多液混合装置
【課題】液剤の混合比が狂うのを防止する。
【解決手段】プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、プランジャを往復駆動して往動と復動の両行程で主剤又は硬化剤を吐出するとともに、電磁弁50A,50Bによりプランジャの往動と復動の向きを切り替える。制御部は、個別バルブ(主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5H)の開閉動作と電磁弁50A,50Bの切替動作を制御する。主剤と硬化剤は共用流路2に交互投入されて混合される。主剤と硬化剤の投入開始後は、プランジャがその往復行程における死点に達する前に、個別バルブ5M,5Hが閉弁状態に切り替わり、個別バルブ5M,5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、電磁弁50A,50Bによってプランジャの移動方向が切り替わる。
【解決手段】プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、プランジャを往復駆動して往動と復動の両行程で主剤又は硬化剤を吐出するとともに、電磁弁50A,50Bによりプランジャの往動と復動の向きを切り替える。制御部は、個別バルブ(主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5H)の開閉動作と電磁弁50A,50Bの切替動作を制御する。主剤と硬化剤は共用流路2に交互投入されて混合される。主剤と硬化剤の投入開始後は、プランジャがその往復行程における死点に達する前に、個別バルブ5M,5Hが閉弁状態に切り替わり、個別バルブ5M,5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、電磁弁50A,50Bによってプランジャの移動方向が切り替わる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多液混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エア圧によりピストンを往復駆動させる往復ポンプを用いて、2つの液剤を混合する多液混合装置が開示されている。この多液混合装置では、2つの液剤のうち投入量の多い側の液剤を、常時、投入し続け、その間に、他方の液剤を適宜時間間隔を空けて適宜量ずつ投入し、2つの液剤を所定の混合比に保つようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−510342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の多液混合装置では、投入量の多い側の投入が休みなく続けられるので、往復ポンプではピストンが往復移動が繰り返されることになる。そのため、ピストンが死点に達して移動方向が切り替わるときに、脈動が生じて、液剤の圧力が一時的に低下する虞がある。液剤の圧力が低下すると、その液剤の投入量が正規量よりも少なくなるため、所定の混合比が得られなくなることが懸念される。
【0005】
この対策としては、2つの液剤の両方を、所定量ずつ間欠的に投入する方法が考えられるが、この場合でも、投入中にピストンが死点に到達することは避けられないため、液剤の圧力が一時的に低下して混合比に狂いが生じるという虞は、依然として残る。
【0006】
また、液剤の投入を間欠的に行う場合において、液剤の投入を一時停止したときにエアの供給も停止させ、投入の再開と同時にエアの供給を再開すると、投入を再開した直後は、液剤の圧力が正規の値よりも低くなる。そのため、液剤の投入量が正規量よりも少なくなり、混合比に狂いが生じることが懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、液剤の混合比が狂うのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、共用流路と、複数の液剤を個別に流動させる複数の専用流路と、前記専用流路と前記共用流路との間を開閉する複数の個別バルブが前記専用流路毎に個別に設けられている混合バルブと、前記複数の専用流路に個々に設けられ、プランジャを往復移動させて往動と復動の両行程で液剤を吐出するとともに、電磁弁の切替により前記プランジャの往動と復動の向きを反転させるようになっている往復ポンプと、前記混合バルブの開閉動作と前記往復ポンプの吐出動作を制御する制御手段とを備えており、前記制御手段は、前記プランジャの往復行程における位置と、前記プランジャの移動方向を検出するプランジャ位置検出部と、前記プランジャ位置検出部における検出結果に基づき、前記共用流路に対する複数の液剤の投入動作が交互又は順次に行われるように、前記複数の個別バルブを開閉させ、且つ前記個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、前記プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させるバルブ制御部と、前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、前記電磁弁を切り替えて前記プランジャの次回投入時の移動方向を反転させる電磁弁制御部とを備えているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記往復ポンプは、エア圧の作用によって前記プランジャを往復駆動させるようになっており、前記電磁弁は、前記プランジャに対するエア圧の作用形態を変更することで前記プランジャの往動と復動の向きを切り替えるようになっており、前記個別バルブを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、前記プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、前記プランジャに付与されるエア圧によって前記専用流路内の液剤を加圧状態に保持するようになっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
本発明によれば、複数の個別バルブの開閉を切り替えることで、往復ポンプから吐出された複数の液剤を交互又は順次に共用流路に投入して混合し、個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止し、個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁を切り替えてプランジャの次回投入時の移動方向を反転させる。
【0011】
このようにすれば、液剤の投入が開始してから投入が一時停止するまでの間、プランジャがその往復行程における死点に達することがないので、プランジャが死点に達してその移動方向が切り替わることに起因する脈動の発生の虞がなく、脈動に起因する混合比の狂いが防止される。
【0012】
<請求項2の発明>
個別バルブを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、プランジャに付与されるエア圧によって専用流路内の液剤を加圧状態に保持するので、液剤の投入を再開した直後から、液剤は正規の圧力で吐出される。これにより、液剤の圧力低下に起因する混合比の狂いが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1においてロッドとプランジャが上死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図2】ロッドとプランジャが下死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図3】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが上死点位置にある状態をあらわす断面図
【図5】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが下死点位置にある状態をあらわす断面図
【図6】ロッドが上死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】位置検出装置の拡大平面図
【図9】主剤及び硬化剤とエアの流路をあらわす回路図
【図10】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成する電磁弁と、混合バルブを構成する主剤用バルブ(個別バルブ)及び硬化剤用バルブ(個別バルブ)の作動を制御する手段をあらわすブロック図
【図11】主剤と硬化剤の投入動作と、プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成する電磁弁の作動をあらわすタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態では多液混合装置1を塗装装置に適用した例を説明する。図9に示すように、塗装装置は、多液混合装置1と塗装ガン70とを備えて構成されている。多液混合装置1は、主剤と硬化剤を流動させながら両者を混合することによって塗料を生成し、この生成された塗料を塗装ガン70に供給するようになっている。
【0015】
<多液混合装置1の概要の説明>
多液混合装置1は、共用流路2と、共用流路2の上流端に設けられた混合バルブ5と、混合バルブ5を介して主剤を共用流路2に圧送する主剤圧送装置6Mと、混合バルブ5を介して硬化剤を共用流路2に圧送する硬化剤用圧送装置6Hと、混合バルブ5と後述するプランジャポンプ30を制御するための制御手段60を備えて構成されている。塗装ガン70には共用流路2の下流端が接続され、共用流路2の途中には、共用流路2に投入された主剤と硬化剤の混合促進を図るためのミキサ3(ミキシングホース)が設けられている。主剤と硬化剤は、ミキサ3を通過する間に混合されて塗料となる。
【0016】
共用流路2の上流端部は、主剤用分岐路2Mと硬化剤用分岐路2Hとの二叉に分岐しており、主剤用分岐路2Mの上流端は、多液混合装置1を構成する混合バルブ5の主剤流出口5Mbに接続され、硬化剤用分岐路2Hの上流端は、混合バルブ5の硬化剤流出口5Hbに接続されている。また、各分岐路2M,2Hには、主剤と硬化剤の逆流を防止するための逆止弁4が設けられている。
【0017】
<混合バルブ5の説明>
混合バルブ5は、主剤用バルブ5M(本発明の構成要件である個別バルブ)と硬化剤用バルブ5H(本発明の構成要件である個別バルブ)とを備えて構成されている。主剤用バルブ5Mは、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を許容する開弁状態と、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。硬化剤用バルブ5Hは、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を許容する開弁状態と、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作は、制御手段60の制御によって行われるようになっている。
【0018】
<主剤圧送装置6Mの説明>
主剤圧送装置6Mは、主剤タンク7Mと、主剤タンク7Mに貯留されている主剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30(本発明の構成要件である往復ポンプ)と、主剤流路8M(本発明の構成要件である専用流路)とを有する。主剤流路8Mは主剤のみを流動させるためのものであり、その上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43(図4,5を参照)に接続され、主剤流路8Mの下流端は混合バルブ5の主剤流入口5Maに接続されている。主剤流路8Mの途中には、圧力計51Mが設けられている。
【0019】
<硬化剤圧送装置6Hの説明>
硬化剤用圧送装置6Hは、硬化剤タンク7Hと、硬化剤タンク7Hに貯留されている硬化剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、硬化剤流路8H(本発明の構成要件である専用流路)とを有する。硬化剤流路8Hは、硬化剤のみを流動させるための流路であり、その上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43に接続され、硬化剤流路8Hの下流端は混合バルブ5の硬化剤流入口5Haに接続されている。硬化剤流路8Hの途中には、圧力計51Hと硬化剤用レギュレータ52が設けられている。
【0020】
<プランジャポンプ30の概要の説明>
プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30は同じ構造のものである。プランジャポンプ30は、加圧エアを駆動源として電磁弁50A,50Bにより吐出動作を制御する復動式のポンプであって、図1,2に示すように、エアモータ31と、ポンプ本体36と、位置検出装置10を構成する検出プレート11と、位置検出装置10を構成する光センサ20の発光部26及び受光部27とを備えて構成されている。
【0021】
<プランジャポンプ30を構成するエアモータ31の説明>
エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33により上部加圧室32Aと下部加圧室32Bとに仕切った構造である。上部加圧室32Aには、シリンダ32内に形成した下降用エア圧送路34Aが連通され、下部加圧室32Bには、シリンダ32内に形成した上昇用エア圧送路34Bが連通されている。下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bには、図9に示す共通のエア圧送源53から共用エア圧送路54を介して加圧エアが圧送されるようになっている。
【0022】
このエア圧送源53は、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30との間においても共通となっている。共用エア圧送路54の下流端部は4本のエア分岐路54M,54Hとして分岐されており、4本のうち2本のエア分岐路54Mは、主剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続され、残りの2本のエア分岐路54Hは、硬化剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続されている。また、共用エア圧送路54の途中には、上流側から順に、開閉弁55とエアフィルタ56とエアレギュレータ57が設けられている。
【0023】
また、図1〜3に示すように、シリンダ32の上面には、下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bが設けられている。下降用電磁弁50Aは、下降用エア圧送路34Aとエア分岐路54Mとの間に設けられている。下降用電磁弁50Aは、エア分岐路54Hから下降用エア圧送路34A及び上部加圧室32Aへのエアの圧送を許容する開弁状態と、上部加圧室32A及び下降用エア圧送路34A内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。
【0024】
上昇用電磁弁50Bは、上昇用エア圧送路34Bとエア分岐路54Hとの間に設けられている。上昇用電磁弁50Bは、エア分岐路54Hから上昇用エア圧送路34B及び下部加圧室32Bへのエアの圧送を許容する開弁状態と、下部加圧室32B及び上昇用エア圧送路34B内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。この上昇用電磁弁50Bの作動と、上記下降用電磁弁50Aの作動とは、制御手段60の制御によって独立して行われるようになっている。
【0025】
図3に実線で示すようにピストン33が上方に位置する状態において、下降用電磁弁50Aが開弁状態に切り替わると同時に、上昇用電磁弁50Bが排気状態に切り替わると、下部加圧室32B内のエアが大気中に排出されるとともに、上部加圧室32Aに加圧エアが圧送されて、ピストン33が下降する。また、図3に想像線で示すようにピストン33が下方に位置する状態において、上昇用電磁弁50Bが開弁状態に切り替わると同時に、下降用電磁弁50Aが排気状態に切り替わると、上部加圧室32A内のエアが大気中に排出されるとともに、下部加圧室32Bに加圧エアが圧送されて、ピストン33が上昇する。ピストン33の上下動に伴い、ピストン33に一体移動するように固着したロッド35も、上下方向に直線的に移動する。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0026】
<プランジャポンプ30を構成するポンプ本体36の説明>
ポンプ本体36は、図4及び図5に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bとに区画したものである。プランジャ38には、ロッド35の下端部が一体に移動するように固着されており、したがって、上部ポンプ室37Aの容積の一部は、ロッド35の一部で占められている。プランジャ38は、図4に示す上死点位置と、図5に示す下死点位置との間で、上下方向に往復移動するようになっている。そして、このプランジャ38の上下動に伴い、上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bの容積が交互に増減するようになっている。
【0027】
ポンプ本体36には、その底壁部を貫通する吸引口39が形成され、吸引口39には、主剤タンク7M又は硬化剤タンク7Hが接続されている。また、ポンプ本体36の下端部には、吸引口39に連通するとともに、下部ポンプ室37Bに臨むようにフートバルブ40が設けられている。また、プランジャ38とロッド35の組付け部分には、下部ポンプ室37Bと上部ポンプ室37Aを連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36には、その側壁を貫通するとともに上部ポンプ室37Aに連通した形態の吐出口43が形成され、この吐出口43には、主剤流路8M又は硬化剤流路8Hの上流端が接続されている。
【0028】
エアモータ31の駆動によってプランジャ38が上方へ移動すると、フートバルブ40が開き、主剤又は硬化剤が吸引口39から下部ポンプ室37B内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて、上部ポンプ室37A内に貯留されていた主剤又は硬化剤が、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。また、プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部ポンプ室37B内の主剤又は硬化剤が、連通路41を通り、上部ポンプ室37A内の主剤又は硬化剤と合流して、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。
【0029】
プランジャ38の上下動に伴う主剤又は硬化剤の吐出量は、プランジャ38の昇降ストローク(変位量)に比例する。プランジャ38の上昇行程では、プランジャ38の昇降方向と直角に切断したときのポンプ室37(下部ポンプ室37B)の断面積に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吸引されると同時に、ポンプ室37とロッド35の断面積の差に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。一方、プランジャ38の下降行程では、主剤又は硬化剤の吸引は行われず、ロッド35の断面積に下降ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。したがって、ポンプ室37の断面積がロッド35の断面積が同じであれば、上昇行程と下降行程の吐出量も同じとなるが、ポンプ室37の断面積とロッド35の断面積が異なれば、上昇行程と下降行程の吐出量も異なる。
【0030】
エアモータ31では、電磁弁50A,50Bによってピストン33及びロッド35の移動・停止と昇降動作の切替とを行うのであるが、電磁弁50A,50Bを適正なタイミングで作動させても、エアの圧力変動等のためにピストン33とロッド35の動きに誤差が生じることは避けられない。そこで、位置検出装置10を用いることによって、ロッド35の位置と移動方向を検出し、この検出結果により、プランジャ38の移動方向を判別(即ち、上昇しているか下降しているかを判別)するとともに、上昇時のストロークと下降時のストロークに基づいて、夫々の行程における主剤又は硬化剤のプランジャポンプ30からの吐出量(即ち、共用流路2への主剤及び硬化剤の投入量)を検出するようになっている。
【0031】
<位置検出装置10の説明>
位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。検出プレート11は、所定形状に打ち抜いた金属板材に、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。図6,7に示すように、検出プレート11は、上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に細長い被検出用板部12と、被検出用板部12の上端部に連なった取付用板部14とを備えている。
【0032】
被検出用板部12には、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列するスリット状をなす複数の貫通孔16が形成されている。詳しい図示は省略するが、この水平な複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17(図8を参照)を介して九十九折り状に連なっている。取付用板部14は、ブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12をロッド35と平行に保った状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。尚、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、水平方向への旋回を規制されている。
【0033】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部61(図10を参照)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22(図1〜3,8を参照)と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23(図1〜3,6〜8を参照)とを備えて構成されている。信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御手段60のプランジャ位置検出部62へ出力されるようになっている。
【0034】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。図8に示すように、ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0035】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部(受光部27)が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0036】
エアモータ31を駆動して主剤と硬化剤を共用流路2に投入する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35とプランジャ38が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部61では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号が出力され、制御手段60のプランジャ位置検出部62においては、このパルス信号のパルス数に基づいてロッド35の位置が検出される。
【0037】
また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、プランジャ位置検出部62では、ロッド35の移動方向(即ち、ロッド35が上昇しているか下降しているか)が検出される。さらに、パルスの周期の変化により、プランジャポンプ30における主剤又は硬化剤の吐出量の変動も検出される。
【0038】
<制御手段60の説明>
本実施形態の多液混合装置1では、プランジャポンプ30と混合バルブ5の切り替えによって主剤と硬化剤を、所定量ずつ共用流路2へ交互に投入するようにしたものである。そして、主剤と硬化剤の投入量の割合(混合比)は、主剤の方が、硬化剤よりも2倍以上多くなるように設定されている。また、1回当たりの主剤の投入量は、プランジャ38の片道行程(上下両死点間を移動する行程)における主剤の最大吐出量よりも少ない量に設定されている。尚、上昇行程と下降行程で主剤の最大吐出量が相違する場合は、少ない側の行程における最大吐出量よりも、1回の主剤の投入量の方がが少なくなるように設定される。
【0039】
以下、主剤と硬化剤を交互投入するために、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、プランジャポンプ30の両電磁弁50A,50Bの切替動作とを制御する制御手段60について説明する。図10に示すように、制御手段60は、プランジャ位置検出部62と、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64と、演算部65と、圧力検出部66とを備えている。
【0040】
プランジャ位置検出部62は、信号処理部61から入力されるパルス信号に基づき、ロッド35とプランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、各行程における移動ストロークを検出するとともに、プランジャ38の移動方向(つまり、上昇行程であるか、下降行程であるか)を検出する。プランジャ位置検出部62に入力されるパルス信号は、光センサ20の受光用の光電素子からの電気信号に基いて信号処理部61から出力されたものであり、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号とB相のパルス信号である。
【0041】
バルブ制御部63は、プランジャ位置検出部62の検出結果に基づいて、混合バルブ5を構成する主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hに対し、個別に開弁状態と閉弁状態とを切り替えるための制御信号を出力するようになっている。このバルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように開閉される。また、バルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に、その主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替えられ、液剤投入が停止される。
【0042】
電磁弁制御部64は、主剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、主剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50B、硬化剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、硬化剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50Bに対し、個別に開弁状態と排気状態とを切り替えるための制御信号を出力する。この電磁弁制御部64からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bが切り替えられて、プランジャ38の次回投入時の移動方向が反転される。
【0043】
演算部65は、プランジャ位置検出部62における検出結果(プランジャ38の移動距離と移動方向)と、予め記憶されている係数に基づき、主剤の吐出量(共用流路2への投入量)と、硬化剤の吐出量(共用流路2への投入量)とを演算する。演算用の係数は、プランジャ38の上昇時における単位移動距離当たりの吐出量と、プランジャ38の下降時における単位移動距離当たりの吐出量に相当する値であって、夫々、主剤用と硬化剤用に2種類ずつ記憶されている。そして、主剤と硬化剤の吐出が、プランジャ38の上昇行程と下降行程のいずれの行程で行われているかという検出結果に基づいて、適正な係数が選択され、この係数に移動距離を乗じた値が、プランジャ38の1片道行程における主剤又は硬化剤の吐出量(投入量)となる。
【0044】
圧力検出部66には、主剤流路8Mの圧力計51Mと硬化剤流路8Hの圧力計51Hから、夫々、主剤と硬化剤の圧力値をあらわす信号が入力されるようになっている。圧力検出部66においては、これらの圧力計51M,51Hからの信号により、主剤や硬化剤の吐出圧力の異常が検出される。異常が検出された場合には、主剤と硬化剤の共用流路2への投入量が不正となり、混合比が狂うことが懸念されるので、装置の運転が停止される。
【0045】
<主剤と硬化剤の投入行程の説明>
次に、主剤と硬化剤を混合する際のプランジャポンプ30と混合バルブ5の作動を、図11のタイミングチャートを参照して説明する。主剤と硬化剤を混合する際には、予め、全ての電磁弁50A,50Bを排気状態にするとともに、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態にしておき、主剤側と硬化剤側のロッド35とプランジャ38を下死点(原点位置)で待機させておく。そして、エア供給源53から主剤用と硬化剤用の両プランジャポンプ30のエアモータ31に対し、所定圧力の加圧エアの圧送を開始する。このエアの圧送は、本装置の運転が終了するまで継続される。
【0046】
この状態から、主剤側の上昇用電磁弁50Bと硬化剤側の上昇用電磁弁50Bを排気状態から開弁状態に切り替える(Ta)。すると、エア圧により、主剤側と硬化剤側の両プランジャポンプ30では、ロッド35とプランジャ38に対し上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hはいずれも閉弁状態のままなので、ロッド35とプランジャ38も上昇はしない。しかし、主剤流路8M内の主剤と硬化剤流路8H内の硬化剤は、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、正規の投入圧力まで加圧された状態に保たれる。
【0047】
この後、硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態に保ったままで、主剤用バルブ5Mを開弁状態に切り替える(Tb)。すると、主剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。このプランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0048】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、主剤の投入が一時停止する(Tc)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、主剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mは閉弁されているので、主剤側のプランジャ38は下降しない。そして、プランジャ38に付与される下降方向のエア圧により、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0049】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0050】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤側のプランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Td)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。また、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されても、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bは開弁状態に保たれるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aも排気状態に保たれる。したがって、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与され続け、これにより、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0051】
一方、主剤側では、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0052】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の下降が停止して、主剤の投入が一時停止する(Te)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。そして、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、主剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mは閉弁されているので、主剤側のプランジャ38は上昇しない。そして、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0053】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0054】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Tf)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与されるのであるが、硬化剤用バルブ5Hは閉弁されているので、硬化剤側のプランジャ38は下降しない。そして、プランジャ38に付与される下降方向のエア圧により、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0055】
一方、主剤側では、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0056】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、主剤の投入が一時停止する(Tg)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、Tcと同じく、主剤用バルブ5Mの閉弁と同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わり、主剤側のプランジャ38は、下降せずに、エア圧による下降方向の駆動力を付与される。これにより、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0057】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0058】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤側のプランジャ38の下降が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Th)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。また、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されても、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bは排気状態に保たれるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aも開弁状態に保たれる。したがって、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与され続け、これにより、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0059】
一方、主剤側では、Tdと同じく、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わり、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が下降を開始して、主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0060】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の下降が停止して、主剤の投入が一時停止する(Ti)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。そして、Teと同じく、主剤用バルブ5Mの閉弁と同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わり、主剤側のプランジャ38は、上昇せずに、エア圧による上昇方向の駆動力を付与される。これにより、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0061】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0062】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Tj)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、硬化剤用バルブ5Hは閉弁されているので、硬化剤側のプランジャ38は上昇しない。そして、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0063】
一方、主剤側では、Tfと同じく、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わり、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が上昇を開始して、主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0064】
このTj以降における主剤用バルブ5M、硬化剤用バルブ5H、主剤側の両電磁弁50A,50B及び硬化剤側の両電磁弁50A,50Bの状態は、Tb以降の状態と同じである。そして、Tc〜Tjの動作が繰り返されることにより、主剤と硬化剤が所定の混合比で、共用流路2に交互投入される。
【0065】
本実施形態では、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hのうち一方のバルブ5M又は5Hが開弁状態から閉弁状態に切り替わると、これと同時に他方のバルブ5H又は5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。つまり、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、同時に開弁状態になることがなく、したがって、主剤と硬化剤が同時に共用流路2に投入されることがない。
【0066】
また、本実施形態では、主剤の投入が、プランジャ38の1回の上昇行程(往動行程)及び下降行程(復動行程)で、夫々、1回ずつ行われるのに対し、硬化剤の投入は、プランジャ38の1回の上昇行程及び下降行程で、夫々、2回ずつ行われる。
【0067】
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態の多液混合装置1は、共用流路2と、混合バルブ5と、プランジャポンプ30(往復ポンプ)と、制御手段60とを備えて構成されている。混合バルブ5は、主剤のみを流動させる主剤流路8M(専用流路)と共用流路2との間を開閉する主剤用バルブ5M(個別バルブ)と、硬化剤のみを流動させる硬化剤流路8H(専用流路)と共用流路2との間を開閉する硬化剤用バルブ5H(個別バルブ)とを有している。プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、プランジャ38を往復駆動して往動と復動の両行程(上昇行程と下降行程)で主剤又は硬化剤を吐出するようになっている。また、プランジャポンプは下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bとを備えており、この両電磁弁50A,50Bにより、プランジャ38の往動と復動の向きを切り替えるようになっている。
【0068】
また、制御手段60は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、両電磁弁50A,50Bの切替動作を制御するものであって、プランジャ位置検出部62と、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64とを備えている。プランジャ位置検出部62は、プランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、プランジャ38の移動方向を検出する。バルブ制御部63は、プランジャ位置検出部62の検出結果に基づき、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを開閉させ、且つ主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前にその主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させる。電磁弁制御部64は、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bを切り替えてプランジャ38の次回投入時の移動方向を反転させる。
【0069】
かかる多液混合装置1は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉を切り替えることで、プランジャポンプ30から吐出された主剤と硬化剤を交互に共用流路2に投入し、主剤と硬化剤の投入を開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを交互に閉弁状態に切り替えて、主剤又は硬化剤の投入を停止し、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bによってプランジャ38の移動方向を切り替えるようになっている。
【0070】
この構成によれば、主剤と硬化剤の投入が開始してから投入が一時停止するまでの間、プランジャ38がその往復行程(上昇・下降行程)における死点(上死点及び下死点)に達することがないので、プランジャ38が死点に達してその移動方向が切り替わることに起因する脈動の発生の虞がなく、脈動に起因する混合比の狂いが防止される。
【0071】
また、本実施形態の多液混合装置1では、プランジャポンプ30は、エア圧の作用によってプランジャ38を往復駆動させるようになっており、電磁弁50A,50Bは、プランジャ38に対するエア圧の作用形態を変更することでプランジャ38の往動と復動の向き(上昇と下降の向き)を切り替えるようになっている。そして、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、プランジャ38の移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、プランジャ38に付与されるエア圧によって、主剤流路8M及び硬化剤流路8Hの主剤と硬化剤を加圧状態に保持するようになっている。この構成によれば、主剤と硬化剤の投入を再開した直後から、主剤と硬化剤は正規の圧力で吐出されるので、主剤と硬化剤の圧力低下に起因して主剤と硬化剤の混合比の狂いが生じることが防止される。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で、硬化剤の投入が2回行われる場合について説明したが、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で行われる硬化剤の投入回数は、1回であってもよく、3回以上であってもよい。
(2)上記実施形態では、主剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて主剤の投入を停止するのと同時に、電磁弁によるエア圧の作用形態を変更してプランジャの移動方向を切り替えるようにしたが、電磁弁によるエア圧の作用形態の変更は、主剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて主剤の投入を停止した後に行うようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、硬化剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて硬化剤の投入を停止するのと同時に、電磁弁によるエア圧の作用形態を変更してプランジャの移動方向を切り替えるようにしたが、電磁弁によるエア圧の作用形態の変更は、硬化剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて硬化剤の投入を停止した後に行うようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、混合される液剤が主剤と硬化剤の2種類である場合について説明したが、本発明は、混合される液剤は3種類以上である場合にも適用できる。
(5)上記実施形態では、主剤と硬化剤を混合して塗料が生成される場合について説明したが、本発明は、液剤の混合物が塗料以外のものである場合にも適用できる。
(6)上記実施形態では、1つのプランジャポンプに上昇用電磁弁と下降用電磁弁を1つずつ設けたが、1つのプランジャポンプに複数の上昇用電磁弁と複数の下降用電磁弁を設けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
2…共用流路
5…混合バルブ
5M…主剤用バルブ(個別バルブ)
5H…硬化剤用バルブ(個別バルブ)
8M…主剤流路(専用流路)
8H…硬化剤流路(専用流路)
30…プランジャポンプ(往復ポンプ)
38…プランジャ
50A…下降用電磁弁
50B…上昇用電磁弁
60…制御部
62…プランジャ位置検出部
63…バルブ制御部
64…電磁弁制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、多液混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エア圧によりピストンを往復駆動させる往復ポンプを用いて、2つの液剤を混合する多液混合装置が開示されている。この多液混合装置では、2つの液剤のうち投入量の多い側の液剤を、常時、投入し続け、その間に、他方の液剤を適宜時間間隔を空けて適宜量ずつ投入し、2つの液剤を所定の混合比に保つようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−510342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の多液混合装置では、投入量の多い側の投入が休みなく続けられるので、往復ポンプではピストンが往復移動が繰り返されることになる。そのため、ピストンが死点に達して移動方向が切り替わるときに、脈動が生じて、液剤の圧力が一時的に低下する虞がある。液剤の圧力が低下すると、その液剤の投入量が正規量よりも少なくなるため、所定の混合比が得られなくなることが懸念される。
【0005】
この対策としては、2つの液剤の両方を、所定量ずつ間欠的に投入する方法が考えられるが、この場合でも、投入中にピストンが死点に到達することは避けられないため、液剤の圧力が一時的に低下して混合比に狂いが生じるという虞は、依然として残る。
【0006】
また、液剤の投入を間欠的に行う場合において、液剤の投入を一時停止したときにエアの供給も停止させ、投入の再開と同時にエアの供給を再開すると、投入を再開した直後は、液剤の圧力が正規の値よりも低くなる。そのため、液剤の投入量が正規量よりも少なくなり、混合比に狂いが生じることが懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、液剤の混合比が狂うのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、共用流路と、複数の液剤を個別に流動させる複数の専用流路と、前記専用流路と前記共用流路との間を開閉する複数の個別バルブが前記専用流路毎に個別に設けられている混合バルブと、前記複数の専用流路に個々に設けられ、プランジャを往復移動させて往動と復動の両行程で液剤を吐出するとともに、電磁弁の切替により前記プランジャの往動と復動の向きを反転させるようになっている往復ポンプと、前記混合バルブの開閉動作と前記往復ポンプの吐出動作を制御する制御手段とを備えており、前記制御手段は、前記プランジャの往復行程における位置と、前記プランジャの移動方向を検出するプランジャ位置検出部と、前記プランジャ位置検出部における検出結果に基づき、前記共用流路に対する複数の液剤の投入動作が交互又は順次に行われるように、前記複数の個別バルブを開閉させ、且つ前記個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、前記プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させるバルブ制御部と、前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、前記電磁弁を切り替えて前記プランジャの次回投入時の移動方向を反転させる電磁弁制御部とを備えているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記往復ポンプは、エア圧の作用によって前記プランジャを往復駆動させるようになっており、前記電磁弁は、前記プランジャに対するエア圧の作用形態を変更することで前記プランジャの往動と復動の向きを切り替えるようになっており、前記個別バルブを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、前記プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、前記プランジャに付与されるエア圧によって前記専用流路内の液剤を加圧状態に保持するようになっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
本発明によれば、複数の個別バルブの開閉を切り替えることで、往復ポンプから吐出された複数の液剤を交互又は順次に共用流路に投入して混合し、個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止し、個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁を切り替えてプランジャの次回投入時の移動方向を反転させる。
【0011】
このようにすれば、液剤の投入が開始してから投入が一時停止するまでの間、プランジャがその往復行程における死点に達することがないので、プランジャが死点に達してその移動方向が切り替わることに起因する脈動の発生の虞がなく、脈動に起因する混合比の狂いが防止される。
【0012】
<請求項2の発明>
個別バルブを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、プランジャに付与されるエア圧によって専用流路内の液剤を加圧状態に保持するので、液剤の投入を再開した直後から、液剤は正規の圧力で吐出される。これにより、液剤の圧力低下に起因する混合比の狂いが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1においてロッドとプランジャが上死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図2】ロッドとプランジャが下死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図3】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが上死点位置にある状態をあらわす断面図
【図5】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが下死点位置にある状態をあらわす断面図
【図6】ロッドが上死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】位置検出装置の拡大平面図
【図9】主剤及び硬化剤とエアの流路をあらわす回路図
【図10】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成する電磁弁と、混合バルブを構成する主剤用バルブ(個別バルブ)及び硬化剤用バルブ(個別バルブ)の作動を制御する手段をあらわすブロック図
【図11】主剤と硬化剤の投入動作と、プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成する電磁弁の作動をあらわすタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態では多液混合装置1を塗装装置に適用した例を説明する。図9に示すように、塗装装置は、多液混合装置1と塗装ガン70とを備えて構成されている。多液混合装置1は、主剤と硬化剤を流動させながら両者を混合することによって塗料を生成し、この生成された塗料を塗装ガン70に供給するようになっている。
【0015】
<多液混合装置1の概要の説明>
多液混合装置1は、共用流路2と、共用流路2の上流端に設けられた混合バルブ5と、混合バルブ5を介して主剤を共用流路2に圧送する主剤圧送装置6Mと、混合バルブ5を介して硬化剤を共用流路2に圧送する硬化剤用圧送装置6Hと、混合バルブ5と後述するプランジャポンプ30を制御するための制御手段60を備えて構成されている。塗装ガン70には共用流路2の下流端が接続され、共用流路2の途中には、共用流路2に投入された主剤と硬化剤の混合促進を図るためのミキサ3(ミキシングホース)が設けられている。主剤と硬化剤は、ミキサ3を通過する間に混合されて塗料となる。
【0016】
共用流路2の上流端部は、主剤用分岐路2Mと硬化剤用分岐路2Hとの二叉に分岐しており、主剤用分岐路2Mの上流端は、多液混合装置1を構成する混合バルブ5の主剤流出口5Mbに接続され、硬化剤用分岐路2Hの上流端は、混合バルブ5の硬化剤流出口5Hbに接続されている。また、各分岐路2M,2Hには、主剤と硬化剤の逆流を防止するための逆止弁4が設けられている。
【0017】
<混合バルブ5の説明>
混合バルブ5は、主剤用バルブ5M(本発明の構成要件である個別バルブ)と硬化剤用バルブ5H(本発明の構成要件である個別バルブ)とを備えて構成されている。主剤用バルブ5Mは、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を許容する開弁状態と、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。硬化剤用バルブ5Hは、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を許容する開弁状態と、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作は、制御手段60の制御によって行われるようになっている。
【0018】
<主剤圧送装置6Mの説明>
主剤圧送装置6Mは、主剤タンク7Mと、主剤タンク7Mに貯留されている主剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30(本発明の構成要件である往復ポンプ)と、主剤流路8M(本発明の構成要件である専用流路)とを有する。主剤流路8Mは主剤のみを流動させるためのものであり、その上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43(図4,5を参照)に接続され、主剤流路8Mの下流端は混合バルブ5の主剤流入口5Maに接続されている。主剤流路8Mの途中には、圧力計51Mが設けられている。
【0019】
<硬化剤圧送装置6Hの説明>
硬化剤用圧送装置6Hは、硬化剤タンク7Hと、硬化剤タンク7Hに貯留されている硬化剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、硬化剤流路8H(本発明の構成要件である専用流路)とを有する。硬化剤流路8Hは、硬化剤のみを流動させるための流路であり、その上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43に接続され、硬化剤流路8Hの下流端は混合バルブ5の硬化剤流入口5Haに接続されている。硬化剤流路8Hの途中には、圧力計51Hと硬化剤用レギュレータ52が設けられている。
【0020】
<プランジャポンプ30の概要の説明>
プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30は同じ構造のものである。プランジャポンプ30は、加圧エアを駆動源として電磁弁50A,50Bにより吐出動作を制御する復動式のポンプであって、図1,2に示すように、エアモータ31と、ポンプ本体36と、位置検出装置10を構成する検出プレート11と、位置検出装置10を構成する光センサ20の発光部26及び受光部27とを備えて構成されている。
【0021】
<プランジャポンプ30を構成するエアモータ31の説明>
エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33により上部加圧室32Aと下部加圧室32Bとに仕切った構造である。上部加圧室32Aには、シリンダ32内に形成した下降用エア圧送路34Aが連通され、下部加圧室32Bには、シリンダ32内に形成した上昇用エア圧送路34Bが連通されている。下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bには、図9に示す共通のエア圧送源53から共用エア圧送路54を介して加圧エアが圧送されるようになっている。
【0022】
このエア圧送源53は、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30との間においても共通となっている。共用エア圧送路54の下流端部は4本のエア分岐路54M,54Hとして分岐されており、4本のうち2本のエア分岐路54Mは、主剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続され、残りの2本のエア分岐路54Hは、硬化剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続されている。また、共用エア圧送路54の途中には、上流側から順に、開閉弁55とエアフィルタ56とエアレギュレータ57が設けられている。
【0023】
また、図1〜3に示すように、シリンダ32の上面には、下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bが設けられている。下降用電磁弁50Aは、下降用エア圧送路34Aとエア分岐路54Mとの間に設けられている。下降用電磁弁50Aは、エア分岐路54Hから下降用エア圧送路34A及び上部加圧室32Aへのエアの圧送を許容する開弁状態と、上部加圧室32A及び下降用エア圧送路34A内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。
【0024】
上昇用電磁弁50Bは、上昇用エア圧送路34Bとエア分岐路54Hとの間に設けられている。上昇用電磁弁50Bは、エア分岐路54Hから上昇用エア圧送路34B及び下部加圧室32Bへのエアの圧送を許容する開弁状態と、下部加圧室32B及び上昇用エア圧送路34B内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。この上昇用電磁弁50Bの作動と、上記下降用電磁弁50Aの作動とは、制御手段60の制御によって独立して行われるようになっている。
【0025】
図3に実線で示すようにピストン33が上方に位置する状態において、下降用電磁弁50Aが開弁状態に切り替わると同時に、上昇用電磁弁50Bが排気状態に切り替わると、下部加圧室32B内のエアが大気中に排出されるとともに、上部加圧室32Aに加圧エアが圧送されて、ピストン33が下降する。また、図3に想像線で示すようにピストン33が下方に位置する状態において、上昇用電磁弁50Bが開弁状態に切り替わると同時に、下降用電磁弁50Aが排気状態に切り替わると、上部加圧室32A内のエアが大気中に排出されるとともに、下部加圧室32Bに加圧エアが圧送されて、ピストン33が上昇する。ピストン33の上下動に伴い、ピストン33に一体移動するように固着したロッド35も、上下方向に直線的に移動する。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0026】
<プランジャポンプ30を構成するポンプ本体36の説明>
ポンプ本体36は、図4及び図5に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bとに区画したものである。プランジャ38には、ロッド35の下端部が一体に移動するように固着されており、したがって、上部ポンプ室37Aの容積の一部は、ロッド35の一部で占められている。プランジャ38は、図4に示す上死点位置と、図5に示す下死点位置との間で、上下方向に往復移動するようになっている。そして、このプランジャ38の上下動に伴い、上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bの容積が交互に増減するようになっている。
【0027】
ポンプ本体36には、その底壁部を貫通する吸引口39が形成され、吸引口39には、主剤タンク7M又は硬化剤タンク7Hが接続されている。また、ポンプ本体36の下端部には、吸引口39に連通するとともに、下部ポンプ室37Bに臨むようにフートバルブ40が設けられている。また、プランジャ38とロッド35の組付け部分には、下部ポンプ室37Bと上部ポンプ室37Aを連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36には、その側壁を貫通するとともに上部ポンプ室37Aに連通した形態の吐出口43が形成され、この吐出口43には、主剤流路8M又は硬化剤流路8Hの上流端が接続されている。
【0028】
エアモータ31の駆動によってプランジャ38が上方へ移動すると、フートバルブ40が開き、主剤又は硬化剤が吸引口39から下部ポンプ室37B内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて、上部ポンプ室37A内に貯留されていた主剤又は硬化剤が、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。また、プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部ポンプ室37B内の主剤又は硬化剤が、連通路41を通り、上部ポンプ室37A内の主剤又は硬化剤と合流して、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。
【0029】
プランジャ38の上下動に伴う主剤又は硬化剤の吐出量は、プランジャ38の昇降ストローク(変位量)に比例する。プランジャ38の上昇行程では、プランジャ38の昇降方向と直角に切断したときのポンプ室37(下部ポンプ室37B)の断面積に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吸引されると同時に、ポンプ室37とロッド35の断面積の差に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。一方、プランジャ38の下降行程では、主剤又は硬化剤の吸引は行われず、ロッド35の断面積に下降ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。したがって、ポンプ室37の断面積がロッド35の断面積が同じであれば、上昇行程と下降行程の吐出量も同じとなるが、ポンプ室37の断面積とロッド35の断面積が異なれば、上昇行程と下降行程の吐出量も異なる。
【0030】
エアモータ31では、電磁弁50A,50Bによってピストン33及びロッド35の移動・停止と昇降動作の切替とを行うのであるが、電磁弁50A,50Bを適正なタイミングで作動させても、エアの圧力変動等のためにピストン33とロッド35の動きに誤差が生じることは避けられない。そこで、位置検出装置10を用いることによって、ロッド35の位置と移動方向を検出し、この検出結果により、プランジャ38の移動方向を判別(即ち、上昇しているか下降しているかを判別)するとともに、上昇時のストロークと下降時のストロークに基づいて、夫々の行程における主剤又は硬化剤のプランジャポンプ30からの吐出量(即ち、共用流路2への主剤及び硬化剤の投入量)を検出するようになっている。
【0031】
<位置検出装置10の説明>
位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。検出プレート11は、所定形状に打ち抜いた金属板材に、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。図6,7に示すように、検出プレート11は、上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に細長い被検出用板部12と、被検出用板部12の上端部に連なった取付用板部14とを備えている。
【0032】
被検出用板部12には、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列するスリット状をなす複数の貫通孔16が形成されている。詳しい図示は省略するが、この水平な複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17(図8を参照)を介して九十九折り状に連なっている。取付用板部14は、ブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12をロッド35と平行に保った状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。尚、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、水平方向への旋回を規制されている。
【0033】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部61(図10を参照)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22(図1〜3,8を参照)と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23(図1〜3,6〜8を参照)とを備えて構成されている。信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御手段60のプランジャ位置検出部62へ出力されるようになっている。
【0034】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。図8に示すように、ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0035】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部(受光部27)が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0036】
エアモータ31を駆動して主剤と硬化剤を共用流路2に投入する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35とプランジャ38が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部61では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号が出力され、制御手段60のプランジャ位置検出部62においては、このパルス信号のパルス数に基づいてロッド35の位置が検出される。
【0037】
また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、プランジャ位置検出部62では、ロッド35の移動方向(即ち、ロッド35が上昇しているか下降しているか)が検出される。さらに、パルスの周期の変化により、プランジャポンプ30における主剤又は硬化剤の吐出量の変動も検出される。
【0038】
<制御手段60の説明>
本実施形態の多液混合装置1では、プランジャポンプ30と混合バルブ5の切り替えによって主剤と硬化剤を、所定量ずつ共用流路2へ交互に投入するようにしたものである。そして、主剤と硬化剤の投入量の割合(混合比)は、主剤の方が、硬化剤よりも2倍以上多くなるように設定されている。また、1回当たりの主剤の投入量は、プランジャ38の片道行程(上下両死点間を移動する行程)における主剤の最大吐出量よりも少ない量に設定されている。尚、上昇行程と下降行程で主剤の最大吐出量が相違する場合は、少ない側の行程における最大吐出量よりも、1回の主剤の投入量の方がが少なくなるように設定される。
【0039】
以下、主剤と硬化剤を交互投入するために、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、プランジャポンプ30の両電磁弁50A,50Bの切替動作とを制御する制御手段60について説明する。図10に示すように、制御手段60は、プランジャ位置検出部62と、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64と、演算部65と、圧力検出部66とを備えている。
【0040】
プランジャ位置検出部62は、信号処理部61から入力されるパルス信号に基づき、ロッド35とプランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、各行程における移動ストロークを検出するとともに、プランジャ38の移動方向(つまり、上昇行程であるか、下降行程であるか)を検出する。プランジャ位置検出部62に入力されるパルス信号は、光センサ20の受光用の光電素子からの電気信号に基いて信号処理部61から出力されたものであり、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号とB相のパルス信号である。
【0041】
バルブ制御部63は、プランジャ位置検出部62の検出結果に基づいて、混合バルブ5を構成する主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hに対し、個別に開弁状態と閉弁状態とを切り替えるための制御信号を出力するようになっている。このバルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように開閉される。また、バルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に、その主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替えられ、液剤投入が停止される。
【0042】
電磁弁制御部64は、主剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、主剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50B、硬化剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、硬化剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50Bに対し、個別に開弁状態と排気状態とを切り替えるための制御信号を出力する。この電磁弁制御部64からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bが切り替えられて、プランジャ38の次回投入時の移動方向が反転される。
【0043】
演算部65は、プランジャ位置検出部62における検出結果(プランジャ38の移動距離と移動方向)と、予め記憶されている係数に基づき、主剤の吐出量(共用流路2への投入量)と、硬化剤の吐出量(共用流路2への投入量)とを演算する。演算用の係数は、プランジャ38の上昇時における単位移動距離当たりの吐出量と、プランジャ38の下降時における単位移動距離当たりの吐出量に相当する値であって、夫々、主剤用と硬化剤用に2種類ずつ記憶されている。そして、主剤と硬化剤の吐出が、プランジャ38の上昇行程と下降行程のいずれの行程で行われているかという検出結果に基づいて、適正な係数が選択され、この係数に移動距離を乗じた値が、プランジャ38の1片道行程における主剤又は硬化剤の吐出量(投入量)となる。
【0044】
圧力検出部66には、主剤流路8Mの圧力計51Mと硬化剤流路8Hの圧力計51Hから、夫々、主剤と硬化剤の圧力値をあらわす信号が入力されるようになっている。圧力検出部66においては、これらの圧力計51M,51Hからの信号により、主剤や硬化剤の吐出圧力の異常が検出される。異常が検出された場合には、主剤と硬化剤の共用流路2への投入量が不正となり、混合比が狂うことが懸念されるので、装置の運転が停止される。
【0045】
<主剤と硬化剤の投入行程の説明>
次に、主剤と硬化剤を混合する際のプランジャポンプ30と混合バルブ5の作動を、図11のタイミングチャートを参照して説明する。主剤と硬化剤を混合する際には、予め、全ての電磁弁50A,50Bを排気状態にするとともに、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態にしておき、主剤側と硬化剤側のロッド35とプランジャ38を下死点(原点位置)で待機させておく。そして、エア供給源53から主剤用と硬化剤用の両プランジャポンプ30のエアモータ31に対し、所定圧力の加圧エアの圧送を開始する。このエアの圧送は、本装置の運転が終了するまで継続される。
【0046】
この状態から、主剤側の上昇用電磁弁50Bと硬化剤側の上昇用電磁弁50Bを排気状態から開弁状態に切り替える(Ta)。すると、エア圧により、主剤側と硬化剤側の両プランジャポンプ30では、ロッド35とプランジャ38に対し上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hはいずれも閉弁状態のままなので、ロッド35とプランジャ38も上昇はしない。しかし、主剤流路8M内の主剤と硬化剤流路8H内の硬化剤は、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、正規の投入圧力まで加圧された状態に保たれる。
【0047】
この後、硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態に保ったままで、主剤用バルブ5Mを開弁状態に切り替える(Tb)。すると、主剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。このプランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0048】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、主剤の投入が一時停止する(Tc)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、主剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mは閉弁されているので、主剤側のプランジャ38は下降しない。そして、プランジャ38に付与される下降方向のエア圧により、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0049】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0050】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤側のプランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Td)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。また、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されても、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bは開弁状態に保たれるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aも排気状態に保たれる。したがって、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与され続け、これにより、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0051】
一方、主剤側では、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0052】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の下降が停止して、主剤の投入が一時停止する(Te)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。そして、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、主剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、主剤用バルブ5Mは閉弁されているので、主剤側のプランジャ38は上昇しない。そして、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0053】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0054】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Tf)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与されるのであるが、硬化剤用バルブ5Hは閉弁されているので、硬化剤側のプランジャ38は下降しない。そして、プランジャ38に付与される下降方向のエア圧により、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0055】
一方、主剤側では、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が上昇を開始し、このプランジャ38の上昇に伴って主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0056】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、主剤の投入が一時停止する(Tg)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、Tcと同じく、主剤用バルブ5Mの閉弁と同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが開弁状態から排気状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが排気状態から開弁状態に切り替わり、主剤側のプランジャ38は、下降せずに、エア圧による下降方向の駆動力を付与される。これにより、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0057】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0058】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤側のプランジャ38の下降が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Th)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。また、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されても、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bは排気状態に保たれるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aも開弁状態に保たれる。したがって、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による下降方向の駆動力が付与され続け、これにより、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0059】
一方、主剤側では、Tdと同じく、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わり、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が下降を開始して、主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0060】
そして、主剤の投入量が所定の量に達すると、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の下降が停止して、主剤の投入が一時停止する(Ti)。この時点で、プランジャ38は下死点に到達していない。そして、Teと同じく、主剤用バルブ5Mの閉弁と同時に、主剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、主剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わり、主剤側のプランジャ38は、上昇せずに、エア圧による上昇方向の駆動力を付与される。これにより、主剤流路8M内の主剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0061】
一方、硬化剤側においては、主剤用バルブ5Mが閉弁されるのと同時に、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。すると、エア圧によって下降方向の駆動力が付与されていた硬化剤側のプランジャ38が下降を開始し、このプランジャ38の下降に伴って硬化剤流路8H内の硬化剤が共用流路2内に投入される。このとき、硬化剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から硬化剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が下降する復動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では硬化剤の投入量が算出される。
【0062】
そして、硬化剤の投入量が所定の量に達すると、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、プランジャ38の上昇が停止して、硬化剤の投入が一時停止する(Tj)。この時点で、プランジャ38は上死点に到達していない。そして、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、硬化剤側の上昇用電磁弁50Bが排気状態から開弁状態に切り替わるとともに、硬化剤側の下降用電磁弁50Aが開弁状態から排気状態に切り替わる。この両電磁弁50A,50Bの切り替えにより、硬化剤側のプランジャ38には、エア圧による上昇方向の駆動力が付与されるのであるが、硬化剤用バルブ5Hは閉弁されているので、硬化剤側のプランジャ38は上昇しない。そして、プランジャ38に付与される上昇方向のエア圧により、硬化剤流路8H内の硬化剤は加圧された状態(正規の投入圧力)に保たれる。
【0063】
一方、主剤側では、Tfと同じく、硬化剤用バルブ5Hが閉弁されるのと同時に、主剤用バルブ5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わり、エア圧によって上昇方向の駆動力が付与されていた主剤側のプランジャ38が上昇を開始して、主剤流路8M内の主剤が共用流路2内に投入される。このとき、主剤は、投入される前の時点で予め加圧されていたので、投入の開始直後から主剤は正規の圧力となっている。プランジャ38が上昇する往動行程の間、ロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、演算部65では主剤の投入量が算出される。
【0064】
このTj以降における主剤用バルブ5M、硬化剤用バルブ5H、主剤側の両電磁弁50A,50B及び硬化剤側の両電磁弁50A,50Bの状態は、Tb以降の状態と同じである。そして、Tc〜Tjの動作が繰り返されることにより、主剤と硬化剤が所定の混合比で、共用流路2に交互投入される。
【0065】
本実施形態では、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hのうち一方のバルブ5M又は5Hが開弁状態から閉弁状態に切り替わると、これと同時に他方のバルブ5H又は5Mが閉弁状態から開弁状態に切り替わる。つまり、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、同時に開弁状態になることがなく、したがって、主剤と硬化剤が同時に共用流路2に投入されることがない。
【0066】
また、本実施形態では、主剤の投入が、プランジャ38の1回の上昇行程(往動行程)及び下降行程(復動行程)で、夫々、1回ずつ行われるのに対し、硬化剤の投入は、プランジャ38の1回の上昇行程及び下降行程で、夫々、2回ずつ行われる。
【0067】
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態の多液混合装置1は、共用流路2と、混合バルブ5と、プランジャポンプ30(往復ポンプ)と、制御手段60とを備えて構成されている。混合バルブ5は、主剤のみを流動させる主剤流路8M(専用流路)と共用流路2との間を開閉する主剤用バルブ5M(個別バルブ)と、硬化剤のみを流動させる硬化剤流路8H(専用流路)と共用流路2との間を開閉する硬化剤用バルブ5H(個別バルブ)とを有している。プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、プランジャ38を往復駆動して往動と復動の両行程(上昇行程と下降行程)で主剤又は硬化剤を吐出するようになっている。また、プランジャポンプは下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bとを備えており、この両電磁弁50A,50Bにより、プランジャ38の往動と復動の向きを切り替えるようになっている。
【0068】
また、制御手段60は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、両電磁弁50A,50Bの切替動作を制御するものであって、プランジャ位置検出部62と、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64とを備えている。プランジャ位置検出部62は、プランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、プランジャ38の移動方向を検出する。バルブ制御部63は、プランジャ位置検出部62の検出結果に基づき、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを開閉させ、且つ主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前にその主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させる。電磁弁制御部64は、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bを切り替えてプランジャ38の次回投入時の移動方向を反転させる。
【0069】
かかる多液混合装置1は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉を切り替えることで、プランジャポンプ30から吐出された主剤と硬化剤を交互に共用流路2に投入し、主剤と硬化剤の投入を開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを交互に閉弁状態に切り替えて、主剤又は硬化剤の投入を停止し、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bによってプランジャ38の移動方向を切り替えるようになっている。
【0070】
この構成によれば、主剤と硬化剤の投入が開始してから投入が一時停止するまでの間、プランジャ38がその往復行程(上昇・下降行程)における死点(上死点及び下死点)に達することがないので、プランジャ38が死点に達してその移動方向が切り替わることに起因する脈動の発生の虞がなく、脈動に起因する混合比の狂いが防止される。
【0071】
また、本実施形態の多液混合装置1では、プランジャポンプ30は、エア圧の作用によってプランジャ38を往復駆動させるようになっており、電磁弁50A,50Bは、プランジャ38に対するエア圧の作用形態を変更することでプランジャ38の往動と復動の向き(上昇と下降の向き)を切り替えるようになっている。そして、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の投入のために開弁するまでの間、プランジャ38の移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、プランジャ38に付与されるエア圧によって、主剤流路8M及び硬化剤流路8Hの主剤と硬化剤を加圧状態に保持するようになっている。この構成によれば、主剤と硬化剤の投入を再開した直後から、主剤と硬化剤は正規の圧力で吐出されるので、主剤と硬化剤の圧力低下に起因して主剤と硬化剤の混合比の狂いが生じることが防止される。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で、硬化剤の投入が2回行われる場合について説明したが、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で行われる硬化剤の投入回数は、1回であってもよく、3回以上であってもよい。
(2)上記実施形態では、主剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて主剤の投入を停止するのと同時に、電磁弁によるエア圧の作用形態を変更してプランジャの移動方向を切り替えるようにしたが、電磁弁によるエア圧の作用形態の変更は、主剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて主剤の投入を停止した後に行うようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、硬化剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて硬化剤の投入を停止するのと同時に、電磁弁によるエア圧の作用形態を変更してプランジャの移動方向を切り替えるようにしたが、電磁弁によるエア圧の作用形態の変更は、硬化剤用バルブ(個別バルブ)を閉弁状態に切り替えて硬化剤の投入を停止した後に行うようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、混合される液剤が主剤と硬化剤の2種類である場合について説明したが、本発明は、混合される液剤は3種類以上である場合にも適用できる。
(5)上記実施形態では、主剤と硬化剤を混合して塗料が生成される場合について説明したが、本発明は、液剤の混合物が塗料以外のものである場合にも適用できる。
(6)上記実施形態では、1つのプランジャポンプに上昇用電磁弁と下降用電磁弁を1つずつ設けたが、1つのプランジャポンプに複数の上昇用電磁弁と複数の下降用電磁弁を設けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
2…共用流路
5…混合バルブ
5M…主剤用バルブ(個別バルブ)
5H…硬化剤用バルブ(個別バルブ)
8M…主剤流路(専用流路)
8H…硬化剤流路(専用流路)
30…プランジャポンプ(往復ポンプ)
38…プランジャ
50A…下降用電磁弁
50B…上昇用電磁弁
60…制御部
62…プランジャ位置検出部
63…バルブ制御部
64…電磁弁制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用流路と、
複数の液剤を個別に流動させる複数の専用流路と、
前記専用流路と前記共用流路との間を開閉する複数の個別バルブが前記専用流路毎に個別に設けられている混合バルブと、
前記複数の専用流路に個々に設けられ、プランジャを往復移動させて往動と復動の両行程で液剤を吐出するとともに、電磁弁の切替により前記プランジャの往動と復動の向きを反転させるようになっている往復ポンプと、
前記混合バルブの開閉動作と前記往復ポンプの吐出動作を制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、
前記プランジャの往復行程における位置と、前記プランジャの移動方向を検出するプランジャ位置検出部と、
前記プランジャ位置検出部における検出結果に基づき、前記共用流路に対する複数の液剤の投入動作が交互又は順次に行われるように、前記複数の個別バルブを開閉させ、且つ前記個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、前記プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させるバルブ制御部と、
前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、前記電磁弁を切り替えて前記プランジャの次回投入時の移動方向を反転させる電磁弁制御部とを備えていることを特徴とする多液混合装置。
【請求項2】
前記往復ポンプは、エア圧の作用によって前記プランジャを往復駆動させるようになっており、
前記電磁弁は、前記プランジャに対するエア圧の作用形態を変更することで前記プランジャの往動と復動の向きを切り替えるようになっており、
前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間は、前記プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、前記プランジャに付与されるエア圧によって前記専用流路内の液剤を加圧状態に保持するようになっていることを特徴とする請求項1記載の多液混合装置。
【請求項1】
共用流路と、
複数の液剤を個別に流動させる複数の専用流路と、
前記専用流路と前記共用流路との間を開閉する複数の個別バルブが前記専用流路毎に個別に設けられている混合バルブと、
前記複数の専用流路に個々に設けられ、プランジャを往復移動させて往動と復動の両行程で液剤を吐出するとともに、電磁弁の切替により前記プランジャの往動と復動の向きを反転させるようになっている往復ポンプと、
前記混合バルブの開閉動作と前記往復ポンプの吐出動作を制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、
前記プランジャの往復行程における位置と、前記プランジャの移動方向を検出するプランジャ位置検出部と、
前記プランジャ位置検出部における検出結果に基づき、前記共用流路に対する複数の液剤の投入動作が交互又は順次に行われるように、前記複数の個別バルブを開閉させ、且つ前記個別バルブを開弁して液剤の投入が開始した後は、前記プランジャがその往復行程における死点に達する前にその個別バルブを閉弁状態に切り替えて液剤投入を停止させるバルブ制御部と、
前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、前記電磁弁を切り替えて前記プランジャの次回投入時の移動方向を反転させる電磁弁制御部とを備えていることを特徴とする多液混合装置。
【請求項2】
前記往復ポンプは、エア圧の作用によって前記プランジャを往復駆動させるようになっており、
前記電磁弁は、前記プランジャに対するエア圧の作用形態を変更することで前記プランジャの往動と復動の向きを切り替えるようになっており、
前記個別バルブを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間は、前記プランジャの移動方向が閉弁前とは逆向きとなるようにエア圧の作用形態を変更し、前記プランジャに付与されるエア圧によって前記専用流路内の液剤を加圧状態に保持するようになっていることを特徴とする請求項1記載の多液混合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−588(P2012−588A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139308(P2010−139308)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
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