説明

大腿骨コンポーネント用保持器具

【課題】大腿骨コンポーネントの保持及び開放を短時間で行える保持器具を提供する。
【解決手段】本発明の保持器具1は、右側顆と左側顆とを有する外面98と当該外面98に対向する内面96とを有する湾曲した人工膝関節用大腿骨コンポーネント90を保持するための保持器具1であって、各々の先端にフック16を有し前記大腿骨コンポーネント1を左右から挟持する一対のアーム10と、前記一対のアーム10の間に位置するテーブル20と、前記アーム10及び前記テーブル20と連動するレバー30と、を有し、前記一対のアーム10により前記大腿骨コンポーネント90を左右から挟持すること、前記テーブル20により前記大腿骨コンポーネント90の外面を押圧すること、及び前記一対のフック16を前記大腿骨コンポーネント90の内面の左右縁部92、94に掛止することを、前記レバー30を開始位置から終了位置まで移動する間に行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工膝関節用の大腿骨コンポーネントの着脱に際して、大腿骨コンポーネントを保持するための保持器具に関する。
【背景技術】
【0002】
人工膝関節置換手術において、手術手技上で重要な事項に1つに仮整復が挙げられる。仮整復とは、人工膝関節のうち大腿骨遠位部に設置される部材(これを「大腿骨コンポーネント」と称する)を実際に骨に設置する前に、大腿骨コンポーネントとほぼ同じ形状をした模擬的な大腿骨コンポーネントを大腿骨遠位部に仮固定し、関節の機能を果たすかどうか確認することである。模擬的な大腿骨コンポーネントの設置及び抜去、そして実際の大腿骨コンポーネントの設置には、多くの場合、大腿骨コンポーネント保持用のホルダーを使用する。ホルダーとしては、大腿骨コンポーネントの内側顆及び外側顆の表面に接触する手段と、顆間切痕を内接触面に沿って把握する手段とを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、このホルダーは、顆間切痕が形成されていない大腿骨コンポーネントには使用できないという欠点がある。
【0003】
そこで、顆間切痕の有無に拘わらず、各種の大腿骨コンポーネントを保持できるホルダー(図22に示す大腿骨コンポーネント用保持器具1001)が使用されている。保持器具1001は、一対のアーム1010によって大腿骨コンポーネント90の内側及び外側の縁部を挟持しながら、アーム1010先端のフック1016を大腿骨コンポーネント90の内面に掛止し、さらにアーム1010の間に配置したテーブル1020によって大腿骨コンポーネント90の外面を押圧することにより、大腿骨コンポーネント90を確実に保持できる。
【0004】
保持器具1001に大腿骨コンポーネント90を保持したのち、図23のように大腿骨コンポーネント90を設置してゆく。術者は保持器具1001のグリップ1050を握り、骨切りした大腿骨100の遠位部102に大腿骨コンポーネント90を配置し、保持器具1001の後端部(テーブル用ダイヤル1028)をハンマーで叩いて、大腿骨コンポーネント90を大腿骨遠位部102に打ち込む。
仮整復の場合には、大腿骨遠位部102に嵌め込まれた模擬的な大腿骨コンポーネント90は後で抜去されるが、その抜去の際にも保持器具1001が使用される。
【0005】
保持器具1001で大腿骨コンポーネント90を保持するには、2つのダイヤル(アーム用ダイヤル1018及びテーブル用ダイヤルダイヤル1028)を順次操作する。詳しい手順としては、まず、アーム用ダイヤル1018を緩めてアーム1010を開き、テーブル用ダイヤル1028を緩めてテーブル1020をグリップ1050方向に後退させる。次いで、一対のアーム1010とテーブル1020との間に大腿骨コンポーネント90を配置し、アーム用ダイヤル1018を締めてアーム1010を閉じる。このとき、大腿骨コンポーネント90の所定位置にアーム1010のフック1016が掛かるように、大腿骨コンポーネント90の位置を微調整しながらアーム用ダイヤル1018を締める。そして、テーブル用ダイヤルダイヤル1028を締めてテーブル1020を大腿骨コンポーネント90側に突出させ、大腿骨コンポーネント90の外面を押圧する。
【特許文献1】特開平6−169930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の大腿骨コンポーネント用保持器具1001では、2つのダイヤルを操作する必要があるため、大腿骨コンポーネント90の保持及び開放に時間がかかり、迅速な手術操作が難しかった。
そこで、本発明は、大腿骨コンポーネント90の保持及び開放を短時間で行える保持器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の保持器具は、右側顆と左側顆とを有する外面と当該外面に対向する内面とを有する湾曲した人工膝関節用大腿骨コンポーネントを保持するための保持器具であって、各々の先端にフックを有し前記大腿骨コンポーネントを左右から挟持する一対のアームと、前記一対のアームの間に位置するテーブルと、前記アーム及び前記テーブルと連動するレバーと、を有し、前記一対のアームにより前記大腿骨コンポーネントを左右から挟持すること、前記テーブルにより前記大腿骨コンポーネントの外面を押圧すること、及び前記一対のフックを前記大腿骨コンポーネントの内面の左右縁部に掛止することを、前記レバーを開始位置から終了位置まで移動する間に行うことを特徴とする。
【0008】
本発明は、レバーを開始位置から終了位置まで移動する操作のみでアームやテーブルの操作をして、大腿骨コンポーネントを保持できるので、従来のものに比べると、大腿骨コンポーネント90の保持に要する時間を短縮することができる。
【0009】
具体的には、前記大腿骨コンポーネントを前記テーブルにより押圧し且つ前記アームにより挟持するために、前記保持器具は、前記レバーの操作によって、前記テーブルを大腿骨コンポーネントに相対的に近づけ、前記アームを相互に近づけることができる。
【0010】
前記保持器具は、前記レバーが回転可能に支持されたシリンダを含み、前記レバーの前記終了位置は、前記レバーを前記シリンダの方向に倒した状態であるのが好ましい。このような保持器具は、片手でレバーを操作できるので操作性に優れている。さらに、レバーをシリンダ側に倒した後には、レバーとシリンダとを共に握ることができるので、大腿骨コンポーネントを保持した後の保持器具の取り扱いが容易になる。
【0011】
具体的には、前記保持器具は、前記シリンダ内に摺動可能に挿通され、一端に前記テーブルが固定されたシャフトと内部に前記シリンダが摺動可能に挿通されるスライドパイプと、をさらに有し、前記一対のアームは、前記スライドパイプに結合され、前記保持器具は、前記レバーと前記シャフト及びスライドパイプとを連結する一対の接続プレートをさらに有し、前記接続プレートの一端は、前記レバーの支持部と自由端との間に回転可能に支持され、前記接続プレートの他端は、前記シャフト及び前記スライドパイプに移動可能に保持されており、前記レバーを前記シリンダの方向に倒すことより、前記接続プレートを介して、前記シャフト及び前記スライドパイプを前記シリンダに沿って摺動するものである。
【0012】
接続プレートの具体的な例としては、前記接続プレートの前記他端には、前記テーブルの方向に移動するスライドピンが結合されており、前記シャフトは前記スライドピンを挿通する穴を備え、前記スライドパイプは前記スライドピンよりも前記テーブル側に配置され、前記スライドパイプと前記スライドピンとの間で且つ前記シリンダの周囲にバネが配置されており、前記レバーを前記シリンダの方向に倒すことにより、前記スライドピンを介して前記シャフトを前記テーブルの方向に摺動させ、さらに前記スライドピン及び前記バネを介して前記スライドパイプを前記テーブルの方向に摺動させることができる。
【0013】
また、前記レバーは、シリンダに対向する内面にレバー側凹凸部を有し、前記スライドパイプ、前記レバーと対向する面に前記レバー側凹凸部と噛み合うスライドパイプ側凹凸部を有し、前記レバーを前記終了位置に移動したとき、前記レバー側凹凸と前記スライドパイプ側凹凸部とが噛み合って、前記スライドパイプと前記シリンダとが固定されるのが好ましい。スライドパイプが固定されると、アームも固定されるので、大腿骨コンポーネントを左右からしっかり挟持することができる。
【0014】
また、大腿骨コンポーネントは、前記テーブルにより押圧される前に、前記フックにより掛止されると、テーブルで押圧されたときに、大腿骨コンポーネントをフックで保持できるので好ましい。
【0015】
前記テーブルのシリンダ側に、前記テーブルと前記シャフトとの長手方向の位置を調節するための調節ねじが固定されているのが好ましい。フックとテーブルとの間の間隔を、調節ねじを用いて調節できるので、使用される大腿骨コンポーネントを確実に保持することができる。
【0016】
前記調節ねじは、前記シリンダに対向する面に複数の調節穴が形成されており、前記シリンダは、前記調節穴と対応する位置に突起部を有しており、前記テーブルが前記シリンダ方向にばね付勢されており、前記調節ねじを回転して前記テーブルの位置を調節した後に、前記テーブルが前記シリンダ側に移動して前記調節穴に前記突起部が挿入されるのが好ましい。これにより、テーブルをシリンダと反対方向に引いて調節ねじの調節穴から突起部を抜く操作、調節ねじを回転してテーブルの位置を調節する操作、及び調節穴に突起部を挿入する操作をすることにより、テーブルの位置を簡便に調節することができる。また、ばね付勢により、テーブル位置の調節後に調節穴から突起部が抜ける恐れがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の保持器具により、従来に比べて、大腿骨コンポーネントの保持及び開放を短時間で行うことができ、迅速な手術操作に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<実施の形態1>
図1及び2は、本実施の形態の大腿骨コンポーネント用保持器具1である。図1に、左膝用の大腿骨コンポーネント90の保持前、そして図2に保持後の様子を示す。なお、本明細書においては、保持器具1の説明において「近位」及び「遠位」を含む用語(例えば「近位側」、「近位端」など)を使用しているが、本明細書において「近位」及び「遠位」とは、大腿骨コンポーネント用保持器具1を術者が把持したときに、術者に近いほうが「近位」、術者から離れた方が「遠位」である。例えば、大腿骨コンポーネント90を保持するアーム10やテーブル20は、保持器具1の「遠位端」に配置されていることになる。
【0019】
保持器具1は、大腿骨コンポーネント90を左右から挟んで保持するための一対のアーム10と、前記一対のアームの間に位置するテーブル20とを遠位端に有し、ハンマー打ち込み用の天板80を近位端に有している。
保持器具1の中間部分は、術者が把持するための把持部となっており、シャフト50と、シャフト50を挿通する円筒状のシリンダ40が配置されている。さらに、シリンダ40の遠位側の外周には、ばね70とスライドパイプ60が配置されて有している。シャフト50、シリンダ40及びスライドパイプ60の間は固定されておらず、互いにスライド可能な状態である。また、シリンダ40とばね70との間も固定されず、スライド可能である。
保持器具1の近位側にはレバー30が回転可能に支持(軸支)されており、また、レバー30とスライドパイプ60とは接続プレート32により連結されている。
【0020】
図3〜図8を参照しながら、保持器具1の各構成部材について以下に詳述する。
図3及び図4は、シリンダ40とレバー30を図示している。シリンダ40は、内部にシャフト挿通穴46を有する円筒状の部材である。シリンダ40の遠位端近傍の外面には、シリンダ40の軸方向と直交する直線上に沿って、2本のロッド44が互いに反対方向に突出している。シリンダ40の中央付近には、シリンダ40の軸方向に伸びる2つの貫通長穴42が互いに対向する位置に形成されている。そして、この2つの貫通長穴42を挿通してシリンダ40の軸方向と直交するように、スライドピン34が配置されている。このスライドピン34は、貫通長穴42の長手方向(すなわちシリンダ40の軸方向)に沿ってスライド可能である。
【0021】
レバー30は、シリンダ40の近位端近傍に軸ピン36で軸支されている。レバー30の端部のうち、シリンダ40に軸支された端部を固定端35、矢印R方向に回転運動可能な端部を自由端33とする。本実施の形態のレバー30は、1枚の帯状体と、平行に配列した2枚の帯状体とを、一部分で断面コの字状に接続したような形態となっている。1枚の帯状体は自由端33へと伸び、2枚の帯状体は固定端35へと繋がっている。固定端35と自由端33との間には、2枚の接続プレート32の近位端が、上述の2枚の帯状体のそれぞれにピン322で軸支されている。各接続プレート32の遠位端は、スライドピン34の両側にねじ38で回転可能に軸支されている。
【0022】
図1の状態から、レバー30を矢印R方向に回転動作すると、シリンダ40の軸方向に対して角度を成していた接続プレート32が、シリンダ40の軸方向とほぼ平行な状態になる(図2参照)。このときスライドピン34は、貫通長穴42の近位位置から遠位位置までスライドする。
逆に、図2の状態からレバー30を矢印R方向に回転動作すれば、接続プレート32はシリンダ40の軸方向に対して角度を成した状態に戻り、スライドピン34は、貫通長穴42の遠位位置から近位位置までスライドする(図1)。
【0023】
図5は、シャフト50、テーブル20及び天板80を図示している。本実施の形態では、シャフト50は丸棒状の部材であり、遠位端にテーブル20が固定され、近位端に天板80が固定されている。テーブル20とシャフト50は、ネジ53(図9〜図11参照)によって連結されており、このネジ53によってテーブル20の長手方向の位置を調整することができる。シャフト50の中央付近には、シャフト50の軸方向に伸びる貫通長穴52が形成されている。各構成部材を組み立てたとき、この貫通長穴52の位置は、図3に図示されたシリンダ40の2つの貫通長穴42の位置と概ね一致し、そして貫通長穴52にもスライドピン34がスライド可能に挿通される。
【0024】
テーブル20は、剛体から成るテーブルプレート22と、弾性体から成る緩衝パッド24を含んでいる。また、緩衝パッド24には、大腿骨コンポーネント90の右側顆(左膝では内側顆)と左側顆(左膝では外側顆)の間のくぼみ(顆間窩)に適合するように凸部26が形成されている。
【0025】
図6は、スライドパイプ60を図示している。スライドパイプ60は、内部にシリンダ挿通穴66を有する円筒状の部材である。スライドパイプ60の近位側には、近位方向に平行に伸びる2枚の分岐プレート64が備えられている。各分岐プレート64には貫通長穴642が形成されており、図3に図示されたスライドピン34の両端部がスライド可能に挿通される。
【0026】
スライドパイプ60の中央付近には、スライドパイプ60の外面から突出し遠位方向に向かって傾斜した2本の傾斜プレート62が形成されている。傾斜プレート62は、主面が近位−遠位方向と平行で、且つ2枚の傾斜プレート62の主面が同一平面状に位置するように配置されている。傾斜プレート62の遠位端の両面には、傾斜プレート62の主面と直交する方向に突出したピン622、624が形成されている。
【0027】
スライドパイプ60のシリンダ挿通穴66は、近位側の内径は遠位側の内径より拡径しており、拡径部分にはばね70が挿入可能である(図1及び図2参照)。また、シリンダ挿通穴66の内面には、近位側と遠位側での内径差に相当する段差が形成されている。
【0028】
図7には一対のアーム10を図示しているが、これは同一のアーム10を鏡面対称に配置して構成できる。以下に個々のアーム10について説明する。
本実施の形態では、アーム10の先端(遠位端)にフック16が形成され、近位−遠位方向と直交する方向に伸びている。アーム10の近位側には、近位−遠位方向に平行な2枚の傾斜プレート12が形成され、近位−遠位方向に対して傾斜した方向に伸びている。各傾斜プレート12には、傾斜プレート12の延設方向に沿って伸びる貫通長穴122、124が形成されている。アーム10の中央付近には、ロッド挿通穴142を備えたロッドガイド14が形成され、近位−遠位方向と直交する方向に伸びている。図1及び図2のように組み立てたときには、貫通長穴122、124にはスライドパイプ60のピン622、624がスライド可能に挿入され、ロッド挿通穴142にはシリンダ40のロッド44がスライド可能に挿通される。
【0029】
図8は、シリンダ40の遠位端側を挿入するばね70を図示している。図示したばね70は一般的なコイルばねであり、シリンダ40が挿通できる内径を有している。
図1及び図2のように組み立てたときには、ばね70の遠位端はスライドパイプ60のシリンダ挿通穴66に近位側から挿入されて、シリンダ挿通穴66の内面に形成された段差68(図6参照)に当接し、また、ばね70の近位端は接続プレート32の遠位端に接触する。
【0030】
保持器具1の動作について、図9〜図12を参照しながら説明する。なお、保持器具1の内部構造の変化が分かりやすいように、図9〜図12の各構成部品の一部は、断面で図示されている。
図9は、大腿骨コンポーネント90を保持する前の状態であり、レバー30は、保持器具の操作が始まる前の「開始位置」にある。レバー30の自由端33がシリンダ40から離れた状態、言い換えれば自由端33が近位側に位置した状態である。接続プレート32を介してレバー30に連結したスライドピン34も、シリンダ40の貫通長穴42の中でスライドして近位側に位置している。なお、スライドピン34がシリンダ40の貫通長穴42の近位端に当接したときが、レバー30が最も起き上がった状態であり、それ以上自由端33をシリンダ40から離すことはできない。
【0031】
スライドピン34は、さらにスライドパイプ60の貫通長穴642とシャフト50の貫通長穴52にも挿通されており、スライドピン34を近位側にスライドさせることにより、貫通長穴ごとに異なる作用を及ぼす。スライドピン34と各貫通長穴との関係を説明する。
スライドピン34とスライドパイプ60の貫通長穴642との関係では、スライドピン34は、ばね70によって近位側にばね付勢されて、貫通長穴642の近位端に当接している。そして、スライドピン34を近位側にスライドすれば、スライドピン34は貫通長穴642の近位端を押圧し、スライドパイプ60は近位側にスライドする。
スライドピン34とシャフト50の貫通長穴52との関係では、スライドピン34は貫通長穴52の中で特に制限を受けず、自由にスライド可能な状態である。
【0032】
上述のように、スライドパイプ60がスライドピン34によって近位側にスライドすれば、一対のアーム10を開くことができる。スライドパイプ60が近位側にスライドすると、傾斜プレート62及びピン624も同時に近位側に移動する。ピン624はアーム10の傾斜プレート12に形成された貫通長穴124に挿入されているので、ピン624の移動によりアーム10も移動する。ただし、アーム10は、ロッド挿通穴142に挿通されたロッド44によって内外側方向への移動のみに制限されるので、ピン624は、傾斜プレート12の貫通長穴124の中を斜め方向にスライドし、アーム10は、内外側方向において、シリンダ40から離れる方向、すなわち一対のアーム10が開く方向に移動する。
すなわち、レバー30の自由端33をシリンダ40から離す(レバー30を起こす)ことにより、スライドパイプ60が近位方向にスライドし、アーム10が開く。
【0033】
また、シャフト50がスライドピン34によって近位側にスライドすれば、シャフト50の遠位端に固定されたテーブル20も近位側に移動する。すなわち、レバー30の自由端33をシリンダ40から離す(レバー30を起こす)ことにより、シャフト50とテーブル20が近位方向に移動する。
【0034】
図10は、図9のレバー30の自由端33をR方向に回転移動した状態(レバー30をシリンダ40方向に倒した状態)である。図9と最も異なるのは、スライドピン34が遠位側に移動したためスライドパイプ60も遠位側にスライドしたことと、それによって、一対のアーム10が相互に近づいて間隔が狭くなったことである。
スライドピン34の移動によるスライドパイプ60のスライドは次のようにして起こる。スライドピン34とスライドパイプ60との間には、接続プレート32とばね70が配置されている。スライドピン34が遠位側に移動すると、接続プレート32の遠位端がばね70の近位端を遠位側に押圧する。ばね70の近位端は、スライドパイプ60のシリンダ挿通穴66の内面に形成された段差68に当接しているので、ばね70の遠位端にかけられた押圧力は、ばね70の近位端に当接した段差68を通じてスライドパイプ60を遠位方向にスライドさせる。
【0035】
上述のように、スライドパイプ60のスライドにより、アーム10を内外側方向に移動させることができる。図10のようにスライドパイプ60が遠位側にスライドすれば、ピン624はアーム10の貫通長穴124の中を遠位側に向かって斜め方向にスライドし、一対のアーム10は、内外側方向において、互いに近づく方向、すなわちシリンダ40に近づく方向に移動する。その結果、アーム10は大腿骨コンポーネント90の右側縁部(左膝では内側縁部)92及び左側縁部(左膝では外側縁部)94を挟持することができる。なお、大腿骨コンポーネント90の内側縁部92及び外側縁部94に、アーム10のフック16を掛止する凹部95が形成されている場合は、フック16を凹部95に位置合わせするように注意する。
【0036】
なお、大腿骨コンポーネント90をテーブル20で押圧すると、アーム10のフック16は大腿骨コンポーネント90の凹部95に確実に掛止される。大腿骨コンポーネント90をテーブル20に接触させた状態で、フック16が凹部95にほぼ一致する位置になるように、テーブル20とフック16の間隔を調節しておくことが好ましい。
【0037】
図11は、図10のレバー30の自由端33をさらにR方向に回転移動した状態(レバー30をさらに倒した状態)である。図10と最も異なるのは、スライドピン34が遠位側に移動してばね70を圧縮したことである。
スライドピン34が遠位側に移動すると、ばね70の遠位端が遠位側に押圧される。しかしながら、図10の時点でアーム10は大腿骨コンポーネント90を挟持しており、それ以上閉じることはできないため、スライドパイプ60が遠位側にスライドすることもできない。よって、ばね70の近位端は、スライドパイプ60の段差68によって固定された状態になる。そのため、ばね70の遠位端にかけられた押圧力により、ばね70は圧縮される。ばね70を備えることにより、幅の異なる大腿骨コンポーネントにも対応でき、且ついずれの幅の大腿骨コンポーネントであっても強固に保持することができる。
【0038】
そして図12は、図11のレバー30の自由端33をさらにR方向に回転移動して、シリンダ40に最も近づけた状態(レバー30を完全に倒した状態)である。このとき、レバー30は保持器具の操作が完了した「終了位置」にある。図10と最も異なるのは、スライドピン34が遠位側に移動して、シャフト50の貫通長穴52の遠位端を遠位側に押圧していることと、それによってテーブル20が大腿骨コンポーネント90に近づいて、そしてテーブル20が外面98を押圧したことである。
図11と同様に、スライドピン34の遠位側への移動によりばね70はさらに圧縮される。そして、スライドピン34がシャフト50の貫通長穴52の遠位端に当接するようになる。さらにスライドピン34が遠位側に移動すると、スライドピン34はシャフト50の貫通長穴52の遠位端を遠位側に押圧して、シャフト50が遠位側にスライドする。そして、シャフト50の遠位端に固定されたテーブル20も、シャフト50と共に遠位側に移動する。大腿骨コンポーネント90は、既にアーム10によって内外側縁部を挟持され、且つフック16によって内面を掛止されているが、さらに外面98をテーブル20によって押圧されることにより、確実に保持される。
【0039】
図9〜図12に図示されているように、本実施の形態の保持器具1は、一対のアーム10により大腿骨コンポーネント90を左右から挟持すること(図10)、テーブル20により大腿骨コンポーネント90の外面98を押圧すること(図11)、及び一対のフック16を大腿骨コンポーネント90の内面96の左右縁部92に掛止すること(図10)を、レバー30を開始位置(図9)から終了位置(図12)まで移動する間に行うことができる。
また、図9〜図12の一連の操作は、シリンダ40とレバー30とを同時に把持することで行えるので、片手で操作可能である。よって、もう片手で大腿骨コンポーネント90を支え、アーム10のフック16が大腿骨コンポーネント90の凹部95に確実に掛かるように微調整するのが容易である。
【0040】
保持器具1を手術に使用する際には、図12に示した状態でレバー30とシリンダ40とを同時に把持することにより、レバー30の自由端33がシリンダ40から離れるのを防止できる。これにより、大腿骨コンポーネント90を大腿骨遠位部102に打ち込んでいる間に、大腿骨コンポーネント90が脱落するのを抑制できる。
また、大腿骨コンポーネントを保持した状態からレバー30を起き上がらせる(すなわち、図4のRの方向にレバー30の自由端33を回転移動させて、シリンダ40から離す)ことにより、アーム10とテーブル20が大腿骨コンポーネントから同時に離れ、保持器具1から大腿骨コンポーネント90を容易に解放することができる。
【0041】
また、図23のような従来の保持器具1001では、大腿骨コンポーネント90の打ち込みの際にテーブル用ダイヤル1028の近位側を叩いていた。しかしながら、本実施の形態では、打ち込み用の天板80を備えることができるので、ハンマーで叩きやすい形状に形成できる。さらに、天板80の寸法形状を、天板80の遠位面をハンマーで叩けるように設計することにより、模擬的な大腿骨コンポーネント90を抜去するのが容易になる。
【0042】
保持器具1の構成部材には、全て滅菌可能な医療用器具材を使用するのが望ましい。特に、緩衝パッド24は滅菌可能な樹脂又はゴムから形成し、それ以外の構成部材は金属材料から形成するのが好ましい。
【0043】
<実施の形態2>
本実施の形態の大腿骨コンポーネント用保持器具1では、特に図13〜図16に示すように、レバー30が、シリンダ40と対向する内面37にレバー側凹凸部39を備えている。また、スライドパイプ60は、レバー30と対向する面67に、レバー側凹凸部39と噛み合うスライドパイプ側凹凸部69を備えている。
そして、本実施の形態の保持器具1では、特に図18〜図19に示すように、テーブル20のシリンダ40側に、テーブル20とシャフト50との長手方向の位置を調節するための調節ねじ28が固定されている。
さらに、本実施の形態の保持器具1では、特に図20〜図21に示すように、実施の形態1に比べてアーム10の形状(主に先端部分)が変更されている。
上記以外については、実施の形態1と同様である。
【0044】
以下に、本実施の形態の大腿骨コンポーネント用保持器具1のうち、実施の形態1と相違する特徴部分について詳述する。
図13〜図16に図示されているように、保持器具1のレバー30の内面37には断面三角形のレバー側凹凸部39が形成され、スライドパイプ60の面67には、断面三角形のスライドパイプ側凹凸部69が形成されている。
【0045】
図15(A)のようにレバー30をシリンダ40側に倒してゆくと、図15(B)のように、レバー側凹凸部39がスライドパイプ側凹凸部69に近づく。しかしながら、レバー30はまだ最終位置まで到達していないので、レバー側凹凸部39とスライドパイプ側凹凸部69との間には隙間があいている。このとき、スライドパイプ60は遠位方向に向かってバネ70で付勢されている状態である。すなわち、スライドパイプ60は、バネ70に逆らうように力をかけると、近位方向に摺動することができる。これは、アーム10が開くことを意味する。
【0046】
さらにレバーの自由端33をR方向に回転移動すると(レバー30をさらに倒すと)、図16(A)のように、レバー30は最終位置に移動し、図16(B)のように、レバー側凹凸部39とスライドパイプ側凹凸部69とが噛み合い、スライドパイプ60とシリンダ40とが固定される。スライドパイプ60が固定されると、アーム10も固定され、アーム10が開くことはない。よって、大腿骨コンポーネント90をの打ち込みや抜去の際に、大腿骨コンポーネント90の固定が緩む恐れがない。
【0047】
レバー側凹凸部39の形成位置は、スライドパイプ側凹凸部69と噛み合う位置に形成されるが、特に、レバー30の自由端33近傍に形成されているのが好ましい。それにより、レバー30が最終位置に移動するまで、レバー側凹凸部39とスライドパイプ側凹凸部69とが噛み合いにくい。すなわち、レバーを倒している途中でスライドパイプが望まない位置で固定されるのを抑制できる効果がある。
【0048】
遠近位方向におけるスライドパイプ60の位置は、使用する大腿骨コンポーネント90の寸法によって多少異なってくる。よって、レバー側凹凸部39を遠近位方向に長く形成して、確実にスライドパイプ側凹凸部69と噛み合うようにするのが好ましい。
スライドパイプ側凹凸部69及びレバー側凹凸部39のピッチを1mm〜3mmにすると、大腿骨コンポーネント90の寸法のバリエーションに対応できるので好ましい。
【0049】
図13〜図16では、スライドパイプ側凹凸部69とレバー側凹凸部39とは断面三角形に形成されているが、これに限定されず、スライドパイプ側凹凸部69とレバー側凹凸部39とが噛み合う形状であれば適用可能である。
また、スライドパイプ側凹凸部69及びレバー側凹凸部39の高さを0.5mm以上にすると、スライドパイプ側凹凸部69とレバー側凹凸部39とがしっかりと噛み合うので好ましい。特に、高さを0.5mm〜2mmにすると、レバー30が終了位置に移動するまでは、スライドパイプ側凹凸部69とレバー側凹凸部39とが接触しにくく、且つレバー30が終了位置に移動したときには、スライドパイプ側凹凸部69とレバー側凹凸部39とが十分に噛み合うので好ましい。
【0050】
本実施の形態の保持器具1では、図15(A)及び図16(A)に示すように、テーブル20のシリンダ40側に、調節ねじ28が固定されている。
図17に示すように、調節ねじ28は、雌ねじが形成されたねじ穴283と、シリンダ40に対向する面281に複数の調節穴282が形成されている。また、調節ねじ28の周囲に、滑り止め283が形成されていると、調節ねじ28を手で回転させるのに好都合である。
【0051】
図18に示すように、調節ねじ28はテーブル20のシリンダ40側に回転可能に固定され、さらに、調節ねじ28のねじ穴283に、シャフト50の遠位端に形成された雄ねじが螺合されている。すなわち、テーブル20は、調節ねじ28を介してシャフト50に固定される。調節ねじ28を回転すると、調節ねじ28とテーブル20とは、シャフト50に対して遠近位方向(シャフト50の長軸方向)に沿って移動する。
【0052】
実際に大腿骨コンポーネント90の置換手術を行うとき、大腿骨コンポーネントの寸法の製品個体毎の僅かな変動により、同じ保持器具1で固定するときに、固定強度に強弱が生じる問題がある。例えば、肉厚の薄い大腿骨コンポーネント90を固定するときは、レバー30を最終位置まで倒し切っても、テーブル20による大腿骨コンポーネント90の押圧が十分ではなく、大腿骨コンポーネント90の固定力が弱くなる恐れがある。また、肉厚の厚い大腿骨コンポーネント90を固定するときは、レバー30を最終位置まで倒し切る前に、テーブル20による大腿骨コンポーネント90の押圧が強くなりすぎて、レバー30を終了位置まで倒すことができなくなる恐れがある。
これらの問題を解決するためには、シャフト50の長軸方向におけるテーブル20の位置を調節するのがよい。本実施の形態では、調節ねじ28を手で回転させることができるので、手術中でも、テーブル20の位置を簡単に調節できる。
【0053】
さらに好ましくは、図18及び図19に示すように、シャフト50の近位側に形成したシャフト段差58と、シリンダ40のシャフト挿通穴46内の近位側に形成したシリンダ段差48との間にばね72を配置することにより、シャフト50の遠位端に固定したテーブル20を、シリンダ40側(近位方向)にばね付勢している。
そして、図19に示すように、シリンダ40の近位端には、調節ねじ28に向かって突出する突起部49が備えられている。この突起部49は、調節ねじ28の調節穴282(図17参照)と対応する位置に配置されている。
【0054】
テーブル20がばね付勢され、シリンダ40が突起部49を備えている保持器具1の場合、図18の状態では、調節ねじ28の調節穴282に突起部49が挿入されているので、調節ねじ28を回転することができない。そこで、テーブル20を遠位方向(図18の矢印の方向)に引っ張って、突起部49から調節ねじ28を開放する(図19)。この状態であれば、調節ねじ28を回転させることができる。そして、テーブル20の位置の調節が終わった後にテーブル20を離すと、テーブル20はばね72によってシリンダ40側(近位方向)に引き戻される。このとき、突起部49が調節穴282に挿入されて、調節ねじ28が固定される。すなわち、本実施の形態の保持器具1は、テーブル20を引っ張り、調節ねじ28を回転し、テーブル20を離す作業だけで、テーブル20の位置を簡単に調節できるだけでなく、ーブル20の位置を調節した後に、調節ねじ28が不用意に回転することも防止できる。
【0055】
調節ねじ28に形成する調節穴282の個数は任意に決定できるが、通常は、テーブル20の調節ピッチを考慮して決定される。例えば、ねじ穴283に形成された雌ねじのピッチが1.2mmで、調節ピッチを0.15mmに設定する場合には、調節穴282の個数は、1.2/0.15=8個と決定できる。
また、突起部49の個数は1個にすることも、複数形成することもできる。
【0056】
本実施の形態の保持器具1で使用されているアーム10は、実施の形態1に比べると先端が細くされている。また、手術のときには、アーム10の先端領域10X(ハッチングした部分)が体内に侵入するが、この先端領域10Xで、内側のアーム10は内側方向に大きく張り出さないように、外側のアーム10は外側方向に大きく張り出さないように設計されている。それにより、本実施の形態(図21(A))のアーム10の先端領域10Xの最大幅W1は、実施の形態1(図21(B))のアーム10の先端領域10Xの最大幅W2よりも狭くすることができる。よって、最小侵襲法(MIS)の手技に好適である。
また、アーム10に設けられたロッドガイド14を長くすると、ロッドガイド14内を摺動するロッド44をガイドする機能が高められて、ロッド44の摺動、すなわちアーム10の開閉動作が円滑になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具のシリンダ及びレバーの斜視図であり、レバーが起き上がった状態を示している。
【図4】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用されるシリンダ及びレバーの斜視図であり、レバーが倒れた状態を示している。
【図5】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用されるシャフト、テーブル及び天板の斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用されるスライドパイプの部分切欠き斜視図である。
【図7】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用される一対のアームの斜視図である。
【図8】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用されるばねの斜視図である。
【図9】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面斜視図である。
【図10】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面斜視図である。
【図11】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面斜視図である。
【図12】実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面斜視図である。
【図13】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の斜視図である。
【図14】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用されるスライドパイプの部分切欠き斜視図である。
【図15】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の側面図である(A、B)。
【図16】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の側面図であり、レバーが終了位置まで移動した状態を示している(A、B)。
【図17】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用される調節ねじの斜視図である。
【図18】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面正面図である。
【図19】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の動作を説明する部分断面正面図である。
【図20】実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具に使用される一対のアームの斜視図である。
【図21】(A)は実施の形態2に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の部分正面図であり、(B)は実施の形態1に係る大腿骨コンポーネント用保持器具の部分正面図である。
【図22】従来の大腿骨コンポーネント用保持器具の斜視図である。
【図23】従来の大腿骨コンポーネント用保持器具を用いた術式を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 大腿骨コンポーネント用保持器具
10 アーム
16 フック
20 テーブル
28 調節ねじ
282 調節穴
30 レバー
32 接続プレート
39 レバー側凹凸部
40 シリンダ
42 シリンダの貫通長穴
49 突起部
50 シャフト
52 シャフトの貫通長穴
60 スライドパイプ
642 スライドパイプの貫通長穴
68 段差
69 スライドパイプ側凹凸部
70 ばね
80 天板
90 大腿骨コンポーネント
96 大腿骨コンポーネントの内面
98 大腿骨コンポーネントの外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右側顆と左側顆とを有する外面と当該外面に対向する内面とを有する湾曲した人工膝関節用大腿骨コンポーネントを保持するための保持器具であって、
各々の先端にフックを有し、前記大腿骨コンポーネントを左右から挟持する一対のアームと、
前記一対のアームの間に位置するテーブルと、
前記アーム及び前記テーブルと連動するレバーと、を有し、
前記一対のアームにより前記大腿骨コンポーネントを左右から挟持すること、前記テーブルにより前記大腿骨コンポーネントの外面を押圧すること、及び前記一対のフックを前記大腿骨コンポーネントの内面の左右縁部に掛止することを、前記レバーを開始位置から終了位置まで移動する間に行うことを特徴とする保持器具。
【請求項2】
前記保持器具は、前記レバーが回転可能に支持されたシリンダを含み、
前記レバーの前記終了位置は、前記レバーを前記シリンダの方向に倒した状態である請求項1に記載の保持器具。
【請求項3】
前記保持器具は、
前記シリンダ内に摺動可能に挿通され、一端に前記テーブルが固定されたシャフトと
内部に前記シリンダが摺動可能に挿通されるスライドパイプと、をさらに有し、
前記一対のアームは、前記スライドパイプに結合され、
前記保持器具は、前記レバーと前記シャフト及びスライドパイプとを連結する一対の接続プレートをさらに有し、
前記接続プレートの一端は、前記レバーの支持部と自由端との間に回転可能に支持され、
前記接続プレートの他端は、前記シャフト及び前記スライドパイプに移動可能に保持されており、
前記レバーを前記シリンダの方向に倒すことにより、前記接続プレートを介して、前記シャフト及び前記スライドパイプを前記シリンダに沿って摺動することを特徴とする請求項2に記載の保持器具。
【請求項4】
前記接続プレートの前記他端には、前記テーブルの方向に移動するスライドピンが結合されており、
前記シャフトは前記スライドピンを挿通する穴を備え、
前記スライドパイプは、前記スライドピンよりも前記テーブル側に配置され、
前記スライドパイプと前記スライドピンとの間で且つ前記シリンダの周囲にバネが配置されており、
前記レバーを前記シリンダの方向に倒すことにより、前記スライドピンを介して前記シャフトを前記テーブルの方向に摺動させ、さらに前記スライドピン及び前記バネを介して前記スライドパイプを前記テーブルの方向に摺動させることを特徴とする請求項3に記載の保持器具。
【請求項5】
前記レバーは、シリンダに対向する内面にレバー側凹凸部を有し、
前記スライドパイプは、前記レバーと対向する面に前記レバー側凹凸部と噛み合うスライドパイプ側凹凸部を有し、
前記レバーを前記終了位置に移動したとき、前記レバー側凹凸と前記スライドパイプ側凹凸部とが噛み合って、前記スライドパイプと前記シリンダとが固定されることを特徴とする請求項3又は4に記載の保持器具。
【請求項6】
大腿骨コンポーネントは、前記テーブルにより押圧される前に、前記フックにより掛止されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保持器具。
【請求項7】
前記テーブルのシリンダ側に、前記テーブルと前記シャフトとの長手方向の位置を調節するための調節ねじが固定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の保持器具。
【請求項8】
前記調節ねじは、前記シリンダに対向する面に複数の調節穴が形成されており、
前記シリンダは、前記調節穴と対応する位置に突起部を有しており、
前記テーブルが前記シリンダ方向にばね付勢されており、前記調節ねじを回転して前記テーブルの位置を調節した後に、前記テーブルが前記シリンダ側に移動して前記調節穴に前記突起部が挿入されることを特徴とする請求項7に記載の保持器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−50682(P2009−50682A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87310(P2008−87310)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】