多相材料発電機車両
【課題】効率的、効果的、しかも環境上安全に、車両を推進するためのシステム及び方法を開発する。
【解決手段】多相材料及び圧縮空気を使用する空気駆動式発電機によって駆動される車両に関するシステム及び方法を開示する。
【解決手段】多相材料及び圧縮空気を使用する空気駆動式発電機によって駆動される車両に関するシステム及び方法を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の諸実施形態は、空気駆動式車両(air-driven vehicle)に関し、特に、車両を推進するための電気を発生するための多相材料発電機(multiphase material generator)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 現在、車両の分野では、車両を推進するために燃料源を使用することが一般的な慣習になっている。このような装置は、一般に、それに関連する重大な非効率のために運転時に不満足なものであることが分かっている。具体的には、このような車両の構築に伴う膨大な重量並びに短距離であってもこのような車両を推進するのに必要な大量の燃料がその構築を非実用的なものにしている。車両に関連する問題の多くは、燃料が希少資源であることと、その燃焼によって環境上有害な煙霧を生成することが中心になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 従って、効率的、効果的、しかも環境上安全に、車両を推進するためのシステム及び方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本発明の一実施形態によれば、車両を推進するためのシステムは発電機を含み、その発電機は電気エネルギを捕獲し、その電気エネルギを少なくとも1つの車輪内のモータに伝達する。
【0005】
[0005] 本発明のその他の態様及び特徴は、特許請求の範囲のみに定義されるように、添付図面に関連して本発明に関する以下の非限定的な詳細説明を検討すると、当業者にとって自明のものになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0006]本発明のいくつかの実施形態による車両及びその車両を推進するためのシステムの一例である。
【図2】[0007]いくつかの態様による図1のシステムの一例のブロック図である。
【図3A】[0008]いくつかの態様による発電機システムのブロック図の一例である。
【図3B】[0009]いくつかの態様による発電機システムの一例である。
【図3C】[0010]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3D】[0010]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3E】[0011]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3F】[0012]いくつかの態様による図1の発電機の上面図である。
【図3G】[0013]いくつかの態様による運転時の発電機の一例である。
【図4A】[0014]いくつかの態様による発電機の他の例を示す図である。
【図4B】[0014]いくつかの態様による発電機の他の例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の諸実施形態は、空気駆動式車両(air-driven vehicle)に関し、特に、車両を推進するための電気を発生するための多相材料発電機(multiphase material generator)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 現在、車両の分野では、車両を推進するために燃料源を使用することが一般的な慣習になっている。このような装置は、一般に、それに関連する重大な非効率のために運転時に不満足なものであることが分かっている。具体的には、このような車両の構築に伴う膨大な重量並びに短距離であってもこのような車両を推進するのに必要な大量の燃料がその構築を非実用的なものにしている。車両に関連する問題の多くは、燃料が希少資源であることと、その燃焼によって環境上有害な煙霧を生成することが中心になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 従って、効率的、効果的、しかも環境上安全に、車両を推進するためのシステム及び方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本発明の一実施形態によれば、車両を推進するためのシステムは発電機を含み、その発電機は電気エネルギを捕獲し、その電気エネルギを少なくとも1つの車輪内のモータに伝達する。
【0005】
[0005] 本発明のその他の態様及び特徴は、特許請求の範囲のみに定義されるように、添付図面に関連して本発明に関する以下の非限定的な詳細説明を検討すると、当業者にとって自明のものになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0006]本発明のいくつかの実施形態による車両及びその車両を推進するためのシステムの一例である。
【図2】[0007]いくつかの態様による図1のシステムの一例のブロック図である。
【図3A】[0008]いくつかの態様による発電機システムのブロック図の一例である。
【図3B】[0009]いくつかの態様による発電機システムの一例である。
【図3C】[0010]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3D】[0010]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3E】[0011]いくつかの態様による発電機の一例である。
【図3F】[0012]いくつかの態様による図1の発電機の上面図である。
【図3G】[0013]いくつかの態様による運転時の発電機の一例である。
【図4A】[0014]いくつかの態様による発電機の他の例を示す図である。
【図4B】[0014]いくつかの態様による発電機の他の例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を移動させるための部材を含む車両であって、前記移動部材が発電機システムに接続され、そこからエネルギを受け取る、車両を備え、
前記発電機システムは、多相材料(MPM)及び圧縮空気を使用して運動エネルギを電気エネルギに変換する、
装置。
【請求項2】
前記発電機システムは、発射管と、前記発射管に圧縮空気を送り出すように構成されるエアマニホルドと、を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記発射管は、MPM材料及び加圧空気を受け入れ可能な中空構造を有する、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記発電機システムは、前記発射管に圧縮空気を送り出すための空気圧縮機をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記発電機システムは、前記圧縮空気を前記発射管に定時的に導入するための高速動作弁をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記発電機システムは、前記車両を移動させるための前記移動部材に対し、発生させたエネルギを送り出すための制御電子機器をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記発電機システムは、前記MPMを受け入れ、電気エネルギを捕獲し、前記電気エネルギを前記車両の電子機器に伝達する発電機をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記発電機システムは、前記MPMが前記発電機によって受け入れられた後に前記MPMを受け入れるためのリザーバをさらに有し、前記発電機システム内で前記MPMを再利用できるように前記リザーバが前記発射管に接続される、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記車両は自動車を含み、前記移動部材は前記自動車の車輪を含む、
請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記車両は、自動車、トラック、オートバイ、機関車、ボート、トレーラ、又はゴルフカートのうちの1つを含む、
請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記MPMは、砂とガスの混合物を含む、
請求項1記載の装置。
【請求項12】
多相材料(MPM)を使用する発電機システムを有する車両を操作するための方法であって、前記方法は、
前記発電機システムの発射管に前記MPMを提供することと、
前記発射管に十分な力の圧縮空気を送り出し、前記MPMが前記発射管から発電機内に移動できるようにすることと、を含み、
前記発電機が前記MPMを受け入れるように構成され、それにより電気エネルギを捕獲し、前記電気エネルギを自動車の電子機器に伝達する、
方法。
【請求項13】
前記発射管に前記圧縮空気を送り出すことは、定時的に高速動作弁を介して圧縮空気を送り出すことを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記発電機は、前記電気エネルギをエネルギ貯蔵部材に伝達するように構成される、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記発電機は、前記電気エネルギをパワー・コントローラに伝達するように構成され、前記自動車の車輪が回転し、それにより前記自動車を移動させるように、前記パワー・コントローラが前記自動車の前記車輪の車軸に動力を送り出すように構成される、
請求項12記載の方法。
【請求項16】
発電機システムと、車両を移動させるための回転部材と、を備え、
前記発電機システムは、
第1の端部と第2の端部とを含む発射管と、
前記発射管の第1の端部に接続された発電機と、
前記発射管から前記発電機に多相材料(MPM)MPMを送り出すように構成された送り出しシステムと、
前記車両の前記回転部材と前記発電機を接続する接続システムと、を有し、
前記発電機は、前記MPM及び圧縮空気を使用して電気エネルギを生成し、前記電気エネルギを前記車両の前記回転部材に伝達する、
車両。
【請求項17】
前記送り出しシステムは、エアマニホルドと、圧縮空気のリザーバと、高速動作弁と、を有し、前記圧縮空気リザーバが前記高速動作弁を介して前記発射管に圧縮空気を送り出せるように、前記エアマニホルドが前記圧縮空気リザーバを前記発射管に接続する、
請求項16記載の車両。
【請求項18】
前記MPMは、砂とガスの混合物を含む、
請求項16記載の車両。
【請求項19】
発電機システムと、車両を移動させるための回転部材と、を備え、
前記発電機システムが、
発射管と、
前記発射管に接続された発電機であって、多相材料(MPM)及び圧縮空気を使用して前記MPMの運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、を有し、
前記発電機は、
前記MPMがそれに最も近接して移動する時に電力を発生する二次コイルを有する、
車両。
【請求項20】
前記MPMは、軟磁性材料を含む、
請求項19記載の車両。
【請求項21】
前記発電機は、前記軟磁性材料が前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項19記載の車両。
【請求項22】
前記MPMは、永久磁性材料を有し、前記永久磁性材料は、前記二次コイル内を移動する時に前記二次コイルが電力を発生する、
請求項19記載の車両。
【請求項23】
多相材料(MPM)を使用する発電機システムを有する車両を操作するための方法であって、前記方法は、
発射管を多相材料(MPM)で充填し、前記発射管が発電機に接続されることと、
前記発射管内に圧縮空気を提供して前記発射管から前記発電機内に前記MPMを発射し、前記発電機が運動エネルギを電気エネルギに変換することと、を含み、
前記発電機は、
前記MPMを前記発電機の電極に誘導する磁石であって、前記MPMが前記電極に最も近接して通過する時に前記電極が前記MPMからイオン化粒子を引き寄せる磁石と、
前記MPMがそれに最も近接して移動する時に電流を発生する二次コイルと、を有する、
方法。
【請求項24】
前記MPMは、軟磁性材料を有し、前記発電機は、前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記MPMは、軟磁性材料を有し、前記発電機は、前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記MPMは、永久磁性材料を有する、
請求項23記載の方法。
【請求項1】
車両を移動させるための部材を含む車両であって、前記移動部材が発電機システムに接続され、そこからエネルギを受け取る、車両を備え、
前記発電機システムは、多相材料(MPM)及び圧縮空気を使用して運動エネルギを電気エネルギに変換する、
装置。
【請求項2】
前記発電機システムは、発射管と、前記発射管に圧縮空気を送り出すように構成されるエアマニホルドと、を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記発射管は、MPM材料及び加圧空気を受け入れ可能な中空構造を有する、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記発電機システムは、前記発射管に圧縮空気を送り出すための空気圧縮機をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記発電機システムは、前記圧縮空気を前記発射管に定時的に導入するための高速動作弁をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記発電機システムは、前記車両を移動させるための前記移動部材に対し、発生させたエネルギを送り出すための制御電子機器をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記発電機システムは、前記MPMを受け入れ、電気エネルギを捕獲し、前記電気エネルギを前記車両の電子機器に伝達する発電機をさらに有する、
請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記発電機システムは、前記MPMが前記発電機によって受け入れられた後に前記MPMを受け入れるためのリザーバをさらに有し、前記発電機システム内で前記MPMを再利用できるように前記リザーバが前記発射管に接続される、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記車両は自動車を含み、前記移動部材は前記自動車の車輪を含む、
請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記車両は、自動車、トラック、オートバイ、機関車、ボート、トレーラ、又はゴルフカートのうちの1つを含む、
請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記MPMは、砂とガスの混合物を含む、
請求項1記載の装置。
【請求項12】
多相材料(MPM)を使用する発電機システムを有する車両を操作するための方法であって、前記方法は、
前記発電機システムの発射管に前記MPMを提供することと、
前記発射管に十分な力の圧縮空気を送り出し、前記MPMが前記発射管から発電機内に移動できるようにすることと、を含み、
前記発電機が前記MPMを受け入れるように構成され、それにより電気エネルギを捕獲し、前記電気エネルギを自動車の電子機器に伝達する、
方法。
【請求項13】
前記発射管に前記圧縮空気を送り出すことは、定時的に高速動作弁を介して圧縮空気を送り出すことを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記発電機は、前記電気エネルギをエネルギ貯蔵部材に伝達するように構成される、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記発電機は、前記電気エネルギをパワー・コントローラに伝達するように構成され、前記自動車の車輪が回転し、それにより前記自動車を移動させるように、前記パワー・コントローラが前記自動車の前記車輪の車軸に動力を送り出すように構成される、
請求項12記載の方法。
【請求項16】
発電機システムと、車両を移動させるための回転部材と、を備え、
前記発電機システムは、
第1の端部と第2の端部とを含む発射管と、
前記発射管の第1の端部に接続された発電機と、
前記発射管から前記発電機に多相材料(MPM)MPMを送り出すように構成された送り出しシステムと、
前記車両の前記回転部材と前記発電機を接続する接続システムと、を有し、
前記発電機は、前記MPM及び圧縮空気を使用して電気エネルギを生成し、前記電気エネルギを前記車両の前記回転部材に伝達する、
車両。
【請求項17】
前記送り出しシステムは、エアマニホルドと、圧縮空気のリザーバと、高速動作弁と、を有し、前記圧縮空気リザーバが前記高速動作弁を介して前記発射管に圧縮空気を送り出せるように、前記エアマニホルドが前記圧縮空気リザーバを前記発射管に接続する、
請求項16記載の車両。
【請求項18】
前記MPMは、砂とガスの混合物を含む、
請求項16記載の車両。
【請求項19】
発電機システムと、車両を移動させるための回転部材と、を備え、
前記発電機システムが、
発射管と、
前記発射管に接続された発電機であって、多相材料(MPM)及び圧縮空気を使用して前記MPMの運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、を有し、
前記発電機は、
前記MPMがそれに最も近接して移動する時に電力を発生する二次コイルを有する、
車両。
【請求項20】
前記MPMは、軟磁性材料を含む、
請求項19記載の車両。
【請求項21】
前記発電機は、前記軟磁性材料が前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項19記載の車両。
【請求項22】
前記MPMは、永久磁性材料を有し、前記永久磁性材料は、前記二次コイル内を移動する時に前記二次コイルが電力を発生する、
請求項19記載の車両。
【請求項23】
多相材料(MPM)を使用する発電機システムを有する車両を操作するための方法であって、前記方法は、
発射管を多相材料(MPM)で充填し、前記発射管が発電機に接続されることと、
前記発射管内に圧縮空気を提供して前記発射管から前記発電機内に前記MPMを発射し、前記発電機が運動エネルギを電気エネルギに変換することと、を含み、
前記発電機は、
前記MPMを前記発電機の電極に誘導する磁石であって、前記MPMが前記電極に最も近接して通過する時に前記電極が前記MPMからイオン化粒子を引き寄せる磁石と、
前記MPMがそれに最も近接して移動する時に電流を発生する二次コイルと、を有する、
方法。
【請求項24】
前記MPMは、軟磁性材料を有し、前記発電機は、前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記MPMは、軟磁性材料を有し、前記発電機は、前記二次コイルに最も近接して移動する前に前記軟磁性材料を磁化するための界磁コイルをさらに有する、
請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記MPMは、永久磁性材料を有する、
請求項23記載の方法。
【図4B】[0015]いくつかの態様による発電機の他の例である。
【図5】[0016]図4Aの発電機によって発生させた信号のグラフである。
【図6】[0017]いくつかの態様による発電機の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0018] 諸実施形態に関する以下の詳細な説明は添付図面を参照するものであり、添付図面は本発明の特定の諸実施形態を示している。異なる構造及び動作を有する他の諸実施形態は本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0008】
[0019] 図1は、本発明のいくつかの実施形態による車両50及びその車両を推進するためのシステム100の一例である。この車両は、ボディと、車両のボディを移送するように構成された少なくとも1つの回転部材(rotatable member)と、を含む。この車両は少なくとも1つの回転部材によって推進可能な任意の移動装置にすることができることを理解されたい。例えば、この車両は、自動車、トラック、オートバイ、機関車、ボート、トレーラ、ゴルフカードなどにすることができる。
【0009】
[0020] 例示を容易にするために、示されている模範的な車両は自動車50である。自動車50はボディ52と、4つの回転部材(例えば、車輪54)と、を含む。車輪54は、ボディ52を支え、ボディ52を移動させるように構成される。
【0010】
[0021] 車両の回転部材は車輪54に限定すべきではなく、飛行機のプロペラ又はボートのモータなど、車両の推進を容易にするその他のメカニズムにすることができることを理解されたい。従って、回転部材は、車両を移動させるための電動装置に接続される任意の装置にすることができる。
【0011】
[0022] システム100は、後で述べるように、回転部材に取り付けられ、車輪54を回転させるための電気を発生する発電機に圧縮空気を提供するように構成される。
【0012】
[0023] このシステムの様々な実施形態を使用することができる。例えば、多相材料(MPM)を使用する発電機システムを使用することができる。
【0013】
[0024] 図2は、本発明のいくつかの実施形態による図1のシステム100の一例のブロック図である。システム100は、本明細書に記載されているコンポーネントのうちの1つ又は複数を含む場合もあれば、開示されたコンポーネントより多くを含む場合もある。図2に示されている模範的なシステム100は、空気圧縮機102と、貯蔵タンク104と、高速動作弁(fast acting valve)106と、発射管(launch tube)108と、多相材料(MPM)ランナ110、110’と、発電機112と、エネルギ貯蔵回路114と、パワー・コントローラ116と、デジタル・コントローラ118と、ドライビング・コンピュータ120と、インホイール・ベース・モータと、ドライビング・コンピュータ120用の制御インターフェース124と、環境センサ126とを含む。これらのコンポーネントは図2に示されているように相互接続される。
【0014】
[0025] エネルギ・プロセスの一般的な概要として、いくつかの実施形態により、MPM107は発射管108に充填される。貯蔵タンク104に貯蔵されている圧縮空気は、高速動作弁106を介して発射管108に急速に導入される。この空気は衝撃波を発生するものであるが、MPM107が移動し始めると、衝撃波が発生し、発射管108のベースからMPM107とともに上に伝搬し、発射管108内では反対方向に移動する残存波(depression wave)が発生し、MPM107を発射管108を通って発電機112に向かって急速に移動させる。電気エネルギは発電機112によって捕獲され、自動車用の電子機器に伝達される。MPM107が発電機112内を移動するか又は発電機112から外へ移動した後、MPM107はMPMリザーバに戻されるか又は使用できないMPMは廃棄される。上記のプロセス概要は本発明のプロセスの一例であり、様々なその他のステップ及び代替ステップをこのプロセスに含めることができることに留意されたい。本発明のいくつかの態様に関するより詳細な説明を以下に示す。
【0015】
[0026] 次に、いくつかの実施形態における発電機システムの各部分について、図2〜図3Gに関連して以下に述べる。
【0016】
[0027] このシステムでは任意の種類の空気圧縮機102を使用することができる。一実施形態ではこれはピストン圧縮機にすることができ、他の実施形態ではスクリュー式の圧縮機にすることができるであろう。空気圧縮機102は、貯蔵タンク104にガスを貯蔵し、そのガスが発射管108に送り出される準備ができるまでこのような貯蔵タンク104を加圧する。一実施形態では、空気圧縮機102は、車載圧縮機であるので、車両内に搭載されるものとし、従って、空気圧縮機102は軽量かつ高性能でなければならない。空気圧縮機102は、デジタル・コントローラ118及び貯蔵タンク104と通じている。
【0017】
[0028] 貯蔵タンク104は、圧縮空気を貯蔵し、デジタル・コントローラ118及び高速動作弁106と通じている。貯蔵タンク104は、軽量及び耐久性を維持するために複合材料から製造することができる。衝撃又は車両事故の場合に貯蔵タンクが爆発する可能性を防止するために、タンクの構造は、圧力を一度に軽減し、その結果、爆発させるのではなく、圧力を緩やかに軽減するように構成されている。
【0018】
[0029] 高速動作弁106は、貯蔵タンク104から圧縮空気を受け入れ、定時サイクルで発電機112に圧縮空気を分配するための分配器として動作する。高速動作弁106の動作は、MPM107を活性化するために急速に行われる。定時サイクルごとに、高速動作弁は、MPMを保持する空洞(発射管と同等)に圧縮空気を解放する。この解放は、ノズル端部から空洞のベースに向かって連続的に進行する。このシーケンスは動作弁の下のMPMを所定の位置に保持するように時間設定される。このシーケンスが空洞のベースに向かって進行するにつれて、動作弁の上のMPMはノズルから上に放出され、圧縮空気の位置エネルギから変換された運動エネルギを伝達する。
【0019】
[0030] 圧縮機102から発射管108内に空気圧を解放すると、発射管全体にわたって衝撃波が発生し、従って、MPMは発電機112に向かって発射管から外へ上向きに急速に放出され、残存波が発生することになる。MPMが発射管の上へ移動するにつれて、移動しているMPMの運動エネルギから静電エネルギが変換され、これが(後述するように)最終的に発電機によって捕獲される。
【0020】
[0031] 本発明で使用可能な模範的な発射管108は係属中の米国特許出願第12/476555号に記載されており、同出願は参照により全体として本明細書に組み込まれる。図3Eに示されているように、発射管108は、材料(例えば、MPM)を受け入れて保持することができ、加圧することができる、任意の容器にすることができる。発射管108は任意の形状又はサイズのものにすることができる。例えば、発射管108は円筒形にすることができる。発射管108の少なくとも一部分は初めは中空である。発射管のボディは、金属(例えば、鋼、アルミニウムなど)、プラスチック(例えば、PVC)などを含む、任意のタイプの材料で構成される。一実施形態では、発射管108は中空パイプ又はプラスチック管である。発射管108は、MPM及び/又は加圧空気/ガスを受け入れるために少なくとも1つの開口部108を有する。例えば、発射管108は高速動作弁を介して加圧ガスを受け入れるために複数の開口部を有することもでき、発射管108は、リザーバからのMPM及び/又はすでに使用され、(例えば、バルブを介して)発射管108に戻されるMPMなどのMPM107を受け入れるために他の開口部も有することができる。
【0021】
[0032] 発射管108は、MPM107の等流を発生するための等流システムを含むことができる。このような等流システムは、発射管内に位置し、MPMが発電機112に達するとMPMの一様な層流を発生する。このシステムは、図3Gに示されているように、一続きの拡散器(diffuser)及び噴散器(effuser)113など、任意の装置システムにすることができる。これらの拡散器及び噴散器113は、MPMの流れに対するベンチュリ効果を生み出し、それによりMPMが発電機112に一様に流れ込むことになる。一実施形態では、このような噴散器は第1の開口部と第2の開口部と概ね円錐形を有し、それにより第1の開口部の表面積と第2の開口部の表面積が同等になっている。この噴散器は、使用可能な模範的な発電機の詳細な説明に関して後でより詳細に述べる様々な実施形態により2つの磁石の間に生成された磁界領域を通ってMPMを誘導する。
【0022】
[0033] 拡散器及び噴散器113は、発電機の内壁に影響するMPMの腐食作用を最小限にするような方法でMPMの流れを誘導する。また、拡散器及び噴散器は乱流も低減し、発電機の内部構造の周りに一様な層流を発生させる。また、拡散器及び噴散器はMPMの群化作用(grouping effect)も低減又は除去し、発射管108の中央部分にMPMを集中させる。
【0023】
[0034] いくつかの実施形態では、MPM107は多相複合構造を有する任意の材料(例えば、気体と合成した誘電材料、固体及び/又は気体及び/又は流体など)である。このようなMPMの一例は砂とガスの混合物を含む。MPM材料のその他の例としては、少なくとも1つの異なる相を有する材料と混合した石英、プラスチックなどを含む。一実施形態では、MPMは、結合が切断された時にエネルギが解放されるように多種多様な元素がまとめて結合された任意の材料を含む。MPMは0より大きく1以下の多孔度を有する。発射管108の内部空洞の少なくとも一部分又は全部はMPMで充填される。
【0024】
[0035] 他の実施形態では、MPMは吸着などのその他の特性を有する。このような特性の存在下では、結合の切断は材料の表面上のみで発生するが、機械的構造は損なわれない可能性があり、材料は交換なしで長期間の間、使用されるであろう。
【0025】
[0036] 図3E及び図3Gに示されているように、供給ホッパ又はその他の供給源から発射管108にMPMが入れられた後、高速動作弁は貯蔵タンク104からの圧縮空気を使用して定時シーケンスで動作する。圧縮空気を連続的に導入すると衝撃波並びに反対方向の残存波を発生し、その残存波がMPM材料に運動エネルギを付与し、MPMを発射管から急速に放出することになる。
【0026】
[0037] ランナ110、110’は発電機112に接続される。ランナは、第1の組のランナ110と戻りの1組のランナ110’とを含む。これらのランナは発電機との間でMPMを運搬する。第1の組のランナ110は、発射管108の端部であって、発電機112に入る前に敷設することができる。前に述べたように、圧縮空気により発射管から発電機にMPMが放出される。戻りの1組のランナ110’の場合、これらのランナは発電機の後であってMPM供給ホッパへの戻り経路上に敷設される。戻りランナは、MPMが発電機内を移動した後の戻り経路を形成する。戻りランナ110’はMPMと空気を分離し、分離された空気はシステムから排出され、MPMは次のサイクルのために収集される。
【0027】
[0038] 発電機112は、MPMが発電機112内を移動することに基づいて電気エネルギを発生する任意の装置にすることができる。使用可能な発電機の様々な実施形態については後述する。例えば、帯電したMPMは発電機内を移動することができ、発電機の電極は電子を収集し、その結果、電力を発生することができる。その他の例については後で開示する。それにもかかわらず、発電機が電気エネルギを捕獲した後、このようなエネルギはエネルギ貯蔵回路などの電気回路に伝達される。
【0028】
[0039] 発電機によって発生させた電力は車両の要求に依存する。ドライバが加速又は減速すると、前述のキャパシタ/レギュレータ回路に流れる電流の安定した発生源を維持するために発電機のサイクル時間を調整しなければならない。発電機サイクルのタイミングはデジタル・コントローラによって調節される。デジタル・コントローラは、ドライビング・コンピュータ、環境センサ、及びパワー・コントローラからのフィードバック・ループとして動作し、車両の要求と蓄積エネルギとのバランスを取り、次に高速動作弁のサイクル時間を増加又は減少することによって電力の発生を調整する。発電機内部では、高速動作弁はMPMを保持する空洞内に圧縮空気を解放する。この解放は、発電機に最も近い発射管(空洞)端部から発射管のもう一方の端部に向かって連続的に進行する。このシーケンスは動作弁の下のMPMを所定の位置に保持するように時間設定される。このシーケンスが発射管のベースに向かって進行するにつれて、動作弁の上のMPMは発射管及び等流システムから上に放出され、MPMが圧縮空気の位置エネルギから変換された運動エネルギを伝達することになる。
【0029】
[0040] エネルギ貯蔵回路114の場合、DC/DCコンバータは、発電機112から発生させた電気エネルギ並びに車両のブレーキ・システムによって回収されたエネルギを捕獲し、このようなエネルギをエネルギ貯蔵回路114に貯蔵する。エネルギ貯蔵回路114は、バッテリ、燃料電池、圧縮空気、及び電気エネルギを貯蔵するための任意のその他の手段などであるがこれらに限定されない、エネルギを貯蔵できる任意の回路にすることができる。しかし、車両のエネルギ貯蔵の大部分が圧縮空気の形になっているので、このようなエネルギ貯蔵のその他の手段は他の設計に見られるものよりかなり小さい。自動車に適用する場合、DCエネルギが発生し、より高いDC電圧に変換するためにアップ・コンバータが使用され、標準的なDC/DCが行われる。発電機のその他の適用例の場合、ACが必要な場合があり、DC/ACコンバータが使用される。一例は、位相及び周波数の両面で同期を必要とする電力配分グリッドに電気を提供することになるであろう。
【0030】
[0041] パワー・コントローラ116の場合、CMOS及び/又はその他の回路は両方向回路を含み、それにより車輪54に接続されたモータにエネルギを伝達することができる。モータについてはより詳細に後述する。また、CMOS及び/又はその他の回路は、車輪に動力が供給されていない時に電気エネルギを回収することもできる。一実施形態では、これらの回路は回路及びトルク・センサによってデジタル・モータを制御する。これらの回路は、蓄積キャパシタ(例えば、バッテリ)からのエネルギを伝達してモータに動力を供給できるだけでなく、モータの減速又は停止中にエネルギを伝達して蓄積キャパシタに戻すこともできる。従って、モータに動力が供給されていない時に、エネルギの回復が可能である。
【0031】
[0042] デジタル・コントローラ118は、すべての必須回路の制御を可能にし、システム100の全体にわたって同期及び円滑なエネルギの流れを維持することを可能にするメイン・コントローラである。コンポーネント及びサブシステムの冗長性を取り入れ、並列回路設計に付随するシステム障害の確率における固有の減少を利用することにより、システムの信頼性は強化される。「ウォッチドッグ」エレメントを使用して、コンポーネント又はサブシステムの障害の有無をモニターし、障害が発生した項目の並列バックアップに自動的にシフトする。このようなシステム及びサブシステムはプロセッサ駆動型になり、すべてのデータ間交換メカニズムが本明細書に組み込まれる。
【0032】
[0043] デジタル・コントローラ118は、発電機を制御し、充電サイクルと放電プロセスを同期させる。このコントローラ118のもう1つの機能は、システム100のオペレータ150からのメカニズム指示をシステム100全体の制御信号及びシーケンスに変換することである。
【0033】
[0044] ドライビング・コンピュータは、基本的に、車両を「コンピュータ制御方式(Drive by Wire)」の自動車にすることができる、マイクロプロセッサ制御のユニットである。オペレータが車両の制御装置類を調整すると、これらの入力装置(「アクセルペダル」、ブレーキ、ステアリングなど)はデジタル・コントローラに要求するようドライビング・コンピュータに指示し、次にそのデジタル・コントローラは、最大加速中に余分な動力が使用可能になるように、発電機サイクル・タイミング、エネルギ回収ブレーキ・システム、及びおそらく換気扇すら調整する。ドライビング・コンピュータは、駆動媒体(車輪54)並びに制御装置類124から(基本的にドライバ150から)のデータを処理して比較し、様々な時間領域変数により動力増加(加速)、動力減少(減速)、又は完全停止を要求する。この比較されたデータは最初に単一の「要求」ストリーミングを発生し、それによりデジタル・コントローラ118は、そのストリームを考慮して、動力装置の要求と貯蔵を制御し計画することになる。
【0034】
[0045] インホイール・ベース・モータ(図示せず)は比較的信頼できるモータである可能性がある。ギア、ピストンなどを介して化石燃料モータの可動部からエネルギを伝達するのではなく、本発明の発電機112内で発生させた電気は各車輪内のモータに伝達される。一実施形態では、システム100は、完全かつ統合されたデジタル制御装置とともに、熱防止回路及びエア・サスペンデッド・ベアリング・システムを含むことができる。他の実施形態では、このホイール・ベースのデジタル・モータは二重目的ステップ・モータにすることができ、その場合、車両を減速することが望ましい時に、モータのステータ・コイルが発電機として動作するように回路が切り替えられる。その結果の逆起電力は、車両を停止するだけでなく、車両の運動エネルギを元の電気エネルギに変換し、前に述べたようにその電気エネルギはエネルギ貯蔵システム114に回収し貯蔵することができる。摩擦及び熱によって効率が減少するようなギア及びトランスミッション・システムを使用する代わりに、革新的な方法を使用して、車輪54の一体型要素として構築される直接駆動モータを接続する。このような設計は、ギア及びシフト・メカニズムに関連する摩擦、一定の潤滑、及び放熱を回避することになるであろう。ギア駆動システムでは、機械的摩擦のためにわずか30%の効率にしか達しないであろう。完全に合成オイルによる潤滑を行う最新システムは60%の効率障壁近くに達している。本発明のシステムには、中間のギア及びシフト・メカニズム、潤滑及び関連の効率損失、或いは重量及び熱の放散を含まない可能性がある。モータの一例は、ボールベアリング・ホイール・サスペンション付きのリムビルト・モータになるであろう。
【0035】
[0046] 環境センサ126は、電気エネルギを発生し、貯蔵し、使用するプロセスを最適化するために、温度、湿度、運転条件、高度などの環境パラメータの全部又はほとんどを収集することができる。センサは、運転条件を含む、現在の環境観測値を提供する。駆動系全体の最適化及び制御のためにさらに計算し考慮するために、ほとんどの重大な環境パラメータがシステム100に入力される。
【0036】
[0047] 次に発電機112の様々な実施形態について説明する。このような発電機システムの3つの模範的な実施形態を使用することができ、これらについて本明細書で説明する。即ち、1)永久磁石又は一時磁石と誘電MPMを使用する磁気流体発電機、2)コイルと磁気的に柔らかいMPMを使用する発電機、3)コイルと永久磁性のMPMを使用する発電機である。MPMを使用する発電機システムの様々なその他の実施形態が十分に本発明の範囲内であることを理解されたい。これらのシステムのそれぞれについて以下に説明する。本発明で使用可能な発電機の例は米国仮特許出願第61/110737号及び第61/170869号に記載されており、これらの出願はどちらも参照により全体として本明細書に組み込まれることに留意されたい。
【0037】
永久磁石又は一時磁石と誘電MPMを使用する磁気流体発電機
[0048] 一実施形態により、発電機システム300は2つの対向する部分117、119を含むことができる。発電機のベース115は発射管108の端部に取り付けられ、2つの対向する部分は発電機のベースから外に向かって円錐形に延びている。また、この発電機は、図3C、図3E、及び図3Fに最もよく示されているように、2つの磁石(即ち、N極121とS極123)を含む。これらの磁石121、123は、2つの個別磁石である場合もあれば、単一磁石の対向する両端である場合もある。それにもかかわらず、これらの磁石121、123は、発電機112のベースであって、発射管108の端部のすぐ上に位置決めされる。MPMの等流は、MPMが磁界に曝されるように2つの磁石121、123の間を移動する。これにより、図3Fに示されているように、磁界の方向に垂直な2つの方向にMPMが分割される。
【0038】
[0049] 一般的な概要として、MPMが発射管から解放された時に発電機112は移動しているMPMの静電エネルギ及び/又は運動エネルギを電気エネルギに変換する。これを行うために、発電機112は、図3Eに示されているように、2つの対向する部分117のそれぞれの端部にメッシュと電極(まとめて要素131として示されている)を含む。帯電しているMPMがメッシュ及び電極131に最も近接して通過する時に、MPMがメッシュ内に引き寄せられ、イオン化電極が電極になり、次にその電極が電気回路に渡される。次に静電エネルギがMPMから解放され、使用されたMPMは再利用のためにMPM供給ホッパに戻される。従って、発射管内のMPMに加圧ガスを加えることにより電力が発生する。
【0039】
[0050] 前に述べたように、MPMは、上述の通り、発射管から発射された時に、その絶縁特性のために電荷を発生する微粒子誘電材料で構成することができる。このように、等流システム(例えば、一続きのインタロック・ノズル)は、誘電MPM材料のイオン化を劇的に増加することによりDC電荷へのMPM運動エネルギの変換を最適化するような方法でMPMを誘導する。さらに、前に述べたように、等流システムは、発電機の内壁に影響するMPMの腐食作用を最小限にするような方法でMPMの流れを誘導するように設計されている。材料の電気陰性度次第で、この等流システムはMPMのかなり大きい部分で正電荷を発生させ、等しい部分が陰性に帯電することになる。
【0040】
[0051] 図3C〜図3Gに示されているように、帯電しているMPMの「プルーム(plume)」は、強いネオジム希土類磁石などの磁石によって提供される磁界に入る。粒子は、以下のローレンツの式によって記述される力を経験する。
【数1】
ここで、qは電荷であり、
【数2】
は速度ベクトルであり、
【数3】
は磁界ベクトルである。この力は正電荷及び負電荷を反対方向に向け、そこで磁界ベクトル及び速度ベクトルに直角に配置された電極によって収集される。この力によって発生させた表面電荷密度σは以下の式で示される電位をもたらす。
【数4】
ここで、dは電極間隔であり、ε0は自由空間の誘電率であり、電界強度をもたらす定数である。この電界が強度を増すにつれて、帯電しているMPMは減速し、その運動エネルギを電気エネルギに効果的に変換し、その電気エネルギは示されているキャパシタに貯蔵される。このエネルギは、レギュレータによって調節された後、以前の発電機と同様に、車両のモータ及び電子機器に動力を供給するために使用される。
【0041】
コイルと磁気的に柔らかいMPMを使用する発電機
[0052] 前に述べたように、前述の発電機112は、電気エネルギを発生するために使用可能な唯一の発電機ではない。実際は、様々な他の発電機システムを使用することができる。
【0042】
[0053] 次に上記の発電機112の代わりに使用可能な代替発電機システム400について説明する。ここで説明する発電機システムは一時磁性のMPMを使用する。このような一時磁性のMPMは、「軟」鉄合金(例えば、電磁石を使用して磁化可能な「軟」鉄又はその他の材料)など、磁化率が高いが残磁性が低い強磁性体材料で構成される。
【0043】
[0054] 一時磁性のMPMは、発射管に入れられ、発射管から発射される。一時磁性のMPMは、一時磁性のMPMの「プルーム」と呼ばれる。
【0044】
[0055] 図4A及び図4Bに示されているように、一時的に磁性のMPMのこの「プルーム」は、それぞれのMPM粒子の双極子モーメントを位置合わせする界磁コイル402を通過し、それにより磁化材料のプルームになる分極磁性「流体」404が生成される。この磁性「流体」404は二次コイル406全体に存続し、そこで電磁誘導のファラデーの法則により起電力を発生させる。いくつかの実施形態では、界磁コイル402及び二次コイル406はそれぞれ、中心点の周りに電線を巻いた一続きの巻線である。二次コイル406は、いくつかの実施形態によれば、界磁コイル402よりコイルの巻線が多い場合がある。さらに、他の実施形態では、界磁コイル402に追加のコントローラ(図示せず)を使用できるであろう。
【0045】
[0056] それにもかかわらず、磁化MPMのプルームが移動する時に電流の正弦パルスが二次コイル内に発生し(図5を参照)、このようなパルスは整流器を通り、発生させた電気エネルギを貯蔵するためのキャパシタに誘導される。
【0046】
[0057] 発射管がMPMを「再ロード」するための時間間隔を必要とする一実施形態では、二次コイル内の電圧が連続的に発生しないことは注目すべきことである。しかし、複数の発射管が使用され、他の発射管が再ロードされている時にいくつかの発射管が起動する場合に連続電圧信号を発生できることは本出願の範囲内である。さらに、連続再ロード・プロセスも本発明で企図されており、MPMは連続的に発射管に充填され、発電機を介してMPM(誘電性又は磁性いずれかのMPM)を連続的に発射する。
【0047】
[0058] それにもかかわらず、MPMは、その運動エネルギが電気エネルギに変換されるにつれて減速し、ベント・システムによって捕獲される。前に述べたように、そこから重力によりMPMは供給ホッパ内に戻ることができる。加えて、キャパシタを界磁コイルに接続することにより、正のフィードバックを確立することができ、それによりMPMの磁化を増加する。このプロセスを理解するための有用な類推は一般的な自動車用同期発電機である。現在、バッテリは、この同期発電機のハウジング内の一続きのコイル内に磁界を確立する。回転体は、エンジンの伝動ベルトによって回転され、この磁界内を移動し、バッテリ内に戻る電流を発生させ、従って、装置の全体的な効率が高くなる。
【0048】
[0059] 実際には、二次コイルはシステムの発電機になり、磁化MPMが二次コイルに入った時に電流が発生し捕獲されるようになっている。
【0049】
永久磁性MPMを使用する発電機
[0060] 他の代替実施形態では、全体的な発電機システム300用の発電機112として、(一時磁性MPMの代わりに又はそれに加えて)永久磁性MPMを使用する発電機を使用することができる。永久磁性MPMは、磁界を発生する永久磁石材料を含む。このような永久磁性MPMを使用すると、界磁コイル402がMPMプルームを磁化する必要性を除去するか又は最小限にする。永久磁性MPMが一時磁性材料と組み合わせて使用することができ、均質な磁性材料に限定する必要がないことは注目すべきことである。
【0050】
[0061] それにもかかわらず、永久磁性MPMを使用する発電機112は、界磁コイルがシステムの任意選択部分であることを除いて、一時磁性材料を使用する上記の発電機システムと同じように動作する。例えば、永久磁性MPMのプルームは、界磁コイル内を移動せずに前述のシステムの発射管から図4の二次コイル内に発射される。一実施形態では、永久磁性MPMプルームは界磁コイル内を移動して、望ましい任意の磁化可能材料を磁化する。前に述べたように、永久磁性MPMプルームが界磁コイル402内を移動するにつれて、電流が発生し、電力が受け取られて使用されるか又は貯蔵される。
【0051】
[0062] MPMを使用する発電機のその他の実施形態も使用することができ、本出願は本明細書に開示されている諸実施形態によって限定するべきではない。
【0052】
[0063] 本明細書で使用する用語は、特定の諸実施形態のみを記述するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に他の指示をしない限り、複数形も含むものである。本明細書で使用する場合、「comprises」及び/又は「comprising」並びに「includes」及び/又は「including」という用語は明記された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことはさらに理解されるであろう。
【0053】
[0064] 特定の諸実施形態について本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、同じ目的を達成するために計画された任意の配置が図示されている特定の諸実施形態の代わりに使用することができ、本発明は他の環境において他にも適用可能であることを認識するであろう。本出願は本発明の任意の適合例又は変形例を包含するものである。以下の特許請求の範囲は、いかなる点においても、本発明の範囲を本明細書に記載された特定の諸実施形態に限定するものではない。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図5】[0016]図4Aの発電機によって発生させた信号のグラフである。
【図6】[0017]いくつかの態様による発電機の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0018] 諸実施形態に関する以下の詳細な説明は添付図面を参照するものであり、添付図面は本発明の特定の諸実施形態を示している。異なる構造及び動作を有する他の諸実施形態は本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0008】
[0019] 図1は、本発明のいくつかの実施形態による車両50及びその車両を推進するためのシステム100の一例である。この車両は、ボディと、車両のボディを移送するように構成された少なくとも1つの回転部材(rotatable member)と、を含む。この車両は少なくとも1つの回転部材によって推進可能な任意の移動装置にすることができることを理解されたい。例えば、この車両は、自動車、トラック、オートバイ、機関車、ボート、トレーラ、ゴルフカードなどにすることができる。
【0009】
[0020] 例示を容易にするために、示されている模範的な車両は自動車50である。自動車50はボディ52と、4つの回転部材(例えば、車輪54)と、を含む。車輪54は、ボディ52を支え、ボディ52を移動させるように構成される。
【0010】
[0021] 車両の回転部材は車輪54に限定すべきではなく、飛行機のプロペラ又はボートのモータなど、車両の推進を容易にするその他のメカニズムにすることができることを理解されたい。従って、回転部材は、車両を移動させるための電動装置に接続される任意の装置にすることができる。
【0011】
[0022] システム100は、後で述べるように、回転部材に取り付けられ、車輪54を回転させるための電気を発生する発電機に圧縮空気を提供するように構成される。
【0012】
[0023] このシステムの様々な実施形態を使用することができる。例えば、多相材料(MPM)を使用する発電機システムを使用することができる。
【0013】
[0024] 図2は、本発明のいくつかの実施形態による図1のシステム100の一例のブロック図である。システム100は、本明細書に記載されているコンポーネントのうちの1つ又は複数を含む場合もあれば、開示されたコンポーネントより多くを含む場合もある。図2に示されている模範的なシステム100は、空気圧縮機102と、貯蔵タンク104と、高速動作弁(fast acting valve)106と、発射管(launch tube)108と、多相材料(MPM)ランナ110、110’と、発電機112と、エネルギ貯蔵回路114と、パワー・コントローラ116と、デジタル・コントローラ118と、ドライビング・コンピュータ120と、インホイール・ベース・モータと、ドライビング・コンピュータ120用の制御インターフェース124と、環境センサ126とを含む。これらのコンポーネントは図2に示されているように相互接続される。
【0014】
[0025] エネルギ・プロセスの一般的な概要として、いくつかの実施形態により、MPM107は発射管108に充填される。貯蔵タンク104に貯蔵されている圧縮空気は、高速動作弁106を介して発射管108に急速に導入される。この空気は衝撃波を発生するものであるが、MPM107が移動し始めると、衝撃波が発生し、発射管108のベースからMPM107とともに上に伝搬し、発射管108内では反対方向に移動する残存波(depression wave)が発生し、MPM107を発射管108を通って発電機112に向かって急速に移動させる。電気エネルギは発電機112によって捕獲され、自動車用の電子機器に伝達される。MPM107が発電機112内を移動するか又は発電機112から外へ移動した後、MPM107はMPMリザーバに戻されるか又は使用できないMPMは廃棄される。上記のプロセス概要は本発明のプロセスの一例であり、様々なその他のステップ及び代替ステップをこのプロセスに含めることができることに留意されたい。本発明のいくつかの態様に関するより詳細な説明を以下に示す。
【0015】
[0026] 次に、いくつかの実施形態における発電機システムの各部分について、図2〜図3Gに関連して以下に述べる。
【0016】
[0027] このシステムでは任意の種類の空気圧縮機102を使用することができる。一実施形態ではこれはピストン圧縮機にすることができ、他の実施形態ではスクリュー式の圧縮機にすることができるであろう。空気圧縮機102は、貯蔵タンク104にガスを貯蔵し、そのガスが発射管108に送り出される準備ができるまでこのような貯蔵タンク104を加圧する。一実施形態では、空気圧縮機102は、車載圧縮機であるので、車両内に搭載されるものとし、従って、空気圧縮機102は軽量かつ高性能でなければならない。空気圧縮機102は、デジタル・コントローラ118及び貯蔵タンク104と通じている。
【0017】
[0028] 貯蔵タンク104は、圧縮空気を貯蔵し、デジタル・コントローラ118及び高速動作弁106と通じている。貯蔵タンク104は、軽量及び耐久性を維持するために複合材料から製造することができる。衝撃又は車両事故の場合に貯蔵タンクが爆発する可能性を防止するために、タンクの構造は、圧力を一度に軽減し、その結果、爆発させるのではなく、圧力を緩やかに軽減するように構成されている。
【0018】
[0029] 高速動作弁106は、貯蔵タンク104から圧縮空気を受け入れ、定時サイクルで発電機112に圧縮空気を分配するための分配器として動作する。高速動作弁106の動作は、MPM107を活性化するために急速に行われる。定時サイクルごとに、高速動作弁は、MPMを保持する空洞(発射管と同等)に圧縮空気を解放する。この解放は、ノズル端部から空洞のベースに向かって連続的に進行する。このシーケンスは動作弁の下のMPMを所定の位置に保持するように時間設定される。このシーケンスが空洞のベースに向かって進行するにつれて、動作弁の上のMPMはノズルから上に放出され、圧縮空気の位置エネルギから変換された運動エネルギを伝達する。
【0019】
[0030] 圧縮機102から発射管108内に空気圧を解放すると、発射管全体にわたって衝撃波が発生し、従って、MPMは発電機112に向かって発射管から外へ上向きに急速に放出され、残存波が発生することになる。MPMが発射管の上へ移動するにつれて、移動しているMPMの運動エネルギから静電エネルギが変換され、これが(後述するように)最終的に発電機によって捕獲される。
【0020】
[0031] 本発明で使用可能な模範的な発射管108は係属中の米国特許出願第12/476555号に記載されており、同出願は参照により全体として本明細書に組み込まれる。図3Eに示されているように、発射管108は、材料(例えば、MPM)を受け入れて保持することができ、加圧することができる、任意の容器にすることができる。発射管108は任意の形状又はサイズのものにすることができる。例えば、発射管108は円筒形にすることができる。発射管108の少なくとも一部分は初めは中空である。発射管のボディは、金属(例えば、鋼、アルミニウムなど)、プラスチック(例えば、PVC)などを含む、任意のタイプの材料で構成される。一実施形態では、発射管108は中空パイプ又はプラスチック管である。発射管108は、MPM及び/又は加圧空気/ガスを受け入れるために少なくとも1つの開口部108を有する。例えば、発射管108は高速動作弁を介して加圧ガスを受け入れるために複数の開口部を有することもでき、発射管108は、リザーバからのMPM及び/又はすでに使用され、(例えば、バルブを介して)発射管108に戻されるMPMなどのMPM107を受け入れるために他の開口部も有することができる。
【0021】
[0032] 発射管108は、MPM107の等流を発生するための等流システムを含むことができる。このような等流システムは、発射管内に位置し、MPMが発電機112に達するとMPMの一様な層流を発生する。このシステムは、図3Gに示されているように、一続きの拡散器(diffuser)及び噴散器(effuser)113など、任意の装置システムにすることができる。これらの拡散器及び噴散器113は、MPMの流れに対するベンチュリ効果を生み出し、それによりMPMが発電機112に一様に流れ込むことになる。一実施形態では、このような噴散器は第1の開口部と第2の開口部と概ね円錐形を有し、それにより第1の開口部の表面積と第2の開口部の表面積が同等になっている。この噴散器は、使用可能な模範的な発電機の詳細な説明に関して後でより詳細に述べる様々な実施形態により2つの磁石の間に生成された磁界領域を通ってMPMを誘導する。
【0022】
[0033] 拡散器及び噴散器113は、発電機の内壁に影響するMPMの腐食作用を最小限にするような方法でMPMの流れを誘導する。また、拡散器及び噴散器は乱流も低減し、発電機の内部構造の周りに一様な層流を発生させる。また、拡散器及び噴散器はMPMの群化作用(grouping effect)も低減又は除去し、発射管108の中央部分にMPMを集中させる。
【0023】
[0034] いくつかの実施形態では、MPM107は多相複合構造を有する任意の材料(例えば、気体と合成した誘電材料、固体及び/又は気体及び/又は流体など)である。このようなMPMの一例は砂とガスの混合物を含む。MPM材料のその他の例としては、少なくとも1つの異なる相を有する材料と混合した石英、プラスチックなどを含む。一実施形態では、MPMは、結合が切断された時にエネルギが解放されるように多種多様な元素がまとめて結合された任意の材料を含む。MPMは0より大きく1以下の多孔度を有する。発射管108の内部空洞の少なくとも一部分又は全部はMPMで充填される。
【0024】
[0035] 他の実施形態では、MPMは吸着などのその他の特性を有する。このような特性の存在下では、結合の切断は材料の表面上のみで発生するが、機械的構造は損なわれない可能性があり、材料は交換なしで長期間の間、使用されるであろう。
【0025】
[0036] 図3E及び図3Gに示されているように、供給ホッパ又はその他の供給源から発射管108にMPMが入れられた後、高速動作弁は貯蔵タンク104からの圧縮空気を使用して定時シーケンスで動作する。圧縮空気を連続的に導入すると衝撃波並びに反対方向の残存波を発生し、その残存波がMPM材料に運動エネルギを付与し、MPMを発射管から急速に放出することになる。
【0026】
[0037] ランナ110、110’は発電機112に接続される。ランナは、第1の組のランナ110と戻りの1組のランナ110’とを含む。これらのランナは発電機との間でMPMを運搬する。第1の組のランナ110は、発射管108の端部であって、発電機112に入る前に敷設することができる。前に述べたように、圧縮空気により発射管から発電機にMPMが放出される。戻りの1組のランナ110’の場合、これらのランナは発電機の後であってMPM供給ホッパへの戻り経路上に敷設される。戻りランナは、MPMが発電機内を移動した後の戻り経路を形成する。戻りランナ110’はMPMと空気を分離し、分離された空気はシステムから排出され、MPMは次のサイクルのために収集される。
【0027】
[0038] 発電機112は、MPMが発電機112内を移動することに基づいて電気エネルギを発生する任意の装置にすることができる。使用可能な発電機の様々な実施形態については後述する。例えば、帯電したMPMは発電機内を移動することができ、発電機の電極は電子を収集し、その結果、電力を発生することができる。その他の例については後で開示する。それにもかかわらず、発電機が電気エネルギを捕獲した後、このようなエネルギはエネルギ貯蔵回路などの電気回路に伝達される。
【0028】
[0039] 発電機によって発生させた電力は車両の要求に依存する。ドライバが加速又は減速すると、前述のキャパシタ/レギュレータ回路に流れる電流の安定した発生源を維持するために発電機のサイクル時間を調整しなければならない。発電機サイクルのタイミングはデジタル・コントローラによって調節される。デジタル・コントローラは、ドライビング・コンピュータ、環境センサ、及びパワー・コントローラからのフィードバック・ループとして動作し、車両の要求と蓄積エネルギとのバランスを取り、次に高速動作弁のサイクル時間を増加又は減少することによって電力の発生を調整する。発電機内部では、高速動作弁はMPMを保持する空洞内に圧縮空気を解放する。この解放は、発電機に最も近い発射管(空洞)端部から発射管のもう一方の端部に向かって連続的に進行する。このシーケンスは動作弁の下のMPMを所定の位置に保持するように時間設定される。このシーケンスが発射管のベースに向かって進行するにつれて、動作弁の上のMPMは発射管及び等流システムから上に放出され、MPMが圧縮空気の位置エネルギから変換された運動エネルギを伝達することになる。
【0029】
[0040] エネルギ貯蔵回路114の場合、DC/DCコンバータは、発電機112から発生させた電気エネルギ並びに車両のブレーキ・システムによって回収されたエネルギを捕獲し、このようなエネルギをエネルギ貯蔵回路114に貯蔵する。エネルギ貯蔵回路114は、バッテリ、燃料電池、圧縮空気、及び電気エネルギを貯蔵するための任意のその他の手段などであるがこれらに限定されない、エネルギを貯蔵できる任意の回路にすることができる。しかし、車両のエネルギ貯蔵の大部分が圧縮空気の形になっているので、このようなエネルギ貯蔵のその他の手段は他の設計に見られるものよりかなり小さい。自動車に適用する場合、DCエネルギが発生し、より高いDC電圧に変換するためにアップ・コンバータが使用され、標準的なDC/DCが行われる。発電機のその他の適用例の場合、ACが必要な場合があり、DC/ACコンバータが使用される。一例は、位相及び周波数の両面で同期を必要とする電力配分グリッドに電気を提供することになるであろう。
【0030】
[0041] パワー・コントローラ116の場合、CMOS及び/又はその他の回路は両方向回路を含み、それにより車輪54に接続されたモータにエネルギを伝達することができる。モータについてはより詳細に後述する。また、CMOS及び/又はその他の回路は、車輪に動力が供給されていない時に電気エネルギを回収することもできる。一実施形態では、これらの回路は回路及びトルク・センサによってデジタル・モータを制御する。これらの回路は、蓄積キャパシタ(例えば、バッテリ)からのエネルギを伝達してモータに動力を供給できるだけでなく、モータの減速又は停止中にエネルギを伝達して蓄積キャパシタに戻すこともできる。従って、モータに動力が供給されていない時に、エネルギの回復が可能である。
【0031】
[0042] デジタル・コントローラ118は、すべての必須回路の制御を可能にし、システム100の全体にわたって同期及び円滑なエネルギの流れを維持することを可能にするメイン・コントローラである。コンポーネント及びサブシステムの冗長性を取り入れ、並列回路設計に付随するシステム障害の確率における固有の減少を利用することにより、システムの信頼性は強化される。「ウォッチドッグ」エレメントを使用して、コンポーネント又はサブシステムの障害の有無をモニターし、障害が発生した項目の並列バックアップに自動的にシフトする。このようなシステム及びサブシステムはプロセッサ駆動型になり、すべてのデータ間交換メカニズムが本明細書に組み込まれる。
【0032】
[0043] デジタル・コントローラ118は、発電機を制御し、充電サイクルと放電プロセスを同期させる。このコントローラ118のもう1つの機能は、システム100のオペレータ150からのメカニズム指示をシステム100全体の制御信号及びシーケンスに変換することである。
【0033】
[0044] ドライビング・コンピュータは、基本的に、車両を「コンピュータ制御方式(Drive by Wire)」の自動車にすることができる、マイクロプロセッサ制御のユニットである。オペレータが車両の制御装置類を調整すると、これらの入力装置(「アクセルペダル」、ブレーキ、ステアリングなど)はデジタル・コントローラに要求するようドライビング・コンピュータに指示し、次にそのデジタル・コントローラは、最大加速中に余分な動力が使用可能になるように、発電機サイクル・タイミング、エネルギ回収ブレーキ・システム、及びおそらく換気扇すら調整する。ドライビング・コンピュータは、駆動媒体(車輪54)並びに制御装置類124から(基本的にドライバ150から)のデータを処理して比較し、様々な時間領域変数により動力増加(加速)、動力減少(減速)、又は完全停止を要求する。この比較されたデータは最初に単一の「要求」ストリーミングを発生し、それによりデジタル・コントローラ118は、そのストリームを考慮して、動力装置の要求と貯蔵を制御し計画することになる。
【0034】
[0045] インホイール・ベース・モータ(図示せず)は比較的信頼できるモータである可能性がある。ギア、ピストンなどを介して化石燃料モータの可動部からエネルギを伝達するのではなく、本発明の発電機112内で発生させた電気は各車輪内のモータに伝達される。一実施形態では、システム100は、完全かつ統合されたデジタル制御装置とともに、熱防止回路及びエア・サスペンデッド・ベアリング・システムを含むことができる。他の実施形態では、このホイール・ベースのデジタル・モータは二重目的ステップ・モータにすることができ、その場合、車両を減速することが望ましい時に、モータのステータ・コイルが発電機として動作するように回路が切り替えられる。その結果の逆起電力は、車両を停止するだけでなく、車両の運動エネルギを元の電気エネルギに変換し、前に述べたようにその電気エネルギはエネルギ貯蔵システム114に回収し貯蔵することができる。摩擦及び熱によって効率が減少するようなギア及びトランスミッション・システムを使用する代わりに、革新的な方法を使用して、車輪54の一体型要素として構築される直接駆動モータを接続する。このような設計は、ギア及びシフト・メカニズムに関連する摩擦、一定の潤滑、及び放熱を回避することになるであろう。ギア駆動システムでは、機械的摩擦のためにわずか30%の効率にしか達しないであろう。完全に合成オイルによる潤滑を行う最新システムは60%の効率障壁近くに達している。本発明のシステムには、中間のギア及びシフト・メカニズム、潤滑及び関連の効率損失、或いは重量及び熱の放散を含まない可能性がある。モータの一例は、ボールベアリング・ホイール・サスペンション付きのリムビルト・モータになるであろう。
【0035】
[0046] 環境センサ126は、電気エネルギを発生し、貯蔵し、使用するプロセスを最適化するために、温度、湿度、運転条件、高度などの環境パラメータの全部又はほとんどを収集することができる。センサは、運転条件を含む、現在の環境観測値を提供する。駆動系全体の最適化及び制御のためにさらに計算し考慮するために、ほとんどの重大な環境パラメータがシステム100に入力される。
【0036】
[0047] 次に発電機112の様々な実施形態について説明する。このような発電機システムの3つの模範的な実施形態を使用することができ、これらについて本明細書で説明する。即ち、1)永久磁石又は一時磁石と誘電MPMを使用する磁気流体発電機、2)コイルと磁気的に柔らかいMPMを使用する発電機、3)コイルと永久磁性のMPMを使用する発電機である。MPMを使用する発電機システムの様々なその他の実施形態が十分に本発明の範囲内であることを理解されたい。これらのシステムのそれぞれについて以下に説明する。本発明で使用可能な発電機の例は米国仮特許出願第61/110737号及び第61/170869号に記載されており、これらの出願はどちらも参照により全体として本明細書に組み込まれることに留意されたい。
【0037】
永久磁石又は一時磁石と誘電MPMを使用する磁気流体発電機
[0048] 一実施形態により、発電機システム300は2つの対向する部分117、119を含むことができる。発電機のベース115は発射管108の端部に取り付けられ、2つの対向する部分は発電機のベースから外に向かって円錐形に延びている。また、この発電機は、図3C、図3E、及び図3Fに最もよく示されているように、2つの磁石(即ち、N極121とS極123)を含む。これらの磁石121、123は、2つの個別磁石である場合もあれば、単一磁石の対向する両端である場合もある。それにもかかわらず、これらの磁石121、123は、発電機112のベースであって、発射管108の端部のすぐ上に位置決めされる。MPMの等流は、MPMが磁界に曝されるように2つの磁石121、123の間を移動する。これにより、図3Fに示されているように、磁界の方向に垂直な2つの方向にMPMが分割される。
【0038】
[0049] 一般的な概要として、MPMが発射管から解放された時に発電機112は移動しているMPMの静電エネルギ及び/又は運動エネルギを電気エネルギに変換する。これを行うために、発電機112は、図3Eに示されているように、2つの対向する部分117のそれぞれの端部にメッシュと電極(まとめて要素131として示されている)を含む。帯電しているMPMがメッシュ及び電極131に最も近接して通過する時に、MPMがメッシュ内に引き寄せられ、イオン化電極が電極になり、次にその電極が電気回路に渡される。次に静電エネルギがMPMから解放され、使用されたMPMは再利用のためにMPM供給ホッパに戻される。従って、発射管内のMPMに加圧ガスを加えることにより電力が発生する。
【0039】
[0050] 前に述べたように、MPMは、上述の通り、発射管から発射された時に、その絶縁特性のために電荷を発生する微粒子誘電材料で構成することができる。このように、等流システム(例えば、一続きのインタロック・ノズル)は、誘電MPM材料のイオン化を劇的に増加することによりDC電荷へのMPM運動エネルギの変換を最適化するような方法でMPMを誘導する。さらに、前に述べたように、等流システムは、発電機の内壁に影響するMPMの腐食作用を最小限にするような方法でMPMの流れを誘導するように設計されている。材料の電気陰性度次第で、この等流システムはMPMのかなり大きい部分で正電荷を発生させ、等しい部分が陰性に帯電することになる。
【0040】
[0051] 図3C〜図3Gに示されているように、帯電しているMPMの「プルーム(plume)」は、強いネオジム希土類磁石などの磁石によって提供される磁界に入る。粒子は、以下のローレンツの式によって記述される力を経験する。
【数1】
ここで、qは電荷であり、
【数2】
は速度ベクトルであり、
【数3】
は磁界ベクトルである。この力は正電荷及び負電荷を反対方向に向け、そこで磁界ベクトル及び速度ベクトルに直角に配置された電極によって収集される。この力によって発生させた表面電荷密度σは以下の式で示される電位をもたらす。
【数4】
ここで、dは電極間隔であり、ε0は自由空間の誘電率であり、電界強度をもたらす定数である。この電界が強度を増すにつれて、帯電しているMPMは減速し、その運動エネルギを電気エネルギに効果的に変換し、その電気エネルギは示されているキャパシタに貯蔵される。このエネルギは、レギュレータによって調節された後、以前の発電機と同様に、車両のモータ及び電子機器に動力を供給するために使用される。
【0041】
コイルと磁気的に柔らかいMPMを使用する発電機
[0052] 前に述べたように、前述の発電機112は、電気エネルギを発生するために使用可能な唯一の発電機ではない。実際は、様々な他の発電機システムを使用することができる。
【0042】
[0053] 次に上記の発電機112の代わりに使用可能な代替発電機システム400について説明する。ここで説明する発電機システムは一時磁性のMPMを使用する。このような一時磁性のMPMは、「軟」鉄合金(例えば、電磁石を使用して磁化可能な「軟」鉄又はその他の材料)など、磁化率が高いが残磁性が低い強磁性体材料で構成される。
【0043】
[0054] 一時磁性のMPMは、発射管に入れられ、発射管から発射される。一時磁性のMPMは、一時磁性のMPMの「プルーム」と呼ばれる。
【0044】
[0055] 図4A及び図4Bに示されているように、一時的に磁性のMPMのこの「プルーム」は、それぞれのMPM粒子の双極子モーメントを位置合わせする界磁コイル402を通過し、それにより磁化材料のプルームになる分極磁性「流体」404が生成される。この磁性「流体」404は二次コイル406全体に存続し、そこで電磁誘導のファラデーの法則により起電力を発生させる。いくつかの実施形態では、界磁コイル402及び二次コイル406はそれぞれ、中心点の周りに電線を巻いた一続きの巻線である。二次コイル406は、いくつかの実施形態によれば、界磁コイル402よりコイルの巻線が多い場合がある。さらに、他の実施形態では、界磁コイル402に追加のコントローラ(図示せず)を使用できるであろう。
【0045】
[0056] それにもかかわらず、磁化MPMのプルームが移動する時に電流の正弦パルスが二次コイル内に発生し(図5を参照)、このようなパルスは整流器を通り、発生させた電気エネルギを貯蔵するためのキャパシタに誘導される。
【0046】
[0057] 発射管がMPMを「再ロード」するための時間間隔を必要とする一実施形態では、二次コイル内の電圧が連続的に発生しないことは注目すべきことである。しかし、複数の発射管が使用され、他の発射管が再ロードされている時にいくつかの発射管が起動する場合に連続電圧信号を発生できることは本出願の範囲内である。さらに、連続再ロード・プロセスも本発明で企図されており、MPMは連続的に発射管に充填され、発電機を介してMPM(誘電性又は磁性いずれかのMPM)を連続的に発射する。
【0047】
[0058] それにもかかわらず、MPMは、その運動エネルギが電気エネルギに変換されるにつれて減速し、ベント・システムによって捕獲される。前に述べたように、そこから重力によりMPMは供給ホッパ内に戻ることができる。加えて、キャパシタを界磁コイルに接続することにより、正のフィードバックを確立することができ、それによりMPMの磁化を増加する。このプロセスを理解するための有用な類推は一般的な自動車用同期発電機である。現在、バッテリは、この同期発電機のハウジング内の一続きのコイル内に磁界を確立する。回転体は、エンジンの伝動ベルトによって回転され、この磁界内を移動し、バッテリ内に戻る電流を発生させ、従って、装置の全体的な効率が高くなる。
【0048】
[0059] 実際には、二次コイルはシステムの発電機になり、磁化MPMが二次コイルに入った時に電流が発生し捕獲されるようになっている。
【0049】
永久磁性MPMを使用する発電機
[0060] 他の代替実施形態では、全体的な発電機システム300用の発電機112として、(一時磁性MPMの代わりに又はそれに加えて)永久磁性MPMを使用する発電機を使用することができる。永久磁性MPMは、磁界を発生する永久磁石材料を含む。このような永久磁性MPMを使用すると、界磁コイル402がMPMプルームを磁化する必要性を除去するか又は最小限にする。永久磁性MPMが一時磁性材料と組み合わせて使用することができ、均質な磁性材料に限定する必要がないことは注目すべきことである。
【0050】
[0061] それにもかかわらず、永久磁性MPMを使用する発電機112は、界磁コイルがシステムの任意選択部分であることを除いて、一時磁性材料を使用する上記の発電機システムと同じように動作する。例えば、永久磁性MPMのプルームは、界磁コイル内を移動せずに前述のシステムの発射管から図4の二次コイル内に発射される。一実施形態では、永久磁性MPMプルームは界磁コイル内を移動して、望ましい任意の磁化可能材料を磁化する。前に述べたように、永久磁性MPMプルームが界磁コイル402内を移動するにつれて、電流が発生し、電力が受け取られて使用されるか又は貯蔵される。
【0051】
[0062] MPMを使用する発電機のその他の実施形態も使用することができ、本出願は本明細書に開示されている諸実施形態によって限定するべきではない。
【0052】
[0063] 本明細書で使用する用語は、特定の諸実施形態のみを記述するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に他の指示をしない限り、複数形も含むものである。本明細書で使用する場合、「comprises」及び/又は「comprising」並びに「includes」及び/又は「including」という用語は明記された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことはさらに理解されるであろう。
【0053】
[0064] 特定の諸実施形態について本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、同じ目的を達成するために計画された任意の配置が図示されている特定の諸実施形態の代わりに使用することができ、本発明は他の環境において他にも適用可能であることを認識するであろう。本出願は本発明の任意の適合例又は変形例を包含するものである。以下の特許請求の範囲は、いかなる点においても、本発明の範囲を本明細書に記載された特定の諸実施形態に限定するものではない。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2013−510546(P2013−510546A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537215(P2012−537215)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055295
【国際公開番号】WO2011/056869
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511107566)コースウェーブ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055295
【国際公開番号】WO2011/056869
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511107566)コースウェーブ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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