域(54;154;254)が、前記並列の多数の流路構造(50;150)の上流部分に沿って位置する少なくとも2つの多数の流路基本デザインパターン(57;157;257)の2つの隣接する基本デザインパターン(34;134;234)の対の全ての間に形成されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記連通区域(54;154;254)が、前記並列の多数の流路構造(50;150)の上流部分に沿って位置する少なくとも最初の2つの多数の流路基本デザインパターン(57;157;257)の2つの隣接する基本デザインパターン(34;134;234)の対の全ての間に形成されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記連通区域(54;154;254)が、0.5から6mmに及ぶ長さを有することを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記連通区域(54;154;254)が、0.1から6に及ぶ高さ/長さ比を有することを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載のマイクロ流体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2012−508643(P2012−508643A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529308(P2011−529308)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058581
【国際公開番号】WO2010/037012
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】