説明

大豆飲食物の風味改善剤、風味改善方法

【課題】
大豆由来の良好な風味を保持しつつ、大豆の青臭みを抑制し、風味を改善する手段を提供すること。加熱処理などにより生じる大豆飲食物のざらつき感を抑制すること。
【解決手段】
分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を有効成分とする、大豆飲食物の風味改善剤を提供する。この風味改善剤を、大豆飲食物に用いることにより、大豆由来の良好な風味を保持しつつ、大豆の青臭みを抑制できる。また、製造工程中に加熱処理が施される場合でも、大豆飲食物のざらつき感の発生を抑制できる。即ち、本発明に係る糖組成物は、大豆飲食物の風味改善を目的として使用できる。なお、本発明において、大豆飲食物とは、例えば、豆腐類、ハンバーグ、調製豆乳、豆乳プリン、豆乳飲料などをいう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を有効成分とする大豆飲食物の風味改善剤、それらの糖組成物を用いた大豆飲食物、風味改善方法、大豆飲食物の製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐、豆乳など、原材料として大豆を用いる飲食物(以下、大豆飲食物とする)は、大豆に由来する特有な青臭みを持つことが多い。また、大豆飲食物の製造工程中に加熱殺菌などを行う場合、加熱処理により、飲食物にざらつき感(口当たりの悪さ)が生じ、食感が低下する場合がある。そのため、食品業界や一般消費者などの間では、大豆飲食物の風味改善に対するニーズが高い。
【0003】
それに対し、大豆飲食物の風味改善方法として、例えば、以下の特許文献が開示されている。特許文献1には、トレハロースを添加して、大豆タンパク含有食品を製造する方法が、開示されている。また、特許文献2には、パラチノースを添加することにより調製豆乳の風味を改善する手段が開示されている。なお、非特許文献1〜4は、後述する実施例などで参照した文献である。
【特許文献1】特開平10−66516号公報
【特許文献2】特開2003−230365号公報
【非特許文献1】食品化学新聞社、「澱粉糖関連工業分析法」、P.131〜137(1991年発行)。
【非特許文献2】Akher et al, Starke 26:307-312 (1974)
【非特許文献3】J. Food Sci. 69 FTC109-113 (2004)
【非特許文献4】季刊化学総説No.40、1999「味と臭いの分子認識」、日本化学会編、学会出版センター
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の風味改善方法は、青臭みだけでなく、大豆由来の良好な風味も抑制してしまう場合があった。また、製造工程中に加熱処理が含まれる場合、依然として、製造した大豆飲食物にざらつき感が残り、風味が低下してしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、大豆由来の良好な風味を保持しつつ、大豆の青臭みを抑制し、風味を改善する手段を提供すること、及び、加熱処理などにより生じる大豆飲食物のざらつき感を抑制すること、を主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を大豆飲食物に用いることにより、大豆の青臭みを抑制することを新規に見出した。また、それらの糖組成物には、加熱処理によって生じる大豆飲食物のざらつき感(口当たりの悪さ)の発生を抑制することを新規に見出した。
【0007】
そこで、本発明では、それらの糖組成物を有効成分とする、大豆飲食物の風味改善剤を提供する。
【0008】
この風味改善剤を、大豆飲食物に用いることにより、大豆由来の良好な風味を保持しつつ、大豆の青臭みを抑制できる。また、製造工程中に加熱処理が施される場合でも、大豆飲食物のざらつき感の発生を抑制できる。即ち、本発明に係る糖組成物は、大豆飲食物の風味改善を目的として使用できる。
【0009】
加えて、この糖組成物を用いることには、以下のような利点がある。
【0010】
これらの糖組成物は、低甘味であるため、大豆飲食物全体の風味に対してあまり影響を与えない。また、これらの糖組成物は、甘味質に優れており、砂糖など他の甘味成分との相性も良好である。従って、大豆由来の良好な風味(青臭みなど以外の風味)を保持できる。
【0011】
この糖組成物を飲食物に加えても、健康上、特に影響はなく、緩下作用(下痢)などもほとんどない。従って、この組成物は、従来の方法などと比較して、安全性が高い。
【0012】
大豆飲食物の製造工程においてこれらの糖組成物を加えることにより、比較的簡易に、風味を改善できるため、特別な設備改良や工程改良を行う必要がない。また、この組成物は、比較的安価に入手できる。従って、この組成物を用いることにより、大豆飲食物の製造コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る糖組成物を用いることにより、大豆飲食物の風味を改善できる。即ち、大豆由来の良好な風味を保持しつつ、大豆の青臭みを抑制でき、また、製造工程中に加熱処理が施される場合でも、大豆飲食物のざらつき感の発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<本発明に係る風味改善剤について>
はじめに、本発明に係る風味改善剤について、以下説明する。
【0015】
本発明に係る風味改善剤は、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を、風味改善の有効成分として含有していればよい。
【0016】
「分岐構造を有する3〜4糖類」は、糖鎖中に、α−1,4グルコシド結合以外の結合(α−1,1グルコシド結合、α−1,2グルコシド結合、α−1,3グルコシド結合、α−1,6グルコシド結合など)を有する3〜4糖類である。
即ち、本発明において、「分岐構造を有する3〜4糖類」は、糖鎖中のいずれかの位置に、α−1,4グルコシド結合以外の結合を有する、3糖類と4糖類のいずれか一方又は両方である。
なお、「3〜4糖類」には、還元物も含まれる。
【0017】
本発明に係る分岐構造を有する3〜4糖類として、例えば、α−1,6グルコシド結合のみで構成される糖質(イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース)、α−1,4グルコシド結合とα−1,6グルコシド結合とを有する糖質(パノース、イソパノース、イソマルトトリオシルグルコースなど)、α−1,3グルコシド結合を一つ以上有する糖質(ニゲロオリゴ糖)、α−1,2グルコシド結合を一つ以上有する糖質(コウジオリゴ糖)、及び、前記各糖質の還元物などが挙げられる。
【0018】
なお、本発明に係る風味改善剤は、一種類の分岐構造を有する3〜4糖類のみを単一成分として含有する場合のほか、分岐構造を有する複数の3〜4糖類を含有する場合も含まれる。また、前記以外の他の組成物を含有していてもよい。例えば、砂糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、水飴、マルトース、パラチノース、糖アルコール類(ソルビトールなど)、高甘味度甘味料(シュクラロースなど)、などを含有させることができる。加えて、ミネラル類(カルシウム、鉄など)、安定剤(ジェランガム、ペクチンなど)、油脂類(とうもろこし類、レシチンなど)、酸味料(洒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸など)、ビタミン類(ビタミンDなど)、香料、果汁、着色料、健康素材(イソフラボンなど)、などを、目的に応じて、含有させてもよい。
【0019】
また、本発明に係る風味改善剤の形態も、目的に応じて、適宜、選択可能である。剤型としては、例えば、液体、粉体、顆粒状、ペースト状、エマルション状などが挙げられる。
【0020】
<本発明に係る大豆飲食物について>
本発明に係る大豆飲食物は、大豆成分を含んでいる飲食物全般を広く包含する。例えば、豆腐類(豆腐、油揚げなど)、大豆タンパク質を含有する畜肉・魚肉加工食品(ハンバーグ、ミートボール、ツミレ団子など)、豆乳加工飲食物(豆乳、調製豆乳、豆乳飲料、豆乳プリンなど)が挙げられる。
【0021】
なお、本発明に係る糖組成物が、大豆飲食物中に含有するかどうかは、公知の方法により分析できる。即ち、例えば、澱粉糖関連工業分析法に準じ、高速液体クロマトグラフィー法を用いることにより、食品中の有効成分含量を分析できる(非特許文献1参照)。
【0022】
その他、本発明に係る糖組成物の有効添加量は、飲食物の形態や設計などによって異なるが、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、
特に好ましくは、0.2〜10重量%である。また、豆乳プリンなど、甘味を有する大豆飲食物(デザート)に用いる場合、25重量%を超える添加も可能である。
【0023】
<本発明に係る糖組成物の使用、本発明に係る風味改善方法について>
続いて、大豆飲食物の風味改善を目的とした本発明に係る糖組成物の使用、及び、本発明に係る糖組成物を用いる大豆飲食物の風味改善方法について、以下説明する。
【0024】
本発明に係る糖組成物を、大豆飲食物に含有させることにより、風味を改善できる。即ち、本発明に係る糖組成物は、大豆飲食物の風味改善を目的として使用可能である。
【0025】
本発明に係る糖組成物の使用態様として、例えば、(1)風味改善剤に含有させる場合、(2)大豆飲食物に直接添加する場合、(3)これらの糖組成物を、水などの溶液に溶解などさせた後、大豆飲食物に添加する場合、(4)大豆飲食物に添加する調味料などに、これらの糖組成物を添加・混合する場合、(5)大豆飲食物中に、実際に、これらの糖組成物が含有している場合、などがある。
【0026】
<本発明に係る大豆飲食物の製造方法について>
本発明に係る糖組成物を風味改善の有効成分として用いる工程を含む、大豆飲食物の製造方法について、以下説明する。
【0027】
本発明に係る大豆飲食物の製造方法は、製造工程中に、本発明に係る風味改善剤を大豆飲食物に含有させる工程が含まれていればよい。例えば、大豆飲食物の製造工程において、(1)本発明に係る風味改善剤を大豆飲食物に添加する工程が含まれる場合、(2)本発明に係る風味改善剤を水などの溶液に添加・混合後、大豆飲食物に添加する工程が含まれる場合、(3)大豆飲食物に添加する調味料などの副材などに、本発明に係る風味改善剤を添加・混合後、大豆飲食物に添加する工程が含まれる場合、などがある。本発明に係る大豆飲食物の製造方法は、特別な設備改良や工程改良を行う必要が無いため、製造コストを抑制できる利点がある。
【実施例1】
【0028】
実施例1において、実施例2で用いる糖組成物を準備した。
【0029】
表1に、準備した糖質を列記する。表中、「DP(degree of polymerization)」は、構成糖の重合度を示す(以下同じ)。
【表1】

【0030】
グルコース、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、マルトース、マルチトールは、以下に示す市販の製品を用いた。グルコース(商品名「無水結晶ブドウ糖」、昭和産業株式会社製)、ソルビトール(商品名「ソルビトール日研SP」、日研化学株式会社製)、エリスリトール(商品名「エリスリトール Eridex」、日研化学株式会社製)、トレハロース(商品名「トレハ」、登録商標、株式会社林原生物化学研究所製)、マルトース(商品名「サンマルト−S」、登録商標、株式会社林原製)、マルチトール(商品名「マルビット」、日研化学株式会社製)。
【0031】
その他の直鎖オリゴ糖は、市販のオリゴ糖から、分岐オリゴ糖は、イソマルトオリゴ糖(商品名「イソマルト900」、昭和産業株式会社製)から、それぞれ分画、精製して得た。
前記各オリゴ糖製品を、クロマト分離装置(オルガノ株式会社製、商品名「トレソーネ(登録商標)」)で分画した後、HPLC(高速液体クロマトグラフィー、カラム充填剤には、C18逆相系の「ODS−AQ(株式会社ワイエムシィ製)」を用いた)により、繰り返し精製し、純度90%以上に調製した。
【0032】
前記各糖質の還元物は、準備・調製した各糖質を、非特許文献2に記載された方法に準じて還元した後、HPLC(カラム充填剤には、前記と同様、C18逆相系の「ODS−AQ(株式会社ワイエムシィ製)」を用いた)により、繰り返し精製し、純度90%以上に調製した。
【実施例2】
【0033】
実施例2では、実施例1で準備した糖組成物に、豆乳に対する品質改善作用があるかどうかについて、調べた。
【0034】
まず、市販の有機豆乳(大豆固形分含量10重量%、名古屋製酪株式会社製)に、各糖組成物を、10重量%になるように添加した。次に、その溶液を、121℃、5分間、オートクレーブ処理した後、流水で室温まで冷却し、冷蔵庫で一昼夜保管した。そして、作製した調製豆乳の試作品について、官能試験を行った。
【0035】
官能試験は、7名の専門パネラーが、「青臭さ」、「ざらつき」の二項目について評価することにより行った。
本実験では、評価方法として、砂糖を用いて調製豆乳を作製した場合(対照)と、各糖組成物を用いて調製豆乳を作製した場合と、を比較して評価する方法を採用した。
「青臭さ」は、青臭さの抑制効果が高かった場合を「○」、一定の抑制効果があった場合を「△」、抑制効果がほとんどなかった場合を「×」、と評価した。
「ざらつき」は、ざらつきがない場合を「○」、ざらつきがほとんどない場合を「△」、ざらつきがあった場合を「×」、と評価した。
また、前記二項目の評価結果に基づき、「総合評価」を行った。「総合評価」は、前記二項目において、「○」が二つで「×」が一つもない場合を「○」、「○」が一つで「×」が一つもない場合を「△」、「×」が一つ以上若しくは「○」が一つも無い場合を「×」、とした。
【0036】
糖質を用いて調製豆乳を作製した場合の結果を表2に、糖質の還元物を用いて調製豆乳を作製した場合の結果を表3に、それぞれ示す。
【表2】


【表3】

【0037】
表2、表3より、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物(還元物を含む)には、には、豆乳の青臭さを抑制し、また、加熱変性などによるざらつきの発生が抑制されることが分かった。
即ち、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物(還元物を含む)には、大豆を用いた飲食物に対する風味改善作用があることが分かった。
それに対し、単糖類、α−1,4グルコシド結合のみの直鎖オリゴ糖、5糖類以上の分岐オリゴ糖、並びにそれらの還元物では、対照と同等又はそれ以下の評価であった。
【実施例3】
【0038】
実施例3では、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を添加した調製豆乳について、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて分析を行った。
【0039】
実験手順の概要は次の通りである。
(1)まず、実施例2と同様の手順で、調製豆乳の試作品を作製した。糖組成物には、分岐構造を有する3〜4糖類を50%含有する糖組成物(以下、「糖組成物試作品」とする)を用いた(なお、以下の実施例においても同じものを用いた)。
(2)次に、固相マイクロ(以下、SPME:Solid Phase Micro Extractionと記載する)法による前処理を行った。SPME法は、Suratmanらの方法(非特許文献3)に記載された方法に準じて行った。まず、20mlバイアル(SUPELCO社製)に、作製した10mlの調製豆乳を入れ、20ppmのノシクロヘキサノン(内部標準物質)を添加した。次に、前記バイアルを、セプタムキャップ(SUPELCO社製、テフロンシールされたもの、「テフロン」は登録商標)で密栓し、60℃、30分間、予備加熱した。次に、前記バイアルのヘッドスペース部分に、SPMEファイバーを30分間投入し、揮発成分の抽出を行った。SPMEファイバーは、肥厚75μmのCarboxen/PDMS(ポリジメチルシクロキサン)ファイバー(SUPELCO社製)を用いた。
(3)次に、ガスクロマトグラフ質量分析装置による分析を行った。同分析装置のサンプル注入口に、SPMEファイバー(抽出成分を含有している)を入れ、内部標準物質のピーク面積・ピーク高さに基づき、調製豆乳に含有する成分を定量した。ガスクロマトグラフ質量分析装置は、GCMS−GP5050A(株式会社島津製作所製)を用いた。キャピラリーカラムは、TC−FFAP(ジーエルサイエンス株式会社製)を用いた。キャリアガスにはヘリウムガスを用い、流量は1ml/minに設定した。サンプル注入口の温度は250℃に設定し、カラムの温度は、40℃で2分間の後、5℃/minで200℃まで昇温させ、200℃で4分間、維持した。キャピラリーカラムへの抽出成分の導入は、スピリットレス方式により行った。質量分析は、30〜400m/zの範囲で行った。
【0040】
結果を図1に示す。図1に示す通り、豆乳に糖組成物試作品を添加して調製した場合、無添加の場合や砂糖を添加して調製した場合と比較して、脂質カルボニル化合物(1−ペンタナール、1−ヘキサナール、2−ヘプテナールなど)が顕著に減少した。
これらの化合物は、大豆由来の青臭さの原因物質であることが明らかになっている(非特許文献4参照)。
従って、本実験結果は、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物には、大豆由来の青臭さを抑制する作用があることを強く示唆する。
【実施例4】
【0041】
実施例4では、豆乳飲料の試作品を作製し、試飲した。
【0042】
まず、500mlの水に、乳酸カルシウム35g、グルコン酸カルシウム10g、塩化カルシウム15gを溶解させた。次に、市販の有機豆乳1.5kgに、この溶液を、撹拌しながら少しずつ加えた後、糖組成物試作品75gを加えた。次に、この有機豆乳のタンパク質濃度が4重量%になるように水分調整した後、ホモジナイザーで均質化した。次に、均質化した有機豆乳を、121℃、5分間オートクレーブで処理した後、流水で冷却し、冷蔵庫で一昼夜保管した。なお、対照では、糖組成物試作品の代わりに砂糖を用いた。
【0043】
上記手順で作製した豆乳飲料の試作品を試飲したところ、対照の豆乳飲料と比較して、青臭さが少なく、舌触りも滑らかで、ざらざら感も少なかった。
【実施例5】
【0044】
実施例5では、豆乳プリンを作製し、試食した。
【0045】
まず、牛乳700gと豆乳650gを入れた容器に、全卵750gを混ぜながら徐々に加え、均一化させた。次に、糖組成物試作品300g、砂糖300gを加え、再度、均一化させた。次に、均一化した調製物を、メッシュで3回裏ごしした後、カップに120gずつ充填した。次に、このカップを蒸し器に入れ、7分間、加熱処理した後、室温まで冷却させ、冷蔵庫で一昼夜保管した。なお、対照では、糖組成物試作品の代わりに砂糖を用いた。
【0046】
上記手順で作製した豆乳プリンの試作品を試食したところ、対照の豆乳プリンと比較して、青臭さが少なく、舌触りも滑らかで、ざらざら感も少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る糖組成物を用いることにより、大豆飲食物の風味を改善できる。即ち、本発明に係る糖組成物は、風味改善剤として、適用可能である。本発明に係る風味改善剤は、大豆由来の良好な風味を損なわずに、青臭みなどの風味を抑制できるという利点がある。また、加熱処理(加熱殺菌)工程で生じるざらつき感も抑制できるため、例えば、豆腐、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ガスクロマトグラフ質量分析装置による分析結果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を有効成分とする、大豆飲食物の風味改善剤。
【請求項2】
請求項1記載の風味改善剤を用いた大豆飲食物。
【請求項3】
大豆飲食物の風味改善を目的とした、分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物の使用。
【請求項4】
分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を用いる、大豆飲食物の風味改善方法。
【請求項5】
分岐構造を有する3〜4糖類を含有する糖組成物を、風味改善の有効成分として用いる工程を含む、大豆飲食物の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2006−280310(P2006−280310A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106927(P2005−106927)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000187079)昭和産業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】