説明

大腸疾患用胆汁製剤

本発明は、大腸癌及び/又は大腸腺腫性ポリポーシス(APC)の少なくとも1つの症状を治療又は軽減する方法及び組成物に関する。例えば、本発明の方法及び組成物のいくつかの実施形態は、大腸腺腫の再発を減少させ、かつ/あるいは大腸癌及び/又はAPCになった患者の寿命を延長することができる。本発明のいくつかの実施形態は、大腸癌及び/又はAPCになった患者の全体重を維持することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、胆汁酸組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記胆汁酸組成物は、沈殿物や粒子がない又は実質的にない水溶液を含む。前記水溶液は、(1)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び/又は7−ケトリトコール酸と、(2)炭水化物と、(3)水とをさらに含んでよい。水性組成物はアルカリをさらに含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腸疾患の1つ以上の症状を軽減するのに用いることのできる方法及び1種以上の胆汁酸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸癌(CRC:colorectal cancer)は、胃腸管癌のうち、今日世界で最も一般的な形態の1つであり、世界で最も高い癌に関連する死亡原因となっている。アジア・太平洋地域において、大腸癌は最も早くに挙げられる胃腸管癌である。大腸癌は、全世界的に3番目に多い癌であり、米国では男性と女性の癌死亡の2番目の原因である。結腸癌と直腸癌は開発途上国ではまれであるが、豊かな社会では2番目に多い疾患である。世界的に年間940,000件発生しており、この疾患による死亡者数は毎年約500,000名に達する。米国癌協会(The American Cancer Society)は、米国の場合、2006年度に結腸癌患者は約106,680名、直腸癌患者は約41,930名が新たに発生すると推算した。また、この2つの癌を合わせて約55,170名が死亡するものと考えられる。この疾患は死亡率と罹患率が非常に高く、広く蔓延した疾患である。2004年には、世界的にこの疾患に関連して1,000,000名以上の新しい患者と500,000名の死亡者が出ると予測された。
【0003】
大腸癌が進む前に初期段階で治療された対象の場合、5年相対生存率は90%を超える。しかし、大腸癌の早期発見率は39%にすぎない。一旦大腸癌が隣接する臓器やリンパ節に転移すると、5年相対生存率は下落し、大腸癌が遠く離れた臓器(例えば、肝臓や肺)に転移した場合、前記5年生存率は10%未満である。
【0004】
CRCの癌性障害を内視鏡検査により予防することが有望ではあるが、コストが高く、ハイリスク群を同定することも難しい。CRCのハイリスク群と平均リスク群の2つの群の両方を検査することも経済的な面や論理的な面で限界がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、大腸癌の治療及び/又は大腸癌の1つ以上の症状の軽減のための方法及び組成物が必要とされている。
【0006】
本発明は、大腸癌及び/又は大腸腺腫性ポリポーシス(APC:adenomatous polyposis coli)の少なくとも1つの症状を軽減又は治療する方法及び組成物に関する。例えば、本発明のいくつかの実施形態の方法及び組成物を利用することにより、大腸癌及び/又はAPCになった対象の大腸腺腫の再発を減少させ、かつ/又は寿命を延長することができる。本発明のいくつかの実施形態は、大腸癌及び/又はAPCになった対象の全体重を維持することを含む。本発明の方法は、対象に胆汁酸組成物を投与することを含む。胆汁酸組成物は、いくつかの実施形態において、沈殿物や粒子がない又は実質的にない水溶液を含む。水溶液は、(1)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び/又は7−ケトリトコール酸と、(2)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、(3)水とを含むものであってもよい。この水溶液は、アルカリをさらに含むことができる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、対象において大腸腺腫性ポリポーシスから大腸を保護する方法は、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を対象に投与することを含むことができる。
【0008】
本発明は、いくつかの実施形態においては、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、(c)水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、大腸腺腫性ポリポーシス及び/又は大腸癌になったか、又は大腸癌になる危険性がある対象に投与することを含む、前記対象の寿命を延長する方法に関するものでもある。
【0009】
本発明は、いくつかの実施形態においては、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を対象に投与することを含む、前記対象の全体重を維持する方法に関するものでもある。
【0010】
また、本発明のいくつかの実施形態によれば、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、大腸腺腫性ポリポーシスを有するか、又は大腸腺腫性ポリポーシスを有する恐れがある対象に投与することを含む、大腸腺腫性ポリポーシスの1つ以上の症状を治療又は軽減させる方法を提供する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を投与することを含む、対象の大腸で大腸腺腫の再発を減少させる方法に関するものである。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲(例えば、水系で得られる全てのpH値)の溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、大腸癌になったか、又は大腸癌になる危険性がある対象に投与することを含む、大腸癌の1つ以上の症状を治療又は軽減させる方法を提供する。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態による組成物は、透明なものであってもよく(すなわち、沈殿物や粒子がない又は実質的にない)、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、(b)水溶性澱粉変換産物、水溶性難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、(c)水とを含有し、前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する。水溶性澱粉変換産物対水溶性難消化性マルトデキストリンの重量比は、0〜100:100〜0(例えば、1〜99:99〜1)である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、透明なものであってもよく(すなわち、沈殿物や粒子がない又は実質的にない)、(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及びアミド結合によってアミンと接合した胆汁酸からなる群から選択される第1物質と、(b)高分子量の水溶性澱粉変換産物を含む第2物質と、(c)水とを含有し、前記第1物質と前記第2物質の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の組成物は、対象に液体(例えば、透明溶液、シロップ、ペースト、ゼリー、又は粘液)で投与することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、乾燥体又は固体で投与することもできる。
【0016】
本発明のいくつかの特定の例示実施形態は、一部では、以下の記載と添付の図面を参照することによって理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】睾丸に浮腫があって血斑(矢印)がある、AOM単独で処理された代表的なマウス(左側)、並びに睾丸が正常で血斑がない、AOMと処方物15で処理された代表的なマウス(右側)を示す図である。
【図1B】図1Aに示すAOMで処理されたマウスの血斑(矢印)を拡大した映像である。
【図2】左目が失明して腫瘍が生じた、AOM単独で処理された代表的なマウスを示す図である。
【図3A】大腸に腺腫性ポリープ(矢印)があるだけでなく、睾丸に浮腫があって血斑(矢印)がある、AOMで処理された代表的なマウスを示す図である。
【図3B】大腸に腺腫性ポリープがなく、睾丸も正常で血斑もない、AOMと処方物15で処理された代表的なマウスを示す図である。
【図4A】背中に腫瘍(矢印)がある、AOMで処理された代表的なマウスを示す図である。
【図4B】背中に腫瘍がない、AOMと処方物15で処理された代表的なマウスを示す図である。
【図5A】血斑(矢印)がある、AOMで処理された代表的なBalb/cマウスの尻尾を示す図である。
【図5B】血斑がない、AOMと処方物15で処理された代表的なBalb/cマウスの尻尾を示す図である。
【図6】処方物15が投与された又は投与されていない、AOMで処理されたマウスの生存期間を示すグラフである。
【図7】処方物15が投与された又は投与されていない、AOMで処理されたマウスの体重を示すグラフである。
【図8A】腺腫性ポリープ(矢印)がある、AOM単独で処理された代表的なマウスの切除された腸部分(左側)、並びに腺腫性ポリープがない、AOMと処方物15で処理された代表的なマウスの切除された腸部分(右側)を示す図である。
【図8B】AOM単独で処理された他の代表的なマウスの切除された腸部分を示す図である。
【0018】
発明の詳細な説明
大腸癌
結腸癌の病因は完全に解明されてはいないが、複数の因子が発癌過程を開始させる役割を果たすと考えられる。例えば、疫学調査、症例対照研究、及びコホート研究の結果などによれば、食餌脂肪と結腸癌に相関関係があることが示されている。その他に、結腸癌の発病と大便中の胆汁酸濃度の上昇にも正の相関関係があることがある。これは、食餌脂肪の摂取量が増加すると二次胆汁酸の分泌が増加するという観察結果と一致するだけでなく、このような観察結果によって一部説明できる。
【0019】
炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)関連大腸癌の発癌原因は、炎症性及び増殖性上皮から、扁平型異形成症を経て、最終的には腺癌への段階的な進行を含むことができる。IBD関連大腸癌の発癌現象は慢性炎症により促進されることがある。しかし、粘液性炎症は1つ以上のメカニズムによって結腸癌を起こすことがある。このようなメカニズムの例として、遺伝的突然変異の誘発、腺窩細胞増殖の増加、腺窩細胞代謝の変化、胆汁酸腸肝循環の変化、細菌叢の変動、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。1つ以上のこれらの現象はIBD関連大腸癌の進行を促進することがある。
【0020】
アゾキシメタン(AOM:azoxymethane)は、実験動物に大腸癌を誘発するのに用いられる前発癌物質である。デキストラン硫酸ナトリウム(DSS:dextran sulfate sodium salt)は、腸管の上皮細胞を侵食することのできる前炎症性刺激原である。これは、腸内細菌を取り込んで炎症と戦うように炎症反応を起こすことができる。例えば、雄マウスにおいて、AOM(10mg/kg体重)を1回腹腔注射した後、飲料水中の2%のDSSに1週間さらすと、管状腺腫、異形成症、及び粘膜潰瘍を伴った結腸炎と共に、結腸腺癌が効果的に発病した(発病率100%)。AOMにさらした後に2%のDSSで1週間処置するだけで十分に結腸腺癌が発病したが、これは雄ICRマウスの結腸においてDSSに強力な腫瘍促進能力があることを示唆する。
【0021】
大腸腺腫性ポリポーシス(APC)関連ポリポーシス症状には、家族性大腸腺腫症(FAP:familial adenomatous polyposis)、軽症型FAP、ガードナー症候群、及びターコット症候群が含まれる。発病率は、米国の場合、6,850名当たり1件から31,250名当たり1件と様々である。FAPは、常染色体優性遺伝性疾患であり、結腸全体にわたって数百〜数千個の腺腫性ポリープが存在することが特徴である。この症候群のある全ての患者は、平均年齢16歳(7〜36歳の範囲)で発症し、治療を受けない限り、結腸癌に発展する。35歳まで、FAPになった対象の95%にはポリープがあり、結腸切除術を受けない限り、結腸癌になることが避けられない。治療を受けていない対象において、結腸癌診断を受ける対象の平均年齢は39歳(34〜43歳の範囲)である。結腸外症状の発現は可変的に存在し、胃底部と十二指腸のポリープ、骨腫、歯の異常、網膜色素上皮の先天性肥大(CHRPE:congenital hypertrophy of the retinal pigment epithelium)、軟部組織腫瘍、デスモイド腫瘍、及びこれに関する癌がここに含まれる。軽症型FAPがあると結腸癌になる危険性が非常に高いが、一般的なFAPよりは結腸ポリープの数が少なく(平均30個)、ポリープがより近くに存在し、年を取って結腸癌診断を受けるという特徴があるので、その管理方法も実質的に異なる。ガードナー症候群は、骨腫及び軟部組織腫瘍と共に、FAPの典型的な結腸ポリポーシスを有することが特徴である。ターコット症候群においては、結腸ポリポーシスとCNS腫瘍が共に現れるが、ガードナー症候群とターコット症候群の表現型特性は、APC突然変異の位置と関連があり、一般的にFAPになった家族から発現する。
【0022】
二次胆汁酸
胆汁酸はコレステロール代謝の最も盛んな最終産物である。一次胆汁酸、すなわちコール酸(CA:cholic acid)とケノデオキシコール酸(CDCA:chenodeoxycholic acid)は、肝臓で合成されて胆汁に分泌される。一次胆汁酸は回腸で再吸収されるが、このうち数パーセントは回腸を通過して結腸に到達する。結腸で、一次胆汁酸は嫌気性細菌により代謝されて二次胆汁酸が形成される。デオキシコール酸(DCA:deoxycholic acid)とリトコール酸(LCA:lithocholic acid)をはじめとする二次胆汁酸は、大便の固形分と水分の両方から発見される。
【0023】
特定の作用メカニズムに限定されることなく、二次胆汁酸、例えばデオキシコール酸(DCA)は、大腸癌の発病機序に影響を及ぼす。例えば、二次胆汁酸は、大腸の腺窩細胞の増殖、分化、及びアポトーシスの均衡を破る。二次胆汁酸は、細胞内シグナル及び/又は遺伝子発現を変更する。例えば、DCAは、活性化タンパク質−1の活性を調節する1つ以上の経路に影響を及ぼす。
【0024】
特定の作用メカニズムに限定されることなく、胆汁酸の供給は、表面上皮細胞の剥離を増加させ、かつ/又は結腸上皮細胞の増殖活動を促進することができる。上皮細胞剥離の増加は、胆汁酸の浄化特性に起因することでもある。細胞増殖の増加は、表面上皮細胞の損失に対する2次反応であり、かつ/又は結腸上皮細胞の代謝活動に及ぼす胆汁酸の直接的な作用に起因することである。
【0025】
DCAとその他の二次胆汁酸は、結腸上皮細胞に細胞毒性的であり、細菌試験系で突然変異を起こし、異形成症と関連があり、かつ/又は抗アポトーシス特性があることがある。胆汁酸は、アゾキシメタン(AOM)を用いた実験室用発癌モデルで結腸腫瘍の進行を調節することができる。いくつかの参考文献では、1種以上の二次胆汁酸が結腸癌の補助発癌物質として関与するとしていることが明らかである。実際に、結腸癌になった人の一部は二次胆汁酸を高濃度で大便中に排出することがある。
【0026】
高脂肪食事療法中の対象は、脂肪含量の低い食事療法中の対象に比べて、胆汁の二次胆汁酸をより多く生成又は蓄積することがある。二次胆汁酸、特にデオキシコール酸(DCA)の濃度が高い場合、結腸の上皮に損傷を与え、かつ/又は発癌過程を促進することがある。結腸腺種又はポリープの形成は大腸癌より先に起こることがある。本発明の実施形態を特定の作用メカニズムに限定することなく、大便の水相中におけるDCAの濃度及びその他の胆汁酸の濃度は、大便の固相中におけるこれらの濃度に比べて、結腸癌の発生においてはるかに重要であるが、その理由は、水相中の胆汁酸が結腸の上皮細胞に接触する可能性がより大きいからである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、食餌性炭水化物には、小腸で消化及び吸収されない炭水化物が含まれる。例えば、食餌性炭水化物としては、非消化性オリゴ糖類(重合度が3〜10である炭水化物)、難消化性澱粉、及び非澱粉多糖類を挙げることができる。
【0028】
食餌性炭水化物としては、セルロース、ヘミセルロース(アラビノキシランをはじめとして様々なヘテロ多糖類からなる)、β−グルカンやペクチンなどの非澱粉多糖類を挙げることができる。難消化性澱粉は、小腸で吸収及び消化されず、少なくとも生理学的に食物繊維のように作用する、植物性食品の他の構成成分である。非消化性オリゴ糖類は、腸でビフィズス菌のように潜在的に有益な細菌の成長を促進することができる。
【0029】
大便中の総胆汁酸及び二次胆汁酸の濃度は、食餌性炭水化物を摂取した後には大きく低下する。従って、食餌性炭水化物を摂取すると、一次胆汁酸の二次胆汁酸への変換を抑制することができる。逆に、一次胆汁酸の濃度は食餌性炭水化物の摂取により影響を受けなかった。
【0030】
スクロース又は難消化性澱粉を含む食事療法をSD(Sprague Dawley)ラットに対して4週間行い、その結果を比較した。大便中の総胆汁酸の量は、スクロース食事療法を行ったラットに比べて、難消化性澱粉を摂取したラットのほうがはるかに低いことが観察された。これは、少なくとも部分的には、デオキシコール酸、α−ムリコール酸、及びβ−ムリコール酸のレベルが減少したことに起因する。その他、大便のpH値と盲腸のpH値は、スクロース食事療法を行ったラットに比べて、難消化性澱粉を摂取したラットのほうがはるかに低いことが観察された。結腸粘膜の増殖は、スクロース食事療法を行ったラットに比べて、難消化性澱粉を摂取したラットのほうがはるかに低いことが観察された。このような減少は結腸陰窩の中位部及び上位部で著しかった。例えば、結腸陰窩の上位部における標識細胞の百分率として表した粘膜増殖は、大便中におけるデオキシコール酸、リトコール酸、α−ムリコール酸、β−ムリコール酸、コール酸、及び総胆汁酸の濃度と正の相関関係があった。難消化性澱粉の消費は、細胞毒性のある二次胆汁酸の形成の減少の結果、結腸粘膜の増殖を減少させることができる。細胞毒性のある二次胆汁酸の形成の減少は、短鎖脂肪酸の生成による大腸の酸性化により媒介される。
【0031】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)
大腸癌の発生は、例えば確認可能な前駆病変、すなわち腺腫性ポリープを発生させ得る分子的変形及び細胞的変形を含む多段階過程である。正常粘膜から腺腫及びその後続の癌腫への転移は長期間にわたって起こることがあり、このとき予防的な介入機会が与えられる。例えば、ニメスリドをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、結腸の腫瘍形成と結腸炎の両方を抑制した。シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の発現の増加と結腸の発癌及び/又は炎症間の相関関係は、NSAIDの1つ以上の化学的予防効果が少なくとも部分的にはCOX抑制により媒介されることを示唆している。従って、1種以上のNSAID及び選択的なCOX−2抑制剤は、CRCの発病率とそれによる死亡率を減少させることができる。
【0032】
しかし、NSAIDを長期間使用した場合、実際に胃腸管が毒性にさらされ、これにより、IBD患者の症状が悪化することがある。NSAID関連の胃腸管損傷は、依然として深刻であり、かつ臨床学的に重要な問題として残っている。NSAIDの使用に関する胃腸管の副作用は頻繁に起こる。NSAIDを使用する患者の50%に達する対象においてNSAID関連の異形成症が起こり、胸焼け、吐き気、嘔吐、及び腹痛も観察される。ところが、これより重要なことは、NSAIDの使用、胃腸管粘膜損傷、及びこれに関連する合併症間の関連性である。非選択的なNSAIDが投与された患者の最大100%で上皮下出血が生じ、約50%ではびらん(胃腸管粘膜に生じる小さくて浅いはがれ)が生じ、20%以上では潰瘍(筋肉粘膜から広がる損傷)が生じる。
【0033】
NSAIDを規則的に使用すると、人間の場合、大腸癌(CRC)の発病率は30%〜50%まで減少する。また、NSAIDは、単独で使用した場合、及び/又は通常の治療戦略と組み合わせて使用した場合、1種以上の化学療法的特性を示すこともある。例えば、スリンダクはFAP患者においてポリープを退化させる結果をもたらす。伝統的なNSAID(例えば、アスピリン、ニメスリド、及びスリンダク)は、プロスタグランジン(PG)の生合成において核心的な酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COXs)を抑制することにより、その化学予防的作用の一部を発揮することができる。COXには、少なくとも2つのイソ型、すなわちCOX−1とCOX−2がある。COX−1は、ほとんどの組織で絶えず発現し、正常組織の恒常性を担うのに対し、COX−2は、ほとんどの正常組織では検出されないが、1種以上のサイトカイン及び/又はマイトジェンにより誘導することができる。また、COX−2は、CRC及びその有意なサブセットの腺腫において80%〜90%に増加することができる(これらの大きさに左右される)。伝統的なNSAIDによるCOX−1の抑制は、胃出血などの副作用の原因となるのに対し、COX−2の抑制は、NSAIDの化学予防的な役割を果たせる。COX−2選択的NSAID(例えば、ロフェコキシブ及びセレコキシブ)を投与すると、COX−1の抑制に関する上部胃腸疾患の発病率及び/又は重症度を減少させることができる。それだけでなく、COX−2選択的NSAIDは、伝統的なNSAIDの様々な抗新生物特性を有する。例えば、COX−2選択的抑制剤であるセレコキシブは、FAP患者において、全体的な大腸ポリープの数、大きさ、及びこれによる負担を減少させる。
【0034】
ウルソデオキシコール酸(UDCA:ursodeoxycholic acid)
三次胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(UDCA)には、DCAとは異なる1つ以上の生物学的活性がある。いくつかの実施形態において、UDCAの生物学的活性はDCAの生物学的活性とは正反対でもよい。例えば、経口投与されたUDCAは大便の水相中のDCAの量を減少させることができる。UDCAは、例えばマイトジェンにより活性化するタンパク質キナーゼ経路のように、DCAにより活性化する経路も1つ以上抑制することができる。それだけでなく、UDCAは、結腸癌の発生及び/又は核心的な細胞増殖信号形質導入経路を遮断、軽減、又は防止することができる。
【0035】
例えば、32週齢のラットを用いた研究において、UDCAを毎日240mg/kg投与したところ(体表面積を基準として人間に対する最大推奨量の2.6倍である1,440mg/m2)、AOMの結腸癌発癌効果が抑制された。また、UDCA処理法は、(1)原発性胆汁性肝硬変症患者における大腸新生物の発生減少、(2)原発性硬化性胆管炎患者における大腸新生物の有病率減少、並びに(3)潰瘍性大腸炎及び原発性硬化性胆管炎(PSC:primary sclerosing cholangitis)患者における重症の結腸粘膜異形成症の根絶に関連するものである。いくつかの実施形態においては、UDCAの化学的保護効果は、その投与開始から数カ月(例えば、少なくとも1カ月)又は数年(例えば、少なくとも1年)後に現れ始める。例えば、UDCAを毎日体重1kg当たり13〜15mgずつ12年間投与した場合、潰瘍性大腸炎及び原発性硬化性胆管炎患者において、大腸新生物が統計的に有意な程度に減少したことと関連があることが観察された。この場合、UDCAの化学的予防効果は前記介入の6年後に現れ始めた。
【0036】
一研究において、UDCAを投与した場合、散発性大腸腺腫の全体的な再発率が減少することが観察されたが、その差が統計学的に有意な程度であるかは明らかでない。観察期間をさらに増やし、かつ/又はUDCAの用量を増加させた場合、これよりよい効果を示すことができる。この研究において、UDCA投与に関連して、高度な異形成症を伴う腺腫の再発率が減少したことが観察されたが、これは統計学的に有意であった。
【0037】
家族性大腸ポリポーシスに対するAPC突然変異Minマウスモデルにおける対照処理群に比べて、UDCA処理群は、用量依存的に腸全体にわたって腫瘍を減少させた。家族性大腸ポリポーシスの治療に効果のあるUDCAとスリンダクを併用して治療した場合、これら腫瘍を予防するためにいずれか一方を単独で使用した場合よりも、腸全体にわたって腫瘍予防効果が優れていた。従って、UDCAは、このまれな遺伝性疾患になった患者の治療に有用な薬剤でもある。体重増加の差はなかったが、ウルソデオキシコール酸単独で治療したマウスにおいてはある程度の死亡率が観察された(500ppmでは7/8生存、1500ppmでは6/8生存)。ウルソデオキシコール酸とスリンダクを併用して治療した群においては、8匹のマウスのうち8匹が生存し、1500ppmのウルソデオキシコール酸塩及びスリンダクを併用して治療した群においては、8匹のうち7匹が生存した。UDCAとスリンダク(NSAID)を毎日約50〜7500mg投与すると、大腸腺腫の再発を防止できるであろう。
【0038】
UDCAは熊胆の主成分である。UDCAは、1つ以上の肝疾患タイプに対して肝臓を治療及び/又は保護することのできる薬剤として有用である。本発明のいくつかの実施形態において、胆汁酸(例えば、UDCA)は、X線透過性胆石の溶解、並びに/又は原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、妊娠性肝内胆汁鬱滞、嚢胞性線維症関連の肝疾患、いくつかの小児肝疾患、及び肝臓の慢性移植片対宿主病からなる群から選択される胆汁鬱滞疾患の治療に利用することができる。
【0039】
UDCAの薬理作用としては、(1)UDCAによる毒性胆汁酸の置換及び/又は変位、(2)細胞保護作用、(3)細胞膜の安定化/保護、(4)抗アポトーシス作用、(5)細胞内グルココルチコイド受容体の活性化による免疫調節作用、(6)一酸化窒素合成酵素の誘発阻害及びNF−kBの抑制による抗炎症作用、(7)胆汁分泌刺激、(8)エキソサイトーシス刺激、(9)小管膜トランスポータの挿入、並びに(10)抗酸化作用を挙げることができ、このような作用は用量依存的である。
【0040】
経口投与後、UDCAの約30〜60%は、非イオン性受動拡散により、空腸及び回腸の全長に沿って吸収される。UDCAは、能動輸送機構によって回腸で吸収され、少量(例えば、摂取量の20%)は結腸で吸収される。健康な志願者に14Cトレーサで標識した500mgのUDCAを投与したところ、用量の30〜44%は大便中に固体UDCAとして分泌されたが、これは、UDCAの極めて遅くて不完全な溶解度及び不溶性に起因する。
【0041】
一旦肝細胞により吸収されると、UDCAは、例えばTUDCA(tauro-conjugated UDCA)及びGUDCAに接合し、かつ/又は肝初回通過クリアランスにより胆汁に排出される。その結果、体循環におけるUDCAの血中濃度は極めて低い。胆汁酸は大規模な肝再循環を受けることもあり、遊離UDCAは肝細胞により胆汁中に分泌されることもある。胆汁中に分泌されるUDCAは、胆管細胞により能動的かつ効率的に再吸収される。UDCA及びGUDCAは能動及び受動輸送機構の両方により吸収されるのに対し、TUDCAは回腸末端部で能動的に輸送される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態においては、ある処方物を投与して、ヘリコバクターピロリ感染及びC型肝炎感染を治療及び/又は根絶させる。本発明のいくつかの実施形態においては、UDCAを投与して、肝及び腸の急性又は慢性炎症性疾患を効率的に治療することができる。炎症性疾患としては、PBC、PSC、及び腸疾患が挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態においては、UDCAの投与により肝の癌発生率が著しく低下した。本発明のいくつかの実施形態においては、高コレステロール血症を治療するためにUDCAを投与する。
【0043】
いくつかの実施形態において、UDCAは、pH 1〜pH 8で実質的に不溶性であり、上部胃腸管で不飽和型受動吸収により不完全に吸収され、回腸遠位部で能動的に吸収される。UDCAは、腸内細菌により部分的に代謝されてリトコール酸となり、これは肝に循環し、硫酸化及びコンジュゲーションを経て、腎臓を経由して主に排出される。吸収されたUDCAは、肝でグリジン及びタウリンと接合した後で腸肝循環する。腸肝循環する胆汁酸は肝細胞により非常に一定かつ効果的に排出される。
【0044】
いくつかの実施形態において、胃と結腸をはじめとする消化管中のpHは、UDCAの可溶化に有利でないことがある。十二指腸−空腸−回腸での極めて遅い可溶化は経時的に長期の吸収を起こし、これにより、UDCAの血中濃度は極めて低くなることがある。一般に、胃腸と空腸で溶解する薬物の場合、その血中のTmax及びCmaxは受動的な空腸吸収に左右される。従って、胃腸管の内容物中でその溶解性が低いUDCAの場合、可溶化したUDCAの十二指腸による早期吸収に続き、徐々に可溶化したUDCAの固形の回腸吸収がさらに起こることがある。
【0045】
いくつかの実施形態において、UDCAは空腸の内容物中では完全に溶解しないが、この薬物の可変的な割合は固形でもよい。この割合はUDCAの初期摂取量に関連するものではない。胃液−空腸液中でのUDCAの可溶化は、例えば空腹時のpHをはじめとする生理的条件によって変化する。UDCAは酸性pHでは実質的に溶解しない。実際に、UDCAは弱アルカリ環境(pH8程度)で沈殿する。
【0046】
いくつかの実施形態において、UDCAは、溶液状態で存在し、結腸の上皮と直接接触して、腺腫が再発しないように大腸を保護することができる。従って、大便中の溶液状態ではない胆汁酸部分は治療的意義がほとんどない。これにより、大部分大便で不活性の不溶性固体状態で存在する、大便中に入っている総胆汁酸よりも、大便中の活性水溶性胆汁酸分画を測定することがさらに重要である。胆汁酸は、細胞輸送を調節し、細胞内のCa2+濃度を変更し、かつ/又は細胞表面受容体を活性化させる、細胞内シグナル伝達物質の作用をすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、水溶液中でのUDCAの溶解度は約0.02g/l〜60g/lである。本発明のいくつかの実施形態によれば、UDCAの溶解度は、市販のUDCAの溶解度よりも約3,000倍高い(例えば、0.15mol対0.05mmol)。UDCAの溶解度は、TUDCAの溶解度よりも約300倍高い。デオキシコール酸(DCA)の溶解度は0.24g/lである。DCAはUDCAよりも約70倍溶解しやすい。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明の剤形(例えば、経口、非経口)は、例えば500mgのUDCAを含有する。この剤形は、既存の市販のUDCA形状よりも約8倍高いCmax、及び/又は既存の市販のUDCA形状よりも約4〜6倍速いTmaxを有することができる。このように、Tmaxが速くCmaxが高いということは、溶解したUDCAが上部胃腸から非常に効率的に吸収されることを意味する。吸収された溶解したUDCAは胃粘膜を通過することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の剤形(例えば、経口、非経口)は、例えば650mgのUDCAを含有する。この剤形は、既存の市販のUDCA形状よりも約5倍高いCmax、及び/又は既存の市販のUDCA形状よりも約1.4倍速いTmaxを有することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の溶液粘度は、臓器(例えば、胃腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸、及び/又は血液)内滞留時間に影響を及ぼし、溶解したUDCAの臓器への運搬に影響を及ぼす。溶解したUDCAは、例えば胃腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、及び直腸の細胞膜を通過することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の溶液は、UDCAの水溶度の有意な向上、膜透過性の向上、及びUDCAからCDCAへのエピマー化の防止を示す。
【0052】
いくつかの実施形態においては、1日10〜12mg/kgを超えるUDCA用量は、胆汁中のその割合を増加させることはできない。本発明の実施形態を限定することなく、これが発生すると、(1)UDCAが腸内細菌により7−ケトリトコール酸を介してCDCAに生体内変換し、かつ/又は(2)UDCAが7−β−ヒドロキシル基のエピマー化によりCDCAに変換し、さらにリトコール酸(LCA)に変換することができるからであろう。従って、UDCAの用量の増加に伴って、UDCAの吸収は減少する。
【0053】
いくつかの実施形態において、UDCA組成物は、あらゆるpHにおいて溶液状態を維持する、水に溶解するUDCAを含む。例えば、本発明の組成物は、あらゆるpHにおいて沈殿物や粒子がないか実質的にない。
【0054】
本発明の組成物は、可溶性澱粉及び/又は可溶性食餌性炭水化物を含有してもよい。特定の実施形態に限定されることなく、腸内にUDCA、可溶性澱粉、及び可溶性食餌性炭水化物が共存する場合、UDCAが大腸癌を促進すると推定されてきた疎水性胆汁酸に生体内変換することを減少又は予防することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、可溶化したUDCAの胃腸内滞留時間を延長し、かつ/又は大腸をはじめとする胃腸管全体の上皮にUDCAが到達することを可能にする。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、非消化性オリゴ糖類(重合度3〜10の炭水化物)、難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)、グアーガム、ローカストビーンガム、及びオオバコ繊維、並びに非澱粉性多糖類からなる群から選択され、小腸で消化及び吸収されない食餌性炭水化物を含有してもよい。このような食餌性炭水化物を含有する組成物は、大便中の総胆汁酸及び二次胆汁酸の濃度を低下させることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、食餌性炭水化物を含むことができる。食餌性炭水化物としては、グアーガム、ペクチン、オオバコ、オートガム、大豆繊維、オーツブラン、コーンブラン、セルロース、小麦ブラン、及び難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0057】
いくつかの実施形態において、UDCAの水溶性塩は経口経路で投与することができ、このUDCA塩は胃腸の酸性雰囲気でプロトン化すると共に沈殿する。沈殿したUDCAは腸を経由して結腸に到達することができる。沈殿したプロトン化したUDCAは、結腸では溶解しないこともある(例えば、非常に不溶性である)。いくつかの実施形態において、プロトン化したUDCAは、腺腫の再発から大腸を効率的に保護するために、溶解に比較的高いpH(例えば、pH=8.7)を利用するか、又は必要とする。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明の胆汁酸組成物は、既存の市販UDCA形状の1つ以上の望ましくない特性を有しない。また、本発明の胆汁酸組成物は、いくつかの実施形態では、いかなる沈殿も伴わずに大腸病変に接触し、結腸において局所作用薬として機能することができる。本発明のいくつかの実施形態による胆汁酸の剤形は、経口及び/又は非経口投与に適合又は適応することができる。いくつかの実施形態では、本発明の胆汁酸組成物は、UDCAの完全分子、水溶性澱粉変換産物(例えば、澱粉の加水分解により得られる生成物)、及び小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態による胆汁酸組成物は、可溶化胆汁酸を水中に含むことができるが、水中では胆汁酸はあらゆるpHにおいていかなる沈殿も伴わずに水溶液として残留する。
【0059】
いくつかの実施形態において、胆汁酸組成物は、沈殿又は粒子がない又は実質的にない(例えば、目視検査及び/又は光散乱による場合)。沈殿物や粒子がない組成物は、例えば、胆汁酸を塩基性溶液に添加して溶解するまで混合し、水溶性澱粉変換産物を添加することにより製造することができる。塩基性溶液には、任意の一般的な塩基が含まれる。一般的な塩基としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムが挙げられるが、これに限定されるものではない。胆汁酸に対する塩基の割合は、約0.5〜20、約0.5〜15、約0.5〜10、約0.5〜5、約0.5〜1.5、約0.6〜1.3、及び/又は約1.0〜1.3である。
【0060】
いくつかの実施形態において、この方法は、NSAID、アルコール、及び/又は刺激性薬物により起こった病変を、薬学的有効量の溶解したUDCAと接触させることを含む。接触する病変は胃腸管内に位置し、かつ/又は体循環系中に位置する。また、この方法は、対象に本発明の組成物を投与することをさらに含むことができる。
【0061】
鎮痛、解熱、及び/又は消炎効果を有する薬物である非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、主に急性出血性びらんなどの胃腸管粘膜損傷の形態で発現する胃腸毒性と関連する。また、小腸及び/又は結腸にも損傷を与えることがある。
【0062】
本発明は、(i)1種以上の可溶性胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、(ii)水、並びに(iii)所定のpH範囲内のいかなるpHでも沈殿物を形成しない溶液を生成するのに十分な量の、1種以上の水溶性澱粉変換産物及び水溶性食餌性炭水化物を含む水溶液に関する。この組成物は、それ自体が薬学的有効性を有する胆汁酸又は胆汁酸塩を含有してもよい。また、本発明のいくつかの実施形態において、本発明の組成物は、不完全に溶解する非胆汁酸薬物を含有してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の胆汁酸及び炭水化物が、溶液内で酸性からアルカリ性までのあらゆるpHにおいて沈殿を伴わずに維持するという利点がある。これらの胆汁酸水溶液系は、沈殿物や粒子を全く又は実質的に有しない。本発明のいくつかの実施形態によるさらなる利点は、前記水溶液系が、強酸又は強アルカリの添加後に、50℃での保存の加速条件下での数カ月(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12カ月)後の観察でも、透明度、色、又は匂いの変化など、物理的外観に変化を示さないことである。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、胆汁酸水溶液系は、経口投与されて酸性の胃液にさらされたり、アルカリ性の胃腸管の液にさらされた場合でも、胆汁酸が沈殿を伴わずに胃腸管に到達する。これらの可溶化胆汁酸処方物は、可溶化胆汁酸と腸との直接的接触によって効果的に吸収される。吸収後、可溶化胆汁酸は腸肝循環を受ける。1種以上の胆汁酸を、治療効果のある薬剤として、薬剤のアジュバントとして、薬剤の担体として、あるいは薬剤溶解度のエンハンサーとして、これらの水溶液系に溶解することができる。本発明の組成物は、いくつかの実施形態において、経口服用剤、口腔清浄剤、うがい剤、点鼻剤、点耳剤、注射剤、膣洗浄剤、浣腸剤、局所皮膚製剤、その他の局所製剤、及び化粧品用に調製してもよい。
【0065】
可溶性胆汁酸は、いかなる種類の水溶性胆汁酸でもよい。胆汁酸塩は、いかなる種類の胆汁酸の水溶性塩でもよい。胆汁酸塩は、リン脂質及びコレステロールに対して、より高い可溶化能を示すため、より優れた洗浄剤である。より疎水性の胆汁塩は、生体内と試験管内の両方で、各種の膜に対してより有害である。胆汁酸の水溶性塩は、(1)胆汁酸と、(2)アルカリ又はアミンを反応させて形成することができ、ここで、前記アミンとしては、トリエンチン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族の遊離アミン;アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸;アンモニア;D−グルカミン、N−アルキルグルカミンなどのアミノ糖;コリンなどの第4級アンモニウム誘導体;ピペラジン、N−アルキルピペラジン、ピペリジン、N−アルキルピペリジン、モルホリン、N−アルキルモルホリン、ピロリジン、トリエタノールアミン、トリメタノールアミンなどの複素環アミンが含まれるが、これに限定されるものではない。本発明のいくつかの実施形態によれば、可溶性胆汁酸塩は、胆汁酸の水溶性金属塩、胆汁酸/シクロデキストリン含有化合物の水溶性金属塩、及び水溶性O−スルホン化胆汁酸の水溶性金属塩を含有してもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、可溶性胆汁酸誘導体は、対応する非誘導体化胆汁酸と同等に水溶液可溶性、あるいはそれ以上に水溶液可溶性である誘導体でよい。胆汁酸誘導体は、胆汁酸のカルボン酸基及びヒドロキシル基に、ハロゲン及びアミノ基を含むがこれらに限定されない官能基を有して形成された誘導体を含むが、これらに限定されない。可溶性胆汁酸は、HCl、リン酸、クエン酸、酢酸、アンモニア、又はアルギニンのうちの1種と結合した、遊離酸型の胆汁酸の水性製剤を含んでもよい。本発明の教示に従って使用できる胆汁酸には、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、及び胆汁酸の水溶性誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物の投与は、少なくともいくつかの既存の市販製剤よりも高い、体内での胆汁酸濃度をもたらすことができる。従って、他の処方物よりも、胆汁酸の治療可能性をより完全に達成することができる。胆汁が不完全に溶解している既存の処方物により得られる体内での胆汁酸濃度はより低くなる可能性があり、より多量の胆汁酸の投与を必要としうる。対照的に、胆汁酸が完全に又は実質的に完全に溶解している本発明の実施形態による組成物により得られる体内での胆汁酸濃度は、同等あるいはより少ない用量が投与されてもより高い。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、様々な種類の胆汁酸を単一の処方物に用いることができる。異なる疎水活性の2種以上の胆汁酸塩の混合物は、中間の疎水活性の単一胆汁酸塩として作用することができる。結果として、異なる疎水活性の2種以上の胆汁酸の混合物の洗浄特性と毒性は、多くの場合、個々の成分の中間である。
【0068】
異なる疎水活性の2種以上の胆汁酸塩の混合物は、中間の疎水活性の単一胆汁酸塩として作用することができる。結果として、異なる疎水活性の2種以上の胆汁酸の混合物の洗浄特性と毒性は、多くの場合、個々の成分の中間である。
【0069】
本発明における使用に好適な炭水化物には、小腸で消化及び吸収されない水溶性澱粉変換産物及び可溶性食餌性炭水化物が含まれる。本発明のいくつかの実施形態によれば、水溶性澱粉変換産物には、種々のpH条件下での澱粉の部分的又は不完全な加水分解によって(例えば、澱粉から直接)得られた炭水化物が含まれる。非限定的例には、マルトデキストリン、デキストリン、液体グルコース、固形コーンシロップ(液体グルコースの乾燥粉末)、及び可溶性澱粉が含まれる。いくつかの実施形態では、マルトデキストリン、液体グルコース、及び固形コーンシロップ(液体グルコースの乾燥粉末)として、例えば、アイオワ州マスカティーンのグレインプロセシングコーポレイションGPC(登録商標)製造のMALTRIN(登録商標)040(D.E.4−7)、MALTRIN(登録商標)050(D.E.4−7)、MALTRIN(登録商標)070(D.E.6−9)、MALTRIN(登録商標)0100(D.E.9−12)、MALTRIN(登録商標)150(D.E.13−17)、MALTRIN(登録商標)180(D.E.16.5−19.5)、MALTRIN(登録商標)200(D.E.20−23)、MALTRIN(登録商標)250(D.E.23−27)、MALTRIN(登録商標)440(D.E.4−7)、MALTRIN(登録商標)500(D.E.9−12)、MALTRIN(登録商標)550(D.E.13−17)、MALTRIN(登録商標)580(D.E.4−7)、MALTRIN(登録商標)M585(D.E.16.5−19.5)、MALTRIN(登録商標)600(D.E.20−23)、MALTRIN(登録商標)510(D.E.9−12)、MALTRIN(登録商標)520(D.E.9−12)、及びMALTRIN(登録商標)M700(D.E.9−12)を使用することができる。本実施形態の目的上、「固形コーンシロップ」という用語は、液体グルコースの乾燥形態である。澱粉変換産物は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの還元末端、及び/又は少なくとも1つの非還元末端を含む。澱粉変換産物がポリマー性である場合は、線状又は分岐でよい。分子量は、約100質量単位〜106質量単位以上でよい。高分子量の水溶性澱粉変換産物は、105質量単位を上回る分子量を有するものである。
【0070】
いくつかの実施形態では、その遊離末端が排除される縮合段階により形成されるシクロデキストリンは、水溶性澱粉変換産物とも、水溶性非澱粉多糖類ともみなすことができない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、シクロデキストリンを実質的に含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、シクロデキストリンを全く含有しなくてもよい。代替的に、本発明のいくつかの実施形態では、本発明の処方物は、澱粉変換産物及び/又は非澱粉多糖類に加え、シクロデキストリンを含有してもよい。
【0071】
本発明の実施形態において使用される、小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物及び/又は高分子量の水溶性澱粉変換産物の量は、選択された胆汁酸を所定の濃度及び/又はpHもしくはpH範囲で製剤中に溶解するのに必要な量又はそれ以上の量である。水溶性澱粉変換産物対可溶性食餌性炭水化物(可溶性難消化性澱粉)の割合は、重量基準で約10〜100対約90〜0である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態では、UDCA沈殿を防止するために要求される、マルトデキストリンのUDCAに対するおおよその最小重量比は、6:1(すなわち、水100mL中でUDCA0.2gに対し1.2g、UDCA1gに対し6g、UDCA2gに対し12g)でよい。本発明のいくつかの実施形態では、マルトデキストリンのおおよその最小量は、ケノデオキシコール酸200mgに対し30g、7−ケトリトコール酸200mgに対し12g、コール酸200mgに対し10g、デオキシコール酸200mgに対し50gでよい。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の水溶液剤形からの胆汁酸の沈殿を防止するために要求される、液体グルコース(市販のライトコーンシロップ)のUDCAに対するおおよその最小重量比は、約25:1(すなわち、水100mL中でUDCA500mgに対し12.5g、水200mL中でウルソデオキシコール酸1gに対し25g)でよい。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の水溶液剤形からの胆汁酸の沈殿を防止するために要求される、液体グルコースの乾燥粉末(例えばMALTRIN(登録商標)M200などの固形コーンシロップ)のおおよその最小量は、水100mL中でウルソデオキシコール酸1gに対し30g、水200mL中でウルソデオキシコール酸2gに対しおよそ60gである。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の水溶液剤形からの胆汁酸の沈殿を防止するために要求される、可溶性非澱粉多糖類のおおよその最小量は、水100mL中でウルソデオキシコール酸500mgに対しグアーガム50g、水100mL中でウルソデオキシコール酸500mgに対しペクチン80gでよい。いくつかの実施形態によれば、高分子量の水溶性澱粉変換産物及び/又は可溶性非澱粉多糖類の最小必要量は、濃度ではなく、主として溶液処方物中の胆汁酸の絶対量によって決定してよい。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態において、処方物は、小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物及び澱粉変換産物、並びに(テイストマスキングとしての)付加的なシクロデキストリンを含む。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態では、処方物には乳化剤がさらに含まれる。本発明の目的上、「乳化剤」という用語は、乳化剤と懸濁化剤とを含む。乳化剤の非限定的例には、グアーガム、ペクチン、アカシア、カラギナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、トラガカントガム、キサンタンガム、及びソルビタンエステルが含まれる。
【0075】
処方物がその胆汁酸、澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物を沈殿させない、選択されるpH範囲は、水系で得られる任意のpHレベル範囲でよい。いくつかの実施形態では、その範囲は、約pH1〜約pH14及び/又は約pH1〜約pH10でよい。いくつかの実施形態では、pH範囲は、医薬処方物が、投与方法に従って、調製から投与、体内での吸収まで、溶液状態を維持するのに十分な水系で得られるpHレベル範囲のサブセットでよい。従って組成物は、医薬化合物及び/又は胆汁酸が、口、胃、及び腸内において一般的なあらゆるpHレベルで、沈殿を伴わずに溶液状態を維持する医薬処方物として使用することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態において、溶液はpH調整剤と共に使用することができる。非限定的例には、HCl、H3PO4、H2SO4、HNO3、CH3COOH、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸塩、エイデティック酸、及びアルカリが含まれる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、酸性条件下での胆汁酸の通常の不溶性にも関わらず、胆汁酸は、酸性条件下で遊離胆汁酸として溶解した状態にある。
【0078】
溶液は、いくつかの実施形態によれば、1種以上の医薬化合物(例えば、医薬化合物は、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症剤、免疫活性剤、抗新生物剤、抗生剤、抗腫瘍剤を含む)と共に投与してよい。医薬化合物と併用しての本発明の胆汁組成物の投与は、いくつかの実施形態では、(a)医薬化合物への反応を増強させる、(b)医薬化合物の効能を向上させる、(c)医薬化合物の必要用量を減少させる、及び/又は(d)医薬化合物の毒性を低下させることができる。本発明の溶液は、投与の経路及び時間に関して、単独で投与してもよい。医薬化合物の非限定的例には、アスピリン、メチルサリチレート、ジフルニサル、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、コキシブ系セレコキシブロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ニメスリド、オキサリプラチン、ロイコボリン、イリノテカン、シメチジン、サリチル酸、2,2−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン(DPA)、パクリタキセル、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、ミコフェノール酸、タクロリムス、シロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)、アロプリノール、パロノセトロン、ドラセトロン、パミドロネート、ラスブリカーゼ、アプレピタント、アミフォスチン、ゲフィチニブ、パリフェルミン、グラニセトロン、サルグラモスチム、レボチロキシン、ドロナビノール、ペグフィルグラスチム、インターロイキン11、フィルグラスチム、オクトレオチド、シナカルセット、レボチロキシン、リオトリックス、デクスラゾキサン、オンダンセトロン、ゾレドロン酸、セレコキシブ、フェノプロフェン、ベノリレート、ファイスラミン(faislamine)、アモキシプリン(amoxiprin)、カルプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、チアプロフェン酸、メクロフェナム酸、ケトロラク、オキサプロジン、エトドラク、ナブメトン、メサラミン、バルサラジド、ベバシズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、アルデスロイキン、イブリツモマブチウキセタン、ペメトレキセド、トシツモマブ、ゲムシタビン、イマチニブ、トラスツズマブ、アルトレタミン、トポテカン、インターフェロンα−2b、プロカルバジン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ビノレルビン、ミトキサントロン、デニロイキンジフチトクス、リツキシマブ、エルロチニブ、ベキサロテン、三酸化ヒ素、ボルテゾミブ、トレチノイン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ペントスタチン、ブスルファン、テモゾロマイド、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミンHC、クロファラビン、シタラビン、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、カペシタビン、ビカルタミド、フルタミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、レトロゾール、エストラムスチン、ロイプロリド、トリプトレリンパモエート、ヒストレリン、ゴセレリン、ポルフィマー、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾール(myxothiazol)もしくはオリゴマイシンデキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾール、オリゴマイシン、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ及びエトリコキシブ、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン・ナトリウム、シンバスタチン、ロスバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチンが含まれる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、処方物は、ヒト及び哺乳類の疾患を治療する(例えば、少なくとも1つの症状を改善する)ために使用できる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、液体、固体、粉末、又は顆粒、カプセル及び錠剤として投与できるように、調製及び/又は変更してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、非経口溶液(例えば、注射溶液、溶液、シロップ、濃厚シロップ、又はペースト)、浣腸剤、ゼリー、及び粘液剤に含有されてもよい。シロップの非限定的例には、マルトデキストリンの濃度が500g/L未満のマルトデキストリン溶液が含まれる。シロップの非限定的例には、マルトデキストリンの濃度が500g/L〜1.0kg/Lのマルトデキストリン溶液が含まれる。濃厚シロップの非限定的例には、マルトデキストリンの濃度が1.0kg/L〜1.2kg/Lのマルトデキストリン溶液が含まれる。ペーストの非限定的例には、マルトデキストリンの濃度が1.2kg/Lを上回るマルトデキストリン溶液が含まれる。
【0081】
ゼリーは、構造的な粘着性(coherent)マトリクスが液体、通常は水を高比率で含むゲルの一種でもよい。これは、類似した種類のガムから製造できるという点で粘液剤と類似するが、ゼリーのような粘度を有するという点で粘液剤と異なる。ゼリーの非限定的例には、塩酸リドカインゼリーUSP及び治療的膣内ゼリーが含まれる。いくつかの実施形態では、ゼリーは増粘剤(例えば、水で膨潤する合成セルロース誘導体及び/又は水溶性多糖類)を含有してもよい。ゼリー用増粘剤の非限定的例には、アカシア、ツノマタ属(chondrus)、ゼラチン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。
【0082】
粘液剤は、濃く、粘り気があり、接着性を有する液体でもよい。粘液剤は、ガムを水に分散又は溶解するか、又は植物性物質から粘着性成分を水で抽出することにより調製することができる。粘液剤の非限定的例には、アカシア粘液剤及びトラガカント粘液剤が含まれる。ゼリーと粘液剤は、主に溶解した胆汁酸の物理的接触を最小限に抑えることにより胆汁酸の苦味を防ぐために使用される。いくつかの実施形態では、粘液剤は増粘剤(例えば、水で膨潤する合成セルロース誘導体及び/又は水溶性多糖類)を含有してもよい。増粘剤の非限定的例には、アカシア、ツノマタ属、ゼラチン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。
【0083】
本発明の投与用処方物の安定性は、可溶性胆汁酸、可溶性炭水化物(高分子量の水溶性澱粉変換産物及び食餌性炭水化物)、並びに水を含有する製剤において、多様なpH及び温度レベルで、当該の胆汁酸の濃度を経時的に測定することによって評価することができる。各胆汁酸の滞留時間(高速液体クロマトグラフィ)を必要に応じて調整することにより、例えば1つの試料に複数種の胆汁酸が含まれているような複合試料中に存在する各胆汁酸を個別に解析できるようにすることができる。安定性試験は、被検溶液の光散乱特性を評価することにより実施することもできる。さらに、実証済みの加速試験条件を使用してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、濾過せずに、1日間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、15週間、18週間、21週間、24週間、9ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、及び/又は24ヶ月間をそれぞれ超えて、実質的に沈殿や粒子のない状態を維持する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12週間後、15週間後、18週間後、21週間後、24週間後、9ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、及び/又は24ヶ月後に、約95%を超える開始胆汁濃度、約96%を超える開始胆汁濃度、約97%を超える開始胆汁濃度、約98%を超える開始胆汁濃度、及び/又は約99%を超える開始胆汁濃度を有する。
【0085】
本発明の溶液に対して実施される全ての安定性試験は、HPLCで測定された胆汁酸濃度が、各種pHレベルで、認め得る程度に経時変化しなかった点で良好であった。特に、試験を実施した全ての胆汁酸溶液処方物は、安定性試験において、試験期間にわたって沈殿及び物理的外観の変化を見せず、優秀な成績を示した。一部の処方物は、2年間にわたって安定性を保つ。本発明による水溶液剤形は、塩酸溶液において安定性かつ可溶性である治療的及び化学的活性剤を添加したにもかかわらず、加速条件下での種々のpH条件で、物理的にも化学的にも変化しなかった。従って、これらの水溶液系は、治療効果のある胆汁酸製剤、及び/又は薬物(医薬化合物)送達製剤に対して、有用な医薬剤形となりうる。かかる製剤において、胆汁酸は、種々のpH条件で、安定性問題(例えば、酸性条件での沈殿を含む)を伴わずに、薬物アジュバント、薬物、担体、又は薬物溶解度エンハンサー(例えば、ミセル形成によって)としての役割を果たすことができる。
【0086】
UDCAの乾燥形態
いくつかの実施形態では、本発明の溶液は乾燥形態又は固体でもよい。本発明の目的上、本発明による「一次」胆汁酸水溶液投与用処方物は、胆汁酸又はその塩、及び炭水化物の水との元の組み合わせにより製造する(例えば、母液)。各成分を同時に又は段階的に組み合わせることにより製造することができる。これに対し、「二次」胆汁酸水溶液投与用処方物は、予め共に溶解させた胆汁酸及び炭水化物を含有する粉末又は固体から製造した溶液である。従って、二次胆汁酸水溶液投与用処方物は、少なくとも水が添加され、除去された後に再び添加されるという点で異なる。
【0087】
いくつかの実施形態では、胆汁酸組成物は乾燥及び/又は固体形態で保存又は投与することができる。従って、本発明は、水にさらしたとき、透明な(すなわち、沈殿物や粒子がない又は実質的にない)溶液(例えば、二次溶液)を形成する胆汁酸の乾燥製剤又は固体製剤に関する。本発明の乾燥又は固体形態は、透明な(すなわち、沈殿物や粒子がない又は実質的にない)胆汁酸溶液(「母液」)から製造することができる。また、本発明は、これらの乾燥及び/又は固体形態を製造及び/又は可溶化する方法に関する。これらの乾燥又は固体処方物は、胆汁酸の生体利用率、血漿生体利用率、及び/又は吸水性の面を改善する。さらに、本発明の処方物は、1種以上の医薬化合物の生体利用率、血漿生体利用率、及び吸水性を改善する。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明の溶液(例えば、母液)は乾燥したもの又は固体でもよい。例えば、乾燥又は固体形態は、胆汁酸の溶液処方物を凍結乾燥及び/又は蒸発させることにより調製することができる。溶液を部分的に乾燥させて半固体形態に製造することもできる。また、この溶液を完全に乾燥させて固体、粉末、及び/又は顆粒を形成することもできる。水溶液の乾燥又は固体形態は、水を含有しない又は実質的に含有しない。乾燥又は固体形態は、流動法、トレイ法、噴霧法、及び/又は凍結法により乾燥させることができる。乾燥又は固体形態は、固体投与形態で直接投与することもでき、投与前に水と配合することもできる。
【0089】
本発明の組成物(例えば、乾燥又は固体形態)は、崩壊剤をさらに含有することもできる。崩壊剤は、投与後の乾燥又は固体形態の分解又は崩壊を容易にする。崩壊剤としては、澱粉、例えばビーガム(Veegum)HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、カルボキシメチルセルロース、粘土類、セルロース類、アルギン類、ガム類及び架橋ポリマー(クロスポピドン)、架橋セルロース(クロスカルメロース)及び架橋澱粉(澱粉グリコール酸ナトリウム)が挙げられる。崩壊機能は、膨潤よりむしろ毛細管作用に起因するものであってもよい。一般に、水溶性崩壊剤は、乾燥前に活性成分と混合される。非水溶性崩壊剤は、澱粉5重量%を乾燥状態で粉末混合物に添加してもよい。より急速な崩壊が要求される場合は、この添加量を10%又は15%まで増加させてもよい。2〜4%の澱粉グリコール酸ナトリウムは30秒以内に7倍〜12倍に膨張し、クロスカルメロースは10秒以内に4倍〜8倍に膨張する。
【0090】
二酸化炭素の発生は、胆汁酸組成物の溶液処方物から誘導される乾燥又は固体形態の迅速な溶解をサポートする。酒石酸やクエン酸などの酸味料と重炭酸ナトリウムとの混合物を含有する乾燥又は固体形態は、水に添加すると泡が生じる。重炭酸ナトリウムの量は、胆汁酸の量の約10倍でもよい。酸味料の量は、重炭酸ナトリウムの量より20%多くしてもよい。水での溶解が迅速かつ完全な場合に中性又は弱酸性反応を起こすために、酸を十分な量で添加する。
【0091】
本発明は、胆汁酸組成物の乾燥又は固体形態から誘導された溶液処方物の調製方法に関するものでもある。本発明の乾燥又は固体製剤の溶解において、約60℃で加熱するか又は加熱せずに高出力超音波処理を行うことができる。高出力超音波処理システムを利用して溶液処方物を調製する間、沈殿した化合物を溶液状態に戻すことができる。化合物を溶液状態に戻すために、超音波処理の時間、強度、振幅の効果を最適化することができる。本発明の透明な水溶液の形成においては、20kHzで0〜1150ワットの音響エネルギーを発生する超音波機器を用いることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、乾燥又は固体形態は、湿式顆粒化、乾式顆粒化、及び/又は流動床顆粒化により母液から調製してもよい。成分が十分な固有の結合性又は凝集性を有する場合は、乾燥顆粒化方法(スラッギング)を用いて顆粒を作ってもよい。湿式及び乾式顆粒化の一般的な段階には、称量、混合、顆粒化(スラッギング)、及びスクリーニングが含まれる。流動床顆粒化は、顆粒化溶液又は溶媒を懸濁粒子層内又は懸濁粒子層上に噴霧した後、浮遊する空気中で急速に乾燥させることにより行うことができる。このようなシステムにおいて、母液から誘導された乾燥形態の懸濁した粒子は、腸溶性ポリマーを含有する顆粒化溶液又は溶媒で被覆してもよい。腸溶性ポリマーは、pH6を上回るpHで腸溶性コーティング剤として効果的に機能するセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)を含んでもよい。腸溶性ポリマーを含有する前記顆粒形態は、胃腸内では元の状態を維持し、かつ一旦小腸と結腸に到達すると溶解して活性成分を放出する。
【0093】
ペレット形態を形成する球形化には、湿式顆粒化又は流動床顆粒化から球形粒子(球)を形成することが含まれる。直径が500ミクロン〜12ミリメートルの範囲である棒状円筒形の切片を、押出機を利用して製造してもよい。押出後、切片をマルメライザーに入れ、回転板上で遠心力と摩擦力により球形になるようにする。ペレットを乾燥させた後にコーティングする。本発明のいくつかの実施形態では、胆汁酸組成物の溶液処方物の乾燥又は固体形態は、球形化工程により製造した後、腸溶性ポリマーでコーティングしてもよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、胆汁酸投与用処方物の一次水溶液は、噴霧乾燥法により乾燥させてもよい。噴霧乾燥法は、高度に分散した液体と十分な体積の熱気を送り込み、蒸発と、液滴を乾燥させる段階とを含んでもよい。注入される液体は、ポンプ及び噴霧が可能であれば、溶液、スラリー、シロップ、又はペーストでもよい。噴霧により液体を濾過された暖気流中に注入してもよい。空気は、蒸発のための熱を供給し、乾燥産物をコレクタに搬送した後、水分と共に排出される。噴霧乾燥した粉末粒子は、均質であり、その形状がほぼ球形であり、大きさもほとんど均一であり、中空を有することが多い。中空を有するという特性により、溶液化速度が速く、かつ体積密度は低くなるという結果が得られる。この方法は、ある物質を他の物質上にコーティングすることにより、内部物質を保護したり、その放出速度を調節するのに有用である。例えば、可溶化UDCAの結腸伝達のために、胆汁酸水溶液投与用処方物の乾燥形態を腸溶性ポリマーでコーティングしてもよい。当該技術分野で知られた凍結乾燥、蒸発、又はその他の脱水技術により脱水してもよい。
【0095】
乾燥形態(例えば、粉末又は固体)は、直接投与してもよく、水と再配合して透明な二次胆汁酸水溶液投与用処方物として組成してもよい。二次胆汁酸水溶液投与用処方物、すなわち乾燥形態から調製されたこれらの処方物水溶液は、一次処方物と同一又は実質的に同一の特性を有するものであってもよい。
【0096】
本発明は、薬物などの添加物を一次及び二次胆汁酸水溶液だけでなく、乾燥又は固体形態に添加することをも含む。乾燥又は固体形態で投与する場合、1種以上の希釈剤、潤滑剤、結合剤、充填剤、薬物、崩壊剤、又はその他の添加剤と併用してもよい。従って、乾燥又は固体形態は、粉末、顆粒、丸剤、錠剤、又はカプセルとして調製してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明の乾燥又は固体製剤は、水にさらされた場合、(1)胆汁酸、その誘導体、その塩、又はそのアミンとの接合、(2)水、及び(3)選択されたpH範囲内のいかなるpHでも胆汁酸と澱粉変換産物が溶液状態を維持するのに十分な量の水溶性澱粉変換産物を含有する溶液となってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の乾燥又は固体製剤は、水にさらされた場合、(1)胆汁酸、その誘導体、その塩、又はそのアミンとの接合、(2)水、及び(3)選択されたpH範囲内のいかなるpHでも胆汁酸と多糖類が溶液状態を維持するのに十分な量の水溶性非澱粉多糖類及び水溶性澱粉変換産物を含有する溶液となってもよい。
【0098】
本発明の乾燥又は固体形態は、水にさらされた場合、難消化性マルトデキストリン、水溶性高麗人参抽出物、薬学的適正量の医薬化合物、水溶性ビスマス化合物、又はこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。溶液がこれらの物質を1種以上含有する場合、これらの物質が溶液状態を維持するように溶液組成物を調節する。
【実施例】
【0099】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の例と関連して理解されるであろう。しかしながら、記載されている特定の物質、組成物、及び結果は本発明の例示に過ぎず、開示の範囲及びその種々の実施形態を制限することを意図せず、またそのように解釈されるべきではないことを、当業者は容易に理解するであろう。
【0100】
実施例1:胆汁酸溶液−処方物60の調製
エクストラピュア等級(EP)のNaOH5.2gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA48gを添加して透明溶液Aを得た。
【0101】
食品等級(NF)のマルトデキストリン320g及び食品等級(NF)の可溶性難消化性澱粉320gをUSP製薬等級の水300mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0102】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0103】
実施例2:胆汁酸溶液−処方物25の調製
EP NaOH2.7gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA25gを添加して透明溶液Aを得た。
【0104】
NFマルトデキストリン500g及びNF可溶性難消化性澱粉150gをUSP製薬等級の水400mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0105】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0106】
実施例3:胆汁酸溶液−処方物20の調製
EP NaOH2.2gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA20gを添加して透明溶液Aを得た。
【0107】
NFマルトデキストリン500g及びNF可溶性難消化性澱粉150gをUSP製薬等級の水400mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0108】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0109】
実施例4:胆汁酸溶液−処方物15の調製
EP NaOH1.72gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA15gを添加して透明溶液Aを得た。
【0110】
NFマルトデキストリン450g及びNF可溶性難消化性澱粉200gをUSP製薬等級の水400mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0111】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0112】
実施例5:胆汁酸溶液−処方物10の調製
EP NaOH1.1gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA10gを添加して透明溶液Aを得た。
【0113】
NFマルトデキストリン300g及びNF可溶性難消化性澱粉300gをUSP製薬等級の水400mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0114】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0115】
実施例6:胆汁酸溶液−処方物5の調製
EP NaOH0.55gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA5gを添加して透明溶液Aを得た。
【0116】
NFマルトデキストリン150g及びNF可溶性難消化性澱粉150gをUSP製薬等級の水450mLに完全に溶解して透明溶液Bを調製した。
【0117】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この透明溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。食品等級の希リン酸を添加して、この最終溶液のpHを調節した(pH:6〜7.5)。必要に応じて、この最終溶液を濾過し、かつ/又は80℃〜100℃で加熱して滅菌してもよい。
【0118】
実施例7:胆汁酸を含有するゼリーの調製
エクストラピュア等級(EP)のNaOH1.72gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA15gを添加して透明溶液Aを得た。
【0119】
食品等級(NF)のマルトデキストリン450g、食品等級(NF)のヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)100g、及びNF可溶性難消化性澱粉100gをUSP製薬等級の水300mLに添加して溶液Bを調製した。
【0120】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。完全に透明な溶液を得るために、また滅菌するために、得られた前記溶液を80℃〜100℃で加熱した。
【0121】
実施例8:胆汁酸を含有するアカシア粘液剤の調製
EP NaOH1.1gをUSP製薬等級の水100mLに溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製した。次に、UDCA10gを添加して透明溶液Aを得た。
【0122】
食品等級(NF)のマルトデキストリン300g及び食品等級(NF)のアカシア(アラビアガム;増粘剤)をUSP製薬等級の水400mLに添加して溶液Bを調製した。
【0123】
溶液Aと溶液Bを撹拌混合した後、この溶液に食品等級の亜硫酸水素ナトリウムを適正量(0.3g/kg)添加した。完全に透明な溶液を得るために、また滅菌するために、得られた前記溶液を80℃〜100℃で加熱した。
【0124】
実施例9:動物実験−方法
それぞれ初期重量が23〜25gの4週齢の雄性ICRマウスを2つの実験群に分けた。10匹からなる第1群にはAOMを単独で投与し、10匹からなる第2群にはAOMと本発明の胆汁酸組成物を投与した。
【0125】
AOM群のマウスには、AOM(10mg/kg体重)を1回腹腔注射した。AOMを注射して1週間後から、AOM群のマウスに、1%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS:腫瘍形成促進剤)を含有する飲料水を7日間自由に飲めるようにし、追加処理は行わなかった。
【0126】
AOM+胆汁酸群には、マウスに処方物15(実施例4)0.1mlを1週間毎日経口投与した後、AOM(10mg/kg体重)を1回腹腔注射した。AOMを注射して1週間後から、AOM+胆汁酸群のマウスに、1%のデキストラン硫酸ナトリウムを含有する飲料水を7日間自由に飲めるようにした。この群のマウスには、このマウスが死ぬまで処方物15を毎日0.1mlずつ継続して投与した。
【0127】
実施例10:動物実験−結果
目視観察によると、AOM+胆汁酸群のマウスは、AOM群のマウスより、実験期間を通して一般に健康であった。AOM群の全てのマウスは健康そうでなかった。AOM群の全てのマウスは背中と頭に腫瘍が1つ以上あり(図4A)、AOM群のマウスのうち5匹は失明した(図2)。背中と頭部分に腫瘍があるマウスの場合、立てなかったり、走れなかったり、床で転んでばかりいるなどの正常でない行動が観察された。しかし、このような正常でない行動は、AOM+胆汁酸群のマウスにおいては1匹しか観察されなかった。
【0128】
AOM群及びAOM+胆汁酸群におけるマウスの平均体重は4週間までは増加したが、AOM群の場合、マウスの平均体重は死亡前まで顕著に減少した(図7)。AOM+胆汁酸群のマウスの平均体重は、4週間後も死亡するまで実質的に安定に維持された(図7)。
【0129】
AOM群における全てのマウスの尻尾にはいくつかの血斑があったのに対し(図5A)、AOM+胆汁酸群のマウスの尻尾には血斑が現れなかった(図5B)。
【0130】
AOM群の全ての被検マウスは体が大きく腫れて何箇所かに血斑があったが、AOM+胆汁酸群のマウスはいずれも腫れたり血斑を有したりしなかった(図1A及び1B)。
【0131】
目視検査によると、AOM処理群の全てのマウスにおいて、大腸の全領域でいくつかの腺腫性ポリープが観察されたのに対し(図3A及び図8A(左側))、AOM+胆汁酸群においてはほとんど観察されなかった(図3B及び図8B(右側))。AOM+胆汁酸群の場合、2匹に1つの腺腫性ポリープが観察されただけであった。
【0132】
AOM群の全てのマウスはAOMを注射して10週間以内に死亡した(図6)。AOM+胆汁酸群のマウスの場合、AOMを注射して10週間目には60%が生存し、14週間目には40%が生存した(図6)。それだけでなく、AOM+胆汁酸群においては、マウスの20%(2匹)が16週間経過後にも生存した(図6)。
【0133】
AOM+胆汁酸群において、6匹は3週間以内に死亡したが、これはショック死と推定される。これらのマウスを除けば、この群の生存率はより高くなる。すなわち、10週間目、14週間目、及び16週間目にそれぞれ86%、57%、及び29%となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において大腸腺腫性ポリポーシスから大腸を保護する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
大腸腺腫性ポリポーシスを有する対象の寿命を延長する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項3】
大腸腺腫性ポリポーシスを有する対象の全体重を維持する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項4】
大腸腺腫性ポリポーシスを有するか、又は大腸腺腫性ポリポーシスを有する恐れがある対象において大腸腺腫性ポリポーシスの少なくとも1つの症状を軽減又は治療する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項5】
対象の大腸において大腸腺腫の再発を減少させる方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項6】
大腸癌を有する対象の寿命を延長する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項7】
大腸癌を有する対象の全体重を維持する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項8】
大腸癌を有するか、又は大腸癌を有する恐れがある対象において大腸癌の少なくとも1つの症状を軽減又は治療する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する組成物を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項9】
前記組成物が、薬学的有効量の薬物をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、薬学的有効量の薬物をさらに含有する、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記薬物が、アスピリン、メチルサリチレート、ジフルニサル、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、コキシブ系セレコキシブロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ニメスリド、オキサリプラチン、ロイコボリン、イリノテカン、シメチジン、サリチル酸、2,2−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン(DPA)、パクリタキセル、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、ミコフェノール酸、タクロリムス、シロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)、アロプリノール、パロノセトロン、ドラセトロン、パミドロネート、ラスブリカーゼ、アプレピタント、アミフォスチン、ゲフィチニブ、パリフェルミン、グラニセトロン、サルグラモスチム、レボチロキシン、ドロナビノール、ペグフィルグラスチム、インターロイキン11、フィルグラスチム、オクトレオチド、シナカルセット、レボチロキシン、リオトリックス、デクスラゾキサン、オンダンセトロン、ゾレドロン酸、セレコキシブ、フェノプロフェン、ベノリレート、ファイスラミン、アモキシプリン、カルプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、チアプロフェン酸、メクロフェナム酸、ケトロラク、オキサプロジン、エトドラク、ナブメトン、メサラミン、バルサラジド、ベバシズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、アルデスロイキン、イブリツモマブチウキセタン、ペメトレキセド、トシツモマブ、ゲムシタビン、イマチニブ、トラスツズマブ、アルトレタミン、トポテカン、インターフェロンα−2b、プロカルバジン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ビノレルビン、ミトキサントロン、デニロイキンジフチトクス、リツキシマブ、エルロチニブ、ベキサロテン、三酸化ヒ素、ボルテゾミブ、トレチノイン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ペントスタチン、ブスルファン、テモゾロマイド、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミンHC、クロファラビン、シタラビン、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、カペシタビン、ビカルタミド、フルタミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、レトロゾール、エストラムスチン、ロイプロリド、トリプトレリンパモエート、ヒストレリン、ゴセレリン、ポルフィマー、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾールもしくはオリゴマイシンデキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾール、オリゴマイシン、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ及びエトリコキシブ、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記薬物が、アスピリン、メチルサリチレート、ジフルニサル、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、コキシブ系セレコキシブロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ニメスリド、オキサリプラチン、ロイコボリン、イリノテカン、シメチジン、サリチル酸、2,2−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン(DPA)、パクリタキセル、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、ミコフェノール酸、タクロリムス、シロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)、アロプリノール、パロノセトロン、ドラセトロン、パミドロネート、ラスブリカーゼ、アプレピタント、アミフォスチン、ゲフィチニブ、パリフェルミン、グラニセトロン、サルグラモスチム、レボチロキシン、ドロナビノール、ペグフィルグラスチム、インターロイキン11、フィルグラスチム、オクトレオチド、シナカルセット、レボチロキシン、リオトリックス、デクスラゾキサン、オンダンセトロン、ゾレドロン酸、セレコキシブ、フェノプロフェン、ベノリレート、ファイスラミン、アモキシプリン、カルプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、チアプロフェン酸、メクロフェナム酸、ケトロラク、オキサプロジン、エトドラク、ナブメトン、メサラミン、バルサラジド、ベバシズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、アルデスロイキン、イブリツモマブチウキセタン、ペメトレキセド、トシツモマブ、ゲムシタビン、イマチニブ、トラスツズマブ、アルトレタミン、トポテカン、インターフェロンα−2b、プロカルバジン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ビノレルビン、ミトキサントロン、デニロイキンジフチトクス、リツキシマブ、エルロチニブ、ベキサロテン、三酸化ヒ素、ボルテゾミブ、トレチノイン、ドキソルビシン、ダクチノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ペントスタチン、ブスルファン、テモゾロマイド、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミンHC、クロファラビン、シタラビン、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、カペシタビン、ビカルタミド、フルタミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、レトロゾール、エストラムスチン、ロイプロリド、トリプトレリンパモエート、ヒストレリン、ゴセレリン、ポルフィマー、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾールもしくはオリゴマイシンデキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ロテノン、テノイルトリフルオロアセトン(TTFA)、アンチマイシンA、ミクソチアゾール、オリゴマイシン、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ及びエトリコキシブ、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチンからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、浣腸剤内に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、ゼリー中に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ゼリーが、水溶性多糖類及び水で膨潤する合成セルロース誘導体からなる群から選択される増粘剤をさらに含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
粘液剤が、アカシア、ツノマタ属、ゼラチン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される増粘剤をさらに含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、粘液剤中に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記粘液剤が、水溶性多糖類及び水で膨潤する合成セルロース誘導体からなる群から選択される増粘剤をさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粘液剤が、アカシア、ツノマタ属、ゼラチン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される増粘剤をさらに含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記増粘剤が、アカシアである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、溶液剤形中に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、座薬中に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が哺乳類である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が人間である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1物質が、治療的有効量で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1物質が、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、7−ケトリトコール酸、及びウルソデオキシコール酸のナトリウム塩からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1物質が、ウルソデオキシコール酸又はウルソデオキシコール酸のナトリウム塩である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記水溶性澱粉変換産物が、マルトデキストリン、デキストリン、液体グルコース、固形コーンシロップ、及び可溶性澱粉からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記水溶性澱粉変換産物が、マルトデキストリンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記水溶性澱粉変換産物が、固形コーンシロップである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物が、非消化性オリゴ糖類、難消化性澱粉、及び非澱粉多糖類からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物が、可溶性非澱粉多糖類である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物が、難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、セルロース、b−グルカン、及びオオバコ繊維からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記小腸で消化及び吸収されない可溶性食餌性炭水化物が、水溶性難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記水溶性澱粉変換産物対小腸で消化及び吸収されない水溶性食餌性炭水化物の重量比が、1〜99:99〜1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記選択されたpH範囲が約1〜約10である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及び7−ケトリトコール酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、水溶性難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記炭水化物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する、透明な水溶液。
【請求項39】
前記水溶性澱粉変換産物対前記水溶性難消化性マルトデキストリン(ファイバーソル2)の重量比が、1〜99:99〜1である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、及びアミド結合によってアミンと接合した胆汁酸からなる群から選択される第1物質と、
(b)高分子量の水溶性澱粉変換産物を含む第2物質と、
(c)水とを含有し、
前記第1物質と前記第2物質の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する、水溶液。
【請求項41】
アルカリをさらに含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記アルカリが、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記胆汁酸に対する塩基の割合が、約1.0〜約1.3である、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
対象において大腸腺腫性ポリポーシスから大腸を保護する方法であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、アミド結合によってアミンと接合した胆汁酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物、難消化性マルトデキストリン、水溶性非澱粉多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、
(c)水溶性高麗人参抽出物、水溶性紅参抽出物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第3物質とを含有する、水溶性一次胆汁酸処方物の乾燥形態を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
(a)胆汁酸、胆汁酸の水溶性誘導体、胆汁酸塩、アミド結合によってアミンと接合した胆汁酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水溶性澱粉変換産物とを含有し、
前記第1物質と前記水溶性澱粉変換産物の両方が、選択されたpH値範囲における溶液の全てのpH値で溶液状態を維持する、水溶性一次胆汁酸処方物の乾燥形態。

【図2】
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【図1A】
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【図1B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2010−503667(P2010−503667A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528217(P2009−528217)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036325
【国際公開番号】WO2008/033142
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509075114)
【Fターム(参考)】