説明

多重発色団

一般式(I)で示され、その式中、置換基及び変数は、以下の意味を有する:
リレンは、式(A)の基を意味し、前記基は、少なくとも1個のイミド基、エステル基又はアミド基によって官能化されており、かつ付加的にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい;
Xは、リレンジカルボン酸イミド基を意味し、前記基は、リレン基とは別の波長に吸収を示し、ペリ位で基−Y′−A−Y−(Yを介して基Xに結合されている)を介してリレン基と結合されており、かつ同様にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、前記基Yもしくは基YとY′は、その芳香族基もしくは複素芳香族基に結合されていてよい;
Yは、基(i)、(ii)を意味し、Y′は、基(i)、(ii)、(iii)、(iv)を意味し、その際、基(i)及び(ii)は、リレン基のエステル基の成分であってよく、かつ基(iii)は、リレン基のイミド基の成分であり、かつ基(iv)は、リレン基のアミド基の成分である;
1は、水素又はC1〜C18−アルキルを意味し、その際、基R1は、それらが複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
nは、1、2もしくは3を意味し、
xは、1〜7を意味する、リレンを基礎とする多重発色団。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【化1】

[式中、置換基及び変数は以下の意味を有する:
リレンは、式
【化2】

で示される基であって、少なくとも1個のイミド基、エステル基もしくはアミド基によって官能化されており、かつ付加的にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい基を意味し、
Xは、リレンジカルボン酸イミド基であって、基リレンとは別の波長で吸収を示すものであり、ペリ位において、Yを介して基Xに結合されている基
−Y′−A−Y−
を介してリレン基と結合されており、かつ同様にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい基を意味し、
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又はYとY′は、その芳香族もしくは複素芳香族の基に結合されており、
Yは、基
【化3】

を意味し、
Y′は、基
【化4】

を意味し、その際、基(i)及び(ii)は、リレン基のエステル基の成分であってよく、かつ基(iii)は、リレン基のイミド基の成分であり、かつ基(iv)は、リレン基のアミド基の成分であり、
1は、水素又はC1〜C18−アルキルであり、その際、基R1は、それらが複数ある場合には、同一もしくは異なってよく、
nは、1、2もしくは3であり、
xは、1〜7である]で示されるリレンを基礎とする新規の多重発色団に関する。
【0002】
更に、本発明は、多重発色団Iのための中間生成物としての、一般式III
【化5】

[式中、置換基及び変数は以下の意味を有する:
Zは、アリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシもしくはヘタリールチオを意味し、それには、それぞれ他の飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、前記の環系全体は、以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又は飽和もしくは不飽和のC4〜C7−シクロアルキル(その炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、前記アリール基シクロアルキル基は、それぞれC1〜C18−アルキル及び/又はアルキルのための置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記シクロアルキルに、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリール又はヘタリール、
前記アリール又はヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それは、それぞれC1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32
その際、前記の基Zは、z>1及び/又はz1>1の場合に、同一もしくは異なってよい;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又は基Y及びY1は、その芳香族もしくは複素芳香族の基に結合されており、
Yは、−O−又は−S−を意味し、
1は、−O−、−S−又は−NR1−を意味し、
Rは、水素、C1〜C30−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、アリール又はヘタリールを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、基Zについての置換基として挙げた基(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリール又はヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び/又はアリールアゾ及び/又はヘタリールアゾ(それは、それぞれC1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
その際、基Rは、式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよく、
1は、水素又はC1〜C18−アルキルを意味し、その際、基R1は、それが複数ある場合には、同一もしくは異なってよく、
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリール又はヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ及び/又は−COOR1によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリール又はヘタリールには、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C12−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、
mは、0、1又は2を意味し、
z1は、mが0の場合に0であり、mが1の場合に0〜2であり、mが2の場合に2〜4である]で示される新規のリレンジカルボン酸イミド誘導体に関する。
【0003】
更に、本発明は、多重発色団I及びリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIの製造方法に関する。
【0004】
最後に、本発明は、多重発色団Iを、有機材料及び無機材料の着色のために、電磁線を吸収する及び/又は放出する水性ポリマー分散液の製造のために、ヒトの眼には視認できない標識及びマーキングを作製するために、ディスプレイ用途におけるフィルタもしくは発光体として、化学発光用途における発光体として、並びに光電池中の活性成分として用いる使用に関する。
【0005】
リレン発色団、特にリレンテトラカルボン酸ジイミド及び−ジカルボン酸イミドは、化学的に非常に安定な作用物質種であり、従って多くの技術的利用分野に関心が持たれている。ペリレン及びテリレンを基礎とする発色団は、その際、特に、その蛍光特性によって特徴付けられ、一方で、より高級な同族体の場合には、とりわけ電磁スペクトルの近赤外領域におけるその吸収に重要性がある。
【0006】
リレン発色団は公知であり、例えばEP−A−596292号、WO−A−96/22331号、WO96/22332号、WO97/22607号、WO02/66438号、WO02/76988号及びWO03/104232号並びに旧ドイツ国特許出願第10 2005 021362.6号及び同第10 2005 032583.1号に記載されている。
【0007】
その吸収挙動の変更によって、リレン発色団の作用をなおも更に改善することができる。ここで、吸収されるスペクトル領域の拡張は、多くの用途について、例えば日光での蛍光効果の最適な利用のために好ましい。前記の拡張は、有利には、種々異なる吸収を示す発色団を、化学結合を介して互いに結合させることによって達成できる。前記の多重発色団において、より短波長に吸収を示す発色団のエネルギーは、より長波長に吸収を示す発色団へと伝達される。
【0008】
Chem.Eur.J.5,第2388〜2395頁(1999年)において、テリレン/ペリレンを基礎とする二重発色団であって、ペリ位でヘキシル置換されたペリレンがヘキサメチレン基を介してN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6−ジ(4−t−オクチルフェノキシ)テリレンテトラカルボン酸ジイミドの第二のイミド窒素原子に結合されているものが記載されている。
【0009】
また、DE−A−10212358号に記載される二重発色団は、ペリレンテトラカルボン酸イミドであって、1個のイミド窒素原子にエステル官能もしくはアミド官能を介して又は直接的に、アントラキノン、アントラセン、ナフタリン、ピレン又はフルオレンの群からの、より短波長に吸収を示す発色団と結合されているものを基礎とする。
【0010】
樹状の多重発色団は、Angew.Chem.114,1980−1984(2002)から公知である。ここでは、中心のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)テリレンテトラカルボン酸ジイミド分子は、4個もしくは8個のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレンジカルボン酸イミド分子あるいは4個のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレンジカルボン酸イミド分子及び8個のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ナフタリンジカルボン酸イミド分子と組み合わされている。結合は、ここでは、(ペンタフェニル)フェニル単位を介して行われる。
【0011】
Chem.Eur.8,4742−4750(2002)において、アミド官能を介して橋かけされた2個のナフタリンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする二重発色団が記載されており、そこでは、ジイミドの発色団系は、その吸収を深色にシフトさせるために、ブチルアミノ置換基の挿入によって改変されている。
【0012】
最後に、J.Am.Chem.Soc.126,8284−8294(2004)において、様々に置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする二重発色団が記載されており、そこでは、外部にある発色団は、ペリレン架橋を介してイミド窒素原子に結合され、かつ直接的に中心の発色団のリレン骨格に結合されている。
【0013】
それらの吸収特性及び放出特性に基づき、特に関心が持たれる公知の多重発色団は、保護基の化学を用いた手間のかかる多段階の合成によってのみ得られる。
【0014】
従って、本発明の課題は、プロセス工学的に好ましいように、特に工業的規模においても、少ない合成段階で製造でき、かつその吸収特性及び放出特性を、狙い通りにその都度の使用目的に適合できる多重発色団を提供することであった。
【0015】
それにより、式I
【化6】

で示される多重発色団が見出された。
【0016】
本発明による多重発色団Iは、ペリレン、テリレンもしくはクアテリレンを基礎とするリレン発色団であって、そこに該リレン発色団とは別の波長に吸収を示す少なくとも1つのリレンジカルボン酸イミドが、更なる発色団Xとして結合されている発色団からなる。
【0017】
前記発色団Xは、リレン発色団と同じ数のナフタリン単位を有してよいが、その際、置換基の種類の点でそれとは異ならねばならない(別の又はより多くのもしくはより少ない置換基)ので、その吸収波長は、該リレン発色団の吸収波長に対してシフトしている。
【0018】
有利には、発色団Xは、ナフタリン単位の数においてリレン発色団とは異なる。特に有利には、発色団Xは、次に低級な同族体、従ってナフタリン−、ペリレン−もしくはテリレン−ジカルボン酸イミドである。
【0019】
本発明による多重発色団のリレン発色団は、少なくとも1個のイミド基、エステル基もしくはアミド基によって、又は2個の有利には同じ基によって官能化されている。好ましくは、リレンテトラカルボン酸ジイミド、リレンジカルボン酸エステル、リレンジカルボン酸アミド及びリレンジカルボン酸イミドであり、その際、リレンテトラカルボン酸ジイミド及びリレンジカルボン酸イミドが特に好ましく、リレンテトラカルボン酸ジイミドが殊に好ましい。
【0020】
発色団Xは、ペリ位において、基
−Y−A−Y−
を介してリレン発色団と結合されており、前記基は、Y(−O−もしくは−S−)を介してXに結合されている。
【0021】
発色団Xは、リレン発色団の炭素骨格に、又はそれに官能化する基を介して結合されていてよい。
【0022】
炭素骨格への結合は、その際、基−O−又は−S−を介して行われる(Y′=(i)又は(ii))。官能化する基を介した結合は、種々の様式で可能である。ここで、Y′は、イミド基(Y′=(iii))の成分、アミド基(Y′=(iv))の成分、又はエステル基(Y′=(i)又は(ii))の成分であってよい。
【0023】
基Y及びY′を結合する架橋員Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有し、その基にY及びY′が結合されている。
【0024】
有利には、Aは、式
【化7】

[式中、環Pは同一又は異なってよく、ヘテロ原子を環原子として含んでよく、かつ/又は縮合された5員ないし7員の環を有してよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として上述した基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい]で示されるアリーレン基又はヘタリーレン基である。
【0025】
Eは、化学結合、基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−もしくは−SO2−又はC1〜C12−アルキレンもしくはC4〜C7−シクロアルキレン(その炭素鎖は、それぞれ前記の基によって一箇所でもしくは複数箇所で中断されていてよく、かつそれぞれ基Zについての置換基として上述した基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい)、アリーレン又はヘタリーレン(それは、同様にそれぞれ、基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、基(v)としてはヒドロキシ及びメルカプトが除かれる)を意味する。
【0026】
特に好ましい架橋員Aは、式
【化8】

[式中、フェニレン環又はナフチレン環は、C1〜C18−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよく、かつEは、化学結合、メチレン又はイソプロピレンを意味する]で示されるアリーレン基である。
【0027】
特に好ましい架橋員Aのための例は、詳細には、1,4−、1,3−及び1,2−フェニレン、1,4−[2,5−ジ(t−ブチル)]フェニレン、1,4−(2,5−ジヘキシル)フェニレン、1,4−[2,5−ジ(t−オクチル)]フェニレン、1,4−(2,5−ジドデシル)フェニレン、1,4−[2,5−ジ(2−ドデシル)]フェニレン、1,4−及び1,8−ナフチレン、4,4′−、3,3′−及び2,2′−ビフェニレン、4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトラメチル)フェニレン、4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトラエチル)フェニレン、4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトライソプロピル)フェニレン、4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトラヘキシル)フェニレン、4,4′−ジ[2,2′,6,6′−テトラ(2−ヘキシル)]フェニレン、4,4′−ジ[2,2′,6,6′−テトラ(t−オクチル)]フェニレン、4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトラドデシル)フェニレン及び4,4′−ジ[2,2′,6,6′−テトラ(2−ドデシル)]フェニレン並びに
【化9】

[式中、R′′は、水素、メチル、エチル又はフェニルを意味する]である。
【0028】
殊に好ましい架橋員Aは、1,4−フェニレン及び4,4′−ジ(2,2′,6,6′−テトラメチル)フェニレンである。
【0029】
リレン発色団及び/又は発色団Xは、更に、リレン骨格中で、(ヘテロ)アリールオキシ基又は(ヘテロ)アリールチオ基によって置換されていてよい。
【0030】
特に適した置換基のための例としては、この場合には、フェノキシ、チオフェノキシ、2−ナフトキシ、2−ナフチルチオ、2−、3−及び4−ピリジルオキシ、2−、3−及び4−ピリジルチオ、2−、4−及び5−ピリミジルオキシ及び2−、4−及び5−ピリミジルチオが挙げられ、その際、フェノキシ及びチオフェノキシが好ましく、かつフェノキシが特に好ましい。
【0031】
前記の置換基の挿入によって、それぞれの発色団系を拡大でき、それにより吸収を狙い通りに深色にシフトさせることができる。
【0032】
(ヘテロ)アリールオキシ基又は(ヘテロ)アリールチオ基それ自身は、さらに任意に置換されていてよい。好適な置換基は、以下で、好ましい本発明による多重発色団の説明において挙げられている。
【0033】
(ヘテロ)アリールオキシ基又は(ヘテロ)アリールチオ基の狙い通りの置換によって、更に、その都度の発色団の吸収帯の形に影響を与えることができる。ここで、オルト,オルト′−位で置換された(ヘテロ)アリールオキシ基又は(ヘテロ)アリールチオ基は、蛍光量子収率の増大をもたらすため、前記の基は、より長波長に吸収を示す発光性発色団のための置換基として特に関心が持たれている。前記の基によって置換されたリレンテトラ−及び−ジカルボン酸誘導体は、旧ドイツ国特許出願第10 2005 032583.1号に記載されている。
【0034】
特に適したオルト,オルト′−置換されたフェノキシ基及びチオフェノキシ基は、式
【化10】

[式中、置換基及び変数は、以下の意味を有する:
Yは、−O−又は−S−、有利には−O−を意味し、
R′は、同一もしくは異なる以下の基(i)〜(v)を意味する:
(i)C1〜C18−アルキル、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、多くとも1個のアルキル基R′は、1位に第三級炭素原子を有してよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記C3〜C8−シクロアルキルは、C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C12−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、多くとも1個のシクロアルキル基R′は、1位に第三級炭素原子を有してよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールは、それぞれC1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−もしくは−NR1−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン又はシアノ;
R′′は、同一もしくは異なる以下の基:
水素;
R′について挙げた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の1つ
を意味し、その際、アルキル基(i)及びシクロアルキル基(ii)は、1位に第三級炭素原子を有してよい;
1は、水素又はC1〜C6−アルキルを意味する]を有する。
【0035】
特に好ましい基R′は、その際、アルキル基、シクロアルキル基及びフェニル基、とりわけ1位に第二級もしくは第一級炭素原子を有するアルキル基R′並びにメチル及び1位に第二級炭素原子を有するシクロアルキル基R′であり、その際、1位に第二級炭素原子を有するアルキル基及びシクロアルキル基が特に強調されるべきである。
【0036】
好ましくは、前記のフェノキシ基及びチオフェノキシ基は、オルト位及びオルト′位にのみ、又は更にパラ位において置換されている。
【0037】
殊に好ましいフェノキシ基及びチオフェノキシ基のための例として、詳細に挙げる:
2,6−ジメチルフェノキシ、2,6−ジエチルフェノキシ、2,6−ジイソプロピルフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシルフェノキシ、2,6−ジフェニルフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,4,6−トリ(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−ブチル)−フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(n−ブチル)フェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(n−ノニル)フェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−オクタデシル)フェノキシ、2,6−ジメチル−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジエチル−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(t−ブチル)フェノキシ、2,6−ジメチル−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジエチル−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(t−オクチル)フェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(t−オクチル)フェノキシ及び2,6−ジフェニル−4−(t−オクチル);
2,6−ジメチルチオフェノキシ、2,6−ジエチルチオフェノキシ、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシルチオフェノキシ、2,6−ジフェニルチオフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,4,6−トリ(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−ブチル)−チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(n−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(n−ノニル)チオフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジエチル−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(n−オクタデシル)チオフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジエチル−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ヘキシル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ドデシル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジフェニル−4−(t−ブチル)チオフェノキシ、2,6−ジメチル−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジエチル−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジイソプロピル−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ブチル)−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ブチル)−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(2−ヘキシル)−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジ(n−ドデシル)−4−(t−オクチル)チオフェノキシ、2,6−ジシクロヘキシル−4−(t−オクチル)チオフェノキシ及び2,6−ジフェニル−4−(t−オクチル)。
【0038】
本発明による多重発色団の好ましい一群は、一般式I′
【化11】

[式中、置換基及び変数は以下の意味を有する:
Xは、式
【化12】

で示されるリレンジカルボン酸イミド基を意味し、その際、基Xは、同一又は異なってよい;
Zは、アリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ又はヘタリールチオを意味し、前記の基には、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C30−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又は飽和もしくは不飽和のC4〜C7−シクロアルキル(その炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、前記アリール基及びシクロアルキル基は、それぞれC1〜C18−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32、その際、
基Zは、z>1の場合に及び/又はz1>1の場合に、同一又は異なってよい;
Bは、n=1、2又は3の場合に、
互いに、式(a)又は(b)
【化13】

の基に結合されて、6員環を形成するか、又は1個の基Bは、水素を意味し、その他の基は、基Xを意味する;
Bは、n=1の場合に、付加的に
両方とも水素であるか、1個の基Bは、水素を意味し、その他の基は、Zを意味するか、又は
1個の基Bは、水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、その他の基は、式(c)
【化14】

の基を意味する;
B′は、n=1、2又は3の場合に、
1個の基Bが一緒になって式(a)の基を意味する場合には、互いに、式(a)の基に結合されて、6員環を形成する;
1個の基Bが水素を意味し、かつその他の基が基Xを意味する場合には、互いに、式(a)の基に結合されて、6員環を形成し、その際、n=2もしくは3の場合に、x=0及びz≠0が適用される;
B′は、n=1の場合に、付加的に、
1個の基Bが水素を意味し、かつその他の基が基Zを意味する場合には、互いに、式(a)もしくは(b)の基に結合されて、6員環を形成する;
基B′は、1個の基Bが水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、かつその他の基が式(c)の基を意味する場合には、水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、その他の基は、式(c)の基を意味する;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又は基YとY1は、その芳香族基もしくは複素芳香族基に結合されている;
Yは、−O−又は−S−を意味する;
1は、−O−、−S−又は−NR1−を意味する;
Rは、水素、C1〜C30−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、基Zについての置換基として挙げられる基(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げられた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び/又はアリールアゾ及び/又はヘタリールアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;その際、
基Rは、それらが式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
1は、水素又はC1〜C18−アルキルを意味し、その際、基R1は、それらが複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ及び/又は−COOR1によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、基−O−、−S−、−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C12−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1、2又は3を意味する;
mは、0、1又は2を意味する;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′が、それぞれ式(b)の基を意味するか又は基B及び基B′がそれぞれ式(c)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′が、それぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜6を意味し、基B及びB′の全ての他の意味については、0を意味する;
n=3の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜4を意味し、基B及びB′の全ての他の意味については、0を意味する;
zは、0〜8を意味し、その際、x+z≦8であり、ここで、n=2もしくは3の場合には、x=0である場合に、z≠0が適用される;
z1は、m=0の場合に0を意味し、m=1の場合に0〜2を意味し、m=2の場合に2〜4を意味する]を有する。
【0039】
特に好ましい式I′の多重発色団では、置換基及び変数は、以下の意味を有する:
Zは、フェノキシ又はチオフェノキシを意味し、前記のフェノキシ又はチオフェノキシは、それぞれ同一もしくは異なる以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−及び/又は−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ及び/又はアリール(それは、C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−CR1=CR1−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記のC3〜C8−シクロアルキルは、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ及び/又はC1〜C6−アルキルチオによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールには、それぞれ更なる5員ないし7員の飽和もしくは不飽和の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、−C=CR1−、−CR1=CR1−、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C18−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32;その際、
基Zは、z>1の場合に及び/又はz1>1の場合に、同一もしくは異なってよい;
Aは、式
【化15】

で示されるアリーレン基又はヘタリーレン基を意味し、その式中、
環Pは、同一又は異なってよく、ヘテロ原子を環原子として含有してよく、かつ/又は縮合された5員ないし7員の環を有してよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、基Aは、それらが式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
Eは、化学結合、基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−又はC1〜C12−アルキレンもしくはC4〜C7−シクロアルキレン(その炭素鎖は、それぞれこれらの基によって一箇所でもしくは複数箇所で中断されていてよく、かつ前記基は、それぞれ基Zについての置換基として挙げられる基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい)、アリーレンもしくはヘタリーレン(それぞれ、基Zについての置換基として挙げられる(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、ヒドロキシ及びメルカプトは、基(v)として除外されている)を意味する;
Yは、−O−を意味する;
1は、−O−又は−NR1−を意味する;
Rは、C1〜C30−アルキル、フェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジル、C5〜C8−シクロアルキルを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、シアノ及び/又はアリール(C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のフェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジルは、それぞれC1〜C18−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CONR23、−SO2NR23及び/又はフェニルアゾ及び/又はナフチルアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC5〜C8−シクロアルキルは、C1〜C6−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよい;その際、
基Rは、それらが式I中に複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
1は、水素又はC1〜C6−アルキルを意味する;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールは、それぞれ、C1〜C6−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1もしくは2を意味する;
mは、0もしくは1を意味し、その際、m=n−1である;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味するか又は基B及び基B′がそれぞれ式(c)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合に、2〜4を意味し、基B及びB′の他の全ての意味については、0を意味する;
zは、0〜4を意味し、その際、x+z≦4であり、その際、x=0である場合に、n=2については、z≠0が適用される;
z1は、m=0の場合に0を意味し、m=1の場合に0〜2を意味する。
【0040】
殊に好ましい式I′の多重発色団では、置換基及び変数は、結局は、以下の意味を有する:
Zは、フェノキシを意味し、前記フェノキシは、同一もしくは異なる以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C18−アルキル、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルは、C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C12−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールは、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−又は−NR1−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン又はシアノ;
B、B′は、それぞれ互いに結合されて、式(a)又は(b)の基となる;
Aは、式
【化16】

で示されるアリーレン基を意味し、その式中、
フェニレン環又はナフチレン環は、C1〜C18−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、基Aは、それらが式I中に複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
Eは、化学結合、メチレン又はイソプロピレンを意味する;
Y、Y1は、−O−を意味する;
Rは、C1〜C30−アルキル、フェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジル、C5〜C8−シクロアルキルの同一の基を意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつC1〜C6−アルコキシ、シアノ及び/又はアリール(C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のフェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジルは、それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CONR23、−SO2NR23及び/又はフェニルアゾ及び/又はナフチルアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC5〜C8−シクロアルキルは、C1〜C6−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよい;
1は、水素又はC1〜C6−アルキルを意味する;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールは、それぞれ、C1〜C6−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述された基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1又は2を意味する;
mは、0又は1を意味し、その際、m=n−1である;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜4を意味し、基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味する場合には、0を意味する;
zは、0〜4を意味し、その際、x+z≦4である;
z1は、0を意味する。
【0041】
本発明による式中に存在する基R、R′、R′′及びR1〜R3並びにそれらの置換基のための例として、詳細に挙げる:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル(前記の名称のイソオクチル、イソノニル、イソデシル及びイソトリデシルは、慣用名であり、オキソ合成により得られるアルコールに由来する);
2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシエチル、2−及び3−メトキシプロピル、2−及び3−エトキシプロピル、2−及び3−プロポキシプロピル、2−及び3−ブトキシプロピル、2−及び4−メトキシブチル、2−及び4−エトキシブチル、2−及び4−プロポキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、2−及び4−ブトキシブチル、4,8−ジオキサデシル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9−トリオキサドデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル、2−プロピルチオエチル、2−イソプロピルチオエチル、2−ブチルチオエチル、2−及び3−エチルチオプロピル、2−及び3−エチルチオプロピル、2−及び3−プロピルチオプロピル、2−及び3−ブチルチオプロピル、2−及び3−エチルチオプロピル、2−及び3−プロピルチオプロピル、2−及び3−ブチルチオプロピル、2−及び4−メチルチオブチル、2−及び4−エチルチオブチル、2−及び4−プロピルチオブチル、3,6−ジチアヘプチル、3,6−ジチアオクチル、4,8−ジチアノニル、3,7−ジチアオクチル、3,7−ジチアノニル、2−及び4−ブチルチオブチル、4,8−ジチアデシル、3,6,9−トリチアデシル、3,6,9−トリチアウンデシル、3,6,9−トリチアドデシル、3,6,9,12−テトラチアトリデシル及び3,6,9,12−テトラチアテトラデシル;
2−モノメチル−及び2−モノエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−及び3−ジメチルアミノプロピル、3−モノイソプロピルアミノプロピル、2−及び4−モノプロピルアミノブチル、2−及び4−ジメチルアミノブチル、6−メチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジアザオクチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル、9−メチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリアザウンデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザウンデシル、12−メチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル及び3,6,9,12−テトラメチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル;
(1−エチルエチリデン)アミノエチレン、(1−エチルエチリデン)アミノプロピレン、(1−エチルエチリデン)アミノブチレン、(1−エチルエチリデン)アミノデシレン及び(1−エチルエチリデン)アミノドデシレン;
プロパン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、ブタン−3−オン−2−イル及び2−エチルペンタン−3−オン−1−イル;
2−メチルスルホキシドエチル、2−エチルスルホキシドエチル、2−プロピルスルホキシドエチル、2−イソプロピルスルホキシドエチル、2−ブチルスルホキシドエチル、2−及び3−メチルスルホキシドプロピル、2−及び3−エチルスルホキシドプロピル、2−及び3−プロピルスルホキシドプロピル、2−及び3−ブチルスルホキシドプロピル、2−及び4−メチルスルホキシドブチル、2−及び4−エチルスルホキシドブチル、2−及び4−プロピルスルホキシドブチル並びに4−ブチルスルホキシドブチル;
2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル、2−プロピルスルホニルエチル、2−イソプロピルスルホニルエチル、2−ブチルスルホニルエチル、2−及び3−メチルスルホニルプロピル、2−及び3−エチルスルホニルプロピル、2−及び3−プロピルスルホニルプロピル、2−及び3−ブチルスルホニルプロピル、2−及び4−メチルスルホニルブチル、2−及び4−エチルスルホニルブチル、2−及び4−プロピルスルホニルブチル及び4−ブチルスルホニルブチル;
カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、8−カルボキシオクチル、10−カルボキシデシル、12−カルボキシドデシル及び14−カルボキシテトラデシル;
スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル、12−スルホドデシル及び14−スルホテトラデシル;
2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロピ−2−イル、3−及び4−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシブチ−2−イル及び8−ヒドロキシ−4−オキサオクチル;
2−シアノエチル、3−シアノプロピル、3−及び4−シアノブチル、2−メチル−3−エチル−3−シアノプロピル、7−シアノ−7−エチルヘプチル及び4−メチル−7−メチル−7−シアノヘプチル;
2−クロロエチル、2−及び3−クロロプロピル、2−、3−及び4−クロロブチル、2−ブロモエチル、2−及び3−ブロモプロピル及び2−、3−及び4−ブロモブチル;
2−ニトロエチル、2−及び3−ニトロプロピル及び2−、3−及び4−ニトロブチル;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、t−ペントキシ及びヘキソキシ;
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、t−ペンチルチオ及びヘキシルチオ;
エチニル、1−及び2−プロピニル、1−、2−及び3−ブチニル、1−、2−、3−及び4−ペンチニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデシニル及び1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタでシニル;
エテニル、1−及び2−プロペニル、1−、2−及び3−ブテニル、1−、2−、3−及び4−ペンテニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデセニル及び1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタデセニル;
メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジフェニルアミノ及びジベンジルアミノ;
ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ及びベンゾイルアミノ;
カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ヘプチルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、ノニルアミノカルボニル、デシルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル;
アミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N−メチル−N−エチルアミノスルホニル、N−メチル−N−ドデシルアミノスルホニル、N−ドデシルアミノスルホニル、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアミノスルホニル、N,N−(プロポキシエチル)ドデシルアミノスルホニル、N,N−ジフェニルアミノスルホニル、N,N−(4−t−ブチルフェニル)オクタデシルアミノスルホニル及びN,N−ビス(4−クロロフェニル)アミノスルホニル;
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、(4−t−ブチルフェノキシ)カルボニル及び(4−クロロフェノキシ)カルボニル;
メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル、イソプロポキシスルホニル、ブトキシスルホニル、イソブトキシスルホニル、t−ブトキシスルホニル、ヘキソキシスルホニル、ドデシルオキシスルホニル、オクタデシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、1−及び2−ナフチルオキシスルホニル、(4−t−ブチルフェノキシ)スルホニル及び(4−クロロフェノキシ)スルホニル;
塩素、臭素及びヨウ素;
フェニルアゾ、2−ナフチルアゾ、2−ピリジルアゾ及び2−ピリミジルアゾ;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−s−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−s−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−t−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル及び3−、4−及び5−プロピルシクロオクチル;3−及び4−ヒドロキシシクロヘキシル、3−及び4−ニトロシクロヘキシル及び3−及び4−クロロシクロヘキシル;
1−、2−及び3−シクロペンテニル、1−、2−、3−及び4−シクロヘキセニル、1−、2−及び3−シクロヘプテニル及び1−、2−、3−及び4−シクロオクテニル;
2−ジオキサニル、1−モルホリニル、1−チオモルホリニル、2−及び3−テトラヒドロフリル、1−、2−及び3−ピロリジニル、1−ピペラジル、1−ジケトピペラジル及び1−、2−、3−及び4−ピペリジル;
フェニル、2−ナフチル、2−及び3−ピリル、2−、3−及び4−ピリジル、2−、4−及び5−ピリミジル、3−、4−及び5−ピラゾリル、2−、4−及び5−イミダゾリル、2−、4−及び5−チアゾリル、3−(1,2,4−トリアジル)、2−(1,3,5−トリアジル)、6−キナルジル、3−、5−、6−及び8−キノリニル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアジアゾリル、2−及び5−ベンゾイミダゾリル及び1−及び5−イソキノリル;
1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−インドリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−イソインドリル、5−(4−メチルイソインドリル)、5−(4−フェニルイソインドリル)、1−、2−、4−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、3−(5−フェニル)−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、5−(3−ドデシル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)及び2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−クロマニル、2−、4−及び7−キノリニル、2−(4−フェニルキノリニル)及び2−(5−エチルキノリニル);
2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−クロロフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジクロロフェニル;2−、3−及び4−ヒドロキシフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジヒドロフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニル;3−及び4−カルボキシフェニル;3−及び4−カルボキサミドフェニル、3−及び4−N−メチルカルボキサミドフェニル及び3−及び4−N−エチルカルボキサミドフェニル;3−及び4−アセチルアミノフェニル、3−及び4−プロピオニルアミノフェニル及び3−及び4−ブチリルアミノフェニル;3−及び4−N−フェニルアミノフェニル、3−及び4−N−(o−トリル)アミノフェニル、3−及び4−(m−トリル)アミノフェニル及び3−及び4−(p−トリル)アミノフェニル;3−及び4−(2−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(3−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(4−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(2−ピリミジル)アミノフェニル及び4−(4−ピリミジル)アミノフェニル;
4−フェニルアゾフェニル、4−(1−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ナフチルアゾ)フェニル、4−(4−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ピリイルアゾ)フェニル、4−(3−ピリジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリジルアゾ)フェニル、4−(2−ピリミジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリミジルアゾ)フェニル及び4−(5−ピリミジルアゾ)フェニル;
フェノキシ、フェニルチオ、2−ナフトキシ、2−ナフチルチオ、2−、3−及び4−ピリジルオキシ、2−、3−及び4−ピリジルチオ、2−、4−及び5−ピリミジルオキシ及び2−、4−及び5−ピリミジルチオ。
【0042】
本発明による多重発色団Iの特定の意義は、それを工業的規模において少ない合成段階で製造でき、かつ狙い通りにそれぞれの利用目的に適合できることである。ここで、容易に、必要とされる吸収特性及び放出特性に応じて、相応のリレン発色団と、それぞれ適切な発色団Xとを組み合わせることができる。
【0043】
本発明による多重発色団の製造は、相応の公知のリレン出発物質と、冒頭で定義された式III
【化17】

の同様に本発明によるリレンジカルボン酸イミド誘導体(本発明による多重発色団Iの中間生成物である)とを反応させることによって行われる。
【0044】
置換基及び変数Z、A、Y、R及びz1の好ましい意味及び特に好ましい意味は、その際、式I′における前記の置換基及び変数の上述の好ましい意味及び特に好ましい意味に相当する。
【0045】
発色団Xがリレン発色団に結合されるべき位置に応じて、リレン発色団と発色団Xは、有利には、求核置換、イミド化、エステル化又はアミド化によって互いに結合される。
【0046】
これらの反応を、以下にグループ分けして詳細に説明する。
【0047】
この場合に、特に、溶剤もしくは他の助剤の混合物を使用できることがそれぞれ詳細に述べられていないが、これは、自明のこととする。
【0048】
以下に、複数の式中に存在する置換基及び変数についてのより詳細な表記をしていない場合に、これらは、式I′について上述した意味を有する。
【0049】
求核置換
リレン発色団の炭素骨格に結合された発色団Xを有する多重発色団Iは、有利には、相応のハロゲン化された(有利には塩素化もしくは臭素化された)リレンカルボン酸イミド(II)と、式IIIa
【化18】

[式中、Yは、酸素又は硫黄を意味する]で示される本発明によるリレンジカルボン酸イミド誘導体とを反応させることによって得られる。
【0050】
ハロゲン交換が定量的に行われない場合に、ここで、一般式IV
H−Z IV
で示される化合物との付加的な反応によって、また、(ヘテロ)アリールオキシ置換基及び(ヘテロ)アリールチオ置換基Zをリレン骨格中に導入することができる。
【0051】
その反応順序は、その際に任意である。すなわち、a)まず、基Xを、そして次いで基Zを導入するか、又はb)まず、基Zを、そして次いで基Xを導入するか、又はc)基X及びZを同時に導入することもできる。
【0052】
これらの反応が定量的に行われない場合に、得られる多重発色団は、なおも微量のハロゲンを含有することがある。所望であれば、前記の場合に、WO−A−02/76988号に記載されているように、付加的な脱ハロゲン化、例えば遷移金属触媒による還元的な又は塩基に誘導される脱ハロゲン化を実施できる。
【0053】
以下に、同様に本発明の対象を構成する製造方法であって、本発明によれば塩基及び非求核性溶剤の存在下で行われる前記の求核置換に基づく方法をまとめる。
【0054】
ここで、一般式Ia
【化19】

で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIa
【化20】

[式中、Halは、塩素又は臭素を意味する]で示されるハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸ジイミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化21】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Iaで示され、z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)まず、一般式IIIaのリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は、
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Iaで示され、z≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法が見出された。
【0055】
更に、一般式Ib
【化22】

[式中、n=1であり、B′は、水素、基X又は基Zを意味する]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIb
【化23】

[式中、n=1であり、Hal′は、水素又はHalを意味し、その際、Halは、塩素もしくは臭素を表す]で示されるハロゲン化されたリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化24】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ibで示され、z=0であるリレンジカルボン酸イミドを得るか、又は
b)まず、一般式IIIaのリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は、
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Ibで示され、z≠0であるリレンジカルボン酸イミドを得る
ことを特徴とする方法が見出された。
【0056】
更に、一般式Ib′
【化25】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIb′
【化26】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、一般式IIIa
【化27】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法が見出された。
【0057】
基Zは、有利には、フェノキシ基もしくはチオフェノキシ基であるので、式IVの化合物は、簡素化のために、以下の厳密なハロゲン化されたリレン誘導体IIの求核置換の説明においては、(チオ)フェノールIVと呼称する。
【0058】
その求核置換は、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIa及び(チオ)フェノールIVによって、同等の反応条件下で、非求核性溶剤及び塩基の存在下で実施されるので、以下の表記は、特に記載がない限り両方の反応に関連する。
【0059】
非求核性溶剤としては、とりわけ極性非プロトン性溶剤、特にN,N−二置換された脂肪族のカルボン酸アミド(有利には、N,N−ジ(C1〜C4−アルキル−C1〜C4−カルボン酸アミド)及びN−アルキルラクタム、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルブチルアミド及びN−メチルピロリドンが適しており、その際、N−メチルピロリドンが好ましい。
【0060】
非求核性溶剤としては、また、非極性非プロトン性溶剤を使用してもよいが、この溶剤は好ましくない。例としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0061】
溶剤の量は、出発物質の可溶性に依存する。一般に、リレンカルボン酸イミド(II)1gあたりに、5〜200ml、特に10〜100mlの溶剤が必要である。
【0062】
塩基としては、とりわけ無機の及び有機のアルカリ金属含有のもしくはアルカリ土類金属含有の塩基が適しており、その際、アルカリ金属含有の塩基が特に適している。無機塩基のための例は、アルカリ金属の及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び炭酸水素塩、水酸化物、水素化物及びアミドである。有機塩基のための例は、アルカリ金属の及びアルカリ土類金属のアルコレート(特にC1〜C10−アルコレート、とりわけt−C4〜C6−アルコレート)並びに−(フェニル)アルキルアミド(特にビス(C1〜C4−アルキル)アミド)及びトリフェニルメチルメタレートである。好ましい塩基は、炭酸塩及び炭酸水素塩であり、その際、炭酸塩が特に好ましい。好ましいアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウムであり、特に適したアルカリ土類金属は、マグネシウム及びカルシウムである。
【0063】
金属含有の塩基のための例として、詳細に挙げる:炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸セシウム;炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウム;水素化リチウム、水素化ナトリウム及び水素化カリウム;リチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド;リチウムメチレート、ナトリウムメチレート、カリウムメチレート、リチウムエチレート、ナトリウムエチレート、カリウムエチレート、ナトリウムイソプロピレート、カリウムイソプロピレート、ナトリウム−t−ブチレート、カリウム−t−ブチレート、リチウム(1,1−ジメチル)オクチレート、ナトリウム(1,1−ジメチル)オクチレート及びカリウム(1,1−ジメチル)オクチレート;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、トリフェニルメチルリチウム、トリフェニルメチルナトリウム及びトリフェニルメチルカリウム。
【0064】
これらの金属含有塩基の他に、純粋に有機的な窒素含有の塩基も適している。
【0065】
このために適した例は、アルキルアミン、特にトリ(C2〜C6−アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミン、アルコールアミン、特にモノ−、ジ−及びトリ−(C2〜C4−アルコール)アミン、例えばモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン、及び複素環式の塩基、例えばピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、(4−ピロリジノ)ピリジン、N−メチル−ピペリジン、N−メチルピペリドン、N−メチルモルホリン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)及びジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0066】
殊に好ましい塩基は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸セシウムである。
【0067】
一般に、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIaもしくは(チオ)フェノールIVを1モルあたりに少なくとも0.5当量の塩基が必要となる。特に適した使用量は、炭酸塩については、IIIaもしくはIVを1モルあたりに、0.5〜5当量、特に0.5〜2当量である。純粋に有機的な塩基の場合に、使用量は、IIIaもしくはIVを1モルあたりに、有利には0.4〜10当量、特に有利には0.4〜3当量である。有機塩基を溶剤として同時に使用する場合に、これは特に複素環式の塩基の場合であるが、量的な制限は、もちろん不必要である。
【0068】
両方の反応を連続して実施する場合には、全体に必要な塩基量を直接的に入れるか、又は第二の反応のために後に配量することもできる。
【0069】
反応は、相転移触媒の存在下で実施できる。
【0070】
相転移触媒としては、とりわけ第四級アンモニウム塩及びホスホニウム塩、例えばテトラ(C1〜C8−アルキル)アンモニウムハロゲニド及び−テトラフルオロボレート、ベンジルトリ(C1〜C8−アルキル)アンモニウムハロゲニド及び−テトラフルオロボレート、並びにテトラ(C1〜C8−アルキル)−及びテトラフェニルホスホニウムハロゲニド及びクラウンエーテルが適している。ハロゲニドは、一般に、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物であり、その際、塩化物及び臭化物が好ましい。特に適した例は、詳細には、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド及びテトラフェニルホスホニウムクロリド及び−ブロミド、18−クラウン−6、12−クラウン−4及び15−クラウン−5である。
【0071】
相転移触媒が使用される場合に、その使用量は、通常は、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIaもしくは(チオ)フェノールIVを1モルあたりに、0.4〜10当量、特に0.4〜3当量である。
【0072】
一般に、交換されるべきハロゲン原子1モルあたりに、0.8〜1.2モルのリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIaもしくは(チオ)フェノールIVが使用される。(チオ)フェノールIVとの反応を第二段階として行う場合には、完全な反応を保証するために、交換されるべきハロゲン原子1モルあたりに、3モルまでのIVを使用することができる。
【0073】
反応温度は、再び基質の反応性に依存し、そして一般には、30〜150℃の範囲にある。
【0074】
反応を不活性ガス、例えば窒素又はアルゴン下で行うことも適切である。
【0075】
反応時間は、通常は0.5〜96時間、特に2〜72時間である。
【0076】
プロセス技術的には、求核置換に際して、種々の様式を採用することができる。
【0077】
反応相手をまず混合して、次いで一緒に反応温度にまで加温することができる。特に、より高い置換度を達成するために、まずリレンジカルボン酸IIIaもしくは(チオ)フェノールIVの一部のみと塩基を入れ、そして残りを、場合により、より反応性の位置で反応された生成物の中間単離の後にはじめて後に添加することが好ましいことがある。
【0078】
得られた多重発色団Iの単離は、無機塩基を使用した場合には、以下のように行うことができる:
沈殿した無機塩をまず濾別し、次いで多重発色団Iを、低級の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール又はエチレングリコールモノブチルエーテルの添加によるか、水もしくは水/アルコール混合物の添加によるか、又は溶剤の蒸発によって沈殿させ、引き続き濾別することができる。
【0079】
しかしながら、無機塩を、沈殿した多重発色団Iと一緒に濾別し、そして水での洗浄及び/又は希釈された無機酸、例えば塩酸又は硫酸での洗浄によって洗出させることができる。
【0080】
所望であれば、得られた多重発色団Iを、付加的な精製のために、濾過又はシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーに供することもできる。溶出剤としては、その場合に、特に、ハロゲン化された脂肪族炭化水素、例えば塩化メチレン及びクロロホルム、脂肪族及び芳香族の炭化水素、例えばシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン及びキシレン、脂肪族アルコール、例えばメタノール及びエタノール並びに脂肪族カルボン酸エステル、例えば酢酸エチルエステルが適しており、これらは、有利には混合物の形で使用される。
【0081】
得られた多重発色団Iは、所望であれば、再結晶化もしくは分別結晶化によって精製することもできる。ここでは、上述の溶剤の他にも、N,N−二置換された脂肪族カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド並びにN−アルキルラクタム、例えばN−メチルピロリドン並びに硫酸が適している。好ましい溶剤は、ハロゲン化された炭化水素、カルボン酸アミド及びN−アルキルラクタム並びにアルコール及び/又は水とのそれらの混合物である。
【0082】
イミド化
発色団Xがリレン発色団のイミド基を解して結合されている多重発色団Iは、有利には、相応のリレンカルボン酸無水物(II)と、本発明による式IIIc
【化28】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体との反応によって得ることができる。
【0083】
使用されるリレンカルボン酸無水物(II)がリレン骨格内でハロゲン化されている場合に、これは、ペリレンテトラカルボン酸二無水物及び−ジカルボン酸無水物がその場合であるが、前記の求核置換によって、付加的に、発色団X及び/又は置換基Zを、リレン発色団の骨格中に導入することができる。
【0084】
以下に、同様に本発明の対象を構成する、本発明による多重発色団の製造方法において、本発明によれば高沸点溶剤及び所望であればルイス酸の存在下で行われるイミド化反応を基礎とする方法をまとめる。
【0085】
ここで、一般式Ic
【化29】

[式中、n=1であり、xが0又は2〜4を意味する]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIc
【化30】

[式中、n=1であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸二無水物を、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化31】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに1.8〜3モルと反応させて、式Icで示され、x=z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得て、所望であれば、リレン核中でハロゲン化された得られたリレンテトラカルボン酸ジイミドIcを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化32】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Icで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させて、式Icで示され、z≠0でありかつx=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、そして次に式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Icで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法が見出された。
【0086】
一般式Id
【化33】

[式中、n=1であり、B′は、水素、基Xもしくは基Zを意味し、xは、0又は2〜4を表す]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IId
【化34】

[式中、n=1であり、かつHal′は、水素又はHalを意味し、その際、Halは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンジカルボン酸無水物を、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化35】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Idで示され、x=z=0であるリレンジカルボン酸イミドを得て、所望であれば、リレン核内でハロゲン化された得られたリレンジカルボン酸イミドIdを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化36】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Idで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンジカルボン酸イミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体及び式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたりそれぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Idで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンジカルボン酸イミドを得る
ことを特徴とする方法が見出された。
【0087】
一般式Ie
【化37】

[式中、n=1である]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIe
【化38】

[式中、n=1であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸一無水物モノイミドを、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化39】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ieで示され、x=z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得て、所望であれば、リレン核内でハロゲン化された得られたリレンジカルボン酸イミドIeを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化40】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ieで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させて、式Ieで示され、z≠0でありかつx=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体及び式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたりそれぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Ieで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法が見出された。
【0088】
更に、一般式Ic′
【化41】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIc′
【化42】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸二無水物を、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化43】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法が見出された。
【0089】
更に、一般式Id′
【化44】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IId′
【化45】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸無水物を、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化46】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法が見出された。
【0090】
とりわけ、一般式Ie′
【化47】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIe′
【化48】

[式中、n=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸一無水物モノイミドを、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化49】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させて、式Ie′で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得ることを特徴とする方法が見出された。
【0091】
相応のリレンカルボン酸無水物(II)とアミノ官能化されたリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIcとのイミド化反応は、本発明によれば、高沸点溶剤の存在下で行われる。
【0092】
溶剤としては、この場合に、極性非プロトン性溶剤、例えばトリアルキルアミン、窒素含有の複素環式化合物、N,N−二置換された脂肪族カルボン酸アミド及びN−アルキルラクタムが適している。
【0093】
特に適した溶剤のための例として、詳細に、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミン、キノリン、イソキノリン、キナルジン、ピリミジン、N−メチルピペリジン及びピリジン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びジメチルブチルアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。前記の群の好ましい溶剤は、キノリンである。
【0094】
溶剤としては、また、プロトン性の溶剤、特に脂肪族カルボン酸、有利にはC2〜C12−カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸及びヘキサン酸が適しており、その際、酢酸及びプロピオン酸が、好ましいプロトン性溶剤である。
【0095】
出発物質の反応性に応じて、非プロトン性溶剤もプロトン性溶剤もいずれも好ましい。ここで、ハロゲン化されていないリレンカルボン酸無水物(II)の反応のためには非プロトン性溶剤が好ましいが、一方で、より反応性のハロゲン化されたリレンカルボン酸無水物IIの反応の場合には、プロトン性溶剤が好ましい。
【0096】
一般に、リレンカルボン酸無水物(II)1gあたりに、1〜100ml、特に3〜70mlの溶剤が使用される。
【0097】
イミド化の場合には、ルイス酸を触媒として使用することもできる。
【0098】
ルイス酸の使用は、特に、反応を担うハロゲン化されていないリレンカルボン酸無水物(II)及び/又は反応を担うリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIcの反応の場合に推奨される。
【0099】
ルイス酸としては、とりわけ、亜鉛塩、銅塩及び鉄塩が適しており、その際、銅の場合には、酸化物を使用することもできる。亜鉛化合物と銅化合物が好ましく、その際、亜鉛化合物が特に好ましい。
【0100】
好適なルイス酸のための例は、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩化銅(I)、酢酸銅(I)及び塩化鉄(III)であり、その際、酢酸亜鉛が殊に好ましい。
【0101】
ルイス酸が使用される場合には、一般に、リレンカルボン酸無水物(II)中の反応されるべき無水物基1モルあたり、0.5〜3当量、有利には0.5〜1.5当量が使用される。
【0102】
反応温度は、同様に基質の反応性に依存し、そして一般には、100〜250℃の範囲にある。反応を担うハロゲン化されていないリレンカルボン酸無水物(II)の場合に、150〜230℃の温度が好ましく、より反応性のハロゲン化されたリレンカルボン酸無水物(II)の反応は、有利には110〜170℃で行われる。
【0103】
所望であれば、形成する反応水と、場合により補助物質によって導入される水は、反応の間に留去することができる。
【0104】
保護ガス下で、例えば窒素又はアルゴン下で作業することが推奨される。反応時間は、通常は1〜48時間、特に6〜18時間である。プロセス工学的には、イミド化の場合に、適宜、以下のように行われる:
リレンカルボン酸無水物(II)、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIc、溶剤、場合によりルイス酸の混合物は、所望であれば、形成する水を留去しながら、1〜48時間で、所望の反応温度に加熱される。水の留去に際して多くの溶剤も一緒に留去される場合には、相応の更なる量を補わねばならない。
【0105】
得られた多重発色団Iの単離は、以下のように実施することができる:
多重発色団Iは、冷却及びプロトン性溶剤、例えば水又は低級の脂肪族アルコールの添加によって沈殿させるか、あるいは晶出させ、濾別し、上述の溶剤と、希釈された鉱酸で洗浄して、残留物を、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIc及び/又は無機塩から分離して、乾燥させる。
【0106】
求核置換で記載したように、得られた多重発色団Iは、所望であれば、更なる精製のために、カラムクロマトグラフィーもしくはカラム濾過に供してよく、又は再結晶化もしくは分別結晶化に供してよい。
【0107】
エステル化
発色団Xがエステル基を介してリレン発色団に結合されている多重発色団Iは、有利には、相応のリレンジカルボン酸塩化物IIfから出発して得ることができる。リレン発色団は、ここでは、特にペリレンである。
【0108】
従って、本発明の更なる対象は、一般式If
【化50】

[式中、n=1であり、B′は、水素、ハロゲン又はシアノであり、両方の基B1又はB2の一方は、式
【化51】

で示される基を意味し、そしてもう一方の基は、水素、ハロゲン又はシアノを意味する]で示されるリレンジカルボン酸エステルを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIIa
【化52】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体を、アルカリ金属塩基及び非プロトン性溶剤の存在下で転化させて、一般式IIIf
【化53】

[式中、Mは、アルカリ金属カチオンを意味する]で示されるアルカリ金属塩とし、そして次いで前記金属塩を、一般式IIf
【化54】

[式中、n=1であり、両方の基D1又はD2の一方は、−COClであるか、又はもう一方の基が水素を意味する]で示されるリレンジカルボン酸塩化物と、モル比0.8:1〜1.2:1で反応させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2は水素を意味するリレンジカルボン酸エステルを得て、所望であれば、得られたリレンジカルボン酸エステルを、中間単離の後に、極性の有機溶剤とルイス酸の存在下で、N−ハロゲンスクシンイミドでハロゲン化させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2はハロゲンを意味するリレンジカルボン酸エステルを得て、所望であれば、得られたハロゲン化されたリレンジカルボン酸エステルを、金属シアン化物で、非プロトン性溶剤及び遷移金属触媒の存在下で転化させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2はシアノを意味する相応のシアノ置換されたリレンジカルボン酸エステルを得る
ことを特徴とする方法である。
【0109】
エステル化のために出発物質として使用されるペリレンジカルボン酸塩化物IIfは、通常は、3,9−異性体と3,10−異性体との混合物の形で存在するので、多重発色団Ifは、相応の異性体混合物としても得られる。
【0110】
エステル化は、非プロトン性溶剤とアルカリ金属塩基の存在下で行われる。
【0111】
非プロトン性溶剤としては、とりわけ極性非プロトン性溶剤、例えば非プロトン性のエーテル及び上述のN,N−二置換された脂肪族カルボン酸アミド及びN−アルキルラクタムが適している。
【0112】
好ましいエーテルのための例は、ジアルキルエーテルであって、2個の同一もしくは異なるアルキル基を有してよく、かつ一般に3〜8個の炭素原子を有しうるもの、及びモノマーの及びオリゴマーのC2〜C3−アルキレングリコールであって6個までのアルキレンオキシド単位を有しうるもののジアリールエーテル、ジアルキルエーテル、特にジ(C1〜C6−アルキル)エーテル及びジアリールエーテル(とりわけジフェニルエーテル)(その際、ジエチレングリコールジ(C1〜C4−アルキル)エーテルが特に好ましい)並びに環状エーテルである。
【0113】
例としては、詳細に、t−ブチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチル−、−ジエチル−、−ジプロピル−、−ジイソプロピル−、−ジブチル−、−ジ−s−ブチル−及び−ジ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチル−及び−ジエチルエーテル及びトリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサンが挙げられる。殊に好ましくは、ジエチレングリコールジメチル−及び−ジエチルエーテルである。
【0114】
更に、非極性の非プロトン性の溶剤、例えば脂肪族化合物(特にC8〜C18−アルカン)、非置換の、アルキル置換された及び縮合された脂環式化合物(特に非置換のC7〜C10−シクロアルカン、C6〜C8−シクロアルカンであって、1〜3個のC1〜C6−アルキル基によって置換されているもの、10〜18個の炭素原子を有する多環式の飽和の炭化水素)、アルキル置換された及びシクロアルキル置換された芳香族化合物(特にベンゼンであって、1〜3個のC1〜C6−アルキル基又は1個のC5〜C8−シクロアルキル基によって置換されているもの)及び縮合された芳香族化合物であって、アルキル置換及び/又は部分水素化されていてよいもの(特にナフタリンであって、1〜4個のC1〜C6−アルキル基によって置換されていてよいもの)が適している。
【0115】
例としては、詳細に、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ウンデカン、ドデカン、ヘキサデカン及びオクタデカン;シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、ジプロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン及びメチルシクロオクタン;トルエン、o−、m−及びp−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、1,2,4−及び1,2,3−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン及びシクロヘキシルベンゼン;ナフタリン、デカヒドロナフタリン(デカリン)、1−及び2−メチルナフタリン並びに1−及び2−エチルナフタリン;上述の溶剤の組合せ物(例えばこれらは、原油又はナフサの処理に際して熱的な及び触媒による分解プロセスの高沸点の部分水素化もしくは完全水素化された留分から得ることができる)、例えばExxsol(登録商標)型の混合物並びにSolvesso(登録商標)型のアルキルベンゼン混合物が挙げられる。
【0116】
一般に、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIa1gあたりに、2〜75ml、特に3〜50mlの溶剤が使用される。
【0117】
アルカリ金属塩基としては、とりわけアルカリ金属水素化物、特に水素化リチウム、水素化ナトリウム及び水素化カリウムが適している。
【0118】
一般に、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIa1モルあたり、0.8〜1.2モル、有利には0.9〜1.1モルが使用される。
【0119】
一般に、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIf及びリレンジカルボン酸塩化物IIfは、モル比0.8:1〜1.2:1で反応させる。
【0120】
反応温度は、通常は、0〜75℃、とりわけ20〜50℃である。エステル化は、無水条件下で行うことが推奨される。反応時間は、一般に、1〜48時間、有利には3〜10時間である。プロセス技術的には、エステル化の場合に、適宜、以下のような措置が採られる:
溶剤、アルカリ金属塩基及びリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIaを装入し、場合により所望の反応温度にまで加熱し、そしてこうしてリレンジカルボン酸イミド誘導体IIIaをその塩IIIfに変換する。次いで、リレンジカルボン酸塩化物IIfを添加し、そして該混合物を所望の反応温度で3〜10時間撹拌する。
【0121】
多重発色団Ifの単離は、プロトン性溶剤、例えば水及び低級の脂肪族アルコールで希釈し、濾別し、水性塩基、例えばアルカリ金属炭酸水素塩溶液で、そして引き続き水で繰り返し洗浄し、次いで乾燥させることによって行うことができる。
【0122】
求核置換で記載されているように、得られた多重発色団Ifを、所望であれば、更なる精製のために、カラムクロマトグラフィーもしくはカラム濾過又は再結晶化あるいは分別結晶化(その際、溶剤として硫酸は除外される)に供することができる。
【0123】
ジハロゲン化された、特に二塩素化もしくは二臭素化されたリレン発色団を有する多重発色団If(式If:B′=残りの基B1又はB2=ハロゲン)を製造すべき場合には、エステル化で得られた多重発色団Ifを、極性の有機溶剤及びルイス酸の存在下でN−ハロゲンスクシンイミドと反応させることができる。
【0124】
極性の有機溶剤としては、特に非プロトン性の溶剤が適している。この溶剤のための好ましい例は、上述のN,N−二置換された脂肪族のカルボン酸アミド及びハロゲン化された炭化水素、例えばクロロホルム及び塩化メチレンである。特に好ましいのは、ジメチルホルムアミドである。
【0125】
一般に、ハロゲン化されるべき多重発色団Ifの1g当たりに、10〜200ml、有利には10〜100mlの溶剤が使用される。
【0126】
ルイス酸としては、とりわけ金属ハロゲン化物が適しており、その際、鉄(III)ハロゲン化物、アルミニウムトリハロゲン化物及び亜鉛ハロゲン化物が好ましい。例として詳細に、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(III)、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウム及び塩化亜鉛が挙げられ、その際、鉄ハロゲン化物が特に好ましい。
【0127】
一般に、ハロゲン化されるべき多重発色団Ifの1モル当たりに、0.01〜0.5モル、有利には0.05〜0.2モルのルイス酸が使用される。
【0128】
通常は、1モルのIfあたりに、2〜12モルの、とりわけ2〜8モルのN−ハロゲンスクシンイミドが必要である。
【0129】
ハロゲン化温度は、一般に、20〜100℃、有利には40〜80℃である。
【0130】
保護ガス、例えば窒素又はアルゴン下で作業することが推奨される。慣用の反応時間は、0.5〜24時間、とりわけ1〜2時間である。プロセス技術的には、適宜、以下のような措置が採られる:
ハロゲン化されるべき多重発色団Ifと、ルイス酸と、N−ハロゲンスクシンイミドと、溶剤との混合物を、撹拌下に保護ガス下で所望の反応温度にまで加熱する。室温に冷却した後に、反応混合物を、希釈された無機酸、例えば希塩酸で沈殿させる。その反応生成物を濾別し、熱水で洗浄し、そして乾燥させる。
【0131】
得られた多重発色団Ifの更なる精製は、所望であれば前記のように実施することができる。
【0132】
所望であれば、二ハロゲン化された多重発色団Ifは、金属シアン化物との反応によって、非プロトン性溶剤及び遷移金属触媒の存在下で変換させて、相応の二シアノ置換された多重発色団If(B′=残りの基B1又はB2=シアノ)を得ることができる。
【0133】
金属シアン化物として、この場合にとりわけ、アルカリ金属シアン化物、例えばシアン化ナトリウム又はシアン化カリウム又はシアン化亜鉛が適している。
【0134】
プロトン性溶剤としては、上述の溶剤が適しており、その際、N,N−二置換された脂肪族のカルボン酸アミド及びN−アルキルラクタムが好ましい。
【0135】
一般に、二ハロゲン化されるべき多重発色団Ifの1g当たりに、10〜200ml、特に10〜100mlの溶剤が使用される。
【0136】
遷移金属触媒としては、特にパラジウム錯体、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリス−o−トリルホスフィン)パラジウム(0)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)クロリド、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド、ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)アセテート、(2,2′−ビピリジル)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、1,5−シクロオクタジエンパラジウム(II)クロリド、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド及びビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリドが適しており、その際、[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド並びにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が好ましい。
【0137】
通常は、二ハロゲン化された多重発色団Ifに対して、1〜10モル%、とりわけ2〜5モル%の遷移金属触媒が使用される。
【0138】
一般に、二ハロゲン化された多重発色団Ifを1モルあたりに、2〜10当量の、有利には2〜6当量の金属シアン化物が使用される。
【0139】
反応温度は、一般に、20〜150℃、有利には50〜100℃である。
【0140】
保護ガス、例えば窒素又はアルゴン下で作業することが推奨される。その反応は、通常は、2〜40時間、とりわけ4〜20時間で終了させる。プロセス技術的には、適宜、以下のような措置が採られる:
ハロゲン化された多重発色団Ifと、遷移金属触媒と、金属シアン化物との混合物を撹拌しながら保護ガス下で所望の反応温度にまで加熱する。室温に冷却させた後に、反応生成物を、希釈されたアンモニアが添加されていてよい低級アルコールで沈殿させる。その反応生成物を濾別し、熱水で洗浄し、そして乾燥させる。
【0141】
得られた多重発色団Ifの更なる精製は、所望であれば前記のように実施することができる。
【0142】
アミド化
発色団Xがアミド基を介してリレン発色団に結合されている多重発色団Iは、好ましくは同様に、相応のペリレンジカルボン酸塩化物IIfから出発して得ることができる。リレン発色団は、再び特には、ペリレンである。
【0143】
従って、一般式Ig
【化55】

[式中、n=1及びm=0であり、B′は水素、ハロゲン又はシアノであり、両方の基B1又はB2の一方は、式
【化56】

[式中、m=0である]で示される基を意味し、かつもう一方の基は、水素、ハロゲン又はシアノを意味する]で示されるリレンジカルボン酸アミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIf
【化57】

[式中、n=1であり、かつ両方の基D1又はD2の一方が−COClであるか又はもう一方の基が水素を意味する]で示されるリレンジカルボン酸塩化物を、非求核性塩基と、所望であれば付加的に非プロトン性溶剤の存在下で、一般式IIIg
【化58】

[式中、m=0である]で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Igで示され、その式中、B′及び残りの基B1又はB2が水素を意味するリレンジカルボン酸アミドを得ることを特徴とする方法が見出された。
【0144】
また、アミド化のためには、通常は3,9−異性体と3,10−異性体との混合物の形で存在するペリレンジカルボン酸塩化物Ifが使用されるので、多重発色団Igは、相応の異性体混合物としても得られる。
【0145】
アミド化は、非求核性塩基と、所望であれば付加的に非プロトン性溶剤の存在下で行われる。
【0146】
非求核性塩基としては、有利には非求核性の窒素塩基が使用される。このために適した例は、アルキルアミン、特にトリ(C2〜C6−アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミン、及び複素環式の塩基、例えばピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、(4−ピロリジノ)ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピペリドン、N−メチルモルホリン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)及びジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0147】
これらの窒素塩基は、同時に溶剤として役立ちうる。この場合に、通常は、リレンジカルボン酸塩化物IIfの1gあたりに、10〜100g、有利には10〜50gの塩基が使用される。
【0148】
アミド化を、更なる非プロトン性溶剤、特にN,N−二置換された脂肪族カルボン酸アミド又はN−アルキルラクタムの存在下で実施する場合には、一般にリレンジカルボン酸塩化物IIfの1gあたりにそれぞれ、3〜50g、とりわけ10〜25gの窒素塩基と、約3〜50ml、特に10〜25mlの付加的な溶剤が使用される。
【0149】
一般に、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIg及びリレンジカルボン酸塩化物IIfは、モル比0.8:1〜1.2:1で反応させる。
【0150】
反応温度は、通常は、0〜75℃、とりわけ20〜50℃である。アミド化は、無水条件下で行うことが推奨される。反応時間は、一般に、1〜24時間、有利には1〜5時間である。プロセス技術的には、アミド化の場合に、適宜、以下のような措置が採られる:
リレンジカルボン酸塩化物IIf、リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIg及び非求核性塩基並びに場合により溶剤を混合し、この混合物を、場合により所望の反応温度にまで加熱し、そして1〜24時間にわたり所望の反応温度で撹拌する。
【0151】
多重発色団Igの単離は、プロトン性溶剤、例えば水及び低級の脂肪族アルコールで希釈し、濾別し、水性塩基、例えばアルカリ金属炭酸水素塩溶液で、そして引き続き水で繰り返し洗浄し、次いで乾燥させることによって行うことができる。
【0152】
求核置換で記載されているように、得られた多重発色団Igを、所望であれば、更なる精製のために、カラムクロマトグラフィーもしくはカラム濾過又は再結晶化あるいは分別結晶化(その際、溶剤として硫酸は除外される)に供することができる。
【0153】
リレン発色団中で二ハロゲン化された、特に二塩素化もしくは二臭素化された、あるいは二シアノ置換された多重発色団Ig(B′=残りの基B1又はB2=ハロゲンもしくはシアノ)は、相応の多重発色団Ifと同様に製造できる。それぞれの方法のより詳細な説明のために、従ってエステル化の節における実施態様を指摘する。
【0154】
リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIの製造
最後に、冒頭に定義された式III
【化59】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の製造方法において、一般式V
【化60】

[式中、Halは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲン化されたリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、一般式
H−Y1−A−Y−H VI
で示される少なくとも二官能性の芳香族化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり2〜5モルと反応させることを特徴とする方法が見出された。
【0155】
ペリ−ハロゲン原子を交換する少なくとも二官能性の化合物VIは、ジ(チオ)アルコール又はアミノ(チオ)アルコールであって、Y(−O−もしくは−S−)を介してリレンジカルボン酸イミドVに結合されるものである。
【0156】
少なくとも二官能性の化合物VIは、上記した、少なくとも1つの(複素)芳香族基を有する架橋員Aを、官能性基−YH及び−Y1Hとして結合する単位である。好ましい化合物及び特に好ましい化合物VIは、従って、上記の架橋員Aに自由にゆだねられる。
【0157】
殊に適した化合物VIのための例として、詳細に、1,4−ジヒドロベンゼン(ヒドロキノン)、1,3−ジヒドロベンゼン(レゾルシン)、1,2−ジヒドロキシベンゼン(ブレンツカテキン)、1,4−、1,3−及び1,2−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジ(t−ブチル)ベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジヘキシルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジ(t−オクチル)ベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジドデシルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジ(2−ドデシル)ベンゼン、p−、m−及びo−アミノフェノール、1,4−及び1,8−ジヒドロキシナフタリン、1,4−及び1,8−ジメルカプトナフタリン、1,4−及び1,8−ジアミノナフタリン、4,4′−、3,3′−及び2,2′−ジヒドロキシジフェニル(4,4′−、3,3′−及び2,2′−ジヒドロキシビフェニル)、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトラメチルジフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトライソプロピルジフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトラ(2−ヘキシル)ジフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトラメチルジフェニル、(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)メタン、(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)ジメチルメタン(ビスフェノールA)、(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)ジエチルメタン及び(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)ジフェニルメタンが挙げられ、その際、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジ(t−オクチル)ベンゼン、p−アミノフェノール、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトラメチルジフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトライソプロピルジフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′,6,6′−テトラ(2−ヘキシル)ジフェニル及びビスフェノールAが殊に好ましい。
【0158】
ペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸イミドV及び少なくとも二官能性の化合物VIの反応は、同様に、求核置換である。
【0159】
求核置換の節に示した反応条件(非求核性溶剤の種類と量、塩基の種類と量、反応温度、プロセス工学的方法、単離及び所望であれば反応生成物の精製)は、従って本反応にも転用できる。
【0160】
少なくとも二官能性の化合物VIとペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸イミドVとのモル比は、2:1〜5:1、有利には3:1〜4:1である。
【0161】
過剰のVIによって、ジオール及びジチオールの場合に予測される、基−Y−A−Y−を介して二倍化されたリレンジカルボン酸イミドの形成は、効果的に抑えることができる。過剰のVIは、更に、プロトン性溶剤、例えば水、低級の脂肪族アルコール又はアルコール/水混合物での洗浄によって容易に、この溶剤中に不溶性の反応生成物から取り出すことができる。
【0162】
リレンジカルボン酸イミド誘導体IIIは、従って、有利には、高価な保護基化学を用いずに得られる。
【0163】
本発明による多重発色団Iは、所望の利用目的にその光学特性を狙い通りに適合できる点で優れている。その発光は、その吸収に対して長波長にシフトしており、その際、それぞれの波長領域は、簡単に、リレン発色団及び発色団Xの相応の選択によって固定することができる。このようにして、大きなストークスシフトを有する可溶性の色素が得られる。
【0164】
それらの色素は、問題なく、有機材料及び無機材料に導入でき、かつ従って全ての一連の使用目的のためにも確かに適しており、その使用目的のうちの幾つかを以下に例示する。
【0165】
その際、多重発色団Iの特性決定のために、基礎となるリレン発色団のみを挙げる。特に示されない場合に、発色団Xは、それぞれ低級の同族体である。
【0166】
これらは、一般に、塗料、印刷インキ及びプラスチックの着色の為に使用できる。
【0167】
ペリレンを及びテリレンを基礎とする多重発色団Iは、電磁スペクトルの可視領域に吸収を示し、その際特に、ペリレンを基礎とする多重発色団の場合に電磁スペクトルの可視領域にあるその蛍光の点で優れている。
【0168】
クアテリレンを基礎とする多重発色団Iは、特にその吸収能に基づき、電磁スペクトルの近赤外領域において関心が持たれている。
【0169】
本発明による多重発色団Iは、電磁線を吸収及び/又は放出する水性ポリマー分散液の製造のために使用することができる。蛍光性のポリマー分散液は、テリレンを基礎とする多重発色団の場合に、特にペリレンを基礎とする多重発色団の場合に生ずるが、一方で、クアテリレンを基礎とする多重発色団の場合には、電磁スペクトルの近赤外領域で吸収を示すポリマー分散液が得られる。
【0170】
更に、それらの多重発色団は、標識及びマーキングの作製のために適している。クアテリレンを基礎とする多重発色団Iは、ここでは、電磁スペクトルの近赤外領域におけるその顕著な吸収に基づき、ヒトの眼に視認できない、赤外光を吸収する標識及びマーキングを生ずるが、一方で、ペリレンを及びテリレンを基礎とする多重発色団Iは、(短波長)吸収と(長波長)放出との間の広い間隔に基づき、特に標識目的及びマーキング目的に関心が持たれている。
【0171】
本発明による多重発色団Iは、最後に、ディスプレイ用途のためのフィルタ又は発光体としても使用することができる。この場合に、可視領域に吸収を示す、蛍光性の多重発色団I、従って、とりわけペリレンを基礎とする多重発色団は、LCDディスプレイ及びOLEDディスプレイ用の吸収性のカラーフィルタ又は蛍光発光体として関心が持たれている。
【0172】
最後に、多重発色団Iは、また、化学発光における発光体としても使用することができる。ここで、改めて、ペリレンを及びテリレンを基礎とする蛍光性の多重発色団が特に適している。
【0173】
とりわけ、本発明による多重発色団I、特にペリレンを及びテリレンを基礎とする多重発色団は、光電池における活性成分としても使用することができる。
【0174】
実施例
実施例1: 多重発色団Ia1
【化61】

【0175】
a) リレンジカルボン酸イミド誘導体III1の製造
【化62】

【0176】
30mlのN−メチルピロリドン、4.15g(30ミリモル)炭酸カリウム、6.60g(60ミリモル)のヒドロキノン及び4.15g(15ミリモル)のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−クロロナフタリン−1,8−ジカルボン酸イミドからなる混合物を、窒素下で80℃において24時間撹拌した。
【0177】
室温に冷却した後に、該反応混合物を3lの水に沈殿させた。得られた懸濁液を、30分間、還流温度に加熱し、室温に冷却し、そして濾過した。濾過残滓を、200mlの水及び5mlのエタノールからなる混合物中で60℃で1時間撹拌し、再び濾別し、約400mlの温水で洗浄し、そして真空中で80℃において乾燥させた。
【0178】
6.9g(定量的反応)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III1が、帯黄色の固体の形で得られた。
【0179】
f値(トルエン/エタノール 7:1)=0.40。
【0180】
b) 多重発色団Ia1の製造
4.6g(10ミリモル)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III1、0.86g(6ミリモル)の炭酸カリウム、50mlのN−メチルピロリドン及び4.34g(5ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,7−と−1,6−ジブロモペリレン−3,4,:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物(異性体比 75:25)からなる混合物を、窒素下で、室温において28時間撹拌した。更に0.86g(6ミリモル)の炭酸カリウムを添加した後に、更に20時間にわたり室温で撹拌した。
【0181】
該反応混合物を、ゆっくりと、1lの水、50gの6質量%の硫酸及び50mlのエタノールからなる混合物中に注いだ。前記のようにして沈殿された生成物を濾別し、水及びエタノールで複数回洗浄し、そして真空中で80℃において乾燥させた。
【0182】
7.74g(95%)の多重発色団Ia1が赤色の固体の形で得られ、それを更なる精製のためにシリカゲル上での、溶出剤としてのトルエン/酢酸エステル混合物(20:1)を用いたカラムクロマトグラフィーに供した。
【0183】
f値(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.42;
吸収:λmax(CH2Cl2)=351,525nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=575nm。
【0184】
図1は、精製された多重発色団Ia1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【0185】
実施例2: 多重発色団Ia2
【化63】

【0186】
0.93g(2ミリモル)の実施例1a)からのリレンジカルボン酸イミド誘導体III1、0.17g(1.25ミリモル)の炭酸カリウム、10mlのN−メチルピロリドン及び0.42g(0.5ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4,:9,10−テトラカルボン酸ジイミドからなる混合物を、窒素下で80℃において30時間撹拌した。
【0187】
室温に冷却した後に、該反応混合物を、ゆっくりと、300mlの5質量%硫酸及び30mlのエタノールからなる混合物に注いだ。1時間撹拌した後に、このようにして沈殿された生成物を濾別し、水で洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。乾燥させた生成物を、トルエン中で加温しながら溶解させ、そしてわずかな活性炭と一緒に撹拌した。活性炭を引き続き濾別し、そして濾液を真空中で蒸発させた。
【0188】
0.8g(62%)の多重発色団Ia2が紫色の固体の形で得られ、それを更なる精製のためにシリカゲル上での、溶出剤としてのトルエン/酢酸エステル混合物(10:1)を用いたカラム濾過に供した。
【0189】
f値(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.42;
吸収:λmax(CH2Cl2)=349,551nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=602nm。
【0190】
実施例3: 多重発色団Ia3
【化64】

【0191】
式Ia3は、両方のフェノキシ基(X及びZ)によって四置換された生成物の主成分を示し、それは、両方のフェノキシ基を比率4:1、1:3、2:2、1:3及び0:4の混合物として含む生成物の混合物として存在する。
【0192】
3.72g(8ミリモル)の実施例1a)からのリレンジカルボン酸イミド誘導体III1、1.38g(10ミリモル)の炭酸カリウム、50mlのN−メチルピロリドン及び3.39g(4ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4,:9,10−テトラカルボン酸ジイミドからなる混合物を、窒素下で80℃において12時間撹拌した。2.48g(12ミリモル)のt−オクチルフェノールを添加した後に、更に6時間、80℃で撹拌した。
【0193】
室温に冷却した後に、反応混合物を、ゆっくりと、250mlの5質量%硫酸中に注いだ。このようにして沈殿させた生成物を濾別し、まず、温水で、次いで水とメタノールとの1:1混合物で、引き続き純粋なメタノールで洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。乾燥させた生成物を、トルエン中で加温しながら溶解させ、そしてわずかな活性炭と一緒に撹拌した。活性炭を引き続き濾別し、そして濾液を真空中で蒸発させた。
【0194】
7.18g(87%)の多重発色団Ia3は、赤色の固体の形で、主成分としてIa3を有する異性体混合物として得られた。
【0195】
f値(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.57;0.82;0.43;0.49;0.96;
吸収:λmax(CH2Cl2)=361,570nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=611nm。
【0196】
図2は、多重発色団Ia3の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【0197】
実施例4: 多重発色団Ib1
【化65】

【0198】
a) リレンジカルボン酸イミド誘導体III2の製造
【化66】

【0199】
2.8g(5ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−9−ブロモペリレン−3,4,:9,10−テトラカルボン酸ジイミド、1.73g(12.5ミリモル)の炭酸カリウム、50mlのN−メチルピロリドン及び2.2g(20ミリモル)のヒドロキノンからなる混合物を、窒素下で、まず22時間80℃で、次いで更に22時間110℃で撹拌した。
【0200】
室温に冷却した後に、反応混合物を、ゆっくりと、300mlの5質量%硫酸中に注いだ。このようにして沈殿させた生成物を濾別し、まず、水で、次いで水とメタノールとの1:1混合物で洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。
【0201】
2.7g(92%)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III2が、紫色の固体の形で得られた。
【0202】
f値(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.12。
【0203】
b) 多重発色団Ib1の製造
1.77g(3ミリモル)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III2、1.18g(3ミリモル)のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−クロロナフタリン−1,8−ジカルボン酸イミド、1.04g(7.5ミリモル)の炭酸カリウム及び50mlのN−メチルピロリドンからなる混合物を、窒素下で34時間、80℃で撹拌した。
【0204】
室温に冷却した後に、反応混合物を、ゆっくりと、500mlの5質量%硫酸中に注いだ。前記のようにして沈殿された生成物を濾別し、温水で洗浄し、そして真空中で80℃において乾燥させた。
【0205】
2.78g(定量的反応)の多重発色団Ib1が、赤色の固体の形で得られた。
【0206】
f値(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.40;
吸収:λmax(CH2Cl2)=353,510nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=584nm。
【0207】
図3は、多重発色団Ib1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【0208】
実施例5: 多重発色団Ia4
【化67】

【0209】
4.4g(7.5ミリモル)の実施例4a)からのリレンジカルボン酸イミド誘導体III2、1.24g(9ミリモル)の炭酸カリウム、100mlのN−メチルピロリドン及び1.73g(1.5ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,9,14−テトラブロモテリレン−3,4,:11,12−テトラカルボン酸ジイミドからなる混合物を、窒素下で80℃において3時間撹拌した。
【0210】
室温に冷却した後に、反応混合物を、ゆっくりと、600mlの5質量%硫酸中に注いだ。前記のようにして沈殿された生成物を濾別し、水及びエタノールで複数回洗浄し、そして真空中で80℃において乾燥させた。
【0211】
5.1g(定量的反応)の多重発色団Ia4が紫色の固体の形で得られ、それを更なる精製のためにシリカゲル上での、溶出剤としてのトルエン/エタノール混合物(10:1)を用いたカラムクロマトグラフィーに供した。
【0212】
f値(トルエン/エタノール 10:1)=0.20;
吸収:λmax(CH2Cl2)=510,675nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=709nm。
【0213】
実施例6: 多重発色団Ic1
【化68】

【0214】
a) リレンジカルボン酸イミド誘導体III3の製造
【化69】

【0215】
20.0g(50ミリモル)のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−クロロナフタリン−1,8−ジカルボン酸イミド、6.7g(60ミリモル)のp−アミノフェノール、3.5g(25ミリモル)の炭酸カリウム及び100mlのN−メチルピロリドンからなる混合物を、窒素下で24時間、80℃で撹拌した。更に7.0g(50ミリモル)の炭酸カリウムを添加した後に、更に6時間にわたり80℃で撹拌した。
【0216】
室温に冷却した後に、該反応混合物を500mlの水に沈殿させた。得られた懸濁液を、24時間、80℃に加熱し、室温に冷却し、そして濾過した。濾過残滓を、熱水で複数回洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。
【0217】
21.5g(92%)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III3が、帯褐色の固体の形で得られた。
【0218】
f値(トルエン/エタノール 7:2)=0.60。
【0219】
b) 多重発色団Ic1の製造
1.04g(2.5ミリモル)のペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、50mlのキノリン、2.4gのリレンジカルボン酸イミド誘導体III3及び0.5g(2.5ミリモル)の酢酸亜鉛二水和物からなる混合物を、窒素下で160℃において6時間、180℃において6時間、そして200℃において2時間撹拌した。
【0220】
室温に冷却した後に、その生成物を、250mlのメタノールの添加によって沈殿させ、濾別し、250mlのメタノール中で再び還流温度にまで加熱し、冷却後に濾別し、そして真空中で80℃で乾燥させた。
【0221】
2.95g(92%)の多重発色団Ic1が橙色の固体の形で得られ、それを、更なる精製のために、N−メチルピロリドン/エタノール混合物(1:3)中での分別結晶化に供した。
【0222】
f値(トルエン/エタノール 7:2)=0.80。
【0223】
吸収:λmax(CH2Cl2)=361,489,525nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=535,578nm。
【0224】
図4は、精製された多重発色団Ic1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;361nmでの励起)を示している。
【0225】
実施例7: 多重発色団If1
【化70】

【0226】
a) ペリレン−3,9−及び−3,10−ジカルボン酸塩化物IIf1の混合物(異性体比 約1:1)の製造
17.0g(50ミリモル)の、ペリレン−3,9−及び−3,10−ジカルボン酸(異性体比 約1:1)、125モルのトルエン及び5滴のジメチルホルムアミドからなる混合物に、窒素下で、13.7g(120ミリモル)の塩化チオニルを、室温で15分で滴加した。次いで、該混合物を110℃で5時間撹拌した。
【0227】
反応混合物を室温に冷却した後に、生成物を濾別し、石油エーテルで無色の流出物となるまで洗浄し、そしてオイルポンプによる真空中で乾燥させた。
【0228】
17.2g(91%)の異性体混合物IIf1が赤色の固体の形で得られた。
【0229】
b) 多重発色団If1の製造
1.16g(29ミリモル)の水素化ナトリウム(鉱油中60質量%)、100mlのジエチレングリコールジエチルエーテル及び11.1g(24ミリモル)の実施例1a)からのリレンジカルボン酸イミド誘導体III1の懸濁液を、窒素下で室温で1時間撹拌した。5.0g(13ミリモル)の異性体混合物IIf1を添加した後に、もう一度、室温で1時間撹拌した。
【0230】
該反応混合物を、次いで1lの水中に入れた。前記のようにして沈殿された生成物を濾別し、それぞれ100mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で4回、次いで水で洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。
【0231】
15.0g(91%)の多重発色団If1が赤色の固体の形で得られ、それを、更なる精製のために、N−メチルピロリドン/水混合物(1:1)中での分別結晶化に供した。
【0232】
f値(トルエン/塩化メチレン 1:10)=0.16;
吸収:λmax(CH2Cl2)=361,445,472nm;
放出:λmax(CH2Cl2)=490,522nm。
【0233】
図5は、精製された多重発色団If1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;360nmでの励起)を示している。
【0234】
実施例8: 多重発色団Ia5
【化71】

【0235】
a) リレンジカルボン酸イミド誘導体III4の製造
【化72】

【0236】
14.0g(25ミリモル)のN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−9−ブロモペリレン−3,4−ジカルボン酸イミド、8.65g(62ミリモル)の炭酸カリウム、24.9g(100ミリモル)の4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニル及び200mlのN−メチルピロリドンからなる混合物を、窒素下で14時間110℃で撹拌した。更に3.0g(22ミリモル)の炭酸カリウムを添加した後に、更に1時間にわたり140℃で撹拌した。
【0237】
室温に冷却した後に、反応混合物を、1lの5質量%硫酸中で沈殿させた。沈殿された生成物を濾別し、80℃の温水で洗浄し、そして真空中で80℃において乾燥させた。乾燥させた生成物を、400mlのエタノール中で1時間にわたり還流温度に加熱し、そして次いでゆっくりと室温に冷却した。
【0238】
11.5g(64%)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III4が、紫色の固体の形で得られ、それを更なる精製のために、シリカゲル上での、溶出剤として塩化メチレンを用いたカラムクロマトグラフィーに供した。
【0239】
f値(塩化メチレン)=0.18。
【0240】
b) 多重発色団Ia5の製造
0.8g(0.7ミリモル)のN,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,9,14−テリレン−3,4:11,12−テトラカルボン酸ジイミド、2.0g(2.8ミリモル)のリレンジカルボン酸イミド誘導体III4、0.57g(4ミリモル)の炭酸カリウム及び50mlのN−メチルピロリドンからなる混合物を、窒素下で75℃において16時間撹拌した。更に0.14g(1ミリモル)の炭酸カリウムを添加した後に、更に16時間にわたり75℃で撹拌した。
【0241】
室温に冷却した後に、反応混合物を、80mlの5質量%硫酸中で沈殿させた。沈殿された生成物を濾別し、連続的に約500mlの水で、そして100mlのエタノールで洗浄し、そして真空中で80℃で乾燥させた。
【0242】
2.3g(90%)の多重発色団Ia5が紫色の固体の形で得られ、それを更なる精製のためにシリカゲル上での、トルエン/酢酸エステル混合物(30:1)を用いたカラムクロマトグラフィーに供した。
【0243】
f値(トルエン/酢酸エステル 30:1)=0.06;
吸収:λmax(メチルイソブチレート)=520,683nm;
放出:λmax(メチルイソブチレート)=702nm。
【0244】
図6は、精製された多重発色団Ia5のメチルイソブチレート中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(灰色の線;500nmでの励起)を示している。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】図1は、精製された多重発色団Ia1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【図2】図2は、多重発色団Ia3の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【図3】図3は、多重発色団Ib1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;364nmでの励起)を示している。
【図4】図4は、精製された多重発色団Ic1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;361nmでの励起)を示している。
【図5】図5は、精製された多重発色団If1の塩化メチレン中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(破線;360nmでの励起)を示している。
【図6】図6は、精製された多重発色団Ia5のメチルイソブチレート中での吸収スペクトル(実線)及び放出スペクトル(灰色の線;500nmでの励起)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、置換基及び変数は以下の意味を有する:
リレンは、式
【化2】

で示される基を意味し、前記基は、少なくとも1個のイミド基、エステル基もしくはアミド基によって官能化されており、かつ付加的にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい;
Xは、リレンジカルボン酸イミド基を意味し、前記基は、リレン基とは別の波長で吸収を示すものであり、ペリ位において、Yを介して基Xに結合されている基
−Y′−A−Y−
を介してリレン基と結合されており、かつ同様にアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ及び/又はヘタリールチオによって置換されていてよい;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又はYとY′は、その芳香族もしくは複素芳香族の基に結合されており、
Yは、基
【化3】

を意味し、
Y′は、基
【化4】

を意味し、その際、基(i)及び(ii)は、リレン基のエステル基の成分であってよく、かつ基(iii)は、リレン基のイミド基の成分であり、かつ基(iv)は、リレン基のアミド基の成分であり、
1は、水素又はC1〜C18−アルキルであり、その際、基R1は、それらが複数ある場合には、同一もしくは異なってよく、
nは、1、2もしくは3であり、
xは、1〜7である]で示されるリレンを基礎とする多重発色団。
【請求項2】
一般式I′
【化5】

[式中、置換基及び変数は以下の意味を有する:
Xは、式
【化6】

で示されるリレンジカルボン酸イミド基を意味し、その際、基Xは、同一又は異なってよい;
Zは、アリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシ又はヘタリールチオを意味し、前記の基には、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C30−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又は飽和もしくは不飽和のC4〜C7−シクロアルキル(その炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、前記アリール基及びシクロアルキル基は、それぞれC1〜C18−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32、その際、
基Zは、z>1の場合に及び/又はz1>1の場合に、同一又は異なってよい;
Bは、n=1、2又は3の場合に、
互いに、式(a)又は(b)
【化7】

の基に結合されて、6員環を形成するか、又は1個の基Bは、水素を意味し、その他の基は、基Xを意味する;
Bは、n=1の場合に、付加的に
両方とも水素であるか、1個の基Bは、水素を意味し、その他の基は、Zを意味するか、又は
1個の基Bは、水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、その他の基は、式(c)
【化8】

の基を意味する;
B′は、n=1、2又は3の場合に、
基Bが一緒になって式(a)の基を意味する場合には、互いに、式(a)の基に結合されて、6員環を形成する;
1個の基Bが水素を意味し、かつその他の基が基Xを意味する場合には、互いに、式(a)の基に結合されて、6員環を形成し、その際、n=2もしくは3の場合に、x=0及びz≠0が適用される;
基Bが一緒になって式(a)もしくは(b)の基を意味するか、又は基Bが水素を意味し、かつ他の基が基XもしくはZを意味する場合に、互いに、式(b)の基に結合されて、6員環を形成し、その際、n=2もしくは3の場合に、x=0及びz≠0が適用される;
B′は、n=1の場合に、付加的に、
1個の基Bが水素を意味し、かつその他の基が基Zを意味する場合には、互いに、式(a)もしくは(b)の基に結合されて、6員環を形成する;
基B′は、1個の基Bが水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、かつその他の基が式(c)の基を意味する場合には、水素、ハロゲンもしくはシアノを意味し、その他の基は、式(c)の基を意味する;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又は基YとY1は、その芳香族基もしくは複素芳香族基に結合されている;
Yは、−O−又は−S−を意味する;
1は、−O−、−S−又は−NR1−を意味する;
Rは、水素、C1〜C30−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、基Zについての置換基として挙げられる基(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げられた基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び/又はアリールアゾ及び/又はヘタリールアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;その際、
基Rは、それらが式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
1は、水素又はC1〜C18−アルキルを意味し、その際、基R1は、それらが複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ及び/又は−COOR1によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C12−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1、2又は3を意味する;
mは、0、1又は2を意味する;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′が、それぞれ式(b)の基を意味するか又は基B及び基B′がそれぞれ式(c)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′が、それぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜6を意味し、基B及びB′の全ての他の意味については、0を意味する;
n=3の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜4を意味し、基B及びB′の全ての他の意味については、0を意味する;
zは、0〜8を意味し、その際、x+z≦8であり、ここで、n=2もしくは3の場合には、x=0である場合に、z≠0が適用される;
z1は、m=0の場合に0を意味し、m=1の場合に0〜2を意味し、m=2の場合に2〜4を意味する]で示されるリレンを基礎とする多重発色団。
【請求項3】
請求項2に記載の一般式I′で示される多重発色団であって、置換基及び変数は、以下の意味を有する:
Zは、フェノキシ又はチオフェノキシを意味し、前記のフェノキシ又はチオフェノキシは、それぞれ同一もしくは異なる以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−及び/又は−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ及び/又はアリール(それは、C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−CR1=CR1−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記のC3〜C8−シクロアルキルは、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ及び/又はC1〜C6−アルキルチオによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールには、それぞれ更なる5員ないし7員の飽和もしくは不飽和の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、−C=CR1−、−CR1=CR1−、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C18−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32;その際、
基Zは、z>1の場合に及び/又はz1>1の場合に、同一もしくは異なってよい;
Aは、式
【化9】

で示されるアリーレン基又はヘタリーレン基を意味し、その式中、
環Pは、同一又は異なってよく、ヘテロ原子を環原子として含有してよく、かつ/又は縮合された5員ないし7員の環を有してよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、基Aは、それらが式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
Eは、化学結合、基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−又はC1〜C12−アルキレンもしくはC4〜C7−シクロアルキレン(その炭素鎖は、それぞれこれらの基によって一箇所でもしくは複数箇所で中断されていてよく、かつ前記基は、それぞれ基Zについての置換基として挙げられる基(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい)、アリーレンもしくはヘタリーレン(それぞれ、基Zについての置換基として挙げられる(i)、(ii)、(iii)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、ヒドロキシ及びメルカプトは、基(v)として除外されている)を意味する;
Yは、−O−を意味する;
1は、−O−又は−NR1−を意味する;
Rは、C1〜C30−アルキル、フェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジル、C5〜C8−シクロアルキルを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、シアノ及び/又はアリール(C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のフェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジルは、それぞれC1〜C18−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CONR23、−SO2NR23及び/又はフェニルアゾ及び/又はナフチルアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC5〜C8−シクロアルキルは、C1〜C6−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよい;その際、
基Rは、それらが式I中に複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
1は、水素又はC1〜C6−アルキルを意味する;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールは、それぞれ、C1〜C6−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1もしくは2を意味する;
mは、0もしくは1を意味し、その際、m=n−1である;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味するか又は基B及び基B′がそれぞれ式(c)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合に、2〜4を意味し、基B及びB′の他の全ての意味については、0を意味する;
zは、0〜4を意味し、その際、x+z≦4であり、その際、x=0である場合に、n=2については、z≠0が適用される;
z1は、m=0の場合に0を意味し、m=1の場合に0〜2を意味する、多重発色団。
【請求項4】
請求項2に記載の一般式I′で示される多重発色団であって、置換基及び変数が、以下の意味を有する:
Zは、フェノキシを意味し、前記フェノキシは、同一もしくは異なる以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C18−アルキル、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルは、C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C12−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールは、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ及び/又はハロゲンによって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−又は−NR1−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン又はシアノ;
B、B′は、それぞれ互いに結合されて、式(a)又は(b)の基となる;
Aは、式
【化10】

で示されるアリーレン基を意味し、その式中、
フェニレン環又はナフチレン環は、C1〜C18−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、基Aは、それらが式I中に複数ある場合に、同一もしくは異なってよい;
Eは、化学結合、メチレン又はイソプロピレンを意味する;
Y、Y1は、−O−を意味する;
Rは、C1〜C30−アルキル、フェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジル、C5〜C8−シクロアルキルの同一の基を意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−及び/又は−CO−によって中断されていてよく、かつC1〜C6−アルコキシ、シアノ及び/又はアリール(C1〜C18−アルキル及び/又はC1〜C6−アルコキシによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のフェニル、ナフチル、ピリジルもしくはピリミジルは、それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CONR23、−SO2NR23及び/又はフェニルアゾ及び/又はナフチルアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC5〜C8−シクロアルキルは、C1〜C6−アルキルによって一置換もしくは多置換されていてよい;
1は、水素又はC1〜C6−アルキルを意味する;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールは、それぞれ、C1〜C6−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述された基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
nは、1又は2を意味する;
mは、0又は1を意味し、その際、m=n−1である;
xは、
n=1の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味する場合には、2〜4又は0をも意味する;
n=2の場合:
基B及び基B′がそれぞれ式(a)の基を意味する場合には、2〜4を意味し、基B及び基B′がそれぞれ式(b)の基を意味する場合には、0を意味する;
zは、0〜4を意味し、その際、x+z≦4である;
z1は、0を意味する、多重発色団。
【請求項5】
一般式Ia
【化11】

[式中、置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIa
【化12】

[式中、Halは、塩素又は臭素を意味する]で示されるハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸ジイミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化13】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Iaで示され、z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)まず、一般式IIIaのリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は、
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Iaで示され、z≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
一般式Ib
【化14】

[式中、n=1であり、B′は、水素、基X又は基Zを意味し、他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIb
【化15】

[式中、n=1であり、Hal′は、水素又はHalを意味し、その際、Halは、塩素もしくは臭素を表す]で示されるハロゲン化されたリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化16】

[式中、置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ibで示され、z=0であるリレンジカルボン酸イミドを得るか、又は
b)まず、一般式IIIaのリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は、
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に一般式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Ibで示され、z≠0であるリレンジカルボン酸イミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
一般式Ib′
【化17】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIb′
【化18】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、一般式IIIa
【化19】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法。
【請求項8】
一般式Ic
【化20】

[式中、n=1であり、xが0又は2〜4を意味し、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIc
【化21】

[式中、n=1であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸二無水物を、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化22】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに1.8〜3モルと反応させて、式Icで示され、x=z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得て、場合により、リレン核中でハロゲン化された得られたリレンテトラカルボン酸ジイミドIcを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化23】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Icで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させて、式Icで示され、z≠0でありかつx=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、そして次に式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず、式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体と式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり、それぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Icで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
一般式Id
【化24】

[式中、n=1であり、B′は、水素、基Xもしくは基Zを意味し、xは、0又は2〜4を表し、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IId
【化25】

[式中、n=1であり、かつHal′は、水素又はHalを意味し、その際、Halは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンジカルボン酸無水物を、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化26】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Idで示され、x=z=0であるリレンジカルボン酸イミドを得て、場合により、リレン核内でハロゲン化された得られたリレンジカルボン酸イミドIdを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化27】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Idで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンジカルボン酸イミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させて、式Idで示され、z≠0でありかつx=0であるリレンジカルボン酸イミドを得るか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体及び式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたりそれぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Idで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンジカルボン酸イミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
一般式Ie
【化28】

[式中、n=1であり、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有するる]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIe
【化29】

[式中、n=1であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示される場合によりハロゲン化されたリレンテトラカルボン酸一無水物モノイミドを、高沸点溶剤と、所望であればルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化30】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ieで示され、x=z=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得て、場合により、リレン核内でハロゲン化された得られたリレンジカルボン酸イミドIeを、中間単離の後に、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、
a)一般式IIIa
【化31】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Ieで示され、x≠0でありかつz=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
b)一般式IV
H−Z IV
で示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させて、式Ieで示され、z≠0でありかつx=0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得るか、又は
c)まず、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IVで示される化合物の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜3モルと反応させるか、又は
まず式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させ、そして次に、式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体の更なる交換されるべきハロゲン原子1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させるか、又は
式IIIaで示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体及び式IVで示される化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたりそれぞれ0.8〜1.2モルと同時に反応させて、
式Ieで示され、x≠0でありかつz≠0であるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
一般式Ic′
【化32】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIc′
【化33】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸二無水物を、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化34】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法。
【請求項12】
一般式Id′
【化35】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸イミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IId′
【化36】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつHalは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲンリレンジカルボン酸無水物を、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化37】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させることを特徴とする方法。
【請求項13】
一般式Ie′
【化38】

[式中、n=2もしくは3であり、かつz=2〜8であり、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIe′
【化39】

[式中、n=2〜8である]で示されるリレンテトラカルボン酸一無水物モノイミドを、高沸点溶剤及びルイス酸の存在下で、一般式IIIc
【化40】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたりに0.8〜1.2モルと反応させて、式Ie′で示されるリレンテトラカルボン酸ジイミドを得ることを特徴とする方法。
【請求項14】
一般式If
【化41】

[式中、n=1であり、B′は、水素、ハロゲン又はシアノであり、両方の基B1又はB2の一方は、式
【化42】

で示される基を意味し、そしてもう一方の基は、水素、ハロゲン又はシアノを意味し、かつ他の置換基及び変数は、請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸エステルを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIIa
【化43】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体を、アルカリ金属塩基及び非プロトン性溶剤の存在下で転化させて、一般式IIIf
【化44】

[式中、Mは、アルカリ金属カチオンを意味する]で示されるアルカリ金属塩とし、そして次いで前記金属塩を、一般式IIf
【化45】

[式中、n=1であり、両方の基D1又はD2の一方は、−COClであるか、又はもう一方の基が水素を意味する]で示されるリレンジカルボン酸塩化物と、モル比0.8:1〜1.2:1で反応させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2は水素を意味するリレンジカルボン酸エステルを得て、所望であれば、得られたリレンジカルボン酸エステルを、中間単離の後に、極性の有機溶剤とルイス酸の存在下で、N−ハロゲンスクシンイミドでハロゲン化させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2はハロゲンを意味するリレンジカルボン酸エステルを得て、所望であれば、得られたハロゲン化されたリレンジカルボン酸エステルを、金属シアン化物で、非プロトン性溶剤及び遷移金属触媒の存在下で転化させて、式Ifで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2はシアノを意味する相応のシアノ置換されたリレンジカルボン酸エステルを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
一般式Ig
【化46】

[式中、n=1であり、B′は、水素、ハロゲン又はシアノであり、両方の基B1もしくはB2の一方は、式
【化47】

で示される基を意味し、かつもう一方の基は、水素、ハロゲン又はシアノを意味し、他の置換基及び変数は請求項2に挙げられる意味を有する]で示されるリレンジカルボン酸アミドを基礎とする多重発色団の製造方法において、一般式IIf
【化48】

[式中、n=1であり、両方の基D1もしくはD2の一方は、−COClを意味するか又はもう一方の基は水素を意味する]で示されるリレンジカルボン酸塩化物を、非求核性塩基と、所望であれば付加的に非プロトン性溶剤の存在下で、一般式IIIg
【化49】

で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体1モルあたり0.8〜1.2モルと反応させて、式Igで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2が水素を意味するリレンジカルボン酸アミドを得て、そして所望であれば、得られたリレンジカルボン酸アミドを、中間単離の後に、極性の有機溶剤及びルイス酸の存在下で、N−ハロゲンスクシンイミドでハロゲン化させて、式Igで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2がハロゲンを意味するリレンジカルボン酸アミドを得て、所望であれば、得られたハロゲン化されたリレンジカルボン酸アミドを、金属シアン化物によって、非プロトン性溶剤及び遷移金属触媒の存在下で転化させて、式Igで示され、その式中、B′及び残りの基B1もしくはB2がシアノを意味する相応のシアノ置換されたリレンジカルボン酸アミドとすることを特徴とする方法。
【請求項16】
一般式III
【化50】

[式中、置換基及び変数は、以下の意味を有する:
Zは、アリールオキシアリールチオ、ヘタリールオキシ又はヘタリールチオを意味し、それらに、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、以下の基(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい:
(i)C1〜C30−アルキル、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C30−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又は飽和もしくは不飽和のC4〜C7−シクロアルキル(その炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、前記のアリール基及びシクロアルキル基は、それぞれC1〜C18−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(ii)C3〜C8−シクロアルキル、
前記のC3〜C8−シクロアルキルの炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iii)アリールもしくはヘタリール、
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2、−SO32、アリール及び/又はヘタリール(それぞれ、C1〜C18−アルキル、C1〜C12−アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2及び/又は−SO32によって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
(iv)基−U−アリール、
前記基は、アリール基(iii)についての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよく、その際、Uは、基−O−、−S−、−NR1−、−CO−、−SO−又は−SO2−を意味する;
(v)C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、−C≡CR1、−CR1=CR12、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−NR23、−NR2COR3、−CONR23、−SO2NR23、−COOR2又は−SO32;その際、
基Zは、z>1及び/又はz1>1の場合に、同一もしくは異なってよい;
Aは、少なくとも1個の芳香族もしくは複素芳香族の基を有する架橋員を意味し、その際、基Y又は基YとY1は、その芳香族基もしくは複素芳香族基に結合されている;
Yは、−O−又は−S−を意味する;
1は、−O−、−S−又は−NR1−を意味する;
Rは、水素、C1〜C30−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C30−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−C≡C−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記C1〜C30−アルキルは、基Zについての置換基として挙げた基(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のC3〜C8−シクロアルキルには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げた(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−NR1−、−N=CR1−、−CR1=CR1−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、基Zについての置換基として挙げられる(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び/又はアリールアゾ及び/又はヘタリールアゾ(それぞれ、C1〜C10−アルキル、C1〜C6−アルコキシ及び/又はシアノによって一置換もしくは多置換されていてよい)によって一置換もしくは多置換されていてよい;その際、
基Rは、それらが式I中に複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
1は、水素又はC1〜C18−アルキルを意味し、その際、基R1は、それらが複数ある場合には、同一もしくは異なってよい;
2、R3は、互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル、アリールもしくはヘタリールを意味し、
前記のC1〜C18−アルキルの炭素鎖は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、かつ前記のC1〜C18−アルキルは、C1〜C12−アルコキシ、C1〜C6−アルキルチオ、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、シアノ、ニトロ及び/又は−COOR1によって一置換もしくは多置換されていてよい;
前記のアリールもしくはヘタリールには、それぞれ更なる飽和もしくは不飽和の5員ないし7員の環が縮合されていてよく、前記環の炭素骨格は、1もしくは複数の基−O−、−S−、−CO−及び/又は−SO2−によって中断されていてよく、その際、全環系は、C1〜C12−アルキル及び/又はアルキルについての置換基として上述した基によって一置換もしくは多置換されていてよい;
mは、0、1もしくは2を意味する;
z1は、m=0の場合に0を意味し、m=1の場合に0〜2を意味し、m=2の場合に2〜4を意味する]で示されるリレンジカルボン酸イミド誘導体。
【請求項17】
請求項16に記載の式IIIのリレン誘導体の製造方法において、式V
【化51】

[式中、Halは、塩素もしくは臭素を意味する]で示されるペリ−ハロゲン化されたリレンジカルボン酸イミドを、塩基及び非求核性溶剤の存在下で、一般式VI
H−Y1−A−Y−H VI
で示される少なくとも二官能性の芳香族化合物の交換されるべきハロゲン原子1モルあたり2〜5モルと反応させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、有機材料及び無機材料の着色のために用いる使用。
【請求項19】
請求項18に記載の使用であって、有機材料が、塗料、印刷インキ又はプラスチックであることを特徴とする使用。
【請求項20】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、電磁線を吸収及び/又は放出する水性ポリマー分散液の製造のために用いる使用。
【請求項21】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、ヒトの眼に視認できない標識及びマーキングを作製するために用いる使用。
【請求項22】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、ディスプレイ用途におけるフィルタ又は発光体として用いる使用。
【請求項23】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、化学発光用途における発光体として用いる使用。
【請求項24】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の多重発色団を、光電池における活性成分として用いる使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−507941(P2009−507941A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524493(P2008−524493)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064733
【国際公開番号】WO2007/014902
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】