説明

多重カプセル環境ホルモン分解剤及びその製造方法

【課題】 ダイオキシン分解能力を有する粗酵素と酵素賦活剤とを環境ホルモンで汚染された土壌中や汚染水中に直接投与しても、前記の粗酵素や酵素賦活剤の効力が長期間持続し、土壌中や汚染水中のダイオキシン類を効果的に分解除去することができるダイオキシン類分解剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ダイオキシン分解能力を持つ菌から抽出した粗酵素をコア成分とし、前記粗酵素を活性化させる酵素賦活剤をシーズ成分とする環境ホルモン分解剤であって、前記コア成分と前記シーズ成分を夫々イオン透過機能を有する半透膜で被覆して多重カプセル構造としたことを特徴とする多重カプセル環境ホルモン分解剤及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイオキシン分解能力を有する粗酵素と酵素賦活剤とをカプセル構造に形成して、ダイオキシン類を始めとする環境ホルモンで汚染された土壌中や水中に直接投与しても、前記の粗酵素や酵素賦活剤の効力が長期間持続し、汚染土壌中や汚染水中のダイオキシン類を効果的に分解除去することができるようにした多重カプセル環境ホルモン分解剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイオキシン類を始めとする環境ホルモンによる環境汚染が大きな社会問題となっている。
【0003】
ダイオキシンは、有機塩素化合物の一種で、2個のベンゼン環が1個又は2個の酸素原子によって結び付けられた骨格構造を持つジベンゾフラン又はシベンゾ−P−ダイオキシンの総称で、塩素原子の置換のされ方によって、理論的には夫々135種類及び75種類の異性体が存在するとされる。毒性は、塩素の置換位置と数により大きく変化し、中でも2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−P−ダイオキシンの毒性が最も高いとされている。また、環境ホルモンは、生体内において、ホルモンのような働きをし、体内の機能を狂わせる内分泌撹乱物質として知られている。
【0004】
ダイオキシン類は急性毒性の他に、慢性毒性、催奇形性、発ガン性などの毒性をもっている。ダイオキシン類は、主として物質の燃焼などによって、非意図的に生産されている。現在、発生源の一つであるゴミ類の焼却などの規制が実施されている。しかし、ゴミ類の焼却によるダイオキシン類の発生を完全に抑制することは現実問題として不可能である。ダイオキシン類はゴミ類の焼却によって焼却灰や排ガス或いは飛散灰中に存在し、飛散灰は近くの土壌に落下する。また排ガスは、より遠くへ気流に乗って放散され、やがて近隣の地上へ落下する。土壌へ落下したダイオキシン類は、化学的安定性のため土壌中に長期間分解されずに残存し、その一部は河川に流れ、海洋に到達して拡散する。土壌、河川や海洋に拡散されたダイオキシン類は、食物連鎖による生物濃縮によって高濃度となり、やがて人体に蓄積されることになる。それに伴う発ガン性や偏奇形性が、大きな社会問題として懸念されるところである。そのため、環境中のダイオキシン類を分解し、浄化するための技術の確立が強く望まれている。
【0005】
これら環境中のダイオキシン類を分解除去する技術として、物理・化学的あるいは生物的手法などの様々な方面から検討されている。物理・化学的な方法は汚染物質が集中して存在する場合には有効な方法であるが、処理コストが高い、あるいは適用範囲が狭いといった問題がある。一方、微生物を用いて環境浄化を行うバイオレメディエーションは、物理・化学的な手法に比べると、低コスト・持続的効果、環境負荷の軽減などの利点があり、土壌中のダイオキシン類などの低濃度で広範囲に拡散した汚染物質の浄化には適した方法である。
【0006】
ダイオキシンを効果的に分解できる微生物としては、既に特開平11−341978号公報や特開2001−161349号公報で、ダイオキシン分解能力の高い新規微生物を得て公表されている。特開平11−341978号公報では、フザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルド65菌株と、フザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルドPC×65菌株と、カワタケ属267菌株と、カワタケ属PC×267菌株と、コウヤタケ科(特にカワタケ属)に属する微生物が紹介されている。特開2001−161349号公報では、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1又はヒラタケ2と、タコウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ1が紹介されている。
【0007】
かくして見出されたダイオキシン分解能力を有する微生物は、農地等の土壌中に投与すると、その土壌中の雑菌により前記微生物の生息が阻害される場合が多いので、雑菌の多い土壌中では思うようにダイオキシン類の分解が進行しない場合が多い。前記の微生物が直接ダイオキシン類を分解するのではなくて、この微生物が産生する酵素がダイオキシン類を分解できる。
【0008】
しかし、前記微生物が産生する酵素は一般的に不安定であり、酸、アルカリ、有機溶媒や雑菌類よって、またその他の物理的、化学的要因によって、その活性が失われるので、酵素を直接農地等の土壌中に投与しても、ダイオキシン類分解能力は短期間で失われる。
【0009】
この対策として、特開2001−232346号公報には、塩素化ダイオキシン類で汚染された土壌又は水に、磁性体微粒子に固定化された塩素化ダイオキシン分解酵素を接触させて、塩素化ダイオキシン類で汚染された土壌又は水を浄化する方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、この塩素化ダイオキシン分解酵素は磁性体微粒子の表面に付着しているだけであり、酵素が雑菌の多い汚染された土壌と直接接触して、酵素の活性を長期間持続できない。
【0011】
また、この対策として、本発明者等は、特開2004−351263号公報にて、白色腐朽菌を培養した培養物中から粗酵素を抽出し、得られた粗酵素を包括法により固定化した顆粒状ダイオキシン類分解剤を汚染土壌に施し、酵素の活性を長期間維持することにより、土壌中のダイオキシン類を効果的に分解除去する土壌浄化方法を公表している。この発明により粗酵素を包括法により固定化した顆粒状ダイオキシン類分解剤は、土壌中に直接投与しても、固定化した顆粒状ダイオキシン類分解剤の活性が長期間持続するようになった。しかしながら、前記顆粒状ダイオキシン類分解剤を使用する際には、酵素賦活剤をこの汚染土壌に同時に、かつ、両者の相互作用が効果的に得られる形で添加しなければならず、その種施工方法の実施が難しかった。その上、この酵素賦活剤は前記酵素と接触する前に汚染土壌に分散接触されるのでその効力が低下して、酵素賦活剤の効果が有効に活用されない欠点があった。
【特許文献1】特開平11−341978号公報、第1頁
【特許文献2】特開2001−161349号公報、第1頁
【特許文献3】特開2001−232346号公報、第1頁
【特許文献4】特開2004−351263号公報、第2頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、ダイオキシン分解能力を有する粗酵素と酵素賦活剤とを環境ホルモンで汚染された土壌中や汚染水中に直接投与しても、前記の粗酵素や酵素賦活剤の効力が長期間持続し、土壌中や汚染水中のダイオキシン類を効果的に分解除去することができる多重カプセル環境ホルモン分解剤及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意工夫した結果、酵素賦活剤をも包含してカプセル化、特に容易に製造できて効果的に機能を果たすことができる多重カプセル構造とすることを見出して本発明に到達した。即ち、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤は、ダイオキシン分解能力を持つ菌から抽出した粗酵素をコア成分とし、前記粗酵素を活性化させる酵素賦活剤をシーズ成分とする環境ホルモン分解剤であって、前記コア成分をイオン透過機能を有する被膜で被覆すると共に、その回りに前記シーズ成分を配置し、更にその回りをイオン透過機能を有する被膜で被覆して二重カプセル構造としたことを特徴とする。
【0014】
これにより、酵素及び酵素賦活剤を夫々カプセル構造とした上で粗酵素及び酵素賦活剤を常時共存させた関係を保つことができるので、環境ホルモンで汚染された水や土壌の施工対象の状態、状況に拘わらず、施工と同時に最も効果的にダイオキシン類を分解できる固形の多重カプセル構造によるので、施工が容易で、商品化に適し、各種環境ホルモンで汚染された部位に施工できる。
【0015】
具体的な土壌への適用方法を示すと、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤は直径を6〜10mmの大きさに形成し、これをダイオキシン類で汚染された田畑を含む土壌を耕してから、乾燥土壌1kgに対して対し1,000〜10,000Uに相当する量の酵素を含む多重カプセル環境ホルモン分解剤を散布し、カプセルがつぶれないように軽く混合する。その後も、月に1〜2回軽く混合するのがよい。ここで言うUとは、酵素量を表すために規定された量で、酵素活性の強さ、すなわち一定条件において、一定時間に酵素によって触媒された反応量で表される。通常、1分間に1μ molの変化をおこなう酵素量を1単位(Unit)とする。
【0016】
尚、本発明でいうイオン透過機能を有する被膜とは、後述するMn3+イオン等の金属イオンが透過可能な被膜であり、大半の半透膜がこれに該当する。
【0017】
本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤において、前記ダイオキシン分解能力を持つ菌は白色腐朽菌であって、この白色腐朽菌がフザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルド65菌株、フザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルドPC×65菌株、カワタケ属267菌株、カワタケ属PC×267菌株、コウヤクタケ科に属する微生物、カワタケ属コウヤタケ科に属する微生物、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1又はヒラタケ2、タコウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ1の内、いずれか1つを含むことを特徴とする多重カプセル環境ホルモン分解剤とすることができる。
【0018】
また、本発明の環境ホルモン分解剤において、前記シーズ成分は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールと界面活性剤とから成る酵素賦活剤と、硫酸マンガンとを含有していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の環境ホルモン分解剤において、前記シーズ成分は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールと界面活性剤とから成る酵素賦活剤と、硫酸マンガンとを含有していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤において、前記被膜が、アルギン酸カルシウム、若しくはκ-カラギーナンカリウム、又はι-カラギーナンカルシウムがゲル化した半透膜から成ることを特徴とする。この被膜は食品に利用されている材料であり、安全で、しかもイオン透過被膜として最も効果的に作用する。
【0021】
本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤の製造方法は、粗酵素を溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて混合してコア成分原料液とし、これを塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に滴下してその回りに被膜を形成して一重カプセル化した固定化酵素と成し、次いで、酵素賦活剤を溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて溶解した酵素賦活剤成分液に前記一重カプセル化した固定化酵素を浸漬してその回りにシーズ成分を付与し、しかる後に再度塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に浸漬又は滴下してその回りに被膜を形成して二重カプセルを備えた構造としたことを特徴とする。これにより、容易、安全に多重カプセル構造を作ることができる。
【0022】
また、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤を製造する好ましい方法として、粗酵素、グルコースオキシダーゼ、グルコースを溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて混合してコア成分原料液とし、これを塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に滴下し、その回りに被膜を形成して一重カプセル化した固定化酵素と成し、次いで、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、界面活性剤、硫酸マンガンを溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて溶解した酵素賦活剤成分液に前記一重カプセル化した固定化酵素を浸漬してシーズ成分を付与し、しかる後に再度塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に浸漬又は滴下してその回りに被膜を形成し、二重カプセルを備えた多重構造とすることができる。
【0023】
ダイオキシン類の分解において、白色腐朽菌が産生する酵素としては、マンガンペルオキシターゼ(以下MnPという)、リグニンペルオキシターゼ(以下LiPという)、ラッカーゼ(以下Lacという)、カテコール1,2−ジオキシゲナーゼ、カテコール2,3−ジオキシゲナーゼ等があり、ダイオキシン類の分解には、MnP、LiP及びLacが関与していると考えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ダイオキシン分解能力を持つ菌から抽出した粗酵素を含有したコア成分と、前記粗酵素を活性化させる酵素賦活剤をシーズ成分とし、夫々イオン透過機能を有する膜で被覆した多重カプセル環境ホルモン分解剤なので、取り扱い性が良く、ダイオキシン類を始めとする環境ホルモンで汚染された土壌や水に対してそのまま容易に施工できる。また、施工された本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤中の粗酵素や酵素賦活剤は、汚染土壌、汚染水や外気に直接触れることが無いので、粗酵素や酵素賦活剤の機能が持続する。更に、前記粗酵素と前記酵素賦活剤は前記イオン透過機能を有する被膜を介して接触しているので、粗酵素に対して酵素賦活剤が有効に作用して粗酵素のダイオキシン類分解能力を向上させる効果がある。
【0025】
本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤は、多重カプセル構造とされるので、汚染水や汚染土壌に対して容易に施工できる。
【0026】
前記シーズ成分には、硫酸マンガンが含有されているので、前記硫酸マンガンのMn2+イオンが、粗酵素のMnPによってMn3+イオンとなりダイオキシン類を分解する。
【0027】
また、カプセル化させる被膜が、アルギン酸カルシウム、若しくはκ-カラギーナンカリウム、又はι-カラギーナンカルシウムがゲル化した半透膜、特にアルギン酸カルシウムがゲル化した半透膜なので、ダイオキシン類を始めとする環境ホルモンで汚染された土壌中や汚染水中でも、前記粗酵素や前記酵素賦活剤の機能をより長期間持続させることができると共に、前記のMn3+等のイオンが前記半透膜を透過してダイオキシン類を分解除去することができる。
【0028】
更に、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤の製造方法は、アルギン酸ナトリウム等のカプセル化剤を含有した成分原料液を塩化カルシウム等の塩化物溶液に滴下することにより、その界面で前記カプセル化剤と前記塩化物とが反応して生じたアルギン酸カルシウム等の反応物のゲル化半透膜でカプセル化する手法なので、極めて容易にカプセル化することができ、高品質の多重カプセル環境ホルモン分解剤を効率良く安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための最良の形態について二重カプセルの例を挙げて説明する。二重以外の三重構造については後述するが、本発明では二重を含めて、それ以上の多重構造を提案するものである。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係わる二重カプセル環境ホルモン分解剤を示す断面図である。二重カプセル環境ホルモン分解剤1のコア成分2にはダイオキシン分解能力を持つ菌から抽出した粗酵素が10〜100U(MnPから換算)含有されている。
【0031】
前記ダイオキシン分解能力を持つ菌は白色腐朽菌であって、この白色腐朽菌がフザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルド65菌株、フザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルドPC×65菌株、カワタケ属267菌株、カワタケ属PC×267菌株、コウヤクタケ科に属する微生物、カワタケ属コウヤタケ科に属する微生物、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1又はヒラタケ2、タコウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ1の内、いずれか1つを含んでいる。
【0032】
前記コア成分2には、前記粗酵素の外にグルコースオキシダーゼ、グルコースが含有されている。このグルコースオキシダーゼとグルコースが反応して過酸化水素が発生し、発生した過酸化水素の存在下で粗酵素のMnPがダイオキシン類を分解する。
【0033】
シーズ成分3には、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールとTween80等の界面活性剤とから成る酵素賦活剤と、硫酸マンガンとを含有している。前記酵素賦活剤は粗酵素のダイオキシン分解能力を向上させる効果があり、また、前記硫酸マンガンのMn2+イオンは、粗酵素のMnPによってMn3+イオンとなってダイオキシン類を分解する効果がある。
【0034】
コア成分2と、シーズ成分3の周囲には、夫々イオン透過機能を有する内側被膜(内膜ともいう)4と外側被膜(外膜ともいう)5が形成されている。このイオン透過機能を有する被膜は、アルギン酸カルシウム、若しくはκ-カラギーナンカリウム、又はι-カラギーナンカルシウムがゲル化した半透膜、特にアルギン酸カルシウムがゲル化した半透膜が好ましく用いられる。このアルギン酸カルシウムがゲル化した半透膜は、前記粗酵素や前記酵素賦活剤は透過できないので、その機能を長期間持続させることができ、ダイオキシン分解能力を持つ前記Mn3+イオンが前記半透膜を透過して、ダイオキシン類を効果的に分解除去することができる。
【0035】
本発明の二重カプセル環境ホルモン分解剤1の大きさは、外径D2が6〜10mmであり、その他の寸法は表1に示す通りなので、製造し易く、且つ、取り扱い性が良く、汚染土壌に容易に散布して混合することができる。
【表1】

【0036】
次に、本発明の二重カプセル環境ホルモン分解剤の製造方法を説明する。まず、菌の培養物基材として楢又は及びブナの木紛からなる菌床を用いる。液体培地としてはグルコース、コハク酸ナトリウム六水和物、第一リン酸カリウム等からなるKirkの培地を用いる。
【0037】
これらの培養物基材に白色腐朽菌と、この白色腐朽菌を繁殖させるのに必要な量の栄養源を加える。栄養源としては、米糠又は及び小麦ふすまを加える。白色腐朽菌としては前記のとおりであるが、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1若しくはヒラタケ2又はタコンキン科シュタケ属に属するヒイロタケ1が好適に用いられる。ここでは、これをPL1菌と称す。このPL1菌を菌糸蔓延した状態まで培養した後、この菌体にリン酸緩衝液を加えて摩砕し、粗酵素を濾過抽出する。
【0038】
次に前記で得られた粗酵素を用いて、外径約8mmの二重カプセル分解剤100個作成する場合について具体的に説明する。
【0039】
濾過抽出した粗酵素1,200〜4,800U(MnPから換算)、グルコース5〜500mg、グルコースオキシダーゼ24〜1,200Uを10〜50mMのマロン酸緩衝液5〜10mlに溶解し、これに1.0〜5.0wt%に相当するアルギン酸ナトリウム0.05〜0.5gを加えて溶解して粗酵素原料液を得る。
【0040】
図2は、本発明の二重カプセル環境ホルモン分解剤1を実験室的に製造するフローを示す説明図である。図2(a)に示すように、前記で得られた粗酵素原料液6をホールピペット7に入れて、軽く撹拌している0.1〜0.2Mの塩化カルシウムを溶解した20〜50mMマロン酸緩衝液20〜50mlに滴下する。滴下された粗酵素原料液は略球状体となり、その表面では前記アルギン酸ナトリウムと前記塩化カルシウムが反応してアルギン酸カルシウムのゲル化半透膜の内膜4が形成される。これを引き上げることにより一重カプセルの固定化酵素9が得られる。
【0041】
次に、図2(b)に示すように、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(以下HBTという)1〜200mg、界面活性剤Tween80 10〜200mg、硫酸マンガン0.1〜100mgを20〜50mMのマロン酸緩衝液15〜20mlに溶解し、これに1.0〜5.0wt%に相当するアルギン酸ナトリウム0.15〜1.0gを加えて溶解して酵素賦活剤成分液10を準備する。次いで、前記一重カプセルの固定化酵素9を添加してシーズ成分を付与し、軽く撹拌している0.1〜0.2Mの塩化カルシウムを溶解した20〜50mMのマロン酸緩衝液30〜50mlに滴下する。滴下されたカプセル剤は、前記の一重カプセルの固定化酵素9の場合と同様に、アルギン酸カルシウムのゲル化半透膜の外膜5が形成される。これを引き上げることにより二重カプセル環境ホルモン分解剤1が製造される。
【0042】
前記の1.0〜5.0wt%に相当するアルギン酸ナトリウムの代わりに、1.0〜5.0wt%に相当するκ-カラギーナンを用いてもよく、この場合は、前記0.1〜0.2Mに相当する塩化カルシウムの代わりに0.5〜1.0Mに相当する塩化カリウムを用いる。また、前記の1.0〜5.0wt%に相当するアルギン酸ナトリウムの代わりに、1.0〜5.0wt%に相当するι-カラギーナンを用いてもよく、この場合は、前記0.1〜0.2Mの塩化カルシウムをそのまま用いる。前記κ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを用いるよりも、アルギン酸ナトリウムを用いる方が、環境ホルモン分解率が大幅に向上するので好ましい。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
固定化酵素の包括剤として、アルギン酸ナトリウムとκ-カラギーナンとι-カラギーナンを用いた一重カプセルの固定化酵素の酵素活性保持能力比較テストを下記要領で実施した。
【0044】
テストサンプルの準備:前記の要領でPL1菌から抽出した粗酵素2,400U(MnP活性から換算)、グルコース200mg、グルコースオキシダーゼ600Uを30mMのマロン酸緩衝液30mlに溶解させ、これに1.5wt%に相当するアルギン酸ナトリウムを加えて混合して得た粗酵素原料液6を図2に示すホールピペット7に入れて、0.1M塩化カルシウムを溶解した30mMのマロン酸緩衝液30mlに滴下した後引き上げて、アルギン酸カルシウムのゲル化半透膜で粗酵素を包括した一重カプセルの固定化酵素9のサンプルAを得た。
【0045】
前記1.5wt%に相当するアルギン酸ナトリウムの代わりに、1.5wt%に相当するκ-カラギーナンを、更に、前記0.1M塩化カルシウムの代わりに1.0Mの塩化カリウムを用いた外は前記と同じ要領にて粗酵素をκ-カラギーナンカリウム膜で包括した一重カプセルの固定化酵素9のサンプルκを得た。
【0046】
また、前記1.5wt%に相当するアルギン酸ナトリウム代わりに、1.5wt%に相当するι-カラギーナンを用いた以外は、サンプルAと同じ要領にて粗酵素をι-カラギーナンカルシウム半透膜で包括した一重カプセルの固定化酵素9のサンプルιを得た。
【0047】
酵素活性保持能力テスト実施:前記の方法で得た一重カプセルの固定化酵素9のサンプルA、サンプルκ、サンプルιを夫々、200mlの三角フラスコに入れた50mMのマロン酸緩衝液40ml(pH4.5)に加え、25℃の暗所で120rpmの条件下で0,24,48,72時間処理を行った。処理期間後吸引濾過を行い、濾液と固定化酵素に分けて下記の方法でMnP活性とLiP活性を測定した。
【0048】
MnP活性の測定:50mMマロン酸緩衝液(pH4.5)1750μl、20mMの硫酸マンガン水溶液125μl、粗酵素液1000μlをセルに入れ、2mMのHを300ml加えて、波長470nmの吸光度を28℃で1分間測定した。(モル吸光度係数ε:49600mol−1cm−1)を1分間後の数値を読み取り、F.H.Perieらの方法(Applied.Environ.microbiol,57(8),2240−2245(1991))によってMnP活性を算出した。
【0049】
LiP活性の測定:ベラトリルアルコール0.4mM、Tween80の0.1%を含む0.1M酒石酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)2000μl、粗酵素液1000μlをセルに入れ、2mMのHを300μl加えて、波長310nmの吸光度を37℃で5分間測定した。(モル吸光度係数ε:9300mol−1cm−1)5分後の数値を読み取り、T.K.Kirkらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,2280−2284(1984))によってLiP活性を算出した。
【0050】
酵素活性保持能力テスト結果:図3は、各カプセル基剤によるカプセル中の酵素MnPの活性率の経時変化を示す棒線グラフであり、図4は各カプセル基剤によるカプセル中の酵素LiPの活性率の経時変化を示す棒線グラフである。図中A−1〜A−4は、カプセル被膜としてアルギン酸カルシウムを、κ−1〜κ−4はカプセル被膜としてκ-カラギーナンカリウムを、ι−1〜ι−4はカプセル被膜としてι-カラギーナンカルシウムを夫々用いた場合を示している。図3及び図4から明らかなように、カプセル被膜としてはアルギン酸カルシウム膜が最も優れていることが分かる。特にMnPの活性率の場合その傾向は顕著である。MnPの活性率の場合はι−2、ι−3、ι−4の値が小さいけれども、LiPの活性率の場合は、カプセル膜としてκ-カラギーナンカリウムやι-カラギーナンカルシウムの値が高く、これも利用可能であることが示されている。
【0051】
[実施例2]
一重カプセルと二重カプセルの環境ホルモン分解剤を用いて、環境ホルモン分解能力の比較テストを下記要領で実施した。
【0052】
テストサンプルの準備:前記一重カプセルの固定化酵素9のサンプルAと同一条件で作成したものをサンプルSとした。
【0053】
次に、HBT10.6mg、Tween80 40mg、20mM硫酸マンガン(3.02mg)溶液1mlを50mMのマロン酸緩衝液10mlに溶解し、1.5wt%に相当するアルギン酸ナトリウムを加えて溶解した酵素賦活剤成分液10を準備して、これに前記一重カプセルの固定化酵素9のサンプルSの半数を浸漬してシーズ成分を付与し、しかる後に、0.1M塩化カルシウムを50mMのマロン酸緩衝液30mlに溶解した溶液11に滴下して引き上げてアルギン酸カルシウムのゲル化半透膜による外膜5を形成した二重カプセルの環境ホルモン分解剤1のサンプルWを作成した。
【0054】
一重カプセルの固定化酵素の水中DDT分解テストの実施:200mlの三角フラスコにHBT10.6mg、Tween80 40mg、20mM硫酸マンガン3.02mgを含む50mMマロン酸緩衝液(pH4.5)40ml加え、そこに前記で作成した一重カプセルの固定化酵素サンプルSを添加した。その後200μlのN,N’−ジメチルホルムアミド(以下DMFという)に溶かしたDDTを0.01mMとなるように添加し、25℃の暗所に120rpmの条件下12、24、48時間処理を行って、その分解率を調べた。
【0055】
二重カプセルの環境ホルモン分解剤の水中DDT分解テストの実施:200mlの三角フラスコに50mMマロン酸緩衝液(pH4.5)40ml加え、そこに前記で作成した二重カプセルの環境ホルモン分解剤(サンプルW)を添加した。その後200μlのDMFに溶かしたDDTを0.01mMとなるように添加し、25℃の暗所に120rpmの条件下12、24、48時間処理を行って、その分解率を調べた。
【0056】
一重カプセルと二重カプセルの水中DDT分解比較テスト結果:図5は一重カプセルと二重カプセルの環境ホルモン分解剤の水中でのDDT分解率を示す棒線グラフである。図中S−1,S−2,S−3は比較例の一重カプセルの固定化酵素9であり、W−1,W−2,W−3は本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤1である。この図から明らかなように、本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤1は、一重カプセルの固定化酵素9よりも環境ホルモンDDT分解率が2〜6%も高く、24時間で34%、48時間で38%分解することが分かった。
【0057】
一重カプセルの環境ホルモン分解剤の土壌中DDT分解テスト実施:200gの土壌(乾燥重量換算)中に、HBT10.6mg、Tween80 40mg、20mM硫酸マンガン3.02mgを含む50mMマロン酸緩衝液(pH4.5)40ml加え、更に、Tween80を50μl含む5mlの水と0.2mgのDDTを溶かした200μlのDMFを混合して添加した。これを軽く振り、玉ができたら潰した。撹拌後、前記で作成したサンプルSを散布して撹拌した。その後、Tween80を50μl含む5mlの水を土壌に散布して、軽く振り、玉を潰してから7日、15日処理を行って、その分解率を調べた。
【0058】
二重カプセルの環境ホルモン分解剤の土壌中DDT分解テスト実施:200gの土壌(乾燥重量換算)中に、Tween80を50μl含む5mlの水と0.2mgのDDTを溶かした200μlのDMFを混合して添加した。これを軽く振り、玉ができたら潰した。撹拌後、二重カプセルの環境ホルモン分解剤のサンプルWを散布して撹拌した。その後、Tween80を50μl含む5mlの水を土壌に散布して、軽く振り、玉を潰してから7日、15日処理を行って、その分解率を調べた。
【0059】
一重カプセルと二重カプセルの土壌中DDT分解比較テスト結果:図6は、一重カプセルと二重カプセルの環境ホルモン分解剤の土壌中でのDDT分解率を示す棒線グラフである。図中S−1,S−2は比較例の一重カプセルの固定化酵素であり、W−1,W−2は本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤である。図6から明らかなように、本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤は一重カプセルの固定化酵素よりも土壌中での環境ホルモンDDT分解率が2%高く、7日間で23%、15日間で25%分解率することが分かった。
【0060】
[実施例3]
二重カプセルの環境ホルモン分解剤によるダイオキシン類3,3’,4,4’-テトラクロロビフェニール(以下TCBという)の水中分解テストを下記要領にて実施した。
【0061】
テストサンプルの準備:前記サンプルWの製造において、全て同一条件で作成した二重カプセルの環境ホルモン分解剤をサンプルW24とし、粗酵素の量を4800Uにした以外は同一条件で作成した二重カプセルの環境ホルモン分解剤をサンプルW48として準備した。
【0062】
二重カプセルの環境ホルモン分解剤の水中TCB分解テスト実施:実施例1の水中DDT分解テストにおいて、サンプルSとサンプルWの代わりにサンプルW24とサンプルW48を用い、DDTの代わりにTCBを用いてその分解率を測定した以外は、全く同一条件で水中のTCB分解テストを行った。
【0063】
二重カプセルの環境ホルモン分解剤の水中TCB分解テスト結果:図7は、本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤1の水中でのTCB分解率を示す棒線グラフである。図7から明らかなように、本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤1は、水中でのダイオキシン類のTCB分解率においても、酵素量2400Uの場合48時間で24%、72時間で25%、酵素量4800Uの場合48時間で31%分解することが分かった。
【0064】
以上の実施例の結果から、本発明の二重カプセルの環境ホルモン分解剤1は、一重カプセルの場合のようにHBT、Tween80、硫酸マンガンを含むマロン酸緩衝液を汚染土壌中に加える必要がなく、また、汚染土壌中に直接投与しても酵素賦活剤は二重カプセル内にあって直接汚染土壌と接触しないので酵素賦活効果が持続し、更に、粗酵素と酵素賦活剤がイオン透過機能を有するアルギン酸カルシウムのゲル化半透膜を介して接触しているので、粗酵素に対して酵素賦活剤が有効に作用してダイオキシン類を始めとする環境ホルモンを効果的に分解除去することができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
二重カプセル環境ホルモン分解剤1の例を例示したが、本発明は二重に限定されるものではなく、複数のコア成分による一重カプセルを一つのシーズ成分によるカプセルでまとめたり、二重カプセルの内又は外に、更に活性剤とか、分解剤とか、肥料等、他の成分を含めた多重カプセル構造とすることもできる。
【0066】
二重、三重に構成された本発明の多重カプセル環境ホルモン分解剤は、その投与又は施工によって環境中のダイオキシン類を消滅させることができるので、汚染土壌、汚染水、その他汚染部位に適時、適切に適用できる。しかもカプセル構造であるので、容器に入れての販売が可能であり、従来の肥料と同様の感覚で散布施工可能であり、実用化できる。
【0067】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計的変更を行うことができ、各種態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係わる二重カプセル環境ホルモン分解剤を示す断面図である。
【図2】本発明の二重カプセル環境ホルモン分解剤を実験室的に製造するフローを示す説明図である。
【図3】各カプセル基剤によるカプセル中の酵素MnPの活性率の経時変化を示す棒線グラフである。
【図4】各カプセル基剤によるカプセル中の酵素LiPの活性率の経時変化を示す棒線グラフである。
【図5】一重カプセルと二重カプセルの環境ホルモン分解剤の水中でのDDT分解率を示す棒線グラフである。
【図6】一重カプセルと二重カプセルの環境ホルモン分解剤の土壌中でのDDT分解率を示す棒線グラフである。
【図7】本発明の二重カプセル環境ホルモン分解剤の水中でのTCB分解率を示す棒線グラフである。
【符号の説明】
【0069】
1 二重カプセル環境ホルモン分解剤
2 コア成分
3 シーズ成分
4 内幕
5 外膜
6 粗酵素原料液
7 ホールピペット
8,11 塩化カルシウムを溶解したマロン酸緩衝液
9 一重カプセル固定化酵素
10 酵素賦活剤溶液


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオキシン分解能力を持つ菌から抽出した粗酵素をコア成分とし、前記粗酵素を活性化させる酵素賦活剤をシーズ成分とする環境ホルモン分解剤であって、前記コア成分をイオン透過機能を有する被膜で被覆すると共に、その回りに前記シーズ成分を配置し、更にその回りをイオン透過機能を有する被膜で被覆して多重カプセル構造としたことを特徴とする多重カプセル環境ホルモン分解剤。
【請求項2】
前記菌は白色腐朽菌であって、この白色腐朽菌がフザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルド65菌株、フザリウム・アベナセウム(コルダ:フライズ)サッカルドPC×65菌株、カワタケ属267菌株、カワタケ属PC×267菌株、コウヤクタケ科に属する微生物、カワタケ属コウヤタケ科に属する微生物、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1又はヒラタケ2、タコウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ1の内、いずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の多重カプセル環境ホルモン分解剤。
【請求項3】
前記シーズ成分は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールと界面活性剤とから成る酵素賦活剤と、硫酸マンガンとを含有していることを特徴とする請求項1に記載の多重カプセル環境ホルモン分解剤。
【請求項4】
前記被膜は、アルギン酸カルシウム、若しくはκ-カラギーナンカリウム、又はι-カラギーナンカルシウムがゲル化した半透膜から成ることを特徴とする請求項1に記載の多重カプセル環境ホルモン分解剤。
【請求項5】
粗酵素を溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて混合してコア成分原料液とし、これを塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に滴下してその回りに被膜を形成して一重カプセル化した固定化酵素と成し、次いで、酵素賦活剤を溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて溶解した酵素賦活剤成分液に前記一重カプセル化した固定化酵素を浸漬してその回りにシーズ成分を付与し、しかる後に再度塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に浸漬又は滴下してその回りに被膜を形成して二重カプセルを備えた構造としたことを特徴とする多重カプセル環境ホルモン分解剤の製造方法。
【請求項6】
粗酵素、グルコースオキシダーゼ、グルコースを溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて混合してコア成分原料液とし、これを塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に滴下し、その回りに被膜を形成して一重カプセル化した固定化酵素と成し、次いで、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、界面活性剤、硫酸マンガンを溶解したマロン酸緩衝液に、アルギン酸ナトリウム、若しくはκ-カラギーナン、又はι-カラギーナンを加えて溶解した酵素賦活剤成分液に前記一重カプセル化した固定化酵素を浸漬してシーズ成分を付与し、しかる後に再度塩化カルシウム溶液又は塩化カリウム溶液に浸漬又は滴下してその回りに被膜を形成し、二重カプセルを備えた構造としたことを特徴とする多重カプセル環境ホルモン分解剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−222727(P2008−222727A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238069(P2006−238069)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(504147254)国立大学法人愛媛大学 (214)
【出願人】(501033615)株式会社帝松サービス (3)
【Fターム(参考)】