説明

多発性硬化症における遺伝的重度マーカー

本発明は、個体の多発性硬化症の感受性及び/又は重度の予測におけるSNPの使用に関する。SNPは、HIFIANの3'であるグリコシル化酵素MGAT5及びXYLT1のイントロン、MEGF11、FGF14、PDE9A及びCDH13のイントロン内、並びに4q34及び17p13のデザート領域内に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対象における多発性硬化性の重度との関連性を同定するためのSNPの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性炎症性の脱髄疾患であり、成人の早期から発症することが多い。MSは、複数の遺伝的及び非-遺伝的因子が組み合わさって疾患になるリスクに影響を与えることから、複雑な疾患と考えられる。遺伝的因子の役割の証拠は、強い影響力を有し、双子、異母兄弟及び養子の研究によって支持されている。MSは、通常、再発寛解過程(RR)で始まるが、ほとんどの患者は、後に、二次的進行相(SP)に入り、他の患者は、一般に遅れて発症し、一次的進行(PP)に直接入ることがある。
【0003】
ゲノムスキャンは、HLAクラスII領域から離れたMSにおける主な感受性遺伝子座の存在を除き、数個を超える仮想的な感受性遺伝子座を明らかにできなかった1-3。HLA遺伝子複合体の内で、HLA-DRB1のいくつかのアレルとの関係が示されているが4、HLAクラスI領域においてMSのリスクの独立因子を示唆している証拠もある5-7。ごく最近になって、MSにおけるIL7Ra遺伝子の重要性を支持する証拠が増えている8-10。しかしながら、他の遺伝的リスク因子が同定されずにいることは明らかである。
【0004】
MSに対する感受性は、明らかに複雑な遺伝子特性である。臨床経過及びMSの結果は、大幅に異なっており、ある遺伝子が疾患の誘発に関連する一方、ある遺伝子は疾患の重度に影響を与える役割を有することがあるらしい11,12。MSの重度は、疾患期間の関数としての障害の発症として評価されるが、進行速度は時間によって異なり、患者は改善期間を示すこともあるという事実によって複雑化されることがある。最も広く用いられているMS重度の臨床的評価方法は、総合障害度のスケール(EDSS13)に基づく。典型的には、進行指数(PI=EDSSスコア/年数)は広く使用されてきたが、上記の理由で妨げられている。ごく最近になって、MS重度スコア(MSSS)が新規な方法として提案されており、これは、匹敵する疾患期間を有する患者の障害の分布に対するEDSSのスコアに関し、PIの弱点の一部を補強する14
【0005】
MS重度との可能性のある関係についていくつかの候補遺伝子が試験されている(レビューのために15参照)。それらのほとんどは、MS予後との遺伝子的関連について何の証拠も示さなかった:アポ蛋白ε (APOE、レビューのために16参照)、脊髄小脳性運動失調2 (SCA2)、脳由来神経栄養因子 (BDNF18)、Toll様受容体4 (TLR419)、オステオポンチン20、細胞毒性Tリンパ球関連4 (CD152又はCTLA4) 及びCD2821、及びケモカインCC受容体5 (CCR5) 及びHLA-DRB1*150122。MSの臨床的結果と関連する少数の遺伝子座のみが報告されているにすぎない:染色体2q12-14上のインターロイキン-1遺伝子座は、3個の遺伝子(IL-1α、IL-1β及びIL-1受容体アンタゴニストIL-1RM)を含み、その6個サイトの内、5個の一塩基変異多型(SNP)及び1つのタンデム反復数(VNTR)は、3つの重度カテゴリにランク付けされたEDSSによって測定された重度と関連することが報告された23;インターロイキン-10プロモーターでは、2つのマイクロサテライトマーカーが軽い(PI<0.5)及び重度(PI>0.5)疾患進行カテゴリで区別して表されると報告された24;2つのSNPは、MSカテゴリと関連することが見出されているが(再発寛解型-RR対原発性進行型-PP)、ADAMTS14遺伝子においてMSSSによって測定された予後とは関連しないことが見出されている25;疾患発症及び重度は、CD59a欠損MOG-EAEネズミモデルにおいて増加することが判明している26。しかしながら、これらの研究は、限定された数の個体に基づくものであり、複製はなかった。また、これらの研究のすべては、重度との関連を検出するためにカテゴリアプローチを使用した:患者は、障害体積、EDSS、PI又はMSSSスケールに基づいてカットオフ閾値を選択することによって、軽い/中度/重度又は中度/重度MS形態に分類され、そして、アレル頻度及び遺伝子型はカテゴリ間で比較される。
【0006】
MSの重要性の観点から、マーカー、特にMS患者において有用な遺伝子マーカーを同定する必要性がある。特に、感受性、特に疾患MSの重度を予測ために有用な遺伝子マーカーを同定する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、1つの局面では、遺伝子型を特定する方法であって、以下:a. 個体試料から単離した核酸を使用し;及びb. SNPのrs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、及び/又はrs4315313における核酸種を、ジアレルマーカーの1つ又は2つのアレル、及び/又はこれらのSNPの1以上を有する連鎖不均衡におけるSNPにおいて、決定することを含む、方法に関する。
【0008】
1つの局面では、本発明は、個体における多発性硬化症の重度の予測に使用するための、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、rs4315313からなる群より選ばれる1以上のSNP、これらのSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNPに関する。
【0009】
また別の局面では、本発明は、多発性硬化症の治療を必要としている個体を治療するための方法であって、以下:a.インビボで個体試料に該方法を適用し;b.上記のマーカーの1以上を示すと同定され、そして多発性硬化症の重度のあるレベルを示すと同定されている個体を治療すること、を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はMSSS分布を示す。1,040のMS患者に対するMS重度スコア分布のヒストグラム。
【図2】図2は、重度関連のFDR(偽発見率)評価を示す。FDRは、10,000ラウンドのMSSSシャッフリングで評価し、R <= 100について選択された陽性のRの数に対してプロットした(濃い線)。この曲線は、所定の数の陽性(例えば、40のほとんど関係していそうなSNP(r<40)の90%は偽陽性と推定される)又は所定の偽発見率の陽性数(例えば1つのSNPのみが40%FDR閾値で選択される)について、偽陽性の推定率を示す。斜線は、95%の推定信頼区間の境界を示す。
【図3】図3は、重度の疾患と関連するSNPの例を示す。左の散布図は、全集団のMSSS分布(黒:(1)離れた左カラム)及び主なホモ接合体を有する個体(赤:(2)左から2番目のカラム)、ヘテロ接合体(青:左から3番目のカラム)及び考慮したSNPについてマイナーなホモ接合体(緑:離れた右カラム)を有する個体についてのMSSS分布を表す。横線(resp.ボックス)は、カテゴリ内のMSSS平均を示す(resp.標準偏差)。累積分布関数は右に示す。図3.1:SNP 1デザートchr4、rs6552511。図3.2:SNP 2デザートchr17、rs7221818。図3.3:SNP 3及び4。XYLT1、rs12927173及びrs2059283。図3.4:SNP 5、7及び11。HIF1AN、rs1343522、rs4573623及びrs2495725。図3.5:SNP 6及び12。MGAT5、rs4953911及びrs3814022。図3.6:SNP 8.MEGF11、rs333548。図3.7:SNP 9。FGF14、rs10508075。図3.8:SNP 10。PDE9A、rs2839580。図3.9:SNP 13。MTPN、rs1078922。図3.10:SNP 14。CDH13、rs4315313。
【図4】図4は、XYLT1及びMGAT5におけるSNPの複製を示す。873個の独立した試料の複製データセットについて3個のSNPの関連散布図(図3と同じ凡例)。最初の2つの上のSNPはMGAT5遺伝子に位置し、3番目のSNPはXYLT1遺伝子に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
以下に、本発明は、より詳細に記載される。そこでは、実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されることなく、本発明を例証することを意図するものである。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
IUPAC SNPコード:
本発明は、1つの局面では、遺伝子型を特定する方法であって、以下のステップ:a. 個体試料から単離した核酸を使用し;及びb. SNPのrs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、及び/又はrs4315313における核酸種を、ジアレルマーカーの1つ又は2つのアレル、及び/又はこれらのSNPの1以上を有する連鎖不均衡におけるSNPにおいて、決定することを含む、方法に関する。
【0015】
特定の対象のSNPは、好ましくは、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522及び/又はrs4573623から選択される。
【0016】
1つの実施態様では、本発明に従うそして本発明の方法及び使用において有用なSNPは、少なくとも100個体の少なくとも1つの集団において0.8超のLD関連係数r2、好ましくは0.95超のLD関連係数r2によって表されるように、同定されたSNPの1以上と連鎖不平衡(LD)にあるそのSNPでもある。
【0017】
マーカー、例えばSNPと、本発明に従う多発性硬化症の重度との「関係」は、多発性硬化症の異なった重度レベルを有する患者の2つの患者間のマーカー頻度の統計的な有意差を意味する。
【0018】
多発性硬化症(MS)の「重度」は、例えば、総合障害度評価尺度(EDSS)のようなMSの分野で公知の任意の手段で、あるいは当該分野で他の一般的に使用されている技術もしくは測定又は定義を用いて、本発明に従って表すことができる。本文脈及び当該分野で頻繁に使用されている用語「残存病変活性」は、MS分野で通常適用される任意の測定又は定義によって定義されるように、MS疾患活性のあるレベルを示すもの、例えば、臨床的症状を示すものとして理解されるべきである。ご承知のとおり、他のタイムフレームが定義され使用されてもよい、例えば1年、3年、又は臨床試験プロトコルに通常適用され当業者に周知の他のもの。参照のタイムフレームは、測定及び好適な読み出しを可能にするように選択することができる。同様に適用可能な他の許容された疾患状態測定法も、例えばケンブリッジ多発性硬化症基礎スコア(CAMBS)として適用でき、他のものも当業者によって使用される。当該分野において及び本発明に従って適用することができるMS分野において当業者によって理解されているような様々なMS発病の定義が存在する。したがって、当業者には、本発明を実施する時に適用することができる様々な可能性が存在する。MSの評価又は診断の例は、Kurzke J.F., Neuroepidemiology, 1991, 10: 1-8; Kurzke J.F., Neurology, 1983, 33: 1444-1452; McDonald W.I et al, Ann. Neurol., 2001, 50: 121-127; Polman CH. et al., Ann. Neurol. 2005, 58: 840-846に公表されている。従って、重度マーカー又はSNPは、MS集団に比べて患者における高い疾患重度又は低い疾患重度を示すマーカーを示すことができる。
【0019】
本発明に従って治療される個体は、治療に対して「反応する」だろう。本発明の意味において、MSを有すると診断された、MSに罹患している個体又はMS患者におけるインターフェロン治療者に対する「反応」又は「反応者」は、以下のMS患者のインターフェロン、特にインターフェロンβ1a又は1b、特にレビフ(Rebif)(登録商標)、アボネックス(Avonex)(登録商標)、シノベックス(Cinnovex)(登録商標)、ベタセロン(Betaseron)(登録商標)及びイクスタビア(Extavia)(登録商標)治療の基準に従う疾患重度であると理解される。その反応は、例えば総合障害度評価尺度(EDSS)あるいは当該分野で他に通常使用される技術もしくは測定法又は定義によって、測定された疾患の進行に合わせて増加するものと定義し及び/又は測定することができる。特に、MSの非進行もしくは非悪化又は安定な臨床プロファイル/活性として、又は例えば臨床的兆候におけるMSの改善として理解されるか、あるいは例えばMRI又はCSF(脳脊髄液)分析のような他の手段を用いて測定されるべきである。特に、低い頻度での再発/発病/悪化、又はより軽い再発/発病/悪化として理解することができる。
【0020】
本明細書及びクレームで使用される「a」又は「an」は、特に他に定義しない場合には1以上を意味する。
【0021】
「アレル」は、遺伝子、遺伝子マーカー又は他の遺伝子座の特定の形態であり、それは、例えば、その特定のヌクレオチド配列による限定なしに、該遺伝子、遺伝子マーカー又は他の遺伝子座の他の形態とは区別できる。用語アレルはまた、制限なく、一塩基変異多型(SNP)の1つの形態を含む。個体は、2倍体細胞の特定のアレルについて同型接合でよい、すなわち、2つの対の染色体上のアレルは同一である;又は、前記アレルについて異型接合でよい、すなわち、2つの対の染色体上のアレルは同一でない。「遺伝子マーカー」は、特定可能な多型遺伝子座である。遺伝子マーカーの限定のない例は、一塩基変異多型(SNP)である。「マーカー」は、インターフェロン治療への反応の指標である本発明の文脈において有用な、遺伝子マーカーでも又は任意の他のマーカーでもよく、例えばmRNAとしてのヌクレオチドレベルについて特定の遺伝子の発現レベルである。
【0022】
本明細書で使用される「遺伝子型」は、例えば、個体における一対の(相同の)染色体上の単一遺伝子座においてSNPの限定なく、遺伝子マーカーの2つのアレルの組み合わせを言う。
【0023】
「遺伝子特定」は、個体の遺伝子型を決定するための方法である。
【0024】
「座」又は「遺伝子座」は、染色体又は他の遺伝子材料における特定の位置を言う。
【0025】
「オリゴヌクレオシド」は、ロックされた核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)又は架橋核酸(BNA)を含むがこれらに限定されない、核酸又は核酸誘導体を言い;通常、5〜100連続塩基長、最も頻繁には5〜40、5〜35、5〜30、5〜25、5〜20、5〜15、5〜10、10〜50、10〜40、10〜30、10〜25、10〜20、5〜50、15〜40、15〜30、15〜25、15〜20、20〜50、20〜40、20〜30又は20〜25連続塩基長である。オリゴヌクレオチドの配列は、遺伝的マーカーの任意のアレル体に特異的にハイブリダイズするように設計することができる;かかるオリゴヌクレオチドは、アレル-特異的プローブとして言われる。 遺伝的マーカーがSNPである場合には、該SNPのための相補的アレルはアレル-特異的プローブ内の任意の位置で起こり得る。本発明を実施するのに有利な他のオリゴヌクレオチドは、遺伝的マーカー遺伝子座から1〜約10ヌクレオチド以下、好ましくは約5ヌクレオチド以下に位置する3’末端を有するSNPに隣接した標的領域に特異的にハイブリダイズする。SNPに隣接してハイブリダイズするかかるオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ-介在プライマー伸長において有用であり、本明細書では「プライマー-伸長オリゴヌクレオチド」と言われる。好ましい実施態様では、プライマー-伸長オリゴヌクレオチドの3’-末端は、SNPにまさに隣接して位置するヌクレオチドに相補的なデオキシヌクレオチドである。
【0026】
「多型」は、ヌクレオチド配列が相違するか、又は繰り返しヌクレオチド単位の可変数を有する、遺伝子座の集団における2以上の他の形態(アレル)を言う。多型は、遺伝子のコーディング領域(エキソン)、非-コーディング領域、又は遺伝子の外側で起こる。多型の異なったアレルは、典型的に、ある集団で異なった頻度で起こり、そのアレルは、時には「主な」アレルと言われる選択集団において最も高い頻度でおこる。2倍体生物は、存在する異なったアレルについて同型接合でも又は異型接合でもよい。ジアレル多型は2つのアレルを有する。その方法において、好ましくは、前記ジアレルマーカーでのヌクレオチドの同定は、前記個体のゲノムに存在する前記ジアレルマーカーの2つのコピーについて決定される。当業者に公知の任意の方法を適用することができる、好ましくはその決定はミクロ配列決定アッセイによって決定される。更に、例えばPCRによる前記決定ステップの前に、ジアレルマーカーを含む部分又は配列を増幅することができる。しかし、任意の適用できる方法が使用できる。
【0027】
本発明によれば、遺伝子型特定ステップの結果と、該結果と多発性硬化症の重度とを関係付けることとを相関させるステップを更に含む、ことが好ましい。
【0028】
重度アレルの存在がrs3814022のG、rs4953911のT、rs2059283のA、rs12927173のA、rs2495725のA、rs1343522のG、rs4573623のG、rs333548のT、rs10508075のG、rs2839580のA、rs2495725のA、rs3814022のG、rs1078922のG、及び/又はrs4315313のCによって特徴付けられ、それが多発性硬化症の重度を示す指標であることが、本発明に従う好ましい方法において本発明者らによって現在見出されている。本発明の特定のSNPは、各塩基、A、T、C、Gは、1つのアレルに好ましくは2つのアレルに存在し、したがって、MSの重度の指標である。特に、本発明のSNPは、個体がおそらくMSに重度に罹患していることを示すことができるか、あるいは平均MS集団と比較してMSによってあまり重度に罹患していない指標であるマーカーを表すことができる。
【0029】
従って、本発明者らは、MS集団全体の異なった患者と異なった患者群との相違をつくる、特に疾患の重度に従ってそれらを分類する手段を有利に提供する。このことにおいて、当該分野の分子生物学的方法及び機器の手段状況は、例えばPCR及びPCRサイクラーに適用され、統計のアルゴリズムは一般的に当業者に公知である。従って、患者は、例えば非常に重度の、中度に重度の、ほとんど重度でない及びわずかに重度のMSSSに従って、その予測されたMS重度としてグループ分けされてよい。本発明は、従って、このステージ及び疾患の重度に従ってかかる患者をよりうまく扱うための意味を有する手段を提供する。特に、個体患者のレベルで治療投薬及び治療スキームをよりうまく採用することができるだろう。
【0030】
好ましい局面では、本発明は、個体における多発性硬化症の重度の予測に使用するための、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、rs4315313から成る群より選ばれる1以上のSNP、これらのSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNPに関する。
【0031】
別の局面では、本発明は、個体における多発性硬化症の重度を予測する方法であって、以下:a.前記個体試料由来の核酸を使用し;b.公知の方法によって前記個体における有用な遺伝子マーカーの存在を同定し;及びc.ステップb)の結果に基づいて、前記個体の多発性硬化症の重度の予測を行うこと、を含む、方法に関する。
【0032】
前記方法では、遺伝子マーカーは、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、rs4315313から成る群より選ばれる1以上のSNP、これらのSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNPに関する。
特定の対象のSNPは、好ましくは、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522及び/又はrs4573623から選択される。
【0033】
更に別の局面では、本発明は、多発性硬化症の治療を必要としている個体における該疾患の治療方法であって、以下のステップ:a.前記の方法を個体試料に適用し;b.前記個体にインターフェロンを適用することによって治療すること、ここで、該個体は、1以上のマーカーを示すと同定され、該個体の多発性硬化症の重度が決定されている、を含む方法に関する。あるいは、本発明は、多発性硬化症患者を治療するためのインターフェロンの使用、又はその治療において使用するためのインターフェロンに関し、該患者は、本発明のSNPの少なくとも1つの重度アレルを有するか又は示すと同定されていることを特徴とする。更に別の局面では、本発明は、患者におけるMS重度の診断において及び前記患者の疾患重度に従って前記患者の治療を選定することにおいて使用するための本発明のSNPに関する。
【0034】
前記方法又は使用において特定の対象のSNPは、好ましくは、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522及び/又はrs4573623から選択される。
【0035】
したがって、本発明は、インターフェロン投薬量及び/又は治療時点を階層化及び調整するために特に有利に使用することができる。可能な方法は高投薬量治療でよく、MSの臨床的兆候前の治療はMSに高度に重度に罹患したと同定された患者において見られる。MRIは患者の疾患状態を分析するために適用することができ、これらの結果に従って、患者の群分け/分類は上で指摘した方法で行うことができる。MSに重度に罹患するだろうMS患者であり、該疾患を早くから管理するために初期の時点で治療するべきである、という高いリスクを有する本発明に従って同定されたMS患者には特に有利であろう。従って、十分なインターフェロン治療及び投薬量のような好適な手段が選択できる。加えて、患者の認識は、治療のコンプライアンスを支持することになる。高いコンプライアンスはまた、治療結果に対してそれ自体正の効果及びその効率を有する。
【0036】
好ましくは、インターフェロンβ(IFN)は、インターフェロンβ1a又は1bである。インターフェロンβの例は、Rebif(登録商標)、Avonex(登録商標)、Cinnovex(登録商標)、Betaseron(登録商標)又は Extavia(登録商標)である。
【0037】
上記の方法又は使用において投与されるIFNの投薬量は、個体に対する単一又は複数の投薬量として、患者群分けの結果に加えて、薬物動態学的性質、投与経路、患者の症状及び特性(性別、年齢、体重、健康状態、体の大きさ)、症状の程度、同時治療、治療頻度及び望まれる効果を含む様々な因子に因って変動することになる。
【0038】
ヒトIFNβの標準的な投薬量は、80 000 IU/kg〜200 000 IU/kg/日、又は6 MIU(100万国際単位)〜12 MIU/人/日、又は22〜44 μg(マイクログラム)/日の範囲である。本発明によれば、IFNは、好ましくは、約1〜50μg、より好ましくは約10〜30μg又は約10〜20μg/人/日の投薬量で投与することができる。
【0039】
本発明に従う活性成分の投与は、静脈内、筋肉内又は皮下経路によるものでよい。IFNの好ましい投与経路は皮下経路である。
【0040】
IFNは、低い頻度で、毎日又は隔日投与してもよい。好ましくは、IFNは週に1回、2回又は3回投与される。
【0041】
好ましい投与経路は、皮下投与であり、例えば週に3回投与される。更に好ましい投与経路は、例えば週に1回適用してよい筋肉内投与である。
【0042】
好ましくは、IFN-βの22〜44 μg、又は6 MIU〜12 MIUが、皮下注射によって週に3回投与される。IFN-βは、25〜30 μg、又は8 MIU〜9.6 MIUの投薬量で、隔日に皮下的に投与されてもよい。30 μg又は6 MIUのIFN-βは、週に1回、筋肉内に投与してもよい。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は、本発明を限定するものと理解するべきでない。以下の実施例は、本発明を例証するために役立つ本発明の好ましい実施態様を示す。
【0044】
本実施例は、(i)ゲノム全体(すなわち仮説なし)及び(ii)分類なし(すなわち、連続的)である、重度のマーカーを同定するための方法の結果を、本発明の好ましい実施態様で示す。第1に、MS患者の3つの集団(n = 1,040)を、フランス、スウェーデン及びイタリアの病院から募り、Affymetrix Genechip(登録商標)500K技術を用いて約500,000 SNPのゲノム全体について遺伝子型と特定した。MS重度は、MSSSによって連続的にスコアし、そして、各マーカーのアレルについてホモ接合体患者におけるMSSS分布間のノンパラメトリックテストによって、最も頻度の高い多型(約105,000 SNP)の遺伝子型との関係を評価した。複数の試験における問題は、偽発見率(FDR)推定によってコントロールした。この方法は、8個の異なった遺伝子及び2個のデザート領域に位置する、14個の重度マーカーの同定をもたらした。第2に、873人のMS患者の独立した複製集団においていくつかのマーカーを遺伝子型特定した。2つのグリコシル化酵素遺伝子を特定し、これはMSにおけるグリカン制御の重要性を支持する。
【0045】
材料及び方法
収集
フランス、イタリア及びスウェーデン出身の総数1,040人の無関係な患者を「スクリーニング」データセットに含み、フランス及びスウェーデン出身の873人の無関係かつ独立した患者を「複製」データセットに含んだ(表1)。すべての対象はカフカス人であり、マクドナルド基準27に従った多発性硬化症の診断であり、その疾患過程は、再発寛解型、二次的進行又は原発性進行のいずれかに分類された28。Kurtzke EDSSを用いて不可能性をスコアした。平均年齢は43.8歳で、平均EDSSスコアは3.6で、性別の比は2:1の女性対男性であった。遺伝子分析のためのインフォームドコンセントは、すべての個体について得、地方の倫理委員会は試験プロトコルを承認した。
MS患者の詳細な人工統計的及び臨床的特徴は、スクリーニング及び複製データセットについて表2に示されている。疾患期間は、試験でのデータの記入時のほとんどのケースで、最初の症状の発症の年からEDSS評価をした最後の試験の年までの年数として定義されている。発症時の年齢は、脱髄疾患を示唆する神経不全の最初のエピソードと定義された。
【0046】
不可能性のランク付け
Kurtzke EDSSは、MS患者の不可能性についてほとんど広く使用されている手段であるが、進行速度を記載する点での基準であるパラメータである、疾患期間を考慮しない。このような理由により、我々はMSSSを使用し14、これは、横断的基準において個々の患者において疾患重度の手段を提供するものである。このスケールは、匹敵する疾患期間を有する患者の大きなデータセットにおいて不可能性の分布に対するEDSSのスコアに関する。MSSSは、14に記載のMSSStestソフロウェアプログラムv2.0を用いて計算する。
【0047】
遺伝子型特定及び品質管理
スクリーニングデータセットのDNA試料は、Affymetrix GeneChip(登録商標)ヒトマッピング500K技術を用いて独立に試験した。Affymetrixによって選択された497,641のSNPの遺伝子型は、B-RLMMソフトウェアプログラムを用いて各DNA試料について必要とし、これは、97%の最小の度数を確実にする。常染色体由来のSNPのみを分析のために保存した。非常に低い遺伝子型頻度に起因する偏見を避けるために、低いマイナーなアレル頻度を有するマーカー(MAF<30%)又は高い率の欠落データ(非特定DNAの割合>5%)を除外した。我々は、非常に頻度の高いマーカー(MAF>30%)に焦点を合わせるように選択する、これは、ハーディー・ワインベルクの法則下で9%超の最小のマイナーホモ接合体頻度(及び、平均で100超のマイナーホモ接合体集団サイズ)を確実にする。複製データセットのDNA試料は、Applied BioSystems TaqMan(登録商標)遺伝子型特定アッセイを用いて、選択したSNPについて独立に遺伝子型特定した。
【0048】
重度スキャン
すべてのSNPについて、ウイルコクスン順位和検定29は、各マーカーのアレルについてホモ接合の患者に対応するMS重度スコアの2つのセットについて行った。このノンパラメトリック試験は、すべてのSNPに確率値(p-値)を割り当てる。スクリーニングデータセットについては、偽発見率(FDR)は以下の順列によって推定される:(i)帰無分布は、MS重度スコアをシャッフルし、ウイルコクスンp-値を再計算し、そのプロセスを10,000回繰り返すことによってシミュレートされ;(ii)FDRはすべてのp-値の閾値について以下のように計算される。α:FDR = min(1, p.m/R)、ここでRはレベルαでの陽性数(αよりも小さいp-値を有するSNPの数)、mは行った試験数(スキャンしたSNP数)、そして、順列の先のステップによって推定されるように、pは帰無仮説下でのαより小さいp-値を有する確率を示す。
【0049】
ゲノム分析
SNPは、NCBI v36ヒトゲノム配列に位置した。遺伝子構造(エクソン及びイントロン)注釈は、ENSEMBLリリース4332から入手した。ハプロ型及びLDマトリックスは、0.8 D'伸張カットオフを有するLD法のソリッド−スパインを用いるHaploView33を用いて、計算した。
【0050】
結果
1,040患者について、MSSSは、0.086〜9.964の範囲で、平均して4.42(標準偏差2.79)であった(図1の全体的な分布を参照)。497,641のSNPのうちで、105,035(21%)は、フィルター基準を切り抜け、分析に使用した。これは、そのゲノムの63%をカバーした。
【0051】
観察された結果のFDRは、10,000ラウンドのMSSSシャッフリングによって推定し、100の最小p-値について図2にプロットした。FDRは高く始まり(約50%)、80%のプラトーに速く上昇し、次いで1の方向にゆっくりと集中する。95%の信頼区間の低境界を考慮すると、40%FDR閾値は14のSNPを選択した(表3)。これらのSNPは、(最初の30% MAFフィルターによって確実となる)頻度の高い遺伝子型に相当し、ハーディワインベルグ平衡下にすべてあった。選択は、1.4e-4の重度p-値カットオフに相当する。遺伝子型とMSSSと相関関係を図3に示す。
【0052】
古典的なカテゴリ的アプローチでは、MSSSスケールは、カテゴリ例えばMSの軽い及び重度形態で分けられ、古典的な関連研究は、これらの2つのカテゴリの遺伝子型の相違を検出するために行う。例えば501の軽いMS形態(MSSS<4)及び356の重度MS形態(MSSS>6)の2つの群を用いて我々のデータセットに適用すると、我々は、FDRによる複数の試験修正後に任意の顕著に関連したSNPを検出し損なった31。例えば、SNP rs7221818(我々の連続方法では2にランクされる、表3を参照)は、カテゴリ的アプローチでは67にランクされ(遺伝子型p-値 = 6.7e-4)、この選択に関してFDRは80%と推定された。第1にランクされたSNP rs6552511のみが、様々なMSSS閾値を用いて(データ非表示)カテゴリ的アプローチによって検索される。これらの14のSNPが連続スキャン方法によって選択されると、しかしながら、古典的な分類相対的リスク及びオッズ比の点からそれらを分析することも可能である:マイナー遺伝子型の9個は、より高いMSSSに関連し(1.5〜2.3の範囲の相対的リスク)、そのうちの5個は、より低いMSSSに関連している(0.4〜0.8の範囲の相対的リスク、詳細については表参照)。
【0053】
本発明に従うこれらのSNPは、ヒトゲノム配列にマップし、ENSEMBLの遺伝子表記と比較する。マッピングの詳細は表4に示す。2つのSNP(rs6552511及びrs7221818)は、デザート領域に位置する(最も近接した遺伝子は、100 kb超離れて位置する)。他の12のSNPは、8遺伝子から100 kb以内離れている。これらの遺伝子の中には(XYLT1、HIF1AN及びMGAT5)は、遺伝子内の連結平衡(LD)重度ブロックを定義する数個のSNPによって表されるものもある。染色体10上のHIF1ANの3'に位置する3つのマーカーは、HIF1AN遺伝子構造の任意の部分を含まないLDブロックにあるか(そのブロックは、HIF1ANストップコドンから50 kb離れている)、又は任意の公知のHIF1AN制御領域を含まないLDブロックにある。rs1078922 SNPは、MTPN遺伝子の5'から22 kbに位置している。他のSNPは、割り当てられた遺伝子のイントロンに含まれる、すなわち、XYLT1の第1のイントロン(2つのSNP)、MGAT5の第2のイントロン(2つのSNP)、MEGF11の第8のイントロン、FGF14の第3のイントロン、PDE9Aの第7のイントロン、及びCDH13の第2のイントロン。
【0054】
XYLT1及びMGAT5のシグナルを複製した。なぜならば、(i)それらのシグナルは、技術的複製そのものとして考えられる、LDの複数のSNPによって表され、(ii)これらの2つの遺伝子は、グリコシル化酵素をコードし、生物学的に興味深い候補である(考察を参照)。3つのSNPは、2つの遺伝子において選択される:XYLTIにおいてrs12927173、MGAT5においてrs3814022及びrs4953911(第2のSNPであるrs2059283は、XYLT1において選択したが、製造者はプライマーを送達することができなかった)。複製データセット(n = 873)におけるこれらの3つのSNPのp-値は、それぞれ、0.42、1.31e-2及び3.76e-3である(図3及び表5)。次いで、MS重度との関係は、MGAT5 SNPのためのこの独立したデータセットにおいて複製する。2つのデータセットのp-値はすべて、rs3814022及びrs4953911について、それぞれ、2.81 e-6、1.54e-7であった。XYLT1におけるSNP(rs12927173)について、その関係は、複製データセットでは再生されない(p = 0.42)。しかし、2つのデータセットのp-値全体は、なお有意である(p = 1.88e-4)。
【0055】
我々は、疾患の重度と関連するマーカーを同定するために1,000人超のMS患者のゲノム全体のスキャン分析を行った。プロセス全体は、非注釈付き領域における2つのマーカー、HIF1AN遺伝子に近いLDブロックにおける3つのSNP、MTPNの5'領域における1つのSNP、及び6つの他の遺伝子内の8つのマーカー、の同定をもたらした。2つの遺伝子中の3つのマーカーを選択し、独立した複製集団において遺伝子型特定した、このことはMGAT5と疾患重度との関係の確認をもたらすものである。我々は、これらの結果を可能にする臨床的及び方法論的選択について考察し、次いで、選択され及び複製された重度遺伝子の生物学的関係に焦点を合わせる。
【0056】
不可能性の単一の断片的評価を用いてMSにおける進行を測定するための合意した方法はない。MSSSは、遺伝子関連研究において疾患の進行を比較するための強力な方法として最近開発された。それは、個体の不可能性を、同等な疾患期間を有するケースのスコア分布と比較する疾患期間について、不可能性の幅広く受け入れられた手段、EDSSを調整する。MSSSは、通常割り当てられる1つの変数においてEDSSと疾患期間とを合わせるので、MSSSは、統計的評価について非線状EDSSよりも優れている可能性がある。我々の3つの集団では、MSSS分布は均一ではない。このことは、疾患の過程の点から、集団の異なった組成によって説明され、公知の観察者間変動によっても説明される(収集は3つの異なった病院からくるので)。不可能性手段評価のこの異種性は、特に、分類を定義するために任意のMSSSカットオフ閾値を用いる場合には、関連結果に対して顕著な影響を有することがある。
【0057】
(候補遺伝子の)先に公表された研究は、典型的には、軽いMS亜集団と重度のMS亜集団との関連試験を実施する。我々のケースでは、異なったMSSS閾値を用いる同様のカテゴリ的アプローチは、任意の顕著に関連したマーカーを検出し損なった。EDSSは部分的に(そして時には主観的に)MS予後に影響を与えるだけであるため、EDSS(又はEDSS由来の)スコアに対するカットオフ値を用いることは、おそらく、均一な重度の亜集団を定義するには非常に恣意的でかつ不十分である。従って、臨床的スコアと共に、連続アプローチはより好適に見える。スキャンについては、我々は、ヘテロ接合体を無視し、すべてのSNPについてモホ接合体であるMS患者間の2つのサンプルU検定を実施する、ように選択した。それは、3つのサンプルについての古典的な線状回帰法には2つの統計的利点を有する。第1に、ヘテロ接合体患者は、重度のリスクの追加モデルではそのケースであろう(2つのホモ接合体群の重度間で)中度のMS重度を有すると推定されない。1つのアプローチは、理論的に、リスクアレルの優勢又は劣性伝達モードの検出を可能にする。第2に、ウイルコクスン順位和検定はノンパラメトリック検定である:それは非-ガウスMSSS分布にも当てはまる。対応物方法として、この方法は、おそらく、稀なマーカーには力不足である。我々は、次に、マイナー遺伝子型の頻度がハーディワインベルグ平衡の下で9%超であり、我々の篩分けられた集団(n>100)ではうまく現れる、頻度マーカー(MAF>30%)に焦点を合わせた。このフィルタリングは、理に適ったゲノム範囲を維持しながら(63%)、劇的に分析したSNPの数を減少させ(105,035まで減少)。より大きなサンプルサイズは、この方法を用いるそれほど高くない頻度マーカーを探索するために必要とされるだろう(例えば20%マーカーについて2,500個体、10%マーカーについて10,000個体)。我々は、集団全体のMSSS分布が均一ではなく、一般的にSNP遺伝子型当たりのMSSS分布がガウスではないことを帰納的に見ることができる(図1及びSNP例図3)。最後に、複数の試験をする問題を考慮することは重要である。保存的なファミリーごとのエラー率の推定法(例えば、ボンフェローニ補正)を用いると、SNPは選択されない。このことは、我々は、偽陽性のないことを推定するマーカーセットを選択することができないことを意味している。我々は、複数の試験のためにコントロールするためのFDR推定を使用することを好んだ。なぜならば、それはより柔軟性があり(必ずしも0%でない偽陽性の所定の割合を可能にする)、マーカー間の依存を考慮する31
【0058】
FDR制御アプローチは、14個のマーカーの選択をもたらした。2つの最初にランク付けされたSNPは、軽い(msss<2)と重度(MSSS>8)臨床結果との重要なマイナーな遺伝子型頻度差を示し(相対的リスクは約2.2である)、MS重度について対象のマーカーである。しかし、それらは、非注釈付きゲノム領域に位置し、そのため、疾患予後に対するその機能性の影響に関する仮説をつくることができない。他のSNPは、注釈付き遺伝子に範囲に入るか又は近い。それらのうちで、MGAT5は、特に生物学的に興味深い。MGAT5(GNT-Vとしても知られている)遺伝子は、細胞表面に結合したβ-1,6 GlcNAc-分岐N-結合グリカンの合成及び分泌された糖タンパク質に関連する酵素である、β-1,6 N-アセチル-グルコサミニルトランスフェラーゼをコードする。マウスでは、MGAT5欠損は、腫瘍成長に保護的な役割を果たし34、野生型と比べて実験的な自己免疫脳脊髄炎(EAE)に対する向上した感受性に関連する35。MGAT5欠損は、抗原提表面にリクルートされたT-細胞受容体の数を増加し、よって、CD28の補助因子会合のリクルートを減少させる。CD28及びMGAT5は、T-細胞活性化閾値の調節因子及び免疫疾患への感受性に反する役割を果たす。CD28とMS重度との関係は従来試験してきており、有意でないことが明らかとなっている21。更に、β-1,6 GIcNAc-分岐N-結合グリカンの発現は、Th1細胞分化を選択的に阻害し、Th2細胞の局在化を亢進する。不完全なグリコシル化も、MS患者由来のリンパ単球で観察される:25〜30%のGCNT1(別のグルコサミニルトランスフェラーゼ)活性の減少は、MSの急性臨床相の発生及び再発寛解における活性損傷の存在と関連する37。そのため、我々は、MS予後とMGAT5との関係、及びMS予後とβ-1,6 GlcNAc-分岐N-結合グリカンとのより一般的な関係を支持する。MGAT5のように、XYLT1(キシロシルトランスフェラーゼI, XT-I)は、グリコシル化に関連した酵素である。XYLT1は、グリコサミノグリカン(GAC)含有プロテオグリカンの生合成に関連する鎖開始酵素である。プロテオグリカンは、糖タンパク質の広いグループであり、2つの主なタイプ、すなわちコンドロイチン硫酸(CSPG)及びヘパリン硫酸(HSPG)がある。ほとんどのCSPGは、細胞から分泌され、細胞外マトリックス(ECM)の形成に関与する。CSPGは、哺乳動物のCNSに発現するプロテオグリカンの最も多いタイプであり、軸策成長、細胞移動、及び特にそのGAG鎖を介する柔軟性に影響を与えるバリア分子として主に働く。成人CNSへの損傷は、グリア性瘢痕の形成を引き起こし、CSPGを含むいくつかのECM分子を上流調節するグリア細胞(主に、反応性星状細胞、小膠細胞及び希突起膠細胞前駆体)を増殖させ移動させることから成る。グリア性瘢痕のプロテオグリカンは、保護的役割を果たすことがあるが、グリア性瘢痕及びその関連するCSPGは、損傷CNSニューロンの軸策再生に対する主な障害の1つである。MSでは、ECM分子の変化が報告されており、活性MS損傷における生産過剰及び基底膜構成成分の枕積が見られ、軸策欠損の原因となる39。従って、XYLT1はGAG鎖伸張及びCSPG合成を開始するので、2つのチームは、この酵素のmRNAを標的とし及びCSPGの減少を示すDNA酵素を開発してきた40,41。MSとのこの関連に加えて、XYLT1は、臨床的分類と関連する全身性硬化症を有する患者の血清において増加した活性を示している42。選択された重度マーカーに帰属された他の遺伝子は、HIF1AN(低酸素誘導因子1α)、MEGF11(複数のEGF-様ドメイン11)、FGF14(線維芽細胞成長因子14)、PDE9A(ホスホジエステラーゼ9A)、MTPN(ミオトロフィン)及びCDH13(カドヘリン13)である。顕著なマーカーが、MS重度と関連する先に報告された領域において見出されている23-26
【0059】
MGAT5及びXYLT1は、同様なグリコシル化の役割を共有する生物学的に関連する候補なので、我々は、独立集団の実験を模倣することに決定した。その結果として、MGAT5の2つのSNPは明確に確認され、XYLT1の1つのSNPは複製データセットでは関連が見出されなかった。
【0060】
結論として、我々が行った第1ゲノム全体のMS重度スキャンは、疾患予後に関連するマーカーの仮説なしの同定をもたらした。疾患進行の根底にある分子メカニズムの理解は、感受性因子の検索と並行して解決されるべき重要な点である。主な同定された遺伝子のうちの2つ、MGAT5及びXYLT1は、グリコシル化プロセスに関連し、よってMSにおけるグリコシル化制御の重要性を確認するものである。これらの2つのうちで、MGAT5は、独立複製データセットで確認され、一方、XYLT1複製は我々の研究ではより矛盾する結果をもたらした。グリカンは、免疫防御を含む複数の生理学的システムとの関連で分子相互作用を調整する極めて重要な役割を果たし、グリコシル化は、免疫反応の全体的制御において重要な役割を有することが判明している43,44。タンパク質グリコシル化は、自己免疫疾患の病因においてメカニズム的に重要である:いくつかの証拠は、MS、リウマチ様関節炎(RA)及び糖尿病における「残余のエピトープが自己免疫疾患を起こす(REGA)モデル」を支持する45。このモデルによれば、自己反応性Tリンパ球に提示される残余のエピトープに糖タンパク質を開裂して、自己免疫反応を維持する、自己免疫プロセスは、サイトカイン、ケモカイン及びプロテイナーゼに関連する。このような残余のエピトープを与える基質の例は、MSにおけるミエリン塩基性蛋白、αB-クリスタリン及びインターフェロンβ、及びRAにおけるII型コラーゲンを含む46。REGAモデルは、動物モデルを使用してインビボで試験し、MS又はRAのためのゲラチナーゼBのようなプロテイナーゼの阻害が有利な効果をもたらすので、興味深い治療的意味を有することができた47,48
【0061】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子型を特定する方法であって、以下のステップ:
a. 個体試料から単離した核酸を使用し;及び
b. SNPのrs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、及び/又はrs4315313における核酸種を、ジアレルマーカーの1つ又は2つのアレル、及び/又はこれらのSNPの1以上を有する連鎖不均衡におけるSNPにおいて、決定すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記ジアレルマーカーのヌクレオチドの同定が、前記個体ゲノムに存在する前記ジアレルマーカーの2つのコピーについて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記決定がミクロ配列決定アッセイによって行われる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記決定のステップの前に、ジアレルマーカーを含む配列の一部を増幅することを更に含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記増幅がPCRによって行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
遺伝子型特定のステップの結果を多発性硬化症の重度と相関させるステップを更に含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
rs3814022のG、rs4953911のT、rs2059283のA、rs12927173のA、rs2495725のA、rs1343522のG、rs4573623のG、rs333548のT、rs10508075のG、rs2839580のA、rs2495725のA、rs3814022のG、rs1078922のG、及び/又はrs4315313のCの存在が、前記個体の多発性硬化症の重度を示す、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
個体における多発性硬化症の重度の予測に使用するための、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、rs4315313から成る群より選ばれる1以上のSNP、これらのSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNP。
【請求項9】
個体における多発性硬化症の重度の指標である方法であって、以下:
a.前記個体試料由来の核酸を使用し;
b.公知の方法によって前記個体における有用な遺伝子マーカーの存在を同定し;及び
c.ステップb)の結果に基づいて、前記個体の多発性硬化症の重度の予測を行うこと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記遺伝子マーカーが、rs3814022、rs4953911、rs2059283、rs12927173、rs2495725、rs1343522、rs4573623、rs333548、rs10508075、rs2839580、rs2495725、rs3814022、rs1078922、及び/又はrs4315313から成る群より選ばれる1以上のSNP、これらのSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNPである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1記載のSNPの1以上と連鎖平衡(LD)にあるSNPが、少なくとも100個体の少なくとも1つの集団において0.8超のLD相関係数r2によって、好ましくは0.95超のLD相関係数r2、又は平均推定絶対値D'が0.95以上であるLDを有することによって特徴付けられる、請求項1〜7、9及び10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
多発性硬化症の治療を必要としている個体における該疾患の治療方法であって、以下のステップ:
a.請求項1〜7及び9〜11のいずれか1項記載の方法を適用し、
b.インターフェロンβで該個体を治療すること、ここで、該個体は1以上のマーカーを示すと同定され、該個体の多発性硬化症の重度が決定されている、
を含む、方法。
【請求項13】
多発性硬化症であると診断されるか又は多発性硬化症を有する個体の治療において使用するためのインターフェロンβであって、該個体は、rs3814022のG、rs4953911のT、rs2059283のA、rs12927173のA、rs2495725のA、rs1343522のG、rs4573623のG、rs333548のT、rs10508075のG、rs2839580のA、rs2495725のA、rs3814022のG、rs1078922のG、及び/又はrs4315313のCの存在を、少なくとも1つのアレルにおいて示す、インターフェロンβ。
【請求項14】
前記インターフェロンβがインターフェロンβ1a又は1bである、請求項12記載の方法又は請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記インターフェロンβが、Rebif(登録商標)、Avonex(登録商標)、Cinnovex(登録商標)、Betaseron(登録商標)又はExtavia(登録商標)である、請求項13記載の方法又は使用。

【図1】
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【図2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図3.3】
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【図3.4−1】
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【図3.4−2】
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【図3.5】
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【図3.6】
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【図3.7】
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【図3.8】
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【図3.9】
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【図3.10】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−521748(P2012−521748A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501305(P2012−501305)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053871
【国際公開番号】WO2010/127906
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(309025524)メルク セローノ ソシエテ アノニム (49)
【Fターム(参考)】