説明

多線式圧着電線製造装置、多線式圧着電線製造方法、多線式電線送給装置、端子圧着方法、及び、端子圧着装置

【課題】 皮むき時に発生するストリップ屑を確実に回収できる電線皮むき装置等を提供する。
【解決手段】電線皮むき装置100は、皮むき手段220に向けて空気流を吹き付ける空気ノズル137を備える。また、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取るダクト290を備える。そしてノズル137が、電線のクランプ位置から、電線送り方向の横方向にズレた位置に配置されており、クランプ手段が横方向に移動して、ノズル137が皮むき手段220の中心近傍に来た時点で空気流を吹く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆のはぎ取られた電線両端部に端子が圧着された端子圧着電線を製造する装置及び方法に関する。特には、1台の機械で並列的に複数本の端子圧着電線を製造する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子圧着電線は、ロール状に巻かれた電線束からの電線の送り込み、電線先端の被覆の皮むき、電線先端への端子圧着及び電線の切断などの工程を経て作製される。これらの工程において、一般的に、電線は1本ずつ処理される。つまり、1回のプロセスで1本の端子圧着電線が製造される。
【0003】
生産性の向上を目的として、1回のプロセスで2本の端子圧着電線を製造する装置(二線式)も提案されているが(例えば、特許文献1参照)、市場に大規模に普及しているものは現在のところ存在しない。その理由は次のとおりである。例えば、特許文献1に提案されている装置の場合は、2本の電線を共通のローラで送り込んでいる。この場合、送り込まれる2本の電線の長さは基本的に同じであるが、電線の外径のバラツキや被覆の表面状態によっては、送り込まれる電線の長さに差が生じて、製品の長さ精度が低下したり不良品となる場合がある。また、この方式では、送り込まれる電線の規格長さが基本的に同じとなるため、同じ種類(長さ)の端子圧着電線しか製造できない。製品によっては、長さや種類(外径や被覆の種類)の異なる2本の端子圧着電線をセットとして提供する場合もある。この場合、二線式においても、異なる長さの電線を同時に送り込むことができたり、外径や被覆の種類の差異を反映した送り込みが行われることが好ましい。
【0004】
また、二線式に限らず端子圧着電線製造装置においては、ロール状に巻かれた電線束から繰り出される電線の先端が、ロール状態時の曲がりくせなどによって湾曲している場合がある。すると、先端の被覆の皮むきや端子圧着が良好に行えなくなり、不良品となってしまう。そこで、端子圧着状態の良否を判定する手段を備えた装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながらこの装置の場合、不良品を排除することはできるが、不良品を出さない根本的な対策とはなりえない。
【0005】
次に、本願と関連するPCT出願(PCT/JP2010/066688)の国際調査において引用された文献(文献1、文献3〜8)と、本願各発明との関係に言及する。
文献1(特開平1−276513号公報)は、上述のとおり、本願各発明が解決しようとしている問題を含む技術に関する。
【0006】
文献3(特開平7−161432号公報)には、エンドレスベルト式の電線の測長装置が開示されている。すなわち、この文献3の装置においては、図1(要約掲載図)に示されているように、電線W3は、図の上側の案内エンドレスベルト14(非駆動)と、図の下側のエンドレスベルト3(駆動)との間に挟まれて送られる。一方、本願の電線送給装置は、電線送りローラが電線に直接接触するローラ直接接触式である。エンドレスベルト式は、構造が複雑となるが、電線にかかる圧力・摩擦力が比較的低いという特徴がある。また、エンドレスベルト式の電線送給装置においては、ベルトと電線、及び、べルトと駆動プーリとの間のスリップもない。このように、エンドレスベルト式とローラ直接接触式とは、電線の送り方式の基本において異なっている。したがって、当業者は、前者の文献2の技術と後者の文献1の技術を組合せようとすることはない。
【0007】
文献4(特開2002−110309号公報)は、「二組のローラを一台のモータで駆動する構成」を開示するものであるが、本願では、前記構成を本願発明の特徴事項とはしておらず、この文献3は、本願発明の特許性に影響を及ぼすものではない。
【0008】
文献5(特開平2−189880号公報)の497頁右上欄上段には、「例えば“圧着不良”指令を受けた場合、一連の端子圧着処理を停止してオペレータが不良品を選別するようにしてもよいし、自動的に不良品を選別するようにしてもよい。」と記載されているが、具体的にどう「自動的に不良品を選別」するかは不明である。
【0009】
文献6(特開2008−243586号公報)の段落0006には、「上記先送りタイプのアプリケータは、専ら半自動機、すなわち、作業者が電線を端子の上部で位置決め保持した後、スイッチ等をONして上型を下降させて圧着を行う端子圧着装置に採用されている。」と記載されているが、自動的な位置決め方法に関する言及はない。
【0010】
文献7(特開2005−216717号公報)の段落0033には、ティーチング時の段取調整における電線端部の前後左右方向の位置調整に関する記載がある。この電線端部の位置調整は、ティーチング時の段取調整におけるものであって、実際の電線加工時におけるものではない。
【0011】
文献8(特開20009−245703号公報)の段落0042には、「ステップS4では、電線10が曲がっていることに対応した所定の処理、すなわち異常処理を行う。ここでの異常処理は、例えば、電線10の曲がりを修復する処理であってもよい。」と記載されているが、具体的な電線曲がりの修復方法に関する言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平1−276513号公報
【特許文献2】特開昭61−133844号公報
【特許文献3】特開平7−161432号公報
【特許文献4】特開2002−110309号公報
【特許文献5】特開平2−189880号公報
【特許文献6】特開2008−243586号公報
【特許文献7】特開2005−216717号公報
【特許文献8】特開2009−245703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、1台の機械で並列的に複数本の端子圧着電線を製造する装置であって、装置全体の大型化や装置重量の増加、装置価格の上昇をできるだけ抑えつつ、各電線の電線長を正確に設定できる等の利点を有する多線式端子圧着電線製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の多線式端子圧着電線製造装置は、 電線を送給する電線送給装置と、 該電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき装置と、 皮むきされた先端部に端子を圧着するトップ端子圧着装置と、 先端部に端子の圧着された電線を任意の長さに切断する電線切断装置と、 切断された電線の後端部を把持するテールクランプ装置と、 切断された電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき装置と、 皮むきされた後端部に端子を圧着するテール端子圧着装置と、 両端に端子が圧着された電線の払い出し装置と、を具備し、 前記電線送給装置が、並列する2本以上の電線の各々に直接接触して該電線を送る、並列配置されたローラを二組以上有し、該二組以上のローラの各々が別々のモータで駆動されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、2本以上の電線の両端に端子を圧着する端子圧着電線製造装置において、2本以上の電線を別々の送り機構(ローラ及びモータ)で送り出す。モータとして、クローズドループ制御されるサーボモータを使用することが好ましい。このモータは、内蔵されたエンコーダで計測された回転角度信号を制御部にフィードバックし、目的の移動量に達するように動作量を制御するので、移動量を正確に設定することができる。したがって、電線の各々を正確な長さだけ送り込むことができる。
さらに、各モータに、内蔵されているエンコーダとは別に、送られる電線の長さを検出するセンサ(エンコーダなど)を設けることもできる(フルクローズド制御)。この場合、電線がスリップした場合などにおいても、正確な長さの電線を送ることができる。
【0016】
さらに、各モータの動作量を変えることによって、異なる長さの2本の電線を送り出すことができる。したがって、長さや種類(外径や被覆の種類)の異なる2本以上の端子圧着電線をセットとして提供することもできる。
【0017】
本発明においては、 前記二組以上のローラを駆動する別々のモータの端子圧着電線一本当たりの送り回転数を微調整する個別モータ回転数微調整部が、前記端子圧着電線製造装置の操作パネルに設けられていることが好ましい。
【0018】
同一サイズ・型番の電線を処理する場合であっても、微妙に送り特性が異なり、ライン(電線処理系統)により、処理された電線長さに差がでることが多い。本発明のこの態様においては、電線毎に装置の操作パネルに設けた個別モータ回転数微調整部を操作することにより、各ライン毎に送り回転数を調整可能なので、各ラインの端子圧着電線長さをより均一にできる。
【0019】
本発明においては、 前記トップ皮むき装置、及び、前記テール皮むき装置が、それぞれ、並列する2本以上の電線を皮むきする二組以上の皮むき具を有し、 前記電線切断装置が、並列する2本以上の電線を切断する二組以上の切断刃を有し、 前記トップ端子圧着装置、及び、前記テール端子圧着装置が、それぞれ、2本以上の電線を、一本ずつ時間をずらして処理する一組の端子圧着機を有することが好ましい。
【0020】
端子圧着電線製造装置のなかで、圧着機は重量が重く高価な部分である。一般的な圧着機は、1本の電線の端末に1個の端子を圧着するものである。この圧着機をトップ端子圧着用及びテール端子圧着用のそれぞれに処理される電線の数だけ持つと、装置価格が大幅にアップする。しかし、圧着機は、トップ端子圧着用及びテール端子圧着用にそれぞれ一組のままで、他の電線送給装置やカット・ストリップ装置、テールクランプ装置を複数本用の仕様(複数本の電線を同時にクランプ、皮むき又は切断する)にし、圧着装置については、複数本の電線を1本ずつ時間をずらして処理することとすればよい。例えば二線式の場合、装置価格は1.2倍から1.5倍ですみ、単位時間当り生産量を1.7倍から1.8倍にすることができる。すなわち、製造電線一本当りの装置コストを大幅に下げることができる。また、装置の設置スペースも、多線式だからといって処理される電線の本数分だけ倍になるわけではない(例えば二線式の場合、ほとんど増えないか1.1倍程度)。
【0021】
また、電線切断装置、トップ皮むき装置、及び、テール皮むき装置を1個の駆動源で駆動するように構成すれば、装置の小型化や省スペース化が可能である。さらに、トップ皮むきとテール皮むきとを同じタイミングで行うようにすることが好ましい。
【0022】
本発明においては、 前記トップ皮むき装置、前記テール皮むき装置、及び、前記電線切断装置が、それぞれ別個に、並列に設けられていることが好ましい。
【0023】
一般に、電線の切断用の刃と皮むき用の刃とは、刃の逃げ形状や厚さが異なる。例えば、切断刃の方が皮むき刃よりも厚さが厚い。また、切断時や皮むき時には、通常は刃の同じ位置で電線に接するので、刃はこの位置から劣化していく。本発明によれば、各装置が別個に調整可能であるので、装置毎に刃の切り込み位置を調整したり刃を交換できる。このため、電線の切り口がきれいであり、後工程に支障をきたさない。また、刃の寿命を長くできる。
【0024】
本発明においては、 前記電線送給装置が、前記トップ皮むき装置の電線クランプを兼ねることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、電線送給装置で、電線束から繰り出された電線を所定の長さだけ送り込む・引き込む作業と、同電線の先端部をクランプする作業とを兼ねるので、小型化や省スペース化が可能である。
【0026】
本発明においては、 前記払い出し装置が、並列に配置された二組以上のクランプ部を有し、 前記クランプ部が独立して開閉されることを特徴とすることが好ましい。
【0027】
本発明によれば、 2本以上の電線をクランプ部から独立して解放することができる。このため、良品と不良品とを別々の製品シュートに払い出したり、製品毎に異なるシュートに払い出すことができる。
【0028】
本発明によれば、 製造した端子圧着電線のいずれかが不良品の場合に、該不良品をクランプしているクランプ部が、開放しないまま該不良品を把持して不良品位置へ移動し、製造装置全体が停止することが好ましい。
【0029】
端子圧着電線の検査は、オンライン全数検査(CCDカメラ・画像解析や導通検査など)するのが一般的である。不良品が出た場合、不良品シュート(あるいはボックスなど)に入れて、装置全体はそのまま運転(端子圧着電線製造)を続けることもできる。しかし、やはり、不良品が出たときは、オペレータが不良品の状態を確認することが好ましい。そして、不良の原因を除去してから運転を再開するのが好ましい。この本件発明の態様では、不良品をクランプしているクランプ部が停止するので、不良のライン(電線処理系統)がどれかすぐ分かり、異常個所の発見などが容易である。
【0030】
本発明の多線式端子圧着電線製造装置は、 電線を送給する工程と、 送給された電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき工程と、 皮むきされた先端部に端子を圧着するトップ端子圧着工程と、 先端部に端子の圧着された電線を任意の長さに切断する電線切断工程と、 切断された電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき工程と、 皮むきされた後端部に端子を圧着するテール端子圧着工程と、 両端に端子が圧着された電線の払い出し工程と、を含む端子圧着電線の製造方法であって、 前述に記載の端子圧着電線製造装置を用いて、 前記工程の少なくとも1以上の工程において、2本以上の電線を並列に送りながら処理することを特徴とする。
【0031】
本発明の端子圧着電線製造方法は、 電線に直接接触して該電線を送るローラを用いて電線を送給する工程と、 送給された電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき工程と、 皮むきされた先端部に端子を圧着するトップ端子圧着工程と、 先端部に端子の圧着された電線を任意の長さに切断する電線切断工程と、 切断された電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき工程と、 皮むきされた後端部に端子を圧着するテール端子圧着工程と、 両端に端子が圧着された電線の払い出し工程と、を含む端子圧着電線の製造方法であって、 前記電線送給工程において、2本以上の電線を、別個のモータによって駆動される二組以上のローラを用いて並列に送り、 前記別個のモータの端子圧着電線一本あたりの送り回転数を微調整する個別モータ回転数微調整部を、前記端子圧着電線製造装置の操作パネルに設けておき、 同一サイズ・型番の電線を処理する場合であっても、前記個別モータ回転数微調整部を操作することにより、各ラインの端子圧着電線長さを均一化することを特徴とする。
【0032】
本発明の多線式電線送給装置は、 並列する2本以上の電線を送給する電線送給装置であって、 並列する2本以上の電線の各々に直接接触して該電線を送る、並列配置されたローラを二組以上有し、該二組以上のローラの各々が別々のモータで駆動されることを特徴とする。
【0033】
さらに、各モータに、モータに内蔵されているエンコーダとは別に、送られる電線の長さを検出するセンサ(エンコーダなど)を設けることもできる(フルクローズド制御)。この場合、電線がスリップした場合などにおいても、正確な長さの電線を送ることができる。
【0034】
本発明においては、 前記二組以上のローラを駆動する別々のモータの回転数を微調整する個別モータ回転数微調整部が、前記電線送給装置の操作パネルに設けられていることが好ましい。
【0035】
本発明の端子圧着装置は、 被覆の剥ぎ取られた電線の端部に端子を圧着する装置であって、 前記電線をクランプして、端子圧着工具であるクリンパとアンビルとの間に前記電線の端部を送り込むクランプ装置と、 前記クランプ装置の高さ及び左右方向位置を調整する位置調整手段と、 前記クランプ装置でクランプされた電線の端部を撮像する手段と、 前記撮像手段で撮影された前記電線端部の画像から、該電線端部が正常なクランプ姿勢かどうかを判定する手段と、を備え、 前記画像判定手段の判定に基づいて、前記クランプ装置調整手段によって、前記電線端部が正常なクランプ姿勢となるように、前記クランプ装置の高さ及び左右方向位置を調整することを特徴とする。
【0036】
本発明においては、 さらに、前記クランプ装置の傾きを調整する傾き調整手段を備えることが好ましい。
【0037】
本発明においては、 前記傾き調整手段が、 前記クランプ装置から電線の先端部を案内するノズルと、 前記ノズルを保持するノズルホルダと、 前記ノズルホルダを、電線長さ方向と直交する回転軸を中心に回動可能に支持する手段と、を有し、 前記ノズルホルダを回動させることにより、前記ノズルに案内されている電線先端部の傾きを調整することとできる。
【0038】
本発明の端子圧着方法は、 被覆の剥ぎ取られた電線の端部に端子を圧着する方法であって、 前記電線をクランプして、端子圧着工具であるクリンパとアンビルとの間に前記電線の端部を送り込む際に、 画像撮影・処理により、前記電線の端部の位置及び/又は曲がり形状を検出し、 前記クランプを位置調整及び/又は傾き調整することを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、電線端部の姿勢を判定して、姿勢に曲がりなどの乱れがあった場合はその乱れを修正するようにクランプの位置や傾きを調整した後で端子圧着作業を行う。このため、端子圧着作業時に不良品が生産されない。
【0040】
(請求項16、請求項17)
本発明の多線式端子圧着電線製造装置及び多線式電線送給装置においては、 前記電線送給装置の前記ローラが、前記電線を挟む一対の単位ローラからなるピンチローラであって、 さらに、このピンチローラが、一本の電線あたり、電線送り方向に2セット設けられていることが好ましい。
【0041】
本発明によれば、電線のグリップ力を高めることができるので、比較的太い電線(例えば芯線径2SQ(平方mm)以上)の送給が可能となる。
【0042】
本発明の端子圧着電線製造装置は、 電線を送給する電線送給手段と、 送給された電線を任意の長さに切断する電線切断手段と、 切断された電線の先端部を把持するトップクランプ手段と、 該電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき手段と、 皮むきされた先端部に端子を圧着するトップ端子圧着手段と、 切断された電線の後端部を把持するテールクランプ手段と、 切断された電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき手段と、 皮むきされた後端部に端子を圧着するテール端子圧着手段と、 両端に端子が圧着された電線の払い出し手段と、を具備する端子圧着電線製造装置であって、 前記皮むき手段に、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取るダクトが付設されており、 前記クランプ手段に、前記皮むき手段に向けて空気流を吹き付ける空気ノズルが付設されていることを特徴とする。
【0043】
皮むき時には、静電気などにより、ストリップ屑が皮むき刃に付着することがある。このストリップ屑を空気ノズルから空気流を吹きつつ吸うことにより、確実にストリップ屑を回収できる。
【0044】
本発明の電線皮むき装置は、 電線の端部を把持するクランプ手段と、 該電線の端部の被覆を皮むきする皮むき手段と、を具備する電線皮むき装置であって、 前記クランプ手段に、前記皮むき手段に向けて空気流を吹き付ける空気ノズルが付設されており、 前記皮むき装置に、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取るダクトが付設されていることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、 前記ノズルが、電線のクランプ位置から、電線送り方向の横方向にズレた位置に配置されており、 前記クランプ手段が横方向に移動して、前記ノズルが前記皮むき手段の中心近傍に来た時点で空気流を吹くことが好ましい。
【0046】
本発明の電線皮むき方法は、 電線の端部の被覆を皮むきする方法であって、 電線の被覆を皮むき刃を用いて皮むきし、 前記皮むき刃に向かって空気流を吹き付けるとともに、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
以上の説明から明らかなように、本発明の多線式端子圧着電線製造装置は以下の効果を有する。なお、以下の文で、「多線式」の例として、「2線式」の場合を説明することもあるが、「3線以上」の場合も同様である。
(1)電線送給装置で、例えば2組の上下ローラ対の各々を独立したモータで駆動させる場合には、各電線を正確な長さだけ送り込みできる。また、それぞれの上下ローラ対で送られる電線(例えば2本)の送り込み長さをそれぞれ変えることもできる。
(2)複数本の電線を同時に切断及び皮むき作業を行い、圧着作業は1本ずつ行う場合には、圧着機をそれぞれに1台とする。例えば2線式の場合、単位時間当たりの生産量を単純に2倍とすることはできないが、装置価格は1.2倍から1.5倍ですみ、単位時間当り生産量を1.7倍から1.8倍にすることができる。すなわち、製造電線一本当りの装置コストを大幅に下げることができる。また、装置の設置スペースもほとんど増えない。
(3)カット・ストリップ装置を1個の駆動源で駆動する場合には、さらに、装置の小型化や省スペース化が可能である。さらに、トップ皮むきとテール皮むきとを同じタイミングで行えば、皮むき動作が1回の作業で行われるため効率的である。
(4)払い出し装置が独立して開閉される二組のクランプ部を有する場合、2本の電線を独立して解放することができる。例えば、片方が良品でもう片方が不良品の場合、良品と不良品とを別々の製品シュートに払い出すことができる。
(5)払い出し装置が、2本の電線を平行姿勢のままで搬送する場合、搬送中に2本の電線が交差しないので電線同士が絡まることがなく、各電線を適切な払い出し位置に搬送できる。
(6)圧着前に電線先端部の位置を正常な位置に調整する場合には、電線端部が湾曲している場合にも、正確に圧着作業を行うことができる。つまり、電線先端部の湾曲による不良品が製造されない。さらに、電線傾き調整手段を有する場合、より適切な圧着作業を行うことができる。
(7)上下のローラ対を使用した電線送給装置が、電線の送り込み・引き込みのフィード動作と電線のクランプ動作を行う場合、装置の小型化・省スペース化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の多線式(二線式)端子圧着電線製造装置の全体構成を模式的に示す平面図である。
【図2】電線送給装置の側面図である。
【図3】図2の電線送給装置の分解斜視図である。
【図4】図2の電線送給装置の駆動部を示す斜視図である。
【図5】図2の電線送給装置のローラ間隔変更機構を示す側面図である。
【図6】カット・ストリップ装置の正面図である。
【図7】図7(A)は、図6のカット・ストリップ装置の各刃の形状と位置関係を示す斜視図であり、図7(B)は切断用刃とガイドの位置関係を示す側面図である。
【図8】図6のカット・ストリップ装置のバキュームパイプを示す側面図である。
【図9】テールクランプ装置の側面図である。
【図10】図10(A)は、図9のテールクランプ装置のクランプ部の正面図であり、図10(B)はクランプ部の開閉動作を説明する正面図である。
【図11】図9のテールクランプ装置のクランプユニット及びクランプブラケットの斜視図である。
【図12】図9のテールクランプ装置のクランプユニット及びクランプブラケットの分解斜視図である。
【図13】電線送給装置とテールクランプ装置の位置関係を示す側面図である。
【図14】圧着装置及び沈み機構を示す側面図である。
【図15】払い出し装置を示す平面図である。
【図16】図15の払い出し装置の正面図である。
【図17】図17(A)は、図15の払い出し装置のクランプユニットの正面図、図17(B)は、クランプ部の開閉動作を説明する正面図である。
【図18】二線式端子圧着電線製造装置のフローチャートである。
【図19】二線式端子圧着電線製造装置のタイミングチャートである。
【図20】本発明の他の態様の二線式端子圧着電線製造装置のブロック図である。
【図21】電線端部が湾曲した状態の例を示す図であり、図21(A)は平面図、図21(B)、(C)は側面図である。
【図22】図20の二線式端子圧着電線製造装置のさらに他の態様の電線送給装置の一部を示す側面図である。
【図23】二線式端子圧着電線製造装置の制御部を示すブロック図である。
【図24】多線式端子圧着電線製造装置のパネルの一例を示す図である。
【図25】電線送給装置の他の例を示す側面図である。
【図26】図25の電線送給装置の駆動部を示す斜視図である。
【図27】電線送給装置にストリップ屑除去用ノズルを設けた例を示す斜視図である。
【図28】クランプ装置にストリップ屑除去用ノズルを設けた例を示す斜視図である。
【図29】カットストリップ装置にストリップ屑吸引シュートを設けた例を示す図であり、図29(A)は側面図、図29(B)は正面図である。
【図30】ストリップ屑除去機構を説明する図である。
【図31】本発明の多線式(三線式)端子圧着電線製造装置の全体構成を模式的に示す平面図である。
【図32】図31の多線式端子圧着電線製造装置の電線送給装置の側面図である。
【図33】図31の多線式端子圧着電線製造装置の電線送給装置の平面図である。
【図34】図31の多線式端子圧着電線製造装置のテールクランプ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の多線式端子圧着電線製造装置の全体の構成を説明する。この例では、2本の端子圧着電線を製造する二線式端子圧着電線製造装置について説明する。
二線式端子圧着電線製造装置1は、電線束から電線を送給する(送り込む)とともにクランプする電線送給装置100と、電線の切断及び被覆を皮むきするカット・ストリップ装置200と、切断された電線の後端部をクランプするテールクランプ装置300と、電線送給装置100にクランプされている電線の先端部に端子を圧着するトップ端子圧着装置400と、テールクランプ装置300にクランプされている電線の後端部に端子を圧着するテール圧着装置500と、両端に端子が圧着された電線の払い出し装置600と、備える。カット・ストリップ装置200は、電線送給装置100にクランプされている電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき部220と、電線を任意の長さに切断する電線切断部210と、テールクランプ装置300にクランプされている電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき部230と、を備える。これらは機台3上に設置されている。
以降、カット・ストリップ装置200で切断後に電線束から切り離される電線を切断電線、電線束に残る電線を残留電線という。
また、以降の説明において左右方向とは図の左右方向を示し、上下方向とは図の上下方向を示す。
【0050】
電線送給装置100とテールクランプ装置300は、2個の電線束から繰り出された電線W1、W2が送られる方向(電線送り方向)に直列に並んで、所定の間隔を開けて対向している。この位置を電線送り位置P0(原点ともいう)、高さを電線送り高さという。また、電線送り方向において、電線束側の方向を後方向、反電線束側の方向を前方向又は先方向という。
電線送給装置100は、電線送り方向と直交する方向の一方(この例では右方向、電線送給装置搬送方向という)に移動可能であり、テールクランプ装置300は、その逆方向(この例では左方向、テールクランプ装置搬送方向という)に移動可能である。
【0051】
カット・ストリップ装置200は、電線送り位置P0の、電線送給装置100とテールクランプ装置300との間に配置されている。カット・ストリップ装置300は、電線送り方向と直交する方向に並んで配置された、電線切断部210、トップ皮むき部220及びテール皮むき部230を有する。電線切断部210は、電線送り位置P0において、電線送給装置100とテールクランプ装置300の間(切断位置という)に配置されている。そして、トップ皮むき部210は、電線送り位置P0から電線送給装置搬送方向に所定の距離離れた位置P1(トップ皮むき位置)に配置され、テール皮むき部220はテールクランプ装置搬送方向に所定の距離離れた位置P2(テール皮むき位置)に配置されている。
【0052】
トップ端子圧着装置400は、トップ皮むき位置P1から電線送給装置移動方向に所定の距離離れた位置P3(トップ端子圧着位置)に配置されている。
テール端子圧着装置500は、テール皮むき位置P2からテールクランプ装置搬送方向に所定の距離離れた位置P4(テール端子圧着位置)に配置されている。
払い出し装置600は、テール端子圧着位置500の外側に配置されている。
【0053】
次に、図2から図5を参照して、電線送給装置100について説明する。
電線送給装置100は、2個の電線束から各々繰り出された電線の先端部を電線送り方向に平行に並べてクランプするとともに、これらの電線を電線送り方向に沿って送り出すものである。同装置100は、図2に示すように、ローラユニット110と、ローラユニット110が上下移動可能に支持されるテーブル160と、を主に備える。さらに、テーブル160を装置搬送方向に搬送する電線送給装置搬送機構180を備える。
【0054】
ローラユニット110は、上下ローラ121、122からなる左右のローラ対120L、120R(図3参照)、上下ローラ対120の各々を駆動するモータ130、左右のローラ支持プレート140、を備える。
【0055】
図2、図3に示すように、左右の上下ローラ対120L、120Rは、各々が左右のローラ支持プレート140L、140Rに回転可能に取り付けられている。左右ローラ支持プレート140は、電線送り方向に平行であり、互いに対向するようにテーブル160の左右側に配置されている。各ローラ支持プレート140の上部には、前方に延びる2本のアーム141、142が取り付けられている。各アーム141、142の基端は、ローラ支持プレート140に旋回可能に支持されている。また、各アーム141、142の先端には、電線送り方向と直交する方向に延びるローラ回転軸143(図3参照)が回転可能に支持されている。図3に示すように、各ローラ回転軸143は内方向に延びており、同回転軸143の先端にローラ121、122が取り付けられている。
【0056】
図4に示すように、上下のローラ121、122は、電線W1、W2の径よりもある程度広い幅を有する、例えばゴム製のローラである。上下ローラ121、122の同軸上にはギア123、124が固定されている。各アーム141が平行な状態では、上下のローラ121、122の外周面は接触しているが、上下ギア123、124は噛み合っていない。上下ローラ121、122の接触面の高さが電線送り高さHとなる。
なお、上下ローラ121、122間の間隔は、各アーム141、142を旋回させることによって変更することができる。上下ローラ間隔変更機構については後述する。
【0057】
左右のローラ支持プレート140に支持された上下ローラ対120間の左右方向の間隔(電線間隔という)は、できるだけ狭い方が好ましい。同間隔が広いと、各装置の寸法が大きくなって重量が増加するとともに、電線送給装置100やテールクランプ装置300の移動距離が長くなる。
【0058】
図4に示すように、上下ギア123、124には、各々、ローラ支持プレート140に回転可能に支持された駆動ギア127、128が噛み合っている。上下の駆動ギア127、128同士は互いに噛み合うように配置されている。下駆動ギア128の同軸上にはプーリ129が固定されている。
【0059】
モータ130は、各ローラ支持プレート140に取り付けられている。モータ130は、エンコーダを内蔵したサーボモータである。同モータは、エンコーダで計測された回転角度信号を制御部にフィードバックし(セミクローズド制御)、目的の移動量に達するように動作量を制御する。このため、移動量を正確に設定することができる。
さらに、各モータ130に、モータ130に内蔵されているエンコーダとは別に、送られる電線の長さを検出するセンサ(エンコーダなど)を設けることもできる(フルクローズド制御)。この場合、電線の送り長さを測定して、送り長さが目的の長さとなるようにモータを制御するので、電線がスリップした場合などにおいても、正確な長さの電線を送ることができる。
なお、左右のローラ対120L、120Rを別々のモータで駆動する替わりに、1台のサーボモータで駆動することもできる。この場合は、電線がスリップしないような機構を設けることが好ましい。
【0060】
モータ130の出力軸にはプーリ131が固定されている。このプーリ131と、前述の下駆動ギア128に固定されたプーリ129との間には、タイミングベルト133が巻き回されている。モータ130の回転は、タイミングベルト133を介してプーリ129に伝わって下駆動ギア128を回転させ、これにより上駆動ギア127も回転する。そして、上下駆動ギア127、128の回転によって上下のローラギア123、124が回転し、これとともに上下ローラ121、122は反対方向に回転する。図2、図4において、モータ130の出力軸が時計方向に回転すると、上ローラ121が時計方向に回転して下ローラ122が反時計方向に回転し、両ローラ121、122間から左方向に電線が送り込まれる。逆に、モータ130の出力軸が反時計方向に回転すると、上ローラ121が反時計方向に回転して下ローラ122が時計方向に回転し、両ローラ121、122間から右方向に電線が引き込まれる。そして、モータ130が停止した状態では、電線は上下ローラ121、122の外周面間に挟まれてクランプされる。
図2に示すように、上下ローラ121、122の接触面の前方には、電線が挿通されるノズル135が取り付けられている。
【0061】
本発明では、上述のように、上下のローラ121、122が、電線のクランプ作用と、電線の送り込み・引き込み作用とを兼ねているので、作用ごとに別々の機構を設ける場合と比べて省スペース化が可能である。
さらには、2本の電線を別のモータ130で送り出すので、モータ130の動作量を変えることによって、送り込まれる電線の長さを変更することができる。
【0062】
上下ローラ間隔変更機構について説明する。
図2、図3に示すように、ローラ支持プレート140の、上下のアーム141、142の間には、前方に延びるロッド145が、前後方向にスライド可能に支持されている。図5に拡大して示すように、ロッド145の前端には、上下アーム141、142の中央部に回転可能に連結するリンクアーム147、148が連結されている。ロッド145の後端には、ローラ支持プレート140に取り付けられたシリンダ150の出力軸151が固定されている。シリンダ150は、出力軸151の伸長長さを調整するダイヤル153付きのものである。
【0063】
図5の実線で示すように、上下アーム141、142が平行な状態では、上下ローラ121、122の外周面は接している。シリンダ150の出力軸151を収縮させると、ロッド145が後方にスライドする。すると、上リンクアーム147が連結点を中心にして反時計方向に回動するとともに下リンクアーム148が時計方向に回動する。これに伴って、上アーム141は時計方向に回転し、下アーム142は反時計方向に回転する。これにより、上下ローラ121、122は、電線高さHから上下方向に等距離だけ移動し、両ローラ間にスキマDが開く。これにより、電線を上下のローラ121、122間にセットしやすくなる。上下ローラ121、122を閉じたときの隙間Dの調整は、ダイヤル153を回すことによって行う。
【0064】
再度図2、図3を参照して、各ローラ支持プレート140の支持方法について説明する。
各ローラ支持プレート140は、テーブル160に対してばね165によって上方に付勢されて支持されている。図3にわかりやすく示すように、各ローラ支持プレート140の内面には、内方向に突き出たピン155が固定されている。一方、テーブル160の両側面には左右の側板161が固定されている。そして、各側板161の内面には、後方に突き出たばね支持プレート162が固定されている。ばね165は、このばね支持プレート162の上面とばね支持ピン155の下面との間に係止されている。これらのばね165により、各ローラ支持プレート140は、テーブル160に対して上方に付勢されて支持される。
【0065】
ばね165で上方に付勢されている各ローラ支持プレート140の上限高さは、上下ローラ121、122間の高さが所定の電線送り高さHとなるように設定されている。この高さは、テーブル160の各側端面に固定されたブロック167と、各ローラ支持プレート140の下端面に取り付けられたねじ157によって規制されている。ブロック167の外側の面には、上下方向に延びる溝167aが形成されている。ねじ157はブロック167の溝167aに嵌り込んでいる。各ばね165は、ねじ157のヘッド157aの上面が、ブロック167の下面に当接する高さまで、各ローラ支持プレート140を上方に付勢している。
【0066】
さらに、各ローラ支持プレート140は、テーブル160に対して、上下方向に移動可能に支持されている。各ローラ支持プレート140の内面には、2本のスライドレール171、172が上下方向に延びるように平行に取り付けられている。一方、テーブル160の各側板161の外面には、各スライドレール171、172に噛み合うスライドブロック175、176が固定されている。このような機構によって、各ローラ支持プレート140は、テーブル160に対して上下方向に案内される。
【0067】
前側のスライドレール171は、テーブル160の下方に突き出して延びている。同レール171の下端には、水平な上面を有するドッグ177が前方に突き出している。このドッグ177の上面には、後述する圧着時沈み機構のローラが当接する。沈み機構は、詳しくは後述するが、端子圧着時に電線が中高に曲がったり折れたりしないように、本体部を圧着に伴って所定の速度で下降させるものである。ローラによってドッグ177が押し下げられると、ローラ支持プレート140がばね165の付勢力に抗して下降し、上下ローラ121、122の接触面の高さ(クランプ高さ)が下がる。
【0068】
次に、電線送給装置搬送機構180について、図1、図2を参照して説明する。
同搬送機構180は、ローラユニット110を、電線送り位置P0から、トップ皮むき位置P1、さらに、トップ端子圧着位置P3へ、電線送り方向と直交する方向(電線送給装置移動方向)に移動させるものである。電線送給装置搬送機構180は、電線送り位置P0からトップ端子圧着位置P3まで、電線送給装置搬送方向に延びるように機台3上に敷設された搬送レール181と、テーブル160の下面に取り付けられた、搬送レール181に係合するスライダ182を備える。
【0069】
さらに、電線送給装置搬送機構180は、モータ185と、モータ185の出力軸185aとテーブル160とをスライダ組立190を介して連結するアーム187と、を備える。スライダ組立190は、テーブル160の下面に取り付けられた、電線送り方向と平行に延びるレール191と、同レール191に係合するスライダ192からなる。モータ185は、機台3の下面に取り付けられて、出力軸185aが機台3の上面から突き出している。この出力軸185aにはアーム187の基端が固定されている。アーム187の先端には、垂直方向を上方に延びる軸187aが設けられている。この軸187aは、軸受189を介してスライダ組立190のスライダ192に連結している。
【0070】
モータ185が回転すると、アーム187はモータ185の出力軸185aを中心にして機台3の表面に沿って旋回し、アーム187の先端は円軌道を描く。この円軌道には装置搬送方向への移動成分と、電線送り方向への移動成分が含まれる。この装置搬送方向への成分によって、テーブル160は搬送レール181に沿って電線送給装置搬送方向へ移動する。一方、電線送り方向への移動成分によって、テーブル160の下面に取り付けられたスライダ192がレール191に沿って電線送り方向へ移動する。ただし、同スライダ192はテーブル160に対してのみ移動するので、テーブル160自体は電線送り方向に移動しない。
【0071】
この搬送機構180により、ロールユニット110は、電線送り位置P0からトップ皮むき位置P1を経てトップ圧着位置P3へ、その後、トップ圧着位置P3から電線送り位置P9へ搬送される。ただし、後述するように、トップ圧着位置P3においては、電線を1本ずつ圧着するので、1本目の電線(電線送り位置P0に近い方の電線)を圧着する第1圧着位置と2本目の電線を圧着する第2圧着位置をとる。
【0072】
また、このようにテーブル160を直線上に搬送することによって、ロールユニット110にクランプされている2本の電線を平行のまま移動できるので、電線に曲がり癖がつかないので好ましい。
【0073】
次に、図6、図7、図8を参照して、カット・ストリップ装置200を説明する。
カット・ストリップ装置200は、電線送給装置100及びテールクランプ装置300でクランプされた2本の電線を切断するとともに、電線送給装置100に把持されている2本の残留電線の先端部の皮むきを行い、テールクランプ装置300に把持されている2本の切断電線の後端部の皮むきを行うものである。
【0074】
カット・ストリップ装置200は、切断部210、トップ皮むき部220、テール皮むき部230、上下のガイド部240及び各部の移動機構260を有する。
切断部210、トップ皮むき部220、テール皮むき部230は、各々、上下の刃211と212、221と222、231と232からなる。上下ガイド部240は上ガイド240と下ガイド242からなる。
【0075】
図7(A)にも示すように、切断用上刃211の下縁と、下刃212上縁には、各々V字型の刃部211a、212aが電線間隔を開けて形成されている。
トップ皮むき用及びテール皮むき用上刃221、231の下縁と、下刃222、232の上縁にも、各々V字型の刃部221a、231a、222a、232aが電線間隔を開けて形成されている。
【0076】
図7(B)に示すように、上下ガイド部240は、切断電線の後端部をガイドするものであり、切断部210の、電線送り方向における前方に配置されている。上ガイド241の下面241aは平坦なガイド面となっている。下面241aは、切断用上刃211の刃部211aの底面よりも高い位置となるように位置決めされている。
一方、下ガイド242の上面には、2個のU字状のガイド溝242aが、電線間隔を開けて形成されている。各ガイド溝242aの底面は、電線送り方向において前方に向かって上方に傾斜している。また、各ガイド溝242aの底面は、電線送り高さHよりも低く、かつ、切断用下刃212の各刃部212aの底面よりも高い位置となるように位置決めされている。
【0077】
図6に示すように、切断部210、トップ皮むき部220、及び、テール各皮むき部230、電線送り方向と直交する方向において、各々、電線送り位置P0、トップ皮むき位置P1、及び、テール皮むき位置P2に配置されている。さらには、図7(A)に示すように、電線送り方向において、切断部210は切断位置に位置し、トップ皮むき部220は切断位置よりも後方に位置し、テール皮むき部230は切断位置よりも前方に位置する。
【0078】
そして、図6に示すように、各上刃211、221、231が上ホルダ251に取り付けられて、各下刃212、222、232が下ホルダ252に取り付けられている。各上刃と各下刃とは、電線送り高さHに対して上下方向に等距離離れた高さとなるように各ホルダ251、152に取り付けられている。ただし、切断部210の上下刃間の間隔は、各皮むき部220、230の上下刃間の間隔よりも狭くなっている。
【0079】
上下ホルダ251、252は、上下方向において反対方向に移動するように移動機構260に支持されている。移動機構260は、図6に示すように、上ホルダ251が取り付けられた上スライダ261と、下ホルダ252が取り付けられた下スライダ262と、各スライダ261、262を上下方向に案内するリニアレール265、266と、上下スライダ261、262が係合するボールねじ269と、ボールねじ269を回転させるモータ270とを有する。これらは、縦長のハウジング273に収容されている。ボールねじ269においては、上スライダ261が係合する部分(上部)に形成されているねじの向きと、下スライダ262が係合する部分(下部)に形成されているねじの向きが逆になっている。このような構成により、ボールねじ269がモータ270で回転すると、上下のスライダ261、262は、リニアレール265、266に沿って上下方向の反対方向に移動する。したがって、上下のホルダ251、252は、互いに接近する方向及び離間する方向に等しい距離移動する。
【0080】
各ホルダ251、252は移動機構260によって、各上下刃間の間隔が十分に開いた全開位置と、切断用の上下の刃211、212の完全に重なるが各皮むき用の上下の刃221と222、231と232間には間隔が開いている半開位置と、切断用上下の刃211、212とが完全に重なった後で各皮むき用の上下の刃221と222、231と232が一部重なる全閉位置との、3個の位置をとるように駆動される。半開位置においては、切断部210で電線が切断され、全閉位置においては、各皮むき部220、230で電線の被覆に切れ目が形成される。
【0081】
下ガイド242は、上ホルダ251に取り付けられている。つまり、下ガイド242は各上刃211、221、231とともに移動する。
一方、上ガイド241は、シリンダ280によって上下方向に単独で移動し、送り込まれた電線を電線高さに近づける。
【0082】
上下ガイド241、242は、電線切断時に電線の姿勢を矯正するためのものである。
【0083】
さらに、図8に示すように、トップ皮むき部220の電線送り方向前方には、バキュームパイプ290が前後方向に移動可能に配置されている。このバキュームパイプ290は、トップ皮むき部220で切れ目が入れられて電線から分離された被覆を吸い取るためのものである。バキュームパイプ290は、先端が電線送り方向の前方からトップ皮むき部220の各刃の間に向かうように配置されている。一方、ハウジング273には、シリンダ291が出力軸291aが電線送り方向において後方に延びるように取り付けられている。バキュームパイプ290は、この出力軸291aに、ブラケット293によって取り付けられて、前進位置と後退位置とに位置決めされる。前進位置においては、バキュームパイプ290の先端がトップ皮むき部220の各刃のやや前方に位置している。後退位置においては、バキュームパイプ290の先端が、全刃よりも電線送り方向の前方の位置まで引き込まれている。これは、バキュームパイプ290が、先端に端子が圧着された残留電線の移動に干渉しないようにするためである。
【0084】
以上説明したように、この装置においては、トップ皮むき部220、テール皮むき部230、電線切断部210が別個に並列に設けられており、各部はそれぞれ上下一組の刃を有する。このように、3つの部分220、230及び210を別個に設けずに一組の刃を、トップ・テール皮むき及び絶団の2工程で共通に使用することもできる。しかし、以下の理由により、各部に一組の刃を持つことが好ましい。電線の切断用の刃と皮むき用の刃とは、一般に、刃の逃げ形状や厚さが異なる。例えば、切断刃の方が皮むき刃よりも厚さが厚い。また、切断時や皮むき時には、通常は刃の同じ位置で電線に接するので、刃はこの位置から劣化していく(刃先が摩耗して切れにくくなる)。本発明では、各部がそれぞれ一組の刃を有するので、部毎に刃の切り込み位置を調整したり刃を交換できる。このため、電線の切り口・むき口が常にきれいであり、後工程に支障をきたさない。また、刃の寿命を長くできる。
【0085】
次に、図9から図12を参照してテールクランプ装置300を説明する。
テールクランプ装置300は、カット・ストリップ装置200で切断された2本の切断電線の後端部を把持するためのものである。同装置300は、図9に示すように、クランプユニット310と、クランプユニット310が上下移動可能に支持されるクランプブラケット340と、クランプブラケット340が電線送り方向に移動可能に支持されるテーブル360と、を主に備える。さらに、テーブル360をテールクランプ搬送方向に搬送するテールクランプ装置搬送機構380を備える。
【0086】
クランプユニット310は、図10(A)に示すように、左右2組のクランプ部320L、320Rと、各クランプ部320を開閉駆動する左右のシリンダ325L、325Rと、これらが取り付けられる左右の縦長のベース329とを備える。
【0087】
各クランプ部320は、電線を左右方向から把持する左右の爪部材321、322からなる。図10(B)にも示すように、各爪部材321、322は、正面視において「くの字」状に折れ曲がった部材であり、各々中央の屈曲部321a、322aで鈍角に接続する上辺部321b、322bと下辺部321c、322cとを有する。左爪部材321は、上辺部321bと下辺部321cとが屈曲部321aに対して左上及び左下方向に延びており、右爪部材322は、上辺部322bと下辺部322cとが屈曲部322aに対して右上及び右下方向に延びている。図10(A)に示すように、左右の爪部材321、322は、屈曲部321a、322aが同じ高さ位置で接するように配置されて、同部が固定ピン324によってベース329の前面に回動可能に取り付けられている。
【0088】
各クランプ部320L、320Rにおいて、左右の爪部材321、322の下辺部321c、322cの下端には、可動ピンを介してリンクアーム326の上端が連結されている。左右のリンクアーム326の下端は、ベース329に取り付けられたシリンダ325の出力軸325aの上端に固定された延長ロッド327の上端に連結されている。
【0089】
図10(B)の実線で示すクランプ閉状態では、シリンダ325の出力軸325aが伸長しており、各リンクアーム326が開いている。そして、左爪部材321の上辺部321bの内側の面が、右爪部材322の上辺部322bの内側の面に接している。
クランプを解除する場合は、図10(B)の二点鎖線で示すように、シリンダ325の出力軸325aを収縮させる。すると、各リンクアーム326は閉じるように回動して各爪部材321、322を固定ピン324を中心として回動させる。つまり、左爪部材321が固定ピン324を中心にして反時計方向に回動し、右爪部材322が固定ピン324を中心にして時計方向に回動する。この結果、左爪部材321の上辺部321bの内側の面と、右爪部材322の上辺部322bの内側の面との間が開いて、クランプが解除される。
【0090】
左右のクランプ部320L、320Rは、クランプ位置(左右爪部材の上辺部の内側の面同士が当接している状態)の間隔が電線間隔と等しくなるように配置されている。このような配置とすると、前述のクランプの開閉時に、左右の爪部材321、322の下辺部321c、322c間が電線送り方向において干渉する。そこで、図11に示すように、電線送り方向において、各爪部材321、322の上辺部の位置は同じとして、下辺部322cの位置を前後方向にずれて配置している。この例では、左クランプ部320Lの各爪部材の下辺部が前方に位置し、右クランプ部320Rの各爪部材の下辺部が後方に位置している。
【0091】
図9、図12に示すように、クランプユニット310は、ばね350によってクランプブラケット340に吊り下げ支持されているとともに、上下方向に移動可能に支持されている。図12にはわかりやすくするために、一方のクランプ部320とベース329のみを示す。クランプブラケット340は、図12に示すように、底板341と、左右側板342L、342Rと、前板343とを有する略箱状の部材である。
【0092】
クランプユニット310の各クランプ部320のベース329の後面には、上下方向に延びるスライドレール331が取り付けられている。一方、クランプブラケット340の前板343には、各スライドレール331に噛み合うスライドブロック332が固定されている。このような機構によって、クランプユニット310は、テーブル360に対して上下方向に案内される。
なお、前述のように、左右のクランプ部320の爪部材の下辺部の位置を前後方向にずらしたことにより、前板343の左クランプ部320Lを取り付ける面と、右クランプ部320Rを取り付ける面とが、前後方向にずれている。
【0093】
図9に示すように、左右のクランプ部320のスライドレール331は、クランプブラケット340から下方に突き出している。同レール331の下端には、電線送り方向を前方に延びるドッグ335が取り付けられている。各ドッグ335は水平な上面を有する。各ドッグ335の上面には、後述する沈み機構のローラが当接する。沈み機構は、電線送給装置100の場合と同様に、端子圧着時に電線が中高に曲がったり折れたりしないように、クランプユニット310を圧着に伴って所定の速度で下降させるものである。
【0094】
各スライドレール331の下端部の後面には、クランプブラケット340の側板間に向かって後方に延びるステー337が取り付けられている。
【0095】
図12に示すように、クランプブラケット340の各側板342の上部の内面には、内方向に延びるピン345が固定されている。このピン345にはばね350の上端が係止されている。ばね350の下端は、クランプユニット310の各クランプ部320のステー337に係止されている。ばね350は引張コイルばねであり、これらのばね350により、クランプユニット310がクランプブラケット340に対して上方に付勢されて吊り下げ支持されている。
【0096】
ばね350で上方に付勢されているクランプユニット310の上限高さは、各クランプ部320のクランプ高さが、電線送り高さHとなるように設定されている。この高さは、クランプブラケット340の各側板342の下部の内面から内方向に突き出たストッパピン347によって規定される。ばね350は、クランプユニット310の各クランプ部320のステー337が、ストッパピン347の下面に当接する高さまで、クランプユニット310を上方に付勢している。
【0097】
クランプブラケット310の前板343の後面には、シリンダ355が、出力軸355aが下方となるように取り付けられている。このシリンダ355は、クランプユニット310の各クランプ部320のステー337を下方向に移動させるためのものである。出力軸355aの下端には、押圧部356が取り付けられている。出力軸355aを伸長させると、押圧部336がステー337を引張コイルばね350の付勢力に抗して押し下げ、クランプ部320を下降させる。
【0098】
図9に示すように、クランプブラケット340は、テーブル360に、電線送り方向移動可能に支持されている。クランプブラケット340の下面には、電線送り方向に延びるスライダ361が取り付けられている。一方、テーブル360上には、このスライダ361が係合するリニアレール362が敷設されている。また、同テーブル360上には、クランプブラケット340のスライダ361をリニアレール362に沿って移動させる移動機構370が備えられている。移動機構370は、クランプブラケット340が係合するボールねじ371、ボールねじ371をプーリ372を介して回転させるモータ(図示されず)を有する。モータによりボールねじ371が回転すると、クランプブラケット34は、リニアレール362に沿って電線送り方向の双方向に移動する。
【0099】
次に、テールクランプ装置搬送機構380について説明する。
同搬送機構380は、テールクランプ装置300を、図1に示すように、電線送り位置P0から、テール皮むき位置P2、さらに、テール端子圧着位置P4へ、電線送り方向と直交する方向(テールクランプ装置搬送方向)に移動させるものである。テールクランプ装置搬送機構380は、前述の電線送給装置搬送機構180と同じ構成を有し、電線送り位置P0からテール端子圧着位置P4まで、テールクランプ装置搬送方向に延びるように機台3上に敷設された搬送レール381と、テーブル360の下面に取り付けられた、搬送レール381に係合するスライダ382と、を備える。
【0100】
さらに、テールクランプ装置搬送機構380は、モータ385と、モータ385の出力軸385aとテーブル360とをスライダ組立390を介して連結するアーム387と、を備える。スライダ組立390は、テーブル360の下面に取り付けられた、電線送り方向と平行に延びるレール391と、同レール391に係合するスライダ392からなる。モータ385は、機台3の下面に取り付けられて、出力軸385aが機台3の上面から突き出している。この出力軸385aにはアーム387の基端が固定されている。アーム387の先端には、垂直方向を上方に延びる軸387aが設けられている。この軸387aは、軸受389を介してスライダ組立390のスライダ392に連結している。
【0101】
モータ385が回転すると、アーム387はモータ385の出力軸385aを中心にして機台3の表面に沿って旋回し、アーム387の先端は円軌道を描く。この円軌道には装置搬送方向への移動成分と、電線送り方向への移動成分が含まれる。この装置搬送方向への成分によって、テーブル360は搬送レール381に沿って電線送給装置搬送方向へ移動する。一方、電線送り方向への移動成分によって、テーブル360の下面に取り付けられたスライダ392がレール391に沿って電線送り方向へ移動する。ただし、同スライダ392はテーブル360に対してのみ移動するので、テーブル360自体は電線送り方向に移動しない。
【0102】
この搬送機構380により、テールクランプ装置300は、電線送り位置P0からテール皮むき位置2を経てテール圧着位置P4へ、その後、テール圧着位置P4から電線送り位置P0へ搬送される。ただし、後述するように、テール圧着位置P4においては、電線を1本ずつ圧着するので、1本目の電線を圧着する第1圧着位置と2本目の電線を圧着する第2圧着位置をとる。
【0103】
電線送給装置100とテールクランプ装置300の位置関係を図13に示す。
図13(A)に示すように、両装置100、300は電線送り位置において対向するように配置されており、図13(B)に示すように、電線送給装置100の各ロール対120が、テールクランプ装置300の各クランプ部320同士が電線送り方向において同軸上に位置している。また、各ロール対120と各クランプ部320は同じ電線送り高さHに位置している。
【0104】
次に、図14を参照して、トップ端子圧着装置400及びテール端子圧着装置500を説明する。トップ側及びテール側とも同様の圧着装置を使用する。図14には、トップ側端子圧着装置400が示されている。
圧着装置としては、一般に使用されているものを使用できる(例えば、特許4230534)。この装置は、被覆の剥ぎ取られた電線端部に、一連の帯体として供給される端子を一個ずつ圧着する装置である。同装置400は、昇降ラム411を有するプレス41030と、ラム411によって駆動される、圧着工具である昇降側クリンパ421及び固定側アンビル422、並びに、端子と帯体との接続部を切断するスライドカッター423を備える。この圧着装置400の具体的な構成や作用については説明を省略する。前述のカット・ストリップ装置200は、2本の電線を同時に切断あるいは皮むきするものであったが、圧着においては、電線を1本ずつ圧着する。
【0105】
トップ端子圧着装置400には、さらに、前述の電線送給装置100のローラユニット110を昇降させる沈み装置が備えられている。また、テール端子圧着装置500には、前述のテールクランプ装置300のクランプユニット310を昇降させる沈み装置が備えられている。両沈み装置としては同じ装置450を使用できる。図14には、電線送給装置側の沈み装置450が示されている。この沈み装置450は、クリンパ421が下降してスライドカッター423が下方駆動されて切刃が帯体を切断する際に、電線送給装置100のローラユニット110及び図12のテールプランプ装置300のクランプユニット310をスライドカッター423に同期して下降させるためのものである。これによって、電線がほぼ直線状態のままで圧着作業が行われるので、電線が端子の根元で中高に曲がったり先端が下方に曲がることがない。
【0106】
なお、圧着装置400(500)は、ある程度の範囲内の線径の電線を圧着可能である。
【0107】
沈み装置450は、電線送給装置100及びテールクランプ装置300に対向するように配置される。同装置450は、電線送給装置100のローラユニット110のドッグ177(又はテールクランプ装置300のクランプユニット310のドッグ335)に係合するローラ451と、同ローラ451を回転させるモータ453とを有する。モータ453は、出力軸が電線送り方向を後方を向くように機台上に設置されている。出力軸には減速機454が連結されており、減速機454の出力軸454aには先端プレート456が固定されている。この先端プレート456の、中心から外れた位置に、出力軸454aと平行な方向に突き出た突起457が形成されている。この突起457の先端に、ローラ451が取り付けられている。このローラ451は、待機状態(各装置のクランプ高さが電線送り高さHと等しい高さ)において、ドッグ177の上面に当接するように位置決めされている。
【0108】
モータ453が回転すると、先端プレート456がともに回転し、ローラ451は楕円状の軌道を移動する。これに伴って、ローラ451の下面がドッグ177を押し下げ、電線送給装置100のローラユニット110を下降させる。例えば、モータ453は、圧着装置400のクリンパ421が下降してスライドカッター423が下方駆動されて切刃が帯体を切断するタイミングで、電線送給装置100のローラユニット110を所定の速度で下降させるように制御される。
【0109】
次に、図1、図15、図16、図17を参照して払い出し装置600を説明する。
払い出し装置600は、テール圧着装置500で2本の電線の後端部に端子が圧着された後に、これらの電線をテールクランプ装置300から受け取って、テールクランプ位置P4から払い出し位置P5、P6に搬送するためのものである。同装置600は、クランプユニット610と、クランプユニット610の移動機構650と、を有する。
【0110】
クランプユニット610は、図17に示すように、左右2組のクランプ部620L、620Rと、各クランプ部620を開閉駆動するシリンダ627L、627Rと、これらが取り付けられるベース630と、を有する。クランプユニット610は、電線を上方からクランプするように縦方向に配置されている。
【0111】
各クランプ部620は、電線を左右両側から挟む左右の爪部材621、622を有する。図17(A)に示すように、各クランプ部620において、左右の爪部材621、622は、固定ピン624によってベース630に回動可能に支持されている。また、各爪部材621、622には、シリンダ627の出力軸627aに取り付けられたアーム628の先端に支持された可動ピン625が係合している。
【0112】
図17(A)に示すクランプ閉状態においては、各シリンダ627の出力軸627aは伸長しており、左右の爪部材621、622は閉じている。
クランプを解除する場合は、図17(B)に示すように、シリンダ627の出力軸627aを収縮させる。すると、可動ピン625が上昇して、左右の爪部材621、622が各々固定ピンを中心にして反対方向に回動し、左右の爪部材621、622が開く。
【0113】
各クランプ部620は別々のシリンダ627で駆動されるので、独立して開閉することができる。
【0114】
次に、図15、図16を参照してクランプユニット移動機構650を説明する。
クランプユニット移動機構650は、クランプユニット610を、図15に示すように、テール端子圧着位置P4から、良品排出位置P5及び良不品排出位置P6へ移動させるものである。各排出位置には、製品を受け取るシュートが備えられている。この際、クランプユニット610の各クランプ部620は、電線送り方向と直交する方向に並んだ姿勢(図16の姿勢)を保ったまま移動する。同移動機構650は、モータ651と、モータ651の出力軸651aとクランプユニット610とを連結するアーム655及びタイミングベルト661とを有する。
【0115】
モータ651は、図16に示すように、出力軸651aが下方に延びるように機台上に設置されている。この出力軸651aには、アーム655の基端が固定されている。クランプユニット610のベース630の上面には、縦方向に延びるシャフト631が立設されている。アーム655の先端は、このシャフト631に軸受656を介して接続されている。
【0116】
さらに、モータ651の出力軸651aには、プーリ657が固定されている。一方、クランプ部610のシャフト631には、プーリ658が軸受659を介して回転可能に取り付けられている。両プーリ657、658間にはタイミングベルト661が巻き回されている。クランプユニット610はアーム655に軸受656によって接続されているので、垂直方向においてシャフト631を中心にして回動自在である。そこで、クランプユニット610がテール端子圧着位置P4に位置するときに、クランプユニット610の各クランプ部620が、電線整列方向(電線送り方向と直交する方向)に並ぶように、タイミングベルト661によって位置決めされている。
【0117】
モータ651が回転すると、出力軸651aに固定されたアーム655も出力軸651aを中心として一方向(図15の時計方向)に旋回する。そして、出力軸651aに固定されたプーリ657も同時に回転する。一方、クランプユニット610のシャフト631に取り付けられたプーリ658はシャフト631に対して回転自在であるので、タイミングベルト661によって、出力軸651aに固定されたプーリ657の回転方向と反対方向に同じ角度だけ回転する。これによって、図15に示すように、アーム655が旋回してもクランプユニット610は、同姿勢のままで移動する。
【0118】
図15に示すように、この例では、アーム655がテール端子圧着位置P4から所定の角度旋回した位置(良品払い出し位置P5)で、良品をクランプしているクランプ部620が開いて良品を払い出し、その後さらに所定の角度旋回した位置(不良品払い出し位置P6)で、不良品をクランプしているクランプ部620が開いて不良品を払い出す。製品の良否の判定方法については後述する。
【0119】
このように、クランプユニット610の各クランプ部620を独立して開閉できるので、一方のクランプ部にクランプされている端子圧着電線が不良品でもう一方の端子圧着電線が良品の場合などにおいても、各々の電線を適切な払い出し位置で払い出すことができる。
【0120】
なお、不良品が存在する場合、両クランプを開かずに排出位置で待機させ、いったん装置を停止することもできる。この場合、オペレータが不良品の状態を確認して不良の原因を究明し、原因を除去してから運転を再開できる。このため、不良のライン(電線処理系統)がどれかすぐ分かり、異常個所の発見などが容易である。
【0121】
次に、以上説明した二線式端子圧着電線製造装置1の動きの一例を、図18のフローチャートと図19のタイミングチャートを参照して詳細に説明する。この例では、2本の電線の長さが100mmの場合について説明する。
S0の待機状態(タイミングチャートの時刻t0)においては、電線送給装置100とテールクランプ装置300は図13で示すように電線送り位置(原点)に位置し、左右の上下ロール対120と左右のクランプ部320とが切断位置に対して所定の間隔を開けて対向している。電線送給装置100には、2個の電線束から繰り出された電線(残留電線)が各上下ローラ対のローラ間にクランプされている。一方、テールクランプ装置300の各クランプ部は開いた状態で、同クランプ部に2本の電線が電線送給装置から送り込まれている。カット・ストリップ装置200は、上下の刃が開いた全開状態で待機している。
【0122】
まず、S1(時刻t1)で、テールクランプ装置300の各クランプ部320が閉じて各電線をクランプする。同時に、カット・ストリップ装置200の上ガイド241(図6、図7参照)が上昇する。そして、S2で(時刻t2)で、カット・ストリップ装置200が半開位置まで駆動されて、2本の電線が切断される。これにより、2本の残留電線の先端部が電線送給装置100にクランプされ、2本の切断電線の後端部がテールクランプ装置300にクランプされる。
【0123】
そして、S3(時刻t3)で、テールクランプ装置300の移動機構370(図9参照)が後退方向に駆動されるとともに、電線送給装置100の各モータ130が電線引き込み方向に駆動される。つまり、残留電線及び切断電線の先端位置は切断位置からやや後退する。これは、次に横方向(装置搬送方向)に移動する切断後の各電線の端部が切断用の上下刃に接触しないようにするためである。
【0124】
次に、S4(時刻t4)でテールクランプ装置300がテール皮むき位置P2に搬送され、その後、S5(時刻t5)で電線送給装置100がトップ皮むき位置P1に搬送される。そして、S6(時刻t6)で、カット・ストリップ装置が全閉位置まで駆動されて、残留電線の先端部と切断電線の後端部の被覆に同時に切れ目が入れられる。その後、S7(時刻t7)で、テールクランプ装置300の移動機構370が所定の時間後退方向に駆動される。つまり、被覆に刃が入った状態で電線をクランプしているテールクランプ装置300が後退するので、切れ目が入れられた被覆が電線から分離される。同時に、電線送給装置100の各モータ130が所定の時間電線引き込み方向に駆動される。これにより、同様に切れ目が入れられた被覆が電線から分離される。この間、カット・ストリップ装置200のバキュームパイプ290(図8参照)はバキューム作業を行っており、分離された被覆をパイプ内に回収している。
【0125】
そして、S8(時刻t8)でテールクランプ装置300が第1テール圧着位置に搬送され、その後、S9(時刻t9)で電線送給装置100が第1トップ圧着位置に搬送される。各第1圧着位置とは、各装置の電線送り位置P0に近い方のクランプ部が各圧着位置に位置決めされる位置である。そして、S10(時刻t10)で、テールクランプ装置300の移動機構370が駆動されて同装置をやや前進させるとともに、電線送給装置100の各モータ150が電線送り込み方向に駆動される。つまり、残留電線及び切断電線の先端はやや前進する。
【0126】
そして、S11(時刻t11)でテール沈み装置450が駆動し始めた後でテール端子圧着装置500が駆動されて、1本目の切断電線の先端に端子が圧着される。圧着作業の詳細な説明は省略するが、前述のように、圧着装置のクリンパが下降してスライドカッターが下方駆動されて切刃が帯体を切断する際に、テールクランプ装置300のクランプユニット310が、沈み装置450によってスライドカッターに同期して下降し、電線をほぼ直線状態のままで圧着する。このため、電線が端子の根元で中高に曲がったり、先端が下方に曲がることがない。また、S12(時刻t12)でトップ沈み装置450が駆動し始めた後でトップ端子圧着装置400が駆動されて、前述と同様に、1本目の残留電線の先端に端子が圧着される。
【0127】
1本目の圧着作業が終了した後、S13(時刻t13)でバキュームパイプ290が後退する。これは、以降の工程において、電線送給装置100にクランプされている、先端に端子が圧着された残留電線がカット・ストリップ装置200の通過する際に、バキュームパイプ290の先端が電線端末に干渉しないためである。
【0128】
次に、S14(時刻t14)で、テールクランプ装置300が第2テール圧着位置に搬送され、その後、S15(時刻t15)で電線送給装置100が第2トップ圧着位置に搬送される。そして、S16(時刻t16)でテール沈み装置450が駆動し始めた後でテール端子圧着装置500が駆動されて、2本目の切断電線の先端に端子が圧着される。その後、S17(時刻t17)でトップ沈み装置450が駆動し始めた後でトップ端子圧着装置400が駆動されて、2本目の残留電線の先端に端子が圧着される。
【0129】
このように、本発明では、2本の電線の先端に同時に端子を圧着するのではなく、1本ずつ端子を圧着する。つまり、1本の電線に端子を圧着する装置を1台使用する。1本ずつ端子を圧着すると、2本同時に圧着する場合に比べて作業時間は長くなる。しかし、端子圧着装置をトップ側とテール側でそれぞれ1台ずつ備えればよいので、設備費が少なくなる。また、装置全体の寸法が小さくなるとともに重量も軽量化される。
ただし、2本の電線に同時に端子を圧着できる端子圧着装置や、トップ側とテール側にそれぞれ2台の端子圧着装置を使用することもできる。
【0130】
次に、S18(時刻t18)で、電線送給装置100の各モータ130が電線引き込み方向に駆動されて、先端に端子が圧着された2本の残留電線がやや後退する。これは、次に横方向(装置搬送方向)に移動する電線端末が各装置に接触しないようにするためである。次に、S19(時刻t19)で、テールクランプ装置300の移動機構370が後退方向に駆動される。払い出し装置600のクランプユニット610は、この後退位置に位置決めされている。
【0131】
そして、S20(時刻t20)で、払い出し装置600のクランプユニット610の各クランプ部620が閉じて、テールクランプ装置300にクランプされている2本の切断電線をクランプする。その後、S21(時刻t21)で、テールクランプ装置300の各クランプ部320が開となり、これにより、2本の切断電線がテールクランプ装置300から払い出し装置600に受け渡される。同時に、払い出し装置600が旋回動作を開始し、受け渡された2本の切断電線が各払い出し位置P5、P6に搬送されて払い出される。さらに同時に、電線送給装置100が第2トップ圧着位置P3から原点位置P0に復帰する。その直後、S22(時刻t22)で、電線送給装置100の各モータ150が所定の時間電線送り込み方向に駆動されて、2本の残留電線が電線送り方向に所定の長さだけ送り込まれる。このとき、テールクランプ装置300は原点位置P0には復帰していない。
【0132】
そして、S23(時刻t23)でテールクランプ装置300のシリンダ355(図9、図12参照)が伸長するように駆動されて、各クランプ部320を下降させる。次に、S24(時刻t24)で、上ガイド241が下降し、電線送り位置P0で電線送給装置100から送り込まれている2本の電線が下方にガイドされる。その後、S25(時刻t25)で、テールクランプ装置300の移動機構370が前進方向に駆動されるともに原点位置P0に復帰する。この際、電線送り位置P0では前述のように電線送給装置100から2本の電線が送り込まれているが、テールクランプ装置300の各クランプ部320は前述のように下降した姿勢で搬送されてくるので、クランプ部320が送り込まれている電線に干渉することがない。テールクランプ装置300が原点に復帰した後、S26(時刻t26)で、テールクランプ装置300のシリンダ355が収縮するように駆動されて、各クランプ部320を上昇させる。これにより、テールクランプ装置300の各クランプ部320の爪部材間に電線が嵌り込む。
【0133】
以上の作業によって2本の端子圧着電線を製造することができる。電線の長さが100mmの場合、製造時間は約0.9secである。比較として、一般的な端子圧着電線製造装置(電線処理本数が1本のもの)で、同じ長さの電線を2本製造するための製造時間は約1.6secである。
【0134】
次に、図20を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
この実施形態の二線式端子圧着電線製造装置1は、電線送給装置100でクランプされている残留電線の先端部、及び、テールクランプ装置300でクランプされている切断電線の後端部が、正常なクランプ姿勢かどうかを判定し、正常でない場合は正常な姿勢に補正する姿勢保持手段700を備える。わかりやすく説明するために、電線1本の場合を説明する。
【0135】
姿勢保持手段700は、例えば、電線送給装置100及びテールクランプ装置300でクランプされた残留電線の端部を撮影する合計4台のカメラ701と、各カメラ701で撮影された電線端部の画像から、電線端部が正常なクランプ姿勢かどうかを判定する判定部702と、を備える。2台のカメラ701は、カット・ストリップ装置200のトップ皮むき部220とトップ端子圧着装置400との間に配置されて、他の2台のカメラはカット・ストリップ装置200のテール皮むき部230とテール端子圧着装置500との間に設置されている。各位置に配置された2台のカメラの内の1台のカメラは、電線端部を上下のいずれかの方向から撮影し、もう1台のカメラは、電線端部を左右いずれかの方向から撮影する。つまり、電線端部の水平面内における形状と、垂直面内における形状とが撮影される。
なお、1台のカメラで電線の端部を斜め上部から撮影するなどにより電線端部の上下方向及び左右方向のずれを認識できるようにすれば、各位置に配置するカメラを1台とすることもできる。
【0136】
撮影された画像は判定部702に送られる。判定部702では、電線先端位置の正常状態からのずれ方向とずれ量を判定する。図21(A)に示す水平面画像の場合、先端の位置は、図の左方向に、距離x1だけずれている。この場合、この電線をクランプしている電線送給装置100(又はテールクランプ装置300)を、正常な圧着位置から距離x1だけ右方向に搬送するように、制御部702が電線送給装置搬送機構180(又はテールクランプ装置搬送機構380)を制御する。そして、電線の先端の位置を正常な圧着位置に合わせた後圧着作業を行う。
【0137】
また、図21(B)に示す垂直面画像の場合、先端の位置は、上方向に高さh1だけずれている。この場合、制御部702が、圧着沈み装置450の沈みタイミングを正常の場合よりも早くするように制御し、クランプ部(ローラ対)が正常な圧着高さから高さh1だけ下方に降下したときに、電線の先端の位置が正常な圧着高さとなるようにして圧着作業を行う。
一方、図21(C)に示す垂直面画像の場合、先端の位置が、下方向に高さh2だけずれている。この場合は、制御部702が、圧着沈み装置450の沈みタイミングを正常の場合よりも遅くするように制御し、クランプ部(ローラ対)が正常な圧着高さから高さh2だけ上方の位置に降下したときに、電線の先端の位置が正常な高さとなるようにして圧着作業を行う。
【0138】
本発明においては、前述の電線先端位置の判定作業と矯正作業を、毎回行う。このため、不良品の生産率を減少できる。
【0139】
次に、図22を参照して姿勢保持手段700の他の例を説明する。
前述の例では、図21(B)、(C)で示すような、電線先端の位置が上下方向において正常位置からずれていた場合に、沈み装置450の沈みタイミングを変更して電線先端部の高さを調整していた。この例では、沈み装置450ではなく、電線送給装置100のノズル135の傾きを調整してノズル135の先端の高さを変更する傾き調整手段800を有する。
【0140】
傾き調整手段800は、ノズル135を保持するノズルホルダ801と、ノズル135の高さが電線送り高さHとなるようにノズルホルダ801を付勢するばね807と、ノズルホルダ801を回動させる手段(図示されず)と、を有する。図2に示した例では、ノズル135はローラ支持プレート140に固定されていた。本例においては、ノズル135は、ローラ支持プレート140とは別のノズルホルダ801に取り付けられている。ノズルホルダ801は、側方から見て上が開いた「コの字」型の部材である。同ホルダ801は、後端部がテーブル160に固定された支持部材803に、電線送り方向と直交する方向に延びる回転軸805を中心に回動可能に支持されている。ノズル135はホルダ801の先端に取り付けられている。
【0141】
ノズルホルダ801とテーブル160との間にはばね807が介されている。このばね807により、ノズルホルダ801は、ノズル135が電線送り高さHで電線送り方向を向くように位置決めされている。
【0142】
ノズルホルダ801を回動手段によって回転軸805を中心として反時計方向に回動させると、ノズル135は図22の二点鎖線で示すように下方に傾斜する。つまり、電線の先端位置が下方に移動する。図21(B)で示すように、電線の先端が上方に湾曲していた場合は、このようにノズル135を所定の角度だけ下方に傾斜させて、電線先端の高さを電線送り高さHに合わせることができる。
【0143】
次に、図23、図24を参照して、本発明の端子圧着電線製造方法における電線送給方法の一例を説明する。
図23は、端子圧着電線製造装置の制御システムを示すブロック図である。
電線送給装置100、カット・ストリップ装置200、テールクランプ装置300、トップ側端子圧着装置400、テール側端子圧着装置500及び払い出し装置600は、制御部1000と電気的に接続されている。制御部1000には、図24に示す制御パネル1001が接続されている。
【0144】
前述のように、本発明の端子圧着電線製造装置の電線送給装置100は、2本の電線を各々別のモータ130を使用して送給するので、制御部1000には、各モータ130に対応したモータ回転数調整部1130が設けられている。各モータ130の回転数は、対応するモータ回転数調整部1130で調整される。
【0145】
図24に示すように、制御パネル1001には、運転モードの選択部や電線のロット番号、製造される端子圧着電線の電線長、トップ側及びテール側端部のストリップ長さ、圧着深さ及び沈み量などの入力部が示されている。変更したい項目をタッチすると、テンキーが表示され、同キーから所望の数値を入力する。
例えば、異なる長さの端子圧着電線を製造する場合は、“電線A”の項目D1をタッチして、表示されたテンキーで一方の長さを入力し、その後、“電線B”の項目D2をタッチしてもう一方の長さを入力する。すると、制御部1000のモータ回転数調整部1130では各長さに対応したモータの回転数が計算され、計算された回転数が各モータ130に送られる。各モータ130は送られた回転数に応じて駆動され、各上下ローラ対120から対応する長さの電線を送り出す。
【0146】
次に、モータ毎に回転数を調整した場合に製造された電線長を計測した結果の一例を示す。この例では、同じロットの電線を使用して、電線長100mm(サンプル1)、300mm(サンプル2)及び500mm(サンプル3)の端子圧着電線を製造する例を示す。
まず、最初に、2台のモータを同条件で駆動させた場合に製造された2本の電線(1側電線及び2側電線という)の電線長を計測した。計測された値のCpk値を求め、Cpk値が1.67以上かどうかを判定し、Cpk≧1.67の場合OKとした。結果を表1に示す。表中、Cp値とは、規格幅とバラツキの関係を示す工程能力指数であり、規格幅を標準偏差の6倍で割った値である。偏り度とは、製造結果の平均値に偏りが全くない場合値がゼロとなり、ずれていくほど1に近づく値である。Cpk値とは、Cpと(1−K)との積であり、値が大きいほどバラツキが少なくかつ規格中心値付近で製造されることを示す。
【表1】

【0147】
表1に示すように、1側電線においては、全てのサンプルの判定は合格であった。2側電線においては、平均値からわかるように、何らかの影響で正規な長さよりも短く製造される傾向があり、全てのサンプルの判定は不合格であった。
【0148】
そこで、2側電線において、電線長を補正するために、パネル1001の電線長補正値の項目D2(この例では、“補正値(電線B)”)から、推定される補正量(%)を入力した。この例では、補正量(%)を0.02とした。1側電線においては、補正を行わなかった。その結果を表2に示す。
【表2】

【0149】
表2に示すように、今回も1側電線においては、全てのサンプルの判定は合格であった。そして、2側電線においては、表1の場合よりも各サンプルの電線長が長くなっており、全てのサンプルの判定が合格OKであった。
【0150】
このように、本発明の端子圧着電線製造装置においては、ローラ毎に回転数を調整できるので、何らかの影響で片方の電線送給部(ローラ対、モータなど)で送られる電線の長さに不具合が生じたときに、該部のみを調整することができる。
【0151】
以下、本発明の端子圧着電線製造装置の他の例を説明する。
【0152】
まず、図25、図26を参照して、電線送給装置の他の例を説明する。
この例の電線送給装置も、2個の電線束から各々繰り出された電線の先端部を電線送り方向に平行に並べてクランプするとともに、これらの電線を電線送り方向に沿って送り出すものであり、図2〜図5で示した電線送給装置とほぼ同様の構造を有する。ただし、ローラユニット110Aの構造が、図2〜図5の電線送給装置のローラユニット110の構造と異なり、線径の太い電線に対応可能に改良されたものである。図2〜図5のローラユニットと同じ作用・構成を有する部品、部位は、図2〜図5と同じ符号を付す。
【0153】
この例の電線送給装置のローラユニット110Aには、上下ローラ121、122からなる左右の前ローラ対120に加えて、同様の構造の上下ローラ121、122からなる左右の後ローラ対120Aを備える。つまり、1本の電線をクランプし、かつ、送り出すためのローラ対120、120Aが電線送り方向において前後に並んで配置されている。
【0154】
図26は、1本の電線Wを送給する前後ローラ対120、120Aと、これらのローラ対を駆動するモータ130とを示したものである。以下、前後ローラ対の位置関係と駆動方法について主に説明する。
前後のローラ対120、120Aは各々上下のローラ121、122からなり、電線送り方向に所定の間隔を開けて配置されている。各上下ローラ121、122には、同軸上にギア123、124が固定されている。前後ローラ対120、120Aの上下ローラ121、122は、接触面が電線送り高さHとなるように設定されている。この状態で、上下ギア123、124は噛み合っていない。
【0155】
前後ローラ対120、120Aの間には、上下駆動ギア127、128が配置されている。上駆動ギア127は、各上ギア123に噛み合っており、下駆動ギア128は、各下ギア124に噛み合っている。さらに上下駆動ギア127、128は互いに噛み合っている。下駆動ギア128の同軸上にはプーリ129が固定されている。このプーリ129と、モータ130の出力軸に固定されたプーリ131との間には、タイミングベルト133が巻き回されている。
【0156】
モータ130が回転すると、タイミングベルト133を介してプーリ129に伝わって下駆動ギア128を回転させ、これにより上駆動ギア127も回転する。そして、上下駆動ギア127、128の回転によって前後ローラ対の上下のローラギア123、124が回転し、これとともに上下ローラ121、122は反対方向に回転する。図25において、モータ130の出力軸が時計方向に回転すると、前後ローラ対120、120Aの上ローラ121が時計方向に回転して下ローラ122が反時計方向に回転し、両ローラ121、122間から左方向に電線が送り込まれる。逆に、モータ130の出力軸が反時計方向に回転すると、前後ローラ対の上ローラ121が反時計方向に回転して下ローラ122が時計方向に回転し、両ローラ121、122間から右方向に電線が引き込まれる。そして、モータ130が停止した状態では、電線は前後ローラ対120、120Aの上下ローラ121、122の外周面間に挟まれてクランプされる。
【0157】
前後ローラ対120、120Aの上下ローラ間隔変更機構は、図5を参照して説明した機構を採用することができる。
【0158】
このように、1本の電線を前後に並んだローラ対120、120Aでクランプするので、電線のグリップ力を高めることができる。したがって、比較的線径の太い電線(芯線径2SQ(平方mm))を送給かつクランプすることができる。
【0159】
次に、図8と図27〜図30を参照して、端子圧着電線製造装置の他の例を説明する。この例の端子圧着電線製造装置は、カット・ストリップ装置でストリップされた被覆(ストリップ屑)をより確実に装置から回収できるように改良されたものである。一般に、ストリップ屑は、皮むき後に同装置から落下して回収されるが、静電気などによって各皮むき部の刃にくっつく場合もある。ストリップ屑が刃にくっついたままであると、電線の送給を妨げたり、装置の動きに干渉するおそれがある。そこで、図1の端子圧着電線製造装置では、図8に示すように、バキュームパイプを設けてストリップ屑を吸引していた。本例では、このバキュームパイプに加えてより確実にストリップ屑を回収できるように改良を加えた。
【0160】
まず、トップ側のストリップ屑回収機構を説明する。
トップ側ストリップ屑回収機構は、図27に示す、電線送給装置100の前面に付設された空気ノズル137と、図8に示すカット・ストリップ装置のトップ皮むき部に付設されたバキュームパイプ290とを有する。
【0161】
空気ノズル137は、図27に示すように、電線が挿通されるノズル135の、装置搬送方向における側方に所定の間隔を開けて取り付けられている。空気ノズル137は、電線送給方向の前方に延びている。同ノズル137には、圧縮空気源から延びる空気チューブ138が接続している。
バキュームパイプ290は、図8に示すように、トップ皮むき部220の電線送り方向前方に、前後方向に移動可能に配置されている。バキュームパイプ290の先端は、電線送り方向の前方からトップ皮むき部220の各刃の間に向かうように配置されている。
つまり、空気ノズル137とバキュームパイプ290は、トップ皮むき部220を挟んで電線送り方向において対向し、かつ、装置搬送方向にずれて配置されている。
【0162】
次に、テール側のストリップ屑回収機構を説明する。
テール側ストリップ屑回収機構は、図28に示す、テールクランプ装置300の前面に付設された空気ノズル353と、図29に示すカット・ストリップ200装置のテール皮むき部230に付設されたバキュームシュート235とを有する。
【0163】
空気ノズル353は、図28に示すように、クランプ装置300の側方に、装置搬送方向の側方に所定の間隔を開けて取り付けられている。空気ノズル353は、クランプ部320とほぼ同じ高さ位置に、電線送給方向と反対方向に開口している。同ノズル353には、圧縮空気源から延びる空気チューブ(図示されず)が接続している。
バキュームシュート235は、図29に示すように、テール皮むき部230の電線送り方向後方に配置されている。バキュームシュート235の先端には電線送り方向に開口した開口235aが形成されている。開口235aの幅は、皮むき部230の上下の刃231、232の切り込み部間の間隔よりも広い。同シュート235は、負圧源に接続されている。
この場合も、空気ノズル353とバキュームシュート235は、テール皮むき部230を挟んで電線送り方向において対向し、かつ、装置搬送方向にずれて配置されている。
【0164】
次に、図30を参照して、このストリップ屑回収機構のストリップ屑回収作業を説明する。なお、図31は、トップ側のストリップ屑回収機構を簡略化して描いてある。
図30(A)は、電線Wの先端がトップ皮むき部220で皮むきされている状態を示している。電線送給装置100のノズル135と、バキュームパイプ290は、トップ皮むき部220を挟んで対向している。そして、ノズル135から繰り出された電線Wのトップ側端部が、トップ皮むき部220で皮むきされている。皮むき後も、ストリップ屑Sはトップ皮むき部220の刃にくっついている。
【0165】
皮むき後、電線送給装置100は、トップ端子圧着機に向かって装置搬送方向に移動する。そして、空気ノズル137が、バキュームパイプ290に対向する位置に達すると、図30(B)に示すように、空気ノズル137からバキュームパイプ290に向けて空気を吹き付ける。この空気流によって、図30(C)に示すように、刃にくっついていたストリップ屑Sが刃から離れ、バキュームパイプ290内に吸引される。
このように、吸引のみでなく、空気流を吹き付けることにより、ストリップ屑が刃から離れやすくなり、確実にバキュームパイプ290に回収できる。
【0166】
なお、バキュームパイプ290やバキュームシュート235の開口は、ストリップ屑を飛び散らかさずに吸引できるように、できるだけ広いことが好ましい。
また、図8などで説明したように、トップ側ストリップ屑回収機構では、トップ皮むき部220の各刃に対向するように2本のバキュームパイプ290を使用したが、テール側ストリップ屑回収機構と同様に、各刃に対向する開口を有する1個のバキュームシュートとしてもよい。
【0167】
次に、図31〜図34を参照して、本発明の多線式端子圧着電線製造装置の他の例について説明する。この例では、3本の端子圧着電線を製造する三線式端子圧着電線製造装置について説明する。
図31に示すように、三線式端子圧着電線製造装置1Aも、図1等で説明した二線式端子圧着電線製造装置と同様であり、電線送給装置100Aと、カット・ストリップ装置200Aと、テールクランプ装置300Aと、トップ端子圧着装置400と、テール端子圧着装置500と、払い出し装置600Aと、備える。電線送給装置100A、カット・ストリップ装置200AA、テールクランプ装置300、払い出し装置600Aは、電線の本数(この例では3本)に対応したものであるが、トップ端子圧着装置400とテール端子圧着装置500は、図1の装置と同様に、1本の電線に対応したものである。各部、各装置の基本的な構造・作用は、図1の二線式装置と同じ構造・作用と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0168】
図32、図33を参照して、電線送給装置について説明する。図32は、電線送給装置の側面図、図33は電線送給装置の平面図である。
電線送給装置100Aは、3個の電線束から各々繰り出された電線の先端部を電線送り方向に平行に並べてクランプするとともに、これらの電線を電線送り方向に沿って送り出すものである。同装置100Aは、ローラユニット110と、ローラユニット110の全体が上下移動可能に支持されるテーブル160と、を主に備える。さらに、テーブル160を装置搬送方向に搬送する電線送給装置搬送機構180を備える。
【0169】
ローラユニット110は、上下ローラ121、122からなる3組のローラ対120、上下ローラ対120の各々を駆動するモータ130、これらが搭載される支持プレート140、を備える。各ローラ対やモータは、図1の二線式端子圧着電線製造装置と同じ構成である。ただし、図33に示すように、各ローラ対120から送給されるノズル135が、装置搬送方向において等間隔で並ぶように、モータ130は装置搬送方向において重ならないように上下方向にずらして配置されている。このようにノズル135が等間隔で配置できるようにモータ130の配置を工夫することにより、ローラユニット110の寸法を小さくできる。
【0170】
図32に示すように、このローラユニット110は、テーブル160に対して上下方向に移動可能に支持されている。また、ローラユニット110には、水平な上面を有するドッグ177が前方に突き出すように取り付けられている。このドッグ177の上面に、圧着時沈み機構のローラが当接する。圧着沈み機構のローラによってドッグ177が押し下げられると、ローラユニット110が下降し、上下ローラ121、122の接触面の高さ(クランプ高さ)が下がる。
【0171】
図1等で説明した二線式端子圧着電線製造装置の場合は、各ローラ対を独立して上下方向に移動可能に支持したが、本例のように、ローラユニット110の全体を上下方向に移動可能に支持することもできる。この場合は、1本の電線の端子圧着時に、ローラユニット全体が下降して、対応するローラ対にクランプされている電線に端子が圧着される。
【0172】
カット・ストリップ装置200Aは、切断部210、トップ皮むき部220、テール皮むき部330の各々が、3個の刃部を持つものとする。
【0173】
トップ端子圧着装置400、テール端子圧着装置500は、図1の装置と同様に、端子を一個ずつ圧着する装置である。
【0174】
図34を参照して、テールクランプ装置を説明する。
テールクランプ装置300Aは、クランプユニット310と、クランプユニット310が上下移動可能に支持されるクランプブラケット340と、クランプブラケット340が電線送り方向に移動可能に支持されるテーブルと、を主に備える。さらに、テーブルを装置搬送方向に搬送するテールクランプ装置搬送機構を備える。
【0175】
クランプユニット310は、装置搬送方向に並んだ3組のクランプ部320と、各クランプ部320を開閉駆動するシリンダ325を備える。
【0176】
払い出し装置600Aは、装置搬送方向に並んだ、3組のクランプ部を持つものとできる。
【0177】
この三線式の場合も、重量が重く高価な圧着機400、500は一本用の仕様であり、電線送給装置100A、カット・ストリップ装置200A、テールクランプ装置300A及び払い出し装置600Aを三本用の仕様とした。つまり、電線送給、切断、皮むき及び払い出しは三本同時に行い、圧着は一本ずつ時間をずらして行う。この場合、装置価格は一本用の端子圧着電線製造装置の1.7倍から1.8倍ですみ、単位時間当り生産量を2.2倍から2.3倍にすることができる。また、装置の設置スペースは、一本用の1.2倍程度となる。
【符号の説明】
【0178】
1 二線式端子圧着電線製造装置 3 機台
100 電線送給装置 110 ローラユニット
120 ローラ対 160 テーブル
180 電線送給装置搬送機構
200 カット・ストリップ装置 210 切断部
220 トップ皮むき部 230 テール皮むき部
260 移動機構
300 テールクランプ装置 310 クランプユニット
320 クランプ部 340 クランプブラケット
360 テーブル 380 テールクランプ装置搬送機構
400 トップ端子圧着装置 450 沈み装置
500 テール端子圧着装置
600 払い出し装置 610 クランプユニット
620 クランプ部 650 移動機構
700 姿勢保持手段
800 傾き調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を送給する電線送給手段と、
送給された電線を任意の長さに切断する電線切断手段と、
切断された電線の先端部を把持するトップクランプ手段と、
該電線の先端部の被覆を皮むきするトップ皮むき手段と、
皮むきされた先端部に端子を圧着するトップ端子圧着手段と、
切断された電線の後端部を把持するテールクランプ手段と、
切断された電線の後端部の被覆を皮むきするテール皮むき手段と、
皮むきされた後端部に端子を圧着するテール端子圧着手段と、
両端に端子が圧着された電線の払い出し手段と、
を具備する端子圧着電線製造装置であって、
前記皮むき手段に、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取るダクトが付設されており、
前記クランプ手段に、前記皮むき手段に向けて空気流を吹き付ける空気ノズルが付設されており、
前記ノズルが、電線のクランプ位置から、電線送り方向の横方向にズレた位置に配置されており、
前記クランプ手段が横方向に移動して、前記ノズルが前記皮むき手段の中心近傍に来た時点で空気流を吹くことを特徴とする端子圧着電線製造装置。
【請求項2】
電線の端部を把持するクランプ手段と、
該電線の端部の被覆を皮むきする皮むき手段と、
を具備する電線皮むき装置であって、
前記クランプ手段に、前記皮むき手段に向けて空気流を吹き付ける空気ノズルが付設されており、
前記皮むき装置に、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取るダクトが付設されており、
前記ノズルが、電線のクランプ位置から、電線送り方向の横方向にズレた位置に配置されており、
前記クランプ手段が横方向に移動して、前記ノズルが前記皮むき手段の中心近傍に来た時点で空気流を吹くことを特徴とする電線皮むき装置。
【請求項3】
電線の端部の被覆を皮むき刃を用いて皮むきし、前記皮むき刃に向かって空気流を吹き付けるとともに、皮むきされた電線被覆の屑を吸い取る方法であって、
前記空気流を吹くノズルを、電線のクランプ位置から、電線送り方向の横方向にズレた位置に配置しておき、
前記ノズルを横方向に移動して前記皮むき刃の中心近傍に来た時点で空気流を吹くことを特徴とする電線端部の皮むき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−69527(P2012−69527A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251586(P2011−251586)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2011−545569(P2011−545569)の分割
【原出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000228257)日本オートマチックマシン株式会社 (39)
【Fターム(参考)】