説明

太陽光利用パネル

【課題】クリーニングのために専用の駆動装置を搭載することなく、低コストでクリーニング機能を付与する。
【解決手段】ソーラーパネル1において、回転ブラシ28とフレーム6の受けロッド45との間に、パネル7,7の間で回転ブラシ28,28をフレーム6側へ連結する連結手段を設ける一方、支柱2と回転ブラシ28,28との間に、パネル7,7の水平姿勢で連結手段による回転ブラシ28,28とフレーム6との連結を解除する解除手段と、パネル7,7の水平姿勢で回転ブラシ28,28を支柱2側へ連結する第二の連結手段とを設けて、解除手段によって回転ブラシ28,28とフレーム6との連結を解除し、第二の連結手段によって回転ブラシ28,28を支柱2側へ連結した状態で、水平姿勢のパネル7,7を水平回転させることで、回転ブラシ28,28をパネル7,7上で相対的に旋回させて受光面を清掃可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の受光面を備えたパネルを太陽に向けて傾斜及び回転させる追尾機構を備えた太陽光利用パネルに関する。なお、本発明でいう太陽光利用パネルとは、平面状の受光面を有するパネルを備えたものを言い、パネルは、太陽電池モジュール以外に反射鏡や集光レンズ等も含む。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネル等の太陽光利用パネルにおいては、太陽光をより効率的に利用するため、太陽の動きに合わせてパネルを傾斜及び回転させる追尾機構を搭載したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
このような太陽光利用パネルは専ら屋外で使用されるため、パネルの受光面に塵埃が付着したりして汚れやすい。これを放置しておくと発電効率や集光率等の性能低下に繋がるため、受光面の清掃装置を設けたものもよく使用されている。
この清掃装置として、例えば特許文献2には、ソーラーパネル体に、モータによってソーラーパネル体の表面上を旋回移動するブラシやスポンジ等の清掃部材を設けた構造が開示されている。また、特許文献3には、ワイパー型の洗浄手段をモータによって駆動させる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3085803号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153488号公報
【特許文献3】実開平5−38919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記清掃装置は、何れも清掃部材の作動用に追尾機構と別個のモータを採用しているため、モータを含む専用の駆動装置を搭載する必要が生じ、太陽光利用パネル全体の構造が複雑化してコストアップを招いてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、クリーニングのために専用の駆動装置を搭載する必要がなく、低コストでクリーニング機能を付与できる太陽光利用パネルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フレームに、水平回転の回転中心位置を中心としてパネル上を旋回可能な清掃部材を設けて、清掃部材とフレームとの間に、清掃部材をフレーム側へ連結する連結手段を設ける一方、支持体と清掃部材との間に、パネルの水平姿勢で連結手段による清掃部材とフレームとの連結を解除する解除手段と、パネルの水平姿勢で清掃部材を支持体側へ連結する第二の連結手段とを設けて、解除手段によって清掃部材とフレームとの連結を解除し、第二の連結手段によって清掃部材を支持体側へ連結した状態で、追尾機構により水平姿勢のパネルを水平回転させることで、清掃部材をパネル上で相対的に旋回させて受光面を清掃可能としたことを特徴とするものである。
なお、ここで「清掃部材をフレーム側へ連結」とは、フレーム自体への連結は勿論、フレームへ一体に組み付けられた別体の部材への連結も含む。同様に、「清掃部材を支持体側へ連結」も、支持体自体への連結は勿論、支持体へ一体に組み付けられた別体の部材への連結も含む。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、連結手段を、清掃部材側に設けられてフレーム側へ出没可能なストッパと、そのストッパを突出位置へ付勢する付勢手段と、フレーム側に設けられ、突出位置のストッパが係止する被係止部とで形成し、解除手段を、ストッパに突設される係合部と、支持体側に設けられ、パネルの水平姿勢で係合部と当接してストッパの突出位置への移動を規制する当接部材とで形成し、第二の連結手段を、支持体側に設けられ、ストッパを保持して清掃部材の水平回転を規制する規制部材としたことを特徴とするものである。
ここでも請求項1と同趣旨で、ストッパは、清掃部材自体は勿論、清掃部材へ一体に組み付けられた別体の部材に設けられてもよいし、被係止部も、フレーム自体は勿論、フレームへ一体に組み付けられた別体の部材に設けられてもよい。当接部材や規制部材も同様で、それぞれ支持体自体は勿論、支持体へ一体に組み付けられた別体の部材に設けられてもよい。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、係合部を、ストッパに突設されるピンとし、当接部材及び規制部材を、パネルの水平姿勢でストッパの両外側に位置し、上端にピンが当接する一対の規制板としたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、フレームにおける回転中心位置に、フレーム側に固定される中心軸を軸心に有するギヤボックスを回転可能に設けて、清掃部材を、ギヤボックスへ回転可能に連結されて中心軸とギヤ結合される芯棒と、その芯棒の外周に形成されるブラシ部とを有する回転ブラシとして、パネルの水平回転の際には、中心軸の回転を芯棒へ伝達することで、回転ブラシを回転させながらパネル上で相対的に旋回させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、連結手段の付加によって既存の追尾機構を利用して清掃部材によるクリーニングが可能となる。よって、クリーニングのために専用の駆動装置を搭載する必要がなくなり、低コストでクリーニング機能を付与可能となる。
また、待機状態となる水平姿勢のパネルを回転させてクリーニングを行うので、日中の太陽光利用時間を清掃に費やすことがなく、太陽光利用パネルの本来の性能に支障を及ぼさない。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、連結手段と解除手段、そして第二の連結手段がそれぞれ簡単な構造で得られる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、パネルが水平姿勢となると同時に規制板によってストッパと被係止部との係止の解除とストッパの保持による清掃部材の回転規制とが行われ、規制板が当接部材及び規制部材と兼用される合理的な構造となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、清掃部材として、パネルの回転を利用して回転する回転ブラシを採用でき、受光面を好適にクリーニング可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ソーラーパネルの斜視図である。
【図2】ソーラーパネルの斜視図である。
【図3】ソーラーパネルの斜視図である。
【図4】追尾機構部分の側面図である。
【図5】追尾機構を正面から見た断面説明図である。
【図6】追尾機構を上面から見た断面説明図である。
【図7】ストッパ部分の斜視図である。
【図8】(A)(B)は、パネルが水平姿勢となる際のストッパの動作を示す斜視図である。
【図9】パネルが水平姿勢となるソーラーパネルの斜視図である。
【図10】(A)〜(C)はクリーニング動作を示す斜視図である。
【図11】清掃部材及び解除手段、第二の連結手段の変更例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3は、太陽光利用パネルの一例であるソーラーパネルを示す斜視図で、このソーラーパネル1は、地面に垂設される支持体としての支柱2の上端に、図4にも示すように、追尾機構3を構成する旋回用ギヤモータ部4及び傾倒用ギヤモータ部5を介して四角形状のフレーム6を支持し、そのフレーム6に一対のパネル7,7を支持してなる。このパネル7,7は、太陽電池モジュールを用いてそれぞれ矩形状に形成され、短辺方向で両パネル7,7間に所定の間隔が生じるようにフレーム6に支持されている。
【0011】
支柱2の上端には、図5に示すように、ギヤ9を設けた支軸8が同軸で垂設されて、旋回用ギヤモータ部4を内設する下ハウジング10内に軸支されている。旋回用ギヤモータ部4は、モータ11の出力軸12と支軸8との間に、ギヤ15及びピニオン16を備えた鉛直方向の一対の減速軸13,14を軸支して、減速軸14のピニオン16を支軸8のギヤ9に噛合させている。
よって、モータ11の出力軸12が回転すると、減速された回転数で支軸8を中心に下ハウジング10が水平回転することになる。
【0012】
また、傾倒用ギヤモータ部5は、図6にも示すように、下ハウジング10の上部に組み付けられた上ハウジング17に内設され、モータ18の出力軸19と、その反対側で水平方向に軸支される回転軸20との間に、ギヤ24及びピニオン25を備えた水平方向の一対の減速軸22,23を軸支して、減速軸22のピニオン25を回転軸20に設けたギヤ21に噛合させている。
よって、モータ18の出力軸19が回転すると、減速された回転数で回転軸20が回転する。回転軸20の両端には、ブラケット26,26を介してフレーム6が連結されているため、回転軸20の回転に伴ってフレーム6が傾倒することになる。なお、パネル7やモータ11,18への配線は、支軸8の軸心に形成した中空部を通し、上下ハウジング10,17間から外部へ引き出して行われる。
【0013】
一方、フレーム6において、パネル7,7の間で長手方向の中央位置には、円筒状のギヤボックス27が、パネル7,7の受光面よりも突出して回転可能に設けられて、このギヤボックス27の側面に、清掃部材としての一対の回転ブラシ28,28が、ギヤボックス27を中心とした点対称位置で直線状に設けられている。この回転ブラシ28は、ギヤボックス27の側面に一端が固定される長尺状の支持アーム29によって回転可能に軸支される芯棒30(図4に図示)と、その芯棒30の外周面へ放射状に植設される複数のブラシ束からなるブラシ部31とで形成されて、ブラシ部31の径は、側面視でパネル7,7の表面(受光面)に当接する大きさとなっている。また、回転ブラシ28,28を合わせた両端長さは、パネル7,7を合わせて形成される正方形状の対角線よりも長くなっている。
【0014】
また、各回転ブラシ28の芯棒30は、ギヤボックス27の側面を貫通して内部に突出し、それぞれベベルギヤ32,32が固着されている。ギヤボックス27内の中央には、フレーム6側に固定される中心軸33が突設されて、その中心軸33の上端に、芯棒30側のベベルギヤ32,32と噛合するベベルギヤ34が固着されている。よって、中心軸33が回転すると、ベベルギヤ34及びベベルギヤ32,32を介して芯棒30,30が互いに逆方向へ回転することになる。但し、ベベルギヤ32とベベルギヤ34との間には、中心軸33の回転数よりも芯棒30の回転数が大きくなる変速比が設定されている。
【0015】
そして、一方の支持アーム29の自由端の外面には、図7に示すように、連結片35が外向き延長状に突設されて、その連結片35にストッパ36が設けられている。このストッパ36は、左右の端部38,38がパネル7と直交する上向きとなるU字状の外板37と、その外板37の内側で連結片35を貫通して軸方向の前後端が連結板41,42に連結され、一方の連結板41が外板37の基端部39に連結される一対のスライドピン40,40と、外板37の基端部39の中央でパネル7と直交する下向きに突設される係止ピン43とを備える。スライドピン40における連結片35と連結板41との間には、付勢手段としてのコイルバネ44がそれぞれ巻回されている。
【0016】
よって、ストッパ36は、連結片35に対するスライドピン40,40のスライドにより、パネル7との直交方向へスライド可能となるが、常態ではコイルバネ44,44の付勢により、連結片35が連結板42に当接して係止ピン43がパネル7側への下限位置(突出位置)に維持される。
45は、フレーム6においてストッパ36が設けられる側の支持アーム29と平行に連結される受けロッドで、受けロッド45の先端上面には、下限位置でストッパ36の係止ピン43が係止する被係止部としての係止孔46が設けられている。この係止ピン43による係止孔46の係止により、支持アーム29がストッパ36を介して受けロッド45に連結されて、回転ブラシ28,28はパネル7,7の間で保持されることになる。このストッパ36と受けロッド45の係止孔46とが本発明の連結手段となる。
【0017】
一方、支柱2には、フレーム6及びパネル7を下方から回り込んでその外側で上端が上向きに突出するL字状の固定アーム47が設けられている。この固定アーム47の上端には、受けロッド45が固定アーム47と平行となる位相でパネル7,7が水平姿勢となった際に、ストッパ36の両外側に位置する一対の規制板48,48が、外板37の端部38と平行に取り付けられている。
また、外板37の上端には、係合部となるピン49が直交状に連結されて両端が端部38からそれぞれ外側に突出しており、受けロッド45が固定アーム47の真上となる位相でパネル7,7が水平姿勢に移行すると、図8(A)に示すようにまずピン49の両端が当接部材となる規制板48,48に当接することで、コイルバネ44,44の付勢に抗してストッパ36の下限位置へのスライドを規制し、同図(B)のように係止ピン43が受けロッド45の係止孔46に係止しないようになっている。この規制板48とピン49とが本発明の解除手段となる。
【0018】
さらに、パネル7,7の水平姿勢では、支持アーム29と受けロッド45との連結の解除に加えて、ストッパ36の外板37の両外側に規制板48,48が位置することで、水平回転方向でストッパ36が固定アーム47に連結される格好となる。すなわち、ストッパ36を介して支持アーム29及び回転ブラシ28,28の水平回転が規制されることになる。よって、規制板48は、本発明の第二の連結手段を構成する規制部材としても機能するものとなる。
【0019】
そして、50は、支柱2に設けられたコントロールボックスで、旋回用ギヤモータ部4及び傾倒用ギヤモータ部5のモータ11,18がそれぞれ接続されて、予め設定された追尾プログラムに従い、日の出から日没までの間パネル7,7が太陽に指向した状態を維持するように、モータ11,18の駆動を制御してフレーム6及びパネル7を図1〜図3のように傾倒且つ水平回転させるようになっている。この追尾動作の際、支持アーム29は受けロッド45と連結されて常に回転ブラシ28,28をパネル7,7の間に位置させているので、回転ブラシ28が太陽光を遮ったりするおそれはない。
【0020】
また、コントロールボックス50は、一日の追尾動作が終了すると、風の影響を考慮してパネル7,7を水平姿勢にして待機させると共に、この待機状態でパネル7,7の受光面を回転ブラシ28,28によって清掃するクリーニング動作を実行するようになっている。以下このクリーニング動作について詳述する。
まず、パネル7,7を、図9に示すように受けロッド45が固定アーム47の真上となる位相で水平姿勢にする。これにより、前述のようにストッパ36の下限位置へのスライドが規制されて支持アーム28と受けロッド45との連結が解除される。一方、ストッパ36が固定アーム47の規制板48,48間に位置することで、支持アーム28及び回転ブラシ28,28の回転が規制される。
【0021】
この状態で、旋回用ギヤモータ部4のモータ11を駆動させて、パネル7,7を水平回転させると、図10(A)〜(C)に示すように、回転ブラシ28,28を残した状態でパネル7,7が平面視で左回り方向へ水平回転する。これにより、回転ブラシ28と共に回転規制されるギヤボックス27内で中心軸33が回転するため、ベベルギヤ34の回転がそれぞれベベルギヤ32,32に伝わり、芯棒30,30を互いに逆向きに回転させる。よって、各回転ブラシ28がその下方で回転するパネル7,7の受光面を回転しながら相対的に旋回することになり、受光面に付着している塵埃等を除去することができる。なお、各回転ブラシ28の回転方向は、相対的に前進側となる受光面へ掃き出す方向となる。
こうしてパネル7,7が360°水平回転すると、図9に示す最初の位相に復帰し、回転ブラシ28,28によるパネル7,7の受光面全体のクリーニングが完了する。
【0022】
そして、日の出の際には、待機状態からパネル7,7が起立して受光面を太陽に指向させる。この起立動作に伴い、ストッパ36が固定アーム47の規制板48,48の間から上方へ退避すると、ピン49が規制板48から離れたストッパ36がコイルバネ44,44の付勢により下限位置へ復帰するため、係止ピン43が再び受けロッド45の係止孔46に係止して支持アーム29と受けロッド45とを連結する。よって、パネル7,7が太陽に追尾する間は常に回転ブラシ28,28は両パネル7,7の間に位置することになる。
【0023】
このように、上記形態のソーラーパネル1によれば、回転ブラシ28とフレーム6との間に、二分割されたパネル7,7の間で回転ブラシ28,28をフレーム6側へ連結する連結手段を設ける一方、支柱2と回転ブラシ28,28との間に、パネル7,7の水平姿勢で連結手段による回転ブラシ28,28とフレーム6との連結を解除する解除手段と、パネル7,7の水平姿勢で回転ブラシ28,28を支柱2側へ連結する第二の連結手段とを設けて、解除手段によって回転ブラシ28,28とフレーム6との連結を解除し、第二の連結手段によって回転ブラシ28,28を支柱2側へ連結した状態で、追尾機構3により水平姿勢のパネル7,7を水平回転させることで、回転ブラシ28,28をパネル7,7上で相対的に旋回させて受光面を清掃可能としている。
【0024】
これにより、既存の追尾機構3を利用して回転ブラシ28,28によるクリーニングが可能となる。よって、クリーニングのために専用の駆動装置を搭載する必要がなくなり、低コストでクリーニング機能を付与可能となる。
また、待機状態となる水平姿勢のパネル7,7を回転させてクリーニングを行うので、日中の太陽光利用時間を清掃に費やすことがなく、ソーラーパネル1の本来の性能に支障を及ぼさない。
【0025】
特にここでは、連結手段を、回転ブラシ28側に設けられてフレーム6側へ出没可能なストッパ36と、そのストッパ36を突出位置へ付勢するコイルバネ44と、フレーム6に設けられ、突出位置のストッパ36が係止する受けロッド45の係止孔46とで形成し、解除手段を、ストッパ36に突設される係合部(ピン49)と、支柱2側に設けられ、パネル7,7の水平姿勢でピン49と係合してストッパ36の突出位置への移動を規制する当接部材(規制板48)とで形成し、第二の連結手段を、支柱2側に設けられ、ストッパ36を保持して回転ブラシ28,28の水平回転を規制する規制部材(規制板48)としたことで、連結手段と解除手段、そして第二の連結手段がそれぞれ簡単な構造で得られる。
【0026】
さらに、係合部を、ストッパ36に突設されるピン49とし、規制部材を、パネル7,7の水平姿勢でストッパ36の両外側に位置し、上端にピン49が当接する一対の規制板48,48としているので、パネル7,7が水平姿勢となると同時に規制板48,48によってストッパ36と係止孔46との係止の解除とストッパ36の保持による回転ブラシ28の回転規制とが行われ、規制板48が当接部材及び規制部材として兼用される合理的な構造となる。
【0027】
そして、フレーム6における回転中心位置に、フレーム6側に固定される中心軸33を軸心に有するギヤボックス27を回転可能に設けて、清掃部材を、ギヤボックス27へ回転可能に連結されて中心軸33とギヤ結合される芯棒30と、その芯棒30の外周に形成されるブラシ部31とを有する回転ブラシ28として、パネル7,7の水平回転の際には、中心軸33の回転を芯棒30へ伝達することで、回転ブラシ28を回転させながらパネル7,7上で相対的に旋回させるようにしている。よって、清掃部材としてパネル7,7の回転を利用して回転する回転ブラシ28が採用でき、受光面を好適にクリーニング可能となる。
【0028】
なお、清掃部材としては、上記形態の回転ブラシに限らず、例えば図11に示すように、パネル7,7の回転中心位置でフレーム6側に固定した中心軸51に連結されるブラシ52とすることもできる。このブラシ52は、中心軸51の上端へ直交状に連結されるブラシアーム53と、そのブラシアーム53における中心軸51を挟んだ左右両側の下面に植設される一対のブラシ部54,54とからなり、パネル7,7の水平回転に伴い、各ブラシ部54,54が受光面を相対的に旋回しながらクリーニングすることになる。
勿論これ以外にも、スポンジ等をブラシ部としたロールブラシや、ゴム製ワイパー等も清掃部材として採用できる。この場合、支持アームを共用にして種類の異なる清掃部材を着脱可能とし、受光面の汚れの程度に応じて交換することも考えられる。また、清掃部材は回転中心位置から一対設ける必要はなく、何れか一方のみとしてもよい。さらに、タンクを搭載したり外部導管を接続する等してクリーニング中に清掃部材からパネルの受光面に水若しくは洗浄液を流すようにすることも可能である。このようにすれば受光面のクリーニング効果が高まる上、パネルの冷却効果も得られる。
【0029】
また、図11には解除手段及び第二の連結手段の変更例も併せて示している。ここでのストッパ36は、係合部となる係合片55を外向きに突設したL字状で、連結片35へ上下にスライド可能に設けられ、連結片35と係合片55との間に設けたコイルバネ44により下限位置へ付勢されている。一方、固定アーム47の上端には、パネル7,7の水平姿勢で係合片55が係合してストッパ36の下限位置への移動を規制する溝56が形成されている。すなわち、溝56の底面でストッパ36の移動規制を行う解除手段を、溝56の左右の内面でストッパ36の回転規制を行う第二の連結手段をそれぞれ構成したものである。
【0030】
よって、この変更例においても、上記形態と同じ作用で、追尾動作中にはストッパ36が受けロッド45に連結され、待機状態でパネル7,7が水平姿勢になると同時に、ストッパ36と受けロッド45の係止孔46との係止が解除されてストッパ36を介してブラシ52が固定アーム47に連結されることになる。
また、この変更例以外にも、ストッパを上記ブラシアームのような清掃部材に直接設けたり、フレームの形態によっては受けロッドをなくして係止孔等の被係止部をフレームへ直接設けたり、解除手段と第二の連結手段とをそれぞれ別の箇所に設けたりすることもできる。このように、連結手段や解除手段、第二の連結手段も上記形態に限らず、適宜設計変更して差し支えない。
【0031】
そして、上記形態では、水平姿勢のパネルを360°回転させてクリーニングを行うようにしているが、クリーニング効果を上げるために複数回で回転させてもよく、逆回転も可能である。また、上記形態のように清掃部材が直線状に一対あれば180°の回転で受光面の全体が清掃できるため、180°の回転後、反転させて戻すようにしてもよい。
また、フレームや追尾機構、支持体の構造も上記形態に限らず適宜変更可能で、さらには太陽電池モジュールを用いたソーラーパネル以外に、パネルを反射鏡や集光レンズとした他の太陽光利用パネルであっても本発明は適用可能である。従って、パネルは正方形に限らず円形状でも採用できる。勿論パネルは二分割のものに限らず、四分割等の他の分割形態でも差し支えないし、逆に分割されないパネルであっても、ギヤボックス等が貫通する貫通孔をパネルに形成すれば清掃部材の支持は可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・ソーラーパネル、2・・支柱、3・・追尾機構、4・・旋回用ギヤモータ部、5・・傾倒用ギヤモータ部、6・・フレーム、7・・パネル、8・・支軸、11,18・・モータ、27・・ギヤボックス、28・・回転ブラシ、29・・支持アーム、30・・芯棒、31・・ブラシ部、35・・連結片、36・・ストッパ、40・・スライドピン、43・・係止ピン、44・・コイルバネ、45・・受けロッド、46・・係止孔、47・・固定アーム、48・・規制板、49・・ピン、50・・コントロールボックス、52・・ブラシ、55・・係合片、56・・溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、太陽光の受光面を有するパネルと、そのパネルを支持するフレームと、そのフレームを傾倒及び水平回転させて前記パネルを太陽に追尾させる追尾機構とを備えてなる太陽光利用パネルであって、
前記フレームに、前記水平回転の回転中心位置を中心として前記パネル上を旋回可能な清掃部材を設けて、前記清掃部材とフレームとの間に、前記清掃部材を前記フレーム側へ連結する連結手段を設ける一方、
前記支持体と清掃部材との間に、前記パネルの水平姿勢で前記連結手段による前記清掃部材とフレームとの連結を解除する解除手段と、前記パネルの水平姿勢で前記清掃部材を前記支持体側へ連結する第二の連結手段とを設けて、
前記解除手段によって前記清掃部材とフレームとの連結を解除し、前記第二の連結手段によって前記清掃部材を前記支持体側へ連結した状態で、前記追尾機構により前記水平姿勢のパネルを水平回転させることで、前記清掃部材を前記パネル上で相対的に旋回させて前記受光面を清掃可能としたことを特徴とする太陽光利用パネル。
【請求項2】
前記連結手段を、前記清掃部材側に設けられて前記フレーム側へ出没可能なストッパと、そのストッパを突出位置へ付勢する付勢手段と、前記フレーム側に設けられ、前記突出位置の前記ストッパが係止する被係止部とで形成し、
前記解除手段を、前記ストッパに突設される係合部と、前記支持体側に設けられ、前記パネルの水平姿勢で前記係合部と当接して前記ストッパの前記突出位置への移動を規制する当接部材とで形成し、
前記第二の連結手段を、前記支持体側に設けられ、前記ストッパを保持して前記清掃部材の水平回転を規制する規制部材としたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光利用パネル。
【請求項3】
前記係合部を、前記ストッパに突設されるピンとし、前記当接部材及び規制部材を、前記パネルの水平姿勢で前記ストッパの両外側に位置し、上端に前記ピンが当接する一対の規制板としたことを特徴とする請求項2に記載の太陽光利用パネル。
【請求項4】
前記フレームにおける前記回転中心位置に、前記フレーム側に固定される中心軸を軸心に有するギヤボックスを回転可能に設けて、前記清掃部材を、前記ギヤボックスへ回転可能に連結されて前記中心軸とギヤ結合される芯棒と、その芯棒の外周に形成されるブラシ部とを有する回転ブラシとして、前記パネルの水平回転の際には、前記中心軸の回転を前記芯棒へ伝達することで、前記回転ブラシを回転させながら前記パネル上で相対的に旋回させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の太陽光利用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−249667(P2011−249667A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123064(P2010−123064)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(591218307)株式会社ニッセイ (17)
【Fターム(参考)】