説明

多階段型ドリル

【課題】 多階段の孔を掘るための多階段型ドリルを提供する。
【解決手段】 一体形成のシャンクとドリル本体を有し、該ドリル本体の下端に自由端が設けられ、外側に該自由端を貫通する複数の溝が形成され、該溝の一側に受力面が形成され、該自由端に直径が徐々に大きくなる複数の階段部が設けられ、該階段部に少なくとも一つの刃部が設けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に多階段の孔を掘るための多階段型ドリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工部材に孔を掘るためにドリルが使用される。しかし、大きい孔を掘る場合、掘る面積が大きいから、ドリルの受力が大きいにより掘り速度が遅くなると共に、ドリルを損壊してしまうという問題を有する。
図11及び図12に示すように、従来のドリルは、ドリル本体(60)を有し、その側壁に軸方向に沿って二つの溝(61)が形成されると共に、下端に硬質な刃部材(62)が設けられ、又、ドリル本体(60)の内部に上下貫通の注液孔(63)が形成される。従来のドリルを使用する場合、ドリル本体(60)における刃部材(62)の刃部(621)によって加工部材の表面に孔を掘り、掘り出した屑を溝(61)によって加工部材の外側へ排出し、注液孔(63)に洗浄液を注入することにより、屑の排出を加速する。又、前記ドリルは、一般によく使用されるものであるため、特に特許文献又は非特許文献には記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のドリルは、ドリル本体(60)の下端に設けられる刃部材(62)によって一回で孔を掘るため、孔を掘る際、掘り出した屑が大きく、掘り速度が遅くなると共に、ドリルを損壊してしまうという問題を有する。
そこで、出願されたのが本発明であって、多階段の孔を掘るための多階段型ドリルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の請求項1の発明は、一体形成のシャンクとドリル本体を有し、該ドリル本体の下端に自由端が設けられ、外側に該自由端を貫通する複数の溝が形成され、該溝の一側に受力面が形成され、該自由端に直径が徐々に大きくなる複数の階段部が設けられ、該階段部に少なくとも一つの刃部が設けられることを特徴とする多階段型ドリル、を提供する。
【0005】
本願の請求項2の発明は、前記階段部の刃部は溝の受力面に一体形成とすることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0006】
本願の請求項3の発明は、前記溝の受力面に刃部材が設けられ、前記刃部は該刃部材の下端に設けられることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0007】
本願の請求項4の発明は、前記自由端の中央に軸方向に沿って収容部が形成され、該収容部に階段部の形状に対応すると共に、下端に刃部を有する刃部材が収容されることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0008】
本願の請求項5の発明は、前記ドリル本体の外側に該収容部と連通する固定孔が形成され、前記刃部材に該固定孔に対応する貫通孔が形成され、固定孔と貫通孔に固定部材が設けられることにより、刃部材を収容部の内部に固定することを特徴とする請求項4に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0009】
本願の請求項6の発明は、前記溝はらせん状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れの多階段型ドリル、を提供する。
【0010】
本願の請求項7の発明は、前記階段部における受力面に凹溝が形成され、該凹溝に刃部材が設けられることを特徴とする請求項3に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0011】
本願の請求項8の発明は、前記凹溝にねじ孔が形成され、前記刃部材の中央に凹溝のねじ孔と対応する貫通孔が形成され、該貫通孔とねじ孔にねじが設けられることにより、刃部材を凹溝に固定することを特徴とする請求項7に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0012】
本願の請求項9の発明は、前記シャンクとドリル本体の内部に上下貫通の注液孔が形成されることを特徴とする請求項6に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【0013】
本願の請求項10の発明は、前記シャンクとドリル本体の内部に上下貫通の注液孔が形成されることを特徴とする請求項8に記載の多階段型ドリル、を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の課題を解決するものであり、ドリル本体の下端に刃部材を有する複数の階段部が設けられ、加工部材に孔を掘る際、直径がより小さい刃部材の刃部によって小さい孔を掘ると共に、直径がより大きい刃部材の刃部によって孔を拡大するように孔を掘ることにより、孔の掘り速度を向上すると共に、ドリルの使用寿命を延長することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す斜視図であり、図2は本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す平面図であり、図3は本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す分解斜視図であり、図4は本発明に係る多階段型ドリルの第2実施例を示す平面図であり、図5は本発明に係る多階段型ドリルの第3実施例を示す平面図であり、図6は本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す分解正面図であり、図7は本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す分解側面図であり、図8は本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す側面図であり、図9は本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す部分斜視図であり、図10は本発明に係る多階段型ドリルにより掘った孔を示す断面図である。
図1に示すように、本考案に係る多階段型ドリルは、一体形成のシャンク(10)とドリル本体(20)を有し、内部に上下貫通するように注液孔(11)が形成される。
図1乃至図3に示すように、本考案に係る多階段型ドリルのドリル本体(20)の第1実施例のドリル本体(20)は円柱状であり、下端に自由端(201)が設けられ、外側に二つの溝(21)が形成され、該溝(21)の一側に受力面(211)が形成され、該自由端(201)に直径が徐々に大きくなる複数の階段部(22)が設けられ、該階段部(22)における受力面(211)にねじ孔(222)を有する凹溝(221)が形成され、該凹溝(221)に下端に刃部(232)を有すると共に、中央に凹溝(221)のねじ孔(222)と対応する貫通孔(231)を有する刃部材(23)が設けられ、該貫通孔(231)とねじ孔(222)にねじ(24)が設けられることにより、刃部材(23)を凹溝(221)に固定する。
図4に示すように、本考案に係る多階段型ドリルの第2実施例では、ドリル本体(30)の外側に自由端(301)を貫通する二つのらせん状の溝(31)が形成され、該溝(31)の一側に受力面(311)が形成され、該自由端(301)に半径が徐々に大きくなる複数の階段部(32)が設けられ、各階段部(32)の受力面(311)に下端に刃部(331)を有する刃部材(33)が設けられ、ねじ(34)が刃部材(33)を貫通してドリル本体(30)と螺合することにより、刃部材(33)とドリル本体(30)を結合させる。
又、図5に示すように、本考案に係る多階段型ドリルの第3実施例では、ドリル本体(40)は例えばタングステン合金のように硬質な素材から成り、ドリル本体(40)の外側に自由端(401)を貫通する二つのらせん状の溝(41)が形成され、該自由端(401)に半径が徐々に大きくなる複数の階段部(42)が設けられ、各階段部(42)に下端に刃部材(421)が一体形成に設けられる。
又、図6乃至図9に示すように、本考案に係る多階段型ドリルの第4実施例では、ドリル本体(50)の外側に自由端(501)を貫通する二つのらせん状の溝(51)が形成され、該自由端(501)に半径が徐々に大きくなる複数の階段部(52)が設けられると共に、中央に軸方向に沿って収容部(502)が形成され、又、ドリル本体(50)の外側に該収容部(502)と連通する固定孔(503)が形成され、該収容部(502)に階段部(52)の形状に対応すると共に、下端に刃部(533)を有する刃部材(53)が収容され、該刃部材(53)に固定孔(503)に対応する貫通孔(531)が形成され、固定孔(503)と貫通孔(531)に固定部材(54)が設けられることにより、刃部材(53)を収容部(502)の内部に固定する。又、刃部材(53)に屑を排出するための凹溝(532)が形成されてもよい。
図10に示すように、本発明に係る多階段型ドリルを使用する場合、刃部材(53)における直径がより小さい刃部(533)によって加工部材(70)により小さい孔(71)を掘り、更に、直径がより大きい刃部(533)によって孔(71)を拡大させ、又、注液孔(符号なし)に洗浄液を注入することにより、屑の排出を加速すると共に、孔を掘る際によって発生する温度を降下させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本考案は上記の構造を有するので、ドリル本体の下端に刃部材を有する複数の階段部が設けられ、加工部材に孔を掘る際、直径がより小さい刃部材の刃部によって小さい孔を掘ると共に、直径がより大きい刃部材の刃部によって孔を拡大するように孔を掘ることにより、孔の掘り速度を向上すると共に、ドリルの使用寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る多階段型ドリルの第1実施例を示す分解斜視図である。
【図4】本発明に係る多階段型ドリルの第2実施例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る多階段型ドリルの第3実施例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す分解正面図である。
【図7】本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す分解側面図である。
【図8】本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す側面図である。
【図9】本発明に係る多階段型ドリルの第4実施例を示す部分斜視図である。
【図10】本発明に係る多階段型ドリルにより掘った孔を示す断面図である。
【図11】従来のドリルの斜視図である。
【図12】従来のドリルの正面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 シャンク
11 注液孔
20 ドリル本体
201 自由端
21 溝
211 受力面
22 階段部
221 凹溝
222 ねじ孔
23 刃部材
231 貫通孔
232 刃部
24 ねじ
30 ドリル本体
301 自由端
31 溝
311 受力面
32 階段部
33 刃部材
331 刃部
34 ねじ
40 ドリル本体
401 自由端
41 溝
42 階段部
421 刃部材
50 ドリル本体
501 自由端
502 収容部
503 固定孔
51 溝
52 階段部
53 刃部材
531 貫通孔
532 凹溝
533 刃部
54 固定部材
60 ドリル本体
61 溝
62 刃部材
63 注液孔
70 加工部材
71 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体形成のシャンクとドリル本体を有し、該ドリル本体の下端に自由端が設けられ、外側に該自由端を貫通する複数の溝が形成され、該溝の一側に受力面が形成され、該自由端に直径が徐々に大きくなる複数の階段部が設けられ、該階段部に少なくとも一つの刃部が設けられることを特徴とする多階段型ドリル。
【請求項2】
前記階段部の刃部は溝の受力面に一体形成とすることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル。
【請求項3】
前記溝の受力面に刃部材が設けられ、前記刃部は該刃部材の下端に設けられることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル。
【請求項4】
前記自由端の中央に軸方向に沿って収容部が形成され、該収容部に階段部の形状に対応すると共に、下端に刃部を有する刃部材が収容されることを特徴とする請求項1に記載の多階段型ドリル。
【請求項5】
前記ドリル本体の外側に該収容部と連通する固定孔が形成され、前記刃部材に該固定孔に対応する貫通孔が形成され、固定孔と貫通孔に固定部材が設けられることにより、刃部材を収容部の内部に固定することを特徴とする請求項4に記載の多階段型ドリル。
【請求項6】
前記溝はらせん状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れの多階段型ドリル。
【請求項7】
前記階段部における受力面に凹溝が形成され、該凹溝に刃部材が設けられることを特徴とする請求項3に記載の多階段型ドリル。
【請求項8】
前記凹溝にねじ孔が形成され、前記刃部材の中央に凹溝のねじ孔と対応する貫通孔が形成され、該貫通孔とねじ孔にねじが設けられることにより、刃部材を凹溝に固定することを特徴とする請求項7に記載の多階段型ドリル。
【請求項9】
前記シャンクとドリル本体の内部に上下貫通の注液孔が形成されることを特徴とする請求項6に記載の多階段型ドリル。
【請求項10】
前記シャンクとドリル本体の内部に上下貫通の注液孔が形成されることを特徴とする請求項8に記載の多階段型ドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−30080(P2007−30080A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214605(P2005−214605)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(505280299)益壯企業有限公司 (2)
【Fターム(参考)】