説明

大腸炎処置のためのサイトカイン産生性ラクトコッカス株の使用

【課題】経口経路によるIL10及び/又は溶解性TNFレセプターのような、サイトカイン又はサイトカインアンタゴニスト、好ましくは、酸感受性抗炎症剤の腸粘膜における送達のための投与方策の提供。
【解決手段】サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストなどのそれぞれのタンパク質を産生するために操作された、バチルス・ズブチルス、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、スタフィロコッカス・キシローサス又はラクトバチルス種などのグラム陽性菌株を使用したリコンビナント細胞の懸濁液の接種。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大腸炎を処置するためのサイトカイン産生性ラクトコッカス株の使用。
発明の概要
本発明は、経口経路によるIL10及び/又は溶解性TNFレセプターのような、サイトカイン、好ましくは酸感受性抗炎症剤の腸粘膜における送達のための投与方策に関する。本発明による好ましい特徴は、それぞれのタンパク質を産生するために操作されている、生存するリコンビナントラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)細胞の懸濁液の接種である。例として、硫酸デキストランナトリウム(DSS)の投与によって結腸末端の慢性炎症を誘導したマウスを用いた。組織学的評価によって記録された処置は、明らかに炎症及び疾病症状の回復をもたらした。この発見は、経口投与後に直腸で活性を発揮するために、送達系は胃及び小腸の上部の酸性環境を通過する必要があることから、全く予想外のことである。
【0002】
哺乳類の免疫系は、多様かつ複雑であり、そして自然及び適応の、免疫メカニズム及び反応を含む。免疫系は、しばしば液性免疫応答又は細胞性免疫応答のいずれかの用語で記載されている。液性免疫は、抗体産生及びB細胞による作用をひろく意味し;細胞性免疫は、T細胞、樹状細胞、好中性白血球、単球及びマクロファージによって媒介される。
【0003】
免疫系が通常作用しそれ自体を調節することによるメカニズムの一つは、いわゆるサイトカインの産生を含む。サイトカインがいくつかの正及び負の免疫応答を介在することは公知でる。サイトカインは、通常、標的細胞上のレセプターに結合することによって作用する。サイトカインの活性は、いくつかの方法、例えば可溶性レセプター(レセプターの細胞外ドメイン)又はサイトカイン類似物若しくは誘導物の投与によって干渉することができる。
【0004】
IL−10は、多くの作用又は効果を介在することができるサイトカインである。IL−10が異なるクラス又はTh細胞(Tヘルパー細胞)のサブセットの免疫応答のコントロールにかかわることは、公知である。
【0005】
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管の部分の慢性非特異的炎症を特徴とする消化管障害の群をいう。潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)は、ヒトにおけるIBDの最も顕著な例である。それらは、小児における成長遅延、直腸脱、便中の血液(例えば、下血及び/又は血便)、消耗、鉄欠乏、及び貧血例えば鉄欠乏性貧血及び慢性的疾患若しくは慢性的炎症の貧血を含む、多くの症状及び合併症に関連している。IBDの病因は、不明瞭である。これに関しては、Wyngaarden and Smith (ed.) Cecil's Textbook of Medicine (W.B. Saunders Co. 1985), Berkow (ed.) The Merck Manual of Diagnosis and Therapy (Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, 1982), and Harrison's Principles of Internal Medicine, 12th Ed., McGraw-Hill, Inc. (1991)を参照されたい。
【0006】
IBDの発生率は、地理的な位置で大きく変動する。欧州の共同研究では、100000人当たりの発生率が、UCで10.4人及びCDで5.6人を示し、南部地方における発生率と比べて北部中央地方におけるUC及びCDの発生率は、それぞれ40%及び80%高率である。UC及びCDの両者は、長期間の疾患であることから、クオリティオブライフの文字とおりの妨害である。クローン病は、20歳及び50歳の発生率における著しいピークを示す、発症の二頂性の年齢分布を有する。より高い発生率及びより悲惨な疾病特性は、若年齢におけるピークに関連する。これが、CDを、苦しむ青年のように特に辛いものとし、そして若年成人は、人生の大きな期待を実質的に奪われ、このように、特にこの社会集団に関連する。
【0007】
潰瘍性大腸炎は、主として結腸粘膜における症状を有する、慢性、非特異的、炎症性、そして潰瘍性の疾患である。しばしば、観血的下痢、腹部の鋭痛、便中の血液及び粘液、倦怠感、熱、貧血、摂食障害、体重減少、白血球増加症、低アルブミン血症、及び赤血球沈降速度(ESR)の増大を特徴とする。合併症は、出血、中毒性大腸炎、中毒性巨大結腸症、場合により直腸膣瘻、そして結腸がん発生の危険性の増加である。
【0008】
潰瘍性大腸炎は、関節炎、強直性脊椎炎、仙腸関節ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症のような結腸から離れた合併症とも関連する
処置は、疾患の重篤度及び期間を考慮して変動する。例えば、脱水症状や電解質平衡異常を予防するための輸液療法は、しばしばひどい発作を表す。更に、特別食事測定が有用な場合もある。薬剤は、種々のコルチコステロイド及びその誘導体のいくつか、そして場合により免疫抑制物質を含む。
【0009】
クローン病は潰瘍性大腸炎と共通する多くの特性を有する。クローン病は、かなり拡散している潰瘍性大腸炎の損傷と対照的に、近接する正常な腸からはっきりと区別できる傾向にある損傷であることで区別される。更に、クローン病は、優先的に回腸(回腸炎)、及び回腸と結腸(回大腸炎)を冒す。時として、結腸のみが病気となり(肉芽腫性大腸炎)、そして時々小腸全体が含まれる(空回腸炎)。まれに、胃、十二指腸、又は食道が含まれる。病変は、臨床例のおよそ半分が類肉腫型類上皮肉芽腫である。クローン病の病変は、閉塞、瘻孔形成同じく膿瘍形成をもたらすことができる深い潰瘍形成を含める経壁の浮腫及び線維症を含む。これは、通常非常に浅い病変を生じる潰瘍性大腸炎と対照的であるが、時々、線維症、閉塞、瘻孔形成及び膿瘍も同様に潰瘍性大腸炎において見られる。
【0010】
処置は両疾病ともに同様であり、ステロイド、スルファサラジン及びその誘導体、並びにシクロスポリンA、メルカプトプリン及びアザチオプリンのような免疫抑制剤を含む。より新しく開発された処置は、いくつかはまだ臨床試験中であるが、TNF抗体又はTNFレセプターのようなTNF遮断化合物の全身投与(注入による)を含む。
【0011】
IBDは、病因処置の不在のために公衆衛生における真の問題を示す。多くの患者は、抗炎症コルチコステロイド処置のような従来医薬治療により十分に処置されるが、殆どは疾患の再発活性を有し、そして三分の二は手術が必要となる。
【0012】
炎症性腸疾患の原因は、知られていない。CD及びUCの病因は、恐らく細菌因子のような遺伝的因子及び環境的因子の両方の相互作用を含むが、明らかな病因因子は従来明らかにされていない。恐らく腸管微生物フローラがもたらす異常免疫応答がIBDを生じるのが、主要な説である。しかし、T細胞が病因において重要な役割を奏していることは十分確立されている。活性化T細胞は、抗炎症性サイトカイン及び親炎症性サイトカインの両者を産生することができる。研究中の知識を用いて、IBDを合理的方法で弱めることができる。中和モノクローナル抗体又は抗炎症性サイトカインの使用を生じる新規抗炎症性治療は、IBDの原因である免疫非調節(disregulation)を調整する可能性を示す。高度に顕著及び効果的な新規治療は、上記のとおりの抗TNFモノクローナル抗体を用いる全身処置である。単回静脈内投与量は、cA2インフリキシマブ抗体5〜20mg・kg-1の範囲であり、活性のクローン病における飛躍的な臨床的改善をもたらす。1日当たり0.5〜25μg・kg-1の範囲の投与量を用いる処置療法で7日間全身投与されたリコンビナントIL−10の使用は、減少したクローン病活性測定値及び増加した寛解を示した。多くの極めて将来有望な治療である、親炎症性サイトカインのタングリング又はT細胞の浸潤の確立のいずれかが、実験モデルから今明らかになっている。しかし、これら全ての方策は、全身投与を必要とする。IBDの重篤な合併症は、全身を重篤に衰弱させ、そして最終的には死因となり得る。
【0013】
発明の詳細な説明
Schering Corp.に譲渡された米国特許5,368,854においては、IL−10を用いる哺乳動物における炎症性腸疾患を処置する方法が開示されている。この方法において、サイトカインは、IBD(炎症性腸疾患)を有する哺乳動物に投与される。この引例に記載されているようにIL−10の投与は、血管内、そして好ましくは静脈内のような非経口である。
【0014】
しかし、IBDに罹患している(ヒト)患者のためのこのような投与経路は、欠点が無いわけではない。非常に容易かつより簡便な方法は、同様の治療的活性を有する、IL−10又はサイトカインアンタゴニストのようなサイトカインを含む医薬品の経口投与である。より重要なことには、治療剤の局部的放出がより高効率及び全身投与が原因の不要な副作用の低減を可能にする。
【0015】
Cambridge University Technical Services Ltd.に譲渡されたWO97/14806には、体内、特に粘膜におけるポリペプチドの鼻腔内投与による生物学的に活性なポリペプチド及び/又はラクトコッカスのような非侵入性細菌を用いる抗原を送達する方法が開示されている。
【0016】
しかし、酸感受性であるIL−10のようなサイトカインを用いる、慢性大腸炎又はクローン病のような炎症性腸疾患の処置は、極めて扱いにくくそして達成が困難な仕事である。したがって、活性化合物(例えば、サイトカイン又は可溶性レセプター)が、化合物が多くのサイトカイン、特にIL−10の酸感受性の問題を考慮に入れその活性を発揮することが期待される場所に直接的に送達され、そして経口投与後に送達媒体が胃の酸性環境を通過する必要があることの要望を満たすシステムの開発が望まれている。また、種々の消化酵素は胃及び腸を通過することからポリペプチドを分解する。最後であるが重要な問題として、薬剤のその場所での(in situ)投与は、全身的毒性又は他の制限のためより全身的な経路の投与による達成が困難である、治療的に有効な濃度を到達させることができる。
【0017】
IBDに罹患している患者の回復を達成するためには、損傷した細胞、及び該損傷細胞を含む器官、例えば結腸を回復する必要がある。
【0018】
上記技術的問題に対する解決手段は、請求項に特徴づけられる実施態様を与えることによって達成される。
【0019】
我々の発明は、医薬品の調製のための、サイトカイン産生性グラム陽性菌株又はサイトカインアンタゴニスト産生性グラム陽性菌株を使用し、炎症性腸疾患を処置することである。
細菌宿主株によって産生される該サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストは、例えば、IL−10、可溶性TNFレセプター又はIL−12誘導p40ホモダイマー(IL−12アンタゴニスト)のようなサイトカイン類似物、インターフェロンγアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト又はEBV BCRF1(Baer et al., 1984)のようなウイルスコード化サイトカイン類似物であり、ここでグラム陽性菌株は、ラクトコッカス属(lctococcus species)、そしてより好ましくはラクトコッカス・ラクチス(Lactocossus lactis)である。
本発明の目的のために用いられる他のグラム陽性菌株は、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtillis)、ストレプトコッカス・ゴルドニイ(Streptococcus gordonii)、スタフィトコッカス キシローサス(Staphylococcus xylosus)、又はLactobacillus bulgaricus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus casei、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus delbrueckii若しくはLactobacillus plantarumのようなラクトバチルス種(Lactobacillus spec.)である。
慢性腸炎、クローン病又は潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患が、活性サイトカイン化合物、好ましくは、IL−10又は可溶性TNFレセプターの適切な投与量を用いて本発明にしたがって処置されることができ、そして病気の結腸の予想外の回復し、明らかに正常および健康な状態を提供する。
【0020】
IL−10は、単独か、又は少なくとも一つの付加的治療剤と組み合わせて投与することができる。該薬剤の例は、コルチコステロイド、スルファサラジン、スルファサラジン誘導物、シクロスポリンAのような免疫抑制剤、メルカプトプリン、アザチオプリン、及び別のサイトカインを含む。共投与とは、通常は、複数の(2種以上)治療が、特定の時間間隔の間に受容者に存在することをいう。通常は、もし第二の薬剤が第一の薬剤の半減期内に投与されるとすれば、この2種の薬剤は、共投与されたとみなされる。
【0021】
ここに開示される本発明は、したがって、リコンビナントL.Lactisによるin situ合成によるIL−10の局部的送達に関する。その結果として、炎症は、DSSで誘導された慢性大腸炎において50%まで減じられ、そしてIL−10-/-129Sv/Evマウスにおける大腸炎の発生を予防する。したがって、この方法は、抗炎症性タンパク質の全身投与を基にする強力な、定評のある、認められた治療に比べて、同等に有効である。ここで用いられるベクターであるL. lactisは、グラム陽性の食品用生物であり、完全に無害である。それは、非コロニー形成微生物である。ここに示される処置中の正確な投与量及びタイミングは、極めて重要であり、したがって容易に得ることができる。
【0022】
ベクターの生存度の重要な必要条件は、本発明に示されている。これは、IL−10のin situ合成の必要性を示す。ベクターは、実際に、結腸内でIL−10のデノボ(de novo)合成を示すことによってこれを達成することができる。
【0023】
腸管内における処置に基づくタンパク質についての有効な新規概念が、ここに開示される。この処置は、薬学的処方として最も望まれる経口経路によって与えられることができる。用いる経路のために内因性の感受性を有する化合物を用いる遠位結腸に至るまで効果を発揮することができる。この方法は、全身投与の必要性を回避する。これは、不安定又は大量に産生することが困難である物質の局所的送達の可能性を開く。これは、元来極めて費用有効的である。
この方法は、潜在性の副作用に関する、望ましいか又はたとえ全身的送達によって達成し得るより高い濃度で治療におけるIL−10の持続性かつ局在性の存在の疑問を解決することができる。
【0024】
本記載中で用いられるいくつかの用語は、明瞭性のために、下記で説明される。
【0025】
一般的には、用語「症状」
とは、疾病又は患者の状態のあらゆる主観的徴候をいう。これは、患者によって認知されるような徴候を含む。IBDの症状の例は、下痢、腹痛、発熱、下血、血便及び体重減少を含む。
【0026】
一般的には、用語「徴候」は、通常は、診察する医師、又は超音波検査若しくはX線撮影テストのような実験室評価若しくは別のテストにおいてそれら自身を明らかにする特徴によって認められるような疾病又は状態のあらゆる客観的徴候をいう。IBDの徴候のいくつかの例は、腹腔質量、舌炎、アフタ性潰瘍、裂肛、肛門周囲瘻孔、貧血、吸収不良、及び鉄欠乏を含む。時々、徴候及び症状は共通する。例えば、患者が血便を訴え(症状)、かつ便サンプルの臨床検査が血液陽性である(徴候)。
【0027】
熟語「適切な投与量」又は「有効量」は、自己免疫状態又は所望しない若しくは不適切な炎症性若しくは免疫応答の症状若しくは徴候を回復するために十分な量若しくは投与量をいう。特定の患者に対する有効量は、処置される状態、患者の全体的健康状態、投与の経路及び投与量、及び副作用の重篤度のような因子によって変動することができる。
【0028】
「サイトカイン」は、ある範囲の細胞型によって一過的に産生されるポリペプチド因子を意味し、通常局所的に作用し、そして細胞表面レセプターに結合することによって特定遺伝子の発現を活性化する。
【0029】
「アンタゴニスト」は、レセプターに結合するが活性化しない化合物をいい、したがってアゴニストの作用を拮抗的に阻害する。
「アゴニスト」は、レセプターに結合しそして活性化する化合物である(例えば、ホルモン及び神経伝達物質のような内因性リガンド、化学的合成化合物、アルカロイド様天然産物)。
【0030】
本発明において持ちられる方法の詳細な説明
培地
GM17は、0.5w/v%のグルコースを添加したM17(Difco, St. Louis)である。GM17Eは、5μg/mlのエリスロマイシンを添加したGM17である。BM9は、1リットル当たりNa2HPO46g、KH2PO43g、NH4Cl1g、NaCl20.5g、MgSO42mmol、NaHCO325mmol、Na2CO325mmol、CaCl20.1mmol、グルコース5g及びカジトン(Difco)5gを含有する。BM9Eは、5μg/mlのエリスロマイシンを添加したBM9である。
【0031】
リコンビナントDNA技術
DNAのPCR増幅は、製造者によって推奨される条件を用いて、VENTポリメラーゼを用いて行われた。DNA修飾酵素及び制限エンドヌクレアーゼは、標準条件下及び製造所によって推奨されるバッファー内で用いられた。一般的分子クローニング技術並びにDNA及びタンパク質の電気泳動は、原則的に記載されたとおりに行った(Sambrook et al., 1990)。L. lactisは、グリシン存在下で成長した細胞のエレクトロポレーションによってトランスフォームされた(Wells et al., 1993)。
【0032】
発現プラスミドの構築
プラスミドpT1MIL10(図1)は、プライマー(CAGTACAGCCGGGAAGACAAT及びGCACTAGTTAGCTTTTCATTTTGAT)を用いて得られ、そしてmIL10コード配列を含有するcDNAクローンに行ったPCRフラグメントのサブクローニングによって構築した。この方策の設計のために、我々は、EMBL受託番号M37897と提出したとおりのmIL10cDNA配列の使用を利用した。上記プライマーを利用することによって、mIL10フラグメントは、キナーゼ及びSpeIでの処置後に、pTREX1誘導物であるNaeI−SpeI開裂プラスミドpT1NX(図1)内に、ブラント−SpeIフラグメントとして、サブクローニングすることができた(Wells and Chofield in: Lactic Acid Bacteria: current advances in metabolism, genetics and applications. F. Bozoglu & R. Bibek, Eds., Nato ASI Series H, Vol.98, p.37. Springer-Verlag, 1996)。プラスミドpT1TR5AH(図1)は、プライマー(CTGGTCCCTTCTCTTGGTGAC及びCCACTAGTCTATTAATGATGATGATGATGATGCGCAGTACCTGAGTCCTGGGG)を用いて得られ、そしてTNFr55コード配列を含有するcDNAクローン上に行われたPCRフラグメントのサブクローニングによって構築された。この方策の設計のために、我々は、EMBL受託番号L26349と提出したとおりのmIL10cDNA配列の使用を利用した。上記プライマーを利用することによって、sTNFr55フラグメントは、3′末端に6hisタグを与え、そしてキナーゼ及びSpeIでの処置後に、NaeI−SpeI開裂プラスミドpT1NX内に、ブラント−SpeIフラグメントとしてサブクローニングすることができた。
両プラスミドは、Usp45の分泌リーダー(Van Asseldonk et al., Gene, 95, 155-160, 1990)の間に融合遺伝子のためのラクトコッカスのP1プロモーターの下流にmIL10及びsTNFr55それぞれをコードする。分泌の際は該リーダー配列は切り離される。
【0033】
リコンビナントタンパク質の同定
リコンビナントmIL10及びmsTNFr55は、それぞれMG1363〔pT1MIL10〕及びMG1363〔pT1TR5AH〕の上清中に認めることができる(図2)。このテストについて、培養のアリコート5mLをフェノール2mLで抽出し、続いてタンパク質をエタノール10mLでの沈殿による有機相から調製した。培養上清の1mLに相当する沈殿の一部分をSDS−15%PAGE及びイムノブロッティングに付した。培養サンプルを下記のとおりに細菌の成長期中に適切な時期に採取した。
【0034】
MG1363〔pT1MIL10〕の培養上清は、平均で、1μg・mL-1のマウスIL10を含有した。上清のマウスIL−10活性をマウスマスト細胞株MC/9を用いて測定した(Thompson-Snipes, L. et al., J. Exp. Med. 173, 507, 1991)。トランスフェクション実験で示されたように、ヒトIL−10は、マウスIL−10Rに結合する(Ho, A.S.Y et al., PNAS 90, 11267, 1993; Liu, Y. et al., J. Immunol. 152, 1821, 1994)。1U・mL-1のIL−10は、conA活性化脾細胞のIFNガンマ産生のレベルを50%阻害することができるIL−10の量として同定される(Fiorentino, D.F. et al., J.Exp.Med. 170, 2081, 1989)。この効果のED50は、通常は0.3〜0.6ng・mL-1である。活性既知の標準物質と一緒に測定したとき、MG1363〔pT1MIL10〕培養上清は、約8000U・mL-1の活性を示した。Berg et al.(J.Clin. Invest 98, 1010-1020)は、リコンビナントmIL10の非活性が約1.0×107U・mL-1であると報告している。これらを考慮し、そして用いた方法の多様性を考慮すると、我々は、MG1363〔pT1MIL10〕培養上清中に存在するリコンビナントmIL10は、完全な生物活性を示したと結論する。少しのIL10活性もコントロール培養であるMG1363又はMG1363〔pTREX1〕の上清中において検出することができなかった。
【0035】
菌株MG1363〔pT1TR5AH〕の培養上清は、平均で、200ng・mL-1のmsTNFr55を含有する。Loetscher et al.(1991)は、sTNFr55によるTNF細胞毒性活性の完全な阻害は、sTNFr55:TNFのモル比が1000:1以上でのみ得られることを示した。MG1363(pT1TR5AH)の培養上清から回収された可溶性リコンビナントTNFr55は、常在性産物について報告されているように、TNFに対する同等の阻害効果を示した。これは、混合によって証明され、したがってTNFの滴定系列とリコンビナントsTNFrの滴定系列とは拮抗し、そして記載されているように細胞毒性アッセイにおいてTNF活性を測定する(Espevik, T and Nissen-Meyer, 1986)。
【0036】
マウスの前処置
慢性大腸炎の誘導のために、マウスをKojouharoff et al. Clin Exp Immunol 107, 353, 1997に記載されるように前処置した。6〜8週齢雌Balb/cマウスをDSSを用いて4サイクルの処置に付した。各サイクルは、7日間の飲用水中の5%DSS、続いて正常飲用水を与える10日間の間欠期からなる。最後のDSSサイクル完了の4〜6週間後に、マウスを記載したとおりのL. lactis株で処置した。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1a】図1は、用いたプラスミドの概要である。図1aは、用いたプラスミドの該略図である。P1は、Waterfield et al, (1995)のとおりのラクトコッカスのP1プロモーターであり、usp45Sは、ラクトコッカスのUsp45の分泌シグナルペプチドをコードするDNAフラグメントであり(van Asseldonck et al, 1990)、mil10は、マウスインターロイキン10の成熟部分をコードするDNAフラグメントであり、tr55は、1型TNFレセプターの成熟部分をコードするDNAであり、H6は、6ヒスチジン残基をコードするフラグメントであり、EMrは、エリスロマイシン選択マーカーである。
【図1b−1】pTREX及びpT1NXのDNA配列である。
【図1b−2】pTREX及びpT1NXのDNA配列である。
【図1b−3】pTREX及びpT1NXのDNA配列である。
【図1b−4】pTREX及びpT1NXのDNA配列である。
【図1c−1】pTIMIL10及びpT1TR5AHのDNA配列である。
【図1c−2】pTIMIL10及びpT1TR5AHのDNA配列である。
【図1c−3】pTIMIL10及びpT1TR5AHのDNA配列である。
【図1c−4】pTIMIL10及びpT1TR5AHのDNA配列である。
【図2】イムノブロット後の表示菌株の培養上清SDS−PAGE後のタンパク質プロフィール、抗マウスインターロイキン10(パネルA)、又は抗マウス1型TNFレセプター及び抗6His(パネルB)抗血清を示す。
【図3】a)慢性大腸炎をDSSで誘導した、b)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pTREX1株を経口で投与した、c)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1TR5AH株を経口で投与した、及びd)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1MIL10株を経口で投与した、マウスの群の結腸長の平均。
【図4】a)慢性大腸炎をDSSで誘導した、b)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pTREX1株を経口で投与した、c)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1TR5AH株を経口で投与した、及びd)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1MIL10株を経口で投与した、マウスの群の末端結腸における上皮損傷スコアの平均。
【図5】a)慢性大腸炎をDSSで誘導した、b)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pTREX1株を経口で投与した、c)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1TR5AH株を経口で投与した、及びd)慢性大腸炎をDSSで誘導し、次にL. lactisのMG1363pT1MIL10株を経口で投与した、マウスの群の末端結腸における炎症性浸潤の平均。
【図6】ヘマトキシリン及びエオシンで染色したマウス末端結腸の代表的切片。 正常組織:無処理動物 DSS大腸炎:慢性大腸炎をもたらすためDSSで前処置した動物 DSS大腸炎、MG1363pT1MIL10処置:慢性大腸炎をもたらすためDSSで前処置し、続いてL. lactis菌株MG1363pT1MIL10を経口投与した動物。DSS大腸炎、MG1363pTREX1処置:慢性大腸炎をもたらすためDSSで前処置し、続いてL. lactis菌株MG1363pTREX1を経口投与した動物。
【図7】組織像の統計学的評価。結腸切片を無作為に番号付けし、ブラインドで判断した。次に、個々のマウスのスコアをデコードし、そして再編した数を統計学的に解析した。DSS大腸炎パネルは、ブランクマウス、及び無処置又はL. lactis培養で処置したかのいずれかの慢性大腸炎をもたらすために誘導したマウスを示す。スコアは、共に0〜4の範囲である、上皮損傷及びリンパ様浸潤のスコアの合計である。別のマウスの群(n=10)は、2週間(=2w)又は4週間(=4w)、MG1363、MG1363(pTREX1)又はMG1363(pT1MIL10)(=IL−10)で処置した。いくつかの培養を106倍生存度を減少させるために摂取の前に紫外線を照射した(+uv)。IL−10−/−大腸炎パネルは、無処理、TREX処置及びIL−10処置の雌129Sv/EvIL−10−/−マウスの7週齢の群(n=5)の組織学的合計値を示す。組織化学的スコアは、全て0〜4の範囲である、近位、中間、遠位結腸の炎症度の合計。誤差バーは、標準誤差(s.e.m.)を表す。
【図8】OD600で測定した照射後の代表的細菌生存度。
【実施例】
【0038】
更なる開示そして本発明を明瞭にするためにいくつかの実施例を下記に示す。
【0039】
実施例1
生L. lacticeを用いるマウスの処置
発現菌株の保存
新たにストリークしたL.lactis発現菌株を発現プラスミドの不在又は存在によってGM17又はGM17Eの10mL中に摂取し、そして30℃で一晩成長させた。一晩培養を新しいGM17又はGM17Eで1/100に希釈し、そして30℃で3時間再成長させた。細胞を遠心によって回収し、次いでプラスミドの存在に応じてBGM9又はBGM9Eに再懸濁させた。この培養を30℃で5時間成長させた。この培養のタンパク質プロフィールをそれぞれsTNFr55又はIL10に対する抗血清のいずれかを用いる培養上清1mL相当物のウェスタンイムノブロッティングを行うことによって分析した。タンパク質プロフィールは、適切なレーンにおいてsTNFr55及びIL10の存在を示した(図2)。もとのGM17又はGM17E一晩培養5mLにグリセリン5mLを添加し、−20℃で保存した。このストックをいくつかの実験で出発物質として用いた。一連の各実験を通したタンパク質分析は、リコンビンナントタンパク質の産生における高い再現性がこの方法によって得ることができることを示した。
【0040】
第1週及び第2週
L. lactis菌株の保存溶液をGM17又はGM17Eの10mLで1/200に希釈し、30℃で一晩成長させた。細胞を遠心によって回収し、次いでBM9又はBM9Eの1mLに再懸濁させた。コントロールである健常マウス及び大腸炎を誘導したマウスに1日当たりこの細胞懸濁液のアリコート100μLを接種した。
【0041】
第3週及び第4週
L. lactis菌株の保存溶液をGM17又はGM17Eの10mLで1/200に希釈し、30℃で一晩成長させた。この培養をBM9又はBM9Eの10mLで希釈し、30℃で3時間成長させた。マウスに1日当たりアリコート200μLを胃内(経口的)に投与した。
【0042】
実施例2
組織学的スコアの判定
組織学的スコアは、基本的に、Kojouharoff et al. Clin Exp Immunol 107, 353, 1997によって記載されているとおりに判定した。
マウスを頚椎脱臼によって屠殺した。結腸を摘出し、そしてPBSで洗浄した。結腸の遠位3分の1を縦方向に切断し、ろ紙上に置き、そして10%ホルマリンを含むPBSで一晩固定した。パラフィン包埋材料の切片を縦方向に作製した。3個の3μm切片を200μmの間隔をおいて切り出した。切片をヘマトキシリン−エオシンで染色した。組織学的分析をブラインド方法で行った。マウスを個々にスコアし、そして各スコアを3個の切片の平均で示した。
【0043】
組織像を下記のようにスコアした。
浸潤:0、浸潤無し;1、陰窩底部周辺の浸潤;2、粘膜筋板に達する浸潤;3、広範な粘膜筋板に達する浸潤及び大量の浮腫を有する粘膜の肥厚;4、粘膜下組織の浸潤。
【0044】
上皮損傷:0、正常形態;1、杯状細胞の損傷;2、広範囲の杯状細胞の損傷;3、陰窩の損傷;広範囲の陰窩の損傷及び/又はポリプロイド再生の病巣。
【0045】
結腸長を解剖そしてペーパータオル上に設置した直後に測定した。
【0046】
他のパラメーターの中でも慢性大腸炎の病理は、結腸の長さの減少並びに上皮損傷及び事実上実質的な程度のリンパ球の浸潤を特徴とした。
【0047】
図3は、MG1363〔pT1MIL10〕を用いた炎症性マウスの処置後の結腸長の増加を明らかに示すが、MG1363〔pT1TR5AH〕でのマウスの処理後はより少ない程度であった。
【0048】
図4及び5は、MG1363(pT1MIL10)で処置したマウスにおける慢性腸炎の回復の開始は、MG1363〔pT1TR5AH〕で処置したマウスに比べてより大幅に改善したように見えた。
【0049】
共に上記で記載しているとおりに測定した、図5が炎症性浸潤を示すのに対し、図4は、上皮損傷の組織学的スコアを示した。
【0050】
図6は、炎症しそして処置した組織に比べた、正常組織の組織像を示した。
【0051】
正常組織像においては、等しい長さの陰窩の連続配列を認めることができた。陰窩においては、多くの杯細胞を認めることができた。少ない数のリンパ球が粘膜に存在した。粘膜下組織には、リンパ球は全く存在しなかった。炎症組織においては、長さの相違から構造の全くの不在までにおよぶ、組織化された陰窩構造の消失を認めることができた。また、陰窩の残存物においては、杯細胞は全く存在しなかった。リンパ球の大量の浸潤によって、粘膜の厚さの大幅な増加を観察することができた。リンパ球は、潰瘍を形成する傾向にある。重篤な場合には、リンパ球の浸潤は、粘膜下組織においても観察することができた。しかし、上皮は、無傷なままであった。MG1363(pTREX1)を用いる処置の陰性コントロールは、ひどく炎症した組織の病理を連想させる病理を示した。MG1363(pT1MIL10)で処置したマウスは、正常組織像のほぼ完全な回復を示し、粘膜における炎症性リンパ球のごく僅かの残留物を明らかにした。MG1363〔pT1TR5AH〕で処置したマウスは、中程度の病理を示した。
【0052】
図7は、記載したL.lactic菌株で処置した後に各マウスから得た組織学的スコアの統計学的評価を示す(群サイズ=10)。スコアは、記載したように遠位結腸のスライドのブラインド観察後に記録した(Kojouharoff et al., 1997)。各マウスを、結腸の外周上の等間隔の3個の縦方向のスライドによって判断した。リンパ様浸潤及び上皮損傷の両者を、0〜4点に評価し、そして両パラメーターの値を全マウスについて合計した。正常ブランクマウスは、1ポイントの組織学的スコアを示した。大腸炎を誘導したマウスは、5ポイントを僅かに超えた。L. lactisに対する全コントロール群は、場合によりいくつかの群では僅かに高い傾向でもって、この数字周辺を変動した。しかし、mIL−10産生性L. lactisで14日間処置し、続いて14日間回復させたマウスは、平均で約3ポイントを示した。これは、無処理群とブランクコントロール群との間の差に対して測定したときの病理のほぼ50%の減少である。この減少は、有意である(p=0.0151)。
【0053】
実施例3
用いた培養条件のために、mIL−10の微量(40ng)が、接種懸濁液の上清中に存在した。このIL−10が組織学的スコアの認められた減少を引き起こしたかどうかを研究するために、我々は、UVで殺したIL−10産生株を用いる処置を包含した。この培養を、接種の直前にUV照射した。図8は、照射が細菌の生存度を106cfu中1個未満に減少させ、更なるIL−10の蓄積は全く認められなかった。これはOD600における低下が全くなく、そしてIL−10前駆物質が培養上清中に全く検出されなかったことから、細胞溶解とは関連がない。照射は、IL−10生理活性に影響しなかった。UVで殺した培養で2又は4週間処置した罹患したマウスは、全腸炎陽性である任意のコントロール群と比べたとき、結腸組織像の差は全く示さなかった。接種培地中の残留IL−10の運命は、胃及び十二指腸内での変性及び分解と思われる。前のpH1.5である胃の酸性度は、接種直後pH6に上昇した。5分間後pHが4に達し、更に接種後30及び60分間の間の間隔で3.5〜2.5に低下した。接種後5分間の胃内で検出されたIL−10は、その濃度が急速に減少し、そして接種後30分間で十二指腸内で痕跡量しか見出されなかった。より遅い時点では、ここ又は空腸若しくは回腸においても全く検出されなかった。
【0054】
実施例4
1時間の間隔に関する、MG1363(pT1MIL10)の3.4・109cfuの7系列の接種を129Sv/Ev IL−10−/−マウスに与えた。腸を最後の接種の30分間後に調製し、次いで形態的区画に分けた。直ちに、祖々期をPBSとBSA及び0.05%NaN3中でホモジナイズした。MG1363(pT1MIL10)の測定したcfuは、胃内で7・106、十二指腸内で2.6・108、空腸内で2.8・107、回腸内で4・108、盲腸内で8.4・108、及び結腸内で7・108であった。われわれは結腸ホモジネート中で可溶性IL−10の70ngを検出した。上流区画は、あらゆるIL−10含有物を全く示さなかった。したがって、リコンビナントL.latisは結腸内でIL−10を活性的に産生することができると結論される。
【0055】
実施例5
IL10−/−マウス中の全腸炎の予防
上記方法の129Sv/Ev IL10−/−マウスにおける大腸炎の発生を要望する能力をテストした。このマウスは、3〜8週齢の枠内で全身性全腸炎を自然発生する(Kuhn et al., Cell, 1993;75:263-274)。炎症性の変化は、3週齢の突然変異体の盲腸、上行結腸及び横行結腸で最初に現れた。老化IL10−/−マウスにおける進行性疾患は、中程度の上皮性過形成と杯細胞の僅かなムチン欠乏を伴う単核細胞及び好中球からなる多巣性の炎症性細胞浸潤の増加した数によって特徴づけられる。小上皮性侵食及び陰窩膿瘍が、時々存在し、炎症がまれに粘膜下組織に生じた。我々の研究に用いたIL10−/−マウスは、我々の動物施設の「コンベンショナル」条件よりもむしろ「クリーン」条件のために、記載したようにより軽い重篤炎症が見られた。
このマウスを抗IFNγ又は抗IL−12のいずれかで第3週から6〜8週間
処置したとき、大腸炎を予防することができた(Rennick et al., J-Leukoc-Biol., 1997 Apr; 61(4):389-396)。我々は、IL−10産生性L.lactisで毎日胃内接種によって3週齢マウスを処置した。マウスを対数期中期又は対数期末期のいずれかの培養で4週間処置し、無処置群は、同条件下の状態にしておいた。図7は、盲腸を検査しなかったことを除いて、記載したとおりに得られた組織学的スコアを示す(Berg et al., J-Clin-Invest; 1996, Aug 15;98(4):1010-1020)。無処理マウスは、平均約4.5ポイントの組織学的スコアを示した。これは、この値における盲腸スコアの分布及び僅かな年齢差を考慮すれば、報告されたデータとよく一致する。MG1363(pT1MIL10)は、3週齢マウスについて報告されている値を僅かに超えるだけである、平均1.5ポイントの組織学的スコアを示した(Berg et al., J-Clin-Invest; 1996, Aug 15;98(4):1010-1020)。0〜4ポイントに及ぶ3個の値の合計であることから、極めて低いスコアと考えられる。このデータから、大腸炎の発生は、この処置によって予防することができることは明らかである。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性腸疾患を処置するための医薬の調製のためのサイトカイン産生性グラム陽性菌株又はサイトカインアンタゴニスト産生性グラム陽性菌株の使用。
【請求項2】
サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストが、IL−10、可溶性TNFレセプター若しくは別のTNFアンタゴニスト、IL−12アンタゴニスト、インターフェロンγアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト又はEBV BCRF1のようなウイルスコード化サイトカイン類似物である、請求項1記載のグラム陽性菌株の使用。
【請求項3】
グラム陽性菌株が、ラクトコッカス属である、請求項1又は2記載のグラム陽性菌株の使用。
【請求項4】
ラクトコッカス属が、ラクトコッカス・ラクチスである、請求項3記載のグラム陽性菌株の使用。
【請求項5】
グラム陽性菌株が、バチルス・ズブチルス、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、スタフィロコッカス・キシローサス又はラクトバチルス種である、請求項1又は2記載のグラム陽性菌株の使用。
【請求項6】
腸疾患が、慢性大腸炎、クローン病又は潰瘍性大腸炎である、請求項1〜5いずれか1項記載のグラム陽性菌株の使用。

【図1a】
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【図1b−1】
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【図1b−2】
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【図1b−3】
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【図1b−4】
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【図1c−1】
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【図1c−2】
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【図1c−3】
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【図1c−4】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−222364(P2010−222364A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−120173(P2010−120173)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【分割の表示】特願2000−577196(P2000−577196)の分割
【原出願日】平成11年10月6日(1999.10.6)
【出願人】(301034267)フラームス・インテルウニフェルシタイル・インステイチュート・フォール・ビオテヒノロヒー・ヴェーゼットウェー(ヴェーイーベー・ヴェーゼットウェー) (10)
【氏名又は名称原語表記】VLAAMS INTERUNIVERSITAIR INSTITUUT VOOR BIOTECHNOLOGIE VZW(VIB VZW)
【Fターム(参考)】