説明

大型高密度発泡ガラスタイル

【課題】従来の建築材料に比べて軽量で、且つ予期しない爆発や地震又は風圧等に対して充分な耐性を有する発泡ガラスタイルを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの面に密閉気孔の外側表皮を含む発泡ガラスタイルであって、30ポンド/立方フィート〜100ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1601.8463kg/m)の密度、少なくとも2インチ(0.0508m)の厚さ及び30ポンド(13.6078kg)よりも重い重量を有する発泡ガラスタイルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、建築構造において使用される建築材料に関する。より詳細には、本発明は、建物の内部及び外部両方のファサードで使用される大型高密度発泡ガラスタイルに関する。更により詳細には、本発明は、建物の内部及び外部ファサードに使用され、爆発に対して該建物がより耐性であることを可能にする大型高密度発泡ガラスタイルに関する。
【0002】
本発明は、更に、このようなタイルから製造されたパネル複合体に関し、より詳細には、爆破エネルギー吸収構造の積層体、並びに発泡ガラス又は発泡シリカ質材料の層を、積層体で任意に使用し得る構造用無機セメント質(cementaceous)材料、高分子材料、金属及び繊維と結合することによって、その積層体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年の間、米国の内外において、米国及び他の国々が所有する政府建物に対して多数のテロリスト攻撃が行われている。例えば、1993年、テロリストはニューヨーク市にある世界貿易センターのガレージ内で自動車爆弾を爆発させ、人命が失われると共に、かなりの物的損害が生じた。その後、1995年には、オクラホマ州オクラホマ市にある連邦ビルの外側で他の過激派がトラックを爆発させ、この場合も、多大な人命が失われると共に、物的損害が生じた。1998年には、ナイロビ及びダルエスサラームの米国大使館も自動車爆弾によるテロリスト攻撃を受け、それぞれ、多大な人命が失われると共に、物的損害が生じた。ごく最近では、ニューヨーク市の世界貿易センター及びバージニア州のペンタゴンでの悲劇的な事件によって、自動車爆弾の爆発及び他の同様のテロリスト攻撃からの衝撃波に耐え得る建築材料の開発及び製造に対する長い間の切実な必要性が更に重視されるようになった。
【0004】
建設材料として発泡ガラスを使用する概念は、従来技術においてよく知られているが、一般に、このような発泡ガラスは高温断熱材として使用されており、従って、その密度及び重量を最小限にする努力が成されており、予期しない爆発による衝撃波から十分なエネルギーを吸収する、又は地震に耐えるのには適さない。この長年にわたる問題に関するこのような従来の発泡ガラスの欠点について、ここで説明する。
【0005】
例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのピッツバーグコーニング社(Pittsburgh Corning Corporation「PCC」)は、Foam Glas(登録商標)絶縁システムとして知られる製品を開発及び市販した。これは、米国特許第3,959,541号、同第4,119,422号、同第4,198,224号、同第4,571,321号及び同第4,623,585号に記載されている。これらの開発の焦点は、発泡絶縁材料の製造に向けられているので、PCCにより市販されるFoam Glas(登録商標)絶縁システムのタイルは、比較的軽く、9.5ポンド(4.3091kg)の重さである。更に、このタイルの目的は、断熱材として使用されることなので、表面強度が不足しており、非常に簡単に窪ませ得る。Foam Glas(登録商標)絶縁システムのタイルは、比較的低密度、例えば9.5ポンド/立方フィート(152.1754kg/m)であるので、このようなタイルは、建物又は他の構造物の外壁に通常行使される力が加えられると、容易に破損されるであろう。従って、このようなタイルは、外壁のタイル張りとして使用するのに適さない。同様に、この発泡体は、爆発からの衝撃波に曝されると、内破する際に衝撃波のエネルギーをほとんど吸収できない。衝撃波は、爆発に関連する尺度であり、爆発の結果生じる衝撃波面であることが、当業者によって容易に理解される。
【0006】
建物の外側表皮面として発泡ガラスタイルを使用することは、他にも試みられている。例えば、米国特許第5,069,960号は、硬い表皮を製造するために外側表面で被覆して、建物の外側を保護する断熱発泡ガラスタイルを開示する。開示されるタイルは、極めて小さいサイズ、すなわち18cm×18cm×6cmで製造され、材料の大部分を構成する内部発泡材料は、通常低密度である。意味深いことに、開示された材料の強度が爆発からの十分なエネルギーを吸収できるという指示はなく、実際、開示されたタイルの大きさは、このようなエネルギーを吸収するのに理想的には適さないであろう。
【0007】
本発明者ら及び他の研究者らによるこれまでの研究は、米国特許第4,430,108号に開示されるように、建築材料のために使用できる様々な密度の発泡ガラスタイルの製造方法を開発した。開示された技術及び方法は、4.25インチ×4.25インチ×0.25インチ(0.1080m×0.1080m×0.0064m)の、その当時の標準サイズのタイルを製造するには有用であったが、この開示は、大きいサイズ、例えば2フィート×2フィート×3インチ(0.6096×0.6096×0.0762m)のタイルを製造する方法を教示していない。同様に、これらの方法で製造されたタイルは比較的軽く、例えば10ポンド(4.5359kg)未満であり、爆発の影響に耐えるように製造されなかった。反対に、これらの方法では、材料の断熱特性を最適化することが探求され、従って、より小型、より軽量、且つより脆弱なタイルが製造された。
【0008】
幾分大型の多孔質成形体を製造する試みにおいて、更にその他の研究も行われているが、これらは、本発明よりも重要寸法が小さく、そして密度も低く、爆発又は地震に関連して本体に激突するかなりの量の衝撃波を吸収するのに適さない。例えば、米国特許第5,151,228号は、大型の気泡セラミック(cellular ceramic)構造要素、例えば低重量の高層の高壁要素(multi-story high wall element)を製造するために、膨潤による密度が低い大型多孔質成形体の製造プロセスを記載する。この例では、密度26ポンド/立方フィート(416.4800kg/m)及び質量60ポンド(27.2155kg)を有する8.2フィート×1.64フィート×2インチ(2.4994m×0.4999m×0.0508m)のタイルが開示されている。また、断熱性を最適化するために、低密度を得ることも教示されている。従って、この発泡体は、爆発又は地震による衝撃波に曝されると、内破する際に衝撃波のエネルギーをほとんど吸収できないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で議論した従来技術とは違って、本発明のタイルは、該タイルが大きな爆発に関連する衝撃波に耐えるための理想的な特性を有するように、又は地震に耐性のある建物若しくは他の構造物を製造するように、種々の材料で設計及び構成される。
【0010】
従って、従来技術は興味深いが、従来技術の既知の方法及び装置は、本発明が克服しようとする幾つかの制限を与える。
特に、本発明の目的は、外部及び内部両方の建物壁のファサードとして使用可能な大型高密度発泡ガラスタイルを提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、商業的に推奨される密度9.5ポンド/立方フィート(152.1754kg/m)から、30〜100ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1601.8463kg/m)、より詳細には40〜60ポンド/立方フィート(640.7385kg/m〜961.1078kg/m)のより高い密度を有するように増大させることである。
【0012】
本発明の更なる目的は、発泡ガラスタイルの重量を30ポンド(13.6078kg)より多く、より詳細には65ポンド(29.4835kg)以上、更により詳細には100ポンド(45.3592kg)以上増大させることである。
【0013】
本発明の更なる目的は、セメント、鋼鉄又は他の高強度建築材料と組み合わせて、テロリスト攻撃の危険性の高い建物の重要表面で使用可能な大型高密度発泡ガラスタイルを提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、標準的な建物の表面に使用することができ、爆破エネルギーを有する衝撃波へ曝されたときに、タイルがその爆破エネルギーのかなりの部分を吸収し得る剛構造を持つという利点を有するガラス発泡タイルを提供することである。また、地震に対してより耐性であるという利点も有する。
【0015】
これらの及びその他の目的は、上記の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記及び関連の目的は、外部及び内部両方の建物壁のファサードとして使用可能な大型高密度発泡ガラスタイルの形態で得られることが、いまや見出された。また、発泡ガラスタイルは、他の材料と共に使用してパネル又は複合体を形成し得る。本発明は、セメント、鋼鉄又は他の高強度建築材料と組み合わせて、テロリスト攻撃の危険性が高い建物の重要表面に使用されてもよい。また、本発明は、標準的な建物の表面に使用されてもよい。本発明は、爆発により生じる衝撃波のかなりの部分を吸収するという利点を有する。また、本発明は、地震に対してより耐性であるという利点も有する。ガラス発泡体、発泡ガラス、セラミック発泡体及び発泡セラミックという用語は、本発明において置き換え可能であることに注意しなければならない。
【0017】
本発明の1つの実施形態は、強度が増大した密閉気孔の外側表皮を有する大型高密度発泡ガラスタイルである。これらの重い発泡ガラスタイルは、爆発からのより多くのエネルギーを吸収し、より高い風圧や他の機械的な力に耐える。密閉気孔の外側表皮は、自然に形成されてもよいし、第2のガラス表面を結合することにより機械的に形成されてもよい。密閉気孔の外側表皮は、様々な色及び質感のバリエーションを有することができ、これによりタイルは、建物又は他の構造物の外部又は内部ファサードとして使用するのに適切とされ得る。本発明の発泡ガラスタイルの密度は、商業的に推奨される密度9.5ポンド/立方フィート(152.1754kg/m)から、30〜100ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1601.8463kg/m)、より詳細には40〜60ポンド/立方フィート(640.7385kg/m〜961.1078kg/m)のより高い密度を有するように増大される。本発明の発泡ガラスタイルの重量は、30ポンド(13.6078kg)より重く、より詳細には65ポンド(29.4835kg)以上、更により詳細には100ポンド(45.3592kg)以上重い。更に詳細には、タイルは密閉気孔構造を有し得る。
【0018】
本発明の大型発泡ガラスタイルは、内部及び外部の建物表面の建築材料として使用することができ、小さいタイルよりも継ぎ目が少なく、2フィート×2フィート(0.6096m×0.6096m)以上の表面積、より詳細には4フィート×4フィート(1.2192m×1.2192m)以上の表面積を有する。更に詳細には、該タイルは少なくとも2インチ(0.0508m)、より詳細には少なくとも3インチ(0.0762m)、更により詳細には少なくとも4インチ(0.1016m)の厚さを有することができる。
【0019】
本発明の高密度発泡ガラスタイルのもう1つの実施形態は、爆破衝撃波を受けたときに、そのかなりの部分を吸収し得る。更に詳細には、このような高密度発泡ガラスタイルは、30〜100ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1601.8463kg/m)の密度を有する。これらの高密度発泡ガラスタイルは、外部コンクリート壁、建築柱、ガレージ内若しくはガレージに隣接して配置される構造物、又は起こり得る爆破衝撃波に曝される危険性のある建物の内部若しくは外部に配置される他の建築構造物のような剛構造体(rigid structure)によって裏打ちされて、複合建築材料を形成し得る。更により詳細には、このようなタイルは、発泡ガラスタイル又は高分子材料とのポゾラン結合を有するセメント質材料により裏打ちされてもよい。このようなタイルは、より大きいパネルの一部でもよいし、また該パネルは、吊り金具(handling hardware)が内部に設けられてもよいし、耐力フレームに取り付けられてもよい。
【0020】
本発明の更なる実施形態は、表面層と、少なくとも1つの剛性発泡ガラス層と、少なくとも1つの裏打ち層とから製造されたセラミック−ガラス発泡複合体である。表面層は、爆破エネルギーを吸収するのに適した材料、更に詳細には、複合体を破砕から保護するのに適した材料、例えばグラファイト若しくはケブラーのような繊維材料又は高分子材料から製造することができる。また表面層は、剛性発泡ガラスがグレーズ加工された(glazed)発泡ガラス外側表面でもよい。更に詳細には、このようなタイルは、20〜100ポンド/立方フィート(320.3693kg/m〜1601.8463kg/m)、より詳細には30〜80ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1281.4771kg/m)の密度を有する。このようなタイルは、密閉気孔構造を有する。表面仕上げ層は、加熱プロセスにおいてタイル上に自然に形成されてもよいし、又は第2の表面を結合することにより機械的に形成されてもよい。密閉気孔の外側表皮は、様々な色及び質感のバリエーションを有することができ、これによりタイルは、建物又は他の構造物の外部又は内部ファサードとして使用するのに適切とされ得る。更に詳細には、表面仕上げ層は非発泡層でもよく、従って建築的魅力のために利用可能な色及び質感のバリエーションが拡大される。裏打ち保護層は、1つ以上の材料を含むことができ、これらの材料としては、グラファイト、ケブラー及び/又は繊維ガラスのような高引張強度材料から製造された繊維の繊維複合体、並びにポルトランドセメント、強化ポルトランドセメント、石灰、アルミナセメント、石膏、市販の熱硬化性及び熱可塑性プラスチックのような高分子材料、コンクリート又は鉄筋コンクリートを含み得るセメント質材料が挙げられるが、これに限定されない。また、このような裏打ち層は、金属、ケブラー又は他の支持材料で強化されてもよい。少なくとも1つの発泡ガラス層と裏打ち層との間に、結合促進剤又は接着剤が適用されてもよい。また複合体は、吊り金具が内部に設けられされてもよいし、耐力フレームに取り付けられてもよく、これにより、かなりの量の衝撃波及び振動エネルギーを吸収し得る。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態は、発泡ガラスタイルと、発泡ガラスタイル上で裏打ちする無機セメント質とを含むセラミック−ガラス発泡複合体であり、これにより複合体は、起こり得る爆発から曝され得る爆破エネルギーのかなりの部分を吸収し得る。このような発泡ガラスタイルは、密閉気孔の外側表皮を有することができ、これは、自然に形成されてもよいし、第2のガラス表面を結合させることにより機械的に形成されてもよい。密閉気孔の外側表皮は、様々な色及び質感を有することができ、これによりタイルは、建物又は他の構造物の外部又は内部ファサードとして使用するのに適切とされ得る。更に詳細には、このようなタイルは、20〜100ポンド/立方フィート(320.3693kg/m〜1601.8463kg/m)、更に好ましくは30〜80ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1281.4771kg/m)の密度を有する。このようなタイルは、密閉気孔構造を有することができ、これは自然に形成されてもよいし、第2のガラス表面を結合させることによって機械的に形成されてもよい。このような無機セメント質材料は、ポルトランドセメント、強化ポルトランドセメント、石灰、アルミナセメント、石膏、高分子材料、コンクリート又は鉄筋コンクリートを含み得る。セメント質の裏打ちは、発泡ガラスタイルとポゾラン結合を形成し得る。或いは、セメント質材料は、セメント質材料を直接施すか、又はエルマ社(Elmer)のプロボンドコンクリートボンダ接着促進剤(pro bond concrete bonder adhesive-promoter)のような結合促進剤層を適用することのどちらかによって、発泡ガラスに結合されてもよい。更により詳細には、セメント質材料が完全に硬化する前、又はセメント質材料が硬化した後のどちらかで、セメント質材料中に吊り金具が設置されてもよい。本発明は、特に、起こり得る爆発の方向にタイルが曝されるときに、爆発により生じる衝撃波のかなりの部分を吸収するという利点を有する。
【0022】
本発明のより更なる実施形態は、軽量の建物ファサードに組み込まれ得る1つ以上の大型高密度発泡ガラスタイルを含む発泡ガラスパネルである。特に、密閉気孔構造は、建築的魅力のための質感が与えられ、タイルは内側部分を有し、タイルの外側表皮は、その表面をタイルの内側部分とは異なる色に見えるようにするための添加剤を包含する。更に詳細には、このようなパネルを使用して、従来のコンクリートパネルから製造した建物よりも震害に対してより耐性のある建物を製し得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、外部及び内部両方の建物壁のファサードとして使用可能な大型高密度発泡ガラスタイルに関する。また、本発明の発泡ガラスタイルは、他の材料と共に使用されて、パネル又は複合体を形成し得る。本発明は、セメント、鋼鉄又は他の高強度建築材料と組み合わせて、テロリスト攻撃の危険性の高い建物の重要表面で使用されてもよい。また、本発明は、標準的な建物の表面に使用されてもよい。本発明は、地震及び/又は風圧に対してより耐性であるという利点を有する。
【0024】
本発明の1つの好ましい実施形態において、大型高密度発泡ガラスタイルは、現代のセメント建築材料よりも爆発からのより多くのエネルギーを吸収できると共に、より高い風圧及びその他の機械的酷使に耐え得る。このような大型高密度発泡ガラスタイルは、種々の形状(平坦及び/又は曲線形状が挙げられるが、これに限定されない)で製造し得る。更に、本発明の大型高密度発泡ガラスタイルは、シリカ質材料と、ガス発生発泡剤(炭素有機物(例えば、砂糖及びでんぷん)、カーボンブラック、炭化ケイ素、炭酸塩及び硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない)とから製造される。様々な密度、大きさ及び表面仕上げを有するセラミック発泡パネルを製造するための可能性のある方法が多数ある。米国特許第4,430,108号は、フライアッシュ及び他の添加剤から製造された様々な密度及び表面仕上げを有する様々な発泡ガラス製品を記載しており、その開示は、参照によって本明細書中に援用される。種々の密度を有する発泡ガラスは、組成並びに気泡形成剤(cellulating agent)の種類及び濃度を変化させることにより製造し得る。ガラスの粘度は、発泡プロセス中の支配的なパラメータである。更に、気孔構造の均一性は、気泡形成剤の分布及び粒径に依存する。
【0025】
爆発に耐えるために用いられる好ましい実施形態では、本発明の発泡ガラスタイルは、本明細書において議論される従来の発泡ガラスタイルよりも大きく、高い密度を有する。特に、好ましい発泡ガラスタイルは、少なくとも2フィート×2フィート(0.6096m×0.6096m)、より詳細には少なくとも4フィート×4フィート(1.2192m×1.2192m)の寸法の表面積と、少なくとも2インチ(0.0508m)、より好ましくは少なくとも3インチ(0.0762m)、更により好ましくは少なくとも4インチ(0.1016m)の奥行きとを有する。
【0026】
大きいサイズによって、タイル複合体は、従来使用されるより小さいタイルの複合体よりも少ない継ぎ目を有することが可能となるので、このような大型タイルは、従来のより小さいタイルよりも有利である。タイル表面の継ぎ目は、熱膨張及び収縮により弱くなり、従って破損しやすいので、このような継ぎ目は、構造的完全性にとって有害であり得る。また、これらの継ぎ目は、水がタイルの後方に浸透し得る手段であり、その結果として、かび、昆虫及び凍結融解サイクルのような様々なプロセスからの損害が生じる。凍結融解サイクルでは、水は、タイル内へ浸透して凍結すると膨張する。水は、融解すると収縮し、これにより材料を破損する。爆発により生じる衝撃波を受けると、不適切に密封された継ぎ目により、波はタイルの後方に浸透することが可能となり、所望のエネルギーを吸収するよりも外側への爆発が生じる。従って、継ぎ目の数を少なくすることによって、不適切に密封された継ぎ目を有する危険性が減少され得る。また、タイル表面が大きいほど、組み立てられるべき部品が少なくなることにより、労働現場における労力が減少され、これは次に、労働コストが減少されるという更なる利点を有する。
【0027】
更に、本発明のこれらの発泡ガラスタイルは、建設で使用される従来の発泡ガラス材料よりも密度が高く、そして重い。好ましくは、本発明の発泡ガラスタイルの密度は、商業的に推奨される密度9.5ポンド/立方フィート(152.1754kg/m)から、20〜100ポンド/立方フィート(320.3693kg/m〜1601.8463kg/m)、より詳細には30〜80ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1281.4771kg/m)のより高い密度を有するように増大される。本発明の発泡ガラスタイルの重量は、30ポンド(13.6078kg)よりも重く、より詳細には65ポンド(29.4835kg)以上、更により詳細には100ポンド(45.3592kg)以上重い。これらの密度及び重量は、従来の発泡ガラスよりも高いが、それでもまだ比較的低い密度であるという利点を提供し、従って建設で使用される従来のセメント製品よりも軽い。
【0028】
本発明の発泡ガラスタイルは、好ましくは、密閉気孔の外側表皮を有し、これは従って、強度が増大されたタイルを提供すると共に、水及び凍結融解サイクルに対してタイルを保護する。密閉気孔の外側表皮は、米国特許第4,430,108号で教示されるように自然に形成されてもよいし、米国特許第5,069,960号に教示されるように第2のガラス表面を結合することにより機械的に形成されてもよく、その内容は参照によって本明細書中に援用される。自然形成は、付加的な労力及び品質制御を要求せず、従って、よりコストがより効果的であり、かつ負担が少ないので有利である。第2のガラス表面を用いることは、このような技法によって密閉気孔の外側表皮が様々な色及び質感のバリエーションを有することができ、建物又は他の構造物の外部又は内部ファサードとして使用するためにタイルを建築的に魅力のあるものにするので、これも有利である。異なる色の表面を製造する1つの方法は、当業者には一般によく知られているように、異なる色添加剤の使用によるものである。
【0029】
本発明の高密度発泡ガラスタイルのもう1つの利点は、爆破衝撃波に曝されたときに、衝撃波のかなりの部分を吸収できることである。これらのタイルは、爆破衝撃波のかなりの部分を吸収できるので、政府の建物、大使館及び注目度の高い/有名な建物のような、爆発に曝される危険のある建物の内部及び外部表面のための建築構造材料として特に有利である。
【0030】
これらの高密度発泡ガラスタイルは、外部コンクリート壁、建築柱、ガレージ内若しくはガレージに隣接して配置される構造物、又は起こり得る爆破衝撃波に曝される危険性のある建物の内部若しくは外部に配置される他の建築構造物のような剛構造によって裏打ちされてもよい。外部壁に付加的な補強を提供するために、このようなタイルは、セメント質又は高分子材料により裏打ちされてもよい。セメント質材料の例としては、コンクリート、鉄筋コンクリート、ポルトランドセメント、強化ポルトランドセメント、石灰、アルミナセメント、石膏が挙げられるが、これらに限定されない。高分子材料の例としては、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン及びシリコーンのような市販の熱硬化性樹脂と、PVC、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン及びポリエステルのような市販の熱可塑性樹脂と、セラミック、炭素、ガラス、セルロース、グラファイト、ケブラー及びポリマーのような様々な種類の繊維とが挙げられるが、これらに限定されない。上記材料の組成物は、大きい力の吸収を促進及び改良する特性を有する。また、このようなタイルは、大型パネルの一部でもよいし、また該パネルは、吊り金具が内部に設けられてもよいし、耐力フレームに取り付けられてもよい。
【0031】
また本発明の発泡ガラスタイルは、従来の発泡ガラスタイルよりも厚い。特に、本発明の発泡ガラスタイルは、少なくとも2インチ(0.0508m)厚、好ましくは少なくとも3インチ(0.0762m)厚、更により好ましくは少なくとも4インチ(0.1016m)厚である。タイルの厚さの増大により、体積が増大され、従ってタイル重量が増大される。増大した厚さは、増大した剛性をタイルに与え、これにより、製造、輸送又は建築のいずれにせよ、取扱い中の不用意な破砕が低減される。また厚さの増大により、タイルは、爆発、地震への暴露又は他の衝撃波からより多くのエネルギーを吸収することが可能になる。
【0032】
特定の大きさ、厚さ及び密度の選択は、タイルの製造が意図された用途に依存する。例えば、タイルは、地震に耐えるための使用が意図される場合、風圧に耐えられ得る最低重量であるように最適化されなければならない。それに反して、爆発に関連する衝撃波から建物又は構造物を保護することが意図される場合、タイルは、このような衝撃波を吸収するのに十分強力であるために、その密度を増大させるように最適化されなければならない。所望の厚さは、爆発が起こり得る場所と、曝されるタイルとの近さに依存し得る。例えば、建物の外側では、厚さは、爆発物を積んだ自動車又はトラックが駐車される可能性のある最も近い場所とタイルとの距離を考慮しなければならない。一方、支持柱のような建物の内部では、おそらく予想される爆発物の搭載が実質的に少ないだろうが、予想される近さは該柱の直ぐ隣であり得る。
【0033】
爆発に関連する衝撃波に耐性であるという目的のために、本発明のタイルは、剛性裏打ち材(backing)と組み合わされて、複合パネルを形成し得る。複合パネルが衝撃波に曝されると、曝された本発明の発泡ガラスタイルは、崩壊又は内破することにより、曝された衝撃波エネルギーのかなりの量を吸収することができ、従って剛性裏打ち材を保護し、これは次に建物又は他の構造物を保護する。剛性裏打ち材は、剛構造に関して上記で議論された材料の任意の1つを含み得る。
【0034】
構造物を耐震性にするために使用されるタイルの場合、剛性裏打ち材と共に、わずかに軽いタイルを使用し得る。これらのタイルが耐えなければならない風圧により生じる負荷は、支持柱間の面積に関連する。従って、支持柱間の面積が大きいほど、剛性裏打ち材との複合タイルから、より大きな耐性及びより大きな強度が必要とされるであろう。従って、使用されるタイルの厚さ/密度は、これらのパラメータにより適宜決定される。従って、これらの特性の選択は、建設産業において標準的に行われるように、適切な安全性因子を組み込んで耐性であることが求められ、予想される最大風圧に耐えることができる最軽量のシステムを提供するように最適化されるべきである。タイルは、金属フレームで支持されなければならず、これは次に、建物又は他の構造物の構造的な金属支持体によって支持される。
【0035】
美的な目的のために、公の視線を受ける表面では、仕上げ層を有するタイルを使用し得る。従って、一方の表面だけが公の視線に曝される場合には、その表面だけが、仕上げ層のあるタイルを有する必要がある。一方、本発明で保護しようとする壁の両面が公の視線を受ける場合、建物の内部のような第2の露出面に適切な仕上げ層を有する第2のタイルを使用し得る。或いは、他の内部表面を使用し得る。
【0036】
本発明のタイルのもう1つの利点は、このようなタイルが断熱性及び耐火性でもあることである。従って、これらのタイルは、モロトフカクテル(Moltov cocktail)のようなテロリストの火災攻撃又は他の火災原因から支持柱を保護するために使用することができるという追加の利点を有する。本発明のタイルの使用は、従って、このような支持柱の破壊を防止及び/又は遅延し、これにより攻撃された建物の居住者が非難するのに十分な時間を有する可能性を増大する。
【0037】
本発明のタイルのもう1つの実施形態は、現存する建物又は他の構造物を改造するために使用され得る。特に、タイルは、潜在的に露出された壁に取り付けることができる。このような壁が既に十分に剛性である場合、タイルは、その上に直接取り付け得る。そうでない場合、タイルを適切な剛構造体(rigid structure)又は裏打ち保護層上に取り付けてパネルを形成し、次にこれを露出壁に取りつけることができる。適切な裏打ち保護層は、繊維複合体(ここで、該繊維は、グラファイト、ケブラー及び/又は繊維ガラスなどの高引張強度の材料で製造される)でもよいし、又はポルトランドセメント、強化ポルトランドセメント、石灰、アルミナセメント、石膏、高分子材料、鉄筋コンクリートを含み得るセメント質材料でもよい。このような裏打ち層は、金属、ケブラー又は他の支持材料によって補強されてもよい。エルマ社のプロボンドコンクリートボンダ接着促進剤のような結合促進剤又は接着剤が、少なくとも1つの発泡ガラス層と裏打ち層との間に適用されてもよい。また、複合体は、吊り金具が内部に設けられてもよいし、耐力フレームに取り付けられてもよく、従ってかなりの量の衝撃波及び振動エネルギーを吸収し得る。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明のタイルは、原料(原料としては、シリカ、フライアッシュ、火山灰、珪藻土、シリカ質鉱物、アルカリ炭酸塩、ドロマイト及びギプスのようなカルシウム及びマグネシウム鉱物、ケイ酸ナトリウム、ホウ砂、ガラス粉末(カレットなど)並びに発泡剤が挙げられる(しかし、必ずしも限定されない))を用いて製造し得る。発泡剤は、砂糖及びでんぷんのような炭素有機物、カーボンブラック、炭化ケイ素、炭酸塩、硫酸塩並びに他の同様の材料から選択し得る。
【0039】
本発明のタイルを製造するために、様々な方法を使用し得る。1つの実施形態では、タイルを製造するための出発原料は、水と混合されて均質なスラリーを形成する。好ましい混合方法は湿式ではあるが、それでも発泡ガラスの調合で使用される原料の種類によっては、乾式混合が選択されてもよいことに注意しなければならない。例えば、ガラス粉末(ソーダ石灰ガラスカレット)が主原料として使用される場合、ボールミルのような従来の混合器中で、ガス化剤(gasifier)が乾式混合され得る。湿式混合が使用される場合、スラリーの固体含量は、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは50〜70重量%である。
【0040】
次に、スラリーは、スプレードライヤなどの従来の乾燥器内で乾燥され、乾燥粉末が生成される。静的な乾燥器が使用される場合、次に、乾燥された凝集体が粉砕され、乾燥粉末が形成される。得られた粉末状生成物は、次に、得られた発泡ガラスの粘度が好ましくは10〜10ポアズ、更に好ましくは10〜10ポアズであるような温度にか焼される。か焼は、有機ガス化剤を微細な炭素含有化合物に、有効に熱分解するために、還元性環境で実行され得る。発泡剤として炭化ケイ素を使用する場合、か焼は、中性の空気雰囲気中で実行され得る。発泡ガラスの調合において、ガラス粉末が主成分として使用される場合、か焼工程は、発泡工程と同じである。か焼は、ロータリーキルン、窯内の固定モールド又は主に高温ガスにより加熱される流動床反応器において実行され得る。
【0041】
か焼が、例えば固定モールド内で実行される場合、か焼生成物は微粉化を必要とし得る。流動化(fludization)によるか焼は、粒子が流動床で凝集しなければ、微粉化を必要としない。か焼粉末は、好ましくは20メッシュのふるい、更に好ましくは40メッシュのふるいによって選別され、粗い粒子が除去される。
【0042】
次に粉末は、金属モールドで所望の形状に成形される。好ましい金属は、ステンレス鋼及びInconel(登録商標)Inco合金のようなクロム含有合金である。Inconel(登録商標)型合金は、ステンレス鋼よりも熱サイクル及び酸化に、良好に耐えられるので好ましい。離型プロセスを容易にするため、また完成した発泡ガラス製品に望ましくない亀裂を引き起こし得る金属への発泡ガラスの接着を最小限にするために、離型剤が使用されるのが好ましい。離型剤は、ピーク焼成温度に耐えなければならず、結果として、珪藻土、シリカ及び種々のクレーのような高シリカ鉱物、高アルミナ鉱物粉末などの安価な耐熱性酸化物が使用され得る。成形された発泡ガラス粉末前駆体上に第2の酸化物グレージング(glazing)又は表面コーティングが適用され、完成発泡製品に付加的表面効果を生成させ得る。
【0043】
次にモールドは、モールド寸法全体にわたって温度の均一性が50℃よりも良好、更に好ましくは20℃よりも良好になるような状態でモールドを収容し得る電気又はガス燃焼窯内に移動される。加熱速度は、発泡ガラスの厚さ及び窯内部の生成物荷重(loading)を基準にして選択される。通常、加熱速度は、2〜10℃/分、好ましくは3〜5℃/分の範囲でよい。ピーク発泡温度では、発泡ガラスの粘度は、10〜10ポアズである。ピーク焼成温度でのソーク時間は、発泡ガラスの寸法に依存する。また、ソーク時間は、表面グレージングの厚さに影響する。ソーク時間が長いほど、より厚い表面グレーズ(glaze)又は表皮の調合物が得られる。発泡体全体にわたって温度の平衡を保証するために、大きい発泡体ほど、より長いソーク時間を必要とし得る。
【0044】
室温への冷却サイクルの間、残留熱応力がない強力な生成物を保証するために、発泡ガラスにかかる熱応力は最小限にされなければならない。結果として、1012〜1016のおおよその粘度範囲に相当するアニーリング及び歪み点温度付近での冷却速度は、比較的遅く、1〜5℃/分、好ましくは1〜3℃/分である。この温度範囲の上及び下では、発泡体の寸法に応じて、平均冷却速度は、2〜10℃/分、好ましくは3〜5℃/分である。
【0045】
アニーリングされた発泡ガラスは離型され、必要であればその側面がトリミングされる。トリミングは、研削及び切断のような様々な手段により行われ得る。カーバイドブレードのような耐摩耗性ブレードによる切断は、研削よりも粉塵をあまり生成しないので好ましい。発泡ガラスの粉塵は、主に非結晶性シリカからなり、これはコンクリート粉塵のような結晶性シリカの粉塵よりもはるかに有害性が低いことに注意すべきである。
【0046】
製造された発泡ガラスボードは、単独のタイルとして使用することもできるし、発泡ガラス複合パネルの製造において使用することもできる。最終工程の間に収集された全てのトリミング及び粉塵は粉砕されて、出発原料に加えることができる。更に、破損タイル又はパネルのような不合格品(product reject)は粉砕されて、出発原料に再生利用できる。
【0047】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明のタイルを製造する上記方法が修正され得ること、又は他の製造方法を使用できることは、当業者により理解されるであろう。
【0048】
上記で議論したように、本発明の一態様は、発泡ガラスタイルへの裏打ち材の包含である。以下の実施例1及び2は、裏打ち材としてポルトランドセメントの適用を説明する。これらの実施例は、発泡ガラスタイルとセメント含有裏打ち層との界面に、ポゾラン結合が自然に生じることを実証する。
【0049】
或いは、発泡ガラスタイル上にその他の無機セメント質の裏打ち材を所望の厚さに適用することができ、これは、最初はペーストで、硬化して固体の裏打ちになるのが好ましい。裏打ちは、多層構造に製造されることもでき、この場合、ポゾラン結合を作成するために、石灰又はポルトランドセメントを発泡体に隣接する層とした後、他のセメント質オーバー層を形成する。セメント裏打ち材は、ガラス、グラファイト、セラミックス、セルロースのようなポリマー、金属、ケブラーなどの繊維の添加によって補強され得る。
【0050】
また、結合化合物によって発泡ガラスタイルを他の固体層と結合することも可能である。例えば、金属シートと発泡ガラスとの間に適切なコンタクト接着剤を適用し得る。アルミニウムシートと共に使用可能な1つのこのような接着剤は、シリコーンベースの接着剤である。他の例は、発泡ガラスと別の裏打ち材との間に高分子発泡体を適用して、高分子発泡体を保護する。ポリウレタン発泡体及びセメントボードは、この種の多層裏打ちの例である。ポリウレタン発泡体の利点は、予め配置された発泡ガラスボードとシージング裏打ち層との間の間隙内へ適切に適用し得ることである。高分子の裏打ちは、発泡ガラスのような脆弱層の破砕を低減するために特に有用であり、セメント質層ではなおさらそうである。裏打ち層は、セメント、高分子発泡体又は他のコンタクト接着剤と結合された発泡ガラスの多層を含有してもよい。
【0051】
発泡ガラスの裏打ちは、衝撃波エネルギーの最大吸収のための主要発泡ガラスパネルとは異なる密度を有するように選択し得る。発泡ガラス層の正面は、通常、前に議論したようにグレーズ加工される。しかしながら、複合発泡ガラス構造に付加的な保護及び美的外観を付与するために、本発明に従って表面仕上げが適用されてもよい。表面仕上げは、裏打ち層が設置される前又は設置された後に適用され得る。仕上げは、質感のあるセメント質及び/又は高分子被覆層(overlayer)でよく、例えば、化粧張り煉瓦(brick facing)又は大理石型の外観を示す。これらの仕上げは、発泡体層上に適切に成形されてもよいし、コンタクト接着剤又はポゾラン活性を有するセメント層により別個のシージングとして発泡体へ接着されることもできる。これらの仕上げは、発泡ガラス複合体構造に付加的な建築的魅力を付与するであろう。更に、表面仕上げに着色剤を使用して、構造に所望の色を付与し得る。表面仕上げに繊維材料を添加して、付加的な補強を与え、衝撃波を受けたときの破砕を低減し得る。望まれるなら、表面仕上げに種々のUV保護化合物を添加し得る。
【0052】
裏打ち層及び表面仕上げの両方の厚さは、設計仕様、必要とされるエネルギー吸収及び強度によって変化し得る。発泡ガラスパネルが燃焼される際の自然なグレージングが美的に十分であり得るので、表面仕上げの適用は不要かもしれない。
【実施例】
【0053】
[実施例1]
以下の表1に示される原料を混合することによって発泡ガラスタイルを製造した。
【0054】
【表1】

【0055】
得られたスラリーを乾燥し、粉末混合物を950℃で約45分間か焼して原料を反応させ、砂糖を微細に分解し、炭素質相を均一に分散させた。か焼生成物を細かい粉末に粉砕し、Inconel(登録商標)モールド内に配置し、そして約850℃に加熱し、その温度で約30分間ソーキングすることによって発泡させた。得られた発泡ガラスを室温へアニーリングし、離型した。得られた発泡ガラスは、約25ポンド/立方フィート(約400.4616kg/m)の密度、深緑がかった色、及び完全にグレーズ加工された表面を有していた。気孔構造は均一で、平均の孔サイズは約2mmであった。縁をトリミングした後、タイルの寸法は、約16インチ×12インチ×3インチ(約0.4064m×0.3048m×0.0762m)であった。
【0056】
本発明による発泡ガラス−コンクリート複合タイルを以下の方法で製造した。発泡体の側面のまわりをトリミングし、グレーズ加工表面を下に向け、セメントを受け入れるためにタイルの上に約1インチ(約0.0254m)の間隙を残して、その周囲に合板片でフレームをつけた。ポルトランドセメントサンドミックス(Quickreteサンドミックス)を製造業者の説明書に従って調製した。燃焼中にモールドと接触し、複合タイルの製造の前に気泡構造を露出させるためにトリミングされなかった発泡体の露出面上に、得られたペーストを載せた。型から取り出す前に、コンクリートを約28時間硬化させた。発泡体とコンクリート層の間の界面は完全に密封され、強力なセメント質のポゾラン結合の形成が示された。
【0057】
[実施例2]
以下の表2に示される原料を混合することによって発泡ガラスタイルを製造した。
【0058】
【表2】

【0059】
得られたスラリーを乾燥し、粉末混合物を900℃で約30分間か焼して原料を反応させ、砂糖を微細に分解し、炭素質相を均一に分散させた。か焼生成物を細かい粉末に粉砕し、Inconel(登録商標)モールド内に配置し、約3.5℃/分の平均加熱速度で約860℃に加熱することによって発泡させた。得られた発泡体を室温へアニーリングし、離型した。発泡ガラスは、約52ポンド/立方フィートの密度(約832.9601kg/m)、緑がかった色、及び完全にグレーズ加工された表面を有していた。気孔構造は均一で、平均の孔サイズは約1〜2mmであった。縁をトリミングした後、タイルの寸法は、約17インチ×12インチ×1.4インチ(約0.4318m×0.3048m×0.0356m)であった。
【0060】
本発明による発泡ガラス−コンクリート複合タイルを以下の方法で製造した。発泡体の側面のまわりをトリミングし、グレーズ加工表面を下に向け、セメントを受け入れるためにタイルの上に約1インチ(約0.0254m)の間隙を残して、その周囲に合板片でフレームをつけた。エルマ社のプロボンドコンクリートボンダ接着促進剤の薄層を発泡体に適用した。ポルトランドセメントモルタルミックス(Quickreteモルタルミックス)を製造業者の説明書に従って調製した。フレーム化(flamed)発泡ガラスタイルの露出面上に、得られたペーストを載せ、水平とした。これは焼成モールドと接触した表面であり、複合タイルの製造の前に気泡構造を露出させるためにトリミングされなかった。型から取り出す前に、コンクリートを約28時間硬化させた。発泡体とコンクリート層の間の界面は完全に密封され、強力なセメント質のポゾラン結合の形成が示された。
【0061】
本発明の好ましい実施形態が示され、詳細に説明されたからには、それに対する種々の変更及び改良は、当業者に容易に明らかになるであろう。従って、本発明の精神及び範囲は広く解釈されるべきであり、特許請求の範囲によってのみ制限され、上述の明細書によって制限されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの面に密閉気孔の外側表皮を含む発泡ガラスタイルであって、30ポンド/立方フィート〜100ポンド/立方フィート(480.5539kg/m〜1601.8463kg/m)の密度、少なくとも2インチ(0.0508m)の厚さ及び30ポンド(13.6078kg)よりも重い重量を有する発泡ガラスタイル。
【請求項2】
タイル表面積が、少なくとも2フィート×2フィート(0.6096m×0.6096m)である請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項3】
タイル表面積が、少なくとも4フィート×4フィート(1.2192m×1.2192m)である請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項4】
前記タイルが、40ポンド/立方フィート(640.7385kg/m)より大きい密度を有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項5】
前記タイルが、50ポンド/立方フィート(800.9232kg/m)より大きい密度を有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項6】
前記タイルが、少なくとも3インチ(0.0762m)の厚さを有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項7】
前記タイルが、少なくとも4インチ(0.1016m)の厚さを有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項8】
前記タイルが、少なくとも65ポンド(29.4835kg)の重量を有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項9】
前記タイルが、少なくとも100ポンド(45.3592kg)の重量を有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項10】
前記タイルが、これと同様の構造を有する少なくとも1つの他のタイルと共に組み立てられてパネルを形成し、前記パネルが、軽量の建築ファサードとして使用される請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項11】
前記建築ファサードが、建物の少なくとも一部に組付けられ、前記建物の前記一部が、震害に対して実質的に耐性である請求項10に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項12】
前記タイルが、密閉気孔構造を有する請求項1に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項13】
前記外側表皮は、前記発泡ガラスタイルがグレーズ加工された外側表面である請求項12に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項14】
前記密閉気孔構造は、建築的魅力のための質感が与えられる請求項12に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項15】
前記タイルが、内側部分を更に含み、前記タイルの外側表皮が、その表面を前記タイルの前記内側部分とは異なる色に見えるようにするための添加剤を含む請求項12に記載の発泡ガラスタイル。
【請求項16】
(a)20ポンド/立方フィート〜100ポンド/立方フィート(320.3693kg/m〜1601.8463kg/m)の密度を有する発泡ガラスタイル;及び
(b)剛構造体
を含む複合建築材料であって、前記タイルが、前記剛構造体により裏打ちされ、爆破エネルギーを有する爆破衝撃波を受けた場合に、前記タイルが、前記タイルが曝される前記爆破エネルギーのかなりの部分を吸収することができる前記複合建築材料。
【請求項17】
前記剛構造体が、建築柱である請求項16に記載の複合建築材料。
【請求項18】
前記剛構造体が、ガレージ内又はガレージに隣接して配置される請求項16に記載の複合建築材料。
【請求項19】
前記剛構造体が、1つ以上のセメント質材料からなる請求項16に記載の複合建築材料。
【請求項20】
前記セメント質材料が、ポルトランドセメントを含む請求項19に記載の複合建築材料。
【請求項21】
前記セメント質材料が、石灰を含む請求項19に記載の複合建築材料。
【請求項22】
前記セメント質材料が、アルミナセメントを含む請求項19に記載の複合建築材料。
【請求項23】
前記セメント質材料が、石膏を含む請求項19に記載の複合建築材料。
【請求項24】
前記剛構造体が、高分子材料を含む請求項16に記載の複合建築材料。
【請求項25】
前記高分子材料が、繊維材料及び/又はケブラーからなる請求項24に記載の複合建築材料。
【請求項26】
(a)発泡ガラスタイル;及び
(b)前記発泡ガラスタイル上の無機セメント質の裏打ち
を含むセラミック−ガラス発泡複合体であって、前記複合体が、起こり得る爆発から曝され得る爆破エネルギーのかなりの部分を吸収することができる前記セラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項27】
前記発泡ガラスタイルが、前記起こり得る爆発の方向に曝される請求項26に記載のセラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項28】
前記セメント質の裏打ちが、前記発泡ガラスタイルとポゾラン結合を形成する請求項26に記載のセラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項29】
前記セメント質の裏打ちが、強化セメントである請求項26に記載のセラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項30】
前記複合体が、建築柱に取り付けられる請求項26に記載のセラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項31】
前記複合体が、ガレージ内又はガレージに隣接して配置された壁に取り付けられる請求項26に記載のセラミック−ガラス発泡複合体。
【請求項32】
(a)表面仕上げ層;
(b)少なくとも1つの剛性発泡ガラス層;及び
(c)少なくとも1つの裏打ち層
を含む発泡ガラス複合パネル。
【請求項33】
前記剛性発泡ガラスが、密閉気孔構造を有する請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項34】
前記表面仕上げ層は、前記少なくとも1つの剛性発泡ガラス層がグレーズ加工された発泡ガラス外側表面である請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項35】
前記表面仕上げ層は、建築的魅力のための質感が与えられる請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項36】
前記表面仕上げ層が、その表面を前記少なくとも1つの剛性発泡ガラス層とは異なる色に見えるようにするための添加剤を含む請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項37】
前記表面仕上げ層が、繊維材料を含有する請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項38】
前記繊維が、グラファイト及び/又はケブラーから製造される請求項37に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項39】
前記少なくとも1つの裏打ち層が、繊維材料を含有する請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項40】
前記繊維が、グラファイト及び/又はケブラーから製造される請求項39に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項41】
前記表面仕上げ層が、高分子材料を含む請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項42】
前記少なくとも1つの裏打ち層が、高分子材料を含む請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項43】
前記少なくとも1つの裏打ち層が、1つ以上のセメント質材料を含む請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項44】
前記セメント質材料が、前記少なくとも1つの発泡ガラス層の表面とポゾラン結合を形成する請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項45】
前記セメント質材料が、ポルトランドセメントを含む請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項46】
前記セメント質材料が、強化ポルトランドセメントを含む請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項47】
前記セメント質材料が、石灰を含む請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項48】
前記セメント質材料が、アルミナセメントを含む請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項49】
前記セメント質材料が、石膏を含む請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項50】
前記少なくとも1つの発泡ガラス層と前記裏打ち層との間に、結合促進剤又は接着剤の層が適用される請求項43に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項51】
前記少なくとも1つの裏打ち層が、金属を含む請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項52】
吊り金具が、裏打ち層内に設置される請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項53】
前記パネルが、耐力フレーム上に取り付けられる請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項54】
前記パネルが、かなりの量の衝撃波及び振動エネルギーを吸収することができる請求項53に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項55】
前記表面仕上げ層が、衝撃波の場合に、前記1つ以上の発泡ガラス層の破片を含有することができる請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項56】
前記1つ以上の裏打ち層が、衝撃波の場合に、前記1つ以上の発泡層の破片を含有することができる請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。
【請求項57】
前記パネルが、建物の少なくとも一部に組付けられ、前記建物の前記一部が、震害に対して実質的に耐性である請求項32に記載の発泡ガラス複合パネル。

【公開番号】特開2010−174616(P2010−174616A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61552(P2010−61552)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2003−569397(P2003−569397)の分割
【原出願日】平成15年2月10日(2003.2.10)
【出願人】(504310375)
【氏名又は名称原語表記】BUARQUE DE MACEDO, Pedro, M.
【住所又は居所原語表記】6100 Highboro Drive, Bethesda, MD 20814, U.S.A.
【Fターム(参考)】