説明

大きい領域の指紋の光電子記録のための装置

【課題】汚染物質に曝される光学ビーム経路を用いることなく、及び解像度の損失を許容する必要がなく、大きい領域の凹んだ皮膚部分を一回配置することによって、完全な光電子画像記録を可能にする手の乳頭の隆線パターンを記録するための新規な可能性を見つける。
【解決手段】大きい領域の指紋の光電子記録のための装置、特に手の掌全体の紋を取得するための装置において、皮膚部分を支持するための支持本体が支持面として十分な弧度および半径を備えた外面の部分を提供する円筒の基本的な形状を有し、支持本体の端面がそれぞれ円筒軸を中心にして同軸に配置される円錐凹部を備え、円錐凹部の表面線を介して照明ビーム経路および結像ビーム経路に結合し、支持本体の照らされた外面で支持される皮膚部分による減衰全反射の連続する線状のストリップを記録するために、結像ビーム経路および線状に延在する画像センサが円筒軸を中心にして同期して回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きい領域の指紋の光電子記録のための装置、特に手の掌全体の紋を取得するための装置に関する。この装置は、識別業務および法廷における識別のための個人的な特徴を記録するために用いられる。
【0002】
司法当局の識別業務では、身元を証明することができるようにするために、個人の指紋および手形が採取される。百年以上の間、指または手の表面にインクをつけ、紙の上に転写することによって、指または手の乳頭の隆線のパターンの記録が慣用的に行われてきた。高性能の電子センサおよびコンピュータの有用性を利用して、インク、紙および指紋画像の走査を媒介することなく、パターンの直接的な電子取得のために用いられる装置が世に現れてきている。このように、電子取得は、実質的により高速かつ特により高品質で行われることができる。
【背景技術】
【0003】
個別の指(さらに正確に言えば、指の上部2関節)の指紋の電子取得に関連する多くのさまざまな文献があるが、手の掌を取得するための解決策は少数に過ぎない。これらの解決策は、形式で制限され、掌の一部のみを1つのプロセスで取得することができるか、または実物大の手全体を取得することができるが、この種の用途に必要な品質を確実に達成することはできないかのいずれかである装置に関するものである。
【0004】
既に公開された特許出願(特許文献1)は、手の掌のパターンを光学的に記録するための装置について述べており、この装置ではプリズムの平面記録面に置かれている乳頭の隆線のパターンが減衰内部全反射(FTIR:漏れ内部全反射)によって画像として目に見えるようにすることができる。この目的のために、光学的固体材料(たとえば、ガラス)から構成されるプリズムが静止態様で支持され、手の支持面を画像センサに結像するために、光学結像ビーム経路に組み込まれる。制御された態様で2つの軸において傾斜されることができるミラーが、画像を複数記録し、次に画像データを組み合わせる特殊な方法によって2次元画像記録センサの解像度を向上させるために、ビーム経路に配置される。
【0005】
この装置では、手の掌が内側に多少湾曲し、このため、その全体を記録面に直に接触しないという不都合な結果となるため、比較的大きい領域(通常は掌の中心にある)は結像されない(すなわち、白く見えるか空に見える)。実際の改善策として、記録面に置く手の上に圧力を印加してもよい。しかし、手の表面が凹んでいることを考えると、これはある程度まで結像を改善するに過ぎない。なぜなら、乳頭の隆線を押圧する前に既に十分に接触していた手の一部における接触圧力を増大し、結果として生じる画像の押圧された領域が芳しくないコントラストできわめて黒く見えることから、計測することがさらに困難となるからである。
【0006】
特許文献2は、手の掌のパターンの光学記録のための装置について記載している。透明な半管(その長さに沿って分割されたガラス管)の曲面は、掌用の静止支持体として機能する。内部では、曲面に沿って直線状に延在し、曲面を斜めに照らす光ロッドによって、支持体に置いている手の外面で散乱される光のみがミラーによって光学結像ビーム経路に結合されることを保証する。本質的に一次元である手の掌の結像が秒単位でミラーのモータ駆動回転および画像センサの光学素子によって生成され、(重なっている)部分画像の形で読み出され、ひとまとめにして、出力画像を形成する。
【0007】
散乱光の原理を用いて乳頭の隆線を目に見えるようにして結像することは不都合である。古い紋からの散乱光は再び検出されないように、手の配置ごとにその後に、手によって分泌される汗に由来する残留物を全体に綿密に除去しなければならないためである。
【0008】
特許文献3はまた、手の掌における乳頭の隆線のパターンの光学記録のための装置を開示しており、この装置では、固体光学材料(たとえば、ガラス)の円筒が回転可能に支持され、プリズムがこの円筒の端面付近に配置され、固体円筒の外面に水平な角度で照明光を放射し、画像結像ビーム経路において対向する側で照明光が結合される。
【0009】
円筒の外面は、その上に配置される掌の一部のための支持体として機能する。この装置によって、支持された乳頭の隆線の画像が、減衰内部全反射(FTIR)の原理を用いて部分ごとに目に見えるようになり、1次元画像センサの光学素子によって結像される。秒単位の画像が、手によって固体円筒を回転することによって走査され、線ごとに集められ、出力画像を生成する。しかし、手が円筒面であまり急速に移動される場合、すなわち、角速度が最大許容速度を超える場合には、画像センサの信号処理手段は、回転移動と同期させるように画像データを供給することができないため、出力画像もまた、正確に集められない。このため、その所与の回転速度を超えた場合には、角速度を測定し、円筒を制動するためのきわめて複雑な別の装置が設けられる。
【0010】
別の基本的な問題点は、出力画像を集める場合の著しい誤差を避けるために、掌と円筒面との間の相対的な移動がない状態で、掌を正確に移動しなければならないことにある。実際の実現に関して、さらなる不都合は、埃および湿気による誤作動を防止するために、プリズムへの移行中に回転可能な円筒の両方の端面における光学的光路を密閉することが相当困難であることにある。
【0011】
さらに、公報(特許文献4)による掌のパターンの光学記録のための別の従来技術の装置は、円錐状の光学本体を用いる。この場合も先と同様に減衰内部全反射(FTIR)の原理が用いられ、線状の照明を有するロッドが円錐の対称軸に沿って穿孔内に配置され、したがって本質的に線状の態様で照らされる円錐の外面の領域が結像光学素子によって円錐の平面の基部面を通ってラインセンサに下向きに結像される。センサおよび光学素子は、回転可能なプレートに強固に連結され、さらに、プレートは線状の照明を有するロッドに固着され、すべての3つの構成部材が円錐の対称軸の周囲で一緒に動かされる。このように、外面は円錐の表面線に沿って線ごとに走査され、一度その上に配置される掌の画像は平面において巻いていない円錐の外面に対応する複数の個別の線として出力される。しかし、画像を矩形形式に変換するために、座標変換および画像全体の再標本化を行わなければならない。この走査は一意に決定され、数学的に説明することが比較的容易であるが、有効な光学的変調伝達関数(MTF)におけるコントラスト勾配を必ず引き起こす結果に終わる。したがって、MTFは関連標準によれば、出力画像において(変換後に)必要とされるより生画像において実質的に高いコントラストを実現しなければならない。したがって、光学素子およびセンサに関する技術的要件は、円筒原理を用いる装置より相当高い。このことは技術的な費用が相当高いことを意味し、そうでなければ出力画像ではより低い画質(dpi単位の解像度)を実現することができるだけにすぎない。
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0090147 A1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,038,322号明細書
【特許文献3】米国特許第6,175,407号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0109245号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、環境的な影響に対して不完全に密閉された照明ビーム経路または結像ビーム経路を用いることなく、解像度の損失または画像記録の修正のために電子機器に相当増大する費用を許容する必要がなく、人間工学的に好都合な態様に湾曲した支持面を備えており、手の紋のある表面を一回配置することによって、完全な光電子画像記録を可能にする手の乳頭の隆線パターンを記録するための新規な可能性を見つけることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
大きい領域の凹んだ皮膚部分、特に手形全体の紋の光電子画像記録のための装置において、減衰内部全反射に基づく画像記録を実現するために、支持面と大きい領域で接触する皮膚部分を支持するための凸状の支持面と、支持面を照らすための光源と、画像センサに内部全反射される照明光を伝播するための読み出しビーム経路と、を備えた光学支持本体を有し、本発明によれば、支持本体は円筒軸を中心にして円筒の基本的な形状を有し、円筒は必ずしも完全でなく、支持本体は大きい領域の凹んだ皮膚部分用の支持面として外面の少なくとも1つの自由にアクセス可能な部分を提供するのに十分な弧度および半径を備えた円筒の外面を有する点と、支持本体は第1の端面および第2の端面を有し、それぞれの端面が円筒軸を中心にして同軸に配置され、円錐凹部の表面線に少なくとも平行に延在する光源が第1の端面の円錐凹部に配置され、結像ビーム経路が第2の端面の円錐凹部に連結され、結像ビーム経路は円筒軸および走査されるストリップによって与えられる軸平面において内部全反射角で線状に延在する画像センサに支持本体の外面の横線に沿って線状の態様で延在する支持面のストリップを結像する点と、線状に延在する画像センサおよび結像ビーム経路は照らされる外面で支持面に接触する皮膚部分による減衰全反射の連続する線状のストリップを記録し、それらを結合して支持本体に置かれる皮膚部分の2次元画像を形成するために、支持本体の円筒軸を中心にして同期して回転可能である点において、上述の目的が達成される。
【0015】
円筒扇形は4分の1の円筒から2分の1の円筒であることが好ましく、支持本体として有利に用いられる。
【0016】
結像ビーム経路の画像センサおよび素子の同期回転のために、円筒軸を中心にして回転可能であるように支持される管が設けられることが望ましい。管は、支持本体の円錐凹部の外側または円筒支持本体の円筒凹部に配置される。円筒凹部は円筒軸に対して同軸に延在する。後者の変形の場合には、結像ビーム経路は、反射面によって管および円筒凹部の中に折り畳まれることが好都合である。
【0017】
支持本体の支持面の一連のストリップを走査するため、結像ビーム経路および画像センサを移動するために円筒軸を中心とした管の連続回転用のステッピングモータが設けられることが望ましい。
【0018】
好都合な変形において線光源が照明に用いられる場合には、この光源は円筒支持本体の第1の前面で、強固かつ円錐凹部の上部に平行に管に固定されることから、結像ビーム経路と同期して円筒軸を中心にして可動である。
【0019】
適切な形状の光源は、少なくとも支持面の表面線に沿って支持本体の内側に強力な背景照明を生成するために、その下方に配置される拡散体を有することが有利である。支持本体の円錐凹部の表面に沿って配置される投光照明または平面投射器は、支持面全体に沿って強力な背景照明で支持本体の内側円筒面を照らすのに適している可能性がある。
【0020】
光源は、支持本体の内面で支持面の表面線に沿って一筋の強力な背景照明を生成するために、結像ビーム経路と同期する円錐凹部の表面に沿って回転可能であるように配置される平行線光源であることが好ましい。
【0021】
結像ビーム経路は、直線状に延在する画像センサに支持本体の円筒面のストリップを結像するための少なくとも1つの結像光学素子装置を有する。
【0022】
さらに、結像ビーム経路は、画像センサに結像される支持面のストリップの遠近歪みを補正するための少なくとも1つの光学素子を収容することが有利である。この光学素子は、歪みの少なくとも部分補正のための少なくとも1つの楔状のプリズムであることが好ましい。
【0023】
有利な変形において、結像ビーム経路は、遠近歪みを補正するための2つのプリズムおよびビーム経路を折り畳むための反射面を有する。反射面は個別の平面鏡の反射面であってもよく、または反射面は反射背面としてプリズムの一方に配置される。さらに、反射面は、画像のひずみを補正する高屈折率ガラスのプリズムの全反射する背面であることが好ましい。
【0024】
画像の遠近歪みの部分光学補正のための別の変形において、支持面と結像ビーム経路の出射面としての円錐凹部との角度が照明ビーム経路の側の全反射の角度および円錐凹部の対応する角度より相当大きいため、第1のプリズムを円筒支持本体に適切に組み込むことができる。
【0025】
さらに、結像ビーム経路は、遠近歪みの部分補正およびビーム経路の折り畳みのための曲面鏡を有することが可能である。
【0026】
加熱素子は、結露を防止する(また、固い皮膚を柔らかくする)ことが好ましいために円筒扇形または円筒断面を切断することによって平面切断面として形成される成形された支持本体の画定する表面の大きな領域に配置されることが望ましい。
【0027】
さらに、較正デバイスが、支持面の外側の支持本体の外面に配置され、結像ビーム経路を較正し、検査するために、接触、汚染物質および外部光を防ぐ覆いによって少なくとも覆われることが望ましい。
【0028】
本発明は、手の汗および埃に対するさらなる堅牢性を得るために、減衰内部全反射(FTIR)の光学原理の利用と、湾曲した記録面における手の相対的な移動(回転)を防止する必要性という基本的な概念に基づいている。したがって、本発明によれば、静止円筒基部本体の外面が手の支持面として機能し、円錐状に傾斜した端面が円筒支持面の表面線に沿ってストリップを照らして読み出すために用いられる。複数の円筒表面線に沿ってストリップを連続的に走査するために、線状の画像センサを有する走査ビーム経路(線光源の場合には、照明装置も同様)は、回転機構によって基部本体の円筒軸を中心にしてステップごとに回転される。全体的な記録プロセスは、円筒軸を中心とした機械的な走査移動および画像センサのデータ読み出し速度の適切な同期によって数秒で実現されることから、この時間中、難なく手を静止状態で保持することができる。
【0029】
円筒扇形は、人間工学的に好ましい態様で、円筒支持面に掌をぴったりと合わせるために十分である。埃および水を通さないようにするために、外部環境に対して光学読み出し装置の内部空間を密閉する筐体が、この円筒扇形の外面の縁に隣接している。
【発明の効果】
【0030】
本発明による解決策は、固定された人間工学的な円筒支持面によって、手の乳頭の隆線パターンを記録することを可能にし、環境的な影響から密封された照明ビーム経路および結像ビーム経路を有する円筒支持面の上に一回、手の紋のある表面を配置することによって、完全な光電子画像記録を可能にする。記録面は、画像記録を修正するときに、1次元でのみ解像度の光損失を有し、画像変換を行うことなく速やかに平面に解くことができることから、光電子的に取得された曲面画像からディジタル平面の乳頭の隆線パターンへの直接アクセスを提供する。
【0031】
さらに、これまでは平面記録面に制限されるか、または必然的に深刻な不都合を伴っていたFTIRの原理を適用することによって、手の汗またはコントラストに関する問題点が皆無である。さらに、従来の手法でこれまで生じていたように、手を回転することによって生じた周知の問題点は、静止した手の下にある光学装置の内部における同期走査によって防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、実施形態の実施例を参照して以下にさらに詳細に説明されよう。
【0033】
その基本的な構造に関して、本発明は、光電子記録デバイスの核として、図1に示されているように、指21または手2全体(図2のみに示す)の皮膚部分の大きい領域の紋を記録するために、特別に構成された光学的に透明な支持本体を含む。この円筒支持本体1は、光学材料(ガラスまたはプラスチック)から構成され、外面領域11の少なくとも一部は、手2のための支持面12として設けられ、手の凹んだ掌が走査本体1の外面11にぴったりと接触するようになっている。
【0034】
円錐凹部16は、一方では照明ビーム経路3の中に連結し、他方では結像ビーム経路4から連結するために、本体1の2つの端面13で円筒軸15に同軸に配置されることから、外面11の横線に沿ってストリップ41(図9または図10参照)の減衰(その上に配置された手が原因である)全反射(FTIR)が記録されることが可能である。
【0035】
図1の側面図である図2に示されているように、別の円筒凹部17が、反射素子によって画像センサユニット5(図3にのみ示す)に対して折り畳まれる結像ビーム経路4(図4〜図8のみに示す)を案内するために、円筒軸15を中心にして同心円状に本体1に設けられることが好ましい。したがって、図4〜図8に示されているように、装置のコンパクトな構造的な形を実現するために、折り畳まれた記録ビーム経路4および/または照明ビーム経路3は、円筒軸15を中心として簡素な態様で回転されることができ、(外面11の一部としての)支持面12の異なるストリップ41を巡回する方向に任意の密度で連続して順次走査し、画像センサユニット5から一連の線状の画素列を供給する。円筒軸15を中心とした結像ビーム経路4のすべての光学構成要素の位置を確定して固締し、接合して回転するために、管42(図4〜図9参照)を別の凹部17に挿入することができる。
【0036】
最大で半円筒19またはさらに小さい(図2、図9または図10参照)外面11が、手2の掌全体用の記録面12として必要とされるので、支持本体1は、円筒扇形18としてのみ構成されることが有利である。円筒扇形18は、その長手軸に沿って固体の円筒を、2分の1、3分の1または4分の1などに切断することによって製作される。図3(図2)の軸断面図によると、結果として生じる円筒断面18は、先端を切り落としたプリズムのように見える。
【0037】
したがって、図3(および他の次の図のすべて)において、光の入力および画像の読み出しは、プリズムの場合と同様に行われるが、円錐凹部16の外面としての入射面および出射面が円錐であることから、単独では円筒扇形18のすべての軸方向の平面に関して実質的に1次元でしかない。
【0038】
円筒扇形18は、静止態様でデバイス筐体(図示せず)に保持され、埃および噴霧される水を通さないようにするために、ホルダが内部空間(下および支持面12の側面)に対して円筒扇形18の外面11を密閉する。
【0039】
一方には、光の入力のために円筒扇形18の内面11に強力な背景照明を生成するための光源31が、他方には、画像センサユニット5の線状に延在する画像センサ51が、円錐凹部16の円錐表面線に平行に円筒扇形18の円錐凹部16に配置される。円錐表面線は、図に示された軸断面において目で見ることができる。この光源31および線状に延在する画像センサ51は、円筒扇形18の全く同一の軸断面内で支持面12(手の配置のために自由にアクセス可能な外面11の一部)のストリップ41を走査することが可能であり、支持面12に置かれている手2の皮膚部分の画像を入手するために、円筒軸15を中心にして連続的に巡回して移動され、画像は個別のストリップの走査から集められる。
【0040】
線状に延在する画像センサ51まで円筒扇形18の表面線に平行に延在するストリップ41の結像ビーム経路4は、少なくとも1つの結像光学素子装置43と、画像が光学的に相当歪むという事実のために、画像の少なくとも部分的な光学的調整のための少なくとも1つの光学的に補正する素子(この場合には、プリズム44)と、を含む。図3による本実施例において、シャインプルーフ条件を利用する結像光学素子43の光軸に対して画像センサ51を斜めに位置決めすることによって、歪みがさらに(部分)補正される。
【0041】
全体的な結像ビーム経路4は回転可能な管42に連結され、その回転軸は細長い円筒軸15に対応し、図3に示されているように、支持面12から画像センサユニット5までのストリップ41の画像の光学透過のために、結像ビーム経路4の構成要素のすべてを回転可能に保持し、互いに対して固定されるように収容する。管42は、円筒軸15を中心にして回転可能であるように支持され、少なくとも円筒扇形18の角度領域において、ステッピングモータ6によってステップごとに所定の態様で移動される。この移動は、円筒扇形18の外側の断続的な走査および/または照明を伴う2つの端部分の間の旋回移動又は循環する回転移動であってもよい。
【0042】
減衰全反射に関して慣用的である背景輝度は、水平な入射角で光源31によって供給される。背景照明は円筒扇形18の表面11(すなわち手12のための支持面12)によって反射され、手の掌の乳頭の隆線が全反射に干渉しない限り、ストリップ41として線状の態様で結像ビーム経路4によって記録される。全反射が皮膚の乳頭の隆線によって部分的に減衰されることから、これらの位置からは光源31からの光が結像ビーム経路4によって画像センサ51に結像されない。
【0043】
この実施例において、光源31は、第1の前面12に導入される円錐凹部16の形状に適切に適合され、その表面線に平行に指向される。
【0044】
照明ビーム経路3が線光源33のみ(結像はストリップごとに行われるに過ぎないため、完全に十分である)を含む場合には、この光源33はさらに、たとえば図4に示されているように、円筒軸15を中心にして回転可能であるように、管42と連通しなければならないと推測される。線光源を用いる場合には、直接照明もまた、結像されるストリップ41のさらに強い照明として用いることができることが有利である。
【0045】
手2または指21が支持面12に置かれると、ストリップ41の画像が減衰全反射を利用して、画像センサ51の管42の内部にある結像光学素子43によって結像される。ステッピングモータ6は、管42と、結像光学素子43、プリズム44および画像センサ51などの管42に固締される素子のすべてとを小さな角度ステップで同期して個別の位置まで移動する。新たに調整されたストリップ41の画像が、管42の静止位置で記録され、続いて画像センサ51から読み出される。
【0046】
読み出し中、ステッピングモータ6は、管42を次の走査位置に移動する。物体領域、すなわち円筒扇形18の(内部)円筒面11に沿った走査されたストリップ41の位置は、位置決めデバイスによって横(循環する)方向に移動される。ステップのサイズは、所望の解像度(たとえば、1000ppi)が支持面12に実現されるように選択される。
【0047】
手2に関して走査される支持面12のサイズは、高さ×幅として203.2mm×139.7mm(8”×5.5”)で与えられる。したがって、幅は、円筒扇形18の表面線11に沿って光学的に走査されるストリップ41の長さを規定し、高さは、円筒面11の表面線の方向に直交するストリップ41の連続走査の走査経路を与える。円筒扇形18の半径に応じて、これは支持面12の所定の「高さ」を完全に走査するために管42が回転しなければならない最大角を与える。したがって、1000ppiで、5500画素(幅)×8000画素(高さ)のサイズの画像が走査装置によって供給される。手の掌は支持本体1の円筒外面11にぴったりと置かれることができるため、200mmの半径できわめて良好な結果が得られる。さらに小さな半径では、手の掌はさらにぴったりと置かれるが、皮膚部分の変形が増大する。
【0048】
結像光学素子43に過度の要求をしないために、幾何的な歪み(特に手2の横断方向における非均質な結像尺度)および照明(強度)および画像センサ51の感度分布の非一様さを補正するための方法が用いられる。このために、結像されるストリップ41の方向において、実質的に必要な5500画素以上、たとえば8000画素(たとえば米国のイーストマン・コダック・コーポレーション(Eastman Kodak Corp.(USA))を有する画像センサ51が用いられる。次に、画像センサ51のすぐ下流に配置される実時間論理回路およびさらなるアナログ・ディジタル変換器において、補正を行うことができ、8000画素の列長さの画素データストリームから5500画素の所定の列長さが生成される。
【0049】
幾何的な誤差を補正することなく、結像ビーム経路4の回転方向に動作が行われる。ステッピングモータ6は、十分に厳密かつ正確に(再現可能に)位置決めステップを調整することができるように選択される。結像ビーム経路4の遠近結像誤差によって、照明ビーム経路に面する側により広い画素および対向する側により狭い画素を有する支持面12(すなわち円筒扇形18の外面11)における結像光学素子43の使用による画像センサ51の結像を生じさせる。したがって、支持面12におけるMTFは、円筒扇形18の表面線に沿った位置に左右される。最悪の場合であっても、すなわち照明ビーム経路3の側で、MTFが必要な最小値に達するとき、この依存性を無視することができる。MTFのこれらの最小値は、たとえば、大きな警察機構(たとえば米国のFBI、日本の警察庁)の画質標準に記載され、デバイスの保証の範囲内でデバイスによって立証可能な態様で実現されなければならない。
【0050】
図5に示されているようにラインセンサ52が画像センサユニット5として用いられ、たとえば30MHzで作動されるとき、走査表面12全体にわたる完全な走査には、2.8秒(遊休期間は含まない)の期間が必要である。ストリップ41の走査にかかる時間は、約0.5ミリ秒である。
【0051】
ストリップ41に対してそのような短い走査時間を用いると、ラインセンサ52の感度は面センサ(たとえば、平たい走査器と共に用いられる)に比べてきわめて低い。これは、強力な線(線状の)光源33によって相殺されなければならない。この目的のために、その光が列方向に平行化される高強度のLEDまたはレーザダイオードをさらに用いることができる。
【0052】
物体領域全体において一様なMTFに特に重点を置く利用者にとって、ラインセンサ51の結像の遠近歪みもまた、光学手段によって完全に補正することができる。
【0053】
図4は、この目的のために適切に展開され、補正素子によって折り畳んだ結像ビーム経路4を有する装置を示している。四分円の円筒扇形18が、光学支持本体1として用いられる。円筒扇形18は、線状の画像走査が行われる軸断面として図面平面に示される。
【0054】
この実施例において、照明ビーム経路3は、その前に配置された拡散体32を有する線光源33を有し、線光源33は、管42に固定して連結され、それゆえに結像ビーム経路4の構成要素と同期して移動され、その結果、常にステップごとに結像を有して回転するように外面11の狭い領域(結像されるストリップ41)が照明側の円錐凹部16を通して強く放射される。LEDアレイ装置または線状に展開されるレーザダイオードを線光源33として用いることができる。
【0055】
結像ビーム経路4は、(結像光学素子43の)光軸49および手2の結像されるストリップ41の周辺光線A1およびA2によって表される。A1は照明ビーム経路3の側にあり、A2は対向する側にある。大きな角度の全反射によって生じる遠近歪みを考慮して、幾何的な調整が望ましいと思われる。結像ビーム経路4において、第1のプリズム44および第2のプリズム45によってこの幾何的な調整を完全行うことができる。歪みの補正が光学的に完全に行われない場合には、次に電子補正(たとえば、図7および図8による実施形態の変形において設けられている)もまた行うことができる。
【0056】
この場合には、円筒扇形18の別の凹部17において外面11に対して同軸で回転可能であるようにするために、照明ビーム経路3および結像ビーム経路4の回転のための支持部材としての管42が、支持本体1全体の下に配置される。凹部17は、円筒軸15を中心にして円筒状に管42のための自由空間を提供する。
【0057】
支持された手2のストリップごとの結像は、結像ビーム経路4が平面反射面46によって管42の中に折り畳まれる前に、第1のプリズム44によって遠近歪みの部分補正を受け、この場合には光学的に完全に行われる画像の調整を第2のプリズム45が引き継ぐ。第2のプリズム45は、同時に結像光学素子43に対する結像ビーム経路4の配向を提供し、その光軸49は管42の対称軸および円筒軸15に対して平行であり、ラインセンサ52に線状のストリップ41を結像する。ラインセンサ52に結像が行われるため、2つのプリズム44および45は、きわめて狭いように構成されることができる。これにより、寸法を最小限に抑え、回転駆動(ステッピングモータ6)の要件に対しても有利となる。
【0058】
指21または手2全体が支持面12に置かれるとき、全反射(平面支持プリズムを用いた全表面の結像に等価である)は円筒外面11の現在走査される表面線に沿って減衰され、明暗パターンがラインセンサ52によって1次元で取得される。2つのプリズム44および45は管42に固定して連結されるため、円筒軸15を中心にしてラインセンサ52および対物レンズ43と同期して回転することから、管42のステップごとの回転によって適時に連続的に円筒扇形18の外面11に沿って支持面12全体から、所望に応じて密に互いに隣接するストリップ41の画像を記録することができる。
【0059】
図4の装置によって別の解決策もまた可能であり、プリズム44は円錐凹部16のすぐ下流に、半径厚さの増加を有する円扇形として静止態様で配置され、管42と共に移動しない。光学的に、静止プリズム44を備えたこの別の変形は、管42に沿って回転されるプリズム44(図4に示す)と全く同様に、完全に幾何的に補正される画像を生じる結果をもたらす。
【0060】
図5は、半円筒19の形で円筒本体1を示している。この実施例においても同様に、線光源33が用いられる。この線光源33は、管42に固定して連結されることから、結像ビーム経路4の構成要素と共に同期して移動される。
【0061】
結像ビーム経路4において、第1のプリズム44がその背面に直接、反射面46を備える。この反射面46は、減衰を呈することが好ましい。したがって、プリズム44は、ビーム偏向のために補正素子として機能する。残りの素子および機能はすべて、図4に記載したものと同一である。
【0062】
図6による構造も同様に、円筒扇形18、たとえば円錐凹部16および円筒凹部17を備えた四分円筒で始まる。本発明のこの変形において、全反射プリズム47は、高屈折率材料から構成され、画像の(部分的な)調整のほか、結像ビーム経路4の折り畳みを行うことができる。
【0063】
図5とは対照的に、図6では、高屈折率光学材料(たとえば、重いフリントガラス、n=1.8)はプリズム44の背面における全反射が可能であるために、個別の反射性コーティング46を必要としない。この場合には結像ビーム経路4の折り畳みは実質的にさらに水平な角度で行われるため、管42はさらに大きな直径を備えるように設計され、円筒軸15に沿って偏心であるように配置される回転軸を有する。前述の実施例と同様に、ステッピングモータ6は、円筒軸15を中心にしてこの場合には線光源33と共に、結像ビーム経路4(ラインセンサ52を含む)の回転移動を行う。
【0064】
図7における装置の構造は、特に光学ビーム経路4の中では画像の完全な調整がないという点で、前述の装置とは異なる。この実施例において、管42は同様に、円筒軸15に対して同軸で回転可能であり、ラインセンサ52および結像光学素子43に加えて、ビーム経路4の折り畳みおよび画像の歪みの部分補正のための曲面鏡48のみを有する。画像の残る調整を簡素な態様で電子的に行うことができる。
【0065】
さらに、図4〜図6とは対照的に、照明ビーム経路3は、拡散体32を含むが、静止態様で照明側の円錐凹部16の領域全体を放射する平面投射器34を有する。
【0066】
図8は、画像の歪みが結像ビーム経路4において部分的にのみ光学的に補正される本発明の別の変形を示している。この場合には、部分補正は、外面11に対する支持本体1の読み出し側における円錐凹部16の角度φが照明ビーム経路3の側における対応する角度γより著しく大きくなるように選択する結果、用いられるガラスの屈折率に応じて、生じる経路長の差および結果として生じる遠近歪みが部分的に補償されるという点で実現される。光学的に、円錐凹部16の角度φの変化は、第1のプリズム44が支持本体1に直接に追加され、その不完全な補正が第2のプリズム45によって十分に補償されることができない(但し、その影響は弱められる)ことを意味する。したがって、完全な補正を実現することができない。この目的のために、平面反射面46の代わりに、さらなるプリズムまたは曲面鏡48(図7と同様)などの更なる光学素子を用いることが必要であろう。次の、上記に既に述べたように、画像の残る調整を簡素な態様で電子的に行うこともできる。
【0067】
支持面12上の手の正確な配置を支援するために、上述した本発明の変形のすべてに関して特殊な動作モードを設けることができ、管42がさらに大きな角度ステップ(たとえば、「標準」走査より8倍大きい)を形成し、さらに、画像センサ51の長手方向の寸法において8画素を組み合わせて画素信号を形成する。したがって、結果として生じる画像は、両方の寸法において8倍小さく、(W)×(H)=687×1000画素、すなわちデータ量の1/64のみを含むことになる。この縮小画像は8倍高速で読み出されることができるため、わずか0.35秒後に利用可能である。ステッピングモータ6がワイパーの動きと類似した管42を永久に往復回転する反復走査動作において、減少した解像度でこの種の約3つの画像を秒単位で記録することができる、したがって、接続された画像スクリーン(図示せず)にこれらの画像を速やかに表示することによって、利用者は、支持面12に人間の手2の掌の正確で完全な配置を監視するための一種の擬似生画像を有する。
【0068】
図9および図10は、再現可能かつさらに高い信頼性で本発明を適用する上述の装置の側面図および断面図にそれぞれ、さらなる実施形態を示している。
【0069】
第一に、(固体円筒から円筒断面18が生成されるとき、)円筒光学支持本体1は、その「長手方向断面」で加熱素子7と接触するため、意図的な態様で加熱される。加熱素子7からの熱は、光学支持本体に伝播し、一定の加熱周期後、外面11の一様な加熱を生じる。これは、寒い環境における結露を防止するために機能し、固い皮膚を柔らかくし、支持された手2による汗の自然排出を促すことによって、高いコントラストの画像記録を支援する。調整可能な電気加熱素子(抵抗器、トランジスタまたは類似物)であることが好ましい加熱素子7が、この実施例では四分円の円筒扇形18である支持本体1の放射方向に向けられた表面の完全な表面にわたって配置される領域加熱器として、図9に概略的に示されている。
【0070】
図9は較正ユニット8をさらに示しており、円筒扇形18の外面11の異なる位置で支持面12の外側の両側に較正マーク81および82を配置することによって、較正ユニット8によって画質変数を検査して監視することができる。このような較正マーク81および82は、MTF試験構造物および幾何的な試験フィールドを含むことができる。環境的な影響に対して保護するために、このような領域のそれぞれは覆い83によって覆われ、場合によってはデバイス筐体(参照符号によって示されていない)によっても覆われる。覆い83はきわめて水平であってもよく、試験構造物は触れられることができず、結像ビーム経路4によって線状に延在する画像センサ51に正確に結像されることができるように保証するだけに過ぎない。
【0071】
図9は、断面において先行する図4、図6、図7または図8の1つによる装置の好都合な変形をさらに示している。光学支持本体1は、四分円の円筒扇形18として構成される。手2の支持面12のために、203.2mm(8”)の所定の長さで、外面11は円筒軸15を中心にして対応する態様で延在する。この寸法の支持面12が、画像センサ51(および管42としてのみここでは見ることができる結像ビーム経路4)の往復回転によって破線によって画定される領域において走査される。
【0072】
較正マーク81および82は、円筒扇形18のこの部分のすぐ外側で外面11に配置され、保護のために覆い83によって覆われる。さらに、別の覆い84の下に較正マーク81および82とは異なる較正マーク85があり、ここでは覆い84の下に較正パターンがあるのではなく、外面11の空の部分表面があるに過ぎない。このような覆い84は、接触、汚れおよび外部光から較正表面85を保護する。
【0073】
覆い84の下の空の較正表面85は、線状の背景照明の強度分布を決定するために用いられる。この目的のために、画像センサ51がこの領域を正確に「認識する」ように管42が回転されるとき、較正値の決定のために用いるために較正データが読み出されて格納される。光源31の既存の非一様性または動作中に生じる非一様性、縁による結像光学素子43の遮光または画像センサ51の非一様な画素感度は、補正値を用いて補正されることができる。
【0074】
較正マーク81および82を検出するために、覆い83および84の下に位置する部分が記録されるだけでなく、支持面12の上の一方の側における覆い83および84の覆われた領域から他方の側における覆い83および84の覆われた領域まで、走査が行われるように、管42はステッピングモータ6(図9には見ることができない)によって移動される。この個別の較正走査により、較正マーク81および82の2次元画像が結果として生じる。次に、外面11(図面平面に直交して延在する)に沿った他の位置で対応して形成されるマーク81および82によって、較正画像データから画質に関する複数の重要な変数を自動的に算出することができる。類似の好都合な解決策は欧州特許第11 01 187号明細書に記載され、参照によって本願明細書に援用されるものとする。
【0075】
図10による構造は、この実施形態の実施例では半円筒19が支持本体1として用いられる点で、図3および図5の側面図とみなすことができる。したがって、支持面12の利用可能な「高さ」は拡大されるか、またはこの同様の表面積、たとえば、H×W=203.2mm×139.67mm(8”×5.5”)は、半円筒19のより小さな半径を有するため、支持面12の曲率がさらに大きいように形成されることができる。後者の場合には、把持位置で手2の親指の紋の取得を改善する可能性がさらにある。手の対応する挙動が、図10に概略的に示されている。
【0076】
しかし、この実施例の特殊な特徴は、円筒凹部17を節約するために円筒扇形18(この場合には半円筒19)が短縮された点にある。円筒軸15を中心にして回転可能である結像ビーム経路4に関して管42(または異なる形状のホルダ)のために必要な空間を形成するために、円筒凹部17の代わりに、まっすぐな断面S(外面11の2つのまっすぐな縁に平行)を簡単に提供することが可能であるという点で、この可能性はまた、先行する実施例(この場合もさらに小さい円筒扇形)のすべてに関して提供される。しかし、結像ビーム経路4が回転走査移動中に、円錐凹部16から常に出射することができる範囲で、まっすぐな断面Sは、半円筒19(または円筒扇形18)の高さを短縮するだけであってもよい。特に、この条件はまた、較正ユニット8の走査の場合には支持面12以外で満たされなければならない。しかし、このような較正ユニット8は、円筒長さに沿って適切な空間装置によって簡単な態様で、完全な結像にアクセスすることができる。
【0077】
加熱素子7および較正ユニット8などの図10における残る詳細はすべて、図9を参照して記載したものと同様に設けられ、唯一の差は自由にアクセス可能な支持面12を画定する2つの破線の間の拡大した走査角度であり、このために、手2を支持する特殊な態様に特に適している細長い支持面12を形成することである。
【0078】
光学本体1(円筒扇形18および半円筒19)は、ガラスまたは光学プラスチックから構成されることができる。特にプラスチック材料におけるかき傷から保護するために、コーティングが塗布されるか、または未使用である場合には、対応して湾曲したカバーによって完全に保護されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】基部本体の円筒支持面の軸に対して同軸である円錐凹部を備えた円筒支持面による減衰内部全反射のための基部本体の概略図である。
【図2】手の掌のために十分な支持面を画定する切開された円筒扇形および円筒軸に沿った中心の円筒凹部を備えた図1の基部本体の側面図を示している。
【図3】図2に示されているような支持本体を備えているが、円筒扇形が半円筒として形成され、走査は半円筒の表面線に沿っており、結像ビーム経路の素子は円筒軸を中心にして回転される本発明による装置の概略図を示している、
【図4】走査本体(図2による)と、円筒軸に沿って管の中に読み出しビーム経路を折り畳むための平面鏡と、遠近誤差の完全な補正のための光学楔(プリズム)と、を用いた本発明の実施形態の形を示している。
【図5】遠近結像誤差の完全な補正のために、ミラープリズムおよび透過プリズムを用いる図3による支持本体に関する本発明の構造を示している。
【図6】全反射用の高屈折率プリズムおよび遠近結像誤差を補正するための光学楔を備えた図5による改変された実施形態の形を示している。
【図7】読み出しビーム経路の折り畳みおよび遠近結像誤差の部分補正のための曲面鏡を備えた図3による本発明の実施形態の形を示している。
【図8】支持本体として機能し、結像ビーム経路の出射のために円錐凹部の適合されたさらに水平な傾斜角を有する円筒扇形によって遠近誤差の部分補正のみが行われる図4による改変された実施形態の形を示している。
【図9】走査本体として円筒扇形(たとえば4分の1円筒)、較正デバイスおよび加熱素子を備えた図4、図6、図7または図8の側面図を示している。
【図10】円筒凹部の半径によって短縮される半円筒の形状の支持本体、較正デバイスおよび加熱素子を備えた図3および図5に対応し、手を支持するための特定の技術を示す概略を示した側面図を示している。
【符号の説明】
【0080】
1 支持本体
11 表面
12 支持面
13 第1の端面
14 第2の端面
15 円筒軸
16 円錐凹部
17 さらなる(円筒)凹部
18 円筒扇形
19 半円筒
2 手
21 指
3 照明ビーム経路
31 光源
32 拡散体
33 線光源
34 平面投射器
4 結像ビーム経路
41 ストリップ
42 管
43 結像光学素子
44 第1のプリズム
45 第2のプリズム
46 反射面
47 プリズム(高屈折率ガラス製)
48 曲面鏡
49 光軸
5 画像センサユニット
51 (線状に延在する)画像センサ
52 ラインセンサ
6 ステッピングモータ
7 加熱素子
8 較正デバイス
81、82 較正マーク
83、84 覆い
85 較正表面
A1、A2 周辺光線
S 断面平面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きい領域の凹んだ皮膚部分、特に手形全体の紋の光電子画像記録のための装置であって、減衰内部全反射に基づく画像記録を実現するための、支持面と大きい領域で接触する皮膚部分を支持するための凸状の支持面と、当該支持面を照らすための光源と、画像センサに内部全反射される照明光を伝播するための読み出しビーム経路とを備えた光学支持本体を有する光電子画像記録装置において、
前記支持本体(1)は円筒軸(15)を中心にして円筒の基本形状を有するが、その円筒は必ずしも完全でなく、前記支持本体(1)は前記大きい領域の凹んだ皮膚部分(2)のための支持面(12)として外面(11)の少なくとも1つの自由にアクセス可能な部分を提供するのに十分な弧度および半径を備えた円筒外面(11)を有すること、
前記支持本体(1)は第1の端面(13)および第2の端面(14)を有し、それぞれの端面が前記円筒軸(15)を中心にして同軸に配置される円錐凹部(16)を有し、前記円錐凹部(16)の表面線に少なくとも平行に延在する光源(31)が前記第1の端面(13)の前記円錐凹部(16)に配置され、結像ビーム経路(4)が前記第2の端面(14)の前記円錐凹部(16)に連結され、結像ビーム経路(4)は前記円筒軸(15)および走査されるストリップ(41)によって与えられる軸平面にて内部全反射角で線状に延在する画像センサ(51)に前記支持本体(1)の前記外面(11)の横線に沿って線状の態様で延在する前記支持面(12)のストリップ(41)を結像すること、および
前記線状に延在する画像センサ(51)および前記結像ビーム経路(4)は、照らされる前記外面(11)で前記支持面(12)に接触する前記皮膚部分(2)による減衰全反射の連続する線状のストリップ(41)を記録し、それらを結合して支持本体に置かれる前記皮膚部分(2)の2次元画像を形成するために、前記支持本体(1)の前記円筒軸(15)を中心にして同期して回転可能であること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記支持本体(1)は円筒扇形(18)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持本体(1)は半円筒(19)であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記円筒軸(15)を中心にして回転可能であるように支持される管(42)が、前記画像センサ(51;52)および前記結像ビーム経路(4)の素子(43、44)の同期回転のために設けられ、前記管(42)は前記支持本体(1)の前記円錐凹部(16)の外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記円筒軸(15)を中心にして回転可能であるように支持される管(42)が、前記画像センサ(51)および前記結像ビーム経路(4)の素子(43、44、45、46)の同期回転のために設けられ、前記管(42)は前記支持本体(1)の円筒凹部(17)に配置され、当該円筒凹部(17)は前記円筒軸(15)に対して同軸に延在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記結像ビーム経路(4)は、反射面(46)によって、前記管(42)および前記円筒凹部(17)の中に折り畳まれることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ステッピングモータ(6)が、前記円筒軸(15)を中心とした前記管(42)の連続回転のために設けられ、前記支持本体の前記支持面のストリップの連続走査のために、前記結像ビーム経路(4)および前記画像センサ(51;52)を移動させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記光源(31)は前記管(42)に強固に固定される線光源(33)であり、当該線光源(33)は、前記円筒支持本体(1)の前記第1の端面(13)で前記円錐凹部(16)の上部に平行に、前記円筒軸(15)を中心にして前記結像ビーム経路(4)と同期して可動であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光源(31)はその下流に配置される拡散体(32)を有し、少なくとも前記支持面(12)の表面線に沿って前記支持本体(1)の内部円筒面(11)に強力な背景照明を生成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記光源(31)は前記円錐凹部(16)の表面に沿って配置される平面投射器(34)であり、前記支持面(12)全体にある前記支持本体(1)の前記内面(11)に強力な背景照明を生成することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記光源(31)は前記結像ビーム経路(4)と同期して前記円錐凹部(16)の表面に沿って回転可能であるように配置される平行線光源(33)であり、前記支持本体(1)の前記内面(11)に、前記支持面(12)の前記表面線に沿って強力な背景照明のストリップ(41)を生成することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記結像ビーム経路(4)は、前記線状に延在する画像センサ(51;52)に前記支持本体(1)の前記円筒面(11)のストリップ(41)を結像するために、少なくとも1つの結像光学素子装置(43)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記結像ビーム経路(4)は、前記画像センサ(51;52)に結像される前記支持面(12)の前記ストリップ(41)の遠近歪みを補正するために、少なくとも1つの光学素子(44、45)を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記結像ビーム経路(4)は、前記画像センサ(51;52)に結像される前記支持面(12)の前記ストリップ(41)の遠近歪みを補正するために、少なくとも1つの楔状のプリズム(44)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記結像ビーム経路(4)は、遠近歪みを補正するための2つのプリズム(44、45)および前記ビーム経路を折り畳むための反射面(46)を有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記反射面(46)は、個別の平面鏡の反射面であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記反射面(46)は、反射背面として前記プリズム(44、45)の一方に配置されることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記反射面(46)は、高屈折率ガラスからなる全反射プリズム(47)の背面であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
第1のプリズム(44)は前記円筒支持本体(1)に組み込まれ、前記結像ビーム経路(4)の出射面としての前記円錐凹部(16)と前記支持面(12)との角度(φ)が、全反射角および前記照明ビーム経路(3)の側の前記円錐凹部の対応する角度(γ)より著しく大きいことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記結像ビーム経路(4)は、遠近歪みの部分補正および前記結像ビーム経路(4)の折り畳みのために曲面鏡(48)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項21】
加熱素子(7)が、円筒扇形(18)の形で、前記支持本体(1)の放射方向に延在して画定する表面の大きな領域に配置され、好ましくは結露を防止し、汗の排出を促進してコントラストを増大させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
較正デバイス(8)が、前記支持面(12)の外側で前記支持本体(1)の前記外面(11)に配置され、少なくとも覆い(83、84)によって覆われ、前記結像ビーム経路(4)を較正して検査することを特徴とする請求項1に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−209777(P2006−209777A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−18916(P2006−18916)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(501042134)クロス マッチ テクノロジーズ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】