説明

多重化通信システム、管理装置

【課題】階層化された通信路を用いながらも各階層に設けた端末器に対して大きな時間差を生じることなく制御要求を伝送する。
【解決手段】それぞれ伝送ユニット20と制御端末器22とが接続された複数の通信路10,11が設けられ、重畳装置30と管理装置40とにより通信路10,11が階層化される。上位階層の管理装置40は、通信路10を介して接続された同階層の制御端末器22への制御要求を一時的に保存するバッファと、下位階層の管理装置40に接続された制御端末器22への制御要求を通信路12を介して重畳装置30に転送する判断制御部とを備える。重畳装置30は、下位階層の管理装置40に接続された制御端末器22への制御要求を一時的に保持するバッファと、重畳装置30および管理装置40のバッファにそれぞれ保存した制御要求の実行を指示する判断制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の伝送信号を一つの通信路で伝送する多重化通信システム、およびその多重化通信システムに用いる管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、データ通信を行う際に、1つの通信路に物理仕様やプロトコル(以下、単に「仕様」という)が異なる複数種類の通信装置を接続し、各仕様の通信装置が通信路を共用して多重化通信を行うことがある。たとえば、照明負荷の監視や制御を行うために建物にあらかじめ敷設された通信路を用いて、負荷の消費電力などの情報を監視するための通信を行う技術が提案されている。
【0003】
この種の多重化通信システムでは、親機となる伝送ユニットが子機となる複数の端末器(第1通信端末)のポーリングを行っている通信路を用いて、重畳装置(第2通信端末)の間でピアツーピアの通信を行う技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この技術を用いると、端末器に負荷として照明負荷のような負荷を接続して、伝送ユニットが端末器との間で通信を行うことにより、負荷のオンオフなどの制御を遠隔で行うことができる。
【0004】
また、伝送ユニットは、負荷の制御を端末器に要求する際に、端末器を識別情報(端末器のアドレスなど)によって指定して制御要求を与えている。したがって、複数台の端末器にそれぞれ接続されている負荷に制御要求を送信することにより、負荷をほぼ同時に制御することができる。たとえば、負荷が照明負荷であれば、複数個の照明負荷の点灯や消灯を一斉に行うことができる。
【0005】
さらに、伝送ユニットに通信路を介して接続される端末器の台数には制限があるが、通信路を階層化して階層間で重畳装置を用いて情報を伝送すれば、複数の通信路を含む多重化通信システムを構築することができる。すなわち、階層化された通信路の間で重畳装置を通して情報を伝送することにより、異なる階層の通信路に接続された端末器に負荷の制御要求を与えることができる。
【0006】
このように階層化された通信路に接続されている端末器であっても、通信路を識別する情報を付加することにより、異なる通信路に接続されている端末器を指定することができる。したがって、異なる通信路に接続された端末器に対しても負荷を一斉に制御するように制御要求を送信することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−225328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、通信路が階層化されている通信システムでは、異なる階層の通信路に接続された端末器に対する制御要求が発生した場合に、各階層の端末器が制御要求を受け取るタイミングに大きな時間差を生じることがある。たとえば、異なる階層の端末器に対する制御要求が個々に与えられた場合に、各制御要求を階層の異なる端末器に振り分けながら引き渡したとすれば、端末器の階層に応じて制御要求が端末器に到達するまでに要する時間にばらつきが生じる。その結果、負荷を一斉に制御する制御要求であっても、負荷が制御要求に応答する時間に大幅な時間差が生じるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、階層化された通信路を用いながらも各階層に設けた端末器に対して大きな時間差を生じることなく制御要求を伝送することができる多重化通信システムを提供することを目的とし、さらに、この多重化通信システムにおいて通信信号を中継する管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る多重化通信システムは、上記目的を達成するために、複数階層の第1の通信路にそれぞれ接続される端末器と、第1の通信路ごとに1台ずつ接続され第1の通信路を通して第1の通信信号により端末器への制御要求を伝送する複数台の管理装置と、各管理装置に第2の通信路を介してそれぞれ接続され第1の通信信号に重畳される第2の通信信号を用いて管理装置の間の情報を伝送する重畳装置とを備え、上位階層の管理装置は、第1の通信路を介して接続された同階層の端末器への制御要求を一時的に保存する第1のバッファと、下位階層の管理装置に接続された端末器への制御要求を第2の通信路を介して重畳装置に転送する第1の判断制御部とを備え、重畳装置と下位階層の管理装置とのいずれかは、下位階層の管理装置に接続された端末器への制御要求を一時的に保持する第2のバッファと、第1のバッファと第2のバッファとにそれぞれ保存した制御要求の実行を指示する第2の判断制御部との少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0011】
上位階層の管理装置に第2の通信路を介して接続された重畳装置が第2のバッファおよび第2の判断制御部を備え、上位階層の管理装置から第2の通信路を介して重畳装置が受け取った制御要求が第2のバッファに保存され、第2の判断制御部が第1のバッファおよび第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求することが好ましい。
【0012】
下位階層の管理装置に第2の通信路を介して接続された重畳装置が第2のバッファを備え、上位階層の管理装置に第2の通信路を介して接続された重畳装置が第2の判断制御部を備え、上位階層の管理装置から第2の通信路を介して重畳装置が受け取った制御要求が下位階層の管理装置に接続された重畳装置に転送されるとともに、第2のバッファに制御要求が保存され、第2の判断制御部が第1のバッファおよび第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求してもよい。
【0013】
また、下位階層の管理装置が第2のバッファを備え、上位階層の管理装置が第2の通信路を介して接続された重畳装置に第2の判断制御部を備え、上位階層の管理装置から第2の通信路を介して重畳装置が受け取った制御要求が下位階層の管理装置に転送されるとともに、第2のバッファに制御要求が保存され、第2の判断制御部が第1のバッファおよび第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求してもよい。
【0014】
下位階層の第1の通信路に接続された端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の管理装置の識別情報と、当該管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報と、管理装置の管理範囲内で特定される端末器の識別情報とを用いて、送信先が個別に指定されることが好ましい。
【0015】
また、下位階層の管理装置は1台の重畳装置に第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の第1の通信路に接続された複数台の端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報と、管理装置の管理範囲内で特定される端末器の識別情報とが共通しているときには、下位階層の管理装置にビット位置を対応付けた位置特定情報における各ビット値により当該管理装置の管理範囲内の端末器への制御要求か否かを示すことが好ましい。
【0016】
あるいはまた、下位階層の管理装置は1台の重畳装置に第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の第1の通信路に接続された複数台の端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の管理装置の識別情報と、当該管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報とが共通しているときには、重畳装置および管理装置の識別情報の組に対して端末器の台数分の識別情報を結合して送信先が指定されることが好ましい。
【0017】
下位階層の管理装置は1台の重畳装置に第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の第1の通信路に接続された端末器を送信先とする制御要求のパケットとして、下位階層の管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報と、管理装置の管理範囲内で特定される端末器の識別情報とが共通する複数台の端末器が送信先に指定されるという第1条件が満たされるときには、下位階層の管理装置にビット位置を対応付けた位置特定情報における各ビット値により当該管理装置の管理範囲内の端末器への制御要求か否かを示す第1のパケットを用い、下位階層の管理装置の識別情報と、当該管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報とが共通する複数台の端末器が送信先に指定されているという第2条件が満たされるときには、重畳装置および管理装置の識別情報の組に対して端末器の台数分の識別情報を結合して送信先が指定された第2のパケットを用い、送信先が第1条件と第2条件とのいずれも満たさないときには、下位階層の管理装置の識別情報と、当該管理装置に第2の通信路を介して接続されている重畳装置の識別情報と、管理装置の管理範囲内で特定される端末器の識別情報とを用いて、送信先が個別に指定された第3のパケットを用い、第1の通信信号の1フレームに重畳させて伝送可能である第2の通信信号のビット数の範囲で、第1のパケットと第2のパケットと第3のパケットとのいずれか2種類を、第1の通信信号の1フレームにおいて伝送することが好ましい。
【0018】
本発明に係る管理装置は、複数階層の第1の通信路にそれぞれ端末器が接続され、各階層の第1の通信路を通して第1の通信信号により端末器への制御要求を伝送する通信システムに用いられ、制御要求の送信先である端末器を管理下の端末器と管理外の端末器とに振り分ける判断制御部と、管理下の端末器を送信先とする制御要求を一時的に保持するバッファとを有し、判断制御部は、管理外の端末器を送信先とする制御要求を他装置に転送し、他装置からバッファ内の制御要求を実行が要求されると当該制御要求を第1の通信路を通して管理下の端末器に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、階層化された通信路を用いながらも各階層に設けた端末器に対して大きな時間差を生じることなく制御要求を伝送することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上に用いる重畳装置を示すブロック図である。
【図3】同上に用いる管理装置を示すブロック図である。
【図4】同上に用いる共用メモリおよびバッファの構成例を示す図である。
【図5】同上に用いる通信信号を示す図である。
【図6】同上に用いるパケットの構成例を示す図である。
【図7】同上に用いるパケットの他の構成例を示す図である。
【図8】同上に用いるパケットのさらに他の構成例を示す図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上の動作説明図である。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【図17】同上の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に説明する実施形態では、図1に示すように、2線式の通信路10で2種類の通信信号を伝送する多重化通信システムを例示する。ただし、通信路10は3線以上であってもよく、通信信号は3種類以上であってもよい。
【0022】
図示する多重化通信システムでは、通信路10の下位に複数の通信路11が設けられ、2階層以上に階層化された通信路10,11を備える。各階層の通信路10,11には、それぞれ1台の親機(以下、「伝送ユニット」という)20と複数台の子機(以下、「端末器」という)21,22とが接続され、伝送ユニット20と端末器21,22との間の通信は、時分割多重化された通信信号(以下、「伝送信号」という)を用いてポーリング方式で行われる。
【0023】
端末器21はスイッチやセンサ(以下、「スイッチ」と記載する)を備え、端末器22は照明器具のような負荷が接続される。スイッチを備える端末器21では、スイッチが操作されたときに、伝送ユニット20からの伝送信号に同期するタイミングで割込を行い、スイッチが操作されたことを伝送ユニット20に通知する。伝送ユニット20には、スイッチと負荷との対応関係があらかじめ対応付けられており、操作されたスイッチに対応付けられている負荷が接続された端末器22に指示を与えて負荷の制御を行う。
【0024】
そのため、端末器21,22には、識別情報としてのアドレスが付与されており、アドレスの下位にサブアドレスが設定されている。サブアドレスは、1台の端末器21,22に複数個のスイッチあるいは負荷が接続される場合に、各スイッチあるいは負荷を区別する識別情報として用いられる。すなわち、端末器21,22に付与されたアドレスと、スイッチや負荷に設定されるサブアドレスとの組み合わせにより、スイッチや負荷が個別に識別される。スイッチと負荷とは伝送ユニット20により対応付けられているから、負荷の動作状態をスイッチの操作に対応付けることができる。すなわち、スイッチと負荷とを組み合わせた負荷回路と等価に動作する。さらに、アドレスおよびサブアドレスを用いてスイッチと負荷とを対応付けるから、スイッチと負荷とを一対一に対応付けるだけではなく、一対多や多対多に対応付けることも可能である。
【0025】
各階層の通信路10,11には、それぞれ1台の管理装置40が接続される。管理装置40は、伝送ユニット20と端末器21,22との間の伝送信号を監視することにより端末器21,22の動作状態を定期的に取得し、内蔵した記憶部(後述する)に取得した動作状態を保持する。また、管理装置40は、通信用のポートを複数備え、異なるプロトコルで行われる通信を仲介するゲートウェイとしての機能も備える。
【0026】
同階層の通信路10,11(図示例は、最上位の通信路10のみ)には、複数台の重畳装置30が配置され、重畳装置30の間の通信は、伝送ユニット20と端末器21,22との間で通信するための伝送信号とは異なる通信信号を用いてコンテンション方式で行われる。重畳装置30が用いる通信信号は、伝送ユニット20と端末器21,22との間の通信に用いる伝送信号に重畳して伝送される。以下では重畳装置30の間の通信に用いる通信信号を「重畳信号」という。重畳信号は、伝送信号に重畳されるから、伝送信号よりも高い周波数が選択される。伝送信号と重畳信号との関係については後述する。
【0027】
各管理装置40は、重畳装置30と通信するためのポートを備え、各管理装置40は重畳装置30との間で、通信路10,11とは別の通信路(以下、「サブ通信路」という)12を介して通信する。サブ通信路12には、たとえばRS485規格を採用する。さらに、図示例では、最上位の通信路10に接続された管理装置40は、インターネットのような公衆網50に通信するためのポートを備え、公衆網50に接続されている通信端末51と管理装置40との間で通信可能になっている。
【0028】
管理装置40は、通信路10,11に接続された端末器21,22の動作状態を、伝送信号に基づいて取得するか、伝送ユニット20から取得する。また、管理装置40は、伝送ユニット20に対して端末器21,22の動作を指示することもできる。したがって、通信端末51から管理装置40に指示を与えると、管理装置40が取得した端末器21,22の動作状態を通信端末51で監視することができ、また通信端末51から管理装置40に指示を与えて端末器21,22の動作状態を制御することができる。
【0029】
上位階層の通信路10に接続された管理装置40は、同階層の通信路10に接続された重畳装置30に接続される。また、下位階層の通信路11に接続された管理装置40は、上位階層の通信路10に接続されている重畳装置30に接続される。重畳装置30は、同階層の通信路10を通して互いに通信する。また、異なる階層の通信路10,11の間では、下位階層の伝送ユニット20がサブ通信路12を介して接続されている重畳装置30を通して情報を伝送する。
【0030】
上述の構成から明らかなように、重畳装置30を用いていることにより、通信路10を用いて構築されているメインシステムの管理装置40と、通信路11を用いて構築されているサブシステムの管理装置40との間で情報の授受を行うことができる。なお、制限を加える趣旨ではないが、説明のために、以下では、1フレームの伝送信号に重畳させて伝送できる重畳信号のデータ量の最大値を120ビットとし、1台の重畳装置30に接続できる管理装置40の台数の最大値を31台とする。
【0031】
また、図1においては、最上位の通信路10では、伝送ユニット20における通信路10との接続部位にインピーダンス整合装置23を接続している。インピーダンス整合装置23は、伝送信号を通過させかつ重畳信号を阻止するように、インピーダンスが設定されている。図示例では、伝送ユニット20における通信路10との接続部位にのみインピーダンス整合装置23を設けているが、端末器21,22と通信路10との接続部位にもインピーダンス整合装置23を設けけてもよい。インピーダンス整合装置23を設けることにより、通信路10が長い場合でも重畳信号の減衰を抑制することができる。
【0032】
上述した重畳装置30は、図2に示すように、通信路10に接続するための第1の送受信部31と、サブ通信路12に接続するための第2の送受信部32とを備える。第1の送受信部31および第2の送受信部32は、それぞれ送信部311,321と受信部312,322とを備える。重畳装置30には、第1の送受信部31と第2の送受信部32との間でプロトコルの変換を行う変換部33が設けられている。すなわち、変換部33は、サブ通信路12から受信部322が受信した信号を通信路10への重畳信号に変換し送信部311から通信路10に送出する第1の変換部331を備える。また、変換部33は、通信路10から受信部312が受信した重畳信号をサブ通信路12への信号に変換し送信部321からサブ通信路12に送出する第2の変換部332を備える。
【0033】
重畳装置30は、端末器22への指示を一時的に記憶するバッファ34も備える。端末器22への指示をバッファ34に記憶させる制御と、バッファ34から端末器22への指示を読み出す制御とは、重畳装置30に設けた判断制御部35が行う。また、判断制御部35は、第2の送受信部32における受信部322を通してサブ通信路12から受信した信号の内容(情報)に基づいて、受信した情報の行き先を決める機能も備える。判断制御部35が受信した情報は、バッファ34に保存するほか、変換部33における第1の変換部331を通して通信路10に送出する場合がある。さらに、判断制御部35は第2の送受信部32における送信部321を通してサブ通信路12に情報を送出させる機能も備える。
【0034】
ところで、端末器22の動作状態を通信端末51から制御する場合に、通信端末51において設定したスケジュールに従って端末器22に動作状態の指示を与えることがあり、また、複数の通信端末51から端末器22の動作状態の指示が行われることもある。あるいはまた、複数の負荷をほぼ同時に一斉に制御するように、通信端末51から端末器22の動作状態を指示することもある。
【0035】
とくに、負荷が照明装置である場合、多数個の照明装置の光出力や光色を変化させて様々な点灯パターンを演出するために、多数個の照明装置の動作状態を一斉に制御することがある。このような演出を行うには、通信端末51から管理装置40を通して各階層の伝送ユニット20に指示を与えることになる。
【0036】
複数個の照明器具の動作状態を一斉に制御するために、階層の異なる通信路10,11に接続されている端末器22に指示を与えるには、各階層の通信路10,11に接続された管理装置40に端末器22の制御要求を次々に送る必要がある。そのため、上位階層の通信路10に接続されている管理装置40では、比較的短い規定の時間内(たとえば、1s以内)に制御要求を続けて扱うことになる。
【0037】
このような動作に備えて、重畳装置30の判断制御部35は、管理装置40が制御要求を続けて扱っているか否かを判断する機能も備える。判断制御部35は、第2の送受信部32を通して制御要求を受けた後、上述した規定の時間内に次の制御要求を受けた場合には、複数の端末器22に対して負荷を一斉に制御する制御要求を受けたと判断する。このように制御要求を規定の時間内に続けて受ける状態を以下では「連続」という。判断制御部35は、制御要求が「連続」であるか否かを判断し、「連続」と判断した後に制御要求が規定の時間を超えても入力されないときに「連続」の終了と判断する。
【0038】
判断制御部35は、「連続」の終了と判断すると、制御要求を実行する旨の通知を、第2の送受信部32を通して管理装置40に対して行う。さらに、判断制御部35は、制御要求の実行を通知した後に、バッファ34に保持している制御要求を、第1の変換部331により重畳信号に変換し、第1の送受信部31における送信部311を通して通信路10に送出させる。すなわち、他の重畳装置30に制御要求を送信することになる。
【0039】
一方、重畳装置30において第1の送受信部31における受信部312が通信路10を通して制御要求を含む重畳信号を受信すると、変換部33における第2の変換部332を通して制御要求を取り出す。この制御要求は、第2の送受信部32における送信部321を通して管理装置40に送信される。
【0040】
一方、管理装置40は、図3に示すように、通信路10に接続するための第1の送受信部41と、サブ通信路12に接続するための第2の送受信部42とに加えて、公衆網50に接続するための第3の送受信部43とを備える。第1の送受信部41、第2の送受信部42、第3の送受信部43は、それぞれ送信部411,421,431と受信部412,422,432とを備える。管理装置40は、重畳装置30と同様に、バッファ44および判断制御部45を備え、バッファ44では、端末器22への指示を一時的に記憶し、判断制御部45では、制御要求が「連続」か否かを判断する。また、判断制御部45は、端末器22への指示をバッファ44に記憶させる制御、バッファ44から端末器22への指示を読み出す制御、第2の送受信部42における受信部422を通してサブ通信路12から受信した信号の内容(情報)を第1の送受信部41におけるに基づいて、受信した情報の行き先を決める機能も備える。判断制御部45が受信した情報は、バッファ44に保存するほか、第1の送受信部41における送信部411を通して通信路10に送出する場合がある。
【0041】
ところで、管理装置40は、公衆網50から第3の送受信部43における受信部432を通して制御要求を受信したときに通信内容を読み取る制御情報判断部46を備える。制御情報判断部46は、受信部432が受け取った制御要求が、管理下の端末器22に対する制御要求か、管理外の端末器22に対する制御要求かを判断する。制御情報判断部46では、管理下の端末器22に対する制御要求を受け取ると判断制御部45を通してバッファ44に制御要求を保存する。また、制御情報判断部46は、管理外の端末器22に対する制御要求を受け取ると判断制御部45を通して第1の送受信部412から通信路10に送出させる。ここに、管理下の端末器22とは管理装置40に接続された通信路10上の端末器22を意味し、管理外の端末器22とは他の管理装置40に接続された通信路10上の端末器22を意味する。
【0042】
さらに、管理装置40の判断制御部45は、第2の送受信部42の受信部422を通して重畳装置30から実行が要求されると、バッファ44に保存されている制御要求を第1の送受信部41における送信部411を通して通信路10に送出させる。すなわち、管理下の端末器22に制御要求を送信する。また同時に、バッファ44に保存されている制御要求を管理装置40に設けたRAMからなる共有メモリ47に書き込み、共有メモリ47の記憶内容を更新する。
【0043】
ここに、重畳装置30のバッファ34と、管理装置40のバッファ44と、管理装置40の共有メモリ47とが記憶する情報の項目は同じである。すなわち、図4のように、(重畳装置30の識別情報、管理装置40の識別情報、制御種別、端末器21,22の識別情報、制御内容)の5項目になる。ただし、バッファ34,44には制御要求の個数分の情報を記憶するのに対して、共有メモリ47にはメインシステムとサブシステムとに接続されたすべての端末器21,22の情報が記憶される。
【0044】
管理装置40は、重畳装置30から管理外の端末器22に対する制御要求を受け取った場合に、その制御要求は第2の送受信部42の送信部421を介して重畳装置30に返送し、重畳装置30を介して他の重畳装置30に転送する。
【0045】
管理装置40は、端末器22の接続状態(接続の有無)および動作状態(負荷の制御の状態)を定期的または不定期で確認しており、端末器22の第1の送受信部41において端末器22の接続状態および動作状態を取得する。また、取得した端末器22の接続状態および動作状態は共有メモリ47に記録される。共有メモリ47に記録された情報は、ウェブ画面構成部48によりウェブ画面に表示可能なデータに変換され、通信端末51からの要求に応じて第3の送受信部43における送信部431を通して公衆網50に送出される。すなわち、管理装置40は通信端末51に対してサーバとしての機能を備え、通信端末51はクライアントとして動作することにより、端末器22の接続状態および動作状態を可視化した状態で確認することができる。
【0046】
なお、サブシステムに設けた管理装置40は公衆網50には接続されないから、上述した動作のうち第3の送受信部43を用いる機能はメインシステムでのみ用いられる。メインシステムの管理装置40であるかサブシステムの管理装置40であるかは、管理装置40に付与される識別情報によって区別される。後述するように、管理装置40の識別情報を5ビットで表す場合、メインシステムで用いる管理装置40の識別情報を0とし、サブシステムの管理装置40の識別情報を0以外とすればよい。同様にして、メインシステムの管理装置40に接続する重畳装置30の識別情報を0とするのが望ましい。
【0047】
ここで、通信路10を用いて構築されているメインシステムと、通信路11を用いて構築されているサブシステムとについて、簡単に説明しておく。メインシステムは、図1に示すように、伝送ユニット20および管理装置40と端末器21,22との間の通信と、重畳装置30を介在させた管理装置40の間の通信とにおいて、1つの通信路10を共用する通信の多重化を行っている。一方、サブシステムは、伝送ユニット20および管理装置40と端末器21,22との間の通信のみを行っている。通信路10,11は2線式を想定している。ただし、通信路10,11を3線以上で構成することもできる。
【0048】
伝送ユニット20および管理装置40は通信路10,11に対して1台ずつ設けられ、端末器21,22は複数台設けられる。また、通信路10において重畳装置30は複数台設けられる。すなわち、図示例では、重畳装置30は、通信路10にのみ設けてあり、通信路11には設けていない。
【0049】
重畳装置30は、通信路10において2種類の通信の多重化を行うために設けられている。重畳装置30と管理装置40との間の通信路12は、RS485規格を想定しているが、Ethernet(登録商標)やRS232C規格などであってもよい。
【0050】
伝送ユニット20と端末器21,22との間の通信において通信路10を伝送される伝送信号と、重畳装置30の間の通信において通信路10を伝送される重畳信号とは物理仕様およびプロトコルが異なっている。伝送信号はパルス幅変調された複極の矩形波信号であり、重畳信号は伝送信号よりも高い周波数の搬送波を変調した信号を用いる。
【0051】
伝送ユニット20と端末器21,22との間の通信において用いる伝送信号は、所定のフォーマットを有しており、伝送ユニット20が通信路10に間欠的に送出する。端末器21,22は個々に識別情報(アドレス)を有し、伝送ユニット20が送出する伝送信号に各端末器21,22の識別情報を含めることにより、各端末器21,22を指定して伝送ユニット20から端末器21,22への指示が与えられる。すなわち、時分割多重化によって伝送ユニット20から各端末器21,22に個別に指示を与えることができる。また、伝送信号には端末器21,22から伝送ユニット20に情報を通知する期間が設けられている。
【0052】
端末器21,22には、スイッチやセンサ(図示せず)からの監視入力を受けて伝送ユニット20に負荷の制御を要求する端末器(監視端末器)21と、負荷(図示せず)が接続され伝送ユニット20からの指示に従って負荷を制御する端末器(制御端末器)22との2種類を設けている。
【0053】
伝送ユニット20は、スイッチあるいはセンサ(以下、とくに断りがなければ、「スイッチ」と記載する)と負荷とを対応付ける関係テーブルを備える。スイッチと負荷との関係をあらかじめ関係テーブルに登録しておくことにより、伝送ユニット20は、スイッチの操作(あるいは、センサの出力の変化)に応じて、関係テーブルでスイッチに対応付けた負荷を制御する。関係テーブルには、スイッチの操作に対する負荷の制御の内容を含む場合もある。
【0054】
端末器21,22に複数のスイッチや負荷を接続することを可能にしている場合、関係テーブルにおけるスイッチと負荷との対応付けには、端末器21,22の識別情報に加えて、端末器21,22においてスイッチや負荷を接続するポートごとに与えた回路番号を用いる。つまり、端末器21,22の識別情報と回路番号とを用いることにより、スイッチおよび負荷を個別に識別する。
【0055】
さらに詳しく説明すると、伝送信号60には、図5に示すように、同期パルス61と送信期間62と返送期間63と割込期間64と短絡検出期間65とを有する複極(±24V)の信号を用いる。伝送ユニット20は、上述したように、この伝送信号60を間欠的に送出している。したがって、伝送信号60のフレーム間には休止期間66を有している。
【0056】
同期パルス61は伝送信号のフレームの開始を示し、電圧極性が異なる2つの期間を有している。電圧極性は、同期パルス61の期間内において正から負に変化する。送信期間62は、伝送ユニット20から端末器21,22への指示を送信する期間であり、伝送信号60の種類を示すモード情報と、端末器21,22を個別に指定する識別情報と、回路番号ごとに指示の内容を示す制御情報とを含む。返送期間63は、端末器21,22から伝送ユニット20に情報を通知する期間であって、伝送ユニット20が信号を伝送せずに待機する期間になっている。
【0057】
割込期間64は端末器21,22から出力される割込信号を検出するための期間であり、短絡検出期間65は通信路10の短絡を検出するための期間である。割込期間64および短絡検出期間65は、同期パルス61と対になっており、同期パルス61には割込期間64と短絡検出期間65とに対応する期間が設けられている。
【0058】
一方、各端末器21,22は、通信路10を介して受信した伝送信号60の送信期間62に含まれる識別情報に自己の識別情報が含まれていると、送信期間62に含まれている制御情報を用いて回路番号ごとに指示を行う。すなわち、制御端末器22が受け取る伝送信号60では、各回路番号の負荷に対する制御内容が制御情報に含まれているから、制御内容に従って各回路番号の負荷を制御する。監視端末器21におけるスイッチの操作や制御端末器22における負荷の制御結果は、返送期間63に同期させて電流モード信号で伝送ユニット20に返送される。電流モード信号は、通信路10の線間に適当な低インピーダンスを接続する状態と、通信路10の線間を開放する状態とでの電流変化による2値を用いて伝送される。
【0059】
伝送ユニット20は、常時は伝送信号60に含まれる端末器21,22の識別情報をサイクリックに変化させて端末器21,22に順次アクセスする常時ポーリングを行う。常時ポーリングの際には、伝送信号60に含まれる識別情報が自己の識別情報に一致した端末器21,22では、伝送信号60に制御情報が含まれていれば制御情報を取り込んで動作し、自己の動作状態を返送期間63において伝送ユニット20に返送する。
【0060】
ところで、端末器21,22はスイッチなどから監視入力を受けると、伝送信号60の割込期間64に同期させて通信路10に割込信号を発生させる。伝送ユニット20は、この割込信号を検出すると、割込信号を発生した端末器21,22を検索し、その端末器21,22にアクセスして端末器21,22の識別情報(アドレス)を取得する。
【0061】
割込信号を発生した端末器21,22の識別情報が伝送ユニット20に取得されると、伝送ユニット20は識別情報を指定して端末器21,22に監視入力を返送させる。伝送ユニット20は、端末器21,22から返送された監視入力に基づいて、あらかじめ関係テーブルによってスイッチ(監視入力)に対応付けられている負荷を設けた端末器21,22に対する制御情報を含む伝送信号を生成して通信路10に送出する。したがって、割込信号を発生させた端末器21,22からの要求(スイッチの操作など)に従って負荷が制御される。
【0062】
上述のように、伝送ユニット20は、常時は常時ポーリングを行ってすべての端末器21,22に順にアクセスし、いずれかの監視端末器21からの割込信号を受信すると、割込信号を発生した監視端末器21にアクセスして監視端末器21からの要求を受け取る。このように、常時はポーリングを行い、割込信号が発生すると割込信号を発生した監視端末器21からの要求を優先的に処理する動作を割込ポーリングと呼ぶ。
【0063】
上述した動作から明らかなように、伝送ユニット20では、関係テーブルを適宜に設定することによって、スイッチと負荷とを対応付けている。したがって、スイッチと負荷とを一対一に対応付けるほか、1個のスイッチに対して複数の負荷を一対多に対応付けることと、多数個のスイッチに1個の負荷を多対一に対応付けることとが可能である。
【0064】
1個のスイッチの操作を多数個の負荷の動作に反映させる一斉制御の動作にはグループ制御とパターン制御とがある。グループ制御は、制御対象であるすべての負荷で共通になる動作状態と制御対象の負荷とを指定する。また、パターン制御では、制御対象である負荷ごとに動作状態と制御対象の負荷とを指定する。したがって、関係テーブルにグループ制御の設定を行った場合は、スイッチの操作によって制御対象である複数の負荷が同じ動作状態で動作する。また、関係テーブルにパターン制御の設定を行った場合は、スイッチの操作によって制御対象である複数の負荷がそれぞれ設定された動作状態で動作する。
【0065】
一方、重畳装置30の間では、主に、制御端末器22への制御を指示することを目的とした通信と、制御端末器22の動作状態を取得することを目的とした通信とを行う。したがって、以下では端末器21,22のうち制御端末器22を対象とする制御要求に関連する動作について説明する。制御要求を与える制御端末器22を特定するには、制御端末器22の識別情報だけではなく、制御端末器22が接続されている通信路10,11を管理する管理装置40の識別情報と、管理装置40に接続されている重畳装置30の識別情報とが必要である。すなわち、重畳装置30と管理装置40と制御端末器22との3種類の識別情報によって、制御端末器22が特定される。
【0066】
いま、重畳装置30の識別情報を2ビット(0〜3)、管理装置40の識別情報を5ビット(0〜31)、制御端末器22の識別情報を8ビット(0〜255)で表すとすれば、制御端末器22の特定には15ビットの情報が必要である。さらに、上述したように、スイッチと負荷とを一対一に対応付ける個別制御のほか、グループ制御、パターン制御が可能であるから、この種の制御の種別を2ビットで表す必要がある。加えて、各制御端末器22に対してオンかオフかの制御内容を指示するための1ビットも必要である。重畳装置30の間で伝送する重畳信号には、これらの18ビットの情報が必要であり、さらに、重畳信号により伝送するパケットのフォーマットを通知するための2ビットも付加される。パケットのフォーマットについては後述する。
【0067】
上述のように、制御端末器22に対して個別に制御要求を行うには、重畳信号により図6に示すパケット700を伝送する必要がある。すなわち、パケット700のフォーマットを決める制御方式710、重畳装置30の識別情報720、管理装置40の識別情報730、制御の種別740、制御端末器22の識別情報750、制御の内容760からなる20ビットの情報を重畳信号に含める。
【0068】
一方、通信路10を用いて上述したパケット700を伝送するには、通信路10を伝送される伝送信号60に重畳信号を重畳させる。実際には、伝送信号60における同期パルス61と休止期間66とに重畳信号を重畳させることができる。ここで、同期パルス61の正極の期間および負極との期間と休止期間66との3期間の長さが互いに等しい場合であって、各期間に5バイト(=40ビット)の情報が伝送可能である場合を例にする。この場合、1フレームの伝送信号60に重畳する重畳信号により120ビットの情報を伝送することができる。つまり、個別制御の制御要求であれば、1フレームの伝送信号60を送信する間に、6台(=120÷20)の制御端末器22に対する制御要求を重畳信号により伝送することができる。
【0069】
上述したように、制御端末器22は、重畳装置30と管理装置40と制御端末器22との3種類の識別情報により特定される。したがって、グループ制御やパターン制御を行う場合は、複数台の制御端末器22において、管理装置40の識別情報あるいは制御端末器22の識別情報が重複する場合がある。たとえば、グループ制御やパターン制御の制御対象となる複数の制御端末器22において、3種類の識別情報のうち、重畳装置30の識別情報と他の1種類の識別情報とが異なり、残りの1種類のみが共通している場合が想定される。
【0070】
制御端末器22の識別情報が共通している場合には、管理装置40の識別情報のみが異なるから、パケット700を変形して、図7(a)に示すフォーマットのパケット701を用いる。このパケット701は、パケット701のフォーマットを決める制御方式711、重畳装置30の識別情報721、制御の種別741、制御端末器22の識別情報751、制御の内容761については、パケット700と同じである。
【0071】
一方、管理装置40の識別情報731には、重畳装置30に接続可能である管理装置40の台数(31台)に対応するビット数を割り当ててあり、各ビットの値によって、当該管理装置40の管理下である制御端末器22に対する制御要求の有無を表す。たとえば、図7(b)のように、管理装置40の識別情報731として、31ビットを用い、各ビットの位置を、重畳装置30に通信路12を介して接続されている管理装置40に対応付ける。この形式で制御要求を伝送する管理装置40を特定した情報を、以下では位置特定情報731と呼ぶ。図7(b)に示す例では、位置特定情報731において、管理装置40の識別情報を「01」「02」…「31」で表してあり、ビット値が「1000100…01」と並んでいる。この場合、制御対象の制御端末器22が接続されている管理装置40は、「01」「05」…「31」になる。すなわち、位置特定情報731を含むパケット701を用いると、最大で31台の制御端末器22を一括して制御することができる。
【0072】
パケット701は、46ビットで表されているから、120ビットの情報を伝送することができる1フレームの伝送信号に重畳させて、2個のパケット701を伝送することができる。すなわち、図6に示すフォーマットのパケット700を用いた場合は、1フレームで6台の制御端末器22を制御することになるが、図7に示すフォーマットのパケット701を用いた場合は、1フレームの伝送信号で最大62台の制御端末器22を制御することが可能になる。
【0073】
パケット701を用いると、1フレームの伝送信号で2個のパケット701を送信した場合に、92ビットを使用することになるから、1フレームの伝送信号で伝送可能なビット数には28ビットの余剰が生じる。したがって、同じフレームで1個のパケット700を伝送することができる。その結果、1フレームの伝送信号でサブシステムにおいて63台の制御端末器22を制御することが可能になる。メインシステムの制御端末器22は、伝送信号60によりサブシステムの制御端末器22と同時に制御されるから、パケット701を用いると、ほぼ同時に合計64台の制御端末器22に制御要求を与えることができる。
【0074】
ところで、重畳装置30と管理装置40との識別情報が共通であって、制御端末器22の識別情報のみが異なる場合には、図8に示すフォーマットのパケット702を用いる。すなわち、サブシステムにおける同じ通信路11に接続されている制御端末器22を制御対象とする場合にパケット702を用いる。このパケット702は、パケット702のフォーマットを決める制御方式712、重畳装置30の識別情報722、管理装置40の識別情報732についてはパケット700と同じである。
【0075】
ただし、パケット700では、制御の種別740、制御端末器22の識別情報750、制御の内容760を、制御端末器22ごとに個々に設けているのに対して、パケット702では、これらの情報を複数台の制御端末器22についてまとめてある。ここで、パケット700における制御の種別740、制御端末器22の識別情報750、制御の内容760に相当する情報をまとめて端末制御情報772と呼ぶ。パケット702は、複数台の制御端末器22に関する端末制御情報772を含んでいる。
【0076】
1つの端末制御情報772の情報量がパケット700と同じであるとすれば、制御の種別740に2ビット、制御端末器22の識別情報750に8ビット、制御の内容760に1ビットであって、合計11ビットになる。一方、複数台の制御端末器22で制御方式712(2ビット)、重畳装置30の識別情報722(2ビット)、管理装置40の識別情報732(5ビット)を共通にしているから、端末制御情報772としては111ビットを用いることができる。
【0077】
すなわち、1フレームのパケット702で、サブシステムにおいて最大10台の制御端末器22に制御要求を与えることができる。また、メインシステムの制御端末器22は、伝送信号60によりサブシステムの制御端末器22と同時に制御されるから、パケット702を用いると、ほぼ同時に合計11台の制御端末器22に制御要求を与えることができる。ただし、パケット702は、端末制御情報772の最大数が11個であって、11個以下であれば端末制御情報772の個数は問わない。したがって、パケット702は可変長になる。
【0078】
上述した3種類のパケット700〜702は、制御要求の送信先が単独の制御端末器22であるか、制御要求の送信先が複数の制御端末器22であるかに応じて選択される。多くの場合、制御要求の送信先が単独の制御端末器22である場合は個別制御であり、制御要求の送信先が複数の制御端末器22である場合は一斉制御である。したがって、以下の説明では、個別制御と一斉制御とを例にして説明する。ただし、複数の制御端末器22に制御要求を与える場合は、必ずしも一斉制御の場合だけではなく、複数の通信端末51からの制御要求を短時間内に受ける場合も同様の処理になる。パケット700〜702の区別は、制御方式710,711,712を用いて行う。すなわち、重畳装置301,302,…および管理装置401,402,…では、パケット700〜702を制御方式710,711,712の情報を用いて識別する。
【0079】
重畳装置301,302,…を共通にするサブシステムの制御端末器22について一斉制御を行う場合に、管理装置401,402,…の識別情報と制御端末器22の識別情報との一方が共通であれば、パケット701またはパケット702を用いる。ここでは、1フレームの伝送信号60では重畳信号によって120ビットの情報を伝送することができ、かつ各フレーム700〜702は、上述のように、それぞれ20ビット、46ビット、31〜119ビットを使用する場合を例とする。これらの数値は、設計条件に応じて適宜に変更することが可能である。
【0080】
パケット700〜702の選択は、後述するように重畳装置300、重畳装置301,302,…、管理装置401,402,…のいずれかにおいて行う。ここでは、重畳装置300がパケット700〜702の選択を行う場合を例として選択の手順を図9に示す。まず、サブシステムへの一斉制御の制御要求について、重畳装置301,302,…の識別情報に同一の識別情報が含まれているか否かを判定する(S01)。重畳装置301,302,…の識別情報が同じである場合には、さらに管理装置401,402,…の識別情報を判定する(S02)。
【0081】
管理装置401,402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在する場合は(S02:yes)、さらに制御端末器22の識別情報が共通しているか否かを判定する(S03)。また、管理装置401,402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在しない場合(つまり、存在しないか、2台以下の場合)についても(S02:no)、制御端末器22の識別情報が共通しているか否かを判定する(S04)。
【0082】
管理装置401、402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在し(S02:yes)、かつ制御端末器22が3台以上存在する(S03:yes)場合は、パケット701,702を併用する(S05)。この場合、1フレームの伝送信号60において、パケット701に46ビットを用いるから、パケット702には残り74ビットを割り当てることができる。その結果、パケット702において、最大で5個の端末制御情報772を含めることができる。
【0083】
一方、管理装置401、402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在し(S02:yes)、かつ制御端末器22が3台以上存在しない(S03:no)場合は、パケット700,702を併用する(S06)。この場合、1フレームの伝送信号60において、パケット700に20ビットの整数倍(最大6個)を割り当て、残りをパケット702に割り当てる。したがって、パケット700を用いて1〜3台の制御端末器22を送信先として制御要求を伝送し、パケット702には3〜8個の端末制御情報772を含めることができる。
【0084】
管理装置401、402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在せず(S02:no)、かつ制御端末器22が3台以上する(S04:yes)場合は、パケット700,701を併用する(S07)。この場合、1フレームの伝送信号60において、パケット700に20ビットの整数倍(最大6個)を割り当て、残りをパケット701に割り当てる。したがって、パケット700を用いて1〜3台の制御端末器22を送信先として制御要求を伝送し、パケット701では31台または62台の制御端末器22への制御要求を伝送することができる。
【0085】
一方、管理装置401、402,…を共通にする制御端末器22が3台以上存在せず(S02:no)、かつ制御端末器22も3台以上存在しない(S04:no)場合は、パケット700のみを用いる(S08)。ステップS01において重畳装置301,302,…を共通にする制御端末器22が存在しない(S01:no)場合にも、パケット700を用いる(S08)。この場合は最大6台の制御端末器22に制御要求が伝送される。
【0086】
要するに、ステップS01は条件が成立しないときにパケット700を選択し、ステップS02は条件が成立するときにパケット702を選択し、ステップS03は条件が成立するときにパケット701を採用するための判定を行うのである。
【0087】
(動作例1)
以下では、メインシステムおよびサブシステムの制御端末器22に対する制御要求を、通信端末51が公衆網50を通してメインシステムの管理装置40に通知した場合の動作について説明する。説明を簡便にするために、メインシステムの管理装置40に符号400を用い、サブシステムの管理装置40に符号401,402,…を用いて説明する。また、メインシステムの管理装置400に通信路12を介して接続された重畳装置30に符号300を用い、サブシステムの管理装置401,402,…に通信路12を介して接続された重畳装置30に符号301,302,…を用いる。
【0088】
上述したように、本実施形態では、サブシステムの管理装置401,402,…は系統ごとに31台まで用いることができ、サブシステムの管理装置401,402,…に接続される重畳装置301,302,…は3台まで用いることができる。また、サブシステムの系統が異なれば、管理装置401,402に同じ識別情報を割り当てることができる。なお、図1では符号の末尾に括弧を付している。たとえば、符号400は、図1では符号40(0)と記載している。
【0089】
管理装置400は、図10に示すように、公衆網50を通して「連続」の制御要求を受信すると(S1)、管理下の制御端末器22に対する制御要求か、管理外の制御端末器22に対する制御要求かを判定する(S2)。管理装置400の管理下の制御端末器22に対する制御要求である場合(S2:yes)、バッファ44に制御要求を保存し(S3)、その後、重畳装置300から実行要求を受けると(S4:yes)、バッファ44に保存している制御要求を実行する(S5)。また、管理外の制御端末器22に対する制御要求である場合(S2:no)、通信路12を通してその制御要求を重畳装置300に送信した後(S6)、重畳装置300からの実行要求を待つ。
【0090】
管理装置400に接続されている重畳装置300は、図11に示すように、通信路12を介して管理装置400からの制御要求を受信すると(S11)、バッファ34に制御要求を保存した後(S12)、制御要求が「連続」か否かを判断する(S13)。すなわち、制御要求を受信した後に規定の時間(たとえば、1s)内に次の制御要求を受信したか否かを判定し、規定の時間内に次の制御要求がなければ「連続」は終了したと判断する。制御要求の「連続」が終了すると(S13:yes)、通信路12を介して管理装置400に対し、バッファ44に保存した制御要求の実行を指示する実行要求を送信する(S14)。次に、上述した図9の処理によって制御要求を整理したパケットを生成する(S15)。また、重畳装置300ではバッファ34に保存した制御要求を重畳信号で通信路10に送出する(S16)。すなわち、重畳装置301,302,…に制御要求を送信する。
【0091】
上述の動作によって、メインシステムに対しては管理装置400が通信路10に制御要求を送出し、サブシステムに対しては重畳装置301,302,…からサブシステムの管理装置401,402,…に対する制御要求を送信する。すなわち、メインシステムの制御端末器22とサブシステムの制御端末器22とに対して、ほぼ同時に制御要求が送信される。
【0092】
重畳装置301,302,…では、図12に示すように、重畳装置300からの制御要求を受信すると(S21)、受信した制御要求に含まれる重畳装置301,302,…の識別情報を確認する(S22)。識別情報から管理下の制御端末器22への制御要求であると判定できるときは(S23:yes)、制御要求を実行する(S24)。一方、受信した制御要求が管理外の制御端末器22への制御要求であるときは(S23:no)、受信した制御要求を破棄する(S25)。この処理によって、重畳装置301,302,…では、管理下の制御端末器22に対する制御要求のみを受信して、サブシステムへの制御要求を実行する。
【0093】
重畳装置300,301,…と管理装置400,401,…とが上述の動作を行うことによって通信システムは全体として以下の動作を行う。まず、公衆網50を通して通信端末51(複数台であってもよい)から「連続」の制御要求があった場合、メインシステムの管理装置400は、管理下の制御端末器22に対する制御要求をバッファ44に保存する。さらに、管理装置400は、管理装置401,402,…に制御要求が送信されるまで待機する。
【0094】
また、管理装置400が公衆網50から受信した制御要求のうち、サブシステムの制御端末器22に対する制御要求は、通信路12を通して重畳装置300に送信される。重畳装置300は、管理装置400から受信したサブシステムへの制御要求をバッファ34に保存し、制御要求の「連続」が終了すると、管理装置400に対して実行要求を通知する。また、管理装置400に実行要求を通知すると同時に、バッファ34に保存している制御要求を重畳信号に変換し、重畳装置301,302,…に送信する。
【0095】
重畳装置301,302,…は、重畳装置300からの重畳信号によって制御要求を受信すると、通信路12を介して受信した制御要求をサブシステムの管理装置401,402,…に送信する。
【0096】
以上のような一連の動作によって、メインシステムおよびサブシステムの管理装置400,401,…は、制御要求を管理下の制御端末器22に対して少ない時間差で制御要求を送信する。したがって、メインシステムとサブシステムとの制御端末器22において、ほぼ同時に負荷の制御がなされる。たとえば、負荷が照明負荷である場合に、照明負荷の系統を階層化して多数個の照明負荷の制御を可能にし、しかも、異なる系統の照明負荷をほぼ同時に制御することができるようになる。
【0097】
(動作例2)
動作例1では、メインシステムの管理装置400から通信路12を介して重畳装置300が制御要求を受信すると、この制御要求を重畳装置300のバッファ34に保存している。つまり、重畳装置300が制御要求を一時的に保持し、その後、サブシステムの管理装置401,402,…が接続された重畳装置301,302,…に制御要求を送信している。
【0098】
これに対し、本動作例では、サブシステムの制御端末器22への制御要求を、管理装置400に接続された重畳装置300では保存せず、重畳装置300からただちに重畳装置301,302,…にこの制御要求を送信している。重畳装置300から制御要求を受け取った重畳装置301,302,…では、制御要求をバッファ34に保存する。管理装置400における動作は、動作例1と同様であるから、重畳装置300と重畳装置301,302,…とについて動作を説明する。
【0099】
メインシステムの管理装置40に接続された重畳装置30では、図13に示すように、通信路12を介して管理装置400からの制御要求を受信すると(S31)、上述した図9の処理によって制御要求を整理したパケットを生成する(S32)。その後、制御要求を重畳信号で通信路10に送出する(S33)。つまり、管理装置400からの制御要求を、保存することなく重畳信号に変換して他の重畳装置301,302,…に転送する。
【0100】
次に、制御要求が「連続」か否かを判断し(S34)、制御要求を受信した後に規定の時間(たとえば、1s)内に次の制御要求を受信しなければ「連続」は終了したと判断する。制御要求の「連続」が終了すると(S34:yes)、他の重畳装置301,302,…に対し、通信路10を通して重畳信号により実行要求を送信する(S35)。このとき、重畳装置300では管理装置400がバッファ44に保存している制御要求も実行されるように管理装置400に対しても通信路12を通して実行要求を送信する。
【0101】
一方、重畳装置301,302,…では、図14に示すように、管理装置400に接続された重畳装置300からの制御要求を受信すると(S41)、受信した制御要求に含まれる重畳装置301,302,…の識別情報を確認する(S42)。識別情報から管理下の制御端末器22への制御要求であると判定できるときは(S43:yes)、制御要求をバッファ35に保存する(S44)。バッファ35に保存された制御要求は、重畳装置300からの実行要求を受信したときに(S45:yes)、バッファ35から読み出されて実行される(S46)。
【0102】
受信した制御要求が管理外の制御端末器22への制御要求であるときは(S43:no)、受信した制御要求を破棄する(S47)。この処理によって、重畳装置301,302,…では、管理下の制御端末器22に対する制御要求のみをバッファ34に一旦保存した後に、重畳装置300からの実行要求に従ってサブシステムへの制御要求を実行する。
【0103】
上述の動作により、メインシステムに対する制御要求は管理装置400のバッファ44に保存され、サブシステムに対する制御要求はサブシステムの管理装置401,402,…が接続されている重畳装置301,302,…のバッファ34に保存される。その後、バッファ44,34に保存された制御要求の実行要求が、同じタイミングで重畳装置300から送信される。したがって、メインシステムとサブシステムとに対してほぼ同時に制御要求が実行されることになる。
【0104】
(動作例3)
動作例2では、サブシステムの制御端末器22に対する制御要求を、重畳装置301,302,…のバッファ34に保存しているが、重畳装置301,302,…に通信路12を介して接続された管理装置401,402,…のバッファ44に保存してもよい。この場合、管理装置400に接続された重畳装置300では、図13に示した動作例2における重畳装置300の動作からステップS35を除いた動作を行う。すなわち、図15に示すように、通信路12を介して管理装置400からの制御要求を受信すると(S51)、上述した図9の処理によって制御要求を整理したパケットを生成する(S52)。その後、制御要求を重畳信号で通信路10に送出する(S53)。したがって、本動作例でも、管理装置400からの制御要求を、保存することなく重畳信号に変換して他の重畳装置301,302,…に転送する。
【0105】
次に、制御要求が「連続」か否かを判断し(S54)、制御要求を受信した後に規定の時間(たとえば、1s)内に次の制御要求を受信しなければ「連続」は終了したと判断する。制御要求の「連続」が終了すると(S54:yes)、重畳装置300では管理装置400がバッファ44に保存している制御要求が実行されるように管理装置400に対しても通信路12を通して実行要求を送信する。
【0106】
一方、サブシステムの管理装置401,402,…が接続されている重畳装置301,302,…では、重畳装置300から受け取った制御要求を、バッファ34に保存することなく管理装置401,402,…に転送する。
【0107】
すなわち、図16に示すように、管理装置400に接続された重畳装置300からの制御要求を受信すると(S61)、受信した制御要求に含まれる重畳装置301,302,…の識別情報を確認する(S62)。識別情報から管理下の制御端末器22への制御要求であると判定できるときは(S63:yes)、通信路12を介して接続されている管理装置401,402,…に制御要求を送信する(S64)。その後、制御要求の「連続」が終了すると(S64:yes)、管理装置401,402,…に実行要求を送信する。
【0108】
また、受信した制御要求が管理外の制御端末器22への制御要求であるときは(S63:no)、受信した制御要求を破棄する(S67)。この処理によって、重畳装置301,302,…では、管理下の制御端末器22に対する制御要求をサブシステムの管理装置401,402,…に転送することになる。
【0109】
サブシステムの管理装置401,402,…は、図17に示すように、通信路12を介して接続されている重畳装置301,302,…から制御要求を受信すると(S71)、制御要求に含まれる重畳装置301,302,…の識別情報を確認する(S72)。さらに、制御要求をバッファ44に保存する(S73)。その後、バッファ44に保存されている制御要求を実行する実行要求を重畳装置301,302,…から受け取ると(S74:yes)、バッファ44に保存している制御要求を実行する(S75)。
【0110】
上述の動作により、メインシステムに対する制御要求は管理装置400のバッファ44に保存され、サブシステムに対する制御要求はサブシステムの管理装置401,402,…のバッファ44に保存される。その後、重畳装置300,301,…においてそれぞれ制御要求の「連続」が終了したと判定された時点で、各重畳装置300,301,…に接続された管理装置400,401,…のバッファ44に保存された制御要求に実行通知が送信されるのである。本動作例では、制御要求は各管理装置400,401,…のバッファ44に保存されている。また、個々の重畳装置300,301,…において制御要求の「連続」が終了したことを判断している。したがって、制御要求の「連続」の終了が検出された時点で、メインシステムとサブシステムとにおいてほぼ同時に制御要求が実行されることになる。つまり、動作例1、動作例2に比べてメインシステムとサブシステムとにおける動作の時間差をさらに少なくすることができる。
【0111】
(動作例4)
本動作例は、動作例3と同様の動作であって、サブシステムの制御端末器22に対する制御要求は、サブシステムに接続された管理装置401,402,…のバッファ44に保存される。ただし、動作例3では、管理装置401,401,…に保存された制御要求の実行を重畳装置301,302,…が行っているのに対して、本動作例では、重畳装置300が行っている。つまり、メインシステムの管理装置400とサブシステムの管理装置401,402,…とにそれぞれ制御要求が保存される点は、動作例3と同様である。ただし、バッファ44に保存された制御要求の実行は、重畳装置300のみが指示する。重畳装置301,302,…は、重畳装置300から制御要求の実行が通知されると、通信路12を通して管理装置401,402,…に制御要求の実行を通知する。
【0112】
上述のように、メインシステムとサブシステムとの両方において制御要求を管理装置400,401,…のバッファ44に保存している点で動作例3と同様であって、保存された制御要求の実行を重畳装置300のみが指示する点が動作例3とは相違する。本動作例では、メインシステムとサブシステムとにおいて制御要求の実行がほぼ同時に管理装置400,401,…に指示されるから、メインシステムとサブシステムとの動作にタイムラグがほとんど生じない。
【0113】
上述したように、メインシステムの制御端末器22に対する制御要求は管理装置400に一時的に保存される。また、サブシステムの制御端末器22に対する制御要求は、重畳装置300(動作例1)と重畳装置301,302,…(動作例2)と管理装置401,402,…(動作例3、動作例4)とのいずれかに一時的に保存される。制御要求の保存後には、メインシステムとサブシステムとに対して制御要求の実行が要求される。制御要求の実行には、重畳装置300から両方に指示する場合(動作例1、動作例2、動作例4)と、重畳装置300からメインシステムに指示し重畳装置301,302,…からサブシステムに指示する場合(動作例3)とがある。動作例1〜4のいずれにおいても、メインシステムの制御端末器22とサブシステムの制御端末器22とに対して、大きな時間差を生じることなく、制御要求を実行させることができる。
【符号の説明】
【0114】
10 (第1の)通信路
11 (第1の)通信路
12 (第2の)通信路
20 伝送ユニット
21,22 端末器
30 重畳装置
34 (第2の)バッファ
35 (第2の)判断制御部
40 管理装置
44 (第1の)バッファ
45 (第1の)判断制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階層の第1の通信路にそれぞれ接続される端末器と、前記第1の通信路ごとに1台ずつ接続され前記第1の通信路を通して第1の通信信号により前記端末器への制御要求を伝送する複数台の管理装置と、前記各管理装置に第2の通信路を介してそれぞれ接続され第1の通信信号に重畳される第2の通信信号を用いて前記管理装置の間の情報を伝送する重畳装置とを備え、上位階層の前記管理装置は、前記第1の通信路を介して接続された同階層の前記端末器への制御要求を一時的に保存する第1のバッファと、下位階層の前記管理装置に接続された前記端末器への制御要求を前記第2の通信路を介して前記重畳装置に転送する第1の判断制御部とを備え、前記重畳装置と下位階層の前記管理装置とのいずれかは、下位階層の前記管理装置に接続された前記端末器への制御要求を一時的に保持する第2のバッファと、前記第1のバッファと前記第2のバッファとにそれぞれ保存した制御要求の実行を指示する第2の判断制御部との少なくとも一方を備えることを特徴とする多重化通信システム。
【請求項2】
上位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続された前記重畳装置が前記第2のバッファおよび前記第2の判断制御部を備え、上位階層の前記管理装置から前記第2の通信路を介して前記重畳装置が受け取った制御要求が前記第2のバッファに保存され、前記第2の判断制御部が前記第1のバッファおよび前記第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求することを特徴とする請求項1記載の多重化通信システム。
【請求項3】
下位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続された前記重畳装置が前記第2のバッファを備え、上位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続された前記重畳装置が前記第2の判断制御部を備え、上位階層の前記管理装置から前記第2の通信路を介して前記重畳装置が受け取った制御要求が下位階層の前記管理装置に接続された前記重畳装置に転送されるとともに、前記第2のバッファに制御要求が保存され、前記第2の判断制御部が前記第1のバッファおよび前記第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求することを特徴とする請求項1記載の多重化通信システム。
【請求項4】
下位階層の前記管理装置が前記第2のバッファを備え、上位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続された前記重畳装置が前記第2の判断制御部を備え、上位階層の前記管理装置から前記第2の通信路を介して前記重畳装置が受け取った制御要求が下位階層の前記管理装置に転送されるとともに、前記第2のバッファに制御要求が保存され、前記第2の判断制御部が前記第1のバッファおよび前記第2のバッファに保存された制御要求の実行を要求することを特徴とする請求項1記載の多重化通信システム。
【請求項5】
下位階層の前記第1の通信路に接続された前記端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の前記管理装置の識別情報と、当該管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報と、前記管理装置の管理範囲内で特定される前記端末器の識別情報とを用いて、送信先が個別に指定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多重化通信システム。
【請求項6】
下位階層の前記管理装置は1台の前記重畳装置に前記第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の前記第1の通信路に接続された複数台の前記端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報と、前記管理装置の管理範囲内で特定される前記端末器の識別情報とが共通しているときには、下位階層の前記管理装置にビット位置を対応付けた位置特定情報における各ビット値により当該管理装置の管理範囲内の前記端末器への制御要求か否かを示すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多重化通信システム。
【請求項7】
下位階層の前記管理装置は1台の前記重畳装置に前記第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の前記第1の通信路に接続された複数台の前記端末器を送信先とする制御要求のパケットは、下位階層の前記管理装置の識別情報と、当該管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報とが共通しているときには、前記重畳装置および前記管理装置の識別情報の組に対して前記端末器の台数分の識別情報を結合して送信先が指定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多重化通信システム。
【請求項8】
下位階層の前記管理装置は1台の前記重畳装置に前記第2の通信路を介して複数台が接続され、下位階層の前記第1の通信路に接続された前記端末器を送信先とする制御要求のパケットとして、下位階層の前記管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報と、前記管理装置の管理範囲内で特定される前記端末器の識別情報とが共通する複数台の前記端末器が送信先に指定されるという第1条件が満たされるときには、下位階層の前記管理装置にビット位置を対応付けた位置特定情報における各ビット値により当該管理装置の管理範囲内の前記端末器への制御要求か否かを示す第1のパケットを用い、下位階層の前記管理装置の識別情報と、当該管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報とが共通する複数台の前記端末器が送信先に指定されているという第2条件が満たされるときには、前記重畳装置および前記管理装置の識別情報の組に対して前記端末器の台数分の識別情報を結合して送信先が指定された第2のパケットを用い、送信先が第1条件と第2条件とのいずれも満たさないときには、下位階層の前記管理装置の識別情報と、当該管理装置に前記第2の通信路を介して接続されている前記重畳装置の識別情報と、前記管理装置の管理範囲内で特定される前記端末器の識別情報とを用いて、送信先が個別に指定された第3のパケットを用い、第1の通信信号の1フレームに重畳させて伝送可能である第2の通信信号のビット数の範囲で、第1のパケットと第2のパケットと第3のパケットとのいずれか2種類を、第1の通信信号の1フレームにおいて伝送することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多重化通信システム。
【請求項9】
複数階層の第1の通信路にそれぞれ端末器が接続され、各階層の前記第1の通信路を通して第1の通信信号により前記端末器への制御要求を伝送する通信システムに用いられ、制御要求の送信先である前記端末器を管理下の前記端末器と管理外の前記端末器とに振り分ける判断制御部と、管理下の前記端末器を送信先とする制御要求を一時的に保持するバッファとを有し、前記判断制御部は、管理外の前記端末器を送信先とする制御要求を他装置に転送し、他装置からバッファ内の制御要求を実行が要求されると当該制御要求を前記第1の通信路を通して管理下の前記端末器に送信することを特徴とする管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−105140(P2012−105140A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252851(P2010−252851)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】