説明

多結晶コバルト−ニッケル−マンガンの三元系正極材の製造方法

多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を提供する。多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造を有する。高温融合方式で前記正極材を製造する方法を提供する。前記正極材は、圧縮密度が3.9〜4.3g/cm、放電倍率が0.5〜1Cの場合の容量≧145mAh/g、300回のサイクル容量保持率は90%より高い。高温融合方式で製造される正極材は、優れた電気化学性能とより高い体積エネルギー密度を有し、安全性が高く、材料のコストが低い。さらに、前記正極材を含むリチウムイオン二次電池を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン電池用正極材およびその製造方法、並びに当該正極材を用いて作られるリチウムイオン電池に関し、特に多結晶コバルト−ニッケル−マンガン(Co−Ni−Mn)の三元系材料およびその製造方法、並びに当該多結晶Co−Ni−Mn三元系材料を用いて作られるリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は1991年に商品化されて以来、その応用の要求は高まる一方で、そのエネルギー密度は市場のニーズによって益々高くなっている。具体的に言うと、リチウムイオン電池のエネルギー密度は体積エネルギー密度と重量エネルギー密度に分けられるが、市場のニーズによって体積エネルギーと重量エネルギー密度を同時に向上させることが望まれている。同じ容量を発揮する前提で、電池の体積エネルギーを高めようとすれば、電池の活性物質の単位体積充填量を高めなければならない。現在、大量に使われているのは依然としてコバルト酸リチウム材料で、コバルト酸リチウムは最も早く商業化を実現し、今まで応用されて来た、すでに成熟した材料であり、携帯電話や、ノートパソコンとデジタル電子製品などの小型のローパワー携帯式電子製品上に幅広く応用されている。ところが、資源の制限があり、そして、より高い安全性も望まれるため、原価が低く、エネルギー密度が高く、安全性に優れた、コバルトを含まない又はコバルト含有量が少ない正極材を見つけることは、リチウム正極材の発展方向となっている。途切れない発展を経てCo−Ni−Mn系三元系材料およびそのMn系は容量発揮において、すでにコバルト酸リチウムを上回っており、安全性もコバルト酸リチウムより優れており、原価も比較的低い。しかし、三元系材料に対する評価から見れば、三元系材料は放電電位が低く、電極パッド圧縮密度低いため、体積エネルギー密度は依然としてコバルト酸リチウムより低い。上記欠点によって、単一のCo−Ni−Mn三元系材料およびMn系は市場より高性能正極材に対するニーズを満たすことが難しい。Co−Ni−Mn三元系材料およびそのMn系は、まだコバルト酸リチウムのハイエンドリチウム二次電池における応用に取って代わることはできない。伝統的な製造方法としては一般的に機械的混合方式によって2種の材料を混合するが、材料を混合する方式によってコスト低減や、安全性改善の目的を達成している。例えば、日本のソニーではLiCoOとLiMnを混合することによって、過充電安全性と熱安定性を改善している。しかし、このような簡単な物理的混合方法は、圧縮密度が落ちるなど材料の性能に影響を与えるし、その容量もただの混合材料の算術平均値にすぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、多結晶のCo−Ni−Mn三元系正極材およびその製造方法並びにリチウムイオン二次電池を提供することで、解決しようとする技術的問題は正極材の体積エネルギー密度や安全性および放電電位を向上させ、コストを低減することである。
【0004】
本発明は次の技術的手段を採用する。多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材であって、前記多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO(x、y、x+y<1、z≧1)からなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造を有し、多結晶の積層構造で、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3、粒度は8〜20μmであり、前記多結晶正極材の圧縮密度は3.9〜4.3g/cm、放電倍率が0.5〜1Cの場合の容量≧145mAh/g、300回のサイクル容量保持率は90%より高い。
【0005】
本発明に係る多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法は、(a:前駆体の製造)6〜25gのポリエチレングリコールを300〜500mlのリチウム元素濃度が1.0〜1.2mol/LであるLiAc、LiOH又はLiNO溶液の中に入れた後、Co、Ni、Mn元素の塩類化合物の一種以上を滴り入れて混合したものを、20〜60℃、回転速度20〜120rpmで120分間攪拌し、Co、Ni、Mn元素の総含有量を0.3〜1.0molにし、混合されたものを直接ボックス炉に入れて150〜250℃の温度で2〜10時間乾燥脱水させた後、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30分間分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)を得るステップと、(b:多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造)前駆体複合焼結法を採用する場合:LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO酸化物前駆体の2種以上を、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるようにすると共に、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて60分間均一に混合し、その混合されたものを直接ボックス炉に入れて750〜950℃で5〜15時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、又は、中間体複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、600〜850℃で5〜15時間初期的焼結を行い、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の前駆体初期的焼結物をボールミルにて、回転速度500rpmで60分間均一に混合してから、直接ボックス炉に入れて750〜980℃で4〜10時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、又は、最終産物複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、850〜980℃で5〜10時間焼結し、0.5MPaの気圧で気流粉砕を行い、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすると共に、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO、LiMn1−xからなる群より選択された二種以上を均一に混合したものを、直接ボックス炉に入れて350〜850℃で0.5〜5時間焼結してから、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップと、を有する。
【0006】
本発明に係る方法において、Co、Ni、Mnの塩類化合物は水酸基化合物、シュウ酸塩又は炭酸塩であってもよい。
【0007】
本発明に係る方法において、気流粉砕後は、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすることが好ましい。
【0008】
本発明に係る多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法は、(a:前駆体の製造)Co、Ni、Mnの一種以上のトータル含有量が0.5〜1.0molである硝酸塩で作られた質量濃度16%の硝酸塩水溶液に、30〜80℃、回転速度20〜120rpmの条件で、徐々にリチウム含有量が1.0〜1.2mol、質量濃度が10〜25%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60〜120分間反応させた後、そのものを直接ボックス炉に入れて150〜250℃の温度で2〜10時間乾燥脱水させてから、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30分間分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)を得るステップと、(b:多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造)前駆体複合焼結法を採用する場合:LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO酸化物前駆体の2種以上を、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるようにすると共に、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて60分間均一に混合し、その混合されたものを直接ボックス炉に入れて750〜950℃で5〜15時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、又は、中間体複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、600〜850℃で5〜15時間初期的焼結を行い、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の前駆体初期的焼結物をボールミルにて、回転速度500rpmで60分間均一に混合してから、直接ボックス炉に入れて750〜980℃で4〜10時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、又は、最終産物複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、850〜980℃で5〜10時間焼結してから、0.5MPaの気圧で気流粉砕を行い、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすると共に、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO、LiMn1−xからなる群より選択された二種以上を均一に混合したものを、直接ボックス炉に入れて350〜850℃で0.5〜5時間焼結してから、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップと、を有する。
【0009】
本発明に係る方法において、気流粉砕後は、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすることが好ましい。
【0010】
正極材を有するリチウムイオン二次電池において、前記正極材は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO(x、y、x+y<1、z≧1)からなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造を有し、多結晶積層構造で、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3、粒度は8〜20μmで、前記多結晶正極材の圧縮密度は3.9〜4.3g/cm、放電倍率が0.5〜1Cの場合の容量≧145mAh/g、300回のサイクル容量保持率は90%より高い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は従来技術に比べて、前駆体を製造して、高温融合によって多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を作製し、異なる正極材を一つのインテグラル構造に成長させて、混合材料の優位を組み合わせることによって、多結晶の正極材を製造する。この材料は優れた電気化学性能とより高い体積エネルギー密度を有し、安全性が高く、材料のコストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例7のX線回折スペクトルである。
【図2】実施例8のX線回折スペクトルである。
【図3】実施例9のX線回折スペクトルである。
【図4】実施例10のX線回折スペクトルである。
【図5】実施例11のX線回折スペクトルである。
【図6】実施例12のX線回折スペクトルである。
【図7】実施例13のX線回折スペクトルである。
【図8】実施例14のX線回折スペクトルである。
【図9】実施例15のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面と実施例に合わせて、本発明をさらに詳しく説明する。本発明の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造となっており、x、y、x+y<1、z≧1、結晶体は積層構造で、粒度は8〜20μm、当該多結晶正極材の圧縮密度は3.9〜4.3g/cmで、放電倍率が0.5〜1Cの場合、300回のサイクル容量維持率は90%より高く、加工性能に優れており、電極パッドが外れない。
【0014】
本発明の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法には、次のステップが含まれる。
【0015】
1.前駆体の製造:
方法1:6〜25gのポリエチレングリコールを300〜500mlのリチウム元素濃度が1.0〜1.2mol/LであるLiAc、LiOH又はLiNO溶液の中に入れて、Co、Ni、Mn元素の塩類化合物の一種以上を滴下し混合する。それから、20〜60℃、回転速度20〜120rpmで120min攪拌し、Co、Ni、Mn元素の含有量を0.3〜1.0molにし、得られた混合物を直接ボックス炉に入れて、150〜250℃の温度にて2〜10時間乾燥脱水させ、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)が得られる。前記Co、Ni、Mn塩類化合物は水酸基化合物やシュウ酸塩又は炭酸塩である。
【0016】
方法2:Co、Ni、Mnの一種以上のトータル含有量が0.5〜1.0molである硝酸塩で質量濃度が16%の硝酸塩水溶液を製造して、30〜80℃、回転速度20〜120rpmの条件の下で、徐々にリチウム含有量が1.0〜1.2mol、質量濃度が10〜25%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60〜120min反応させる。それから混合物を直接ボックス炉に入れて、150〜250℃の温度にて2〜10時間乾燥脱水させ、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)が得られる。
【0017】
2.多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造:
方法1:前駆体複合焼結法:LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO酸化物前駆体の2種以上を、Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3とし、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて60min均一に混ぜる。それから、混合物を直接ボックス炉に入れて、750〜950℃で5〜15時間焼結し、自然冷却条件で室温まで温度を下げて、気流粉砕を行い、気圧を0.4〜1.0MPaとし、分級篩で分級を行い、粒度D50=8〜20μmにすることによって、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材が得られる。
【0018】
方法2:中間体複合焼結法:それぞれ前駆体LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れて、600〜850℃で5〜15時間初期的焼結行い、Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3とし、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の前駆体の初期的焼結物をボールミルにて、回転速度500rpmで、60分間均一に混ぜて、再び直接ボックス炉に入れて、750〜980℃で4〜10時間焼結し、自然冷却条件で室温まで温度を下げて、気流粉砕を行い、気圧を0.4〜1.0MPaとし、分級篩で分級を行い、粒度D50=8〜20μmにすることによって、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材が得られる。
【0019】
方法3:最終的産物複合焼結法:それぞれ前駆体LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れて、850〜980℃で5〜10時間焼結し、気流粉砕を行い、気圧を0.5MPaとし、分級篩で分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにする。それから、Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3とし、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO、LiMn1−xからなる群より選択された二種以上を均一に混ぜて、それを直接ボックス炉に入れて350〜850℃で0.5〜5時間焼結し、気流粉砕を行い、気圧を0.4〜1.0MPaとし、分級篩で分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすることによって、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材が得られる。
【0020】
本発明の方法に使われる脱水・乾燥設備:宜興市前錦炉業設備有限公司のKSF1100−V型ボックス炉、粉砕設備:連雲港春竜実験儀器公司のSHQM型双星ボールミル、気流粉砕:宜興聚能粉砕設備公司のMX−50気流粉砕機、分級設備:新郷統一機械設備公司のTY−200A型標準検査用篩分け装置。分析器機:日本電子のJSM6360走査型電子顕微鏡、日本理学のD/max−2200pcXRD放射線回折装置、珠海OMKEのLS602レーザー粒度分析機、鋼鉄研究院FZS4−4B型タップ密度器機、Pioneer2002表面測定器などを使って、本発明の方法によって製造される多結晶Co−Ni−Mnの三元系正極材に対してテストと分析を行った。
【0021】
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極や負極、非水電解質、隔膜および容器などで構成される。正極は正極コレクターおよび正極コレクター上にコーティングされた正極活性物質からなり、正極活性物質は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造となっており、x、y、x+y<1、z≧1で、結晶体は積層構造であり、金属元素Li:Co:Ni:Mnのモル比は1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3であり、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の粒度は8〜20μmで、当該正極材の圧縮密度は3.9g/mより高い。負極は負極コレクターと負極コレクター上にコーティングされた負極活性物質からなる。隔膜は単なる固体絶縁層又は導電性のある固体状物質で、正極と負極との仕切りに使われる。容器は正極や負極、隔膜、電解質などの収容体である。
【0022】
本発明によって製造される多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材でリチウムイオン二次電池の実験品を作製する。正極の製造:本発明の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材や、正極材質量比の3%を占める導電カーボンブラックと質量比3%の接着剤PVDFを混ぜて、これら混合材料を質量比1:1の比例でN−メチルピロリドンの中に入れて、均一に攪拌して懸濁液にして、アルミホイルコレクター上に塗り、乾燥及び圧縮することによって電極パッドを作製する。負極の製造:負極活性材料メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)や、負極活性材料の質量比2%を占める導電剤S−Pおよび質量比10%を占める接着剤PVDFを混ぜて、これら混合材料を質量比1:1の比例でN−メチルピロリドンの中に入れて、均一に攪拌して懸濁液にして、銅ホイルコレクター上に塗り、乾燥及び圧縮することによって電極パッドを作製する。隔膜はPP材料を用い、容器は絶縁層付きのアルミケーシングとリード引出孔付きの電池蓋を使っている。圧縮後の正極・負極パッド上にリードを点溶接し、隔膜を挿し入れてから、ワインダー上で巻いてからアルミケーシングの中に入れて、リードを電池蓋から引き出してから、にかわでリード引出孔を密封する。アルミケーシングと電池蓋を溶接密封させる。それから、相対湿度が1.5%以下の環境にて電解液を注ぎ入れるが、電解液は質量比のEC:DEC:DMC=1:1:1の混合溶剤を使用し、電解質は1Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを使用し、液体を注ぎ入れてから、直ちに密封する。電池型式は四角型の053048である。
【0023】
負極活性材料は、リチウムイオンがその中に出入りできる炭素系と非炭素系物質、例えば、LiTi12や、非結晶態の錫酸化物、WO、MoO、TiSおよびリチウムイオンが出入り可能な炭素系物質を使うこともできる。炭素系物質には、グラファイトや、無方向性グラファイト、コークス、炭素繊維、球状炭素、樹脂焼結炭素、気相成長炭素およびカーボンナノチューブなどが含まれる。上記の特定の炭素繊維又は球状炭素を含む負極は高い充電効率を表すので、中間体のアスファルト基炭素繊維又は中間体のアスファルト基球状炭素を炭素系活性物質とすることが特に望ましい。中間体のアスファルト基炭素繊維又は中間体のアスファルト基球状炭素は周知の方法で得られる。非水電解質は、リチウム含有の金属リチウム塩LiPFを電解質として、炭酸エチレン又は炭酸ジメチルの非水溶剤の中に溶解させて得られる。隔膜は上記非水溶剤の中に溶解されない、ポリエチレン又はポリプロピレン樹脂で作られた多孔膜で、非水電解質溶液に可塑化重合材料を入れることによって得られるゲル電解質類を含有する固体電解質を使用することもできる。隔膜は合成樹脂の不織布やポリエチレン多孔膜又はポリプロピレン多孔膜などで作られることもできる。
【0024】
本発明によって製造されたリチウムイオン二次電池実験品の充・放電テストは、GB/T18287−2000のテスト方法に従い、広州チン天実業公司のBS−9360型電池検査ボックスの中で行われた。電極パッドの単位体積容量発揮から見ると、グラム容量の発揮が同様な正極材の場合、電極パッドの圧縮密度が高ければ高いほど、単位体積電極パッド上の活性物質が多いことを示し、単位体積の発揮できる容量も高くなる。その計算式:電極パッド圧縮密度(g/cm)×初期容量(mAh/g)。
【0025】
1.前駆体の実施例:
[実施例1]
6gのポリエチレングリコールを1.00mol/L濃度の300mlのLiAc溶液の中に入れて、さらに炭酸コバルト40gを入れて均一に混ぜて、コバルトの含有量を0.3molにし、20℃、回転速度120rpmにて120min攪拌し、150℃の温度で2時間乾燥・脱水し、回転速度1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCoO前駆体が得られる。
【0026】
[実施例2]
25gのポリエチレングリコールを1.20mol/L濃度の500mlのLiNO溶液の中に入れて、均一に攪拌し、さらに、予め混合した炭酸コバルト21g、炭酸ニッケル21g、炭酸マンガン22gを入れて、コバルト含有量を0.16mol、ニッケル含有量を0.16mol、マンガン含有量を0.16molにし、60℃、回転速度20rpmにて120min攪拌してから、250℃の温度で10時間乾燥・脱水し、回転速度200rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3前駆体が得られる。
【0027】
[実施例3]
20gのポリエチレングリコールを1.10mol/L濃度の500mlのLiOH溶液の中に入れて、均一に攪拌し、さらに、予め混合した炭酸コバルト13g、炭酸ニッケル25g、炭酸マンガン26gを入れて、コバルト含有量を0.1mol、ニッケル含有量を0.2mol、マンガン含有量を0.2molにし、40℃、回転速度50rpmにて120min攪拌してから、200℃の温度で6時間乾燥・脱水し、回転速度600rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCo1/5Ni2/5Mn2/5前駆体が得られる。
【0028】
[実施例4]
Co含有量0.2molのCo(NO・6HOや、Ni含有量0.5molのNi(NO・6HO、Mn含有量0.3molの(50%)Mn(NO溶液を1000gの水の中に溶解させ、質量濃度を16%にし、30℃の温度を維持し、回転速度20rpmで攪拌しながら徐々にリチウム含有量1.2mol、質量濃度15%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60min反応させ、反応物を直接ボックス炉に入れて、150℃の温度で10時間乾燥・脱水し、回転速度1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10前駆体が得られる。
【0029】
[実施例5]
Co含有量0.1molのCo(NO・6HOや、Ni含有量0.2molのNi(NO・6HO、Mn含有量0.2molの(50%)Mn(NO溶液を580gの水の中に溶解させ、質量濃度を16%にし、30℃の温度を維持し、回転速度20rpmで攪拌しながら徐々にリチウム含有量1.0mol、質量濃度15%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60min反応させ、反応物を直接ボックス炉に入れて、200℃の温度で6時間乾燥・脱水し、回転速度1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCo1/5Ni2/5Mn2/5前駆体が得られる。
【0030】
[実施例6]
Co含有量0.2molのCo(NO・6HOや、Ni含有量0.2molのNi(NO・6HO、Mn含有量0.2molの(50%)Mn(NO溶液を610gの水の中溶解させ、質量濃度を16%にし、30℃の温度を維持し、回転速度20rpmで攪拌しながら徐々にリチウム含有量1.1mol、質量濃度15%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60min反応させ、反応物を直接ボックス炉に入れて、250℃の温度で3時間乾燥・脱水し、回転速度1000rpmのボールミルにて30min分散させることによって、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3前駆体が得られる。
【0031】
2.多結晶複合材料の製造
前駆体複合焼結法の実施例7−9のプロセスパラメータは表1を参照し、電気性能テストは表4を参照。
【0032】
図1に示されている実施例7の結晶体の組成:LiCoO 、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
【0033】
図2に示されている実施例8の結晶体の組成:LiCoO、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10
【0034】
図3に示されている実施例9の結晶体の組成:LiCoO、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
【0035】
中間体複合焼結法の実施例10−12のプロセスパラメータは表2を参照し、電気性能テストは表4を参照。
【0036】
図4に示されている実施例10の結晶体の組成:LiCoO、 LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
【0037】
図5に示されている実施例11の結晶体の組成:LiCoO、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10
【0038】
図6に示されている実施例12の結晶体の組成:LiCoO、LiCo1/5Ni2/5Mn2/5、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10
【0039】
最終産物複合焼結法の実施例13−15のプロセスパラメータは表3を参照し、電気性能テストは表4を参照。
【0040】
図7に示されている実施例13の結晶体の組成:LiCoO、LiCo1/5Ni2/5Mn2/5、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
【0041】
図8に示されている実施例14の結晶体の組成:LiCo2/10Ni5/10Mn3/10、LiMn
【0042】
図9に示されている実施例15の結晶体の組成:LiCoO、LiCo2/10Ni5/10Mn3/10、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3
【0043】
[比較例1]
市販の深セン市振華新材料株式有限公司のCo−Ni−Mn三元ZH5000Rを電池活性物質として、Co:Ni:Mnのモル比が0.2:0.5:0.3で、053048四角型リチウムイオン電池を作製する。電池性能は表5を参照。単位体積電極パッドの容量発揮は560.4mAh/cm、0.5C〜1Cでサイクル100回の容量保持率は94%、サイクル300回の容量保持率は85%である。
【0044】
[比較例2]
市販の深セン市振華新材料株式有限公司のコバルト酸リチウムZHT08を電池活性物質として、053048四角型リチウムイオン電池を作製する。電池性能は表5を参照。単位体積電極パッドの容量発揮は577.9mAh/cm、0.5C〜1Cでサイクル100回の容量保持率は90%、サイクル300回の容量保持率は84%である。
【0045】
[比較例3]
市販の深セン市振華新材料株式有限公司のCo−Ni−Mn三元ZH3000を電池活性物質として、Co:Ni:Mnのモル比が1/3:1/3:1/3で、053048四角型リチウムイオン電池を作製する。電池性能は表5を参照。単位体積電極パッドの容量発揮は480.7mAh/cm、0.5C〜1Cでサイクル100回の容量保持率は95%、サイクル300回の容量保持率は89%である。
【0046】
上記実験結果から見れば、本発明の多結晶複合材料の単位体積の容量発揮はコバルト酸リチウムや、Co−Ni−Mn三元単結晶材料に比べて優れることが分かる。3.9g/cm以上の圧縮密度を保証することを前提として、結晶体構成中ニッケル含有量の比較的高い材料で複合すれば、エネルギー密度の向上に有利である。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材であって、
前記多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO(x、y、x+y<1、z≧1)からなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造を有し、
多結晶の積層構造で、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3、粒度は8〜20μmであり、
前記多結晶正極材の圧縮密度は3.9〜4.3g/cm、放電倍率が0.5〜1Cの場合の容量≧145mAh/g、300回のサイクル容量保持率は90%より高いことを特徴とする多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材。
【請求項2】
(a:前駆体の製造)ポリエチレングリコール6〜25gをリチウム元素濃度が1.0〜1.2mol/LであるLiAc、LiOH又はLiNO溶液300〜500mlの中に入れた後、Co、Ni、Mn元素の塩類化合物の一種以上を滴り入れて混合したものを、20〜60℃、回転速度20〜120rpmで120分間攪拌し、Co、Ni、Mn元素の総含有量を0.3〜1.0molにし、混合されたものを直接ボックス炉に入れて150〜250℃の温度で2〜10時間乾燥脱水させた後、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30分間分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)を得るステップと、
(b:多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造)前駆体複合焼結法を採用する場合:LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO酸化物前駆体の2種以上を、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるようにすると共に、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて60分間均一に混合し、その混合されたものを直接ボックス炉に入れて750〜950℃で5〜15時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、
中間体複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、600〜850℃で5〜15時間初期的焼結を行い、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の前駆体初期的焼結物をボールミルにて、回転速度500rpmで60分間均一に混合してから、直接ボックス炉に入れて750〜980℃で4〜10時間焼結した後に、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、
又は、最終産物複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、850〜980℃で5〜10時間焼結し、0.5MPaの気圧で気流粉砕を行い、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすると共に、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO、LiMn1−xからなる群より選択された二種以上を均一に混合したものを、直接ボックス炉に入れて350〜850℃で0.5〜5時間焼結してから、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップと、を有することを特徴とする多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法。
【請求項3】
前記Co、Ni、Mnの塩類化合物は水酸基化合物、シュウ酸塩又は炭酸塩であることを特徴とする請求項2に記載の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法。
【請求項4】
前記気流粉砕後は、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすることを特徴とする請求項3に記載の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法。
【請求項5】
(a:前駆体の製造)Co、Ni、Mnの一種以上の総含有量が0.5〜1.0molである硝酸塩で作られた質量濃度16%の硝酸塩水溶液に、30〜80℃、回転速度20〜120rpmの条件で、徐々にリチウム含有量が1.0〜1.2mol、質量濃度が10〜25%の硝酸リチウム水溶液を滴り入れて、60〜120分間反応させた後、反応によって得られたものを直接ボックス炉に入れて150〜250℃の温度で2〜10時間乾燥脱水させてから、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて30分間分散させることによって、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x又はLiMnO酸化物前駆体(x、y、x+y<1、z≧1)を得るステップと、
(b:多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造)前駆体複合焼結法を採用する場合:LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO酸化物前駆体の2種以上を、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるようにすると共に、回転速度200〜1000rpmのボールミルにて60分間均一に混合し、その混合されたものを直接ボックス炉に入れて750〜950℃で5〜15時間焼結してから、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、
中間体複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、600〜850℃で5〜15時間初期的焼結を行い、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOからなる群より選択された二種以上の前駆体初期的焼結物をボールミルにて、回転速度500rpmで60分間均一に混合してから、直接ボックス炉に入れて750〜980℃で4〜10時間焼結した後に、室温まで自然冷却した後、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップ、
又は、最終産物複合焼結法を採用する場合:それぞれ前駆体であるLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnOを直接ボックス炉に入れ、850〜980℃で5〜10時間焼結してから、0.5MPaの気圧で気流粉砕を行い、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすると共に、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3となるように、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO、LiMn1−xからなる群より選択された二種以上を均一に混合したものを、直接ボックス炉に入れて350〜850℃で0.5〜5時間焼結してから、0.4〜1.0MPaの気圧で気流粉砕を行い、多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材を得るステップと、を有することを特徴とする多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法。
【請求項6】
前記気流粉砕後は、分級篩を使って分級を行い、粒度をD50=8〜20μmにすることを特徴とする請求項5に記載の多結晶Co−Ni−Mn三元系正極材の製造方法。
【請求項7】
正極材を有するリチウムイオン二次電池において、前記正極材は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−(x+y)NiMn、LiNiMn1−x、LiCoNi1−x、LiMnO(x、y、x+y<1、z≧1)からなる群より選択された二種以上の基体結晶体構造を有し、多結晶積層構造で、元素Li:Co:Ni:Mnのmol比=1〜1.2:0.4〜0.7:0.2〜0.5:0.1〜0.3、粒度は8〜20μmで、前記多結晶正極材の圧縮密度は3.9〜4.3g/cm、放電倍率が0.5〜1Cの場合の容量≧145mAh/g、300回のサイクル容量保持率は90%より高いことを特徴とするリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−501317(P2013−501317A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523194(P2012−523194)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/CN2010/078116
【国際公開番号】WO2011/054262
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512029168)シェンヅェン ヅェンファ ニュー マテリアル カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN ZHENHUA NEW MATERIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】HAO, Genbao, Zhen Hua Industrial Park 44 Tiezi Road, Baoan District Shenzhen, Guangdong 518102 CHINA
【出願人】(512029180)グィジュ ヅェンフア ニュー マテリアル カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】GUI ZHOU ZHENHUA NEW MATERIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】HAO, Genbao, NO. 390−1, Baiyun North Road, BaiYun District GuiYang, Guizhou 550000 CHINA
【Fターム(参考)】