説明

多量体の磁気共鳴造影剤

本発明は、式(I)及び(II)の新規化合物、式(II)の化合物を含む組成物、並びに磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)及びMR分光法(MRS)における造影剤としてのそれの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)及び(II)の新規化合物、式(II)の化合物を含む組成物、並びに磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)及びMR分光法(MRS)における造影剤としてのそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MR画像信号は多数のパラメーターの影響を受けるが、これらのパラメーターは2つの一般的カテゴリーに分類できる。即ち、固有の組織パラメーター及びユーザー選択可能なイメージングパラメーターである。特定組織のMR信号強度に影響を及ぼす固有の組織パラメーターは、主として、該組織のプロトン密度(即ち、水素原子核密度)並びにそれの固有T及びT緩和時間である。信号強度はまた、流れのような他の因子による影響も受ける。2種の隣接した組織(例えば、腫瘍及び正常組織)間のコントラストは、2種の組織間の信号の差に依存する。この差は、ユーザー選択可能なパラメーターの適正な使用によって最大化することができる。MR画像コントラストに影響を及ぼし得るユーザー選択可能なパラメーターには、パルスシーケンスの選択、フリップ角、エコー時間、繰返し時間及び造影剤の使用がある。
【0003】
MRIでは、画像コントラストを高めるために造影剤がしばしば使用される。造影剤は、T、T及び/又はT緩和時間を変化させ、それにより画像のコントラストに影響を及ぼすことで作用する。造影剤の動的挙動を観察することで、灌流、透過性及び細胞密度並びに他の生理学的パラメーターに関する情報を得ることができる。
【0004】
MRIでは、いくつかの種類の造影剤が使用されてきた。水溶性の常磁性金属キレート(例えば、Omniscan(商標)(GE Healthcare社)のようなガドリニウムキレート)は、広く使用されているMR造影剤である。これらは、分子量が小さいので、血管系に投与した場合に細胞外スペース(即ち、血液及び間質組織)中に急速に分布する。これらはまた、生体から比較的急速に排出される。
【0005】
他方、血液プールMR造影剤(例えば、超常磁性酸化鉄粒子)は、長時間にわたって血管系内に保持される。これらは、肝臓内のコントラストを高めるばかりでなく、毛細血管の透過性異常(例えば、腫瘍血管形成の結果として生じる腫瘍の「漏出性」毛細血管壁)を検出するために極めて有用であることが判明している。
【0006】
MR造影剤として使用される既存の常磁性金属キレートは、今日のMRスキャナーの大部分において標準的である1.5Tの磁場において低い緩和度を有している。将来の市場では恐らく主流となるか或いは少なくとも実質的な部分を占めることになる3Tシステムでは、固有のコントラストは低くなり、すべてのT値は高くなり、ハードウェアは高速になるであろう。したがって、3Tで良好な性能を有する造影剤の必要性は大きい。一般に、造影剤の縦緩和度(r1)は、最新のMRスキャナーの高い磁場(即ち、1.5T、3T又はそれ以上)において低下する。これは、溶液中における小さい分子の高速回転ブラウン運動が水分子に対する常磁性金属イオンの磁場結合を予想より弱めるためである。
【0007】
各種ポリマーのような大きい分子中に常磁性金属キレートを組み込むことで高い緩和度を有する造影剤を製造するため、多くの試みが行われてきた。これらの試みは、高速内部回転又はセグメント回転のために限られた成功しか収めなかった。別のアプローチは、タンパク質に結合され又は結合する常磁性金属キレートである。しかし、かかる化合物は、長い排泄時間又はタンパク質結合薬物との相互作用の危険性のような薬理学的又は薬物動態学的欠点を有する。さらに、正常な内皮を通って間質組織中に漏出する量もやはり多い。
【0008】
本発明は、高い磁場(即ち、1.5Tを超える磁場)においてMR造影剤としての良好な性能を示す新規化合物を提供する。かかる新規化合物は、ゆっくりと回転する結合を有し、加えて高い水交換速度を示す三量体の剛性構造体である。
【0009】
米国特許出願公開第2004/0265236号は、自由回転を示す結合を含む三量体の大環状置換ベンゼン誘導体を開示している。詳しくは、これらの化合物の側鎖中には、化合物を自由に回転させる1以上のメチレン基が存在している。かかる三量体の大環状置換ベンゼン誘導体は、自由回転を示す結合の存在のため、本発明の化合物に比べて低下した緩和度を有する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0265236号明細書
【特許文献2】国際公開第03/074523号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0543482号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2856689号明細書
【非特許文献1】RANGANATHAN R S ET AL:“NEW MULTIMETIC MAGNETIC RESONANCE IMAGING AGENTS”,INVESTIGATIVE RADIOLOGY,vol.33,no.11,November 1998,pages 779−797
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
今回、本発明者らは、特に高い磁場強度(例えば、1.5T、3T又はそれを超える磁場強度)の下で実施されるMRイメージング及びMR分光法で使用するための高い緩和度を有する造影剤を開発した。
【0011】
かくして第1の態様では、本発明は、コアと該コアに結合した−R−L−X基からなる下記式(I)の化合物を提供する。
【0012】
A−(R−L−X) (I)
(式中、
Aは剛性コアを表し、
Rは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものであり、コアAとRとの共有結合の回転及び/又はLが存在するときはRとLとの共有結合及び/又はLとXとの共有結合の回転及び/又はLが存在しないときはRとXとの共有結合の回転に対する障害となる部分を表し、
Lは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものでリンカー部分を表し、
Xは同一又は異なるものであり、キレーターを表し、
nは3又は4の整数を表す。)
「キレーター」という用語は、金属イオンを結合(錯化)してキレートを形成する化学的実在物を表す。金属イオンが常磁性金属イオンであれば、かかる化学的実在物(即ち、前記常磁性金属イオン及び前記キレーターによって形成された錯体)は「常磁性キレート」といわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
式(I)の化合物の好ましい実施形態は、コアと該コアに結合した−R−L−X’基からなる下記式(II)の化合物である。
【0014】
A−(R−L−X’) (II)
(式中、
Aは剛性コアを表し、
Rは同一又は異なるものであり、コアAとRとの共有結合の回転及び/又はLが存在するときはRとLとの共有結合及び/又はLとXとの共有結合の回転及び/又はLが存在しないときはRとX’との共有結合の回転に対する障害となる部分を表し、
Lは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものでリンカー部分を表し、
X’は同一又は異なるものであり、キレーターX及び常磁性金属イオンMからなる常磁性キレートを表し、
nは3又は4の整数を表す。)
前記好ましい実施形態では、前記常磁性キレートX’はキレーターX及び常磁性金属イオンMからなり、前記キレーターX及び常磁性金属イオンMは常磁性キレートといわれる錯体を形成する。
【0015】
以下、例えばR−L−X/X’中又は式中で使用される「…X/X’」という用語は、示された記述又は式がキレーターX又は常磁性キレートX’を含む化合物又は残基に等しく適用されることを意味する。
【0016】
式(I)及び(II)の化合物は、剛性コアAを含むので剛性化合物である。有機化学では、この基準を満たし得る各種の分子が知られている。好ましくは、Aは非重合体の剛性コアである。別の好ましい実施形態では、Aは3個又は4個のR−L−X/X’基が結合された環状コア又は炭素原子である。前記炭素原子に3個のR−L−X/X’基が結合された場合、第4の原子価は水素或いはアミノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキル及びハロゲンから選択される基であればよい。
【0017】
一実施形態では、Aは好ましくは3以上の炭素原子及び任意には1以上のヘテロ原子N、S又はOを含む飽和又は不飽和の芳香族又は脂肪族環であり、前記環はR−L−X/X’基のためにn個の結合点が残されていることを条件にしてヒドロキシル又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル、アミノ又はヒドロキシル基或いはハロゲンからなる1以上の置換基で任意に置換されている。好ましくは、Aはシクロプロパン、シクロブタン、シクロヘプタン又はシクロヘキサンのような脂肪族の飽和又は不飽和3〜10員環であり、これは1以上のヘテロ原子N、S又はOを任意に含むと共に、R−L−X/X’ペンダント基のために3個又は4個の結合点が残されていることを条件にしてヒドロキシル又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル、アミノ又はヒドロキシル基或いはハロゲンからなる1以上の置換基で任意に置換されている。別法として、Aは、1以上のヘテロ原子N、S又はOを任意に含むと共に、1以上の環内炭素原子がカルボニル基である脂肪族の3〜10員環である。
【0018】
別の好ましい実施形態では、Aは1以上のヘテロ原子N、S又はOを任意に含む芳香族の単独又は縮合5〜10員環である。かかる環の例は、例えば、ベンゼン又はナフタレンである。上述の環は、R−L−X/X’ペンダント基のために3個又は4個の結合点が残されていることを条件にしてヒドロキシル又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル、アミノ又はヒドロキシル基或いはハロゲンからなる1以上の置換基で任意に置換されている。
【0019】
さらに、式(I)及び(II)の化合物は、式(I)及び(II)中のR−L−X/X’ペンダント基がコアAとRとの共有結合及び/又は(Lが存在するときは)RとLとの共有結合及び/又はLとX/X’との共有結合及び/又は(Lが存在しないときは)RとX/X’との共有結合に対して回転の制限を及ぼす結果、これらの基が好ましくは37℃で10回/秒未満の速度で回転するので剛性化合物である。
【0020】
式(I)及び(II)の化合物では、Rは同一又は異なるものであり、コアAとRとの共有結合の回転及び/又はLが存在するときはRとLとの共有結合及び/又はLとX/X’との共有結合の回転及び/又はLが存在しないときはRとX’との共有結合の回転に対する障害となる部分を表す。これは様々なやり方で達成できる。例えば、a)緩速回転部分である部分Rを選択すること、或いはb)コア及び/又は(存在するときは)L及び/又はX/X’及び/又は他のR基との立体相互作用によってその回転が妨げられる部分Rを選択することで達成できる。
【0021】
a)に関しては、「緩速回転部分」という用語は0.1μsを超えるコンホメーショナル寿命を有する部分を表す。好ましい緩速回転部分、したがって好ましいRは、N−メチルアニリドのような置換芳香族アミドである。
【0022】
b)に関しては、かかる立体相互作用は、Rが少なくとも5員の炭素環式又は複素環式環或いは二環式又は多環式環のようにバルキーな部分である場合に起こる。かかる立体相互作用は、例えば、C〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)で置換された上述のバルキーな部分のようなバルキーな部分Rを使用することでさらに促進できる。かかるバルキーな部分Rは、1以上の他のR基及び/又はT及び/又はX/X’及び/又は(存在するときは)Lとの相互作用によってR基の回転を妨げる。
【0023】
好ましい実施形態では、Rは任意に置換された芳香族又は非芳香族の5〜7員炭素環式又は複素環式環の残基(例えば、ピリジル、フェニル、ベンジルのような置換フェニル、エチルベンジル又はシクロヘキシル)から選択される。別の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された二環式又は多環式環の残基(例えば、ナフチル又はベンゾイミダゾリル)から選択される。任意の置換基は、C〜C−アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基、或いは(例えば、CHOH、COH又はCHNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基及び/又は(例えば、CHOCH及びOCOHのように)オキソ基を含むC〜C−アルキル基である。
【0024】
前の段落で「…の残基」という用語が選択されているのは、RがA及び(Lが存在すれば)L又は(Lが存在しないときは)X/X’に結合しているからである。したがって、Rは残基と見なすべきである。
【0025】
特に好ましい実施形態では、Rは置換6員芳香環の残基であり、好ましくはメチル基又はエチル基を含む6員芳香環の残基である。
【0026】
Rは、単一の共有結合又は複数の共有結合を介してコアAに結合している。前者はただ1つの単結合を表す一方、後者はRが2以上の単結合によってコアAに結合している場合を表す。これは、RがコアAに対して2つの結合点を有する環状部分(即ち、コアAに縮合している環状部分)である場合である。これは、Aが縮合環の形態で結合された3つのR(太字)を有するフェニルコアである下記式(IIIa)で例示される。
【0027】
【化1】

別法として、Rは下記式(IIIb)の部分を介してAに結合される。
【0028】
【化2】

式中、RはH或いは1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキルを表す。
【0029】
好ましくは、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)を表す。
【0030】
式(IIIb)では、窒素原子又はカルボニル基をコアAに結合することができる。好ましくは、カルボニル基がコアAに結合される。
【0031】
別の好ましい実施形態では、すべてのRは同一である。
【0032】
式(I)及び(II)の化合物中で、Lは存在しても存在しなくてもよい。Lが存在しない場合、Rは共有結合によってX(式(I)の化合物)又はX’(式(II)の化合物)に直接結合される。Lが存在する場合、各Lは同一又は異なるものであり、リンカー部分(即ち、AとX/X’及びRとX/X’をそれぞれ結合し得る部分)を表す。
【0033】
Lの好ましい例は下記の通りである。
【0034】
リンカー部分−(CZ)
(式中、
mは1〜6の整数であり、
及びZは互いに独立に水素原子、ヒドロキシル基、或いは(例えば、CHOH及びCHCHNHのように)ヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基で任意に置換され及び/又は(例えば、CHOCH及びOCHCHOHのように)任意にオキソ基を含むC〜C−アルキル基を表す。)、
さらに好ましいリンカー部分であるリンカー部分−CZ−CO−N(R)−*
(式中、
*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、
、Z及びRは上述した意味を有し、
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。)、
リンカー部分*−CO−N(R)−*
(式中、
*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し(即ち、Rは前記リンカー部分の炭素原子又は窒素原子に結合する。)、
は上記のような意味を有する。)、
リンカー部分−CO−CZ−N(R)−*
(式中、
*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、
、Z及びRは上述した意味を有し、
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。)、並びに
アミノ酸残基であるリンカー部分−CH−CO−NH−CH(Z)CO−NH−*
(式中、
*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、
は天然に存在するα−アミノ酸の側基を表す。)。
【0035】
Lのそれ以外の好ましい例は、ベンゼン又はN−複素環式化合物(例えば、イミダゾール類、トリアゾール類、ピラジノン類及びピペリジン類)の残基であるか又はそれを含む。この場合、Rは前記複素環式化合物中の窒素原子の1つ或いは前記複素環式化合物又はベンゼン中の炭素原子に結合する。
【0036】
Lが上述の残基の1つ(即ち、ベンゼン又は複素環式化合物)を含む場合、Lは好ましくは下記のものである。
*−N−複素環式化合物−(CZ)−又は*−ベンゼン−(CZ)
(式中、
Rは前記複素環式化合物中の窒素原子の1つ又は前記ベンゼン中の炭素原子に結合し、
、Z及びmは上記に定義した通りである。)
かかるリンカー部分Lの好ましい例は下記の通りである。
【0037】
【化3】

式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、#は前記リンカー部分に対するX/X’の結合を表し、mは1又は2である。
【0038】
好ましくは、存在する場合、すべてのLは同一のものである。
【0039】
式(I)の化合物中で、Xは同一又は異なるものであり、キレーターを表す。式(II)の化合物の好ましい実施形態では、Xは常磁性キレートを表すX’(即ち、常磁性金属イオンMとの錯体を形成するキレーターX)である。当技術分野では、常磁性金属イオンMとの錯体を形成する多数のキレーターXが知られている。好ましくは、Xは下記式(IV)の環状キレーターである。
【0040】
【化4】

(式中、
*はL(存在する場合)又はコア(Lが存在しない場合)の結合を表し、
〜Eは互いに独立に、H、CH、CH、OCH、CHOH、CHOCH、OCHCH、OCHCHOH、COOH、COOCH、COOCHCH、C(O)NH、C(O)N(CH)、C(O)N(CHCH)CH及びC(O)N(CHCH)から選択され、
〜Gは互いに独立に、H、CH、CH、OCH、CHOH、CHOCH、OCHCH、OCHCHOH、COOH、COOCH、COOCHCH、C(O)NH、C(O)N(CH)、C(O)N(CHCH)CH及びC(O)N(CHCH)から選択され、
〜Dは互いに独立に、H、OH、CH、CHCH、CHOH、CHOCH、OCHCH、OCHCHOH及びOCHから選択され、
〜Jは互いに独立に、COOH、P(O)(OH)、P(O)(OH)CH、P(O)(OH)CHCH、P(O)(OH)(CH)CH、P(O)(OH)Ph、P(O)(OH)CHPh、P(O)(OH)OCHCH、CH(OH)CH、CH(OH)CHOH、C(O)NH、C(O)NHCH、C(O)NH(CH)CH、OH及びHから選択される。)
好ましいキレーターXは、ジエチレントリアミノペンタ酢酸(DTPA)、N−[2−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピル]−N−[2−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エチル]−L−グリシン(EOB−DTPA)、N,N−ビス[2−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エチル]−L−グルタミン酸(DTPA−Glu)、N,N−ビス[2−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エチル]−L−リシン(DTPA−Lys)、N,N−ビス[2−[カルボキシメチル[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]エチル]グリシン(DTPA−BMA)のようなDTPAのモノ−又はビス−アミド誘導体、4−カルボキシ−5,8,11−トリス(カルボキシメチル)−1−フェニル−2−オキサ−5,8,11−トリアザトリデカン酸−13(BOPTA)、DTPA BOPTA、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(DO3A)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTA)、エチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA)、10−(2−ヒドロキシプロピル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(HPDO3A)、2−メチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(MCTA)、テトラメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTMA)、3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ酢酸(PCTA)、PCTA12、シクロ−PCTA12、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(TETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−N,N’,N”,N'”−テトラ酢酸(TRITA)、1,12−ジカルボニル,15−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10,13−ペンタアザシクロヘキサデカン−N,N’,N”−トリ酢酸(HETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N'”−テトラ酢酸モノ(N−ヒドロキシスクシンイミジル)エステル(DOTA−NHS)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(TETA−NHS)、[(2S,5S,8S,11S)−4,7,10−トリス−カルボキシメチル−2,5,8,11−テトラメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]酢酸(M4DOTA)、[(2S,5S,8S,11S)−4,7−ビス−カルボキシメチル−2,5,8,11−テトラメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]酢酸(M4DO3A)、(R)−2−[(2S,5S,8S,11S)−4,7,10−トリス((R)−1−カルボキシエチル)−2,5,8,11−テトラメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]プロピオン酸(M4DOTMA)、10−ホスホメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリ酢酸(MPDO3A)、ヒドロキシベンジル−エチレンジアミン−ジ酢酸(HBED)及びN,N’−エチレンビス[2−(o−ヒドロキシフェノーリック)グリシン](EHPG)の残基である。
【0041】
前の段落で「…の残基」という用語が選択されているのは、キレーターが式(I)及び(II)の化合物を表す分子の残部に結合しており、したがってXは残基と見なすべきだからである。式(I)及び(II)の化合物を表す分子の前記残部に対するXの結合点は、任意適宜の点であってよい。例えば、DTPA、EDTA及びDOTAのようなキレーター中のCOOH基又はDTPA−Lysのようなキレーター中のアミノ基のような官能基であってもよいし、DOTAのようなキレーター中のメチレン基のような非官能基であってもよい。
【0042】
好適なキレーターX及びそれの合成法は、例えば、欧州特許出願公開第071564号、欧州特許出願公開第448191号、国際公開第02/48119号、米国特許第6,399,043号、国際公開第01/51095号、欧州特許出願公開第203962号、欧州特許出願公開第292689号、欧州特許出願公開第425571号、欧州特許出願公開第230893号、欧州特許出願公開第405704号、欧州特許出願公開第290047号、米国特許第6,123,920号、米国特許出願公開第2002/0090342号、米国特許第6,403,055号、国際公開第02/40060号、米国特許第6,458,337号、米国特許第6,264,914号、米国特許第6,221,334号、国際公開第95/31444号、米国特許第5,573,752号、米国特許第5,358,704号及び米国特許出願公開第2002/0127181号に記載されている。これらの開示内容は、援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0044】
特に好ましい実施形態では、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。
【0045】
上述の通り、Xの好ましい実施形態(即ち、X’)では、キレーターXは常磁性金属イオンMとの錯体(即ち、常磁性キレート)を形成する。好適には、Mは遷移金属又はランタニド金属(即ち、原子番号21〜29、42、43、44又は57〜71の金属)の常磁性イオンである。さらに好ましくは、MはMn、Fe、Co、Ni、Eu、Gd、Dy、Tm又はYbの常磁性イオンであり、特に好ましくはMn、Fe、Eu、Gd又はDyの常磁性イオンである。最も好ましくは、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0046】
理論的方法及び計算技法(分子モデリング)を用いて式(I)又は(II)の化合物の挙動をモデル化又は模倣する場合、好ましい実施形態では、MM3分子力場理論方法に基づく分子モデル化ソフトウェア(例えば、Spartanソフトウェア)を使用する際にこれらの化合物を直径2〜3.5nmの球(好ましくは直径2〜2.5nmの球)に内接させることができると共に、これらの化合物は真空中でモデル化される。
【0047】
nが3である式(I)及び(II)の好ましい化合物は、シアヌル酸コアと該コアに結合した−R−L−X基からなる下記式(V)及び(VI)の化合物である。
【0048】
【化5】

式中、R、L、X及びX’は上記に定義した通りであり、すべてのR、L、X及びX’は同一である。
【0049】
式(V)及び(VI)の化合物の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された芳香族又は非芳香族の5〜7員炭素環式又は複素環式環の残基(例えば、ピリジル、フェニル、ベンジルのような置換フェニル、エチルベンジル又はシクロヘキシル)である。別の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された二環式又は多環式環の残基(例えば、ナフチル又はベンゾイミダゾリル)から選択される。任意の置換基は、C〜C−アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基、或いは(例えば、CHOH、COH又はCHNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基及び/又は(例えば、CHOCH及びOCOHのように)オキソ基を含むC〜C−アルキル基である。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、Rは置換6員芳香環の残基(例えば、ベンジル)であり、好ましくはメチル基又はエチル基を含む6員芳香環の残基(例えば、ベンジル又はエチルフェニル)である。
【0051】
式(V)及び(VI)の化合物の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分である。
−CZ−CO−N(R)−*
(式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、Z、Z及びRは上述した意味を有する。)
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。
【0052】
別の好ましい実施形態では、LはN−複素環式化合物(例えば、イミダゾール、トリアゾール、ピラジノン及びピペリジン)の残基である。この場合、Rは前記N−複素環式化合物中の窒素原子の1つに結合する。
【0053】
別の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分の1つである。
【0054】
【化6】

式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、#は前記リンカー部分に対するX/X’の結合を表し、mは1又は2である。
【0055】
式(V)及び(VI)の化合物の好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0056】
さらに好ましくは、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。最も好ましい実施形態では、Xは式(IV)のキレーターである。
【0057】
式(VI)の化合物の好ましい実施形態では、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0058】
式(V)及び(VI)の化合物の好ましい実施形態では、すべてのRは同一であり、すべてのLは同一であり、すべてのXは同一であり、すべてのX’は同一である。
【0059】
nが3である式(I)及び(II)のさらに別の好ましい化合物は、フェニルコア(Tが水素でなければ置換フェニルコア)及び前記コアに結合した−R−L−X基からなる下記式(VII)及び(VIII)の化合物である。
【0060】
【化7】

式中、R、L、X及びX’は上記に定義した通りであり、Tは同一又は異なるものであり、単一の原子又は小さい基を表す。
【0061】
Tが小さい基である場合、それは好ましくは100Da未満の分子量を有する小さい有機基である。さらに好ましい実施形態では、Tは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)から選択される。Tが単一の原子である場合、それは好ましくはH、F及びClから選択される。
【0062】
別の好ましい実施形態では、すべてのTは同一である。
【0063】
式(VII)及び(VIII)の化合物の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された芳香族又は非芳香族の5〜7員炭素環式又は複素環式環の残基(例えば、ピリジル、フェニル、ベンジルのような置換フェニル、エチルベンジル又はシクロヘキシル)である。別の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された二環式又は多環式環の残基(例えば、ナフチル又はベンゾイミダゾリル)から選択される。任意の置換基は、C〜C−アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基、或いは(例えば、CHOH、COH又はCHNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基及び/又は(例えば、CHOCH及びOCOHのように)オキソ基を含むC〜C−アルキル基である。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、Rは置換6員芳香環の残基(例えば、ベンジル)であり、或いはメチル基又はエチル基を含む6員芳香環の残基(例えば、ベンジル又はエチルフェニル)である。
【0065】
別の好ましい実施形態では、Rは下記式(IIIb)の部分を介して置換フェニルコアに結合している。
【0066】
【化8】

式中、RはH或いは1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキルであり、好ましくはH或いはC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)であり、さらに好ましくはメチルである。
【0067】
式(VII)及び(VIII)の化合物の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分である。
−CZ−CO−N(R)−*
(式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、Z、Z及びRは上述した意味を有する。)
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。
【0068】
式(VII)及び(VIII)の化合物の好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0069】
さらに好ましくは、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。最も好ましい実施形態では、Xは式(IV)のキレーターである。
【0070】
式(VIII)の化合物の好ましい実施形態では、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0071】
式(VII)及び(VIII)の化合物の好ましい実施形態では、すべてのTは同一であり、すべてのRは同一であり、すべてのLは同一であり、すべてのXは同一であり、すべてのX’は同一である。
【0072】
nが3である式(I)及び(II)のさらに別の好ましい化合物は、フェニルコアと該コアに結合したR−L−X基からなる下記式(IX)及び(X)の化合物である。この場合、Rは前記フェニルコアに縮合した環状部分であり、L−X基は炭素原子1又は2に関してRに結合している。
【0073】
【化9】

(式中、
Qaは同一又は異なるものであり、C(Rc)、CHS、S、SO、SO又はNRc(式中、Rcは水素及び(例えば、CHOH、COH、CHOCH又はCOCHのように)1以上のヒドロキシル基で任意に置換され又は1以上のオキシ基を任意に含む低級アルキル(好ましくはC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル))から選択される。)を表し、
Lは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものでリンカー部分を表し、
X及びX’は上記に定義した通りである。)
好ましい実施形態では、Qaは同一であり、好ましくはC(Rc)を表す。式中、Rcは好ましくは水素及び(例えば、CHOH、COH、CHOCH又はCOCHのように)1以上のヒドロキシル基で任意に置換され又は1以上のオキシ基を任意に含む低級アルキル(好ましくはC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル))から選択される。
【0074】
式(IX)及び(X)の化合物の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分である。
−CZ−CO−N(R)−*
(式中、*は前記リンカー部分に対するコアの結合を表し、Z、Z及びRは上述した意味を有する。)
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。
【0075】
式(IX)及び(X)の化合物の好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0076】
さらに好ましくは、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。最も好ましい実施形態では、Xは式(IV)のキレーターである。
【0077】
式(X)の化合物の好ましい実施形態では、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0078】
式(IX)及び(X)の化合物の好ましい実施形態では、すべてのLは同一であり、すべてのXは同一であり、すべてのX’は同一である。
【0079】
式(I)及び(II)のさらに別の好ましい化合物は、炭素原子コアにn個のベンゼン残基Rが結合しかつRにn個の−L−X基が結合してなる下記式(XI)及び(XII)の化合物である。
【0080】
【化10】

式中、L、X、X’及びnは上記に定義した通りである。
【0081】
nが3であれば、第4の原子価は好ましくは水素又はアミノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキル及びハロゲンから選択される基であり、さらに好ましくは水素又はヒドロキシルである。
【0082】
式(XI)及び(XII)の化合物の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分である。
−CZ−CO−N(R)−*
(式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、Z、Z及びRは上述した意味を有する。)
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。
【0083】
式(XI)及び(XII)の化合物の好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0084】
さらに好ましくは、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。最も好ましい実施形態では、Xは式(IV)のキレーターである。
【0085】
式(XII)の化合物の好ましい実施形態では、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0086】
式(XI)及び(XII)の化合物の好ましい実施形態では、すべてのLは同一であり、すべてのXは同一であり、すべてのX’は同一である。
【0087】
nが3である式(I)及び(II)のさらに別の好ましい化合物は、ヒドロキシル置換シクロヘキシルコア及びそれに結合したR−L−X基からなる下記式(XIII)及び(XIV)の化合物である。
【0088】
【化11】

式中、R、L、X及びX’は上記に定義した通りである。
【0089】
式(XIII)及び(XIV)の化合物の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された芳香族又は非芳香族の5〜7員炭素環式又は複素環式環の残基(例えば、ピリジル、フェニル、ベンジルのような置換フェニル、エチルベンジル又はシクロヘキシル)である。別の好ましい実施形態では、Rは任意に置換された二環式又は多環式環の残基(例えば、ナフチル又はベンゾイミダゾリル)から選択される。任意の置換基は、C〜C−アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はメルカプト基、或いは(例えば、CHOH、COH又はCHNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基及び/又は(例えば、CHOCH及びOCOHのように)オキソ基を含むC〜C−アルキル基である。
【0090】
さらに好ましい実施形態では、Rは置換6員芳香環の残基(例えば、ベンジル)であり、或いはメチル基又はエチル基を含む6員芳香環の残基(例えば、ベンジル又はエチルフェニル)である。
【0091】
別の好ましい実施形態では、Rは下記式(IIIb)の部分を介して置換シクロヘキシルコアに結合している。
【0092】
【化12】

式中、RはH或いは1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキルであり、好ましくはH或いはC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)であり、さらに好ましくはメチルである。
【0093】
式(XIII)及び(XIV)の化合物の好ましい実施形態では、Lは下記のリンカー部分である。
−CZ−CO−N(R)−*
(式中、*は前記リンカー部分に対するRの結合を表し、Z、Z及びRは上述した意味を有する。)
好ましい実施形態では、Z及びZは水素であるか、或いはZは水素でありかつZはメチルであり、RはH或いは(例えば、CHOH、COH、CHNH又はCNHのように)1以上のヒドロキシル基又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル)である。
【0094】
式(XIII)及び(XIV)の化合物の好ましい実施形態では、XはDOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される。
【0095】
さらに好ましくは、XはDTPA、DOTA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、DOTMA、PCTA、DTPA BMA、M4DOTA及びM4DO3Aの残基から選択される。最も好ましい実施形態では、Xは式(IV)のキレーターである。
【0096】
式(XIV)の化合物の好ましい実施形態では、MはGd3+、Mn2+、Fe3+、Dy3+及びEu3+から選択され、Gd3+が最も好ましい常磁性イオンMである。
【0097】
式(XIII)及び(XIV)の化合物の好ましい実施形態では、すべてのRは同一であり、すべてのLは同一であり、すべてのXは同一であり、すべてのX’は同一である。
【0098】
式(I)及び(II)の化合物は、当業者にとって公知であるいくつかの合成経路により、商業的に入手できる出発材料から合成できる。
【0099】
一般に、2つの使用可能な経路が存在する。即ち、経路1は構成ブロック及び段階的合成に基づいている一方、経路2は適当に置換された単量体の重合及びそれに続く段階的合成に基づいている。
【0100】
経路1に関しては、Rの結合を可能にするn個の反応性基で置換されたコアを第1の構成ブロックとして使用する。別法として、式(IX)及び(X)の化合物並びに式(XI)及び(XII)の化合物に関しては、第1の構成ブロックは、コアと該コアに縮合又は結合しかつLの結合を可能にする3つの反応性基で置換されたRからなっている。反応性基の例は、例えば、活性化酸官能基(例えば、酸塩化物基)を含む基又はアミン基であり、第1の構成ブロック中にこれらの反応性基を導入するための方法は当技術分野で公知である。R/L又はR/Lの前駆体を置換された第1の構成ブロックと反応させることで、コア及びR又はコア、R及びLからなる第2の構成ブロックを形成する。この反応のためには、R/Lは、第1の構成ブロックの反応性基と反応して第1の構成ブロックにR/Lを結合することができる反応性基を含んでいる。式(I)又は(II)の化合物がリンカー部分Lを含むならば、前記リンカー部分は第2の構成ブロックに対するRの結合を可能にする反応性基で置換されている。同じくRは、L又はLの前駆体と反応することで、Lを結合して第3の構成ブロックを形成できる反応性基を含んでいる。次の段階では、X又はX’或いはそれの前駆体を第3の構成ブロック又は(式(IX)又は(X)の化合物の場合には)第2の構成ブロックに結合して式(I)又は(II)の化合物を生成する。X及び/又はX’がCOOHのような反応性基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合があり、適当な保護基は当技術分野で公知である。別法として、X又はXの前駆体を第2又は第3の構成ブロックに結合して式(I)の化合物を生成し、次いでこれを次の段階で式(II)の化合物に転化させる。かかる次の段階は、(Xを保護形態で使用した場合には)Xの任意の脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含んでいる。
【0101】
別の実施形態では、L−X又はL−X’或いはそれの前駆体からなる構成ブロックを製造し、次いでこれを第2の構成ブロック又は(上述した式(IX)又は(X)の化合物の場合には)第1の構成ブロックに結合して式(I)又は(II)の化合物を生成する。この場合にも、X及び/又はX’がCOOHのような基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合があり、好適な保護基は当技術分野で公知である。別法として、X又はそれの前駆体を第2の構成ブロックに結合して式(I)の化合物を生成し、次いでこれを次の段階で式(II)の化合物に転化させる。かかる次の段階は、(Xを保護形態で使用した場合には)Xの任意の脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含んでいる。
【0102】
かくして、本発明のもう1つの態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)Rの結合を可能にする反応性基で置換されたコアAを第1の構成ブロックとして使用する段階、
b)R又はそれの前駆体を第1の構成ブロックと反応させてコアA及びRからなる第2の構成ブロックを形成する段階、
c)任意にはL又はそれの前駆体を第2の構成ブロックと反応させてコアA、R及びLからなる第3の構成ブロックを形成する段階、並びに
d)X又はそれの前駆体を第2又は第3の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法である。
【0103】
本発明のさらに別の態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)Rの結合を可能にする反応性基で置換されたコアAを第1の構成ブロックとして使用する段階、
b)R又はそれの前駆体を第1の構成ブロックと反応させてコアA及びRからなる第2の構成ブロックを形成する段階、並びに
c)L−X又はそれの前駆体からなる構成ブロックを第2の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法である。
【0104】
本発明のさらに別の態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)コアA及びAに縮合又は結合したRからなる第1の構成ブロックであって、RがL又はXの結合を可能にする反応性基で置換されている第1の構成ブロックを使用する段階、
b)任意にはL又はそれの前駆体を第1の構成ブロックと反応させてコアA、R及びLからなる第2の構成ブロックを形成する段階、並びに
c)X又はそれの前駆体を第1又は第2の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法である。
【0105】
本発明のさらに別の態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)コアA及びAに縮合又は結合したRからなる第1の構成ブロックであって、RがLの結合を可能にする反応性基で置換されている第1の構成ブロックを使用する段階、並びに
b)L−X又はそれの前駆体からなる構成ブロックを第1の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法である。
【0106】
上述した本発明の方法は、適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含む後続の段階を使用すれば、式(II)の化合物を製造するためにも適している。
【0107】
経路2に関しては、適宜に置換された単量体が重合される。即ち、三量体化又は四量体化により、三量体(n=3)又は四量体(n=4)の形態を有する中間体が前記単量体から合成され、前記重合に続いて段階的な合成が実施される。好適には、単量体は重合後にAを形成する部分を含んでいる。さらに単量体は、Lが存在するときはL又はそれの前駆体の結合或いはX/X’又はそれの前駆体の結合を可能にする反応性部分又はそれの前駆体を含むRを含んでいる。かかる反応性部分の例はアミノ基であり得ると共に、それの前駆体はそれ自体では反応性をもたないニトロ基であり得る(即ち、ニトロ基は重合反応中で反応しない。)。重合後、ニトロ基を還元して反応性アミノ基にすることができる。他の反応性基又はそれの前駆体(例えば、カルボキシル基及びそれの可能な前駆体としてのエステル)も当技術分野で公知である。重合及び前駆体から反応性基への任意の転化後、L又はLの前駆体(最終反応混合物中に存在する場合)を、単量体の三量体化又は四量体化で得られた中間体と反応させる。次の段階では、X又はX’を結合して式(I)又は(II)の化合物を生成する。X及び/又はX’がCOOHのような反応性基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合があり、適当な保護基は当技術分野で公知である。別法として、Xを結合して式(I)の化合物を生成し、次いでこれを次の段階で式(II)の化合物に転化させる。かかる次の段階は、(Xを保護形態で使用した場合には)Xの任意の脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含んでいる。
【0108】
かくして、本発明のもう1つの態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)三量体化又は四量体化後にAを形成する部分を含む単量体であって、さらにはLが存在するときはL又はそれの前駆体の結合或いはX又はそれの前駆体の結合を可能にする反応性部分又はそれの前駆体を含むRを含む単量体の三量体化又は四量体化を行って中間体を生成する段階、
b)任意にはL又はそれの前駆体を前記中間体と反応させる段階、並びに
c)X又はそれの前駆体を中間体又は段階b)の反応生成物と反応させる段階
を含んでなる方法である。
【0109】
上述した本発明の方法は、適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含む後続の段階を使用すれば、式(II)の化合物を製造するためにも適している。
【0110】
式(V)及び(VI)の化合物は、経路1又は2によって、好ましくは経路2によって合成できる。前記経路2の第1の段階は、4−ニトロフェニルイソシアネート又は(2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネートのような)それの誘導体の三量体化を行って、シアヌル酸コア及びベンゼン残基又は置換ベンゼン残基Rからなる中間体を得る。この場合のRは、(1,3,5−トリス(4−ニトロ−2−メチルフェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン)に示す通り、(1,3,5−トリス(4−アミノ−2−メチルフェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン)に示すようにL又はX/X’の結合を可能にする反応性基(アミノ基)の前駆体であるニトロ基を含んでいる。
【0111】
【化13】

出発化合物は、2−メチル−4−ニトロアニリンとホスゲンとの反応で得ることができる。密封容器内で三量体化を実施することにより、良好な収率が得られる。さらに、テトラヒドロフラン(THF)及び水の溶媒混合物中で水素添加を実施してを得ることにより、短い反応時間及び高い収率を達成できる。
【0112】
かくして、もう1つの態様では、本発明は、密封容器内での2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネートの三量体化並びにテトラヒドロフラン及び水の溶媒混合物中における得られた三量体の水素添加による1,3,5−トリス(4−アミノ−2−メチルフェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンの改良された製造方法を提供する。好ましくは、水素添加はPd/Cを触媒として用いて実施される。
【0113】
のアミノ基に対するLの結合は、当技術分野で知られているようにして実施できる。好ましい実施形態では、LはN−複素環式化合物の残基(好ましくはトリアゾール残基、ピラジノン残基又はイミダゾール残基)からなるリンカー部分である。
【0114】
Lがイミダゾール残基からなる場合、中間体を好ましくはJ.Sisiko et al.,J.Org.Chem.2000,65,1516−1524に記載されているようにトシルメチルイソシアニドと反応させてを得る。
【0115】
【化14】

反応生成物は、X(例えば、tert−ブチル保護DO3A)と容易に反応して式(I)の化合物を与えるメシレート基を含んでいる。かかる式(I)の化合物は、Xの脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含む次の段階で式(II)の化合物に転化できる。
【0116】
Lがピラジノン残基からなる場合、中間体を好ましくはChuyen et al.,Arg.Biol.Chem.37(2),1973,327−334に記載されているようにジケトン及びセリン誘導体と反応させてを得る。
【0117】
【化15】

反応生成物は、X(例えば、tert−ブチル保護DO3A)と容易に反応して式(I)の化合物を与えるメシレート基に容易に転化できるヒドロキシル基を含んでいる。かかる式(I)の化合物は、Xの脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含む次の段階で式(II)の化合物に転化できる。
【0118】
Lがトリアゾール残基からなる場合、かかるトリアゾール環は、Vsevolod et al.,Angew Chem.Int.Ed.2002,41(14),1596−1599に記載されているように、有機アジ化物及び末端アセチレンのCu(I)触媒環化で容易に得られる。しかし、有機アジ化物は激しく分解することがあるので、それの取扱いは特に大規模では面倒である。したがって、好ましい実施形態では、標準的なジアゾ化条件の使用及びそれに続くアジ化ナトリウムの添加により、中間体をワンポット反応でアジ化物に転化させる。反応の完了後、反応生成物を中和し、Cu(I)源と共にプロパルギルアルコールを添加してを得る。
【0119】
【化16】

反応生成物は、X(例えば、tert−ブチル保護DO3A)と容易に反応して式(I)の化合物を与えるメシレート基に容易に転化できるヒドロキシル基を含んでいる。かかる式(I)の化合物は、Xの脱保護及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成を含む次の段階で式(II)の化合物に転化できる。
【0120】
式(VII)及び(VIII)の化合物は、経路1又は2によって合成できる。経路1に関しては、第1の段階は第1の構成ブロック(即ち、Rの結合を可能にする3つの反応性基で置換されたコア)の合成である。
【0121】
Tが水素であれば、商業的に入手できる化合物の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)を出発化合物として使用できる。トリメシン酸は、当技術分野で公知の方法(例えば、PClとの反応)によって酸塩化物に転化できる。1,3,5−ベンゼントリカルボン酸塩化物は第1の構成ブロックであり、3つの反応性基(即ち、カルボン酸塩化物基)で置換された非置換フェニルコアからなっている。前記基は、例えばアミノ基を含む基Rと反応させることができ、それによりカルボン酸塩化物基との反応後には−CO−NH−基を形成できる。
【0122】
TがC〜C−アルキル(例えば、メチル)であれば、第1の構成ブロックは、1,3,5−トリ−C〜C−アルキルベンゼン(例えば、1,3,5−トリメチルベンゼン又は1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)を出発化合物として使用し、実施例4〜7に記載されるように反応を進めることで合成できる。
【0123】
Tがハロゲン(例えば、Cl)であれば、第1の構成ブロックは、K.Shoji et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.62,1989,2096−2098に記載されているように、1,3,5−トリメチルベンゼンを出発化合物として使用し、前記出発化合物を1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリクロロベンゼンに転化させることで合成できる。続く酸化によって2,4,6−トリクロロベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸が得られるが、これを塩化チオニルとの反応で反応性の酸塩化物に転化できる。
【0124】
式(VII)及び(VIII)の化合物を合成するための経路2の第1の段階は、トリフリック酸の存在下で単量体R−C(O)CHの三量体化を行って、置換基Rを有するフェニルコアからなる中間体を得ることである。かかる単量体の例は4−アセトアミド−2−メチルアセトフェノンであり、前記単量体の三量体化はフェニルコア及びトルエンの残基であるRからなる中間体を生じる。この場合、Rは反応性基−NH−CO−CHで置換されており、これはX/X’を結合するためのリンカー又はリンカー前駆体に転化できる。かかる合成法は実施例2に詳しく記載される。
【0125】
【化17】

式(IX)及び(X)の化合物は、経路1又は2によって合成できる。経路2に従えば、好ましくは、QaがCH又はC(Rc)(式中、Rcは1以上のヒドロキシル基で任意に置換され又は1以上のオキシ基を任意に含む低級アルキルである。)であるか或いはQaがS、SO又はSOである式(IX)及び(X)の化合物が合成される。
【0126】
QaがCH又はC(Rc)(式中、Rcは1以上のヒドロキシル基で任意に置換され又は1以上のオキシ基を任意に含む低級アルキルである。)であれば、式(IX)又は(X)の化合物は、2−インダノン又は1−(Rc)−2−インダノンの酸触媒三量体化で容易に合成できる。
【0127】
QaがSであれば、式(IX)又は(X)の化合物は、Dagliesh et al.,J.Chem.Soc.910(1945)及びProetzsch et al.,Z.Naturforsch.31B,529(1976)に記載されているように、3(2H)ベンゾチオフェノンの三量体化で合成できる。
【0128】
QaがSO又はSOであれば、式(IX)又は(X)の化合物は前の段落に記載されているようにして合成すればよく、Sは当技術分野で公知の方法で酸化することができる。酸化はまた、前記三量体化で得られる中間体の溶解度を高める。
【0129】
3(2H)ベンゾチオフェノンの三量体化は溶解度の低い中間体を生じるので、合成中の初期に溶解度を高めることが好ましい。可能な経路を下記反応図式1に示す。
【0130】
【化18】

このアプローチを使用すれば、反応性基(即ち、アミノ基)は分子中に既に導入されており、次いでこれをC原子1に対するL又はX(Lが存在しない場合)の結合のために使用できる。
【0131】
QaがNRcであれば、式(IX)及び(X)の化合物は、Bergman et al.,Tetrahedron 36,1439(1980)に記載されているように、N−置換2−ヨードインドール(例えば、Rcがメチルであれば2−ヨード−N−メチルインドール)のウルマンカップリングで合成できる。
【0132】
中間体を合成した後、前記中間体は、−L−X基をどこに結合すべきかに応じてC原子1又は2の位置に適当な反応性基を導入することで活性化される。C原子1の位置で中間体を活性化するためには、前記反応性基を既に含む化合物の三量体化で中間体を合成するのが好都合である。例えば、反応図式1に示すように、ニトロ基を含む分子を三量体化し、前記ニトロ基を還元すればよい。或いは、ブロモ基を含む分子(例えば、6−ブロモ−1−インダノン)を三量体化してC原子1の位置に反応性ブロモ基を含むトルキセン中間体を得ればよい(Gomez−Lor et al.,Eur.J.Org.Chem.2001,2107−2114を参照されたい)。C原子2の位置で中間体を活性化するためには、Gomez−Lor et al.,Eur.J.Org.Chem.2001,2107−2114に記載されているように、前記中間体を分子状臭素と反応させてC原子2の位置に反応性ブロモ基を含む活性化中間体を得ればよい。別法として、中間体をニトロ化し、ニトロ基を還元することで、C原子2の位置に反応性アミノ基を含む活性化中間体を得ることができる。
【0133】
式(IX)及び(X)の化合物がリンカー部分Lを含むならば、前記リンカー部分は、中間体に対する結合を可能にする反応性基で置換されている。L又はLの前駆体を、当技術分野で公知の方法で前記中間体と反応させる。次の段階において、X又はX’を結合することで式(IX)又は(X)の化合物を生成する。
【0134】
別の実施形態では、L−X又はL−X’からなる構成ブロックを製造し、次いでこれを上述の中間体と反応させることで式(IX)又は(X)の化合物を生成する。X及び/又はX’がCOOHのような基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合がある。好適な保護基は当技術分野で公知である。Xは、任意の脱保護反応及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成によってX’に転化できる。
【0135】
式(XI)及び(XII)の化合物は、経路1に従って合成できる。第1の構成ブロック(即ち、反応性アミノ基を含むn個のR基を結合したコア)は、L.M.Werbel et al.,J.Org.Chem.29,1964,967−968に記載されているようにして合成できるか、或いは商業的に入手可能である。簡単に述べれば、第1の構成ブロックは下記のようにして合成できる。
【0136】
【化19】

式(XI)及び(XII)の化合物がリンカー部分Lを含むならば、前記リンカー部分は第1の構成ブロックへの結合を可能にする反応性基で置換されている。L又はLの前駆体を、当技術分野で公知の方法で第1の構成ブロックと反応させる。次の段階において、X又はX’を結合することで式(XI)又は(XII)の化合物を生成する。
【0137】
別の実施形態では、L−X又はL−X’からなる構成ブロックを製造し、次いでこれを上述の第1の構成ブロックと反応させることで式(XI)又は(XII)の化合物を生成する。X及び/又はX’がCOOHのような基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合がある。好適な保護基は当技術分野で公知である。Xは、任意の脱保護反応及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成によってX’に転化できる。
【0138】
式(XIII)及び(XIV)の化合物は、経路1に従って合成できる。第1の構成ブロック(即ち、3つの反応性基(例えば、アミノ基)を結合したヒドロキシル置換シクロヘキシルコア)は、下記のようにして合成できる。
【0139】
【化20】

R又はRの反応性前駆体を上記の第1の構成ブロックと反応させることで、ヒドロキシル置換シクロヘキシルコア及びRからなる第2の構成ブロックを形成する。式(XIII)及び(XIV)の化合物がリンカー部分Lを含むならば、前記リンカー部分は第2の構成ブロックへの結合を可能にする反応性基で置換されている。L又はLの前駆体を、当技術分野で公知の方法で第2の構成ブロックと反応させる。次の段階において、X又はX’を結合することで式(XIII)又は(XIV)の化合物を生成する。
【0140】
別の実施形態では、L−X又はL−X’からなる構成ブロックを製造し、次いでこれを上述の第2の構成ブロックと反応させることで式(XIII)又は(XIV)の化合物を生成する。X及び/又はX’がCOOHのような基を含むならば、これらの基を保護することが必要な場合がある。好適な保護基は当技術分野で公知である。Xは、任意の脱保護反応及び適当な常磁性金属イオンM(好ましくは(例えば、酢酸Gd(III)又はGd(III)Clのような)塩の形態を有する常磁性金属イオンM)との錯体形成によってX’に転化できる。
【0141】
本発明は、本明細書の対応するセクションにおいて実施例により例証される。
【0142】
式(II)の化合物及びそれの好ましい実施形態は、MR造影剤として使用できる。この目的のためには、式(II)の化合物は、水性担体(例えば、水及び緩衝液)のような通常の生理学的に許容し得る担体及び任意の賦形剤と配合される。
【0143】
したがって、さらに別の態様では、本発明は、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物を提供する。
【0144】
さらに別の態様では、本発明は、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物であって、MRイメージング剤又はMR分光剤として使用するための組成物を提供する。
【0145】
ヒト又はヒト以外の動物の生体のMRイメージング又は分光分析用の薬剤として使用するためには、前記組成物は前記生体への投与に適することが必要である。好適には、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態並びに任意の製剤学的に許容し得る賦形剤及び添加剤を1種以上の生理学的に許容し得る担体(例えば、水又は緩衝液)中に懸濁又は溶解すればよい。好適な添加剤には、例えば、トロメタミン塩酸塩のような生理学的に適合性の緩衝剤、DTPAやDTPA−BMAや式(I)の化合物又はそれの好ましい実施形態のようなキレーター、(カルシウムキレート(例えば、DTPAカルシウム、CaNaDTPA−BMA、XがCa2+と錯体を形成している式(I)の化合物又はそれの好ましい実施形態、或いは式(I)の化合物又はそれの好ましい実施形態のCaNa塩)のような)生理学的に許容し得るイオンの弱い錯体、及び(塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム又は乳酸カルシウムのような)カルシウム又はナトリウム塩がある。賦形剤及び添加剤は、例えば、国際公開第90/03804号、欧州特許出願公開第463644号、欧州特許出願公開第258616号及び米国特許第5,876,695号に一層詳しく記載されており、これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0146】
本発明のもう1つの態様は、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物の、MRイメージング造影剤又はMR分光剤としての使用である。
【0147】
本発明のさらに別の態様は、MRイメージング及び/又はMR分光方法であって、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物を被験体に投与し、被験体にMR処置を施して被験体又は該組成物が分布する被験体の部分からMR信号を検出し、任意には検出した信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成するMRイメージング及び/又はMR分光方法である。
【0148】
好ましい実施形態では、被験体はヒト又はヒト以外の動物の生体である。
【0149】
さらに別の好ましい実施形態では、組成物はコントラスト増強効果のある量(即ち、MR処置に際してコントラストを増強させるのに適した量)で投与される。
【0150】
好ましい実施形態では、被験体はヒト又はヒト以外の動物の生体であり、MRイメージング及び/又はMR分光方法はMR血管造影法であり、さらに好ましくはMR末梢血管造影法、腎血管造影法、上大動脈血管造影法、頭蓋内血管造影法又は肺血管造影法である。
【0151】
別の好ましい実施形態では、被験体はヒト又はヒト以外の動物の生体であり、MRイメージング及び/又はMR分光方法はMR腫瘍検出方法又は腫瘍輪郭イメージング方法である。
【0152】
もう1つの態様では、本発明は、MRイメージング及び/又はMR分光方法であって、式(II)の化合物又はそれの好ましい実施形態及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物を予め投与した被験体にMR処置を施して被験体又は該組成物が分布する被験体の部分からMR信号を検出し、任意には検出した信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成するMRイメージング及び/又はMR分光方法を提供する。
【0153】
「予め投与した」という用語は、上述の方法が前記被験体に対する前記組成物の投与段階を含まないことを意味する。組成物の投与は、上述の方法に先立って、即ち本発明に係るMRイメージング及び/又はMR分光方法を開始する前に実施されている。
【実施例】
【0154】
実施例1:式(I)の化合物である1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(22)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(23)の製造
1a)2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(14)の製造
【0155】
【化21】

2−メチル−4−ニトロアニリン(35.0g、230mmol)を(酢酸エチルml)に溶解し、0℃に冷却した。ホスゲン(180ml、トルエン中20%)を30分間滴下したところ、直ちに白色の塩が沈殿した。最後の添加後、温度をゆっくりと室温に上昇させ、次いで反応混合物を還流させた(約100℃)。2時間30分の還流後、200mlの溶媒を留去してから温度を80℃に低下させ、ホスゲン(140ml、トルエン中20%)を滴下した。最後の添加後、反応溶液を3時間還流し、室温まで放冷し、濃縮乾固した。褐色/黄色の物質をジエチルエーテル(250ml)に溶解し、濾過し、濃縮して淡褐色の粉末(36g、88%)を得た。
【0156】
1b)1,3,5−トリス(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(15)の製造
250mlフラスコ内の2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(36.0g)にDMSO(50ml)を添加し、プラスチッククリップで所定の位置に保持したガラス栓でフラスコを密封した。直ちにフラスコを85℃に加熱した油浴内に降下させ、暗褐色の反応溶液を16時間30分加熱した。油浴を取り除き、反応溶液を室温まで放冷してから水(800ml)中に注ぎ込み、音波処理し、沈殿を濾別した。濾過ケークをエタノール(500ml)に添加して4時間還流し、次いで室温まで放冷し、生成物を濾別してオフホワイトの粉末(28.1g、78%)を得た。
【0157】
1c)1,3,5−トリス(4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(16)の製造
1,3,5−トリス(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(2.86g、5.4mmol)をTHF(70ml)に溶解した。HCl(4.5ml、6M)、HO(18ml)及びPd/C(0.6g、10%)を添加した。反応容器を排気し、3回のサイクルでアルゴンを満たした後、Parr水素添加装置上で水素添加した(60psi)。2時間後、膜ポンプで過剰の水素を排気し、Pd/C(10%)を濾別した。透明な反応溶液をTHFが残留しなくなるまで濃縮し、 NaHCO(約3.7g)pHを7に調整した。水性相を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して褐色の粉末を得た。粗生成物をメタノールから再結晶することで、生成物をオフホワイトの粉末(1.9g、80%)として得た。
【0158】
1d)1,3,5−トリス(4−ホルムアミド−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(17)の製造
【0159】
【化22】

氷冷した500mL丸底フラスコにギ酸(175mL)を入れた。無水酢酸(15mL、0.16モル)を添加し、黄色の溶液をアルゴン下において0℃で1時間撹拌した。この溶液にトリアミン16(8.7g、0.020モル)を添加し、氷浴を取り除いた。アルゴン下において室温で30分間撹拌した後、HPLCは反応の完了を示した。溶媒を真空中で除去し、褐色の粘着性残留物をHO中に懸濁して濾別した。次に、HOで十分に洗浄することですべての酸を確実に除去した。生成物は淡褐色の固体(10.2g、99%)であった。
【0160】
1e)1,3,5−トリス(N−ホルミル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(18)の製造
【0161】
【化23】

すべてのガラス器具はオーブン内で注意深く乾燥し、DMFは4Åモレキュラーシーブ上で乾燥した。
【0162】
500mL丸底フラスコ内で、17(10.2g、0.0193モル)のDMF溶液(115mL)にLi(MeSi)N(116mL、0.116モル、ヘキサン中1M)を添加した。淡褐色の溶液から赤れんが色のスラリーに変わった反応混合物をアルゴン下で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(12.2mL、0.196モル)を添加し、反応混合物を2時間又はHPLCでメチル化の完了が示されるまで撹拌した。次に、回転蒸発器でヘキサンを除去し、激しく撹拌しながら残留物をNaHPO溶液(1300mL、100mM)中に注ぎ込んだ。生成した18の沈殿を淡色の固体(6.7g、60%)として濾別した。
【0163】
1f)1,3,5−トリス(N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(19)の製造
【0164】
【化24】

ジオキサン(52mL)、HCl(52mL、6M)及び18(6.5g、11mmol)を250mL丸底フラスコ内で混合して淡色のスラリーを得た。反応混合物をアルゴン下で30分間加熱還流した。黄色になった溶液を室温まで放冷し、次に回転蒸発器で溶媒を除去した。次いで、橙色の残留物を500mLのHOに溶解し、激しく撹拌しながらNaHCO溶液(飽和)で中和した。生成した沈殿を濾別し、HOで数回洗浄して淡色の固体(4.7g、84%)を得た。
【0165】
1g)1,3,5−トリス(N−クロロアセチル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(20)の製造
【0166】
【化25】

100mL丸底フラスコ内で、19(4.6g、9.5mmol)をDMA(15mL)に溶解し、クロロアセチルクロリド(2.6mL、33mmol)を撹拌しながら0℃で添加した。反応混合物をアルゴン下において室温で30分間又はHPLCがクロロアセチル化の完了を示すまで撹拌した。次に、機械的に激しく撹拌しながら、水(500mL)を入れた大形ビーカー内にスラリーを注ぎ込んだ。生成した沈殿を濾別し、0.3mbarの真空中で乾燥した(6.3g)。淡色の固体を70mLのアセトニトリルに溶解し、機械的に激しく撹拌しながら500mLのHO中に注ぎ込んだ。生成した沈殿を濾別し、デシケーター内に放置して乾燥した(6.1g、89%)。
【0167】
1h)1,3,5−トリス(N−(DO3A−t−ブチルエステル−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(21)の製造
【0168】
【化26】

50mL丸底フラスコ内で、20(0.50g、0.70mmol)をDO3A−t−ブチルエステル(2.5g、4.2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(910μl、5.2mmol)及びアセトニトリル(15mL)と共に懸濁した。音波処理後、LC/MSがカップリングの完了を示すまで、反応混合物をアルゴン下において75℃で撹拌した。次に、回転蒸発器で溶媒を除去し、粗生成物(2.9g)を次の反応で使用した。
【0169】
1i)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(22)の製造
【0170】
【化27】

21の粗生成物(1.9g)をTFA(130mL)及びCHCl(130mL)に溶解し、アルゴン下において50℃で撹拌した。溶液を1時間又はLC/MSが脱保護の完了を示すまで撹拌した。次に、回転蒸発器で溶媒を除去し、残留物を真空中で1晩乾燥した。次に、粗生成物(2.4g)を次の段階で使用した。
【0171】
1j)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンのガドリニウム誘導体(23)の製造
【0172】
【化28】

22の粗生成物(2.4g)を水に溶解し、撹拌しながらGd(OAc)(1.4g、4.2mmol)を添加した。次に、真空(0.3mbar)を加え、LC/MSで反応を連続的に監視した。錯化の完了が検出されたならば、溶媒を真空中で除去した。次に、3.1gの組成物を分取用HPLCで精製した(410mg、20から42%)。
【0173】
化合物23をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.25Tでは、10.7のr1が測定され、
1.5Tでは、11.6mMのr1が測定され、
2.35Tでは、10.1mMのr1が測定され、
3Tでは、9.9mMのr1が測定された。
【0174】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0175】
実施例2:式(I)の化合物である1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(6)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(7)の製造
2a)1,3,5−トリス(4−アセトアミド−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(1)の製造
【0176】
【化29】

開放形丸底フラスコ内において、4−アセトアミド−2−メチルアセトフェノン(Aldrich社、5.0g、26.1mmol)を180℃で溶融した。撹拌した均質溶液にトリフリック酸(Fluka社、250μl、2.9mmol)を添加した。1時間後、さらに250μlのトリフリック酸を添加した。濃厚な褐色の混合物を5時間かけて放冷した。生成物を分取用HPLCで精製し、凍結乾燥後に570mg(収率4%)を得た。その構造をNMR分析で確認した。
【0177】
2b)1,3,5−トリス(4−アセトアミド−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(2)の製造
【0178】
【化30】

乾燥DMF(20ml)中における(654mg、1.259mmol)の溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(Aldrich社、7.56ml、7.56mmol)を添加した。透明な褐色の溶液から濃厚な褐色のスラリーに変わった反応混合物をアルゴン下で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(Fluka社、0.956ml、15.36mmol)を添加したところ、溶液は透明になり、丸底フラスコの回りにアルミニウム箔を巻き付けて露光を防止した。反応は2時間後に完了した。溶媒を(回転蒸発器で)蒸発させた。生成混合物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。有機相を(NaSOで)乾燥し、蒸発させて700mg(収率99%)を得た。その構造をLC−MSで確認した。
【0179】
2c)1,3,5−トリス(N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(3)の製造
【0180】
【化31】

(700mg、1.246mmol)及び6M HSO(80ml)の混合物を、マイクロ波照射によって120℃で30分間加熱した。激しく撹拌しながら、酸を飽和NaHCOで中和した。生成した沈殿を濾別し、水で数回洗浄して淡色の固体を得た。生成物を分取用HPLCで精製し、130mg(収率24%)を得た。
【0181】
2d)1,3,5−トリス(N−クロロアセチル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(4)の製造
【0182】
【化32】

乾燥DMF(5ml)中における(110mg、0.253mmol)の冷却溶液に2−クロロアセチルクロリド(Fluka社、0.07ml、0.884mmol)を添加した。次に、反応混合物をアルゴン下において室温で30分間撹拌した。溶媒を(回転蒸発器で)蒸発させ、生成混合物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄し、(NaSOで)乾燥した。109mg(収率65%)の生成物を得た。その構造をLC−MSで確認した。
【0183】
2e)1,3,5−トリス(N−(DO3A−t−ブチルエステル−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(5)の製造
【0184】
【化33】

乾燥アセトニトリル(5ml)中における(99mg、0.149mmol)の懸濁液に、DO3A−t−ブチルエステル(532mg、0.894mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(Fluka社、0.189ml、1.103mmol)を添加した。音波処理後、反応混合物をアルゴン下において75℃で7時間撹拌した。溶媒を(回転蒸発器で)蒸発させ、粗生成物を次の反応で使用した。LC−MS分析によって構造を確認した。
【0185】
2f)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼン(6)の製造
【0186】
【化34】

粗生成物をギ酸(20ml)に溶解し、加熱還流した。3.5時間後に脱保護が完了した。溶液を(回転蒸発器で)蒸発させた。粗生成物をさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0187】
2g)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼンのガドリニウム誘導体(7)の製造
【0188】
【化35】

水(15ml)に溶解した粗生成物に酢酸ガドリニウム(III)水和物(Aldrich社、329mg、0.984mmol)を添加した。混合物を40℃で1時間撹拌した。次に、生成混合物を分取用HPLCで精製し、凍結乾燥後に190mg(3つの段階を通じて収率62%)を得た。LC−MSによる分析で構造を確認した。
【0189】
化合物をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.47Tでは、10.6mMのr1が測定され、
1.41Tでは、9.4mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して9mMのr1を算出した。
【0190】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0191】
実施例3:式(II)の化合物であるベンゼン−1,3,5−トリス[((DO3A−アセトアミド)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(13)の製造
3a)ベンゼン−1,3,5−トリス[(3−ニトロ−アミドフェニル)−カルボキサミド](10)の製造
【0192】
【化36】

アセトニトリル(90ml)中における(5.2g、38mmol)及びEtN(5.2ml、38mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下で激しく撹拌しながら、アセトニトリル(40ml)中における(3.0g、11mmol)の溶液を滴下した。室温で3時間撹拌した後、回転蒸発器で溶媒を除去した。粗残留物を水中に懸濁し、濾別し、水で数回洗浄した。黄色の沈殿をジエチルエーテルで数回洗浄してすべての残留物を除去することで、10を淡色の固体(5.6g、87%)として得た。その構造をLC−MSで確認した。
【0193】
3b)ベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−(3−ニトロ−アミドフェニル)−カルボキサミド](11)の製造
【0194】
【化37】

すべてのガラス器具をオーブン内で乾燥し、無水THFを使用した。反応はアルゴン下で実施した。THF(175ml)中における10(5.6g、120mmol)の懸濁液に、Li(MeSi)(59ml、59mmol)を撹拌しながら添加した。アニオンの生成下で懸濁液は溶液に変わる。30分後、ヨウ化メチル(7.3ml、120mmol)を添加した。室温で18時間撹拌した後、回転蒸発器で溶媒を除去した。残留物を水(250ml)中に懸濁し、1M HClで中和した。生成した沈殿を濾別し、水で3回洗浄した。11の淡色沈殿を換気フード内で1晩乾燥した(5.7g、95%)。その構造をLC−MSで確認した。
【0195】
3c)ベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−(3−アニリン−アミドフェニル)−カルボキサミド](12)の製造
【0196】
【化38】

500ml反応フラスコ内で、メタノール(200ml)、Pd/C(1.0g、10%)、HCl(4.2ml、32%)及び11(2.0g、3.3mmol)を混合した。Parr装置装置上において、混合物を60psiで水素添加した。Hが完全に消費された後、HO(40ml)を添加し、触媒を濾別した。次に、回転蒸発器でメタノールを除去し、得られた水溶液を100mlに希釈し、固体NaHCOで中和した。生成した沈殿を濾別することで、12を淡褐色の固体(1.4g、82%)として得た。その構造をLC−MSで確認した。
【0197】
3d)ベンゼン−1,3,5−トリス[((DO3A−アセトアミド)−3−(N’−メチルアミドフェニル))−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(13)の製造
【0198】
【化39】

1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼンのガドリニウム誘導体()の合成(実施例2)で報告したものと同じ反応条件を用いて、化合物12をベンゼン−1,3,5−トリス[((DO3A−アセトアミド)−3−(N’−メチルアミドフェニル))−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(13)に変換した。その構造をLC−MSで確認した。
【0199】
化合物13をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
1.5Tでは、9.2mMのr1が測定され、
2.35Tでは、9.5mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して9.0mMのr1を算出した。
【0200】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0201】
実施例4:式(I)の化合物である2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(DO3A−(3−アセトアミドフェニル))−N−メチル−カルボキサミド](35)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(36)の製造
4a)1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(25)の製造
【0202】
【化40】

メシチレン24(44.5g、0.37モル)及びp−ホルムアルデヒド(36.6g、1.22モル)に氷酢酸(185mL)及び臭化水素酸(酢酸中33%、260mL)を添加した。懸濁液をアルゴン雰囲気下で撹拌し、95℃に加熱した。24時間後、反応混合物を水(150mL)中に注ぎ込み、激しく撹拌した。生成した沈殿を濾別し、水で十分に洗浄することで、化合物25を白色の粉末(131.2g、89%)として得た。
【0203】
4b)1,3,5−トリス(アセトキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(26)の製造
【0204】
【化41】

化合物25(15.0g、37.6mmol)にNaOAc(17.6g、0.21モル)を添加し、次いで氷酢酸(350mL)を添加した。銅線で固定されるゴム隔膜を用いて反応器を密封した。撹拌した反応混合物を140℃で18時間加熱した後、反応混合物を濃縮して橙褐色の固体を得た。固体残留物を水(250mL)中に懸濁し、ジクロロメタン(250mL)で抽出した。次に、有機相をNaHCOの飽和水溶液(150mL)で抽出し、次いで水(150mL)で抽出した。次に、NaSOを用いて有機相を乾燥し、濾過した。溶媒を除去して橙色の粉末を得、これをイソプロパノールから結晶化した。得られた結晶を濾別し、冷メタノールで洗浄することで、トリアセテート26を白色の粉末(8.3g、65%)として得た。
【0205】
4c)1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(27)の製造
【0206】
【化42】

エタノール(310mL)中における化合物26(15.4g、46mmol)のスラリーにLiOH一水和物(7.7g、184mmol)を添加した。反応混合物を18時間還流した後、溶媒を除去した。残留物を水(100mL)中に懸濁し、濾別し、水(200mL)で洗浄することで、化合物27を白色の粉末(9.0g、94%)として得た。
【0207】
4d)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸(28)の製造
【0208】
【化43】

硫酸の撹拌溶液(21.4mL、18M)に酸化クロム(VI)(21.4g、214mmol)を少しずつ添加することで、酸化試薬を別途に調製した。褐色になったスラリーを氷浴中で冷却し、水(64mL)をゆっくりと添加して赤色の溶液を得た。このクロム試薬を、アセトン(278mL)中における化合物27(5.0g、23.8mmol)の氷冷溶液に滴下した。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで30分かけて室温まで戻し、次いで30℃の油浴中に10分間浸した。次に、反応混合物を水(550mL)中に注ぎ込み、エーテル(200mL)で3回抽出し、次いで合わせた有機抽出物を水(200mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて粗生成物28(4.2g)を得た。粗生成物28の白色結晶を水(70mL)中に懸濁し、NaOH(50mL、1M)の添加でpHを7に調整した。透明になった溶液をイオン交換カラム(Dowex 50×8、寸法:D=3cm、L=7cm)に通し、水(150mL)で溶出させた。溶出液を凍結乾燥して白色の粉末を得、これを還流酢酸(100mL)中で結晶化した。冷却後、結晶を濾別し、酢酸で洗浄することで化合物28を白色の粉末(3.2g、53%)として得た。
【0209】
4e)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸塩化物(29)の製造
【0210】
【化44】

トルエン(10mL)中における28(1.0g、4.0mmol)及びPCl(8.2g、4.0mmol)のスラリーを還流した。1時間後、トルエン及び過剰のPClを常圧で留去した。次に、油浴の温度が決して155℃を超えないようにしながら、低真空(膜ポンプ)を加えてPOClを留去した。冷却後に凝固した溶融物(Mp:125℃)を室温まで放冷した。次に、粗反応混合物をEtO(40mL)に溶解し、濾過し、次いで濃縮することで29を白色の粉末(1.1g、94%)として得た。
【0211】
4f)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(N−(3−ニトロフェニル))カルボキサミド](31)の製造
【0212】
【化45】

化合物29(0.65g、2.1mmol)及びニトロアニリン30(1.0g、7.2mmol)をCHCN(15mL)に溶解し、次いでアルゴン雰囲気下で還流した。3時間後、反応混合物を放冷し、次いで激しく撹拌したHCl(水)溶液(500mL、1.6M)に滴下した。生成した沈殿を濾別し、水(200mL)で洗浄した。沈殿をCHCl/CHCN(50/1mL)中で音波処理して微細な懸濁液を得、これを濾別して化合物31(0.84g、65%)を得た。
【0213】
4g)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(N−メチル−N−(3−ニトロフェニル))カルボキサミド](32)の製造
【0214】
【化46】

化合物31(0.83g、1.35mmol)をアルゴン雰囲気下でTHF(40mL)に溶解した。リチウムヘキサメチルジシラジド(8.2mL、1M)を滴下し、5分後にMeI(1mL、16.1mmol)を添加した。24時間後、反応混合物を濃縮し、次いで音波処理でHO(60mL)中に懸濁した。スラリーをHCl(2mL、4M)の添加で酸性化した後、微細な懸濁液は大きな粒子を形成した。これを濾別することで、化合物32を微細なオリーブグリーン色の粉末(0.79g、88%)として得た。
【0215】
4h)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−(3−クロロアセトアミドフェニル)カルボキサミド](33)の製造
【0216】
【化47】

化合物32(1.0g、1.52mmol)にFeSO七水和物(3.8g、13.7mmol)、NHCl(2.0g、25.5mmol)及びエタノール/水(60mL、比4/1)を添加した。生成したスラリーを80℃で撹拌し、亜鉛粉末(0.9g、13.7mmol)を添加した。2時間後、反応混合物を放冷し、スラリーを濾過した。濾液を濃縮し、アセトニトリル(100mL)中で音波処理してスラリーを得、これを濾過した。濾液にクロロアセチルクロリド(0.73mL、9.1mmol)を添加した後、スラリーが生成された。30分後、反応混合物を濾過し、モノ−、ビス−及びトリス−アセチル化アニリンの混合物を含む沈殿をDMA(ジメチルアセトアミド、25mL)に溶解した。この溶液にクロロアセチルクロリド(1mL、12.5mmol)及びトリエチルアミン(1mL、7.2mmol)を添加した。30分後、2種の溶液(アセトニトリル及びDMA)を合わせ、水(750mL)中に注ぎ込んだ。生成した沈殿を濾別し、追加の水で洗浄して化合物33(0.82g、68%)を得た。
【0217】
4i)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[((DO3A−t−ブチルエステル)−(3−アセトアミドフェニル))−N−メチル−カルボキサミド](34)の製造
【0218】
【化48】

化合物33(0.81g、1.0mmol)及びDO3A(t−Bu)(2.1g、4.1mmol)をCHCN(30mL)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL、7.3mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物を19時間還流した後、溶媒を除去することで34を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0219】
4j)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(DO3A−(3−アセトアミドフェニル))−N−メチル−カルボキサミド](35)の製造
【0220】
【化49】

化合物34(0.81gの33に由来する粗反応混合物)をギ酸(25mL)に溶解し、1時間還流した後、溶媒を除去することで化合物35を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0221】
4k)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(DO3A−(3−アセトアミドフェニル))−N−メチル−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(36)の製造
【0222】
【化50】

(0.81gの33に由来する)35を含む粗反応混合物をHO(25mL)に溶解し、Gd(OAc)(2.0g、6.0mmol)を撹拌した反応混合物に室温で添加した。KOAcを添加してpHを5に調整した。真空を定期的に加えて生成した酢酸を除去すると共に、追加のHOを添加して反応混合物の体積を維持した。24時間後、反応混合物を濃縮して分取用HPLCに供することで、化合物36をオフホワイトの粉末(0.9g、3つの段階を通じて41%)として得た。
【0223】
化合物36をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.235Tでは、9.3mMのr1が測定され、
0.47Tでは、8.8mMのr1が測定され、
1.41Tでは、7.3mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して8.5mMのr1を算出した。
【0224】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0225】
実施例5:式(I)の化合物である2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[(2−DO3A−プロピル)−(3−アミドフェニル)−カルボキサミド](39)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(40)の製造
5a)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−クロロプロピル)−3−アミドフェニル)−カルボキサミド](37)の製造
【0226】
【化51】

化合物32(0.28g、0.43mmol)にFeSO七水和物(1.1g、4.0mmol)、NHCl(0.5g、0.43mmol)及びエタノール/水(20mL、比4/1)を添加した。生成したスラリーを80℃で撹拌し、亜鉛粉末(0.25g、3.8mmol)を添加した。1.5時間後、反応混合物を放冷し、スラリーを濾過した。濾液を濃縮し、アセトニトリル(20mL)中で音波処理してスラリーを得、これを濾過し、追加のアセトニトリル(20mL)で希釈した。2−プロピオニルクロリド(0.42mL、4.3mmol)を添加した後、スラリーが生成された。トリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を添加した。30分後、反応混合物を濃縮し、水(75mL)中に注ぎ込んだ。生成した沈殿を音波処理し、濾別し、追加の水で洗浄して化合物37(0.25g、70%)を得た。
【0227】
5b)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−(DO3A−t−ブチルエステル)−プロピル)−3−アミドフェニル)−カルボキサミド](38)の製造
【0228】
【化52】

化合物37(0.21g、0.25mmol)及びDO3A(t−Bu)(0.52g、1.0mmol)をCHCN(8mL)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL、1.8mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物を72時間還流した後、溶媒を除去することで38を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0229】
5c)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−(DO3A−プロピル)−3−アミドフェニル)−カルボキサミド](39)の製造
【0230】
【化53】

化合物38(0.21gの37に由来する粗反応混合物)をギ酸(8mL)に溶解し、1時間還流した後、溶媒を除去することで化合物39を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0231】
5d)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−(DO3A−プロピル)−3−アミドフェニル)−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(40)の製造
【0232】
【化54】

(0.21gの37に由来する)39を含む粗反応混合物をHO(10mL)に溶解し、Gd(OAc)(0.5g、1.5mmol)を撹拌した反応混合物に室温で添加した。KOAcを添加してpHを5に調整した。24時間後、反応混合物を濃縮して分取用HPLCに供することで、化合物40を白色の粉末として得た。このバッチを第2のバッチと合わせることで、0.96gの37に由来する化合物40(0.43g、3つの段階を通じて17%)を得た。
【0233】
化合物40をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.235Tでは、10.1mMのr1が測定され、
0.47Tでは、8.6mMのr1が測定され、
1.41Tでは、9.1mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して9mMのr1を算出した。
【0234】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0235】
実施例6:式(I)の化合物である2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−(DO3A−(3−アセトアミドフェニル))−N−メチル−カルボキサミド](42)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(43)の製造
6a)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−(DO3A−t−ブチルエステル)−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド](41)の製造
【0236】
【化55】

(0.50gの33に由来する)粗化合物34を音波処理によってTHF(20mL)中に懸濁した。MeI(0.5mL、7.5mmol)を添加し、次いでNaH(鉱油中60%、0.15g、3.8mmol)を添加した。30分後、反応混合物をTHF(100mL)で希釈し、追加のMeI(0.5mL、7.5mmol)及びNaH(60%、0.15g、7.5mmol)を添加した。1時間後、追加のNaH(60%、0.15g、7.5mmol)を添加した。2時間後、反応混合物を濃縮して褐色の発泡体を得、それにHCOOHの水溶液(0.1%、100mL)を添加した。機械的摩砕及び音波処理によって微細なスラリーを得、これをCHCl(100mL)で希釈して抽出した。次に、有機相を水(100mL)で洗浄してからMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮することで、1.6gの41を褐色がかった微細粉末として得た。これをさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0237】
6b)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−DO3A−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド](42)の製造
【0238】
【化56】

化合物41(0.50gの37に由来する粗反応混合物)をギ酸(20mL)に溶解し、90分間還流した後、溶媒を除去することで化合物42を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0239】
6c)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−DO3A−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(43)の製造
【0240】
【化57】

(0.50gの37に由来する)42を含む粗反応混合物をHO(20mL)に溶解し、Gd(OAc)(1.3g、3.9mmol)を室温で添加した。KOAcを添加してpHを4に調整した。2時間後、反応混合物をCHCl(30mL)で洗浄し、水相を濾過(PALL、0.45μPTFE ACRODISC CR)して透明な褐色がかった溶液を得た。溶液を濃縮して分取用HPLCに供することで、化合物43をオフホワイトの粉末(0.53g、4つの段階を通じて38%)として得た。
【0241】
化合物43をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.235Tでは、12mMのr1が測定され、
0.47Tでは、10.6mMのr1が測定され、
1.41Tでは、9mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して8.2mMのr1を算出した。
【0242】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0243】
実施例7:式(I)の化合物である2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−DO3A−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド](45)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(43)の製造
7a)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−(DO3A−t−ブチルエステル)−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド](44)の製造
【0244】
【化58】

化合物38(0.45gの37に由来する粗反応混合物)にTHF(70mL)及びDMA(5mL)を添加し、音波処理を施して沈殿を含む黄色がかった溶液を得た。反応混合物をアルゴン雰囲気下で撹拌し、MeI(0.4mL、6.4mmol)を添加し、次いでNaH(60%、0.13g、3.3mmol)を添加した。120分後、追加のMeI(0.4mL、6.4mmol)及びNaH(60%、0.13g、3.3mmol)を添加した。150分後、追加のNaH(60%、0.13g、3.3mmol)を添加した。200分後、反応混合物を濃縮してジクロロメタン(200mL)に溶解した。有機相をHCOOH(0.5%、200mL)次いで水(200mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗反応混合物をさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0245】
7b)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−DO3A−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド](45)の製造
【0246】
【化59】

ジクロロメタン(25mL)に溶解した化合物44(0.45gの37に由来する粗反応混合物)に、アルゴン雰囲気下でTFA(10mL)を添加した。反応混合物を3時間還流した後、溶媒を除去することで化合物45を褐色のシロップとして得た。これを精製せずに次の段階で使用した。
【0247】
7c)2,4,6−トリメチルベンゼン−1,3,5−トリス[N−メチル−((2−DO3A−プロピル)−3−(N’−メチル−アミドフェニル))−カルボキサミド]のガドリニウム誘導体(46)の製造
【0248】
【化60】

(0.45gの37に由来する)45を含む粗反応混合物をHO(40mL)に溶解し、Gd(OAc)(1.0g、3.0mmol)を撹拌した反応混合物に室温で添加した。KOAcを添加してpHを5に調整した。24時間後、反応混合物を濃縮して分取用HPLCに供することで、化合物46を白色の粉末(0.17g、4つの段階を通じて14%)として得た。
【0249】
化合物46をヒト血漿に溶解し、下記の磁場において縦緩和度r1を37℃で測定した。
0.235Tでは、10.9mMのr1が測定され、
0.47Tでは、10.1mMのr1が測定され、
1.41Tでは、8.9mMのr1が測定された。
上記の測定結果に基づき、当技術分野で公知の方法に従って、3Tの磁場に関して9mMのr1を算出した。
【0250】
当技術分野で公知の他のMR造影剤化合物に比べ、上記に示した本発明の化合物の3Tでのr1ははるかに高い。ヒト血漿中において37℃で測定した場合、他のMR造影剤に関する3Tでのr1値は下記の通りである(Invest Radiol 2006,Vol.41,213−221に公表されたデータ)。
Multihance(商標):r1は6.3mMである。
Magnevist(商標):r1は3.3mMである。
【0251】
実施例8:式(I)の化合物である2,7,12−トリス(DOTA−アミド)−5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセン(51)及び式(II)の化合物であるそれのガドリニウム誘導体(52)の製造
8a)5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセン(48)の製造
【0252】
【化61】

化合物47(5g、14.6mmol)をTHF(100mL)に溶解し、窒素雰囲気下で−70℃に冷却する。次に、n−ブチルリチウム(22mL、シクロヘキサン中2M)を添加し、反応混合物を周囲温度に達するまで放置する。次に、クロロメチルメチルエーテル(3.66mL、48.2mmol)を添加し、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌する。次に、反応混合物をブライン及びジクロロメタンで抽出する。有機相を乾燥して濃縮する。残留物をTHF(100mL)に溶解し、次いで窒素雰囲気下で−70℃に冷却する。n−ブチルリチウム(22mL、シクロヘキサン中2M)を添加し、反応混合物を周囲温度に達するまで放置する。次に、クロロメチルメチルエーテル(3.66mL、48.2mmol)を添加し、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌する。次に、反応混合物をブライン及びジクロロメタンで抽出する。有機相を乾燥し、濃縮して化合物48(8.8g、14.6mmol)を得る。
【0253】
8b)2,7,12−トリニトロ−5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセン(49)の製造
【0254】
【化62】

化合物48(8.8g、14.6mmol)を発煙HNO(50mL)及び無水酢酸(8.3mL、88mmol)の氷冷混合物にゆっくりと添加する。温度が決して5℃を超えないように注意する。次に、反応混合物を氷水中に注ぎ込み、沈殿を濾別して化合物49を得る。
【0255】
8c)2,7,12−トリアミノ−5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセン(50)の製造
【0256】
【化63】

化合物49(10.8g、14.6mmol)をTHF(100mL)に溶解し、Pd/C(3g、10%)を添加する。高圧反応器内で、反応混合物を激しく撹拌しながら10バールの分子状水素に暴露する。3時間後、反応混合物を濾過し、濃縮して化合物50を得る。
【0257】
8d)2,7,12−トリス(DOTA−アミド)−5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセン(51)の製造
【0258】
【化64】

Heppelaer,A;Chem.Eur.J.1999,5,1974−1981に記載されたようにして得られる1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−アセテートの4,7,10−トリカルボキシメチル−tert−ブチルエステル(DOTA(tBu))(33.7g、48.2mmol)、HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(18.3mL、48.2mmol)及びDIPEA(N,N’−ジイソプロピルエチルアミン)(8.2mL、48.2mmol)をDMF(500mL)中で予備保温する。10分後、DMF(100mL)に溶解した化合物50及びDIPEA(8.1mL、48.2mmol)を添加する。反応混合物を3時間撹拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥し、濃縮し、ギ酸(100mL)に溶解する。得られた溶液を1時間還流し、次いで濃縮して化合物51を得る。
【0259】
8e)2,7,12−トリス(DOTA−アミド)−5,5’,10,10’,15,15’−ヘキサキス(メトキシメチル)トルキセンのガドリニウム誘導体(52)の製造
【0260】
【化65】

化合物51(26.4g、14.6mmol)を水に溶解し、Gd(OAc)(16.1g、48.2mmol)を添加する。24時間後、反応混合物を濃縮して分取用HPLCで精製することで化合物52を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと該コアに結合した−R−L−X’基からなる下記式(II)の化合物。
A−(R−L−X’) (II)
(式中、
Aは剛性コアを表し、
Rは同一又は異なるものであり、コアAとRとの共有結合の回転及び/又はLが存在するときはRとLとの共有結合及び/又はLとXとの共有結合の回転及び/又はLが存在しないときはRとX’との共有結合の回転に対する障害となる部分を表し、
Lは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものでリンカー部分を表し、
X’は同一又は異なるものであり、キレーターX及び常磁性金属イオンMからなる常磁性キレートを表し、
nは3又は4の整数を表す。)
【請求項2】
Aが環状コア又は炭素原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが3以上の炭素原子及び任意には1以上のヘテロ原子N、S又はOを含む飽和又は不飽和の芳香族又は脂肪族環であり、前記環はR−L−X基のためにn個の結合点が残されていることを条件にしてヒドロキシル又はアミノ基で任意に置換されたC〜C−アルキル、アミノ又はヒドロキシル基或いはハロゲンからなる1以上の置換基で任意に置換されている、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Rが0.1μsを超えるコンホメーショナル寿命を有する緩速回転部分である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Rが、コアA及び/又は(存在するときは)L及び/又はX及び/又は他のR基との立体相互作用によってその回転が妨げられる部分である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Lが存在している、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
Xが、DOTA、DTPA、BOPTA、DO3A、HPDO3A、MCTA、DOTMA、DTPA BMA、M4DOTA、M4DO3A、PCTA、TETA、TRITA、HETA、DPDP、EDTA及びEDTPの残基から選択される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Mが遷移金属又はランタニド金属の常磁性イオンである、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
すべてのRが同一のものであり、及び/又は(存在するときは)すべてのLが同一のものであり、及び/又はすべてのX’が同一のものである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の化合物及び1種以上の生理学的に許容し得る担体を含んでなる組成物。
【請求項11】
MRイメージング剤又はMR分光剤として使用するための請求項10記載の組成物。
【請求項12】
MRイメージング造影剤又はMR分光剤としての、請求項10記載の組成物の使用。
【請求項13】
MRイメージング及び/又はMR分光方法であって、請求項10記載の組成物を被験体に投与し、被験体にMR処置を施して被験体又は該組成物が分布する被験体の部分からMR信号を検出し、任意には検出した信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成するMRイメージング及び/又はMR分光方法。
【請求項14】
MRイメージング及び/又はMR分光方法であって、請求項10記載の組成物を予め投与した被験体にMR処置を施して被験体又は該組成物が分布する被験体の部分からMR信号を検出し、任意には検出した信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成するMRイメージング及び/又はMR分光方法。
【請求項15】
コアと該コアに結合した−R−L−X基からなる下記式(I)の化合物。
A−(R−L−X) (I)
(式中、
Aは剛性コアを表し、
Rは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものであり、コアAとRとの共有結合の回転及び/又はLが存在するときはRとLとの共有結合及び/又はLとXとの共有結合の回転及び/又はLが存在しないときはRとXとの共有結合の回転に対する障害となる部分を表し、
Lは存在しても存在しなくてもよく、存在するときは同一又は異なるものでリンカー部分を表し、
Xは同一又は異なるものであり、キレーターを表し、
nは3又は4の整数を表す。)
【請求項16】
請求項15記載の化合物の製造方法であって、
a)Rの結合を可能にする反応性基で置換されたコアAを第1の構成ブロックとして使用する段階、
b)R又はそれの前駆体を第1の構成ブロックと反応させてコアA及びRからなる第2の構成ブロックを形成する段階、
c)任意にはL又はそれの前駆体を第2の構成ブロックと反応させてコアA、R及びLからなる第3の構成ブロックを形成する段階、並びに
d)X又はそれの前駆体を第2又は第3の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法。
【請求項17】
請求項15記載の化合物の製造方法であって、
a)コアA及びAに縮合又は結合したRからなる第1の構成ブロックであって、RがL又はXの結合を可能にする反応性基で置換されている第1の構成ブロックを使用する段階、
b)任意にはL又はそれの前駆体を第1の構成ブロックと反応させてコアA、R及びLからなる第2の構成ブロックを形成する段階、並びに
c)X又はそれの前駆体を第1又は第2の構成ブロックと反応させる段階
を含んでなる方法。
【請求項18】
請求項15記載の化合物の製造方法であって、
a)三量体化又は四量体化後にAを形成する部分を含む単量体であって、さらにはLが存在するときはL又はそれの前駆体の結合或いはX又はそれの前駆体の結合を可能にする反応性部分又はそれの前駆体を含むRを含む単量体の三量体化又は四量体化を行って中間体を生成する段階、
b)任意にはL又はそれの前駆体を前記中間体と反応させる段階、並びに
c)X又はそれの前駆体を中間体又は段階b)の反応生成物と反応させる段階
を含んでなる方法。
【請求項19】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の化合物の製造方法であって、請求項16乃至請求項18のいずれか1項記載の方法を実施する段階、及び請求項16乃至請求項18のいずれか1項記載の方法の反応生成物と適当な常磁性金属イオンMとの錯体形成を含む後続の段階を含んでなる方法。

【公表番号】特表2009−517465(P2009−517465A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543225(P2008−543225)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000450
【国際公開番号】WO2007/064227
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】